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JP6586231B2 - 光触媒電極、人工光合成モジュール及び人工光合成装置 - Google Patents

光触媒電極、人工光合成モジュール及び人工光合成装置 Download PDF

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Description

本発明は、光により水を分解して気体を発生させる光触媒電極、人工光合成モジュール及び人工光合成装置に関し、特に、透明導電体層を用いた光触媒電極、人工光合成モジュール及び人工光合成装置に関する。
現在、光触媒を用い、再生可能なエネルギーである太陽光エネルギーを利用して水を分解し、水素ガス、及び酸素ガス等の気体を得ることがなされている。
例えば、特許文献1には、受光面側から、光触媒膜と、透明導電膜と、透明基板、透明導電膜、電荷輸送層及び色素担持させた半導体層と、ならびに金属基板からなる太陽電池と、水素発生用触媒層とを少なくとも備えてなり、透明基板に、透明基板の表裏面の透明導電膜を電気的に接続するための電極が埋設されてなる水分解用半導体光電極が記載されている。また、特許文献1には、受光面側が透明な筐体中に、上述の水分解用半導体電極と、電解質水溶液とを有しており、筐体が酸素取り出し口と水素取り出し口とを有する水分解装置が記載されている。
特許文献2には、第1の面と第2の面とを有する光電変換層と、光電変換層の第1の面上に設けられた第1の電極と、第1の電極上に配置された複数の触媒部と、複数の触媒部間の間隙に配置された透明誘電体部とを備える第1の触媒層と、光電変換層の第2の面上に設けられた第2の電極と、第2の電極と電気的に接続された第2の触媒層とを具備し、導電部の外側に触媒部が設けられた光電気化学セルが記載されている。特許文献2の光電気化学セルは、電解槽内に配置され、電解液中に浸漬されて使用される。
非特許文献1には、酸素発生電極としてFTO(フッ素ドープ酸化スズ)の光学的に透明な電極上にBiVO薄膜を形成したものを用い、酸素と水素を発生させるタンデムのモジュールが記載されている。
特開2006−265697号公報 国際公開第2015/146012号
Journal of American Chemical Society (2015)v137.974-981.
上述の特許文献1は電解質水溶液中で使用され、特許文献2は電解液中で使用され、非特許文献1も酸素発生電極が水溶液中で使用されており、いずれも液中での使用に適している。
特許文献1では、ガラス基板等の透明基板に貫通孔を形成して電極形成材料を充填して電極を形成している。透明基板の両面に透明導電膜を形成し、透明導電膜と電極とが電気的に接続される。特許文献1の構成では、電極の保護はされているが、電極を作製するには溶液プロセス等で形成する必要があり乾燥等の影響で、電極表面の形状が荒れた形状となってしまい、透明電極との界面で接触抵抗を生み出し、効果が得にくい。
特許文献2では、導電部の外側に触媒部が設けられているが、電解液中に浸漬されて使用された場合、導電部と触媒部の界面から電解液が浸入し、導電部の電気抵抗が増加する等、悪影響を与える虞がある。
非特許文献1はFTO(フッ素ドープ酸化スズ)を用いているが、非特許文献1は光活性領域の面積が0.54cmと小さい。FTO(フッ素ドープ酸化スズ)等で構成された透明導電膜は電気抵抗が高いことが知られているが、非特許文献1で電極面積を大きくした場合の抵抗について何ら考慮されていないのが現状である。
本発明の目的は、前述の従来技術に基づく問題点を解消し、透明導電体層を用いた場合に、面積を大きくしても電気抵抗が小さい光触媒電極、人工光合成モジュール及び人工光合成装置を提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明は、基板、透明導電体層、光触媒層及び線状の金属電気伝導体を有する、光により水を分解して気体を発生させる光触媒電極であって、基板、透明導電体層、光触媒層がこの順に積層され、且つ、線状の金属電気伝導体が、透明導電体層に接していることを特徴とする、光触媒電極を提供するものである。
線状の金属電気伝導体が、透明導電体層上に配置されており、且つ、保護層で被覆されていることが好ましい。
線状の金属電気伝導体が、基板上に配置されていることが好ましい。
線状の金属電気伝導体が、5mm以上50mm未満の間隔で配置されていることが好ましい。
線状の金属電気伝導体の上底の長さが、下底の長さよりも短いことが好ましい。
線状の金属電気伝導体が、テーパー角を有することが好ましい。
テーパー角が、5°以上60°以下であることが好ましく、より好ましくはテーパー角が、5°以上40°以下である。
透明導電体層が、透明導電性酸化物で構成されることが好ましい。
透明導電体層の厚みが、100nm以上500nm以下であることが好ましい。
光触媒電極が水を分解して発生させる気体は、酸素又は水素であることが好ましい。例えば、光触媒電極が水を分解して発生させる気体は、酸素である。
本発明は、光により水を分解して酸素を発生させる、光の入射方向から光触媒層、透明導電体層、基板をこの順に有する酸素発生電極と、光により水を分解して水素を発生させる、光の入射方向から光触媒層、透明導電体層、基板をこの順に有する水素発生電極とを具備し、酸素発生電極と水素発生電極が、光の進行方向に沿って直列に配置されている人工光合成モジュールであって、酸素発生電極と水素発生電極は、互いに導線を介して電気的に接続されており、酸素発生電極と水素発生電極のうち、少なくとも一方の電極は、透明導電体層に接しており、且つ、導線に電気的に接続されている線状の金属電気伝導体を有することを特徴とする、人工光合成モジュールを提供するものである。
線状の金属電気伝導体が、透明導電体層上に配置されており、且つ、保護層で被覆されていることが好ましい。
線状の金属電気伝導体が、基板上に配置されていることが好ましい。
線状の金属電気伝導体が、5mm以上50mm未満の間隔で配置されていることが好ましい。
線状の金属電気伝導体の上底の長さが、下底の長さよりも短いことが好ましい。
線状の金属電気伝導体が、テーパー角を有することが好ましい。
テーパー角が、5°以上60°以下であることが好ましく、より好ましくはテーパー角が、5°以上40°以下である。
透明導電体層が、透明導電性酸化物で構成されることが好ましい。
透明導電体層の厚みが、100nm以上500nm以下であることが好ましい。
本発明は、水を分解してガスを発生させる人工光合成モジュール、水を貯蔵するタンク、タンクと人工光合成モジュールに接続され、人工光合成モジュールに水を供給する供給管、タンクと人工光合成モジュールに接続され、人工光合成モジュールから水を回収する排出管、水を供給管と排出管を介してタンクと人工光合成モジュールとの間で循環させるポンプ、及び人工光合成モジュールから、発生した発生ガスを回収するガス回収部、を有する、人工光合成装置であって、光により水を分解して酸素を発生させる、光の入射方向から光触媒層、透明導電体層、基板をこの順に有する酸素発生電極と、光により水を分解して水素を発生させる、光の入射方向から光触媒層、透明導電体層、基板をこの順に有する水素発生電極とを具備し、酸素発生電極と水素発生電極が、光の進行方向に沿って直列に配置され、酸素発生電極と水素発生電極は、互いに導線を介して電気的に接続されており、酸素発生電極と水素発生電極のうち、少なくとも一方の電極は、透明導電体層に接しており、且つ、導線に電気的に接続されている線状の金属電気伝導体を有する、人工光合成モジュールが複数配置されていることを特徴とする、人工光合成装置を提供するものである。
本発明によれば、透明導電体層を用いても電気抵抗を小さくでき、生成効率を向上させることができる。
本発明の実施形態の光触媒電極の第1の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の第1の例の光触媒電極の導電層を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態の光触媒電極の線状の金属電気伝導体の構成の第1の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の光触媒電極の線状の金属電気伝導体の構成の第2の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の光触媒電極の線状の金属電気伝導体の構成の第3の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の光触媒電極の線状の金属電気伝導体の構成の第4の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の光触媒電極の第2の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の第2の例の光触媒電極の導電層を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態の人工光合成モジュールの第1の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の人工光合成モジュールの第1の例を示す模式的平面図である。 水素発生電極の一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の人工光合成モジュールの第2の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の人工光合成装置を示す模式図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の光触媒電極、人工光合成モジュール及び人工光合成装置を詳細に説明する。
なお、以下において数値範囲を示す「〜」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α1〜数値β1とは、εの範囲は数値α1と数値β1を含む範囲であり、数学記号で示せばα1≦ε≦β1である。
「平行」、「垂直」及び「直交」等の角度は、特に断りがなければ、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。
透明とは、特に記載がなければ、光透過率が波長380〜780nmの領域において、少なくとも60%以上のことであり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上、さらにより好ましくは90%以上のことである。
光透過率は、JIS(日本工業規格) R 3106−1998に規定される「板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法」を用いて測定されるものである。
図1は本発明の実施形態の光触媒電極の第1の例を示す模式的断面図であり、図2は本発明の実施形態の第1の例の光触媒電極の導電層を示す模式的平面図である。
図1に示す光触媒電極10は、例えば、内部11aに水AQが満たされた容器11の内部11aに浸漬されて使用されるものである。光触媒電極10は、水AQに浸漬された状態で光Lが照射されると、照射された光Lにより水AQを分解して気体を発生させるものである。
容器11は、内部11aに水AQを保持することができ、且つ光Lを内部11aにある光触媒電極10に照射させることができれば、その構成は特に限定されるものではなく、例えば、アクリル樹脂で構成される。容器11は、後述の透明の規定を満たすことが好ましい。
水AQには、蒸留水、及び冷却塔等で用いられる冷却水が含まれる。また、水AQには電解水溶液も含まれる。ここで、電解水溶液とは、HOを主成分とする液体であり、水を溶媒とし溶質を含む水溶液であってもよく、例えば、強アルカリ(KOH(水酸化カリウム))、HSOを含む電解液、又は硫酸ナトリウム電解液、リン酸カリウム緩衝液等である。電解水溶液としては、pH(水素イオン指数)9.5に調整したHBOが好ましい。
光触媒電極10は、基板12、透明導電体層14、光触媒層16及び線状の金属電気伝導体23を有し、基板12、透明導電体層14及び光触媒層16がこの順に積層される。線状の金属電気伝導体23は透明導電体層14に接している。図1では、光触媒電極10は、基板12の表面12a上に透明導電体層14が設けられ、透明導電体層14の表面14a上に光触媒層16が設けられ、光触媒層16の表面16a上に助触媒層18が設けられている。助触媒層18は、例えば、複数の助触媒粒子19で構成される。なお、線状の金属電気伝導体23のことを、単に金属電気伝導体23ともいう。
基板12は、光触媒電極10の各層を支持するものであり、電気絶縁性が要求される。基板12は、特に限定されるものではなく、光触媒電極10の用途に応じた素材が用いられる。基板12としては、例えば、ソーダライムガラス基板又はセラミックス基板を用いることができる。また、基板12には、金属基板上に絶縁層が形成されたものを用いることができる。ここで、金属基板としては、Al基板又はSUS(Steel Use Stainless)基板等の金属基板、又はAlと、例えば、SUS等の他の金属との複合材料からなる複合Al基板等の複合金属基板が利用可能である。なお、複合金属基板も金属基板の一種であり、金属基板及び複合金属基板をまとめて、単に金属基板ともいう。さらには、基板12としては、Al基板等の表面を陽極酸化して形成された絶縁層を有する絶縁膜付金属基板を用いることもできる。基板12は、フレキシブルなものであっても、フレキシブルなものではなくてもよい。なお、上述のもの以外に、光触媒電極10に透明であることが要求された場合、基板12も透明であることが要求される。このとき、基板12には、例えば、高歪点ガラス及び無アルカリガラス等のガラス板、又はポリイミド材が用いられる。
ここで、基板12が透明とは、基板12の光透過率が、波長380〜780nmの領域において、60%以上のことである。上述の光透過率は分光光度計により測定される。分光光度計としては、例えば、紫外可視分光光度計である日本分光製V-770(品名)が用いられる。
なお、透過率をT%とするとき、T=(Σλ(測定物質+基板)/Σλ(基板))×100%で表される。上述の測定物質はガラス基板で、基板リファレンスは空気である。積分の範囲は波長380〜780nmの光のうち、光触媒層の受光波長までとする。なお、透過率の測定にはJIS R 3106−1998を参考にすることができる。
透明導電体層14は光触媒層16で発生した電荷又はホールを受け取る層であり、電気導電性を有する。
例えば、基板12の表面12aに接して、基板12上に、複数の線状の金属電気伝導体23が配置されており、透明導電体層14内に、複数の線状の金属電気伝導体23が埋設されている。透明導電体層14により線状の金属電気伝導体23は水AQから隔離され、線状の金属電気伝導体23が水AQと反応して腐食することが抑制されて腐食による線状の金属電気伝導体23の電気抵抗の増加が抑制される。また、線状の金属電気伝導体23が水AQに接すると電流リークが生じるが、線状の金属電気伝導体23は透明導電体層14により水AQから隔離されているため、電流リークが生じない。このため、水AQに浸漬された状態での使用に好適である。
なお、透明導電体層14は、光Lを透過させることができるものである。透明導電体層14では、後述のように、線状の金属電気伝導体23の基板12の表面12aにおける割合を変えることで光Lの透過光量を変えることができる。
しかも、透明導電体層14により線状の金属電気伝導体23が水AQから隔離されていることから、水AQに浸漬された状態での使用に適している。透明導電体層14は厚みが100nm以上500nm以下であることが好ましい。透明導電体層14の厚みが100nm未満の場合、導電層としての機能が低下するため好ましくない。また、透明導電体層14は厚みが500nmを超えると、透過率の点から、光の透過が妨げられ透過率が低下する虞があるため好ましくない。なお、透明導電体層14の厚みの範囲としては、より好ましくは100nm以上400nm以下であり、100nm以上200nm以下が最も好ましい。
透明導電体層14は、例えば、透明導電性酸化物で構成されるものであり、水AQに浸漬されても、成分が溶出する等は生じることがなく、且つ酸化する等の水AQと反応しないものであることが好ましい。透明導電性酸化物は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、及びFTO(フッ素ドープ酸化スズ)等が用いられる。
透明導電体層14は、光透過率が70%以上であることが好ましく、更に好ましくは80%以上である。
ITO(Indium Tin Oxide)等で構成した透明導電膜は、一般に通常の金属膜に比して電気抵抗値が高い。このため、透明導電体層14に透明導電膜を用いて光触媒電極を大面積化すると、透明導電体層14の抵抗損失等により、光電流密度が低下し、生成効率が低下することが判明している。しかしながら、透明導電体層14内に線状の金属電気伝導体23を配置することにより、光触媒層16で発生した電荷又はホールは金属電気伝導体23に捕集される。このため、上述の発生した電荷又はホールは、金属よりも抵抗の高い透明導電体層14内を長距離移動する必要がなくなり、抵抗損失等による光電流密度の低下を抑制でき、生成効率の低下を抑制することができる。更に、透明導電体層14で線状の金属電気伝導体23を水AQから隔離した構成とすることにより、電流がショートすることなく、上述の透明導電膜に比して、光触媒電極10の面積を10cm×10cmと大面積化しても、光触媒電極10において、抵抗損失等による光電流密度の低下を抑制でき、生成効率の低下を抑制することができる。結果として、大面積な光触媒電極10の性能劣化を抑制し、高い光電流密度を得ることができる光触媒電極10とすることができる。
さらには、透明導電体層14は、上述のように透明性を要求される場合には光の透過光量を変えることができ、光触媒電極10について透明性が要求される形態とすることもできる。
ここで、透明導電膜を用いるものとしては、基板上に導電層、光電変換層及び透明電極が積層され、透明電極上に取出し電極が形成された太陽電池が知られている。しかしながら、太陽電池は、10年単位の使用が考慮されるものであり、太陽電池の劣化を抑制するために水との接触を極力避ける構成とされている。このように太陽電池は、水との接触を極力避けており、液中での使用に適するものではない。これに対して、光触媒電極10は、水AQに浸漬された状態での使用に好適であり、水AQに浸漬された状態で水AQを分解して気体を発生させる。
図2に示すように複数の線状の金属電気伝導体23が、例えば、方向Dに間隔tdをあけて互いに平行に配置されている。複数の線状の金属電気伝導体23は、線状の金属電気伝導体23の延伸方向の一端に設けられた、線状の金属導線25に電気的に接続されている。金属導線25は透明導電体層14内に配置され水AQから隔離されている。金属導線25は、後述する人工光合成モジュール30では外部導線36と電気的に接続される。図2において金属電気伝導体23の延伸方向は方向Drと平行な方向である。
間隔tdは、5mm以上50mm未満であることが好ましく、より好ましくは15mm以上25mm以下であり、さらに好ましくは20mmである。間隔tdが5mm以上50mm未満であれば、透明であり、且つ集電効果が十分な透明導電体層14を得ることができる。間隔tdが5mm未満であれば、基板12が不透明になり、光触媒層16が光を受け取れないため、気体発生効率が悪くなる。また、間隔tdが50mm以上では、透明導電体層14の電気抵抗が高くなり、抵抗損失が生じ、気体発生効率が悪くなる。
なお、複数の金属電気伝導体23の間隔tdは、等間隔であることに限定されるものではないが、透明導電体層14の電気抵抗の面内均一性を確保する観点から等間隔であることが好ましい。いずれの場合も、金属電気伝導体23の配線間隔は上述の範囲にあることが好ましい。
線状の金属電気伝導体23の配置形態は、図2に示す平行に配置することに特に限定されるものではない。
さらには、金属電気伝導体23は、それぞれ直線ではなくてもよく、金属電気伝導体23自体の幅が均一でなくてもよい。いずれの場合でも、金属電気伝導体23の平均間隔が上述の間隔tdの範囲にあることが好ましい。
ここで、線状の金属電気伝導体23の線状とは、図2に示すように、延伸方向に、分断することなく連続している状態のことをいう。なお、線状には、上述のように、延伸方向に分断することなく連続していれば、特に限定されるものではなく、図2に示す直線が含まれることはもちろんのこと、直線以外に、波線のようなうねった線でもよく、波線を含む曲線、及び曲線と直線の組合せも含まれる。
金属電気伝導体23は、電極と電極を電気的に接続する役割を果たすものではなく、透明導電体層14の中で、透明導電体層14よりも電気が通じやすいルートを置くことで、透明導電体層14全体の電気抵抗を下げる役割を果たすものである。このため、透明導電体層14に接する部分の金属電気伝導体23の少なくとも一部は絶縁体の被覆を有さない。また、2つの電極を電気的に接続する外部導線36(図9参照)と、金属電気伝導体23とでは機能が異なり、金属電気伝導体23は一般的に水素発生電極と酸素発生電極を電気的に接続する配線とは異なる。
なお、金属電気伝導体23の数は、特に限定されるものではなく、少なくとも1つあればよい。
間隔tdは、直線状の場合、隣接する金属電気伝導体23の対向する辺の間の、線状の金属電気伝導体23の配置方向における距離である。図2において、間隔tdとは、方向Dにおける隣接する線状の金属電気伝導体23の対向する辺の間の距離のことである。
金属電気伝導体23が直線以外の場合、金属電気伝導体23の中心線を求め、中心線間の距離を間隔tdとする。金属電気伝導体23の中心線は、直線と金属電気伝導体23で囲まれた範囲の面積が、直線を挟んで対向する領域同士で等しくなる線のことである。
間隔tdについては、透明導電体層14の線状の金属電気伝導体23の走査型電子顕微鏡像を得る。走査型電子顕微鏡像を用い、隣接する金属線像の対向する辺の間の距離を測定することにより得ることができる。走査型電子顕微鏡像は、コンピュータに取り込んだ画像像でも、撮影して得られた写真等のハードコピーでもよい。
なお、線状の金属電気伝導体23の配置方向は、上述の方向Dに限定されるものではなく、方向Dと直交する方向Drでもよい。線状の金属電気伝導体23の配置方向及び間隔tdは、透明導電体層14の電気抵抗の値に応じて適宜決定されるものである。
線状の金属電気伝導体23は、例えば、蒸着法及びスパッタ法等の気相成長法を用いて形成される。この場合、マスク等を用いて予め定められたパターンで線状の金属電気伝導体23を形成してもよい。また、線状の金属電気伝導体23となるベタの金属層を形成した後、例えば、フォトリソグラフィ法を用いて、予め定められたパターンに加工して線状の金属電気伝導体23を形成してもよい。
金属導線25は上述の線状の金属電気伝導体23と同様にして形成することができる。
図1に示す透明導電体層14は、例えば、以下のようにして形成される。まず、線状の金属電気伝導体23と金属導線25を、基板12の表面12a上に、例えば、気相成長法で図2に示すように形成した後、例えば、スパッタ法を用いてITO(Indium Tin Oxide)、基板12の表面12aの線状の金属電気伝導体23と金属導線25を覆うことで、透明導電体層14を形成する。
線状の金属電気伝導体23は、例えば、Mo、Pt、Ru、Ag、Au、Cu又はAlで構成される。また、線状の金属電気伝導体23は、例えば、Mo、Pt、Ru、Ag、Au、Cu又はAlの合金で構成してもよい。
金属導線25は、例えば、上述の金属電気伝導体23と同じく、Mo、Pt、Ru、Ag、Au、Cu又はAlで構成され、また、例えば、Mo、Pt、Ru、Ag、Au、Cu又はAlの合金で構成してもよい。金属導線25と金属電気伝導体23とは同じ組成であることが好ましい。金属導線25と金属電気伝導体23を同じ組成とすることで、金属導線25と金属電気伝導体23を同時に一体に形成することができる。なお、同じ組成とは、単一金属で構成される場合には金属元素が同じことであり、合金で構成される場合には組成が80質量%以上同じであることをいう。また、同時とは、同じプロセスで形成されることを指し、例えば、1度のスパッタ工程で形成されることである。
透明導電体層14の電気抵抗は、例えば、シート抵抗を用いて表される。シート抵抗は10Ω/cm以下であることが好ましい。シート抵抗が10Ω/cm以下であれば、光触媒電極10の抵抗損失を十分小さくすることができる。なお、シート抵抗は4探針法を用いて測定することができる。
透明導電体層14に設けられる線状の金属電気伝導体23が多い場合、透明導電体層14の光の透過量が少なくなる。このため、透明導電体層14に透明性が要求される場合には、線状の金属電気伝導体23が設けられる透明導電体層14の開口率は90%以上であれば、透過光量を得ることができ好ましく、開口率は95%以上であれば十分である。開口率は以下のように定義される。
開口率=(透過可能な領域の面積)/(透明導電体層全体の面積)×100
ここで、透過可能な領域とは、透明導電体層14において線状の金属電気伝導体23がない領域のことであり、透明導電体層14全体の面積から線状の金属電気伝導体23の面積を引くことで求めることができる。
上述の光触媒電極10の金属電気伝導体23はテーパー角を有することが好ましい。また、金属電気伝導体23では、上底の長さが下底の長さよりも短いことが好ましい。
具体的には、金属電気伝導体23が、基板12の表面12a側が広いテーパー角を有するテーパー構造であることが好ましい。図3に示す金属電気伝導体23のように断面形状が、側面が平面状の斜面になっている台形状であることが好ましい。
ここで、テーパーとは、金属電気伝導体23の断面形状において、下地表面、図3では基板12の表面12aから見た仰角が0°〜90°であるエッチング形状を指す。
この際、下底とは、下地表面、図3では基板12の表面12aと接している金属電気伝導体23の下面を示し、符号23dで表される。上底とは、下底23dと平行、且つ下地表面と接していない金属電気伝導体23の上面を示し、符号23eで表される。更に、上辺とは下地表面に平行な平行線Lp(図3参照)からはみ出るまでとする。これにより、上辺が若干上に凸形状であっても上辺を特定することができる。
金属電気伝導体23の断面形状において、上底23eの長さwuは、基板12の表面12aに接している下底23dの長さwbより短いとことが好ましい。上底23eの長さwuが下底23dの長さwbよりも短ければ、側面の断面形状は特に限定されるものではない。図3に示す上底23eの長さwuは、基板12の表面12aに平行な平行線Lpに接している長さである。このため、上述のように平行線Lpからはみ出た領域があっても平行線Lpに接している長さで上底の長さwuは決定される。
なお、上底及び下底は、下地表面の凹凸は引き継ぎ、数μm〜数十μmの凹凸があることがある。このように下地表面に凹凸がある場合には、平均面を基準面とする。
また、基本的には、上底と下底は平行であるが、平行については、角度にして3°程度は許容される。
金属電気伝導体23でテーパー角を有するとは、テーパー角αで規定される。金属電気伝導体23のテーパー角αが90°の場合、金属電気伝導体23はテーパー角を有するものではない。金属電気伝導体23のテーパー角αが90°未満であれば、テーパー角を有する。テーパー角αは5°以上60°以下であることが好ましく、5°以上40°以下であることがより好ましい。テーパー角αが5°未満では作製することが困難であり、テーパー角αが60°を超えるとクラックが生じやすくなる。
テーパー角αとは、金属電気伝導体23の側面23aと基板12の表面12aのなす角度のことである。金属電気伝導体23の側面23aが特定できない場合、側面23aに相当する領域に接線(図示せず)をひき、この接線と基板12の表面12aとのなす角度をテーパー角αとする。
金属電気伝導体23のテーパー角αについては、以下のようにして測定することができる。まず、走査型電子顕微鏡を用いて金属電気伝導体23と基板12を含む走査型電子顕微鏡像を得る。そして、金属電気伝導体23と基板12を含む走査型電子顕微鏡像を用い、金属電気伝導体23の側面23aと基板12の表面12aを特定して、金属電気伝導体23の側面23aと基板12の表面12aのなす角度を測定する。側面23aが特定できない場合には、上述のように接線をひき、接線と基板12の表面12aのなす角度を測定する。
なお、走査型電子顕微鏡像は、コンピュータに取り込んだ画像像でも、撮影して得られた写真等のハードコピーでもよい。
また、金属電気伝導体23は図4に示すように側面23bが、金属電気伝導体23内部に凸な曲面でもよい。この場合、テーパー角αは、側面23bに対する接線Ltと基板12の表面12aとのなす角度である。
このように、金属電気伝導体23は側面が平面でも曲面でもよく、さらには平面と曲面が組み合わさった構成でもよい。
また、図5に示す金属電気伝導体23の断面形状のように、側面23cが、金属電気伝導体23外部に凸な曲面でもよい。このように凸状の側面23cでも、上底23eの長さwuは、平行線Lpに接する長さである。
図6に示す金属電気伝導体23の断面形状では、凸状の側面23cの一部がせりあがって平行線Lpと接している。この場合、上底23eの長さwuは、側面23cと平行線Lpが接する点23fを含む長さとなる。また、図6に示す金属電気伝導体23で両側が凸状の側面23cである場合、平行線Lpと接する点23fの間の長さが上底23eの長さwuとなる。なお、図6において、一方の凸状の側面23cは二点鎖線で示している。
次に、光触媒電極10の第2の例について説明する。
図1では、金属電気伝導体23が透明導電体層14内に埋設されることによって水AQから隔離されているが、光触媒電極10が水AQに浸漬された状態で金属電気伝導体23を水AQから隔離することができれば、金属電気伝導体23の隔離形態は、特に限定されるものではない。
図7は本発明の実施形態の光触媒電極の第2の例を示す模式的断面図であり、図8は本発明の実施形態の第2の例の光触媒電極の導電層を示す模式的平面図である。
図7及び図8において、図1及び図2に示す光触媒電極10と同一構成物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
図7及び図8に示す光触媒電極10aは、光触媒電極10(図1参照)に比して、金属電気伝導体23の配置位置が異なり、透明導電体層14内に金属電気伝導体23が埋設されておらず、金属電気伝導体23が透明導電体層14に接して、透明導電体層14の光触媒層16側の表面14a上に配置されている。また、複数の金属電気伝導体23において、各金属電気伝導体23の側面と、光触媒層16側の表面14aに保護膜24が設けられている。
保護膜24は金属電気伝導体23を水AQから隔離するためのものである。保護膜24は、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂で構成される。光触媒電極10aは、上述の光触媒電極10と同様の効果を得ることができる。また、金属導線25も保護膜24により水AQから隔離される。
光触媒電極10aでも、光触媒電極10と同じく、金属電気伝導体23の数は、特に限定されるものではなく、少なくとも1つあればよい。
図7及び図8に示す光触媒電極10aは、例えば、以下のようにして形成する。まず、基板12の表面12aに、透明導電体層14として、例えば、スパッタ法を用いてITO(Indium Tin Oxide)膜を形成する。次に、透明導電体層14の表面14aに光触媒層16を形成する。次に、光触媒層16において、金属電気伝導体23と保護膜24と金属導線25を形成する領域を、例えば、レーザスクライブ又はメカニカルスクライブを用いて取り除いて形成する。次に、例えば、インクジェット法を用いて線状の金属電気伝導体23及び金属導線25を、上述の領域に形成する。次に、金属電気伝導体23と光触媒層16の隙間及び金属電気伝導体23の上面に、例えば、エポキシ樹脂を塗布し、保護膜24を形成する。これにより光触媒電極10aが形成される。光触媒電極10aでも、上述のように金属電気伝導体23は上底の長さが下底の長さよりも短いことが好ましく、テーパー角を有することが好ましい。
なお、透明導電体層14はスパッタ等の真空成膜法で成膜することが抵抗率の観点から好ましいが、抵抗を高くしてもよい場合にはインク等を用いて形成してもよい。
光触媒電極10、10aは、水を分解して気体を発生させるが、発生される気体に応じて、光触媒層16の組成が適宜設定される。気体としては、例えば、酸素及び水素であり、これ以外にメタン生成にも利用可能である。光触媒電極10、10aの各構成層については、後に詳細に説明する。
次に、光触媒電極10を用いた人工光合成モジュールについて説明する。
図9は本発明の実施形態の人工光合成モジュールの第1の例を示す模式的断面図であり、図10は本発明の実施形態の人工光合成モジュールの第1の例を示す模式的平面図である。図11は水素発生電極の一例を示す模式的断面図である。
なお、図9〜図11において、図1及び図2に示す光触媒電極10と同一構成物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
図9に示す人工光合成モジュール30は、光Lにより水AQを分解して水素及び酸素等のガスを発生させるものであり、例えば、酸素発生電極32と水素発生電極34を有する2電極水分解モジュールである。酸素発生電極32と水素発生電極34は水AQに浸漬された状態で水AQの分解に利用される光触媒電極である。
人工光合成モジュール30は、例えば、酸素発生電極32と、水素発生電極34と、酸素発生電極32及び水素発生電極34を収納する容器50とを有する。容器50は、例えば、水平面B上に配置されている。
酸素発生電極32は、水AQに浸漬された状態で水AQを分解して酸素を発生させるものであり、例えば、図10に示すように全体が平板状である。酸素発生電極32には、例えば、図1に示す光触媒電極10、又は図7に示す光触媒電極10aが用いられる。
水素発生電極34は、水AQに浸漬された状態で水AQを分解して水素を発生させるものであり、例えば、図10に示すように全体が平板状である。
図9に示すように容器50は、一面が解放された筐体52と、筐体52の解放部分を覆う透明部材54を有する。容器50内に隔膜53が設けられており、透明部材54側の第1の区画53aと、底面52b側の第2の区画53bが生じる。光Lは、例えば、太陽光であり、透明部材54側から入射される。透明部材54についても、上述の透明の規定を満たすことが好ましい。
酸素発生電極32と水素発生電極34とは、例えば、外部導線36により電気的に接続されている。且つ酸素発生電極32と水素発生電極34とは、光Lの進行方向Diに沿って直列に容器50内で隔膜53を挟んで、酸素発生電極32と水素発生電極34の順に配置されている。図9では、酸素発生電極32と水素発生電極34とが、隙間をあけて互いに平行にして重ねて配置されている。
なお、外部導線36は、酸素発生電極32と水素発生電極34を電気的に接続することができれば、その構成は特に限定されるものではなく、例えば、上述の金属電気伝導体23と同じ構成とすることができる。
第1の区画53aに、酸素発生電極32が配置されている。第2の区画53bに、基板40が底面52bに接して、水素発生電極34が配置される。
なお、光Lは容器50に対して透明部材54側から、すなわち、光Lは酸素発生電極32側から入射される。上述の光Lの進行方向Diは透明部材54の表面54aに垂直な方向である。
隔膜53には、発生した水素イオンは透過するが、気泡となった水素ガス、及び酸素ガスは透過しないイオン透過膜を用いる。イオン透過膜には、例えば、ディポン社製ナフィオン(登録商標)、及びAGCエンジニアリング社製セレミオン(登録商標)等が用いられる。
なお、隔膜53は設けなくてもよい。隔膜53を設けない場合、発生した酸素と水素が一緒に回収されるため、隔膜53は設けることが好ましい。
第1の区画53aでは、第1の壁面52cに供給管56aが設けられ、第1の壁面52cと対向する第2の壁面52dに排出管58aが設けられている。第2の区画53bでは、第1の壁面52cに供給管56bが設けられ、第1の壁面52cと対向する第2の壁面52dに排出管58bが設けられている。供給管56aと供給管56bから水AQが容器50内に供給されて容器50内が水AQで満たされ、水AQは方向Dに流れ、排出管58aから酸素を含む水AQが排出され、酸素が回収される。排出管58bから水素を含む水AQが排出され、水素が回収される。
方向Dは第1の壁面52cから第2の壁面52dに向かう方向である。なお、筐体52は、例えば、水素発生電極34及び酸素発生電極32を使用した際に、短絡等が発生しない程度の電気絶縁性材料で構成される。筐体52は、例えば、アクリル樹脂で構成される。
酸素発生電極32は、図1に示す光触媒電極10と同じ構成である。酸素発生電極32は、全体の厚みが2mm程度であることが好ましい。
酸素発生電極32では、助触媒層18は光触媒層16に接しているか、又は正孔が移動できる層を介在して存在し、水AQと接していることが必要である。
光触媒電極10を酸素発生電極32に用いた場合、光触媒層16の吸収端は、例えば、400〜800nm程度である。
ここで、吸収端とは、連続吸収スペクトルにおいて波長がこれ以上長くなると吸収率が急激に減少するようになる部分又はその端のことであり、吸収端の単位はnmである。
酸素発生電極32は、水素発生電極34に光Lを入射させるために、光Lが透過可能なものである。光Lを水素発生電極34に照射させるためには酸素発生電極32の基板12は透明である。水素発生電極34は、基板40が透明である必要がない。
図9に示すように光Lは、酸素発生電極32側から入射され、酸素発生電極32は光触媒層16及び助触媒層18が、光Lの入射側の反対側に設けられている。助触媒層18を光Lの入射側の反対側に設けることで、光Lが基板12を通して裏面から入射されるため、助触媒層18による減衰効果を抑えることができる。なお、酸素発生電極32では、助触媒層18を光Lの入射側に設ける構成でもよい。この場合、酸素発生電極32は、光Lの入射方向から光触媒層16、透明導電体層14、及び基板12をこの順に有する。
上述の光Lの進行方向Diは透明部材54の表面54aに垂直な方向であるが、光Lの入射方向は、光Lが酸素発生電極32又は水素発生電極34を貫くように入射する方向のことである。光Lの入射方向には、進行方向Diと平行な方向も含まれる。
水素発生電極34は、図9及び図11に示すように基板40と、基板40の表面40a上に設けられた導電層42と、導電層42の表面42a上に設けられた光触媒層44と、光触媒層44の少なくとも一部に担持された助触媒層46とを有する。水素発生電極34は、光Lの入射方向から光触媒層44、導電層42、及び基板40をこの順に有し、光Lの入射側に助触媒層46が設けられている。導電層42が透明導電体層に相当する。水素発生電極34の光触媒層44の吸収端は、例えば、600〜1300nm程度である。
助触媒層46は光触媒層44の表面44aに設けられている。助触媒層46は、例えば、複数の助触媒粒子47で構成されている。これにより、光触媒層44の表面44aへの光Lの入射光量の低下が抑制される。
水素発生電極34では、光Lを吸収した際に生成するキャリアが発生し、水AQを分解して水素が発生する。水素発生電極34では、後述するように光触媒層44の表面44aにn型伝導性を持つ材料を積層させpn接合を形成することも好ましい。水素発生電極34の各構成については後に詳細に説明する。
図9に示す人工光合成モジュール30では、供給管56aを介して容器50の第1の区画53a内に水AQを供給し、供給管56bを介して容器50の第2の区画53b内に水AQを供給し、光Lを透明部材54側から入射させることで、酸素発生電極32から助触媒層18で酸素が発生し、酸素発生電極32を透過した光により、水素発生電極34からは助触媒層46で水素が発生する。そして、酸素を含む水AQが排出管58aから排出され、排出された酸素を含む水AQから酸素が回収される。水素を含む水AQが排出管58bから排出され、排出された水素を含む水AQから水素が回収される。
人工光合成モジュール30では、酸素発生電極32と水素発生電極34が、光Lの進行方向Diに沿って直列に配置されており、最初に光Lが入射された酸素発生電極32において、水AQが分解されて酸素が発生する。水素発生電極34では、酸素発生電極32を透過した光Lが照射され、水AQが分解されて水素が発生する。人工光合成モジュール30では、このようにして酸素と水素を得ることができる。しかも、人工光合成モジュール30では、光Lを酸素発生電極32と水素発生電極34で利用することで、光Lの利用効率が高くでき、反応効率が高い。すなわち、水分解を示す電流密度を高くすることができる。
また、人工光合成モジュール30では、酸素発生電極32及び水素発生電極34の設置面積を増大させることなく、反応効率を高くすることができる。
人工光合成モジュール30では、上述のように酸素発生電極32の光触媒層16の吸収端は、例えば、500〜800nm程度であり、水素発生電極34の光触媒層44の吸収端は、例えば、600〜1300nm程度である。
ここで、酸素発生電極32の光触媒層16の吸収端をλとし、水素発生電極34の光触媒層44の吸収端をλとするとき、λ<λ、且つλ−λ≧100nmであることが好ましい。これにより、光Lが太陽光である場合、先に酸素発生電極32の光触媒層16に特定波長の光が吸収されての酸素の発生に利用されても、光Lが水素発生電極34の光触媒層44に吸収されて水素の発生に利用することができ、水素発生電極34では必要なキャリア生成量が得られる。これにより、光Lの利用効率をより高めることができる。
しかも、上述のように光触媒電極10では大型化しても電気抵抗の増加が抑制され、高い電流密度を得ることができる。
なお、水素発生電極34と酸素発生電極32とは、電気的に接続されていれば、接続形態は、特に限定されるものではなく、外部導線36に限定されるものではない。また、水素発生電極34と酸素発生電極32とは、電気的に接続されていればよく、接続の仕方は特に限定されるものではない。
なお、人工光合成モジュール30では、水素発生電極34の吸収端が500〜800nm程度であり、酸素発生電極32の吸収端が600〜1300nmであり、水素発生電極34に、上述の金属電気伝導体23を備えた透明導電体層14を有する光触媒電極10を用いてもよい。
また、人工光合成モジュール30は、図9では水平面B上に容器50を配置したが、図12に示すように水平面Bに対して予め定められた角度θ傾けて配置してもよい。この場合、供給管56a及び供給管56bに比して、排出管58a及び排出管58bが高くなり、発生した酸素及び水素を回収しやすくなる。また、発生した酸素を酸素発生電極32から速やかに移動させ、発生した水素を水素発生電極34から速やかに移動させることができる。これにより、発生した酸素及び水素が気泡の形態での滞留を抑でき、気泡により光Lが遮られることが抑制される。このため、発生した酸素及び水素の反応効率に与える影響を小さくすることができる。
図12に示すように水平面Bに対して角度θ傾けた場合、光Lは透明部材54の表面54aに対して垂直に入射されないが、酸素発生電極32では助触媒層18は光Lの入射側と基板12に対し、反対側に設けられている。図12に示す角度θ傾けた人工光合成モジュール30でも、光Lの進行方向Diは図1と同じとする。
上述の人工光合成モジュール30は、人工光合成装置に利用することができる。図13は本発明の実施形態の人工光合成装置を示す模式図である。
図13に示す人工光合成装置60は、水を分解してガスを発生させる人工光合成モジュール30と、水を貯蔵するタンク62と、タンク62と人工光合成モジュール30に接続され、人工光合成モジュール30に水を供給する供給管56a、56bと、タンク62と人工光合成モジュールに接続され、人工光合成モジュールから水を回収する排出管58a、58bと、水を供給管56a、56bと排出管58a、58bを介してタンク62と人工光合成モジュール30との間で循環させるポンプ64と、人工光合成モジュール30から、発生した発生ガスを回収するガス回収部65を有する。
人工光合成装置60では、人工光合成モジュール30が、方向Dと方向Wを平行にして配置され、且つ方向Wと直交する方向Mに並べて複数配置されている。人工光合成モジュール30の構成は、図9に示す構成と同じであるため、その詳細な説明は省略する。人工光合成モジュール30の数は複数であれば、特に限定されるものではなく、少なくとも2つあればよい。
タンク62は、上述のように水を貯蔵するものであり、人工光合成モジュール30に供給する水が貯蔵され、人工光合成モジュール30から排出管58a、58bを経て排出された水も貯蔵される。タンク62は、水を貯蔵することができれば、特に限定されるものではない。
ポンプ64は、タンク62と配管63介して接続されており、タンク62に貯蔵された水を人工光合成モジュール30に供給するものである。ポンプ64は、人工光合成モジュール30からタンク62に排出されて貯蔵された水も人工光合成モジュール30に供給する。このように、ポンプ64は、供給管56a、56bと排出管58a、58bを介してタンク62と人工光合成モジュール30との間で、水を循環させる。ポンプ64は、水をタンク62と人工光合成モジュール30との間で循環させることができれば、特に限定されるものではなく、循環させる水の量、及び配管長さ等に基づいて適宜選択されるものである。
ガス回収部65は、人工光合成モジュール30で生成された酸素ガスを回収する酸素ガス回収部66と、人工光合成モジュール30で生成された水素ガスを回収する水素ガス回収部68とを有する。
酸素ガス回収部66は酸素用管67を介して人工光合成モジュール30に接続されている。酸素ガス回収部66は、酸素ガスを回収することができれば、その構成は、特に限定されるものではなく、例えば、吸着法を用いた装置を利用することができる。
水素ガス回収部68は水素用管69を介して人工光合成モジュール30に接続されている。水素ガス回収部68は、水素ガスを回収することができれば、その構成は、特に限定されるものではなく、例えば、吸着法及び隔膜法等を用いた装置を利用することができる。
人工光合成装置60では、人工光合成モジュール30を方向Wに対して傾けてもよい。この場合、図12に示す人工光合成モジュール30の形態となる。人工光合成モジュール30を傾けることにより、水がタンク62側に移動しやすくなり、酸素ガス及び水素ガスの生成の効率を高くすることができ、しかも発生した酸素ガスが酸素用管67側に、水素ガスが水素用管69側に移動しやすくなり、酸素ガス及び水素ガスを効率良く回収することができる。
なお、水素ガス回収部68及び酸素ガス回収部66をポンプ64側に設けたが、これに限定されるものではなくタンク62側に設けてもよい。
以下、酸素発生電極32及び水素発生電極34について説明する。
まず、酸素発生電極32に適した光触媒層及び助触媒について説明する。酸素発生電極32は、上述の光触媒電極10又は光触媒電極10aで構成することができるものであり、光触媒電極10及び光触媒電極10aでも以下に示す光触媒層及び助触媒を用いることができる。
<酸素発生電極の光触媒層>
光触媒層を構成する光半導体としては、公知の光触媒を使用でき、少なくとも1種の金属元素を含む光半導体である。
なかでも、オンセットポテンシャルがより良好、光電流密度がより高い、又は連続照射による耐久性がより優れる点で、金属元素としては、Ti、V、Nb、Ta、W、Mo、Zr、Ga、In、Zn,Cu、Ag、Cd,Cr、又はSnが好ましく、Ti、V、Nb、Ta、又はWがより好ましい。
また、光半導体としては、上述の金属元素を含む酸化物、窒化物、酸窒化物、硫化物、及びセレン化物等が挙げられる。
また、光触媒層中には、通常、光半導体が主成分として含まれる。主成分とは、第2の光触媒層全質量に対して、光半導体が80質量%以上であることを意図し、90質量%以上が好ましい。上限は特に限定されるものではないが、100質量%である。
光半導体の具体例としては、例えば、BiWO,BiVO,BiYWO,In(ZnO),InTaO,InTaO:Ni(「光半導体:M」は、光半導体にMをドープしていることを示す。以下同様。),TiO:Ni,TiO:Ru,TiORh,TiO:Ni/Ta(「光半導体:M1/M2」は、光半導体にM1とM2を共ドープしていることを示す。以下同様。),TiO:Ni/Nb,TiO:Cr/Sb,TiO:Ni/Sb,TiO:Sb/Cu,TiO:Rh/Sb,TiO:Rh/Ta,TiO:Rh/Nb,SrTiO:Ni/Ta,SrTiO:Ni/Nb,SrTiO:Cr,SrTiO:Cr/Sb,SrTiO:Cr/Ta,SrTiO:Cr/Nb,SrTiO:Cr/W,SrTiO:Mn,SrTiO:Ru,SrTiO:Rh,SrTiO:Rh/Sb,SrTiO:Ir,CaTiO:Rh,LaTi:Cr,LaTi:Cr/Sb,LaTi:Fe,PbMoO:Cr,RbPbNb10,HPbNb10,PbBiNb,BiVO,BiCuVO,BiSnVO,SnNb,AgNbO,AgVO,AgLi1/3Ti2/3,AgLi1/3Sn2/3,WO、BaBi1−xInxO、BaZr1−xSn、BaZr1−xGe、及びBaZr1−xSi等の酸化物、LaTiON,Ca0.25La0.75TiO2.250.75,TaON,CaNbON,BaNbON,CaTaON,SrTaON,BaTaON,LaTaON,YTa,(Ga1−xZn)(N1−x),(Zn1+xGe)(N)(xは、0−1の数値を表す),及びTiN等の酸窒化物、NbN,及びTa等の窒化物、CdS等の硫化物、CdSe等のセレン化物、LnTi(Ln:Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,Ho,及びEr)、ならびにLa,Inを含むオキシサルファイド化合物(Chemistry Letters、2007,36,854−855)を含むことができるが、ここに例示した材料に限定されるものではない。
なかでも、光半導体としては、BaBi1−xIn、BaZr1−xSn、BaZr1−xGe、BaZr1−xSi、NbN、TiO、WO、TaON、BiVO4、Ta35、ペロブスカイト構造を持つAB(O,N)3{A=Li,Na,K,Rb,Cs,Mg,Ca,Sr,Ba,La,Y、B=Ta,Nb,Sc,Y,La,Ti}、又は、上述のペロブスカイト構造を持つAB(O,N)3を主成分として含む固溶体、又はTaON、BiVO4、Ta35、又はペロブスカイト構造を持つAB(O,N)3を主成分として含むドープ体を用いることができる。
光触媒層に含まれる光半導体の形状は特に限定されるものではなく、膜状、柱状、及び粒子状等が挙げられる。
光半導体が粒子状の場合、その一次粒子の粒径は、特に限定されるものではないが、通常、0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.1μm以上であり、通常、10μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以下である。
上述の粒径は平均粒径であり、透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡にて観察された任意の100個の光半導体の粒径(直径)を測定し、それらを算術平均したものである。なお、粒子形状が真円状ではない場合は、長径を測定する。
光半導体が柱状である場合、導電層表面の法線方向に沿って延びる柱状の光半導体であることが好ましい。柱状の光半導体の直径は、特に限定されるものではないが、通常、0.025μm以上が好ましく、より好ましくは0.05μm以上であり、通常、10μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以下である。
上述の直径は平均直径であり、透過型電子顕微鏡(装置名:株式会社 日立ハイテクノロジーズ H−8100)又は走査型電子顕微鏡(装置名:株式会社 日立ハイテクノロジーズ SU−8020型SEM)にて観察された任意の100個の柱状光半導体の直径を測定し、それらを算術平均したものである。
光触媒層の厚みは特に限定されるものではないが、酸化物又は窒化物の場合には、300nm以上2μm以下であることが好ましい。なお、光触媒層の最適な厚みについては光Lの浸入長又は励起されたキャリアの拡散長によって決まる。
ここで、光触媒層の材料として良く用いられるBiVOをはじめとして、多くの光触媒層の材料は吸収できる波長の光を全て活用できるほどの厚みでは反応効率が最大ではない。厚みが厚い場合にはキャリア寿命及び移動度の問題により膜面から遠い場所で発生したキャリアを膜面まで失活させることなく輸送することが難しい。そのため膜厚を厚くしても、期待されるほどの電流を取り出すことができない。
また、粒子系でよく用いられる粒子転写電極では粒子径が大きいほど電極膜はになり、厚み、すなわち、粒径が増すほど膜密度は下がることになり、期待されるほどの電流を取り出すことができない。光触媒層の厚みが300nm以上2μm以下であれば、電流を取り出すことができる。
光触媒層の厚みは、光触媒電極の断面状態の走査型電子顕微鏡像を取得して、取得した画像から求めることができる。
上述の光触媒層の形成方法は特に限定されるものではないが、公知の方法(例えば、粒子状の光半導体を基板上に堆積させる方法)を採用できる。形成方法として、具体的には、電子ビーム蒸着法、スパッタ法及びCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の気相成膜法、Chem. Sci., 2013, 4, 1120−1124に記載の転写法、Adv.Mater.,2013,25,125−131に記載の方法が挙げられる。
なお、基板と光触媒層との間には、必要に応じて他の層、例えば、接着剤層が含まれていてもよい。
<酸素発生電極の助触媒>
助触媒としては、貴金属及び遷移金属酸化物が用いられる。助触媒は、真空蒸着法、スパッタ法、及び電着法等を用いて担持される。助触媒が、例えば、1〜5nm程度の設定膜厚で形成されると、膜として形成されず島状になる。
第1の助触媒26としては、例えば、Pt、Pd、Ni、Au、Ag、Ru、Cu、Co、Rh、Ir、Mn、又はFe等により構成される単体、及びそれらを組み合わせた合金、ならびにその酸化物及び水酸化物、例えば、FeOx、CoO等のCoOx、NiOx、RuOならびにCoOOH、FeOOH、NiOOH及びRuOOH等を用いることができる。
次に、水素発生電極34の導電層42、光触媒層44及び助触媒層46について説明する。なお、後述の水素発生電極34の光触媒層44及び助触媒層46は、光触媒電極10、10aの光触媒層16及び助触媒層18に利用することができる。
図11に示す水素発生電極34の基板40は、光触媒層44を支持するものであり、電気絶縁性を有するもので構成される。基板40は、特に限定されるものではないが、例えば、ソーダライムガラス基板又はセラミックス基板を用いることができる。また、基板40には、金属基板上に絶縁層が形成されたものを用いることができる。ここで、金属基板としては、Al基板又はSUS(Steel Use Stainless)基板等の金属基板、又はAlと、例えば、SUS等の他の金属との複合材料からなる複合Al基板等の複合金属基板が利用可能である。なお、複合金属基板も金属基板の一種であり、金属基板及び複合金属基板をまとめて、単に金属基板ともいう。さらには、基板40としては、Al基板等の表面を陽極酸化して形成された絶縁層を有する絶縁膜付金属基板を用いることもできる。基板40は、フレキシブルなものであっても、そうでなくてもよい。なお、上述のもの以外に、基板40として、例えば、高歪点ガラス及び無アルカリガラス等のガラス板、又はポリイミド材を用いることもできる。
基板40の厚みは、特に限定されるものではなく、例えば、20〜2000μm程度あればよく、100〜1000μmが好ましく、100〜500μmがより好ましい。なお、光触媒層44に、CIGS(Copper indium gallium (di)selenide)化合物半導体を含むものを用いる場合には、基板40側に、アルカリイオン(例えば、ナトリウム(Na)イオン:Na)を供給するものがあると、光電変換効率が向上するので、基板40の表面40aにアルカリイオンを供給するアルカリ供給層を設けておくことが好ましい。なお、基板40の構成元素にアルカリ金属を含む場合には、アルカリ供給層は不要である。
<水素発生電極の導電層>
導電層42は、光触媒層44で発生したキャリアを捕集し輸送するものである。導電層42は、導電性を有していれば、特に限定されるものではないが、例えば、Mo、Cr及びW等の金属、又はこれらを組み合わせたものにより構成される。この導電層42は、単層構造でもよいし、2層構造等の積層構造でもよい。この中で、導電層42は、Moで構成することが好ましい。導電層42は厚みが200〜1000nmであることが好ましい。
<水素発生電極の光触媒層>
光触媒層44は、光吸収によりキャリアを生成するものであり、その導電帯下端が水を分解し水素を生成する電位(H/H)よりも碑側にあるものである。光触媒層44は正孔を生成し導電層42に輸送するp型伝導性を持つものであるが、光触媒層44の表面34aにn型伝導性を持つ材料を積層させpn接合を形成することも好ましい。光触媒層44の厚みは、好ましくは500〜3000nmである。
p型伝導性を持つものを構成する光半導体は少なくとも1種の金属元素を含む光半導体である。なかでも、オンセットポテンシャルがより良好、光電流密度がより高い、又は連続照射による耐久性がより優れる点で、金属元素としては、Ti、V、Nb、Ta、W、Mo、Zr、Ga、In、Zn,Cu、Ag、Cd,Cr又はSnが好ましく、Ga、In、Zn,Cu、Zr、又はSnがより好ましい。
また、光半導体としては、上述の金属元素を含む酸化物、窒化物、酸窒化物、(オキシ)カルコゲナイド等が挙げられ、GaAs、GaInP、AlGaInP、CdTe、CuInGaSe、カルコパイライト結晶構造を有するCIGS化合物半導体、又はCuZnSnS等のCZTS化合物半導体で構成されるのが好ましい。
カルコパイライト結晶構造を有するCIGS化合物半導体、又はCuZnSnS等のCZTS化合物半導体で構成されるのが特に好ましい。
CIGS化合物半導体層は、Cu(In,Ga)Se(CIGS)のみならず、CuInSe(CIS)、又はCuGaSe(CGS)等で構成してもよい。さらにCIGS化合物半導体層は、Seの全部又は一部をSで置換したもので構成してもよい。
なお、CIGS化合物半導体層の形成方法としては、1)多源蒸着法、2)セレン化法、3)スパッタ法、4)ハイブリッドスパッタ法、及び5)メカノケミカルプロセス法等が知られている。
その他のCIGS化合物半導体層の形成方法としては、スクリーン印刷法、近接昇華法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、及びスプレー法(ウェット成膜法)等が挙げられる。例えば、スクリーン印刷法(ウェット成膜法)又はスプレー法(ウェット成膜法)等で、11族元素、13族元素、及び16族元素を含む微粒子膜を基板上に形成し、熱分解処理(この際、16族元素雰囲気での熱分解処理でもよい)を実施する等により、所望の組成の結晶を得ることができる(特開平9−74065号公報、特開平9−74213号公報等)。以下、CIGS化合物半導体層のことを単にCIGS層ともいう。
上述のようにn型伝導性を持つ材料を光触媒層44の表面34aに積層した場合、pn接合が形成される。
n型伝導性を持つ材料は、例えば、CdS、ZnS,Zn(S,O)、及び/又はZn(S,O,OH)、SnS,Sn(S,O)、及び/又はSn(S,O,OH)、InS,In(S,O)、及び/又はIn(S,O,OH)等の、Cd,Zn,Sn,及びInからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属硫化物を含むもので形成される。n型伝導性を持つ材料の層の膜厚は、20〜100nmが好ましい。n型伝導性を持つ材料の層は、例えば、CBD(Chemical Bath Deposition)法により形成される。
光触媒層44については、無機半導体からなり、水の光分解反応を生じさせ、水素を発生させることができれば、その構成は特に限定されるものではない。
例えば、太陽電池を構成する太陽電池セルに用いられる光電変換素子が好ましく用いられる。このような光電変換素子としては、上述のCIGS化合物半導体、又はCuZnSnS等のCZTS化合物半導体を用いたもの以外に、薄膜シリコン系薄膜型光電変換素子、CdTe系薄膜型光電変換素子、色素増感系薄膜型光電変換素子、又は有機系薄膜型光電変換素子を用いることができる。
<水素発生電極の助触媒>
助触媒層46としては、例えば、Pt、Pd、Ni、Ag、Ru、Cu、Co、Rh、Ir、Mn及びRuOを用いることが好ましい。
光触媒層44と助触媒層46との間に透明導電層(図示せず)を設けてもよい。透明導電層は、光触媒層44と助触媒層46とを電気的に接続する機能が必要であり、透明導電層には、透明性、耐水性、及び遮水性も要求され、透明導電層により水素発生電極34の耐久性が向上する。
透明導電層は、例えば、金属又は導電性酸化物(過電圧が0.5V以下)もしくはその複合物であることが好ましい。透明導電層は、光触媒層44の吸収波長に合わせて適宜選択されるものである。透明導電層には、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、Al、B、Ga、又はIn等がドープされたZnO、又はIMO(MoがドープされたIn)等の透明導電膜を用いることができる。透明導電層は単層構造でもよいし、2層構造等の積層構造でもよい。また、透明導電層の厚さは、特に限定されるものではなく、好ましくは、30〜500nmである。
なお、透明導電層の形成方法は、特に限定されるものではないが、真空成膜法が好ましく、電子ビーム蒸着法、スパッタ法及びCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の気相成膜法により形成することができる。
また、透明導電層にかえて助触媒層46の表面に、助触媒層46を保護する保護膜を設けるようにしてもよい。
保護膜は、助触媒層46の吸収波長に合わせたもので構成される。保護膜には、例えば、TiO、ZrO及びGa等の酸化物が用いられる。保護膜は絶縁体の場合、例えば、厚みが5〜50nmであり、ALD(Atomic Layer Deposition)法等の成膜法が選択される。保護膜が導電性の場合には、例えば、厚みが5〜500nmであり、ALD(Atomic Layer Deposition)法及びCVD(Chemical Vapor Deposition)に加えスパッタ法等で形成することもできる。保護膜は、導電体の場合の方が、絶縁性の場合に比して厚くすることができる。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の光触媒電極、人工光合成モジュール及び人工光合成装置について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、使用量、物質量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
本実施例では、実施例1〜実施例8及び参考例の光触媒電極を作製し、実施例1〜実施例8及び参考例の各光触媒電極について、後述の電解液を満たした容器(図示せず)内に浸漬した状態で、擬似太陽光を照射して光電気化学測定した。
実施例1〜実施例8及び参考例の各光触媒電極の光電気化学測定では、容器内に参照電極及び対極を配置した。そして光触媒電極、参照電極及び対極をポテンショスタットに接続した。この場合、光触媒電極が作用極となる。光電気化学測定方法については後に詳細について説明する。
以下に、擬似太陽光の光源、電解液、参照電極、対極及びポテンショスタットを示す。
擬似太陽光の光源:ソーラーシミュレーター(AM(Air mass)1.5G) 三永電機製作所製 XES−70S1
電解液:1M HBO+KOH pH9.5
電気化学測定置:ポテンショスタット 北斗電工製 HZ−5000
参照電極:Ag/AgCl電極
対極:白金ワイヤー
−評価条件−
光電気化学測定では、実施例1〜8及び参考例の光触媒電極について、10mV/分の速度で、0.2VRHE→1.2VRHE→0.2VRHEの測定を5回繰り返し、5回目の0.6VRHEの時の光照射時の電流密度(mA/cm)と、5回目の光を照射していない時の電流密度(mA/cm)の差を測定した。
後述する小サイズのBiVO基板についても、実施例1〜8及び参考例と同様の条件で光電気化学測定を行い、5回目の0.6VRHEの時の光照射時の電流密度(mA/cm)と光を照射していない時の電流密度(mA/cm)の差を測定した。
なお、光照射時とは擬似太陽光を照射しているときのことであり、光を照射していない時とは擬似太陽光を照射していないときのことである。
評価としては、実施例1〜8及び参考例の各の光触媒電極の電流密度差と、小サイズのBiVO基板の電流密度差を比較した。比較の結果、電流密度差が、小サイズのBiVO基板の80%以上確保できているものを「A」とし、75%以上80%未満確保できているものを「B」とし、55%以上75%未満確保できているものを「C」とし、50%以上55%未満確保できているものを「D」とし、50%未満のものを「E」とした。評価結果を下記表1に示す。
以下、実施例1〜実施例8及び参考例の光触媒電極について説明する。
(実施例1)
<母触媒形成>
ITO(Indium Tin Oxide)膜が形成されたガラス基板を用意した。ガラス基板は大きさが10cm×11cmである。ガラス基板上に、1cm分を残して、電着法によりBiOI前駆体を10cm×10cmの領域に形成した。その後、VO(acac)(バナジルアセチルアセトナート)を溶解させたDMSO溶液(ジメチルスルホキシド溶液)を滴下焼成し、BiVO基板を形成した。
<助触媒形成>
上述の作製したBiVO基板を、鉄イオン及びニッケルイオンを溶解した電解液の中に浸漬し、AM(Air mass)1.5Gの光を用いて、光電着法により助触媒を修飾した。
<評価>
形成した10cm×10cmのBiVO基板上に20mm幅間隔で幅が0.1mmの銅線を複数形成し、線状の金属電気伝導体を得て、線状の金属電気伝導体をエポキシ接着剤で保護した。BiVO基板のITO膜部分をクリップで固定して、光電気化学測定を実施した。
なお、線状の金属電気伝導体に関して、母触媒形成前に付与してから母触媒形成を行い、助触媒修飾を施すプロセス、母触媒形成後、助触媒修飾前に配線付与してから助触媒修飾を行うプロセス等、配線付与の順番を検討したが、得られた性能は変わらなかった。
<小サイズのBiVO基板>
次に、小サイズのBiVO基板の作製方法について説明する。
大きさ2cm×2.5cmのITO膜が形成されたガラス基板を用意した。ガラス基板上に0.5cm分を残して、電着法で、BiOI前駆体を2cm×2cmの領域に形成し、大きさが2cm×2cmの小サイズのBiVO基板を得た。次に、助触媒修飾を上述と同様に行い、上述の評価のように小サイズのBiVO基板についても光電気化学測定を実施した。
(実施例2)
10cm×11cmのガラス基板上に、幅が0.1mmの銅線を20mm間隔で複数形成した。その後、ガラス基板上の銅線を被覆するITO膜を成膜した。これにより、銅線が20mm間隔で配置された、線状の金属電気伝導体を有する導電層が形成されたITO基板を得た。10cm×11cmのITO基板上に、1cm分を残して、電着法によりBiOI前駆体を10cm×10cmの領域に形成した。その後、VO(acac)(バナジルアセチルアセトナート)を溶解させたDMSO溶液(ジメチルスルホキシド溶液)を滴下焼成し、BiVO基板を形成した。その後、実施例1と同様の方法で助触媒修飾を行い、形成した10cm×10cmのBiVO基板のITO膜部分をクリップで固定して、光電気化学測定を実施した。
また、実施例2でも、実施例1と同様にして上述の小サイズのBiVO基板を得た。そして、上述のように助触媒修飾を施し、この小サイズのBiVO基板について光電気化学測定を実施した。
(実施例3)
10cm×11cmのガラス基板上に、幅が0.1mmの銅線を20mm間隔で複数形成した。その後、フォトリソグラフィ法を用いて、銅線を加工した。その後、ガラス基板上の銅線を被覆するITO膜を成膜した。これ以降の製造工程及び光電気化学測定方法は、実施例2と同じであるため、詳細な説明は省略する。
実施例3について、走査型電子顕微鏡を用いて、銅線の断面を観察したところ、テーパー角は60°であった。
また、実施例3でも、実施例1と同様にして上述の小サイズのBiVO基板を得た。そして、上述のように助触媒修飾を施し、この小サイズのBiVO基板について光電気化学測定を実施した。
(実施例4)
10cm×11cmのガラス基板上に、幅が0.1mmの銅線を20mm間隔で複数形成した。その後、フォトリソグラフィ法を用いて、銅線を加工した。その際、実施例3よりもエッチングレートが2倍程度遅延するように、エッチング液の濃度とエッチング液の温度を制御して加工した。その後、ガラス基板上の銅線を被覆するITO膜を成膜した。これ以降の製造工程及び光電気化学測定方法は、実施例2と同じであるため、詳細な説明は省略する。
実施例4について、走査型電子顕微鏡を用いて、銅線の断面を観察したところ、テーパー角は40°であった。
また、実施例4でも、実施例1と同様にして上述の小サイズのBiVO基板を得た。そして、上述のように助触媒修飾を施し、この小サイズのBiVO基板について光電気化学測定を実施した。
(実施例5)
10cm×10cmのBiVO基板上に50mm幅間隔で幅が0.1mmの銅線を複数形成した点以外の製造工程及び光電気化学測定方法は、実施例1と同じであるため、詳細な説明は省略する。
また、実施例5でも、実施例1と同様にして上述の小サイズのBiVO基板を得た。そして、上述のように助触媒修飾を施し、この小サイズのBiVO基板について光電気化学測定を実施した。
(実施例6)
10cm×11cmのガラス基板上に、幅が0.1mmの銅線を20mm間隔で複数形成し、その後、フォトリソグラフィ法を用いて、銅線を加工した。これ以降の製造工程及び光電気化学測定方法は、実施例3と同じであるため、詳細な説明は省略する。
実施例6について、走査型電子顕微鏡を用いて、銅線の断面を観察したところ、テーパー角は10°であった。
また、実施例6でも、実施例1と同様にして上述の小サイズのBiVO基板を得た。そして、上述のように助触媒修飾を施し、この小サイズのBiVO基板について光電気化学測定を実施した。
(実施例7)
10cm×11cmのガラス基板上に、幅が0.1mmの銅線を50mm間隔で複数形成し、その後、フォトリソグラフィ法を用いて、銅線を加工した。これ以降の製造工程及び光電気化学測定方法は、実施例3と同じであるため、詳細な説明は省略する。
実施例7について、走査型電子顕微鏡を用いて、銅線の断面を観察したところ、テーパー角は40°であった。
また、実施例7でも、実施例1と同様にして上述の小サイズのBiVO基板を得た。そして、上述のように助触媒修飾を施し、この小サイズのBiVO基板について光電気化学測定を実施した。
(実施例8)
10cm×10cmのBiVO基板上に5mm幅間隔で幅が0.1mmの銅線を複数形成した点以外の製造工程及び光電気化学測定方法は、実施例1と同じであるため、詳細な説明は省略する。
また、実施例8でも、実施例1と同様にして上述の小サイズのBiVO基板を得た。そして、上述のように助触媒修飾を施し、この小サイズのBiVO基板について光電気化学測定を実施した。
(参考例)
ITO(Indium Tin Oxide)膜が形成されたガラス基板を用意した。ガラス基板は大きさが10cm×11cmである。ガラス基板上に、1cm分を残して、電着法によりBiOI前駆体を10cm×10cmの領域に形成した。その後、VO(acac)(バナジルアセチルアセトナート)を溶解させたDMSO溶液(ジメチルスルホキシド溶液)を滴下焼成し、BiVO基板を形成した。その後、実施例1と同様の方法で助触媒修飾を行い、形成した10cm×10cmのBiVO基板のITO膜部分をクリップで固定して、光電気化学測定を実施した。参考例は、線状の金属電気伝導体がない構造である。
また、参考例でも、実施例1と同様にして上述の小サイズのBiVO基板を得た。そして、上述のように助触媒修飾を施し、この小サイズのBiVO基板について光電気化学測定を実施した。
表1に示すように、実施例1〜実施例8の光触媒電極は、参考例の光触媒電極よりも、小サイズのBiVO基板に対する減衰率が明らかに低いものであった。すなわち、実施例1〜実施例8の光触媒電極は、電流密度差について、小サイズのBiVO基板の電流密度差の50%以上確保できた。
間隔が20mmと同じでテーパー角が異なるテーパー角60°の実施例3と、テーパー角40°の実施例4と、テーパー角10°の実施例6は、同じ構成でテーパー角を特に規定していない実施例2よりも小サイズのBiVO基板に対する減衰率が小さかった。また、テーパー角が40°の実施例4と実施例7では間隔が20mmの実施例4の方が小サイズのBiVO基板に対する減衰率が小さかった。また、間隔が50mmの実施例5及び間隔が5mmの実施例8よりも、同じ構成で間隔が20mmの実施例1の方が、小サイズのBiVO基板に対する減衰率が小さかった。
モジュールでの評価に関して、実施例1〜8及び参考例の電極を、それぞれ電解液を満たした容器の代わりに、図9のようなモジュール形態で評価を行ったところ、評価結果と同様の性能序列で光電気化学測定結果を得ることができた。
10、10a 光触媒電極
11、50 容器
11a 内部
12、40 基板
12a、14a、16a、34a、40a、42a、44a、54a 表面
14、15 透明導電体層
16、44 光触媒層
18、46 助触媒層
19,47 助触媒粒子
20 透明導電体
23 線状の金属電気伝導体
23a、23b、23c 側面
23d 下底
23e 上底
23f 点
24 保護膜
25 金属導線
30 人工光合成モジュール
32 酸素発生電極
34 水素発生電極
36 外部導線
42 導電層
52 筐体
52b 底面
52c 第1の壁面
52d 第2の壁面
53 隔膜
53a 第1の区画
53b 第2の区画
54 透明部材
56a、56b 供給管
58a、58b 排出管
60 人工光合成装置
62 タンク
63 配管
64 ポンプ
65 ガス回収部
66酸素ガス回収部
67 酸素用管
68 水素ガス回収部
69 水素用管
AQ 水
B 水平面
D 方向
Di 進行方向
Dr 方向
L 光
Lp 平行線
Lt 接線
td 間隔
wb、wu 長さ
α テーパー角
θ 角度

Claims (19)

  1. 基板、透明導電体層、光触媒層及び線状の金属電気伝導体を有する、光により水を分解して気体を発生させる光触媒電極であって、
    前記基板、前記透明導電体層、前記光触媒層がこの順に積層され、且つ、前記線状の金属電気伝導体が、前記基板の表面に接して前記基板上に配置されており、前記透明導電体層内に埋設されていることを特徴とする、光触媒電極。
  2. 前記線状の金属電気伝導体が、5mm以上50mm未満の間隔で配置されている、請求項1に記載の光触媒電極。
  3. 前記線状の金属電気伝導体の上底の長さが、下底の長さよりも短い、請求項1又は2に記載の光触媒電極。
  4. 前記線状の金属電気伝導体が、テーパー角を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の光触媒電極。
  5. 前記テーパー角が、5°以上60°以下である、請求項に記載の光触媒電極。
  6. 前記テーパー角が、5°以上40°以下である、請求項又はに記載の光触媒電極。
  7. 前記透明導電体層が、透明導電性酸化物で構成される、請求項1〜のいずれか1項に記載の光触媒電極。
  8. 前記透明導電体層の厚みが、100nm以上500nm以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の光触媒電極。
  9. 前記光触媒電極が前記水を分解して発生させる前記気体は、酸素又は水素である、請求項1〜のいずれか1項に記載の光触媒電極。
  10. 前記光触媒電極が前記水を分解して発生させる前記気体は、酸素である、請求項1〜のいずれか1項に記載の光触媒電極。
  11. 光により水を分解して酸素を発生させる、前記光の入射方向から光触媒層、透明導電体層、基板をこの順に有する酸素発生電極と、
    前記光により前記水を分解して水素を発生させる、前記光の入射方向から光触媒層、透明導電体層、基板をこの順に有する水素発生電極とを具備し、
    前記酸素発生電極と前記水素発生電極が、前記光の進行方向に沿って直列に配置されている人工光合成モジュールであって、
    前記酸素発生電極と前記水素発生電極は、互いに導線を介して電気的に接続されており、
    前記酸素発生電極と前記水素発生電極のうち、少なくとも一方の電極は、前記基板の表面に接して前記基板上に配置され、前記透明導電体層内に埋設されており、且つ、前記導線に電気的に接続されている線状の金属電気伝導体を有することを特徴とする、人工光合成モジュール。
  12. 前記線状の金属電気伝導体が、5mm以上50mm未満の間隔で配置されている、請求項11に記載の人工光合成モジュール。
  13. 前記線状の金属電気伝導体の上底の長さが、下底の長さよりも短い、請求項11又は12に記載の人工光合成モジュール。
  14. 前記線状の金属電気伝導体が、テーパー角を有する、請求項1113のいずれか1項に記載の人工光合成モジュール。
  15. 前記テーパー角が、5°以上60°以下である、請求項14に記載の人工光合成モジュール。
  16. 前記テーパー角が、5°以上40°以下である、請求項14又は15に記載の人工光合成モジュール。
  17. 前記透明導電体層が、透明導電性酸化物で構成される、請求項1116のいずれか1項に記載の人工光合成モジュール。
  18. 前記透明導電体層の厚みが、100nm以上500nm以下である、請求項1117のいずれか1項に記載の人工光合成モジュール。
  19. 水を分解してガスを発生させる人工光合成モジュール、前記水を貯蔵するタンク、
    前記タンクと前記人工光合成モジュールに接続され、前記人工光合成モジュールに前記水を供給する供給管、
    前記タンクと前記人工光合成モジュールに接続され、前記人工光合成モジュールから前記水を回収する排出管、
    前記水を前記供給管と前記排出管を介して前記タンクと前記人工光合成モジュールとの間で循環させるポンプ、及び前記人工光合成モジュールから、発生した発生ガスを回収するガス回収部、を有する、人工光合成装置であって、
    光により前記水を分解して酸素を発生させる、前記光の入射方向から光触媒層、透明導電体層、基板をこの順に有する酸素発生電極と、
    前記光により前記水を分解して水素を発生させる、前記光の入射方向から光触媒層、透明導電体層、基板をこの順に有する水素発生電極とを具備し、
    前記酸素発生電極と前記水素発生電極が、前記光の進行方向に沿って直列に配置され、前記酸素発生電極と前記水素発生電極は、互いに導線を介して電気的に接続されており、
    前記酸素発生電極と前記水素発生電極のうち、少なくとも一方の電極は、前記基板の表面に接して前記基板上に配置され、前記透明導電体層内に埋設されており、且つ、前記導線に電気的に接続されている線状の金属電気伝導体を有する、前記人工光合成モジュールが複数配置されていることを特徴とする、人工光合成装置。
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