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JP6591546B2 - 統合失調症治療用の持続放出型製剤におけるアリピプラゾール誘導体の結晶化プロセス - Google Patents

統合失調症治療用の持続放出型製剤におけるアリピプラゾール誘導体の結晶化プロセス Download PDF

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Description

関連出願
本願は、2014年8月25日に出願された米国特許仮出願第62/041,341号の優先権を主張し、その内容の全体を参照により本明細書に援用する。
本発明は、アリピプラゾール・ラウロキシル及びアリピプラゾール・カボキシルを含むアリピプラゾール誘導体の結晶形の製造に関する。より詳細には、本発明は、アリピプラゾール・ラウロキシル及びアリピプラゾール・カボキシルの再結晶化を制御して、統合失調症及び他の精神疾患の治療用の持続放出型注射製剤に有用な粒子を製造することに関する。
アリピプラゾールは、双極性障害及び大うつ病性障害などの統合失調症及び他の精神疾患の治療に使用される非定型抗精神病薬である。ドーパミンD及びセロトニン5‐HT1A受容体のアゴニストであり、セロトニン5−HT2A受容体のアンタゴニストであるアリピプラゾールは、錠剤及び溶液として、いずれも経口投与用に製剤化されている。しかしながら、経口式の抗精神病薬に対する患者のコンプライアンスへの懸念が報告されており、筋肉内または皮下注射など、抗精神病薬を送達する他の方法も開発されている。
活性薬剤としてアリピプラゾールを含有する医薬品であるABILIFY(登録商標)は、経口錠剤(アリピプラゾール用量2mg、5mg、10mg、15mg、20mg、または30mg)、口腔内崩壊錠(用量10mgまたは15mg)、経口内服液(用量1mg/mL)、及び筋肉内注射のための注射剤(単回用量バイアル中で9.75mg/1.3mL)として大塚製薬より市販されている。ABILIFY(登録商標)は、統合失調症、双極I型障害、大うつ病性障害の補助的治療、自閉症障害に伴う過敏症、及び統合失調症または双極性躁病に関連する興奮症状を対象としている。Abilify Maintena(登録商標)は、大塚製薬から市販されているアリピプラゾールの持続放出型注射懸濁剤であり、統合失調症を対象とする。
US2013/0096089 A1
アリピプラゾールのプロドラッグを含有する製剤を患者に投与した場合に、より多くの治療量のアリピプラゾールを提供できることが当該分野において必要である。また、患者に投与した場合に、長時間にわたってより多くの治療量のアリピプラゾールを提供できる長期作用型または持続放出型の製剤を製剤化可能なアリピプラゾール・プロドラッグの製造方法が当該分野において必要である。
発明の概要
本発明は、式(A)の化合物の結晶形態の製造プロセスを提供し、
式中、RはCHOC(O)Rであり、Rは置換または非置換脂肪族部分であり、
前記プロセスは、以下の工程を含む:
(a)式(A)の化合物もしくはその塩またはその溶媒和物を第一溶媒と混合して薬液を取得し;
(b)必要に応じて、薬液を第二溶媒と混合して混合液を形成し;
(c)混合液を冷却し;及び、
(d)混合液の温度が目標温度より約0〜5℃高い範囲内にあるときに、混合液を均質化して、約0.50m/g〜約3.3m/gの表面積を有する式(A)の化合物の結晶化粒子を形成する。
前記方法の別の実施形態において、式(A)の化合物は、
からなる基から選択される。
前記方法の特定の実施形態において、式(A)の化合物は、式(I)の構造を有する。別の特定の実施形態において、式(A)の化合物は、式(II)の構造を有する。
本発明は、式(I)の化合物の結晶形態の製造プロセスを提供し、
前記プロセスは、以下の工程を含む:
(a)式(A)の化合物もしくはその塩またはその溶媒和物を第一溶媒と混合して薬液を取得し;
(b)必要に応じて、薬液を第二溶媒と混合して混合液を形成し;
(c)混合液を冷却し;及び、
(d)混合液の温度が目標温度より約0〜5℃高い範囲内にあるときに、混合液を均質化して、約0.50m/g〜約3.3m/gの表面積を有する式(A)の化合物の結晶化粒子を形成する。
本発明はまた、式(II)の化合物の結晶形態の製造プロセスを提供し、
前記プロセスは、以下の工程を含む:
(a)式(A)の化合物もしくはその塩またはその溶媒和物を第一溶媒と混合して薬液を取得し;
(b)必要に応じて、薬液を第二溶媒と混合して混合液を形成し;
(c)混合液を冷却し;及び、
(d)混合液の温度が目標温度より約0〜5℃高い範囲内にあるときに、混合液を均質化して、約0.50m/g〜約3.3m/gの表面積を有する式(A)の化合物の結晶化粒子を形成する。
本明細書で提供するプロセスは、以下を含む多くの実施形態を包含する:
一実施形態では、工程(a)の第一溶媒は単一の溶媒である。別の実施形態では、工程(a)の第一溶媒は、2種以上の溶媒の混合液である。特定の実施形態において、工程(a)の第一溶媒は2種以上の溶媒の混合液であり、工程(b)は存在しない。適切な溶媒は、結晶化分野の当業者には公知である。溶媒の例を下記に示す。特定の実施形態において、工程(a)の第一溶媒は酢酸イソプロピルである。別の特定の実施形態において、工程(a)の第一溶媒は、酢酸イソプロピルとn−ヘプタンとの混合液である。
一実施形態において、工程(b)は、薬液を第二溶媒と混合して混合液を形成することを含む。特定の実施形態では、工程(b)の第二溶媒はn−ヘプタンである。工程(b)の混合液は均一な混合液であってもよい。ある実施形態では、工程(a)の第一溶媒及び/または工程(a)の薬液及び/または工程(b)の第二溶媒を加熱または予熱することによって、工程(b)の混合液の均質性を達成または維持する。特定の実施形態において、工程(b)の混合液の温度は、約55℃〜約65℃の範囲にある。別の実施形態において、工程(b)は存在しない。工程(b)が存在しない場合、工程(c)は、工程(a)の薬液を冷却することを含み、工程(d)は、混合液の温度が目標温度より約0〜5℃高い範囲内にあるときに、薬液を均質化して、約0.50m/g〜約3.3m/gの表面積を有する式(A)の化合物の結晶化粒子を形成することを含む。
一実施形態において、工程(c)は、混合液を過飽和点まで冷却することを含む。混合液が過飽和になる温度は、約50℃〜約55℃の範囲である場合がある。別の実施形態において、工程(c)は、混合液の温度が目標温度に近づくように混合液を冷却することを含む。特定の実施形態では、目標温度は約34℃である。
一実施形態において、工程(d)の目標温度は、約31℃〜約35℃の範囲内である。特定の実施形態では、工程(d)の目標温度は約34℃である。工程(d)の別の実施形態では、混合液の温度が目標温度(例えば、約31℃〜約38℃で)より約0℃〜約4℃高いときに均質化を開始する。
前記方法は、以下の工程をさらに含んでもよい:
(e)均質化を停止し、式(A)の化合物の結晶化粒子(例えば、式(I)または式(II)の構造を有する化合物)の混合液を加熱して再溶解し;
(f)混合液を冷却し;及び、
(g)混合液の温度が目標温度より約0〜5℃高い範囲内にあるときに、混合液を均質化して、約0.5m/g〜約3.3m/gの表面積を有する式(A)の化合物(例えば、式(I)または式(II)の構造を有する化合物)の結晶化粒子を形成する。
工程(c)、(d)及び(e)は、工程(f)に進む前に1回、または2回以上実施してもよい。
工程(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、及び(f)の一つ以上は、攪拌しながら実施してもよい。
前記方法は、結晶化粒子を濾過し、結晶化粒子をすすぎ、及び結晶化粒子を乾燥させる工程をさらに含んでもよい。
本明細書に記載のプロセスに従って製造する結晶化粒子は、約0.80〜約1.1m/gの表面積を有し得る。一実施形態では、結晶化粒子は、約1.00m/gの表面積を有する。別の実施形態において、結晶化粒子のDv[50]は、約10〜約30μmである。さらに別の実施形態では、結晶化粒子のDv[50]は、約10〜約20μmである。さらに別の実施形態では、結晶化粒子は、デポー注射における使用に適している。
本発明は、前記プロセスによって製造する式(I)の化合物及び式(II)の化合物の結晶化粒子を提供する。好ましくは、結晶化粒子は、約0.80〜約1.1m/g、より好ましくは約1.00m/gの表面積を有し得る。結晶化粒子のDv[50]は、約10〜約30μm、好ましくは約10〜約20μmであり得る。
本発明は、式(I)の化合物の結晶形態を含むデポー注射液を提供するためのプロセスを提供し、
前記プロセスは、(a)式(I)の化合物もしくはその塩またはその溶媒和物を第一溶媒と混合して薬液を取得し;(b)薬液を第二溶媒と混合して、薬液の溶解度より低い溶解度を有する混合液を形成し;(c)混合液を過飽和になるように冷却し;(d)混合液の温度が目標温度に近づくように混合液を冷却し;及び(e)混合液の温度が目標温度より約5℃高い範囲内にあるときに、混合液を均質化して、約0.50〜約3.3m/gの表面積を有する式(I)の化合物の結晶化粒子を形成する工程を含む。前記プロセスの工程(a)〜(d)のいずれか1つ以上は、攪拌下で実施してもよい。前記プロセスは、(f)結晶化粒子を濾過し、(g)結晶化粒子をすすぎ、及び(h)結晶化粒子を乾燥させる工程をさらに含んでもよい。
前記プロセスにおいて、第一溶媒は、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチル、アセトンなどであってもよく、好ましくは酢酸イソプロピルであってよく、第二溶媒は、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、エタノール、メタノールなどであってもよく、好ましくはn−ヘプタンであってよい。
好ましくは、工程(b)において、混合液の温度は、約55℃〜約65℃の範囲内にある。工程(c)において、混合液が過飽和になる温度は、約50℃〜約55℃の範囲内にある場合がある。工程(d)で達成する目標温度は約31℃〜約35℃の範囲内、例えば約34℃であってもよい。好ましくは、工程(e)において、混合液の温度が目標温度より約0℃〜約4℃高いときに均質化を開始する。
本発明はまた、前記プロセスによって製造する式(I)の化合物の結晶化粒子を提供する。好ましくは、結晶化粒子は、約0.80〜約1.1m/g、より好ましくは約1.00m/gの表面積を有し得る。結晶化粒子のDv[50]は、約10〜約30μm、好ましくは約10〜約20μmであり得る。
さらに、本発明は、式(I)の化合物の結晶形態を含むデポー注射液を提供するためのプロセスを提供し、
前記プロセスは、(a)式(I)の化合物もしくはその塩またはその溶媒和物を、加熱した酢酸イソプロピルと混合して薬液を取得し;(b)薬液とn−ヘプタンとを混合して、薬液の溶解度よりも低い溶解度を有する混合液を形成し;(c)混合液を過飽和になるように冷却し;(d)混合液の温度が約34℃の目標温度に近づくように混合液を冷却し;及び(e)混合液の温度が目標温度より約5℃高い範囲内にあるときに、混合液を均質化して、約0.50〜約3.3m/gの表面積を有する式(I)の化合物の結晶化粒子を形成する工程を含む。前記プロセスの工程(a)〜(d)のいずれか1つ以上は、攪拌下で実施してもよい。前記プロセスは、(f)結晶化粒子を濾過し、(g)結晶化粒子をすすぎ、及び(h)結晶化粒子を乾燥させる工程をさらに含んでもよい。
好ましくは、工程(b)において、混合液の温度は、約55℃〜約65℃の範囲内にある。工程(c)において、混合液が過飽和になる温度は、約50℃〜約55℃の範囲内にある場合がある。工程(d)で達成する目標温度は約31℃〜約35℃の範囲内、例えば約34℃であってもよい。好ましくは、工程(e)において、混合液の温度が目標温度より約0℃〜約4℃高いときに均質化を開始する。
本発明はまた、前記プロセスによって製造する式(I)の化合物の結晶化粒子を提供する。好ましくは、結晶化粒子は、約0.80〜約1.1m/g、より好ましくは約1.00m/gの表面積を有し得る。結晶化粒子のDv[50]は、約10〜約30μm、好ましくは約10〜約20μmであり得る。
さらに、本発明は、式(I)の化合物の結晶形態を含むデポー注射液を提供するためのプロセスを提供し、
前記プロセスは、(a)式(I)の化合物もしくはその塩またはその溶媒和物を第一溶媒と混合して薬液を取得し;(b)薬液を第二溶媒と混合して、薬液の溶解度より低い溶解度を有する混合液を形成し;(c)混合液を過飽和になるように冷却し;(d)混合液の温度が目標温度に近づくように混合液を冷却し;(e)混合液の温度が目標温度より約5℃高い範囲内にあるときに、混合液を均質化して、式(I)の化合物の結晶化粒子を形成し;(f)均質化を停止し、混合液を加熱して式(I)の化合物の結晶化粒子を再溶解し;(g)混合液の温度が目標温度に近づくように混合液を冷却し、及び(h)混合液の温度が目標温度より約5℃高い範囲内にあるときに、混合液を均質化して、約0.50〜約3.3m/gの表面積を有する式(I)の化合物の結晶化粒子を形成する工程を含む。
前記プロセスの工程(d)、(e)、及び(f)は、工程(g)に進む前に2回(または3回、4回など)実施することができる。例えば、前記プロセスの工程を、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(d)、(e)、(f)、(g)、及び(h)の順に行うことが可能であり、これはすなわち、工程(d)〜(f)を連続2回実施するということである。
前記プロセスにおいて、第一溶媒は、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチル、アセトンなどであってもよく、好ましくは酢酸イソプロピルであってよく、第二溶媒は、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、エタノール、メタノールなどであってもよく、好ましくはn−ヘプタンであってよい。
前記プロセスの工程(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、及び(g)の1つ以上は、攪拌下で実施してもよい。前記プロセスは、(i)結晶化粒子を濾過し、(j)結晶化粒子をすすぎ、及び(k)結晶化粒子を乾燥させる工程をさらに含んでもよい。
好ましくは、工程(b)において、混合液の温度は、約55℃〜約65℃の範囲内にある。工程(c)において、混合液が過飽和になる温度は、約50℃〜約55℃の範囲内にある場合がある。工程(d)及び(g)で達成する目標温度は約31℃〜約35℃の範囲内、例えば約34℃であってもよい。好ましくは、工程(e)及び(h)において、混合液の温度が目標温度より約0℃〜約4℃高いときに、均質化を開始する。
本発明はまた、前記プロセスによって製造するアリピプラゾール・ラウロキシルの結晶化粒子を提供する。好ましくは、結晶化粒子は、約0.80〜約1.1m/g、より好ましくは約1.00m/gの表面積を有し得る。結晶化粒子のDv[50]は、約10〜約30μm、好ましくは約10〜約20μmであり得る。
別の実施形態では、本明細書に記載のプロセスの均質化は、超音波処理または超音波装置の使用と置き換えることができる。
前記プロセスのいずれかによって提供するデポー注射は、生体内でアリピプラゾールの持続放出を提供することができる。そのような持続放出は、例えば、約1ヶ月〜約3ヶ月の期間にわたり起こり得る。好ましくは、そのような持続放出は、例えば、約1ヶ月〜約2ヶ月の期間にわたり起こり得る。前記プロセスのいずれかによって提供するデポー注射は、例えば、1ヶ月に1回の注射、1ヶ月に2回の注射、または3ヶ月に1回の注射として投与することができる。
本発明の再結晶プロセスの一般的な冷却特性を示す。 ホモジナイザーの開始がアリピプラゾール・ラウロキシルの目標温度での結晶化を誘導したことを示すグラフである。 4kgスケールでの再結晶試験の温度特性を示す。 再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシル粒子の表面積と発熱開始温度との関係を示すグラフである。 粒径と表面積との関係を示すグラフである。 プロセス中の結晶表面積、粒径、及び発熱開始温度に対する、ホモジナイザーの開始温度、ホモジナイザーの速度、及び伝熱温度勾配の組合せ効果を評価するために使用する拡張多因子DOE試験の結果から構築したモデルを示す。 プロセス中の結晶表面積、粒径、及び発熱開始温度に対する、ホモジナイザーの開始温度、ホモジナイザーの速度、及び伝熱温度勾配の組合せ効果を評価するために使用する拡張多因子DOE試験の結果から構築したモデルを示す。 プロセス中の結晶表面積、粒径、及び発熱開始温度に対する、ホモジナイザーの開始温度、ホモジナイザーの速度、及び伝熱温度勾配の組合せ効果を評価するために使用する拡張多因子DOE試験の結果から構築したモデルを示す。 プロセス中の結晶表面積、粒径、及び発熱開始温度に対する、ホモジナイザーの開始温度、ホモジナイザーの速度、及び伝熱温度勾配の組合せ効果を評価するために使用する拡張多因子DOE試験の結果から構築したモデルを示す。 プロセス中の結晶表面積、粒径、及び発熱開始温度に対する、ホモジナイザーの開始温度、ホモジナイザーの速度、及び伝熱温度勾配の組合せ効果を評価するために使用する拡張多因子DOE試験の結果から構築したモデルを示す。 拡張多因子DOE試験によって明らかにされるような、再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシル粒子の表面積と発熱開始温度との間の関係を示す。 均質化を使用しない多因子DOE(中心複合計画)試験による実行についてのいくつかの冷却特性を示す。 図12の冷却特性に対する変換した温度データのプロットを示す。 発熱開始温度(Tmin)と、それに対する指数的一次冷却パラメータ(すなわち、冷却速度)の計算値のプロットを示す。 200gのプロセスに従って製造したいくつかのバッチの再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシルの粒径分布を示す。 改変した200gのプロセスに従って製造したいくつかのバッチの再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシルの粒径分布を示す。 NaCMCまたはSMLビヒクルのいずれかに懸濁した再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシル(20mgアリピプラゾール等価物)の単回用量を雄ラットに筋肉内投与し、注射ビヒクルの生体内プロファイルへの効果を評価することから得られるアリピプラゾールpK特性を示す。 4ロットのアリピプラゾール・ラウロキシル再結晶化薬剤物質の粒径分布(PSD)特性を示す。 SMLビヒクルに懸濁した図18と同一ロットに由来する再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシルの雄ラットへのIM投与から得られるアリピプラゾールpK特性を示す。
詳細な説明
[結晶化]
結晶化は、溶液からの固体の析出によって結晶を形成するプロセスであり、これは溶媒中の溶質の溶解度条件の変化によって生じる。このプロセスは、熱力学的及び速度論的要因の両方に左右され、それゆえに非常に多様かつ制御困難になる可能性がある。これらの要因には、成分濃度、不純物レベル、混合レジーム、容器設計、及び冷却特性が含まれる。全てが、生成する結晶のサイズ、数、及び形状に大きな影響を与え得る。
熱力学的には、結晶化は理論的な溶液の溶解閾値(飽和度)未満では不可能である。この閾値を超える値では、溶液は過飽和(通常環境下で溶媒に溶解可能な水準よりも多くの溶質を含有している)であり、結晶化が進行し得る。過飽和は結晶化ダイナミクスの基本要因であり、そこにおいては、過飽和度が結晶化速度に影響を与え、結晶化が熱力学的制御よりも速度論的制御下にあることを示している。
結晶化は、2つの主要な速度論的事象、すなわち核形成及び結晶成長からなる。核形成は、溶媒中に分散した溶質分子がクラスター(核)に集まり始め、現在の操作条件の下での安定化へと向かう段階である。結晶成長は、安定結晶を形成することに成功した核のその後の成長である。核形成及び成長は、溶液の過飽和状態が存在する期間、同時に進行し続ける。
核形成は結晶化の開始であり、一次及び二次の2つのカテゴリーの合計効果である。一次核形成は、他の結晶が存在しない場所における核の初期形成である。これは、一般的には、他の固体(すなわち、結晶化容器の壁及び任意の異物粒子)の影響/存在によって生じる。二次核形成は、溶液中に既に存在する結晶の影響に起因する核の形成である。一般的には、これは流体のせん断及び結晶の衝突の作用によるものであり、新しい核の形成をもたらす。核形成速度に影響を与えるために使用するいくつかの要素として、種結晶の使用、装置の表面の不完全性、及び高剪断均質化がある。
溶液の過飽和度と均質化などの要素との組み合わせは核形成速度を左右し、同様にそれは結晶粒径及び表面積に影響を与える。一般に、核形成速度が速いほど、より小さい結晶が得られ、核形成が遅いほど、より大きな結晶が得られる。これは、ポピュレーションバランスの概念によって最もよく理解される。核形成速度が速ければ、指定期間中に多数の小さな核を生成するが、核形成速度が遅ければ、同一期間中に形成する数はより少なくなる。核形成した後に、核が成長する。成長のために利用可能な有限量の質量を与え、同等の成長率であるという前提の下では、より多数の核集団は、より少数の集団に比べて、最終的な粒径がより小さく(一方で表面積はより大きく)なる。
[アリピプラゾール・ラウロキシル]
アリピプラゾールのN−ラウロイルオキシメチル・プロドラッグ形態であるアリピプラゾール・ラウロキシルは、筋肉内注射などの持続放出型注射製剤の製剤化用に開発されてきた。アリピプラゾール・ラウロキシルは、81.3〜83.0℃の融点を有する非吸湿性の白色結晶性固体であり、従来の結晶多形体では観察されない安定形態として存在する。この化合物は水に不溶性であり(室温で<4ng/mL)、以下の有機溶媒中で最も高い室温溶解度を示す:THF(約400mg/mL)、ジクロロメタン(約500mg/mL)、及びトルエン(約300mg/mL)。アリピプラゾール・ラウロキシルのIUPAC名は、(7−(4−(4−(2,3−ジクロロフェニル)ピペラジン−1−イル)ブトキシ)−2−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−イル)メチルドデカノエートであり、分子式C3651Clに対応し、分子量は660.7である。アリピプラゾール・ラウロキシルは、N−ラウロイルオキシメチル・アリピプラゾールとも呼ばれる。アリピプラゾール・ラウロキシルの化学構造は以下の通りであり:
本明細書においては、式(I)とも呼ぶ。
本明細書に記載の再結晶化プロセスに適した前処理したアリピプラゾール・ラウロキシルは、例えば、米国特許第8,431,576号に記載の合成法に従って取得してもよい。当該文書は、その全体を参照として本明細書に援用する。米国特許第8,431,576号に開示及び記載のアリピプラゾール・ラウロキシルの塩及び溶媒和物もまた、本明細書に記載の再結晶化プロセスに適している。
アリピプラゾール・ラウロキシルは、加水分解を受けて、ラウリン酸、ホルムアルデヒド、及びアリピプラゾールとなり、後者は統合失調症、ならびに双極性障害及び大うつ病性障害などの他の精神疾患の治療に使用される重要な抗精神病薬である。アリピプラゾール・ラウロキシルからアリピプラゾールへの生体内での変換は、アリピプラゾール・ラウロキシル薬剤結晶の緩やかな溶解、及びその後の酵素を介したN‐ヒドロキシメチルアリピプラゾール中間体への切断、そして後者からのアリピプラゾールへの自発的な変換によって行われる。
アリピプラゾール・ラウロキシル薬剤結晶が生体内で緩やかに溶解する結果として、アリピプラゾールの全身性曝露は数週間に及ぶ。アリピプラゾール・ラウロキシル放出速度は、薬剤結晶の粒径分布(PSD)及び形状/形態によって表される露出表面積と相関関係にある。
持続放出型IM注射は、安全特性及び治療コンプライアンスを向上させる可能性があり、したがって、統合失調症をより効果的に管理できる可能性がある。
本発明は、アリピプラゾール・ラウロキシル、すなわち式(I)の化合物を結晶形態で含むデポー注射を提供するプロセスを提供する。
前記プロセスは、(a)式(I)の化合物もしくはその塩またはその溶媒和物を第一溶媒と混合することによって薬液を取得し;(b)薬液を第二溶媒と混合して、薬液の溶解度よりも低い溶解度を有する混合液を形成し;(c)混合液を過飽和になるように冷却し;(d)混合液の温度が目標温度に近づくように混合液を冷却し;及び(e)混合液の温度が目標温度より約5℃高い範囲内にあるときに、混合液を均質化し、約0.50〜約3.3m/gの表面積を有する式(I)の化合物の結晶化粒子を形成する工程を含む。前記プロセスの工程(a)〜(d)の1つ以上は、攪拌下で実施してもよい。前記プロセスは、(f)結晶化粒子を濾過し、(g)結晶化粒子をすすぎ、及び(h)結晶化粒子を乾燥させる工程をさらに含んでもよい。
前記プロセスにおいて、第一溶媒は、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチル、アセトンなどであってもよく、好ましくは酢酸イソプロピルであってよく;第二溶媒は、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、エタノール、メタノールなどであってもよく、好ましくはn−ヘプタンであってよい。
好ましくは、工程(b)において、混合液の温度は、約55℃〜約65℃の範囲内にある。工程(c)において、混合液が過飽和になる温度は、約50℃〜約55℃の範囲内にある場合がある。工程(d)で達成する目標温度は約31℃〜約35℃の範囲内、例えば約34℃であってもよい。好ましくは、工程(e)において、混合液の温度が目標温度より約0℃〜約4℃高いときに均質化を開始する。
工程(e)における均質化は、結晶化を初期化及び促進し、粒径及び表面積の制御を可能にする。適切な均質化速度は約4800〜約9600rpmである。工程(h)の乾燥は、窒素パージ及び真空下で行うことができる。
本発明はまた、前記プロセスによって製造する式(I)の化合物の結晶化粒子を提供する。好ましくは、結晶化粒子は、約0.80〜約1.1m/g、より好ましくは約1.00m/gの表面積を有し得る。結晶化粒子のDv[50]は、約10〜約30μm、好ましくは約10〜約20μmであり得る。
さらに、本発明は、式(I)の化合物を結晶形態で含むデポー注射を提供するためのプロセスを提供し、
前記プロセスは、(a)式(I)の化合物もしくはその塩またはその溶媒和物を、加熱した酢酸イソプロピルと混合して薬液を取得し;(b)薬液をn−ヘプタンと混合して、薬液の溶解度よりも低い溶解度の混合液を形成し;(c)混合液を過飽和になるように冷却し;(d)混合液の温度が約34℃の目標温度に近づくように混合液を冷却し;及び(e)混合液の温度が目標温度より約5℃高い範囲内にあるときに、混合液を均質化して、約0.50〜約3.3m/gの表面積を有する式(I)の化合物の結晶化粒子を形成する工程を含む。前記プロセスの工程(a)〜(d)の1つ以上は、攪拌下で実施してもよい。前記プロセスは、(f)結晶化粒子を濾過し、(g)結晶化粒子をすすぎ、及び(h)結晶化粒子を乾燥させる工程をさらに含んでもよい。
好ましくは、工程(b)において、混合液の温度は、約55℃〜約65℃の範囲内にある。工程(c)において、混合液が過飽和になる温度は、約50℃〜約55℃の範囲内にある場合がある。工程(d)で達成する目標温度は約31℃〜約35℃の範囲内、例えば約34℃であってもよい。好ましくは、工程(e)において、混合液の温度が目標温度より約0℃〜約4℃高いときに均質化を開始する。
工程(e)における均質化は、結晶化を初期化及び促進し、粒径及び表面積の制御を可能にする。適切な均質化速度は約4800〜約9600rpmである。工程(h)の乾燥は、窒素パージ及び真空下で行うことができる。
本発明はまた、前記プロセスによって製造する式(I)の化合物の結晶化粒子を提供する。好ましくは、結晶化粒子は、約0.80〜約1.1m/g、より好ましくは約1.00m/gの表面積を有し得る。結晶化粒子のDv[50]は、約10〜約30μm、好ましくは約10〜約20μmであり得る。
さらに、本発明は、式(I)の化合物を結晶形態で含むデポー注射を提供するためのプロセスを提供し、
前記プロセスは、(a)式(I)の化合物もしくはその塩またはその溶媒和物を第一溶媒と混合して薬液を取得し;(b)薬液を第二溶媒と混合して、薬液の溶解度よりも低い溶解度を有する混合液を形成し;(c)混合液を過飽和になるように冷却し;(d)混合液の温度が目標温度に近づくように混合液を冷却し;(e)混合液の温度が目標温度より約5℃高い範囲内にあるときに、混合液を均質化して式(I)の化合物の結晶化粒子を形成し;(f)均質化を停止し、混合液を加熱して式(I)の化合物の結晶化粒子を再溶解し;(g)混合液の温度が目標温度に近づくように混合液を冷却し;及び(h)混合液の温度が目標温度より約5℃高い範囲内にあるときに、混合液を均質化して、約0.50〜約3.3m/gの表面積を有する式(I)の化合物の結晶化粒子を形成する工程を含む。
前記プロセスの工程(d)、(e)、及び(f)は、工程(g)に進む前に2回(または3回、4回など)実施することができる。例えば、前記プロセスの工程を、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(d)、(e)、(f)、(g)、及び(h)の順に行うことが可能であり、これはすなわち、工程(d)〜(f)を連続2回実施するということである。
前記プロセスにおいて、第一溶媒は、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチル、アセトンなどであってもよく、好ましくは酢酸イソプロピルであってよく;第二溶媒は、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、エタノール、メタノールなどであってもよく、好ましくはn−ヘプタンであってよい。
前記プロセスの工程(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、及び(g)の1つ以上は、攪拌下で実施してもよい。前記プロセスは、(i)結晶化粒子を濾過し、(j)結晶化粒子をすすぎ、及び(k)結晶化粒子を乾燥させる工程をさらに含んでもよい。
好ましくは、工程(b)において、混合液の温度は、約55℃〜約65℃の範囲内にある。工程(c)において、混合液が過飽和になる温度は、約50℃〜約55℃の範囲内にある場合がある。工程(d)及び(g)で達成する目標温度は約31℃〜約35℃の範囲内、例えば約34℃であってもよい。好ましくは、工程(e)及び(h)において、混合液の温度が目標温度より約0℃〜約4℃高いときに均質化を開始する。
工程(e)及び(h)の均質化は、結晶化を初期化及び促進し、粒径及び表面積の制御を可能にする。適切な均質化速度は約4800〜約9600rpmである。工程(k)における乾燥は、窒素パージ及び真空下で行うことができる。
本発明はまた、前記プロセスによって製造する式(I)の化合物の結晶化粒子を提供する。好ましくは、結晶化粒子は、約0.80〜約1.1m/g、より好ましくは約1.00m/gの表面積を有し得る。結晶化粒子のDv[50]は、約10〜約30μm、好ましくは約10〜約20μmであり得る。
前記プロセスの各々は、式(I)の化合物、その塩またはその溶媒和物の代わりに、米国特許第8,431,576号に開示及び記載の前処理を施したアリピプラゾール・ラウロキシルの塩または溶媒和物を使用してもよい。
[アリピプラゾール・カボキシル]
アリピプラゾールのN−ヘキサノイルオキシメチル・プロドラッグ形態であるアリピプラゾール・カボキシルは、筋肉内注射などの持続放出型注射製剤の製剤用に開発されてきた。アリピプラゾール・カボキシルのIUPAC名は、(7−(4−(4−(2,3−ジクロロフェニル)ピペラジン−1−イル)ブトキシ)−2−オキソ−3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)メチルヘキサノエートであり、分子式C3039l2に対応し、分子量は576.56である。アリピプラゾール・カボキシルの化学構造は以下の通りであり:
本明細書では式(II)とも呼ぶ。本明細書に記載のプロセスに適したアリピプラゾール・カボキシルは、例えば、米国特許第8,431,576号に記載の合成方法によって得てもよい。前記文書は、その全体を参照により本明細書に援用する。米国特許第8,431,576号に開示及び記載のアリピプラゾール・カボキシルの塩及び溶媒和物もまた、本明細書に記載のプロセスに適している。
[プロセス装置]
以下のプロセス装置を使用して、本発明によるアリピプラゾール・ラウロキシルを再結晶化した。当業者であれば本開示を参考としてよく理解するであろう他の適切なプロセス装置を使用してもよい。
薬剤溶解容器:4.0kgバッチの再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシルを製造するために、単一の密閉ジャケット付き攪拌20L容器を用いて薬剤を溶解し、滅菌フィルターに通して、滅菌再結晶容器に一度に移した。小規模のパイロットプロセス(1.75kgの再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシルの製造)では、2つの小さなストックポット及びホットプレートを用いて薬剤を溶解し、4Lの圧力容器へ複数回の移送を行って、溶液を再結晶容器に滅菌濾過した。4.0kgと1.75kgの両方のスケールにおいて、高温の酢酸イソプロピルを使用してアリピプラゾール・ラウロキシルの前処理した薬剤結晶を溶解した。当業者であればよく理解するであろうが、「ジャケット」とは、伝熱流体と、伝熱流体を含む容器の周囲にあって、容器の内部を冷却または加熱する熱交換器として作用する収容空間とを指し、「グリコールジャケット」とは、伝熱流体がグリコール、または水とグリコールとの混合液であるジャケットのことである。グリコールジャケットの温度は一次冷却に影響し、アリピプラゾール・ラウロキシルの結晶化を均質化とともに開始可能な準安定域へと系を移行させる。
薬液フィルター:両方のスケールに使用した薬液フィルターは、Milliport Aervent OptiSealカートリッジ、疎水性PTFE、LAGR04TP6(112−00783)であった。
フィルター熱テープ:両方のスケールに使用したフィルター熱テープは、ガラス繊維布熱テープであり、Glas−Col PowrTrolコントローラ(10アンペア/120ボルト)とともに用いた。
再結晶容器:両方のスケールに使用した再結晶容器は、傾斜(非垂直)攪拌器上に半径方向3.75”の下部インペラ、軸方向3.75”の上部インペラを備えたDCI 24L型円錐形(16”の上部ID/23度角)ステンレス鋼ジャケット付き容器(DCIシリアル#:JS2884)であった。
ホモジナイザー:両方のスケールに使用したホモジナイザーは、ステーター直径50mm及びローター直径45mmを有するKinematica Polytron PT−D 50−6F/G(再結晶容器内に設置)であった。
超音波処理器:本発明のプロセスで使用するのに適した超音波処理器は、例えばLab−Line Instruments社のTranssonic T310である。
乾燥機:4.0kgスケールのプロセスで使用した乾燥機は、密閉式攪拌型15”自己排出型真空フィルター乾燥機(Powder Systems社;PSL)であった。1.75kgスケールのプロセスでは、乾燥及び排出前に再結晶化薬剤結晶の手動の無菌攪拌を必要とする2つの8”静的真空フィルター乾燥機を使用した。両方のスケールにおいて、乾燥モードは同一であり、すなわち、再結晶化薬剤結晶を、乾性ガスパージを用いて真空下、室温で乾燥させ、処理溶媒を容認可能な低水準まで除去しやすくした。
濾液容器:両方のスケールで使用した濾液容器は、DCI 10ガロン型ステンレス鋼ジャケット付き容器(DCIシリアル#:JS2060)であった。
[再結晶化プロセス]
本発明の再結晶化プロセスは、約0.50〜約3.3m/g、好ましくは約0.80〜約1.1m/g、より好ましくは約1.00m/gの表面積を有するアリピプラゾール・ラウロキシルの結晶化粒子を生成することができる。結晶化粒子のDv[50]は、約10〜約30μm、好ましくは約10〜約20μmであり得る。
以下の手順により、再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシルを製造することができる:
薬剤溶解:前処理したアリピプラゾール・ラウロキシルもしくはその塩またはその溶媒和物を、酢酸イソプロピルまたは本明細書に記載の別の適切な第一溶媒中に溶解し、その産物を再結晶容器に滅菌濾過する。
結晶化:薬液(例えば酢酸イソプロピルに溶解したアリピプラゾール・ラウロキシル)と、ヘプタンのような第二溶媒または本明細書に記載のような他の適切な第二溶媒とを混合し、次いで制御速度下で冷却し;目標温度で均質化を開始して結晶化を誘導する。
回収:乾燥機内の溶媒から再結晶容器の内容物及びフィルター結晶を移送する。
すすぎ:第二溶媒の新鮮な部分を使用して、再結晶容器に残存している結晶を回収し、結晶表面からすべての残留第一溶媒を除去する。すすぎにより、前処理したアリピプラゾール・ラウロキシル中に存在している場合がある残留アセトニトリルを除去することもできる。
乾燥:真空乾燥を使用して、第一及び第二溶媒の両方の量を低減させる。
第一溶媒は、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチル、アセトン、もしくは当業者であれば本開示を参考としてよく理解するであろう他の適切な溶媒、または前記溶媒の混合液であってもよい。酢酸イソプロピルは好ましい第一溶媒である。
第二溶媒は、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、エタノール、メタノール、もしくは当業者であれば本開示を参考としてよく理解するであろう他の適切な溶媒、または前記溶媒の混合液であってもよい。N−ヘプタンは好ましい第二溶媒である。
第一溶媒と第二溶媒の好ましい選択及び比は、酢酸イソプロピルとヘプタンであって、その比率1:2(v/v)である。
第一溶媒(酢酸イソプロピルなど)に溶解したアリピプラゾール・ラウロキシルの薬液を第二溶媒(ヘプタンなど)と混合すると、前記薬液の溶解度よりも溶解度が低下した混合液が形成する。好ましくは薬液と第二溶媒とを約55℃〜約65℃の温度で混合し、その後、混合液を例えば約1.5℃/分などの特定の速度で冷却することにより、混合液は過飽和となる。混合液が過飽和になる温度は、約50℃〜約55℃の範囲内にある場合がある。
次いで、その温度が目標温度に近づくように混合液を冷却する。この目標温度は、約31℃〜約35℃の範囲内、例えば約34℃などであってもよい。混合液の温度が目標温度より約0℃〜約4℃高い範囲内にあるときに、混合液の均質化を開始する。均質化に適した速度は約4800〜約9600rpmである。
薬剤の溶解、薬液と第二溶媒との混合、薬液と第二溶媒との混合液の冷却、混合液を一旦過飽和にした後の混合液の冷却、混合液の均質化、及びアリピプラゾール・ラウロキシル結晶化粒子の加熱による再溶解は、それぞれ攪拌下で実施可能である。攪拌は、オーバーヘッドスターラーなどの攪拌機を用いて実施してもよい。攪拌機は、均一な結晶懸濁液を維持し、温度を制御するのに役立つ。
本発明で取得し、合成し、使用することができる、前処理したアリピプラゾール・ラウロキシルの適切な塩及び溶媒和物は、米国特許第8,431,576号に開示されているものを含む。
[製剤]
本明細書に開示する方法に従って調製する再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシルを注射ビヒクルに懸濁して、例えばIM投与に適した注射用組成物を製造することができる。そのようなビヒクルとして、注射用組成物の重量に対して約0.37重量%の量のソルビタン・モノラウレート;注射用組成物の重量に対して約0.15重量%の量のポリソルベート20;及び水性担体を含有するリン酸緩衝生理食塩水注射ビヒクルが挙げられる。本明細書に開示する方法に従って調製する再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシルは、米国特許出願公開第2012/0238552号に開示されているような他のビヒクル及び製剤に組み込むこともできる。
以下は、本明細書に開示する方法に従って調製する再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシルを含有する例示的なデポー注射組成物の製剤である:
[粒径と放出速度の関係]
本発明の再結晶化プロセスで製造したアリピプラゾール・ラウロキシルの粒径は放出速度と相関することが動物研究において示されており、したがってこれを許容範囲内に調節する必要がある。本明細書に開示するプロセスに従って製造する再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシルの粒径分布(PSD)は、例えば、HORIBAまたはBeckman‐Coulterなどから入手可能な光散乱式粒度分析器、または当業者であれば本開示を参考としてよく理解するであろう他の適切な機器及び方法を使用して測定可能である。
本明細書中で使用する場合、「Dv[50]」とは、粒径分布の50百分位数を指し、これはメジアン径または平均粒径と可換である。ここで、Dv[10]は粒径分布の10百分位数を指し、Dv[90]は粒径分布の90百分位数を指し、及びDv[X]は粒径分布のX百分位数を指す。
本発明の再結晶化プロセスで製造するアリピプラゾール・ラウロキシルの許容可能なDv[50]の範囲は10〜30μmであり、好ましくは10〜20μmである。
粒径と放出速度との関係を、以下の検討及び実施例においてさらに説明する。
[表面積と放出速度との関係]
本発明の再結晶化プロセスで製造するアリピプラゾール・ラウロキシルの表面積に、薬剤放出が比例することを見出した。
再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシル粒子の表面積は、例えば、高速比表面積/細孔分布測定器、または当業者であれば本開示を参考としてよく理解するであろう他の適切な器具及び方法を用いて測定することができる。
本発明の再結晶化プロセスで製造するアリピプラゾール・ラウロキシル粒子の許容可能な表面積範囲は、約0.50〜約3.3m/gである。0.80〜約1.1m/gの表面積範囲が好ましく、約1.0m/gの表面積はより好ましい。
表面積と放出速度との関係を、以下の検討及び実施例でさらに説明する。
[冷却特性]
図1は、本発明の再結晶化プロセスの一般的な冷却特性を示す。アリピプラゾール・ラウロキシル、第一溶媒、及び第二溶媒を含む混合液の冷却により、混合液の温度が低下し、混合液は過飽和状態になる。アリピプラゾール・ラウロキシルが析出し、系の温度は上昇する。続いて、系をさらに冷却する。本明細書で使用する場合、用語「発熱」は、薬剤の析出による系の温度上昇を指す。発熱が起こる「析出域」は、温度が上昇し始める時に始まり、アリピプラゾール・ラウロキシルが析出または結晶化する全期間に及ぶ。「停止温度」または目標温度は、系のさらなる温度低下が観察されず、結晶化が始まる(または開始する)温度である。アリピプラゾール・ラウロキシルの過飽和混合液の温度が、停止または目標温度より数℃高いときに均質化を開始するのが好ましい。均質化は結晶化を促進し、粒径及び表面積の制御を可能にする。「Tmin」は、主要な結晶化事象からの発熱性の加熱による初期温度上昇を示す。「結晶化の開始」及び「発熱の開始」の両方を規定するTminは、アリピプラゾール・ラウロキシルの再結晶化粒子の粒径及び表面積と直接的に相関する。「Tmax」または発熱最大温度は、主要な結晶化事象からの著しい発熱性の加熱の完了を示す。主要な結晶化事象に続いて、スラリーを「最終冷却」段階(成長域)でさらに冷却する。「Tmin」は、Tminに等しい温度であり、結晶化に伴う発熱後の系の冷却時に生じる。
検討及び実施例
均質化
図2に示すように、ホモジナイザーの開始は、目標温度での結晶化を誘導する。1.75kgスケールでの5つの結晶化試験の結果を、図2に示す。全ての結晶化試験の冷却速度は同一であったが、各々、異なるホモジナイザー開始温度を使用し、その結果、異なる発熱開始温度と、結果として異なる結晶サイズをもたらした。4つの試験において、プロットで特定する各温度でホモジナイザーを起動し、均質化の開始後すぐに結晶化を誘導した。バッチ5試験は、所与の冷却速度で均質化を用いなかった場合に、自発的な結晶化が生じた時点を示す。
ホモジナイザー開始温度が結晶サイズに及ぼす影響(単一因子スクリーニング)
本検討の目的は、均質化開始温度(「ホモジナイザー起動」)が、再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシルの表面積及び粒径、ならびに結晶化誘導時間及び発熱開始温度に与える影響をスクリーニングすることであった。本検討では、ホモジナイザー開始温度を3つの値(35,36,及び37℃)で評価したが、一方で以下のパラメータについては固定値に保持した:ホモジナイザー速度―75%(120Hz/7200rpm);容器攪拌速度―375rpm;容器ジャケットのグリコール温度の設定値―30℃(本パラメータは溶液の一次冷却速度を規定する)。
表1は、プロセス中の結晶粒径に対するホモジナイザー開始温度(ホモジナイザー起動)の影響を評価するために使用した4kgスケールでのいくつかの試験をまとめたものである。「発熱開始温度」とは、溶解したアリピプラゾール・ラウロキシルが再結晶化し始める温度を意味する。
図3は、4kgスケールでの試験の温度特性を示す。プロットは、以前に1.75kgスケール(図2)で示したように、結晶化(発熱によって観察する)がホモジナイザー開始直後に起こったことを示した。
粒径及び表面積に対する結晶化変数の影響(多因子スクリーニング)
本検討の目的は、ホモジナイザー開始温度とホモジナイザー速度が、表面積及び粒径、ならびに結晶化誘導時間及び発熱開始温度に与える影響を特徴付けることであった。本検討では、ホモジナイザー開始温度及びホモジナイザー速度の2つの因子を評価し、両方の因子を3つのレベルから検討した。本検討では、中心点を有する完全実施要因計画を用い、十種類(10)の結晶化を実施した。ホモジナイザー開始温度と相関関係にあるものとして、ジャケットグリコール温度設定点を調整した。その目的は、伝熱温度勾配(結晶化時の)を5〜7℃に維持することであった。この値は、ジャケットグリコール温度設定点とホモジナイザー開始温度との間の差として定義される。
表2は、プロセス中の結晶表面積及び粒径に対する、ホモジナイザー開始温度(ホモジナイザー起動とホモジナイザー速度との組み合わせ効果を評価するために使用した多因子スクリーニング検討からの試験結果をまとめたものである。過冷却温度デルタを最小にするために、ジャケットのグリコール温度設定点を、勾配を5〜7℃の範囲に維持するように変化させた。
図4及び図5は、発熱開始温度に対する表面積、及び表面積に対する粒径のプロットを示す。前記プロットは、1.75kgスケールでこれらの属性間に観察された強い関係が4kgスケールでも引き続き存在することを示している。
粒径及び表面積に対する結晶化変数の影響(多因子DOE)
本検討の目的は、ホモジナイザー開始温度とホモジナイザー速度が表面積と粒径、ならびに結晶化誘導時間及び発熱開始温度に与える影響を特徴付けることであった。本検討は、上記の粒径及び表面積に与える結晶化変数の影響に関する検討(多因子スクリーニング)と同等であったが、異なるプロセス系列で実行した。本検討では、ホモジナイザー開始温度とホモジナイザー速度の2つの因子をそれぞれ3つのレベルで評価した。本検討では、完全実施要因計画を用い、九種類(9)の結晶化を実施した。ホモジナイザー開始温度と相関関係にあるものとして、ジャケットグリコール温度設定点を調整した。その目的は、伝熱温度勾配(結晶化時の)を6℃に維持することであった。この値は、ジャケットグリコール温度設定点とホモジナイザー開始温度との間の差として定義される。
表3は、プロセス中の結晶表面積及び粒径に対する、ホモジナイザー開始温度(ホモジナイザー起動)及びホモジナイザー速度の組合せ効果を評価するために使用した多因子DOE(実験計画)検討からの試験結果をまとめたものである。過冷却温度デルタを最小限にするために、ジャケットグリコール温度設定点を、規定の6℃で勾配を維持するように変化させた。本検討は、ホモジナイザー起動温度の影響とホモジナイザー速度パラメータの影響が両方ともに統計的に有意であることを示した。
粒径及び表面積に与える結晶化変数の影響(多因子拡張DOE)
本検討の目的は、ホモジナイザー開始温度、ホモジナイザー速度、及び伝熱温度勾配(結晶化時の)が、表面積及び粒径ならびに結晶化誘導時間及び発熱開始温度に与える影響を特徴づけることであった。本検討は、伝熱温度勾配の追加パラメータを組み込むことにより、上記の多因子DOE検討を拡張した。本検討では、ホモジナイザー開始温度、ホモジナイザー速度、及び伝熱温度勾配(結晶化時の)の3つの因子をそれぞれ3つのレベルで評価した。本検討では、中心点反復を有する中心複合実験計画を用い、十七種類(17)の結晶化を実施した。伝熱温度勾配(結晶化時の)を設定するために、ホモジナイザー開始温度と相関関係にあるものとして、ジャケットグリコール温度設定点を調整した。この値は、ジャケットグリコール温度設定点とホモジナイザー開始温度との間の差として定義される。
表4は、プロセス中の結晶表面積、粒径、及び発熱開始温度に対する、ホモジナイザー開始温度(ホモジナイザー起動)、ホモジナイザー速度、及び伝熱温度勾配の組合せ効果を評価するために使用した拡張多因子DOE検討の試験結果をまとめたものである。このDOEは、伝熱温度勾配を因子として含めることによって直前の実験計画を拡張した。ここでも、ジャケットグリコール温度の設定点を変化させて、勾配を4、6、及び8℃の規定値に維持した。
図6、7、8、9、及び10は、前記結果から構築したいくつかのモデルを示す。表5は、これらのモデルからの知見をまとめたものである。すべてのモデルは、ANOVA(p値<0.05)に基づき、統計的に有意であり、不適合度を示さなかった。
図11は、表面積と発熱開始温度との関係を示す。線形回帰分析は、ANOVAごとに統計的有意性を示した(p値<0.05)。表面積と発熱開始温度との高い関連性は、それによって結晶化の進行または性能をプロセス中において測定できる点から、効果的であった。利点として、結晶化中に発熱開始温度が予測または目標範囲外になった場合に、運転を中止し、材料を再加熱し、結晶化を再実行することが可能であった。
プロセス操作域の特徴づけ(多因子DOE)
本検討の目的は、結晶化誘導時間及び発熱開始温度に対する、溶液冷却速度(ジャケットグリコール温度の関数として)、均質化速度、及び結晶化タイプ(自発的か、誘導によるものか)の影響を特徴づけることであった。本検討では、下記の2つの因子を3つのレベルで組み込んだ10回の実行からなる実験計画(中心複合計画)を用いた:容器ジャケット温度(3℃、16.5℃、30℃);ホモジナイザー速度(0%、37.5%、75%)。
表6は、下記の2つの因子を3つのレベルで組み込んだ10回の実行からなる多因子DOE(中心複合計画)からの試験結果をまとめたものである:容器ジャケット温度(3℃、16.5℃、30℃);及びホモジナイザー速度(0%、37.5%、75%)。0%のホモジナイザー速度(均質化なし)を用いた各実験では、自発的に結晶化するまで冷却した。37.5%と75%のホモジナイザー速度を用いた実験では、プロセス温度を53.6℃まで冷却したときにホモジナイザーを起動した。(この温度は、それを下回ると溶液が準安定状態へと移行するプロセス溶液の溶解限度を表す。)次に溶液を、結晶化するまで均質化しながら冷却し続けた。図12は、均質化を使用しない実験についてのいくつかの冷却特性を示す。
各実行について発熱開始温度(Tmin)を記録し、冷却速度を計算した。プロセスの冷却は、指数的減衰プロファイルに従った。したがって、以下のデータ変換方法を用いて、プロセス温度を時間の関数としてプロットすることにより、指数的一次冷却パラメータ(すなわち、冷却速度)を計算した:
データの線形回帰近似は、傾きm(1/℃)と切片bをもたらし、傾きは指数的一次冷却パラメータを表す。図13は、図12の対応する冷却特性に対する変換温度データのプロットを示す。
図14は、計算した指数的一次冷却パラメータ(すなわち、冷却速度)に対する発熱開始温度(Tmin)のプロットを示す。以下の用語は、プロットの主な特徴を説明する:
溶解限度:プロセス溶液が飽和する温度。この温度より下では、溶液は過飽和である。過飽和溶液は、比較的ゆっくりと変化しているが、まだ結晶化をもたらす熱力学的平衡に達していないため、速度論的に持続性である。
操作限界下限:自発的結晶化(すなわち、均質化を伴わない結晶化)の前に、系が特定の冷却速度で到達できる最低プロセス温度。
操作限界上限:強制結晶化(すなわち、均質化の存在下で起こる結晶化)の前に、系が特定の冷却速度で到達できる最高プロセス温度。この場合、溶液を溶解限度(53.6℃)まで冷却した直後に均質化を開始し、準安定域内での最大均質化時間を与えた。
操作域:過飽和溶液の結晶化を目標温度での均質化によって誘導可能な、特定の冷却速度で系が利用できる温度範囲。操作域は、目標冷却速度と発熱開始温度(Tmin)との最適な組み合わせを選択するための指針を提供し、その結果、目標とする表面積に対する堅牢な処理をもたらす。
その他の合成例
[200gスケール]
以下の手順を用いてアリピプラゾール・ラウロキシルを再結晶化した。246.4gの酢酸イソプロピルを1Lの三角フラスコ中で70〜75℃に加熱した。383.0gのヘプタンを1Lの三角フラスコ中で45〜50℃に加熱した。200gのアリピプラゾール・ラウロキシルを入れた2Lの三角フラスコに、加熱した酢酸イソプロピルを加えた。すべての白色固体が溶解するまで混合液を旋回させながら加熱し、65〜70℃で透明な溶液を得た。この透明な溶液に、加熱したヘプタンを、クラッシュアウトを回避するための穏やかな加熱及び旋回とともに、3回に分けて加えた。
透明な溶液を入れたフラスコを12インチの篩鍋または同等物に配置した。ホモジナイザープローブを溶液に入れ、作動させて#3(機械上の設定13.5 1/分)にセットした。鍋に氷を加えて満たした。溶液が結晶化した段階でホモジナイザーを停止させた。温度が15〜20℃になるまでフラスコを氷中に保持した。氷浴からフラスコを取り出した。
2Lの濾過フラスコ、ゴムコネクタを有するブフナー漏斗、及び濾紙を使用して、濾過装置を組み立てた。濾紙をヘプタン(約5ml)で湿らせた。再結晶化した白色固体を濾過し、ヘプタン(約60ml)で洗浄した。
濾過した物質を皿に広げた。前記物質を真空オーブン内で窒素パージしながら18〜24時間、室温で乾燥させた。乾燥した物質を250μmの篩に移した。この篩に5本のPTFE篩リングを加え、篩上にOリング付きの蓋を配置し、及び振幅設定点2.7のAnalysette3 PROを用いて篩分けを行った。
この手順に続いて、4つのバッチを作製し、これらを混合してアリピプラゾール・ラウロキシルの懸濁液を調製した。表7は、各バッチの粒径分布の要約統計量、ならびに組み合わせた最終的なバッチ(重量平均)を列挙する。図15は、各バッチの粒径分布、ならびに混合した最終的なバッチ(重量平均)を示す。
[改変200gスケール]
目盛付きシリンダーを用いて、280mlの酢酸イソプロピルを計量し、2L三角フラスコに移した。目盛付きシリンダーを用いてn−ヘプタン560mlを計量し、酢酸イソプロピルと混合した。アリピプラゾール・ラウロキシル200gを2Lの三角フラスコ中で秤量した。溶媒混合液を70℃に加熱し、次いでアリピプラゾール・ラウロキシルを入れたフラスコに加えた。スラリーを加熱して65℃に戻し、透明な溶液を得た。
次いで、この溶液を、第一再循環器循環水及びオーバーヘッド高剪断混合プローブを備えたジャケット付き1Lガラス容器に注ぎ入れた。設定#3(機械上での設定13.5 1/分)で直ちにプローブを作動させた。内部温度が目標停止温度より2℃高い温度に到達した後すぐに、冷却を止めるために再循環水を第二再循環器へと切り替えた。温度の上昇開始後、すぐに時間を記録し、再循環水を第一再循環器に切り替えて戻した。次いで、温度上昇の開始から90秒後にプローブを停止させ、その後、オーバーヘッドミキサーに置き換えた。スラリーを18℃になるまで冷却し続けた。
スラリーが18℃に達した時点で、ワットマン濾紙4を備えたブフナー漏斗を用いてスラリーを濾過した。次いで、固体を約100mlのn−ヘプタンで洗浄した。固体を結晶化皿に広げ、真空オーブン中で、室温、室内減圧、及び窒素パージ下で、約18時間乾燥させた。
改変200gプロセスを、4つのアリピプラゾール・ラウロキシル再結晶バッチキャンペーン(それぞれ5つの再結晶バッチからなる)において首尾よく使用した。図16に認められるように、(未改変)200gプロセスと同様の粒径分布が良好な再現性とともに得られた。要約統計量を表9に列記する。改変プロセスにおける再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシルの粒径分布の統計値を、未改変プロセスのものと比較すると、Dv[10]、Dv[50]、及びDv[90]においてバラツキの少なさが認められ、このことは、プロセスの堅牢性と再現性が向上したことを明確に示している。
[1.75kgスケール]
以下の手順を用いてアリピプラゾール・ラウロキシルを再結晶化した。1750.0gのアリピプラゾール・ラウロキシルを入れた再結晶容器に2156.0gの酢酸イソプロピルを加えた。混合液を攪拌しながら55〜65℃に加熱した。薬剤が目視レベルで溶解した段階で、55〜65℃に加熱したヘプタン3351.0gを再結晶容器に加えた。得られた混合液を60〜65℃に加熱し、その時点で、混合液を冷却するために冷グリコールを再結晶容器のジャケットに導入した。酢酸イソプロピル、ヘプタン、及びアリピプラゾール・ラウロキシルの混合液の温度が34℃に達したとき、均質化を開始した。発熱の開始(沈殿または結晶化の開始)及び発熱最大値について温度を連続的にモニターした。混合液の温度が発熱後に値Tminに達したとき(Tmin)、均質化を停止した。混合液を18℃に冷却するために、より多くの冷グリコールを容器ジャケットに導入し、その時点で混合液を5分間保持した。
次いで、加熱グリコールを容器ジャケットに導入して、混合液を60〜65℃まで再加熱し、その時点で、混合液を冷却するために冷グリコールを再結晶容器ジャケットに再び導入した。酢酸イソプロピル、ヘプタン、及びアリピプラゾール・ラウロキシルの混合液の温度が34℃に達したとき、均質化を開始した。発熱の開始及び発熱の最大値について温度を連続的にモニターした。混合液の温度が発熱後に値Tminに達したとき(Tmin)、均質化を停止した。混合液を18℃に冷却するために、より多くの冷グリコールを容器ジャケットに導入した。デッドエンドフィルター乾燥機内で、再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシルを真空下で濾過し、周囲温度下、2187.0gのヘプタンですすいだ。同容器内で固体を真空(80トル)下で40時間乾燥させ、回収した。
[4kgスケール]
以下の手順を用いてアリピプラゾール・ラウロキシルを再結晶化した。4000.0gのアリピプラゾール・ラウロキシル及び混合液を含む再結晶容器に4940.0gの酢酸イソプロピルを攪拌しながら加えた。薬剤が目視レベルで溶液中に溶解した段階で(≧55℃)、55〜65℃に加熱したヘプタン7670.0gを再結晶容器に加えた。得られた混合液を60℃以上に加熱し、5分間保持した。次いで、混合液を冷却するために冷グリコール(28℃)を再結晶容器ジャケットに導入し、酢酸イソプロピル、ヘプタン、及びアリピプラゾール・ラウロキシルの混合液の温度が33.8℃に達したとき、均質化を初期化した。発熱の開始(沈殿または結晶化の開始)及び発熱最大値について、温度を連続的にモニターした。(Tminが33℃未満の場合、別サイクルの再結晶化を行った。)混合液の温度が発熱後に値Tminに達したとき(Tmin)、均質化を停止した。混合液を18℃に冷却するために、より多くの冷グリコールを容器ジャケットに導入した。
次いで、加熱グリコールを容器ジャケットに導入して、混合液を60〜65℃まで再加熱し、その時点で、混合液を冷却するために冷グリコールを再結晶容器ジャケットに再び導入した。酢酸イソプロピル、ヘプタン、及びアリピプラゾール・ラウロキシルの混合液の温度が33.8℃に達したとき、均質化を初期化した。発熱の開始及び発熱の最大値について温度を連続的にモニターした。混合液の温度が発熱後に値Tminに達したとき(Tmin)、均質化を停止した。混合液を18℃に冷却するために、より多くの冷グリコールを容器ジャケットに導入した。デッドエンドフィルター乾燥機内で、再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシルを真空下で濾過し、周囲温度下、9kgのヘプタンですすいだ。同容器内で固体を真空(20トル)下で20時間乾燥させ、回収した。
[均質化の代わりに超音波処理を使用する例]
アリピプラゾール・ラウロキシル(10g)を加熱した酢酸イソブチル(14mL)に溶解した。この加熱溶液にN‐ヘプタン(28mL)を加え、混合液をさらに加熱してすべての固体を溶解させた。加熱溶液を超音波浴に入れ、2分間超音波処理した。氷を超音波浴に加え、混合液を冷却した。白い結晶が形成した。この結晶を、ブフナー漏斗を用いて濾過し、冷n‐ヘプタン(10mL)で洗浄した。次いで、白色固体を、真空下、室温で一晩乾燥し、9.6gの再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシルを得た(収率96%)。
アリピプラゾール・ラウロキシルの粒径分布(PSD)、表面積、及びビヒクルが生体内放出特性に及ぼす影響
アリピプラゾールの血漿曝露に対する注射ビヒクルの効果を調べるために、単回用量IM(筋肉内)の、ラットへの投与検討を行った。本検討における投与量は、再結晶アリピプラゾール・ラウロキシル・プロドラッグ29mgであったが、これはアリピプラゾール塩基20mgに相当する。以下の2つの製剤を調製し、雄ラットに筋肉内投与した:
(1)カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)(2重量%)及びポリソルベート20(0.2重量%)を用いてリン酸緩衝生理食塩水注射ビヒクル中に懸濁したアリピプラゾール・ラウロキシルのバルク再結晶化原薬;及び、
(2)ソルビタン・モノラウレート(SML)(0.5重量%)及びポリソルベート20(0.2重量%)を用いてリン酸緩衝生理食塩水注射ビヒクル中に懸濁したアリピプラゾール・ラウロキシル再結晶化原薬。
図17は、生体内特性に対する注射ビヒクルの効果を評価するために、NaCMCまたはSMLビヒクルのいずれかに懸濁した再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシル(20mgアリピプラゾール等価物)の単回用量を雄ラットに筋肉内投与したアリピプラゾールの薬物動態特性を示す。2ロットの再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシル原薬を試験した。薬物動態分析は、同じ薬剤物質ロットから調製した懸濁液が、本質的に同等の生体内アリピプラゾールpK特性を有し、注射ビヒクルとは無関係であることを示した。表10にまとめたpKパラメータは、注射ビヒクルがCmax、Tmax、またはAUC0‐Tlastに有意な影響を与えなかったことを示した。
ラットIM pKモデルにおいて、アリピプラゾール20mgに相当する29mgのアリピプラゾール・ラウロキシルを同用量投与する4ロットの再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシルを用いて、アリピプラゾールpKに対する粒径分布(PSD)及び表面積の影響をさらに調べた。4ロットに対するPSD及び表面積の測定値を表11に示し、PSD特性を図18に示す。
アリピプラゾールpKに対するPSD及び表面積の影響を調べるために、表11に列挙した再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシルの特徴的ロットをSMLビヒクル中に懸濁し、IM投与により雄ラットに投与した。アリピプラゾールpK特性を図19にプロットし、pKパラメータを表12に示す。これらのデータは、PSDが小さく表面積が大きい物質ほど(すなわち、ロットX3)、放出速度がより速くなることを示す(図19、一番上の曲線)。(放出速度は、アリピプラゾール血漿曝露(再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシルの溶解速度、及びエステラーゼを介したアリピプラゾール・ラウロキシルからアリピプラゾールへの変換の速度に依存する)として表される。PSDが大きく表面積が小さい物質ほど(すなわち、ロットX2)、放出速度は遅くなる(図19、一番下の曲線)。重要な点として、計算したAUCinfの試験結果は、この実験における全群に関して、全身曝露が同程度であったことを示している。
これらの実験から得られた結論は、PSD及び表面積測定値の両方が、アリピプラゾール・ラウロキシル薬剤結晶の物理的性質の特徴づけの重要な態様であったということである。結晶溶解に支配的影響を受ける放出機構と同じく、これらのpK試験から得られたデータは、表面積及びpK特性に関しての順位序列を強調する。この順位付けは、不溶性プロドラッグ結晶の特徴、すなわち、アリピプラゾール・ラウロキシルの粒径分布及び表面積が、生体内での性能に影響を及ぼす重要な属性であるということと合致する。
結論として、上記のpK試験で示したように、再結晶化アリピプラゾール・ラウロキシル薬剤製品の性能は、製品結晶の物理的特性に支配的影響を受けていた。注射後のアリピプラゾール・ラウロキシルの溶解は、薬剤結晶の緩やかな溶解によって制限され、また、前記溶解はアリピプラゾール・ラウロキシル物質の露出表面積の量と相関関係にあった。アリピプラゾール・ラウロキシルの粒径分布及び表面積は、生体内の性能に影響を及ぼす重要な属性であった。
2パス再結晶化
2パス再結晶化プロセスを開発し、再現性及び粒径制御をさらに改善した。
前述のように、薬剤、第一溶媒(酢酸イソプロピルなど)、及び第二溶媒(n−ヘプタンなど)の混合液を過飽和状態に冷却した後に、アリピプラゾール・ラウロキシルの結晶化が起こる。結晶化のための特定の開始温度(発熱「Tminimum」すなわち「Tmin」)を目標とした溶液温度の制御は、アリピプラゾール・ラウロキシル結晶の最終的な粒径分布及び表面積を調節するために重要である。過飽和混合液が目標温度に近づくときに高剪断混合を開始することによって、核生成及び結晶化を誘導することができる。本発明の再結晶化プロセスは、所望の粒径分布及び表面積パラメータを有するアリピプラゾール・ラウロキシルの結晶を高い再現性の下に生成する。
1パス再結晶化、すなわち再結晶化の単一パスを含む上記の検討に続いて、超清浄装置においてさらなる検討を行った。
無菌薬剤製造では、超清浄装置で処理を行い、品質を確保し、汚染を低減する。装置をクリーニングし、使用前に蒸気滅菌する。クリーニングを補助するために、表面仕上げを非常に滑らかになるように調節する。洗浄後及び使用中は、装置を環境に対して完全密閉の状態に維持して汚染を防ぐ必要がある。再結晶化の第一パスは、望むように常に予想通りに動作するとは限らない。例えば、結晶化開始時間または結晶化温度の変動が許容できないほど大きく、結果として、最適以下の粒径分布及び表面積パラメータを有する再結晶粒子しか得られない場合がある。さらに、完全密閉装置でこのプロセスを実施するため、固体結晶を添加して結晶化を促進する従来の手段は、極めて非実用的である。
したがって、アリピプラゾール・ラウロキシルの再現性の良い再結晶化をさらに容易にするプロセスを開発した。アリピプラゾール・ラウロキシルの結晶を、均質化を用いて、または用いずに、冷却及び過飽和状態で析出させることによって形成した。次いで、溶液を再度温め、結晶を再溶解させた。溶液を再冷却した際、以前に説明した1パス結晶化プロセスと同様に、目標温度に近づいたときに高剪断混合を用いることで、結晶が確実に析出した。
反復実験では、第一パス再結晶化は、ホモジナイザー開始から結晶形成までの時間に大きなバラツキをもたらした。結晶化に要する時間は、約1分から37分超までの範囲に及んだ。より大きなバラツキが結晶化Tminに認められたことは注目すべき点である。第一パス再結晶化の結果を表13に示す。
種結晶添加後、その後の再結晶化の第二パスは、均質化開始後約1分以内に迅速かつ再現可能に起こった。Tminのバラツキははるかに小さかった。再結晶化の第二パスの結果を表14に示す。
本発明を、その好ましい実施形態を参考として具体的に示し、記載してきたが、当業者であれば、本開示を考慮して、添付の特許請求の範囲に含まれる本発明の範囲から逸脱することなく、様々な形態及び詳細における改変を作成し得ることを理解するであろう。

Claims (15)

  1. 式(I)の化合物の結晶形態の製造プロセスであって、
    前記製造プロセスが:
    (a)前記式(I)の化合物もしくはその塩またはその溶媒和物を酢酸イソプロピルと混合することによって薬液を取得し;
    (b)前記薬液をn−ヘプタンと混合して混合液を形成し;
    (c)前記混合液を冷却し;及び、
    (d)前記混合液の温度が31℃〜43℃の範囲内にあるときに、前記混合液を均質化して、0.50〜3.3m/gの表面積を有する前記式(I)の化合物の結晶化粒子を形成する工程を含む、前記製造プロセス。
  2. 請求項1に記載の製造プロセスであって、
    (e)均質化を停止し、前記混合液を加熱することによって前記式(I)の化合物の前記結晶化粒子を再溶解し;
    (f)前記混合液を冷却し;及び、
    (g)前記混合液の温度が31℃〜43℃の範囲内にあるときに、前記混合液を均質化して、0.50〜3.3m/gの表面積を有する前記式(I)の化合物の結晶化粒子を形成する工程をさらに含む、前記製造プロセス。
  3. 前記結晶化粒子が、0.80〜1.1m/gの表面積を有する、請求項1または2に記載の製造プロセス。
  4. 前記結晶化粒子が1.00m/gの表面積を有する、請求項1または2に記載の製造プロセス。
  5. 前記結晶化粒子のDv[50]が1〜30μmである、請求項1または2に記載の製造プロセス。
  6. 前記結晶化粒子のDv[50]が1〜20μmである、請求項5に記載の製造プロセス。
  7. 前記工程(b)において、前記混合液の温度が55℃〜65℃の範囲にある、請求項1に記載の製造プロセス。
  8. 前記混合液の温度が31℃〜35℃の範囲にある、請求項1に記載の製造プロセス。
  9. 前記混合液の温度が34℃である、請求項1に記載の製造プロセス。
  10. 前記工程(a)〜(c)の1つ以上を攪拌下で実施する、請求項1に記載の製造プロセス。
  11. 前記工程(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、及び(g)のうちの1つ以上を攪拌下で実施する、請求項2に記載の製造プロセス。
  12. 前記結晶化粒子を濾過する工程をさらに含む、請求項1または2に記載の製造プロセス。
  13. 前記結晶化粒子をすすぐ工程をさらに含む、請求項12に記載の製造プロセス。
  14. 前記結晶化粒子を乾燥させる工程をさらに含む、請求項13に記載の製造プロセス。
  15. 前記工程(d)において、前記混合液の温度が31℃〜38℃の範囲内である、請求項1に記載の製造プロセス。
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