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JP6533759B2 - モーションセンサ、車両制御装置、車両使用者の挙動判別方法 - Google Patents

モーションセンサ、車両制御装置、車両使用者の挙動判別方法 Download PDF

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JP6533759B2 JP2016088257A JP2016088257A JP6533759B2 JP 6533759 B2 JP6533759 B2 JP 6533759B2 JP 2016088257 A JP2016088257 A JP 2016088257A JP 2016088257 A JP2016088257 A JP 2016088257A JP 6533759 B2 JP6533759 B2 JP 6533759B2
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Description

本発明は、環境に影響されずに動体の挙動の特徴を正しく検出するモーションセンサ、このモーションセンサを用いた車両制御装置及び車両使用者の挙動を判別する方法に関する。
近年の車両には、様々なアシスト機能が搭載されている。その中の一つにスマートエントリーがある。スマートエントリーは、機械的な鍵を使用せずに車両のドア・トランクの施錠・開錠、エンジンの始動をスマートキーを操作することで自動的に行う機能である。また、特許文献1には、車両のバンパー内にセンサを搭載し、車両使用者の挙動を検知してドアの自動開閉を行う装置が開示されている。特許文献1に開示された装置では、静電センサを複数使用し、各静電センサヘの車両使用者の接近による静電容量値の変化を利用し、これをドア開閉の起動条件としている。
特開平2015−21238号公報
スマートエントリーでは、スマートキーを操作する必要があるため、車両使用者が手荷物などで両手がふさがっている場合はドアを自動的に開閉することができない。特許文献1に開示されている静電センサは、構成が簡素で低価格であるが、電極間の容量を利用するため動作検知には大きな面積が必要となるし、複数の電極を利用すれば小型化は大変難しいため、価格上昇につながる。また、静電センサでは、雨や雪などの環境時では静電容量が変化してしまい、正確な信号の検出が難しいものとなる。さらに、車両使用者の接近という単純な動作の検知しか行えないので、車両使用者の意思を正しく認識しにくいという課題が残る。
また、既存のモーションセンサの中には、加速度センサや赤外線センサが使用されているものもあるが、その多くが、特許文献1に開示されている静電センサと同様、センサヘの手足の接近(位置)動作を検知するものである。接近だけでは、車両使用者にドア開閉の意思がなくとも意思ありと誤認識されてしまうことがある。このような問題を解決するために、例えばカメラと画像処理技術とを組み合わせてモーションセンサを構成することが考えられる。しかし、カメラは消費電流が大きいし、画像処理技術をセンサに搭載するにはコストがかかるという課題が残る。
本発明は、静電センサやカメラ及び画像処理技術等を用いた場合よりも小型で、環境に関わらずに様々な挙動を簡易に検出することができるモーションセンサを提供することを課題とする。
本発明の他の課題は、車両使用者の意思をより正しく判別する方法及びこの方法の実施に適した車両制御装置を提供することにある。
本発明によれば、検出エリアに存在する動体の挙動速度に応じたドップラー信号を出力するドップラーレーダを実装するための回路基板と前記回路基板を車両下部において地表面に対して所定角度で傾くように配置させるレドームと、前記動体の挙動の種類及び挙動速度を表す検知信号を出力する処理手段とを備え前記ドップラーレーダは、前記回路基板の一方の面部に設けられた第1アンテナと、前記回路基板の他方の面部に設けられた第2アンテナとを含んで構成され、前記第1アンテナは第1ドップラー信号を受信し、前記第2アンテナは第2ドップラー信号を受信するものであり前記処理手段は、前記第1ドップラー信号及び前記第2ドップラー信号を解析するとともに、その解析結果と所定条件とを比較することにより前記検知信号を生成するモーションセンサが得られる。
また、本発明によれば、上記モーションセンサと、権限情報に基づく認証を行う認証手段と、車両の所定部位を動かすためのアクチュエータと、前記認証が成功したときに前記モーションセンサの検知信号の内容に基づいて前記アクチュエータの動きを制御する制御手段とを備えてなる車両制御装置が得られる。
また、本発明によれば、車両下部の所定部位に、地表面に対してそれぞれ異なる角度の第1検出エリア及び第2検出エリアに向けて高周波信号を放射し、前記第1検出エリアにおける車両使用者の挙動速度に起因する第1ドップラー信号と前記第2検出エリアにおける前記車両使用者の挙動速度に起因する第2ドップラー信号とを受信するモーションセンサを設置し、前記モーションセンサで受信した前記第1ドップラー信号及び前記第2ドップラー信号を解析するとともに、その解析結果と所定条件とを比較することにより、前記車両使用者の挙動を判別することを特徴とする、車両使用者の挙動判別方法が得られる。
本発明のモーションセンサは、ドップラーレーダで構成されているので、センサ部分の設置面積を静電センサやカメラ等を用いた場合よりも小さくすることができる。また、雨や雪などの環境に影響されない挙動の検出が可能になる。さらに、検出エリアという空間を検知範囲とするので、挙動の角度や方向などに制限がなく、様々な挙動の検出が可能になるという効果を奏することができる。
本発明は、また、このようなモーションセンサを車両に取り付け、使用者の意思を表す所定条件を満たす挙動かどうかを判別する。そして、この判別結果に基づいてドア開閉などの制御を行うようにした。そのため、車両使用者の意思を正しく判別する方法及び車両使用者の意思を反映した車両制御装置を提供することができる。これにより、モーションセンサの需要拡大、またアシスト機能の向上による車両の多様化に貢献することができる。
本実施形態による車両制御装置の構成図。 本実施形態によるモーションセンサの構成例を示す模式図。 車両制御装置を構成する各部品の車両への取付状態の説明図。 (a)は脚の振り込み引き抜き時、(b)は脚を振り切る時の状態説明図。 モーションセンサにおいて挙動検知を行う場合のタイミングチャート。 車両制御装置の動作手順を示す説明図。 モーションセンサにおけるキック動作検知処理の手順説明図。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。図1は、本発明を適用した車両制御装置の構成図である。車両制御装置1は、例えばDSP(Digital Signal Processor)あるいはファームウェアで構成される制御装置10、モーションセンサ20、認証部30、近距離通信ユニット40及び報知部50を備えている。
モーションセンサ20は、動体の一例となる車両使用者の挙動の特徴を解析し、これに基づいて当該車両使用者の意思を検知する。そして、検知結果として検知信号を制御装置10へ出力する。近距離通信ユニット40は、車両に設けられたスマートエントリー用のアンテナユニットを通じて、車両使用者が保持するスマートキー41との間で規格に基づく近距離無線通信を行う。認証部30は、近距離通信ユニット40を通じて読み取ったスマートキー41の権限情報を用いてID認証を行い、認証結果を制御装置10へ通知する。報知部50は、制御装置10が生成した車両使用者への報知情報を出力する。具体的には、車両の所定部位に設けられた発光器51及び発音器52を駆動する。アクチュエータ60は、車両に備えられているものであり、制御装置10から出力される制御信号により駆動され、バックドア61を開閉する。
ここで、本実施形態で用いるモーションセンサ20について説明する。図2は、モーションセンサ20の構成例を示す模式図である。モーションセンサ20は、電波透過性部材で構成されたレドーム21a(その一部に配線孔21bが形成)にセンサ部品を封入して構成される。レドーム21aは、センサ部品を地表面に対して所定角度で傾くように配置させる。すなわち、レドーム21aは、車両が静止している状態で、図2の例では地表面と平行な水平方向となる車両への取付面21a1(取付可能面)と、この取付面を0度としたときに地表面に向けて約40度で傾く傾斜面21a2とを有する。ただし、角度は例示であり、車両への取付部位に応じて30度〜60度の範囲で傾斜面を定めることができる。レドーム21a内には、センサ部品を実装する回路基板22が傾斜面と平行に取り付けられている。
センサ部品は、回路基板22に実装された第1アンテナ23及び第2アンテナ24と高周波電子回路とを含む。これらのセンサ部品は、ドップラーレーダを構成する。高周波電子回路の動作電圧は電池を用いてもよいが、本実施形態では、制御装置10から配線ケーブル28と共に供給されるようにしている。
第1アンテナ23と第2アンテナ24は、回路基板22を挟んで互いに反対方向の面部に実装されており、それぞれの面部の実装面に対して垂直となる方向に検出エリアを形成する。つまり、レドーム21aを車両に取り付けた時、第1アンテナ23は、空に向かって斜め上方向、第2アンテナ24は地表面に向かって斜め下方向に、それぞれ検出エリアを形成する。各検出エリアは、アンテナビーム幅に依存する範囲であり、一定の拡がりがある。以後の説明では、第1アンテナ23が形成する検出エリアを第1検出エリアA1、第2アンテナ24が形成する検出エリアを第2検出エリアA2と呼ぶ。
高周波電子回路は、高周波部25、増幅部26、処理部27を含む。処理部27には図示しないコネクタを介して配線ケーブル28の一端部が接続される。配線ケーブル28の他端部は、レドーム21aに形成された配線孔21bを介して制御装置10に接続される。制御装置10からモーションセンサ20へは、センサ動作のON/OFFを行うための制御信号が入力される。このとき動作電圧も供給される。一方、モーションセンサ20から制御装置10へは検知信号が出力される。
高周波部25は、高周波発振器、分波器及びミキサーを備える。高周波発振器は、CW(無変調波)の高周波信号波を生成する。高周波信号波は、24GHz帯や79GHz帯のものを使用することができるが、本実施形態では、24GHz帯を使用するものとする。この高周波信号波は分波器で分波され、一方の高周波信号波は第1アンテナ23へ出力される。他方の高周波信号波は、一方の高周波信号の位相を90度変えて第2アンテナ24へ出力される。
第2アンテナ24に出力される高周波信号の位相を第1アンテナ23に対して90度変えるのは、アンテナ間の干渉を低減させるためである。高周波信号波を分配して2つの方向に検出エリア(第1検出エリアA1/第2検出エリアA2)を同時に形成することができるので、静電センサやカメラ(及び画像処理ユニット)を用いたものよりも格段に小型にすることができる。また、一つの高周波信号波を分配するだけで帯域の異なる2種類のドップラー信号を得ることができるので、価格面でも有利であり、低コストを実現することができる。なお、一つの高周波発振器の出力を2分配するのでなく、2つの高周波発振器を独立に用いてドップラー信号を得るようにしてもよい。
第1アンテナ23及び第2アンテナ24から放射された各高周波信号波は、それぞれ第1検出エリアA1及び第2検出エリアA2に存在する動体で反射し、反射信号波として第1アンテナ23及び第2アンテナ24から入力され、第1アンテナ23及び第2アンテナ24の各々に入力された反射信号波が高周波部25に取り込まれる。取り込まれた反射信号波は、ミキサーでホモダイン検波され、各アンテナ23,24に対する動体の相対速度に起因して周波数が変化するドップラー信号としてミキサーより出力される。第1アンテナ23で受信した反射信号波からは第1ドップラー信号、第2アンテナ24で受信した反射信号波からは第2ドップラー信号がミキサーより出力される。
高周波部25(ミキサー)から出力された各ドップラー信号は、増幅部26に入力される。増幅部26は、第1ドップラー信号を100Hz〜350Hzの帯域(速度で約2〜8km/h相当)で増幅する。また、第2ドップラー信号を5Hz〜20Hzの帯域(速度で約0.1〜0.5km/h相当)で増幅する。そのため、増幅部26は、増幅回路の前段に100Hz〜350Hz以外の帯域を制限する第1フィルタ6と、5Hz〜20Hz以外の帯域を制限する第2フィルタ7とを備えている。このように各ドップラー信号を帯域制限して増幅することにより、検出したい挙動の特徴(周波数(速度))のみを取り出すことができる。また、扱うドップラー信号の周波数が異なるものとなるため、ドップラー信号間の回り込みの干渉や異常発振等が無くなり、高周波電子回路の構成をより小さく集約することができる。
それぞれ帯域制限された第1ドップラー信号及び第2ドップラー信号は、処理部27に入力される。処理部27は、入力された各ドップラー信号をデジタル信号にA/D変換して信号解析を行うとともに、この信号解析結果と、図示しないメモリに保持された挙動毎に定められたパターン情報とを比較することにより、動体の挙動の種類及び挙動速度を表す信号に基づく検知信号を出力する。信号解析は公知の技術を用いることができる。検知信号は、配線ケーブル28を通じて図1に示した制御装置10へ出力される。
図3は、図1に示した車両制御装置1の各構成部品を車両に取り付けた状態を示した例示図である。モーションセンサ20は、車両使用者の脚のすね部及び脚の先の足部の動きを検出可能な部位に設置される。例えば、電波透過性部材で構成された車両のリアバンパー内に設置され、動作時に、図示のように、斜め右上に第1検出エリアA1、斜め左下に第2検出エリアA2が形成されるようにする。制御装置10及び近距離通信ユニット40は、車両後部の空きスペースに設けられる。認証部30と報知部50は、制御装置10の付近に設けられる。発光器51及び発音器52は、車両後部に設けられる。アクチュエータ60はバックドア61を自動開閉する機構である。制御装置10は、スマートキーのID認証とモーションセンサ20からの検知信号を基に車両使用者のドア開閉の意思を判断する。そして、判断した意思を発光器51及び発音器52を通じて車両使用者に伝達するとともに、アクチュエータ60を駆動してドアを開く動作を行なわせる。
本実施形態では、モーションセンサ20で検知した検知信号を、車両使用者の意思を表す信号として利用する。すなわち、動体が車両使用者の脚であり、動体の挙動の特徴あるいは種類が車両使用者の脚によるキック動作であり、挙動速度が予め定めたキック動作の速度の組み合わせパターンであるものとする。そして、検知信号がモーションセンサ20から制御装置10に入力された場合に、制御装置10が、当該検知信号により、車両使用者のバックドア61を開きたいというドア開閉の意思を表していると判断する。このことを図4及び図5を参照して説明する。
図4(a)は第1検出エリアA1、(b)は第2検出エリアA2でのキック動作の検知要領を示す図である。検知するキック動作は、一般に、車両下において、脚を振り込む、脚を振り切る、脚を引き抜く、という一連の動作となる。モーションセンサ20は、このような一連の動作を検知したときに、検知信号を出力する。図4(a)は、車両使用者が車両下において脚を振り込む様子を示す。このとき、モーションセンサ20は、第1検出エリアA1で脚(例えば、脚のすね部付近)の挙動を第1トップラー信号として検出する。脚のすね部付近は、比較的速い速度でセンサに向かって近づいていく。足部が第2検出エリアA2に入り、モーションセンサ20の付近に達すると、図4(b)に示すように、第2検出エリアA2で足部の挙動を第2ドップラー信号として検出する。このとき、足部は、停止に近い遅い速度でモーションセンサ20付近を動く。その後、振り抜く動作に移行し、足部がモーションセンサ20から離れると、第1検出エリアA1で再度、脚のすね部付近の挙動を第1ドップラー信号として検出する。このとき、脚のすね部付近は、早い速度でモーションセンサ20から遠ざかっていく。
標準的なキック動作は、人間工学的に、体の負担が少なくなるように動作(足腰に加重があまりかからないように動作)した場合、振り子運動(二足歩行)のような動作になる。モーションセンサ20は、この振り子のようなキック動作のパターンを、ドアの開閉の意思を表すキック動作を表す所定のキック動作と設定し、この所定のキック動作を検知する。すなわち、脚の足先よりもつけ根側(振り子の先端よりも支点側)の第1検出エリアA1と脚の足先付近(振り子の先端付近)の第2検出エリアA2において、脚のすね部付近と足部のそれぞれの特定の速度と速度検出時間を計測し、所定のキック動作に該当するかどうかを判別する。
図4(a),(b)の状態をタイミングチャートで示したのが図5である。第1ドップラー信号及び第2ドップラー信号は、ドップラー周波数成分と同じ連続パルスとして出力され、A/D変換される。図5において、T1は脚の振り込み時間であり、T2は脚を振り切った時間であり、T3は脚を引き抜く時間である。T4は第1ドップラー信号の信号幅である。第1ドップラー信号は検出した速度に応じてパルス幅に疎密が生じ、脚が停止すると第1ドップラー信号が有意な値を持たないもの(Lowレベル)となるが、脚が動き始めると、再び有意な値を持つもの(Highレベル)となる。この停止している間隔がT5である。T6は、第2ドップラー信号の信号幅であり、T7は検知信号のパルス幅T7である。各信号は、Highレベルでアクティブとなる。
制御装置10からの制御信号がアクティブの間、モーションセンサ20はセンサ動作を行う。車両使用者が脚を動かしてキック動作を開始する期間(脚の振り込み時間)T1では第1ドップラー信号が連続パルスとなるが、脚の速度が速くなるにつれてパルス間隔がしだいに狭くなっていく。この時点では、第2ドップラー信号は出力されない。車両使用者の脚の速度が遅くなる期間(脚を振り切った時間)T2では、第1ドップラー信号は、パルス間隔がしだいに広くなり、やがて連続パルスが出力されなくなる。そして、間隔T5をおいて、また第1ドップラー信号の連続パルスの出力が始まる。第2ドップラー信号は、停止に近い足部の遅い速度を検出しているため、パルス幅の広い連続パルスが出力される。脚が引き抜かれる期間T3では、第1ドップラー信号は速度が徐々に速くなるので、パルス間隔がしだいに狭くなるが、速度が遅くなるにつれてパルス間隔が広くなっていき、やがて出力が無くなる。このとき、第2ドップラー信号からは、連続パルスは出力されない。
処理部27からの検知信号は、上記一連の状態が後述する所定条件を満たす所定のキック動作であると認識したときにアクティブとなる。すなわち、脚の挙動の検出中はLowレベルであり、その挙動が所定のキック動作と認識した時点でHighレベルとなり、幅T7のパルスとなる。本実施形態では、T7は500msecに設定される。所定条件については、後述する。
次に、図6を参照して、車両制御装置1の動作例を説明する。車両制御装置は、まずスマートエントリーを開始する(S101)。すなわち、車両使用者がスマートキーを保持したまま車両のバックドアに近づくと、車両制御装置1は、そのスマートキーに保持された権限情報を用いたID認証を行う。ID認証ができない場合はできるまで待機する(S102:No)。ID認証に成功すると(S102:Yes)、車両制御装置1は、制御装置10からモーションセンサ20に制御信号を送信し、センサ動作をONにする(S103)。また、ID認識中かどうかを確認し、認識されている場合(S104:Yes)、モーションセンサ20にキック動作の検知処理を行わせる(S105)。
制御装置10は、モーションセンサ20からキック動作を検知したことを表す検知信号を受信するまで待機し(S106:No)、受信した場合(S106:Yes)は、車両使用者によるドア開閉の意思を認識したと判断する(S107)。そして当該意思を認識した旨を車両使用者に伝えるために、発光器51を駆動して例えばハザードランプを点滅させるとともに(S108)、発音器52を駆動して確認音を発生させる(S109)。その後、アクチュエータ60を駆動してバックドア61を自動的に開かせる(S110)。ID認識中はS105の処理に戻る(S111:Yes)。車両使用者がバックドア61を閉め、車両から離れると、スマートキーの権限情報を受信できなくなるので、S104においてIDを認識しなくなる。この場合(S104:No)、制御装置10は、制御信号をモーションセンサ20に出力してセンサ動作をOFFにして(S112)処理を終える。
ここで、モーションセンサ20が行う上記キック動作の検知処理について図7を参照して説明する。この検知処理は、処理部27が実行する。処理部27は、第1検出エリアA1において動体を検出するまで待機する(S201:No)。動体は、本例では車両使用者の脚である。処理部27は、脚を検出した場合(S201:Yes)、車両のバックドア付近に車両使用者がいると判断し、第1検出エリアA1及び第2検出エリアA2において検出した脚の速度認識を行う(S202)。その後、処理部27は、認識した速度が、以下の所定条件を満たすかどうかを判定する。
すなわち、第1検出エリアA1での速度認識が先という条件を満たすかどうかを判定する(S203)。満たす場合(S203:Yes)、第1ドップラー信号の信号幅T4、信号の間隔T5、第2ドップラー信号の信号幅T6を計測する(S204,S205,S206)。そして、T4>T6という条件を満たすかどうかを判定する(S207)。満たす場合(S207:Yes)、第1ドップラー信号の間隔T5が500ms未満という条件を満たすかどうかを判定する(S208)。満たす場合(S208:Yes)、第1ドップラー信号の信号幅T4が400msを超え且つ2000ms未満という条件を満たすかどうかを判定する(S209)。満たす場合(S209:Yes)、処理部27は、所定のキック動作が行われたことを検知し、検知信号として制御装置10へ出力する(S210)。S203,S207,S208,S209における判定において、いずれかの条件を満たさない場合(各ステップでNoの判定)、処理部27は、検知信号を出力することなく、処理を終える。
このように、本実施形態では、ドップラーレーダを用いてモーションセンサ20を構成したので、回路基板22における第1アンテナ23及び第2アンテナ24の実装面積を、静電センサの電極よりも遙かに小さくすることができる。また、ドップラーレーダは雨や雪によってドップラーシフト(周波数)が変化しないため、環境に影響されない検出が可能になる。さらに、静電センサでは、検出できる挙動の内容が限られるが、本実施形態のモーションセンサ20では、検出エリアという3次元的に広がりを有する空間を検知範囲とする。そのため、挙動の角度や方向などに制限がなく、様々な挙動の検出が可能になる。
モーションセンサ20は、高周波信号波を分配して2つの方向に検出エリア(第1検出エリア/第2検出エリア)を同時に形成する。また、一つの高周波信号波を分配するだけで帯域の異なる2種類のドップラー信号を得ている。そのため、価格面でも有利であり、低コストを実現することができる。
本実施形態のモーションセンサ20では、また、脚のすね部の動きを第1検出エリアA1で検出し、足部の動きを第2検出エリアA2で検出するために、それぞれ異なる位相又は周波数の高周波信号を放射する。そして、第1検出エリアA1からの反射信号に基づく第1ドップラー信号と第2ドップラー信号とを互いに異なる周波数で帯域制限するフィルタを備える。そのため、ドップラー信号間の回り込みの干渉や異常発振等が無くなり、高周波電子回路の構成を小さく集約することができる。また、車両使用者の脚の動きを詳細に検出することができ、当該動きが所定条件を満たすかどうかを正確に判別することができる。
モーションセンサ20では、また、第1ドップラー信号と第2ドップラー信号の受信の先後や各ドップラー信号の信号幅など、所定のキック動作と判別するための所定条件を設定しておき、それ以外は検知しないようにした。その結果、例えばすばやいキック(速度の速いキック)や非常に遅いキック(速度の遅いキック)などの特殊なキック動作は検知されない。そのため、車両使用者以外の者が車両制御を試みようとしても、それが不可能になる。所定条件は任意に設定できるので、セキュリティ性が高く、かつ、汎用性の高い検知精度を持つモーションセンサ20を実現することができる。
本実施形態では、このようなモーションセンサ20を車両の所定部位に設置して車両使用者の脚のすね部付近の挙動速度と足部の挙動速度とを検出し、これらの挙動速度が車両使用者の意思を表す所定条件を満たすことにより検知信号を出力するようにした。そのため、車両使用者の意思を表す挙動をより正しく判別する挙動判別方法を提供することができる。
本実施形態の車両制御装置1は、モーションセンサ20と、認証部30と、アクチュエータ60と、認証が成功したときにモーションセンサ20の検知信号の内容に基づいてアクチュエータ60の動きを制御する制御装置10とを備える。そしてこれにより、車両使用者の意思に反したアクチュエータ60の制御を回避するようにした。つまり車両使用者の意思を反映した車両制御が可能となる。そのため、モーションセンサ20の需要拡大、またアシスト機能の向上による車両の多様化に貢献することができる。
なお、本実施形態では、車両使用者による1回のキック動作によって当該車両使用者のドア開閉意思を検知するようにした例を説明したが、この例に限定されない。
例えばキック動作を所定時間内にN回検出することにより所定条件を満たすキック動作(第1挙動)と判別してアクチュエータ60の制御を開始するようにしてもよい。また、キック動作を所定時間内にM回検出することにより第1挙動と異なる第2挙動が生じたと判別して、上記制御をキャンセルするように制御装置10を構成してもよい。N回は例えば2回、M回は例えば3回である。
キック動作を連続して複数回行うことは、車両使用者の意思が明確でない限り、通常は行われないことである。そのため、制御装置10を上記のように構成することで、意思の誤認識やそれによるドア開閉の作動が起きにくくなり、車両使用者の意思検知の精度を高めることができる。また、キック動作を行っている途中で車両使用者の意思が変わった場合でも、更に1回のキック動作を追加するだけで当該意思をキャンセルできるので、利便性を更に向上させることができる。
本実施形態では、また、車両使用者がスマートキーを保持する場合の例について説明したが、スマートキーに代えて、携帯端末(スマートフォン)の端末認証を行なうことで本動作を行なうこともできる。
本実施形態では、車両のバックドアの自動開閉を行う場合の例について説明したが、他のドアの自動開閉を行う場合にも同様に、本発明は適用が可能である。また、アクチュエータは、必ずしもドアの開閉を行うものに限らない。
1・・・車両制御装置、10・・・制御装置、20・・・モーションセンサ、30・・・認証部、40・・・近距離通信ユニット、41・・・スマートキー、50・・・報知部、51・・・発光部、52・・・発音器、60・・・アクチュエータ、61・・・バックドア。

Claims (8)

  1. 検出エリアに存在する動体の挙動速度に応じたドップラー信号を出力するドップラーレーダを実装するための回路基板と、
    前記回路基板を車両下部において地表面に対して所定角度で傾くように配置させるレドームと、
    前記動体の挙動の種類及び挙動速度を表す検知信号を出力する処理手段とを備え、
    前記ドップラーレーダは、前記回路基板の一方の面部に設けられた第1アンテナと、前記回路基板の他方の面部に設けられた第2アンテナとを含んで構成され、
    前記第1アンテナは第1ドップラー信号を受信し、前記第2アンテナは第2ドップラー信号を受信するものであり、
    前記処理手段は、前記第1ドップラー信号及び前記第2ドップラー信号を解析するとともに、その解析結果と所定条件とを比較することにより前記検知信号を生成する、
    モーションセンサ。
  2. 前記ドップラーレーダは、前記動体の異なる部位の挙動を検出するために形成される第1検出エリア及び第2検出エリアに向けて、それぞれ異なる位相又は周波数の高周波信号を放射するとともに、前記第1検出エリアからの反射信号に基づくドップラー信号を前記第1ドップラー信号、前記第2検出エリアからの反射信号に基づくドップラー信号を前記第2ドップラー信号としてそれぞれ出力するものである、
    請求項1に記載のモーションセンサ。
  3. 前記第1ドップラー信号と前記第2ドップラー信号とを互いに異なる周波数で帯域制限するフィルタを備える、
    請求項2に記載のモーションセンサ。
  4. 前記フィルタは、
    前記第1ドップラー信号を100〜350Hzの帯域に制限する第1フィルタと、
    前記第2ドップラー信号を5〜20Hzの帯域に制限する第2フィルタとを含んで構成される、
    請求項3に記載のモーションセンサ。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のモーションセンサと、
    権限情報に基づく認証を行う認証手段と、
    車両の所定部位を動かすためのアクチュエータと、
    前記認証が成功したときに前記モーションセンサの検知信号の内容に基づいて前記アクチュエータの動きを制御する制御手段と、
    を備えてなる車両制御装置。
  6. 前記制御手段は、前記モーションセンサから前記動体の第1挙動を表す検知信号を受信することにより前記車両のドアの開閉用のアクチュエータの制御を開始し、
    前記第1挙動と異なる第2挙動を表す検知信号を受信することにより前記制御をキャンセルする、
    請求項5に記載の車両制御装置。
  7. 前記モーションセンサは、キック動作を所定時間内にN回検出することにより前記検知信号を出力し、前記キック動作を所定時間内にM回検出することにより前記第2挙動を表す検知信号を出力する、
    請求項6に記載の車両制御装置。
  8. 車両下部の所定部位に、地表面に対してそれぞれ異なる角度の第1検出エリア及び第2検出エリアに向けて高周波信号を放射し、前記第1検出エリアにおける車両使用者の挙動速度に起因する第1ドップラー信号と前記第2検出エリアにおける前記車両使用者の挙動速度に起因する第2ドップラー信号とを受信するモーションセンサを設置し、
    前記モーションセンサで受信した前記第1ドップラー信号及び前記第2ドップラー信号を解析するとともに、その解析結果と所定条件とを比較することにより、前記車両使用者の挙動を判別することを特徴とする、車両使用者の挙動判別方法。
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