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JP6663647B2 - 固体高分子形燃料電池用電解質膜、固体高分子形燃料電池、および固体高分子形燃料電池用電解質膜の製造方法 - Google Patents

固体高分子形燃料電池用電解質膜、固体高分子形燃料電池、および固体高分子形燃料電池用電解質膜の製造方法 Download PDF

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JP6663647B2 JP2015074629A JP2015074629A JP6663647B2 JP 6663647 B2 JP6663647 B2 JP 6663647B2 JP 2015074629 A JP2015074629 A JP 2015074629A JP 2015074629 A JP2015074629 A JP 2015074629A JP 6663647 B2 JP6663647 B2 JP 6663647B2
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Description

本発明は、固体高分子形燃料電池に用いる電解質膜に関する。特に芳香族炭化水素系高分子樹脂にイオン交換基を結合させて作製した固体高分子形燃料電池用電解質膜に関する。
固体高分子形燃料電池は、電池内に供給された燃料と酸化剤との反応時の化学エネルギーを電力として取り出す高効率な発電装置である。比較的低温で作動させることができるため、電気自動車用途、家庭用途、携帯機器用途等に需要が高い。固体高分子形燃料電池(以下、「燃料電池」と記載する場合がある。)は、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly, MEA)を備えるセルで構成される。MEAは、電解質膜の一方の膜面に燃料極を接合させ、他方の膜面に空気極を接合させた接合体である。燃料極と空気極とは、それぞれ少なくともガス拡散層と触媒層とを積層させた積層体である。
燃料極に水素やメタノール等の燃料が供給されると、燃料は、燃料極内のガス拡散層で拡散された後、触媒層に達する。燃料が触媒層に接触することで、プロトン(水素イオン)と電子とが生成される。生成された電子は、外部回路を通じて空気極に移動する。一方プロトンは、電解質膜内を移動して空気極へ到達する。空気極には酸化剤として、酸素や空気等の酸素含有ガスが供給される。空気極の触媒層では燃料極から移動したプロトンと酸素との反応が促進され、水が生成される。燃料電池は、上記の反応で生成される化学エネルギーを電気エネルギーとして利用する。
上記の固体高分子形燃料電池の電池特性を向上させるため、従来、電解質膜は、プロトン伝導性が良好で導電率が高いフッ素系樹脂を材料として作製される。しかし、フッ素系樹脂は、イオン交換基の結合量が増加するに従って液状化しやすい性質を持つ。そのため、プロトン伝導性の向上には限界がある。
またフッ素系樹脂は高温条件下では、プロトン伝導性を維持するため十分に加湿しなければならない。すなわちフッ素系樹脂で作製した電解質膜を用いた固体高分子形燃料電池は、高温条件下、低加湿条件下での連続稼働には適さない。電解質膜の強度向上のためフッ素系樹脂に繊維等の補強材を混合させる場合は、製造コストが上昇する。さらにフッ素系樹脂は廃棄時に特別な処理が必要なため、処理コストが高い。
フッ素系樹脂に代わる電解質膜の材料として、芳香族炭化水素系高分子樹脂が挙げられる。特にポリエーテルエーテルケトン(PolyEtherEtherKetone、PEEK)は耐熱性や化学的安定性が高いため、フッ素系樹脂と比較して燃料電池用途に適する。
特許文献1には、PEEK等を基材として、スルホン酸基等を有する機能性モノマーを結合した高分子電解質膜が開示される。特許文献1に開示される高分子電解質膜は、放射線グラフト重合法を用いて製造される。放射線グラフト重合法を用いる場合、基材の作製とイオン交換機能の付与とを別工程で行うことができる点で有利である。しかし、高温条件下かつ低加湿条件下で高性能な燃料電池を実現する為、芳香族炭化水素系高分子樹脂を用いた電解質膜のさらなるプロトン伝導性の向上が求められる。
特開2009-67844号公報
本発明の課題は、固体高分子形燃料電池を高温条件下かつ低加湿条件下で作動させることができる電解質膜を提供することである。
本発明は、無機フィラーを含有する芳香族炭化水素系高分子樹脂のグラフト鎖に、イオン交換基が結合されてなる固体高分子形燃料電池用電解質膜(以下、「電解質膜」と記載する場合がある。)である。本発明において、芳香族炭化水素系高分子樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン又はその誘導体が好ましい。本発明は、固体高分子形燃料電池用電解質膜の一方の膜面に燃料極を接合させ、他方の膜面に空気極を接合させた膜電極接合体を含む固体高分子形燃料電池を包含する。
溶融させた芳香族炭化水素系高分子樹脂に無機フィラーを分散させた後、該芳香族炭化水素系高分子樹脂を成膜させて芳香族炭化水素系高分子樹脂膜を作製する成膜工程と、該芳香族炭化水素系高分子樹脂膜に放射線を照射し、イオン交換基含有モノマーをグラフト重合させるグラフト重合工程とを含む固体高分子形燃料電池用電解質膜の製造方法を包含する。
本発明の電解質膜は、固体高分子形燃料電池を高温条件下かつ低加湿条件下で作動させることができる。
本発明の燃料電池に適用される膜電極接合体の模式図である。 本発明の燃料電池の電流−電圧特性を示す図である。 本発明の燃料電池の電圧特性を示す図である。
[固体高分子形燃料電池用電解質膜]
本発明は、基材として芳香族炭化水素系高分子樹脂を用い、該芳香族炭化水素系高分子樹脂に無機フィラーを含有させることにより、含水性を向上できる。本発明を用いる固体高分子形燃料電池(以下、「燃料電池」と記載する場合がある。)においては、高温条件下で相対湿度が比較的低い作動環境で用いられる場合も、燃料極側から供給されたプロトンを速やかに空気極側へと移動させることができる。
所定の電解質膜を用いた本発明の燃料電池の作動環境の具体例としては、温度条件80〜160℃において相対湿度20〜80%RHが挙げられる。なお本発明は、同じ温度条件で相対湿度が80%RHを超える作動環境でも燃料電池を作動させることができる。温度条件と相対湿度とは、一般的な燃料電池性能評価装置において設定される値である。
本発明において、芳香族炭化水素系高分子樹脂に結合されるイオン交換基は、グラフト鎖に結合されていればよく、グラフト鎖と主鎖とに結合されていてもよい。該グラフト鎖は放射線グラフト重合、化学的なグラフト重合(連鎖移動法、酸化法等)等により形成される。該イオン交換基が結合されるのは主にグラフト鎖であるため、イオン交換基の結合量を増加させても機械的強度は損なわれない。したがって本発明は、イオン交換基の結合量の増加と、無機フィラーの含有とにより、プロトン伝導性を向上させることができる。
[芳香族炭化水素系高分子樹脂]
本発明においては、電解質膜として使用可能な機械的強度を備える公知の芳香族炭化水素系高分子樹脂を用いることができる。好ましくは、スーパーエンジニアリングプラスチックといわれる芳香族炭化水素系高分子樹脂が用いられる。またポリエーテルエーテルケトン構造、ポリエーテルケトン構造、ポリイミド構造、ポリスルホン構造、またはポリベンゾイミダゾール構造を有するものが好ましい。
より具体的な例として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、スーパーエンプラポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)等が挙げられる。PEEKは、化学的安定性や耐強アルカリ性に優れるため、特に好ましい。
本発明に用いられる芳香族炭化水素系高分子樹脂は、2種の芳香族炭化水素系高分子樹脂を混合させて得られるポリマーアロイを包含する。該ポリマーアロイの例としては、PEEKと、他の芳香族炭化水素系高分子樹脂またはフッ素系高分子樹脂とを混合させるポリマーアロイが挙げられる。PEEKと混合させる芳香族炭化水素系高分子樹脂としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、またフッ素系高分子樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等が挙げられる。上記に例示するポリマーアロイは、イオン交換基の結合量が増加しても機械的強度を維持できる、または積極的にイオン交換基の結合量を増加できるため好ましい。一方、通常の炭化水素膜は、イオン交換基の結合量の増加に伴い、膜強度が減少して破れやすくなる。
上記に例示するポリマーアロイにおける、PEEKと混合させる芳香族炭化水素系高分子樹脂またはフッ素系高分子樹脂の含有量は、得られるポリマーアロイ100質量部に対し、0.1〜50質量部が好ましく、0.5〜40質量部がより好ましく、1〜35質量部がさらに好ましい。PEEKと混合させる芳香族炭化水素系高分子樹脂またはフッ素系高分子樹脂の含有量が0.1質量部未満の場合、そのようなポリマーアロイの機械的強度等は、PEEKを単独使用した場合と比較して有意な向上が認められない。上記含有量が50質量部を超える場合、膜の機械的強度が低下する場合がある。
[無機フィラー]
上記の芳香族炭化水素系高分子樹脂に含有させる無機フィラーとしては、得られる電解質膜の含水性を向上できるものを制限なく使用できる。そのような無機フィラーとしてはシリカが好ましい。本発明において芳香族炭化水素系高分子樹脂に含有させるシリカは、親水性シリカ、疎水性シリカのいずれでもよく、親水性シリカがより好ましい。またシリカの形状は、球状、鱗片状、針状のいずれでもよく、球状が好ましい。上記のシリカが芳香族炭化水素系高分子樹脂のミクロ相分離構造内の親水性部分に分散されることにより、本発明の含水率を向上できる。その結果、本発明の電解質膜はプロトン伝導性が良好である。
本発明において親水性シリカとは、下記に説明する疎水化処理をしていないSiO2微粒子をいう。本発明においては、市販品の親水性シリカを用いることができる。市販品の商品名としては、アエロジル(登録商標)200(株式会社日本アエロジル製)、SFP-20M(電気化学工業株式会社製)等が挙げられる。
疎水性シリカとしては、上記の親水性シリカを疎水化処理した微粒子が用いられる。疎水化処理は、疎水性化合物をコーティングさせて疎水層を形成させる処理である。コーティング方法としてはシランカップリング法等を適用できる。本発明においては市販の疎水性シリカを用いてもよい。市販品の商品名としては、アエロジル(登録商標)RX200(株式会社日本アエロジル製)等が挙げられる。上記の疎水性シリカの粒子径D50は、0.1〜12μmが好ましく、0.1〜6μmがより好ましい。
上記の親水性シリカの粒子径D50は、0.1〜12μmが好ましく、0.1〜6μmがより好ましい。粒子径D50が12μmを超える場合、芳香族炭化水素系高分子樹脂への分散性が不十分になる。上記のシリカの粒子径D50は、レーザ回折式粒子径分布測定装置により測定できる。
シリカの含有量は、芳香族炭化水素系高分子樹脂100質量部に対し、1質量部以上5質量部以下が好ましく、3質量部以上5質量部以下がより好ましい。上記の好ましい範囲内でシリカを含有させることにより、本発明の電解質膜の含水率は、同一の条件で製作されたシリカを含まない電解質膜の含水率に比べて、1〜3倍以上の値となる。
本発明の電解質膜は、PEEK等の高耐熱性の芳香族炭化水素系高分子樹脂を用いるため、温度条件25〜80℃に加え、高温条件下でも使用できる。高温条件の具体例として、本発明は、温度条件80〜160℃で使用可能であり、より好ましくは80〜120℃で使用可能である。また、所定のシリカを含有させることにより含水率が良好であるため、本発明の電解質膜は、上記に例示する温度条件下において、低加湿条件であってもプロトン伝導性が良好である。
すなわち本発明の電解質膜を用いた燃料電池は、高温条件下かつ低加湿条件下で良好に作動する。例えば相対湿度30%RH(90℃)で、本発明の電解質膜を用いた燃料電池は作動させることができる。芳香族炭化水素系高分子樹脂100質量部に対するシリカの含有量が、3質量部未満の場合は、燃料電池用途として適切な導電率を得られない。一方5質量部を超える場合は、コストが上昇する原因となる。
本発明に含有されるシリカは、電解質膜のラジカル耐性向上にも寄与する。代表的なラジカルとして塩素ラジカルが挙げられる。塩素ラジカル耐性は、電解質膜を塩素に暴露し、所定時間経過後の電解質膜の劣化状態を観察することにより評価できる。またラジカル耐性をさらに向上させる場合には、シリカに加え、タルク、二酸化マンガン、カーボンブラック、ラジカルスカベンジャー等のラジカル耐性向上機能を備える機能性の無機フィラーを芳香族炭化水素系高分子樹脂に添加してもよい。その場合、芳香族炭化水素系高分子樹脂に含有させた、シリカと上記の機能性の無機フィラーとの芳香族炭化水素系高分子樹脂100質量部に対する総含有量は、40質量部未満が好ましい。シリカ等の総含有量が40質量部以上の場合、電解質膜の総質量に対する芳香族炭化水素系高分子樹脂の質量が相対的に低くなるため、電解質膜の機械的強度が低下する。
[イオン交換基]
本発明において芳香族炭化水素系高分子樹脂に結合されるイオン交換基は、カチオン交換基とアニオン交換基とのいずれでもよく、好ましくはカチオン交換基が結合される。結合されるカチオン交換基としては、スルホン酸基(またはスルホ基)、カルボン酸基(またはカルボキシ基)、ホスホン酸基(またはホスホ基)等が挙げられ、より好ましくはスルホン酸基である。アニオン交換基としては、アンモニウム基等が結合される。
電解質膜のプロトン伝導性向上の観点からは、本発明におけるイオン交換基の含有量は多いほど好ましい。具体的には、少なくとも電解質膜のIECが1meq/g以上になるように含有させることが好ましく、2meq/g以上になるように含有させることがより好ましい。本発明においては、放射線グラフト重合法を適用してイオン交換基を芳香族炭化水素系高分子樹脂に結合させることで、上記の好ましいIECを備える電解質膜を得られる。
本発明においては、芳香族炭化水素系高分子樹脂の機械的強度を保持するため、芳香族炭化水素系高分子樹脂の疎水性部分でのイオン交換基の結合を抑制させることが好ましい。そのような観点から、本発明に用いられる芳香族炭化水素系高分子樹脂にはグラフト鎖を形成させ、該グラフト鎖にイオン交換基を結合させることが好ましい。ただし本発明は、イオン交換基を芳香族炭化水素系高分子樹脂の主鎖に結合させた構造を排除しない。
本発明のイオン交換基は主にグラフト鎖に結合させるため、グラフト率が高いほどイオン交換基を結合させることができる。したがってプロトン伝導性を向上させる観点からは、芳香族炭化水素系高分子樹脂のグラフト率が高いほど好ましい。具体的なグラフト率としては、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。グラフト率が50%未満の場合、イオン交換基の結合量が少なくなり所望のIECを得られない。なおグラフト率は、150〜200%が現実的な上限である。
上記の所定のシリカを含有する芳香族炭化水素系高分子樹脂は、本発明の電解質膜の基材として、従来公知の方法でフィルム状、シート状等に成膜されて用いられる。成膜された芳香族炭化水素系高分子樹脂の膜厚は、5〜200μmが好ましく、10〜120μmがより好ましい。5μm未満の場合、電解質膜が破断しやすくなる。200μmを超える場合、燃料電池用途に必要な導電率を得難くなる。
[固体高分子形燃料電池用電解質膜の製造方法]
本発明の固体高分子形燃料電池用電解質膜の製造方法は、溶融させた芳香族炭化水素系高分子樹脂に所定の無機フィラーを分散させた後、該芳香族炭化水素系高分子樹脂を成膜させて芳香族炭化水素系高分子樹脂膜を作製する成膜工程と、該芳香族炭化水素系高分子樹脂膜に放射線を照射し、イオン交換基含有モノマーをグラフト重合させるグラフト重合工程とを含む。本発明の電解質膜の製造方法を、無機フィラーとしてシリカを用いた例により説明する。
本発明は、芳香族炭化水素系高分子樹脂に放射線を照射する前に、該芳香族炭化水素系高分子樹脂とビニルモノマーとをグラフト重合させ、芳香族炭化水素系高分子樹脂にグラフト鎖を形成させることが好ましい。これにより芳香族炭化水素系高分子樹脂へのイオン交換基含有モノマーのグラフト率を向上できる。
[成膜工程]
本工程においては、芳香族炭化水素系高分子樹脂に所定のシリカを添加し、分散させる。シリカを均質に分散させるため、芳香族炭化水素系高分子樹脂を混練可能な粘度になるまで溶融させた状態で所定のシリカを添加し、混練することが好ましい。混練温度は、用いられる芳香族炭化水素系高分子樹脂の融点以上であればよく、例えばPEEKの場合は、350〜400℃が好ましい。
溶融させた芳香族炭化水素系高分子樹脂に、所定のシリカを添加して混練する。シリカは、本発明の作用効果を損なわない限り、1種を添加してもよく2種以上を添加してもよい。溶融させた芳香族炭化水素系高分子樹脂に添加されるシリカの添加量は、得られる電解質膜に含有されるシリカの含有量に相当する。したがって電解質膜に含有させるシリカの所望の含有量に対応する添加量のシリカを、溶融させた芳香族炭化水素系高分子樹脂に添加すればよい。
芳香族炭化水素系高分子樹脂に対するシリカの添加量は、芳香族炭化水素系高分子樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上50質量部以下が好ましく、0.5質量部以上40質量部以下がより好ましく、1質量部以上35質量部以下がさらに好ましい。2種以上のシリカを含有させる場合は、添加されるシリカの添加量の合計が上記の好ましい範囲の添加量になるようにする。具体例としては、親水性シリカと疎水性シリカとを質量比1:34〜34:1で添加できる。
シリカを添加した後、芳香族炭化水素系高分子樹脂を、シリカが均質に分散するまで混練する。上記の混練は、芳香族炭化水素系高分子樹脂が混練可能な粘度を保持できる温度として、PEEKの例では、好ましくは350〜450℃で行われる。混練装置としては、例えば2軸混練押出機(例:パーカーコーポレーション社製HK25D)を使った場合、吐出速度は2kg/hr〜8kg/hrが好ましい。混練回数は、400〜600rpmが好ましい。上記の混練条件で混練を行うことでシリカを均質に分散させることができる。
混練装置としては、2軸混練押出機等、従来公知のものを用いることができる。取扱性の観点から、混練終了後の芳香族炭化水素系高分子樹脂はペレット化することが好ましい。またペレット化させたシリカ含有芳香族炭化水素系高分子樹脂を再び溶融し、上記の混練工程を2〜10回繰り返してもよい。これによりシリカの分散性を向上できる。上記の混練工程では、架橋剤や分散剤を添加させてもよい。
混練終了後、シリカを均質に分散させた芳香族炭化水素系高分子樹脂をシート加工機を用いて成膜する。シート成型時の処理温度は、350〜450℃が好ましい。成膜させた芳香族炭化水素系高分子樹脂を急冷し、硬化させることで芳香族炭化水素系高分子樹脂膜を作製できる。急冷時の処理温度は、用いる芳香族炭化水素系高分子樹脂の硬化温度より低く、好ましくは80〜140℃である。シート加工機としては、ダイコーター、Tコーターが用いられる。
[グラフト重合工程]
本工程では、得られた芳香族炭化水素系高分子樹脂膜にイオン交換基含有モノマーをグラフト重合させる。芳香族炭化水素系高分子樹脂のグラフト鎖にイオン交換基を結合させることで、同量のイオン交換基を芳香族炭化水素系高分子樹脂の主鎖に結合させる場合と比較して、芳香族炭化水素系高分子樹脂膜の水溶性を抑制できる。これにより、芳香族炭化水素系高分子樹脂の機械的強度を損なうことなく、イオン交換基を結合させることができる。
本発明は、芳香族炭化水素系高分子樹脂膜にビニルモノマーを重合させた後、上記のイオン交換基含有モノマーをグラフト重合させることが好ましい。ビニルモノマーの重合方法としては熱グラフト重合法が好ましく、他の方法としては、放射線グラフト重合法が挙げられる。
[ビニルモノマー重合工程]
熱グラフト重合法を適用する場合、まずビニルモノマーを分散させたビニルモノマー反応液を調製する。溶媒としては、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、トルエン、ヘキサン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、イソプロピルアミン、ジエタノールアミン、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物等を例示できる。
本発明で用いられるビニルモノマーは、所定の芳香族炭化水素系高分子樹脂の主鎖にグラフト鎖を形成できるものであればよく、下記式(1)で表されるモノマーが例示される。
(上記式(1)において、Xは、H、OH、F、Cl、または炭化水素である。Rは炭化水素及びその誘導体である。)
式(1)で表されるモノマーとして、式(1)に含まれるRが、芳香環を含む炭化水素やカルボニル基やアミド基を有する炭化水素であるモノマーを例示できる。より具体的な例示としては、スチレンおよびその誘導体、アクリル酸およびその誘導体、アクリルアミド類、ビニルケトン類、アクリルニトリル類、ビニルフッ素系モノマー、またはこれらの多官能性モノマーが挙げられる。
多官能性モノマーの具体例としては、ジビニルベンゼン、ビスビニルフェニルエタン、2,4,6-トリアリルオキシ-1,3,5-トリアジン、トリアリル-1,2,4-ベンゼントリカルボキシレート、トリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、ジビニルスルホン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、フェニルアセチレン、ジフェニルアセチレン、1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、ジアリルエーテル、ブタジエン、イソブテンが挙げられる。これらの多官能性モノマーは、熱グラフト重合性が高いため好ましい。また芳香族炭化水素系高分子樹脂の主鎖に架橋構造を形成できるため、電解質膜の機械的強度を向上できる。
上記のビニルモノマー反応液に、シリカを含有する芳香族炭化水素系高分子樹脂膜を浸漬し、大気中で重合反応を行う。温度条件は、40〜100℃が好ましく、50〜80℃がより好ましい。反応時間は、0.2〜1時間が好ましい。反応終了後、グラフト鎖を形成させた芳香族炭化水素系高分子樹脂膜を不活性ガス雰囲気下で乾燥させる。上記の熱グラフト重合法によるビニルモノマー反応工程におけるビニルモノマーのグラフト率は、1〜50%である。ビニルモノマーのグラフト率は、芳香族炭化水素系高分子樹脂膜の上記反応前の乾燥時重量(W1)と同反応後の乾燥時重量(W2)とを測定して下記式(2)により求めることができる。
[イオン交換基含有モノマーグラフト重合工程]
グラフト鎖を形成させた芳香族炭化水素系高分子樹脂膜は、乾燥後、放射線を照射し、ラジカルを生成させる。基材となる芳香族炭化水素系高分子樹脂膜に、上記に例示するビニルモノマー反応工程等により、予めグラフト鎖を形成させておくことで、ラジカル生成量を向上させることができる。生成させたラジカルと、イオン交換基含有モノマーとを反応させて、芳香族炭化水素系高分子樹脂にイオン交換基を結合させる。
本発明で用いる放射線グラフト重合法の例として、前照射法と同時照射法とが挙げられる。前照射法とは、芳香族炭化水素系高分子樹脂膜に放射線を照射後、イオン交換基を含有するモノマーを反応させる方法である。同時照射法とは、芳香族炭化水素系高分子樹脂膜と、イオン交換基含有モノマーとに同時に放射線を照射して上記モノマーを反応させる方法である。本発明においては、上記のいずれの方法を適用してもよい。
さらに前照射法としてはポリマーラジカル法と、パーオキサイド法とが挙げられる。ポリマーラジカル法とは、芳香族炭化水素系高分子樹脂膜に不活性ガス雰囲気下で放射線を照射する方法である。パーオキサイド法とは、芳香族炭化水素系高分子樹脂膜に酸素存在下で放射線を照射する方法である。本発明においては、ポリマーラジカル法が好ましい。
芳香族炭化水素系高分子樹脂膜に照射する放射線の種類としては、γ線、X線、電子線、イオンビーム、紫外線等を例示できる。γ線、電子線は、ラジカル生成が容易なため好ましく用いられる。放射線照射量は、1kGy以上500kGy以下が好ましく、5kGy以上100kGy以下がより好ましく、10kGy以上60kGy以下がさらに好ましい。1kGy未満の場合、グラフト鎖の形成が不十分になる。500kGyを超える場合、芳香族炭化水素系高分子樹脂膜が破断する場合がある。
芳香族炭化水素系高分子樹脂とイオン交換基含有モノマーとの反応は、溶媒にイオン交換基含有モノマーを分散させたイオン交換基含有モノマー反応液に、芳香族炭化水素系高分子樹脂膜を浸漬させて行うことができる。これによりイオン交換基含有モノマーのホモポリマー化を抑制できる。
所定のイオン交換基含有モノマーを溶媒に分散させたイオン交換基含有モノマー反応液を調製する。上記溶媒に分散させるイオン交換基含有モノマーは1種でもよく2種以上でもよい。所定の溶媒で上記のモノマーを希釈させることにより、ホモポリマーの生成を抑制できる。
イオン交換基含有モノマーとしては、スチレンスルホン酸エチルエステル(ETSS)、ス
チレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム等が好ましい。
上記のイオン交換基含有モノマー反応液中のイオン交換基含有モノマーの濃度は、20〜80容積%が好ましく、25〜75容積%がより好ましい。溶媒としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、トルエン、ヘキサン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、イソプロピルアミン、ジエタノールアミン、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等の窒素含有化合物等を例示できる。
上記のイオン交換基含有モノマー反応液に、シリカを含有する芳香族炭化水素系高分子樹脂膜を浸漬し、空気中または不活性ガス雰囲気下で放射線グラフト重合反応を行う。反応雰囲気中の酸素濃度は、ラジカルの失活を抑制する観点から低いほど好ましく、0.01体積%以下がより好ましい。0.01体積%を超えると、ラジカルが失活しグラフト率が低くなる。不活性ガスとしては窒素、アルゴン等が用いられる。
重合時の温度条件は、40〜100℃が好ましく、50〜80℃がより好ましい。これによりホモポリマーの生成やラジカルの失活を抑制できる。反応時間は、1〜48時間が好ましく、5〜20時間がより好ましい。上記のイオン交換基含有モノマーグラフト重合工程によるイオン交換基含有モノマーのグラフト率は、50〜200%程度である。
[イオン交換基の有効化工程]
上記の放射線グラフト重合法により芳香族炭化水素系高分子樹脂に結合されたイオン交換基は、洗浄、乾燥後、従来公知の方法でイオン交換基を有効化させる。具体例としては、芳香族炭化水素系高分子樹脂膜を純水に90〜95℃で15〜24時間浸漬させて加水分解する方法等が挙げられる。これにより本発明の固体高分子形燃料電池用電解質膜を製造することができる。
本発明の製造方法により得られる電解質膜のIECは、0.2〜3.0meq/gであり、より好ましくは0.5〜3.0meq/gであり、さらに好ましくは1.0〜3.0meq/gであり、2.0〜3.0meq/gが最も好ましい。本発明の電解質膜は、芳香族炭化水素系高分子樹脂膜を基材とするため、機械的強度、耐強アルカリ性、耐薬品性に優れる。また所定のシリカを添加することで、電解質膜の含水率、ラジカル耐性、耐酸性を向上させることができる。そのため本発明の電解質膜は、高温条件下かつ低加湿条件下においても導電性が良好で、燃料電池用途に好適である。
[固体高分子形燃料電池]
本発明の燃料電池は、上記の固体高分子形燃料電池用電解質膜の一方の膜面に燃料極を接合させ、他方の膜面に空気極を接合させた膜電極接合体を含む。当該電解質膜は耐熱性と含水率に優れるため、本発明の燃料電池は高温条件下や低加湿条件下においても高導電率で作動する。
図1は、本発明の燃料電池を構成する膜電極接合体(MEA)を示す模式図である。図1において、MEA100は、固体高分子形燃料電池用電解質膜(電解質膜)300の一方の膜面に、燃料極200を接合させ、他方の膜面に空気極400を接合させた構造である。燃料極200と空気極400とは、それぞれ触媒層とガス拡散層とを接合させた構造を備える。201は燃料極200の触媒層、202は燃料極200のガス拡散層である。401は空気極400の触媒層、402は空気極400のガス拡散層である。
燃料極200の触媒層201は、電解質膜300の燃料極側の膜面に接合される。燃料極200のガス拡散層202は、上記の触媒層201の電解質膜300との接合面と反対側の面に接合される。空気極400の触媒層401は、電解質膜300の空気極側の膜面に接合される。空気極400のガス拡散層402は、触媒層401の電解質膜300との接合面と反対側の面に接合される。
燃料極200の触媒層201と空気極400との触媒層401とは、いずれも触媒を担体に担持させてなる。燃料極200の触媒層201に用いられる触媒は、燃料の酸化反応を促進する金属粒子であれば良い。好ましくは、白金、白金パラジウムが用いられる。空気極400の触媒層401に用いられる触媒は、酸素の還元反応を促進する金属粒子であれば良い。具体例としては、白金、金、コバルト等およびこれらの合金を挙げられる。好ましくは、白金が用いられる。
担体としては、カーボンブラック等が用いられる。また触媒層には公知の導電剤や撥水性材料を含有させてもよい。公知の導電剤としてはアセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。公知の撥水性材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。また触媒層の形成方法の例としては、少なくとも触媒や担体を有機溶媒に分散させた塗工液を調製し、該塗工液をスクリーン印刷法等を用いて基材に塗布し乾燥させる方法が挙げられる。上記の塗工液を用いて触媒層を形成する場合、塗工液中の触媒の濃度は、30〜70質量%が好ましい。
燃料極200のガス拡散層202と空気極400のガス拡散層402とは、いずれも従来公知の材料を用いて作製できる。具体的な材料例としては、カーボン不織布、カーボンペーパー、等が挙げられる。
MEA100の作製方法は特に限定されないが、従来公知のホットプレス法等を適用できる。ホットプレス法を適用する作製方法の例としては、燃料極200を、その触媒層201が電解質膜300の一方の膜面に隣接するように配置する。また空気極400を、その触媒層401が電解質膜300の他方の膜面に隣接するように配置する。その後、燃料極200と電解質膜300と空気極400とを、温度条件100〜250℃、加圧条件0.5〜50MPaで加圧し、一体化させることでMEA100を作製できる。
本発明の燃料電池のセルは、燃料極200と電解質膜300と空気極400とを積層させたMEA100の積層方向の両端に、集電体を配置する。燃料極側に接合される集電体と空気極側に接合される集電体とは、互いに外部回路で接続される。本発明の燃料電池のセルは、少なくとも1つのMEAを含む構成であればよく、2つ以上のMEAをセパレータを介してスタックさせた構成としてもよい。2つ以上のMEAをスタックさせる場合、集電体は、積層方向の最も外側に位置する燃料極と空気極とに接合させればよい。
本発明の燃料電池に用いられる電解質膜は、シリカを含有させたPEEK等芳香族炭化水素系高分子樹脂にイオン交換基を結合させて作製される。これにより該電解質膜の含水率とイオン交換基の結合量を向上できるためプロトン伝導性が良好である。また高耐熱性で機械的強度が高い。そのような所定の電解質膜を用いる本発明の燃料電池は、80〜100%RH(70℃)、80〜100%RH(80℃)、相対湿度20〜40%RH(90℃)、相対湿度40〜70%RH(110℃)、相対湿度50〜80%RH(120℃)のいずれの作動環境でも作動する。本発明は、高温条件下かつ低加湿条件下でも作動するため、自動車用途に好適である。また高耐久性を備える。
本発明を、実施例によりさらに説明する。ただし本発明は以下に記載する実施例に限定されない。
[電解質膜の作製]
(実施例1-4、比較例1)
(成膜工程)
混練装置内に、芳香族炭化水素系高分子樹脂としてのPEEK粉末と、親水性シリカ粉末(一次粒子径12nm、比表面積200±25m2/g)とを投入し、温度条件350℃以上でPEEK粉末を溶融させながら親水性シリカ粉末と混練した。PEEK粉末と親水性シリカ粉末との混練物における親水性シリカ粉末の含有率は5%とした。混練装置は、パーカーコーポレーション社製の2軸混練押出機(HK25D)を用いた。混練時間終了後、親水性シリカを含有させたPEEKをペレット化した。該ペレットを再び混練装置内に投入して溶融させ、さらに親水性シリカとPEEKとを混練させた。その後得られたペレットを乾燥させた。
乾燥させた親水性シリカ含有PEEKのペレットをシート加工機に投入し、温度条件400℃で加熱しながら、シート成型し成膜した。得られた親水性シリカ含有PEEK膜を、急冷し硬化させた。硬化後の親水性シリカ含有PEEK膜の膜厚は、16μmであった。
(グラフト重合工程)
得られた親水性シリカ含有PEEK膜から寸法2cm×3cmの試験片を切り出した。試験片の乾燥状態の重量を測定し、ジビニルベンゼン(DVB)モノマーとの反応前の親水性シリカ含有PEEK膜の乾燥時重量(W1)とした。実施例1においては、熱グラフト重合法により親水性シリカ含有PEEK膜にビニルモノマーを結合しグラフト鎖を形成させた後、放射線グラフト重合法により、さらにETSSモノマーを結合させた。
まずDVBモノマーを結合させるため、成分重量比1:3でDVBを1,4-ジオキサンに添加したDVB反応液を調製した。ガラス容器内で試験片とDVB反応液とを大気中、90℃で反応させ、DVBモノマーをPEEKに重合させて、PEEKにグラフト鎖を形成させた。反応終了後、試験片をアルゴン雰囲気下で1時間乾燥させた。試験片の乾燥状態の重量を測定し、DVBモノマーとの反応後の親水性シリカ含有PEEK膜の放射線照射前の乾燥時重量(W2)とした。
続いてETSSモノマーを結合させるため、乾燥後の試験片をガラス容器に入れ、アルゴン雰囲気下で30kGyのγ線を照射した。また、成分重量比1:3でスチレンスルホン酸エチルエステル(ETSS)を1,4-ジオキサンに添加したETSS反応液を調製した。上記ガラス容器内で該ETSS反応液に試験片を浸漬させた。その後、アルゴン雰囲気下、反応温度85℃で試験片とETSS反応液とを24時間反応させ、ETSSモノマーをPEEKに重合させスルホン酸基をPEEKに結合させた。反応終了後、試験片を洗浄し乾燥させた。グラフト重合工程終了後のETSSモノマーを結合させた試験片の乾燥状態の重量を測定し、グラフト重合工程終了後の重量(W3)とした。式(3)によりETSSモノマーのグラフト率を求めた。実施例1のETSSモノマーグラフト率とを表1に示す。
(イオン交換基有効化工程)
ガラス容器内で、グラフト重合工程終了後の試験片を、純水に95℃で16時間浸漬させて加水分解処理を行い、実施例1の電解質膜を得た。
PEEK粉末と親水性シリカ粉末との混練物における、親水性シリカ粉末の添加率をそれぞれ1%、3%とした他は、実施例1と同様に電解質膜を作製し実施例2、実施例3とした。
(実施例4)
成膜工程を、親水性シリカ粉末に代えて疎水性シリカ粉末(一次粒子径12nm、比表面積140±25m2/g)とPEEK粉末と混練させた他は、実施例1と同様にして行った。PEEK粉末と疎水性シリカ粉末との混練物における疎水性シリカ粉末の含有率は5%とした。その後、実施例1と同様にしてグラフト重合工程とイオン交換基有効化工程とを行って電解質膜を作製し、実施例4とした。
(比較例1)
(成膜工程)
混練装置内に、芳香族炭化水素系高分子樹脂としてのPEEK粉末を投入した。混練装置としては、パーカーコーポレーション社製の2軸混練押出機(HK25D)を用いた。混練時間終了後、PEEKをペレット化した。該ペレットを再び混練装置内に投入して溶融させ、さらに混練させた。その後得られたペレットを乾燥させた。
乾燥させたPEEKのペレットをシート加工機に投入し、温度条件380℃以上で加熱しながら、シート成型した。得られたPEEK膜を急冷し、硬化させた。硬化後のPEEK膜の膜厚は、16μmであった。
シリカを添加しないPEEK膜から寸法2cm×3cmの試験片を切り出した。該試験片について実施例1と同様にグラフト重合工程とイオン交換基有効化工程とを行い電解質膜を作製し、比較例1とした。
実施例1-4および比較例1の試験片について式(3)によりETSSモノマーグラフト率を求めた。実施例1-4および比較例1のETSSモノマーグラフト率を表1に示す。
[含水率]
室温下、水中で保存される実施例1-4と比較例1との電解質膜を取り出し、寸法2cm×3cmで切り出した。切り出した各電解質膜の表面を軽く拭き取った後、湿潤時重量(W4)を測定した。上記の湿潤状態の各電解質膜を、それぞれ95℃で1時間乾燥させ、乾燥時重量(W5)を測定した。得られた湿潤時重量(W4)と乾燥時重量(W5)とに基づき、式(4)により各電解質膜の含水率を求めた。
[導電率]
膜厚がいずれも16μmの実施例1-4および比較例1の電解質膜を、寸法2cm×3cmで切り出した。切り出した各電解質膜について、それぞれ交流インピーダンスメーターを用いて膜抵抗測定を行った。膜抵抗測定は、各電解質膜を1M硫酸水溶液で湿潤させた後、対極となる2つのPt電極(電極間距離5mm)の間に配置し、100kHzの交流電流を印加して行った。得られた膜抵抗値Rm(Ω)に基づき、式(5)により各電解質膜の導電率を求めた。式(5)において、dは電極間距離、Sは電解質膜の膜面積である。
[イオン交換容量(IEC)]
導電率測定後の実施例1-4および比較例1の電解質膜を、それぞれ0.1M硫酸水溶液に50℃で4時間以上浸漬し、プロトン型とした。さらに50℃の飽和食塩水に4時間浸漬して、H型を-SO3Na型に置換させた。上記の各電解質膜を取り出した後の飽和食塩水を0.1M NaOHで中和滴定して、置換させたプロトン(H+)を定量し、各電解質膜の酸性基濃度[n(酸性基)obs]を求めた。
グラフト重合工程終了後の電解質膜の乾燥時重量W3と、酸性基濃度[n(酸性基)obs]とを用いて、式(6)により各電解質膜のIECを求めた。
実施例1-4および比較例1についての含水率と室温での導電率とIECとの測定結果を表2に示す。
(実施例5)
[燃料電池のセルの作製]
[触媒層の作製]
燃料極を構成する触媒層を作製するため、メタノール水溶液に白金とカーボンブラックとナフィオン溶液とPTFE溶液とを分散させた塗工液を調製した。該塗工液は、触媒の濃度が50%になるように調製した。該塗工液を、スプレー法で基材に塗布し、乾燥させた。
空気極を構成する触媒層を作製するため、メタノール水溶液に白金とカーボンブラックとナフィオン溶液とPTFE溶液とを分散させた塗工液を調製した。該塗工液は、触媒の濃度が50%になるように調製した。該塗工液を、スプレー法で基材に塗布し、乾燥させた。
[ガス拡散層の作製]
PTFE溶液を分散させた塗工液を調製し、カーボンペーパーに塗布し、乾燥させた。
[MEAの作製]
寸法5cm×5cmの実施例3の電解質膜の一方の膜面に燃料極の触媒層を積層し、他方の膜面に空気極の触媒層を積層した積層体を形成した。該積層体を温度条件120℃、圧力条件1MPaでホットプレスし、燃料極の触媒層と電解質膜と空気極の触媒層とを一体化させた。ホットプレス後、各触媒層の基材を剥離させた。
燃料極と空気極との各触媒層の基材を剥離させた面に、それぞれガス拡散層を積層させた。その後、温度条件140℃、圧力条件2MPaでホットプレスし、上記の積層体の積層方向の両端にガス拡散層を一体化させた。これにより、電解質膜の一方の膜面に燃料極を備え、他方の膜面に空気極を備えるMEAを作製した。
[セパレータ等の接合]
得られたMEAの燃料極側の端面に、燃料としての水素を供給可能な流路を設けたセパレータを接合させた。空気極側の端面に、ボンベから酸素含有ガスを供給可能な流路を設けたセパレータを接合させた。該セパレータには、プロトンと酸素との反応により生成される水を排出すため為の流路も設けた。燃料極側セパレータと空気極側セパレータとには、それぞれさらに集電板と絶縁板とを配置し、固定した。得られた燃料電池のセルを実施例5とした。
寸法5cm×5cmの実施例4の電解質膜を用いて実施例5と同様の方法でMEAを作製した。このMEAを用いて実施例5と同様の方法で燃料電池セルを作製し、実施例6とした。比較例1の電解質膜を用いて実施例5と同様の方法でMEAを作製した。このMEAを用いて実施例5と同様の方法で燃料電池セルを作製し、比較例2とした。得られた実施例5、実施例6、比較例2の燃料電池のセルを用いて、それぞれの電池特性を測定した。
[電流-電圧特性]
実施例5と実施例6と比較例2との燃料電池セルを燃料電池性能評価装置にセットした。セル温度を80℃、相対湿度を100%RHとして、燃料極に水素を500cc/min、空気極に空気を2,000cc/min供給し、負荷として電流を徐々に取り出しながら、電流-電圧特性を計測した。計測結果を図2に示す。図2に示されるように、実施例5と実施例6とは本発明所定のシリカを含有させた電解質膜を用いることにより、比較例2と比較して電圧低下が抑制される。
[電圧特性]
実施例5と実施例6と比較例2との燃料電池セルを燃料電池性能評価装置にセットした。セル温度を90℃、相対湿度を30%RHとして、燃料極に水素を500cc/min、空気極に空気を2,000cc/min供給し、負荷として一定電流密度0.25A/cm2をかけながら、電流-電圧特性を計測した。計測結果を図3に示す。図3に示されるように、実施例5と実施例6とは、本発明所定のシリカを含有させた電解質膜を用いることにより、高温条件下かつ低加湿条件下でも、作動開始から少なくとも8時間、同程度の電圧を維持できる。上記の計測では実施例5は、作動開始から8時間後の電圧低下率は、8.75mV/hrであった。また実施例6の8時間後の電圧低下率は、5mV/hrであった。
100 膜電極接合体
200 燃料極
201 触媒層
202 ガス拡散層
300 固体高分子形燃料電池用電解質膜
400 空気極
401 触媒層
402 ガス拡散層

Claims (3)

  1. 無機フィラーを含有する芳香族炭化水素系高分子樹脂のグラフト鎖に、イオン交換基が結合されてなる固体高分子形燃料電池用電解質膜であって、
    前記芳香族炭化水素系高分子樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン又はその誘導体であり、
    前記無機フィラーが親水性シリカを含み、
    当該親水性シリカの粒子径D50が0.1〜12μ mであることにより、当該親水性シリカは前記芳香族炭化水素系高分子樹脂に分散され、
    作動環境が温度条件80〜160℃において相対湿度20〜80%RHである固体高分子形燃料電池用電解質膜。
  2. 請求項1に記載される固体高分子形燃料電池用電解質膜の一方の膜面に燃料極を接合させ、他方の膜面に空気極を接合させた膜電極接合体を含む固体高分子形燃料電池。
  3. 溶融させた芳香族炭化水素系高分子樹脂に無機フィラーを分散させた後、該芳香族炭化水素系高分子樹脂を成膜させて芳香族炭化水素系高分子樹脂膜を作製する成膜工程と、該芳香族炭化水素系高分子樹脂膜に放射線を照射し、イオン交換基含有モノマーをグラフト重合させるグラフト重合工程とを含み、
    前記芳香族炭化水素系高分子樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン又はその誘導体であり、
    前記無機フィラーが親水性シリカを含み、
    当該親水性シリカの粒子径D50が0.1〜12μ mであることにより、当該親水性シリカは前記芳香族炭化水素系高分子樹脂に分散され、
    作動環境が温度条件80〜160℃において相対湿度20〜80%RHである固体高分子形燃料電池用電解質膜の製造方法。
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