(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る撮像装置のブロック図である。撮像装置は、CPU1、制御部2、垂直走査部3、画素部4、列回路5、水平走査部6、信号出力部7を備える。CPU1は、撮像装置を制御し、制御部2はCPU1からの同期信号、通信を受けて動作する。画素部4は、行列状に配置された(n+1)行(m+1)列の複数の画素P(0、0)〜P(m、n)を備える。なお、本明細書において、行方向とは図面における水平方向を示し、列方向とは図面において垂直方向を示すものとする。一部の画素はOB(オプティカル・ブラック)画素として遮光されても良い。垂直走査部(走査部)3は制御部2からの制御信号を受けて、画素部4の読取走査を行う。列回路5は増幅回路およびサンプル・ホールド回路を備え、画素部4からの信号を増幅および保持する。水平走査部6はシフトレジスタを備え、列回路5に保持された信号を順に走査および出力する。信号出力部7は差動増幅器またはバッファアンプを備え、制御部2からの制御信号を受けて、水平走査部6からの信号を出力する。
図2は本実施形態に係る画素の回路図である。図2(a)において、画素P(m、n)は画素部4のn行m列に配される画素を表している。画素Pは例えばNチャネルMOSから構成され得るが、PチャネルMOSを用いて構成しても良い。画素Pは光電変換素子であるフォトダイオード(以下、「PD」と記す)、フローティングディフュージョン(以下、「FD」と記す)、転送MOSトランジスタM1、リセットMOSトランジスタM2、増幅MOSトランジスタM3、選択MOSトランジスタM4を備える。PDは、光電変換を行い、入射光に応じた電荷を蓄積する光電変換素子である。転送MOSトランジスタM1はPDからの電荷をFDに転送する。FDは、転送MOSトランジスタM1を介して転送された電荷を保持する。リセットMOSトランジスタM2はFDの電圧を所定の電圧にリセットする。増幅MOSトランジスタM3はFDの電位に応じた信号を、選択MOSトランジスタM4を介して垂直出力線Vline(m)に出力する。リセットMOSトランジスタM2および増幅MOSトランジスタM3のドレインは画素電源VCCに電気的に接続される。増幅MOSトランジスタM3のソースは、転送MOSトランジスタM4、垂直出力線Vline(m)を介して不図示の電流源に電気的に接続されており、ソースフォロワ回路として動作する。すなわち、増幅MOSトランジスタM3は、ゲート端子に接続されたFDの電位に応じた信号を出力することができる。
信号線PTX(n)はn行目の転送MOSトランジスタM1を制御する信号線であり、転送MOSトランジスタM1のゲートに電気的に接続される。信号線PRES(n)はn行目のリセットMOSトランジスタM2を制御する信号線であり、リセットMOSトランジスタM2のゲートに電気的に接続される。信号線PSEL(n)はn行目の選択MOSトランジスタM4を制御する信号線であり、選択MOSトランジスタM4のゲートに電気的に接続される。
図2(b)は画素Pの変形例の回路図を表している。図2(b)における画素P(m、n)の構成について、図2(a)の画素Pとの相違点を説明する。図2(a)の画素Pは選択MOSトランジスタM4を有するが、図2(b)の画素Pは選択MOSトランジスタM4を用いずに構成されている。リセットMOSトランジスタM2と増幅MOSトランジスタM3のドレインには信号線VCCが電気的に接続され、信号線VCCは制御部2からの制御パルスに応じて電圧を変えることができる不図示の電源電圧に接続されている。増幅MOSトランジスタM3のソースは垂直出力線Vline(m)に直接接続されており、信号線VCCの電圧に応じて増幅MOSトランジスタの動作が制御される。例えば、信号線VCCがローレベルになると、増幅MOSトランジスタM3はオフとなり、増幅MOSトランジスタM3から垂直出力線Vline(m)に信号が出力されなくなる。
図2(c)は画素Pの他の変形例の回路図を表している。図2(c)における画素P(m、n)の構成例について、図2(b)の画素Pとの相違点を説明する。リセットMOSトランジスタM2のドレインは信号線VRES(n)に電気的に接続されており、信号線VRES(n)は制御部2からの制御パルスに応じて電圧を変更可能な不図示の電源電圧に接続されている。図2(c)においては、リセットMOSトランジスタM2、増幅MOSトランジスタM3のそれぞれのドレインの電圧を個別に変更でき、それぞれのトランジスタを別々に制御できる。
図2(a)〜(c)で示した画素Pにおいて、FDには1対の光電変換素子PDと転送MOSトランジスタM1が接続されているが、2対あるいは4対などの複数対の光電変換素子PDと転送MOSトランジスタが接続されていてもよい。以下、図2(a)の画素Pを備えた撮像装置ついて詳述する。
図3は垂直走査部3のブロック図である。本実施形態に係る垂直走査部3はPDのリセット動作を用いた電子的な先幕制御を行うことが可能である。垂直走査部3はアドレスデコーダ部31と各行に対応して設けられた行駆動部320〜32nとを備える。アドレスデコーダ部31は制御部2で生成されたアドレス信号vaddrをaddr_bit(0)〜(n)にデコードする。行駆動部320は、第1セットリセット部3201、第2セットリセット部(セットリセット部)3202、デコードビット保持部3203、画素パルス生成部3204、レベルシフト部3205を含む。なお、信号rd_latch_en、rd_reset、sh_latch_en、sh_reset、mode_sel、rd_gate、sh_gate、psel、pres_rd、pres_sh、ptx_rd、ptx_shは制御部2において生成される。これらの信号は行駆動部320〜32nに共通して用いられる。
アドレスデコード部31はアドレス信号vaddrをデコードビット(アドレスデコード信号)addr_bit(0)〜addr_bit(n)に行毎に順次デコードする。これにより、信号rd_latch_enをデコードビットaddr_bitに同期してローレベル、ハイレベルに遷移させ、デコードビット保持部3203を順次セットできる。
第1セットリセット部3201はAND回路を備え、読み取り走査用デコードビットの1次保持回路3203aのセットおよびリセットを行う。第1セットリセット部3201のAND回路の一方の入力端子にはデコードビットvadd_bit(0)が入力され、他方の入力端子には信号rd_latch_enが入力される。従って、デコードビットaddr_bit(0)と信号rd_latch_enとの論理積の信号がAND回路から出力される。
第2セットリセット部3202はAND回路3202a、セレクタ3202b、3202cを含み、シャッタ走査用デコードビット(シャッタ走査信号)の1次保持回路3203cのセット、リセットを行う。AND回路3202aの一方の入力端子にはデコードビットaddr_bit(0)が入力され、他方の入力端子には信号sh_latch_enが入力される。AND回路3202aからの信号はセレクタ3202bの第1入力端子、セレクタ3202cの第2入力端子にそれぞれ入力される。セレクタ3202bの第2入力端子とセレクタ3202cの第1入力端子には信号sh_resetが入力される。また、セレクタ3202b、3202cのそれぞれの選択制御端子にはモード選択用の信号mode_selが入力される。セレクタ3202b、3202cは信号mode_selに応じて第1入力端子、第2入力端子のいずれかの信号を選択的に出力する。セレクタ3202bの出力端子からの信号はデコードビット保持部3203の1次保持回路3203cのセット端子Sに入力され、セレクタ3202cの出力端子からの信号は1次保持回路3203cのリセット端子Rに入力される。
第2セットリセット部3202は、一括リセット信号と順次セット信号とを入れ替えるセレクタ3202b、3202cを有している点において、第1セットリセット部3201と異なる。信号mode_selがローレベルになると第2セットリセット部3202は第1セットリセット部3201と同様に一括リセットおよび順次セットの動作モードを実行する。すなわち、信号mode_selがローレベルになると、セレクタ3202bからはアドレスデコードビットaddr_bit(0)と信号sh_latch_enとの論理積が1次保持回路3203cのセット端子Sに入力される。また、セレクタ3202cからは信号sh_resetが1次保持回路3203cのリセット端子Rに入力される。従って、一括リセット時においては、信号sh_resetを用いてデコードビット保持部3203におけるシャッタ走査用デコードビットのリセットが行われる。また、信号sh_latch_enとアドレスデコードビットaddr_bit(0)の論理積がシャッタ走査用デコードビットとしてデコードビット保持部3203にセットされる。
信号mode_selがハイレベルになると、第2セットリセット部3202は一括セットおよび順次リセットの動作モードを実行する。すなわち、セレクタ3202bからは信号sh_reset(セット信号)がシャッタ走査用デコードビットとして1次保持回路3203cのセット端子Sに入力される。また、セレクタ3202cからはアドレスデコードビットaddr_bit(0)と信号sh_latch_enとの論理積が1次保持回路3203cのリセット端子Rに入力される。このようにして、全ての行のデコードビット保持部3203において、信号sh_resetをシャッタ走査用デコードビットとして一括してセットすることができる。また、信号sh_latch_enとアドレスデコードビットaddr_bit(0)の論理積を用いて、デコードビット保持部3203のシャッタ走査用デコードビットが順次リセットされる。
デコードビット保持部3203は1次保持回路3203a、3203c、2次保持回路3203b、3203dを含む。1次保持回路3203a、2次保持回路3203bは読み出し走査用のデコードビット保持回路として機能する。1次保持回路3203c、2次保持回路3203dはシャッタ走査用デコードビット保持回路(保持部)として機能する。1次保持回路3203a、3203cは、一例としてSRラッチ回路から構成されている。2次保持回路3203b、3203dは同期用の保持回路であって、一例としてDラッチ回路から構成されている。2次保持回路3203bのデータ端子Dには1次保持回路3203aからの信号が入力され、ゲート端子Gには信号rd_gateが入力される。2次保持回路3203bは、信号rd_gateがハイレベルになると、入力端子Dの信号を出力する。また、2次保持回路3203dのデータ端子Dには1次保持回路3203cからの信号が入力され、ゲート端子Gには信号sh_gateが入力される。2次保持回路3203dは、信号sh_gateがハイレベルになると、データ端子Dの信号を出力端子Qから出力する。このようにして、信号rd_gateあるいはsh_gateに応じて、各行の保持回路で保持したシャッタ走査用デコードビットを同期化、すなわち、同時にセットすることができる。
画素パルス生成部(信号生成部)3204はデコードビット保持部3203の出力と信号psel、pres_rd、pres_sh、ptx_rd、ptx_shとの組み合わせ論理回路で構成される。すなわち、画素パルス生成部3204は、AND回路3204a、3204d、3204e、3204f、OR回路3204b、3204c、3204gを含む。AND回路3204aは2次保持回路3203bからの読み出し走査用デコードビットと信号pselとの論理積を画素選択のための駆動信号PSEL(0)として出力する。OR回路3204bは2次保持回路3203bからの読み出し用走査デコードビットの出力の反転値と信号pres_rdとの論理和をAND回路3204fに入力する。OR回路3204cは2次保持回路3203dからのシャッタ走査用デコードビットの反転値と信号pres_shとの論理和をAND回路3204fに入力する。AND回路3204fはこれらの入力の論理積をFDリセットのための信号PRES(0)として出力する。AND回路3204dは2次保持回路3203bからのシャッタ走査用デコードビットと信号ptx_rdとの論理積をOR回路3204gに入力する。AND回路3204eは2次保持回路3203dからのシャッタ走査用デコードビットと信号ptx_shとの論理積をOR回路3204gに入力する。OR回路3204gはこれらの入力の論理和を電荷転送のための信号PTX(0)として出力する。
レベルシフト部(信号生成部)3205は画素パルス生成部3204からの信号PSEL(0)、PRES(0)、PTX(0)の電圧を画素PのMOSトランジスタの駆動に適した電圧に変換する。このようにしてレベルシフトされた信号は、駆動信号PSEL(0)、PRES(0)、PTX(0)として行アドレス「0」の各画素Pに供給される。
図4は、本実施形態に係る撮像装置の静止画撮像時の駆動方法を表すタイミングチャートである。図4に示す駆動方法は、撮像装置のPDの光電変換による電荷蓄積時間の制御を、PDのリセット動作を用いた電子的な先幕制御と、メカシャッタによる後幕制御によって行う。時刻t0においてカメラのシャッタボタンが押下されると、時刻t1において垂直走査部3は画素部4の全てのPDに蓄積された電荷を排出(リセット)する。その後、時刻t2からt4において、垂直走査部3は行毎にPDのリセット状態を順次解除する。時刻t3から後幕であるメカシャッタが走行し、時刻t5においてメカシャッタが閉じる。このとき、PDのリセット解除走査の曲線と、メカシャッタ走行位置の曲線とを一致させることによって、行列状に配置された全てのPDの電荷蓄積時間を一定とすることができる。そして、時刻t6からt7において、PDに蓄積された電荷の読み出しが行われる。この駆動方法では、全行のPDを同時にリセット状態にし、その後、行毎に順次リセット解除が行われる。
図5は、本実施形態に係る撮像装置の駆動方法のタイミングチャートである。このタイミングチャートは、図4に示された駆動方法における垂直走査部3および画素部4の動作の一例を示している。図5におけるタイミングチャートにおいて図4と同一時刻については同一の符号が付されている。以下、図3、図5を参照しながら、垂直走査部3および画素部4の動作を説明する。
時刻t0〜t4においては、PDの電子的なリセット動作を用いた先幕制御が行われる。
時刻t0において、カメラのシャッタボタンが押下されると、CPU1は制御部2に対して、フォトダイオードの電子的なリセット動作を用いた先幕制御開始の命令を送信する。制御部2は命令を受けると時刻t10においてモード選択用の信号mode_selをハイレベルにするとともに、アドレス信号vaddrを「0」にし、信号ptx_shをハイレベルにする。
時刻t11において、制御部2は信号sh_resetをハイレベルにする。このとき、モード選択用の信号mode_selはハイレベルである。このため、第2セットリセット部3202のセレクタ3202bからはハイレベルの信号sh_resetが1次保持回路3203cのセット端子Sに入力される。第2セットリセット部3202のセレクタ3202bは信号sh_resetを一括セットの信号としてデコードビット保持部3203のセットを行う。また、セレクタ3202cからはアドレス信号addr_bit(0)と信号sh_latch_enとの論理積であるローレベルの信号が1保持回路3203cのリセット端子Rに入力される。
ハイレベルの信号sh_resetがシャッタ走査用デコードビットとして1次保持回路3203cのセット端子Sに入力されると、1次保持回路3203cはハイレベルを保持し、出力端子Qをハイレベルとする。このとき、行駆動部321〜32nにおいても同様の動作が行われ、1次保持回路3203c〜32n3cにおけるシャッタ走査用デコードビットはハイレベルを保持する。すなわち、すべての行の1次保持回路3203c〜32n3cにおいてシャッタ走査用デコードビットが一括してセットされる。
次に時刻t1前後において、制御部2はリセット信号sh_gateをハイレベル、ローレベルと遷移させる。すると垂直走査部3において、2次保持回路3203d〜32n3dが、1次保持回路3203c〜32n3cからのハイレベルのシャッタ走査用デコードビットを保持し、出力端子Qに出力する。このとき、画素パルス生成部3204において、AND回路3204eはハイレベルの信号ptx_shと2次保持回路3203dからのハイレベルのシャッタ走査用デコードビットとの論理積であるハイレベルを出力する。AND回路3204dはローレベルの信号ptx_rdと2次保持回路3203bからのローレベルの読み出し走査用デコードビットの論理積であるローレベルを出力する。OR回路3204gはこれらの論理積の論理和を出力し、信号PTX(0)をハイレベルとする。他の行駆動部321〜32nにおいても同様の動作が行われ、駆動信号PTX(0)〜PTX(n)が同時にハイレベルに遷移する。
また、信号pres_rd、pres_shはハイレベルであることから、AND回路3204fの論理積はハイレベルとなり、駆動信号PRES(0)〜PRES(n)がハイレベルとなる。これにより、画素PにおいてリセットMOSトランジスタM2が導通状態となり、FDの電位がVCCの電位に応じて初期化される。同時に、駆動信号PTX(0)〜PTX(n)もハイレベルとなることで、画素Pの転送MOSトランジスタM1が導通状態となり、PDに蓄積された電荷が排出され、PDがリセット状態となる。このようにして、画素部4の全行の画素Pを一括してリセットすることができる。その後、制御部2は信号sh_resetをローレベルにする。
次に、時刻t12前後において、制御部2は信号sh_latch_enをハイレベル、ローレベルと遷移させる。時刻t10よりアドレス信号vaddrは「0」となっているので、時刻t12において、アドレスデコードビットddr_bit(0)はハイレベルであり、他のアドレスデコードビットaddr_bit(1)〜addr_bit(n)はローレベルである。信号mode_selはハイレベルであるので、セレクタ3202cはアドレスデコードビットaddr_bit(0)と信号sh_latch_enとの論理積を、1次保持回路3203cのリセット端子Rに入力する。すなわち、アドレスデコードビットaddr_bit(0)に基づき、1次保持回路3203cにおけるシャッタ走査用デコードビットが順次リセットされる。アドレスデコードビットaddr_bit(0)、信号sh_latch_enはハイレベルであることから、AND回路3202aの論理積はハイレベルとなる。セレクタ3202cは、シャッタ走査用デコードビットの1次保持回路3203cのリセット端子Rをハイレベルとする。すると、1次保持回路3203cに保持されていたハイレベルのシャッタ走査用デコードビットはリセットされ、出力端子Qはローレベルとなる。一方、時刻t12において他のアドレスデコードビットaddr_bit(1)〜addr_bit(n)はローレベルであるので、行駆動部321〜32nの1次保持回路3203cはハイレベルのシャッタ走査用デコードビットを保持し続けている。
次に、時刻t2前後において、制御部2は信号sh_gateをハイレベル、ローレベルと遷移させる。すると、すべての行駆動部320〜32nのデコードビット保持部3203において、2次保持回路3203dが1次保持回路3203cからのシャッタ走査用デコードビットを取り込む。このとき、行駆動部320の1次保持回路3203cにおけるシャッタ走査用デコードビットのみがローレベルにリセットされている。他の行駆動部321〜32nの1次保持回路3203cはハイレベルのシャッタ走査用デコードを保持している。このため、行駆動部320の2次保持回路3203dはローレベルのシャッタ走査用デコードビットを出力し、行駆動部321〜32nの2次保持回路3203dはハイレベルのシャッタ走査用デコードビットを出力し続ける。その結果、駆動信号PTX(0)はローレベルに遷移し、画素P(0、0)〜P(m、0)の転送MOSトランジスタM1が非導通状態となり、PDのリセット状態が解除される。一方、駆動信号PTX(1)〜PTX(n)はハイレベルを保持し続け、画素P(0、1)〜P(m、n)はPDのリセット状態を維持する。その後、制御部2はアドレス信号vaddrを「1」とする。
時刻t13以降において、時刻t12〜t2と同様の動作が行われる。時刻t2より、アドレス信号vaddrは「1」となっている。このため、アドレスデコード部31のアドレスデコードビットaddr_bit(1)がハイレベルを出力する点において、時刻t13以降の動作は時刻t12の動作と異なる。時刻t13においては、行駆動部321の1次保持回路3203cのシャッタ走査用デコードビットがローレベルにリセットされ、駆動信号PTX(1)がローレベルに遷移する。この結果、画素P(0、1)〜P(m、1)のPDのリセット状態が解除される。
以降、時刻t4において駆動信号PTX(n)がローレベルに遷移するまで、同様の動作が繰り返される。以上により、PDの電子的なリセット動作が完了し、制御部2は信号mode_selをローレベルにするとともに、信号ptx_shをローレベルにする。
続いて、時刻t6以降の画素信号の読み出し動作について説明する。時刻t6において、CPU1は制御部2に垂直同期信号VDと水平同期信号HDを入力する。制御部2は水平同期信号HDをトリガとして信号rd_resetをハイレベル、ローレベルと遷移させる。第1セットリセット部3201はハイレベルの信号rd_resetを1次保持回路3203aのリセット端子Rに入力する。1次保持回路3203aにおける読み出し走査用デコードビットはリセットされ、出力端子Qがローレベルとなる。このとき、行駆動部321〜32nにおいても同様の動作が行われ、1次保持回路3203aにおける読み出し走査用デコードビットのすべてがリセットされる。
次に、制御部2は垂直同期信号VDをトリガとしてアドレス信号vaddrを「0」にセットし、その後、信号rd_latch_enをハイレベル、ローレベルと遷移させる。このとき、アドレスデコードビットaddr_bit(0)はハイレベルであり、他のアドレスデコードビットaddr_bit(1)〜addr_bit(n)はローレベルである。アドレスデコードビットaddr_bit(0)、信号rd_latch_enはともにハイレベルである。よって、AND回路3201aはハイレベルの論理積を読み出し走査用デコードビットとして1次保持回路3203aのセット端子Sに入力する。すると、1次保持回路3203aは読み出し走査用デコードビットをハイレベルに保持し、出力端子Qをハイレベルとする。このとき、他のアドレスデコードビットaddr_bit(1)〜addr_bit(n)はローレベルであるので、行駆動部321〜32nの1次保持回路323aは読出し走査用デコードビットをローレベルに維持している。
次に時刻t60a前後において、制御部2は信号rd_gateをハイレベル、ローレベルと遷移させる。すると、全てのデコードビット保持部3203の読み出し走査用デコードビット2次保持回路3203bが、1次保持回路3203aの出力を取り込む。このとき、行駆動部320の読み出し走査用デコードビットの1次保持回路3203aのみがハイレベルを保持し、他の行駆動部321〜32nの1次保持回路3203aはローレベルにリセットされている。このため、行駆動部320の2次保持回路3203bはハイレベルの読み出し走査用デコードビットを出力し、行駆動部321〜32nの2次保持回路3203bはローレベルの読み出し走査用デコードビットを出力し続ける。また、時刻t60aにおいて、制御部2は信号pselをハイレベルに遷移させる。2次保持回路3203bがハイレベルの読み出し走査用デコードビットを出力しているので、駆動信号PSEL(0)はハイレベルとなる。よって、画素P(0、0)〜P(m、0)の選択MOSトランジスタM4が導通状態となり、行アドレス「0」の画素が選択状態となる。
次に時刻t60b前後において、制御部2は信号pres_rdをローレベルに遷移させ、続いて、信号ptx_rdをハイレベル、ローレベルと遷移させる。このとき、2次保持回路3203bがハイレベルの読み出し走査用デコードビットを出力している。このため、駆動信号PRES(0)がローレベルに遷移すし、駆動信号PTX(0)がハイレベル、ローレベルと遷移する。駆動信号PRES(0)がローレベルになると画素P(0、0)〜P(m、0)のリセットMOSトランジスタM2が非導通状態となり、FDの状態は保持される。このとき、画素信号はまだFDに転送されていないので、増幅MOSトランジスタM3と不図示の定電流源とがソースフォロワとして動作する。これにより、FDおよび増幅MOSトランジスタM3に起因するノイズ信号(N信号)が、垂直線Vline(0)〜(m)に現れる。そして、駆動信号PTX(0)がハイレベルになると画素P(0、0)〜P(m、0)の転送MOSトランジスタM1が導通状態となり、PDで生成および蓄積された電荷がFDに転送される。駆動信号PTX(0)がローレベルとなり、転送MOSSトランジスタM1が非導通状態となることで、PDに蓄積された電荷のFDへの転送が完了する。その後、増幅MOSトランジスタM3と不図示の定電流源とがソースフォロワとして動作し、FDに保持された電荷に応じた画素信号(S信号)が垂直線Vline(0)〜(m)に出力される。
列回路5は、垂直出力線Vline(0)〜(m)の信号が安定したタイミングでサンプリングを行い、その後、制御部2は信号pres_rdをハイレベルに遷移させ、信号pselをローレベルに遷移させる。駆動信号PRES(0)はハイレベルに遷移し、画素P(0、0)〜P(m、0)のリセットMOSトランジスタM2が導通状態となりFDがリセット状態になる。そして、駆動信号PSEL(0)がローレベルに遷移し、選択MOSトランジスタM4が非導通状態となり、行アドレス「0」の画素が非選択状態となり、この行の読み出しが完了する。
一方、CPU1は時刻t61において、水平同期信号HDを制御部2に入力する。制御部2は水平同期信号HDをトリガとして、信号rd_reset、vaddr、rd_latch_enを順次駆動する。垂直走査部3は行アドレス「0」の選択動作と同様に、行アドレス「1」の選択動作を開始する。
そして、時刻t61aにおいて、制御部2は信号rd_gate、pselを駆動し、行アドレス「1」の画素の読み出しを開始する。
以降、同様の動作を行アドレス「n」まで繰り返し、全画素の画素信号の読み出しを完了する。
なお、一括セットに使用した信号sh_resetは1ビットの信号であるが、複数ビットの信号であっても良い。複数ビットの信号sh_resetを複数本に分割し、全行アドレスのデコードビットに対し、複数ビット毎に順次一括セットしても良い。また、シャッタ走査用デコードビットの順次リセットは、1行毎に限定されず、複数行毎でも良い。
本実施形態によれば、アドレスデコードビットに基づかずに、第2セットリセット部3202によって1次保持回路におけるシャッタ走査用デコードビットを一括してハイレベルにセットできる。このため、PDのリセット動作を用いた電子的な先幕制御におけるレリーズタイムラグを小さくすることが可能となる。
また、順次リセット動作がアドレスデコーダ部で行アドレスを指定しつつ行われるため、任意の行アドレスの順次リセットを行うことができる。これにより、PDのリセット動作を用いた電子的な先幕制御において、所望のクロップ領域のみをリセット解除することが可能となる。
さらに、信号sh_resetの線を複数本に分割することにより、一括して駆動する回路数が少なくなるため、一括セット時の瞬時電流を小さくできるという効果が得られる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る撮像装置を説明する。
本実施形態に係る撮像装置の構成は、図2で説明した第1実施形態の構成と比べて垂直走査部3の構成において異なる。図6は本実施形態に係る垂直走査部3のブロック図である。
垂直走査部3はアドレスデコーダ部31と行駆動部320〜32nとを備える。行駆動部320は、第1セットリセット部3201、第2セットリセット部3202、第3セットリセット部3206と、デコードビット保持部3203、画素パルス生成部3204、レベルシフト部3205とを含む。アドレスデコーダ部31は第1実施形態と同様に構成されている。本実施形態の行駆動部320〜32nはシャッタ走査用のデコードビット保持部3203、当該保持部の第2セットリセット部3202、第3セットリセット部3206の構成において、第1実施形態の構成と異なる。従って、デコードビット保持部3203、第2セットリセット部3202、第3セットリセット部3206の構成を中心に説明する。
第2セットリセット部3202はAND回路を備え、シャッタ走査用デコードビットの1次保持回路3203cのセットおよびリセットを行う。すなわち、アドレスデコードビットaddr_bit(0)および信号sh_latch_enの論理積はシャッタ走査用デコードビットの1次保持回路3203cのセット端子Sに入力される。また、信号sh_resetは1次保持回路3203cのリセット端子Rに入力される。
デコードビット保持部3203は1次保持回路3203a、3203c、2次保持回路3203b、3203dを備える。1次保持回路3203a、3203cは一例としてSRラッチ回路から構成され、2次保持回路3203b、3203dは一例としてDラッチ回路から構成されている。1次保持回路3203a、2次保持回路3203bは読み取り走査用デコードビットの保持回路として機能する。また、シャッタ走査用デコードビットの1次保持回路3203bと2次保持回路(保持部)3203dの間には第3セットリセット部3206が設けられている。
第3セットリセット部3206はOR回路3206a、セレクタ3206bを備える。OR回路3206aには信号sh_set_all、信号sh_testinが入力され、これらの信号の論理和はセレクタ3206bの第1入力端子に入力される。セレクタ3026bの第2入力端子には、1次保持回路3203cの出力端子Qからのシャッタ走査用デコードビットが入力される。セレクタ3206bは信号mode_selに基づき第1または第2入力端子のいずれかの信号を出力する。すなわち、第3セットリセット部3206は、1次保持回路3203cからのシャッタ走査用デコードビットと、信号sh_set_allおよびsh_testinの論理和とのいずれかを、選択信号mode_selのレベルに応じて選択する。
セレクタ3206bからの信号はシャッタ走査用デコードビットの2次保持回路3203dのデータ端子Dに入力され、2次保持回路3203dのゲート端子Gには信号sh_gate1が入力される。信号sh_gate1がハイレベルに遷移すると、データ端子Dの信号が出力端子Qに現れる。2次保持回路3203dの出力Qの信号は画素パルス生成部3204に入力される。
画素パルス生成部3204、レベルシフト部3205は第1実施形態と同様に構成されている。画素パルス生成部3204は信号PSEL(0)、PRES(0)、PTX(0)を生成する。レベルシフト部3205はこれらの信号をレベルシフトし、MOSトランジスタを駆動するための駆動信号PSEL(0)、PRES(0)、PTX(0)として行アドレス「0」の画素P(0、0)〜(n、0)に供給する。
行駆動部320の画素パルス生成部3204から出力された信号PTX(0)は行アドレス「1」の行駆動部321の第3セットリセット部3216に入力される。すなわち、第3セットリセット部3216のOR回路3216aには行アドレス「0」の信号PTX(0)と信号sh_set_all(セット信号)とが入力され、これらの信号の論理和はセレクタ3216bの第1入力端子に入力される。また、セレクタ3216bの第2入力端子には1次保持回路3213cからの信号が入力される。セレクタ3216bは、1次保持回路3213からの信号と、信号sh_set_allおよび信号PTX(0)との論理和とのいずれかを、選択信号mode_selのレベルに応じて選択する。セレクタ3216bからの信号は2次保持回路3213dのデータ端子Dに入力され、2次保持回路3213dのゲート端子Gには信号sh_gate2が入力される。
同様に、行アドレス「2」の行駆動部322の第2セットリセット部3226には、第1行の行駆動部321の信号PTX(0)が入力される。セレクタ3226bは、1次保持回路3223cの出力端子Qの出力と、信号sh_set_allおよびPTX(1)論理和とのいずれかを、選択信号mode_selのレベルに応じて選択する。以降、行駆動部323〜32nも同様に構成されている。
2次保持回路3203d〜32n3dのゲート端子Gには信号sh_gate1、sh_gate2が交互に入力されている。すなわち、偶数行の2次保持回路3203d、3223d・・・のゲート端子Gには第1のゲート信号sh_gate1が入力され、奇数行の2次保持回路3213d、3233d・・・のゲート端子Gには第2のゲート信号sh_gate2が入力されている。選択信号mode_selがハイレベルのとき、信号sh_gate1、sh_gate2を2相クロックとして入力すると、2次保持回路3203d〜32n3dがシフトレジスタの様に動作をする。
また、最後の行アドレス「n」の行駆動部32nのレベルシフト前の信号PTX(n)は信号end_bitとして出力される。
図7は、本実施形態に係る撮像装置の駆動方法のタイミングチャートである。このタイミングチャートは、図4に示された駆動方法における垂直走査部3および画素部4の動作の一例を示している。図7の時刻t0〜t4においては、PDの電子的なリセット動作を用いた先幕制御が行われる。
時刻t0において、カメラのシャッタボタン押下が為されると、CPU1は制御部2に対して、PDの電子的なリセット動作を用いた先幕制御開始の命令を送信する。制御部2は命令を受けると時刻t20において信号mode_selをハイレベルにするとともに、信号ptx_shをハイレベルにする。
時刻t21において、制御部2は信号sh_set_allをハイレベルにし、時刻t1前後に信号sh_gate1とsh_gate2をハイレベル、ローレベルと遷移させる。そして、信号sh_gate1とsh_gate2がハイレベルからローレベルに遷移した後、信号sh_set_allがローレベルになる。このとき、信号mode_selがハイレベルであるので、第3セットリセット部3206〜32n6は信号sh_set_allのハイレベルの信号を2次保持回路3203d〜32n3dのD入力端子に入力する。ここで、信号sh_gate1とsh_gate2がハイレベルに遷移すると、2次保持回路3203d〜32n3dはハイレベルを保持し、出力Qをハイレベルとする。すなわち、2次保持回路3203d〜32ndにおいてシャッタ走査用デコードビットが保持される。
そして、画素パルス生成部3204〜32n4において、ハイレベルの信号ptx_shと2次保持回路3203d〜32n3dのハイレベルのシャッタ走査用デコードビットとの論理積がハイレベルとなる。これによって、信号PTX(0)〜PTX(n)がハイレベルに遷移し、レベルシフト部3205によってレベルシフトされた駆動信号PTX(0)〜PTX(n)が画素部4の行アドレスの画素Pに出力される。
画素部4の画素Pにおいて、駆動信号PRES(0)〜PRES(n)がハイレベルであるので、リセットMOSトランジスタM2が導通状態となり、FDの電位がVCCの電位に応じて初期化される。同時に、駆動信号PTX(0)〜PTX(n)もハイレベルとなることで、画素Pの転送MOSトランジスタM1が導通状態となり、PDに蓄積された電荷が排出され、FDがリセット状態となる。このようにして、画素部4の全行の画素Pを一括してリセットすることができる。
次に、時刻t2前後において、信号sh_gate1がハイレベル、ローレベルと遷移する。すると、ローレベルの信号sh_set_allと、ローレベルの信号sh_testinとの論理和がローレベルとなり、2次保持回路3203dにローレベルのシャッタ走査用デコードビットが保持され、出力端子Qもローレベルになる。よって、駆動信号PTX(0)のみがローレベルに遷移し、画素P(0、0)〜P(m、0)の転送MOSトランジスタM1が非導通状態となり、PDのリセット状態が解除される。一方、駆動信号PTX(1)〜PTX(n)はハイレベルを保持し続け、画素P(0、1)〜P(m、n)のPDはリセット状態を維持する。すなわち、行アドレス「0」の画素PのFDのリセット状態が解除され、他の行の画素PのFDはリセット状態を維持する。
次に、時刻t23前後において、信号sh_gate2がハイレベル、ローレベルと遷移する。信号sh_set_allとレベルシフトする前の信号PTX(0)との論理和がローレベルとなり、2次保持回路3213dにローレベルのシャッタ走査用デコードビットが保持され、出力Qがローレベルになる。すると、駆動信号PTX(1)がローレベルに遷移し、行アドレス「1」の画素P(0、1)〜P(m、1)の転送MOSトランジスタM1が非導通状態となり、PDのリセット状態が解除される。一方、他の行の駆動信号PTX(2)〜PTX(n)はハイレベルを保持し続け、画素P(0、2)〜P(m、n)のPDはリセット状態を維持する。
時刻t24以降も同様に、2次保持回路3223d〜32n3dがシフトレジスタのように動作し、駆動信号PTX(2)〜PTX(n)が順次ローレベルに遷移し、行アドレス「2」〜「n」のPDのリセット状態が順次解除される。すなわち、第(L−1)行(Lは1〜nまでの整数)におけるシャッタ走査用デコードビットがリセットされたことに応じて、第L行の第3セットリセット部32L6は第L行の2次保持回路32L3dにおけるシャッタ走査用デコードビットをリセットする。このようにして、行アドレス「0」から「n」までのシャッタ走査用デコードビットが順次リセットされる。すなわち、PDのリセット状態が順次解除される。
以上により、PDの電子的なリセット動作が完了し、制御部2は信号mode_selをローレベルにするとともに、信号ptx_shをローレベルにする。時刻t6からの画素信号読み出し動作は第1実施の動作と同様であるため、その説明を省略する。
図8は、本実施形態に係る垂直走査部3の検査方法を示すタイミングチャートである。図8を用いて、故障検査時の垂直走査部3の動作を説明する。
時刻t100において、制御部2は故障検査モードのために信号ptx_shをハイレベルに遷移させる。また、信号mode_selはローレベルとなっている。
次に、時刻t101から、アドレスデコードビットvaddrが「0」になり、信号sh_resetがハイレベル、ローレベルと遷移する。すると、シャッタ走査用デコードビットの1次保持回路3203c〜32n3cがリセットされ、出力端子Qがローレベルとなる。
時刻t102から、信号sh_latch_enがハイレベル、ローレベルと遷移する。すると、ハイレベルのアドレスデコードビットaddr_bit(0)とローレベルのアドレスデコードビットaddr_bit(1)〜(n)がシャッタ走査用デコードビットの1次保持回路3203c〜32n3cにそれぞれ保持される。
次に、時刻t103から、信号sh_gate1とsh_gate2がハイレベル、ローレベルと遷移する。すると、信号mode_selがローレベルであるので、1次保持回路3203c〜32n3cに保持された信号が、2次保持回路3203d〜32n3dに保持される。これにより、2次保持回路3203dのみがハイレベルを保持し、他の3213d〜32n3dはローレベルを保持する。信号ptx_shがハイレベルであるので、駆動信号PTX(0)がハイレベルとなり、駆動信号PTX(1)〜(n)はローレベルとなる。
次に、時刻t104において、信号mode_selがハイレベルになり、信号sh_gate2がハイレベル、ローレベルと遷移する。すると、2次保持回路3203d〜32n3dはシフトレジスタのように動作し、第1行の2次保持回路3213dは第0行のハイレベルの信号PTX(0)を取り込み、ハイレベルを保持する。これにより、駆動信号PTX(1)がハイレベルとなる。
以降、制御部2が信号sh_gate1とsh_gate2を2相クロックとして2次保持回路3203d〜32n3dに入力する。これにより、時刻t105において信号end_bitがハイレベルとなり、ハイレベルの信号PTX(0)がシフトされ、信号end_bitが出力される。
ここで、アドレスデコーダ部31のアドレスデコードビットaddr_bit(0)のデコード回路から信号end_bitまでのシャッタ走査用デコードビットの伝達経路上に故障が生じたと仮定する。すなわち、シャッタ走査用デコードビットの2次保持回路3203d〜32n3d、画素パルス生成部3204〜32n4のうちの信号PTXに関する回路のいずれかに故障が生じたと仮定する。この場合、シャッタ走査用デコードビットの伝達経路が途切れ、最後の2次保持回路32n3dから出力された信号end_bitが上述の動作と異なる動作を示す。従って、信号end_bitを検証することにより、垂直走査部3の故障を検査することができる。なお、信号end_bitの検証をCPU1、制御部2で行っても良く、撮像装置の外部の検査回路で行っても良い。
時刻t200以降のタイミングチャートは、アドレスデコードビットvaddrが「1」である場合における故障検査の動作を示している。時刻t100〜t106における動作と異なり、時刻t204から、信号sh_gate1をハイレベル、ローレベルと遷移させている。この理由は以下のとおりである。時刻t204において信号PTX(0)がローレベルとなっている。この時、信号sh_gate2をハイレベルに遷移させると、行アドレス「2」の2次保持回路3223dがハイレベルの信号PTX(1)を保持する前に、行アドレス「1」の2次保持回路3213dがローレベルの信号PTX(0)を保持し、PTX(1)がLowレベルに遷移してしまう。すなわち、ハイレベルの信号PTX(1)が次の行の2次保持回路3223dによって正しく保持されなくなってしまう。このため、時刻t204から、信号sh_gate1をハイレベル、ローレベルと遷移させることにより、第1行の信号PTX(1)が第2行の2次保持回路3213dに正しく保持されるようにしている。
以降、同様にアドレス信号vaddrを「2」〜「n」に順に変化させ、上述の動作を繰り返す。これによって、アドレスデコーダ部31、シャッタ走査用デコードビットの2次保持回路3203d〜32n3d、画素パルス生成部3204〜32n4の信号PTXに関する回路等の故障検査動作が完了する。
本実施形態によれば、第3セットリセット部3206〜32n6によって、シャッタ走査用デコードビットの2次保持回路3203d〜32n3dを一括してハイレベルにセットできる。このため、PDのリセット動作を用いた電子的な先幕制御におけるレリーズタイムラグを小さくすることが可能となる。
また、第3セットリセット部3206〜32n6によってシャッタ走査用デコードビットの2次保持回路3203d〜32n3dはシフトレジスタのように動作する。従って、最後の2次保持回路32n3からの信号end_bitの変化を検証することにより、垂直走査部3のアドレスデコーダ部31、シャッタ走査用デコードビットの2次保持回路3203d〜32n3d、画素パルス生成部3204〜32n4のシャッタ用PTX出力回路の故障検査が可能となる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る撮像システムを説明する。撮像システムとして、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、複写機、ファクシミリ、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などがあげられる。図に、第3実施形態に係る撮像システムの例としてデジタルスチルカメラのブロック図を示す。
図9において、撮像システムは、レンズの保護のためのバリア1001、被写体の光学像を撮像装置1004に結像させるレンズ1002、レンズ1002を通った光量を可変するための絞り1003、メカニカルシャッタ1005を備える。撮像システムは上述の第1または第2実施形態で説明した撮像装置1004をさらに備え、撮像装置1004はレンズ1002により結像された光学像を画像データとして変換する。ここで、撮像装置1004の半導体基板にはAD変換部が形成されているものとする。撮像システムはさらに信号処理部1007、タイミング発生部1008、全体制御・演算部1009、メモリ部1010、記録媒体制御I/F部1011、記録媒体1012、外部I/F部1013を備える。信号処理部1007は撮像装置1004より出力された撮像データに各種の補正やデータを圧縮する。タイミング発生部1008は撮像装置1004および信号処理部1007に各種タイミング信号を出力する。全体制御・演算部1009はデジタルスチルカメラ全体を制御し、メモリ部1010は画像データを一時的に記憶する為のフレームメモリとして機能する。記録媒体制御I/F部1011は記録媒体に記録または読み出しを行う。記録媒体1012は着脱可能な半導体メモリ等から構成され、撮像データの記録または読み出しを行う。外部I/F部1013は外部コンピュータ等と通信する為のインターフェースである。ここで、タイミング信号などは撮像システムの外部から入力されてもよく、撮像システムは少なくとも撮像装置1004と、撮像装置1004から出力された撮像信号を処理する信号処理部1007とを有すればよい。
本実施形態においては、撮像装置1004とAD変換部とが別の半導体基板に設けられた構成を説明した。しかし、撮像装置1004とAD変換部とが同一の半導体基板に形成されていてもよい。また、撮像装置1004と信号処理部1007とが同一の半導体基板に形成されていてもよい。
さらに、信号処理部1007は、第1の光電変換部21Aで生じた電荷に基づく信号と、第2の光電変換部22Aで生じた電荷に基づく信号とを処理し、撮像装置1004から被写体までの距離情報を取得するように構成されてもよい。
本実施形態に係る撮像システムにおいて、撮像装置1004として第1または第2実施形態に係る撮像装置が用いられる。このように、撮像システムにおいて本発明に係る撮像装置を適用することにより、レリーズタイムラグが小さい撮像システムを実現することができる。
(他の実施形態)
上記実施形態は、本発明を適用しうる幾つかの態様を例示したものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜修正や変形を行うことを妨げるものではない。例えば、行駆動部を構成する論理回路、ラッチ回路は図3、図6の構成に限定されず、同様の機能を実現できればその種類を問わない。さらに、第2セットリセット部、第3セットリセット部は、シャッタ走査用デコードビットを行毎にリセットするのではなく、複数行毎に順次リセットしても良い。また、シャッタ方式は、ローリングシャッタに限定されず、グローバルシャッタを用いても良い。