JP6426885B2 - 撹拌装置 - Google Patents

Description

本発明は撹拌装置に関し、特に撹拌液槽内の撹拌液を撹拌するものであって、撹拌機能を高めることができるようにしたものである。

従来撹拌装置としては、回転軸に羽根型の撹拌部材を取りつけた構成のものが用いられている（特許文献１又は２参照）。

これに対して、各種装置に用いることができる羽根型の撹拌部材を用いない形態の撹拌装置として、特許文献３に記載のように、断面円形状の撹拌機本体部に、吸入口及び吐出口と、その間を繋ぐ流通路とを設けた構成のものが提案されており、これにより、２種類以上の流体を混合したり、流体中に添加した各種粉末等を均一に分散させたりする際に、羽根型撹拌部材を用いないようにすることにより、取扱い操作上の危険を回避したり、羽型型撹拌部材が破損して混合流体内に混入したりするおそれを回避するような工夫がなされている。

特開２０１０−２３０３４２公報 ＵＳ２０１０／００８９４２８Ａ１ 特許第４４１８０１９号公報

本発明は以上の点を考慮してなされたもので、羽根型撹拌部材を用いることなく、従って取扱操作上の危険や、破損物の混合の不都合を生じさせることなく、しかも撹拌機能を一段と高めることができるようにした撹拌装置を提案しようとするものである。

かかる課題を解決するため本発明においては、撹拌液槽３内において、上端が天板１３Ａによって閉塞された円筒筐体２１でなる円筒回転部材１３を、天板１３Ａに接続された回転駆動軸１１によって、当該円筒筐体２１の中心軸線Ｌ１を中心として回転させる撹拌機本体５を有し、円筒回転部材１３は、円筒筐体２１の周面に穿設された複数の放出開口２２Ａ〜２２Ｄと、円筒筐体２１の内周面に内方に突出するように設けられた複数の押出突板部２４Ａ〜２４Ｄと、円筒筐体２１の下端に設けられた吸込開口手段２３とを有し、円筒回転部材１３は、回転駆動軸１１によって回転駆動された時、押出突板部２４Ａ〜２４Ｄによって、内在する撹拌液４を中心軸線Ｌ１の周りに循環させる内部循環流ｆを生起させて当該内部循環流ｆを形成する撹拌液４を遠心力によって放出開口２２Ａ〜２２Ｄから外部放出流ｄ１〜ｄ４として外部に放出させると共に、外部の撹拌液４を吸込開口手段２３から吸込流ｅ１〜ｅ３として内部に取り込ませ、円筒回転部材１３は、円筒筐体２１の下面を底板１３Ｂによって閉塞されると共に当該底板１３Ｂに吸込開口手段として吸込筒部２３を設けるようにした。

本発明によれば、回転駆動される円筒筐体でなる円筒回転部材の内部に、押出突板部により内在する撹拌液でなる内部循環流を生起させ、当該内部循環流を遠心力を利用して円筒筐体に設けた放出開口から外部放出流として外部に放出させると共に、外部の撹拌液を吸込開口手段として吸込筒部を通じて取り込ませることによって吸引力が大きくなるようにしたことにより、撹拌液槽内の内部循環流の撹拌動作を活発化させるようにする。

本発明の一実施の形態による撹拌装置を示す略線的断面図である。 図１の撹拌機本体の詳細構成を示す斜視図である。 円筒回転部材１３の詳細構成を示す断面図である。 第２の実施の形態の撹拌機本体を示す斜視図である。 撹拌装置内の撹拌流を示す略線的断面図である。 第３の実施の形態の撹拌機本体を示す斜視図である。 撹拌装置内の撹拌流の説明に供する略線的断面図である。

以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。

（１）第１の実施の形態
図１において、１は全体として撹拌装置を示し、液撹拌部２の方形形状を有する撹拌液槽３内に入れられている撹拌液４に、上方から垂直方向に円筒形状を有する撹拌機本体５が差し込まれている。

撹拌機本体５は、回転駆動部１０の、上下方向に延長する、回転駆動軸１１の下端部に取り付けられ、回転駆動軸１１が駆動モータ１２によって垂直方向に延長する中心軸線Ｌ１上を回転することにより、当該中心軸線Ｌ１を中心として回転駆動する。

撹拌機本体５は、図２に示すように、上端面及び下端面をそれぞれ天板１３Ａ及び底板１３Ｂによって閉塞された円筒回転部材１３を有し、矢印ａで示すように上方から見て反時計方向に回転する回転駆動軸１１の下端が天板１３Ａに一体に固着されることにより、円筒回転部材１３が矢印ｂで示すように反時計方向に回転駆動する。

円筒回転部材１３は、上端面及び下端面に天板１３Ａ及び底板１３Ｂが固着された、薄い金属板でなる、円筒筐体２１を有し、円筒筐体２１の外側面には、図３で示すように、中心軸線Ｌ１を中心として９０〔°〕の角間隔を保って４つの放出開口２２Ａ〜２４Ｄが穿設されていると共に、底板１３Ｂの中心位置から下方に突出するように、円筒筐体２１を連通する吸込開口手段として機能する吸込筒部２３が形成されている。

この実施の形態の場合、放出開口２２Ａ〜２２Ｄの配列は、円筒筐体２１の上下方向の中間位置において上下方向に２段形成され、これにより円筒回転部材１３には円筒外周面に８個の放出開口が９０〔°〕の角間隔を保ちながら形成されている。

円筒筐体２１の放出開口２２Ａ、２２Ｂ、２２Ｃ及び２２Ｄの回転方向ｂ側の端縁には、放出開口２２Ａ、２２Ｂ、２２Ｃ及び２２Ｄから中心軸線Ｌ１側に向う方向に突出する押出突板部２４Ａ、２４Ｂ、２４Ｃ及び２４Ｄが形成され、これにより、円筒筐体２１内に入っている撹拌液４のうち、押出突板部２４Ａ、２４Ｂ、２４Ｃ及び２４Ｄから回転方向ｂ側に隣接する放出開口２２Ｂ、２２Ｃ、２２Ｄ及び２２Ａに至るまでの撹拌液４が押出突板部２４Ａ、２４Ｂ、２４Ｃ及び２４Ｄによって回転方向ｂの方向に押し出されるようになされている。

以上の構成において、撹拌機本体５を撹拌液４内に挿入した状態において、回転駆動部１０によって撹拌機本体５が矢印ａの方向に回転されると、円筒筐体２１の円周面のうち、放出開口２２Ａの押出突板部２４Ａと放出開口２２Ｂの押出突板部２４Ｂとの間の部分、放出開口２２Ｂの押出突板部２４Ｂと放出開口２２Ｃの押出突板部２４Ｃとの間の部分、放出開口２２Ｃの押出突板部２４Ｃと放出開口２２Ｄの押出突板部２４Ｄとの間の部分、並びに放出開口２２Ｄの押出突板部２４Ｄと放出開口２２Ａの押出突板部２４Ａとの間の部分が、それぞれ矢印ｃ１、ｃ２、ｃ３並びにｃ４で示すように、矢印ａと同じ方向に移動して行く。

このとき円筒筐体２１内の撹拌液４のうち、該当する部分が、それぞれ矢印ｃ１、ｃ２、ｃ３及びｃ４の方向に、内側に接する中心部にある撹拌液４の部分を引きつれながら、移動して行く。

この結果、円筒回転部材１３が回転始動してから安定回転状態になると、押出突板部２４Ａ〜２４Ｄ部分の撹拌液４の回転動作に引きつれられて、その内側の中心軸線の周囲の撹拌液４の部分が回転駆動軸１１の回転速度と同程度の速度で回転するようになる（これを内部循環流ｆと呼ぶ）。

この内部循環流ｆを形成する撹拌液４には、その外側を移動する撹拌液４を引きつれて回転している状態において、中心軸線Ｌ１を中心として外方に放射状に遠心力が作用するようになる。

やがて、この遠心力が作用した内部循環流ｆの一部の撹拌液４は、図３において矢印ｄ１〜ｄ４で示すように、放出開口２２Ａ〜２２Ｄから、外部放出流として円筒筐体２１から外部の撹拌液槽３に放出される。

この実施の形態の場合、押出突板部２４Ａ〜２４Ｄは、円筒筐体２１の外周板部に放出開口２２Ａ〜２２Ｄを穿設する際に、当該放出開口２２Ａ〜２２Ｄの位置にある板材部に放出開口２２Ａ〜２２Ｄの外周縁を形成するような切れ目を入れると共に、外形形状加工を施した後、内側に折り込むことにより形成する。

その際当該折込み角度を円筒筐体２１の内側面に対して例えば４５〔°〕とすることにより、円筒回転部材１３が回転した際の押出突板部２４Ａ〜２４Ｄの撹拌液４の押込方向が中心軸線Ｌ１に近づくようにし、これにより押出突板部２４Ａ〜２４Ｄによる内部循環流ｆの形成動作を容易にするようになされている。

この時、円筒筐体２１内の撹拌液４は円筒筐体２１から放出された外部放出流ｄ１〜ｄ４の撹拌液４の分だけ負圧になることにより、撹拌液槽３内の撹拌液４のうち、吸込筒部２３の周囲にある撹拌液４が、図２において矢印ｅ１で示すように吸込開口としての吸込筒部２３を通って円筒筐体２１内に吸込流として引き込まれ、これに応じて矢印ｅ２及びｅ３で示すように、撹拌液槽３の底板３Ａ近くの撹拌液４が吸込筒部２３の下端部に集められて、吸込流ｅ１として吸込筒部２３に取り込まれて行く。

この時の円筒筐体２１内の撹拌液４の流れは、放出開口２２Ａ〜２２Ｄから放出される外部放出流ｄ１〜ｄ４と吸込筒部２３からの吸込流ｅ１〜ｅ３とが同時に生起されることにより、吸込筒部２３から引き込まれた撹拌液４は、円筒筐体２１の中心軸線Ｌ１を中心とする内部循環流ｆとなった後、当該内部循環流ｆの一部が外部放出流ｄ１〜ｄ４として外部に放出するような撹拌液４の撹拌流となる。

以上の構成によれば、円筒回転部材１３の回転に従って、その内部に内部循環流ｆを生起させると共に、その一部の撹拌液４を遠心力によって外部放出流ｄ１〜ｄ４として外部へ向う流れを生じさせ、さらにその負圧を利用して外部から内部へ向う吸込流ｅ１〜ｅ３として、円筒回転部材１３を中心として撹拌液槽３内の撹拌液４を撹拌流に巻き込むように動かすことにより、全体として撹拌液槽３内の撹拌液を均一に撹拌することができる。

かくするにつき、撹拌液４を全体として撹拌流に巻き込むことができることにより、撹拌液槽３が円筒形、方形その他種々の形状であっても、均一の撹拌ができる。

実際上、外部放出流ｄ１〜ｄ４の放出力及び吸込流ｅ１〜ｅ３の吸込力は、円筒回転部材１３の回転数に応じて適宜決めることができることにより、撹拌液槽３内の撹拌を必要に応じて柔らかくしたり（例えば、粘度が小さい撹拌液４に適用する場合）、強くしたり(例えば、比重比や粘度が大きい撹拌液４に適用する場合)できるといったように、撹拌機能を高めることができる。

これに加えて、撹拌機本体５を洗浄する場合には、単に、撹拌液槽３内の撹拌液４を、洗浄液（例えばきれいな洗浄水、メタノール液など）に置き換えて、上述の撹拌動作を行わせた後撹拌済み液を排棄するだけで、実用上十分な洗浄効果を得ることができる。

（２）第２の実施の形態
図４は第２の実施の形態の撹拌装置１を示すもので、図２との対応部分に同一符号を付して示す。

図４の場合は、円筒回転部材１３の天板１３Ａに、中心軸線Ｌ１を中心として９０〔°〕の角等間隔を保って撹拌液吸込用開口２５Ａ、２５Ｂ、２５Ｃ及び２５Ｄを設け、これにより円筒回転部材１３の上方にある撹拌液４を当該撹拌液吸込用開口２５Ａ〜２５Ｄを通して円筒回転部材１３に取り込むことができるようになされている。

図４の構成において、図１との対応部分に同一符号を付して図５に示すように、撹拌液槽３の撹拌液４内に差し込まれた撹拌機本体５が回転駆動部１０によって回転すると、図２及び図３について上述したと同様に、円筒回転部材１３の円筒筐体２１の押出突板部２４Ａ〜２４Ｄの機能によって中心軸線Ｌ１を中心とする内部循環流ｆが形成されると共に、当該内部循環流ｆから放出開口２２Ａ〜２２Ｄを介して外部放出流ｄ１〜ｄ４が生起され、これに伴って吸込開口手段としての吸込筒部２３の下方端から吸込流ｅ１〜ｅ３が生起される。

この時、円筒筐体２１内に生じた内部循環流ｆに基づいて外部放出流ｄ１〜ｄ４が生起されたことによって、円筒筐体２１内の放出開口２２Ａ〜２２Ｄの上側にある撹拌液４に負圧を生ずることにより、天板１３Ａの上側にある撹拌液４が、図４において矢印ｇ１〜ｇ４で示す吸込流として円筒回転部材１３内に取り込まれる。

かくして、撹拌液槽３内の円筒回転部材１３の下部において吸込流ｅ１〜ｅ３を生起すると共に、円筒回転部材１３の上側から撹拌液吸込用開口２５Ａ〜２５Ｄを介して吸込流ｇ１〜ｇ４を形成することができることにより、撹拌液槽３内の撹拌効果をさらに高めることができる。

この場合、吸込流ｇ１〜ｇ４は撹拌液４の液表面の近傍に生ずることにより、液表面を界面として、その上部から空気を混在させ、この結果撹拌機本体５によって液面に泡立ちを起させて空気を取り込む撹拌機能（これを好気性撹拌と呼ぶ）を実現できる。

これに対して、図１ないし図３について上述した場合は、液面に泡立ちを起させずに空気を取り込まない撹拌機能（これを嫌気性撹拌と呼ぶ）を実現している。

（３）第３の実施の形態
図６は第３の実施の形態を示すもので、図２との対応部分に同一符号を付して示す。

この実施の形態の場合の撹拌装置１は、図２において円筒回転部材１３の底板１３Ｂと吸込筒部２３とを省略した構成を有する。

この結果、円筒回転部材１３の底面には、円筒筐体２１の直径に相当する直径を有する、円形形状の連通孔３０が吸込開口手段として形成され、図１との対応部分に同一符号を付して図７に示すように、この広い連通孔３０に対して、撹拌液槽３の底板３Ａと連通孔３０との間の領域の撹拌液４を、連通孔３０の周囲から、吸込流ｈ１〜ｈ４として、多量に取り込んでこれを外部放出流ｄ１〜ｄ４として循環させることにより、特に撹拌液槽３の底部分にある撹拌液４に対して十分の撹拌機能を果たす。

この場合特に、撹拌液槽３の底板３Ａと撹拌機本体５の円筒回転部材１３の下端縁との間隔が狭くなるように円筒回転部材１３を設定すれば、撹拌液槽３の底板３Ａ周辺の撹拌液４に対して吸込み力が大きい撹拌装置１を得ることができる。

（４）他の実施の形態
（４−１）図１〜３及び図６〜７のような嫌気性撹拌の実施の形態は、例えば製剤溶出試験装置のような高い精度を要求される撹拌槽に適用して好適であるが、撹拌装置１の適用範囲はこれに限らず、種々の用途に用いることができる。

特に、図４〜５の好気性各撹拌の場合を含めて、円筒回転部材１３内に形成した内部循環流ｆに基づいて、これをその遠心力を利用して外部放出流ｄ１〜ｄ４に分流していく比較的単純な流路を形成していることにより、撹拌液４として例えば下水処理施設のような粘性が大きい撹拌液や、粒子を含んでいる撹拌液などを撹拌する場合に適用しても、十分な撹拌をすることができる。

（４−２）上述の実施の形態においては、円筒回転部材１３として４つの放出開口２２Ａ〜２２Ｄに対してそれぞれ押出突板部４２Ａ〜４２Ｄを上下方向に２段形成した場合について述べたが、上下方向の形成段数としてはこれに限らず２段以上に形成したり、１段分に２つ以外の複数の放出開口を設けるようにしてもよく、要は中心軸線部分に内部循環流ｆを形成すると共に、当該内部循環流ｆから放出開口を介して遠心力を利用して複数の外部放出流を形成するように構成すれば、上述の場合と同様の効果を得ることができる。

（４−３）上述の実施の形態においては、円筒筐体２１として薄い金属板を用い、その側面に放出開口２２Ａ〜２２Ｄの外形形状の切れ目を入れて内側に４５〔°〕に折り曲げることにより押出突板部２４Ａ〜２４Ｄを形成するようにしたが、これに代え、折り曲げ角度を４５〔°〕以外の角度にしても良く、押出突板部２４Ａ〜２４Ｄの形状は内部循環流を形成し易い形状に調整しても良い。

（４−４）また放出開口２２Ａ〜２２Ｄ及び押出突板部２４Ａ〜２４Ｄの上下方向の相対位置関係を、同一高さにすることに代えて、互いにずらせるようにしても良く、要は押出突板部２４Ａ〜２４Ｄの移動により円筒回転部材１３内に内部循環流ｆを形成すると共に、その一部を遠心力によって放出開口２２Ａ〜２２Ｄから放出できるようにすれば良い。

（４−５）図１〜３及び図６〜７の実施の形態においては、回転駆動軸１１として棒状のものを適用したが、これに代え、パイプ状にして、当該パイプ状の回転駆動軸１１の中空部を介して撹拌液槽3内に空気の泡を取り込むことにより、好気性撹拌をさせるようにしても良い。

この場合、パイプ状の回転駆動軸１１は、上端を撹拌液4の上方位置において空気中に開放するように構成され、これにより円筒筐体２１内において内部循環流ｆの一部が外部放出流ｄ１〜ｄ４として外部に放出されたとき生ずる負圧によって、回転駆動軸１１の中空部を通って円筒筐体２１内の撹拌液４内に空気を混入させる。

かくして好気性撹拌を実現する撹拌装置を実現できる。

このように回転駆動軸１１をパイプ状にした場合、その長さを円筒筐体２１の天板１３Ａの位置までとせずに、天板１３Ａを貫通して、円筒筐体２１内の位置までとしても良い。

またこのパイプ状の回転駆動軸１１を、図６〜７の実施の形態に適用した場合は、当該回転駆動軸１１を円筒筐体２１を貫通する長さにしても良い。

本発明は撹拌液槽内の撹拌液を撹拌する場合に適用できる。

１……撹拌装置、２……液撹拌部、３……撹拌液槽、４……撹拌液、５……撹拌機本体、６……撹拌機、１０……回転駆動部、１１……回転駆動軸、１２……駆動モータ、１３……円筒回転部材、１３Ａ……天板、１３Ｂ……底板、２１……円筒筐体、２２Ａ〜２２Ｄ……放出開口、２４Ａ〜２４Ｄ……押出突板部、２３……吸込筒部、２５Ａ〜２５Ｃ……吸込開孔、ｄ１〜ｄ４……外部放出流、ｅ１〜ｅ３、ｆ……内部循環流、ｇ１〜ｇ４、ｈ１〜ｈ４……吸込流。

Claims (4)

1. 撹拌液槽内において、上端が天板によって閉塞された円筒筐体でなる円筒回転部材を、上記天板に固着された回転駆動軸によって当該円筒筐体の中心軸線を中心として回転させる撹拌機本体を有し、
   上記円筒回転部材は、
   上記円筒筐体の周面に穿設された複数の放出開口と、
   上記円筒筐体の内周面に内方に突出するように設けられた複数の押出突板部と、
   上記円筒筐体の下端に設けられた吸込開口手段と
   を有し、
   上記円筒回転部材は、上記回転駆動軸によって回転駆動された時、上記押出突板部によって、内在する撹拌液を上記中心軸線の周りの空間に循環させる内部循環流を生起させて当該内部循環流を形成する上記撹拌液を遠心力によって上記放出開口から外部放出流として外部に放出させると共に、外部の撹拌液を上記吸込開口手段から吸込流として内部に取り込ませ、
   上記円筒回転部材は、上記円筒筐体の下面を底板によって閉塞されると共に当該底板に上記吸込開口手段として吸込筒部を設けた
   ことを特徴とする撹拌装置。
2. 上記円筒筐体の天板に撹拌液吸込用透孔を設けた
   ことを特徴とする請求項１に記載の撹拌装置。
3. 上記回転駆動軸をパイプ状とした
   ことを特徴とする請求項１に記載の撹拌装置。
4. 上記押出突板部を、上記放出開口の上記回転方向端縁に設けた
   ことを特徴とする請求項１に記載の撹拌装置。

Images