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JP6524439B2 - コークス炉燃焼室用耐火物ブロックおよびコークス炉燃焼室の耐火物ブロック積み構造 - Google Patents

コークス炉燃焼室用耐火物ブロックおよびコークス炉燃焼室の耐火物ブロック積み構造 Download PDF

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Description

本発明は、コークス炉燃焼室の燃焼室フリューを形成する耐火物ブロックおよび耐火物ブロック積み構造に関するものである。
室炉式コークス炉においては、炭化室と燃焼室とが炉団長方向に交互に配置され、燃焼室は炉長方向に配列された燃焼室フリュー列からなる。炭化室と燃焼室との隔壁及び燃焼室フリュー同士の隔壁はいずれも煉瓦積み構造で形成される。図4に示すように、炭化室1と燃焼室フリュー3とを隔てる仕切り壁部分をロイファー壁5と呼び、隣接する燃焼室フリュー3同士を隔てる仕切り壁部分をビンダー壁4と呼ぶ。通常、炭化室の寸法は、炉高4〜7.5m余、炉幅350〜550mm、炉長13〜17m程度である。
室炉式コークス炉に用いられる耐火物としては、高温領域で機械的強度が大きく、かつ体積変化が少なく、熱伝導性が比較的良好であるとともに、材料が安価で大量に入手できる等の理由から、その多くが珪石煉瓦で構築されている。室炉式コークス炉の稼働中の温度は、コークス炉ガス、高炉ガスの単独または混合ガスを燃料ガスとして燃焼させることによって、最も高い燃焼室で1100〜1300℃程度に、また、炭化室の石炭への熱伝達表面では約1000℃程度となっている。
図4に典型的な炉壁の煉瓦積み構造を示す。ロイファー壁5の一部とビンダー壁4の一部にまたがるT字状のハンマー煉瓦41、ロイファー壁5に位置するロイファー煉瓦42、ビンダー壁4に位置するビンダー煉瓦43の3種類の煉瓦で構成されている。これら煉瓦は、上述のように珪石煉瓦で構成される。原料の珪石を焼成して製造する焼成煉瓦であり、高さは100〜150mm、長さと幅は燃焼室フリューの形状から定まり、1個あたりの質量は20kg弱である。煉瓦と煉瓦の合わせ面を目地44と称し、各目地には図4に示すように凹凸嵌合部21を有し、煉瓦積み構造強度を上げるとともに、シール性を高める働きがある。
燃焼室の炉長方向両端には垂直にバックステーが配置され、対向するバックステーの上下2カ所にクロスタイロッドを通し、両端からスプリング等の締め込み機構によって所定荷重で締め付け、バックステーを介して炉体煉瓦を締め付けている。燃焼室の炉長方向端部の煉瓦とバックステーとの間には保護板を配置している。
炭化室の炉長方向端部は窯口を構成し、炉蓋によって閉鎖されている。炭化室に装入した石炭の乾留が完了してコークスができあがると、炉蓋を取り外して窯口を開放し、一方(プッシャーサイド)の窯口から押出機を装入し、他方(コークサイド)の窯口からコークスを押し出す。
炭化室と燃焼室の炉長方向端部を構成する煉瓦は、炉蓋の開放のたびに温度が低下し、これに伴って煉瓦が損傷しやすく、損傷が進行すると積み替えによる補修が行われている。また、積み替えに際してバックステーや保護板などの窯口の金物も更新することがある。特許文献1には、コークス炉窯口の保護板の実炉での熱間取り替えを、窯口煉瓦や保護板の崩れを発生させることなく、安全に実施できる保護板取り替え方法が開示されている。特許文献2には、炭化室天井煉瓦を水平に保持し煉瓦積みを行い、昇温後も水平に保持可能にすることができる、室炉式コークス炉の炭化室炉壁を熱間で積替補修するコークス炉炭化室の煉瓦積替方法が開示されている。
特許文献3には、コークス炉炉室内張り用成形煉瓦が開示されている。2種類のT字型煉瓦からなり、Tの横棒左右がそれぞれ隣接燃焼フリューのロイファー壁の一部、縦棒がビンダー壁の一部を構成する。2種類はTの横棒の長さが異なり、横棒の長さが長いものは、横棒の先端付近上下面に炉団長方向に向いた凹凸嵌合部を有する。また2種類はTの縦棒の長さが異なり、縦棒の長さが長いものは縦棒の先端付近上下面に炉長方向に向いた凹凸嵌合部を有する。コークス炉高さ方向に2種類の成形煉瓦を千鳥配置することにより、隣接する燃焼室フリューの間ではTの横棒が長い煉瓦同士が凹凸嵌合部で拘束され、炉団長方向ではTの縦棒が長い煉瓦同士が凹凸嵌合部で拘束され、燃焼室の成形性を確保している。
特許文献4では、L字型のロイファーA煉瓦と、I字型のロイファーB煉瓦及びビンダー煉瓦を用い、ロイファーA煉瓦4個、ロイファーB煉瓦2個、ビンダー煉瓦2個を用いて2個の燃焼室フリューを形成する煉瓦積み構造が開示されている。
前述のとおり、乾留が終わったコークスは、プッシャーサイドから装入した押出機によってコークサイドから押し出される。コークスの押し出しをスムーズに行うため、炭化室の炉団長方向の幅は、プッシャーサイドからコークサイドに向けて徐々に拡大する形状としている。そのため、燃焼室については、プッシャーサイドからコークサイドに向けて徐々に幅が縮小している。従来の、ハンマー煉瓦、ビンダー煉瓦、ロイファー煉瓦を組み合わせる煉瓦構造においては、各フリュー位置における炭化室の窯幅に合わせて、ビンダー煉瓦の大きさを変更することで、燃焼室の幅を炉長方向に徐々に変化させていた。
特開平4−366198号公報 特開2012−236896号公報 特表平9−506909号公報 特開2008−127472号公報
前述のように、炭化室と燃焼室の炉長方向端部を構成する煉瓦は他の部分に比較して損傷が激しいため、熱間補修によって損傷した煉瓦を交換する必要が生じる。所定の燃焼室の煉瓦交換と同時に、同じ位置にあるバックステーや保護板も交換する必要がある場合は、まずバックステーや保護板を撤去し、ついで開放された場所で煉瓦の交換を行うことができる。一方、バックステーや保護板を交換する必要がない場合は、バックステーと保護板を撤去せず、煉瓦のみを交換することになる。従来は、損傷煉瓦を撤去した後、燃焼室の煉瓦構築に用いられている珪石煉瓦であって同じ形状のものを、補修用煉瓦として用いて補修を行っていた。通常の珪石煉瓦は、焼成煉瓦であってその大きさは小さく、従って交換すべき煉瓦の数も多いため、取り込み回数が多くなるので、築炉工事の施工効率が良くなかった。補修用煉瓦を大型化することも考えられるが、補修時にバックステーを撤去する必要が生じるようではかえって築炉工事の施工効率が悪化してしまう。
本発明は、燃焼室の補修用耐火物を大型化でき、補修に際してバックステーなどの金物を撤去する必要がなく、築炉工事の施工効率を改善することのできるコークス炉燃焼室用耐火物ブロックを提供することを目的とする。
また本発明は、ブロックの種類を増やすことなく、ブロックの切断加工を必要とせず、燃焼室の炉長方向幅を順次変更することのできるコークス炉燃焼室用耐火物ブロックおよびコークス炉燃焼室の耐火物ブロック積み構造を提供することを第2の目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)炭化室と燃焼室が炉団長方向に交互に配列され、燃焼室は炉長方向に配列された燃焼室フリュー列からなるコークス炉に用いる耐火物ブロックであって、隣り合う燃焼室フリューの仕切り壁をビンダー壁、燃焼室フリューと炭化室の仕切り壁をロイファー壁と呼び、
耐火物ブロックは燃焼室フリューのビンダー壁部とロイファー壁部が一体にL字型に形成され、炉団長方向に配列された際に2個の耐火物ブロックが1組の耐火物ブロックペアをなし、n組の耐火物ブロックペアを炉長方向に並べることでn個の燃焼室フリューが形成され、
耐火物ブロックは非焼成耐火物からなることを特徴とするコークス炉燃焼室用耐火物ブロック。ただし、nは1以上の整数である。
(2)耐火物ブロックのビンダー壁端面であって水平方向に隣接する耐火物ブロックと接触する端面は、炉長方向一方の端部と他方の端部が、炉団長方向に位置が異なる段差を有していることを特徴とする上記(1)に記載のコークス炉燃焼室用耐火物ブロック。
(3)コークス炉高さ方向の高さが200mm以上500mm以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のコークス炉燃焼室用耐火物ブロック。
(4)コークス炉高さ方向端面は、一方の端面に凸型のダボを有し、他方の端面に凹型の溝を有する凹凸嵌合部を形成していることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載のコークス炉燃焼室用耐火物ブロック。
(5)不定形耐火物の骨材として溶融シリカを90質量%以上含有することを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載のコークス炉燃焼室用耐火物ブロック。
(6)上記(1)乃至(5)のいずれか1つに記載のコークス炉燃焼室用耐火物ブロックを2個1組の耐火物ブロックペアとし、n組の耐火物ブロックペアをL字が炉長方向に同じ方向に向くように並べることでn個の燃焼室フリューを形成してなることを特徴とするコークス炉燃焼室の耐火物ブロック積み構造。ただし、nは1以上の整数である。
本発明のコークス炉燃焼室用耐火物ブロックは、2個の耐火物ブロックで1つの燃焼室フリューに対応するように大型化する一方、補修に際してバックステーなどの金物を撤去する必要がないので、築炉工事の施工効率を改善することができる。
本発明の耐火物ブロックを用いた燃焼室を示す平面図である。 本発明の耐火物ブロックを示す図であり、(a)(b)は平面図、(c)はC−C矢視断面図である。 本発明の耐火物ブロックによる補修状況を示す図である。 従来の煉瓦を用いた燃焼室を示す平面図である。
図1〜3に基づいて本発明のコークス炉燃焼室用耐火物ブロックについて説明する。
耐火物ブロック11は、燃焼室フリュー3のビンダー壁部12とロイファー壁部13が一体にL字型に形成される。図1の左端に示す一つの燃焼室フリュー3Aについてみると、一方のビンダー壁4Aは、炉団長方向32に配列する2個の耐火物ブロック(11aA、11bA)それぞれのビンダー壁部(12a、12b)を組み合わせることにより形成される。また一つの燃焼室フリュー3Aの一方のロイファー壁5aは一つの耐火物ブロック11aA、他方のロイファー壁5bはもう一つの耐火物ブロック11bAにより構成される。そのため、炉団長方向32に配列する2個の耐火物ブロック(11aA、11bA)が1組(耐火物ブロックペア10A)をなす。炉長方向31に2組の耐火物ブロックペア(10A、10B)を並べることにより、2つの燃焼室フリューのうちの一つ(3A)については、炉長方向両方のビンダー壁(4A、4B)が形成される。従って、n組の耐火物ブロックペア10を炉長方向31に並べることでn個の燃焼室フリュー3が形成される。
特許文献3に記載のようにT字型の成形煉瓦を用いる場合、1つの燃焼室フリューのロイファー壁は、2つのT字の横棒端部同士が接合して形成されるので、煉瓦の目地が燃焼室フリューの面に配置されるため、中長期のガスリークが懸念される。それに対して本発明の耐火物ブロック11では、ロイファー壁5の端部において隣の耐火物ブロック11と接合することになるので、ガスリークの懸念を減少することができ、好ましい。
耐火物ブロック11のコークス炉高さ方向33高さh(図2(c)参照)については、設置されているバックステー6間の空間を通過できる範囲であればよい。これにより、耐火物ブロック11を補修箇所に搬入するに際しては、耐火物ブロック11の炉団長方向32であるビンダー壁部12が垂直になるように向ければ、耐火物ブロック11の高さ方向33高さhがバックステー6間を通過できる範囲なので(図3に実線で示す耐火物ブロック11参照)、バックステー6間を通過して補修箇所まで搬入することができる。搬入後は耐火物ブロック11を炉長方向31軸まわりに回転して、ビンダー壁部12が炉団長方向32を向くように配置し、補修箇所に設置する(図3に一点鎖線で示す耐火物ブロック11参照)。
耐火物ブロック11は非焼成耐火物からなる。非焼成なので、焼成煉瓦と相違し、大型化することが可能となる。好ましくは、粉末の不定形耐火物とバインダーに若干の水を加えて混練し、耐火物ブロック11の形状を有する枠内に流し込み、乾燥・固化した上で型から取り外すことによって形成することができる。
図3に基づいて、本発明の耐火物ブロック11を用いたコークス炉燃焼室の補修方法について説明する。図3に示す例では、隣接する2つの燃焼室2について、炉端側から2列の燃焼室フリュー(3A、3B)の耐火物を交換する。
炉端側から2列目の燃焼室フリュー3Bと3列目の燃焼室フリュー3Cの間に養生壁36を設置し、養生壁36よりも炉奥側は通常操業の高温に保持し、養生壁36よりも炉端側は足場37を設置した上で補修作業が可能な温度まで温度を低下させる。補修対象の2つの燃焼室2とも、バックステー6と保護板7は撤去せずに残置している。
ついで、交換対象とする2つの燃焼室2の耐火物を撤去する。2列目の燃焼室フリュー3Bと3列目の燃焼室フリュー3Cを隔てるビンダー壁4Cの煉瓦は残置している。
本発明の耐火物ブロック11を一つずつ、耐火物ブロック11の炉長方向31を炉の炉長方向31、耐火物ブロック11の高さhの方向を炉の長さ方向33に向け、隣り合うバックステー6の間の空間を通過して炉内に搬入する(実線で示す耐火物ブロック11)。ついで、耐火物ブロック11を炉長方向31軸まわりに回転して、ビンダー壁部12部分が炉団長方向32を向くように配置し、補修箇所に設置する(一点鎖線で示す耐火物ブロック11)。補修する燃焼室フリュー3が燃焼室当たり2つであれば、耐火物ブロック高さ方向1段当たり、4つの耐火物ブロック11を設置することで補修が完了する。耐火物ブロック11のコークス炉高さ方向33高さhが、通常用いる焼成煉瓦の高さ方向33高さの例えば3倍であれば、耐火物ブロック11を4つ設置することにより、燃焼室フリュー2つ分、煉瓦3段分の補修が完了することとなる。
従来の煉瓦を用いて、隣接する2個の燃焼室フリューの煉瓦3段分を積み上げる場合、図4に示すようなハンマー煉瓦、ロイファー煉瓦、ビンダー煉瓦を用いると、合計8個×3段=24個の煉瓦が必要である。特許文献4に記載のロイファーA煉瓦、ロイファーB煉瓦、ビンダー煉瓦を用いた場合も同様、合計8個×3段=24個の煉瓦が必要である。それに対して上記のように、本発明の耐火物ブロックを用いることにより、燃焼室フリュー2個分、煉瓦3段分を補修するのに、本発明の耐火物ブロックを4個用いれば足りることになる。
前述のように、耐火物と耐火物の合わせ面である目地44には通常、凹凸嵌合部21を形成することにより、煉瓦積み構造強度を上げるとともに、シール性を高めている。それに対して本発明で好ましくは、図2(a)(b)に示すように、耐火物ブロック11のビンダー壁端面14であって水平方向に隣接する耐火物ブロック11と接触する端面は、炉長方向一方の端部16aと他方の端部16bが、炉団長方向32に位置が異なる段差15を有する。段差15部分については、図2(a)に示すように直角の折れ曲がり部を有する段差15としてもよく、図2(b)に示すように傾斜部を有する段差15としても良い。炉団長方向32に2つの耐火物ブロック(11a、11b)を設置してビンダー壁4を構成するに際しては、2つの耐火物ブロックの合わせ面である目地44を、モルタル層17を介して接合する。段差15における炉団長方向32の位置の差dは50mm以上とすると好ましい。
前述のように、燃焼室2の炉団長方向幅は、炉長方向31にプッシャーサイド34からコークサイド35に向かうに従って幅が狭くなる。本発明の耐火物ブロック11を用いた燃焼室2を形成するに際し、2つの耐火物ブロック(11a、11b)の合わせ面の目地モルタル層17厚さを燃焼室フリュー3ごとに変化させることにより、燃焼室2の幅を変化させ、炉長方向31にプッシャーサイド34からコークサイド35に向かうに従って幅を狭くすることができる。図1に示す例では、燃焼室フリュー3Aから燃焼室フリュー3Cに向かうに従って、2つの耐火物ブロック(11a、11b)の合わせ面の目地モルタル層17厚さを順次薄くしている状況を強調して示している。このような施工方法が採用できるので、耐火物ブロックとして炉長方向に種々の寸法を有する多数の種類を準備する必要がなく、少数の種類を準備するのみで足りることとなる。
なお、特許文献3に記載の成形煉瓦を用いる場合、成形煉瓦の端部を切断することにより、所定の燃焼室幅を実現し、燃焼室の幅を変化させるので、切削に時間を要する。本発明の耐火物ブロックでは、耐火物を切断することなく、目地幅の調整のみで燃焼室の幅を変化させることができるので好ましい。
本発明の耐火物ブロック11は、コークス炉高さ方向33の高さhが200mm以上500mm以下であると好ましい。耐火物ブロック11の高さ方向33高さhが高いほど、補修に際して積み上げる段数を少なくすることができるので、築炉工事の施工効率を上げることができる。高さhが375mm以上であれば、通常用いる煉瓦の3段分を1回で築造できるので好ましい。一方、高さhが480mm以下であれば、補修に際して設置されているバックステー6の間の空間を通過することができるので好ましい。
一方、図2(c)に示すように、コークス炉高さ方向端面18は、一方の端面に凸型のダボ22を有し、他方の端面に凹型の溝23を有する凹凸嵌合部21を形成すると好ましい。これにより、上下に組み上げる耐火物ブロック11間のずれの発生を防止することができる。
本発明の耐火物ブロック11は、主成分を溶融シリカとすると好ましい。溶融シリカは非晶質であり、常温から1000℃までほとんど熱膨張しない。そのため、主成分を溶融シリカとすることで、補修完了後の昇温速度を上昇することが可能となる。従来の、珪石煉瓦を用いた補修方法では、珪石煉瓦は常温から600℃までの熱膨張率が大きいので、補修後の昇温速度を遅くし、5〜8日間かけて昇温を完了する必要があった。それに対して溶融シリカを主成分とする本発明の耐火物ブロックであれば、昇温期間が不要となり、0日間で昇温を完了することができる。不定形耐火物の骨材として溶融シリカを90%以上含有し、残部はアルミナやカルシア、セメント質のバインダーとして、耐火物ブロック11の形状を有する枠内に流し込み、乾燥・固化した上で型から取り外すことによって形成することができる。
燃焼室耐火物の補修範囲は、補修開始前に目視で決定し、補修に必要な耐火物ブロック11を準備して開始する。ところが、補修のために既設耐火物煉瓦を解体した後、さらに損傷部分が見つかって補修範囲が拡大することがある。本発明の耐火物ブロックであれば、ブロック形状を変える必要がなく、ブロック間44の目地厚みの調整によって、同一ブロックを繰り返し使用でき、窯の幅にも対応する事が可能であるため、緊急的な対応が可能な汎用性のある形状となっている。
本発明の耐火物ブロックとしては、少数種類のブロック形状を準備しておけば足りるので、ブロック製作費用を安価とすることができ、予備品保有数を低減するのでコストを切り下げることが可能となる。
本発明のコークス炉燃焼室の耐火物ブロック積み構造は、上記本発明のコークス炉燃焼室用耐火物ブロック11を2個1組の耐火物ブロックペア10とし、n組の耐火物ブロックペア10をL字が炉長方向に同じ方向に向くように並べることでn個の燃焼室フリュー3を形成してなることを特徴とする。
1 炭化室
2 燃焼室
3 燃焼室フリュー
4 ビンダー壁
5 ロイファー壁
6 バックステー
7 保護板
10 耐火物ブロックペア
11 耐火物ブロック
12 ビンダー壁部
13 ロイファー壁部
14 ビンダー壁端面
15 段差
16a 一方の端部
16b 他方の端部
17 モルタル層
18 高さ方向端面
21 凹凸嵌合部
22 ダボ
23 溝
31 炉長方向
32 炉団長方向
33 高さ方向
34 プッシャーサイド
35 コークサイド
36 養生壁
37 足場
41 ハンマー煉瓦
42 ロイファー煉瓦
43 ビンダー煉瓦
44 目地

Claims (6)

  1. 炭化室と燃焼室が炉団長方向に交互に配列され、燃焼室は炉長方向に配列された燃焼室フリュー列からなるコークス炉に用いる耐火物ブロックであって、隣り合う燃焼室フリューの仕切り壁をビンダー壁、燃焼室フリューと炭化室の仕切り壁をロイファー壁と呼び、
    耐火物ブロックは燃焼室フリューのビンダー壁部とロイファー壁部が一体にL字型に形成され、炉団長方向に配列された際に2個の耐火物ブロックが1組の耐火物ブロックペアをなし、n組の耐火物ブロックペアを炉長方向に並べることでn個の燃焼室フリューが形成され、
    耐火物ブロックは非焼成耐火物からなることを特徴とするコークス炉燃焼室用耐火物ブロック。
    ただし、nは1以上の整数である。
  2. 耐火物ブロックのビンダー壁端面であって水平方向に隣接する耐火物ブロックと接触する端面は、炉長方向一方の端部と他方の端部が、炉団長方向に位置が異なる段差を有していることを特徴とする請求項1に記載のコークス炉燃焼室用耐火物ブロック。
  3. コークス炉高さ方向の高さが200mm以上500mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコークス炉燃焼室用耐火物ブロック。
  4. コークス炉高さ方向端面は、一方の端面に凸型のダボを有し、他方の端面に凹型の溝を有する凹凸嵌合部を形成していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコークス炉燃焼室用耐火物ブロック。
  5. 不定形耐火物の骨材として溶融シリカを90質量%以上含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコークス炉燃焼室用耐火物ブロック。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコークス炉燃焼室用耐火物ブロックを2個1組の耐火物ブロックペアとし、n組の耐火物ブロックペアをL字が炉長方向に同じ方向に向くように並べることでn個の燃焼室フリューを形成してなることを特徴とするコークス炉燃焼室の耐火物ブロック積み構造。
    ただし、nは1以上の整数である。
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