JP6537336B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Description
図1は本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器1の外観を示す斜視図であり、図2は、本実施の形態1における制御系の構成を示したブロック図である。
図1に示されるように、誘導加熱調理器1は、本体10と、本体10の上面を形成するトッププレート20とを備えている。
また、トッププレート20の下方であって本体10の内部には、被加熱物を誘導加熱する加熱手段である加熱コイル11a、11b、11cが配置されている。これらの加熱コイル11a、11b、11cを纏めていうときには加熱コイル11というものとする。
このように鍋21がトッププレート20に置かれることで、加熱コイル11により鍋21が誘導加熱可能な状態となり、鍋21内部に保持された調理物が温めることが可能となる。
制御手段13は、マイコンなどで構成され、記憶手段(図示せず)を内蔵している。記憶手段は、加熱制御を実行するための制御アルゴリズムが記憶されており、また、本体内部に設けられた各種センサから入力データや、後述する操作部15からの入力データが記憶される。
尚、計時手段14の機能は、制御手段13に内蔵するようにしてもよい。更に、基板ケースの設置位置については、発熱個所から遠く、冷却可能な風路の中に設けられる。特に、冷却効率の観点から、加熱コイル11よりも上流に配置するのがよい。
この冷却ファンは、本体10の下部後方の両側に設置され、本体10の外部から空気を吸入し、プリント回路基板及び加熱コイル11に冷却風を送ってこれらを冷却した後、後方に進んで本体10の後方に形成された排気口10aを介して本体10の外へ排気する。
また、図1に示されるように、本体10の下部にはグリル庫30が形成されており、肉や魚などの焼き物料理等の調理が可能となっている。
この操作部15をユーザーが操作することにより、加熱出力の調整や誘導加熱調理器1への設定などの操作・設定情報が制御手段13に入力可能となっている。なお、操作部15には、グリル庫30の操作部も含まれている。
サーミスタ16と赤外線センサ17は、トッププレート20の鍋21の置かれる部位の下方に位置する。
赤外線センサ17は、赤外線の受光部をトッププレート20の方向(上方向)に向けて設けられる。赤外線センサ17は、トッププレート20の上に置かれた鍋21から放出される赤外線を検出する。つまり、赤外線センサ17は、鍋21の底面の温度を検知する。
この様に、サーミスタ16と赤外線センサ17と信号変換手段18により、温度検知手段が構成されている。尚、温度センサは、サーミスタ16か赤外線センサ17のいずれか一方のみであってもよい。
ユーザーが、本体10の電源スイッチ(図示せず)を投入すると、制御手段13が起動する。制御手段13は、まず、内部に保有しているカウンタのクリヤや初期値設定などの初期処理を行った後、操作部15からユーザーによって設定された情報を入力する。
この入力待ち状態において、ユーザーがトッププレート20に被加熱物である鍋21を載置する。続いて、操作部15において、火力情報などを設定して調理開始スイッチを押下する。すると、操作部15から調理開始命令の信号が生成されて、制御手段13に入力される。
尚、制御手段13は、加熱動作を実行している間、記憶手段に記憶された制御アルゴリズムや、操作部15からの入力情報、温度検知手段からの入力情報に基づき、インバーター回路12の出力を制御して、加熱電力の強さ(火力)を調整する制御を行う。
具体的には、水の加熱は、水を沸騰させる湯沸かしを行う際の制御を想定している。また、油の加熱は、揚げ物を行う際の加熱制御を想定している。
図3で示すフローチャートは、加熱対象が水か油かを区別することで、湯沸かしを行う際の加熱制御と、揚げ物を行う際の加熱制御を適切に分けて行うための制御アルゴリズムを示している。
次に、ステップS1(以下、「ステップ」は省略する)において、ユーザーが操作部15を操作して、加熱電力(火力)を設定し、加熱動作を開始する。本実施の形態では、加熱電力を3000[W]に設定して、加熱動作を開始した場合で説明する。
本実施の形態では、制御温度は、第1の制御温度A=180℃、第2の制御温度B=230℃、第3の制御温度C=270℃の3つ値がセットされる(A<B<C)。
例えば、第1の制御温度Aの目安は、油の加熱動作を行う場合と比較すると、トッププレート20の鍋21が置いてある部分が、油の加熱動作を行う場合は比較的早い段階で到達する温度であるが、水の加熱動作を行う場合は到達するのにある程度の時間がかかる温度である。
この判定基準時間Tは、後述するS6において、サーミスタ16が検出したトッププレート20の温度が、第1の制御温度Aを超えるまでかかった時間と比較するものである。
判定基準時間Tの目安は、油の加熱を行った場合、サーミスタ16が検出したトッププレート20の温度が、第1の制御温度Aを超えるまでかかった時間Toよりは長い時間であり、水の加熱を行った場合、サーミスタ16が検出したトッププレート20の温度が、第1の制御温度Aを超えるまでかかった時間Twよりは短い時間である(To<T<Tw)。尚、この比較は、ほぼ同量の油と水を加熱した場合である。
図4は、少ない量の水を加熱した場合の経過時間に対応するサーミスタ16が検出したトッププレート20の温度を示す。少ない量の水とは、例えば、1人分のカップラーメンのお湯を沸かす場合や2〜3人分のコーヒーのお湯を沸かす場合など、沸かすお湯の量が500cc以下程度を想定している。
図6は、揚げ物を行う際の油を加熱した場合の経過時間に対応するサーミスタ16が検出したトッププレート20の温度を示す。この場合の油の量は、揚げ物を行うことが可能な概ね250cc以上を想定している。
これにより、水を保持している被加熱物(鍋21)の底も上昇し難くなり、この被加熱部(鍋21)に接しているトッププレート20の温度も上昇しにくくなる。従って、サーミスタ16が検出した温度は、たいていの場合、制御温度Aに達することはない。
つまり、水が沸騰する前に第1の制御温度Aとなるために、従来の制御方法の場合、水が沸騰する前に、安全のために加熱電力を低下させる(例えば、1500[W]に低下)制御が行われ、水が沸騰に至るまでの時間が長くなってしまう。
つまり、水のように油ほど高温にならない調理物の場合、加熱電力が低下してしまうことにより、調理時間が長くなるという問題がある。
これにより、従来の制御方法の場合、加熱電力を低下させる(例えば、1500[W]に低下)制御が行われる。
更に、加熱が停止されると油の温度が低下する。これに伴い、サーミスタ16が検出したトッププレート20の温度が、第3の制御温度C未満、第2の制御温度B以上になる。すると、再び加熱電力が投入され、油を温める動作が開始される。尚、第3の制御温度C未満、第2の制御温度B以上場合、加熱電力は1000[W]となる。
更に、油の温度が低下すると、これに伴い、サーミスタ16が検出したトッププレート20の温度が、第1の制御温度A未満にまで低下する。すると、更に入力される加熱電力が増加する(例えば、3000[W])。
このように制御することで、油の温度が高温になって発火に至るのを防止する。
図3を参照すると、S4において、制御手段13は計時手段14を動作させ、時間の計測を開始して、S5に移行する。
次に、S5において、制御手段13は、サーミスタ16が検出したトッププレート20の温度が制御温度Aに達したか否かを判断する。この温度が制御温度Aに達していない場合、この温度が制御温度Aに達するまでS5を繰り返す。この温度が制御温度Aに達すると、S6に移行する。
制御手段13は、加熱時間Taが判定基準時間Tより長い場合は、S7に移行してフラグ「Flg=1」をセットして記憶手段に記憶させ、S9に移行する。このように、加熱時間Taが判定基準時間Tより長くなる状況の例として、調理物が水のときにおきる。
つまり、水を加熱する場合、水の上昇可能な温度(沸点)との関係から、判定基準時間T以内に、トッププレート20の温度が第1の制御温度Aまで達することは無い。
このように、加熱時間Taが判定基準時間Tより短くなる状況の例として、揚げ物調理の際に油を加熱する場合におきる。つまり、揚げ物調理を行うことが可能な程度の量の油を加熱する場合、油は水に比べて高い温度まで達するので、水を加熱した場合に比べて、トッププレート20の温度は第1の制御温度Aまで早く到達する。
S8において、加熱電力を低下させる理由は、加熱電力を高出力で油を加熱し続けた場合、必要以上に油の温度が上がることを防止するためである。
そして、S11において、制御手段13は、加熱電力を0[W](加熱停止)又は大幅に低下させる制御を行い、S19に移行する。
S12では、制御手段13は、サーミスタ16が検出したトッププレート20の温度が、第2の制御温度B(230℃)に達したか否かを判断する。第2の制御温度Bにトッププレート20の温度が達している場合、S13に移行してフラグ「Flg=0」をセットして記憶手段に記憶させ、S14に移行する。
つまり、S14では、制御手段13は、先のS11にて加熱電力が0[W]又は大幅に低下した状態で、S14に移行してきた場合は、加熱電力を上げる制御を行うことになる。また、制御手段13は、S1及びS8や、後述するS17及びS18で加熱電力が設定された状態で、S14に移行してきた場合は、加熱電力を下げる制御を行うことになる。
これは、第1の制御温度Aと第3の制御温度Cの間に、中間となる第2の制御温度Bを設けることで、加熱電力の大幅な変更を防ぎ、調理物の温度が大幅に変動しないように、安定した加熱動作を行うためものである。
S15では制御手段13は、サーミスタ16が検出したトッププレート20の温度が、第1の制御温度A(180℃)に達したか否かを判断する。S15において、第1の制御温度Aにトッププレート20の温度が達していない場合、S18に移行する。
S18において、制御手段13は、制御手段13は、加熱電力を3000[W]に設定する制御を行い、S19に移行する。
S18における調理物の状態は、温度が低い状態と推定されることから、調理物の温度を上昇させるためのステップである。
S16において、制御手段13は、「Flg=0」である場合、S17に移行して加熱電力を1500[W]に設定して、S19に移行する。
ここで、S16において、制御手段13が「Flg=0」である場合、調理物は油であると推測した制御を行うことになる。
ここで、水の場合、トッププレート20の温度が第1の制御温度Aより高い状況であっても、特に加熱する量が多い場合は、沸騰するには至らない温度であることがある。
つまり、調理物が水である場合、制御手段13が加熱電力を高め制御することで、水の温度上昇を早くすることができ、より早く沸騰するように制御することができる。
これに加え、第1の制御温度Aまでトッププレート20の温度が上昇するのに要する時間である加熱時間Taと判定基準時間Tを比較して、調理物を判断するので、正確に調理物が油か水かを判断することができる。
実施の形態では、第1の制御温度A、第2の制御温度B、第3の制御温度Cは、一定の温度に設定されたものとして説明したが、加熱電力の大きさに応じて異なる温度を設定してもよい。
例えば、加熱電力が大きい場合は高めの温度、加熱電力が小さい場合は低めの温度に変更可能に設定すれば、よりきめ細かく温度を制御することができる。
例えば、加熱動作をスタートした時のサーミスタ16が検出する検出温度が高い場合は、第1の制御温度A、第2の制御温度B、第3の制御温度Cは高めに、加熱動作をスタートした時のサーミスタ16が検出する検出温度が低い場合は、第1の制御温度A、第2の制御温度B、第3の制御温度Cは低めに変更して加熱動作を行うとよい。
これにより、誘導加熱調理器が、外気により冷やされている場合や、前回の動作からあまり時間を空けないで暖まった状態で運転する場合などでも、より正確に実施の形態の動作を行うことができる。
また、実施の形態では、判定基準時間Tを固定したもので説明したが、この時間も1個ではなく複数設けて、加熱動作開始時のトッププレート20の温度や加熱電力の大きさによって異ならせても良い。
更に、加熱電力が0[W]の状態が、一定時間以上続いた場合は、鍋21の底温度が異常加熱されている可能性があるため、エラーにして加熱動作を完全に停止させても良い。
Claims (7)
- 被加熱物が載置されるトッププレートと、
前記トッププレートの下方に配置され、前記被加熱物を誘導加熱する加熱コイルと、
前記加熱コイルの加熱電力の大きさを設定する設定手段と、
前記加熱コイルに高周波電力を供給する高周波電源と、
時間を計測する計時手段と、
前記トッププレートの温度、又は、前記被加熱物の温度を検知する温度検知手段と、
前記高周波電源を制御して前記加熱コイルの加熱電力の大きさを制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
加熱動作を開始後、前記設定手段からの入力に基づき前記高周波電源を制御して前記加熱コイルに加熱電力を入力し、
前記計時手段を動作させて加熱開始後の経過時間の計測を開始し、
前記温度検知手段が検知した温度と比較する制御温度を設定し、
前記計時手段で計測している加熱開始から前記制御温度に達するまでに要した時間と比較する判定基準時間を設定した後、
前記制御温度に達するのに要した時間と前記判定基準時間を比較し、この比較結果と前記制御温度に基づき前記加熱電力の出力の変更又は維持を行うと共に、前記温度検知手段によって前記トッププレートの温度、又は、前記被加熱物の温度が検知されており、且つ、前記加熱電力のない状態が一定時間以上続いた場合は、前記加熱動作を完全に停止させることを特徴とする誘導加熱調理器。 - 前記制御手段は、
前記比較結果が、前記制御温度に達するのに要した時間が前記判定基準時間より短い時は、前記温度検知手段が検知した検知温度が前記制御温度を超えた場合、前記加熱手段の出力を低下させ、
前記比較結果が、前記制御温度に達するのに要した時間が前記判定基準時間より長い時は、前記温度検出手段が検知した検知温度が前記制御温度を超えた場合、前記加熱手段の出力を維持することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱調理器。 - 前記制御温度は、前記設定手段により設定される前記加熱コイルの加熱電力の大きさに応じて変更することを特徴とする請求項1または2に記載の誘導加熱調理器。
- 前記制御温度は、加熱動作開始時の前記温度検知手段の検知温度に応じて変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
- 前記制御手段は、前記温度検知手段の検知温度の変化に基づき前記被加熱物の状態を判断し、この判断に応じて前記制御温度を変更することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
- 前記制御温度は複数の値が設定され、各制御温度と前記温度検知手段の検知温度を比較して、比較した制御温度ごとに、前記加熱電力の出力の変更の大きさを異ならせることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
- 前記判定基準時間は、加熱動作開始時の前記温度検知手段の検知温度、又は、前記加熱電力の大きさに応じて変更されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
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