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JP6519840B2 - 粒子製造装置及び粒子製造方法 - Google Patents

粒子製造装置及び粒子製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、吐出孔から液体を吐出して液滴化する液滴吐出装置を備えたトナー製造装置などの粒子製造装置、及び粒子製造方法に関するものである。
電子写真記録方法に基づく複写機、プリンタ、ファクシミリ及びそれらの複合機などの画像形成装置に使用される静電荷像現像用のトナーを製造する方法としては、従来は粉砕法が主流であったが、近年では重合法を採用することが多くなってきている。重合法とは、水系媒体中でトナー粒子を形成する工法であり、トナー粒子形成時あるいはその過程においてトナー原材料の重合反応を伴うことから、このように称される。重合法は、各種重合方法が実用化されており、懸濁重合、乳化凝集、ポリマー懸濁(ポリマー凝集)、エステル伸長反応等を利用したものが知られている。重合法により製造されたトナーは、重合トナーあるいはケミカルトナーなどと呼ばれる。
重合法で得られたトナーは、総じて、粉砕法で得られたトナーに比べ、小粒径が得やすく、粒径分布が狭く、形状が球形に近いといった特徴を有する。これらの特徴は、電子写真方式で形成される画像として高画質を得やすいという効果をもたらす。しかしながら、重合過程に長時間を必要とし、さらに固化終了後に溶媒とトナー粒子とを分離し、その後洗浄乾燥を繰り返すという作業が必要となり、多くの時間、多量の水、多くのエネルギーを必要とするといった問題点がある。
また、トナーの原材料成分を有機溶媒に溶解または分散した液体(トナー成分液)を、噴霧器(アトマイザ)などを用いて微小な液滴となるように放出し、これを乾燥させて微粒子状のトナーを得る、噴射造粒法と呼ばれるトナー製造方法が知られている(特許文献1〜4)。このトナー製造方法によれば、水を用いる必要がないため、洗浄や乾燥に要する時間とエネルギーを大幅に削減でき、重合法の問題点を回避することができる。
トナー等の微粒子を噴射造粒法で製造する場合、液滴形成手段によって液滴吐出装置の吐出孔面に開口した複数の吐出孔からトナー成分液等の微粒子含有液(微粒子の原材料成分を溶媒に溶解または分散した液体)の液滴を吐出する吐出動作を継続する。固化手段によって吐出した液滴を固化させることにより粒子を製造する。
例えば、特許文献5、6の粒子製造装置では、液室に液体に振動を付与する振動発生手段が設けられ、液室内の液体に振動を付与して液室内に液柱共鳴による定在波を形成する。その定在波の腹となる領域に形成されている吐出孔から液体を、高温の搬送気流が流れている気流路内に吐出し、液滴化した液滴を搬送気流中で乾燥させて固化する。捕集手段によって、固化された粒子を捕集することで粒子が製造される。
しかしながら、特許文献5、6の微粒子製造装置では、高温の搬送気流に吐出孔が晒されている。このため、吐出孔で微粒子含有液が乾いて吐出孔が詰まり、吐出不良が発生する虞があり、狙いの生産量を確保することが困難になる。詰まっている吐出孔の数が経時により増大し液滴の吐出量が減少してゆくと、粒子が形成される際の蒸発潜熱の量も低下し、搬送気流の温度の低下は小さくなる。乾燥された粒子は搬送気流にのって搬送されるので、粒子の温度は搬送気流の温度とほぼ同じになり、乾燥された粒子の温度は狙いより高くなる。この結果、粒子はやわらかくなり、粒子同士が付着し、狭い粒径分布を有する粒子が得られなくなるという問題がある。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、搬送気流が接触する吐出孔面の温度上昇を抑制しつつ、狭い粒径分布を有する粒子を製造できる粒子製造装置、及び粒子製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、気流路形成手段と、平面上に複数の吐出孔を有し、該吐出孔から樹脂及び溶媒を含有する樹脂組成液を気流路内に吐出させて液滴を形成する液滴形成手段と、吐出孔面の面方向に平行な方向に流れるように高温の搬送気流を前記気流路内に供給する気流供給手段と、前記高温の搬送気流中で乾燥させて固化した粒子を捕集する捕集手段とを備えた粒子製造装置において、前記気流供給手段は、前記吐出孔面に接触しながら流れるように供給する第1搬送気流と、該第1搬送気流を挟んで前記吐出孔面とは反対側を流れるように供給する前記第1搬送気流より高温の第2搬送気流と、前記第1搬送気流と前記第2搬送気流とをともに挟んで前記吐出孔面とは反対側の、前記気流路を形成する部材の内壁面に接触しながら流れるように供給する前記第2搬送気流より低温の第3搬送気流とを前記気流路内に供給し、前記第3搬送気流の温度は環境温度の変動に応じて調整可能であり、前記高温の搬送気流の流れ方向に対し前記吐出孔の上流側に、前記吐出孔面に平行な気流になるよう複数の搬送気流を整える孔径が0.1[mm]〜10[mm]のハニカム形状の整流手段を設けることを特徴とするものである。
本発明によれば、搬送気流が接触する吐出孔面の温度上昇を抑制しつつ、狭い粒径分布を有する粒子を製造できるという特有な効果が得られる。
本実施形態で用いる液柱共鳴タイプの液滴吐出装置の液滴形成手段の一部を拡大して示した模式図である。 同液滴吐出装置である液柱共鳴液滴形成ユニットの一部を模式的に示した断面図である。 吐出孔の断面形状の一例を示す模式図である。 (a)〜(d)はN=1、2、3の場合の速度及び圧力変動の定在波の形状(共鳴モード)を示す模式図である。 (a)〜(e)は液滴形成手段における液滴吐出ヘッド内の液柱共鳴液室で生じる液柱共鳴現象の様子を説明する模式図である。 本実施形態の粒子製造装置の構成を説明する概略図である。 本実施形態の粒子製造装置の別の構成を説明する概略図である。 基本粒子が結着した状態の様子を示す図である。 合着した粒子の様子を示す概略図である。 合着した粒子の様子を示す概略図である。 液滴同士の合着が発生した場合に捕集したトナーの粒径分布を示す図である。 液滴同士の合着が発生していない場合に捕集したトナーの粒径分布を示す図である。 レイリー分裂タイプの液柱の液滴化現象を説明する図である。 レイリー分裂タイプの液滴吐出装置の液滴吐出部の一部を拡大して示した模式図である。
以下、本発明に係る粒子製造装置をトナーの製造に適用した一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態のトナー製造装置は、液滴が固化するとトナー粒子(微粒子)となるトナー成分液(微粒子成分含有液)を液滴吐出装置へ補充しながら、液滴吐出装置の吐出孔からトナー成分液の液滴を吐出する吐出動作を継続して行う。その後、吐出した液滴を固化させることによりトナー粒子を得るものである。
本実施形態の液滴吐出装置は、吐出する液滴の粒径分布が狭いものが好ましいが、特に制限は無く、公知のものを用いることができる。液滴吐出装置としては、1流体ノズル、2流体ノズル、膜振動タイプの液滴吐出手段、レイリー分裂タイプの液滴吐出手段、液振動タイプの液滴吐出手段、液柱共鳴タイプの液滴吐出手段等が挙げられる。膜振動タイプの液滴吐出手段は、例えば特開2008−292976号公報に開示されたものがある。また、レイリー分裂タイプの液滴吐出手段としては、特許第4647506号公報に開示されたものがある。また、液振動タイプの液滴吐出手段としては、特開2010−102195号公報に開示されたものがある。
液滴の粒径分布が狭く、トナーの生産性を確保するためには、複数の吐出孔が形成された液柱共鳴液室内の液体に振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成する。その定在波の腹となる領域に形成された吐出孔から液体を吐出する液柱共鳴タイプの液滴吐出装置が好適である。本実施形態では、液柱共鳴タイプの液滴吐出装置を用いてトナーを製造する例について説明する。
本発明の粒子製造装置は、気流路形成手段と、液滴形成手段と、気流供給手段と、捕集手段と、を少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。本発明の粒子製造方法は、気流路形成工程と、液滴形成工程と、気流供給工程と、捕集工程と、を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
粒子製造方法は、粒子製造装置により好適に実施でき、気流路形成工程は、気流路形成手段により好適に実施でき、液滴形成工程は、液滴形成手段により好適に実施でき、気流供給工程は、気流供給手段により好適に実施でき、捕集工程は、捕集手段により好適に実施でき、その他の工程は、その他の手段により好適に実施できる。
樹脂及び溶媒を含有する樹脂組成液を吐出させて液滴を形成し、その液滴を搬送気流中で乾燥して粒子を形成する粒子製造においては、搬送気流中で樹脂組成液中の溶媒を揮発させて得られた粒子を捕集する。
吐出された液滴が搬送気流中に放出されると、液滴周囲の蒸気圧と温度との関係により、液滴の温度は、一旦は湿球温度に達するが、液滴の溶媒量が少なくなると、液滴の温度は搬送気流の温度まで上昇する。このため、液滴を乾燥して得られた粒子の温度は、気流の温度とほぼ同じである。
搬送気流中で液滴から溶媒が蒸発する際には、搬送気流から蒸発潜熱を奪うため、搬送気流の温度は低下する。即ち、気流の温度は蒸発潜熱で奪われる温度を見越して予め高い温度に設定しておく必要がある。そして、樹脂組成液の吐出量が変動すると、粒子が形成される際の蒸発潜熱の量が変わるため、搬送気流の温度は樹脂組成液の吐出量によって変動する。そのため、吐出孔に詰まりなどが生じて樹脂組成液の吐出量が減少すると、搬送気流の温度の低下は小さくなる。そして、粒子形成工程において乾燥された粒子の温度は、搬送気流の温度とほぼ同じになるため、樹脂組成液の吐出量が減少すると、乾燥された粒子の温度は高くなる。
そうすると、乾燥された粒子を捕集する際に粒子同士が付着して、狭い粒径分布を有する粒子が得られなくなる。製造される粒子によっては、低い軟化温度を有するものがあるが、軟化温度が低い粒子については、その傾向が顕著である。例えば、トナーは、電子写真システムの運転中の消費電力を抑えるために、低い軟化温度に設計される傾向にある。粒子の温度が粒子の軟化温度より高い状態で粒子を捕集すると、粒子同士が付着した状態で固化することとなり、捕集直前まで単分散に近い粒径分布の粒子が生成できていたとしても、捕集部で粒径分布が大幅に広くなることになる。このような粒度分布悪化の原因は液滴形成手段の不安定性によってもたらされるものであり、これを改善することで、生産性が向上するだけでなく、粒子も常に安定した乾燥状態となるため、品質の安定化が図れる。
そこで、本発明者らは鋭意検討を行った。その結果、粒子製造装置において、少なくとも平面上に複数の吐出孔を有し、該吐出孔から、樹脂及び溶媒を含有する樹脂組成液を吐出させ、液滴を形成する液滴形成手段と、気流路を形成する気流路形成手段と、気流路に搬送気流を供給する気流供給手段と、捕集手段とを有する。これにより、液滴形成手段の温度上昇を抑制し、ノズルの乾きによる閉塞を抑制し、液滴吐出量を大幅に改善できるだけでなく、粒子捕集を安定して行うことができ、粒子同士の合着を防止し、狭い粒径分布を有する粒子を長期にわたって製造できることを見出した。
液滴形成手段としては、平面上に複数の吐出孔を有し、該吐出孔から、樹脂及び溶媒を含有する樹脂組成液を吐出させ、均一な粒径の液滴を形成する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、膜振動型、レイリー分裂型、液振動型、液柱共鳴型などが挙げられる。膜振動型としては、例えば、特開2008−292976号公報に記載されたものなどが挙げられる。レイリー分裂型としては、例えば、特許第4647506号公報に記載されたものなどが挙げられる。液振動型としては、例えば、特開2010−102195号公報に記載されたものなどが挙げられる。これらの中でも、液滴形成手段は、液滴の粒径分布が狭く、粒子の生産性を確保できる点で、液柱共鳴型が好ましい。
液滴形成工程としては、平面上の複数の吐出孔から、樹脂及び溶媒を含有する樹脂組成液を吐出させ、液滴を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液滴形成手段により行うことが好ましい。
次に、液滴形成手段の一例の液柱共鳴型液滴形成手段について、説明する。
液柱共鳴型液滴形成手段は、少なくとも1つの吐出孔を有する液柱共鳴液室の内部の樹脂組成液に振動を付与することで液柱共鳴による圧力定在波を形成させ、圧力定在波の腹となる領域に配置された少なくとも1つの吐出孔から樹脂組成液を吐出して液滴を形成する手段である。
液柱共鳴型液滴形成手段は、少なくとも1つの吐出孔を有する液柱共鳴液室と、該液柱共鳴液室内の樹脂組成液に振動を付与する振動発生部とを有し、これが複数配置されることで、平面上に複数のノズル穴が配置されることが好ましい。振動発生部によって液柱共鳴液室内の樹脂組成液に振動を付与して液柱共鳴により圧力定在波を形成し、該圧力定在波の腹となる領域に形成された吐出孔から樹脂組成液を液滴状に吐出することができる。
「圧力定在波の腹となる領域」とは、液柱共鳴定在波の圧力波において振幅が大きく、圧力変動が大きい領域であり、かつ液滴を吐出するのに十分な大きさの圧力変動を有する領域である。そのような圧力定在波の腹となる領域としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、圧力定在波の振幅が極大となる位置(速度定在波としての節)から極小となる位置に向かって±1/3波長が好ましく、±1/4波長がより好ましい。吐出孔が、圧力定在波の腹となる領域に形成されていると、複数の吐出孔が開口されていても、それぞれの吐出孔からほぼ均一な液滴を形成することができる点で好ましい。
液柱共鳴液室とは、後述する液柱共鳴現象の原理に従い、振動発生部によって付与される振動により圧力定在波を形成することができる液室である。液柱共鳴液室を形成する材質としては、例えば、金属、セラミックス、プラスチック、シリコーンなどが挙げられる。これらの中でも、樹脂組成液に溶解せず、かつ樹脂組成液の変性を起こさないものが好ましい。
図1は、本実施形態で用いる液柱共鳴タイプの液滴吐出装置の液滴形成手段の一部を拡大して示した模式図である。
図1に示すように、本実施形態の液滴形成手段11は、液柱共鳴液室18を備えており、この液柱共鳴液室18は、長手方向(図1中の左右方向)の両端の側壁部のうち、一方の側壁部(開口側壁部)に設けられた連通路を介して液共通供給路17へと連通している。また、液柱共鳴液室18は、長手方向両端の側壁部間を連結する壁部のうち1つの壁部(図1中の下側の底壁部)に液滴21を吐出する複数の吐出孔19を備えている。搬送気流41を吐出孔面の面方向に平行な方向に流している。この結果、吐出孔19から吐出された液滴21は吐出方向に対して直交する方向から搬送気流を受け、斜め方向に搬送される。これにより、液滴21の間隔が拡大され、液滴21の合着が抑制される。また、液柱共鳴液室18における吐出孔19と対向する上壁部側には、振動板22を介して、液柱共鳴定在波を形成するために高周波振動を発生させる振動発生手段20が設けられている。この振動発生手段20は、図示しない高周波電源に接続されている。
図1に示すように、液柱共鳴液室18は、後述するメカニズムにより液柱共鳴定在波が発生する液柱共鳴液室18内の樹脂組成液14を液滴21として吐出孔19から吐出する。液滴形成手段11は、液柱共鳴液室が複数配列された液滴形成ユニットを構成する。
図1に示すような、液柱共鳴液室18の長手方向の両端の壁面間の長さLとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述するような液柱共鳴原理に基づいて決定されることが好ましい。また、図2に示すように、液柱共鳴液室18の幅Wとしても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液柱共鳴に余分な周波数を与えないように、液柱共鳴液室18の長さLの2分の1より小さいことが好ましい。
液滴形成手段における液柱共鳴液室の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。液滴の生産性を飛躍的に向上させるために、1つの液滴形成手段に対して複数配置されることが好ましく、操作性と生産性が両立できる点において、100個〜2,000個がより好ましく、200個〜1,000個がより好ましく、300個〜700個が特に好ましい。
吐出孔としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、圧力定在波の腹となる領域の少なくとも1つの領域に、少なくとも1つの吐出孔が配置されることが好ましく、また、1つの液柱共鳴液室に、複数配置されることが好ましい。
吐出孔の個数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。液滴形成手段が液柱共鳴タイプである場合、1つの液柱共鳴液室に形成された吐出孔の個数としては、1つでも構わないが、複数個配置することが生産性の観点から好ましく、2個〜100個が好ましく、4個〜60個がより好ましく、4個〜20個が特に好ましい。1つの液柱共鳴液室に形成された吐出孔の個数が、100個を超えると、吐出孔から所望の樹脂組成液の液滴を形成させる場合に、振動発生手段に与える電圧を高く設定する必要が生じ、振動発生手段の挙動が不安定となることがある。一方、4個〜20個の場合、圧力定在波が安定し、かつ生産性が保たれる。吐出孔の個数は多いほど生産性が高くなるが、20個を超えると、吐出孔が密集しすぎ、吐出した液滴が合着して粗大な粒子となって画質に悪影響を及ぼすことがある。
吐出孔の開口径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1[μm]〜40[μm]が好ましく、2[μm]〜15[μm]がより好ましく、6[μm]〜12[μm]が特に好ましい。開口径が、1[μm]未満であると、形成される液滴が非常に小さくなるため粒子(例えば、トナー)を得ることができない場合がある。また、開口径が、40[μm]を超えると、樹脂組成液の液滴の直径が大きく、これを乾燥固化させて所望の粒子径3[μm]〜6[μm]を得る場合、有機溶媒で樹脂組成液(例えば、トナー組成液)を非常に希薄な液に希釈する必要がある。この場合、一定量の粒子(例えば、トナー)を得るための乾燥エネルギーが大量に必要となってしまい、乾燥に要する時間が長くなることがある。一方、開口径が、6[μm]〜12[μm]であると、吐出孔が開口する部材を製造する際に、多数の吐出孔の孔径ばらつきを小さく保つことができ、吐出孔を密集させて生産性を高く保つことができる点で有利である。なお、吐出孔の開口径とは、吐出孔の液滴が吐出される側に位置する開口部の直径であり、真円であれば直径を意味し、楕円、若しくは四角形、六角形、八角形等の多角形乃至正多角形であれば平均径を意味する。
吐出孔の断面形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
図3(a)〜(d)に、吐出孔の断面形状の一例を示す。図3(a)に示す吐出孔19は、その吐出孔19の接液面から吐出口に向かってラウンド形状を持ちながら開口径が狭くなるような形状を有している。そのため、液柱共鳴液室の吐出孔が形成された薄膜42が振動した際に吐出孔19の出口付近で液にかかる圧力が最大となるため、吐出の安定化に際しては最も好ましい形状である。
図3(b)に示す吐出孔19は、その吐出孔19の接液面から吐出口に向かって一定の角度を持って開口径が狭くなるようなテーパ角Aを有するテーパ形状を有する。ここで、テーパ角とは、吐出孔19の開口面(吐出孔19の形成面の厚み方向に対して垂直な面)に対する垂線(開口軸)と、吐出孔19の形成面の厚み方向の断面における、吐出孔19の断面形状の側面とのなす角度をいう。テーパ角Aは、適宜変更することができる。図3(a)と同様に、テーパ角Aによって薄膜42が振動したときの吐出孔19の出口付近で液にかかる圧力を高めることができるが、テーパ角Aの範囲としては、60[°]〜90[°]が好ましい。テーパ角Aが、60[°]未満であると、樹脂組成液に圧力がかかりにくく、更に薄膜42の加工が難しくなることがある。テーパ角Aが、90[°]である場合は、図3(c)が相当する。この場合、吐出孔19の出口に圧力がかかりにくくなることがある。テーパ角が、90[°]を超えると、吐出孔19の出口に圧力がかからなくなり、液滴吐出が非常に不安定化することがある。図3(d)は、図3(a)と図3(b)とを組み合わせた形状である。このように段階的に形状を変更しても構わない。
また、複数の吐出孔が形成された場合、圧力定在波の腹となる領域の1つにおける吐出孔間のピッチ(隣接する吐出孔の中心部間の最短間隔)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。20[μm]以上かつ液柱共鳴液室の長さL以下が好ましく、20[μm]〜200[μm]がより好ましく、40[μm]〜135[μm]が更に好ましく、40[μm]〜80[μm]が特に好ましい。吐出孔間のピッチが20[μm]未満であると、隣り合う吐出孔より放出された液滴同士が衝突して大きな滴となってしまう確率が高くなり、粒子の粒径分布悪化につながることがある。吐出孔間のピッチは、吐出孔間において、全て等間隔であってもよく、少なくとも1つのピッチが異なっていてもよいが、全て等間隔であることが、均一な粒径の粒子を得ることができる点で好ましい。
振動発生手段としては、所定の周波数で駆動でき、液柱共鳴液室内の樹脂組成液に振動を付与できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧電体、超音波振動発生部などが挙げられる。圧電体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶などの材質から形成された圧電体などが挙げられる。超音波振動発生部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁歪素子などが挙げられる。これらの中でも、圧電体が好ましい。その圧電体は、一般に変位量が小さいため積層して使用されることが多い。圧電体を、弾性板に貼りあわせた形態が好ましい。弾性板は、圧電体が接液しないように液柱共鳴液室の壁の一部を形成している。
振動発生手段の配置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも1つの吐出孔が形成された液柱共鳴液室の一の壁面(長手方向の面)と対面する壁に形成されていることが好ましい。また、振動発生手段は、弾性板に貼りあわせた形態であることが好ましく、該弾性板は、振動発生手段が接液しないように液柱共鳴液室の壁の一部を形成することが好ましい。更に、振動発生手段は、1つの液柱共鳴液室毎に個別に制御できるように配置されることが好ましい。また、液柱共鳴液室の配置にあわせて、弾性板を介してブロック状の圧電体等の振動発生手段を配置することが、それぞれの液柱共鳴液室を個別制御できる観点から好ましい。
次に、液柱共鳴型の液滴形成手段による液滴形成のメカニズムについて説明する。
液柱共鳴液室(例えば、図1の液滴形成手段11内の液柱共鳴液室18)において生じる液柱共鳴現象の原理について以下説明する。液柱共鳴液室内の樹脂組成液の音速をcとし、振動発生手部(例えば、図1の振動発生手段20)から媒質である樹脂組成液に与えられた駆動周波数をfとした場合、樹脂組成液の共鳴が発生する波長λは、下記式(1)の関係にある。
λ=c/f ・・・式(1)
ここで、液柱共鳴液室が、両側固定端の場合、或いは両側固定端と等価である場合、液柱共鳴液室の長手方向の両端における反射壁面間の長さを、液柱共鳴液室の長手方向の長さLとする。この場合、長さLが波長λの4分の1の偶数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、下記式(2)で表される。
L=(N/4)λ ・・・式(2)
ただし、Nは、偶数である。
なお、「両側固定端と等価である場合」とは、ある端において圧力の逃げ部がないとみなすことができる場合である。例えば、ある端において反射壁面の高さが、樹脂組成液供給のための連通口の高さの2倍以上である場合、及びある端において反射壁面の面積が、樹脂組成液供給のための連通口の開口部の面積の2倍以上である場合などを指す。図1において、液柱共鳴液室18の固定端側のフレームの端部から液共通供給路17側の端部までの長さが、図1中の長さLに相当する。また、液共通供給路17側のフレームの端部の高さh1(=約80[μm])は、連通口の高さh2(=約40[μm])の約2倍あり当該端部が閉じている両側固定端と等価であるとみなすことができる。
更に、両端が完全に開いている両側開放端の場合にも上記式(2)が成り立つ。同様にして、片方側が圧力の逃げ部がある開放端と等価で、他方側が閉じている(固定端である)場合、つまり片側固定端の場合、或いは片側開放端の場合には、長さLが波長λの4分の1の奇数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、上記式(2)のNが奇数で表される場合に相当する。なお、両側開放端の場合は、Lが波長の4分の1の偶数倍、片側固定端の場合は、Lが波長の4分の1の奇数倍に相当する。
最も効率の高い駆動周波数fは、上記式(1)及び上記式(2)より、下記式(3)が導かれる。
f=N×c/(4L) ・・・式(3)
ただし、Lは液柱共鳴液室の長手方向の長さを表し、cは樹脂組成液の音波の速度を表し、Nは整数を表す。
したがって、本発明の粒子製造装置及び粒子製造方法において、樹脂組成液に対して、上記式(3)が成立する周波数fの振動を付与することが好ましい。しかし、実際には、樹脂組成液は、共鳴を減衰させる粘性を持つために無限に振動が増幅されるわけではなく、Q値を持ち、後述する式(4)、式(5)に示すように、上記式(3)に示す最も効率の高い駆動周波数fの近傍の周波数でも共鳴は発生する。
図4(a)〜(d)にN=1、2、3の場合の速度及び圧力変動の定在波の形状(共鳴モード)を示す。本来は疎密波(縦波)であるが、図4(a)〜(d)のように表記することが一般的である。実線が速度定在波(速度分布)、点線が圧力定在波(圧力分布)である。
例えば、N=1の片側固定端の場合を示す図4(a)からわかるように、速度定在波の場合、閉口端で速度定在波の振幅がゼロとなり、開口端で振幅が最大となる。液柱共鳴液室の長手方向の両端の間の長さをLとしたとき、液体が液柱共鳴する波長をλとし、整数Nが1〜5の場合(N=4、5は不図示)に定在波が最も効率よく発生する。また、両端の開閉状態によっても定在波パターンは異なるため、それらも併記した。後述するが、吐出孔の開口や供給側の開口の状態によって、端部の条件が決まる。
なお、音響学において、開口端とは長手方向の媒質(液)の移動速度がゼロとなる端であり、逆に圧力は極大となる。閉口端においては、逆に媒質の移動速度がゼロとなる端と定義される。閉口端は音響的に硬い壁として考え、波の反射が発生する。理想的に完全に閉口、若しくは開口している場合は、波の重ね合わせによって図4(a)〜(d)のような形態の共鳴定在波を生じる。しかし、吐出孔数、吐出孔の開口位置によって定在波パターンは変動し、上記式(3)より求めた位置からずれた位置に共鳴周波数が現れる。その場合、適宜駆動周波数を調整することで安定吐出条件を作り出すことができる。
例えば、液体の音速cが1,200[m/s]、液柱共鳴液室の長さLが1.85[mm]を用い、両端に壁面が存在して、両側固定端と完全に等価のN=2の共鳴モードを用いた場合、上記式(3)より、最も効率の高い共鳴周波数は324[kHz]と導かれる。他の例では、液体の音速cが1200[m/s]、液柱共鳴液室の長さLが1.85[mm]と、上記と同じ条件を用い、両端に壁面が存在して、両側固定端と等価のN=4の共鳴モードを用いた場合、上記式(3)より、最も効率の高い共鳴周波数は648[kHz]と導かれ、同じ構成の液柱共鳴液室においても、より高次の共鳴を利用することができる。
図1に示す液滴形成手段11における液柱共鳴液室18は、両端が閉口端状態と等価であるか、吐出孔の開口の影響で、音響的に軟らかい壁として説明できるような端部であることが周波数を高めるためには好ましいが、それに限らず開放端であってもよい。ここでの吐出孔の開口の影響とは、音響インピーダンスが小さくなり、特にコンプライアンス成分が大きくなることを意味する。よって、図4(b)のような液柱共鳴液室の長手方向の両端に壁面を形成する構成は、両側固定端の共鳴モード、そして吐出孔側が開口とみなす片側開放端の全ての共鳴モードが利用できるために、好ましい構成である。
また、吐出孔の開口数、開口配置位置、吐出孔の断面形状も駆動周波数を決定する因子となり、駆動周波数はこれに応じて適宜決定することができる。例えば、吐出孔の数を多くすると、徐々に固定端であった液柱共鳴液室の先端の拘束が緩くなり、ほぼ開口端に近い共鳴定在波が発生し、駆動周波数は高くなる。更に、最も液供給路側に存在する吐出孔の開口配置位置を起点に緩い拘束条件となり、また吐出孔の断面形状がラウンド形状となったりフレームの厚さによる吐出孔の体積が変動したり、実際上の定在波は短波長となり、駆動周波数よりも高くなる。このように決定された駆動周波数で振動発生部に電圧を与えたとき、振動発生部が変形し、駆動周波数にて最も効率よく共鳴定在波を発生する。また、共鳴定在波が最も効率よく発生する駆動周波数の近傍の周波数でも液柱共鳴定在波は発生する。つまり、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さをL、液供給側の端部に最も近い吐出孔までの距離をLeとした。このとき、L及びLeの両方の長さを用いて下記式(4)及び下記式(5)で決定される範囲の駆動周波数fを主成分とした駆動波形を用いて振動発生部を振動させ、液柱共鳴を誘起して液滴を吐出孔から吐出することが可能である。
N×c/(4L)≦f≦N×c/(4Le) ・・・式(4)
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le) ・・・式(5)
ただし、Lは液柱共鳴液室の長手方向の長さを表し、Leは液供給路側の端部に最も近い吐出孔までの距離を表し、cは樹脂組成液の音波の速度を表し、Nは整数を表す。
なお、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さLと、液供給側の端部に最も近い吐出孔までの距離Leの比がLe/L>0.6であることが好ましい。
以上説明した液柱共鳴現象の原理を用いて、図1の液柱共鳴液室18において液柱共鳴圧力定在波が形成され、液柱共鳴液室18の一部に配置された吐出孔19において連続的に液滴21の吐出が発生する。なお、定在波の圧力が最も大きく変動する位置に吐出孔19を配置すると、吐出効率が高くなり、低い電圧で駆動することができる点で好ましい。
次に、液滴形成手段における液滴吐出ヘッド内の液柱共鳴液室で生じる液柱共鳴現象の様子について当該様子を示す図5(a)〜(e)を用いて説明する。なお、図5(a)〜(e)において、液柱共鳴液室内に記した実線は、液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における速度をプロットした速度分布を示し、液共通供給路側から液柱共鳴液室への方向を「+」とし、その逆方向を「−」とする。また、液柱共鳴液室内に記した点線は、液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における圧力値をプロットした圧力分布を示し、大気圧に対して正圧を「+」とし、負圧は「−」とする。また、正圧であれば図中の下方向に圧力が加わることになり、負圧であれば図中の上方向に圧力が加わることになる。
更に、図5(a)〜(e)において、上述したように液共通供給路側が開放されているが液共通供給路17と液柱共鳴液室18とが連通する開口の高さ(図1に示す高さh2)に比して固定端となるフレームの高さ(図1に示す高さh1)が約2倍以上である。そのため、液柱共鳴液室18はほぼ両側固定端であるという近似的な条件のもとでの速度分布及び圧力分布の時間的なそれぞれの変化を示している。
図5(a)は、液滴吐出時の液柱共鳴液室18内の圧力波形(圧力分布)と速度波形(速度分布)を示している。また、図5(b)は、液滴吐出直後の液引き込みを行った後再びメニスカス圧が増加してくる様子を示している。これらの図5(a)及び図5(b)に示すように、液柱共鳴液室18における吐出孔19が設けられている流路内での圧力は、極大となっている。その後、図5(c)に示すように、吐出孔19付近の正の圧力は小さくなり、負圧の方向へ移行して液滴21が吐出される。そして、図5(d)に示すように、吐出孔19付近の圧力は極小になる。このときから液柱共鳴液室18への樹脂組成液14の充填が始まる。その後、図5(e)に示すように、吐出孔19付近の負の圧力は小さくなり、正圧の方向へ移行する。この時点で、樹脂組成液14の充填が終了する。そして、再び、図5(a)に示すように、液柱共鳴液室18の液滴吐出領域の正の圧力が極大となって、吐出孔19から液滴21が吐出される。このように、液柱共鳴液室内には振動発生部の高周波駆動によって液柱共鳴による定在波が発生する。また、圧力が最も大きく変動する位置となる液柱共鳴による定在波の腹に相当する液滴吐出領域に吐出孔19が配置されていることから、当該腹の周期に応じて液滴21が吐出孔19から連続的に吐出される。
次に、本実施形態の粒子製造装置の構成について説明する。
図6は、本実施形態に係る粒子製造装置の構成を説明する概略図である。図6に示すように、液滴形成手段11により吐出された液滴21は、気流供給手段30により供給されるとともに温度調整された搬送気流によって搬送される。そして、粒子形成手段60に搬送され、液滴は乾燥、固化して、捕集手段としての粒子捕集手段70に搬送され、固体粒子として捕集される。液滴形成手段11より吐出した液滴は、連続的に形成することができる。気流供給手段30は、液滴の吐出方向に対して、横方向からの搬送気流を気流路に供給し、その搬送気流で液滴を搬送することが望ましい。これは液滴どうしの距離を効率的に引き離すことが可能となるためである。液滴吐出方向と同じ向きの場合は、平面上に配置された吐出孔近傍で気流の滞留を生じるため、液滴同士を引き離すことができず、液滴同士が接触しやすくなる。
図6に示すように、液滴形成手段11(液滴形成ユニット)への樹脂組成液14の送液形態の一例について説明する。粒子製造装置1では、原料収容器13に収容されている樹脂組成液14を、液供給管16を通して液循環ポンプ15により圧送して液滴形成手段11に供給する。更に、樹脂組成液14は、液滴形成手段11から液戻り管23を通って原料収容器13に戻る。
図6に示す原料収容器13に収容されている樹脂組成液14は、当該樹脂組成液14を循環させるための液循環ポンプ15によって液供給管16を通って、液共通供給路17内に流入し、液柱共鳴液室18に供給される。そして、樹脂組成液14が充填されている液柱共鳴液室18内には、振動発生手段20によって発生する液柱共鳴定在波により圧力分布が形成される。そして、液柱共鳴定在波において振幅の大きな部分であって圧力変動が大きい、圧力定在波の腹となる領域に配置されている吐出孔19から液滴21が吐出される。
液滴形成手段11への送液圧力及び、粒子形成手段60内の圧力は、液圧力計P1及び粒子形成手段60内の圧力計P2によって管理される。このとき、P1>P2の関係であると、樹脂組成液14が吐出孔から染み出す恐れがあり、P1<P2の場合には液滴形成手段11に気体が入り、吐出が停止する恐れがあるため、P1≒P2があることが望ましい。
液共通供給路17を通過した樹脂組成液14は、図6に示す液戻り管23を流れて原料収容器13に戻される。液滴21の吐出によって液柱共鳴液室18内の樹脂組成液14の量が減少する。すると、液柱共鳴液室18内の液柱共鳴定在波の作用による吸引力が作用し、液共通供給路17から供給される樹脂組成液14の流量が増加し、液柱共鳴液室18内に樹脂組成液14が補充される。そして、液柱共鳴液室18内に樹脂組成液14が補充されると、液共通供給路17を通過する樹脂組成液14の流量が元に戻り、液供給管16及び液戻り管23には装置内を循環する樹脂組成液14の流れが再び形成された状態となる。
なお、図1に示すように、液滴形成工程において液滴形成手段11から吐出した樹脂組成液14の液滴21は、気流通路12内に、図示していない搬送気流発生手段によって発生する搬送気流41が通ることにより、図6に示す粒子形成手段60側に流出される。
図6に示すように、液滴形成ユニット(液滴形成手段11)により形成された液滴21は、粒子形成手段60のチャンバー61内を落下する。その際、液滴21は、チャンバー61の上部の搬送気流導入口64から送られる気流に乗って落下し、搬送気流排出口65に到達するまでに気流中で乾燥される。粒子捕集部71で捕集された固化粒子は、粒子貯留部72に貯留される。必要に応じて図示されない2次乾燥手段によって追加乾燥される。
図6に示す粒子製造装置1において、液滴形成手段11より図6の右方向に吐出した液滴21が、図6の上方から流れてくる搬送気流41によって搬送される。噴射された液滴同士が乾燥前に接触すると、液滴同士が合体し、1つの粒子になってしまう(以下この現象を「合着」と呼ぶことがある)。均一な粒径分布の固化粒子を得るためには、噴射された液滴同士の距離を保つ必要がある。しかし、噴射された液滴は、一定の初速度を持っているが、空気抵抗により、やがて失速する。失速した粒子には後から噴射された液滴が追いついてしまい、結果として合着する。この現象は、定常的に発生するため、この粒子を捕集すると粒径分布はひどく悪化することとなる。合着を防ぐためには液滴の速度低下をなくし、液滴同士を接触させないように気流によって合着を防ぎながら、液滴を固化させつつ搬送することが好ましい。そこで、気流によって、粒子捕集手段70まで固化粒子を運ぶことが、製造効率がよい点で好ましい。
図6に示すように、気流供給手段30によって供給される搬送気流41の温度を調整してその搬送気流41を気流路内に供給できる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。温度調整工程としては、液滴搬送手段での搬送気流41の温度を調整できる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、気流供給手段30を用いることが好ましい。気流供給手段30としては、図6には図示してないが、気流調整手段には気流温度を測定し、気流温度が安定化するような制御機構を持ったものが好ましい。本実施形態では複数の気流供給手段を有するが、気流供給手段毎に温度調整できる機構を有する。
図6に示すように、粒子形成手段60としては、液滴21を気流中で乾燥させて固化し、粒子を形成する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。粒子形成工程としては、液滴21を気流中で乾燥させて固化し、粒子を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粒子形成手段を用いて行うことが好ましい。
液滴21を気流(以下、前述の「搬送気流」と区別し単に気流と称する。)中で乾燥させて固化する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。液滴形成手段11により液滴21を吐出孔の外に吐出後、該液滴21を気流で搬送しながら乾燥させる、即ち、液滴21を気流で搬送しながら液滴中の溶媒を気流中で揮発させる方法などが挙げられる。気流の速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液滴および液滴が乾燥した粒子の自由落下速度よりも速いことが好ましい。気流に用いる気体の雰囲気(温度、蒸気圧、気体の種類等)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。気体の種類としては、例えば、空気または、窒素等の不燃性気体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、液滴が乾燥して得られる粒子は、固体状態を維持し得る限り、完全に乾燥された状態でなくてもよい。生産性を高めるためには、捕集可能な最低限の乾燥状態で捕集し、溶剤蒸気量の多い搬送気流から分離した状態で更に乾燥させることで、粒子乾燥の時間を抑えることができる。
図6に示すように、捕集手段としての粒子捕集手段70は気流と固化粒子を分離し、捕集ができれば特に制限は無く、例えばサイクロンやバグフィルタ等の公知のものを使用することができる。また、サイクロンとバグフィルタ双方用いても良い。本発明では固化粒子が軟化しやすい性質を持つため、前段にサイクロン、後段にバグフィルタを用いる。これにより、バグフィルタで粒子が軟化した場合のフィルタ詰りを抑制しやすく、かつサイクロンで捕集しきれない極微量の極小粒視の通過を確実に抑制し、大気への放出を抑制できる。
固化粒子が捕集された後、更に後述する2次乾燥工程が行われることが好ましい。
その他の手段としては、例えば、2次乾燥手段などが挙げられる。その他の工程としては、例えば、2次乾燥工程などが挙げられる。
2次乾燥手段としては、粒子形成工程で形成された粒子を更に乾燥させる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動床乾燥装置、真空乾燥装置などが挙げられる。2次乾燥工程としては、粒子形成工程で形成された粒子を更に乾燥させる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2次乾燥手段により行うことが好ましい。
粒子がトナー粒子である場合には、粒子形成工程で形成された粒子中に含まれる(残存する)溶媒含有量が多いと、耐熱保存性、定着性、帯電特性等のトナー特性が経時で変動するだけでなく、加熱による定着時において溶媒が揮発する。このため、使用者及び周辺機器へ悪影響を及ぼす可能性が高まる。したがって、2次乾燥工程により、粒子中の溶媒を低減させることが好ましい。
製造される粒子が二次電池正極材料用粒子のように樹脂成分を含まない粒子の場合には、樹脂組成液から粒子を作製後(粒子形成工程後)、又は粒子形成工程の際に、樹脂成分を熱分解する加熱処理を行う。これにより、樹脂成分を熱分解して、二次電池正極材料用粒子を得ることができる。加熱処理における加熱温度としては、樹脂組成液に含まれる樹脂成分を熱分解できる温度であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
一部の吐出孔が詰まるなどして経時的に不吐出となり、樹脂組成液の吐出量が低下してゆくと、粒子形成手段又は粒子形成工程において揮発する溶媒の量が減る。溶媒が揮発する際には蒸発潜熱を気流から奪うため、搬送気流排出口65(図6参照)の気流の温度は搬送気流導入口64(図6参照)の温度よりも低くなる。そして、乾燥させる液滴の量が経時で減ると、搬送気流排出口の気流の温度は経時で高くなってくる。
そこで、樹脂組成液の吐出量が減少した場合の粒子形成手段又は粒子形成工程における気流の温度及び粒子の温度を測定した。
例えば、以下の捕集条件1とした場合を考える。
搬送気流導入口64(図6参照)の気流量:60[m/時間]
気流の気体の種類:窒素ガス
搬送気流導入口における気流の温度:95[℃]
樹脂組成液の固形分濃度:10[質量%]
樹脂組成液の溶媒種:酢酸エチル(沸点77[℃])
溶媒の蒸発潜熱:368.6[J/g]
(参考文献:溶剤ハンドブック、浅原昭三他編、p.569)
製造される粒子の平均粒子径:5.4[μm]
粒子の比重:1.2[g/cm
液滴形成手段:液柱共鳴タイプ(図1、及び図2参照)
液滴形成ユニットの吐出孔の数:10240[個]
吐出の際の周波数:310[kHz]
搬送気流導入口64から搬送気流排出口65までの距離:3000[mm]
上記条件で、6[質量%]の溶媒を残して乾燥した粒子を得たとすると、溶媒の蒸発潜熱によって気流の温度は低下し、吐出開始から60秒後の搬送気流排出口65における気流および粒子の温度は31[℃]になった。
しかしながら、液滴形成手段11は95[℃]の搬送気流に晒されるため、徐々に温度が上がると共に液滴の吐出量が低下した。10分後には液滴吐出量は半減し、搬送気流排出口65の気流の温度は、55[℃]になった。これは搬送気流の温度が原料液の溶媒の沸点を大きく上回ったため、搬送気流からの熱により液滴形成手段の温度が上昇する。
このように、樹脂組成液の吐出量が経時で減少すると、それに合わせて気流の温度低下が小さくなる。そのため、経時での乾燥が安定しなくなる。また、上述したように、固化した粒子の温度は、搬送気流排出口65の気流の温度とほぼ一致するため、捕集条件2の場合、固化した粒子は、捕集条件1よりも温度が高い状態で固化して粒子捕集手段70(図6参照)に到達する。液滴吐出初期に捕集された固化した粒子の軟化温度は約37[℃]であった。捕集条件1では、初期には捕集された固化した粒子の温度は軟化温度を下回るために、粒子は固い状態を維持し、捕集手段及び捕集工程によって捕集できる。しかし、約10分後においては、気流温度が55℃に達し、固化した粒子の温度は軟化温度を上回るために、粒子は軟化した状態で捕集される。捕集された粒子は、粒子同士が接触する確率が格段に上がるために、固化した基本粒子(図8参照)同士が接着し、ぶどう状の粒子(図9及び図10参照)が多量に発生し、粒径分布が悪化してしまう不具合を生じる。一旦ぶどう状の粒子となると、これを解くのは非常に困難である。参考としてぶどう状の粒子を含む場合の粒径分布を図11に、含まない場合の粒径分布を図12に示す。図11と図12の粒径分布を比較すると、ぶどう状粒子が粒径分布を大きく悪化させていることがわかる。
図6に示すように、粒子製造装置1において、液滴形成手段11の吐出孔は搬送気流41に晒されるために、搬送気流41の温度とほぼ同じ温度となる。搬送気流41は、上述のように粒子乾燥のために高い温度にする必要がある。液滴形成手段11の吐出孔が搬送気流41に直接晒されると、液滴形成手段11の平面状に形成された吐出孔に存在する原料液が乾燥、固化して閉塞したり、液滴形成手段11の内部の原料液中の溶剤が沸騰したり、液滴21を吐出できなくなる。このため、第1気流供給手段31、第2気流供給手段32及び気流分配手段35を用いることで、液滴形成手段11付近を流れる第1搬送気流41aと液滴乾燥に必要な熱量を持った第2搬送気流41bを分ける。これにより、ノズル閉塞を防ぎながら、効率よく液滴21を乾燥し微粒子を得ることができる。したがって、本実施形態では複数の気流供給手段によって、液滴形成手段の近傍を流れる第1搬送気流41aの温度は吐出孔の乾燥を防げるように比較的低温である必要がある。好ましくは原料液の沸点以下であり、より好ましくは原料液の沸点より20[℃]以上低い温度であり、更に好ましくは原料液の沸点の40[℃]より低い温度である。しかしながら、原料液によっては温度を下げ過ぎると溶解物の析出等の別の不具合を生じることもあり、第1搬送気流41aの温度はなるべく低い温度に設定することが望ましい。第1気流供給手段31、第2気流供給手段32は、ヒータやファンを備えている。
複数の搬送気流41(第1搬送気流41a及び第2搬送気流41b)は気流分配手段35により、吐出孔が形成された液滴形成手段11の吐出孔面からの搬送気流の層厚(高さ)を調整することができる。これにより、液滴形成手段11に形成される吐出孔面の温度上昇を低減することができる。複数の温度の搬送気流(第1搬送気流41aと第2搬送気流41b)はやがて混合するため、気流分配手段35はできる限り、液滴搬送手段内での液滴形成手段11の搬送気流41の上流側に位置していることが望ましい。第1搬送気流41aの搬送気流の層厚(高さ)は、0.5[mm]以上10[mm]未満が望ましい。0.5[mm]未満であると、吐出孔面の表面温度を下げる効果が充分に得られない。10[mm]以上だと、第2搬送気流41bの温度を非常に高める必要が出てくるため、液滴を乾燥させるのに充分な熱量を気流に付与することが難しくなる。
更に、本実施形態の効果を高めるために、気流分配手段35の直後に、平行流に形成して搬送気流を整流する気流整流手段36を設ける。これにより、複数の温度の第1搬送気流41a、第2搬送気流41bが混合することなく層状を保った状態で液滴形成手段11付近を通過する。このため、液滴形成手段11に形成される吐出孔面の温度上昇を更に低減することができる。気流整流手段36は、ハニカム形状でも良いし、複数の平板を気流の向きに対して垂直方向に、液滴形成手段11を配置した気流路面に対して平行な平板でもよく、液滴形成手段11を配置した気流路面に対して平行な平板を層状に積み上げたものでも良い。整流効果が得られれば公知の手段を用いることができ、好ましくはハニカム形状である。ハニカム形状を用いる場合はハニカム形状を構成する板の種類は金属で薄い板であることが望ましいが、気流整流効果があればどのような材質や形状でもかまわない。ハニカム形状の孔径は細かいほど整流効果が期待できるが、細かすぎると圧損が増し、気流の流れを妨げるので、好ましくは孔径を0.1[mm]〜10[mm]程度にすることが好ましく、より好ましくは0.5[mm]〜2「mm」である。図6では複数の温度の気流として2つのの気流供給手段を有しているが、気流供給手段を2つ、あるいは3つ以上有してもかまわない。図7に示すように2つ以上の3つの気流供給手段を有していてもかまわない。この場合、液滴形手段から遠ざかるにつれて段階的に気流の温度を上げてもよい。
<原料液>
(樹脂組成液)
樹脂組成液は、樹脂と、溶媒とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。樹脂組成液としては、例えば、少なくとも樹脂を溶媒に溶解又は分散させた樹脂組成液などが挙げられる。本発明の粒子製造装置及び粒子製造方法は、トナーの製造装置及びトナーの製造方法としても好適に利用可能である。この場合の樹脂組成液は、トナー組成液である。樹脂組成液がトナー組成液である場合、該トナー組成液中のその他の成分としては、例えば、着色剤、離型剤、帯電調整剤、磁性体、添加剤などが挙げられる。以下、トナーの製造に特に適した樹脂組成液(トナー組成液)の組成について詳細に説明するが、本発明における樹脂組成液は、トナーを製造するための樹脂組成液に限定されるものではなく、液晶パネルのスペーサー粒子を製造するための樹脂組成液、電子ペーパー用の着色微粒子を製造するための樹脂組成液、医薬品の薬剤担持体を製造するための樹脂組成液であってもよい。
(樹脂)
樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、溶媒に分散乃至溶解するものであることが好ましく、例えば、結着樹脂などが挙げられる。結着樹脂としては、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等からなるビニル重合体、これらの単量体又は2種類以上からなる共重合体、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂を構成するモノマーとしては、例えば、アルコール成分、酸成分などが挙げられる。
アルコール成分としては、例えば、2価のアルコール成分、3価以上のアルコール成分などが挙げられる。2価のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオールなどが挙げられる。記3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。
酸成分としては、例えば、2価のカルボン酸、3価以上のカルボン酸などが挙げられる。2価のカルボン酸としては、例えば、ベンゼンジカルボン酸又はその無水物、アルキルジカルボン酸又はその無水物、不飽和二塩基酸又はその無水物などが挙げられる。ベンゼンジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。アルキルジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などが挙げられる。不飽和二塩基酸としては、例えば、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸などが挙げられる。
3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、これらの無水物、部分低級アルキルエステルなどが挙げられる。
ポリエステル樹脂を架橋させるためには、3価以上のアルコールや3価以上のカルボン酸を併用することが好ましい。その際は、樹脂が溶剤に溶解することを妨げない範囲の少量の添加量とする必要がある。
結着樹脂がポリエステル樹脂の場合は、その分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、GPC(ゲル浸透クロマトグラフ分析)による分子量分布で、分子量3,000〜50,000の領域に少なくとも1つのピークが存在するのが、トナーの定着性、耐ホットオフセット性の点で好ましい。また、テトラヒドロフラン(THF)可溶分の分子量としては、100,000以下の成分が60[%]〜100「%」となるような結着樹脂が吐出性の面から好ましく、分子量5,000〜20,000の領域に少なくとも1つのピークが存在する結着樹脂がより好ましい。
結着樹脂がポリエステル樹脂の場合、その酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1[mgKOH/g]〜100[mgKOH/g]が好ましく、0.1[mgKOH/g]〜70[mgKOH/g]がより好ましく、0.1[mgKOH/g]〜50[mgKOH/g]が特に好ましい。なお、本発明において、樹脂の酸価は、JIS K−0070に準じて測定したものである。
(溶媒)
溶媒としては、樹脂を溶解、分散し得る限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液滴形成手段、又は液滴形成工程で形成された液滴(吐出孔から気相に吐出された液滴)は、粒子形成手段、又は粒子形成工程で乾燥されることから、容易に乾燥できる溶媒が好ましい。このような溶媒としては、沸点が100[℃]以下のものが、乾燥速度が速い点で好ましい。沸点が100[℃]以下の溶媒としては、例えば、エーテル類、ケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類、アルコール類などが挙げられる。エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)などが挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレンなどが挙げられる。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエン、キシレンが好ましい。
(着色剤)
着色剤としては、特に制限はなく、従来公知の顔料、染料などを使用することができる。樹脂組成液における着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、得られるトナーに対して、1[質量%]〜15[質量%]が好ましく、3[質量%]〜10[質量%]がより好ましい。
着色剤は、樹脂(マスターバッチ用樹脂)と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチは、一般的に、顔料とマスターバッチ用樹脂と混合物に高せん断をかけることで、該マスターバッチ用樹脂中に該顔料を硬度に分散させたものである。したがって、顔料の充分な分散が得られていれば、マスターバッチを用いなくてもよい。
マスターバッチ用樹脂としては、特に制限はなく、従来公知のものを使用することができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部が好ましい。
マスターバッチ製造時に顔料の分散性を高めるために分散剤を用いてもよい。分散剤は、顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、従来公知のものを用いることができる。分散剤の市販品の具体例としては、例えば、商品名で、アジスパーPB821、アジスパーPB822(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)、Disperbyk−2001(ビックケミー株式会社製)、EFKA(登録商標)−4010(EFKA社製)などが挙げられる。
分散剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、着色剤に対して、0.1[質量%]〜10[質量%]が好ましい。含有量が、0.1[質量%]未満であると、顔料分散性が不十分となることがあり、10[質量%]を超えると、高湿下での帯電性が低下することがある。
(離型剤)
離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ワックスが好ましい。ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族炭化水素系ワックス、脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、脂肪酸エステルを主成分とするものなどが挙げられる。また、脂肪酸エステルの一部又は全部を脱酸化したものを用いることもできる。脂肪族炭化水素系ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどが挙げられる。脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物としては、例えば、酸化ポリエチレンワックスなどが挙げられる。植物系ワックスとしては、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろうなどが挙げられる。動物系ワックスとしては、例えば、みつろう、ラノリン、鯨ろうなどが挙げられる。鉱物系ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セレシン、ペテロラタムなどが挙げられる。脂肪酸エステルを主成分とするものとしては、例えば、モンタン酸エステルワックス、カスターワックスなどが挙げられる。
離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性と耐ホットオフセット性のバランスを取る点で、70[℃]〜140[℃]が好ましく、70[℃]〜120[℃]がより好ましい。融点が、70[℃]未満であると、耐ブロッキング性が低下することがあり、140[℃]を超えると、耐ホットオフセット効果が発現しにくくなることがある。なお、DSC(示差走査熱量測定)で測定される離型剤の吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度を離型剤の融点とする。
DSCは、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。DSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10[℃/分]で、昇温させた時に測定されるものを用いる。
樹脂組成液における離型剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結着樹脂100質量部に対して、0.2質量部〜20質量部が好ましく、0.5質量部〜10質量部がより好ましい。
(添加剤)
添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。樹脂組成液(トナー組成液)には、例えば、静電潜像担持体やキャリアの保護、クリーニング性の向上、熱特性、電気特性、物理特性の調整、抵抗調整、軟化点調整、定着率向上等を目的として、各種金属石けん、フッ素系界面活性剤、フタル酸ジオクチル、導電性付与剤、無機微粒子などの添加剤を必要に応じて添加することができる。無機微粒子は、必要に応じて疎水化してもよい。また、研磨剤、ケーキング防止剤、更に、トナー粒子と逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子とを、添加剤の1種である現像性向上剤として少量用いることもできる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、無機微粒子が好ましい。
これらの添加剤は、帯電量コントロール等の目的で表面処理剤により表面処理が施されたものであってもよい。添加剤に表面処理が施されていると、疎水性を上げ、高湿度下においても添加剤自身の劣化を防止することができる点で有利である。表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、官能基を有するシランカップリング剤、有機ケイ素化合物、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンワニス、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
添加剤の1次粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5[nm]〜2[μm]が好ましく、5[nm]〜500[nm]がより好ましい。また、添加剤のBET法による比表面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20[m/g]〜500[m/g]が好ましい。添加剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粒子がトナーとして用いられる場合、該トナーに対して、0.01[質量%]〜5[質量%]が好ましく、0.01[質量%]〜2.0[質量%]がより好ましい。
樹脂組成液中の固形分濃度としては、液滴が形成できる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。溶液粘度、液の音速、液の表面張力などの物性の変化が少ない方が、吐出条件を大きく変える必要がないため好ましく、30[質量%]以下がより好ましく、5[質量%]〜20[質量%]がより好ましい。固形分濃度が、5[質量%]未満であると、粒子形成工程において、乾燥エネルギー等が増大して、生産面での効率が低下することがあり、20[質量%]を超えると、吐出条件を大きく変える必要があるため、安定して均一な液滴形成ができないことがある。
本発明の粒子製造装置、及び粒子製造方法は、電子写真用のトナー、液晶パネルのスペーサー粒子、電子ペーパー用の着色微粒子、二次電池や燃料電池の電極材料用粒子、医薬品の薬剤担持体など様々な粒子の製造に利用可能である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。「部」は、特に明示しない限り「質量部」を表す。「%」は、特に明示しない限り「質量%」を表す。
(製造例)
<樹脂組成液(トナー組成液)の製造>
(着色剤分散液の調製)
先ず、着色剤としての、カーボンブラックの分散液を調製した。
カーボンブラック(RegaL400、Cabot社製)17部、及び顔料分散剤3部を、酢酸エチル80部に添加し、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。該顔料分散剤としては、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ株式会社製)を使用した。得られた一次分散液を、ビーズミル(アシザワファインテック社製LMZ型、ジルコニアビーズ直径0.3[mm])を用いて強力なせん断力により細かく分散し、5[μm]以上の凝集体を完全に除去した二次分散液(着色剤分散液)を得た。
(ワックス分散液の調製)
次に、ワックス分散液を調製した。
カルナバワックス(東亜化成株式会社製:WA−03)18部、及びワックス分散剤2部を、酢酸エチル80質量部に添加し、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。この一次分散液を攪拌しながら80[℃]まで昇温し、カルナバワックスを溶解した後、室温まで液温を下げ最大径が3[μm]以下となるようワックス粒子を析出させた。ワックス分散剤としては、ポリエチレンワックスにスチレン−アクリル酸ブチル共重合体をグラフト化したものを使用した。得られた分散液を、更にビーズミル(アシザワファインテック社製LMZ型、ジルコニアビーズ直径0.3[mm])を用いて強力なせん断力により細かく分散し、最大径が1[μm]以下なるよう調整し、ワックス分散液を得た。
(溶解、分散液の調製)
次に、結着樹脂としての樹脂、着色剤分散液及びワックス分散液を添加した下記組成からなるトナー組成液を調製した。
結着樹脂としてのポリエステル樹脂100部(ガラス転移温度=60.5[℃]、重量平均分子量Mw=35,000)、着色剤分散液30部、及びワックス分散液30部を、酢酸エチル840部に添加し、攪拌羽を有するミキサーを使用して10分間攪拌を行い、均一に分散させた。溶媒希釈によるショックで顔料やワックス粒子が凝集することはなかった。
(実施例1)
次に、上記実施形態の粒子製造装置の一実施例(以下、本実施例を「実施例1」という。)について説明する。
実施例1では、図6に示す粒子製造装置を用いた。装置の詳細は以下の通りである。
図6の粒子形成手段60は、内径が400[mm]であり、高さが3,000[mm]となる円筒形で垂直に固定され、上端部及び下端部が絞られているチャンバー61を有する。搬送気流導入口64は、液滴形成手段面が80[mm]であり、高さが15[mm]の直方体断面で形成されている。搬送気流排出口65の内径は80[mmφ]である。液滴形成手段11は、チャンバー61内上端より上に30[mm]の位置に配置されている。搬送気流41では、窒素ガスを用い、気流速度が10.0[m/s]、気流温度を75[℃](搬送気流排出口65における条件)とする。
図5(a)に示すように、液滴形成手段内の液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さLが1.85[mm]、N=2の共鳴モードであって、第1から第4の吐出孔が、N=2の共鳴モードの圧力定在波の腹の位置に配置されたものを用いた。駆動信号発生源(図示しない)には、ファンクションジェネレーター(WF1973、株式会社エヌエフ回路設計ブロック製)を用い、ポリエチレンで被覆したリード線で振動発生手段20に接続した。この時の駆動周波数は、液共鳴周波数に合わせて310[kHz]となる。液滴形成ユニットの吐出孔の数は10,240[個]で、開孔径10[μm]とした。
以下の捕集条件とした。
気流の気体の種類:窒素ガス
第1搬送気流41aの温度、気流量:25[℃]、20[m/hr]
第2搬送気流41bの温度、気流量:135[℃]、40[m/hr]
気流分配手段35の高さ:液滴形成手段の吐出孔面より5[mm]
トナー組成液の固形分濃度:10[質量%]
トナー組成液の溶媒種:酢酸エチル
溶媒の蒸発潜熱:368.6[J/g]
(参考文献:溶剤ハンドブック、浅原昭三他編、p.569)
製造されるトナーの平均粒子径:5.4[μm]
トナーの比重:1.2[g/cm
液滴形成手段:液柱共鳴タイプ(図1、及び図2参照)
液滴形成ユニットの吐出孔の数:10,240[個]
吐出の際の周波数:310[kHz]
搬送気流導入口64から搬送気流排出口65までの距離:3,000[mm]
粒子形成手段60の形状がサイクロンであり、円管内径が70[mmφ]、絞りが35[mm]、高さが350[mm]、出口口径が30[mmφ]、ダストボックス形状80[mmφ]×110[mm]とした。
上記条件で、6[質量%]の溶媒を残して乾燥した粒子を得た。溶媒の蒸発潜熱によって気流の温度は低下し、液滴吐出開始から1分後の搬送気流排出口65における気流の温度は29[℃]であった。吐出を1時間継続して実施したところ、搬送気流排出口65における気流の温度は29[℃]で変動は無かった。この時点での粒子の捕集量は814[g]であった。なお、この捕集したトナーを2次乾燥(40[℃]、72時間送風下に放置)し、完全に溶剤を除去した実施例1のトナー粒子を得た。
このトナーの粒径分布をフロー式粒子像解析装置(シスメックス社製、FPIA−3000)で下記に示す測定条件にて測定した。これを3回繰り返したところ、体積平均粒径(Dv)の平均は5.7[μm]、個数平均粒径(Dn)の平均は5.4[μm]であり、Dv/Dnの平均は1.05であり、ノズルの閉塞はほぼ認められなかった。なお、粒子画像より2個以上の粒子がぶどう状に結合した粒子の数の全測定粒子に対する割合は0.8[%]であった。
フロー式粒子像分析装置(Flow Particle Image Analyzer)を使用したトナーの体積平均粒径、及び個数平均粒径の測定方法に関して以下に説明する。
フロー式粒子像分析装置による測定は、シスメックス社製のFPIA−3000を用いて測定した。測定は、フィルタを通して微細なごみを取り除き、その結果として10−3[cm]の水中に測定範囲(例えば、円相当径0.60[μm]以上159.21[μm]未満)の粒子数が20個以下の水10mLを用意した。そこへ、ノニオン系界面活性剤(好ましくは、和光純薬社製コンタミノンN)を数滴加え、更に、測定試料を5[mg]加え、超音波分散器(STM社製、UH−50)で20[kHz]、50[W/10cm]の条件で1分間分散処理を行った。更に、合計5分間の分散処理を行い、測定試料の粒子濃度が4,000[個/10−3cm]〜8,000[個/10−3cm](測定円相当径範囲の粒子を対象として)の試料分散液を得た。それを用いて、0.60[μm]以上159.21[μm]未満の円相当径を有する粒子の粒度分布を測定した。試料分散液は、フラットで偏平な透明フローセル(厚み約200[μm])の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させた。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するために、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着されている。試料分散液が流れている間に、フローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔でストロボ光を照射した。その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影された。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出した。約1分間で、1,200個以上の粒子の円相当径を測定することができ、円相当径分布に基づく数及び規定された円相当径を有する粒子の割合(個数%)を測定できる。結果(頻度%及び累積%)は、0.06[μm]〜400[μm]の範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。
(実施例2)
次に、上記実施形態の粒子製造装置の他の実施例(以下、本実施例を「実施例2」という。)について説明する。
実施例2では、図6に対して、気流供給手段および気流分配手段を1つずつ追加した図7の粒子製造装置を用い、下記の条件で微粒子製造を実施した。
実施例1と同じである。
捕集条件は下記である。
気流の気体の種類:窒素ガス
第1搬送気流41aの温度、気流量:25[℃]、15[m/hr]
第2搬送気流41bの温度、気流量:85[℃]、30[m/hr]
第3搬送気流41cの温度、気流量:40[℃]、15[m/hr]
第1気流分配手段35aの高さ:液滴形成手段の吐出孔面より3.75[mm]
第2気流分配手段35bの高さ:液滴形成手段の吐出孔面に対向する壁面より3.75[mm]
トナー組成液の固形分濃度:10[質量%]
トナー組成液の溶媒種:酢酸エチル
溶媒の蒸発潜熱:368.6[J/g]
(参考文献:溶剤ハンドブック、浅原昭三他編、p.569)
製造されるトナーの平均粒子径:5.4[μm]
トナーの比重:1.2[g/cm
液滴形成手段:液柱共鳴タイプ(図1及び図2参照)
液滴形成ユニットの吐出孔の数:10,240[個]
吐出の際の周波数:310[kHz]
搬送気流導入口64から搬送気流排出口65までの距離:3,000[mm]
粒子形成手段60の形状は、サイクロンであり、円管内径が70[mmφ]、絞りが35[mm]、高さが350[mm]、出口口径が30[mmφ]、ダストボックス形状80[mmφ]×110[mm]とした。上記条件で、6[質量%]の溶媒を残して乾燥した粒子を得た。溶媒の蒸発潜熱によって気流の温度は低下し、液滴吐出開始から1分後の搬送気流排出口65における気流の温度は29[℃]であった。吐出を1時間継続して実施したところ、搬送気流排出口65における気流の温度は29[℃]で変動は無かった。この時点での粒子の捕集量は860[g]であり、ノズルの閉塞はほぼ認められなかった。なお、この捕集したトナーを2次乾燥(40[℃]、72時間送風下に放置)し、完全に溶剤を除去した実施例2のトナー粒子を得た。粒子画像より2個以上の粒子がぶどう状に結合した粒子の数の全測定粒子に対する割合は0.5[%]であった。
発明者らは鋭意研究を行ったところ、粒子製造装置の設置されている環境温度が変動した場合、捕集した粒子の粒径分布が大幅に広くなっていることがわかった。環境温度が比較的下がり、気流路を形成する部材の温度が下がってその部材の内壁面に接触しながら流れる図6の第2搬送気流41bの温度が狙いより低くなる。図6に示す第1搬送気流41aと第2搬送気流41bの混合した混合搬送気流中で、吐出孔から吐出された液滴を搬送しながら乾燥させている。そのため、第2搬送気流41bの温度が狙いより低くなると、混合搬送気流の温度が狙いより下がる。この結果、液滴の乾燥が不十分になって粒子が十分に固化されず、粒子同士が搬送中に付着して粗大な粒子になったと考えられる。
逆に、環境温度が上がり、第2搬送気流41bの温度が狙いより高くなる。第2搬送気流41bの温度が狙いより高くなると、混合搬送気流の温度も狙いより上がる。乾燥した粒子は混合搬送気流にのって搬送されるので、粒子の温度は狙いより高い混合搬送気流の温度と略同じになって狙いより高くなる。この結果、粒子はやわらかくなり、粒子同士が搬送中に付着して粗大な粒子になったと考えられる。以上のように、環境温度が変動すると、粒子同士が付着し狭い粒径分布を有する粒子が得られなくなる。
そこで、発明者らは鋭意検討を行った結果、図7に示すように、第1搬送気流41aと第2搬送気流41bに加え、気流路を形成する部材の内壁面に接触しながら流れる第3搬送気流41cを気流路に供給する。その第3搬送気流41cの温度を調整することで、環境温度が変動した場合でも狭い粒径分布を有する粒子を製造できることを見出した。具体的には、第1搬送気流41aと第2搬送気流41bと第3搬送気流41cの混合した混合搬送気流が狙いの温度になるよう、第3気流供給手段37に備えられているヒータ(不図示)の出力温度を調整して第3搬送気流41cの温度を調整する。その温度調整分で環境温度の変動分を相殺することで、混合搬送気流は狙いの温度に保てる。これにより、液滴を十分に乾燥させて固化できるとともに、粒子の固化状態を維持できる。よって、環境温度が変動したとしても、粒子同士が付着することを抑制でき、狭い粒径分布を有する粒子を安定的に得ることができる。
なお、吐出孔でトナー組成液が乾燥しても吐出孔の口径を大きくして吐出孔の詰まりがなくなるのであれば、図7において第1搬送気流41aは流さずに、高温の第2搬送気流41bを吐出孔面に接触させながら流れるように供給する。環境温度の変動に応じて温度調整可能な第3搬送気流41cを、第2搬送気流41bを挟んで吐出孔面と反対側の気流路を形成する部材の内壁面に接触しながら流れるように供給する構成にしてもよい。
(実施例3)
次に、上記実施形態の粒子製造装置のさらに他の実施例(以下、本実施例を「実施例3」という。)について説明する。
実施例3では、図6の装置を用い、下記の条件で微粒子製造を実施した。実施例1との違いは、気流分配手段の高さと第1搬送気流、第2搬送気流の違いである。
以下の捕集条件とした。
気流の気体の種類:窒素ガス
第1搬送気流41aの温度、気流量:25[℃]、4[m/hr]
第2搬送気流41bの温度、気流量:95[℃]、56[m/hr]
気流分配手段35の高さ:液滴形成手段の吐出孔面より1[mm]
トナー組成液の固形分濃度:10[質量%]
トナー組成液の溶媒種:酢酸エチル
溶媒の蒸発潜熱:368.6[J/g]
(参考文献:溶剤ハンドブック、浅原昭三他編、p.569)
製造されるトナーの平均粒子径:5.4[μm]
トナーの比重:1.2[g/cm
液滴形成手段:液柱共鳴タイプ(図1、及び図2参照)
液滴形成ユニットの吐出孔の数:10,240[個]
吐出の際の周波数:310[kHz]
搬送気流導入口64から搬送気流排出口65までの距離:3,000[mm]
粒子捕集手段の形状は、サイクロンであり、円管内径が70[mmφ]、絞りが35[mm]、高さが350[mm]、出口口径が30[mmφ]、ダストボックス形状80[mmφ]×110[mm]とした。上記条件で、6[質量%]の溶媒を残して乾燥した粒子を得た。溶媒の蒸発潜熱によって気流の温度は低下し、液滴吐出開始から1分後の搬送気流排出口65における気流の温度は29[℃]であった。吐出を1時間継続して実施したところ、搬送気流排出口65における気流の温度は32[℃]で若干の上昇が確認された。この時点での粒子の捕集量は770[g]であり、ノズルは若干閉塞していることが確認された。なお、この捕集したトナーを2次乾燥(40[℃]、72時間送風下に放置)し、完全に溶剤を除去した実施例3のトナー粒子を得た。粒子画像より2個以上の粒子がぶどう状に結合した粒子の数の全測定粒子に対する割合は1.5[%]であった。
(実施例4)
次に、上記実施形態の粒子製造装置のさらに他の実施例(以下、本実施例を「実施例4」という。)について説明する。
実施例4では、図6の装置を用い、下記の条件で微粒子製造を実施した。実施例1との違いは、気流分配手段の高さと第1搬送気流、第2搬送気流の違いである。
以下の捕集条件とした。
気流の気体の種類:窒素ガス
第1搬送気流41aの温度、気流量:25[℃]、40[m/hr]
第2搬送気流41bの温度、気流量:360[℃]、20[m/hr]
気流分配手段35の高さ:液滴形成手段の吐出孔面より10[mm]
トナー組成液の固形分濃度:10[質量%]
トナー組成液の溶媒種:酢酸エチル
溶媒の蒸発潜熱:368.6[J/g]
(参考文献:溶剤ハンドブック、浅原昭三他編、p.569)
製造されるトナーの平均粒子径:5.4[μm]
トナーの比重:1.2[g/cm
液滴形成手段:液柱共鳴タイプ(図1、及び図2参照)
液滴形成ユニットの吐出孔の数:10,240[個]
吐出の際の周波数:310[kHz]
搬送気流導入口64から搬送気流排出口65までの距離:3,000[mm]
粒子捕集手段の形状は、サイクロンであり、円管内径が70[mmφ]、絞りが35[mm]、高さが350[mm]、出口口径が30[mmφ]、ダストボックス形状80[mmφ]×110[mm]とした。上記条件で、6[質量%]の溶媒を残して乾燥した粒子を得た。溶媒の蒸発潜熱によって気流の温度は低下し、液滴吐出開始から1分後の搬送気流排出口65における気流の温度は28[℃]であった。吐出を1時間継続して実施したところ、搬送気流排出口65における気流の温度は28[℃]で変動は無かった。この時点での粒子の捕集量は860[g]であり、ノズルの閉塞が認められなかった。なお、この捕集したトナーを2次乾燥(40[℃]、72時間送風下に放置)し、完全に溶剤を除去した実施例3のトナー粒子を得た。粒子画像より2個以上の粒子がぶどう状に結合した粒子の数の全測定粒子に対する割合は0.5[%]であった。
上記実施例1〜4では、液滴吐出装置として液柱共鳴型の液滴吐出手段を挙げたが、その他として膜振動型、レイリー分裂型などの液滴吐出手段が挙げられる。以下の実施例5では、液滴吐出装置としてレイリー分裂型の液滴吐出手段を用いる。
(実施例5)
次に、上記実施形態の粒子製造装置の更に他の実施例(以下、本実施例を「実施例5」という。)について説明する。実施例5では、図6の粒子製造装置を用い、液滴形成手段には上記レイリー分裂型の液滴吐出手段を用い、下記の条件で粒子製造を実施した。実施例1との違いは、液滴形成手段と第2搬送気流の違いである。
ここで、レイリー分裂タイプの液滴吐出手段における液柱の液滴化現象について図13を用いて説明する。
液柱の均一液滴化現象は非特許文献1に説明されるように、液柱が最も不安定になる波長条件λは、液柱直径d(jet)を用いて下記の式(6)で表される。
λ = 4.5d(jet) ・・・式(6)
ここで、発生する擾乱現象の周波数fは、液柱の速度をvとした場合下記の式(7)で表すことができる。
f = v/λ ・・・式(7)
また、非特許文献2で説明されるように、実験的に安定に均一粒子を形成する条件を導いた結果、下記の式(8)の条件において安定的に均一粒子を形成することが可能であるとしている。
3.5 < λ/d(jet) < 7.0 ・・・式(8)
更には、非特許文献3で説明されるように、エネルギー保存則を基に、吐出孔より排出される液が、液柱を形成する最小ジェットV(min)速度は下記の式(9)のように表現される。
v(min) = (8σ/ρd(jet))(1/2) ・・・式(9)
式(9)において、σは液の表面張力、ρは液密度、d(jet)は液柱の直径を表す。式(6)から式(9)の条件式はこのような現象を再現するための条件を推定するために有用である。これらの関係式は液物質の種類、混合物、分散物等によって変動し得ることを確認している。振動子を液室に取り付け、これを振動数fにおいて振動することにより液柱が、上記のような擾乱によって液滴化する現象は様々な液体において成立した。
液貯留部は、少なくとも、トナー組成液を加圧された状態において保持される必要があるため、SUS、アルミなどの金属等の部材からなり、少なくとも1[Mpa]程度の耐圧性があることが望ましいが、これに限るものではない。また、例えば、後述する図14に示すように、液貯留部へ液を供給する配管で接続され、液貯留部の一部を構成する板材に複数の吐出孔を有する構造が望ましい。また、液貯留部全体を振動する振動発生手段が、液貯留部に接している。振動発生手段には駆動装置と導電線によって接続されており、駆動装置によって振動状態を制御される形態が望ましい。
振動発生手段は、吐出孔を有する液貯留部全体を励振させるのが好ましい。振動発生手段としては、確実な振動を一定の周波数で与えることができるものであれば特に制限はなく、適宜選択して使用することができ、圧電体、超音波振動発生部などが挙げられる。圧電体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶などの材質から形成された圧電体などが挙げられる。超音波振動発生部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁歪素子などが挙げられる。一定の周波数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100[kHz]〜500[kHz]が好ましく、均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から、200[kHz]〜400[kHz]がより好ましい。
振動発生手段は、液貯留部と接しており、吐出孔を有する板材は、吐出孔から発生する液柱に振動を均一に与える観点から、平行に配置されていることが最も好ましいが、図13に示すような液滴括れが発生できればどのような形態でも構わない。吐出孔は、1個のみ設けても粒子生産は可能であるが、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を効率よく発生させる観点から、複数個設けることが好ましい。また、吐出孔の開口断面形状には、図3に示すようなものを用いることが好ましい。
図14に示すように、液滴形成手段としての液滴形成ユニット100は、少なくともトナー組成液を貯留する液貯留部101と、振動発生手段102と、複数の吐出孔103から吐出されるトナー組成液が液貯留部101へ定量的に供給するため液貯留部101に連通して接続される配管104とを備えている。液貯留部101の液室サイズが幅60[mm]、奥行き5[mm]、高さ5[mm]のサイズとし、液貯留部101に15[mmφ]×3[mm]の柱状(円盤状)であり、銀ペーストで円平面に電極を設けたPZT(富士セラミックス社製)を接着剤で固定した。駆動信号発生源(不図示)には、ファンクションジェネレーター(WF1973、株式会社エヌエフ回路設計ブロック製)を用い、ポリエチレンで被覆したリード線で振動発生手段102の電極に接続した。この時の駆動周波数は、300[kHz]とした。液滴形成ユニット100の吐出孔103の数は1000[個]で、吐出孔径8.0[μm]とした。液の加圧はシリンジポンプを用い400[kPa]に保つように送液した。
以下の捕集条件とした。
気流の気体の種類:窒素ガス
第1搬送気流41aの温度、気流量:25[℃]、20[m/hr]
第2搬送気流41bの温度、気流量:60[℃]、40[m/hr]
気流分配手段35の高さ:液滴形成手段の吐出孔面より5[mm]
トナー組成液の固形分濃度:5[質量%]
トナー組成液の溶媒種:酢酸エチル
溶媒の蒸発潜熱:368.6[J/g]
(参考文献:溶剤ハンドブック、浅原昭三他編、p.569)
製造されるトナーの平均粒子径:6.3[μm]
トナーの比重:1.2[g/cm
液滴形成手段:レイリー分裂タイプ(図13及び図14参照)
液滴形成ユニット100の吐出孔103の数:1,000[個]
吐出の際の周波数:300[kHz]
上記条件で、6.2[質量%]の溶媒を残して乾燥した粒子を得た。溶媒の蒸発潜熱によって気流の温度は低下し、液滴吐出開始から1分後の搬送気流排出口65における気流の温度は31[℃]であった。吐出を1時間継続して実施したところ、搬送気流排出口65における気流の温度は31[℃]で変動は無かった。この時点での粒子の捕集量は130[g]であり、ノズルの閉塞が認められなかった。なお、この捕集したトナーを2次乾燥(40[℃]、72時間送風下に放置)し、完全に溶剤を除去した実施例5のトナー粒子を得た。粒子画像より2個以上の粒子がぶどう状に結合した粒子の数の全測定粒子に対する割合は1.0[%]であった。
(比較例1)
次に、上記実施形態の粒子製造装置に対する比較例(以下、本比較例を「比較例1」という。)について説明する。
比較例1では、図6の装置を用い、第1気流供給手段31だけを使用し、気流分配手段35の高さを15[mm]、すなわち全高さを第1搬送気流41aのみが流れるようにした。また、第1搬送気流41aの温度および風量を82[℃]、60[m/hr]とした以外は実施例1と同様に実験を行った。なお、このときの第1搬送気流41aの総量と気流温度は、実施例1での第1搬送気流41aと第2搬送気流42aの混合したものと同じである。
上記条件で、6[質量%]の溶媒を残して乾燥した粒子を得た。溶媒の蒸発潜熱によって気流の温度は低下し、液滴吐出開始から1分後の搬送気流排出口65における気流の温度は29[℃]になった。1時間の吐出後、搬送気流排出口65における気流の温度は48[℃]まで上昇していた。この時点での粒子の捕集量は407[g]であり、ノズルは目視で約半分が閉塞していた。得られたトナーの体積平均粒径(Dv)の平均は7.3[μm]、個数平均粒径(Dn)の平均は5.8[μm]であり、Dv/Dnの平均は1.25であった。なお、サイクロンにはトナーが半溶融状態で固着していた。これは液滴吐出が低下したため、気流の温度が上昇しトナーが固着しやすくなったためと考えられる。トナー同士が固着しやすくなったために、粒子画像より2個以上の粒子がぶどう状に結合した粒子の数の全測定粒子に対する割合は23.4[%]であり、実施例1及び実施例2に比べ大幅に悪化していた。
以上の結果から、実施例1〜5は、比較例1よりも、液滴吐出が安定し、搬送気流の温度に変化がなく、液滴の乾燥、捕集を安定的に行うことができ、粒子同士の合着を防止し、狭い粒径分布を有する粒子を製造できることが確認できた。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
気流路形成手段と、平面上に複数の吐出孔19を有し、該吐出孔19から樹脂及び溶媒を含有する樹脂組成液14を気流路内に吐出させて液滴21を形成する液滴形成手段11と、吐出孔面の面方向に平行な方向に流れるように高温の搬送気流41を気流路内に供給する気流供給手段と、高温の搬送気流中で乾燥させて固化した粒子を捕集する粒子捕集手段70とを備えた粒子製造装置1において、気流供給手段30は、吐出孔面に接触しながら流れるように供給する第1搬送気流41aと、該第1搬送気流41aを挟んで吐出孔面とは反対側を流れるように供給する第1搬送気流41aより高温の第2搬送気流41bとを気流路内に供給する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、第2搬送気流41bの温度より低く、吐出孔19の詰まりが発生しない温度の第1搬送気流41aを吐出孔面に接触させることで、吐出孔で樹脂組成液14が乾くことを抑制する。これにより、吐出孔19の詰りを抑制し詰っている吐出孔19の数を減少させることができる。また、第2搬送気流41bの温度は、液滴21を十分に乾燥させて固化できる温度であるが、第2搬送気流41bは第1搬送気流41aを挟んで吐出孔面とは反対側を流れるので吐出孔面には接触しない。このため、吐出孔で樹脂組成液14が乾燥することがなくなり、かつ粒子が形成される際の蒸発潜熱の量が狙いの値を保持できる。搬送気流の温度は狙いの温度になり、粒子同士が付着することなく固化され、狙いの粒径の粒子を形成することができる。これらにより、搬送気流が接触する吐出孔面の温度上昇を抑制しつつ、狭い粒径分布を有する粒子を製造できる。
(態様B)
(態様A)において、気流供給手段30は、気流路を挟んで吐出孔面とは反対側の、気流路を形成する部材の内壁面に接触しながら流れる第3搬送気流41cを気流路内に供給し、第3搬送気流41cは、第2搬送気流41bより低温である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、例えば環境温度が変動した場合、第3搬送気流41cの温度を調整すれば、その温度調整分で環境温度の変動分を相殺できる。このため、第1搬送気流41a、第2搬送気流41bや第3搬送気流41cの複数の搬送気流が混合した混合搬送気流を狙いの温度に保てる。この結果、液滴を十分に乾燥でき、粒子同士が付着することを抑制できる。よって、狭い粒径分布を有する粒子を製造することができる。
(態様C)
(態様A)又は(態様B)において、高温の搬送気流41の流れ方向に対し吐出孔の上流側に、吐出孔面に平行な気流になるよう複数の搬送気流を整える気流整流手段36等の整流手段を設ける。これによれば、上記実施形態について説明したように、第1搬送気流41a、第2搬送気流41b及び第3搬送気流41cの複数の搬送気流が互いに平行な気流を保ちながら流れることで、複数の搬送気流が混合することを抑制できる。これにより、第1搬送気流41aの温度を狙いの温度に保つことができ、吐出孔面の温度上昇を抑制でき、吐出孔の詰まりを抑制できる。
(態様D)
(態様A)〜(態様C)において、第1搬送気流41aの温度が、溶媒の沸点以下である。これによれば、上記実施形態について説明したように、溶媒の沸騰による吐出孔の詰まりを抑制できる。
(態様E)
(態様A)〜(態様D)において、第1搬送気流41aの温度が、溶媒の沸点より20[℃]以上低い。これによれば、上記実施形態について説明したように、溶媒の沸騰による吐出孔の詰まりを抑制できる。
(態様F)
気流路形成手段と、平面上に複数の吐出孔19を有し、該吐出孔19から樹脂及び溶媒を含有する樹脂組成液14を気流路内に吐出させて液滴21を形成する液滴形成手段11と、吐出孔面の面方向に平行な方向に流れるように高温の搬送気流41を気流路内に供給する気流供給手段と、高温の搬送気流中で乾燥させて固化した粒子を捕集する粒子捕集手段70とを備えた粒子製造装置1において、気流供給手段30は、気流路を挟んで吐出孔面と反対側の、気流路を形成する部材の内壁面に接触しながら流れるように供給する第1搬送気流と、第1搬送気流を挟んで内壁面とは反対側を流れるように供給する第1搬送気流より高温の第2搬送気流とを気流路内に供給する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、環境温度が変動した場合には、その環境温度の変動に応じて、高温の第2搬送気流とは別に内壁面に接触しながら流れるように供給している第1搬送気流の温度を調整すれば、その温度調整分で環境温度の変動分を相殺できる。よって、第1搬送気流や第2搬送気流が混合した混合搬送気流を狙いの温度に保てる。これにより、液滴を十分に乾燥でき、粒子同士が付着することを抑制でき、狭い粒径分布を有する粒子を製造できる。
(態様G)
(態様A)〜(態様F)において、液滴形成手段は、複数の吐出孔が形成された液柱共鳴室内の樹脂組成液に振動を付与して液柱共鳴による圧力定在波を形成し、該圧力定在波の腹となる領域に形成された複数の吐出孔から樹脂組成液を吐出させて液滴を形成する。これによれば、上記実施形態について説明したように、圧力定在波の圧力が最も大きく変動する腹の領域に吐出孔を配置することで吐出効率が高くなり、粒子を効率よく製造することができる。圧力定在波の腹の周期に応じて互いに略同一液量の複数の液滴が吐出孔から連続的に吐出されることで、狭い粒径分布を有する粒子を製造することができる。
(態様H)
(態様A)〜(態様F)において、液滴形成手段は、複数の吐出孔と振動手段を有する液貯留部に該振動手段により振動を加えながら、液貯留部内の樹脂組成液を加圧し、複数の吐出孔から吐出した樹脂組成液が柱状から括れ状態を経て液滴を形成する。これによれば、上記実施形態について説明したように、高い振動周波数で液貯留部を振動させることで吐出孔から形成される液滴の数を比較的多くでき、吐出孔の閉塞が起こりづらい。このため、均一な液滴径の液滴が得られ、十分な生産性を得ることができる。
(態様I)
平面上に複数の吐出孔19を有し、該吐出孔19から樹脂及び溶媒を含有する樹脂組成液14を気流路内に吐出させ、液滴21を形成し、吐出孔面の面方向に平行な方向に流れるように高温の搬送気流41を気流路内に供給し、高温の搬送気流中で乾燥させて固化し、粒子を形成し、粒子を捕集する粒子製造方法において、吐出孔面に接触しながら流れるように供給する第1搬送気流41aと、該第1搬送気流41aを挟んで吐出孔面とは反対側を流れるように供給する第1搬送気流41aより高温の第2搬送気流41bとを気流路内に供給する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、第2搬送気流41bの温度より低く、吐出孔19の詰まりが発生しない温度の第1搬送気流41aを吐出孔面に接触させることで、吐出孔で樹脂組成液14が乾くことを抑制する。これにより、吐出孔19の詰りを抑制し詰っている吐出孔19の数を減少させることができる。また、第2搬送気流41bの温度は、液滴21を十分に乾燥させて固化できる温度であるが、第2搬送気流41bは第1搬送気流41aを挟んで吐出孔面とは反対側を流れるので吐出孔面には接触しない。このため、吐出孔で樹脂組成液14が乾燥することはなく、かつ粒子が形成される際の蒸発潜熱の量が狙いの値を保持できる。搬送気流の温度は狙いの温度になり、粒子同士が付着することなく固化され、狙いの粒径の粒子を形成することができる。これらにより、搬送気流が接触する吐出孔面の温度上昇を抑制しつつ、狭い粒径分布を有する粒子を製造できる。
(態様J)
平面上に複数の吐出孔19を有し、該吐出孔19から樹脂及び溶媒を含有する樹脂組成液14を気流路内に吐出させ、液滴21を形成し、吐出孔面の面方向に平行な方向に流れるように高温の搬送気流41を気流路内に供給し、高温の搬送気流中で乾燥させて固化し、粒子を形成し、粒子を捕集する粒子製造方法において、気流路を挟んで吐出孔面と反対側の、気流路を形成する部材の内壁面に接触しながら流れるように供給する第1搬送気流と、第1搬送気流を挟んで内壁面とは反対側を流れるように供給する第1搬送気流より高温の第2搬送気流とを気流路内に供給する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、環境温度が変動した場合には、その環境温度の変動に応じて、高温の第2搬送気流とは別に内壁面に接触しながら流れるように供給している第1搬送気流の温度を調整すれば、その温度調整分で環境温度の変動分を相殺できる。よって、第1搬送気流や第2搬送気流が混合した混合搬送気流を狙いの温度に保てる。これにより、液滴を十分に乾燥でき、粒子同士が付着することを抑制でき、狭い粒径分布を有する粒子を製造できる。
1 粒子製造装置
11 液滴形成手段
14 樹脂組成液
17 液共通供給路
18 液柱共鳴液室
19 吐出孔
20 振動発生手段
21 液滴
22 振動板
30 気流供給手段
31 第1気流供給手段
32 第2気流供給手段
33 第1気流路
34 第2気流路
35 気流分配手段
36 気流整流手段
37 第3気流供給手段
38 第3気流路
41 搬送気流
41a 第1搬送気流
41b 第2搬送気流
41c 第3搬送気流
60 粒子形成手段
61 チャンバー
64 搬送気流導入口
65 搬送気流排出口
70 粒子捕集手段
71 粒子捕集部
72 粒子貯留部
100 液滴形成ユニット
101 液貯留部
102 振動発生手段
103 吐出孔
104 配管
特許第3786034号公報 特許第3786035号公報 特開昭57−201248号公報 特開2006−293320号公報 特開2013−047767号公報 特開2013−063406号公報
Rayleigh, Lord "On the Instability of Jets" Proc. London Math. Soc. 110:4 [1878] Schneider J. M., C. D. Hendricks, Rev. Instrum. 35 (10), 1349-50[1964] Lindblad N. R. and J. M. Schneider, J. Sci. Instrum. 42, 635 [1965]

Claims (6)

  1. 気流路形成手段と、平面上に複数の吐出孔を有し、該吐出孔から樹脂及び溶媒を含有する樹脂組成液を気流路内に吐出させて液滴を形成する液滴形成手段と、吐出孔面の面方向に平行な方向に流れるように高温の搬送気流を前記気流路内に供給する気流供給手段と、前記高温の搬送気流中で乾燥させて固化した粒子を捕集する捕集手段とを備えた粒子製造装置において、
    前記気流供給手段は、前記吐出孔面に接触しながら流れるように供給する第1搬送気流と、該第1搬送気流を挟んで前記吐出孔面とは反対側を流れるように供給する前記第1搬送気流より高温の第2搬送気流と、前記第1搬送気流と前記第2搬送気流とをともに挟んで前記吐出孔面とは反対側の、前記気流路を形成する部材の内壁面に接触しながら流れるように供給する前記第2搬送気流より低温の第3搬送気流とを前記気流路内に供給し、
    前記第3搬送気流の温度は環境温度の変動に応じて調整可能であり、
    前記高温の搬送気流の流れ方向に対し前記吐出孔の上流側に、前記吐出孔面に平行な気流になるよう複数の搬送気流を整える孔径が0.1[mm]〜10[mm]のハニカム形状の整流手段を設けることを特徴とする粒子製造装置
  2. 求項1に記載の粒子製造装置において、
    前記第1搬送気流の温度が、前記溶媒の沸点以下であることを特徴とする粒子製造装置。
  3. 請求項1または2に記載の粒子製造装置において、
    前記第1搬送気流の温度が、前記溶媒の沸点より20[℃]以上低いことを特徴とする粒子製造装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の粒子製造装置において、
    前記液滴形成手段は、複数の吐出孔が形成された液柱共鳴室内の前記樹脂組成液に振動を付与して液柱共鳴による圧力定在波を形成し、該圧力定在波の腹となる領域に形成された前記複数の吐出孔から前記樹脂組成液を吐出させて液滴を形成することを特徴する粒子製造装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の粒子製造装置において、
    前記液滴形成手段は、複数の吐出孔と振動手段を有する液貯留部に該振動手段により振動を加えながら、前記液貯留部内の樹脂組成液を加圧し、前記複数の吐出孔から吐出した前記樹脂組成液が柱状から括れ状態を経て液滴を形成することを特徴とする粒子製造装置。
  6. 平面上に複数の吐出孔を有し、該吐出孔から樹脂及び溶媒を含有する樹脂組成液を気流路内に吐出させ、液滴を形成し、吐出孔面の面方向に平行な方向に流れるように高温の搬送気流を前記気流路内に供給し、前記高温の搬送気流中で乾燥させて固化し、粒子を形成し、前記粒子を捕集する粒子製造方法において、
    前記吐出孔面に接触しながら流れるように供給する第1搬送気流と、該第1搬送気流を挟んで前記吐出孔面とは反対側を流れるように供給する前記第1搬送気流より高温の第2搬送気流と、前記第1搬送気流と前記第2搬送気流とをともに挟んで前記吐出孔面とは反対側の、前記気流路を形成する部材の内壁面に接触しながら流れるように供給する前記第2搬送気流より低温の第3搬送気流とを前記気流路内に供給し、
    前記第3搬送気流の温度は環境温度の変動に応じて調整可能であり、
    前記高温の搬送気流の流れ方向に対し前記吐出孔の上流側に設けた孔径が0.1[mm]〜10[mm]のハニカム形状の整流手段により、前記吐出孔面に平行な気流になるよう複数の搬送気流を整えることを特徴とする粒子製造方法。
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