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JP6572904B2 - パターン、パターン付き基材及びタッチパネル - Google Patents

パターン、パターン付き基材及びタッチパネル Download PDF

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Description

本発明は、透明基材の両面に形成される導電性のパターン、パターン付き基材及びタッチパネルに関する。
静電容量式タッチパネルは、配列された複数のX軸透明電極及び複数のY軸透明電極を備え、これらの電極と人間の指との間での静電気結合に基づく静電容量の変化に伴って発生する誘導電流を利用して、該タッチパネル上の位置座標を検知する。
従来、このようなタッチパネルは、X軸透明電極とY軸透明電極を別々の2枚の基板上に形成し、X軸、Y軸透明電極間を絶縁材料で隔てた上で2枚の基板を貼り合わせて作成されるため、軽量化や薄膜化に不利であり、また、貼り合わせに際して、X軸、Y軸透明電極間の位置合わせを行う必要があるため加工プロセスが困難であり、更に歩留りを向上する観点でも更なる改善の余地があった。
このようなタッチパネルに用いられるX軸透明電極、Y軸透明電極(以下、これらを総じて、透明導電膜という場合がある。)としては、インジウム−スズの複合酸化物(ITO)をスパッタリング法で製膜したものが使用されてきた。
なお、特許文献1は、1枚の基材の両面に導電層を形成する方法を開示している。
特開2007−304689号公報 特開2014−38992号公報 特開2014−120353号公報
ところで、ITOのような透明導電膜に代わる新たな透明導電膜が提案されている。
例えば、銀、銅などを主成分とした導電性細線により構成された線パターン、格子パターン、ランダムパターンなどからなるメタルメッシュタイプの透明導電膜が提案されている。
しかし、このようなメタルメッシュタイプの透明導電膜の形成法は、真空プロセスやフォトリソプロセスを用いて細線形成するものであり、設備コストが高価なものになる。
一方で、印刷法により、細線をダイレクトに形成する方法も提案されているが、線を見えにくくするために必要とされている線幅10μm以下を低コストで安定に製造することは困難であった。
これに対して、本出願人は、これまでに、インクジェット法を用いて、細線パターンからなる透明導電膜を形成する方法を開示している(特許文献2、3)。
この方法では、基材の表面に、導電性材料を含む液体を、1本の線分パターンとして付与する。このとき、基材の表面特性、導電性材料を含む液体の特性、パターニングの方法(基材表面への液体の付与方法)、乾燥条件等を制御することによって、該液体の乾燥過程において、該液体中における導電性材料の分布を、自発的に、若しくは自己組織化的に、不均一化し、幅手方向に2極化し、ついには互いに平行である2本の線分を形成するように分離させる。
このような平行線により構成されるパターンは、各線分が線幅10μm以下を達成することができ、視認されにくい性質を有し、さらに、低抵抗化も実現できる。
本発明者は、更に検討し、このような平行線により構成されるパターンは、線分間の配置間隔を適宜設定できる等、線分配置の規則性を付与し易く、これを基材の両面に設けることにより、透明基材を通して両面のパターンを見たときの低視認性を向上できる効果が奏されることを見いだした。特に、表面のパターンと裏面のパターンとの間で、線分配置の規則性を関連付けることにより、透明基材を通して両面のパターンを見たときの低視認性を顕著に向上できることがわかった。
そこで本発明の課題は、透明基材を通して両面のパターンを見たときの低視認性を向上できるパターン、パターン付き基材及びタッチパネルを提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
1.
機能性を持つパターンであって、
透明基材の両面に、
導電性材料を含有する2本1組の平行線を1組以上有し、
何れか一方の面の前記1組以上の平行線は、導電性材料が液体の動きにより分離された結果形成されたものであるパターン。
2.
前記透明基材の表面と裏面のそれぞれに、導電性材料が液体の動きにより分離された結果形成された平行線を1組以上備える前記1記載のパターン。
3.
前記透明基材の表面と裏面との間で、前記平行線の配置が相互に調整されている前記1又は2記載のパターン。
4.
前記透明基材の表面に形成した前記平行線のピッチに対して、前記透明基材の裏面に形成した前記平行線のピッチが、±20%の範囲になるように調整されている前記1〜3の何れかに記載のパターン。
5.
前記透明基材の表面に、線間隔Lの平行線を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線は、互いに交差せず、かつ、互いに配置間隔Lで配置されており、
前記透明基材の裏面に、線間隔Lの平行線を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線は、互いに交差せず、かつ、互いに配置間隔Lで配置されており、
前記透明基材を通して見たときに、表面の前記少なくとも2組の平行線と、裏面の前記少なくとも2組の平行線とが、互いに交差しない前記1〜4の何れかに記載のパターン。
6.
前記透明基材の表面に、線間隔Lの平行線を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線は、互いに交差せず、かつ、互いにLより大きい配置間隔で配置されており、
前記透明基材の裏面に、線間隔Lの平行線を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線は、互いに交差せず、かつ、互いにLより大きい配置間隔で配置されており、
前記透明基材を通して見たときに、表面の前記少なくとも2組の平行線と、裏面の前記少なくとも2組の平行線とが、互いに交差しない前記1〜4の何れかに記載のパターン。
7.
前記透明基材の表面に、線間隔La1の第1の平行線を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線は、互いに交差せず、かつ、互いにLa1より大きい配置間隔で配置されており、
さらに、前記透明基材の表面に、線間隔La2の第2の平行線を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線は、互いに交差せず、かつ、互いにLa2より大きい配置間隔で配置されており、
さらに、前記第1の平行線と前記第2の平行線は、角度αで交差しており、
前記透明基材の裏面に、線間隔Lb1の第3の平行線を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線は、互いに交差せず、かつ、互いにLb1より大きい配置間隔で配置されており、
さらに、前記透明基材の裏面に、線間隔Lb2の第4の平行線を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線は、互いに交差せず、かつ、互いにLb2より大きい配置間隔で配置されており、
さらに、前記第3の平行線と前記第4の平行線は、角度βで交差しており、
前記透明基材を通して見たときに、表面の前記第1の平行線と、裏面の前記第3の平行線は、互いに交差せず、かつ、表面の前記第2の平行線と、裏面の前記第4の平行線は、互いに交差しない前記1〜4の何れかに記載のパターン。
8.
前記透明基材を通して見たときに、前記透明基材の両面の前記平行線が重なり合って格子状パターンが呈され、該格子状パターンを構成する各線分の線間隔は、100μm〜400μmの範囲であり、かつ標準偏差が30未満である前記1記載のパターン。
9.
前記格子状パターンにおいて、互いに隣接する2本1組の前記平行線は、前記透明基材の両面に、1組ずつ交互に割り当てられている前記8記載のパターン。
10.
前記格子状パターンにおいて、互いに隣接する2本1組の前記平行線は、前記透明基材の両面に、複数組ずつ交互に割り当てられている前記8記載のパターン。
11.
前記1〜10の何れかに記載のパターンを透明基材に備えてなるパターン付き基材。
12.
前記11記載のパターン付き基材を備えたタッチパネル。
本発明によれば、両面全体での低視認性を向上できるパターン、パターン付き基材及びタッチパネルを提供することができる。
導電性材料を液体の動きにより分離して1組の平行線を形成する方法の一例を概念的に説明する斜視断面図 タッチパネルの電極基材の一例を示す平面図 本発明のパターンの第1態様を説明する図 透明基材の表面と裏面との間で平行線の配置を相互に調整するための方法を説明するためのフローチャート 本発明のパターンの第2態様を説明する図 本発明のパターンの第3態様を説明する図 本発明のパターンの第4態様を説明する図 本発明のパターンの第5態様を説明する図 本発明のパターンの第6態様を説明する図 図9における要部拡大図 本発明のパターンの第7態様を説明する図 基材上に形成された平行線の一例を示す斜視断面図
本発明のパターンは、透明基材(以下、単に基材という場合がある)の両面に、導電性材料を含有する2本1組の平行線を1組以上有してなり、機能性を持つ。ここで、何れか一方の面の前記1組以上の平行線は、導電性材料が液体の動きにより分離された結果形成されたものである。
以下に詳述するように、導電性材料が液体の動きにより分離された結果形成された平行線を1組以上含むパターンは、該平行線を構成する線分を簡単に細線化でき、更に各線分の配置間隔を適宜設定できる等、パターンに規則性を付与し易く、これを透明基材の両面に設けることにより、該透明基材を通して両面のパターンを見たときの低視認性を向上できる効果が奏される。低視認性というのは、当該パターンが視認されにくい性質のことである。特に、透明基材の表面と裏面との間で、パターンの規則性を相互に関連付けることにより、該透明基材を通して両面のパターンを見たときの低視認性を顕著に向上できる。
以下に、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳しく説明する。
図1は、導電性材料を液体の動きにより分離して1組の平行線を形成する方法の一例を概念的に説明する斜視断面図である。
図1において、1は、透明基材であり、2は、導電性材料を含む液体であり、3は、液体2の縁に導電性材料を選択的に堆積させることにより形成される平行線である。
図1(a)に示すように、基材1の表面に、導電性材料を含む液体2をライン状に付与する。
図1(b)に示すように、導電性材料を含むライン状液体2を蒸発させ、乾燥させる際に、コーヒーステイン現象を利用して、ライン状液体2の縁に導電性材料を選択的に堆積させる。
コーヒーステイン現象を促進させるように、ライン状液体2を乾燥させる際の条件設定を行うことは好ましいことである。
即ち、基材1上に配置されたライン状液体2の乾燥は中央部と比べ縁において速く、ライン状液体2の縁に導電性材料の局所的な堆積が起こる。この堆積した導電性材料によりライン状液体2の縁が固定化された状態となり、それ以降の乾燥に伴うライン状液体2の幅方向の収縮が抑制される。ライン状液体2の液体は、縁で蒸発により失った分の液体を補うように中央部から縁に向かう流動を形成する。この流動によって更なる導電性材料が縁に運ばれて堆積する。この流動は、乾燥に伴うライン状液体2の接触線の固定化とライン状液体2中央部と縁の蒸発量の差に起因する。そのため、この対流を促進させるように、導電性材料濃度、ライン状液体2と基材1の接触角、ライン状液体2の量、基材1の加熱温度、ライン状液体2の配置密度、又は温度、湿度、気圧の環境因子等の条件を設定することが好ましい。
その結果、図1(c)に示すように、基材1上に、導電性材料を含み、互いに平行な2本の線分31、32が形成される。
1本のライン状液体2から、2本の線分31、32を形成することができる。
各線分31、32の線幅は、ライン状液体2の付与幅よりも十分に細いものとすることができる。
各線分31、32の形成位置は、ライン状液体2の付与位置の設定などにより適宜設定できる。
また、各線分31、32の配置間隔は、ライン状液体2の付与幅の設定などにより適宜設定することができる。
本明細書では、上記のように、導電性材料を液体の動きにより分離して形成した線分31、32の組合せを、1組の(あるいは2本の)平行線3という。
基材1の表面と裏面の両方に、このような平行線3を含むパターンを形成することができる。平行線3は、例えば、焼成処理やメッキ処理等の後処理が施されたものであってもよい。
基材上へのライン状液体の付与は、例えば液滴吐出装置を用いて行うことができる。具体的には、液滴吐出装置を基材に対して相対移動させながら、液滴吐出装置のノズルから導電性材料を含む液体を吐出し、吐出された液滴が基材上で合一することで、導電性材料を含むライン状液体を形成することができる。液滴吐出装置は、例えば、インクジェット記録装置が備えるインクジェットヘッドにより構成することができる。
本発明のパターンを透明基材に備えてなるパターン付き基材の用途は格別限定されないが、例えば静電容量式などのタッチパネルの電極基材(電極基板ともいう)として特に好適に用いることができる。
図2は、タッチパネルの電極基材の一例を示す平面図である。
タッチパネルの電極基材は、透明基材1の表面に、X軸方向に沿う帯状のX軸透明電極11が複数並設され、裏面に、Y軸方向に沿う帯状のY軸透明電極12が複数並設されている。
透明基材1を通して見たときに、帯状のX軸透明電極11と帯状のY軸透明電極12は、交差部13において、透明基材1の厚みに対応する距離を隔てて交差している。
かかる交差部13に対応する領域においては、透明基材1を介して、帯状のX軸透明電極11と帯状のY軸透明電極12とが重なった状態になる。
従来のタッチパネルの電極基材では、帯状のX軸透明電極と帯状のY軸透明電極は、それぞれ、ITO蒸着膜のようなベタ膜により構成されてきた。
これに対して、本発明では、帯状のX軸透明電極11と帯状のY軸透明電極12を、導電性材料を含む細線の集合体により構成することができる。特に、細線として、導電性材料を液体の動きにより分離して形成した平行線を用いることで、低視認性を向上することができる。特に、平行線の配置を調整して、透明基材の表面と裏面との間で、パターンの規則性を相互に関連付けることにより、該透明基材を通して両面のパターンを見たときの低視認性を顕著に向上できる。
以下に、本発明のパターンについて、複数の態様を挙げて更に詳しく説明する。以下に図示されるパターンは、本発明の一つの局面において、上述したタッチパネルの電極基材における交差部13中の一部分を拡大した拡大図に対応し得る。
図3は、本発明のパターンの第1態様を説明する図である。
透明基材1の表面には、導電性材料を含有する2本1組の平行線3が複数組設けられている。各々の平行線3は、導電性材料を液体の動きにより分離して形成した線分31、32の組合せからなる。
透明基材1の裏面にも、導電性材料を含有する2本1組の平行線4が複数組設けられている。各々の平行線4は、導電性材料を液体の動きにより分離して形成した線分41、42の組合せからなる。なお、原則として、本明細書で説明する表面の平行線は、図中、実線で表し、裏面の平行線は、図中、破線で表している。
透明基材1の表面と裏面との間で、平行線3、4の配置が相互に調整されていることが好ましい。
例えば、透明基材1の表面に形成した平行線3のピッチに対して、裏面に形成した平行線4のピッチが、±20%の範囲になるように調整されていることが好ましく、±10%の範囲になるように調整されていることがより好ましく、±5%の範囲になるように調整されていることが最も好ましい。これにより、低視認性を更に向上することができる。ここで、平行線3のピッチとは、表面に複数並設された線分31、32のピッチのことであり、平行線4のピッチとは、裏面に複数並設された線分41、42のピッチのことである。
さらに、図示の例では、透明基材1の表面に、線間隔Lの平行線3を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線3は、互いに交差せず、かつ、互いに配置間隔Lで配置されている。
なお、本明細書において、平行線の「線間隔」とは、当該平行線を構成する線分31、32間の間隔であり、平行線の「配置間隔」とは、互いに隣接する2組の平行線3間の間隔である。
また、透明基材1の裏面に、線間隔Lの平行線4を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線4は、互いに交差せず、かつ、互いに配置間隔Lで配置されている。
そして、透明基材1を通して見たときに、表面の前記少なくとも2組の平行線3と、裏面の前記少なくとも2組の平行線4とが、互いに交差しないように配置されている。なお、本明細書において、「透明基材を通して見る」とは、透明基材を、該透明基材に対して垂直な方向に透視することを意味する。
このような配置とすることで、低視認性を更に向上することができる。
特に、図示されるように、L=Lの関係を満たすことが好ましく、また、透明基材1を通して見たときに、透明基材1の表面の平行線3と、裏面の平行線4とが、互いにずれている(重ならない)ことが好ましく、具体的には、L/2ずれて配置されていることが好ましい。これにより、低視認性を更に向上することができる。
このような配置間隔を設定することにより、透明基材1を通して見たときに、表面の平行線3を構成する線分31、32から選ばれる線分と、裏面の平行線4を構成する線分41、42から選ばれる線分とが、1本ずつ交互に配置されることが好ましい。
図示されるように、透明基材1を通して見たときに、透明基材1の両面の平行線3、4が重なり合ってストライプ状パターンが呈され、該ストライプ状パターンを構成する各線分31、32、41及び42の線間隔が、実質的に等しいことが好ましい。本明細書において、各線分の線間隔が「実質的に等しい」とは、好ましくは、標準偏差が30未満であることを意味する。
透明基材1の表面と裏面との間で、平行線3、4の配置を相互に調整するための方法は、格別限定されるものではないが、例えば、図4に例示するようなフローチャートに従って、調整を行うことができる。ここでは、一例として、L及びLを相互に調整する場合を説明する。
まず、透明基材表面への印字のために仮設定された所定の印字条件で、表面の平行線を形成する(S1)。
次いで、表面の平行線における線間隔Lを測定する(S2)。
次いで、透明基材裏面への印字のために仮設定された所定の印字条件で、裏面の平行線を形成する(S3)。
次いで、裏面の平行線における線間隔Lを測定する(S4)。
次いで、表面の平行線における線間隔Lと、裏面の平行線における線間隔Lの差を求め、その差が所定の範囲、好ましくは±20%の範囲内であるか否かを判定する(S5)。
所定の範囲内ではないと判定された場合、裏面印字のために仮設定されていた所定の印字条件を変更して再設定し(S6)、その後、裏面印字のステップ(S3)に戻る。
一方、所定の範囲内と判定された場合、調整は終了し(S7)、表面印字及び裏面印字のために仮設定されていた所定の印字条件を、本設定とすることができる。
なお、上記の例に限定されず、例えば、所定の範囲内ではないと判定された場合に、表面印字のために仮設定されていた所定の印字条件を変更して再設定し、その後、表面印字のステップ(S1)に戻るようにしてもよい。
上記の例では、透明基材1の表面と裏面との間で、平行線3、4の配置を相互に調整する例として、L及びLを相互に調整する場合の一例を説明したが、L及びL以外の他の配置条件を相互に調整する場合においても、例えばトライアンドエラー方式により印字条件に変更を加えつつ、適した印字条件を設定することができる。これにより、例えば、透明基材1の表面の平行線3と、裏面の平行線4とが、互いにL/2ずれて配置されるように調整する場合などにも用いることができる。本発明では、平行線を用いるため、上記のような調整を容易に行うことができる。
また、表面印字などにおいて透明基材を加熱する処理を行う場合は、透明基材が熱変形するときがあるが、上記のような調整を行うことで、基材の変形も考慮した上で、透明基材1の表面と裏面との間で、平行線3、4の配置を相互に調整できる。したがって、透明基材が、熱変形しやすい場合、例えば樹脂製(例えば樹脂フィルム等)である場合などに、特に効果が顕著になる。
図5は、本発明のパターンの第2態様を説明する図である。
図示の例では、透明基材1の表面に、線間隔Lの平行線3を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線3は、互いに交差せず、かつ、互いにLより大きい配置間隔で配置されている。
また、透明基材の裏面に、線間隔Lの平行線4を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線4は、互いに交差せず、かつ、互いにLより大きい配置間隔で配置されている。
このような配置間隔を設定することにより、透明基材1を通して見たときに、表面の平行線3と、裏面の平行線4とが、1組ずつ交互に配置されることが好ましい。
そして、透明基材1を通して見たときに、表面の前記少なくとも2組の平行線3と、裏面の前記少なくとも2組の平行線4とが、互いに交差しないように配置されている。
このような配置とすることで、低視認性を更に向上することができる。
図示されるように、表面の平行線3のピッチを4Lとし、裏面の平行線4のピッチを4Lとすることが好ましい。
図示されるように、透明基材1を通して見たときに、透明基材1の両面の平行線3、4が重なり合ってストライプ状パターンが呈され、該ストライプ状パターンを構成する各線分31、32、41及び42の線間隔が、実質的に等しいことが好ましい。
図6は、本発明のパターンの第3態様を説明する図である。
透明基材1の表面に、線間隔La1の第1の平行線3Aを複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線3Aは、互いに交差せず、かつ、互いにLa1より大きい配置間隔で配置されている。
さらに、透明基材1の表面に、線間隔La2の第2の平行線3Bを複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線3Bは、互いに交差せず、かつ、互いにLa2より大きい配置間隔で配置されている。
第1の平行線3Aと第2の平行線3Bは、角度αで交差している。角度αは、格別限定されないが、図示されるように、90°であることが好ましい。
また、透明基材1の裏面に、線間隔Lb1の第3の平行線4Aを複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線4Aは、互いに交差せず、かつ、互いにLb1より大きい配置間隔で配置されている。
さらに、透明基材1の裏面に、線間隔Lb2の第4の平行線4Bを複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線4Bは、互いに交差せず、かつ、互いにLb2より大きい配置間隔で配置されている。
第3の平行線4Aと第4の平行線4Bは、角度βで交差している。角度βは、格別限定されないが、図示されるように、90°であることが好ましい。
そして、透明基材1を通して見たときに、表面の第1の平行線3Aと、裏面の第3の平行線4Aは、互いに交差せず、かつ、表面の第2の平行線3Bと、裏面の第4の平行線4Bは、互いに交差しないように配置されている。
図示されるように、透明基材1を通して見たときに、透明基材1の両面の平行線3A、3B、4A及び4Bが重なり合って格子状パターンが呈され、該格子状パターンを構成する各線分31、32、41及び42の線間隔が、実質的に等しいことが好ましい。
図示されるように、透明基材1を通して見たときに呈される格子状パターンにおいて、互いに隣接する2本1組の平行線は、透明基材1の両面に、1組ずつ交互に割り当てられていることが好ましいが、これに限定されるものではない。これについて、以下に図7を参照して説明する。
図7は、本発明のパターンの第4態様を説明する図である。
図示されるように、透明基材1を通して見たときに呈される格子状パターンにおいて、互いに隣接する2本1組の平行線3、4は、透明基材1の両面に、複数組(図示の例では2組)ずつ交互に割り当てられていることも好ましいことである。
図8は、本発明のパターンの第5態様を説明する図である。
ここでも、図6及び図7の例と同様に、透明基材1を通して見たときに、透明基材1の両面の平行線が重なり合って格子状パターンが呈される。なお、図8においては、表面の平行線と裏面の平行線を共に実線で表している。
格子状パターンを構成する各線分の線間隔(a1、a2、a3、・・・、及び、b1、b2、b3、・・・)は、50μm〜5000μmの範囲であることが好ましく、100μm〜400μmの範囲であることがより好ましい。また、特に導電性の確保の観点では、格子状パターンの前記線間隔を50μm〜400μmの範囲とすることが好ましい。更にまた、特に大面積で平行線パターン形成する際において、表面の平行線と裏面の平行線との位置合わせ精度の許容範囲を大きくする観点では、前記線間隔を400μm〜4000μmの範囲とすることも好ましい。
格子状パターンを構成する各線分の線間隔(a1、a2、a3、・・・、及び、b1、b2、b3、・・・)は、標準偏差が30未満であることが好ましい。標準偏差は、図示するように、互いに並設される関係にある線分群における線間隔を測定し、これらの測定値に基づいて算出される。図示の例では、互いに交差する2つの線分群、即ち、左上から右下に向かう線分群と、左下から右上に向かう線分群とについて、それぞれ線間隔(a1、a2、a3、・・・、又は、b1、b2、b3、・・・)を測定し、それぞれの標準偏差を算出するようにしている。2つの線分群それぞれの標準偏差が30未満であることが特に好ましい。
このような格子状パターンにおいて、複数の1組2本の平行線は、透明基材の表面又は裏面に、それぞれ割り当てられる。例えば、互いに隣接する2本1組の平行線は、透明基材の両面に、1組又は2以上の所定数の組ずつ、交互に割り当てられていることが好ましい。
図9及び図10は、本発明のパターンの第6態様を説明する図である。図10は、図9における要部拡大図であり、図10(a)は、透明基材の表面に形成された平行線の交差部分の拡大図であり、図10(b)は、透明基材の裏面に形成された平行線の交差部分の拡大図である。
まず、透明基材1の表面において、先に形成された第1の平行線3Aに対して交差するように形成された第2の平行線3Bは、先に形成された第1の平行線3Aの影響を受けやすい。
具体的には、例えば、透明基材の表面エネルギーと、既に第1の平行線3Aが形成された領域の表面エネルギーとの相違によって、第2の平行線3Bを形成するためのライン状液体は、既に第1の平行線3Aが形成された領域において、他の領域よりも、濡れ広がりが大きくなったり、逆に、濡れ広がりが小さくなったりする。その結果、図10(a)に示すように、第2の平行線(図中、(i)の矢印に沿う平行線)3Bを構成する線分31、32間の間隔が、既に第1の平行線(図中、(ii)の矢印に沿う平行線)3Aが形成された領域において、局所的に、大きくなったり、逆に、小さくなったりする。ここでは、この間隔が、大きくなる場合を示している。この間隔が大きくなった部位を、以下の説明では、膨張部位と称する。
透明基材1を表面側から見たときに、第2の平行線3Bにおける膨張部位3Cの膨張方向(当該平行線を構成する線分間の間隔が大きくなる方向)は、図中、左上−右下の方向である。
同様に、透明基材1の裏面においても、先に形成された第3の平行線4Aに対して交差するように形成された第4の平行線4Bは、先に形成された第3の平行線4Aの影響を受けやすい。ここでは、図10(b)に示すように、第4の平行線(図中、(ii)の矢印に沿う平行線)4Bを構成する線分41、42間の間隔が、既に第3の平行線(図中、(i)の矢印に沿う平行線)4Aが形成された領域において、局所的に、大きくなり、膨張部位4Cを形成している。
透明基材1を表面側から見たときに、第4の平行線4Bにおける膨張部位4Cの膨張方向は、図中、右上−左下の方向である。
以上のように、透明基材1の表面及び裏面のそれぞれにおいて、膨張部位3C、4Cが形成されているが、これらの膨張方向は、表面と裏面とで互いに異なっている。そして、膨張方向が同じである膨張部位同士が、千鳥状に配置されていることによって、膨張方向が同じである膨張部位同士が、偏って分布しないようにしている。
このように、透明基材1を通して見たときに、膨張方向が同じである膨張部位同士が偏って分布しないことが好ましく、これにより、低視認性を更に向上することができる。例えば、図示の例のように、千鳥配置などの配置を適用することで、膨張方向が同じである膨張部位同士の間隔が大きくなるように調整することが好ましい。
図10(a)及び(b)に示したように、膨張部位における膨張方向は、平行線を形成する順番により適宜設定可能である。
また、以上の説明では、平行線を構成する線分間の間隔が大きくなる膨張部位の膨張方向について示したが、この説明は、平行線を構成する線分間の間隔が小さくなる収縮部位の収縮方向についても援用することができ、収縮方向が同じである収縮部位同士が偏って分布しないことが好ましい。
図11は、本発明のパターンの第7態様を説明する図である。
透明基材1の表面の平行線3と、裏面の平行線4によって、透明基材を通して見たときに、格子状パターンが呈されている。
本態様では、かかるパターンの形成に際して、所定の印字幅を有するインクジェットヘッド5を連結部位51で複数連結して構成された長尺ヘッド6を用いる。図示の例では、長尺ヘッド6は、インクジェットヘッド5同士を、互いに一部がオーバーラップするように、連結している。
まず、図11(a)に示すように、透明基材1の表面を、長尺ヘッド6と対向するように配置し、透明基材1の表面に対して、長尺ヘッド6を図中N方向に相対移動させながら、各々のインクジェットヘッド5からインクを吐出して、透明基材1上に、ライン状液体を付与する。その後、導電性材料が液体の動きにより分離されて、表面の平行線3が形成される。
表面の平行線3は、互いに連結された複数のインクジェットヘッド5に跨って形成されている。
次に、図11(b)に示すように、透明基材1の裏面に対して、長尺ヘッド6を図中N方向に相対移動させながら、各々のインクジェットヘッド5からインクを吐出して、透明基材1上に、ライン状液体を付与する。その後、導電性材料が液体の動きにより分離されて、裏面の平行線4が形成される。なお、図11(b)では、説明の便宜上、透明基材1を表面から見ているが、実際には、透明基材1の表裏を逆にして、透明基材1の裏面を、長尺ヘッド6と対向するように配置する。
裏面の平行線4は、互いに連結された複数のインクジェットヘッド5に跨って形成されている。
本態様では、表面の平行線3を形成する際におけるインクジェットヘッド5間の連結部51の移動経路M1と、裏面の平行線4を形成する際におけるインクジェットヘッド5間の連結部51の移動経路M2とを、透明基材1を通して見たときに、同一直線上に配置しないように調整する。
これにより、インクジェットヘッド5間の連結部51の移動経路M1及びM2に沿って、平行線3、4の形成が不安定になることがあっても、低視認性を保持できるようになる。
以上の説明では、透明基材1の両面のそれぞれに複数の平行線が形成され、これら平行線の全てが、導電性材料が液体の動きにより分離された結果形成されたものである場合について示したが、これに限定されるものではない。透明基材1の両面のそれぞれに、1組以上の平行線が形成されていればよく、ここで、導電性材料が液体の動きにより分離された結果形成された平行線は、透明基材1の表面及び裏面の何れか一方のみに形成されていればよい。好ましいのは、透明基材の表面と裏面のそれぞれに、導電性材料が液体の動きにより分離された結果形成された平行線を1組以上備えることである。
平行線に含まれる導電性材料としては、例えば、導電性微粒子、導電性ポリマー等を好ましく例示できる。
導電性微粒子としては、格別限定されないが、Au、Pt、Ag、Cu、Ni、Cr、Rh、Pd、Zn、Co、Mo、Ru、W、Os、Ir、Fe、Mn、Ge、Sn、Ga、In等の微粒子を好ましく例示でき、中でも、Au、Ag、Cuのような金属微粒子を用いると、電気抵抗が低く、かつ腐食に強い回路パターンを形成することができるので、より好ましい。コスト及び安定性の観点から、Agを含む金属微粒子が最も好ましい。これらの金属微粒子の平均粒子径は、好ましくは1〜100nmの範囲、より好ましくは3〜50nmの範囲とされる。
また、導電性微粒子として、カーボン微粒子を用いることも好ましい。カーボン微粒子としては、グラファイト微粒子、カーボンナノチューブ、フラーレン等を好ましく例示できる。
導電性ポリマーとしては、格別限定されないが、π共役系導電性高分子を好ましく挙げることができる。
π共役系導電性高分子としては、特に限定されず、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリアズレン類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類等の鎖状導電性ポリマーを利用することができる。中でも、高い導電性が得られる点で、ポリチオフェン類やポリアニリン類が好ましい。ポリエチレンジオキシチオフェンであることが最も好ましい。
導電性ポリマーは、より好ましくは、上述したπ共役系導電性高分子とポリアニオンとを含んで成ることである。こうした導電性ポリマーは、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを、適切な酸化剤と酸化触媒と、ポリアニオンの存在下で化学酸化重合することによって容易に製造できる。
ポリアニオンは、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステル及びこれらの共重合体であって、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるものである。
このポリアニオンは、π共役系導電性高分子を溶媒に可溶化させる可溶化高分子である。また、ポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性と耐熱性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、π共役系導電性高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ及び安定性の観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系導電性高分子へのドープ効果の観点より、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
ポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
また、化合物内にF(フッ素原子)を有するポリアニオンであってもよい。具体的には、パーフルオロスルホン酸基を含有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を含有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子社製)等を挙げることができる。
これらのうち、スルホン酸を有する化合物であると、インクジェット印刷方式を用いた際にインク射出安定性が特に良好であり、かつ高い導電性が得られることから、より好ましい。
さらに、これらの中でも、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸が好ましい。これらのポリアニオンは、導電性に優れるという効果を奏する。
ポリアニオンの重合度は、モノマー単位が10〜100000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10000個の範囲がより好ましい。
導電性ポリマーは市販の材料も好ましく利用できる。例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸からなる導電性ポリマー(PEDOT/PSSと略す)が、H.C.Starck社からCLEVIOSシリーズとして、Aldrich社からPEDOT−PSS483095、560598として、Nagase Chemtex社からDenatronシリーズとして市販されている。また、ポリアニリンが、日産化学社からORMECONシリーズとして市販されている。
ライン状液体を形成する際に用いる、導電性材料を含有させる液体としては、水や、有機溶剤等の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機溶剤は、格別限定されないが、例えば、1,2−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコールなどのアルコール類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類等を例示できる。
また、導電性材料を含有させる液体としては、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤など種々の添加剤を含んでもよい。
界面活性剤を用いることで、例えば、インクジェット法などの液滴吐出法を用いてライン状液体2を形成するような場合などに、表面張力等を調整して吐出の安定化を図ること等が可能になる。界面活性剤としては、格別限定されないが、シリコン系界面活性剤等を用いることができる。シリコン系界面活性剤とはジメチルポリシロキ酸の側鎖または末端をポリエーテル変性したものであり、例えば、信越化学工業製のKF−351A、KF−642やビッグケミー製のBYK347、BYK348などが市販されている。界面活性剤の添加量は、ライン状液体2を形成する液体の全量に対して、1重量%以下であることが好ましい。
透明基材は、格別限定されないが、例えば、ガラス、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ポリエステル、ポリアミド等)などを挙げることができ、これらは単独で用いてもよいし、貼り合せた状態で用いてもよい。中でも、プラスチックが好ましく、ポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンなどが好適である。
透明基材は、両面の加工処理が同じであることが好ましく、また、両面の表面エネルギー差が5%以内であることが好ましい。
図12は、基材上に形成された平行線の一例を示す斜視断面図であり、断面は、平行線の形成方向に対して直交する方向で切断した縦断面に対応する。
1本のライン状液体から生成される平行線3の1組2本の細線(線分)31、32は、必ずしも互いに完全に独立した島状である必要はない。図示したように、2本の線分31、32は、該線分31、32間にわたって、該線分31、32の高さよりも低い高さで形成された薄膜部30によって接続された連続体として形成されることも好ましいことである。
平行線3の線分31、32の線幅W1、W2は、各々10μm以下であることが好ましい。10μm以下であれば、通常視認できないレベルとなるので、透明性を向上する観点からより好ましい。各線分31、32の安定性も考慮すると、各線分31、32の線幅W1、W2は、各々2μm以上10μm以下の範囲であることが好ましい。
なお、線分31、32の幅W1、W2とは、該線分31、32間において導電性材料の厚みが最薄となる最薄部分の高さをZとし、更に該Zからの線分31、32の突出高さをY1、Y2としたときに、Y1、Y2の半分の高さにおける線分31、32の幅として定義される。例えば、パターン3が上述した薄膜部30を有する場合は、該薄膜部30における最薄部分の高さをZとすることができる。なお、各線分31、32間における導電性材料の最薄部分の高さが0であるときは、線分31、32の線幅W1、W2は、基材1表面からの線分31、32の高さH1、H2の半分の高さにおける線分31、32の幅と定義される。
平行線3を構成する線分31、32の線幅W1、W2は、上述した通り極めて細いものであるため、断面積を確保して低抵抗化を図る観点で、基材1表面からの線分31、32の高さH1、H2は高い方が望ましい。具体的には、線分31、32の高さH1、H2は、50nm以上5μm以下の範囲であることが好ましい。
さらに、平行線3の安定性を向上する観点から、H1/W1比、H2/W2比は、各々0.01以上1以下の範囲であることが好ましい。
また、平行線3の細線化を更に向上する観点から、線分31、32間において導電性材料の厚みが最薄となる最薄部分の高さZ、具体的には薄膜部30の最薄部分の高さZが10nm以下の範囲であることが好ましい。最も好ましいのは、透明性と安定性のバランスの両立を図るために、0<Z≦10nmの範囲で、薄膜部30を備えることである。
さらに、平行線3の更なる細線化向上のために、H1/Z比、H2/Z比は、各々5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、20以上であることが特に好ましい。
線分31、32の間隔Iは、ライン状液体の付与幅等の設定により適宜調整することが可能であり、好ましくは、10μm以上300μm以下の範囲に調整されていることが好ましい。
なお、線分31、32の間隔Iとは、線分31、32の各最大突出部間の距離として定義される。
更にまた、線分31と線分32とに同様の形状(同程度の断面積)を付与することが好ましく、具体的には、線分31と線分32の高さH1とH2とを実質的に等しい値とすることが好ましい。これと同様に、線分31と線分32の線幅W1とW2とについても実質的に等しい値とすることが好ましい。
線分31、32は、必ずしも平行である必要性はなく、少なくとも線分方向のある長さLにわたって、線分31、32が結合していなければ良い。好ましくは、少なくとも線分方向のある長さLにわたって、線分31、32が実質的に平行であることである。
線分31、32の線分方向の長さLは、線分31、32の間隔Iの5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがより好ましい。長さL及び間隔Iは、パターン(ライン状液体)2の形成長さ及び形成幅に対応して設定することができる。
ライン状液体の形成始点と終点(線分方向のある長さLにわたった始点と終点)では、線分31、32が接続し、連続体として形成されてもよい。
また、線分31、32は、その線幅W1、W2がほぼ等しく、かつ、線幅W1、W2が2本線間距離(間隔I)に比して、十分に細いものであることが好ましい。
さらに、1本のライン状液体から生成されるパターン3を構成する線分31と線分32とは、同時に形成されたものであることが好ましい。
平行線3は、各線分31、32が、下記(ア)〜(エ)の条件を全て満たすことが特に好ましい。これにより、パターンが視認されにくくなり、透明性を向上できるとともに、線分が安定化され、パターンの抵抗値を低下できる効果に優れる。
(ア)各線分31、32の高さをH1、H2とし、該各線分間における最薄部分の高さをZとしたときに、5≦H1/Z、かつ5≦H2/Zであること。
(イ)各線分31、32の幅をW1、W2としたときに、W1≦10μm、かつW2≦10μmであること。
(ウ)各線分31、32間の距離をIとしたときに、50μm≦I≦5000μmであること。
(エ)各線分31、32の高さをH1、H2としたときに、50nm<H1<5μm、かつ50nm<H2<5μmであること。
以上、表面の平行線3についてした説明は、裏面の平行線4にも援用することができる。
以上の説明において、一つの態様について説明された構成は、他の態様に適宜適用することができる。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はかかる実施例により限定されない。
(実施例1)
両面の加工処理が同じであり、両面の表面エネルギー差が5%以内であるPETフィルム(透明基材1)の各面に、インクジェット法を用いて、下記の条件で、図3に示したものと同様のパターンを形成した。
<表面の平行線の形成条件>
インクジェット法により、透明基材1の表面に、導電性材料を含むライン状液体を付与し、コーヒーステイン現象を生起させて、表面の平行線3を形成した。
<裏面の平行線の形成条件>
インクジェット法により、透明基材1の裏面に、導電性材料を含むライン状液体を付与し、コーヒーステイン現象を生起させて、裏面の平行線4を形成した。
その際、表面の平行線3に対して、裏面の平行線4が平行になるよう、ヘッド若しくは透明基材1が載置されるステージを移動して角度調整を行った。
また、表面の平行線3について測定された線間隔Lに対して、裏面の平行線4の線間隔Lが、±20%の範囲になるように、図4で説明した調整を行った。Lは、Lと実質的に等しく、200μmである。
また、表面の平行線3と、裏面の平行線4とが、互いにL/2ずれて配置されるように、アラインメントを行った。
<後処理>
以上のようにして、透明基材1の両面に、平行線3、4を含むパターンを形成した後、さらに、後処理として、該平行線の焼成を行い、次いで該平行線3、4にメッキを施して、図3に示したものと同様のパターンを備えたパターン付き基材を得た。
得られたパターン付き基材は、パターンの低視認性に優れるものであった。
(実施例2)
実施例1において、インクの着弾位置を変更して、図5に示したものと同様のパターンを備えたパターン付き基材を得た。
その際、裏面の平行線4を形成するためのインクの着弾位置を、表面の平行線3の中心部から、2Lずらした位置に設定した。
得られたパターン付き基材は、パターンの低視認性に優れるものであった。
(実施例3)
実施例1で用いたものと同様のPETフィルム(透明基材1)の各面に、インクジェット法を用いて、下記の条件で、図6に示したものと同様のパターンを形成した。
<表面の平行線の形成条件>
インクジェット法により、透明基材1の表面に、ライン状液体を付与し、コーヒーステイン現象を生起させて、第1の平行線3Aを形成した。ライン状液体の付与間隔は、得られる平行線の配置間隔(図6中、X1で示す間隔に相当)が、600μmとなるように調整した。平行線の線間隔は200μmとした。
第1の平行線3Aを形成後、乾燥してから、該第1の平行線3Aと交わるように角度を変更して、第1の平行線3Aと同様にして、第2の平行線3Bを形成した。
<裏面の平行線の形成条件>
インクジェット法により、透明基材の裏面に、ライン状液体を付与し、コーヒーステイン現象を生起させて、第3の平行線4Aを形成した。ライン状液体の付与間隔は、得られる平行線の配置間隔が、600μmとなるように調整した。平行線の線間隔は200μmとした。
第3の平行線4Aを形成後、乾燥してから、該第3の平行線4Aと交わるように角度を変更して、第3の平行線4Aと同様にして、第4の平行線4Bを形成した。
透明基材1を通して見たときに呈される格子状パターンにおいて、互いに隣接する2本1組の平行線が、透明基材1の両面に、1組ずつ交互に割り当てられるようにした。
<後処理>
以上のようにして、透明基材1の両面に、平行線3A、3B、4A及び4Bを含むパターンを形成した後、さらに、後処理として、該平行線の焼成を行い、次いで該平行線にメッキを施して、図6に示したものと同様のパターンを備えたパターン付き基材を得た。
得られたパターン付き基材は、パターンの低視認性に優れるものであった。
(実施例4)
実施例3において、インクの着弾位置を変更して、図7に示したものと同様のパターンを備えたパターン付き基材を得た。
その際、表面及び裏面それぞれの平行線に、配置間隔(図7中、X2で示す間隔に相当)を1000μmに設定した箇所を部分的に設け、透明基材1を通して見たときに呈される格子状パターンにおいて、互いに隣接する2本1組の平行線3、4が、透明基材1の両面に、2組ずつ交互に割り当てられるようにした。
得られたパターン付き基材は、パターンの低視認性に優れるものであった。
(実施例5)
実施例3において、第1〜第4の平行線を形成する順番を変更し、第1の平行線→第2の平行線→第4の平行線→第3の平行線の順番で形成することにより、図9及び図10に示したものと同様のパターンを備えたパターン付き基材を得た。
即ち、図9及び図10に示したように、透明基材1の表面及び裏面のそれぞれにおいて、膨張部位3C、4Cが形成されているが、これらの膨張方向は、表面と裏面とで互いに異なっている。そして、膨張方向が同じである膨張部位同士が、千鳥状に配置されていることによって、膨張方向が同じである膨張部位同士が、偏って分布しないようにしている。
得られたパターン付き基材は、膨張部位が目立つことなく、パターンの低視認性に優れるものであった。
(実施例6)
実施例3において、図11に示したものと同様に長尺ヘッド6を用いて、平行線を形成した。
その際、表面の平行線3を形成するためのヘッド移動における、インクジェットヘッド5間の連結部51の移動経路M1と、裏面の平行線4を形成するためのヘッド移動における、インクジェットヘッド5間の連結部51の移動経路M2とを、透明基材1を通して見たときに、同一直線上に配置しないように調整した。
得られたパターン付き基材は、ヘッド連結部の移動経路に沿う領域においても、パターンの低視認性に優れるものであった。
1:透明基材
2:(ライン状)液体
3:平行線
31、32:線分
4:平行線
41、42:線分
5:インクジェットヘッド
6:長尺ヘッド

Claims (16)

  1. 機能性を持つパターンであって、
    透明基材の両面に、
    導電性材料を含有する2本1組の平行線を1組以上有し、
    何れか一方の面の前記1組以上の平行線は、導電性材料が液体の動きにより分離された結果形成されたものであり、
    前記透明基材の表面に、線間隔Lの平行線を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線は、互いに交差せず、かつ、互いに配置間隔Lで配置されており、
    前記透明基材の裏面に、線間隔Lの平行線を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線は、互いに交差せず、かつ、互いに配置間隔Lで配置されており、
    前記透明基材を通して見たときに、表面の前記少なくとも2組の平行線と、裏面の前記少なくとも2組の平行線とが、互いに交差しないパターン。
  2. 前記透明基材の表面と裏面のそれぞれに、導電性材料が液体の動きにより分離された結果形成された平行線を1組以上備える請求項1記載のパターン。
  3. 前記透明基材の表面と裏面との間で、前記平行線の配置が相互に調整されている請求項1又は2記載のパターン。
  4. 前記透明基材の表面に形成した前記平行線のピッチに対して、前記透明基材の裏面に形成した前記平行線のピッチが、±20%の範囲になるように調整されている請求項1〜3の何れかに記載のパターン。
  5. 機能性を持つパターンであって、
    透明基材の両面に、
    導電性材料を含有する2本1組の平行線を1組以上有し、
    何れか一方の面の前記1組以上の平行線は、導電性材料が液体の動きにより分離された結果形成されたものであり、
    前記透明基材の表面に、線間隔Lの平行線を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線は、互いに交差せず、かつ、互いにLより大きい配置間隔で配置されており、
    前記透明基材の裏面に、線間隔Lの平行線を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線は、互いに交差せず、かつ、互いにLより大きい配置間隔で配置されており、
    前記透明基材を通して見たときに、表面の前記少なくとも2組の平行線と、裏面の前記少なくとも2組の平行線とが、互いに交差しないパターン。
  6. 前記透明基材の表面と裏面のそれぞれに、導電性材料が液体の動きにより分離された結果形成された平行線を1組以上備える請求項5記載のパターン。
  7. 前記透明基材の表面と裏面との間で、前記平行線の配置が相互に調整されている請求項5又は6記載のパターン。
  8. 前記透明基材の表面に形成した前記平行線のピッチに対して、前記透明基材の裏面に形成した前記平行線のピッチが、±20%の範囲になるように調整されている請求項5〜7の何れかに記載のパターン。
  9. 機能性を持つパターンであって、
    透明基材の両面に、
    導電性材料を含有する2本1組の平行線を1組以上有し、
    何れか一方の面の前記1組以上の平行線は、導電性材料が液体の動きにより分離された結果形成されたものであり、
    前記透明基材の表面に、線間隔La1の第1の平行線を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線は、互いに交差せず、かつ、互いにLa1より大きい配置間隔で配置されており、
    さらに、前記透明基材の表面に、線間隔La2の第2の平行線を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線は、互いに交差せず、かつ、互いにLa2より大きい配置間隔で配置されており、
    さらに、前記第1の平行線と前記第2の平行線は、角度αで交差しており、
    前記透明基材の裏面に、線間隔Lb1の第3の平行線を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線は、互いに交差せず、かつ、互いにLb1より大きい配置間隔で配置されており、
    さらに、前記透明基材の裏面に、線間隔Lb2の第4の平行線を複数組有し、これらのうち少なくとも2組の平行線は、互いに交差せず、かつ、互いにLb2より大きい配置間隔で配置されており、
    さらに、前記第3の平行線と前記第4の平行線は、角度βで交差しており、
    前記透明基材を通して見たときに、表面の前記第1の平行線と、裏面の前記第3の平行線は、互いに交差せず、かつ、表面の前記第2の平行線と、裏面の前記第4の平行線は、互いに交差しないパターン。
  10. 前記透明基材の表面と裏面のそれぞれに、導電性材料が液体の動きにより分離された結果形成された平行線を1組以上備える請求項9記載のパターン。
  11. 前記透明基材の表面と裏面との間で、前記平行線の配置が相互に調整されている請求項9又は10記載のパターン。
  12. 前記透明基材の表面に形成した前記平行線のピッチに対して、前記透明基材の裏面に形成した前記平行線のピッチが、±20%の範囲になるように調整されている請求項9〜11の何れかに記載のパターン。
  13. 機能性を持つパターンであって、
    透明基材の両面に、
    導電性材料を含有する2本1組の平行線を1組以上有し、
    何れか一方の面の前記1組以上の平行線は、導電性材料が液体の動きにより分離された結果形成されたものであり、
    前記透明基材を通して見たときに、前記透明基材の両面の前記平行線が重なり合って格子状パターンが呈され、該格子状パターンを構成する各線分の線間隔は、100μm〜400μmの範囲であり、かつ標準偏差が30未満であり、
    前記格子状パターンにおいて、互いに隣接する2本1組の前記平行線は、前記透明基材の両面に、1組ずつ交互に割り当てられている、パターン
  14. 機能性を持つパターンであって、
    透明基材の両面に、
    導電性材料を含有する2本1組の平行線を1組以上有し、
    何れか一方の面の前記1組以上の平行線は、導電性材料が液体の動きにより分離された結果形成されたものであり、
    前記透明基材を通して見たときに、前記透明基材の両面の前記平行線が重なり合って格子状パターンが呈され、該格子状パターンを構成する各線分の線間隔は、100μm〜400μmの範囲であり、かつ標準偏差が30未満であり、
    前記格子状パターンにおいて、互いに隣接する2本1組の前記平行線は、前記透明基材の両面に、複数組ずつ交互に割り当てられている、パターン
  15. 請求項1〜14の何れかに記載のパターンを透明基材に備えてなるパターン付き基材。
  16. 請求項15記載のパターン付き基材を備えたタッチパネル。
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