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JP6552387B2 - 中空シリカ粒子の製造方法 - Google Patents

中空シリカ粒子の製造方法 Download PDF

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JP6552387B2
JP6552387B2 JP2015218724A JP2015218724A JP6552387B2 JP 6552387 B2 JP6552387 B2 JP 6552387B2 JP 2015218724 A JP2015218724 A JP 2015218724A JP 2015218724 A JP2015218724 A JP 2015218724A JP 6552387 B2 JP6552387 B2 JP 6552387B2
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Description

本開示は、中空シリカ粒子の製造方法に関する。
中空構造を有する球状粒子の中で、シリカを含む成分から構成される外殻部と該外殻部の内側(中空部)に空洞を有する中空シリカ粒子は、低屈折率、低誘電率、低熱伝導率、低密度などの特性を有することから、反射防止材、低誘電材、断熱材、低密度フィラーとしての応用が期待でき注目を集めている。
中空シリカ粒子の製造方法としては、中空部となるテンプレート粒子(乳化油滴)の表面にシリカの前駆体を集合、縮合させ、テンプレート粒子の表面にシリカを含む成分から構成される外殻部を形成させた後、テンプレート粒子を除去する手法が知られている。
例えば、特許文献1および2には、疎水性有機化合物を含む乳化油滴をテンプレートとした中空メソポーラスシリカ粒子を製造し、それを焼成することで中空シリカ粒子を製造する方法が開示されている。特許文献3には、疎水性有機化合物を含む分散液に界面活性剤とシリカ源とを経時的に添加することで、分散液中に添加されるシリカ源をシリカ換算量として2000ミリモル/Lまで増加可能な製造方法が開示されている。
特開2009−203115号公報 特開2011−126761号公報 特開2009−249249号公報
しかしながら、特許文献1及び2に開示の製造方法では、外殻部の形成に使用されるシリカ源がシリカ換算量として0.1〜100ミリモル/Lと低く、中空シリカ粒子の生産性が十分ではなかった。生産性の向上のため、シリカ源の濃度を高めると、中空シリカ粒子の中空部となる乳化油滴の安定性が悪くなる傾向にあり、中空シリカ粒子を安定に製造することが困難であった。特許文献3に開示の製造方法では、分散液中に添加されるシリカ源のシリカ換算量の1分間当たりの増加量が20ミリモル/L以下となるように制御する必要があるため、外殻部の形成に時間を要し、中空シリカ粒子の生産性が十分ではなかった。
本開示は、シリカ源の濃度を高めることにより、生産性が向上した中空シリカ粒子の製造方法を提供する。
本開示は、一態様において、下記工程(1)〜(4)を含む、中空シリカ粒子の製造方法に関する。
(1)疎水性有機化合物を含む溶液Aと、水を含む溶液Bとを混合し、疎水性有機化合物を含む乳化油滴を含んだO/W型乳化液を得る工程。
(2)前記工程(1)で得られたO/W型乳化液と、加水分解によりシラノール化合物を生成するシリカ源を含有する溶液Cとを混合し、前記乳化油滴の表面にシリカを含む成分から構成される外殻部を形成する工程。
(3)前記工程(2)の混合液中から、前記外殻部と前記外殻部の内側に存在する乳化油滴とを含む複合シリカ粒子を分離する工程。
(4)前記工程(3)で分離された前記複合シリカ粒子を熱処理して前記外殻部の内側に存在する乳化油滴を除去する工程。
前記工程(1)において、前記溶液A及び前記溶液Bのうちの少なくとも一方が、下記式(I)で表される化合物及び下記式(II)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の第四級アンモニウム塩を含有する。
[R1(CH33N]+- (I)
[R23(CH32N]+- (II)
[前記式(I)及び(II)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数4以上22以下のアルキル基を示し、X-は陰イオンを示す。]
前記第四級アンモニウム塩の量aは、前記O/W型乳化液と前記溶液Cとの合計量に対して、8ミリモル/L以上40ミリモル/L以下であり、
前記シリカ源のシリカ換算量bは、前記O/W型乳化液と前記溶液Cとの合計量に対して、120ミリモル/L以上350ミリモル/L以下であり、
前記第四級アンモニウム塩の量aと前記シリカ源のシリカ換算量bとの量比a/bが、0.04以上0.25以下である。
本開示は、シリカ源の濃度を高めることにより、生産性が向上した中空シリカ粒子の製造方法を提供できるという効果を奏しうる。
図1は、実施例1で得られた中空シリカ粒子のSEM像の一例である。 図2は、実施例1で得られた中空シリカ粒子のTEM像の一例である。
中空シリカ粒子の製造方法は、一般的には、水性溶媒中で疎水性有機化合物を含む乳化油滴を形成し、乳化油滴の表面にシリカを含むメソポーラス層(外殻部)を形成させることにより複合シリカ粒子を得て、そして、複合シリカ粒子を熱処理(焼成)することで複合シリカ粒子内に含まれる疎水性有機化合物を消失(除去)させるとともに、外殻部のメソポーラス孔を閉塞させることにより中空部を有するシリカ粒子を製造する方法である。
本開示は、特定の第四級アンモニウム塩とシリカ源との量比を調整することによりシリカ源の濃度を高めることにより、中空シリカ粒子の生産性を向上できるという知見に基づく。
すなわち、本開示は、一態様において、下記工程(1)〜(4)を含む、中空シリカ粒子の製造方法(以下、「本開示に係る製造方法」ともいう。)に関する。
(1)疎水性有機化合物を含む溶液Aと、水を含む溶液Bとを混合し、疎水性有機化合物を含む乳化油滴を含んだO/W型乳化液を得る工程。
(2)前記工程(1)で得られたO/W型乳化液と、加水分解によりシラノール化合物を生成するシリカ源を含有する溶液Cとを混合し、前記乳化油滴の表面にシリカを含む成分から構成される外殻部を形成する工程。
(3)前記工程(2)の混合液中から、前記外殻部と前記外殻部の内側に存在する乳化油滴とを含む複合シリカ粒子を分離する工程。
(4)前記工程(3)で分離された前記複合シリカ粒子を熱処理して前記外殻部の内側に存在する乳化油滴を除去する工程。
前記工程(1)において、前記溶液A及び前記溶液Bのうちの少なくとも一方が、下記式(I)で表される化合物及び下記式(II)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の第四級アンモニウム塩を含有する。
[R1(CH33N]+- (I)
[R23(CH32N]+- (II)
前記式(I)及び(II)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数4以上22以下のアルキル基を示し、X-は陰イオンを示す。
前記第四級アンモニウム塩の量aは、前記O/W型乳化液と前記溶液Cとの合計量に対して、8ミリモル/L以上40ミリモル/L以下であり、
前記シリカ源のシリカ換算量bは、前記O/W型乳化液と前記溶液Cとの合計量に対して、120ミリモル/L以上350ミリモル/L以下であり、
前記第四級アンモニウム塩の量aと前記シリカ源のシリカ換算量bとの量比a/bが0.04以上0.25以下である。
本開示に係る製造方法によれば、シリカ濃度を高めることができ、中空シリカ粒子の生産性を向上できるという効果が奏されうる。
本開示において、「中空シリカ粒子」とは、シリカを含む成分から構成される外殻部と、外殻部の内側に存在する中空部とを含み、中空部に空気等の気体が存在するシリカ粒子をいう。本開示において、「外殻部」とは、粒子の中心部を中心として粒子を2以上に多層化した場合の最外層を含む部分をいう。本開示において、「シリカを含む成分から構成される外殻部」とは、外殻部の骨格を形成する主成分がシリカであることをいい、外殻部の成分の好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上、さらにより好ましくは95重量%以上が二酸化ケイ素であることをいう。本開示において、「複合シリカ粒子」とは、シリカを含む成分から構成される外殻部と、前記外殻部に内包されるその他の物質から構成されるシリカ粒子をいう。
以下、上記工程(1)〜(4)の詳細とそこで用いる各成分等について説明する。
[工程(1):乳化工程]
本開示に係る製造方法における工程(1)は、一又は複数の実施形態において、疎水性有機化合物を含む溶液Aと、水を含む溶液Bとを混合し、疎水性有機化合物を含む乳化油滴を含んだO/W型乳化液を得る乳化工程である。
溶液Aと溶液Bの混合方法としては特に限定されないが、本開示における乳化工程(1)は、一又は複数の実施形態において、溶液Aに溶液Bを添加する工程と、溶液Aと溶液Bの混合液を所定時間撹拌する工程とを含む。
溶液Aに溶液Bを添加する工程において、微細な乳化油滴を得る観点、粒径の小さな中空シリカ粒子を得る観点から、溶液Bの添加時間を短くすることが好ましい。溶液Bの添加時間は、例えば、60分以内が好ましく、30分以内がより好ましく、20分以内がさらに好ましい。本開示において、溶液Bの添加時間とは、溶液Aに対する溶液Bの添加を開始してから終了するまでにかかった時間をいう。
溶液Aと溶液Bの混合液を所定時間撹拌する工程において、撹拌時間は、0時間以上24時間以内が好ましく、0.5時間以上12時間以下がより好ましい。本開示において、溶液Aと溶液Bの混合液の撹拌時間とは、溶液Aに対する溶液Bの添加を終了後に該混合液を撹拌する時間をいう。撹拌中の混合液の温度は、安定した乳化油滴形成の観点から、5℃以上100℃以下が好ましく、5℃以上80℃以下がより好ましい。
本開示に係る製造方法の工程(1)では、乳化の際に混合液に超音波振動を付与しなくてもよいし、高圧下にしなくてもよい。したがって、本開示に係る製造方法の工程(1)では、一又は複数の実施形態において、溶液Aと溶液Bとを上記温度条件下で混合して所定時間撹拌するという簡単な方法で、O/W型乳化液を製造することができる。
[溶液A:疎水性有機化合物]
溶液Aに含まれる疎水性有機化合物としては、一又は複数の実施形態において、中空シリカ粒子の中空部のテンプレートとして有効に機能させる観点から、水中で乳化油滴を形成できることが好ましい。
疎水性有機化合物は、一又は複数の実施形態において、分散媒として水を使用する点から、0℃以上100℃以下の温度領域で液体状態にあることが好ましく、10℃以上50℃以下の温度領域で液体状態であることがより好ましい。
疎水性有機化合物としては、一又は複数の実施形態において、安定な乳化油滴形成の観点から、水に対する溶解性が低く、水と分相を形成する化合物が好ましく、水と相溶性のある有機溶媒に可溶で、かつ、後述する第四級アンモニウム塩により乳化可能な化合物がより好ましい。疎水性有機化合物のLogPowは、一又は複数の実施形態において、安定な乳化油滴形成の観点から、1以上が好ましく、2以上10以下がより好ましい。本開示において、LogPとは、化学物質の1−オクタノール/水分配係数であり、LogKow法により計算で求められた値をいう。具体的には、化合物の化学構造を、その構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数を積算して求められる(Meylan, W.M. and P.H. Howard. 1995. Atom/fragment contribution method for estimating octanol−water partition coefficients. J. Pharm. Sci. 84: 83−92参照)。
疎水性有機化合物の具体例としては、一又は複数の実施形態において、炭化水素化合物、エステル化合物、炭素数6以上22以下の脂肪酸、及びシリコーンオイルからなる群より選択される少なくとも1種の油剤が挙げられる。
炭化水素化合物としては、一又は複数の実施形態において、炭素数5以上18以下のアルカン、炭素数5以上18以下のシクロアルカン、液状パラフィン、液状石油ゼリー、スクワラン、スクアレン、ペルヒドロスクワレン、トリメチルベンゼン、キシレン、トルエン、及びベンゼンからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられ、安定な乳化油滴形成の観点から、炭素数5以上18以下のアルカン及び炭素数5以上18以下のシクロアルカンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
エステル化合物としては、一又は複数の実施形態において、炭素数6以上22以下の脂肪酸のグリセリンエステル等の油脂類が挙げられ、具体的には、ミンク油、タートル油、大豆油、スイートアーモンド油、ビューティリーフオイル、パーム油、グレープシード油、ゴマ種油、トウモロコシ油、パーレアムオイル、アララ油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、アプリコット油、ひまし油、アボガド油、ホホバ油、オリーブ油、及び、穀物胚芽油からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
エステル化合物として、一又は複数の実施形態において、炭素数4以上22以下の脂肪酸と炭素数1以上22以下の一価又はグリセリン以外の多価アルコールとの縮合物が挙げられ、具体的には、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルデシル、及びミリスチン酸2−オクチルドデシルからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。その他のエステル化合物としては、一又は複数の実施形態において、多価カルボン酸化合物とアルコールとのエステルが挙げられ、具体的には、アジピン酸ジイソプロピル、乳酸2−オクチルドデシルエステル、琥珀酸2−ジエチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸グリセリル、及びトリイソステアリン酸ジグリセリルからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
炭素数6以上22以下の脂肪酸としては、一又は複数の実施形態において、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びイソステアリン酸からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
シリコーンオイルとしては、一又は複数の実施形態において、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、脂肪酸、脂肪族アルコール、ポリオキシアルキレンで変性されたポリシロキサン、フルオロシリコーン、及びパーフルオロシリコーンオイルからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
PDMSは、フェニル化されていてもよいし(例えば、フェニルトリメチコン)、脂肪族基及び/又は芳香族基で任意に置換されていてもよい。PDMSとしては、一又は複数の実施形態において、疎水性有機化合物の利用効率の向上の点から、炭化水素をベースとするオイル又はシリコーンオイルであって、シリコーン鎖のペンダント状であるか又は末端に存在するアルキル基又はアルコキシ基を任意に含み2〜7の珪素原子を含む直鎖又は環状シリコーンが好ましく、特にオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン等が好ましい。
上記の油剤の中では、第四級アンモニウム塩によって乳化され易く、中空シリカの中空部のテンプレートとして有効に機能させる観点から、炭素数5以上18以下のアルカン及び炭素数5以上18以下のシクロアルカンからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、炭素数5以上10以下のアルカン及び炭素数5以上10以下のシクロアルカンからなる群より選択される少なくとも一種がより好ましく、ヘキサン及びイソヘキサンからなる群より選択される少なくとも一種が更に好ましい。
本開示に係る製造方法において、疎水性有機化合物は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。複数種類の疎水性有機化合物を用いる場合、例えば、液体状態の温度が高いものと低いものとを混合する場合、当業者であれば、揮発の程度を考慮しながら、工程(1)の乳化温度及び工程(2)の反応温度を決定することができる。
疎水性有機化合物の使用量は、一又は複数の実施形態において、外殻部の形成に使用されるシリカ源の濃度を高めて生産性を向上させる観点、及び、中空シリカ粒子の外殻部の厚さや真比重を所望の値に調整する観点から、O/W型乳化液と溶液Cとの合計量(100重量部)に対して、好ましくは0.6重量部以上、より好ましくは0.8重量部以上、さらに好ましくは1重量部以上となるように設定され、そして、安定な乳化油滴形成の観点から、好ましくは5重量部以下、より好ましくは4重量部以下、さらに好ましくは2重量部以下となるように設定される。
疎水性有機化合物の使用量は、一又は複数の実施形態において、中空シリカ粒子の外殻部の厚さや真比重を所望の値に調整する観点から、シリカ源:100重量部に対して、20重量部以上が好ましく、30重量部以上がより好ましく、40重量部以上がさらに好ましく、そして、80重量部以下が好ましく、70重量部以下がより好ましく、60重量部以下がさらに好ましい。
(溶液A:有機溶媒)
溶液Aには、水と相溶性のある有機溶媒が添加されていてもよい。有機溶媒を添加させることにより、後述の第四級アンモニウム塩と疎水性有機化合物とを相溶させることができる。有機溶媒としては、一又は複数の実施形態において、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール類やアセトンが挙げられる。
有機溶媒の使用量は、一又は複数の実施形態において、溶液Aと溶液Bとを混合した後に疎水性有機化合物が分相する範囲内で設定できる。有機溶媒の使用量は、一又は複数の実施形態において、シリカ源の濃度を高めて生産性を向上させる観点から、O/W型乳化液と溶液Cとの合計量(100重量部)に対して、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上、さらに好ましくは15重量部以上となるように設定され、そして、好ましくは80重量部以下、より好ましくは60重量部以下、さらに好ましくは50重量部以下となるように設定される。
[溶液B:水含有液]
水を含む溶液Bとしては、中空シリカ粒子の中空部分を形成させるためのテンプレートとして、疎水性有機化合物を含む乳化油滴を生成させるものであればよい。一又は複数の実施形態において、使用される水としては、蒸留水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。
[第四級アンモニウム塩]
溶液A及び溶液Bのうちの少なくとも一方が、一又は複数の実施形態において、安定な乳化油滴形成の観点から、下記式(I)で表される化合物及び下記式(II)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の第四級アンモニウム塩を含有する。第四級アンモニウム塩は、一又複数の実施形態において、外殻部の形成と疎水性有機化合物の乳化のための界面活性剤として用いられる。
[R1(CH33N]+- (I)
[R23(CH32N]+- (II)
一般式(I)及び(II)中、R1、R2及びR3は、一又は複数の実施形態において、それぞれ独立に炭素数4以上22以下のアルキル基である。R1、R2及びR3からなる群より選択される少なくとも1つが、一又は複数の実施形態において、シリカ濃度を高めて生産性を向上させる観点から、好ましくは炭素数6以上18以下の直鎖状又は分岐状アルキル基、より好ましくは炭素数10以上18以下の直鎖状又は分岐状アルキル基、さらに好ましくは炭素数8以上16以下の直鎖状又は分岐状アルキル基である。炭素数4以上22以下のアルキル基としては、一又は複数の実施形態において、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種エイコシル基等が挙げられる。前記アルキル基としては、一又は複数の実施形態において、直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基が挙げられるが、外殻部の厚みを均一にする観点から、直鎖状アルキル基が好ましい。
前記一般式(I)及び(II)中、X-は、一又は複数の実施形態において、1価の陰イオンを示し、規則的なメソ細孔を形成させるという観点から、好ましくはハロゲンイオン、水酸化物イオン、硝酸化物イオン、及び硫酸化物イオンからなる群より選択される少なくとも1種、より好ましくはハロゲンイオン、更に好ましくは塩素イオン及び臭素イオンからなる群より選択される少なくとも1種である。
一般式(I)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩としては、一又は複数の実施形態において、ブチルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ブチルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、及びステアリルトリメチルアンモニウムブロミドからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
一般式(II)で表されるジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、一又は複数の実施形態において、ジブチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムブロミド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロミド、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、及びジテトラデシルジメチルアンモニウムブロミドからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
これらの中でも、第四級アンモニウム塩としては、一又は複数の実施形態において、中空シリカ粒子の外殻部の厚みを均一にする観点から、一般式(I)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましく、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド又はアルキルトリメチルアンモニウムクロリドがより好ましい。
第四級アンモニウム塩の使用量は、一又は複数の実施形態において、シリカ源の濃度を高めて生産性を向上させる観点から、O/W型乳化液と溶液Cとの合計量(100重量部)に対して、好ましくは0.24重量部以上、より好ましくは0.27重量部以上、さらに好ましくは0.30重量部以上となるように設定され、そして、安定な乳化油滴形成の観点から、好ましくは1.2重量部以下、より好ましくは1.0重量部以下、さらに好ましくは0.90重量部以下となるように設定される。
第四級アンモニウム塩の量aは、一又は複数の実施形態において、O/W型乳化液と前記溶液Cとの合計量に対して、8ミリモル/L以上40ミリモル/L以下であって、シリカ源の濃度を高めて生産性を向上させる観点から、9ミリモル/L以上が好ましく、10ミリモル/L以上がより好ましく、そして、35ミリモル/L以下が好ましく、30ミリモル/L以下がより好ましく、20ミリモル/L以下が更に好ましい。
[アルカリ剤]
溶液A及び溶液Bのうちの少なくとも一方が、中空シリカ粒子の粒子構造の均一化の観点から、一又は複数の実施形態において、アルカリ剤を含有していてもよい。
アルカリ剤としては、一又は複数の実施形態において、水酸化ナトリウム、アンモニア、及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシドからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
アルカリ剤の使用量は、一又は複数の実施形態において、シリカ源の濃度を高めて生産性を向上させる観点から、O/W型乳化液と溶液Cとの合計量(100重量部)に対して、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.08重量部以上、さらに好ましくは0.1重量部以上となるように設定され、そして、安定な乳化油滴形成の観点から、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下、さらに好ましくは0.2重量部以下となるように設定される。
本開示に係る製造方法の工程(1)では、上記列挙した成分以外の成分(例えば、ポリビニルアルコール、グリセリルエーテル、アルキルグリコシド等)を添加しなくてもよい。したがって、本開示に係る製造方法の工程(1)では、少なくとも疎水性有機化合物を含む溶液Aと水を含む溶液Bとを混合するだけで、O/W型乳化液を製造することができる。
[工程(2):外殻部形成]
本開示に係る製造方法における工程(2)は、一又は複数の実施形態において、工程(1)で得られたO/W型乳化液と、加水分解によりシラノール化合物を生成するシリカ源を含有する溶液Cとを混合し、前記乳化油滴の表面にシリカを含む成分から構成される外殻部を形成する外殻部形成工程である。工程(2)では、一又は複数の実施形態において、シリカ源の加水分解及び脱水縮合反応により、工程(1)で形成した疎水性有機化合物を含む乳化油滴の表面にシリカが析出する。そして、乳化油滴の表面上にシリカを含む成分から構成されたメソ細孔構造を有する外殻部が形成される。これにより、外殻部と外殻部より内側に存在する乳化油滴とを含む複合シリカ粒子(多孔質のメソポーラスシリカ)が得られる。本開示において、「メソ細孔構造」とは、例えば、シリカ源と第四級アンモニウム塩とを混合して水熱合成による自己組織化をさせた場合に形成される構造いい、一般的に、均一で規則的な細孔(細孔径1〜10nm)を持つ構造をいう。
O/W型乳化液と溶液Cとの混合方法としては特に限定されないが、本開示に係る製造方法における工程(2)は、一又は複数の実施形態において、O/W型乳化液に溶液Cを添加する工程と、O/W型乳化液と溶液Cの混合液を所定時間撹拌する工程と、を含む。
O/W型乳化液に溶液Cを添加する工程において、溶液Cの添加時間は、例えば、30分以内が好ましく、20分以内がより好ましく、10分以内がさらに好ましい。本開示において、溶液Cの添加時間とは、O/W型乳化液に対する溶液Cの添加を開始してから終了するまでにかかった時間をいう。O/W型乳化液に溶液Cを添加する工程では、O/W型乳化液に溶液Cを添加する際に、O/W型乳化液中に添加されるシリカ源の量の増加速度を制限しなくてもよい。
O/W型乳化液と溶液Cの混合液を所定時間撹拌する工程において、撹拌時間は、例えば、0時間以上24時間以内が好ましく、0.5時間以上12時間以下がより好ましい。本開示において、O/W型乳化液と溶液Cの混合液の撹拌時間とは、O/W型乳化液に対する溶液Cの添加を終了後に該混合液を撹拌する時間をいう。撹拌中の混合液の温度は、外殻部を安定に形成する観点、及び生産性向上の観点から、10℃以上100℃以下が好ましく、10℃以上80℃以下がより好ましい。
[溶液C:シリカ源]
本開示において、「シリカ源」とは、アルコキシシラン等の加水分解によってシラノール化合物を生成する物質であり、具体的には、下記一般式(III)〜(VII)で示される化合物、又はこれらの組合せを挙げることができる。
SiY4 (III)
4SiY3 (IV)
4 2SiY2 (V)
4 3SiY (VI)
3Si−R5−SiY3 (VII)
式(III)〜(VII)中、R4はそれぞれ独立して、ケイ素原子に直接炭素原子が結合している有機基を示し、R5は炭素原子を1〜4個有する炭化水素基又はフェニレン基を示し、Yは加水分解によりヒドロキシ基になる1価の加水分解性基を示す。
シリカ源は、疎水性有機化合物の利用効率の向上の点から、一般式(III)〜(VII)において、R4は、それぞれ独立して、水素原子の一部がフッ素原子に置換していてもよい炭素数1以上22以下の炭化水素基であることが好ましく、疎水性有機化合物の利用効率の向上の点から、好ましくは炭素数1以上22以下、より好ましくは炭素数4以上18以下、さらに好ましくは炭素数8以上16以下のアルキル基、フェニル基、又はベンジル基である。R5は、疎水性有機化合物の利用効率の向上の点から、炭素数1以上4以下のアルカンジイル基(メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、テトラメチレン基等)又はフェニレン基が好ましい。Yは、疎水性有機化合物の利用効率の向上の点から、好ましくは炭素数1以上22以下、より好ましくは炭素数1以上8以下、さらに好ましくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基、又はフッ素を除くハロゲン基が好ましい。
より具体的には、シリカ源としては、疎水性有機化合物の利用効率の向上の点から、次の化合物が好ましい。
・一般式(III)において、Yが、炭素数1〜3のアルコキシ基であるか、又はフッ素を除くハロゲン基であるシラン化合物。
・一般式(IV)又は(V)において、R4がフェニル基、ベンジル基、又は水素原子の一部がフッ素原子に置換されている炭素数1以上20以下、好ましくは炭素数1以上10以下、より好ましくは炭素数1以上5以下の炭化水素基であるトリアルコキシシラン又はジアルコキシシラン。
・一般式(VII)において、Yがメトキシ基であって、R4がメチレン基、エチレン基又はフェニレン基である化合物。
これらの中でも、シリカ源としては、疎水性有機化合物の利用効率の向上の点から、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、1,1,1−トリフルオロプロピルトリエトキシシランが好ましい。
シリカ源の使用量は、一又は複数の実施形態において、シリカ濃度を高めて生産性を向上させる観点から、O/W型乳化液と溶液Cとの合計量(100重量部)に対して、好ましくは1.0重量部以上、より好ましくは1.5重量部以上、さらに好ましくは2.0重量部以上となるように設定され、そして、好ましくは10重量部以下、より好ましくは8.0重量部以下、さらに好ましくは6.0重量部以下となるように設定される。
シリカ源のシリカ換算量bは、一又は複数の実施形態において、O/W型乳化液と溶液Cとの合計量に対して、120ミリモル/L以上350ミリモル/L以下であって、シリカ濃度を高めて生産性を向上させる観点から、150ミリモル/L以上が好ましく、200ミリモル/L以上がより好ましく、そして、300ミリモル/L以下が好ましく、250ミリモル/L以下がより好ましい。本開示において、上記シリカ源のシリカ換算量bは、O/W型乳化液と溶液Cとの混合液の調製に使用されるシリカ源全量をシリカ換算した値であり、外殻部の形成反応で消費されたシリカ源を含めて換算した値である。
第四級アンモニウム塩の量aとシリカ源のシリカ換算量bとの量比a/bが、一又は複数の実施形態において、0.04以上0.25以下であって、シリカ濃度を高めて生産性を向上させる観点から、好ましくは0.04以上0.2以下、より好ましくは0.04以上0.08以下である。
本開示において、第四級アンモニウム塩は、中空シリカ粒子のテンプレートとなる疎水性有機化合物を水で乳化させて乳化液滴を安定的に形成させる役割と、シリカ源とコンプレックスを形成し、シリカ源を積層重合させる役割を有している。従って、シリカ源と第四級アンモニウム塩の量比(モル比)のバランスが極めて重要である。第四級アンモニウム塩の量が少なすぎると、中空シリカ粒子をうまく形成できないことがある。第四級アンモニウム塩の量が多すぎると、シリカ源とコンプレックスを形成できず、反応系内で余った第四級アンモニウム塩が単独でミセルを形成して中実シリカ粒子を形成する核となり、結果として中空シリカ粒子が得られないことがある。これは外殻部の形成に使用されるシリカ源の量が多くなるにつれ、より顕著になる。そのため、従来よりもシリカ源の量を増やして中空シリカ粒子を製造するには、シリカ源と第四級アンモニウム塩との量比を厳密に制御することが重要である。
[工程(3)]
本開示に係る製造方法における工程(3)は、一又は複数の実施形態において、工程(2)の混合液中から、前記外殻部と前記外殻部の内側に存在する乳化油滴とを含む複合シリカ粒子を分離する工程である。
複合シリカ粒子の分離方法としては、沈降法、ろ過法、遠心分離法等の一般的な固液分離方法が好適に用いられる。
本開示に係る製造方法は、一又は複数の実施形態において、複合シリカ粒子の分離を円滑に行う観点から、工程(2)と工程(3)との間に、凝集剤を前記複合シリカ粒子が含まれている混合液中に添加する工程を含むことができる。凝集剤としては、工程(4)の熱処理(焼成)によって消失可能な凝集剤であればよい。
本開示に係る製造方法は、一又は複数の実施形態において、工程(4)の前に、工程(3)で分離した複合シリカを乾燥する工程を含むことができる。乾燥温度は、一又は複数の実施形態において、中空シリカ粒子の生産性を向上させる観点から、90℃以上150℃以下が好ましく、90℃以上120℃以下がより好ましい。
[工程(4)]
本開示に係る製造方法における工程(4)は、一又は複数の実施形態において、前記工程(3)で分離された複合シリカ粒子を熱処理(焼成)する熱処理工程である。この工程(4)により、複合シリカ粒子の外殻部の内側に存在する乳化油滴が消失し、中空シリカ粒子が得られる。
熱処理(焼成)温度は、一又は複数の実施形態において、細孔を適度に焼き締め、中空シリカ粒子の平均粒子径及びBET比表面積を所望の範囲に制御する観点から、好ましくは960℃以上、より好ましくは970℃以上、更に好ましくは980℃以上であり、そして、好ましくは1500℃以下、より好ましくは1300℃以下、更に好ましくは1200℃以下である。
熱処理(焼成)は、一又は複数の実施形態において、電気炉等を用いて行うことができる。熱処理(焼成)時間は、熱処理(焼成)温度等により異なるが、通常0.5〜100時間、好ましくは0.5〜48時間である。
[中空シリカ粒子]
本開示の製造方法によって得られる中空シリカ粒子の平均粒子径は、用途等を考慮して適宜調整しうるが、中空シリカ粒子を樹脂添加フィラーなどに利用する際の樹脂への分散性の観点から、好ましくは0.05μm以上2.0μm以下、より好ましくは0.1〜2.0μm、さらに好ましくは0.5〜2.0μm、更により好ましくは1.0〜2.0μmである。
本開示の製造方法によって得られる中空シリカ粒子のBET比表面積は、一又は複数の実施形態において、中空シリカ粒子の外核部表面の緻密性を確保する観点から、好ましくは30m2/g未満であって、より好ましくは20m2/g以下、さらに好ましくは15m2/g以下、さらにより好ましくは10m2/g以下である。
本開示の製造方法によって得られる中空シリカ粒子の外殻部の平均厚みは、好ましくは0.5〜500nm、より好ましくは2〜400nm、さらに好ましくは3〜300nmである。
本開示の製造方法によって得られる中空シリカ粒子の〔外殻部の平均厚み/中空シリカ粒子の平均粒子径〕の比は、好ましくは0.01〜0.9、より好ましくは、0.05〜0.8、さらに好ましくは0.1〜0.7とすることができる。
中空シリカ粒子の平均粒子径及び外殻部の平均厚みは、疎水性有機化合物の種類、原料の使用量、二種類の溶液を混合する際の撹拌力、各溶液の温度、二種類の溶液を混合する際の溶液の添加速度、二種類の溶液を混合する際の撹拌時間、乳化油滴の大きさ、熱処理(焼成)条件等により適宜調整することができる。
本開示において、中空シリカ粒子の平均粒子径及び外殻部の平均厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により測定される値である。具体的には、以下のようにして測定する。まず、透過型電子顕微鏡を用いてサンプルを観察し、20〜30個の粒子が含まれる視野(画面)中の全粒子の直径及び外殻厚みを写真上で実測する。この操作を、視野を5回変えて行う。得られたデータから平均粒子径及び外殻部の平均厚みを求める。透過型電子顕微鏡の倍率の目安は1万〜10万倍であるが、シリカ粒子の大きさによって適宜調節される。画面中の粒子のうち、中空シリカ粒子の割合が30%以下の場合は、観察のための視野を広げるために倍率を下げて、少なくとも10個の粒子からデータを得るものとする。
本開示の製造方法によって得られる中空シリカ粒子の真比重は、中空シリカ粒子の誘電率を低減させる観点と強度の観点から、好ましくは1.10g/cc〜2.00g/cc、より好ましくは1.30g/cc〜1.65g/cc、更に好ましくは1.30g/cc〜1.52g/ccである。
本開示の製造方法によって得られる中空シリカ粒子の空孔率は、中空シリカ粒子の誘電率を低減させる観点と強度の観点から、好ましくは10%〜40%、より好ましくは25%〜40%、更に好ましくは34%〜40%である。
本開示の製造方法によって得られる中空シリカ粒子の収率は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%、更に好ましくは100%である。
本開示の製造方法によって得られる中空シリカ粒子の単位収量は、中空シリカ粒子の生産性を向上させる観点から、好ましくは5g/L以上、より好ましくは8g/L以上である。前記単位収量は、実施例に記載の計算方法によって算出できる。
以下、実施例により本発明を説明する。後述する実施例及び比較例において、シリカ粒子の各種測定は、以下の方法により行った。
(平均粒子径)
電界放射型走査電子顕微鏡(SEM)(株式会社日立製作所製 S−4000)により撮影したSEM画像を画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製 「A像くん」)を用い、一次粒子を5000個以上抽出して直径を測定し、その平均値を平均粒子径とした。
(外殻部の平均厚みの測定)
日本電子株式会社製の透過型電子顕微鏡(TEM)JEM−2100を用いて加速電圧160kVで測定を行い、それぞれ20〜30個の粒子が含まれる5視野中の全粒子の直径及び外殻部の厚みを写真上で実測して、外殻部の平均厚みを求めた。観察に用いた試料はマイクログリットタイプB((STEM150Cuグリッド、カーボン補強済)応研商事株式会社製)に付着させ、余分な試料をブローで除去して作成した。
(BET比表面積の測定)
比表面積測定装置(株式会社島津製作所製、商品名「フローソーブIII2305」)を使用し、中空シリカ粒子のBET比表面積を測定した。試料は、200℃で15分加熱する前処理を行った。
(比重の測定)
真密度測定装置(カンタクロム社製、商品名:ウルトラピクノメーター1200e)を用い、1分脱気処理後、10回測定の平均値を比重とした。
(空孔率の測定)
中空シリカ粒子の比重とシリカ粒子の比重(2.2g/cm3)から以下の計算式により空孔率を算出した。
空孔率(%)=[1−(中空シリカ粒子の比重/シリカ粒子の比重)]×100
(収率)
添加したシリカ源のシリカ換算量に対する、得られた中空シリカ粒子量の割合を収率とした。収率が50%以上であれば、生産性が高いと評価した。
(単位収量)
単位収量とは全容量1L当たりで得られるシリカ粒子の重量で以下の式より計算した。単位収量が高いほど、生産性が高いと評価した。
単位収量(g/L)=シリカ源のシリカ換算量b(ミリモル/L)÷1000×シリカの分子量(g/モル)×収率÷100。
(実施例1)
撹拌機のついた反応槽にメタノール(和光純薬社製):23.9重量部、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド30%水溶液(第一工業製薬社製):1重量部、ヘキサン(和光純薬社製):1.2重量部、テトラメチルアンモニウム25%水溶液(セイケムアジア社製):0.5重量部を入れて撹拌し、溶液Aを調製した。また、別の撹拌機のついた反応槽にイオン交換水:70.9重量部を入れて撹拌し、溶液Bとした。そして、溶液Aを攪拌しながら溶液Bを添加し(添加時間:45秒)、その後、25℃で10分撹拌することにより、O/W型乳化液を得た。
次いで、O/W型乳化液に、テトラメトキシシラン(TMOS、東京化成社製):2.5重量部(溶液C)を添加し(添加時間:30秒)、その後、25℃で10分間撹拌し、白濁液を得た。
次いで、得られた白濁液を5Cのろ紙を用いてろ別し、水洗いした後、100℃で乾燥することにより白色の乾燥粉末(複合シリカ粒子)を得た。
得られた乾燥粉末を1000℃で24時間焼成することで、中空シリカ粒子を得た。得られた中空シリカ粒子の平均粒径は1.2μm、外殻部の平均厚みは200nm、BET比表面積は4.2m2/gであった。この中空シリカ粒子の物性測定結果を下記表1に示し、SEMイメージを図1に、TEMイメージを図2に示す。
(実施例2〜21及び比較例1〜6)
各原料の配合量を表1に記載のとおり変更したこと以外は、上記実施例1と同様の方法により、実施例2〜21及び比較例1〜6の中空シリカ粒子を得た。各々の物性測定結果を表1に示す。
上記表1に示すとおり、第四級アンモニウム塩の量a、及びシリカ源のシリカ換算量b、量比a/bがそれぞれ所定の範囲内である実施例1〜21は、シリカ源のシリカ換算量bが120ミリモル/L未満の比較例1や、量比a/bが0.25を超える比較例2〜4に比べて、シリカ濃度を高めつつ、中空シリカ粒子が効率よく得られた。なお、シリカ源のシリカ換算量bが350ミリモル/Lを超える比較例5、及び、第四級アンモニウム塩の量aが40ミリモル/Lを超える比較例6は、中空シリカ粒子が得られなかった。
本開示によれば、例えば、中空シリカ粒子を利用可能な、触媒担体、吸着剤、物質分離剤、酵素や機能性有機化合物の固定化担体等を扱いう分野において有用である。

Claims (4)

  1. 下記工程(1)〜(4)を含む、中空シリカ粒子の製造方法。
    (1)疎水性有機化合物を含む溶液Aと、水を含む溶液Bとを混合し、疎水性有機化合物を含む乳化油滴を含んだO/W型乳化液を得る工程。
    (2)前記工程(1)で得られたO/W型乳化液と、加水分解によりシラノール化合物を生成するシリカ源を含有する溶液Cとを混合し、前記乳化油滴の表面にシリカを含む成分から構成される外殻部を形成する工程。
    (3)前記工程(2)の混合液中から、前記外殻部と前記外殻部の内側に存在する乳化油滴とを含む複合シリカ粒子を分離する工程。
    (4)前記工程(3)で分離された前記複合シリカ粒子を熱処理して前記外殻部の内側に存在する乳化油滴を除去する工程。
    前記溶液A及び前記溶液Bのうちの少なくとも一方が、下記式(I)で表される化合物及び下記式(II)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の第四級アンモニウム塩を含有する。
    [R1(CH33N]+- (I)
    [R23(CH32N]+- (II)
    [前記式(I)及び(II)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数4以上22以下のアルキル基を示し、X-は陰イオンを示す。]
    前記第四級アンモニウム塩の量aは、前記O/W型乳化液と前記溶液Cとの合計量に対して、8ミリモル/L以上40ミリモル/L以下であり、
    前記シリカ源のシリカ換算量bは、前記O/W型乳化液と前記溶液Cとの合計量に対して、120ミリモル/L以上350ミリモル/L以下であり、
    前記第四級アンモニウム塩の量aと前記シリカ源のシリカ換算量bとの量比a/bが、0.04以上0.25以下である。
  2. 前記式(I)及び(II)中、R1、R2及びR3からなる群より選択される少なくとも1つが、炭素数10以上18以下の直鎖状アルキル基である、請求項1記載の中空シリカ粒子の製造方法。
  3. 前記疎水性有機化合物が、炭素数5以上18以下の炭化水素である、請求項1又は2に記載の中空シリカ粒子の製造方法。
  4. 前記溶液Aが、前記第四級アンモニウム塩を含有する、請求項1から3のいずれかに記載の中空シリカ粒子の製造方法。
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