JP6575557B2 - 全固体電池及び全固体電池の製造方法 - Google Patents
全固体電池及び全固体電池の製造方法 Download PDFInfo
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Description
(1)釘刺し試験時、集電体層が絶縁層とともに釘に追従しないようにするために、釘刺し部分において、集電体層と絶縁層との間に接着材を設けないほうが良い。
(2)短絡電流分散体に拘束圧力が付与された場合に、集電体層と絶縁層とが互いに滑り合うことで、集電体層と絶縁層との界面の歪みを緩和することができる。すなわち、短絡電流分散体の拘束圧力が付与される部分において、集電体層と絶縁層との間に接着材を設けないほうが良い。
(3)釘刺し試験による釘刺し部分は、通常、拘束圧力が付与される領域内である。すなわち、短絡電流分散体の拘束圧力が付与される部分に接着材を設けなければ、必然的に、釘刺し部分に接着材が設けられないこととなる。
(4)上記(1)〜(3)に鑑みると、短絡電流分散体においては、電池の拘束圧力が付与されない領域に接着材を設けるとよい。
短絡電流分散体と発電要素とが積層され、拘束部材によって積層方向に拘束圧力が付与された全固体電池であって、前記短絡電流分散体において、前記積層方向に沿って、第1の集電体層と第2の集電体層と前記第1の集電体層及び前記第2の集電体層の間に設けられた絶縁層とが積層されるとともに接着材によって接着されており、前記発電要素において、前記積層方向に沿って、正極集電体層と正極材層と固体電解質層と負極材層と負極集電体層とが積層されており、前記第1の集電体層が前記正極集電体層と電気的に接続されており、前記第2の集電体層が前記負極集電体層と電気的に接続されており、前記短絡電流分散体において、前記接着材は、前記拘束部材による拘束圧力が付与されない領域に設けられている、全固体電池
を開示する。
第1の集電体層と絶縁層と第2の集電体層とを積層し、接着材で接着することにより、短絡電流分散体を作製する第1工程、正極集電体層と正極材層と固体電解質層と負極材層と負極集電体層とを積層することにより、発電要素を作製する第2工程、前記短絡電流分散体と前記発電要素とを各層の積層方向に沿って積層する第3工程、及び、積層された前記短絡電流分散体と前記発電要素とを拘束部材によって拘束しつつ、前記積層方向に沿って拘束圧力を付与する第4工程、を備え、前記第4工程において前記拘束部材による拘束圧力が付与されない領域に前記接着材が配置されるように、前記第1工程において前記短絡電流分散体に設けられる前記接着材の位置が決定される、全固体電池の製造方法
を開示する。
図1に、全固体電池100の層構成を概略的に示す。図1においては、説明の便宜上、集電体層同士(集電タブ同士)の接続部分や、電池ケース等を省略して示している。図2に、全固体電池100を構成する短絡電流分散体10の層構成を概略的に示す。図2(A)が外観斜視図、図2(B)がIIB−IIB断面図である。図3に、全固体電池100を構成する発電要素20の層構成を概略的に示す。図3(A)が外観斜視図、図3(B)がIIIB−IIIB断面図、である。図4に、全固体電池100において拘束圧力の向き、拘束圧力が付与される領域と接着材との位置関係を概略的に示す。
図2に示すように、短絡電流分散体10は、第1の集電体層11と、第2の集電体層12と、第1の集電体層11及び第2の集電体層12の間に設けられる絶縁層13と、を備える。このような構成を備えた短絡電流分散体10は、電池の通常使用時において第1の集電体層11と第2の集電体層12とが絶縁層13によって適切に絶縁される一方で、釘刺しによる短絡時には第1の集電体層11と第2の集電体層12とが接触して電気抵抗が小さくなる。
第1の集電体層11及び第2の集電体層12は、金属箔や金属メッシュ等により構成すればよい。特に金属箔が好ましい。集電体層11、12を構成する金属としては、Cu、Ni、Al、Fe、Ti、Zn、Co、Cr、Au、Pt、ステンレス鋼等が挙げられる。集電体層11や集電体層12は、その表面に、接触抵抗を調整するための何らかのコート層を有していてもよい。例えば、炭素からなるコート層である。
全固体電池100において、絶縁層13は、電池の通常使用時において、第1の集電体層11と第2の集電体層12とを絶縁するものであればよい。絶縁層13は、有機材料からなる絶縁層であっても、無機材料からなる絶縁層であっても、有機材料と無機材料とが混在する絶縁層であってもよい。特に、有機材料からなる絶縁層が好ましい。通常使用時に割れによる短絡発生確率が低いという観点から有利だからである。
図2に示すように、短絡電流分散体10において、第1の集電体層11と絶縁層13との間、及び、第2の集電体層12と絶縁層13との間には接着材14が設けられている。接着材14を構成する接着成分は特に限定されるものではない。接着材14は、塗布型の接着材であってもよいし、接着テープ等であってもよい。例えば、溶媒にバインダーを溶解させたバインダー溶液を集電体層11、12と絶縁層13との間となる位置に塗布し、乾燥させることによって接着材14を設けることができる。この場合、溶媒としては全固体電池の作製時に使用可能な溶媒を用いることが好ましい。溶媒が残留した場合においても、電池内部で溶媒と全固体電池の材料(固体電解質等)とが反応することを防止できるためである。例えばヘプタンや酪酸ブチル等が好ましい。バインダーとしては溶媒に溶解するものであればよく、例えば水添変性された各種ポリマーを用いることができる。接着材14は、集電体層11、12及び/又は絶縁層13から容易に剥がすことができ、剥がした後においても粘着力を維持する(再粘着性を有する)ものが好ましい。これにより、集電体層11、12と絶縁層13との接着作業が容易となる。短絡電流分散体10における接着材14の位置について、詳しくは後述する。
発電要素20は、正極集電体層21と正極材層22と固体電解質層23と負極材層24と負極集電体層25とが積層されてなる。すなわち、発電要素20は単電池として機能し得る。
正極集電体層21は、金属箔や金属メッシュ等により構成すればよい。特に金属箔が好ましい。正極集電体層21を構成する金属としては、Ni、Cr、Au、Pt、Al、Fe、Ti、Zn、ステンレス鋼等が挙げられる。正極集電体層21は、その表面に、接触抵抗を調整するための何らかのコート層を有していてもよい。例えば、炭素コート等である。正極集電体層21の厚みは特に限定されるものではない。例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
正極材層22は、少なくとも活物質を含み、さらに任意に固体電解質、バインダー及び導電助剤を含む。活物質は公知の活物質を用いればよい。公知の活物質のうち、所定のイオンを吸蔵放出する電位(充放電電位)の異なる2つの物質を選択し、貴な電位を示す物質を正極活物質とし、卑な電位を示す物質を後述の負極活物質として、それぞれ用いることができる。例えば、リチウムイオン電池を構成する場合は、正極活物質としてコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、マンガン酸リチウム、スピネル系リチウム化合物等の各種のリチウム含有複合酸化物を用いることができる。正極活物質は表面がニオブ酸リチウム層やチタン酸リチウム層やリン酸リチウム層等の酸化物層で被覆されていてもよい。固体電解質は無機固体電解質が好ましい。有機ポリマー電解質と比較してイオン伝導度が高いためである。また、有機ポリマー電解質と比較して、耐熱性に優れるためである。さらに、有機ポリマー電解質と比較して、釘刺し試験時に発電要素20に加わる圧力が高圧となり、本開示の全固体電池100による効果が顕著とためである。例えば、ランタンジルコン酸リチウム等の酸化物固体電解質やLi2S−P2S5等の硫化物固体電解質が挙げられる。特に、Li2S−P2S5を含む硫化物固体電解質が好ましく、Li2S−P2S5を50モル%以上含む硫化物固体電解質がより好ましい。バインダーはブタジエンゴム(BR)、アクリレートブタジエンゴム(ABR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等の種々のバインダーを用いることができる。導電助剤としてはアセチレンブラックやケッチェンブラック等の炭素材料やニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料を用いることができる。正極材層22における各成分の含有量は従来と同様とすればよい。正極材層22の形状も従来と同様とすればよい。特に、全固体電池100を容易に構成できる観点から、シート状の正極材層22が好ましい。この場合、正極材層22の厚みは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上150μm以下であることがより好ましい。
固体電解質層23は、固体電解質と任意にバインダーとを含む。固体電解質は上述した無機固体電解質が好ましい。バインダーは正極材層22に用いられるバインダーと同様のものを適宜選択して用いることができる。固体電解質層23における各成分の含有量は従来と同様とすればよい。固体電解質層23の形状も従来と同様とすればよい。特に、全固体電池100を容易に構成できる観点から、シート状の固体電解質層23が好ましい。この場合、固体電解質層23の厚みは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上150μm以下であることがより好ましい。
負極材層24は、少なくとも活物質を含み、さらに任意に固体電解質、バインダー及び導電助剤を含む。活物質は公知の活物質を用いればよい。公知の活物質のうち、所定のイオンを吸蔵放出する電位(充放電電位)の異なる2つの物質を選択し、貴な電位を示す物質を上述の正極活物質とし、卑な電位を示す物質を負極活物質として、それぞれ用いることができる。例えば、リチウムイオン電池を構成する場合は、負極活物質としてグラファイトやハードカーボン等の炭素材料や、チタン酸リチウム等の各種酸化物、SiやSi合金、或いは、金属リチウムやリチウム合金を用いることができる。固体電解質、バインダー及び導電助剤は正極材層22に用いられる固体電解質と同様のものを適宜選択して用いることができる。負極材層24における各成分の含有量は従来と同様とすればよい。負極材層24の形状も従来と同様とすればよい。特に、積層型全固体電池100を容易に構成できる観点から、シート状の負極材層24が好ましい。この場合、負極材層24の厚みは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。ただし、負極の容量が正極の容量よりも大きくなるように、負極材層24の厚みを決定することが好ましい。
負極集電体層25は、金属箔や金属メッシュ等により構成すればよい。特に金属箔が好ましい。負極集電体層25を構成する金属としては、Cu、Ni、Fe、Ti、Co、Zn、ステンレス鋼等が挙げられる。これらの中から、上述の正極集電体層21との100MPa加圧時の接触抵抗が大きくなる組み合わせ選択して使用する。負極集電体層25は、その表面に、接触抵抗を調整するための何らかのコート層を有していてもよい。例えば、炭素コート等である。負極集電体層25の厚みは特に限定されるものではない。負極集電体25の厚みは特に限定されるものではない。例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
拘束部材30は、全固体電池100の積層方向に拘束圧力を付与可能なものであればよく、その形態は特に限定されるものではない。
1.4.1.発電要素の配置
全固体電池100において、発電要素20の積層数は特に限定されるものではなく、目的とする電池の出力に応じて、適宜決定すればよい。この場合、複数の発電要素20が互いに直接接触するように積層されていてもよいし、複数の発電要素20が何らかの層(例えば絶縁層)や間隔(空気層)を介して積層されていてもよい。電池の出力密度を向上させる観点からは、図1に示すように、複数の発電要素20が互いに直接接触するように積層されていることが好ましい。また、図1、3に示すように、2つの発電要素20a、20bが、負極集電体25を共用していることが好ましい。このようにすることで、電池の出力密度が一層向上する。さらに、図1に示すように、全固体電池100においては、複数の発電要素20の積層方向と、発電要素20における各層21〜25の積層方向とを一致させる。このようにすることで、全固体電池100の拘束が容易となり、電池の出力密度が一層向上する。
全固体電池100においては、複数の発電要素20、20、…同士が電気的に並列に接続されていることが好ましい。このように並列に接続された発電要素においては、一の発電要素が短絡した場合に、他の発電要素から当該一の発電要素へと集中して電子が流れ込む。すなわち、電池短絡時にジュール発熱が大きくなり易い。言い換えれば、このように並列接続された複数の発電要素20、20、…を備える全固体電池100において、短絡電流分散体10を設けることによる効果がより顕著となる。発電要素20同士を電気的に接続するための部材としては、従来公知の部材を用いればよい。例えば、上述したように、正極集電体層21に正極集電タブ21aを設け、負極集電体層25に負極集電タブ25aを設け、当該タブ21a、25aを介して発電要素20同士を電気的に並列に接続することができる。
全固体電池100において、短絡電流分散体10の第1の集電体層11が発電要素20の正極集電体層21と電気的に接続されており、短絡電流分散体10の第2の集電体層12が発電要素20の負極集電体層25と電気的に接続されている。このように、短絡電流分散体10と発電要素20とを電気的に接続することで、例えば、短絡電流分散体10及び一部の発電要素(例えば、発電要素20a)の短絡時に、他の発電要素(例えば発電要素20b)から短絡電流分散体10へと大きな回り込み電流を発生させることができる。短絡電流分散体10と発電要素20とを電気的に接続するための部材としては、従来公知の部材を用いればよい。例えば、上述したように、第1の集電体層11に第1の集電タブ11aを設け、第2の集電体層12に第2の集電タブ12aを設け、当該タブ11a、12aを介して短絡電流分散体10と発電要素20とを電気的に接続することができる。
短絡電流分散体10と複数の発電要素20、20、…とは、互いに積層されていればよい。この場合、短絡電流分散体10と発電要素とを直接積層してもよいし、他の層(絶縁層や断熱層等)を介して間接的に積層してもよい。短絡電流分散体10は、複数の発電要素20、20、…の外側に積層されていてもよいし、複数の発電要素20、20、…の間に積層されていてもよいし、複数の発電要素20、20、…の外側と複数の発電要素20、20、…の間との双方に積層されていてもよい。特に、図1に示すように、短絡電流分散体10と複数の発電要素20、20、…とを積層した場合において、短絡電流分散体10が複数の発電要素20、20、…よりも外側に少なくとも設けられていることが好ましい。これにより、釘刺し試験時、短絡電流分散体10が発電要素20、20、…よりも先に短絡し、発電要素20から短絡電流分散体10へと回り込み電流を発生させることができ、発電要素20の内部における発熱を抑制できる。
全固体電池100においては、短絡電流分散体10が、発電要素20のできるだけ多くの部分を覆っていることで、釘刺し時に、発電要素20よりも先に短絡電流分散体10を短絡させ易くなる。例えば、全固体電池100においては、短絡電流分散体10と複数の発電要素20、20、…との積層方向から見た時に、短絡電流分散体10の外縁が発電要素20、20、…の外縁よりも外側に存在していることが好ましい。或いは、図1に示すように、複数の発電要素20、20、…の積層方向と発電要素20における各層21〜25の積層方向とが同じである場合において、短絡電流分散体10と複数の発電要素20、20、…との積層方向から見た時に、短絡電流分散体10の外縁が正極材層22、固体電解質層23及び負極材層24の外縁よりも外側に存在するとよい。このようにすることで、図1、4に示すように、短絡電流分散体10の外縁近傍に、拘束圧力が付与されない領域を設けることができ、ここに接着材14を設けることができる。
本開示の全固体電池100の特徴部分である短絡電流分散体10における接着材14の位置について説明する。図4に示すように、短絡電流分散体10において、接着材14は、拘束部材30による拘束圧力が付与されない領域に設けられていることが重要である。これにより、拘束圧力による接着材14の割れを抑制でき、短絡電流分散体10の性能の面内バラつきを抑制することができる。
図7に全固体電池100の製造方法の一例(製造方法S10)についてその流れを示す。図7に示すように、製造方法S10は、第1の集電体層11と絶縁層13と第2の集電体層12とを積層し、接着材14で接着することにより、短絡電流分散体10を作製する第1工程S1、正極集電体層21と正極材層22と固体電解質層23と負極材層24と負極集電体層25とを積層することにより、発電要素20を作製する第2工程S2、短絡電流分散体10と発電要素20とを各層の積層方向に沿って積層する第3工程S3、及び、積層された短絡電流分散体10と発電要素20とを拘束部材30によって拘束しつつ、前記積層方向に沿って拘束圧力を付与する第4工程S4、を備えている。製造方法S10においては、第4工程において拘束部材30による拘束圧力が付与されない領域に接着材14が配置されるように、第1工程において短絡電流分散体10に設けられる接着材10の位置が決定されることが重要である。
第1工程S1は、第1の集電体層11と絶縁層13と第2の集電体層12とを積層し、接着材14で接着することにより、短絡電流分散体10を作製する工程である。
第2工程S2は、正極集電体層21と正極材層22と固体電解質層23と負極材層24と負極集電体層25とを積層することにより、発電要素20を作製する工程である。
第3工程S3は、短絡電流分散体10と発電要素20とを各層の積層方向に沿って積層する工程である。第3工程S3は、本願明細書等を参照した当業者にとって自明であることから、詳細な説明は省略する。
第4工程S4は、積層された短絡電流分散体10と発電要素20とを拘束部材30によって拘束しつつ、前記積層方向に沿って拘束圧力を付与する工程である。拘束部材30による拘束の形態については、上述の通りである。第4工程S4は、積層された短絡電流分散体10と発電要素20とをラミネートフィルムやステンレス鋼缶等の電池ケース内に封入する前に行い、短絡電流分散体10と発電要素20とを拘束部材30とともに電池ケース内に封入してもよいし、短絡電流分散体10と発電要素20とを電池ケースに封入後、電池ケースの外部から拘束部材30によって拘束圧力を付与してもよい。第4工程S4は、本願明細書等を参照した当業者にとって自明であることから、ここでは説明を省略する。
図8〜10に好ましい形態に係る第1工程S1の流れを示す。図8〜10に示すように、第1工程S1は、好ましい形態において、帯状の絶縁層13の一面の一部と他面の一部とに、該帯状の絶縁層13の長手方向に沿って、接着材14を直線状に設ける工程S1a、S1b(図9(A)及び(B)、図10(A)及び(B))、接着材14が設けられた帯状の絶縁層13を複数の矩形状に切断する工程S1c(図9(C)、図10(C))、及び、接着材14が設けられた絶縁層13の一面に、接着材14を介して第1の集電体層11を積層して接着し、接着材14が設けられた絶縁層13の他面に、接着材14を介して第2の集電体層12を積層して接着する工程S1d(図9(D)、図10(D))を備えており、これによって、図6に示すような短絡電流分散体10を作製することができる。このような工程S1a〜S1dは、連続する生産ラインにおいて実施可能である。例えば、絶縁フィルムロールから帯状の絶縁フィルムを連続的に捲き出すとともに、ロールよりも下流側に、絶縁フィルムの両面の所定の箇所に連続的にバインダー溶液を塗工する装置(ダイ塗工機やグラビア塗工機)を設置し、その下流側に、絶縁フィルムの表面に塗工されたバインダー溶液を乾燥させる装置を設置し、その下流側に、絶縁フィルムを断続的に切断する切断機を設置し、さらにその下流側において、集電箔と絶縁フィルムとを接着材を介して接着する。このように、工程S1a〜S1dによって、短絡電流分散体10を生産性が高まるものと考えられる。
上記説明においては、二つの第1の集電体層と二つの絶縁層と一つの第2の集電体層とによって短絡電流分散体が構成される形態について示したが、本開示の全固体電池はこの形態に限定されるものではない。短絡電流分散体は、第1の集電体層と第2の集電体層との間に絶縁層を有するものであればよく、各層の数は特に限定されない。ただし、図6及び図10(D)に示したように、5層構造を有するものとすることで、絶縁層13、13同士を接着材14によって接着することもできることから、短絡電流分散体の接着強度が高まるものと考えられる。
11 第1の集電体層
11a 第1の集電タブ
12 第2の集電体層
12a 第2の集電タブ
13 絶縁層
14 接着材
20 発電要素
21 正極集電体層
21a 正極集電タブ
22 正極材層
23 固体電解質層
24 負極材層
25 負極集電体層
25a 負極集電タブ
30 拘束部材
100 全固体電池
Claims (15)
- 短絡電流分散体と発電要素とが積層され、拘束部材によって積層方向に拘束圧力が付与された全固体電池であって、
前記短絡電流分散体において、前記積層方向に沿って、第1の集電体層と第2の集電体層と前記第1の集電体層及び前記第2の集電体層の間に設けられた絶縁層とが積層されるとともに接着材によって接着されており、
前記発電要素において、前記積層方向に沿って、正極集電体層と正極材層と固体電解質層と負極材層と負極集電体層とが積層されており、
前記第1の集電体層が前記正極集電体層と電気的に接続されており、
前記第2の集電体層が前記負極集電体層と電気的に接続されており、
前記短絡電流分散体において、前記接着材は、前記拘束部材による拘束圧力が付与されない領域に設けられている、
全固体電池。 - 前記積層方向視において、前記接着材が、前記正極材層、前記固体電解質層及び前記負極材層よりも外側に設けられる、
請求項1に記載の全固体電池。 - 前記第1の集電体層及び前記第2の集電体層がそれぞれ集電タブを備えており、
前記接着材が前記集電タブに設けられている、
請求項1又は2に記載の全固体電池。 - 前記積層方向視において、
前記集電タブを除いた前記第1の集電体層の面積が前記絶縁層の面積よりも小さく、
前記集電タブを除いた前記第2の集電体層の面積が前記絶縁層の面積よりも小さく、
前記接着材が前記絶縁層のうち前記第1の集電体層及び前記第2の集電体層の外縁よりも外側に突出した領域に設けられている、
請求項3に記載の全固体電池。 - 前記接着材が直線形状である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の全固体電池。 - 前記短絡電流分散体は、前記第1の集電体層と前記絶縁層と前記第2の集電体層と前記絶縁層と前記第1集電体層とがこの順に積層された5層構造を有する、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の全固体電池。 - 少なくとも一つの前記短絡電流分散体と複数の前記発電要素とが積層されており、複数の前記発電要素が電気的に並列に接続されている、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の全固体電池。 - 第1の集電体層と絶縁層と第2の集電体層とを積層し、接着材で接着することにより、短絡電流分散体を作製する第1工程、
正極集電体層と正極材層と固体電解質層と負極材層と負極集電体層とを積層することにより、発電要素を作製する第2工程、
前記短絡電流分散体と前記発電要素とを各層の積層方向に沿って積層する第3工程、及び、
積層された前記短絡電流分散体と前記発電要素とを拘束部材によって拘束しつつ、前記積層方向に沿って拘束圧力を付与する第4工程、
を備え、
前記第4工程において前記拘束部材による拘束圧力が付与されない領域に前記接着材が配置されるように、前記第1工程において前記短絡電流分散体に設けられる前記接着材の位置が決定される、
全固体電池の製造方法。 - 前記積層方向視において、前記接着材が、前記正極材層、前記固体電解質層及び前記負極材層よりも外側に設けられるように、前記第1工程において、前記短絡電流分散体における接着材の位置が決定される、
請求項8に記載の製造方法。 - 前記第1の集電体層及び前記第2の集電体層がそれぞれ集電タブを備えており、
前記第1工程において、前記接着材を介して前記集電タブと前記絶縁層とを接着する、
請求項8又は9に記載の製造方法。 - 前記積層方向視において、
前記集電タブを除いた前記第1の集電体層の面積が前記絶縁層の面積よりも小さく、
前記集電タブを除いた前記第2の集電体層の面積が前記絶縁層の面積よりも小さく、
前記第1工程において、前記接着材を、前記絶縁層のうち前記第1の集電体層及び前記第2の集電体層の外縁よりも外側に突出した領域に設ける、
請求項10に記載の製造方法。 - 前記接着材を直線形状とする、
請求項8〜11のいずれか1項に記載の製造方法。 - 前記第1工程において、前記第1の集電体層と前記絶縁層と前記第2の集電体層と前記絶縁層と前記第1集電体層とをこの順に積層する、
請求項8〜12のいずれか1項に記載の製造方法。 - 少なくとも一つの前記短絡電流分散体と複数の発電要素とを積層し、前記短絡電流分散体と前記発電要素とを電気的に接続するとともに、複数の前記発電要素を電気的に並列に接続する、
請求項8〜13のいずれか1項に記載の製造方法。 - 前記第1工程において、
帯状の絶縁層の一面の一部と他面の一部とに、該帯状の絶縁層の長手方向に沿って、接着材を直線状に設ける工程、
前記接着材が設けられた前記帯状の絶縁層を複数の矩形状に切断する工程、及び、
前記接着材が設けられた前記絶縁層の一面に、前記接着材を介して第1の集電体層を積層して接着し、前記接着材が設けられた前記絶縁層の他面に、前記接着材を介して第2の集電体層を積層して接着する工程
によって、前記短絡電流分散体を作製する、
請求項8〜14のいずれか1項に記載の製造方法。
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