JP6551931B2 - はね上げ式バックドア - Google Patents
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Description
≪全体構成≫
図1に示すように、はね上げ式バックドア1は、車室側(紙面手前側)に配置されるインナパネル2と、車外側(紙面奥側)に配置されるアウタパネル8と、リアガラス9と、を備える(以下、はね上げ式バックドア1は、単にバックドア1と表記する)。このインナパネル2には、リアガラス9を嵌め込むための嵌込孔3と、各種機器を収納する収納凹部4と、が設けられている。収納凹部4は、嵌込孔3よりも下方に設けられ、その内部にライセンスプレートを照らす照明装置やバックドア1のロック機構などが収納されている。収納凹部4は、常時は図示しないパネルなどで封止されている。この実施形態のバックドア1では、インナパネル2における比較的曲げ剛性が高い部分に、インナパネル2の曲げの変曲点となる屈曲部を形成し、インナパネル2の振動吸収能を調整している。以下、バックドア1に備わる各構成を詳細に説明する。
アウタパネル8は車両の後部の外観を決定する板材であって、その全体形状が車外側に凸となるように緩やかに湾曲している。アウタパネル8は、鋼やアルミニウム合金などの金属で構成されることが一般的であるが、樹脂などで構成することもできる。このアウタパネル8には、バックドア1の取っ手や、ワイパーなどが取り付けられている。
インナパネル2は、その全体形状が車外側に凸となるように緩やかに湾曲している。このインナパネル2は、金属よりも弾性変形し易い樹脂で構成されている。インナパネル2を樹脂で構成することで、複雑な形状のインナパネル2を容易に形成することができる。この本例のインナパネル2には、従来のインナパネルには備わっていない棚状部5R,5L、V溝部6R,6L、および段差部7R,7Lが形成されている。これらは、インナパネル2の曲げの変曲点となる屈曲部を含む部分である。
左右一対の棚状部5R,5Lはそれぞれ、嵌込孔3の周縁部の下端近傍の位置でインナパネル2が二回屈曲することで形成される階段状の段差である。つまり、棚状部5R,5Lにおける紙面手前側の折れ曲がり部分(手前角部55R,55L)は車室側に突出し、紙面奥側の折れ曲がり部分(屈曲部50R,50L)はアウタパネル8側(車外側)に突出している(図2を合わせて参照)。この棚状部5R,5Lのうち、屈曲部50R,50Lの折れ曲がり稜線は、嵌込孔3の周縁部から車幅方向の外縁側に伸びており、嵌込孔3の周縁部の下端ラインにほぼ一致し、同じ高さに揃っている。このように、屈曲部50Rの折れ曲がり稜線と、屈曲部50Lの折れ曲がり稜線と、を同じ高さに揃えることで、二つの稜線を繋ぐ仮想線の位置で、インナパネル2がアウタパネル8側に凸となるように曲がり易くなる。
左右一対のV溝部6R,6Lは、収納凹部4の周縁部から車幅方向の外縁側に延びる断面V字状の溝である。V溝部6R,6Lの底部にあたる屈曲部60R,60Lは、アウタパネル8側に突出している(図2を合わせて参照)。屈曲部60Rの折れ曲がり稜線(V溝の底を形成する線)と、屈曲部60Lの折れ曲がり稜線と、は同じ高さに揃っており、二つの稜線を繋ぐ仮想線の位置で、インナパネル2がアウタパネル8側に凸となるように曲がり易くなっている。
段差部7R,7Lは、収納凹部4の内部に形成される階段状の段差である。収納凹部4の内部の機器の配置によっては、収納凹部4の車幅方向に一連長となった段差部を形成することもできる。段差部7R,7Lは、棚状部5R,5Lと同様に、インナパネル2が二回屈曲することで形成されており、段差部7R,7Lにおける紙面手前側の折れ曲がり部分(手前角部75R,75L)は車室側に突出し、紙面奥側の折れ曲がり部分(屈曲部70R,70L)はアウタパネル8側(車外側)に突出している。
本例のバックドア1では、嵌込孔3の下端部よりも上の部分に、屈曲部を有する棚状部やV溝部、段差部を設けていない。これは、高剛性で変形し難いリアガラス9が嵌込孔3に嵌め込まれているため、嵌込孔3の側縁から車幅方向の外方に延びる屈曲部を形成しても、その屈曲部がインナパネル2の共振点の調整にあまり寄与しないからである。但し、そのことは、嵌込孔3の下端部よりも上の部分に屈曲部を設けることを阻害する事由にはならない。従って、嵌込孔3の下端以下の位置に屈曲部を形成した上でさらに、嵌込孔3の下端部よりも上の部分に屈曲部を設けることは許容される。
以上説明した構成によれば、図2に示すように、インナパネル2における屈曲部50R,60R(50L,60L)がインナパネル2の曲げの変曲点となるため、インナパネル2の剛性が下がり、当該インナパネル2がアウタパネル8側に凸となるように湾曲し易くなる。その結果、バックドア(特にインナパネル2)の共振点が従来よりも低くなり、従来であればこもり音が発生した振動域でこもり音が発生しなくなる。例えば、CVTを備える車両において、CVTがロックアップするときに生じる振動に共振してバックドア1からこもり音が発生する場合、屈曲部50R,60R(50L,60L)によってインナパネル2の共振点を低くすれば、こもり音の発生を抑制することができる。
インナパネル2に形成する屈曲部の数や位置は特に限定されない。例えば、図1のバックドア1において、V溝部6R,6Lの上方にさらに別のV溝部を形成しても良い。また、V溝部6R,6Lの位置に、V溝部の代わりに棚状部を形成しても構わない。その他、段差部7R,7Lの代わりに、収納凹部4内にV溝部を形成しても構わない。
2 インナパネル 3 嵌込孔 4 収納凹部
5R,5L 棚状部
50R,50L 屈曲部 55R,55L 手前角部
6R,6L V溝部
60R,60L 屈曲部 65R,65L 下端縁 66R,66L 上端縁
7R,7L 段差部
70R,70L 屈曲部 75R,75L 手前角部
8 アウタパネル
9 リアガラス
Claims (1)
- 車室側に配置されるインナパネルと、車外側に配置されるアウタパネルと、リアガラスと、を備え、
前記インナパネルは、前記リアガラスを嵌め込む嵌込孔と、前記嵌込孔よりも下方に配置され、機器類を収納する収納凹部と、を有するはね上げ式バックドアであって、
前記インナパネルは、前記嵌込孔または前記収納凹部の周縁部から車幅方向の外縁側に延びる左右一対の屈曲部を少なくとも一組備え、
前記屈曲部は、前記嵌込孔の下端以下の位置で、前記インナパネルの一部が前記アウタパネル側に突出するように折れ曲がることで形成されており、
車両の左側に配置される前記屈曲部の折れ曲がり稜線と、車両の右側に配置される前記屈曲部の折れ曲がり稜線と、が同じ高さに揃っているはね上げ式バックドア。
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