以下で、図面を参照しながら本発明の実施形態による走査アンテナ、走査アンテナの製造方法、および走査アンテナに用いられるTFT基板を説明する。なお、本発明は以下で例示する実施形態に限られない。また、本発明の実施形態は図面に限定されるものではない。例えば、断面図における層の厚さ、平面図における導電部および開口部のサイズ等は例示である。
(走査アンテナの基本構造)
液晶材料の大きな誘電率M(εM)の異方性(複屈折率)を利用したアンテナ単位を用いた走査アンテナは、LCDパネルの画素に対応付けられるアンテナ単位の各液晶層に印加する電圧を制御し、各アンテナ単位の液晶層の実効的な誘電率M(εM)を変化させることによって、静電容量の異なるアンテナ単位で2次元的なパターンを形成する(LCDによる画像の表示に対応する。)。アンテナから出射される、または、アンテナによって受信される電磁波(例えば、マイクロ波)には、各アンテナ単位の静電容量に応じた位相差が与えられ、静電容量の異なるアンテナ単位によって形成された2次元的なパターンに応じて、特定の方向に強い指向性を有することになる(ビーム走査)。例えば、アンテナから出射される電磁波は、入力電磁波が各アンテナ単位に入射し、各アンテナ単位で散乱された結果得られる球面波を、各アンテナ単位によって与えられる位相差を考慮して積分することによって得られる。各アンテナ単位が、「フェイズシフター:phase shifter」として機能していると考えることもできる。液晶材料を用いた走査アンテナの基本的な構造および動作原理については、特許文献1〜4および非特許文献1、2を参照されたい。非特許文献2は、らせん状のスロットが配列された走査アンテナの基本的な構造を開示している。参考のために、特許文献1〜4および非特許文献1、2の開示内容の全てを本明細書に援用する。
なお、本発明の実施形態による走査アンテナにおけるアンテナ単位はLCDパネルの画素に類似してはいるものの、LCDパネルの画素の構造とは異なっているし、複数のアンテナ単位の配列もLCDパネルにおける画素の配列とは異なっている。後に詳細に説明する第1の実施形態の走査アンテナ1000Aを示す図1を参照して、本発明の実施形態による走査アンテナの基本構造を説明する。走査アンテナ1000Aは、スロットが同心円状に配列されたラジアルインラインスロットアンテナであるが、本発明の実施形態による走査アンテナはこれに限られず、例えば、スロットの配列は、公知の種々の配列であってよい。特に、スロットおよび/またはアンテナ単位の配列について、特許文献5の全ての開示内容を参考のために本明細書に援用する。
図1は、本実施形態の走査アンテナ1000Aの一部を模式的に示す断面図であり、同心円状に配列されたスロットの中心近傍に設けられた給電ピン72(図2(b)参照)から半径方向に沿った断面の一部を模式的に示す。
走査アンテナ1000Aは、TFT基板101Aと、スロット基板201と、これらの間に配置された液晶層LCと、スロット基板201と、空気層54を介して対向するように配置された反射導電板65とを備えている。走査アンテナ1000Aは、TFT基板101A側からマイクロ波を送受信する。
TFT基板101Aは、ガラス基板などの誘電体基板1と、誘電体基板1上に形成された複数のパッチ電極15と、複数のTFT10とを有している。各パッチ電極15は、対応するTFT10に接続されている。各TFT10は、ゲートバスラインとソースバスラインとに接続されている。
スロット基板201は、ガラス基板などの誘電体基板51と、誘電体基板51の液晶層LC側に形成されたスロット電極55とを有している。スロット電極55は複数のスロット57を有している。
スロット基板201と、空気層54を介して対向するように反射導電板65が配置されている。空気層54に代えて、マイクロ波に対する誘電率Mが小さい誘電体(例えば、PTFEなどのフッ素樹脂)で形成された層を用いることができる。スロット電極55と反射導電板65と、これらの間の誘電体基板51および空気層54とが導波路301として機能する。
パッチ電極15と、スロット57を含むスロット電極55の部分と、これらの間の液晶層LCとがアンテナ単位Uを構成する。各アンテナ単位Uにおいて、1つのパッチ電極15が1つのスロット57を含むスロット電極55の部分と液晶層LCを介して対向しており、液晶容量を構成している。また、各アンテナ単位Uは、液晶容量と電気的に並列に接続された補助容量(図3参照)を有している。走査アンテナ1000Aのアンテナ単位Uと、LCDパネルにおける画素とは似た構成を有している。しかしながら、走査アンテナ1000Aは、LCDパネルと多くの相違点を有している。
まず、走査アンテナ1000Aの誘電体基板1、51に求められる性能は、LCDパネルの基板に求められる性能と異なる。
一般にLCDパネルには、可視光に透明な基板が用いられ、例えば、ガラス基板またはプラスチック基板が用いられる。反射型のLCDパネルにおいては、背面側の基板には透明性が必要ないので、半導体基板が用いられることもある。これに対し、アンテナ用の誘電体基板1、51としては、マイクロ波に対する誘電損失(マイクロ波に対する誘電正接をtanδMと表すことにする。)が小さいことが好ましい。誘電体基板1、51のtanδMは、概ね0.03以下であることが好ましく、0.01以下がさらに好ましい。具体的には、ガラス基板またはプラスチック基板を用いることができる。ガラス基板はプラスチック基板よりも寸法安定性、耐熱性に優れ、TFT、配線、電極等の回路要素をLCD技術を用いて形成するのに適している。例えば、導波路を形成する材料が空気とガラスである場合、ガラスの方が上記誘電損失が大きいため、ガラスがより薄い方が導波ロスを減らすことができるとの観点から、好ましくは400μm以下であり、300μm以下がさらに好ましい。下限は特になく、製造プロセスにおいて、割れることなくハンドリングできればよい。
電極に用いられる導電材料も異なる。LCDパネルの画素電極や対向電極には透明導電膜としてITO膜が用いられることが多い。しかしながら、ITOはマイクロ波に対するtanδMが大きく、アンテナにおける導電層として用いることができない。スロット電極55は、反射導電板65とともに導波路301の壁として機能する。したがって、導波路301の壁におけるマイクロ波の透過を抑制するためには、導波路301の壁の厚さ、すなわち、金属層(Cu層またはAl層)の厚さは大きいことが好ましい。金属層の厚さが表皮深さの3倍であれば、電磁波は1/20(−26dB)に減衰され、5倍であれば1/150(−43dB)程度に減衰されることが知られている。したがって、金属層の厚さが表皮深さの5倍であれば、電磁波の透過率を1%に低減することができる。例えば、10GHzのマイクロ波に対しては、厚さが3.3μm以上のCu層、および厚さが4.0μm以上のAl層を用いると、マイクロ波を1/150まで低減することができる。また、30GHzのマイクロ波に対しては、厚さが1.9μm以上のCu層、および厚さが2.3μm以上のAl層を用いると、マイクロ波を1/150まで低減することができる。このように、スロット電極55は、比較的厚いCu層またはAl層で形成することが好ましい。Cu層またはAl層の厚さに上限は特になく、成膜時間やコストを考慮して、適宜設定され得る。Cu層を用いると、Al層を用いるよりも薄くできるという利点が得られる。比較的厚いCu層またはAl層の形成は、LCDの製造プロセスで用いられる薄膜堆積法だけでなく、Cu箔またはAl箔を基板に貼り付ける等、他の方法を採用することもできる。金属層の厚さは、例えば、2μm以上30μm以下である。薄膜堆積法を用いて形成する場合、金属層の厚さは5μm以下であることが好ましい。なお、反射導電板65は、例えば、厚さが数mmのアルミニウム板、銅板などを用いることができる。
パッチ電極15は、スロット電極55のように導波路301を構成する訳ではないので、スロット電極55よりも厚さが小さいCu層またはAl層を用いることができる。ただし、スロット電極55のスロット57付近の自由電子の振動がパッチ電極15内の自由電子の振動を誘起する際に熱に変わるロスを避けるために、抵抗が低い方が好ましい。量産性の観点からはCu層よりもAl層を用いることが好ましく、Al層の厚さは例えば0.3μm以上2μm以下が好ましい。
また、アンテナ単位Uの配列ピッチは、画素ピッチと大きく異なる。例えば、12GHz(Ku band)のマイクロ波用のアンテナを考えると、波長λは、例えば25mmである。そうすると、特許文献4に記載されているように、アンテナ単位Uのピッチはλ/4以下および/またはλ/5以下であるので、6.25mm以下および/または5mm以下ということになる。これはLCDパネルの画素のピッチと比べて10倍以上大きい。したがって、アンテナ単位Uの長さおよび幅もLCDパネルの画素長さおよび幅よりも約10倍大きいことになる。
もちろん、アンテナ単位Uの配列はLCDパネルにおける画素の配列と異なり得る。ここでは、同心円状に配列した例(例えば、特開2002−217640号公報参照)を示すが、これに限られず、例えば、非特許文献2に記載されているように、らせん状に配列されてもよい。さらに、特許文献4に記載されているようにマトリクス状に配列してもよい。
走査アンテナ1000Aの液晶層LCの液晶材料に求められる特性は、LCDパネルの液晶材料に求められる特性と異なる。LCDパネルは画素の液晶層の屈折率変化によって、可視光(波長380nm〜830nm)の偏光に位相差を与えることによって、偏光状態を変化させる(例えば、直線偏光の偏光軸方向を回転させる、または、円偏光の円偏光度を変化させる)ことによって、表示を行う。これに対して実施形態による走査アンテナ1000Aは、アンテナ単位Uが有する液晶容量の静電容量値を変化させることによって、各パッチ電極から励振(再輻射)されるマイクロ波の位相を変化させる。したがって、液晶層は、マイクロ波に対する誘電率M(εM)の異方性(ΔεM)が大きいことが好ましく、tanδMは小さいことが好ましい。例えば、M. Wittek et al., SID 2015 DIGESTpp.824−826に記載のΔεMが4以上で、tanδMが0.02以下(いずれも19Gzの値)を好適に用いることができる。この他、九鬼、高分子55巻8月号pp.599−602(2006)に記載のΔεMが0.4以上、tanδMが0.04以下の液晶材料を用いることができる。
一般に液晶材料の誘電率は周波数分散を有するが、マイクロ波に対する誘電異方性ΔεMは、可視光に対する屈折率異方性Δnと正の相関がある。したがって、マイクロ波に対するアンテナ単位用の液晶材料は、可視光に対する屈折率異方性Δnが大きい材料が好ましいと言える。LCD用の液晶材料の屈折率異方性Δnは550nmの光に対する屈折率異方性で評価される。ここでも550nmの光に対するΔn(複屈折率)を指標に用いると、Δnが0.3以上、好ましくは0.4以上のネマチック液晶が、マイクロ波に対するアンテナ単位用に用いられる。Δnに特に上限はない。ただし、Δnが大きい液晶材料は極性が強い傾向にあるので、信頼性を低下させる恐れがある。信頼性の観点からは、Δnは0.4以下であることが好ましい。液晶層の厚さは、例えば、1μm〜500μmである。
以下、本発明の実施形態による走査アンテナの構造および製造方法をより詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、図1および図2を参照する。図1は詳述した様に走査アンテナ1000Aの中心付近の模式的な部分断面図であり、図2(a)および(b)は、それぞれ、走査アンテナ1000Aが備えるTFT基板101Aおよびスロット基板201を示す模式的な平面図である。
走査アンテナ1000Aは2次元に配列された複数のアンテナ単位Uを有しており、ここで例示する走査アンテナ1000Aでは、複数のアンテナ単位が同心円状に配列されている。以下の説明においては、アンテナ単位Uに対応するTFT基板101Aの領域およびスロット基板201の領域を「アンテナ単位領域」と呼び、アンテナ単位と同じ参照符号Uを付すことにする。また、図2(a)および(b)に示す様に、TFT基板101Aおよびスロット基板201において、2次元的に配列された複数のアンテナ単位領域によって画定される領域を「送受信領域R1」と呼び、送受信領域R1以外の領域を「非送受信領域R2」と呼ぶ。非送受信領域R2には、端子部、駆動回路などが設けられる。
図2(a)は、走査アンテナ1000Aが備えるTFT基板101Aを示す模式的な平面図である。
図示する例では、TFT基板101Aの法線方向から見たとき、送受信領域R1はドーナツ状である。非送受信領域R2は、送受信領域R1の中心部に位置する第1非送受信領域R2aと、送受信領域R1の周縁部に位置する第2非送受信領域R2bとを含む。送受信領域R1の外径は、例えば200mm〜1500mmで、通信量などに応じて設定される。
TFT基板101Aの送受信領域R1には、誘電体基板1に支持された複数のゲートバスラインGLおよび複数のソースバスラインSLが設けられ、これらの配線によってアンテナ単位領域Uが規定されている。アンテナ単位領域Uは、送受信領域R1において、例えば同心円状に配列されている。アンテナ単位領域Uのそれぞれは、TFTと、TFTに電気的に接続されたパッチ電極とを含んでいる。TFTのソース電極はソースバスラインSLに、ゲート電極はゲートバスラインGLにそれぞれ電気的に接続されている。また、ドレイン電極は、パッチ電極と電気的に接続されている。
非送受信領域R2(R2a、R2b)には、送受信領域R1を包囲するようにシール領域Rsが配置されている。シール領域Rsにはシール材(不図示)が付与されている。シール材は、TFT基板101Aおよびスロット基板201を互いに接着させるとともに、これらの基板101A、201の間に液晶を封入する。
非送受信領域R2のうちシール領域Rsの外側には、ゲート端子部GT、ゲートドライバGD、ソース端子部STおよびソースドライバSDが設けられている。ゲートバスラインGLのそれぞれはゲート端子部GTを介してゲートドライバGDに接続されている。ソースバスラインSLのそれぞれはソース端子部STを介してソースドライバSDに接続されている。なお、この例では、ソースドライバSDおよびゲートドライバGDは誘電体基板1上に形成されているが、これらのドライバの一方または両方は他の誘電体基板上に設けられていてもよい。
非送受信領域R2には、また、複数のトランスファー端子部PTが設けられている。トランスファー端子部PTは、スロット基板201のスロット電極55(図2(b))と電気的に接続される。本明細書では、トランスファー端子部PTとスロット電極55との接続部を「トランスファー部」と称する。図示するように、トランスファー端子部PT(トランスファー部)は、シール領域Rs内に配置されてもよい。この場合、シール材として導電性粒子を含有する樹脂を用いてもよい。これにより、TFT基板101Aとスロット基板201との間に液晶を封入させるとともに、トランスファー端子部PTとスロット基板201のスロット電極55との電気的な接続を確保できる。この例では、第1非送受信領域R2aおよび第2非送受信領域R2bの両方にトランスファー端子部PTが配置されているが、いずれか一方のみに配置されていてもよい。
なお、トランスファー端子部PT(トランスファー部)は、シール領域Rs内に配置されていなくてもよい。例えば非送受信領域R2のうちシール領域Rsの外側に配置されていてもよい。
図2(b)は、走査アンテナ1000Aにおけるスロット基板201を例示する模式的な平面図であり、スロット基板201の液晶層LC側の表面を示している。
スロット基板201では、誘電体基板51上に、送受信領域R1および非送受信領域R2に亘ってスロット電極55が形成されている。
スロット基板201の送受信領域R1では、スロット電極55には複数のスロット57が配置されている。スロット57は、TFT基板101Aにおけるアンテナ単位領域Uに対応して配置されている。図示する例では、複数のスロット57は、ラジアルインラインスロットアンテナを構成するように、互いに概ね直交する方向に延びる一対のスロット57が同心円状に配列されている。互いに概ね直交するスロットを有するので、走査アンテナ1000Aは、円偏波を送受信することができる。
非送受信領域R2には、複数の、スロット電極55の端子部ITが設けられている。端子部ITは、TFT基板101Aのトランスファー端子部PT(図2(a))と電気的に接続される。この例では、端子部ITは、シール領域Rs内に配置されており、導電性粒子を含有するシール材によって対応するトランスファー端子部PTと電気的に接続される。
また、第1非送受信領域R2aにおいて、スロット基板201の裏面側に給電ピン72が配置されている。給電ピン72によって、スロット電極55、反射導電板65および誘電体基板51で構成された導波路301にマイクロ波が挿入される。給電ピン72は給電装置70に接続されている。給電は、スロット57が配列された同心円の中心から行う。給電の方式は、直結給電方式および電磁結合方式のいずれであってもよく、公知の給電構造を採用することができる。
図2(a)および(b)では、シール領域Rsは、送受信領域R1を含む比較的狭い領域を包囲するように設けた例を示したが、これに限られない。特に、送受信領域R1の外側に設けられるシール領域Rsは、送受信領域R1から一定以上の距離を持つように、例えば、誘電体基板1および/または誘電体基板51の辺の近傍に設けてもよい。もちろん、非送受信領域R2に設けられる、例えば端子部や駆動回路は、シール領域Rsの外側(すなわち、液晶層が存在しない側)に形成してもよい。送受信領域R1から一定以上の離れた位置にシール領域Rsを形成することによって、シール材(特に、硬化性樹脂)に含まれている不純物(特にイオン性不純物)の影響を受けてアンテナ特性が低下することを抑制することができる。
以下で、走査アンテナ1000Aの構造をより具体的に説明する。
(アンテナ単位領域U)
図3(a)、図4(a)および図5(d)を参照しながら、本実施形態の走査アンテナ1000Aの送受信領域R1のアンテナ単位領域Uの構造を説明する。
図3(a)は、走査アンテナ1000Aの送受信領域R1のアンテナ単位領域Uの模式的な平面図である。図4(a)は、走査アンテナ1000Aが備えるTFT基板101Aの模式的な断面図であり、図3(a)中のA−A’線に沿った断面を示している。図5(d)は、走査アンテナ1000Aが備える液晶パネル100Aの模式的な断面図であり、図3(a)中のH−H’線に沿った断面を示している。液晶パネル100Aは、TFT基板101Aと、スロット基板201と、これらの間に設けられた液晶層LCとを有する。
図3(a)、図4(a)および図5(d)に示すように、TFT基板101Aは、誘電体基板1と、誘電体基板1上に配列され、それぞれが、TFT10と、TFT10のドレイン電極7Dに電気的に接続されたパッチ電極15とを有する複数のアンテナ単位領域Uと、誘電体基板1上に、パッチ電極15を含む層(ここではパッチメタル層15l)よりも上側に、樹脂で形成された平坦化層21とを有する。
上述したように、本発明の実施形態による走査アンテナは、マイクロ波に対する誘電異方性ΔεM(可視光に対する複屈折率Δn)が大きいネマチック液晶材料を用いる。マイクロ波領域の誘電異方性ΔεMが大きい液晶材料は、現在LCDに用いられている液晶材料に比べて一般的に高価である。マイクロ波領域の誘電異方性ΔεMが大きい液晶材料は、例えば、イソチオシアネート基(−NCS)またはチオシアネート基(−SCN)を含む。なお、一般に、液晶材料は複数種類の液晶分子(液晶化合物)の混合物であるので、液晶材料に含まれる液晶分子の全てがイソチオシアネート基またはチオシアネート基を有する必要はない。
本実施形態においては、TFT基板101Aが平坦化層21を有することによって、TFT基板101Aを有する走査アンテナ1000Aの液晶層LCの体積を削減することができる。液晶材料を削減することができるので、走査アンテナ1000Aのコストが低減される。
液晶層LCは、シール部によってTFT基板101Aとスロット基板201との間に閉じ込められている。シール部で包囲された領域は、送受信領域R1の全部および非送受信領域R2の一部を含み得る。平坦化層21を、シール部で包囲された領域内に設けることによって、液晶層LCの体積を削減することができる。また、平坦化層21は、非送受信領域R2の各端子部上には形成されないことが好ましい。すなわち、各端子部の上部接続部が平坦化層21から露出されていればよい。アンテナ性能の観点からは、平坦化層21は、誘電体基板1の法線方向から見たとき、パッチ電極15の少なくとも一部と重ならないように形成されていることが好ましい。平坦化層21は絶縁性なので、パッチ電極15を覆う絶縁層の厚さが小さいことが、アンテナ性能の観点から好ましいからである。アンテナ性能の観点から、平坦化層21は、誘電体基板1の法線方向から見たとき、パッチ電極15と重ならないように形成されていることがより好ましく、パッチ電極15およびスロット57のいずれとも重ならないように形成されていることがさらに好ましい。
平坦化層21は、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、またはシリコーン樹脂から形成されている。平坦化層21は、有機絶縁層であり得る。平坦化層21は、例えば感光性樹脂(例えばアクリル樹脂)から形成されていることが好ましい。感光性樹脂は、ポジ型であってもよいし、ネガ型であってもよい。平坦化層21を、感光性を有する樹脂で形成すると、平坦化層21をパターニングする(例えば開口部を形成する)ために、別途フォトレジスト層を形成する必要がないので、製造工程および製造コストを低減できる。感光性樹脂を含む溶液(前駆体溶液)を基板上に付与(塗布または印刷)し、プリベーク(溶剤の加熱除去)した後、所定のパターンを有するフォトマスクを介して露光し、現像することによって、平坦化層21が得られる。必要に応じて、現像後にポストベークを行ってもよい。
感光性を有しない樹脂(例えば、熱硬化性樹脂)を用いて平坦化層21を形成する場合には、一旦形成した熱硬化性樹脂の膜上に、所定のパターンを有するフォトレジスト層を形成し、フォトレジスト層をエッチングマスクとして熱硬化性樹脂の膜をエッチングすることによって平坦化層21を形成すればよい。
TFT基板101Aにおいて、平坦化層21の上面は、パッチ電極15の上面よりも低い。ここで、平坦化層21の上面およびパッチ電極15の上面は、それぞれ、平坦化層21の液晶層LC側の表面およびパッチ電極15の液晶層LC側の表面をいう。例えば、パッチ電極15の下にコンタクトホールが形成されており、コンタクトホールによってパッチ電極15の表面が凹部を有する場合、「パッチ電極15の上面の高さ」にはそのような凹部の影響は考慮されないものとする。TFT基板が有する他の導電部(例えば電極)および絶縁層の上面に関しても、特に断らない限り同様とする。パッチ電極15の厚さは、例えば2000nm以下であってもよい。
TFT基板101Aにおいて、平坦化層21の上面はパッチ電極15の上面よりも低いので、平坦化層21は、誘電体基板1の法線方向から見たとき、パッチ電極15と重ならないように形成されている。従って、TFT基板101Aを備える走査アンテナ1000Aにおいては、平坦化層21を有することによるアンテナ性能の低下が抑制されつつ、コストが削減される。
パッチ電極15の上面よりも低い上面を有する平坦化層21を形成する工程において、樹脂膜を形成した後または樹脂膜をパターニングした後に、樹脂膜にアッシング処理を施してもよい。TFT基板101Aの製造方法は後述する。
図示する例に限られず、平坦化層21の上面は、パッチ電極15の上面と同じ高さであってもよい。この場合においても、同様の効果が得られ得る。
図6は、走査アンテナ1000Aが備える液晶パネル100Aの構造を示す断面図である。図6に示すように、TFT基板101Aは、TFT基板101Aの液晶層LC側の表面を覆う第1配向膜32Aを有する。第1配向膜32Aは、平坦化層21および液晶層LCに接する。TFT基板101Aと対向するように配置されたスロット基板201は、スロット電極55を覆い、液晶層LCに接する第2配向膜42Aを有する。
後述するように、アンテナ性能の観点からは、TFT基板の液晶層側の表面の段差が小さい方が好ましい。平坦化層21の上面の高さとパッチ電極15の上面の高さとの差は、例えば500nm以下であることが好ましい。平坦化層21の上面の高さとパッチ電極15の上面の高さとの差は、例えば、パッチ電極15とスロット電極55との間の液晶層LCの厚さdl(図1参照)の23%以下であることが好ましい。なお、一般に、第1配向膜32Aを形成することによって、TFT基板の液晶層側の表面の段差は小さくなる傾向にある。
なお、断面図では、簡単のために、ゲート絶縁層4、第1絶縁層11および第2絶縁層17についても平坦化層のように表している場合があるが、一般に、薄膜堆積法(例えばCVD法、スパッタ法、真空蒸着法)によって形成される層は、下地の段差を反映した表面を有する。
<TFT基板101Aの構造(アンテナ単位領域U)>
TFT基板101Aのアンテナ単位領域Uの構造をより詳細に説明する。なお、本発明の実施形態によるTFT基板の構造は、図示する例に限定されるものではない。
図3(a)に示すように、TFT基板101Aは、誘電体基板1に支持されたゲートメタル層3と、ゲートメタル層3上に形成された半導体層5と、ゲートメタル層3と半導体層5との間に形成されたゲート絶縁層4と、ゲート絶縁層4上に形成されたソースメタル層7と、ソースメタル層7上に形成された第1絶縁層11と、第1絶縁層11上に形成されたパッチメタル層15lと、パッチメタル層15l上に形成された第2絶縁層17と、第2絶縁層17上に形成された平坦化層21とを有する。TFT基板101Aは、第1絶縁層11とパッチメタル層15lとの間に形成された下部導電層13をさらに有する。TFT基板101Aは、第2絶縁層17上に形成された上部導電層19をさらに有する。
各アンテナ単位領域Uが有するTFT10は、ゲート電極3Gと、島状の半導体層5と、コンタクト層6Sおよび6Dと、ゲート電極3Gと半導体層5との間に配置されたゲート絶縁層4と、ソース電極7Sおよびドレイン電極7Dとを備える。この例では、TFT10は、ボトムゲート構造を有するチャネルエッチ型のTFTである。
ゲート電極3Gは、ゲートバスラインGLに電気的に接続されており、ゲートバスラインGLから走査信号電圧を供給される。ソース電極7Sは、ソースバスラインSLに電気的に接続されており、ソースバスラインSLからデータ信号電圧を供給される。この例では、ゲート電極3GおよびゲートバスラインGLは同じ導電膜(ゲート用導電膜)から形成されている。ここでは、ソース電極7S、ドレイン電極7DおよびソースバスラインSLは同じ導電膜(ソース用導電膜)から形成されている。ゲート用導電膜およびソース用導電膜は、例えば金属膜である。
半導体層5は、ゲート絶縁層4を介してゲート電極3Gと重なるように配置されている。図示する例では、半導体層5上に、ソースコンタクト層6Sおよびドレインコンタクト層6Dが形成されている。ソースコンタクト層6Sおよびドレインコンタクト層6Dは、半導体層5のうちチャネルが形成される領域(チャネル領域)の両側に配置されている。半導体層5は真性アモルファスシリコン(i−a−Si)層であり、ソースコンタクト層6Sおよびドレインコンタクト層6Dはn+型アモルファスシリコン(n+−a−Si)層であってもよい。
ソース電極7Sは、ソースコンタクト層6Sに接するように設けられ、ソースコンタクト層6Sを介して半導体層5に接続されている。ドレイン電極7Dは、ドレインコンタクト層6Dに接するように設けられ、ドレインコンタクト層6Dを介して半導体層5に接続されている。
ここでは、各アンテナ単位領域Uは、液晶容量と電気的に並列に接続された補助容量を有している。この例では、補助容量は、ドレイン電極7Dと電気的に接続された補助容量電極7Cと、ゲート絶縁層4と、ゲート絶縁層4を介して補助容量電極7Cと対向する補助容量対向電極3Cとによって構成される。補助容量対向電極3Cはゲートメタル層3に含まれており、補助容量電極7Cはソースメタル層7に含まれている。ゲートメタル層3は、補助容量対向電極3Cに接続されたCSバスライン(補助容量線)CLをさらに含む。CSバスラインCLは、例えば、ゲートバスラインGLと略平行に延びている。この例では、補助容量対向電極3Cは、CSバスラインCLと一体的に形成されている。補助容量対向電極3Cの幅は、CSバスラインCLの幅よりも大きくてもよい。また、この例では、補助容量電極7Cは、ドレイン電極7Dから延設されている。補助容量電極7Cの幅は、ドレイン電極7Dから延設された部分のうち補助容量電極7C以外の部分の幅よりも大きくてもよい。なお、補助容量とパッチ電極15との配置関係は図示する例に限定されない。
ゲートメタル層3は、TFT10のゲート電極3Gと、ゲートバスラインGLと、補助容量対向電極3Cと、CSバスラインCLとを含む。
ソースメタル層7は、TFT10のソース電極7Sおよびドレイン電極7Dと、ソースバスラインSLと、補助容量電極7Cとを含む。
第1絶縁層11は、TFT10を覆うように形成されている。第1絶縁層11は、ドレイン電極7Dまたはドレイン電極7Dから延設された部分に達する開口部11aを有する。開口部11aをコンタクトホールCH_aということがある。
下部導電層13は、第1絶縁層11上および開口部11a内に形成された接続部13aを含む。接続部13aは、開口部11a内でドレイン電極7Dまたはドレイン電極7Dから延設された部分と接続されている。例えばここでは、接続部13aは、開口部11a内でドレイン電極7Dから延設された部分と接触している。
下部導電層13は、例えば透明導電層(例えばITO層)を含む。
パッチメタル層15lは、パッチ電極15と、接続部15aとを含む。接続部15aは、接続部13a上に形成され、接続部13aと電気的に接続されている。例えばここでは、接続部15aは、接続部13aと接触するように形成されている。この例では、接続部15aは、パッチ電極15から延設された配線15wと一体的に形成されている。この例では、パッチ電極15とドレイン電極7Dとは、接続部13a、接続部15aおよび配線15wを介して電気的に接続されている。
パッチメタル層15lは、金属層を含む。パッチメタル層15lは、金属層のみから形成されていてもよい。パッチメタル層15lは、例えば、低抵抗金属層と、低抵抗金属層の下に高融点金属含有層とを有する積層構造を有する。積層構造は、低抵抗金属層の上に高融点金属含有層をさらに有していてもよい。「高融点金属含有層」は、チタン(Ti)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)およびニオブ(Nb)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む層である。「高融点金属含有層」は積層構造であってもよい。例えば、高融点金属含有層は、Ti、W、Mo、Ta、Nb、これらを含む合金、およびこれらの窒化物、ならびに前記金属または合金と前記窒化物との固溶体のいずれかで形成された層を指す。「低抵抗金属層」は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)および金(Au)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む層である。「低抵抗金属層」は、積層構造であってもよい。パッチメタル層15lの低抵抗金属層を「主層」と呼ぶことがあり、低抵抗金属層の下および上の高融点金属含有層を、それぞれ「下層」および「上層」と呼ぶことがある。
パッチメタル層15lは、例えば主層としてCu層またはAl層を含む。すなわち、パッチ電極15は、例えば主層としてCu層またはAl層を含む。走査アンテナの性能はパッチ電極15の電気抵抗と相関があり、主層の厚さは、所望の抵抗が得られるように設定される。電気抵抗の観点から、Cu層の方がAl層よりもパッチ電極15の厚さを小さくできる可能性がある。パッチメタル層15lが有する金属層の厚さ(すなわち、パッチ電極15が有する金属層の厚さ)は、例えば、ソース電極7Sおよびドレイン電極7Dの厚さよりも大きくなるように設定される。パッチ電極15における金属層の厚さは、Al層で形成する場合、例えば0.3μm以上に設定される。
第2絶縁層17は、パッチメタル層15l上に形成されている。第2絶縁層17は、パッチ電極15、接続部15aおよび配線15wを覆うように形成されている。
なお、本発明の実施形態は図示する例に限られない。例えば、TFTの構造は、図示する例に限られない。また、ゲートメタル層3とソースメタル層7との配置関係は逆であってもよい。また、パッチ電極は、ゲートメタル層3またはソースメタル層7に含まれていてもよい。
<スペーサ構造>
走査アンテナ1000Aは、液晶層LCの厚さを制御するスペーサを有する。
図3(a)および図5(d)に示すように、走査アンテナ1000Aは、複数のアンテナ単位領域Uのそれぞれに形成された、液晶層LCの厚さを制御する柱状スペーサPSを有する。この例では、スロット基板201が柱状スペーサPSを有している。柱状スペーサは、紫外線硬化性樹脂などの感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィプロセスで形成されるスペーサであり、「フォトスペーサ」と呼ばれることもある。なお、スペーサとして、シール材に混合されたスペーサ(「粒状スペーサ」ということがある。)を併用してもよい。また、スペーサの個数や配置の具体例の図示は省略するが、任意であり得る。柱状スペーサPSは、各アンテナ単位領域Uに複数設けられていてもよい。スペーサは非送受信領域R2にも設けられていてもよい。
TFT基板101Aは、誘電体基板1および51の法線方向から見たとき、複数のアンテナ単位領域Uのそれぞれにおいて、柱状スペーサPSと重なる凸部15hを有する。ここでは、凸部15hは、パッチメタル層15lに含まれる。すなわち、凸部15hは、パッチ電極15と同じ層から形成されている。凸部15hは、典型的には金属層を含む。TFT基板101Aが有する、柱状スペーサPSと重なる凸部は、図示する例に限られず、例えば、ゲートメタル層3、ソースメタル層7およびパッチメタル層15lの少なくとも1つの導電層を含んでいてもよい。
TFT基板101Aが凸部15hを有することで、以下の効果が得られる。液晶層LCの厚さが大きい場合、感光性樹脂を用いて高い柱状スペーサ(例えば、高さが5μmを超える柱状スペーサ)を形成することが難しくなる。そのような場合に、TFT基板101Aが有する凸部15hの上に柱状スペーサPSを形成すれば、柱状スペーサPSの高さを低減できる。なお、柱状スペーサPSの高さは、柱状スペーサPSが規定する液晶層LCの厚さdp(図5(d)参照)に相当する。
この例では、平坦化層21は、誘電体基板1および51の法線方向から見たとき、前記複数のアンテナ単位領域のそれぞれにおいて、柱状スペーサPSと重ならないように形成されている。凸部15hの上面が平坦化層21の上面よりも高いためである。この例では、TFT基板101Aが有するパッチメタル層15l以外の導電層は、誘電体基板1の法線方向から見たとき、パッチ電極15と重ならないように形成されている。従って、パッチ電極15の上面の高さと、パッチメタル層15lに含まれる凸部15hの上面の高さとはほぼ等しい。
柱状スペーサPSの高さは、凸部15hを構成する導電層の構成、液晶層LCの厚さ等によって適宜調整され得る。
ここでは、スロット基板201が柱状スペーサPSを有する例を示したが、本発明の実施形態による走査アンテナにおいて、TFT基板が柱状スペーサを有していてもよい。TFT基板が柱状スペーサを有する場合、柱状スペーサとTFT基板が有する凸部15hとのアライメントずれの問題が生じないという利点がある。さらに、TFT基板が平坦化層21を有することによって、TFT基板に柱状スペーサを形成するための感光性樹脂の量を削減することができるという利点がある。
<スロット基板201の構造(アンテナ単位領域U)>
図5(d)を参照しながら、走査アンテナ1000Aが備えるスロット基板201の構造をより具体的に説明する。
スロット基板201は、表面および裏面を有する誘電体基板51と、誘電体基板51の表面に形成された第3絶縁層52と、第3絶縁層52上に形成されたスロット電極55と、スロット電極55を覆う第4絶縁層58とを備える。反射導電板65が誘電体基板51の裏面に誘電体層(空気層)54を介して対向するように配置されている。スロット電極55および反射導電板65は導波路301の壁として機能する。
送受信領域R1において、スロット電極55には複数のスロット57が形成されている。スロット57はスロット電極55を貫通する開口である。この例では、各アンテナ単位領域Uに1個のスロット57が配置されている。
第4絶縁層58は、スロット電極55上およびスロット57内に形成されている。第4絶縁層58の材料は、第3絶縁層52の材料と同じであってもよい。第4絶縁層58でスロット電極55を覆うことにより、スロット電極55と液晶層LCとが直接接触しないので、信頼性を高めることができる。スロット電極55がCu層で形成されていると、Cuが液晶層LCに溶出することがある。また、スロット電極55を薄膜堆積技術を用いてAl層で形成すると、Al層にボイドが含まれることがある。第4絶縁層58は、Al層のボイドに液晶材料が侵入するのを防止することができる。なお、Al層をアルミ箔を接着材により誘電体基板51に貼り付け、これをパターニングすることによってスロット電極55を作製すれば、ボイドの問題を回避できる。
スロット電極55は、Cu層、Al層などの主層55Mを含む。スロット電極55は、主層55Mと、それを挟むように配置された上層55Uおよび下層55Lとを含む積層構造を有していてもよい(図7(a)および(b)参照)。主層55Mの厚さは、材料に応じて表皮効果を考慮して設定され、例えば2μm以上30μm以下であってもよい。主層55Mの厚さは、典型的には上層55Uおよび下層55Lの厚さよりも大きい。
図示する例では、主層55MはCu層、上層55Uおよび下層55LはTi層である。主層55Mと第3絶縁層52との間に下層55Lを配置することにより、スロット電極55と第3絶縁層52との密着性を向上できる。また、上層55Uを設けることにより、主層55M(例えばCu層)の腐食を抑制できる。
反射導電板65は、導波路301の壁を構成するので、表皮深さの3倍以上、好ましくは5倍以上の厚さを有することが好ましい。反射導電板65は、例えば、削り出しによって作製された厚さが数mmのアルミニウム板、銅板などを用いることができる。
(非送受信領域R2)
図3〜図5および図7を参照して、走査アンテナ1000Aの非送受信領域R2の構造を説明する。TFT基板101Aが有する平坦化層21は、各端子部(トランスファー端子部、ソース端子部上、ゲート端子部上およびCS端子部)以外の領域のほぼ全面に形成されている。TFT基板101Aが有する平坦化層21は、各端子部上には形成されていない。
<TFT基板101Aの構造(非送受信領域R2)>
図3(b)および図3(c)は、走査アンテナ1000Aの非送受信領域R2の模式的な平面図であり、図4(b)〜(e)および図5(a)〜(c)は、TFT基板101Aの非送受信領域R2の模式的な断面図である。
図3(b)は、非送受信領域R2に設けられたトランスファー端子部PT、ゲート端子部GTおよびCS端子部CTを示しており、図3(c)は、非送受信領域R2に設けられたソース−ゲート接続部SGおよびソース端子部STを示している。
トランスファー端子部PTは、シール領域Rsに位置する第1トランスファー端子部PT1と、シール領域Rsの外側(液晶層がない側)に設けられた第2トランスファー端子部PT2とを含む。図示する例では、第1トランスファー端子部PT1は、シール領域Rsに沿って、送受信領域R1を包囲するように延びている。
図4(b)は、図3(b)中のB−B’線に沿った第1トランスファー端子部PT1の断面を示しており、図4(c)は、図3(c)中のC−C’線に沿ったソース−ゲート接続部SGの断面を示しており、図4(d)は、図3(c)中のD−D’線に沿ったソース端子部STの断面を示しており、図4(e)は、図3(b)中のE−E’線に沿った第2トランスファー端子部PT2の断面を示しており、図5(a)は、図3(b)中のF−F’線に沿った第1トランスファー端子部PT1の断面を示しており、図5(b)は、図3(c)中のG−G’線に沿ったソース−ゲート接続部SGの断面を示しており、図5(c)は、図3(c)中のI−I’線に沿ったソース−ゲート接続部SGおよびソース端子部STの断面を示している。
一般に、ゲート端子部GTおよびソース端子部STはそれぞれゲートバスライン毎およびソースバスライン毎に設けられる。ソース−ゲート接続部SGは、一般に各ソースバスラインに対応して設けられる。図3(b)には、ゲート端子部GTと並べて、CS端子部CTおよび第2トランスファー端子部PT2を図示しているが、CS端子部CTおよび第2トランスファー端子部PT2の個数および配置は、それぞれゲート端子部GTとは独立に設定される。通常、CS端子部CTおよび第2トランスファー端子部PT2の個数は、ゲート端子部GTの個数より少なく、CS電極およびスロット電極の電圧の均一性を考慮して適宜設定される。また、第2トランスファー端子部PT2は、第1トランスファー端子部PT1が形成されている場合には省略され得る。
各CS端子部CTは、例えば、各CSバスラインに対応して設けられる。各CS端子部CTは、複数のCSバスラインに対応して設けられていてもよい。例えば、各CSバスラインにスロット電圧と同じ電圧が供給される場合、TFT基板101Aは、CS端子部CTを少なくとも1つ有すればよい。ただし、配線抵抗を下げるためには、TFT基板101Aは複数のCS端子部CTを有することが好ましい。なお、スロット電圧は、例えばグランド電位である。また、CSバスラインにスロット電圧と同じ電圧が供給される場合、CS端子部CTまたは第2トランスファー端子部PT2のいずれかは省略され得る。
・ソース−ゲート接続部SG
TFT基板101Aは、図3(c)に示すように、非送受信領域R2にソース−ゲート接続部SGを有する。ソース−ゲート接続部SGは、一般に、ソースバスラインSL毎に設けられる。ソース−ゲート接続部SGは、各ソースバスラインSLをゲートメタル層3内に形成された接続配線(「ソース下部接続配線」ということがある。)に電気的に接続する。
図3(c)、図4(c)、図5(b)および図5(d)に示すように、ソース−ゲート接続部SGは、ソース下部接続配線3sgと、ゲート絶縁層4に形成された開口部4sg1と、ソースバスライン接続部7sgと、第1絶縁層11に形成された開口部11sg1および開口部11sg2と、ソースバスライン上部接続部13sgとを有する。ソース−ゲート接続部SG上を覆うように平坦化層21が形成されている。
ソース下部接続配線3sgは、ゲートメタル層3に含まれる。ソース下部接続配線3sgは、ゲートバスラインGLと電気的に分離されている。
ゲート絶縁層4に形成された開口部4sg1は、ソース下部接続配線3sgに達している。
ソースバスライン接続部7sgは、ソースメタル層7に含まれ、ソースバスラインSLに電気的に接続されている。この例では、ソースバスライン接続部7sgは、ソースバスラインSLから延設され、ソースバスラインSLと一体的に形成されている。ソースバスライン接続部7sgの幅は、ソースバスラインSLの幅よりも大きくてもよい。
第1絶縁層11に形成された開口部11sg1は、誘電体基板1の法線方向から見たとき、ゲート絶縁層4に形成された開口部4sg1に重なっている。ゲート絶縁層4に形成された開口部4sg1および第1絶縁層11に形成された開口部11sg1は、コンタクトホールCH_sg1を構成する。
第1絶縁層11に形成された開口部11sg2は、ソースバスライン接続部7sgに達している。開口部11sg2をコンタクトホールCH_sg2ということがある。
ソースバスライン上部接続部13sg(単に「上部接続部13sg」ということがある。)は、下部導電層13に含まれる。上部接続部13sgは、第1絶縁層11上、コンタクトホールCH_sg1内、およびコンタクトホールCH_sg2内に形成され、コンタクトホールCH_sg1内でソース下部接続配線3sgと接続されており、コンタクトホールCH_sg2内でソースバスライン接続部7sgと接続されている。例えばここでは、上部接続部13sgは、ゲート絶縁層4に形成された開口部4sg1内でソース下部接続配線3sgと接触しており、第1絶縁層11に形成された開口部11sg2内でソースバスライン接続部7sgと接触している。
ソース下部接続配線3sgの内、開口部4sg1によって露出されている部分は、上部接続部13sgで覆われていることが好ましい。ソースバスライン接続部7sgの内、開口部11sg2によって露出されている部分は、上部接続部13sgで覆われていることが好ましい。
この例では、ソース−ゲート接続部SGは、パッチメタル層15lに含まれる導電部および上部導電層19に含まれる導電部を有しない。
TFT基板101Aは、ソース−ゲート接続部SGに上部接続部13sgを有することによって、優れた動作安定性を有する。ソース−ゲート接続部SGが上部接続部13sgを有することによって、パッチメタル層15lを形成するためのパッチ用導電膜をエッチングする工程における、ゲートメタル層3および/またはソースメタル層7へのダメージが軽減される。この効果について説明する。
上述したように、TFT基板101Aにおいて、ソース−ゲート接続部SGはパッチメタル層15lに含まれる導電部を有しない。つまり、パッチ用導電膜のパターニング工程において、ソース−ゲート接続部形成領域のパッチ用導電膜は除去される。ソース−ゲート接続部SGに上部接続部13sgを有しない場合、コンタクトホールCH_sg1内でゲートメタル層3(ソース下部接続配線3sg)が露出されるので、除去されるべきパッチ用導電膜は、コンタクトホールCH_sg1内に堆積され、ソース下部接続配線3sgに接して形成される。同様に、ソース−ゲート接続部SGに上部接続部13sgを有しない場合、コンタクトホールCH_sg2内でソースメタル層7(ソースバスライン接続部7sg)が露出されるので、除去されるべきパッチ用導電膜は、コンタクトホールCH_sg2内に堆積され、ソースバスライン接続部7sgに接して形成される。このような場合、ゲートメタル層3および/またはソースメタル層7がエッチングダメージを受ける可能性がある。パッチ用導電膜をパターニングする工程では、例えばリン酸、硝酸および酢酸を含むエッチング液が用いられる。ソース下部接続配線3sgおよび/またはソースバスライン接続部7sgがエッチングダメージを受けると、ソース−ゲート接続部SGにおいてコンタクト不良が生じる可能性がある。
TFT基板101Aのソース−ゲート接続部SGは、コンタクトホールCH_sg1内およびコンタクトホールCH_sg2内に形成された上部接続部13sgを有する。従って、パッチ用導電膜のパターニング工程における、エッチングによるソース下部接続配線3sgおよび/またはソースバスライン接続部7sgへのダメージが軽減される。従って、TFT基板101Aは動作安定性に優れている。
ゲートメタル層3および/またはソースメタル層7へのエッチングダメージを効果的に軽減する観点からは、ソース下部接続配線3sgの内、コンタクトホールCH_sg1によって露出されている部分は、上部接続部13sgで覆われており、ソースバスライン接続部7sgの内、開口部11sg2によって露出されている部分は、上部接続部13sgで覆われていることが好ましい。
走査アンテナに用いられるTFT基板では、比較的厚い導電膜(パッチ用導電膜)を用いてパッチ電極が形成されることがある。この場合、パッチ用導電膜のエッチング時間およびオーバーエッチング時間が、他の層のエッチング工程よりも長くなり得る。このとき、コンタクトホールCH_sg1内およびコンタクトホールCH_sg2内で、ゲートメタル層3(ソース下部接続配線3sg)およびソースメタル層7(ソースバスライン接続部7sg)が露出されていると、これらのメタル層が受けるエッチングダメージが大きくなる。このように、比較的厚いパッチメタル層を有するTFT基板においては、ソース−ゲート接続部SGが上部接続部13sgを有することによって、ゲートメタル層3および/またはソースメタル層7へのエッチングダメージが軽減される効果が特に大きい。
図示する例では、コンタクトホールCH_sg2は、コンタクトホールCH_sg1から離間した位置に形成されている。本実施形態はこれに限られず、コンタクトホールCH_sg1およびコンタクトホールCH_sg2は、連続していてもよい(すなわち、単一のコンタクトホールとして形成されていてもよい)。コンタクトホールCH_sg1およびコンタクトホールCH_sg2は、単一のコンタクトホールとして同じ工程で形成されてもよい。具体的には、ソース下部接続配線3sgおよびソースバスライン接続部7sgに達する単一のコンタクトホールをゲート絶縁層4および第1絶縁層11に形成し、このコンタクトホール内および第1絶縁層11上に上部接続部13sgを形成してもよい。このとき、上部接続部13sgは、ソース下部接続配線3sgおよびソースバスライン接続部7sgの内、コンタクトホールによって露出されている部分を覆うように形成されることが好ましい。
また、後述するように、ソース−ゲート接続部SGを設けることによって、ソース端子部STの下部接続部をゲートメタル層3で形成することができる。ゲートメタル層3で形成された下部接続部を有するソース端子部STは、信頼性に優れる。
・ソース端子部ST
TFT基板101Aは、図3(c)に示すように、非送受信領域R2にソース端子部STを有する。ソース端子部STは、一般に、各ソースバスラインSLに対応して設けられる。ここでは、各ソースバスラインSLに対応して、ソース端子部STおよびソース−ゲート接続部SGが設けられている。
ソース端子部STは、図3(c)、図4(d)および図5(c)に示すように、ソース−ゲート接続部SGに形成されたソース下部接続配線3sgに接続されたソース端子用下部接続部3s(単に「下部接続部3s」ということもある。)と、ゲート絶縁層4に形成された開口部4sと、第1絶縁層11に形成された開口部11sと、第2絶縁層17に形成された開口部17sと、ソース端子用上部接続部19s(単に「上部接続部19s」ということもある。)とを有している。
下部接続部3sは、ゲートメタル層3に含まれる。下部接続部3sは、ソース−ゲート接続部SGに形成されているソース下部接続配線3sgと電気的に接続されている。この例では、下部接続部3sは、ソース下部接続配線3sgから延設され、ソース下部接続配線3sgと一体的に形成されている。
ゲート絶縁層4に形成された開口部4sは、下部接続部3sに達している。
第1絶縁層11に形成された開口部11sは、誘電体基板1の法線方向から見たとき、ゲート絶縁層4に形成された開口部4sに重なっている。
第2絶縁層17に形成された開口部17sは、誘電体基板1の法線方向から見たとき、第1絶縁層11に形成された開口部11sに重なっている。ゲート絶縁層4に形成された開口部4s、第1絶縁層11に形成された開口部11s、および第2絶縁層17に形成された開口部17sは、コンタクトホールCH_sを構成する。
上部接続部19sは、上部導電層19に含まれる。上部接続部19sは、第2絶縁層17上およびコンタクトホールCH_s内に形成され、コンタクトホールCH_s内で、下部接続部3sと接続されている。ここでは、上部接続部19sは、ゲート絶縁層4に形成された開口部4s内で、下部接続部3sと接触している。
上部導電層19は、例えば透明導電層(例えばITO層)を含む。上部導電層19は、例えば透明導電層のみから形成されていてもよい。あるいは、上部導電層19は、透明導電層を含む第1上部導電層と、第1上部導電層の下に形成された第2上部導電層とを含んでいてもよい。第2上部導電層は、例えば、Ti層、MoNbNi層、MoNb層、MoW層、W層およびTa層からなる群から選択される1つの層または2以上の層の積層から形成されている。
誘電体基板1の法線方向から見たとき、上部接続部19sの全ては、下部接続部3sと重なっていてもよい。
この例では、ソース端子部STは、ソースメタル層7に含まれる導電部、下部導電層13に含まれる導電部、およびパッチメタル層15lに含まれる導電部を含まない。
ソース端子部STは、ゲートメタル層3に含まれる下部接続部3sを有するので、優れた信頼性を有する。
端子部、特にシール領域Rsよりも外側(液晶層と反対側)に設けられた端子部には、大気中の水分(不純物を含み得る。)によって腐食が生じることがある。大気中の水分は、下部接続部に達するコンタクトホールから侵入し、下部接続部に達し、下部接続部に腐食が起こり得る。腐食の発生を抑制する観点からは、下部接続部に達するコンタクトホールが深いことが好ましい。すなわち、コンタクトホールを構成する開口部が形成されている絶縁層の厚さが大きいことが好ましい。
また、誘電体基板としてガラス基板を有するTFT基板を作製する工程において、ガラス基板の破片や切り屑(カレット)によって、端子部の下部接続部にキズや断線が生じることがある。例えば、1つのマザー基板から複数のTFT基板が作製される。カレットは、例えば、マザー基板を切断する時、マザー基板にスクライブラインを形成する時、等に生じる。端子部の下部接続部のキズや断線を防ぐ観点からは、下部接続部に達するコンタクトホールが深いことが好ましい。すなわち、コンタクトホールを構成する開口部が形成されている絶縁層の厚さが大きいことが好ましい。
TFT基板101Aのソース端子部STにおいて、下部接続部3sはゲートメタル層3に含まれているので、下部接続部3sに達するコンタクトホールCH_sは、ゲート絶縁層4に形成された開口部4s、第1絶縁層11に形成された開口部11s、および第2絶縁層17に形成された開口部17sを有する。コンタクトホールCH_sの深さは、ゲート絶縁層4の厚さ、第1絶縁層11の厚さ、および第2絶縁層17の厚さの和である。これに対して、例えば下部接続部がソースメタル層7に含まれている場合、下部接続部に達するコンタクトホールは、第1絶縁層11に形成された開口部および第2絶縁層17に形成された開口部のみを有し、その深さは第1絶縁層11の厚さおよび第2絶縁層17の厚さの和であり、コンタクトホールCH_sの深さよりも小さい。ここで、コンタクトホールの深さおよび絶縁層の厚さは、それぞれ、誘電体基板1の法線方向における深さおよび厚さをいう。他のコンタクトホールおよび絶縁層についても特に断らない限り同様である。このように、TFT基板101Aのソース端子部STは、下部接続部3sがゲートメタル層3に含まれているので、例えば下部接続部がソースメタル層7に含まれている場合に比べて、優れた信頼性を有する。
ゲート絶縁層4に形成された開口部4sは、下部接続部3sの一部のみを露出するように形成されている。誘電体基板1の法線方向から見たとき、ゲート絶縁層4に形成された開口部4sは、下部接続部3sの内側にある。従って、開口部4s内の全ての領域は、誘電体基板1上に下部接続部3sおよび上部接続部19sを有する積層構造を有する。ソース端子部STにおいて、下部接続部3sを有しない領域の全ては、ゲート絶縁層4、第1絶縁層11および第2絶縁層17を有する積層構造を有する。これにより、TFT基板101Aのソース端子部STは優れた信頼性を有する。優れた信頼性を得る観点からは、ゲート絶縁層4の厚さ、第1絶縁層11の厚さおよび第2絶縁層17の厚さの和が大きいことが好ましい。
下部接続部3sの内、開口部4sによって露出されている部分は、上部接続部19sで覆われている。
端子部の上部接続部の厚さが大きい(すなわち上部導電層19の厚さが大きい)と、下部接続部に腐食が生じることが抑制される。下部接続部に腐食が生じることを効果的に抑制するために、上述したように、上部導電層19は、透明導電層(例えばITO層)を含む第1上部導電層と、第1上部導電層の下に形成され、Ti層、MoNbNi層、MoNb層、MoW層、W層およびTa層からなる群から選択される1つの層または2以上の層の積層から形成されている第2上部導電層とを含む積層構造を有してもよい。下部接続部に腐食が生じることをより効果的に抑制するために、第2上部導電層の厚さを例えば100nm超としてもよい。
・ゲート端子部GT
TFT基板101Aは、図3(b)に示すように、非送受信領域R2にゲート端子部GTを有する。ゲート端子部GTは、図3(b)に示すように、ソース端子部STと同様の構成を有し得る。ゲート端子部GTは、一般に、ゲートバスラインGL毎に設けられる。
図3(b)に示すように、この例では、ゲート端子部GTは、ゲート端子用下部接続部3g(単に「下部接続部3g」ということもある。)と、ゲート絶縁層4に形成された開口部4gと、第1絶縁層11に形成された開口部11gと、第2絶縁層17に形成された開口部17gと、ゲート端子用上部接続部19g(単に「上部接続部19g」ということもある。)とを有している。
下部接続部3gは、ゲートメタル層3に含まれ、ゲートバスラインGLと電気的に接続されている。この例では、下部接続部3gは、ゲートバスラインGLから延設され、ゲートバスラインGLと一体的に形成されている。
ゲート絶縁層4に形成された開口部4gは、下部接続部3gに達している。
第1絶縁層11に形成された開口部11gは、誘電体基板1の法線方向から見たとき、ゲート絶縁層4に形成された開口部4gに重なっている。
第2絶縁層17に形成された開口部17gは、誘電体基板1の法線方向から見たとき、第1絶縁層11に形成された開口部11gに重なっている。ゲート絶縁層4に形成された開口部4g、第1絶縁層11に形成された開口部11g、および第2絶縁層17に形成された開口部17gは、コンタクトホールCH_gを構成する。
上部接続部19gは、上部導電層19に含まれる。上部接続部19gは、第2絶縁層17上およびコンタクトホールCH_g内に形成され、コンタクトホールCH_g内で、下部接続部3gと接続されている。例えば、上部接続部19gは、ゲート絶縁層4に形成された開口部4g内で、下部接続部3gと接触している。
誘電体基板1の法線方向から見たとき、上部接続部19gの全ては、下部接続部3gと重なっていてもよい。
この例では、ゲート端子部GTは、ソースメタル層7に含まれる導電部、下部導電層13に含まれる導電部、およびパッチメタル層15lに含まれる導電部を有しない。
ゲート端子部GTは、ゲートメタル層3に含まれる下部接続部3gを有するので、ソース端子部STと同様に、優れた信頼性を有する。
・CS端子部CT
TFT基板101Aは、図3(b)に示すように、非送受信領域R2にCS端子部CTを有する。CS端子部CTは、ここでは、図3(b)に示すように、ソース端子部STおよびゲート端子部GTと同様の構成を有する。CS端子部CTは、例えば各CSバスラインCLに対応して設けられていてもよい。
図3(b)に示すように、CS端子部CTは、CS端子用下部接続部3c(単に「下部接続部3c」ということもある。)と、ゲート絶縁層4に形成された開口部4cと、第1絶縁層11に形成された開口部11cと、第2絶縁層17に形成された開口部17cと、CS端子用上部接続部19c(単に「上部接続部19c」ということもある。)とを有している。
下部接続部3cは、ゲートメタル層3に含まれる。下部接続部3cは、CSバスラインCLと電気的に接続されている。この例では、下部接続部3cは、CSバスラインCLから延設され、CSバスラインCLと一体的に形成されている。
ゲート絶縁層4に形成された開口部4cは、下部接続部3cに達している。
第1絶縁層11に形成された開口部11cは、誘電体基板1の法線方向から見たとき、ゲート絶縁層4に形成された開口部4cに重なっている。
第2絶縁層17に形成された開口部17cは、誘電体基板1の法線方向から見たとき、第1絶縁層11に形成された開口部11cに重なっている。ゲート絶縁層4に形成された開口部4c、第1絶縁層11に形成された開口部11c、および第2絶縁層17に形成された開口部17cは、コンタクトホールCH_cを構成する。
上部接続部19cは、上部導電層19に含まれる。上部接続部19cは、第2絶縁層17上およびコンタクトホールCH_c内に形成され、コンタクトホールCH_c内で、下部接続部3cと接続されている。例えば、上部接続部19cは、ゲート絶縁層4に形成された開口部4c内で、下部接続部3cと接触している。
誘電体基板1の法線方向から見たとき、上部接続部19cの全ては、下部接続部3cと重なっていてもよい。
この例では、CS端子部CTは、ソースメタル層7に含まれる導電部、下部導電層13に含まれる導電部、およびパッチメタル層15lに含まれる導電部を有しない。
CS端子部CTは、ゲートメタル層3に含まれる下部接続部3cを有するので、ソース端子部STと同様に、優れた信頼性を有する。
・トランスファー端子部PT
TFT基板101Aは、図3(b)に示すように、非送受信領域R2に第1トランスファー端子部PT1を有する。第1トランスファー端子部PT1は、ここでは、シール領域Rs内に設けられている(すなわち、第1トランスファー端子部PT1は、液晶層を包囲するシール部に設けられている)。
第1トランスファー端子部PT1は、図3(b)および図4(b)に示すように、第1トランスファー端子用下部接続部3p1(単に「下部接続部3p1」ということもある。)と、ゲート絶縁層4に形成された開口部4p1と、第1絶縁層11に形成された開口部11p1と、第1トランスファー端子用第1導電部13p1(単に「第1導電部13p1」ということもある。)と、第1トランスファー端子用第2導電部15p1(単に「第2導電部15p1」ということもある。)と、第2絶縁層17に形成された開口部17p1と、第1トランスファー端子用上部接続部19p1(単に「上部接続部19p1」ということもある。)とを有している。
下部接続部3p1は、ゲートメタル層3に含まれる。すなわち、下部接続部3p1は、ゲートバスラインGLと同じ導電膜から形成されている。下部接続部3p1は、ゲートバスラインGLと電気的に分離されている。例えば、CSバスラインCLにスロット電圧と同じ電圧が供給されている場合、下部接続部3p1は、例えばCSバスラインCLと電気的に接続されている。図示するように、下部接続部3p1は、CSバスラインから延設されていてもよい。ただしこの例に限られず、下部接続部3p1は、CSバスラインと電気的に分離されていてもよい。
ゲート絶縁層4に形成された開口部4p1は、下部接続部3p1に達している。
第1絶縁層11に形成された開口部11p1は、誘電体基板1の法線方向から見たとき、ゲート絶縁層4に形成された開口部4p1に重なっている。ゲート絶縁層4に形成された開口部4p1、および第1絶縁層11に形成された開口部11p1は、コンタクトホールCH_p1を構成する。
第1導電部13p1は、下部導電層13に含まれる。第1導電部13p1は、第1絶縁層11上およびコンタクトホールCH_p1内に形成され、コンタクトホールCH_p1内で下部接続部3p1と接続されている。ここでは、第1導電部13p1は、開口部4p1内で下部接続部3p1と接触している。
第2導電部15p1は、パッチメタル層15lに含まれる。第2導電部15p1は、第1導電部13p1上に形成されている。第2導電部15p1は、第1導電部13p1と電気的に接続されている。例えばここでは、第2導電部15p1は、第1導電部13p1と直接接触している。
第2絶縁層17に形成された開口部17p1は、第2導電部15p1に達している。
上部接続部19p1は、上部導電層19に含まれる。上部接続部19p1は、第2絶縁層17上および開口部17p1内に形成され、開口部17p1内で導電部15p1と接続されている。ここでは、上部接続部19p1は、開口部17p1内で導電部15p1と接触している。上部接続部19p1は、例えば導電性粒子を含むシール材によって、スロット基板側のトランスファー端子用上部接続部と接続される(図7(b)参照)。
この例では、第1トランスファー端子部PT1は、ソースメタル層7に含まれる導電部に含まれる導電部を有しない。
第1トランスファー端子部PT1は、下部接続部3p1と上部接続部19p1との間に第1導電部13p1および第2導電部15p1を有する。これにより、第1トランスファー端子部PT1は、下部接続部3p1と上部接続部19p1との間の電気抵抗が低いという利点を有する。
誘電体基板1の法線方向から見たとき、上部接続部19p1の全ては、第2導電部15p1と重なっていてもよい。
この例では、下部接続部3p1は、互いに隣接する2つのゲートバスラインGLの間に配置されている。ゲートバスラインGLを挟んで配置された2つの下部接続部3p1は、導電接続部(不図示)を介して電気的に接続されていてもよい。2つの下部接続部3p1を電気的に接続する導電接続部は、例えばソースメタル層7に含まれていてもよい。
ここでは、複数のコンタクトホールCH_p1が設けられることによって、下部接続部3p1が、第1導電部13p1および第2導電部15p1を介して、上部接続部19p1と接続されているが、コンタクトホールCH_p1は、1つの下部接続部3p1に対して1つ以上設けられていればよい。1つの下部接続部3p1に対して1つのコンタクトホールが設けられていてもよい。コンタクトホールの個数や形状は図示する例に限られない。
ここでは、それぞれが各コンタクトホールCH_p1と重なるように、複数の第1導電部13p1が形成されているが、第1導電部13p1の形状はこれに限られない。第1導電部は、複数のコンタクトホールCH_p1と重なるように形成されていてもよい。
ここでは、上部接続部19p1は、1つの開口部17p1によって第2導電部15p1と接続されているが、開口部17p1は、1つの上部接続部19p1に対して1つ以上設けられていればよい。1つの上部接続部19p1に対して複数の開口部が設けられていてもよい。開口部の個数や形状は図示する例に限られない。
第2トランスファー端子部PT2は、シール領域Rsの外側(送受信領域R1と反対側)に設けられている。第2トランスファー端子部PT2は、図3(b)および図4(e)に示すように、第2トランスファー端子用下部接続部15p2(単に「下部接続部15p2」ということもある。)と、第2絶縁層17に形成された開口部17p2と、第2トランスファー端子用上部接続部19p2(単に「上部接続部19p2」ということもある。)とを有している。
第2トランスファー端子部PT2は、第1トランスファー端子部PT1の内、下部接続部3p1、コンタクトホールCH_p1、および第1導電部13p1を有しない部分(図5(a)参照)と同様の断面構造を有している。
下部接続部15p2は、パッチメタル層15lに含まれる。下部接続部15p2は、ここでは、第1トランスファー端子用第2導電部15p1から延設され、第1トランスファー端子用第2導電部15p1と一体的に形成されている。
第2絶縁層17に形成された開口部(コンタクトホール)17p2は、下部接続部15p2に達している。
上部接続部19p2は、上部導電層19に含まれる。上部接続部19p2は、第2絶縁層17上および開口部17p2内に形成され、開口部17p2内で下部接続部15p2と接続されている。ここでは、上部接続部19p2は、開口部17p2内で下部接続部15p2と接触している。
この例では、第2トランスファー端子部PT2は、ゲートメタル層3に含まれる導電部、ソースメタル層7に含まれる導電部および下部導電層13に含まれる導電部を有しない。
第2トランスファー端子部PT2においても、上部接続部19p2は、例えば導電性粒子を含むシール材によって、スロット基板側のトランスファー端子用接続部と接続されていてもよい。
<スロット基板201の構造(非送受信領域R2)>
図7(a)は、スロット基板201のアンテナ単位領域Uと、非送受信領域R2の端子部ITとを模式的に示す断面図である。図7(b)は、TFT基板101Aの第1トランスファー端子部PT1と、スロット基板201の端子部ITとを接続するトランスファー部を説明するための模式的な断面図である。
図7(a)に示すように、スロット基板201の非送受信領域R2には、端子部ITが設けられている。端子部ITは、スロット電極55と、スロット電極55を覆う第4絶縁層58と、上部接続部60とを備える。第4絶縁層58は、スロット電極55に達する開口部を有している。上部接続部60は、開口部内でスロット電極55に接している。本実施形態では、端子部ITは、シール領域Rs内に配置され、導電性粒子を含有するシール樹脂によって、TFT基板におけるトランスファー端子部と接続される(トランスファー部)。
図7(b)に示すように、トランスファー部では、端子部ITの上部接続部60は、TFT基板101Aにおける第1トランスファー端子部PT1の第1トランスファー端子用上部接続部19p1と電気的に接続される。本実施形態では、上部接続部60と上部接続部19p1とを、導電性ビーズ71を含む樹脂(シール樹脂)73(「シール部73」ということもある。)を介して接続する。
上部接続部60および19p1は、いずれも、ITO膜、IZO膜などの透明導電層であり、その表面に酸化膜が形成される場合がある。酸化膜が形成されると、透明導電層同士の電気的な接続が確保できず、コンタクト抵抗が高くなる可能性がある。これに対し、本実施形態では、導電性ビーズ(例えばAuビーズ)71を含む樹脂を介して、これらの透明導電層を接着させるので、表面酸化膜が形成されていても、導電性ビーズが表面酸化膜を突き破る(貫通する)ことにより、コンタクト抵抗の増大を抑えることが可能である。導電性ビーズ71は、表面酸化膜だけでなく、透明導電層である上部接続部60、19p1をも貫通し、導電部15p1およびスロット電極55に直接接していてもよい。
トランスファー部は、走査アンテナ1000Aの中心部および周縁部(すなわち、走査アンテナ1000Aの法線方向から見たとき、ドーナツ状の送受信領域R1の内側および外側)の両方に配置されていてもよいし、いずれか一方のみに配置されていてもよい。トランスファー部は、液晶を封入するシール領域Rs内に配置されていてもよいし、シール領域Rsの外側(液晶層と反対側)に配置されていてもよい。
<TFT基板101Aの製造方法>
図8〜図15を参照して、TFT基板101Aの製造方法を説明する。
図8(a)〜(g)、図9(a)〜(g)、図10(a)〜(d)、図11(a)〜(d)、図12(a)〜(d)、図13(a)〜(d)、図14(a)〜(c)および図15(a)〜(c)は、TFT基板101Aの製造方法を説明するための模式的な断面図である。これらの図のそれぞれは、図4(a)、図4(b)、図4(e)、図4(c)、図4(d)、図5(b)、および図5(d)に対応する断面(TFT基板101AのA−A’断面、B−B’断面、E−E’断面、C−C’断面、D−D’断面、G−G’断面、およびH−H’断面)を示している。なお、図5(a)に対応する断面(TFT基板101AのF−F’断面)については、図示を省略するが、図4(e)に対応する断面(TFT基板101AのE−E’断面)と同様の方法で形成される。
まず、図8(a)および図9(a)に示すように、誘電体基板1上に、スパッタ法などによって、ゲート用導電膜3’を形成する。ゲート用導電膜3’の材料は特に限定されず、例えば、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)等の金属またはその合金、若しくはその金属窒化物を含む膜を適宜用いることができる。ここでは、ゲート用導電膜3’として、Al膜(厚さ:例えば150nm)およびMoN膜(厚さ:例えば100nm)をこの順で積層した積層膜(MoN/Al)を形成する。
次いで、ゲート用導電膜3’をパターニングすることにより、図8(b)および図9(b)に示すように、ゲートメタル層3を形成する。具体的には、アンテナ単位形成領域にゲート電極3G、ゲートバスラインGL、補助容量対向電極3C、およびCSバスラインCLを形成し、ソース−ゲート接続部形成領域にソース下部接続配線3sgを形成し、各端子部形成領域に下部接続部3s、3g、3cおよび3p1を形成する。ここでは、ゲート用導電膜3’のパターニングは、ウェットエッチングによって行う。
この後、図8(c)および図9(c)に示すように、ゲートメタル層3を覆うようにゲート絶縁膜4’、真性アモルファスシリコン膜5’およびn+型アモルファスシリコン膜6’をこの順で形成する。ゲート絶縁膜4’は、CVD法等によって形成され得る。ゲート絶縁膜4’としては、酸化珪素(SiOx)膜、窒化珪素(SixNy)膜、酸化窒化珪素(SiOxNy;x>y)膜、窒化酸化珪素(SiNxOy;x>y)膜等を適宜用いることができる。ここでは、ゲート絶縁膜4’として、例えば厚さ350nmの窒化珪素(SixNy)膜を形成する。また、例えば厚さ120nmの真性アモルファスシリコン膜5’および例えば厚さ30nmのn+型アモルファスシリコン膜6’を形成する。
次いで、真性アモルファスシリコン膜5’およびn+型アモルファスシリコン膜6’をパターニングすることにより、図8(d)および図9(d)に示すように、島状の半導体層5およびコンタクト層6を得る。なお、半導体層5に用いる半導体膜はアモルファスシリコン膜に限定されない。例えば、半導体層5として酸化物半導体層を形成してもよい。この場合には、半導体層5と、ソース電極およびドレイン電極との間にコンタクト層を設けなくてもよい。
次いで、図8(e)および図9(e)に示すように、ゲート絶縁膜4’上およびコンタクト層6上に、スパッタ法などによってソース用導電膜7’を形成する。ソース用導電膜7’の材料は特に限定されず、例えば、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)等の金属またはその合金、若しくはその金属窒化物を含む膜を適宜用いることができる。ここでは、ソース用導電膜7’として、MoN(厚さ:例えば50nm)、Al(厚さ:例えば150nm)およびMoN(厚さ:例えば100nm)をこの順で積層した積層膜(MoN/Al/MoN)を形成する。
次いで、ソース用導電膜7’をパターニングすることによって、図8(f)および図9(f)に示すように、ソースメタル層7を形成する。具体的には、アンテナ単位形成領域にソース電極7S、ドレイン電極7D、ソースバスラインSL、および補助容量電極7Cを形成し、ソース−ゲート接続部形成領域にソースバスライン接続部7sgを形成する。このとき、コンタクト層6もエッチングされ、互いに分離されたソースコンタクト層6Sとドレインコンタクト層6Dとが形成される。ここでは、ソース用導電膜7’のパターニングは、ウェットエッチングによって行う。例えばリン酸、硝酸および酢酸を含む水溶液を用いて、ウェットエッチングでMoN膜およびAl膜を同時にパターニングする。その後、例えばドライエッチングにより、コンタクト層のうち、半導体層5のチャネル領域となる領域上に位置する部分を除去してギャップ部を形成し、ソースコンタクト層6Sおよびドレインコンタクト層6Dとに分離する。このとき、ギャップ部において、半導体層5の表面近傍もエッチングされる(オーバーエッチング)。このようにして、TFT10が得られる。
なお、例えばソース用導電膜としてTi膜およびAl膜をこの順で積層した積層膜を用いる場合には、例えばリン酸酢酸硝酸水溶液を用いて、ウェットエッチングでAl膜のパターニングを行った後、ドライエッチングでTi膜およびコンタクト層(n+型アモルファスシリコン層)6を同時にパターニングしてもよい。あるいは、ソース用導電膜およびコンタクト層を一括してエッチングすることも可能である。ただし、ソース用導電膜またはその下層とコンタクト層6とを同時にエッチングする場合には、基板全体における半導体層5のエッチング量(ギャップ部の掘れ量)の分布の制御が困難となる場合がある。これに対し、上述したように、ソース・ドレイン分離とギャップ部の形成と別個のエッチング工程で行うと、ギャップ部のエッチング量をより容易に制御できる。
ここで、ソース−ゲート接続部形成領域において、ソース下部接続配線3sgの少なくとも一部は、ソースバスライン接続部7sgと重ならないようにソースメタル層7が形成されている。また、各端子部形成領域は、ソースメタル層7に含まれる導電部を有しない。
次に、図8(g)および図9(g)に示すように、TFT10およびソースメタル層7を覆うように第1絶縁膜11’を形成する。第1絶縁膜11’は、例えばCVD法によって形成される。第1絶縁膜11’としては、酸化珪素(SiOx)膜、窒化珪素(SixNy)膜、酸化窒化珪素(SiOxNy;x>y)膜、窒化酸化珪素(SiNxOy;x>y)膜等を適宜用いることができる。この例では、第1絶縁膜11’は、半導体層5のチャネル領域と接するように形成される。ここでは、第1絶縁膜11’として、例えば厚さ330nmの窒化珪素(SixNy)膜を形成する。
続いて、図10(a)および図11(a)に示すように、公知のフォトリソグラフィプロセスによって、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’のエッチングを行う。具体的には、アンテナ単位形成領域においては、ドレイン電極7Dから延設された部分に達する開口部11aを第1絶縁膜11’に形成する。第1トランスファー端子部形成領域においては、下部接続部3p1に達するコンタクトホールをゲート絶縁膜4’および第1絶縁膜11’に形成する。ソース−ゲート接続部形成領域においては、ソース下部接続配線3sgに達するコンタクトホールCH_sg1をゲート絶縁膜4’および第1絶縁膜11’に形成し、ソースバスライン接続部7sgに達する開口部11sg2(コンタクトホールCH_sg2)を第1絶縁膜11’に形成する。
このエッチング工程では、ソースメタル層7をエッチストップとして第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’のエッチングが行われる。
ソース−ゲート接続部形成領域では、ソース下部接続配線3sgに重なる領域においては、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’が一括してエッチングされるとともに、ソースバスライン接続部7sgに重なる領域においてはソースバスライン接続部7sgがエッチストップとして機能することにより第1絶縁膜11’がエッチングされる。これにより、コンタクトホールCH_sg1およびCH_sg2が得られる。
コンタクトホールCH_sg1は、ゲート絶縁膜4’に形成された開口部4sg1と、第1絶縁膜11’に形成された開口部11sg1とを有する。ここで、ソース下部接続配線3sgの少なくとも一部は、ソースバスライン接続部7sgと重ならないように形成されているので、ゲート絶縁膜4’および第1絶縁膜11’にコンタクトホールCH_sg1が形成される。コンタクトホールCH_sg1の側面において、開口部4sg1の側面と開口部11sg1の側面とが整合していてもよい。本明細書において、コンタクトホール内において、異なる2以上の層の「側面が整合する」とは、これらの層におけるコンタクトホール内に露出した側面が、垂直方向に面一である場合のみでなく、連続してテーパー形状などの傾斜面を構成する場合をも含む。このような構成は、例えば、同一のマスクを用いてこれらの層をエッチングする、あるいは、一方の層をマスクとして他方の層のエッチングを行うこと等によって得られる。
第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’は、例えば、同一のエッチャントを用いて一括してエッチングされる。ここでは、フッ素系ガスを用いたドライエッチングによって第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’をエッチングする。第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’は、異なるエッチャントを用いてエッチングされてもよい。
第1トランスファー端子部形成領域においては、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’が一括してエッチングされることによって、ゲート絶縁膜4’に開口部4p1が形成され、第1絶縁膜11’に開口部11p1が形成される。開口部4p1の側面と開口部11p1の側面とは整合していてもよい。
この工程では、ソース端子部形成領域、ゲート端子部形成領域、CS端子部形成領域および第2トランスファー端子部形成領域においてはゲート絶縁膜4’および第1絶縁膜11’に開口部を形成しない。
次に、図10(b)および図11(b)に示すように、第1絶縁膜11’上、開口部11a内、コンタクトホールCH_sg1内、コンタクトホールCH_sg2内、およびコンタクトホールCH_p1内に、例えばスパッタ法により下部導電膜13’を形成する。下部導電膜13’は、例えば透明導電膜を含む。透明導電膜として、例えばITO(インジウム・錫酸化物)膜、IZO膜、ZnO膜(酸化亜鉛膜)などを用いることができる。ここでは、下部導電膜13’として、例えば厚さ70nmのITO膜を形成する。
次いで、下部導電膜13’をパターニングすることにより、図10(c)および図11(c)に示すように、下部導電層13を形成する。具体的には、アンテナ単位形成領域において、開口部11a内でドレイン電極7Dから延設された部分に接触する接続部13aを形成する。第1トランスファー端子部形成領域において、コンタクトホールCH_p1内で下部接続部3p1に接触する第1導電部13p1を形成する。ソース−ゲート接続部形成領域において、コンタクトホールCH_sg1内でソース下部接続配線3sgと接触し、コンタクトホールCH_sg2内でソースバスライン接続部7sgと接触するソースバスライン上部接続部13sgを形成する。
次に、図10(d)および図11(d)に示すように、下部導電層13上および第1絶縁膜11’上に、パッチ用導電膜15’を形成する。パッチ用導電膜15’の材料として、ゲート用導電膜3’またはソース用導電膜7’と同様の材料が用いられ得る。ここでは、パッチ用導電膜15’として、Ti膜(厚さ:例えば20nm)およびCu膜(厚さ:例えば500nm)をこの順で含む積層膜(Cu/Ti)を形成する。あるいは、パッチ用導電膜15’として、MoN膜(厚さ:例えば50nm)、Al膜(厚さ:例えば1000nm)およびMoN膜(厚さ:例えば50nm)をこの順で含む積層膜(MoN/Al/MoN)を形成してもよい。
パッチ用導電膜は、ゲート用導電膜およびソース用導電膜よりも厚くなるように設定されることが好ましい。これにより、パッチ電極のシート抵抗を低減させることで、パッチ電極内の自由電子の振動が熱に変わるロスを低減させることが可能になる。パッチ用導電膜の好適な厚さは、例えば、0.3μm以上である。これよりも薄いと、シート抵抗が0.10Ω/sq以上となり、ロスが大きくなるという問題が生じる可能性がある。パッチ用導電膜の厚さは、例えば3μm以下、より好ましくは2μm以下である。これよりも厚いとプロセス中の熱応力により基板の反りが生じる場合がある。反りが大きいと、量産プロセスにおいて、搬送トラブル、基板の欠け、または基板の割れなどの問題が発生することがある。
次いで、パッチ用導電膜15’をパターニングすることにより、図12(a)および図13(a)に示すように、パッチメタル層15lを形成する。具体的には、アンテナ単位形成領域にパッチ電極15、接続部15aおよび凸部15hを形成し、第1トランスファー端子部形成領域において第2導電部15p1を形成し、第2トランスファー端子部形成領域に下部接続部15p2を形成する。
アンテナ単位形成領域において、接続部15aは、接続部13aと接続されるように形成される。ここでは、接続部15aは、接続部13aと接触するように形成される。また、第1トランスファー端子部形成領域において、第2導電部15p1は、第1導電部13p1と接続されるように形成される。ここでは、第2導電部15p1は、第1導電部13p1と接触するように形成される。
パッチ用導電膜15’として、MoN、AlおよびMoNをこの順で積層した積層膜(MoN/Al/MoN)を形成した場合は、パッチ用導電膜15’のパターニングは、例えば、エッチング液としてリン酸、硝酸および酢酸を含む水溶液を用いて、ウェットエッチングでMoN膜およびAl膜を同時にパターニングする。パッチ用導電膜15’として、TiおよびCuをこの順で積層した積層膜(Cu/Ti)を形成した場合は、パッチ用導電膜15’は、例えば、エッチング液として混酸水溶液を用いてウェットエッチングでパターニングすることができる。
パッチ用導電膜15’のパターニング工程において、ソース−ゲート接続部形成領域のパッチ用導電膜15’は除去される。コンタクトホールCH_sg1内およびコンタクトホールCH_sg2内にはソースバスライン上部接続部13sgが形成されているので、パッチ用導電膜15’のパターニング工程において、エッチングによるソース下部接続配線3sgおよび/またはソースバスライン接続部7sgへのダメージが軽減される。
ここでは、ソース下部接続配線3sgの内、コンタクトホールCH_sg1によって露出されている部分は、ソースバスライン上部接続部13sgで覆われており、ソースバスライン接続部7sgの内、コンタクトホールCH_sg2によって露出されている部分は、ソースバスライン上部接続部13sgで覆われている。これにより、ソースバスライン接続部7sgおよび/またはソース下部接続配線3sgへのエッチングダメージは、効果的に軽減される。
次いで、図12(b)および図13(b)に示すように、パッチメタル層15l上、下部導電層13上および第1絶縁層11上に第2絶縁膜17’を形成する。第2絶縁膜17’は、下部導電層13およびパッチメタル層15lを覆うように形成される。第2絶縁膜17’は、例えばCVD法によって形成される。第2絶縁膜17’としては、酸化珪素(SiOx)膜、窒化珪素(SixNy)膜、酸化窒化珪素(SiOxNy;x>y)膜、窒化酸化珪素(SiNxOy;x>y)膜等を適宜用いることができる。ここでは、第2絶縁膜17’として、例えば厚さ100nmの窒化珪素(SixNy)膜を形成する。
次いで、公知のフォトリソグラフィプロセスによって、ゲート絶縁膜4’、第1絶縁膜11’および第2絶縁膜17’のエッチングを行うことにより、図12(c)および図13(c)に示すように、ゲート絶縁層4、第1絶縁層11および第2絶縁層17を形成する。具体的には、ソース端子部形成領域においては、第2絶縁膜17’、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’に、下部接続部3sに達するコンタクトホールCH_sを形成する。ゲート端子部形成領域においては、第2絶縁膜17’、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’に、下部接続部3gに達するコンタクトホールCH_gを形成する。CS端子部形成領域においては、第2絶縁膜17’、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’に、下部接続部3cに達するコンタクトホールCH_cを形成する。第1トランスファー端子部形成領域においては、第2絶縁膜17’に、導電部15p1に達する開口部17p1を形成する。第2トランスファー端子部形成領域においては、第2絶縁膜17’に、下部接続部15p2に達する開口部17p2を形成する。
第2絶縁膜17’、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’は、例えば、同一のエッチャントを用いて一括してエッチングされる。ここでは、フッ素系ガスを用いたドライエッチングによって第2絶縁膜17’、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’をエッチングする。第2絶縁膜17’、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’は、異なるエッチャントを用いてエッチングされてもよい。
このエッチング工程では、パッチメタル層15lをエッチストップとして第2絶縁膜17’、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’のエッチングが行われる。ソース端子部形成領域、ゲート端子部形成領域およびCS端子部形成領域のそれぞれにおいては、ソースメタル層7およびパッチメタル層15lに含まれる導電部が形成されていないので、第2絶縁膜17’、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’が一括してエッチングされる。
ソース端子部形成領域においては、第2絶縁膜17’、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’が一括してエッチングされることによってコンタクトホールCH_sが形成される。コンタクトホールCH_sは、ゲート絶縁層4に形成され、下部接続部3sに達する開口部4sと、第1絶縁層11に形成され、開口部4sに重なる開口部11sと、第2絶縁層17に形成され、開口部11sに重なる開口部17sとを有する。コンタクトホールCH_sの側面において、開口部4sの側面と開口部11sの側面と開口部17sの側面とが整合していてもよい。
ゲート端子部形成領域においては、第2絶縁膜17’、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’が一括してエッチングされることによってコンタクトホールCH_gが形成される。コンタクトホールCH_gは、ゲート絶縁層4に形成され、下部接続部3gに達する開口部4gと、第1絶縁層11に形成され、開口部4gに重なる開口部11gと、第2絶縁層17に形成され、開口部11gに重なる開口部17gとを有する。コンタクトホールCH_gの側面において、開口部4gの側面と開口部11gの側面と開口部17gの側面とが整合していてもよい。
CS端子部形成領域においては、第2絶縁膜17’、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’が一括してエッチングされることによってコンタクトホールCH_cが形成される。コンタクトホールCH_cは、ゲート絶縁層4に形成され、下部接続部3cに達する開口部4cと、第1絶縁層11に形成され、開口部4cに重なる開口部11cと、第2絶縁層17に形成され、開口部11cに重なる開口部17cとを有する。コンタクトホールCH_cの側面において、開口部4cの側面と開口部11cの側面と開口部17cの側面とが整合していてもよい。
次いで、図12(d)および図13(d)に示すように、第2絶縁層17上、コンタクトホールCH_s内、コンタクトホールCH_g内、コンタクトホールCH_c内、開口部17p1内、および開口部17p2内に、例えばスパッタ法により上部導電膜19’を形成する。上部導電膜19’は、例えば透明導電膜を含む。透明導電膜として、例えばITO(インジウム・錫酸化物)膜、IZO膜、ZnO膜(酸化亜鉛膜)などを用いることができる。ここでは、上部導電膜19’として、例えば厚さ70nmのITO膜を用いる。あるいは、上部導電膜19’として、Ti(厚さ:例えば50nm)およびITO(厚さ:例えば70nm)をこの順で積層した積層膜(ITO/Ti)を用いてもよい。Ti膜に代えて、MoNbNi膜、MoNb膜、MoW膜、W膜およびTa膜からなる群から選択される1つの膜または2以上の膜の積層膜を用いてもよい。すなわち、上部導電膜19’として、Ti膜、MoNbNi膜、MoNb膜、MoW膜、W膜およびTa膜からなる群から選択される1つの膜または2以上の膜の積層膜と、ITO膜とをこの順で積層した積層膜を用いてもよい。
次いで、上部導電膜19’をパターニングすることにより、図14(a)および図15(a)に示すように、上部導電層19を形成する。具体的には、ソース端子部形成領域においてコンタクトホールCH_s内で下部接続部3sと接触する上部接続部19sと、ゲート端子部形成領域においてコンタクトホールCH_g内で下部接続部3gと接触する上部接続部19gと、CS端子部形成領域においてコンタクトホールCH_c内で下部接続部3cと接触する上部接続部19cと、第1トランスファー端子部形成領域において開口部17p1内で導電部15p1と接続される上部接続部19p1と、第2トランスファー端子部形成領域において開口部17p2内で下部接続部15p2と接続される上部接続部19p2とを形成する。
次に、図14(b)および図15(b)に示すように、誘電体基板1のほぼ全面に平坦化膜21’を形成する。ここでは、平坦化膜21’として、例えば厚さ480nmのアクリル樹脂膜を形成する。一般に平坦化膜21’の厚さは下地の段差を反映するが、ここでは、最も広い領域でとる厚さの値を、平坦化膜21’の厚さとする。この例では、ゲート絶縁層4、第1絶縁層11および第2絶縁層17を有し、導電層を有しない積層構造を有する領域における、平坦化膜21’の厚さdf(図14(b)参照)を示す。すなわち、この例では、平坦化膜21’の厚さdfは、上記の領域における、第2絶縁層17の上面から平坦化膜21’の上面までの、誘電体基板1の法線方向における距離である。以下、特に断らない限り同じである。平坦化膜21’から形成される平坦化層21の厚さについても同様とする。ここでは、平坦化膜21’の上面がパッチ電極15の上面よりも低くなるように、平坦化膜21’が形成される。従って、平坦化膜21’は少なくともパッチ電極15と重ならないように形成される。
続いて、図14(c)および図15(c)に示すように、平坦化膜21’のパターニングを行うことにより、平坦化層21を形成する。ここでは、感光性(例えばポジ型)のアクリル樹脂を用いて平坦化膜21’を形成しているので、平坦化膜21’の上にレジスト層を形成することなく、平坦化膜21’を露光および現像し、パターニングすることができる。ここでは、各端子部形成領域(ソース端子部形成領域、ゲート端子部形成領域、CS端子部形成領域、第1トランスファー端子部形成領域、および第2トランスファー端子部形成領域)には平坦化層21が形成されない。図示する例に限られず、各端子部の上部接続部19s、19g、19c、19p1および19p2が平坦化層21から露出されていればよい。
平坦化膜21’を形成した後または平坦化膜21’をパターニングした後に、平坦化膜21’にアッシング処理を施してもよい。これにより、平坦化膜21’を形成したときにパッチ電極15上に付着した樹脂を除去することができる。
以上により、アンテナ単位領域U、ソース−ゲート接続部SG、ソース端子部ST、ゲート端子部GT、CS端子部CT、第1トランスファー端子部PT1、および第2トランスファー端子部PT2が得られる。
このようにして、TFT基板101Aが製造される。
<スロット基板201の製造方法>
スロット基板201は、例えば以下の方法で製造され得る。
まず、誘電体基板上に第3絶縁層(厚さ:例えば200nm)52を形成する。誘電体基板としては、ガラス基板、樹脂基板などの、電磁波に対する透過率の高い(誘電率εMおよび誘電損失tanδMが小さい)基板を用いることができる。誘電体基板は電磁波の減衰を抑制するために薄い方が好ましい。例えば、ガラス基板の表面に後述するプロセスでスロット電極55などの構成要素を形成した後、ガラス基板を裏面側から薄板化してもよい。これにより、ガラス基板の厚さを例えば500μm以下に低減できる。
誘電体基板として樹脂基板を用いる場合、TFT等の構成要素を直接、樹脂基板上に形成してもよいし、転写法を用いて樹脂基板上に形成してもよい。転写法によると、例えば、ガラス基板上に樹脂膜(例えばポリイミド膜)を形成し、樹脂膜上に後述するプロセスで構成要素を形成した後、構成要素が形成された樹脂膜とガラス基板とを分離させる。一般に、ガラスよりも樹脂の方が誘電率εMおよび誘電損失tanδMが小さい。樹脂基板の厚さは、例えば、3μm〜300μmである。樹脂材料としては、ポリイミドの他、例えば、液晶高分子を用いることもできる。
第3絶縁層52としては、特に限定しないが、例えば酸化珪素(SiOx)膜、窒化珪素(SiNx)膜、酸化窒化珪素(SiOxNy;x>y)膜、窒化酸化珪素(SiNxOy;x>y)膜等を適宜用いることができる。
次いで、第3絶縁層52の上に金属膜を形成し、これをパターニングすることによって、複数のスロット57を有するスロット電極55を得る。金属膜としては、厚さが2μm〜5μmのCu膜(またはAl膜)を用いてもよい。ここでは、Ti(厚さ:例えば20nm)およびCu(厚さ:例えば3000nm)をこの順で積層した積層膜を用いる。なお、代わりに、Ti膜、Cu膜およびTi膜をこの順で積層した積層膜を形成してもよい。
この後、スロット電極55上およびスロット57内に第4絶縁層(厚さ:例えば100nmまたは200nm)58を形成する。第4絶縁層58の材料は、第3絶縁層の材料と同じであってもよい。この後、非送受信領域R2において、第4絶縁層58に、スロット電極55に達する開口部を形成する。
次いで、第4絶縁層58上および第4絶縁層58の開口部内に透明導電膜を形成し、これをパターニングすることにより、開口部内でスロット電極55と接する上部接続部60を形成する。これにより、端子部ITを得る。
この後、第4絶縁層58上および上部接続部60上に感光性樹脂膜を形成し、所定のパターンの開口部を有するフォトマスクを介して、感光性樹脂膜を露光、現像することによって、柱状スペーサPSを形成する。感光性樹脂は、ネガ型でもポジ型でもよい。ここでは、アクリル樹脂膜(厚さ:例えば2.7μm)を用いる。
このようにして、スロット基板201が製造される。
なお、TFT基板が柱状スペーサPSを有する場合には、上記の方法でTFT基板101Aを製造した後、第2絶縁層17上および平坦化層21上に感光性樹脂膜を形成し、露光、現像することによって、柱状スペーサPSを形成すればよい。
<TFT10の材料および構造>
本実施形態では、各画素に配置されるスイッチング素子として、半導体層5を活性層とするTFTが用いられる。半導体層5はアモルファスシリコン層に限定されず、ポリシリコン層、酸化物半導体層であってもよい。
酸化物半導体層を用いる場合、酸化物半導体層に含まれる酸化物半導体は、アモルファス酸化物半導体であってもよいし、結晶質部分を有する結晶質酸化物半導体であってもよい。結晶質酸化物半導体としては、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質酸化物半導体などが挙げられる。
酸化物半導体層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。酸化物半導体層が積層構造を有する場合には、酸化物半導体層は、非晶質酸化物半導体層と結晶質酸化物半導体層とを含んでいてもよい。あるいは、結晶構造の異なる複数の結晶質酸化物半導体層を含んでいてもよい。また、複数の非晶質酸化物半導体層を含んでいてもよい。酸化物半導体層が上層と下層とを含む2層構造を有する場合、上層に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップは、下層に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップよりも大きいことが好ましい。ただし、これらの層のエネルギーギャップの差が比較的小さい場合には、下層の酸化物半導体のエネルギーギャップが上層の酸化物半導体のエネルギーギャップよりも大きくてもよい。
非晶質酸化物半導体および上記の各結晶質酸化物半導体の材料、構造、成膜方法、積層構造を有する酸化物半導体層の構成などは、例えば特開2014−007399号公報に記載されている。参考のために、特開2014−007399号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
酸化物半導体層は、例えば、In、GaおよびZnのうち少なくとも1種の金属元素を含んでもよい。本実施形態では、酸化物半導体層は、例えば、In−Ga−Zn−O系の半導体(例えば酸化インジウムガリウム亜鉛)を含む。ここで、In−Ga−Zn−O系の半導体は、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)の三元系酸化物であって、In、GaおよびZnの割合(組成比)は特に限定されず、例えばIn:Ga:Zn=2:2:1、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:1:2等を含む。このような酸化物半導体層は、In−Ga−Zn−O系の半導体を含む酸化物半導体膜から形成され得る。
In−Ga−Zn−O系の半導体は、アモルファスでもよいし、結晶質でもよい。結晶質In−Ga−Zn−O系の半導体としては、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質In−Ga−Zn−O系の半導体が好ましい。
なお、結晶質In−Ga−Zn−O系の半導体の結晶構造は、例えば、上述した特開2014−007399号公報、特開2012−134475号公報、特開2014−209727号公報などに開示されている。参考のために、特開2012−134475号公報および特開2014−209727号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。In−Ga−Zn−O系半導体層を有するTFTは、高い移動度(a−SiTFTに比べ20倍超)および低いリーク電流(a−SiTFTに比べ100分の1未満)を有しているので、駆動TFT(例えば、非送受信領域に設けられる駆動回路に含まれるTFT)および各アンテナ単位領域に設けられるTFTとして好適に用いられる。
酸化物半導体層は、In−Ga−Zn−O系半導体の代わりに、他の酸化物半導体を含んでいてもよい。例えばIn−Sn−Zn−O系半導体(例えばIn2O3−SnO2−ZnO;InSnZnO)を含んでもよい。In−Sn−Zn−O系半導体は、In(インジウム)、Sn(スズ)およびZn(亜鉛)の三元系酸化物である。あるいは、酸化物半導体層は、In−Al−Zn−O系半導体、In−Al−Sn−Zn−O系半導体、Zn−O系半導体、In−Zn−O系半導体、Zn−Ti−O系半導体、Cd−Ge−O系半導体、Cd−Pb−O系半導体、CdO(酸化カドミウム)、Mg−Zn−O系半導体、In−Ga−Sn−O系半導体、In−Ga−O系半導体、Zr−In−Zn−O系半導体、Hf−In−Zn−O系半導体、Al−Ga−Zn−O系半導体、Ga−Zn−O系半導体などを含んでいてもよい。
図3に示す例では、TFT10は、ボトムゲート構造を有するチャネルエッチ型のTFTである。「チャネルエッチ型のTFT」では、チャネル領域上にエッチストップ層が形成されておらず、ソースおよびドレイン電極のチャネル側の端部下面は、半導体層の上面と接するように配置されている。チャネルエッチ型のTFTは、例えば半導体層上にソース・ドレイン電極用の導電膜を形成し、ソース・ドレイン分離を行うことによって形成される。ソース・ドレイン分離工程において、チャネル領域の表面部分がエッチングされる場合がある。
なお、TFT10は、チャネル領域上にエッチストップ層が形成されたエッチストップ型TFTであってもよい。エッチストップ型TFTでは、ソースおよびドレイン電極のチャネル側の端部下面は、例えばエッチストップ層上に位置する。エッチストップ型のTFTは、例えば半導体層のうちチャネル領域となる部分を覆うエッチストップ層を形成した後、半導体層およびエッチストップ層上にソース・ドレイン電極用の導電膜を形成し、ソース・ドレイン分離を行うことによって形成される。
また、TFT10は、ソースおよびドレイン電極が半導体層の上面と接するトップコンタクト構造を有するが、ソースおよびドレイン電極は半導体層の下面と接するように配置されていてもよい(ボトムコンタクト構造)。さらに、TFT10は、半導体層の誘電体基板側にゲート電極を有するボトムゲート構造であってもよいし、半導体層の上方にゲート電極を有するトップゲート構造であってもよい。
(変形例)
図16を参照しながら、本実施形態の変形例の走査アンテナ1000Aaおよび走査アンテナ1000Aaが備えるTFT基板101Aaを説明する。走査アンテナ1000AおよびTFT基板101Aと共通する構成には共通の参照符号を付し、説明を省略する場合がある。
図16(a)は、走査アンテナ1000Aaの送受信領域R1のアンテナ単位領域Uの模式的な平面図であり、図16(b)は、図16(a)中のA−A’線に沿ったTFT基板101Aaの模式的な断面図である。なお、TFT基板101Aaのアンテナ単位領域の他の断面(すなわちH−H’断面)については、TFT基板101Aと同じであるので、図示および説明を省略する。また、TFT基板101Aaの非送受信領域R2については、TFT基板101Aと同じであるので、図示および説明を省略する。
図16に示すように、走査アンテナ1000Aaが備えるTFT基板101Aaは、平坦化層21の形状において、走査アンテナ1000Aが備えるTFT基板101Aと異なる。TFT基板101Aaの平坦化層21は、誘電体基板1の法線方向から見たとき、パッチ電極15およびスロット57のいずれとも重ならないように形成されている。TFT基板101Aaの平坦化層21は、各アンテナ単位領域に開口部21Aaを有する。開口部21Aaは、誘電体基板の法線方向から見たとき、パッチ電極15およびスロット57と重なる。
TFT基板101Aaを備える走査アンテナ1000Aaは、走査アンテナ1000Aに比べて、アンテナ性能の低下がさらに抑制される。
TFT基板101Aaは、TFT基板101Aの製造方法から、平坦化膜21’のパターニング形状を適宜変更することによって製造される。
(第2の実施形態)
先の実施形態においては、平坦化層の上面はパッチ電極の上面よりも低いまたは同じ高さである。本実施形態においては、平坦化層の上面がパッチ電極の上面よりも高い。
図17〜図20を参照しながら、本実施形態の走査アンテナ1000Bおよび走査アンテナ1000Bが備えるTFT基板101Bを説明する。先の実施形態と共通する構成には共通の参照符号を付し、説明を省略することがある。
<TFT基板101Bの構造(アンテナ単位領域U)>
図17(a)、(b)および図18を参照しながら、本実施形態の走査アンテナ1000Aの送受信領域R1のアンテナ単位領域Uの構造を説明する。
図17(a)は、走査アンテナ1000Bの送受信領域R1のアンテナ単位領域Uの模式的な平面図である。図17(b)は、走査アンテナ1000Bが備えるTFT基板101Bの模式的な断面図であり、図17(a)中のA−A’線に沿ったTFT基板101Bの模式的な断面図である。図18は、走査アンテナ1000Bが備える液晶パネル100Bの模式的な断面図であり、図17(a)中のH−H’線に沿った断面を示している。
図3(a)、図4(a)および図5(d)に示したように、TFT基板101Aの平坦化層21の上面はパッチ電極15の上面よりも低い。これに対して、図17(a)、(b)および図18に示すように、TFT基板101Bの平坦化層21fの上面はパッチ電極15の上面よりも高い。平坦化層21fは、各アンテナ単位領域Uにおいて、誘電体基板1の法線方向から見たとき、パッチ電極15と重なる開口部21Bを有する。開口部21Bは、誘電体基板1の法線方向から見たとき、パッチ電極15の少なくとも一部と重なっていればよい。これにより、TFT基板101Bを備える走査アンテナ1000Bにおいて、平坦化層21fを有することによるアンテナ性能の低下が抑制される。
アンテナ性能の観点からは、平坦化層21fは、誘電体基板1の法線方向から見たとき、パッチ電極15と重ならないように形成されていることが好ましく、パッチ電極15およびスロット57のいずれとも重ならないように形成されていることがさらに好ましい。ただし、平坦化層21fが有する開口部の形状が大きくなると、液晶層LCの体積を削減するという効果は小さくなる。
アンテナ性能の観点からは、平坦化層21fの上面の高さとパッチ電極15の上面の高さとの差は、例えば500nm以下であることが好ましい。平坦化層f21の上面の高さとパッチ電極15の上面の高さとの差は、例えば、パッチ電極15とスロット電極55との間の液晶層LCの厚さdl(図1参照)の23%以下であることが好ましい。
図17(a)および図18に示すように、TFT基板101Bの平坦化層21fは、アンテナ単位領域Uにおいて、誘電体基板1の法線方向から見たとき、柱状スペーサPSと重なる開口部21Bsをさらに有する。平坦化層21fは、誘電体基板1の法線方向から見たとき、柱状スペーサPSと重ならないように形成されている。これにより、パッチ電極15とスロット電極55との間の液晶層LCの厚さdl(図1参照)を高い精度で制御できるという利点が得られる。この例では、パッチ電極15とスロット電極55との間の液晶層LCの厚さdlは、柱状スペーサPSの高さのみによって規定されるからである。すなわち、平坦化層21fの厚さのばらつきの影響を受けない。柱状スペーサPSの高さは、柱状スペーサPSが規定する液晶層LCの厚さdp(図18参照)に相当し、走査アンテナ1000Aの柱状スペーサPSの高さ(図5(d)参照)と同じである。
なお、開口部21Bsは省略され得る(例えば図23および図24に示す変形例参照)。開口部21Bsを設けない場合は、パッチ電極15とスロット電極55との間の液晶層LCの厚さdlの制御の精度の観点で劣ることがある。開口部21Bsが省略された場合、パッチ電極15とスロット電極55との間の液晶層LCの厚さdlは、柱状スペーサの高さと平坦化層21fの厚さとによって決められるからである。ただし、開口部21Bsを省略することによって、液晶層LCの体積の削減および柱状スペーサPSの材料の削減という利点がさらに大きくなる。
<TFT基板101Bの構造(非送受信領域R2)>
図19および図20を参照して、TFT基板101Bの非送受信領域R2の構造を説明する。図19(a)〜(d)および図20は、TFT基板101Bの非送受信領域R2の模式的な断面図である。TFT基板101Bの非送受信領域R2の平面図は、図3(b)および(c)に示したTFT基板101Aの平面図と同じであるので、図3(b)および(c)を参照して説明する。
図19(a)は、図3(b)中のB−B’線に沿った第1トランスファー端子部PT1の断面を示しており、図19(b)は、図3(c)中のC−C’線に沿ったソース−ゲート接続部SGの断面を示しており、図19(c)は、図3(b)中のF−F’線に沿った第1トランスファー端子部PT1の断面を示しており、図19(d)は、図3(c)中のG−G’線に沿ったソース−ゲート接続部SGの断面を示しており、図20は、図3(c)中のI−I’線に沿ったソース−ゲート接続部SGおよびソース端子部STの断面を示している。なお、TFT基板101Bの他の断面については、TFT基板101Aと同じであるので、図示および説明を省略する。
図19(a)〜(d)および図20に示すように、TFT基板101Bの非送受信領域R2の構造は、平坦化層21fの厚さ(または上面の高さ)においてTFT基板101Aと異なる。すなわち、平坦化層21fの厚さはTFT基板101Aの平坦化層21の厚さよりも大きい。平坦化層21fの上面はTFT基板101Aの平坦化層21の上面よりも高い。
<TFT基板101Bの製造方法>
図21および図22を参照して、TFT基板101Bの製造方法を説明する。
図21(a)、(b)および図22(a)、(b)は、TFT基板101Bの製造方法を説明するための模式的な断面図である。これらの図のそれぞれは、図4(a)、図4(b)、図4(e)、図4(c)、図4(d)、図5(b)、および図5(d)に対応する断面(TFT基板101AのA−A’断面、B−B’断面、E−E’断面、C−C’断面、D−D’断面、G−G’断面、およびH−H’断面)を示している。以下では、図8〜図15を参照して説明したTFT基板101Aの製造方法と異なる点を主に説明する。
まず、図8(a)〜(g)、図9(a)〜(g)、図10(a)〜(d)、図11(a)〜(d)、図12(a)〜(d)、図13(a)〜(d)、図14(a)および図15(a)に示したように、誘電体基板1上に、ゲートメタル層3、ゲート絶縁層4、島状の半導体層5、コンタクト層6S、6D、ソースメタル層7、第1絶縁層11、下部導電層13、パッチメタル層15l、第2絶縁層17、および上部導電層19を形成する。
続いて、図21(a)および図22(a)に示すように、誘電体基板1のほぼ全面に平坦化膜21f’を形成する。ここでは、平坦化膜21f’として、例えば厚さdf(図21(a)参照)が1000nmのアクリル樹脂膜を形成する。ここでは、平坦化膜21f’の上面がパッチ電極15の上面よりも高くなるように、平坦化膜21f’が形成される。平坦化膜21f’は、第2絶縁層17および上部導電層19を覆うように形成される。
続いて、図21(b)および図22(b)に示すように、平坦化膜21f’のパターニングを行うことにより、平坦化層21fを形成する。ここでは、各端子部形成領域(ソース端子部形成領域、ゲート端子部形成領域、CS端子部形成領域、第1トランスファー端子部形成領域、および第2トランスファー端子部形成領域)には平坦化層21fが形成されない。また、アンテナ単位形成領域において、パッチ電極15と重なる開口部21Bと、凸部15hと重なる開口部21Bsとが形成される。開口部21Bが形成されることにより、パッチ電極15の少なくとも一部と重ならない平坦化層21fが形成される。
以上により、アンテナ単位領域U、ソース−ゲート接続部SG、ソース端子部ST、ゲート端子部GT、CS端子部CT、第1トランスファー端子部PT1、および第2トランスファー端子部PT2が得られる。
このようにして、TFT基板101Bが製造される。
(変形例)
図23および図24を参照しながら、本実施形態の変形例の走査アンテナ1000Baおよび走査アンテナ1000Baが備えるTFT基板101Baおよびスロット基板201aを説明する。走査アンテナ1000B、TFT基板101Bおよびスロット基板201と共通する構成には共通の参照符号を付し、説明を省略する場合がある。
図23(a)は、走査アンテナ1000Baの送受信領域R1のアンテナ単位領域Uの模式的な平面図である。図23(b)は、走査アンテナ1000Baが備えるTFT基板101Baの模式的な断面図であり、図23(a)中のA−A’線に沿ったTFT基板101Baの模式的な断面図である。図24は、走査アンテナ1000Baが備える液晶パネル100Baの模式的な断面図であり、図23(a)中のH−H’線に沿った断面を示している。なお、TFT基板101Baの非送受信領域R2については、TFT基板101Bと同じであるので、図示および説明を省略する。
図23および図24に示すように、走査アンテナ1000Baが備えるTFT基板101Baは、平坦化層21fのパターニング形状において、走査アンテナ1000Bが備えるTFT基板101Bと異なる。
図23(a)および図23(b)に示すように、TFT基板101Baの平坦化層21fは、誘電体基板1の法線方向から見たとき、パッチ電極15と重ならないように形成されている。TFT基板101Baの平坦化層21fは、各アンテナ単位領域Uにおいて、誘電体基板1の法線方向から見たとき、パッチ電極15の全てと重なる開口部21Baを有する。TFT基板101Baを備える走査アンテナ1000Baは、走査アンテナ1000Bに比べて、アンテナ性能の低下がさらに抑制される。
また、図23(a)および図24に示すように、TFT基板101Baの平坦化層21fは、アンテナ単位領域Uにおいて、柱状スペーサPSと重なる開口部を有しない。すなわち、平坦化層21fは、誘電体基板1の法線方向から見たとき、柱状スペーサPSと重なるように形成されている。これにより、柱状スペーサPSが規定する液晶層LCの厚さdp(図24参照)は、TFT基板101B(図18参照)よりも小さい。従って、TFT基板101Baを備える走査アンテナ1000Baは、走査アンテナ1000Bに比べて、液晶層LCの体積の削減および柱状スペーサPSの材料の削減という効果が大きい。また、TFT基板101Baは凸部15hを有しない点においてもTFT基板101Bと異なるが、走査アンテナ1000Baにおいては、凸部15hを省略しても、液晶層LCの体積の削減および柱状スペーサPSの材料の削減という利点が得られる。
TFT基板101Baは、TFT基板101Bの製造方法から、パッチ用導電膜15l’および平坦化膜21f’のパターニング形状を適宜変更することによって製造される。
スロット基板201aは、スロット基板201の製造方法から、柱状スペーサを形成するための感光性樹脂膜の厚さを適宜調整することによって製造される。
(第3の実施形態)
本実施形態は、平坦化層の開口部の側面のテーパー角が小さいことに特徴を有する。
図25〜図27を参照しながら、本実施形態の走査アンテナ1000Cおよび走査アンテナ1000Cが備えるTFT基板101Cを説明する。先の実施形態と共通する構成には共通の参照符号を付し、説明を省略することがある。
<TFT基板101Cの構造(アンテナ単位領域U)>
図25(a)、(b)および図26を参照しながら、本実施形態の走査アンテナ1000Aの送受信領域R1のアンテナ単位領域Uの構造を説明する。
図25(a)は、走査アンテナ1000Cの送受信領域R1のアンテナ単位領域Uの模式的な平面図である。図25(b)は、走査アンテナ1000Cが備えるTFT基板101Cの模式的な断面図であり、図25(a)中のA−A’線に沿ったTFT基板101Cの模式的な断面図である。図26は、走査アンテナ1000Cが備える液晶パネル100Cの模式的な断面図であり、図25(a)中のH−H’線に沿った断面を示している。
図25(a)、(b)および図26に示すように、平坦化層21fは、各アンテナ単位領域Uにおいて、誘電体基板1の法線方向から見たとき、パッチ電極15およびスロット57のいずれとも重ならない開口部21Cを有する。平坦化層21fは、誘電体基板1の法線方向から見たとき、パッチ電極15およびスロット57のいずれとも重ならないように形成されている。開口部21Cは、側面のテーパー角が小さい点および平面形状において、TFT基板101Bの平坦化層21fが有する開口部21Bと異なる。開口部21Cの側面のテーパー角は、例えば70°以下であることが好ましい。開口部21Cの平面形状は円形または楕円形であることが好ましい。TFT基板101Cを備える走査アンテナ1000Cは、開口部21Cを有する平坦化層21fを有することによって、TFT基板101Bを備える走査アンテナ1000Bに比べて、アンテナ性能の低下が効果的に抑制される。
走査アンテナ1000Cにおいて、アンテナ性能の低下が抑制される理由を説明する。
走査アンテナ1000Bにおいては、アンテナ性能の低下が十分に抑制されないことがある。アンテナ性能に特に影響を与えるのは、パッチ電極15およびスロット57近傍での液晶分子の配向状態である。液晶分子の配向は、例えば、TFT基板の液晶層側の表面形状(例えば段差)の影響を受ける。平坦化層21fの厚さが大きいほど(すなわち平坦化層21fの上面が高いほど)、開口部を設けることによって形成される、TFT基板の液晶層LC側の表面の段差は大きい。走査アンテナ1000Bが有するTFT基板101Bの平坦化層21fは、パッチ電極15の少なくとも一部と重なる開口部21Bを有するので、パッチ電極15およびスロット57近傍での液晶分子の配向が開口部21Bによって形成される段差の影響を受けやすい。これにより、アンテナ性能が十分でない場合がある。
これに対して、走査アンテナ1000Cが有するTFT基板101Cの平坦化層21fの開口部21Cは、側面のテーパー角が例えば70°以下であり小さいので、液晶分子の配向に与える影響が小さい。従って、走査アンテナ1000Cにおいては、走査アンテナ1000Bに比べて、アンテナ性能の低下が抑制される。
また、走査アンテナ1000Cが有するTFT基板101Cの平坦化層21fの開口部21Cの平面形状が円形または楕円形であるので、開口部21Bの平面形状が矩形状である走査アンテナ1000Bに比べて、液晶分子の配向に与える影響が低減される。
なお、図25(a)の平面図における開口部21Cのエッジは、開口部21Cの側面の下端(誘電体基板1側)におけるエッジを示している。他の平面図および開口部についても特に断らない限り同様とする。「平坦化層21fが、誘電体基板1の法線方向から見たとき、パッチ電極15およびスロット57のいずれとも重ならないように形成されている」とは、誘電体基板1の法線方向から見たときの開口部21Cの最も内側のエッジが、パッチ電極15およびスロット57のいずれとも重ならないことをいう。例えば、開口部21Cの側面のテーパー角が90°未満である場合(すなわち開口部21Cが順テーパー側面を有する場合)、開口部21Cの側面の下端(誘電体基板1側)におけるエッジが、誘電体基板1の法線方向から見たときの開口部21Cの最も内側のエッジである。
図25(a)および図26に示すように、TFT基板101Cの平坦化層21fは、アンテナ単位領域Uにおいて、誘電体基板1の法線方向から見たとき、柱状スペーサPSと重なる開口部21Csをさらに有する。平坦化層21fは、誘電体基板1の法線方向から見たとき、柱状スペーサPSと重ならないように形成されている。柱状スペーサPSの高さは、柱状スペーサPSが規定する液晶層LCの厚さdp(図26参照)に相当し、走査アンテナ1000Aの柱状スペーサPSの高さ(図5(d)参照)と同じである。開口部21Csの側面のテーパー角も70°以下であってもよい。ただし、柱状スペーサPSがパッチ電極15から十分離れて配置される場合は、開口部21Csの側面のテーパー角が70°超であっても、アンテナ性能に与える影響は小さい。
<TFT基板101Cの構造(非送受信領域R2)>
図27を参照して、TFT基板101Cの非送受信領域R2の構造を説明する。図27(a)および(b)は、TFT基板101Cの非送受信領域R2の模式的な断面図である。TFT基板101Cの非送受信領域R2の平面図は、図3(b)および(c)に示したTFT基板101Aの平面図と同じであるので、図3(b)および(c)を参照して説明する。
図27(a)は、図3(b)中のB−B’線に沿った第1トランスファー端子部PT1の断面を示しており、図27(c)は、図3(b)中のF−F’線に沿った第1トランスファー端子部PT1の断面を示している。なお、TFT基板101Cの他の断面については、TFT基板101Bと同じであるので、図示および説明を省略する。
図27(a)および(b)に示すように、TFT基板101Cの非送受信領域R2の構造は、平坦化層21fの側面のテーパー角が小さい点においてTFT基板101Bと異なる。
TFT基板101Cは、TFT基板101Bの製造方法から、平坦化膜21f’のパターニング形状および側面のテーパー角を適宜変更することによって製造される。
(変形例)
図28を参照しながら、本実施形態の変形例の走査アンテナ1000Caおよび走査アンテナ1000Caが備えるTFT基板101Caおよびスロット基板201aを説明する。走査アンテナ1000CおよびTFT基板101Cと共通する構成には共通の参照符号を付し、説明を省略する場合がある。スロット基板201aは、走査アンテナ1000Baが有するスロット基板201aと同様の構造を有する。
図28(a)は、走査アンテナ1000Caの送受信領域R1のアンテナ単位領域Uの模式的な平面図である。図28(b)は、走査アンテナ1000Caが備える液晶パネル100Caの模式的な断面図であり、図28(a)中のH−H’線に沿った断面を示している。なお、TFT基板101Caのアンテナ単位領域の他の断面(すなわちA−A’断面)については、TFT基板101Cと同じであるので、図示および説明を省略する。また、TFT基板101Caの非送受信領域R2については、TFT基板101Cと同じであるので、図示および説明を省略する。
図28(a)および(b)に示すように、TFT基板101Caの平坦化層21fは、アンテナ単位領域Uにおいて、柱状スペーサPSと重なる開口部を有しない点において、TFT基板101Cと異なる。これにより、柱状スペーサPSが規定する液晶層LCの厚さdp(図28(b)参照)は、TFT基板101C(図26参照)よりも小さい。従って、TFT基板101Caを備える走査アンテナ1000Caは、走査アンテナ1000Cに比べて、液晶層LCの体積の削減および柱状スペーサPSの材料の削減という効果が大きい。また、TFT基板101Caは凸部15hを有しない点においてもTFT基板101Cと異なるが、走査アンテナ1000Caにおいては、凸部15hを省略しても、液晶層LCの体積の削減および柱状スペーサPSの材料の削減という利点が得られる。
TFT基板101Caは、TFT基板101Cの製造方法から、パッチ用導電膜15l’および平坦化膜21f’のパターニング形状を適宜変更することによって製造される。
(第4の実施形態)
本実施形態においては、TFTのゲート電極を含むゲートメタル層と、TFTのソース電極を含むソースメタル層との配置関係が先の実施形態と異なる。また、パッチ電極がゲートメタル層に含まれる点においても先の実施形態と異なる。本実施形態は、先の実施形態のいずれにも適用され得る。
図29〜図31を参照しながら、本実施形態の走査アンテナ1000Dおよび走査アンテナ1000Dが備えるTFT基板101Dを説明する。先の実施形態と共通する構成には共通の参照符号を付し、説明を省略することがある。
<TFT基板101Dの構造(アンテナ単位領域U)>
図29(a)、図30(a)および図31(d)を参照しながら、本実施形態の走査アンテナ1000Dの送受信領域R1のアンテナ単位領域Uの構造を説明する。
図29(a)は、走査アンテナ1000Dの送受信領域R1のアンテナ単位領域Uの模式的な平面図である。図30(a)は、走査アンテナ1000Dが備えるTFT基板101Dの模式的な断面図であり、図29(a)中のA−A’線に沿ったTFT基板101Dの模式的な断面図である。図31(d)は、走査アンテナ1000Dが備える液晶パネル100Dの模式的な断面図であり、図29(a)中のH−H’線に沿った断面を示している。
図29(a)、図30(a)および図31(d)に示すように、TFT基板101Dは、誘電体基板1と、誘電体基板1上に配列され、それぞれが、TFT10と、TFT10のドレイン電極7Dに電気的に接続されたパッチ電極15とを有する複数のアンテナ単位領域Uと、誘電体基板1上に、パッチ電極15を含む層(ここではゲートメタル層3)よりも上側に、樹脂で形成された平坦化層21fとを有する。
TFT基板101Dが平坦化層21fを有することによって、TFT基板101Dを有する走査アンテナ1000Dの液晶層LCの体積を削減することができる。液晶材料を削減することができるので、走査アンテナ1000Dのコストが低減される。
TFT基板101Dの平坦化層21fの上面はパッチ電極15の上面よりも高い。平坦化層21fは、各アンテナ単位領域Uにおいて、誘電体基板1の法線方向から見たとき、パッチ電極15およびスロット57と重なる開口部21Dを有する。ここでは、平坦化層21fは、誘電体基板1の法線方向から見たとき、パッチ電極15およびスロット57のいずれとも重ならないように形成されている。これにより、TFT基板101Dを備える走査アンテナ1000Dにおいて、平坦化層21fを有することによるアンテナ性能の低下が抑制される。
TFT基板101Dの平坦化層21fが有する開口部は、図示する例に限られず、先の実施形態に示したように、テーパー角が70°以下である側面を有してもよいし、平面形状が円形または楕円形であってもよい。TFT基板101Dが有する平坦化層の上面は、パッチ電極15の上面よりも低くてもよい。
TFT基板101Dのアンテナ単位領域Uの構造をより詳細に説明する。
図29(a)、図30(a)および図31(d)に示すように、TFT基板101Dは、誘電体基板1に支持された半導体層5と、半導体層5上に形成されたソースメタル層7と、ソースメタル層7上に形成されたゲートメタル層3と、半導体層5とゲートメタル層3との間に形成されたゲート絶縁層4と、ゲートメタル層3上に形成された第1絶縁層11と、第1絶縁層11上に形成された上部導電層19と、上部導電層19上に形成された平坦化層21fとを有する。
TFT基板101Dは、誘電体基板1と半導体層5との間に下地絶縁層20をさらに有する。下地絶縁層20は、例えば誘電体基板1の全面に形成されていてもよい。なお、下地絶縁層20は、省略され得る。
TFT基板101DのTFT10は、トップゲート構造を有する点において、先の実施形態(例えば図3のTFT基板101A)と異なる。TFT基板101DのTFT10において、ゲート電極3Gは、半導体層5上にゲート絶縁層4を介して配置されている。
ソースメタル層7は、TFT10のソース電極7Sおよびドレイン電極7Dと、ソースバスラインSLと、補助容量電極7Cと、ドレイン電極7Dに電気的に接続された接続部7a1とを含む。この例では、接続部7a1は、補助容量電極7Cから延設されている。
ゲート絶縁層4は、接続部7a1に達する開口部4a1を有する。
ゲートメタル層3は、TFT10のゲート電極3Gと、ゲートバスラインGLと、補助容量対向電極3Cと、CSバスラインCLと、パッチ電極15と、凸部3hとを含む。
第1絶縁層11は、誘電体基板1の法線方向から見たとき、ゲート絶縁層4に形成された開口部4a1に重なる開口部11a1と、パッチ電極15から延設された接続部3a2に達する開口部11a2とを有する。ゲート絶縁層4に形成された開口部4a1および第1絶縁層11に形成された開口部11a1は、コンタクトホールCH_a1を構成する。第1絶縁層11に形成された開口部11a2を、コンタクトホールCH_a2ということがある。
上部導電層19は、パッチドレイン接続部19aを含む。パッチドレイン接続部19aは、第1絶縁層11上、コンタクトホールCH_a1内およびコンタクトホールCH_a2内に形成され、コンタクトホールCH_a1内において接続部7a1と接続され、コンタクトホールCH_a2内において接続部3a2と接続されている。ここでは、パッチドレイン接続部19aは、ゲート絶縁層4に形成された開口部4a1内で接続部7a1と接触し、第1絶縁層11に形成された開口部11a2内で接続部3a2と接触している。
TFT基板101Dのパッチ電極15は、ゲートメタル層3に含まれている(すなわち、ゲート電極3Gと同じ導電膜から形成されている)。これにより、TFT基板101Dの製造コストが削減される。例えば、TFT基板101Dの製造工程数(例えばフォトマスク数)が低減される。
図29(a)および図31(d)に示すように、TFT基板101Dの平坦化層21fは、アンテナ単位領域Uにおいて、誘電体基板1の法線方向から見たとき、柱状スペーサPSと重なる開口部21Dsをさらに有する。柱状スペーサPSの高さは、柱状スペーサPSが規定する液晶層LCの厚さdp(図31(d)参照)に相当する。
TFT基板101Dは、誘電体基板1および51の法線方向から見たとき、複数のアンテナ単位領域Uのそれぞれにおいて、柱状スペーサPSと重なる凸部3hを有する。ここでは、凸部3hは、ゲートメタル層3に含まれる。すなわち、凸部3hは、パッチ電極15と同じ層から形成されている。
<TFT基板101Dの構造(非送受信領域R2)>
図29〜図31を参照して、TFT基板101Dの非送受信領域R2の構造を説明する。
図29(b)および(c)は、TFT基板101Dの非送受信領域R2の模式的な平面図であり、図30(b)〜(e)および図31(a)〜(c)は、TFT基板101Dの非送受信領域R2の模式的な断面図である。
図29(b)は、非送受信領域R2に設けられたゲート端子部GT、CS端子部CT、トランスファー端子部PT、ソース−ゲート接続部SG、第1ソース−CS接続部SC1、および第2ソース−CS接続部SC2を示しており、図29(c)は、非送受信領域R2に設けられたソース端子部STを示している。
図30(b)は、図29(b)中のB−B’線に沿ったソース−ゲート接続部SGの断面を示しており、図30(c)は、図29(b)中のC−C’線に沿ったゲート端子部GTの断面を示しており、図30(d)は、図29(c)中のD−D’線に沿ったソース端子部STの断面を示しており、図30(e)は、図29(b)中のE−E’線に沿った第2トランスファー端子部PT2の断面を示しており、図31(a)は、図23(b)中のF−F’線に沿った第1トランスファー端子部PT1の断面を示しており、図31(b)は、図29(b)中のG−G’線に沿ったソース−ゲート接続部SGの断面を示しており、図31(c)は、図29(b)中のI−I’線に沿ったソース−ゲート接続部SGの断面を示している。
・ソース−ゲート接続部SG
TFT基板101Dは、図29(b)に示すように、非送受信領域R2にソース−ゲート接続部SGを有する。ソース−ゲート接続部SGは、一般に、ゲートバスラインGL毎に設けられる。ソース−ゲート接続部SGは、各ゲートバスラインGLをソースメタル層7内に形成された接続配線(「ゲート下部接続配線」ということがある。)に電気的に接続する。ソース−ゲート接続部SGを設けることによって、ゲート端子部GTの下部接続部をソースメタル層7で形成することができる。ソースメタル層7で形成された下部接続部を有するゲート端子部GTは、信頼性に優れる。詳細は後述する。
図29(b)、図30(b)、図31(b)および図31(c)に示すように、ソース−ゲート接続部SGは、ゲートバスラインGLと、ゲート下部接続配線7sgG(単に「下部接続配線7sgG」ということもある。)とを、ゲート上部接続部19sg(単に「上部接続部19sg」ということもある。)を介して電気的に接続する。
具体的には、ソース−ゲート接続部SGは、ゲート下部接続配線7sgGと、ゲート絶縁層4に形成された開口部4sgAと、ゲートバスラインGLに接続されたゲートバスライン接続部3sgGと、第1絶縁層11に形成された開口部11sgAおよび開口部11sgBと、ゲート上部接続部19sgとを有している。ソース−ゲート接続部SG上を覆うように平坦化層21fが形成されている。
ゲート下部接続配線7sgGは、ソースメタル層7に含まれ、ソースバスラインSLとは電気的に分離されている。
ゲート絶縁層4に形成された開口部4sgAは、ゲート下部接続配線7sgGに達している。
ゲートバスライン接続部3sgGは、ゲートメタル層3に含まれ、ゲートバスラインGLに接続されている。この例では、ゲートバスライン接続部3sgGは、ゲートバスラインGLから延設され、ゲートバスラインGLと一体的に形成されている。ゲートバスライン接続部3sgGの幅は、ゲートバスラインGLの幅よりも大きくてもよい。
第1絶縁層11に形成された開口部11sgAは、誘電体基板1の法線方向から見たとき、ゲート絶縁層4に形成された開口部4sgAに重なっている。ゲート絶縁層4に形成された開口部4sgAおよび第1絶縁層11に形成された開口部11sgAは、コンタクトホールCH_sgAを構成する。
第1絶縁層11に形成された開口部11sgBは、ゲートバスライン接続部3sgGに達している。第1絶縁層11に形成された開口部11sgBを、コンタクトホールCH_sgBということがある。
ゲート上部接続部19sgは、導電層19に含まれる。ゲート上部接続部19sgは、第1絶縁層11上、コンタクトホールCH_sgA内およびコンタクトホールCH_sgB内に形成され、コンタクトホールCH_sgA内でゲート下部接続配線7sgGと接続され、コンタクトホールCH_sgB内でゲートバスライン接続部3sgGと接続されている。すなわち、ゲート上部接続部19sgは、ゲート絶縁層4に形成された開口部4sgA内でゲート下部接続配線7sgGに接触し、第1絶縁層11に形成された開口部11sgB内でゲートバスライン接続部3sgGに接触している。
図示する例では、コンタクトホールCH_sgBは、コンタクトホールCH_sgAから離間した位置に形成されている。本実施形態はこれに限られず、コンタクトホールCH_sgAおよびコンタクトホールCH_sgBは、連続していてもよい(すなわち、単一のコンタクトホールとして形成されていてもよい)。コンタクトホールCH_sgAおよびコンタクトホールCH_sgBは、単一のコンタクトホールとして同じ工程で形成されてもよい。具体的には、ゲート下部接続配線7sgGおよびゲートバスライン接続部3sgGに達する単一のコンタクトホールをゲート絶縁層4および第1絶縁層11に形成し、このコンタクトホール内および第1絶縁層11上にゲート上部接続部19sgを形成してもよい。
図示する例では、ソース−ゲート接続部SGは、シール領域Rsの内側(液晶層側)に設けられている。本実施形態はこれに限られず、ソース−ゲート接続部SGは、シール領域Rsの外側(液晶層がない側)に設けられていてもよい。
・ゲート端子部GT
TFT基板101Dは、図29(b)に示すように、非送受信領域R2にゲート端子部GTを有する。ゲート端子部GTは、一般に、各ゲートバスラインGLに対応して設けられる。ここでは、各ゲートバスラインGLに対応して、ゲート端子部GTおよびソース−ゲート接続部SGが設けられている。
ゲート端子部GTは、図29(b)および図30(c)に示すように、ゲート端子用下部接続部7g(単に「下部接続部7g」ということもある。)と、ゲート絶縁層4に形成された開口部4gと、第1絶縁層11に形成された開口部11gと、ゲート端子用上部接続部19g(単に「上部接続部19g」ということもある。)とを有している。
下部接続部7gは、ソースメタル層7に含まれる。下部接続部7gは、ソース−ゲート接続部SGに形成されているゲート下部接続配線7sgGと接続されている。この例では、下部接続部7gは、ゲート下部接続配線7sgGから延設され、ゲート下部接続配線7sgGと一体的に形成されている。
ゲート絶縁層4に形成された開口部4gは、下部接続部7gに達している。
第1絶縁層11に形成された開口部11gは、誘電体基板1の法線方向から見たとき、ゲート絶縁層4に形成された開口部4gに重なっている。ゲート絶縁層4に形成された開口部4gおよび第1絶縁層11に形成された開口部11gは、コンタクトホールCH_gを構成する。
上部接続部19gは、上部導電層19に含まれる。上部接続部19gは、第1絶縁層11上およびコンタクトホールCH_g内に形成され、コンタクトホールCH_g内で、下部接続部7gと接続されている。すなわち、上部接続部19gは、ゲート絶縁層4に形成された開口部4g内で、下部接続部7gに接触している。
誘電体基板1の法線方向から見たとき、上部接続部19gの全ては、下部接続部7gと重なっていてもよい。
ゲート端子部GTは、ゲートメタル層3に含まれる導電部を含まない。
ゲート端子部GTは、ソースメタル層7に含まれる下部接続部7gを有するので、優れた信頼性を有する。端子部、特にシール領域Rsよりも外側(液晶層と反対側)に設けられた端子部には、大気中の水分(不純物を含み得る。)によって腐食が生じることがある。大気中の水分は、下部接続部に達するコンタクトホールから侵入し、下部接続部に達し、下部接続部に腐食が起こり得る。腐食の発生を抑制する観点からは、下部接続部に達するコンタクトホールが深いことが好ましい。すなわち、コンタクトホールを構成する開口部が形成されている絶縁層の厚さが大きいことが好ましい。
TFT基板101Dのゲート端子部GTにおいて、下部接続部7gはソースメタル層7に含まれているので、下部接続部7gに達するコンタクトホールCH_gは、ゲート絶縁層4に形成された開口部4gおよび第1絶縁層11に形成された開口部11gを有する。コンタクトホールCH_gの深さは、ゲート絶縁層4の厚さおよび第1絶縁層11の厚さの和である。これに対して、例えば下部接続部がゲートメタル層3に含まれている場合、下部接続部に達するコンタクトホールは、第1絶縁層11に形成された開口部のみを有し、その深さは第1絶縁層11の厚さであり、コンタクトホールCH_gの深さよりも小さい。ここで、コンタクトホールの深さおよび絶縁層の厚さは、それぞれ、誘電体基板1の法線方向における深さおよび厚さをいう。他のコンタクトホールおよび絶縁層についても特に断らない限り同様である。このように、TFT基板101Dのゲート端子部GTは、下部接続部7gがソースメタル層7に含まれているので、例えば下部接続部がゲートメタル層3に含まれている場合に比べて、優れた信頼性を有する。
端子部の上部接続部の厚さが大きい(すなわち上部導電層19の厚さが大きい)と、下部接続部に腐食が生じることが抑制される。下部接続部に腐食が生じることを効果的に抑制するために、上述したように、導電層19は、透明導電層(例えばITO層)を含む第1導電層と、第1導電層の下に形成され、Ti層、MoNbNi層、MoNb層、MoW層、W層およびTa層からなる群から選択される1つの層または2以上の層の積層から形成されている第2導電層とを含む積層構造を有してもよい。下部接続部に腐食が生じることをより効果的に抑制するために、第2導電層の厚さを例えば100nm超としてもよい。
・ソース端子部ST
TFT基板101Dは、図29(c)に示すように、非送受信領域R2にソース端子部STを有する。ソース端子部STは、図29(c)および図30(d)に示すように、ゲート端子部GTと同様の構成を有し得る。ソース端子部STは、一般に、ソースバスライン毎に設けられる。
ソース端子部STは、ソース端子用下部接続部7s(単に「下部接続部7s」ということもある。)と、ゲート絶縁層4に形成された開口部4sと、第1絶縁層11に形成された開口部11sと、ソース端子用上部接続部19s(単に「上部接続部19s」ということもある。)とを有している。
下部接続部7sは、ソースメタル層7に含まれ、ソースバスラインSLに接続されている。この例では、下部接続部7sは、ソースバスラインSLから延設され、ソースバスラインSLと一体的に形成されている。
ゲート絶縁層4に形成された開口部4sは、下部接続部7sに達している。
第1絶縁層11に形成された開口部11sは、誘電体基板1の法線方向から見たとき、ゲート絶縁層4に形成された開口部4sに重なっている。ゲート絶縁層4に形成された開口部4sおよび第1絶縁層11に形成された開口部11sは、コンタクトホールCH_sを構成する。
上部接続部19sは、上部導電層19に含まれる。上部接続部19sは、第1絶縁層11上およびコンタクトホールCH_s内に形成され、コンタクトホールCH_s内で、下部接続部7sと接続されている。すなわち、上部接続部19sは、ゲート絶縁層4に形成された開口部4s内で、下部接続部7sに接触している。
誘電体基板1の法線方向から見たとき、上部接続部19sの全ては、下部接続部7sと重なっていてもよい。
ソース端子部STは、ゲートメタル層3に含まれる導電部を含まない。
ソース端子部STは、ソースメタル層7に含まれる下部接続部7sを有するので、ゲート端子部GTと同様に、優れた信頼性を有する。上述したように、ゲート端子部GTの下部接続部をソースメタル層7で形成するために、各ゲート端子部GTについて、ゲートメタル層3とソースメタル層7とを接続するソース−ゲート接続部SGが設けられている。これに対して、ソース端子部STについては、このような接続部を設ける必要がない。
・第1トランスファー端子部PT1
TFT基板101Dは、図29(b)に示すように、非送受信領域R2に第1トランスファー端子部PT1を有する。第1トランスファー端子部PT1は、ここでは、シール領域Rs内に設けられている(すなわち、第1トランスファー端子部PT1は、液晶層を包囲するシール部に設けられている)。
第1トランスファー端子部PT1は、図29(b)および図31(a)に示すように、第1トランスファー端子用下部接続部3p1(単に「下部接続部3p1」ということもある。)と、第1絶縁層11に形成された開口部11p1と、第1トランスファー端子用上部接続部19p1(単に「上部接続部19p1」ということもある。)とを有している。
下部接続部3p1は、ゲートメタル層3に含まれ、CSバスラインCLと電気的に接続されている。下部接続部3p1は、この例では、下部接続部3p1はCSバスラインと一体的に形成されている。下部接続部3p1は、ゲートバスラインGLとは電気的に分離されている。
第1絶縁層11に形成された開口部11p1は、下部接続部3p1に達している。第1絶縁層11に形成された開口部11p1をコンタクトホールCH_p1ということがある。
上部接続部19p1は、上部導電層19に含まれる。上部接続部19p1は、第1絶縁層11上およびコンタクトホールCH_p1内に形成され、コンタクトホールCH_p1内で、下部接続部3p1と接続されている。すなわち、上部接続部19p1は、第1絶縁層11に形成された開口部11p1内で、下部接続部3p1に接触している。上部接続部19p1は、例えば導電性粒子を含むシール材によって、スロット基板側のトランスファー端子用接続部と接続される。
下部接続部3p1の内、開口部11p1によって露出されている部分は、上部接続部19p1で覆われている。
この例では、下部接続部3p1は、互いに隣接する2つのゲートバスラインGLの間に配置されている。ゲートバスラインGLを挟んで配置された2つの下部接続部3p1は、導電接続部(不図示)を介して電気的に接続されていてもよい。導電接続部は、ソースメタル層7から形成されていてもよい。
なお、ここでは、下部接続部3p1は、1つのコンタクトホールCH_p1によって上部接続部19p1と接続されているが、1つの下部接続部3p1に対して複数のコンタクトホールが設けられていてもよい。
・CS端子部CT、第1ソース−CS接続部SC1
TFT基板101Dは、図29(b)に示すように、非送受信領域R2に、CS端子部CTおよび第1ソース−CS接続部SC1を有する。CS端子部CTは、例えば各CSバスラインCLに対応して設けられている。第1ソース−CS接続部SC1は、ここでは、CS端子部CTに対応して設けられている。例えば、各CSバスラインCLに対応して、CS端子部CTおよび第1ソース−CS接続部SC1が設けられている。第1ソース−CS接続部SC1を設けることによって、CS端子部CTの下部接続部をソースメタル層7で形成することができる。ソースメタル層7で形成された下部接続部を有するCS端子部CTは、信頼性に優れる。
CS端子部CTは、断面構造の図示を省略するが、図29(b)に示すように、ここではゲート端子部GTと同様の構成を有している。
CS端子部CTは、CS端子用下部接続部7c(単に「下部接続部7c」ということもある。)と、ゲート絶縁層4に形成された開口部4cと、第1絶縁層11に形成された開口部11cと、CS端子用上部接続部19c(単に「上部接続部19c」ということもある。)とを有している。
下部接続部7cは、ソースメタル層7に含まれ、CSバスラインCLに電気的に接続されている。下部接続部7cは、第1ソース−CS接続部SC1に形成されているCS下部接続配線7sc1と接続されている。この例では、下部接続部7cは、CS下部接続配線7sc1から延設され、CS下部接続配線7sc1と一体的に形成されている。
ゲート絶縁層4に形成された開口部4cは、下部接続部7cに達している。
第1絶縁層11に形成された開口部11cは、誘電体基板1の法線方向から見たとき、ゲート絶縁層4に形成された開口部4cに重なっている。ゲート絶縁層4に形成された開口部4cおよび第1絶縁層11に形成された開口部11cは、コンタクトホールCH_cを構成する。
上部接続部19cは、上部導電層19に含まれる。上部接続部19cは、第1絶縁層11上およびコンタクトホールCH_c内に形成され、コンタクトホールCH_c内で、下部接続部7cと接続されている。すなわち、上部接続部19cは、ゲート絶縁層4に形成された開口部4c内で、下部接続部7cに接触している。
誘電体基板1の法線方向から見たとき、上部接続部19cの全ては、下部接続部7cと重なっていてもよい。
CS端子部CTは、ゲートメタル層3に含まれる導電部を含まない。
CS端子部CTは、ソースメタル層7に含まれる下部接続部7cを有するので、ゲート端子部GTと同様に、優れた信頼性を有する。
第1ソース−CS接続部SC1は、この例では、図29(b)中のG−G’線に沿ったソース−ゲート接続部SGの断面(図31(b)参照)と同様の構成を有している。第1ソース−CS接続部SC1の断面構造の図示は省略する。
第1ソース−CS接続部SC1は、CS下部接続配線7sc1(単に「下部接続配線7sc1」ということもある。)と、ゲート絶縁層4に形成された開口部4sc1と、第1絶縁層11に形成された開口部11sc1と、CS上部接続部19sc1とを有している。
CS下部接続配線7sc1は、ソースメタル層7に含まれ、ソースバスラインSLとは電気的に分離されている。
ゲート絶縁層4に形成された開口部4sc1は、CS下部接続配線7sc1に達している。
第1絶縁層11に形成された開口部11sc1は、誘電体基板1の法線方向から見たとき、ゲート絶縁層4に形成された開口部4sc1に重なっている。ゲート絶縁層4に形成された開口部4sc1および第1絶縁層11に形成された開口部11sc1は、コンタクトホールCH_sc1を構成する。
CS上部接続部19sc1は、導電層19に含まれる。CS上部接続部19sc1は、第1絶縁層11上およびコンタクトホールCH_sc1内に形成され、コンタクトホールCH_sc1内でCS下部接続配線7sc1と接続されている。すなわち、CS上部接続部19sc1は、ゲート絶縁層4に形成された開口部4sc1内でCS下部接続配線7sc1に接触している。
この例では、CS上部接続部19sc1は、第1トランスファー端子部PT1に形成されている第1トランスファー端子用上部接続部19p1から延設され、上部接続部19p1と一体的に形成されている。第1トランスファー端子部PT1において、上部接続部19p1は、CSバスラインCLと一体的に形成されている下部接続部3p1と接続されている。このようにして、CS端子部CTの下部接続部7cは、CSバスラインと電気的に接続されている。
CS上部接続部19sc1は、各端子部の上部接続部と同じ導電膜から形成されている。これにより、TFT基板101Dを、5枚のフォトマスクを用いて製造することができる。第1ソース−CS接続部SC1を設けることによって、CS端子部CTの下部接続部をソースメタル層7で形成することができる。これにより、TFT基板101DのCS端子部CTは優れた信頼性を有する。
図示する例では、TFT基板101Dは、各CSバスラインに対応して、CS端子部CTを有するが、上述したように、本実施形態はこれに限られない。本実施形態のTFT基板は、複数のCSバスラインに対応して1つのCS端子部CTを有していてもよい。
・第2トランスファー端子部PT2、第2ソース−CS接続部SC2
TFT基板101Dは、図29(b)に示すように、非送受信領域R2に第2トランスファー端子部PT2および第2ソース−CS接続部SC2を有する。第2トランスファー端子部PT2は、シール領域Rsの外側(送受信領域R1と反対側)に設けられている。すなわち、第2トランスファー端子部PT2は、液晶層を包囲するシール部の外側に設けられている。第2ソース−CS接続部SC2は、ここでは、第2トランスファー端子部PT2に対応して設けられている。
第2トランスファー端子部PT2は、図30(e)に示すように、図30(c)に示すゲート端子部GTと同様の断面構造を有している。すなわち、第2トランスファー端子部PT2は、図30(e)に示すように、第2トランスファー端子用下部接続部7p2(単に「下部接続部7p2」ということもある。)と、ゲート絶縁層4に形成された開口部4p2と、第1絶縁層11に形成された開口部11p2と、第2トランスファー端子用上部接続部19p2(単に「上部接続部19p2」ということもある。)とを有している。
下部接続部7p2は、ソースメタル層7に含まれ、CSバスラインCLに電気的に接続されている。下部接続部7p2は、ソースバスラインSLとは電気的に分離されている。この例では、下部接続部7p2は、第2ソース−CS接続部SC2に形成されているCS下部接続配線7sc2(単に「下部接続配線7sc2」ということもある。)から延設され、CS下部接続配線7sc2と一体的に形成されている。
ゲート絶縁層4に形成された開口部4p2は、下部接続部7p2に達している。
第1絶縁層11に形成された開口部11p2は、誘電体基板1の法線方向から見たとき、ゲート絶縁層4に形成された開口部4p2に重なっている。ゲート絶縁層4に形成された開口部4p2および第1絶縁層11に形成された開口部11p2は、コンタクトホールCH_p2を構成する。
上部接続部19p2は、上部導電層19に含まれる。上部接続部19p2は、第1絶縁層11上およびコンタクトホールCH_p2内に形成され、コンタクトホールCH_p2内で、下部接続部7p2と接続されている。すなわち、上部接続部19p2は、ゲート絶縁層4に形成された開口部4p2内で、下部接続部7p2に接触している。
この例では、第2トランスファー端子部PT2は、ゲートメタル層3に含まれる導電部を有しない。
第2トランスファー端子部PT2は、ソースメタル層7に含まれる下部接続部7p2を有するので、ゲート端子部GTと同様に、優れた信頼性を有する。
第2トランスファー端子部PT2においても、上部接続部19p2は、例えば導電性粒子を含むシール材によって、スロット基板側のトランスファー端子用接続部と接続されていてもよい。
第2ソース−CS接続部SC2は、この例では、第1ソース−CS接続部SC1と同様に、図29(b)中のG−G’線に沿ったソース−ゲート接続部SGの断面(図31(b)参照)と同様の構成を有している。第2ソース−CS接続部SC2の断面構造の図示は省略する。
第2ソース−CS接続部SC2は、CS下部接続配線7sc2と、ゲート絶縁層4に形成された開口部4sc2と、第1絶縁層11に形成された開口部11sc2と、CS上部接続部19sc2とを有している。
CS下部接続配線7sc2は、ソースメタル層7に含まれ、ソースバスラインSLとは電気的に分離されている。
ゲート絶縁層4に形成された開口部4sc2は、CS下部接続配線7sc2に達している。
第1絶縁層11に形成された開口部11sc2は、誘電体基板1の法線方向から見たとき、ゲート絶縁層4に形成された開口部4sc2に重なっている。ゲート絶縁層4に形成された開口部4sc2および第1絶縁層11に形成された開口部11sc2は、コンタクトホールCH_sc2を構成する。
CS上部接続部19sc2は、上部導電層19に含まれる。CS上部接続部19sc2は、第1絶縁層11上およびコンタクトホールCH_sc2内に形成され、コンタクトホールCH_sc2内でCS下部接続配線7sc2と接続されている。すなわち、CS上部接続部19sc2は、ゲート絶縁層4に形成された開口部4sc2内でCS下部接続配線7sc2に接触している。
この例では、CS上部接続部19sc2は、第1トランスファー端子部PT1に形成されている第1トランスファー端子用上部接続部19p1から延設され、上部接続部19p1と一体的に形成されている。第1トランスファー端子部PT1において、上部接続部19p1は、CSバスラインCLと一体的に形成されている下部接続部3p1と接続されている。このようにして、第2トランスファー端子部PT2の下部接続部7p2は、CSバスラインと電気的に接続されている。
CS上部接続部19sc2は、各端子部の上部接続部と同じ導電膜から形成されている。これにより、TFT基板101Dを、5枚のフォトマスクを用いて製造することができる。第2ソース−CS接続部SC2を設けることによって、第2トランスファー端子部PT2の下部接続部をソースメタル層7で形成することができる。これにより、TFT基板101Dの第2トランスファー端子部PT2は優れた信頼性を有する。
図示する例では、TFT基板101Dは、各CSバスラインに対応して第1ソース−CS接続部SC1および第2ソース−CS接続部SC2を有するが、本実施形態はこれに限られない。本実施形態のTFT基板は、各CSバスラインに対応して1つのソース−CS接続部を有していてもよい。また、上述したように、ソース−CS接続部は、必ずしも各CSバスラインに対応して設ける必要はなく、本実施形態のTFT基板は、複数のCSバスラインに対応して1つのソース−CS接続部を有していてもよい。また、図示する例では、第1ソース−CS接続部SC1および第2ソース−CS接続部SC2は、シール領域Rsの外側(液晶層がない側)に設けられている。本実施形態はこれに限られず、ソース−CS接続部は、シール領域Rsの内側(液晶層側)に設けられていてもよい。
<TFT基板101Dの製造方法>
図32〜図35を参照して、TFT基板101Dの製造方法を説明する。
図32(a)〜(e)、図33(a)〜(c)、図34(a)〜(c)、および図35(a)、(b)は、TFT基板101Dの製造方法を説明するための模式的な断面図である。これらの図のそれぞれは、図30(a)、図30(b)、図30(c)、図31(a)、および図31(d)に対応する断面(TFT基板101DのA−A’断面、B−B’断面、C−C’断面、F−F’断面、およびH−H’断面)を示している。なお、図30(d)、図30(e)、および図31(b)に対応する断面(TFT基板101DのD−D’断面、E−E’断面、およびG−G’断面)については、図示を省略するが、図31(a)に対応する断面(TFT基板101DのF−F’断面)と同様の方法で形成される。先の実施形態と同様の事項(例えば各層の材料、厚さ、形成方法など)については、説明を省略することがある。
まず、図32(a)に示すように、誘電体基板1上に、下地絶縁層20、真性アモルファスシリコン膜5’およびn+型アモルファスシリコン膜6’をこの順で形成する。ここでは、下地絶縁層20として、例えば厚さ200nmの窒化珪素(SixNy)膜を形成する。さらに、例えば厚さ120nmの真性アモルファスシリコン膜5’および例えば厚さ30nmのn+型アモルファスシリコン膜6’を形成する。
次いで、真性アモルファスシリコン膜5’およびn+型アモルファスシリコン膜6’を
パターニングすることにより、図32(b)に示すように、島状の半導体層5およびコンタクト層6を得る。なお、半導体層5に用いる半導体膜はアモルファスシリコン膜に限定されない。
次いで、図32(c)に示すように、下地絶縁層20上およびコンタクト層6上にソース用導電膜7’を形成する。ここでは、ソース用導電膜7’として、MoN(厚さ:例えば50nm)、Al(厚さ:例えば150nm)およびMoN(厚さ:例えば100nm)をこの順で積層した積層膜(MoN/Al/MoN)を形成する。あるいは、ソース用導電膜7’として、Ti(厚さ:例えば50nm)、Al(厚さ:例えば200nm)およびTi(厚さ:例えば50nm)をこの順で積層した積層膜(Ti/Al/Ti)を形成してもよい。
次いで、ソース用導電膜7’をパターニングすることによって、図32(d)に示すように、ソースメタル層7を得る。具体的には、アンテナ単位形成領域に、ソース電極7Sおよびドレイン電極7Dと、ドレイン電極7Dに接続された補助容量電極7Cと、ソース電極7Sに接続されたソースバスラインSLとを形成し、各端子部形成領域に下部接続部7g、7s、7cおよび7p2を形成し、ソース−ゲート接続部形成領域に下部接続配線7sgGを形成し、ソース−CS接続部形成領域に下部接続配線7sc1および7sc2を形成する。このとき、コンタクト層6もエッチングされ、互いに分離されたソースコンタクト層6Sとドレインコンタクト層6Dとが形成される。
ソース用導電膜7’として、MoN、AlおよびMoNをこの順で積層した積層膜(MoN/Al/MoN)を形成した場合は、ソース用導電膜7’のパターニングは、例えばウェットエッチングによって行う。エッチング液として、例えばリン酸、硝酸および酢酸を含む水溶液を用いてMoN膜およびAl膜を同時にパターニングする。ウェットエッチングでMoN膜およびAl膜をパターニングした後、ドライエッチングでコンタクト層(n+型アモルファスシリコン層)6をパターニングしてもよい。
ソース用導電膜7’として、Ti、AlおよびTiをこの順で積層した積層膜(Ti/Al/Ti)を形成した場合には、ソース用導電膜7’のパターニングは、例えばドライエッチングによって行う。例えばドライエッチングによって、Ti膜、Al膜およびコンタクト層(n+型アモルファスシリコン層)6を一括してパターニングする。
次に、図32(e)に示すように、ソースメタル層7および下地絶縁層20を覆うようにゲート絶縁膜4’を形成する。この例では、ゲート絶縁膜4’は、半導体層5のチャネル領域と接するように配置される。ここでは、ゲート絶縁膜4’として、例えば厚さ350nmの窒化珪素(SixNy)膜を形成する。
次いで、図33(a)に示すように、ゲート絶縁膜4’上にゲート用導電膜3’を形成する。ここでは、ゲート用導電膜3’として、Ti膜(厚さ:例えば20nm)およびCu膜(厚さ:例えば500nm)をこの順で積層した積層膜(Cu/Ti)を形成する。
次いで、ゲート用導電膜3’をパターニングすることにより、図33(b)に示すように、ゲートメタル層3を得る。具体的には、アンテナ単位形成領域に、ゲート絶縁膜4’を介して半導体層5と対向する部分を含むゲート電極3Gと、ゲート電極3Gに接続されたゲートバスラインGLと、ゲート絶縁膜4’を介して補助容量電極7Cと対向する部分を含む補助容量対向電極3Cと、補助容量対向電極3Cに接続されたCSバスラインCLと、パッチ電極15と、凸部3hとを形成し、第1トランスファー端子部形成領域に下部接続部3p1を形成し、ソース−ゲート接続部形成領域にゲートバスライン接続部3sgGを形成する。ここでは、ゲート用導電膜3’のパターニングは、ウェットエッチングによって行う。このようにして、TFT10が得られる。
ここでは、ソース−ゲート接続部形成領域において、ゲート下部接続配線7sgGの少なくとも一部は、ゲートバスライン接続部3sgGと重ならないように形成されている。アンテナ単位形成領域において、ドレイン電極7Dおよびドレイン電極7Dから延設された部分の少なくとも一部は、ゲートメタル層3と重ならないように形成されている。また、各端子部形成領域(第1トランスファー端子部形成領域を除く)、第1ソース−CS接続部形成領域および第2ソース−CS接続部形成領域は、ゲートメタル層3に含まれる導電部を有しない。
次に、図33(c)に示すように、TFT10およびゲートメタル層3を覆うように第1絶縁膜11’を形成する。ここでは、第1絶縁膜11’として、例えば厚さ100nmの窒化珪素(SixNy)膜を形成する。
次いで、公知のフォトリソグラフィプロセスによって、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’のエッチングを行うことにより、図34(a)に示すように、第1絶縁層11およびゲート絶縁層4を得る。具体的には、アンテナ単位形成領域に、ドレイン電極7Dから延設された接続部7a1に達するコンタクトホールCH_a1と、パッチ電極15から延設された接続部3a2に達するコンタクトホールCH_a2(開口部11a2)とを形成し、ゲート端子部形成領域に下部接続部7gに達するコンタクトホールCH_gを形成し、ソース端子部形成領域に下部接続部7sに達するコンタクトホールCH_sを形成し、CS端子部形成領域に下部接続部7cに達するコンタクトホールCH_cを形成し、第1トランスファー端子部形成領域に下部接続部3p1に達するコンタクトホールCH_p1を形成し、第2トランスファー端子部形成領域に下部接続部7p2に達するコンタクトホールCH_p2を形成し、ソース−ゲート接続部形成領域に、下部接続配線7sgGに達するコンタクトホールCH_sgAと、ゲートバスライン接続部3sgGに達するコンタクトホールCH_sgB(開口部11sgB)とを形成し、第1ソース−CS接続部形成領域に下部接続配線7sc1に達するコンタクトホールCH_sc1を形成し、第2ソース−CS接続部形成領域に下部接続配線7sc1に達するコンタクトホールCH_sc2を形成する。
このエッチング工程では、ゲートメタル層3をエッチストップとして第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’のエッチングが行われる。
例えばアンテナ単位形成領域を例にとると、コンタクトホールCH_a1形成領域においては第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’がエッチングされるとともに、コンタクトホールCH_a2形成領域においては接続部3a2がエッチストップとして機能することにより第1絶縁膜11’のみがエッチングされる。コンタクトホールCH_a1は、ゲート絶縁層4に形成され、接続部7a1に達する開口部4a1と、第1絶縁層11に形成され、開口部4a1に重なる開口部11a1とを有する。ここで、ドレイン電極7Dおよびドレイン電極7Dから延設された部分の少なくとも一部は、ゲートメタル層3と重ならないように形成されているので、ドレイン電極7Dまたはドレイン電極7Dから延設された部分に達するコンタクトホールCH_a1が形成される。コンタクトホールCH_a1の側面において、開口部4a1の側面と開口部11a1の側面とは整合し得る。
第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’は、例えば、同一のエッチャントを用いて一括してエッチングされる。ここでは、フッ素系ガスを用いたドライエッチングによって第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’をエッチングする。第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’は、異なるエッチャントを用いてエッチングされてもよい。
このように、コンタクトホールのうち、第1絶縁層11に形成された開口部とゲート絶縁層4に形成された開口部とを有するコンタクトホールにおいて、第1絶縁層11に形成された開口部の側面とゲート絶縁層4に形成された開口部の側面とは整合し得る。
ソース−ゲート接続部形成領域では、コンタクトホールCH_sgA形成領域においては第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’が一括してエッチングされるとともに、コンタクトホールCH_sgB形成領域においてはゲートバスライン接続部3sgGがエッチストップとして機能することにより第1絶縁膜11’のみがエッチングされる。これにより、コンタクトホールCH_sgAおよびコンタクトホールCH_sgBが得られる。コンタクトホールCH_sgAは、ゲート絶縁層4に形成され、ゲート下部接続配線7sgGに達する開口部4sgAと、第1絶縁層11に形成され、開口部4sgAに重なる開口部11sgAとを有する。ここで、ゲート下部接続配線7sgGの少なくとも一部は、ゲートバスライン接続部3sgGと重ならないように形成されているので、ゲート下部接続配線7sgGに達するコンタクトホールCH_sgAが形成される。コンタクトホールCH_sgAの側面において、開口部4sgAの側面と開口部11sgAの側面とが整合していてもよい。
各端子部形成領域(第1トランスファー端子部形成領域を除く)においては、ゲートメタル層3に含まれる導電部が形成されていないので、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’が一括してエッチングされる。
ゲート端子部形成領域においては、ゲートメタル層3に含まれる導電部が形成されていないので、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’が一括してエッチングされることによってコンタクトホールCH_gが形成される。コンタクトホールCH_gは、ゲート絶縁層4に形成され、下部接続部7gに達する開口部4gと、第1絶縁層11に形成され、開口部4gに重なる開口部11gとを有する。コンタクトホールCH_gの側面において、開口部4gの側面と開口部11gの側面とが整合していてもよい。
ソース端子部形成領域においては、ゲートメタル層3に含まれる導電部が形成されていないので、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’が一括してエッチングされることによってコンタクトホールCH_sが形成される。コンタクトホールCH_sは、ゲート絶縁層4に形成され、下部接続部7sに達する開口部4sと、第1絶縁層11に形成され、開口部4sに重なる開口部11sとを有する。コンタクトホールCH_sの側面において、開口部4sの側面と開口部11sの側面とが整合していてもよい。
CS端子部形成領域においては、ゲートメタル層3に含まれる導電部が形成されていないので、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’が一括してエッチングされることによってコンタクトホールCH_cが形成される。コンタクトホールCH_cは、ゲート絶縁層4に形成され、下部接続部7cに達する開口部4cと、第1絶縁層11に形成され、開口部4cに重なる開口部11cとを有する。コンタクトホールCH_cの側面において、開口部4cの側面と開口部11cの側面とが整合していてもよい。
第2トランスファー端子部形成領域においては、ゲートメタル層3に含まれる導電部が形成されていないので、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’が一括してエッチングされることによってコンタクトホールCH_p2が形成される。コンタクトホールCH_p2は、ゲート絶縁層4に形成され、下部接続部7p2に達する開口部4p2と、第1絶縁層11に形成され、開口部4p2に重なる開口部11p2とを有する。コンタクトホールCH_p2の側面において、開口部4p2の側面と開口部11p2の側面とが整合していてもよい。
第1トランスファー端子部形成領域においては、ゲートメタル層3に含まれる下部接続部3p1がエッチストップとして機能することにより第1絶縁膜11’のみがエッチングされる。これにより、第1絶縁層11に、下部接続部3p1に達する開口部11p1(コンタクトホールCH_p1)が形成される。
第1ソース−CS接続部形成領域においては、ゲートメタル層3に含まれる導電部が形成されていないので、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’が一括してエッチングされることによってコンタクトホールCH_sc1が形成される。コンタクトホールCH_sc1は、ゲート絶縁層4に形成され、下部接続配線7sc1に達する開口部4sc1と、第1絶縁層11に形成され、開口部4sc1に重なる開口部11sc1とを有する。コンタクトホールCH_sc1の側面において、開口部4sc1の側面と開口部11sc1の側面とが整合していてもよい。
第2ソース−CS接続部形成領域においては、ゲートメタル層3に含まれる導電部が形成されていないので、第1絶縁膜11’およびゲート絶縁膜4’が一括してエッチングされることによってコンタクトホールCH_sc2が形成される。コンタクトホールCH_sc2は、ゲート絶縁層4に形成され、下部接続配線7sc2に達する開口部4sc2と、第1絶縁層11に形成され、開口部4sc2に重なる開口部11sc2とを有する。コンタクトホールCH_sc2の側面において、開口部4sc2の側面と開口部11sc2の側面とが整合していてもよい。
次いで、図34(b)に示すように、第1絶縁層11上、コンタクトホールCH_a1内、コンタクトホールCH_a2内、コンタクトホールCH_g内、コンタクトホールCH_s内、コンタクトホールCH_c内、コンタクトホールCH_p1内、コンタクトホールCH_p2内、コンタクトホールCH_sgA内、コンタクトホールCH_sgB内、コンタクトホールCH_sc1内、およびコンタクトホールCH_sc2内に、例えばスパッタ法により上部導電膜19’を形成する。上部導電膜19’は、例えば透明導電膜を含む。ここでは、上部導電膜19’として、例えば厚さ70nmのITO膜を用いる。あるいは、上部導電膜19’として、Ti(厚さ:例えば50nm)およびITO(厚さ:例えば70nm)をこの順で積層した積層膜(ITO/Ti)を用いてもよい。 次いで、上部導電膜19’をパターニングすることにより、図34(c)に示すように、上部導電層19を得る。
具体的には、アンテナ単位領域Uにおいては、コンタクトホールCH_a1内で接続部7a1と接触し、コンタクトホールCH_a2内で接続部3a2と接触するパッチドレイン接続部19aが形成され、ゲート端子部GTにおいては、コンタクトホールCH_g内で下部接続部7gと接触する上部接続部19gが形成され、ソース端子部STにおいては、コンタクトホールCH_s内で下部接続部7sと接触する上部接続部19sが形成され、CS端子部CTにおいては、コンタクトホールCH_c内で下部接続部7cと接触する上部接続部19cが形成され、第1トランスファー端子部PT1においては、コンタクトホールCH_p1内で下部接続部3p1と接触する上部接続部19p1が形成され、第2トランスファー端子部PT2においては、コンタクトホールCH_p2内で下部接続部7p2と接触する上部接続部19p2が形成され、ソース−ゲート接続部SGにおいては、コンタクトホールCH_sgA内で下部接続配線7sgGと接触し、コンタクトホールCH_sgB内でゲートバスライン接続部3sgGと接触する上部接続部19sgが形成され、第1ソース−CS接続部SC1においては、コンタクトホールCH_sc1内で下部接続配線7sc1と接触する上部接続部19sc1が形成され、第2ソース−CS接続部SC2においては、コンタクトホールCH_sc2内で下部接続配線7sc2と接触する上部接続部19sc2が形成される。各端子部において、上部接続部は、下部接続部の内、コンタクトホールによって露出されている部分を覆うように形成されることが好ましい。ソース−ゲート接続部SGにおいて、上部接続部19sgは、下部接続配線7sgGの内、コンタクトホールCH_sgAによって露出されている部分を覆い、ゲートバスライン接続部3sgGの内、コンタクトホールCH_sgBによって露出されている部分を覆うように形成されることが好ましい。第1ソース−CS接続部SC1および第2ソース−CS接続部SC2において、上部接続部は、下部接続配線の内、コンタクトホールによって露出されている部分を覆うように形成されることが好ましい。
次に、図35(a)に示すように、誘電体基板1のほぼ全面に平坦化膜21f’を形成する。ここでは、平坦化膜21f’として、例えば厚さdf(図35(a)参照)が1000nmのアクリル樹脂膜を形成する。ここでは、平坦化膜21f’の上面がパッチ電極15の上面よりも高くなるように、平坦化膜21f’が形成される。平坦化膜21f’は、第1絶縁層11および上部導電層19を覆うように形成される。
続いて、図35(b)に示すように、平坦化膜21f’のパターニングを行うことにより、平坦化層21fを形成する。ここでは、各端子部形成領域(ソース端子部形成領域、ゲート端子部形成領域、CS端子部形成領域、第1トランスファー端子部形成領域、および第2トランスファー端子部形成領域)には平坦化層21fが形成されない。また、アンテナ単位形成領域において、パッチ電極15と重なる開口部21Dと、凸部3hと重なる開口部21Dsとが形成される。開口部21Dが形成されることにより、パッチ電極15の少なくとも一部と重ならない平坦化層21fが形成される。
以上により、アンテナ単位領域U、ゲート端子部GT、ソース端子部ST、CS端子部CT、第1トランスファー端子部PT1、第2トランスファー端子部PT2、ソース−ゲート接続部SG、第1ソース−CS接続部SC1、および第2ソース−CS接続部SC2が得られる。
このようにして、TFT基板101Dが製造される。
(アンテナ単位の配列、ゲートバスライン、ソースバスラインの接続の例)
本発明の実施形態による走査アンテナにおいて、アンテナ単位は例えば、同心円状に配列される。
例えば、m個の同心円に配列されている場合、ゲートバスラインは例えば、各円に対して1本ずつ設けられ、合計m本のゲートバスラインが設けられる。送受信領域R1の外径を、例えば800mmとすると、mは例えば、200である。最も内側のゲートバスラインを1番目とすると、1番目のゲートバスラインには、n個(例えば30個)のアンテナ単位が接続され、m番目のゲートバスラインにはnx個(例えば620個)のアンテナ単位が接続されている。
このような配列では、各ゲートバスラインに接続されているアンテナ単位の数が異なる。また、最も外側の円を構成するnx個のアンテナ単位に接続されているnx本のソースバスラインには、m個のアンテナ単位が接続されているが、内側の円を構成するアンテナ単位に接続されているソースバスラインに接続されているアンテナ単位の数はmよりも小さくなる。
このように、走査アンテナにおけるアンテナ単位の配列は、LCDパネルにおける画素(ドット)の配列とは異なり、ゲートバスラインおよび/またはソースバスラインによって、接続されているアンテナ単位の数が異なる。したがって、全てのアンテナ単位の容量(液晶容量+補助容量)を同じにすると、ゲートバスラインおよび/またはソースバスラインによって、接続されている電気的な負荷が異なることになる。そうすると、アンテナ単位への電圧の書き込みにばらつきが生じるという問題がある。
そこで、これを防止するために、例えば、補助容量の容量値を調整することによって、あるいは、ゲートバスラインおよび/またはソースバスラインに接続するアンテナ単位の数を調整することによって、各ゲートバスラインおよび各ソースバスラインに接続されている電気的な負荷を略同一にすることが好ましい。
本発明の実施形態による走査アンテナは、必要に応じて、例えばプラスチック製の筺体に収容される。筺体にはマイクロ波の送受信に影響を与えない誘電率εMが小さい材料を用いることが好ましい。また、筺体の送受信領域R1に対応する部分には貫通孔を設けてもよい。さらに、液晶材料が光に曝されないように、遮光構造を設けてもよい。遮光構造は、例えば、TFT基板101Aの誘電体基板1および/またはスロット基板201の誘電体基板51の側面から誘電体基板1および/または51内を伝播し、液晶層に入射する光を遮光するように設ける。誘電異方性ΔεMが大きな液晶材料は、光劣化しやすいものがあり、紫外線だけでなく、可視光の中でも短波長の青色光も遮光することが好ましい。遮光構造は、例えば、黒色の粘着テープなどの遮光性のテープを用いることによって、必要な個所に容易に形成できる。