以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る立体造形装置の一例の概要について図1ないし図4を参照して説明する。図1は同立体造形装置の概略平面説明図、図2は同じく概略側面説明図、図3は同じく造形部の断面説明図である。なお、図3は造形時の状態で示している。また、図4は同じく具体的構成の要部斜視説明図、図5は同じく具体的構成の他の例の要部斜視説明図である。
この立体造形装置は、粉体造形装置(粉末造形装置ともいう。)であり、粉体(粉末)が結合された層状造形物である造形層30が形成される造形部1と、造形部1の層状に敷き詰められた粉体である粉体層31に造形液10を吐出して立体造形物を造形する造形ユニット5とを備えている。
造形部1は、粉体槽11と、平坦化手段(リコータ)である回転体としての平坦化ローラ12などを備えている。なお、平坦化手段は、回転体に代えて、例えば板状部材(ブレード)とすることもできる。
粉体槽11は、粉体20を供給する供給槽21と、造形層30が積層されて立体造形物が造形される造形槽22とを有している。
また、粉体槽11には、図5に示すように、粉体層31を形成するときに平坦化ローラ12によって移送供給される粉体20のうち、粉体層31を形成しないで落下する余剰の粉体20を溜める余剰粉体受け槽29を備えることができる。
供給槽21の底部は供給ステージ23として鉛直方向(高さ方向)に昇降自在となっている。同様に、造形槽22の底部は造形ステージ24として鉛直方向(高さ方向)に昇降自在となっている。造形ステージ24上に造形層30が積層された立体造形物が造形される。
余剰粉体受け槽29を設ける構成では、余剰粉体受け槽29の底面には粉体20を吸引する機構が備えられた構成や、余剰粉体受け槽29が簡単に取り外せるような構成とすることができる。
供給ステージ23は、例えば図4に示すように、モータ27によって矢印Z方向(高さ方向)に昇降され、造形ステージ24は、同じく、モータ28によって矢印Z方向に昇降される。
平坦化ローラ12は、供給槽21の供給ステージ23上に供給された粉体20を造形槽22に移送して供給し、平坦化手段である平坦化ローラ12によって均して平坦化して粉体層31を形成する。
この平坦化ローラ12は、造形ステージ24のステージ面(粉体20が積載される面)に沿って矢印Y方向に、ステージ面に対して相対的に往復移動可能に配置され、往復移動機構25によって移動される。また、平坦化ローラ12は、モータ26によって回転駆動される。
一方、造形ユニット5は、造形ステージ24上の粉体層31に造形液10を吐出する液体吐出ユニット50を備えている。
液体吐出ユニット50は、キャリッジ51と、キャリッジ51に搭載された液体吐出手段である2つ(1又は3つ以上でもよい。)の液体吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)52a、52bを備えている。
キャリッジ51は、ガイド部材54及び55に移動可能に保持されている。ガイド部材54及び55は、両側の側板70、70に昇降可能に保持されている。
このキャリッジ51は、後述するX方向走査機構550を構成するX方向走査モータによってプーリ及びベルトを介して主走査方向である矢印X方向(以下、単に「X方向」という。他のY、Zについても同様とする。)に往復移動される。
2つのヘッド52a、52b(以下、区別しないときは「ヘッド52」という。)は、造形液を吐出する複数のノズルを配列したノズル列がそれぞれ2列配置されている。一方のヘッド52aの2つのノズル列は、シアン造形液及びマゼンタ造形液を吐出する。他方のヘッド52bの2つのノズル列は、イエロー造形液及びブラック造形液をそれぞれ吐出する。なお、ヘッド構成はこれに限るものではない。
これらのシアン造形液、マゼンタ造形液、イエロー造形液、ブラック造形液の各々を収容した複数のタンク60がタンク装着部56に装着され、供給チューブなどを介してヘッド52a、52bに供給される。
また、X方向の一方側には、液体吐出ユニット50のヘッド52の維持回復を行うメンテナンス機構61が配置されている。
メンテナンス機構61は、主にキャップ62とワイパ63で構成される。キャップ62をヘッド52のノズル面(ノズルが形成された面)に密着させ、ノズルから造形液を吸引する。ノズルに詰まった粉体の排出や高粘度化した造形液を排出するためである。その後、ノズルのメニスカス形成(ノズル内は負圧状態である)のため、ノズル面をワイパ63でワイピング(払拭)する。また、メンテナンス機構61は、造形液の吐出が行われない場合に、ヘッドのノズル面をキャップ62で覆い、粉体20がノズルに混入することや造形液10が乾燥することを防止する。
造形ユニット5は、ベース部材7上に配置されたガイド部材71に移動可能に保持されたスライダ部72を有し、造形ユニット5全体がX方向と直交するY方向(副走査方向)に往復移動可能である。この造形ユニット5は、後述するY方向走査機構552によって全体がY方向に往復移動される。
液体吐出ユニット50は、ガイド部材54、55とともに矢印Z方向に昇降可能に配置され、後述するZ方向昇降機構551によってZ方向に昇降される。
ここで、造形部1の詳細について説明する。なお、図5の余剰粉体受けを有する構成で説明する。
粉体槽11は、箱型形状をなし、供給槽21と造形槽22と、余剰粉体受け槽29の3つの上面が開放された槽とを備えている。供給槽21内部には供給ステージ23が、造形槽22内部には造形ステージ24がそれぞれ昇降可能に配置される。
供給ステージ23の側面は供給槽21の内側面に接するように配置されている。造形ステージ24の側面は造形槽22の内側面に接するように配置されている。これらの供給ステージ23及び造形ステージ24の上面は水平に保たれている。
供給槽21及び造形槽22の周りを含めて造形槽22の隣りには余剰粉体受け槽29を設けることができる(図5)。
余剰粉体受け槽29を設けた場合には、粉体層31を形成するときに平坦化ローラ12によって移送供給される粉体20のうちの余剰の粉体20が落下する。余剰粉体受け槽29に落下した余剰の粉体20は供給槽21に粉体20を供給する後述する粉体供給装置554に戻される。
供給槽21上には後述する粉体供給装置554が配置される。造形の初期動作時や供給槽21の粉体量が減少した場合に、粉体供給装置554を構成するタンク内の粉体を供給槽21に供給する。粉体供給のための粉体搬送方法としては、スクリューを利用したスクリューコンベア方式や、エアーを利用した空気輸送方式などが挙げられる。
平坦化ローラ12は、供給槽21から粉体20を造形槽22へと移送供給して、表面を均すことで平坦化して所定の厚みの層状の粉体である粉体層31を形成する。
この平坦化ローラ12は、造形槽22及び供給槽21の内寸(即ち、粉体が供される部分又は仕込まれている部分の幅)よりも長い棒状部材であり、往復移動機構25によってステージ面に沿ってY方向(副走査方向)に往復移動される。
この平坦化ローラ12は、モータ26によって回転されながら、供給槽21の外側から供給槽21及び造形槽22の上方を通過するようにして水平移動する。これにより、粉体20が造形槽22上へと移送供給され、平坦化ローラ12が造形槽22上を通過しながら粉体20を平坦化することで粉体層31が形成される。
また、図2にも示すように、平坦化ローラ12の周面に接触して、平坦化ローラ12に付着した粉体20を除去するための粉体除去部材である粉体除去板13が配置されている。
粉体除去板13は、平坦化ローラ12の周面に接触した状態で、平坦化ローラ12とともに移動する。また、粉体除去板13は、平坦化ローラ12が平坦化を行うときの回転方向に回転するときにカウンタ方向でも、順方向でも配置可能である。
次に、本実施形態における第1振動付与手段について図6及び図7を参照して説明する。図6は図5のA−A線に沿う断面に相当する斜視説明図、図7は図5のB−B線に沿う断面に相当する模式的説明図である。
造形ステージ24の下面には、造形ステージ24に振動を付与する第1振動付与手段である加振機構部90が配置されている。加振機構部90は振動子91、例えば、小型エアバイブレータや圧電振動子、電気モータなどを備えている。
この振動子91は、好ましくは、振幅10〜30μm程度、振動周波数100〜300Hz程度で、造形ステージ24が振動するように駆動される。なお、造形ステージ24には、造形槽22の壁面との間には、造形ステージ24が上下に移動可能で、かつ、粉末20の漏れがないようにウレタンなどの弾性部材95が配置されている。
次に、上記立体造形装置の制御部の概要について図8を参照して説明する。図8は同制御部のブロック図である。
制御部500は、この立体造形装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501に本発明に係わる制御を含む立体造形動作の制御を実行させるための本発明に係るプログラムを含むプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、造形データ等を一時格納するRAM503とを含む主制御部500Aを備えている。
制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)504を備えている。また、制御部500は、画像データに対する各種信号処理等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505を備えている。
制御部500は、外部の造形データ作成装置600から造形データを受信するときに使用するデータ及び信号の送受を行うためのI/F506を備えている。なお、造形データ作成装置600は、最終形態の造形物を各造形層にスライスした造形データを作成する装置であり、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置で構成されている。
制御部500は、各種センサの検知信号を取り込むためのI/O507を備えている。
制御部500は、液体吐出ユニット50の各ヘッド52を駆動制御するヘッド駆動制御部508を備えている。
制御部500は、液体吐出ユニット50のキャリッジ51をX方向(主走査方向)に移動させるX方向走査機構550を構成するモータを駆動するモータ駆動部510と、造形ユニット5をY方向(副走査方向)に移動させるY方向走査機構552を構成するモータを駆動するモータ駆動部512を備えている。
制御部500は、液体吐出ユニット50のキャリッジ51をZ方向に移動(昇降)させるZ方向昇降機構551を構成するモータを駆動するモータ駆動部511を備えている。なお、矢印Z方向への昇降は造形ユニット5全体を昇降させる構成とすることもできる。
制御部500は、供給ステージ23を昇降させるモータ27を駆動するモータ駆動部513と、造形ステージ24を昇降させるモータ28を駆動するモータ駆動部514を備えている。
制御部500は、平坦化ローラ12を移動させる往復移動機構25のモータ553を駆動するモータ駆動部515と、平坦化ローラ12を回転駆動するモータ26を駆動する516を備えている。
制御部500は、供給槽21に粉体20を供給する粉体供給装置554を駆動する供給系駆動部517と、液体吐出ユニット50のメンテナンス機構61を駆動するメンテナンス駆動部518を備えている。
制御部500は、加振機構部90の振動子91を駆動する加振駆動部519を備え、加振機構部90の振動子91を駆動して造形ステージ24を振動させ、造形ステージ24上の造形液が着弾する粉体層31に振動を付与させる加振駆動部519を備えている。
制御部500のI/O507には、装置の環境条件としての温度及び湿度を検出する温湿度センサ560などの検知信号やその他のセンサ類の検知信号が入力される。
制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル522が接続されている。
なお、造形データ作成装置600と立体造形装置(粉体積層造形装置)601によって造形装置が構成される。
次に、本実施形態における造形の流れの概要について図9も参照して説明する。図9は造形の流れの概要の説明に供する模式的説明図である。
造形槽22の造形ステージ24上に、1層目の造形層30が形成されている状態から説明する。
この1層目の造形層30上に次の造形層30を形成するときには、図9(a)に示すように、供給槽21の供給ステージ23をZ1方向に上昇させ、造形槽22の造形ステージ24をZ2方向に下降させる。
このとき、造形槽22の上面と平坦化ローラ12の下部(下方接線部)との間隔がΔt1となるように造形ステージ24の下降距離を設定する。この間隔Δt1が次に形成する粉体層31の厚さ(積層ピッチ)に相当する。間隔Δt1は、数十〜100μm程度であることが好ましい。
次いで、図9(b)に示すように、供給槽21の上面レベルよりも上方に位置する粉体20を、平坦化ローラ12を逆方向(矢印方向)に回転しながらY2方向(造形槽22側)に移動することで、粉体20を造形槽22へと移送供給する(粉体供給)。
さらに、図9(c)に示すように、平坦化ローラ12を造形槽22の造形ステージ24のステージ面と平行に移動させ、図9(d)に示すように、造形ステージ24の造形層30上で所定の厚さΔt1になる粉体層31を形成する(平坦化)。このとき、粉体層31の形成に使用されなかった余剰の粉体20は余剰粉体受け槽29に落下する。
粉体層31を形成後、平坦化ローラ12は、図9(d)に示すように、Y1方向に移動されて初期位置(原点位置)に戻される(復帰される)。
ここで、平坦化ローラ12は、造形槽22及び供給槽21の上面レベルとの距離を一定に保って移動できるようになっている。一定に保って移動できることで、平坦化ローラ12で粉体20を造形槽22の上へと搬送させつつ、造形槽22上又は既に形成された造形層30の上に均一厚さΔt1の粉体層31を形成できる。
その後、図9(e)に示すように、液体吐出ユニット50のヘッド52から造形液10の液滴を吐出して、次の粉体層31に所要形状の造形層30を積層形成する(造形)。このとき、加振機構部90の振動子91を駆動し、造形液10が吐出されて造形層30が形成されるときに粉体層31に振動を付与する。
なお、造形層30は、例えば、ヘッド52から吐出された造形液10が粉体20と混合されることで、粉体20に含まれる接着剤が溶解し、溶解した接着剤同士が結合して粉体20が結合されることで形成される。
次いで、上述した粉体供給・平坦化よる粉体層31を形成する工程、ヘッド52による造形液吐出工程を繰り返して新たな造形層30を形成する。このとき、新たな造形層30とその下層の造形層30とは一体化して三次元形状造形物の一部を構成する。
以後、粉体の供給・平坦化よる粉体層31を形成する工程、ヘッド52による造形液吐出工程を必要な回数繰り返すことによって、三次元形状造形物(立体造形物)を完成させる。
次に、本実施形態における制御部による造形動作の制御について図10のフロー図を参照して説明する。
まず、供給槽21の供給ステージ23を所定量(例えば200μm)上昇させ、造形ステージ24を積層ピッチΔt1分、例えば100μm下降する(この順序は前後してもよい)。
その後、平坦化ローラ12を造形槽22方向に移動させて粉体層31を形成した後、平坦化ローラ12を初期位置に戻す。平坦化ローラ12を初期位置に戻すとき、粉体面に平坦化ローラ12が触れないように、造形ステージ24、供給ステージ23ともに、所定量(例えば300μm)下降させ、平坦化ローラ12が初期位置に復帰した後に、再度所定量(300μm)上昇することが好ましい。
その後、造形ユニット5をY方向に移動させ、キャリッジ51をX方向に移動させて、造形槽22の上方にヘッド52が相対するように移動する。このときのヘッド52の位置を造形開始位置とする。ここでは、造形開始位置は1走査における端部の位置としている。
そして、キャリッジ51をX方向に移動させつつ、ヘッド52から造形液の液滴を粉体層31上に吐出させて所要形状の造形層30を造形する。このヘッド52から造形液の液滴を粉体層31に吐出して造形層30を造形しているとき、加振機構部90の振動子91を駆動して、造形ステージ24の粉体層31に振動を付与する。
その後、キャリッジ51の1走査(1スキャン:1行)が終了したときには、当該粉体層31に対する造形層30の造形が完了したか否かを判別する。
そして、造形層30の造形が完了していないときには、造形ユニット5を1ノズル列分Y方向に移動させる改行を行い、次の行の造形を行う。このときも、ヘッド52から造形液の液滴を粉体層31に吐出して造形層30を造形しているとき、加振機構部90の振動子を駆動して、造形ステージ24の粉体層31に振動を付与する。
そして、一層の造形層30の造形が完了した後、ヘッド52を次層の造形を行うために初期位置に戻す。
以上の立体造形動作の制御は本発明に係るプログラムに従って主制御部500Aによって行われる(以下の実施形態でも同様である。)。
次に、比較例における粉体層に対する造形液の吐出から次層の粉体供給までの工程について図11を参照して説明する。
この比較例は、粉体層に対して造形液を吐出して1層分の造形層を形成するときに粉体層に振動を付与しない例である。
この比較例では、図11(a)に示すように、平坦化ローラ12によって供給された粉体20を均して、図11(b)に示すように、所定厚みΔt1の粉体層31を形成する。なお、粉体20は、粉末、粒子など(単に「粒子」と総称し、粒子20aと表記する。)の集合体である。
このとき、粉体層31は、リコート(平坦化)された時点では緩みかさ密度程度しかなく、空間が多い状態である。ただし、実際には粉体20の粒子20a同士は図11に示すように整然と整列しているわけではない。また、図11では空間が多いことを分かり易くするために、粒子20の粒子20a同士を若干離して配列している。例えば、山陽特殊製鋼社製ガスアトマイズ粉PSS316L−20μmグレード平均粒径14μmでは、3g/cc、真密度に対して37%しかない。
そして、図11(c)に示すように、滴状の造形液10を吐出して粉体層31の表面に着弾(付着)させる。この状態で粉体層31内には空気32が存在している。
粉体層31の表面に着弾した造形液10は、図11(d)に示すように、粉体層31内に浸透し、液架橋力によって、粉体20の粒子20a同士を近接させ、かつ、粉体層31内の空気の合一は、粉体20の粒子20aの移動を促進する。ここに至り、造形液10の浸透領域に限っては、その粉体密度はタップ密度(山陽特殊製鋼社製ガスアトマイズ粉PSS316L−20μmグレード平均粒径14μmでは、3.6g/cc、45%)以下となる。
ここで、造形液10が着弾する前に粉体層31内に内包されていた空気32は、図11(d)に示すように、その一部は浮力によって粉体層31上方へ排出される。
しかしながら、造形液10が着弾する前に粉体層31内に内包されていた空気32の多くは、粉体20の粒子20a同士の隙間は微細であり、かつ複雑に絡み合っているために、図11(e)に示すように、その一部が合一し、造形液10の浸透領域内に気泡33としてトラップされたままとなる。
このとき、形成された気泡33の一部は、造形液10(バインダー)の成分の粘性によって崩壊することなく存在し続ける。
その後、図11(f)に示すように、粉体20を供給して平坦化ローラ12によって平坦化し、図11(g)に示すように、次層の粉体層31を形成すると、気泡33がそのまま粉体層31の境界や造形層30の内部に残存する。
この結果、気泡33が造形物全体に散在し、立体造形物の密度が不均一になり、かつ、密度が低下することになる。
次に、本実施形態における粉体層に対する造形液の吐出から次層の粉体供給までの工程について図12を参照して説明する。
本実施形態では、粉体層31に造形液10を吐出して造形層30を形成するときに、粉体層31に振動を付与している。
つまり、図12(a)に示すように、平坦化ローラ12によって供給された粉体20を均して、図12(b)に示すように、所定厚みΔt1の粉体層31を形成する。
そして、図12(c)に示すように、滴状の造形液10を吐出して粉体層31の表面に着弾(付着)させる。この粉体層31の表面に着弾した造形液10は、図12(d)に示すように、粉体層31内に浸透し、液架橋力によって、粉体20の粒子20a同士を近接させ、かつ、粉体層31内の空気の合一は、粉体20の粒子20aの移動を促進する。
このとき、つまり、滴状の造形液10が粉体層31の表面に着弾して粉体層31内に浸透している図12(c)、(d)で粉体層31に対して振動を付与する。
このようにすることで、造形液10が着弾した直後の比較的流動性が高い造形液10と粉体20との混合体(スラリー)に内在する空気32を効率的に取り除くことが可能となる。
つまり、造形層30中の空気32は、前述したように浮力により上昇しようとするが、それを阻害するのは、複雑に絡み合った粉体の間隙にトラップされたり、造形液10の着弾から時間が経過するにつれ、造形液10の乾燥、架橋などの反応が生じて、上述のスラリーの粘度が上昇し、流動性が低下することによる。
造形液10中の気体(泡)の上昇速度はストークスの法則で記述され、泡の半径の二乗に比例し、造形液10の粘度に反比例する。そのため、造形液10の粘度が低い方が、泡が上昇しやすくなる。この状況のスラリーに対して、さらに振動を与えることで、固体(粉体)−液体(造形液)−気体(空気)の界面でバランスして固定化されていた気体が移動しやすくなり、結果的に造形物内の気泡を減少させることができる。
一方、すでに乾燥が進み、粘度が高くなってしまったスラリーに振動を与えても、空気の除去が困難になり好ましくない。
一般的に、ヘッド52から造形液10を吐出して、粉体面(粉体層31の表面)に着弾するまでの時間は、100μm〜200μm程度の短い時間である。例えば、造形液10の滴の飛翔速度が7m/s、ノズルから粉体面までの距離を1mmとしたとき、約143μsとなる。
そこで、1走査中で造形液10を吐出して造形層30を形成している間と、その前後の100μs〜500μsを含む時間の間、振動を加えればよい。
この点について、図13及び図14を参照して説明する。図13及び図14は振動子の駆動パターンの説明に供する説明図である。
なお、ここでは、キャリッジ51はスタート位置Sから移動を開始し、エンド位置Eで移動を終了するものとする。また、図13及び図14において、実線は振動子がON状態であること、破線は振動子がOFF状態であることを表し、黒丸は振動子をONするタイミング(位置)を、黒四角は振動子をOFFするタイミング(位置)を表しているものとする。
図13に示す第1例は、1走査中で、造形エリア(造形層30を形成する領域)では振動子91をON状態として、造形エリア以外では振動子91をOFF状態としている。
図14に示す第2例は、1つの粉体層31内に造形層30を形成するとき、造形を開始したときから造形を終了するまでの間は継続して振動子91をON状態とし、それ以外は振動子91をOFF状態としている。
したがって、この第2例では、図14(a)に示すように造形エリアが連続しているとき、図14(b)に示すように造形エリアが分離しているとき、のいずれであっても、振動子91は、造形を開始したときにON状態にされ、以後、造形エリアがない領域でもON状態が継続され、造形が終了したときにOFF状態となる。
本実施形態によれば、粉体層31に振動を付与している時間は、造形液10を吐出している時間を含む前後の短い時間に限られ、かつスラリー粘度が低い状態で振動を付与するので、造形層30中の空気を低い振動エネルギーで効率よく除去しつつ、造形物の精度低下を最低限の範囲に抑えることができる。
なお、造形液10が吐出される粉体層31に対する振動の付与は1層の粉体層31に対して造形層30の形成を開始したときから終了するまでの間、すなわち、当該粉体層31に対するスライスデータによる造形の開始から終了までの間振動を付与すればよい。造形液10の吐出/非吐出(ヘッドの駆動/非駆動)ごとに振動付与/停止を行う場合に限定されない。
また、本実施形態のように、加振機構部90の振動子91が造形ステージ24に付随している場合、例えば、造形開始直後の第1層目は、造形層30と振動子91との距離が比較的近いが、造形が進むにつれて、振動子91と第N層目との距離が遠くなる。
そこで、振動子91と造形層30との距離に応じて、振動エネルギーを調整することが好ましい。つまり、第1層目の粉体層31を振動させる振動エネルギーを最も弱く設定しておき、積層が進むにつれて、振動エネルギーを順次強める。さらには一層あたりの積層厚さによっても、振動の強度を変えることができる。
次に、本発明の第2実施形態について図15ないし図18を参照して説明する。図15は同実施形態における造形部の模式的説明図、図16は同じくリコートユニット部分の要部斜視説明図、図17は同じくリコートユニット部分の側面説明図、図18は同じく振動ブレードの斜視説明図である。
本実施形態では、平坦化ローラ12の移送供給方向(矢印Y2方向)の前方側(移送供給するときの移動方向前方側側)に第2振動付与手段としての振動ブレード110を配置している。振動ブレード110は、平坦化ローラ12とともに、側板101、101に保持されているステー104と結合しているブラケット105にねじで取付けられている。
振動ブレード110には振動子111が設けられ、振動子111を駆動することで振動ブレード110の全体が振動する。また、振動ブレード110の先端側にはテーパ部(傾斜部)110aが形成されている。
なお、平坦化ローラ12への振動伝達を低減するため、ステー104とブラケット105の間に防振部材107を配置している。
これらの平坦化ローラ12及び振動ブレード110を含むリコートユニット120は、矢印Y方向に往復移動可能に配置されている。
ここで、平坦化ローラ12及び振動ブレード110は側板101、101に保持されているので、平坦化手段である平坦化ローラ12と振動付与手段の振動ブレード110は共通の駆動源、例えば前記第1実施形態における往復移動機構25のモータ553によって移動することができる。
なお、振動ブレード110を振動させる振動子111の駆動は、前記第1実施形態と同様に制御部によって制御される。
次に、本実施形態における制御部による造形動作の制御について図19のフロー図を参照して説明する。
まず、供給槽21の供給ステージ23を所定量(例えば200μm)上昇させ、造形ステージ24を積層ピッチΔt1分、例えば100μm下降する(この順序は前後してもよい)。
その後、リコートユニット120を図13の矢印Y2方向に移動させる。このとき、平坦化ローラ12を回転させ、またリコートユニット120の移動に合わせて(例えば同時に)振動子111の駆動を開始して振動ブレード110を振動させる。
そして、振動ブレード110が造形槽22を通過したところで、振動ブレード110の振動を停止し、その後、リコートユニット120は初期位置に戻る。
なお、ここでも、平坦化ローラ12を初期位置に戻すとき、粉体面に平坦化ローラ12が触れないように、造形ステージ24、供給ステージ23ともに、所定量(例えば300μm)下降させ、平坦化ローラ12が初期位置に復帰した後に、再度所定量(300μm)上昇することが好ましい。
その後、造形ユニット5をY方向に移動させ、キャリッジ51をX方向に移動させて、造形槽22の上方にヘッド52が相対するように移動する。
そして、キャリッジ51をX方向に移動させつつ、ヘッド52から造形液の液滴を粉体層31上に吐出させて造形層30を造形する。このヘッド52から造形液10の液滴を粉体層31に吐出して造形層30を造形しているとき、加振機構部90の振動子91を駆動して、造形ステージ24の粉体層31に振動を付与する。
その後、キャリッジ51の1走査(1スキャン:1行)が終了したときには、当該粉体層31に対する造形層30の造形が完了したか否かを判別する。
そして、造形層30の造形が完了していないときには、造形ユニット5を1ノズル列分Y方向に移動させる改行を行い、次の行の造形を行う。このときも、ヘッド52から造形液の液滴を粉体層31に吐出して造形層30を造形しているとき、加振機構部90の振動子91を駆動して、造形ステージ24の粉体層31に振動を付与する。
そして、一層の造形層30の造形が完了した後、ヘッド52を次層の造形を行うために初期位置に戻す。
このように、振動ブレード110により、造形槽22に粉体20を移送供給して粉体層31を形成するときに粉体20に振動を与えることで、粒子20a間や、粒子20aと壁間の付着力に打ち勝って粒子20aが移動する。粒子20a間の空隙が詰まることで、粉体20を密に詰めることができ、より造形物の密度を上げることができる。
ここで、振動ブレード110は、造形槽22上を通過し、余剰粉体受け槽29と相対する位置まで振動を続けている構成とできる。
これにより、振動ブレード110に付着した粉体20を、余剰粉体受け槽29に落とすことができ、リコートユニット120が初期位置に戻るときに、造形槽22の粉体層31面に粉体20を落下させ、造形物の品質が低下することを防止できる。
次に、振動ブレードと平坦化ローラによる粉体薄層化(粉体層の形成)の様子について図20を参照して説明する。
図20(a)に示すように、造形液10が着弾して造形層30が形成された状態で、図20(b)に示すように、次の粉体層31を形成するために、供給槽21側から振動ブレード110と平坦化ローラ12で粉体20を移送供給しながら、振動ブレード110にて粉体20に振動を与える。
このとき、振動ブレード110は、すでに形成された造形層30に直接触れることがなく、一層分以上の粉体層31分の粉体20が介在する高さに配置している。
また、振動ブレード110の最下面は、平坦化ローラ12の最下面よりも高い位置に設置されている。そのため、振動ブレード110で荒れた粉体面も、平坦化ローラ12で均されるために、結果として造形物の精度(平面度)に影響を与えることはない。
次に、造形するときに振動を付与した場合と付与しない場合の造形物の違いについて図19を参照して説明する。
図19は造形した積層方向と直交する方向からX線を投射し撮影した透過X線画像を示している。
ここで、図21(a)は上記第2実施形態のよう、振動ブレード110による振動、及び、加振機構部90による造形ステージ24の加振を行って造形した場合を示し、図21(b)はいずれの振動付与も行っていない場合を示している。
色が濃いほど密度が高いことを示している。
また、図21(a)は均質で色が濃いのに対し,図21(b)ではところどころ白く抜けた箇所があり,ボイドが散在していることがわかる。また、層と層の間の隙間も,図21(a)の方が狭く目立たないことが分かる。
次に、本発明の第3実施形態に係る立体造形装置について図22及び図23を参照して説明する。図22は同立体造形装置の概略平面説明図、図23は同じく概略側面説明図である。
本実施形態では、造形部1は造形槽22の一槽構成としている。また、平坦化ローラ12はX方向に移動可能とし、造形槽22に供給された粉体を均して平坦化する。
なお、その他の構成は、前記第1実施形態と同様とすることができるので、説明を省略する。
次に、本発明の第4実施形態について係る立体造形装置について図24ないし図27を参照して説明する。図24は同立体造形装置の概略平面説明図、図25は同じく概略側面説明図、図26は同じく造形部の断面説明図である。なお、図26は造形時の状態で示している。また、図27は同じく具体的構成の要部斜視説明図である。
この装置では、前記第1実施形態の図1ないし図4で説明した立体造形装置に図5で説明した余剰粉体受け槽29を備えている。また、この装置では、造形槽22の造形ステージ24に振動をさせる第1振動付与手段としての加振機構部90は備えていない。ただし、加振機構部90を備えることもできる。
そして、この装置では、後述する振動付与手段としての振動ブレード110及び振動子11を含む振動付与ユニット122を備えている(図27では省略)。
次に、本実施形態における振動付与手段を使用していないときの造形の流れの概要について図28も参照して説明する。図28は造形の流れの概要の説明に供する模式的説明図である。
本実施形態においても、第1層目の造形層30上に次の造形層30を形成するときには、図28(a)に示すように、供給槽21の供給ステージ23をZ1方向に上昇させ、造形槽22の造形ステージ24をZ2方向に下降させる。
このとき、造形槽22の粉体層31の表面(粉体面)の上面と平坦化ローラ12の下部(下方接線部)との間隔がΔt1となるように造形ステージ24の下降距離を設定する。
この場合、平坦化ローラ12は供給槽21及び造形槽22の上端面に対してギャップを置いて配置している。したがって、本実施形態では、造形槽22に粉体20を移送供給して平坦化するとき、粉体層31の表面(粉体面)は供給槽21及び造形槽22の上端面よりも高い位置になる。
これにより、平坦化ローラ12が供給槽21及び造形槽22の上端面に接触することを確実に防止できて、平坦化ローラ12の損傷が低減する。平坦化ローラ12の表面が損傷すると粉体層31の表面にスジが発生して平坦性が低下する。
その他は、前記第1実施形態で説明した流れと同様であるので、説明を省略する。
次に、本実施形態における振動付与手段について図29ないし図34を参照して説明する。図29は同振動付与手段を含むリコートユニット部分の斜視説明図、図30は同リコートユニット部分の側面説明図、図31は同じく要部拡大側面説明図、図32は振動ブレードの斜視説明図、図33は振動ブレードの高さ調整の説明に供する正面説明図、図34は同じく図33の状態から振動ブレードを上昇させた状態の正面説明図である。
本実施形態のリコートユニット120は、平坦化ローラ12を含む平坦化ユニット121と、振動付与手段としての振動付与ユニット122とを備えている。振動付与ユニット122は、平坦化ローラ12の移送供給方向(Y2方向:平坦化方向)の前方側(移送供給するときの移動方向前方側)に配置されるブレード部材である振動ブレード110を有している。
平坦化ユニット121及び振動付与ユニット122は、往復移動機構25を構成している移動ベース131A、131B上に保持されている。移動ベース131A、131Bは、Y方向(Y2方向、Y1方向)に沿って配置されたガイドレール部材132A、132Bにそれぞれ移動可能に保持されている。
そして、往復移動機構25のモータ553を駆動することによって、移動ベース131Aがガイドレール部材132Aに沿って移動することで、平坦化ユニット121及び振動付与ユニット122を含むリコートユニット120全体がY方向に往復移動される。
つまり、ここでも、振動付与手段は平坦化手段と共通の駆動源(モータ553)によって移動される。
平坦化ユニット121は、側板101A、101B(以下、区別しないときは「側板101」という。)に回転可能に保持される平坦化ローラ12を有している。側板101はブラケット141で移動ベース131に保持されている。平坦化ローラ12は、モータ26の回転がプーリ142、タイミングベルト143、プーリ144を介して伝達されることで、モータ26によって回転駆動される。
振動付与ユニット122は、保持部材151にて、振動ブレード110及び振動ブレード110を振動させる振動手段である振動子111を保持している。なお、振動手段としては、偏心モータ、エアバイブレータ、積層型圧電素子などを使用できるが、ここでは、積層型圧電素子で構成している。
振動ブレード110は、造形槽22の粉体面(粉体層31の表面)と平行に配置される底面部110bと、移動方向前方側で斜めに立ち上がる傾斜面部であるテーパ部110aとを有している。
保持部材151は、振動ブレード110と造形槽22の粉体面(粉体層31の表面)との間隔(ギャップ)を調整する手段である高さ調整手段155を介して、移動ベース131A、131Bに固定した支持ブラケット152A,152Bに取付けられている。
高さ調整手段155は、図33及び図34に示すように、第1部材153aと第2部材153bとが上下方向(Z方向)に相対移動可能に組み合わされた高さ調整部材153と、第2部材153bを第1部材153aに対して移動させる調整操作部材154とを備える。
調整操作部材154を回転することで第2部材153bが上下方向に移動し、保持部材151が上下動して、振動ブレード110と造形槽22の粉体面(粉体層31の表面)との間隔(ギャップ)を調整できる。例えば、図34は保持部材151をZ1方向に上昇させて、振動ブレード110と造形槽22の粉体面とのギャップを図33の位置よりも広くしている。
また、図31に示すように、振動ブレード110の底面部110bは、平坦化ローラ12の下端(接線高さ)よりもΔh分高い位置に配置される。つまり、前述したように、振動ブレード110の最下面(底面部110b)は、平坦化ローラ12の最下面よりも高い位置に設置されている。これにより、振動ブレード110で荒れた粉体面も、平坦化ローラ12で均されるために、結果として造形物の精度(平面度)に影響を与えることはない。
次に、上記立体造形装置の制御部の概要について図35を参照して説明する。図35は同制御部のブロック図である。
ここでは、振動ブレード110を振動させる振動子111を駆動する振動駆動部530を備えている。振動駆動部530から振動子111に与える駆動信号の周期及び駆動電圧を変化させることで、振動ブレード110の振動周波数及び振動振幅を変化させることができる。
なお、振動子111による振動ブレード110の振動は、振幅10〜30μm程度、振動周波数100〜300Hz程度が好ましい。
また、振動ブレード110による振動は、粉体面に対して垂直方向から与えることで、造形層30のズレを低減することができる。
また、振動ブレード110の底面部110b、すなわち、粉体面を圧粉する面の平坦化方向の長さは25mm程度が好ましい。振動ブレード110の底面部110bの平坦化方向の長さが短いと、振動ブレード110の底面部110bで圧粉される粉体面積が小さくなり、狭い範囲を圧粉しながら振動ブレード110が平坦化方向に移動することで、粉体面にムラが生じやすくなる。一方、振動ブレード110の底面部110bの平坦化方向の長さが長いと、底面部110bと粉体面との平行を維持した状態で圧粉するのが難しくなり、圧粉された粉体面にムラが生じやすくなる。
振動ブレード110の底面部110bの長手方向に関しては、造形槽22の幅(矢印Y方向と直交する方向の幅)以上であれば良い。
振動ブレード110のテーパ部110aの傾きは、ここでは45度としているが、これに限定されない。テーパ部110aの傾斜面に沿う方向の長さに関しては、粉体に対して振動を付与しながら供給を行うときに、粉体が振動ブレード110に乗り上げない程度の長さに設定することが好ましい。
次に、本実施形態における振動付与手段を使用した造形の流れについて図36及び図37を参照して説明する。図36及び図37は同造形の流れの説明に供する説明図である。
前述したと同様に、造形槽22の造形ステージ24上に、第1層目の造形層30が形成されている状態から説明する。
この造形層30上に次の造形層30を形成するときには、図36(a)に示すように、供給槽21の供給ステージ23をZ1方向に上昇させ、造形槽22の造形ステージ24をZ2方向に下降させる。
このとき、造形槽22の粉体層31の表面(粉体面)と平坦化ローラ12の下部(下方接線部)との間隔がΔt1となるように造形ステージ24の下降距離を設定する。この間隔Δt1が次に形成する粉体層31の厚さに相当する。また、振動ブレード110は、底面部110bの底面と造形層22の粉体面とギャップΔgになる位置に配置されている。
次いで、図36(b)に示すように、平坦化ローラ12を逆方向(矢印方向)に回転しながら、Y2方向(造形槽22側)に移動させ、粉体20を造形槽22へと移送供給する。このとき、振動子111を駆動して振動ブレード110を振動させ、既存の粉体層31上に供給する粉体20に振動を付与した状態で移送供給を行う(粉体振動供給)、
さらに、図36(c)に示すように、平坦化ローラ12を造形槽22の造形ステージ24のステージ面と平行に移動させて、粉体供給をしながら平坦化して、所定の厚さΔt1の粉体層31を形成する。このときも振動ブレード110を振動させて供給する粉体20に振動を付与した状態で、供給する粉体20に振動を付与した状態で粉体供給と平坦化を行う(粉体振動供給&平坦化)。
そして、平坦化ローラ12が造形槽22上を移動し切ったところで、振動子111の駆動を停止して振動ブレード110の振動を停止する。
その後、平坦化ローラ12及び振動ブレード110は、図37(a)に示すように、Y1方向に移動されて初期位置に戻される。このY1方向へ移動のときには振動子111の駆動は停止したままである。
その後、図37(b)に示すように、液体吐出ユニット50のヘッド52から造形液の液滴を吐出して、粉体層31に造形層30を積層形成する(造形)。
ところで、振動ブレード110によって振動を付与しながら供給された粉体20は、振動ブレード110によって圧力が加えられる(圧粉される)ため、粉体面がムラになりやすい。また、振動ブレード110の底面部110b、つまり粉体20を圧粉する面に凝集した粉体20などが付着すると、造形槽22を平坦化方向に移動するときに、粉体面上に引きずり痕を残すことが多い。
そのため、造形物の精度を向上させるためには、振動ブレード110で造形槽22へ粉体20を振動しながら供給した後は、粉体面を平坦化する必要がある。
そこで、平坦化ローラ12の移動方向前方側に振動ブレード110を配置することで、一度の移動で振動供給と粉体面の平坦化を行なうことができ、機構や制御が簡単になる。
なお、平坦化ローラ12を逆方向に回転しながら平坦化を行うとき、粉体20が飛散しやすくなるため、振動ブレード110や振動子111は保護フィルムなどの保護部材で囲うことが好ましい。
また、振動駆動部530から与える駆動信号を変化させることで振動子111の駆動周波数(振動周波数)、振動振幅をそれぞれ制御することができる。この場合の振動子111としては圧電素子、特に積層型圧電素子が好ましい。
これにより、粉体の種類に合わせた振動条件(振動周波数、振幅)を設定することができ、粉体の種類に関わらず、粉体のパッキング密度を向上させ、造形物の密度を向上させることができる。
また、前述したように、高さ調整部材153及び調整操作部材154によって振動ブレード110と造形槽22の粉体面(粉体層31の表面)とのギャップを調整することができる。
そこで、粉体20の種類、粉体20の状態(例えば、保管環境や、造形中の環境など)によって、振動ブレード110の高さを調整して、常に最適な振動条件で振動を付与し、造形することができ、造形物の密度・精度の向上を図ることができる。
この場合、上述した調整操作部材154をモータなどのアクチュエータを使用して駆動する構成とし、粉体20の種類や状態を検出して、検出結果に応じて調整操作部材154を駆動して、振動ブレード110の高さ(ギャップΔg)を調整することができる。
そして、2つの調整操作部材154を同時に駆動することで、平坦化ローラ12の長手方向に対して振動ブレード110が平行になるよう高さを調整することができ、粉体面との平行を確保することができて、造形物の均等な密度を確保することができる。
次に、粉体槽の粉体面と振動ブレードとのギャップΔgと振動周波数及び振幅の関係の一例について図38を参照して説明する。
この図38は、SUS粉のように比重が重い粉体20を使用し、ギャップΔgを0.6mm、0.4mmとし、振動周波数を100Hz,振幅20μmから振動周波数を280Hz,振幅40μmまで変化させたときの粉体密度を測定した結果を示している。
この結果から、SUS粉のように比重が重い粉体20に関しては、ギャップΔgは大きい方が密度が高いことが分かる。また、振動周波数と振幅は、大きい方が密度が高いことが分かる。
この場合、ギャップΔgを大きくするほど、供給する粉体量は多くする。これにより動の際のクッションとしての役割を粉体が果たすため、すでに造形された造形層のズレや破損をせずに、粉体のパッキング密度を向上させることができ、かつ造形物の密度を向上させることができる。
次に、本発明の本発明の第5実施形態について図39及び図40を参照して説明する。図39及び図40は同実施形態における造形の流れの説明に供する説明図である。
本実施形態に係る立体造形装置及びその制御部の構成は前記第4実施形態と同様である。
本実施形態でも、図39(a)ないし(c)に示すように、平坦化ローラ12を造形槽22の造形ステージ24のステージ面と平行に移動させ、振動ブレード110を振動させて供給する粉体20に振動を付与した状態で粉体供給をしながら平坦化して、所定の厚さΔt1の粉体層31を形成する。
その後、図40(a)に示すように、平坦化ローラ12が造形槽22上を通過した後、振動子111の駆動を停止して振動ブレード110の振動を停止し、平坦化ローラ12と振動ブレード110が余剰粉体受け槽29の上方に位置するところまで移動させる。
そして、一旦駆動を停止した振動子111を再駆動して振動ブレード110を振動させる。このときの振動子111の再駆動の時間は極めて短時間(例えば1秒以内)で足りる。
このように、一旦停止した振動ブレード110を振動させることで、振動開始時に、振動ブレード110に付着残留している粉体20が振動ブレード110から剥がれ落ちる。これにより、振動ブレード110を清浄な状態にすることができる。
なお、再駆動後振動を停止した状態で、図40(b)に示すように、原点位置(初期位置)に平坦化ローラ12及び振動ブレード110を復帰させる。
この振動ブレード110を初期位置に戻すとき、上述したように振動ブレード110の残留粉体が既に落とされて清浄化されているので、造形槽22の平坦化された粉体層31上に粉体20を落とすことがなくなる。これにより、ヘッド52に粉体が付着してノズル抜けを発生させることがなくなり、造形物の密度や精度を確保することができる。
次に、本発明の第6実施形態について図41を参照して説明する。図41は同実施形態に係る立体造形装置における振動ブレードの高さ調整の説明に供する正面説明図である。
本実施形態では、前記第4実施形態において、高さ調整手段155は、調整操作部材154を回転駆動する振動子昇降用アクチュエータ156を備えている。なお、その他の構成は前記第4実施形態と同様である。
次に、本実施形態の制御部の概要について図42を参照して説明する。図42は同制御部のブロック図である。
ここでは、振動ブレード110を振動させる振動子111を駆動する振動駆動部530を備えている。主制御部500Aは、振動駆動部530から振動子111に与える駆動信号の周期及び駆動電圧を変化させることで、振動ブレード110の振動周波数及び振動振幅を変化させる振動周波数制御、振幅制御を行うことができる。
また、振動子昇降用アクチュエータ156を駆動する昇降駆動部531を備えている。主制御部500Aは、昇降駆動部531を介して振動子昇降用アクチュエータ156を駆動制御して、振動ブレード110の高さを調整し、振動ブレード110と造形槽22の粉体面とのギャップΔgを変化させるギャップ制御を行うことができる。
なお、以下では、振動周波数制御、振幅制御、ギャップ制御は個別に実施する例で説明するが、これらを組み合わせて実施することができる。
次に、粉体層を形成する工程でブレード振動によって粉体をタッピング(圧粉)した後平坦化を行う場合に発生する造形層の位置ずれや変形について図43を参照して説明する。
図43(a)に示すように、長さLの矩形断面を持つ造形層30を積層造形する場合、理想的には最下部の第1層目の造形層30から最上部の第n層目の造形層30のいずれにおいても、全く位置ずれなく、長さLの矩形断面の造形層30が造形される。
しかしながら、図43(b)に示すように、平坦化ローラ12の移動方向に沿って矩形断面の長さがLのままの造形層30の位置ずれが発生する場合が多い。あるいは、図43(c)に示すように、造形層30が膨張変形する(矩形断面の長さL1がLより大きくなる)場合がある。さらに、これらが混在した造形層変形が起こることも多い。
このような造形層30の位置ずれ・変形は、下部の造形層30ほど起こりやすく、上側の造形層30に向かうにつれ起こりにくい特徴がある。造形層30の体積が少ない、つまり、重量が少ないほど、上部から加わる振動の影響を受け易いためと考えられる。
そのため、造形層30がある層数積まれた上側の造形層30では、造形層30の位置ずれ、変形が発生しないか、発生しても、事実上無視できるほど小さな量になる。
例えば、数百層程度の積層を行う場合、粉体の種類や造形液の種類・吐出条件にも依存するが、概ね10〜数十層より上側では造形層の位置ずれ・変形が無視できるレベルとなる場合が多い。
次に、本実施形態におけるギャップ制御について図44及び図45を参照して説明する。図44は同説明に供するフロー図、図45は同じく具体的な説明図である。
形成する粉体層31の層数を判別して、第2層目の粉体層31を形成するときには、振動ブレード110と造形槽22の粉体面とのギャップΔgをd2とし(図45(a))、第3層目の粉体層31を形成するときにはギャップΔgをd3とする(図45(b))。以下、同様にして、第(n−1)層目の粉体層31を形成するときにはギャップΔgを(dn−1)とし、第n層目の粉体層31を形成するときにはギャップΔgをdnとする(図45(c))。
ここで、d2>d3>・・・>(dn−1)>dn、とし、造形層30の積層数が増加するに従って、ギャップΔgは漸次小さくなる構成としている。
つまり、振動ブレード110と既存の造形層30表面との間隔を大きくするほど、振動ブレード110の下方の造形層30に伝播する振動エネルギーが減衰し、造形層30が受ける力も小さくなる。
そこで、振動ブレード110の底面部110bと既存の最上位の造形層30の表面との距離(ギャップΔg)を、少なくとも最下層の層状造形物(造形層30)が形成された粉体層31上に粉体20を供給するときが最大である構成とすることで、最下層の造形層30の位置ずれ、変形を防止することができる。
そして、振動ブレード110の底面部110bと既存の最上位の造形層30の表面とのギャップΔgを、積層数が増加するに従って小さくすることで、造形層30の位置ずれ、変形を低減しつつ、余剰粉体となる粉体量を減少することができる。
すなわち、振動ブレード110の底面部110bと既存の最上位の造形層30の表面とのギャップΔgが大きくなるほど、平坦化ローラ12と振動ブレード110とのギャップΔhが大きくなって粉体層31の形成に使用されない粉体量が増加することになる。そこで、上層になるほどギャップΔgを小さくすることで、平坦化ローラ12と振動ブレード110とのギャップΔhも小さくなり、粉体層31の形成に使用されない余剰粉体量を減少でき、粉体の効率的使用を図ることができる。
なお、最下層の造形層30を形成する第1層目に関しては、それより下側に造形層30が存在しないため、第1層目の粉体層31を形成するときのギャップΔgは例えば第2層目のギャップd2と同じにするなどの適切な値とすればよい。
ここで、各層のギャップΔgは、予めデータとして造形装置の制御部500のRAM503等に格納させておくことが好ましい。この場合、各層のギャップΔgは、粉体20の種類や造形液、積層の厚み等の条件を加味して、予め実験的に求めておくことが好ましい。
次に、本発明の第7実施形態について図46及び図47を参照して説明する。図46は同実施形態におけるギャップ制御の説明に供するフロー図、図47は同じく具体的な説明図である。
形成する粉体層31の層数を判別して、第2層目の粉体層31を形成するときには、振動ブレード110と造形槽22の粉体面とのギャップΔgをd2とし(図47(a))、第3層目の粉体層31を形成するときにはギャップΔgをd3とする(図47(b))。以下、同様にして、第m層目(m<n)の粉体層31を形成するときにはギャップΔgをdmとし、第(m+1)層目から第n層目までの粉体層31を形成するときにはすべてギャップΔgを(dm+1)に固定する(図47(c))。
ここで、d2>d3>・・・>dm>(dm+1)、とし、造形層30の積層数がm層になるまでは、積層数が増加するに従ってギャップΔgは漸次減少し、第(m+1)層以降はギャップΔgを(dm+1)で固定する構成としている。
つまり、前述したように、造形層30の積層数がある程度の層数になった上側の造形層30については、造形層30の位置ずれ、変形が発生しないか、発生しても、無視できるほど小さな量になる。
そこで、閾値として所定積層数mに達するまではギャップΔgを減少させるが、所定積層数mを超えたときからギャップΔgを固定値とする。これにより、造形層の位置ずれ、変形を低減し、余剰粉体量を低減しつつ、ギャップΔgの切り替え回数を減少して処理を簡単にすることができる。
次に、本発明の第8実施形態について図48及び図49を参照して説明する。図48は同実施形態におけるギャップ制御の説明に供するフロー図、図49は同じく具体的な説明図である。
形成する粉体層31の層数を判別して、第m層目以下の粉体層31を形成するときには、振動ブレード110と造形槽22の粉体面とのギャップΔgをd2とし(図49(a)、(b))、第(m+1)層目以降の粉体層31を形成するときにはギャップΔgを(dm+1)とする(図49(c)、(d))。
ここで、d2>(dm+1)、とし、造形層30の積層数mを閾値としてギャップΔgを段階的に切り替える構成としている。
これにより、前記第7実施形態と同様に、造形層の位置ずれ、変形を低減し、余剰粉体量を低減しつつ、ギャップΔgの切り替え回数を1回にすることができて更に処理を簡単にすることができる。
次に、本発明の第9実施形態について図50を参照して説明する。図50は同実施形態における振幅制御の説明に供するフロー図である。
形成する粉体層31の層数を判別して、第2層目の粉体層31を形成するときには、振動ブレード110と振動振幅ANをA2とし、第3層目の粉体層31を形成するときには振動振幅ANをA3とする。以下、同様にして、第(n−1)層目の粉体層31を形成するときには振動振幅Anを(An−1)とし、第n層目の粉体層31を形成するときには振動振幅ANをAnとする。
ここで、A2<A3<・・・<(An−1)<An、とし、造形層30の積層数が増加するに従って、振動振幅ANは漸次大きくなる構成としている。
つまり、振動ブレード110の振幅を小さくするほど、振動ブレード110の下方の造形層30に伝播する振動エネルギーが減衰し、造形層30が受ける力も小さくなる。
そこで、振動ブレード110の振動振幅ANを、少なくとも最下層の層状造形物(造形層30)が形成された粉体層31上に粉体20を供給するときが最小である構成とすることで、最下層の造形層30の位置ずれ、変形を防止することができる。
そして、振動ブレード110の振動振幅ANを、積層数が増加するに従って大きくすることで、タッピング(圧粉)効果を高めて高密度化を図ることができる。
ここで、各層を形成するときの振動ブレードの振幅ANは、予めデータとして造形装置の制御部500のRAM503等に格納させておくことが好ましい。この場合、各層の振幅ANは、粉体20の種類や造形液、積層の厚み等の条件を加味して、予め実験的に求めておくことが好ましい。
次に、本発明の第10実施形態について図51を参照して説明する。図51は同実施形態における振幅制御の説明に供するフロー図である。
形成する粉体層31の層数を判別して、第2層目の粉体層31を形成するときには、振動ブレード110の振動振幅ANをA2とし、第3層目の粉体層31を形成するときには振動振幅ANをA3とする。以下、同様にして、第m層目(m<n)の粉体層31を形成するときには振動振幅ANをAmとし、第(m+1)層目から第n層目までの粉体層31を形成するときにはすべて振動振幅ANを(Am+1)に固定する。
ここで、A2<A3<・・・<Am<(Am+1)、とし、造形層30の積層数がm層になるまでは、積層数が増加するに従って振動振幅は漸次大きくし、第(m+1)層以降は振動振幅ANを(Am+1)で固定する構成としている。
つまり、前述したように、造形層30の積層数がある程度の層数になった上側の造形層30については、造形層30の位置ずれ、変形が発生しないか、発生しても、無視できるほど小さな量になる。
そこで、閾値として所定積層数mに達するまでは振動振幅ANを減少させるが、所定積層数mを超えたときから振動振幅ANを固定値とする。これにより、造形層の位置ずれ、変形を防止し、高密度化を図るとともに、振動振幅ANの切り替え回数を減少して処理を簡単にすることができる。
次に、本発明の第11実施形態について図52を参照して説明する。図52は同実施形態における振幅制御の説明に供するフロー図である。
形成する粉体層31の層数を判別して、第m層目以下の粉体層31を形成するときには、振動ブレード110の振動振幅ANをA2とし、第(m+1)層目以降の粉体層31を形成するときには振動振幅ANを(Am+1)とする。
ここで、A2<(Am+1)、とし、造形層30の積層数mを閾値として振動振幅ANを段階的に切り替える構成とし、積層数m以下でも振動振幅ANを小さくし、積層数mを超えると振動振幅ANを大きくている。
これにより、造形層の位置ずれ、変形を防止し、高密度化を図るとともに、振動振幅ANの切り替え回数を1回にすることができて前記第10実施形態より更に処理を簡単にすることができる。
次に、本発明の第12実施形態について図53を参照して説明する。図53は同実施形態における振動周波数制御の説明に供するフロー図である。
形成する粉体層31の層数を判別して、第2層目の粉体層31を形成するときには、振動ブレード110と振動周波数FNをF2とし、第3層目の粉体層31を形成するときには振動周波数FNをF3とする。以下、同様にして、第(n−1)層目の粉体層31を形成するときには振動周波数Fnを(Fn−1)とし、第n層目の粉体層31を形成するときには振動周波数FNをFnとする。
ここで、F2<F3<・・・<(Fn−1)<Fn、とし、造形層30の積層数が増加するに従って、振動周波数FNは漸次大きくなる(高くなる)構成としている。
つまり、振動ブレード110の振動周波数を低くするほど、振動ブレード110の下方の造形層30に伝播する振動エネルギーが減衰し、造形層30が受ける力も小さくなる。
そこで、振動ブレード110の振動周波数FNを、少なくとも最下層の層状造形物(造形層30)が形成された粉体層31上に粉体20を供給するときが最小である構成と、ゆっくりした振動を与えることで、最下層の造形層30の位置ずれ、変形を防止することができる。
そして、振動ブレード110の振動周波数FNを、積層数が増加するに従って大きくすることで、タッピング(圧粉)効果を高めて高密度化を図ることができる。
ここで、各層を形成するときの振動ブレードの振動周波数FNは、予めデータとして造形装置の制御部500のRAM503等に格納させておくことが好ましい。この場合、各層の振動周波数FNは、粉体20の種類や造形液、積層の厚み等の条件を加味して、予め実験的に求めておくことが好ましい。
次に、本発明の第13実施形態について図54を参照して説明する。図54は同実施形態における振動周波数制御の説明に供するフロー図である。
形成する粉体層31の層数を判別して、第2層目の粉体層31を形成するときには、振動ブレード110の振動周波数FNをF2とし、第3層目の粉体層31を形成するときには振動周波数FNをF3とする。以下、同様にして、第m層目(m<n)の粉体層31を形成するときには振動周波数FNをFmとし、第(m+1)層目から第n層目までの粉体層31を形成するときにはすべて振動周波数FNを(Fm+1)に固定する。
ここで、A2<A3<・・・<Fm<(Fm+1)、とし、造形層30の積層数がm層になるまでは、積層数が増加するに従って振動周波数は漸次大きく(高く)し、第(m+1)層以降は振動周波数FNを(Fm+1)で固定する構成としている。
つまり、前述したように、造形層30の積層数がある程度の層数になった上側の造形層30については、造形層30の位置ずれ、変形が発生しないか、発生しても、無視できるほど小さな量になる。
そこで、閾値として所定積層数mに達するまでは振動周波数FNを増加させるが、所定積層数mを超えたときから振動周波数FNを固定値とする。これにより、造形層の位置ずれ、変形を防止し、高密度化を図るとともに、振動周波数FNの切り替え回数を減少して処理を簡単にすることができる。
次に、本発明の第14実施形態について図55を参照して説明する。図55は同実施形態における振幅周波数制御の説明に供するフロー図である。
形成する粉体層31の層数を判別して、第m層目以下の粉体層31を形成するときには、振動ブレード110の振動周波数FNをF2とし、第(m+1)層目以降の粉体層31を形成するときには振動周波数FNを(Fm+1)とする。
ここで、F2<(Fm+1)、とし、造形層30の積層数mを閾値として振動周波数FNを段階的に切り替える構成とし、積層数m以下では振動周波数FNを小さくし、積層数mを超えると振動周波数FNを大きくている。
これにより、造形層の位置ずれ、変形を防止し、高密度化を図るとともに、振動周波数FNの切り替え回数を1回にすることができて前記第13実施形態よりも更に処理を簡単にすることができる。