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JP6531491B2 - 二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、電池要素をフィルム外装体に収容した二次電池に関し、特に、ガスが発生した場合であってもそのガスを所定の位置から確実に排出することができ、かつ、電池要素の変形をも防止可能な安全機構を備える二次電池に関する。
近年、電子機器や自動車等の電源として用いられる電池には、小型化および軽量化が強く要求されており、電池の外装体に関しても、従来の金属缶に代わり、ラミネートフィルムを使用するものが多くなってきている。ラミネートフィルムとしては、金属薄膜としてアルミニウムを、熱融着性樹脂フィルムとして電池外側表面にナイロン(登録商標)やポリエチレンテレフタレートを、内側表面にポリエチレンやポリプロピレンを用いたものなどが一般的である。フィルム外装電池は、このようなラミネートフィルムからなる外装体(「フィルム外装体」ともいう)の内部に、電池要素を電解質とともに収納したものである。
一方、二次電池においては、過充電や高温下で電解液が電気分解または加熱分解されることで内部にガスが発生し、これにより、外装体の内圧が上昇することがある。二次電池の安全性を確保するために、従来、様々な安全装置が提案されている。例えばフィルム外装体のシール部に優先的に破断する弱シール部を設け、これが安全弁として機能するようなものが従来公知である。
また、特許文献1には、外装フィルムの内面に針状部材が設けられた電池が開示されている。この電池によれば、ガス発生時に外装体が所定以上に膨張すると、針状部材によってフィルムが穿孔され、その孔から内部のガスを外部に排出することができる。
する恐れがある。
特開2010−238482号
二次電池においては上述のように、何らかの異常によりガスが多量に発生した場合であっても、ガスを排出できるようになっていることが、安全性の観点から好ましい。しかしながら、弱シール部が設けられた構成や、針状部材で穿孔を行う構成のいずれの場合も、安全機構が機能するのは、基本的には、フィルム外装体が著しく膨張変形した後である。そのため、ガスが放出される前に、フィルム外装体の変形によって積層体(電池要素)が変形し、短絡が生じる可能性がある。
本願発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、ガスが発生した場合であってもそのガスを所定の位置から確実に排出することができ、かつ、電池要素の変形をも防止可能な安全機構を備える二次電池を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の一形態に係る電池は、次のとおりである:
正極、負極、およびセパレータを含む電池要素と、
前記電池要素を収容するフィルム外装体と、
前記フィルム外装体に当接して該フィルム外装体を穿孔することができる切断部が形成され、前記電池要素に直接的または間接的に固定された補強部材と、
を備える二次電池。
(用語の説明)
・「間接的に固定された」とは、一方の部材が他方の部材に、何らかの中間部材を介在させた状態で、固定されることを意味する。
・「フィルム外装電池」とは、電池要素を電解質とともにフィルム外装体に収容した電池のことをいい、一般的には、全体として偏平な形状をしている。例えば電動車両用の電池では、容量が大きいこと、内部抵抗が低いこと、放熱性が高いこと等が要求されるところ、フィルム外装電池はこれらの点で有利である。
・「フィルム外装体」とは、可撓性を有するフィルムで構成され電池要素を収容する外装体のことをいい、2枚のフィルムを対向配置して互いに融着することにより電池要素を密閉するものであってもよいし、1枚のフィルムを折り返して対向した面どうしを融着することにより電池要素を密閉するものであってもよい。
本発明によれば、ガスが発生した場合であってもそのガスを所定の位置から確実に排出することができ、かつ、電池要素の変形をも防止可能な安全機構を備える提供できる。
フィルム外装電池の基本的構造を示す斜視図である。 フィルム外装電池の基本的構造を示す分解斜視図である。 図1の電池の断面を模式的に示す断面図である。 本発明の一形態に係るフィルム外装電池の構成を模式的に示す平面図である。 本発明の一形態に係るフィルム外装電池の構成を模式的に示す断面図である。 ガス発生で膨張した状態を模式的に示す断面図である。 切断部の例を示す図である。 第2の実施形態に係るフィルム外装電池の断面図である。 他の形態に係るフィルム外装電池の平面図である。 さらに他の形態に係るフィルム外装電池の平面図である。 別の形態に係るフィルム外装電池の平面図である。 さらに別の形態に係るフィルム外装電池の平面図である。
1.フィルム外装電池の基本的な構成
フィルム外装電池の基本的な構成について、図1〜図3を参照して説明する。後述するように、本発明の一形態に係る電池は、フィルム外装体内に切断部を有する補強部材が配置されていることを特徴の1つとする。ただし、説明の都合上、図1〜図3ではそれらの図示は省略している。以下では電池要素が積層型のフィルム外装電池を例に挙げて説明するが、本発明自体は、必ずしも積層型の電池に限らず捲回型などの電池にも適用しうる。
本発明の一形態に係るフィルム外装電池1は、電池要素20と、それを電解質と一緒に収容するフィルム外装体10と、正極タブ51および負極タブ52(以下、これらを単に「電極タブ」ともいう)とを備えている。
電池要素20は、複数の正極30と複数の負極40とがセパレータ25を間に挟んで交互に積層されたものである。正極30は、金属箔31の両面に電極材料32が塗布されており、負極40も、同様に、金属箔41の両面に電極材料42が塗布されている。電池要素20の全体的な外形は、特に限定されるものではないが、この例では偏平な略直方体である。
正極30および負極40は、それぞれ、外周の一部に部分的に突出した延長部を有している。正極30の延長部と負極40の延長部とは、正極および負極を積層したときに互いに干渉しないように位置をずらして互い違いに配置されている。すべての負極の延長部は一つに集められて負極タブ52と接続され、同様に、正極の関しても、すべての正極の延長部が一つに集められて正極タブ51と接続される(図2、図3参照)。このように延長部どうし積層方向に1つに集められた部分は「集電部」などとも呼ばれる。集電部と電極タブとの接続は、抵抗溶接、超音波溶接、レーザー溶接、カシメ、導電性接着剤による接着等を採用することができる。
電極タブとしては種々の材質を採用しうるが、一例として、正極タブ51がアルミニウムまたはアルミニウム合金で、負極タブ52が銅またはニッケルである。負極タブ52の材質が銅の場合、表面にニッケルが配置されていてもよい。各電極タブ51、52は、電池要素20に電気的に接続されるとともにフィルム外装体10の外部に引き出されている。
2.各部の構成
電池要素の各要素に関しては、具体的には以下のようなものを採用してもよい。
<セパレータ>
セパレータとしては、例えば、アラミド、ポリイミド、ポリエステル、セルロース、ポリエチレンやポリプロプレンなどのポリオレフィン系樹脂を用いることができる。ポリオレフィン系樹脂を電子線照射または架橋剤の添加によって架橋して融点を高めたものを用いてもよい。また、織布、不織布、または微多孔膜等のいずれの構造であっても構わない。
セパレータとして、セラミックやガラスなどの無機材料からなるセパレータを使用することもできる。無機セパレータとしては、アルミナ、アルミナ−シリカ、チタン酸カリウム等のセラミック短繊維からなる不織布セパレータを用いることができる。または、織物、不織布、紙または多孔質のフィルムからなる基材と耐熱性含窒素芳香族重合体およびセラミック粉末を含む層とからなるセパレータであってもよい。または、表面の一部に耐熱層が設けられており、この耐熱層が、セラミック粉末を含有する多孔質薄膜層、耐熱性樹脂の多孔質薄膜層、またはセラミック粉末と耐熱性樹脂の複合体からなる多孔質薄膜層セパレータであってもよい。または、セラミック物質の1次粒子の一部が焼結もしくは溶解再結晶結合されてなる2次粒子がバインダーによって結合されてなる多孔膜の層を備えるセパレータであってよい。または、セラミックス物質とバインダーが結合して形成される多孔性膜を含み、セラミックス物質として、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニウム酸化物(ZrO)、チタン酸化物(TiO)、シリコン(Si)の窒化物、アルミニウム(Al)の水酸化物、ジルコニウム(Zr)のアルコキシド化物、チタン(Ti)のケトン化合物を用いたセパレータであってもよい。または、ポリマー基材と、このポリマー基材に形成されたAl、MgO、TiO、Al(OH)、Mg(OH)、Ti(OH)のセラミック含有コーティング層を含むセパレータなどであってもよい。
<負極>
負極は、金属箔で形成される負極集電体と、負極集電体の両面に塗工された負極活物質層とを有する。負極活物質層は負極用結着材によって負極集電体を覆うように結着される。負極集電体は、負極端子と接続する延長部を有して形成され、この延長部には負極活物質は塗工されない。
本実施形態における負極活物質は、特に制限されるものではなく、例えば、リチウムイオンを吸蔵、放出し得る炭素材料、リチウムと合金可能な金属、およびリチウムイオンを吸蔵、放出し得る金属酸化物等が挙げられる。
炭素材料としては、例えば、炭素、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、カーボンナノチューブ、またはこれらの複合物等が挙げられる。ここで、結晶性の高い炭素は、電気伝導性が高く、銅などの金属からなる負極集電体との接着性および電圧平坦性が優れている。一方、結晶性の低い非晶質炭素は、体積膨張が比較的小さいため、負極全体の体積膨張を緩和する効果が高く、かつ結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する劣化が起きにくい。
金属や金属酸化物を含有する負極は、エネルギー密度を向上でき、電池の単位重量あたり、あるいは単位体積あたりの容量を増やすことができる点で好ましい。
金属としては、例えば、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La、またはこれらの2種以上の合金等が挙げられる。また、これらの金属又は合金は2種以上混合して用いてもよい。また、これらの金属又は合金は1種以上の非金属元素を含んでもよい。
金属酸化物としては、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化リチウム、またはこれらの複合物等が挙げられる。本実施形態では、負極活物質として酸化スズ若しくは酸化シリコンを含むことが好ましく、酸化シリコンを含むことがより好ましい。これは、酸化シリコンは、比較的安定で他の化合物との反応を引き起こしにくいからである。また、金属酸化物に、窒素、ホウ素およびイオウの中から選ばれる一種または二種以上の元素を、例えば0.1〜5質量%添加することもできる。こうすることで、金属酸化物の電気伝導性を向上させることができる。
また、負極活物質は、単独の材料を用いずに、複数の材料を混合して用いることもできる。例えば、黒鉛と非晶質炭素のように、同種の材料同士を混合しても良いし、黒鉛とシリコンのように、異種の材料を混合しても構わない。
負極用結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリル酸等を用いることができる。中でも、結着性が強いことから、ポリイミドまたはポリアミドイミドが好ましい。使用する負極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、負極活物質100質量部に対して、0.5〜25質量部が好ましい。
負極集電体としては、電気化学的な安定性から、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、クロム、銅、銀、およびそれらの合金が好ましい。その形状としては、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。
<正極>
正極は、金属箔で形成される正極集電体32と、正極集電体の両面に塗工された正極活物質とを有する。正極活物質は正極用結着剤によって正極集電体を覆うように結着される。正極集電体は、正極端子と接続する延長部を有して形成され、この延長部には正極活物質は塗工されない。
正極活物質としては、リチウムを吸蔵放出し得る材料であれば特に限定されないが、高エネルギー密度化の観点からは、高容量の化合物を含むことが好ましい。高容量の化合物としては、リチウム酸ニッケル(LiNiO)またはリチウム酸ニッケルのNiの一部を他の金属元素で置換したリチウムニッケル複合酸化物が挙げられ、下式(A)で表される層状リチウムニッケル複合酸化物が好ましい。
LiNi(1−x) (A)
(但し、0≦x<1、0<y≦1.2、MはCo、Al、Mn、Fe、Ti及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。)
高容量の観点では、Niの含有量が高いこと、即ち式(A)において、xが0.5未満が好ましく、さらに0.4以下が好ましい。このような化合物としては、例えば、LiαNiβCoγMnδ(0<α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.7、γ≦0.2)、LiαNiβCoγAlδ(0<α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.7、γ≦0.2)などが挙げられ、特に、LiNiβCoγMnδ(0.75≦β≦0.85、0.05≦γ≦0.15、0.10≦δ≦0.20)が挙げられる。より具体的には、例えば、LiNi0.8Co0.05Mn0.15、LiNi0.8Co0.1Mn0.1、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNi0.8Co0.1Al0.1等を好ましく用いることができる。
また、熱安定性の観点では、Niの含有量が0.5を超えないこと、即ち、式(A)において、xが0.5以上であることも好ましい。また特定の遷移金属が半数を超えないことも好ましい。このような化合物としては、LiαNiβCoγMnδ(0<α≦1.2、β+γ+δ=1、0.2≦β≦0.5、0.1≦γ≦0.4、0.1≦δ≦0.4)が挙げられる。より具体的には、LiNi0.4Co0.3Mn0.3(NCM433と略記)、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.5Co0.2Mn0.3(NCM523と略記)、LiNi0.5Co0.3Mn0.2(NCM532と略記)など(但し、これらの化合物においてそれぞれの遷移金属の含有量が10%程度変動したものも含む)を挙げることができる。
また、式(A)で表される化合物を2種以上混合して使用してもよく、例えば、NCM532またはNCM523とNCM433とを9:1〜1:9の範囲(典型的な例として、2:1)で混合して使用することも好ましい。さらに、式(A)においてNiの含有量が高い材料(xが0.4以下)と、Niの含有量が0.5を超えない材料(xが0.5以上、例えばNCM433)とを混合することで、高容量で熱安定性の高い電池を構成することもできる。
上記以外にも正極活物質として、例えば、LiMnO、LiMn(0<x<2)、LiMnO、LiMn1.5Ni0.5(0<x<2)等の層状構造またはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム;LiCoOまたはこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えたもの;これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの;及びLiFePOなどのオリビン構造を有するもの等が挙げられる。さらに、これらの金属酸化物をAl、Fe、P、Ti、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La等により一部置換した材料も使用することができる。上記に記載した正極活物質はいずれも、1種を単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
また、ラジカル材料等を正極活物質として用いることも可能である。
正極用結着剤としては、負極用結着剤と同様のものと用いることができる。使用する正極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、正極活物質100質量部に対して、0.5〜15質量部が好ましい。
正極集電体としては、負極集電体と同様のものを用いることができる。
正極活物質の塗工層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子が挙げられる。
<電解質>
電解質は、リチウム塩(支持塩)と、この支持塩を溶解する非水溶媒を含む非水電解液を用いることができる。
非水溶媒としては、炭酸エステル(鎖状又は環状カーボネート)、カルボン酸エステル(鎖状又は環状カルボン酸エステル)、リン酸エステル等の非プロトン性有機溶媒を用いることができる。
炭酸エステル溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類;プロピレンカーボネート誘導体が挙げられる。
カルボン酸エステル溶媒としては、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
これらの中でも、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(MEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の炭酸エステル(環状または鎖状カーボネート類)が好ましい。
リン酸エステルとしては、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル等が挙げられる。
また、非水電解液に含有できる溶媒としては、その他にも、例えば、エチレンサルファイト(ES)、プロパンスルトン(PS)、ブタンスルトン(BS)、Dioxathiolane−2,2−dioxide(DD)、スルホレン、3−メチルスルホレン、スルホラン(SL)、無水コハク酸(SUCAH)、無水プロピオン酸、無水酢酸、無水マレイン酸、ジアリルカーボネート(DAC)、2,5−ジオキサヘキサンニ酸ジメチル、2,5−ジオキサヘキサンニ酸ジメチル、フラン、2,5−ジメチルフラン、ジフェニルジサルファイド(DPS)、ジメトキシエタン(DME)、ジメトキシメタン(DMM)、ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン、クロロエチレンカーボネート、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、ジエチルエーテル、フェニルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)、テトラヒドロピラン(THP)、1,4−ジオキサン(DIOX)、1,3−ジオキソラン(DOL)、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、メチルジフルオロアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、メチルフォルメイト、エチルフォルメイト、エチルブチレート、イソプロピルブチレート、メチルイソブチレート、メチルシアノアセテート、ビニルアセテート、ジフェニルジスルフィド、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、アジポニトリル、バレロニトリル、グルタロニトリル、マロノニトリル、スクシノニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、イソブチロニトリル、ビフェニル、チオフェン、メチルエチルケトン、フルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、カーボネート電解液、グライム、エーテル、アセトニトリル、プロピオンニトリル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)イオン液体、ホスファゼン、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、又は、これらの化合物の一部の水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられる。
支持塩としては、LiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO等の通常のリチウムイオン電池に使用可能なリチウム塩を用いることができる。支持塩は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
非水溶媒は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
<フィルム外装体>
外装体のフィルムとしては、表面層、金属層、および内面層を有するラミネートフィルムを用いることができる。金属層としてアルミニウムを、表面層としてはナイロン(登録商標)やポリエチレンテレフタレートを、内面層にポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を用いたものであってもよい。内面層は、融点95〜140℃のポリエチレンや、融点160〜165℃のポリプロピレンであってもよい。
本実施形態では、図1〜図3に示すように、フィルム外装体10は2枚のフィルム10−1、10−2を対向配置して構成されるものであってもよい。図示しないが、1枚のフィルムを折り返してフィルム外装体を構成してもよい。フィルム外装体10の輪郭形状は特に限定されるものではないが、四角形であってもよく、この例では具体的には長方形となっている。
フィルム10−1、10−2は、電池要素20の周囲で互いに熱融着されて接合されており、フィルム外装体10の周縁部が熱融着部15となっている。熱融着部15は電池の全周にわたって形成されている。
この例では、熱融着部15のうち短辺側の一辺から、正極タブ51および負極タブ52が引き出されている。当然ながら、異なる二辺以上から電極タブがそれぞれ引き出されていてもよい。正極タブ51および負極タブ52は平行であることが一形態において好ましいが、本発明はこれに限定されない。また、図2、図3のように、一方のフィルム10−1にカップ部が形成されるとともに他方のフィルム10−2にはカップ部が形成されていない構成としてもよい。あるいは、両方のフィルムにカップ部を形成する構成(不図示)としてもよいし、両方ともカップ部を形成しない構成(不図示)としてもよい。
<補強部材>
本実施形態のフィルム外装電池1は、図4A、図4Bに示すように、フィルム外装体10の内部に配置された補強部材65を有している。補強部材は、種々の態様とすることができ、別の例については他の図面を参照して後述するものとするが、先ずは、図4A、図4Bの態様について説明する。なお、以下では各部の符号を省略して説明を行うこともある。
補強部材65は、一例でプレート状の部材である。この例では、補強部材65は電池要素20の幅方向に配置されている。補強部材65は、電池要素20の幅よりも長く形成されており、その両端部は、電池要素20よりも外側に突出している。各端部には切断部66a、66bが形成されている。切断部は図5(a)に示すような傾斜した2辺から構成される山形の切断刃としてもよいし、図5(b)に示すようなストレートな辺と傾斜した辺から構成される切断刃としてもよい。切断部の形状は、外装フィルムを穿刺できるものであればどのようなものであってもよく、様々な形状の突出部として形成してもよい。
補強部材の材質としては、金属材料、セラミックス材料、または樹脂材料を用いることができる。電池要素の最外層である負極に補強部材が接する場合、補強部材として用いる金属材料は、負極電位においてイオン化しないステンレス、銅、チタン、ニッケル等が好ましい。また、金属材料を用いた補強部材を電解液に対して絶縁性のものとして構成することも好ましく、例えば、金属材料を絶縁性材料で被覆したものとしてもよい。
補強部材は、電池要素の変形を防止する部材としての役割も果たす。したがって、十分な剛性を有するものであることが好ましい。プレート状の補強部材の場合、その厚みは、一例として、0.1mm以上2.0mm未満であることが好ましく、0.2mm以上1.0mm未満であることがより好ましい。補強部材は、プレート状ではなく、凹凸の断面形状を有するものであってもよい。
補強部材の長さは、電池要素の一辺よりも長く、補強部材が電池要素の縦方向または横方向の全体にわたって固定されるようなものであることが好ましいが、必ずしもそれに限定されない。これについては他の図面も参照して後述するものとする。図4Aのような補強部材形状の場合、その幅寸法は、一例として、1.0mm以上であることが好ましく、2.0mm以上であることがより好ましい。
補強部材は、電池要素に固定されている。固定の方式としては、特に限定されるものではないが、接着剤による接着、テープなどの固定部材による固定、溶接、カシメ、ネジ等を利用することができる。図4Bに模式的に示すように、補強部材65の外側の面(図示上面)は、フィルム外装体10の内面には接合されていない。
(作用)
このように構成された本実施形態のフィルム外装電池1では、異常時にフィルム外装体10内でガスが大量に発生すると、まず、図4Cに示すようにフィルム外装体10が膨張する。この際のフィルム外装体10の内部空間の幅方向の長さ(図の横方向の長さ)は、初期長よりも短くなる。膨張によるこのような変形により、外装フィルムの内面が補強部材65の切断部66a、66bに押し付けられることととなり、これにより外装フィルムが穿孔されてガス排出孔が形成される。そして、内部のガスがこのガス排出孔を通じて外部に排出され、フィルム外装体10の内圧が開放される。
本実施形態の構成では、特に、補強部材65が電池要素20よりも長く形成されているため、図4Cのようにフィルム外装体10が膨張した場合であっても、外装フィルムは先ず補強部材65に当接する。したがって、外装フィルムから電池要素20に対して矢印方向の力が加わることはなく、よって、電池要素20の変形およびそれに起因した短絡の発生等も防止される。
以上、本発明の一形態について説明したが、上記実施形態においては各部の構成、形状が種々変更されてもよい。例えば、補強部材65は、両端を切断部とするのではなく、一方のみを切断部として他方は非切断部(一例で、矩形形状の端部)としてもよい。
(第2の実施形態)
図6に示すように、補強部材65の端部がフィルム外装体10の一部に挟まれるような配置としてもよい。この例では、補強部材65の両端の切断部66a、66bが、熱融着部15の内側の偏平部14において、2枚の外装フィルム10−1、10−2に挟まれた状態となっている。偏平部14では外装フィルムどうしは熱融着されておらず、したがって、ガス発生時には、フィルム外装体10は上記実施形態同様に膨張することとなる(図4C参照)。
このような構成によれば、切断部66a、66bの部分がフィルム外装体10の一部に挟持されているので、使用時や搬送時に電池に衝撃が加わる等した場合であっても、意図せず切断部によって外装フィルムが穿孔されてしまうことを防止することが可能となる。
図6の偏平部14は、外装体内に電解液を注入した後の真空引きプロセスの際に形成されるものであってもよいし、別途、プレス加工などを行って形成されるものであってもよい。偏平部14は、一例で、熱融着部15に隣接する内側領域に形成される。偏平部14は、切断部66a、66bを挟む部分のみに部分的に形成されるものであってもよいし(不図示)、図7に模式的に示すように、フィルム外装体の全周に形成されるものであってもよい。図6では、切断部66a、66bおよびその近傍を偏平部14で挟み込むような構成となっているが、切断部66a、66bの一部のみを挟み込むような構成であっても構わない。
(第3の実施形態)
電池要素に固定される補強部材65の本数や向き、または、形状等は種々変更可能である。例えば、図7に示すように、フィルム外装電池は、電池要素20に固定された2本の補強部材65−1、65−2を有するものであってもよい。この例では、2本の補強部材65−1、65−2が、所定の間隔をあけて、略平行に配置されている。各補強部材65−1、65−2の長さ、厚み、端部形状、材質等は、同一であってもよいし異なっていてもよい。当然ながら3本以上の補強部材が配置されていてもよい。
また、図8に示すように、異なる向きで、それぞれ1本または複数本の補強部材が配置されていてもよい。図8(a)では、電池要素の幅方向に配置された第1の補強部材65と、電池要素の縦方向(長手方向)に配置された第2の補強部材67とを有している。図8(b)では、さらに、第1の補強部材65が2本配置された構成となっている。
(その他の形態)
(1)補強部材は、必ずしも電池要素の一辺全体にわたって固定されるものでなくてもよい。例えば、図9(a)の補強部材68のように、電池要素の幅の一部のみ(例えば幅寸法の50%以上、75%以上、または90%以上)に固定され、一端が切断部68aとして突出するような構成としてもよい。当然ながら、補強部材は縦方向に配置されていてもよい。
(2)また、図9(b)に示すように、上記のような構成の補強部材68−1、68−2を互いに反対方向に配置して、それぞれの切断部68a、68aが電池要素20の両側で突出するような配置としてもよい。補強部材は3本以上であってもよい。幅方向に配置された補強部材で説明したが、このような態様で補強部材が縦方向(長手方向)に配置されていてもよい。
(3)上記実施形態では、細長いプレート状の補強部材を1本または複数本配置した構成としたが、より面積の広い部材を補強部材として利用してもよい。図10の例では、電池要素20の全面を覆うような補強部材69が、電池要素20に固定されている。補強部材69は、この例では、電池要素20の外周の3辺に切断部69a、69b、69cを有している。切断部は、各辺において、図示するように複数形成されていてもよい。当然ながら3辺全てではなく少なくとも1辺のみに切断部を設けてもよい。
以上、複数の実施形態として本発明に係るフィルム外装電池について説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、所定の実施形態の特徴部を他の実施形態の構成と組み合わせてもよい。
(付記)
本出願は、以下の発明を開示する:
1.正極、負極、およびセパレータを含む電池要素(20)と、
上記電池要素を収容するフィルム外装体(10)と、
上記フィルム外装体に当接して該フィルム外装体を穿孔することができる切断部(66)が形成され、上記電池要素に直接的または間接的に固定された補強部材(65)と、
を備える二次電池。
このような構成によれば、ガス発生に伴ってフィルム外装体が膨張した際に、外装フィルムの内面が補強部材の切断部に押し付けられることととなり、これにより外装フィルムが穿孔され、ガスの排出を行うことができる。また、補強部材によって電池要素の変形も防止することができる。
2.上記補強部材(65)は、フィルム外装体に当接する複数の切断部(66a、66b、69等)を有している、上記記載の二次電池。
3.上記補強部材(65−1、65−2)を複数備える、上記記載の二次電池。
4.上記電池要素(20)の輪郭形状が四角形であり、
上記補強部材(65)は、上記電池要素の縦方向または横方向の一辺の全体にわたって固定されている、上記記載の二次電池。
5.上記補強部材は、両端部に上記切断部(66a、66b)が形成されている、上記記載の二次電池。
6.上記フィルム外装体(10)は、
上記補強部材の切断部(66)を少なくとも部分的に挟み込む偏平部(14)を有している、上記記載の二次電池。
7.上記切断部(66)は、
ガスの発生により上記フィルム外装体が膨張して変形した場合に、該フィルム外装体を穿孔する、上記記載の二次電池。
8.上記補強部材(65)は、上記フィルム外装体の内面には固定されていない、上記記載の二次電池。このような構成によれば、フィルム外装体が補強部材によって拘束されることなく膨張するので、補強部材の切断部で良好にフィルム外装体を裂開することができる。
なお、上記付記の記載において、括弧内の符号は本発明を何ら限定するものではない。
本発明の一形態に係る二次電池は、例えば、電源を必要とするあらゆる産業分野に利用可能である。一例として、携帯電話、ノートパソコンなどのモバイル機器の電源として利用でき;電気自動車、ハイブリッドカー、電動バイク、電動アシスト自転車などの電動車両の電源として利用でき;電車や衛星や潜水艦などの移動用輸送用媒体の電源として利用でき;電力を貯める蓄電システムとして利用できる。
1 フィルム外装電池
10 フィルム外装体
14 偏平部
15 熱融着部
20 電池要素
25 セパレータ
30 正極
40 負極
65、67、68、69 補強部材
66、66a、66b 切断部

Claims (8)

  1. 正極、負極、およびセパレータを含む電池要素と、
    前記電池要素を収容するフィルム外装体と、
    前記フィルム外装体に当接して該フィルム外装体を穿孔することができる切断部が形成され、前記電池要素に直接的または間接的に固定された補強部材と、
    を備える二次電池。
  2. 前記補強部材は、フィルム外装体に当接する複数の切断部を有している、請求項1に記載の二次電池。
  3. 前記補強部材を複数備える、請求項1または2に記載の二次電池。
  4. 前記電池要素の輪郭形状が四角形であり、
    前記補強部材は、前記電池要素の縦方向または横方向の一辺の全体にわたって固定されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の二次電池。
  5. 前記補強部材は、両端部に前記切断部が形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の二次電池。
  6. 前記フィルム外装体は、
    前記補強部材の切断部を少なくとも部分的に挟み込む偏平部を有している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の二次電池。
  7. 前記切断部は、
    ガスの発生により前記フィルム外装体が膨張して変形した場合に、該フィルム外装体を穿孔する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の二次電池。
  8. 前記補強部材は、前記フィルム外装体の内面には固定されていない、請求項1〜7のいずれか一項に記載の二次電池。
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