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JP6583157B2 - エアバッグ装置 - Google Patents

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JP6583157B2 JP2016122801A JP2016122801A JP6583157B2 JP 6583157 B2 JP6583157 B2 JP 6583157B2 JP 2016122801 A JP2016122801 A JP 2016122801A JP 2016122801 A JP2016122801 A JP 2016122801A JP 6583157 B2 JP6583157 B2 JP 6583157B2
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Description

本発明は、衝突等により乗物に衝撃が加わった場合に、乗物用シートに着座している乗員に接近した箇所でエアバッグを展開及び膨張させて、乗員を衝撃から保護するエアバッグ装置に関する。
衝突等により車両に衝撃が加わった場合に乗員をその衝撃から保護する装置として、エアバッグ装置が有効である。このエアバッグ装置の一形態として、軸線に沿って延び、かつ膨張用ガスを噴出する長尺状のガス発生器と、ガス発生器から噴出される膨張用ガスにより膨張するエアバッグとを備えるものが知られている。
ガス発生器は、これを乗物に取付けるための一対の取付突起を有する。両取付突起は、ガス発生器の外周部からその軸線に直交する方向であって互いに同一方向へ向けて突出する。
また、エアバッグの主要部は本体布によって構成される。本体布は、その幅方向の中央部に設定された折り線に沿って二つ折りされる。二つ折りされた本体布は、その周縁部において縫合される。
特許文献1に記載されたエアバッグ装置では、本体布の折り線上に補助布が重ね合わされている。本体布及び補助布において、折り線を跨ぐ箇所には、ガス発生器を挿入するための挿入口が設けられている。本体布及び補助布において、ガス発生器の挿入方向における挿入口の前方の箇所には、取付孔があけられている。
上記特許文献1には、ガス発生器に関する記述がなされていないが、同ガス発生器をエアバッグに組付ける際には、挿入口を通じてガス発生器がエアバッグ内に挿入される。ガス発生器の一方の取付突起が取付孔に挿通され、他方の取付突起が挿入口のうち、ガス発生器の挿入方向前側部分に挿通されるものと考えられる。
さらに、上記特許文献1では、本体布及び補助布において、挿入口からガス発生器の挿入方向前方へ離れた箇所と取付孔との間の領域に縫製部が形成されている。この縫製部によって、本体布及び補助布の上記領域が補強されている。
独国特許出願公開第102010032175号明細書
ところで、上記のように挿入口からガス発生器をエアバッグに挿入するタイプのエアバッグ装置では、その挿入のしやすい構造が求められる。しかし、上記特許文献1では、挿入口からガス発生器を挿入しやすくための構造は特に考慮されていない。
ここで、縫製部に挿入口を開かせる役割を担わせることも考えられる。これは、本体布及び補助布のうち縫製部の周囲の剛性が高められていることや、縫製部が二つ折りされた本体布の折り線に跨っていることによる。剛性の高められた部分が、二つ折りされた状態から平らな状態に戻ろうとして、挿入口が開かれる。ところが、縫製部は、上述したように、挿入口から挿入方向前方へ離れた箇所と取付孔との間の領域に位置している。そのため、仮に縫製部に、挿入口を開かせる役割を担わせるにしても、大きな効果は期待できない。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、挿入口を通じたガス発生器のエアバッグへの挿入のしやすさを向上させることのできるエアバッグ装置を提供することにある。
上記課題を解決するエアバッグ装置は、軸線に沿って延び、かつ膨張用ガスを噴出する長尺状のガス発生器本体を備えるとともに、前記ガス発生器本体の前記軸線に沿う方向の1箇所又は複数箇所から、その軸線に直交する方向へ突出する取付突起を備えるガス発生器と、前記膨張用ガスにより膨張するエアバッグとを備え、前記取付突起において乗物に取付けられるエアバッグ装置であって、前記エアバッグは、互いに厚み方向に重ね合わされた第1布部及び第2布部を少なくとも備えるとともに、前記第1布部及び前記第2布部の間に、その第1布部を自身の一部とする収容室を備え、前記収容室には、少なくとも前記第1布部を通じて前記ガス発生器を挿入するための挿入口が設けられ、前記収容室の前記挿入口よりも前記ガス発生器の挿入方向前方の箇所には、少なくとも前記第1布部を通じて前記取付突起が挿通される取付孔が設けられ、さらに、前記挿入口と、前記挿入方向における最後端の前記取付孔との間には、同挿入口を開口させる開口促進部が設けられている。
上記の構成によれば、ガス発生器は、これをエアバッグに組付けるために、収容室に設けられた挿入口から、少なくとも第1布部を通じて挿入される。この際、開口促進部は、挿入口を開口させる機能を発揮する。ここで、開口促進部は、挿入口と、ガス発生器の挿入方向における最後端の取付孔との間に設けられていて、隣り合う取付孔間に設けられる場合よりも、挿入口に近い箇所に位置する。そのため、挿入口は、開口促進部が隣り合う取付孔間に位置する場合よりも大きな力で大きく開口される。その結果、挿入口を通じてガス発生器をエアバッグに挿入する作業は、開口促進部が隣り合う取付孔間に位置していて、挿入口から遠ざかっている場合よりも容易になる。
なお、挿入口から収容室に挿入されたガス発生器は、その取付突起が対応する取付孔に挿通されることでエアバッグに組付けられる。
上記エアバッグ装置において、前記第1布部及び前記第2布部は屈曲部を介して互いに繋がっており、その屈曲部において屈曲されることにより、前記厚み方向に重ね合わされており、前記挿入口は、前記屈曲部に隣接する箇所に設けられ、前記開口促進部は、前記屈曲部を介して前記第1布部及び前記第2布部に跨った状態で設けられて、同開口促進部の周辺部分よりも剛性を高められた剛性補強部により構成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、屈曲部を介して互いに繋がり、かつその屈曲部において屈曲されて厚み方向に重ね合わされた第1布部及び第2布部は、屈曲した状態から平らな状態に戻ろうとする。
これに加え、剛性補強部が、屈曲部を介して第1布部及び第2布部に跨った状態で設けられた箇所の剛性は、その周辺部分の剛性よりも高くなる。剛性の高められた部分は、屈曲した状態から平らな状態になろうとする。剛性補強部によって剛性を高められた部分では、剛性を高められていない場合よりも、第1布部が第2布部から厚み方向へ遠ざかろうとする。その影響を、剛性補強部の近くに位置する挿入口が受け、同挿入口がより大きく開口される。
上記エアバッグ装置において、前記剛性補強部の前記挿入方向における後端部は、前記挿入口に対し隣接する箇所に配置されていることが好ましい。
ガス発生器の挿入方向における剛性補強部の後端部は、上記の条件を満たす箇所に配置されることにより、挿入口に近い箇所に位置する。剛性補強部によって剛性の高められた部分では、第1布部が第2布部から厚み方向へ遠ざかろうとするところ、その影響を、剛性補強部の近くに位置する挿入口がより多く受け、同挿入口がより大きく開口される。
上記エアバッグ装置において、前記剛性補強部は、前記挿入方向には、前記挿入口と、同方向における最後端の前記取付孔との間の領域の全体にわたって設けられていることが好ましい。
挿入口と、ガス発生器の挿入方向における最後端の取付孔とが接近していて、両者の間の領域が狭い場合であっても、剛性補強部が、上記の構成によるように、同挿入方向には挿入口と最後端の取付孔との間の領域の全体にわたって設けられることで、挿入口を開口させるうえで必要な剛性を確保することが可能となる。
上記エアバッグ装置において、前記剛性補強部のうち前記第1布部における部分は、前記挿入口を通じて挿入された前記ガス発生器の前記軸線に直交する方向には、前記取付孔と前記屈曲部との間に設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、剛性補強部のうち第1布部における部分が、上記の条件を満たす箇所に設けられることで、挿入口と、ガス発生器の挿入方向における最後端の取付孔とが接近していて、両者の間の領域が狭い場合であっても、挿入口を開口させるうえで必要な剛性を確保することが可能となる。
上記エアバッグ装置において、前記第1布部、前記屈曲部及び前記第2布部は、共通の布により形成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、屈曲部において屈曲された第1布部及び第2布部は、自身の復元力により、屈曲前の状態である平らな状態に戻ろうとする。これに加え、屈曲部において屈曲された第1布部及び第2布部のうち、剛性補強部が設けられることで剛性の高められた箇所も、平らな状態になろうとする。従って、剛性補強部の近くに位置する挿入口はより一層大きく開口される。
なお、第1布部及び第2布部が、屈曲した状態から平らな状態に戻ろうとする力は、布が重ね合わされて使用され、しかもその布の枚数が多くなるに従い強くなる。従って、第1布部、第2布部及び屈曲部を構成する布を複数重ねた状態で二つ折りすることで、平らな状態に戻ろうとする力を増強し、挿入口をより一層大きく開口させることが可能となる。
上記エアバッグ装置において、前記剛性補強部は、前記屈曲部を介して前記第1布部及び前記第2布部に跨って貫通配置された縫糸により形成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、屈曲部を介して第1布部及び第2布部に跨るように縫糸を貫通配置する(縫製する)といった簡単な構成で、剛性補強部が形成される。
上記エアバッグ装置において、前記収容室は、前記第1布部と、前記第1布部及び前記第2布部の間であって、互いに前記厚み方向に重ね合わされた一対の収容壁部とを備え、両収容壁部の少なくとも主要部は、それらの周縁部に沿って設けられた結合部により前記第1布部に結合され、前記挿入口及び前記取付孔は、両収容壁部のうち前記第1布部に重ね合わされた側の前記収容壁部と、前記第1布部とのそれぞれにおいて、前記結合部により囲まれた領域に設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、ガス発生器は、これをエアバッグに組付けるために、一対の収容壁部のうち第1布部に重ね合わされた側の収容壁部と、第1布部とのそれぞれにおいて、結合部により囲まれた領域に設けられた挿入口から、第1布部及び第2布部の間の一対の収容壁部間に挿入される。この際、挿入口が開口促進部によって開口される。開口促進部は、上記挿入口と、ガス発生器の挿入方向における最後端の取付孔との間に設けられていて、隣り合う取付孔間に設けられる場合よりも、挿入口に近い箇所に位置する。そのため、挿入口は、開口促進部が隣り合う取付孔間に位置する場合よりも大きな力で大きく開口される。
なお、収容室が上記の構成を有している場合には、第1布部には、一対の収容壁部のうちの一方が重ね合わされている。そのため、開口促進部が挿入口を開口する力は、第1布部だけでなく、その第1布部に重ね合わされている収容壁部にも加わる。従って、挿入口をより大きく開口させることが可能である。
上記エアバッグ装置によれば、挿入口を通じたガス発生器のエアバッグへの挿入のしやすさを向上させることができる。
車両用のサイドエアバッグ装置に具体化した一実施形態を示す図であり、同装置が設けられた車両用シートを乗員とともに示す側面図。 (a)は、一実施形態において屈曲される前の収容布を示す展開図、(b)は、図2(a)の一部を拡大して示す部分展開図。 (a)は、一実施形態におけるエアバッグモジュールの内部構造を、車外側から見た状態で示す側断面図、(b)は図3(a)の一部を拡大して示す部分側断面図。 (a)は、一実施形態におけるエアバッグモジュールを車内側から見た状態で示す側面図、(b)は、図4(a)の一部を拡大して示す部分側面図。 (a)は、一実施形態において、周縁結合部による結合が解かれてエアバッグが平面状に広げられた状態のエアバッグモジュールを示す展開図、(b)は図5(a)の一部を拡大して示す部分展開図。 (a)は、図5(a)のエアバッグモジュールを裏面側から見た展開図、(b)は図6(a)の一部を拡大して示す部分展開図。 一実施形態を示す図であり、(a)は、ガス発生器がエアバッグとともに車両用シートのサイドフレーム部に取付けられた状態を示す部分断面図、(b)は、図7(a)の部分平断面図。 一実施形態におけるエアバッグモジュールの構成部品の部分分解斜視図。 一実施形態を示す図であり、(a)は、ガス発生器が取付けられる前のエアバッグの収容室周りの部分断面図、(b)は、ガス発生器が収容室に挿入される途中の状態を示す部分断面図。 (a)は、図9(b)におけるガス噴出部が挿通部に挿通され始めた状態を示す部分断面図、(b)は、図10(a)における非ガス噴出部が挿通部に挿通された状態を示す部分断面図。
以下、エアバッグ装置を車両用のサイドエアバッグ装置に具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の記載においては、車両の前進方向を前方として説明し、車両の後進方向を後方として説明する。また、車両の幅方向(車幅方向)における中央部を基準とし、その中央部に近づく側を「車内側」とし、中央部から遠ざかる側を「車外側」とするものとする。
また、車両用シートには、乗員として、標準的な体格を有する大人が、予め定められた正規の姿勢で着座しているものとする。
図1に示すように、車両10においてボディサイド部の車内側の近傍には車両用シート12が配置されている。ここで、ボディサイド部とは、車両10の側部に配置された車両構成部材を指し、主としてドア、ピラー等がこれに該当する。例えば、前席に対応するボディサイド部は、フロントドア、センターピラー(Bピラー)等である。また、後席に対応するボディサイド部は、サイドドア(リヤドア)の後部、Cピラー、タイヤハウスの前部、リヤクォータ等である。
車両用シート12は、シートクッション13と、そのシートクッション13の後側で斜め後ろ上方へ起立するシートバック14とを備えている。車両用シート12は、シートバック14が前方を向く姿勢で車両10に配置されている。このように配置された車両用シート12の幅方向は、車幅方向と合致する。
シートバック14内には、その骨格をなすシートフレームが配置されている。シートフレームの一部は、図7(a),(b)に示すように、シートバック14内の車外側部分に配置されたサイドフレーム部15によって構成されている。
シートバック14の車外側の側部内には収納部17が設けられ、ここにサイドエアバッグ装置の主要部を構成するエアバッグモジュールAMが組込まれている。エアバッグモジュールAMは、ガス発生器20及びエアバッグ25を主要な構成部材として備えている。次に、これらの構成部材の各々について説明する。
<ガス発生器20>
ガス発生器20は、その主要部をなすガス発生器本体と、ガス発生器本体をサイドフレーム部15に取付けるための1つ以上の取付突起とによって構成されている。
ガス発生器本体は、本実施形態では長尺状をなすインフレータ21によって構成されている。インフレータ21は、それぞれ円柱状をなすガス噴出部21a及び非ガス噴出部21cを備えている。非ガス噴出部21cは、ガス噴出部21aに隣接した状態で、そのガス噴出部21aと同軸上に設けられている。非ガス噴出部21cの内部には、膨張用ガスを発生するガス発生剤(図示略)が収容されている。ガス噴出部21aの外周部には、膨張用ガスを噴出する複数のガス噴出孔21bが設けられている。また、非ガス噴出部21cのガス噴出部21aとは反対側の端部(下端部)には、インフレータ21への作動信号の入力配線となるハーネス(図示略)が接続されている。
上記のようにガス発生剤を用いたインフレータ21は、一般に「パイロタイプ」と呼ばれる。なお、インフレータ21としては、こうしたパイロタイプに代えて、高圧の膨張用ガスの充填されたボンベの隔壁を火薬等によって破断して、その膨張用ガスを噴出させるタイプ(ハイブリッドタイプ)が用いられてもよい。
非ガス噴出部21cの外周面であって、ガス噴出部21aに対しインフレータ21の軸線L1に沿う方向(下方)へ離間した2箇所には、取付突起としてのボルトが、その軸線L1に直交する方向であって互いに同一方向へそれぞれ突設されている。一方のボルトは、ガス噴出部21aに対し下側に隣接する箇所に設けられている。このボルトとガス噴出部21aの下端との間隔は、一般的なインフレータにおけるそれよりも狭くなっている。他方のボルトは、非ガス噴出部21cの下部に設けられている。両取付突起を区別するために、前者のボルトを「特定取付突起22」といい、後者のボルトを単に「取付突起23」というものとする。取付突起23としては、特定取付突起22と同じか、又は短い長さを有するものが用いられている。
上記のように、特定取付突起22がガス噴出部21aに接近した箇所に設けられることで、インフレータ21の軸線L1に沿う方向の小型化が図られている。
<エアバッグ25>
図4(a),(b)は、エアバッグ25が膨張用ガスを充填させることなく平面状に展開させられた状態(以下「非膨張展開状態」という)のエアバッグモジュールAMを、車内側から見た状態で示している。また、図3(a),(b)は、エアバッグモジュールAMの内部構造を示すべく、非膨張展開状態のエアバッグ25が車幅方向の中央部分で切断されたエアバッグモジュールAMを、車外側から見た状態で示している。さらに、図5(a),(b)は、周縁結合部29による結合が解かれてエアバッグ25が平面状に広げられた状態のエアバッグモジュールAMを示している。
図3(a)、図4(a)及び図5(a)に示すように、エアバッグ25の主要部は、1枚の布片(基布、パネル布等とも呼ばれる)を、その幅方向の中央部に設定された屈曲部としての折り線26において二つ折りして車幅方向に重ね合わせ、その重ね合わされた部分を結合させることにより形成されている。ここでは、エアバッグ25の重ね合わされた2つの部分を区別するために、車内側に位置するものを第1布部27といい、車外側に位置するものを第2布部28というものとする。互いに重ね合わされた第1布部27及び第2布部28の厚み方向と車幅方向とは合致している。
第1布部27及び第2布部28としては、強度が高く、かつ可撓性を有していて容易に折り畳むことのできる素材、例えばポリエステル糸、ポリアミド糸等を用いて形成した織布等が適している。
第1布部27及び第2布部28の上記結合は、それらの周縁部に設けられた周縁結合部29においてなされている。本実施形態では、周縁結合部29は第1布部27及び第2布部28の周縁部のうち、後端部(折り線26の近傍部分)等を除く部分を、縫製(縫糸で縫合)することにより形成されている。このように、結合が縫製による点は、後述する結合部45についても同様である。
上記縫製に関し、図3〜図7、図9及び図10では、3つの線種によって縫製部分が表現されている。1つ目の線種は、一定長さの太線を断続的に並べて表現した線(破線の一種)であり、これは、縫合部分を車外側又は車内側から見た状態で示している(図4(a)における周縁結合部29等参照)。2番目の線種は、一定長さ(一般的な破線よりも長い長さ)の細線を断続的に並べて表現した線であり、これは、例えば布片の奥に位置していて直接は見えない(隠れている)縫糸の状態を示している(図9(b)における結合部45等参照)。3番目の線種は、点を一定間隔おきに並べて表現した線(破線の一種)であり、これは、例えば縫合の対象となる第1布部27及び第2布部28の間における縫糸の状態を示している(図3(a)における周縁結合部29等参照)。すなわち、縫製が3番目の線種で表現されている図は、縫製部分を通る断面に沿った断面構造を示している。
なお、周縁結合部29は、上記縫糸を用いた縫合とは異なる手段、例えば接着剤を用いた接着によって形成されてもよい。この点は、結合部45についても同様である。
図7(a)に示すように、エアバッグ25は、上記ガス噴出部21aから噴出される膨張用ガスにより膨張する膨張部31を備えるとともに、インフレータ21を収容するための筒状の収容室32を膨張部31の外部に備えている。
これらの膨張部31及び収容室32の形成のために、上記第1布部27及び第2布部28と同様の素材からなる1枚の縦長の収容布33が用いられている。図2(a)は、屈曲される前の収容布33を示している。図2(a),(b)及び図9(a)に示すように、収容布33の長さ方向における中央部には、屈曲部として、幅方向(図2(a),(b)の左右方向)に延びる谷折り線34が設定されている。また、収容布33の長さ方向における中央部分であって、谷折り線34を長さ方向の両側から挟み込む箇所には、それぞれ幅方向に延びる一対の山折り線35,36が屈曲部として設定されている。
収容布33において、両山折り線35,36によって挟まれた部分(谷折り線34を含む)は、収容室32と膨張部31とを隔てる隔壁37を構成している。隔壁37のうち、谷折り線34と一方の山折り線35とによって挟まれた部分は、重ね合わせ部38を構成している。隔壁37のうち、谷折り線34と他方の山折り線36とによって挟まれた部分は、重ね合わせ部39を構成している。両重ね合わせ部38,39は、屈曲部(谷折り線34)を介して屈曲可能に接続されている。屈曲部(谷折り線34)において屈曲されて重ね合わされた一対の重ね合わせ部38,39によって、特定取付突起22の長さ方向に伸縮し得る伸縮部40が構成されている。
さらに、収容布33において、隔壁37を収容布33の長さ方向両側から挟み込む2つの部分のうち、山折り線35に隣接するものは収容壁部41を構成し、山折り線36に隣接するものは収容壁部42を構成している。重ね合わせ部38と収容壁部41とは、屈曲部(山折り線35)を介して屈曲可能に接続され、重ね合わせ部39と収容壁部42とは、屈曲部(山折り線36)を介して屈曲可能に接続されている。
そして、収容布33は、谷折り線34に沿って谷折り(屈曲)され、かつ各山折り線35,36に沿って山折り(屈曲)されることで、蛇腹状に折り畳まれている。両重ね合わせ部38,39及び両収容壁部41,42は、それらの厚み方向に重ねられている。この厚み方向は、上記特定取付突起22の長さ方向と同一である。また、この厚み方向は、互いに重ね合わされた第1布部27及び第2布部28の厚み方向(車幅方向)とも同一である。両重ね合わせ部38,39は、両収容壁部41,42間の上端部に位置している。
上記のように蛇腹状に折り畳まれることで長さ方向の寸法を小さくされた収容布33(図8参照)は、図5(a),(b)及び図6(a),(b)に示すように、第1布部27及び第2布部28の間であって、折り線26を跨ぐ箇所に配置されている。蛇腹状に折り畳まれた上記収容布33は、その周縁部のうち上縁部を除く部分に沿って略U字状に設けられた結合部45によって第1布部27と、第1布部27及び第2布部28の境界部分とに結合されている。結合部45の多くは、収容布33の多くの部分を第1布部27に結合している。結合部45の一部は、折り線26上に設けられている。このように、両収容壁部41,42の主要部は、結合部45により第1布部27に結合されている。
図4(a),(b)及び図5(a),(b)に示すように、エアバッグ25における上記膨張部31は、第1布部27及び第2布部28の間であって、周縁結合部29によって囲まれた空間によって構成されている。この膨張部31は、図1に示すように、乗員Pの上半身の一部(胸部PTから肩部PSにかけての部位)の側方で展開及び膨張することにより、同部分を拘束して衝撃から保護する機能を担っている。図7(a)に示すように、収容布33における一方の収容壁部42は、収容室32の一部と膨張部31の一部とを構成している。
また、上記収容室32の主要部は、収容布33の両収容壁部41,42間であって、結合部45と隔壁37とで囲まれた空間によって構成されている。第1布部27のうち結合部45により囲まれた領域もまた収容室32の一部を構成している。このように構成された収容室32は、膨張部31の外部で上下方向に延びる筒状をなしている。
図5(a),(b)に示すように、第1布部27、屈曲部(折り線26)及び第2布部28は、共通の布により形成されている。図9(a),(b)に示すように、両重ね合わせ部38,39及び両収容壁部41,42は、屈曲部(谷折り線34及び両山折り線35,36)において屈曲されることにより、第1布部27及び第2布部28の間で厚み方向に重ね合わされている。
図8に示すように、両収容壁部41,42のうち、第1布部27に重ねられた側の収容壁部41と、第1布部27とのそれぞれにおいて、結合部45によって囲まれた領域の下部には、インフレータ21の挿入口46がそれぞれ設けられている。挿入口46は、屈曲部(折り線26)を起点とし、その屈曲部(折り線26)に直交する方向のうち第2布部28から遠ざかる側へ延びるスリットによって構成されている。挿入口46(スリット)の長さは、ガス発生器20が挿入し得る長さに設定されている。
図2(a),(b)に示すように、隔壁37の一部には、ガス噴出孔21bが膨張部31内に位置するように非ガス噴出部21cを挿通させるための挿通部47が設けられている。挿通部47は、自身の内壁面が非ガス噴出部21cの外周面に密着する大きさの円形の孔によって構成されている。本実施形態では、収容布33が布によって形成されていて、若干の伸縮性を有していることを考慮し、挿通部47の内径が非ガス噴出部21cの外径と同一か、それよりも僅かに小さな値に設定されている。
円形の孔からなる挿通部47の中心は、一対の重ね合わせ部38,39間の屈曲部(谷折り線34)よりも後述する取付孔48,49から遠い側に位置している。本実施形態では、挿通部47の全体が、取付孔48,49から遠い側(収容壁部42に近い側)の重ね合わせ部39に形成されている。
図7(a),(b)に示すように、隔壁37は、上記のように収容室32と膨張部31とを隔てる機能を有するほかに、膨張部31内の膨張用ガスが、挿通部47の内壁面と非ガス噴出部21cの外周面との隙間から収容室32へ漏出するのを規制する機能も有している。
図9(a),(b)に示すように、両収容壁部41,42のうち、収容布33の膨張部31から遠い側、すなわち、第1布部27に重ねられた側の収容壁部41と、第1布部27とのそれぞれにおいて、結合部45により囲まれた領域には、2つの取付孔48,49がそれぞれあけられている。これらの取付孔48,49は、収容壁部41及び第1布部27の上記領域において、挿入口46よりもガス発生器20の挿入方向前方となる2箇所、本実施形態では、挿入口46と挿通部47との間の2箇所に設けられている。
図7(a)に示すように、一方の取付孔49は、非ガス噴出部21cのガス噴出部21aとの境界部分が挿通部47によって取り囲まれた状態で、収容壁部41及び第1布部27において特定取付突起22と対向する箇所に設けられている。他方の取付孔48は、上記と同じ状態で、収容壁部41及び第1布部27において取付突起23と対向する箇所に設けられている。
さらに、図8及び図9(a)に示すように、エアバッグ25のうち、挿入口46と、ガス発生器20の挿入方向における最後端の取付孔48との間には、同挿入口46を開口させる開口促進部として剛性補強部51が設けられている。剛性補強部51は、収容壁部41に貫通配置されるとともに、屈曲部(折り線26)を介して、第1布部27と第2布部28とに跨って貫通配置された縫糸によって形成されている。表現を変えると、剛性補強部51は、縫糸を用いて、収容壁部41と第1布部27及び第2布部28とを縫合させることによって形成されている。
本実施形態では、剛性補強部51は、屈曲部(折り線26)の延びる方向に互いに離間した複数箇所において、同屈曲部(折り線26)に対し直交する方向へそれぞれ延びる直線部51aと、隣り合う直線部51aの端部同士を繋ぐ円弧状の複数の湾曲部51bとを備えて構成されている。ガス発生器20の挿入方向における剛性補強部51の最後端の直線部51aは、挿入口46に対し隣り合う箇所に位置し、最前端の直線部51aは最後端の取付孔48の側方近傍に位置している。従って、剛性補強部51は、ガス発生器20の挿入方向については、挿入口46と取付孔48との間の領域の全体にわたって設けられていることになる。
さらに、剛性補強部51のうち、第1布部27における部分は、収容室32に収容された状態のガス発生器20の軸線L1に直交する方向については、最後端の取付孔48と屈曲部(折り線26)との間に設けられている。剛性補強部51のうち、第2布部28における部分は、軸線L1に直交する方向については、屈曲部(折り線26)と、同屈曲部(折り線26)から一定距離離れた箇所との間に設けられている。第1布部27及び第2布部28において、剛性補強部51の設けられた箇所では、少なくともその箇所の周辺部分よりも剛性を高められている。
ところで、エアバッグモジュールAMは、非膨張展開状態のエアバッグ25(図4(a)参照)が折り畳まれることにより、コンパクトな形態(以下「収納用形態」という)にされている(図7(b)参照)。これは、エアバッグモジュールAMを、シートバック14における限られた大きさの収納部17に対し、収納に適したものとするためである。エアバッグ25が折り畳まれたエアバッグモジュールAMは、結束テープ(図示略)等の保持手段によって収納用形態に保持される。
収納用形態に保持されたエアバッグモジュールAMは収納部17に配設されている。そして、図7(a),(b)に示すように、特定取付突起22及び取付突起23が、サイドフレーム部15にあけられた孔16にそれぞれ挿通されている。特定取付突起22及び取付突起23のそれぞれにナット18が締付けられることにより、ガス発生器20がエアバッグ25と一緒にサイドフレーム部15に固定されている。
サイドエアバッグ装置は、上述したエアバッグモジュールAMのほかに、図1に示す衝撃センサ61及び制御装置62を備えている。衝撃センサ61は加速度センサ等からなり、車両10のボディサイド部に取付けられており、同ボディサイド部に外側方から加わる衝撃を検出する。制御装置62は、衝撃センサ61からの検出信号に基づきインフレータ21の作動を制御する。
さらに、車両10には、車両用シート12に着座している乗員Pを拘束するためのシートベルト装置が装備されているが、図1ではこのシートベルト装置の図示が省略されている。
次に、上記のように構成された本実施形態のサイドエアバッグ装置の作用について説明する。
最初に、エアバッグ25にガス発生器20を組付ける手順について説明する。
この組付けに際しては、ガス発生器20は、図9(a)に示すように、一対の収容壁部41,42のうち、第1布部27に重ね合わされた側の収容壁部41と、第1布部27とのそれぞれにおいて、結合部45により囲まれた領域に設けられた挿入口46から、収容室32の一対の収容壁部41,42間に挿入される。
この際、屈曲部(折り線26)を介して互いに繋がり、かつその屈曲部(折り線26)において屈曲されて厚み方向(車幅方向)に重ね合わされた第1布部27と第2布部28とは、自身の復元力により、屈曲前の状態である平らな状態に戻ろうとする。
これに加え、屈曲部(折り線26)を介して第1布部27と第2布部28とに跨って剛性補強部51の設けられた箇所の剛性は、少なくともその周辺部分の剛性よりも高くなっている。剛性の高められている部分は、屈曲した状態から平らな状態になろうとする。剛性補強部51によって剛性を高められた部分では、第1布部27及び収容壁部41が、第2布部28及び収容壁部42から厚み方向へ遠ざかろうとする。その影響を、剛性補強部51の近くに位置する挿入口46が受け、同挿入口46が開口される。
特に、本実施形態では、ガス発生器20の挿入方向における剛性補強部51の後端部が、挿入口46に対し隣り合う箇所に位置していることから、剛性補強部51のうち第1布部27及び収容壁部41における部分は、挿入口46に近い箇所に位置する。剛性補強部51によって剛性の高められた部分では、第1布部27及び収容壁部41が、第2布部28及び収容壁部42から厚み方向へ遠ざかろうとするところ、その影響を、剛性補強部51の近くに位置する挿入口46がより多く受け、同挿入口46がより大きく開口される。
また、挿入口46と、上記挿入方向における最後端の取付孔48とが接近していて、両者の間の領域が狭い。しかし、剛性補強部51が、挿入口46と上記取付孔48との間の領域の全体にわたって設けられている本実施形態では、挿入口46を開口させるうえで必要な剛性を確保することができる。
また、第1布部27及び収容壁部41における剛性補強部51が、上記取付孔48と屈曲部(折り線26)との間に設けられている本実施形態では、挿入口46を開口させるうえで必要な剛性を確保することができる。
ここで、剛性補強部51は、上記のように、第1布部27及び収容壁部41のうち、挿入口46と取付孔48との間に設けられていることから、隣り合う取付孔48,49間に設けられる場合よりも、挿入口46に近い箇所に位置する。そのため、挿入口46は、剛性補強部51が隣り合う取付孔48,49間に位置する場合よりも大きな力で大きく開口される。その結果、挿入口46を通じてインフレータ21、特定取付突起22及び取付突起23をエアバッグ25に挿入する作業は、剛性補強部51が隣り合う取付孔48,49間に位置していて、挿入口46から遠ざかっている場合よりも容易になる。
また、収容壁部41に縫糸を貫通配置するとともに、屈曲部(折り線26)を介して第1布部27と第2布部28とに跨るように縫糸を貫通配置する(縫製する)といった簡単な構成で、剛性補強部51を形成することができる。
ところで、挿入口46に挿入され始めたガス発生器20をエアバッグ25に組付ける際には、特定取付突起22を取付孔49に近づけ、取付突起23を取付孔48に近づける必要がある。そのためには、収容室32のうち、少なくとも挿入口46と取付孔49との間の領域では、図9(b)に示すように、インフレータ21の軸線L1に直交する方向における寸法が、ガス発生器20を挿入できる寸法になっていることが要求される。
また、特定取付突起22がガス噴出部21aの近くに位置し、かつ取付孔49が隔壁37に近い箇所に位置している本実施形態では、その隔壁37は、上記軸線L1に直交する方向における収容室32の大きさに影響を及ぼす。そのため、仮に、隔壁37の寸法が適正値よりも小さいと、挿入口46と取付孔49との間の領域では、軸線L1に直交する方向における収容室32の寸法が、ガス発生器20を挿入できる寸法よりも小さくなってしまう。
この点、一対の重ね合わせ部38,39からなる伸縮部40が隔壁37に形成されている本実施形態では、隔壁37において、隣り合う重ね合わせ部38,39のなす角を屈曲部(谷折り線34)において変化させることで、伸縮部40を特定取付突起22の長さ方向に伸縮させることが可能である。
従って、特定取付突起22が取付孔49に挿通される前に、伸縮部40を伸張させることで、挿入口46と取付孔49との間の領域では、軸線L1に直交する方向における収容室32の寸法を、ガス発生器20を挿入できる寸法にすることが可能である。ガス発生器20を収容室32に支障なく挿入させて、特定取付突起22を取付孔49へ導き、取付突起23を取付孔48に導くことが可能である。
一方、孔からなる挿通部47の全体は、一対の重ね合わせ部38,39のうち、取付孔49から遠い側(膨張部31に近い側)の重ね合わせ部39に形成されている。重ね合わせ部39には収容壁部42が隣接している。
従って、上述したガス発生器20の挿入口46への挿入に先立ち、特定取付突起22が収容壁部41に向かって延びるようにガス発生器20の姿勢を調整する作業を行なう。図9(b)に示すように、収容室32に対し、ガス発生器20を挿入口46から、収容壁部42に沿って挿入する。こうすることで伸縮部40が伸張し、挿入口46と取付孔49との間の領域では、軸線L1に直交する方向における収容室32の寸法が、ガス発生器20を挿入できる寸法になる。図10(a),(b)に示すように、ガス噴出部21aを挿通部47へ導き、特定取付突起22を取付孔49へ導き、かつ取付突起23を取付孔48へ導くことができる。
図10(b)に示すように、非ガス噴出部21cがガス噴出部21aとの境界部分まで挿通部47に挿通されると、全てのガス噴出孔21bが膨張部31内に位置する。隔壁37は、挿通部47の周りの部分の剛性を高める構成を有していない。挿通部47の内壁面は、剛性を高められた場合よりも非ガス噴出部21cの外周面に沿って変形しやすい。そのため、非ガス噴出部21cと挿通部47の内壁面との間には隙間が生ずるが、その隙間を、剛性が高められて変形しにくくなる場合よりも小さくすることができる。
本実施形態では、挿通部47を、円柱状をなす非ガス噴出部21cの外形形状に対応する円形の孔によって構成している。そのため、挿通部47を他の形状にする場合に比べ、挿通部47の内壁面を非ガス噴出部21cの外周面に密着させることが容易である。
しかも、本実施形態では、挿通部47の内径を、非ガス噴出部21cの外径と同一か、又はそれよりも僅かに小さくしている。そのため、挿通部47に非ガス噴出部21cが挿通された状態では、挿通部47の内壁面が非ガス噴出部21cの外周面に密着する。非ガス噴出部21cと挿通部47の内壁面との間の隙間は採り得る最小又はそれに近い大きさとなる。
上記のように、非ガス噴出部21cが、ガス噴出部21aとの境界部分まで挿通部47に挿通されると、特定取付突起22が取付孔49に対向し、かつ取付突起23が取付孔48に対向する。そのため、非ガス噴出部21cが挿通部47に挿通された上記状態のガス発生器20を収容壁部41に近づける。すると、隔壁37を特定取付突起22の長さ方向に収縮させつつ、特定取付突起22が取付孔49に挿通させられ、取付突起23が取付孔48に挿通させられる。その結果、特定取付突起22及び取付突起23をエアバッグ25(膨張部31及び収容室32)の外部に位置させた状態で、ガス発生器20がエアバッグ25に組付けられる。
次に、本実施形態のサイドエアバッグ装置の動作について説明する。
ボディサイド部に対し側方から衝撃が加わったことが衝撃センサ61によって検出されないときには、制御装置62からインフレータ21に対し、これを作動させるための作動信号が出力されず、インフレータ21から膨張用ガスが噴出されない。エアバッグ25は、収納用形態でガス発生器20とともに収納部17に収納され続ける(図7(b)参照)。
これに対し、車両10の走行中等に、側突等によりボディサイド部に所定値以上の衝撃が加わり、そのことが衝撃センサ61によって検出されると、その検出信号に基づき制御装置62からインフレータ21に対し、これを作動させるための作動信号が出力される。この作動信号に応じて、インフレータ21は膨張用ガスをガス噴出部21aのガス噴出孔21bから噴出する。
この膨張用ガスは膨張部31に供給される。この際、膨張部31内に供給された膨張用ガスが、挿通部47の内壁面と非ガス噴出部21cの外周面との隙間から収容室32へ漏出しようとしても、その隙間が小さくなっていることから漏出しにくい。
膨張部31は、上記のようにして供給された膨張用ガスにより膨張を開始する。この膨張は、折り状態の解消(展開)を伴いながらなされる。エアバッグ25は、その一部(後部)を収納部17に残した状態で、シートバック14から、前方へ飛び出す。
その後も膨張用ガスが供給されるエアバッグ25は、ボディサイド部と、車両用シート12に着座している乗員Pの上半身(胸部PTから肩部PSにかけての領域)との間で前方へ向けて折り状態を解消(展開)しながら膨張する(図1参照)。このときにも、挿通部47の内壁面と非ガス噴出部21cの外周面との隙間から収容室32へ漏出する膨張用ガスは僅かである。
このように展開及び膨張したエアバッグ25が、乗員Pの上半身と、車内側へ進入してくるボディサイド部との間に介在する。このエアバッグ25によって上半身が車内側へ押圧されて拘束される。そして、ボディサイド部を通じて上半身に伝わる側方からの衝撃が、エアバッグ25によって緩和されて、同上半身が保護される。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<ガス発生器20について>
・特定取付突起22及び取付突起23は、上記実施形態のように、非ガス噴出部21cに直接固定されてもよいし、間接的に固定されてもよい。後者の場合、例えば、非ガス噴出部21cの外周に帯状の補助部材(図示略)が装着され、この補助部材に特定取付突起22又は取付突起23が固定されてもよい。
・ガス発生器本体として、ガス噴出部21a及び非ガス噴出部21cを有するインフレータ21と、この非ガス噴出部21cを覆う筒状のリテーナとによって構成されるものが用いられてもよい。この場合、リテーナがガス発生器本体の外周部分を構成することになる。リテーナは、かしめ等の手段によってインフレータ21に固定される。特定取付突起22及び取付突起23のうち少なくとも特定取付突起22は、インフレータ21に代えてリテーナに設けられる。
・上記のように、ガス発生器本体がインフレータ21とリテーナとによって構成される場合、そのガス発生器本体をエアバッグ25に組付ける態様としては、次の2態様がある。
第1の態様:インフレータ21がリテーナに装着された形態のガス発生器本体を、特定取付突起22及び取付突起23とともに挿入口46から収容室32に挿入することで、エアバッグ25に組付ける態様。
第2の態様:リテーナとインフレータ21とを別々にエアバッグ25に組付ける態様。この態様では、最初に、リテーナを少なくとも特定取付突起22とともに挿入口46から収容室32に挿入し、特定取付突起22を取付孔49に挿通させることでエアバッグ25に組付ける。その後、インフレータ21を挿入口46から収容室32内のリテーナに挿入し、非ガス噴出部21cを隔壁37の挿通部47に挿通させる。
上記第1の態様及び第2の態様のいずれであっても、ガス発生器本体の外周部から特定取付突起22が突出するものをガス発生器としているため、インフレータ21のみによってガス発生器本体が構成される上記実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
・特定取付突起22及び取付突起23の少なくとも一方は、インフレータ21を乗物に固定することのできるものであることを条件に、ボルトとは異なる部材に変更されてもよい。
・取付突起23は、非ガス噴出部21cのうち、インフレータ21の軸線L1に沿う方向における複数箇所に設けられてもよい。取付突起23が複数箇所に設けられる場合、全部の取付突起23が同じ形態(例えば、ボルトとナットとによる締結)でサイドフレーム部15に固定されてもよいし、異なる形態で固定されてもよい。
・取付突起が特定取付突起22のみによって構成されてもよい。この場合には、取付突起23が省略される。
・インフレータ21として、特定取付突起22がガス噴出部21aから軸線L1に沿う方向へ上記実施形態よりも遠く離れたタイプが用いられてもよい。この場合には、隔壁37から伸縮部40を省略することが可能である。
これは、伸縮部40がなくても、隔壁37が、軸線L1に直交する方向における収容室32の大きさに及ぼす影響が少ないからである。挿入口46と取付孔49との間の領域では、軸線L1に直交する方向における収容室32の寸法を、インフレータ21及び特定取付突起22を挿入できる寸法よりも大きくすることが可能である。
<膨張部31について>
・エアバッグ25は、その略全体が上記実施形態のように膨張部31からなるものであってもよいが、膨張用ガスが供給されず膨張することのない非膨張部を一部に有するものであってもよい。
・膨張部31は、複数の部屋(膨張室)に区画されてもよい。
<収容室32について>
・上記実施形態では、収容室32が膨張部31とは別に設けられたが、同収容室32は膨張部31の一部によって構成されてもよい。要は、収容室32は、第1布部27及び第2布部28の間に形成され、かつその第1布部27を自身の一部とするものであればよい。この場合であっても、上記実施形態と同様に、挿入口46を開口させることができ、挿入口46を通じたガス発生器20のエアバッグ25への挿入のしやすさを向上させる効果を得ることができる。
<挿入口46及び挿通部47について>
・挿入口46が、スリットに代えて孔によって構成されてもよい。また、挿通部47が、孔に代えてスリットによって構成されてもよい。
<開口促進部について>
・第1布部27及び第2布部28が、屈曲した状態から平らな状態に戻ろうとする力は、布が重ね合わされて使用され、しかもその布の枚数が多くなるに従い強くなる。そのため、第1布部27、第2布部28及び屈曲部(折り線26)を構成する布を、複数枚重ね合わせた状態で二つ折りさせてもよい。そのうえで、剛性補強部51を、屈曲部(折り線26)を介して第1布部27及び第2布部28に跨った状態で設ける。こうすることで、平らな状態に戻ろうとする力を増強し、挿入口46をより一層大きく開口させることができる。
・剛性補強部51は、縫糸が屈曲部(折り線26)を介して第1布部27及び第2布部28に跨って貫通配置されることを条件に、上記実施形態とは異なる形状、例えば渦巻き状に形成されてもよい。
・開口促進部(剛性補強部51)が縫糸に代えて、コーティング剤が塗布されることによって構成されてもよい。
・開口促進部(剛性補強部51)が、収容室32において、屈曲部(折り線26)を介して第1布部27及び第2布部28に跨った状態で設けられた補強布によって構成されてもよい。
・挿入口46と取付孔48との間隔が充分に広い場合、第1布部27及び収容壁部41での剛性補強部51の軸線L1に直交する方向の寸法は、取付孔48と屈曲部(折り線26)との間隔よりも大きく設定されてもよい。
・開口促進部は、挿入口46を開口させる機能を有するものであればよく、上記剛性補強部51とは異なる構成を有するものが採用されてもよい。
この際、開口促進部を、収容壁部41及び第1布部27の両者に設けることが好ましい。この場合には、第1布部27には、一対の収容壁部41,42のうちの一方の収容壁部41が重ね合わされている。そのため、開口促進部が挿入口46を開口する力は、第1布部27だけでなく、その第1布部27に重ね合わされている収容壁部41にも加わる。従って、挿入口46をより大きく開口させることが可能である。
<適用できるエアバッグ装置の種類について>
・エアバッグ装置は、ガス発生器本体及び取付突起を備えるガス発生器と、ガス発生器本体から噴出される膨張用ガスにより膨張するエアバッグとを備え、取付突起において乗物に取付けられるものであれば、サイドエアバッグ装置とは異なる種類のエアバッグ装置にも適用可能である。
その1つとして、膝保護用エアバッグ装置(ニーエアバッグ装置とも呼ばれる)がある。このタイプのエアバッグ装置は、乗物に加わる衝撃に応じ、乗物用シートに着座した乗員の下肢の前下方でエアバッグを膨張させることにより、同乗員の脛部から膝部にかけての部位を保護するものである。
そのほかにも、エアバッグ装置は、シートクッションエアバッグ装置にも適用可能である。このタイプのエアバッグ装置は、乗物に加わる衝撃に応じ、乗物用シートのシートクッション内に配置されたエアバッグを膨張用ガスにより膨張させて座面を隆起させ、シートクッション上の乗員が前方へ移動するのを規制するものである。
<その他>
・上記サイドエアバッグ装置は、シートバック14が車両の前方とは異なる方向、例えば側方を向く姿勢で車両用シート12が配置された車両において、その車両用シート12に対し側方(車両の前後方向)から衝撃が加わった場合に、同衝撃から乗員Pを保護するタイプのサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
・乗員Pの上半身のうち、サイドエアバッグ装置によって保護される部位が、上記実施形態とは異なる部位に変更されてもよい。この場合、エアバッグ25の形状や大きさが、乗員Pの対象となる部位を保護できる形状や大きさに変更される。
・上記エアバッグ装置が適用される車両には、自家用車に限らず各種産業車両も含まれる。
・上記エアバッグ装置は、車両以外の乗物、例えば航空機、船舶等における乗物用シートに装備されるエアバッグ装置にも適用可能である。
10…車両(乗物)、20…ガス発生器、21…インフレータ(ガス発生器本体)、22…特定取付突起(取付突起)、23…取付突起、25…エアバッグ、26…折り線(屈曲部)、27…第1布部、28…第2布部、32…収容室、41,42…収容壁部、45…結合部、46…挿入口、48,49…取付孔、51…剛性補強部(開口促進部)、L1…軸線。

Claims (4)

  1. 軸線に沿って延び、かつ膨張用ガスを噴出する長尺状のガス発生器本体を備えるとともに、前記ガス発生器本体の前記軸線に沿う方向の1箇所又は複数箇所から、その軸線に直交する方向へ突出する取付突起を備えるガス発生器と、前記膨張用ガスにより膨張するエアバッグとを備え、前記取付突起において乗物に取付けられるエアバッグ装置であって、
    前記エアバッグは、互いに厚み方向に重ね合わされた第1布部及び第2布部を少なくとも備えるとともに、前記第1布部及び前記第2布部の間に、その第1布部を自身の一部とする収容室を備え、
    前記第1布部及び前記第2布部は屈曲部を介して互いに繋がっており、その屈曲部において屈曲されることにより、前記厚み方向に重ね合わされており、
    前記収容室には、少なくとも前記第1布部を通じて前記ガス発生器を挿入するための挿入口が、前記屈曲部に隣接する箇所に設けられ、
    前記収容室の前記挿入口よりも前記ガス発生器の挿入方向前方の箇所には、少なくとも前記第1布部を通じて前記取付突起が挿通される取付孔が設けられ、
    さらに、前記挿入口と、前記挿入方向における最後端の前記取付孔との間には、同挿入口を開口させる開口促進部が設けられ、
    前記開口促進部は、前記屈曲部を介して前記第1布部及び前記第2布部に跨った状態で設けられて、同開口促進部の周辺部分よりも剛性を高められた剛性補強部により構成され、
    前記剛性補強部は、前記挿入方向には、前記挿入口と、同方向における最後端の前記取付孔との間の領域に設けられ、
    前記剛性補強部のうち前記第1布部における部分は、前記挿入口を通じて挿入された前記ガス発生器の前記軸線に直交する方向には、前記取付孔と前記屈曲部との間に設けられ、
    前記剛性補強部の前記挿入方向における後端部は、前記挿入口に対し隣接する箇所に配置され、前記剛性補強部の前記挿入方向における前端部は、前記最後端の前記取付孔の側方近傍に配置されているエアバッグ装置。
  2. 前記第1布部、前記屈曲部及び前記第2布部は、共通の布により形成されている請求項に記載のエアバッグ装置。
  3. 前記剛性補強部は、前記屈曲部を介して前記第1布部及び前記第2布部に跨って貫通配置された縫糸により形成されている請求項1又は2に記載のエアバッグ装置。
  4. 前記収容室は、前記第1布部と、前記第1布部及び前記第2布部の間であって、互いに前記厚み方向に重ね合わされた一対の収容壁部とを備え、
    両収容壁部の少なくとも主要部は、それらの周縁部に沿って設けられた結合部により前記第1布部に結合され、
    前記挿入口及び前記取付孔は、両収容壁部のうち前記第1布部に重ね合わされた側の前記収容壁部と、前記第1布部とのそれぞれにおいて、前記結合部により囲まれた領域に設けられている請求項1〜のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
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