JP6512537B1 - 車両の挙動制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このように構成された本発明においては、操舵角が所定角度(>0)未満であるときに目標ヨーモーメントを0に設定するので、制動手段による制動力の付与の終了指令から実際に車輪への制動力の付与が終了するまでの応答遅れによらずに、操舵角が0になったときに制動手段による制動力の付与を確実に終了させておくことができる。したがって、S字コーナー等の走行中において、ステアリング操作が切り戻し操作から切り込み操作へと切り替わるときに、つまり操舵角が0を跨ぐときに、制動制御手段による制御(第2の制御)による車両へのヨーモーメントの付与を確実に終了させておくことができる。これにより、操舵角が0を跨いだ後も制動制御手段による制御が実行され続けることで、制動制御手段による制御が実行されている状態において駆動制御手段による制御(第1の制御)が重ねて実行されることを抑制することができる。その結果、車両全体として制御介入が過剰な状態になり、ドライバに違和感を与えることを抑制することができる。
このように構成された本発明においては、操舵角が減少するにつれて、目標ヨーモーメントを0に向けて徐々に低減するので、車両へのヨーモーメントの付与が突然無くなり、車両挙動が大きく変化することで、ドライバに違和感を与えることを抑制することができる。
このように構成された本発明においては、旋回状態を表す値に応じて目標ヨーモーメントを設定するロジックを修正することなく、このロジックにより得られた目標ヨーモーメントに対してゲインを乗算する処理を行うだけで、操舵角が0のときに制動制御手段による制御を終了させることを適切に実現することができる。すなわち、操舵角0での車両へのヨーモーメントの付与の終了を、確実且つ簡易に実現することができる。
このように構成された本発明によれば、例えば圧雪路のような低μ路でステアリングホイールの操作を行った場合に、実ヨーレートの応答遅れに起因するヨーレート差の急激な変化に応じて直ちに旋回を抑える方向のヨーモーメントを車両に付与することができ、車両の挙動が不安定になる前の状況において、ドライバのステアリング操作に応じて素早く車両挙動を安定化させることができる。
このように構成された本発明によれば、ドライバのステアリング操作の速さに応じた大きさのヨーモーメントを車両の旋回を抑える方向に付与することができ、ドライバのステアリング操作に応じて素早く車両挙動を安定化させることができる。
このブレーキ制御システム18の少なくとも一部は、本発明における制動手段及び制動制御手段として機能する。
PCM14は、上述したセンサの検出信号の他、駆動制御システム4の運転状態を検出する各種センサが出力した検出信号に基づいて、駆動制御システム4の各部(例えば、スロットルバルブ、ターボ過給機、可変バルブ機構、点火装置、燃料噴射弁、EGR装置、バッテリ残量等)に対する制御を行うべく、制御信号を出力する。
これらのPCM14の各構成要素は、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを記憶するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
詳細は後述するが、PCM14は本発明における車両の挙動制御装置に相当し、目標ヨーモーメント設定手段及び駆動制御手段として機能する。
図3は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が実行する挙動制御処理のフローチャートであり、図4は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が付加減速度を設定する付加減速度設定処理のフローチャートであり、図5は、操舵速度と付加減速度との関係を示したマップであり、図6は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が目標ヨーモーメントを設定する付加減速度設定処理のフローチャートである。図5に示したマップは予め作成されメモリ等に記憶されている。
挙動制御処理が開始されると、図3に示すように、ステップS1において、PCM14は車両1の各種情報を取得する。具体的には、PCM14は、操舵角センサ8が検出した操舵角、車速センサ10が検出した車速、ヨーレートセンサ12が検出したヨーレート等を含む、上述した各種センサが出力した検出信号を取得する。
続いて、ステップS3において、PCM14のヨーモーメント設定部22は目標ヨーモーメント設定処理を実行し、車両1に付与すべき目標ヨーモーメントを設定する。
図4に示すように、付加減速度設定処理が開始されると、ステップS11において、付加減速度設定部20は、図3の挙動制御処理のステップS1において取得した操舵角に基づき操舵速度を算出する。
その結果、切り込み操作中且つ操舵速度が閾値S1以上である場合、ステップS13に進み、付加減速度設定部20は、操舵速度に基づき付加減速度を設定する。この付加減速度は、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するために、ステアリング操作に応じて車両1に付加すべき減速度である。
図5における横軸は操舵速度を示し、縦軸は付加減速度を示す。図5に示すように、操舵速度が閾値S1未満である場合、対応する付加減速度は0である。即ち、操舵速度が閾値S1未満である場合、PCM14は、ステアリング操作に基づき車両1に減速度を付加するための制御(具体的にはエンジンやモータの出力トルクの低減)を行わない。
一方、操舵速度が閾値S1以上である場合には、操舵速度が増大するに従って、この操舵速度に対応する付加減速度は、所定の上限値Dmaxに漸近する。即ち、操舵速度が増大するほど付加減速度は増大し、且つ、その増大量の増加割合は小さくなる。この上限値Dmaxは、ステアリング操作に応じて車両1に減速度を付加しても、制御介入があったとドライバが感じない程度の減速度に設定される(例えば0.5m/s2≒0.05G)。
さらに、操舵速度が閾値S1よりも大きい閾値S2以上の場合には、付加減速度は上限値Dmaxに維持される。
ステップS13の後、付加減速度設定部20は付加減速度設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
図6に示すように、目標ヨーモーメント設定処理が開始されると、ステップS21において、ヨーモーメント設定部22は、図3の挙動制御処理のステップS1において取得した操舵角及び車速に基づき目標ヨーレート及び目標横ジャークを算出する。
具体的には、ヨーモーメント設定部22は、車速に応じた係数を操舵角に乗ずることにより目標ヨーレートを算出する。また、ヨーモーメント設定部22は、目標ヨーレート及び車速から目標横加速度を算出し、この目標横加速度を時間微分することにより目標横ジャークを算出する。
その結果、切り戻し操作中且つヨーレート差の変化速度Δγ′が閾値Y1以上である場合、ステップS25に進み、ヨーモーメント設定部22は、ヨーレート差の変化速度Δγ′と、ステップS23で設定したゲインとに基づき、車両1の実ヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして設定する。具体的には、ヨーモーメント設定部22は、所定の係数Cm1をヨーレート差の変化速度Δγ′に乗ずることにより、基準となる目標ヨーモーメントの大きさを算出し、この基準となる目標ヨーモーメントに対してゲインを更に乗ずることにより、車両1に適用すべき目標ヨーモーメントの大きさを算出する。
具体的には、ヨーモーメント設定部22は、所定の係数Cm2を目標横ジャークに乗ずることにより、基準となる第2の目標ヨーモーメントの大きさを算出し、この基準となる第2の目標ヨーモーメントに対してゲインを更に乗ずることにより、車両1に適用すべき第2の目標ヨーモーメントの大きさを算出する。
ステップS29の後、ヨーモーメント設定部22は目標ヨーモーメント設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
2 駆動輪(前輪)
4 駆動制御システム
6 ステアリングホイール
8 操舵角センサ
10 車速センサ
12 ヨーレートセンサ
14 PCM
16 ブレーキ装置
18 ブレーキ制御システム
20 付加減速度設定部
22 ヨーモーメント設定部
Claims (5)
- 車両の駆動輪を駆動するためのトルクを出力する駆動手段と、左右の車輪に異なる制動力を付与可能な制動手段とを備えた車両の挙動制御装置であって、
操舵角を検出する操舵角検出手段と、
前記操舵角が増大している場合に、前記車両に付加すべき付加減速度を設定して、この付加減速度を実現するように前記駆動手段の出力トルクを減少させる駆動制御手段と、
前記操舵角が減少している場合に、前記車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを、前記車両に付与すべき目標ヨーモーメントとして設定する目標ヨーモーメント設定手段と、
前記目標ヨーモーメントを前記車両に付与するように前記制動手段を制御する制動制御手段と、
を有し、
前記目標ヨーモーメント設定手段は、前記操舵角が0よりも大きい所定角度未満であるときに、前記目標ヨーモーメントを0に設定して、前記制動制御手段による制御を終了させるようにし、
前記所定角度は、前記制動手段としてのブレーキ装置におけるブレーキ液圧の減圧特性に基づき設定される、ことを特徴とする車両の挙動制御装置。 - 前記目標ヨーモーメント設定手段は、前記操舵角が前記所定角度以上であるときに、前記操舵角が減少するにつれて、前記目標ヨーモーメントを0に向けて低減する、請求項1に記載の車両の挙動制御装置。
- 前記目標ヨーモーメント設定手段は、前記操舵角に基づき得られる車両の旋回状態を表す値に応じて前記目標ヨーモーメントを設定し、この目標ヨーモーメントに対して、前記操舵角に応じたゲインを乗算して得た目標ヨーモーメントを、前記制動制御手段に供給し、
前記ゲインは、前記操舵角に応じた1以下の値が設定されており、前記操舵角が前記所定角度未満であるときに値が0になるように設定されている、請求項1又は2に記載の車両の挙動制御装置。 - 前記旋回状態を表す値は、前記車両に実際に生じている実ヨーレートと前記操舵角に基づき算出された目標ヨーレートとの差の変化速度である、請求項3に記載の車両の挙動制御装置。
- 前記旋回状態を表す値は、前記操舵角に基づき算出された操舵速度である、請求項3又は4に記載の車両の挙動制御装置。
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