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JP6563966B2 - 発電セル - Google Patents

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JP6563966B2 JP2017018843A JP2017018843A JP6563966B2 JP 6563966 B2 JP6563966 B2 JP 6563966B2 JP 2017018843 A JP2017018843 A JP 2017018843A JP 2017018843 A JP2017018843 A JP 2017018843A JP 6563966 B2 JP6563966 B2 JP 6563966B2
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Description

本発明は、ビードシールを備えた発電セルに関する。
従来、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の一方面にアノード電極が配置され、電解質膜の他方面にカソード電極が配置されてなる電解質膜・電極構造体(MEA)と、MEAの両側にそれぞれ配置されたセパレータ(バイポーラ板)とを備えた燃料電池(発電セル)は公知である。通常、所定の数の発電セルが積層されることにより燃料電池スタックが構成される。燃料電池スタックは、例えば、車載用燃料電池スタックとして燃料電池車両(燃料電池電気自動車等)に組み込まれている。
燃料電池では、セパレータとして金属セパレータが使用される場合がある。その際、金属セパレータには、酸化剤ガス及び燃料ガスである反応ガスや冷却媒体の漏れを防止するために、シール部材が設けられている。シール部材は、フッ素系やシリコーン等の弾性ゴムシールが使用されており、コストが高騰するという問題がある。
そこで、例えば、特許文献1に開示されているように、弾性ゴムシールに代えて、金属セパレータにシーリングビード(ビードシール)を成形する構成が採用されている。ビードシールは、金属セパレータの平坦部(ベースプレート部)から膨出した形状を有する。ビードシールは、プレス成形されるため、製造コストが安価になるという利点がある。
米国特許第6605380号明細書
金属セパレータとMEAは積層されて、積層方向に締付荷重が付与されることにより、燃料電池スタックとして組み付けられる。従来のビードシールでは、ビードシールの頂部の中央部(ビード幅方向中央部)は変形により面圧が相対的に低下し、頂部の肩部(ビード幅方向両端部)は逆に面圧が相対的に高くなる。そのため、シール幅方向で面圧が低い部位が発生し、ビードシールの平面形状(積層方向から見た形状)によっては、シール性の確保が困難になる場合があった。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、ビードシールのシール幅方向の面圧分布を均一化し、シール性を向上することが可能な発電セルを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、電解質膜の両側に電極がそれぞれ配設されてなる電解質膜・電極構造体と積層されて発電セルを構成し、燃料ガス、酸化剤ガス又は冷却媒体である流体の漏れを防止するためのビードシールが前記電解質膜・電極構造体との積層方向に突出して形成された燃料電池用金属セパレータであって、前記発電セルは、前記積層方向に圧縮荷重が付与されるものであり、前記ビードシールの頂部の断面形状は、前記圧縮荷重の付与に伴って平坦になる形状を有することを特徴とする。
前記ビードシールは、前記積層方向から見た平面視で、湾曲形状を有するとよい。
燃料電池用金属セパレータには、前記積層方向に貫通するとともに前記流体を供給又は排出するための連通孔が設けられ、前記ビードシールは、前記連通孔を囲む連通孔ビード部を有し、前記連通孔ビード部の角部と角部との間に、前記湾曲形状が設けられるとよい。
前記頂部には、シール幅方向に厚さが一定の樹脂製シール部材が設けられるとよい。
前記圧縮荷重を付与しない状態で、前記頂部の断面形状は、前記ビードシールの突出方向に膨出した湾曲形状を有するとよい。
前記頂部の前記湾曲形状の高さは、前記圧縮荷重が大きいほど高いとよい。
また、本発明は、電解質膜の両側に電極がそれぞれ配設されてなる電解質膜・電極構造体と、電解質膜・電極構造体の両側にそれぞれ配設された金属セパレータとを備え、前記金属セパレータには、燃料ガス、酸化剤ガス又は冷却媒体である流体の漏れを防止するためのビードシールが前記電解質膜・電極構造体と前記金属セパレータとの積層方向に突出して形成され、前記積層方向に圧縮荷重が付与された発電セルであって、前記ビードシールの頂部の断面形状は、前記圧縮荷重の付与に伴って平坦になる形状を有することを特徴とする。
本発明の発電セルによれば、ビードシールの頂部の断面形状は、圧縮荷重の付与に伴って平坦になる形状を有する。このため、圧縮時にはビードシールの頂部が平坦形状になり、シール面圧の局部的な低下や増加をなくすことができる。従って、シール幅方向の面圧分布を均一化し、シール性を向上させることが可能となる。
発電セルの分解斜視図である。 図1に示した発電セルの断面図である。 本発明の第1実施形態に係る金属セパレータのビードシールの断面形状及び面圧分布の説明図である。 第2金属セパレータの平面図である。 比較例に係るビードシールの平面説明図である。 図5におけるVI−VI線に沿ったビードシールの断面形状及び面圧分布の説明図である。 本発明の第2実施形態に係る金属セパレータのビードシールの断面形状及び面圧分布の説明図である。 本発明の第2実施形態に係る金属セパレータのビードシール(圧縮時にズレ有)の断面形状及び面圧分布の説明図である。 比較例に係る金属セパレータのビードシールの断面形状及び面圧分布の説明図である。 比較例に係る金属セパレータのビードシール(圧縮時にズレ有)の断面形状及び面圧分布の説明図である。
以下、本発明に係る発電セルについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一又は同様な要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
図1及び図2に示すように、発電セル(燃料電池)10は、樹脂枠付き電解質膜・電極構造体(以下、「樹脂枠付きMEA12」という)と、樹脂枠付きMEA12の両側にそれぞれ配置された金属セパレータ14とを備える。発電セル10は、例えば、横長(又は縦長)の長方形状の固体高分子型燃料電池である。
複数の発電セル10は、例えば、矢印A方向(水平方向)又は矢印C方向(重力方向)に積層されるとともに、積層方向の締付荷重(圧縮荷重)が付与されて、燃料電池スタックが構成される。燃料電池スタックは、例えば、車載用燃料電池スタックとして燃料電池電気自動車(図示せず)に搭載される。
図1に示すように、発電セル10の矢印B方向(水平方向)の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス入口連通孔18a、冷却媒体入口連通孔20a及び燃料ガス出口連通孔16bが設けられる。酸化剤ガス入口連通孔18aは、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給する一方、冷却媒体入口連通孔20aは、冷却媒体を供給する。燃料ガス出口連通孔16bは、燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出する。酸化剤ガス入口連通孔18a、冷却媒体入口連通孔20a及び燃料ガス出口連通孔16bは、矢印C方向(鉛直方向)に配列して設けられる。
発電セル10の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給する燃料ガス入口連通孔16a、冷却媒体を排出する冷却媒体出口連通孔20b、及び酸化剤ガスを排出する酸化剤ガス出口連通孔18bが設けられる。燃料ガス入口連通孔16a、冷却媒体出口連通孔20b及び酸化剤ガス出口連通孔18bは、矢印C方向に配列して設けられる。
発電セル10では、樹脂枠付きMEA12が金属セパレータ14により挟持される。以下、樹脂枠付きMEA12の一方面側に配設された金属セパレータ14を「第1金属セパレータ14a」ともいい、樹脂枠付きMEA12の他方面側に配設された金属セパレータ14を「第2金属セパレータ14b」ともいう。第1金属セパレータ14a及び第2金属セパレータ14bは、横長(又は縦長)の長方形状を有する。
樹脂枠付きMEA12は、電解質膜・電極構造体12a(以下、「MEA12a」という)と、MEA12aの外周部に接合されるとともに該外周部を周回する樹脂枠部材22とを備える。MEA12aは、電解質膜23と、電解質膜23の一方の面に設けられたアノード電極24と、電解質膜23の他方の面に設けられたカソード電極26とを有する。
電解質膜23は、例えば、固体高分子電解質膜(陽イオン交換膜)である。固体高分子電解質膜は、例えば、水分を含んだパーフルオロスルホン酸の薄膜である。電解質膜23は、アノード電極24及びカソード電極26に挟持される。電解質膜23は、フッ素系電解質の他、HC(炭化水素)系電解質を使用することができる。
図2に示すように、アノード電極24は、電解質膜23の一方の面23aに接合される第1電極触媒層24aと、第1電極触媒層24aに積層される第1ガス拡散層24bとを有する。カソード電極26は、電解質膜23の他方の面23bに接合される第2電極触媒層26aと、第2電極触媒層26aに積層される第2ガス拡散層26bとを有する。
樹脂枠部材22は、その内周部がMEA12aの外周部に接合された平面形状が長方形の枠状の樹脂フィルム(サブガスケット)である。樹脂枠部材22は一定の厚みを有する。図1において、樹脂枠部材22の矢印B方向の一端部には、酸化剤ガス入口連通孔18a、冷却媒体入口連通孔20a及び燃料ガス出口連通孔16bが設けられる。樹脂枠部材22の矢印B方向の他端部には、燃料ガス入口連通孔16a、冷却媒体出口連通孔20b及び酸化剤ガス出口連通孔18bが設けられる。樹脂枠部材22に設けられる連通孔16a、16b、18a、18b、20a、20bは、それぞれ、第1金属セパレータ14a及び第2金属セパレータ14bに設けられる連通孔16a、16b、18a、18b、20a、20bと同一形状に設定される。
樹脂枠部材22の構成材料としては、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPA(ポリフタルアミド)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルフォン)、LCP(リキッドクリスタルポリマー)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、m−PPE(変性ポリフェニレンエーテル樹脂)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)又は変性ポリオレフィン等が挙げられる。
なお、樹脂枠部材22を用いることなく、電解質膜23を外方に突出させてもよい。また、アノード電極24及びカソード電極26よりも外方に突出した電解質膜23の両側に枠形状のフィルムを設けてもよい。
金属セパレータ14は、セパレータ本体である金属プレート15を有する。以下では、金属プレート15自体の構成を説明する際にも、「金属セパレータ14」との呼称を用いる場合がある。
金属セパレータ14を構成する金属プレート15は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属薄板の断面を波形にプレス成形して構成される。第1金属セパレータ14aと第2金属セパレータ14bとは、外周を溶接、ろう付け、かしめ等により一体に接合され、接合セパレータ32を構成する。
第1金属セパレータ14aの樹脂枠付きMEA12に向かう面14asには、燃料ガス入口連通孔16aと燃料ガス出口連通孔16bとに連通する燃料ガス流路38が設けられる。具体的に、燃料ガス流路38は、第1金属セパレータ14aと樹脂枠付きMEA12との間に形成される。燃料ガス流路38は、矢印B方向に延在する複数本の直線状流路溝(又は波状流路溝)を有する。
図4に示すように、第2金属セパレータ14bの樹脂枠付きMEA12に向かう面14bsには、酸化剤ガス入口連通孔18aと酸化剤ガス出口連通孔18bとに連通する酸化剤ガス流路40が設けられる。具体的に、酸化剤ガス流路40は、第2金属セパレータ14bと樹脂枠付きMEA12との間に形成される。酸化剤ガス流路40は、矢印B方向に延在する複数本の直線状流路溝(又は波状流路溝)を有する。
図1において、互いに隣接する第1金属セパレータ14aと第2金属セパレータ14bとの間には、冷却媒体入口連通孔20aと冷却媒体出口連通孔20bとに連通する冷却媒体流路42が、矢印B方向に延在して形成される。
第1金属セパレータ14aのMEA12aに向かう面14asには、流体(燃料ガス、酸化剤ガス又は冷却媒体)の漏れを防止するための第1シールライン44が第1金属セパレータ14aと一体にプレス成形により設けられる。第1シールライン44は、第1金属セパレータ14aの外周部を周回する。第1シールライン44は、樹脂枠部材22に向かって膨出(突出)するとともに、樹脂枠部材22に気密及び液密に当接する。
第1シールライン44は、複数のビードシール45(メタルビードシール)を有する。複数のビードシール45は、外側ビードシール45aと、外側ビードシール45aよりも内側に設けられた内側ビードシール45bとを有する。ビードシール45は、発電セル10の積層方向から見た平面視で、各連通孔16a、16b、18a、18b、20a、20bの周囲に波形状(複数の湾曲形状が連続した形状)の部分45wを有する。内側ビードシール45bは、燃料ガス流路38、燃料ガス入口連通孔16a及び燃料ガス出口連通孔16bを周回し且つこれらを連通させる。内側ビードシール45bは、連通孔16a、16b、18a、18b、20a、20bを個別に囲む複数の連通孔ビード部45cを有する。各連通孔ビード部45cの角部45ckと角部45ckとの間に、波形状の部分45wが設けられる。
図4に示すように、第2金属セパレータ14bのMEA12aに向かう面14bsには、流体の漏れを防止するため、この第2金属セパレータ14bの外周部を周回する第2シールライン46が第2金属セパレータ14bと一体にプレス成形により設けられる。第2シールライン46は、樹脂枠部材22に向かって膨出するとともに、樹脂枠部材22に気密及び液密に当接する。第1シールライン44と第2シールライン46は樹脂枠部材22を介して対向する。樹脂枠部材22は、第1シールライン44と第2シールライン46との間に挟持される。
第2シールライン46は、複数のビードシール47(メタルビードシール)を有する。複数のビードシール47は、外側ビードシール47aと、外側ビードシール47aよりも内側に設けられた内側ビードシール47bとを有する。ビードシール47は、発電セル10の積層方向から見た平面視で、各連通孔16a、16b、18a、18b、20a、20bの周囲に波形状(複数の湾曲形状が連続した形状)の部分47wを有する。内側ビードシール47bは、酸化剤ガス流路40、酸化剤ガス入口連通孔18a及び酸化剤ガス出口連通孔18bを周回し且つこれらを連通させる。内側ビードシール47bは、連通孔16a、16b、18a、18b、20a、20bを個別に囲む複数の連通孔ビード部47cを有する。各連通孔ビード部47cの角部47ckと角部47ckとの間に、波形状の部分47wが設けられる。
図2に示すように、ビードシール45、47は、金属セパレータ14(金属プレート15)のベースプレート部15aから、発電セル10の積層方向(MEA12aと金属セパレータ14との積層方向)に突出して形成される。具体的に、ビードシール45、47は、ベースプレート部15aから積層方向に離間した頂部50と、頂部50の両端部とベースプレート部15aとを繋ぐ側部52、53とを有する。側部52、53は、頂部50側に向かって互いに近づくように、積層方向に対して傾斜する。このため、ビードシール45、47の断面形状は、先端側(樹脂枠部材22側)に向かって先細り形状である。樹脂枠部材22を介して対向するビードシール45、47の形状(板厚、頂部50の幅、側部52、53の傾斜角度、頂部50の当初湾曲形状(図3上段))は、同じであることが好ましいが、同じでなくてもよい。
頂部50の断面形状は、圧縮荷重の付与に伴って平坦になる形状を有する。圧縮荷重は、発電セル12を積層して燃料電池スタックを締め付けした際、ビードシール45、47に付与される荷重である。図3(上段)に示すように、圧縮荷重を付与しない初期状態(燃料電池スタックとして組み付けられる前の状態)で、頂部50の断面形状は、ビードシール45の突出方向に膨出した湾曲形状(弧状)を有する。
頂部50の湾曲形状の高さhは、圧縮荷重付与時に平坦になるように設定される。従って、頂部50の湾曲形状の高さh(リフト量)は、発電セル10に付与される圧縮荷重が大きいほど高い。
頂部50の湾曲形状の曲率半径Rが小さ過ぎる場合(例えば、1mm以下である場合)、高さhが大きくなり、圧縮荷重付与時に平坦になりにくい。一方、曲率半径Rが大き過ぎる場合(例えば、10mm以上である場合)、圧縮荷重付与時に頂部50の幅方向中央部に面圧のピークができず、シール性が悪くなる。従って、頂部50の湾曲形状の曲率半径Rは、1mm<R<10mmに設定されるとよい。
高さhは、側部52(側部53)と頂部50との境界部(湾曲が開始する箇所)から頂部50のうち最も高い位置までの、ビードシール45、47の突出方向に沿った距離である。金属セパレータ14の板厚Tは、0.05〜0.15mmに設定されるとよい。高さhは、例えば、金属セパレータ14の板厚Tの100〜300%に設定されるとよい。なお、板厚Tの公差範囲(例えば、15μm以内)に入る程度の微小な凹凸形状は平坦とみなす。
図3(中段)に示すように、圧縮荷重を付与した状態(燃料電池スタックとして組み付けられた状態)で、頂部50の断面形状は、積層方向に垂直な平坦形状である。すなわち、頂部50の断面形状は、初期状態(図3の上段)ではビードシール45、47の突出方向に湾曲しているが、圧縮荷重の付与時(図3の中段)には、圧縮荷重によって弾性変形して平坦形状となる。換言すれば、頂部50の断面形状が平坦形状となるような圧縮荷重が付与される。図3中段において、頂部50の幅方向両端部には小さな湾曲50a(R部)が設けられる。
頂部50の平坦部分の幅Wが小さ過ぎる場合(例えば、0.5mm未満である場合)、発電セル10同士のズレ発生時に適切な面圧が確保しにくい。一方、頂部50の平坦部分の幅Wが大き過ぎる場合(例えば、1.5mm超である場合)、必要面圧を発生させるための圧縮荷重が過大となり、圧縮荷重付与時にビードシール45、47が潰れる恐れがある。従って、頂部50の平坦部分の幅Wは、例えば、0.5〜1.5mmであることが好ましい。
図2において、ビードシール45、47の頂部50には、両端部の厚さが中央よりも薄い樹脂製シール部材56(マイクロシール)が印刷又は塗布等により固着される。従って、ビードシール45の頂部50は、樹脂製シール部材56を介して樹脂枠部材22に当接する。樹脂製シール部材56は、例えば、ポリエステル繊維が使用される。なお、樹脂製シール部材56を省略し、頂部50を樹脂枠部材22に直接当接させてもよい。樹脂製シール部材56は、MEA12a側に設けられてもよい。
このように構成される発電セル10の動作について、以下に説明する。
図1に示すように、酸化剤ガス入口連通孔18aには、酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔16aには、水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体入口連通孔20aには、純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
このため、酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔18aから第2金属セパレータ14bの酸化剤ガス流路40に導入され、矢印B方向に移動してMEA12aのカソード電極26に供給される。一方、燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔16aから第1金属セパレータ14aの燃料ガス流路38に導入される。燃料ガスは、燃料ガス流路38に沿って矢印B方向に移動し、MEA12aのアノード電極24に供給される。
従って、MEA12aでは、カソード電極26に供給される酸化剤ガスと、アノード電極24に供給される燃料ガスとが、第2電極触媒層26a及び第1電極触媒層24a内で電気化学反応により消費されて、発電が行われる。
次いで、図1において、カソード電極26に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔18bに沿って矢印A方向に排出される。同様に、アノード電極24に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔16bに沿って矢印A方向に排出される。
また、冷却媒体入口連通孔20aに供給された冷却媒体は、第1金属セパレータ14aと第2金属セパレータ14bとの間の冷却媒体流路42に導入された後、矢印B方向に流通する。この冷却媒体は、MEA12aを冷却した後、冷却媒体出口連通孔20bから排出される。
この場合、第1実施形態に係る金属セパレータ14を備えた発電セル10は、以下の作用効果を奏する。
図5において、比較例に係る金属セパレータ14rのビードシール45rは、平面視で湾曲形状(波形状)を有する。図6に示すように、金属セパレータ14rのビードシール45rの断面形状は、初期状態(図6上段)で平坦形状である。このため、圧縮荷重付与時(図6中段)には、頂部50rの中央部(ビード幅方向中央部)が変形により凹む。この結果、図6下段に示すように、頂部50rの中央部での面圧が低下し、逆に頂部50rの肩部(ビード幅方向両端部)での面圧が高くなる。
そのため、シール幅方向で面圧が低い部位が発生し、ビードシール45rの平面形状(積層方向から見た形状)によっては、シール性の確保が困難になる場合がある。例えば、図5のように、湾曲形状(波形状)を有するビードシール45rでは、湾曲形状の内側60aの面圧が相対的に高くなり、湾曲形状の外側60bの面圧が相対的に低くなる。このため、所望のシール性が確保できず、流体リークが発生するおそれがある。
これに対し、図3に示したように、第1実施形態に係る金属セパレータ14では、ビードシール45、47の頂部50の断面形状は、圧縮荷重の付与に伴って平坦になる形状を有する。このため、圧縮時にはビードシール45、47の頂部50が湾曲形状から平坦形状へと変形する。これにより、シール面圧の局部的な低下や増加をなくすことができる。この結果、図3下段に示すように、頂部50でのシール幅方向の面圧分布が均一化し、シール性を向上させることが可能となる。
ビードシール45、47は、積層方向から見た平面視で、湾曲形状を有する。上述したように、平面視での形状が湾曲したビードシール45、47の場合、湾曲形状に起因したシール性の低下が惹起されやすい。このため、ビードシール45、47では、湾曲形状の部分45w、47w(図1、図4参照)において、圧縮荷重付与時に頂部50が平坦形状であることにより、湾曲形状に起因したシール性の低下が有効に防止される。
圧縮荷重を付与しない状態で、頂部50の断面形状は、ビードシール45、47の突出方向に膨出した湾曲形状を有する。これにより、簡易且つ経済的な構成で、圧縮荷重付与時にビードシール45、47の頂部50を平坦形状に変形させることができる。
頂部50の湾曲形状の高さhは、圧縮荷重が大きいほど高い。このため、確実に、圧縮荷重付与時にビードシール45、47の頂部50を平坦形状に変形させることができる。
図7に示す第2実施形態に係る金属セパレータ62(第1金属セパレータ62a及び第2金属セパレータ62b)を備えた発電セル10Aでは、ビードシール45、47の頂部50には、シール幅方向に厚さが一定のフィルム状の樹脂製シール部材64が設けられる。圧縮荷重を付与する前の初期状態(図7上段)では、ビードシール45、47の頂部50の湾曲形状に沿って樹脂製シール部材64も湾曲している。
圧縮荷重の付与状態(図7中段)では、頂部50が平坦に変形することに伴って樹脂製シール部材64も平坦状に変形する。樹脂枠部材22を介して対向するビードシール45、47同士が、積層方向に垂直な方向にズレを生じていない場合、図7下段に示すように、頂部50での面圧はシール幅方向の全域に亘って略均一となる。
ここで、図9に示す比較例に係る発電セル10rでは、圧縮荷重を付与する前の初期状態(図9上段)でビードシール45r、47rの頂部50rは平坦状であり、当該頂部50rに、幅方向中央部が両端部よりも厚く形成された凸状の樹脂製シール部材64rが設けられる。圧縮荷重を付与すると(図9中段)、ビードシール45r、47rの頂部50rは変形する。圧縮時に面方向(積層方向と垂直な方向)へのズレが無い場合、頂部50rの面圧分布(図9下段)は、幅方向中央部が両端部よりも低くなる。
一方、圧縮時に面方向にズレが生じた場合、図10のように、樹脂枠部材22を介して対向する樹脂製シール部材64rの厚みが薄い部分同士で樹脂枠部材22を挟み込むことになる。このため、頂部50rでの面圧が低下するとともにシール幅が減少する。この結果、シール性が低下する。所望のシール性を確保するためには、高い圧縮荷重を付与することが必要となる。頂部50rの幅を予め広く設定すればシール性の低下を抑制できるかもしれないが、金属セパレータ14rの小型化には不利である。
これに対し、図7に示すように、第2実施形態に係る金属セパレータ62では、圧縮荷重を付与した状態でビードシール45の頂部50が平坦状であるとともに、樹脂製シール部材64の厚さがビードシール45のシール幅方向に一定である。このため、図8のように、圧縮時に面方向(積層方向に垂直な方向)にズレが生じた場合でも、面圧の低下が起きない。従って、必要以上に高い圧縮荷重を付与しなくても、所望のシール性を確保することが可能となる。圧縮荷重を低減することで、金属セパレータ62の板厚を低減することが可能となり、発電セル10Aの薄型化及び燃料電池スタックの小型化に寄与できる。また、シール幅を必要以上に大きく設定しなくて済むため、金属セパレータ62の小型化に有利である。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
10…発電セル(燃料電池) 12a…MEA
14、62…金属セパレータ 23…電解質膜
24…アノード電極 26…カソード電極
45、47…ビードシール 50…頂部
56、64…樹脂製シール部材

Claims (1)

  1. 電解質膜の両側に電極がそれぞれ配設されてなる電解質膜・電極構造体と、電解質膜・電極構造体の両側にそれぞれ配設された金属セパレータとを備え、前記金属セパレータには、燃料ガス、酸化剤ガス又は冷却媒体である流体の漏れを防止するためのビードシールが前記電解質膜・電極構造体と前記金属セパレータとの積層方向に突出して形成され、前記積層方向に圧縮荷重が付与された発電セルであって、
    前記ビードシールは、前記積層方向から見た平面視で、湾曲形状を有し、
    前記電解質膜・電極構造体の外周部には樹脂枠部材が設けられ、
    一方の前記金属セパレータの前記ビードシールの頂部と、他方の前記金属セパレータの前記ビードシールの頂部とが、前記樹脂枠部材を介して対向し、
    一方の前記金属セパレータと前記樹脂枠部材との間、及び他方の前記金属セパレータと前記樹脂枠部材との間に、樹脂製シール部材がそれぞれ配置され、
    前記圧縮荷重を付与しない状態で、前記電解質膜・電極構造体と積層される側に突出した前記ビードシールの頂部の断面形状は、前記ビードシールの突出方向に膨出した湾曲形状を有し、
    前記ビードシールの前記頂部の断面形状は、前記圧縮荷重の付与に伴って、前記頂部が前記樹脂製シール部材を介して前記樹脂枠部材に当接した状態で前記湾曲形状から弾性変形して平坦になる形状を有する、
    ことを特徴とする発電セル。
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