JP6515703B2 - 熱可塑性樹脂成形体の製造方法、及び熱可塑性樹脂成形体 - Google Patents
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Description
[1]:押出機を用いて熱可塑性樹脂成形体を製造する方法であって、
押出機は、樹脂温度T1において熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を排出して成形した押出機であり、熱可塑性樹脂組成物Aが内部に残留しており、
方法は、
熱可塑性樹脂組成物Bを前記押出機に供給することにより、押出機に残留している熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を樹脂温度T2で押出機から排出することにより、熱可塑性樹脂組成物Aを熱可塑性樹脂組成物Bに置換することを特徴とし、
前記熱可塑性樹脂組成物Aと熱可塑性樹脂組成物Bとは組成において異なり、かつ、
T1およびT2は、下記(1)の関係式を満たす、方法。
(1)T1<T2
[2]:上記[1]に記載の方法であって、
熱可塑性樹脂組成物Aを熱可塑性樹脂組成物Bに置換した後に、続けて、熱可塑性樹脂組成物Bを前記押出機にさらに供給して、前記熱可塑性樹脂組成物Bの溶融物を樹脂温度T3’で押出機から排出して成形することを含み、
T2およびT3’は、下記(2)の関係式を満たす、方法。
(2)T2>T3’
[3]:上記[1]に記載の方法であって、
熱可塑性樹脂組成物Aを熱可塑性樹脂組成物Bに置換した後に、続けて、熱可塑性樹脂組成物Cを前記押出機にさらに供給して、押出機に残留している熱可塑性樹脂組成物Bの溶融物を樹脂温度T3で押出機から排出することにより、熱可塑性樹脂組成物Bを熱可塑性樹脂組成物Cにさらに置換することと、
熱可塑性樹脂組成物Cを前記押出機にさらに供給して、前記熱可塑性樹脂組成物Cの溶融物を樹脂温度T4で押出機から排出して成形することを含み、
前記熱可塑性樹脂組成物Bと熱可塑性樹脂組成物Cとは組成において異なり、かつ、
T3およびT4は、下記(3)の関係式を満たす、方法。
(3)T3>T4
[4]:押出機を用いて熱可塑性樹脂成形体を製造する方法であって、
熱可塑性樹脂組成物Aを前記押出機に供給し、熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を樹脂温度T1で押出機から排出して成形し、熱可塑性樹脂成形体を得ることと、
熱可塑性樹脂組成物Bを前記押出機に供給することにより、押出機に残留している熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を樹脂温度T2で押出機から排出することと、
熱可塑性樹脂組成物Bを前記押出機にさらに供給して、前記熱可塑性樹脂組成物Bの溶融物を樹脂温度T3’で押出機から排出して成形し、さらなる熱可塑性樹脂成形体を得ることと、
を含み、
前記熱可塑性樹脂組成物Aと熱可塑性樹脂組成物Bとは組成において異なり、かつ、
T1、T2およびT3’は、下記(1)および(2)の関係式を満たす、方法。
(1)T1<T2
(2)T2>T3’
[5]:押出機を用いて熱可塑性樹脂成形体を製造する方法であって、
熱可塑性樹脂組成物Aを前記押出機に供給し、熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を樹脂温度T1で押出機から排出して成形し、熱可塑性樹脂成形体を得ることと、
熱可塑性樹脂組成物Bを前記押出機に供給することにより、押出機に残留している熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を樹脂温度T2で押出機から排出することと、
熱可塑性樹脂組成物Cを前記押出機にさらに供給して、前記熱可塑性樹脂組成物Bの溶融物を樹脂温度T3で押出機から排出することにより、熱可塑性樹脂組成物Bを熱可塑性樹脂組成物Cでさらに置換することと、
熱可塑性樹脂組成物Cを前記押出機にさらに供給して、前記熱可塑性樹脂組成物Cの溶融物を樹脂温度T4で押出機から排出して成形し、さらなる熱可塑性樹脂成形体を得ることと、
を含み、
前記熱可塑性樹脂組成物Aと熱可塑性樹脂組成物Bと熱可塑性樹脂組成物Cとは組成において異なり、かつ、
T1、T2、T3およびT4は、下記のすべての関係式を満たす、方法。
(1)T1<T2
(3)T3>T4
[6]:温度240℃条件下における、せん断速度96(1/sec)での熱可塑性樹脂組成物Aと熱可塑性樹脂組成物Bとの溶融粘度差が、500Pa・s以下である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
[7]:温度240℃条件下における、せん断速度96(1/sec)での熱可塑性樹脂組成物Bと熱可塑性樹脂組成物Cとの溶融粘度差が、500Pa・s以下である、上記[3]または[5]に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
[8]:熱可塑性樹脂成形体がペレットまたはフィルムである、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
[9]:熱可塑性樹脂組成物がアクリル樹脂組成物である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
[10]:熱可塑性樹脂組成物がゴム含有重合体を含む熱可塑性樹脂組成物である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
[11]:[1]〜[10]のいずれかに記載の製造方法によって製造された、熱可塑性樹脂成形体。
[12]:押出機内の熱可塑性樹脂組成物を別の熱可塑性樹脂組成物で置換する方法であって、
押出機は、樹脂温度T1において熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を排出して成形した押出機であり、熱可塑性樹脂組成物Aが内部に残留しており、
方法は、
熱可塑性樹脂組成物Bを前記押出機に供給することにより、押出機に残留している熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を樹脂温度T2で押出機から排出して、熱可塑性樹脂組成物Aを熱可塑性樹脂組成物Bに置換することを特徴とし、
前記熱可塑性樹脂組成物Aと熱可塑性樹脂組成物Bとは組成において異なり、かつ、
T1およびT2は、下記(1)の関係式を満たす、方法。
(1)T1<T2
本発明によれば、押出機を用いて熱可塑性樹脂成形体を製造する方法であって、
押出機は、樹脂温度T1において熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を排出して成形した押出機であり、熱可塑性樹脂組成物Aが内部に残留しており、
方法は、
熱可塑性樹脂組成物Bを前記押出機に供給することにより、押出機に残留している熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を樹脂温度T2で押出機から排出することにより、熱可塑性樹脂組成物Aを熱可塑性樹脂組成物Bに置換することを特徴とし、
前記熱可塑性樹脂組成物Aと熱可塑性樹脂組成物Bとは組成において異なり、かつ、
T1およびT2は、下記(1)の関係式を満たす、方法:
(1)T1<T2
が提供される。ここで、熱可塑性樹脂組成物Bは、さらに別の熱可塑性樹脂組成物Cへの置換を効率化するための組成物であってもよいし、熱可塑性樹脂組成物B自身から成形体を得るための組成物であってもよい。本発明のある態様では、上記式において、(1)はT1+5℃≦T2とすることができる。
T2およびT3’は、下記(2)の関係式を満たす、方法:
(2)T2>T3’
としてもよい。本発明のある態様では、上記式において、(2)はT2−5℃≧T3’とすることができる。
熱可塑性樹脂組成物Cを前記押出機にさらに供給して、前記熱可塑性樹脂組成物Cの溶融物を樹脂温度T4で押出機から排出して成形することを含んでいてもよく、
前記熱可塑性樹脂組成物Bと熱可塑性樹脂組成物Cとは組成において異なり、かつ、
T3およびT4は、下記(3)の関係式を満たす、方法:
(3)T3>T4
としてもよい。本発明のある態様では、上記式において、(3)はT3−5℃≧T4とすることができる。
(α)熱可塑性樹脂組成物Aを前記押出機に供給し、熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を樹脂温度T1で押出機から排出して成形し、熱可塑性樹脂成形体を得ることと、
(A)熱可塑性樹脂組成物Bを前記押出機に供給することにより、押出機に残留している熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を樹脂温度T2で押出機から排出することと、
(B)熱可塑性樹脂組成物Bを前記押出機にさらに供給して、前記熱可塑性樹脂組成物Bの溶融物を樹脂温度T3’で押出機から排出して成形し、さらなる熱可塑性樹脂成形体を得ることと、
を含み、
前記熱可塑性樹脂組成物Aと熱可塑性樹脂組成物Bとは組成において異なり、かつ、
T1、T2およびT3’は、下記(1)および(2)の関係式を満たす、方法:
(1)T1<T2
(2)T2>T3’
が提供される。本発明のある態様では、上記式において、(1)はT1+5℃≦T2とし、(2)はT2−5℃≧T3’とすることができる。
押出機は、熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を排出して成形した押出機であり、熱可塑性樹脂組成物Aが内部に残留しており、
方法は、
(A)熱可塑性樹脂組成物Bを前記押出機に供給することにより、押出機に残留している熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を樹脂温度T2で押出機から排出することと、
(B)熱可塑性樹脂組成物Bを前記押出機にさらに供給して、前記熱可塑性樹脂組成物Bの溶融物を樹脂温度T3’で押出機から排出して成形し、熱可塑性樹脂成形体を得ることと、
を含み、
前記熱可塑性樹脂組成物Aと熱可塑性樹脂組成物Bとは組成において異なり、かつ、
T1、T2およびT3’は、下記(1)および(2)の関係式を満たす、方法:
(1)T1<T2
(2)T2>T3’
が提供される。本発明のある態様では、上記式において、(1)はT1+5℃≦T2とし、(2)はT2−5℃≧T3’とすることができる。
以下の説明において「熱可塑性樹脂組成物」を「熱可塑性樹脂組成物A」、「熱可塑性樹脂組成物B」、及び「熱可塑性樹脂組成物C」と呼ぶことがある。このとき、熱可塑性樹脂組成物AとBとは組成において異なり、熱可塑性樹脂組成物BとCとは組成において異なり、熱可塑性樹脂組成物AとCとは組成において異なる。
本明細書では、「アクリル酸アルキル」および「メタクリル酸アルキル」とはそれぞれ、アクリル酸のアルキルエステルおよびメタクリル酸のアルキルエステルを意味する。本明細書ではまた、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。本明細書ではさらに、「(メタ)アクリル酸アルキル」とは、アクリル酸アルキルおよび/またはメタクリル酸アルキルを意味する。
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂組成物はゴム含有重合体を含むことができる。このゴム含有重合体は以下に示すゴム含有重合体(G)であることが好ましい。
ゴム含有重合体(G)は、アクリル酸アルキルを全単量体単位に対して30質量%以上含む単量体成分(a)を重合してゴム重合体(A)を製造する工程、及び、該ゴム重合体(A)の存在下にメタクリル酸アルキルを51質量%以上含む単量体成分(b)を重合する工程を経て製造される重合体とすることができる。単量体成分(a)は、それを単独で重合して得られる重合体のガラス転移温度(Tg)が−50〜25℃となる成分であることが好ましい。また、単量体成分(b)は、それを単独で重合して得られる重合体のガラス転移温度(Tg)が70〜120℃となる成分であることが好ましい。
先ずゴム含有重合体(G)の単量体成分を説明し、次いで重合体の具体的製造方法を説明する。
単量体成分(a)は、単量体の総量に対してアクリル酸アルキルを30質量%以上含む単量体混合物であって、多段階重合工程を実施する場合は一段目の重合工程の原料となる単量体混合物である。単量体成分(a)を原料として重合することによってゴム重合体(A)が製造される。
単量体成分(b)は、多段階重合工程を実施する場合は、最終段目の重合の原料となる単量体混合物であり、ゴム含有重合体(G)の成形性、および/または機械的性質に関与する成分である。単量体成分(b)中のメタクリル酸アルキルとしては、単量体成分(a)の説明において「単量体(a2)」として挙げた単量体からなる群から選択される一種以上の単量体を用いることができる。単量体成分(b)中の、メタクリル酸アルキル以外の他の単量体としては、アクリル酸アルキル、及び、これらと共重合可能な二重結合を1個有する他の単量体(以下、「単官能性単量体(b3)」という場合がある。)を挙げることができる。アクリル酸アルキルとしては、「単量体(a1)」として挙げた単量体からなる群から選択される一種以上の単量体を用いることができる。単官能性単量体(b3)としては、「単官能性単量体(a3)」として挙げた単量体からなる群から選択される一種以上の単量体を用いることができる。単量体成分(b)を乳化重合する工程は、二段以上とすることができる。
単量体成分(a)を重合してゴム重合体(A)を製造する工程に先立ち、それを単独で重合して得られる重合体のTgが70〜120℃となる成分(s)を乳化重合する工程を含むことができる。単量体成分(s)としては単量体成分(b)と同じものを挙げることができる。
単量体成分(a)を重合してゴム重合体(A)を製造する工程、及び、該ゴム重合体(A)の存在下に単量体成分(b)を重合する工程の間には、単量体成分(c)を乳化重合する工程を含むことができる。単量体成分(c)としては、アクリル酸アルキル9.9〜90質量%、メタクリル酸アルキル0〜90質量%、これらと共重合可能な二重結合を1個有する他の単量体0〜20質量%、及び多官能性単量体0.1〜10質量%を含む混合物が挙げられる。ここで用いられる他の単量体及び多官能性単量体としては、前述の単官能性単量体(a3)および多官能性単量体(a4)が挙げられる。
ゴム含有重合体(G)の製造法としては、例えば、逐次多段乳化重合法が挙げられる。3段階で重合する方法として、ゴム状重合体(A)を得るための単量体成分(a)、水及び界面活性剤を混合して乳化液とした状態で重合容器内に供給して重合した後に、単量体成分(c)を重合容器内に供給して重合し、さらに単量体成分(b)、水及び界面活性剤を混合して乳化液とした状態で重合容器内に供給して重合する方法が挙げられる。なお、単量体成分(c)を重合容器内に供給して重合する工程は、必要に応じて行われる工程であり、2段階で重合してもよい。すなわち、ゴム含有重合体(G)は、ゴム状重合体(A)を得るための単量体成分(a)、水及び界面活性剤を混合して乳化液とした状態で重合容器内に供給して重合した後に、単量体成分(b)、水及び界面活性剤を混合して乳化液とした状態で重合容器内に供給して重合してもよい。
本発明のアクリル樹脂組成物には、必要に応じて、例えば安定剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃助剤、発泡剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤等の配合剤を含むことができる。
特にアクリル樹脂成形体がアクリル樹脂フィルムであって基材の保護層として使用される際は、耐候性を付与するためにアクリル樹脂組成物中には紫外線吸収剤が含有されていることが好ましい。紫外線吸収剤の種類は、特に限定されないが、分子量400以上のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、分子量400以上のトリアジン系紫外線吸収剤が特に好ましい。前者の市販品としては、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)の商品名チヌビン234、(株)ADEKAの商品名アデカスタブLA−31、後者の市販品としては、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)の商品名チヌビン1577、(株)ADEKAの商品名アデカスタブLA−46等が挙げられる。
本発明に用いることができる押出機としては、例えば、一軸、同方向二軸、異方向二軸等の一般的な装置が挙げられる。
熱可塑性樹脂成形体が後述するペレットである場合、好ましい押出機は、二軸混練押出機等の混練効果の大きい装置である。好ましい二軸押出機としては、東芝機械(株)製のTEMシリーズなどが挙げられる。また、スクリュー構成としては、熱可塑性樹脂組成物を搬送する搬送部とニーディングゾーンや溶融物の送り方向が逆のスクリューセグメント(螺旋の巻き方向が逆のスクリューセグメント)など熱可塑性樹脂組成物を混練するための混練部を有するスクリュー構成が挙げられる。
本発明の樹脂温度は、押出機のヘッド部で計測される熱可塑性樹脂組成物の溶融物の樹脂温度を示す。樹脂温度は熱可塑性樹脂組成物を溶融することができる温度であれば特に限定されない。
本発明の溶融粘度は、温度240℃条件下における、せん断速度96(1/sec)での熱可塑性樹脂組成物の溶融粘度を示す。
本発明によって得られる熱可塑性樹脂成形体としては、例えば、ペレット、フィルム、積層フィルム、シート等が挙げられるが、押出機を用いた熱可塑性樹脂成形体であれば特に限定されない。
本発明によって得られる熱可塑性樹脂成形体がフィルムである場合、溶融流延法や、Tダイ法、インフレーション法などの公知の方法によって製造することができるが、経済性の点からTダイ法が好ましい。
また、本発明によって得られる熱可塑性樹脂成形体がフィルムである場合、フィルムの表面には他の樹脂を積層することができる。例えば、表面硬度が必要な場合は、表面硬度が高いアクリル樹脂を用いることが好ましい。具体的には、鉛筆硬度(JIS K5400に基づく測定)が2H以上のアクリル樹脂を用いることによって、耐成形白化、表面硬度(耐擦傷性)、及び耐熱性を備えたアクリル樹脂積層フィルムが得られるため、好ましい。
本発明によって得られる熱可塑性樹脂成形体がフィルムである場合、フィルムの厚みは300μm以下が好ましい。積層成形品に用いる場合は、その厚みは50μm〜300μmが好ましい。この厚みが50μm以上であると、成形品外観において十分な深みが得られる。また特に、複雑な形状に成形する場合、延伸によって十分な厚みが得られる。一方、厚みが300μm以下であると、適度な剛性を有することになるので、ラミネート性、二次加工性等が向上する。また、単位面積あたりの質量の点で、経済的に有利になる。さらには、製膜性が安定してフィルムの製造が容易になる。
上述した処理の中でも、印刷処理を施す場合には、フィルムに片側印刷処理を行うことが好ましく、中でも、印刷面を基材樹脂との接着面に配した裏面印刷が、印刷面の保護や高級感の付与の点から特に好ましい。
また、本発明のフィルムは、基材に積層することができる。例えば、アクリル樹脂フィルムを透明のまま使用し、基材上に積層すれば、クリアな塗装の代替として用いることができ、基材の色調を生かすことができる。このように基材の色調を生かす用途においては、アクリル樹脂フィルムは、ポリ塩化ビニルフィルムやポリエステルフィルムに比べ、透明性、深み感や高級感の点で優れている。
(溶融粘度)
ツインキャピラリー型レオメーター(ロザンド製、RH7)を用い、バーグレー補正とラビノビッチ補正によって演算された温度240℃およびせん断速度96(1/sec)での溶融粘度を測定した。
(MFR)
メルトインデクサー((株)テクノ・セブン製、L243)を用い、温度230℃、荷重10kgfにて単位時間当たりの吐出量を測定し、g/10minのMFR値を算出した。
(樹脂置換性)
押出機出口からの溶融樹脂を目視にて観察し、黒色樹脂から透明樹脂への切替を下記基準にて評価した。
○:カーボンブラック由来の黒色が最後まで溶融樹脂に残っていない。
×:カーボンブラック由来の黒色が最後まで溶融樹脂に残っている。
(洗浄性)
二軸押出機、及び単軸押出機を分解し、シリンダー内及びダイス壁面の観察を行い、下記基準にて判断した。
○:カーボンブラック由来の黒色が壁面に残っていない。
×:カーボンブラック由来の黒色が壁面に残っている。
(透過率)
厚み300μmで得られたフィルムを分光光度計にて測定し、波長600nmでの透過率を測定した。製膜開始から1kg吐出時点、3kg吐出時点での透過率を表4に示す。
攪拌機を備えた容器内に脱イオン水10.8部を仕込んだ後、MMA0.3部、n−BA4.5部、BDMA0.2部、AMA0.05部およびCHP0.025部からなる単量体成分(i−a−1)を投入し、室温下にて攪拌混合した。次いで、攪拌しながら、界面活性剤A1.3部を上記容器内に投入し、攪拌を20分間継続して「乳化液1」を調製した。
続いて、MMA6部、MA4部、AMA0.075部およびCHP0.013部からなる単量体成分(i−c)を、45分間にわたって前記重合容器内に滴下した後、60分間反応を継続させ、重合体(I−C)を形成させた。なお、重合体(I−C)用の単量体成分を、別個に、前記と同条件で重合した場合、重合体(I−C)のTgは60℃であった。
還流冷却器付き重合容器内に脱イオン水186.3部を投入し、79℃に昇温した。さらに、脱イオン水3.4部にソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.25部、硫酸第一鉄0.000025部およびEDTA0.000075部を加えた混合物を調製し、この混合物を前記重合容器内に投入した。
表3に示す熱可塑性樹脂組成物1(黒色樹脂)として、調整例1で得られたゴム含有多段重合体(I)75部、熱可塑性重合体として三菱レイヨン(株)製「アクリペットVH」25部に、配合剤としてBASF社製「チヌビン234」1.4部、(株)ADEKA製「アデカスタブLA−57G」0.3部、BASF社製「イルガノックス1076」0.1部、カーボンブラック2部を添加した後、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、得られた混合物を二軸押出機(東芝機械(株)製のTEM−35B)を用いてシリンダー温度及びダイス温度を240℃(押出条件1)に設定して3kgを押出した、樹脂温度T1は247℃であった。次いで、二軸押出機のシリンダー温度及びダイス温度を280℃に設定した後、1時間の昇温を行った。続いて、表3に示す熱可塑性樹脂組成物2(透明樹脂)を、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、得られた混合物を表4に示す押出条件2で10.4kgを押出して、押出開始からφ3mmのストランドを得た、樹脂温度T2は278℃であった。熱可塑性樹脂組成物2(透明樹脂)を押出した後、二軸押出機を分解しシリンダー内及びダイス壁面の観察を行った。
表3に示す熱可塑性樹脂組成物1(黒色樹脂)を、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、得られた混合物を二軸押出機(東芝機械(株)製のTEM−35B)を用いてシリンダー温度及びダイス温度を240℃(押出条件1)に設定して3kgを押出した、樹脂温度T1は249℃であった。次いで、二軸押出機のシリンダー温度及びダイス温度を200℃に設定した後、1時間の昇温を行った。続いて、表3に示す熱可塑性樹脂組成物2(透明樹脂)を、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、得られた混合物を表4に示す押出条件2で11.0kgを押出して、押出開始からφ3mmのストランドを得た、樹脂温度T2は226℃であった。熱可塑性樹脂組成物2(透明樹脂)を押出した後、二軸押出機を分解しシリンダー内及びダイス壁面の観察を行った。樹脂置換性及び洗浄性を評価した結果を表4に示す。
表3に示す熱可塑性樹脂組成物3(黒色樹脂)として、調整例1で得られたゴム含有多段重合体(I)80部、調整例2で得られたゴム含有多段重合体(II)10部、熱可塑性重合体として三菱レイヨン(株)製「アクリペットMD」10部に、配合剤としてBASF社製「チヌビン234」1.4部、(株)ADEKA製「アデカスタブLA−57G」0.3部、BASF社製「イルガノックス1076」0.1部、カーボンブラック2部を添加した後、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、得られた混合物を乾燥した後、150mm幅のT−ダイ付き単軸押出機((株)ジー・エム・エンジニアリング製のGM30)にて表4に示す条件で3kgを製膜した、樹脂温度T1は241℃であった。次いで、T−ダイ付き単軸押出機のシリンダー温度及びダイス温度を280℃に設定した後、1時間の昇温を行った。続いで、表3に示す熱可塑性樹脂組成物2(透明樹脂)を、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、得られた混合物を乾燥した後、表4に示す条件で7.3kgを押出して厚み300μmのフィルムを得た、樹脂温度T2は258℃であった。熱可塑性樹脂組成物2(透明樹脂)を押出した後、T−ダイ付き単軸押出機を分解しシリンダー内及びダイス壁面の観察を行った。樹脂置換性及び洗浄性を評価した結果を表4に示す。
表3に示す熱可塑性樹脂組成物3(黒色樹脂)を、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、得られた混合物を乾燥した後、150mm幅のT−ダイ付き単軸押出機((株)ジー・エム・エンジニアリング製のGM30)にて表4に示す条件で3kgを製膜した、樹脂温度T1は240℃であった。次いで、T−ダイ付き単軸押出機のシリンダー温度及びダイス温度を230℃に設定した後、1時間の昇温を行った。続いで、表3に示す熱可塑性樹脂組成物2(透明樹脂)を、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、得られた混合物を乾燥した後、表4に示す条件で7.0kgを押出して厚み300μmのフィルムを得た、樹脂温度T2は221℃であった。熱可塑性樹脂組成物2(透明樹脂)を押出した後、T−ダイ付き単軸押出機を分解しシリンダー内及びダイス壁面の観察を行った。樹脂置換性及び洗浄性を評価した結果を表4に示す。
Claims (9)
- 押出機を用いて熱可塑性樹脂成形体を製造する方法であって、
押出機は、樹脂温度T1において熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を排出して成形した押出機であり、熱可塑性樹脂組成物Aが内部に残留しており、
方法は、
熱可塑性樹脂組成物Bを前記押出機に供給することにより、押出機に残留している熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を樹脂温度T2で押出機から排出することにより、熱可塑性樹脂組成物Aを熱可塑性樹脂組成物Bに置換することを特徴とし、
前記熱可塑性樹脂組成物Aと熱可塑性樹脂組成物Bとは組成において異なり、かつ、
T1およびT2は、下記(1)の関係式を満たし、
(1)T1<T2
熱可塑性樹脂組成物Aを熱可塑性樹脂組成物Bに置換した後に、続けて、熱可塑性樹脂組成物Bを前記押出機にさらに供給して、前記熱可塑性樹脂組成物Bの溶融物を樹脂温度T3’で押出機から排出して成形することを含み、
T2およびT3’は、下記(2)の関係式を満たす、方法。
(2)T2>T3’ - 請求項1に記載の方法であって、
熱可塑性樹脂組成物Aを熱可塑性樹脂組成物Bに置換した後に、続けて、熱可塑性樹脂組成物Cを前記押出機にさらに供給して、押出機に残留している熱可塑性樹脂組成物Bの溶融物を樹脂温度T3で押出機から排出することにより、熱可塑性樹脂組成物Bを熱可塑性樹脂組成物Cにさらに置換することと、
熱可塑性樹脂組成物Cを前記押出機にさらに供給して、前記熱可塑性樹脂組成物Cの溶融物を樹脂温度T4で押出機から排出して成形することを含み、
前記熱可塑性樹脂組成物Bと熱可塑性樹脂組成物Cとは組成において異なり、かつ、
T3およびT4は、下記(3)の関係式を満たす、方法。
(3)T3>T4 - 押出機を用いて熱可塑性樹脂成形体を製造する方法であって、
熱可塑性樹脂組成物Aを前記押出機に供給し、熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を樹脂温度T1で押出機から排出して成形し、熱可塑性樹脂成形体を得ることと、
熱可塑性樹脂組成物Bを前記押出機に供給することにより、押出機に残留している熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を樹脂温度T2で押出機から排出することと、
熱可塑性樹脂組成物Bを前記押出機にさらに供給して、前記熱可塑性樹脂組成物Bの溶融物を樹脂温度T3’で押出機から排出して成形し、さらなる熱可塑性樹脂成形体を得ることと、
を含み、
前記熱可塑性樹脂組成物Aと熱可塑性樹脂組成物Bとは組成において異なり、かつ、
T1、T2およびT3’は、下記(1)および(2)の関係式を満たす、方法。
(1)T1<T2
(2)T2>T3’ - 押出機を用いて熱可塑性樹脂成形体を製造する方法であって、
熱可塑性樹脂組成物Aを前記押出機に供給し、熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を樹脂温度T1で押出機から排出して成形し、熱可塑性樹脂成形体を得ることと、
熱可塑性樹脂組成物Bを前記押出機に供給することにより、押出機に残留している熱可塑性樹脂組成物Aの溶融物を樹脂温度T2で押出機から排出することと、 熱可塑性樹脂組成物Cを前記押出機にさらに供給して、前記熱可塑性樹脂組成物Bの溶融物を樹脂温度T3で押出機から排出することにより、熱可塑性樹脂組成物Bを熱可塑性樹脂組成物Cでさらに置換することと、
熱可塑性樹脂組成物Cを前記押出機にさらに供給して、前記熱可塑性樹脂組成物Cの溶融物を樹脂温度T4で押出機から排出して成形し、さらなる熱可塑性樹脂成形体を得ることと、
を含み、
前記熱可塑性樹脂組成物Aと熱可塑性樹脂組成物Bと熱可塑性樹脂組成物Cとは組成において異なり、かつ、
T1、T2、T3およびT4は、下記のすべての関係式を満たす、方法。
(1)T1<T2
(3)T3>T4 - 温度240℃条件下における、せん断速度96(1/sec)での熱可塑性樹脂組成物Aと熱可塑性樹脂組成物Bとの溶融粘度差が、500Pa・s以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 温度240℃条件下における、せん断速度96(1/sec)での熱可塑性樹脂組成物Bと熱可塑性樹脂組成物Cとの溶融粘度差が、500Pa・s以下である、請求項2または4に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 熱可塑性樹脂成形体がペレットまたはフィルムである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 熱可塑性樹脂組成物がアクリル樹脂組成物である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 熱可塑性樹脂組成物がゴム含有重合体を含む熱可塑性樹脂組成物である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
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