本発明は、かしめ継手を用いて配管同士を連結するためのかしめ継手工具の治具構造に関する。
配管同士の連結に用いられる管継手には、ねじ込み式のものや、溶接式のもの、形状記憶合金を利用したもの等、種々の形式があり、用途に応じて使い分けられている。
パッケージ型空調機などの空調設備では、蒸発器や凝縮器といった熱交換器同士を配管で連結して該配管内部にフルオロカーボン系冷媒などの冷媒が循環流通する冷凍サイクルを形成し、該冷凍サイクル内において冷媒を気液間で相転移させ、空調空気との熱交換を行う。こうした空調設備に用いられる配管(冷媒配管)には、完全な気密性が要求されることは勿論、耐腐食性、耐圧性、加工の容易性といった化学的、物理的性質、冷媒の圧力損失を可能な限り小さくし得る機械的形状など、種々の特性が求められる。こういった特性を満足し得る素材として、従来、主に銅(特に、純度の高いリン脱酸銅)が用いられており、銅管と管継手(あるいは銅管同士)の接続は、ろう材を溶かして金属同士を接合するろう付け(ろう接)によって行われることが一般的である。しかし、近年では銅管の原料である銅の価格の高騰を受け、銅の代わりにより安価な素材であるアルミを採用することが検討されつつある。また、ろう接は高度な技術を要する職人的な作業であり、熟練した職人による施工人件費が高くつくことから、より簡易な接続方法を用いて接続の作業を省力化することもあわせて要望されている。
ここで、銅管をろう接する場合、溶加材としてはりん銅ろうや銀ろうがしばしば用いられいる。りん銅ろうや銀ろうは、接合の際に細い隙間へ浸透しやすく、ボイド(空洞)等の欠陥が発生しにくいことや、高い耐食性を有することのほか、融点が母材である銅と比較して十分に低いという点で、銅管のろう接に適している。すなわち、ろう接の際、管継手と管との間に溶加材を浸透させるためには、溶加材の温度を融点よりある程度高めに保つ必要があるところ、母材である銅の融点が1,085℃であるのに対し、りん銅ろうや銀ろうの融点は600℃〜800℃前後である。このため、ろう接温度を760℃〜850℃と、融点以上に高く保っても、母材である銅の溶融が起きる心配はない。一方、配管の材料にアルミを用いる場合には、母材であるアルミの融点が660℃と低く、これに対し溶加材として用いるアルミろうの融点は590℃前後と、両者の融点が近い。このため、溶融したアルミろうを浸透させるべく温度を上げると母材も一緒に溶融しかねず、管に穴が開かないようにろう接することが難しい。このような問題は、接続に溶接を必要としない乾式のメカニカル継手を用いることで回避できる。
メカニカル継手の一種として、金属に圧力を加えて変形させる(かしめる)ことにより配管に圧着する、かしめ継手と呼ばれるものが知られており、水(冷水)を熱媒として利用するタイプの空調設備において、水を搬送する水配管の連結などに一部利用されている。
そうした水配管の場合と比較すると、上に説明したような冷凍サイクルを構成する空調設備の冷媒配管に対して継手を利用しようとする場合には、継手により高い性能が要求される。すなわち、5〜10MPaという高い圧力下で完全な気密性を実現することを求められるため、管と管継手の間をより強い力(かしめ力)で接続する必要がある。こうした要求に応え得るかしめ継手として、管を裏打ちするインサート部材を管内部に挿入し、該インサート部材により管を内側から支持して強いかしめ力に対応するタイプのかしめ継手がある。
図6、図7はそうしたかしめ継手の一例を示すもので、管1(1')端部の内部に挿入されて該管1(1')を内側から支持するインサート部材2(2')、管1(1')の端部に外側から覆うように嵌合し、かしめ力により密着して管1,1'同士を連結するかしめ継手の本体部品であるジョイント部材3、該ジョイント部材3を管1(1')に対して圧着するためナット4(4')を備えてなる。インサート部材2(2')、ジョイント部材3、ナット4(4')は、各種のサイズや形状、材質のものがあり、接続される管1(1')の径や形状、材質に対応したものを選んで用いることができる。
インサート部材2(2')は、図6(b)、図7(b)に示す如く、均等な円断面を有する略円筒形の本体部21(21')と、該本体部21(21')の外周の一端側に張り出した鍔部22(22')を備えてなる金属製の部材であり、管1(1')の内径に本体部21(21')の外径が略一致するサイズのものを用いる。インサート部材2(2')の素材としては、例えば高強度鋼が用いられる。
ジョイント部材3は、図6(c)、図7(c)に示す如く、管1と管1'の間を連結し、該管1,1'を自身を介して連通する管体部30の両端に、管1,1'と接続するための管接続部34,34'を備えてなる金属製の部材である。管接続部34(34')は、管1,1'に外嵌する略円筒形のスリーブ31(31')と、該スリーブ31(31')の基部側の外周に張り出した支点部32(32')とを備え、さらにスリーブ31(31')の内面の基部側には、該スリーブ31(31')の内周に張り出すように段差部33(33')が備えられている。スリーブ31(31')の外周面には、先端から所定の範囲にわたり、基部側(支点部32(32')側)から先端に向かって外径が小さくなるテーパ部31a(31a')が形成されている。このスリーブ31(31')と、支点部32(32')、段差部33(33')とで、管接続部34(34')を形成している。図6(c)、図7(c)では、短管状の管体部30の一端に管接続部34を備え、他端に管接続部34と対称をなすよう管接続部34'を備えた直管ニップル形状のジョイント部材3を例示している。尚、ジョイント部材3としては、この他にT字型やY字型の管体部に3つの管接続部を備えたものや、L字型の管体部に2つの管接続部を備えたもの、2つの管接続部をフレキシブル管の管体部で繋いだもの等、各種の形状のものを使用することができる。
管1(1')との接続には、管1(1')の外径にスリーブ31(31')の内径が略一致するサイズのジョイント部材3を用いる。ジョイント部材3の素材としては、例えば、ある程度の展性を有する鋼鉄が用いられる。
ナット4(4')は、図6(d)、図7(d)に示す如く略円筒形の金属部材であり、その内周面の一端側には、先端から所定の範囲にわたり、内径が先端に向かって大きくなるテーパ部4aが形成されている。接続にあたっては、該テーパ部4aを含む内周面のうち少なくとも一部の内径が、ジョイント部材3のスリーブ31(31')の外周面のうち少なくとも一部の外径よりも小さいサイズのものを用いる。より具体的には、テーパ部4a以外の部分の内径がジョイント部材3のスリーブ31(31')のテーパ部31a(31a')以外の部分の外径より僅かに小さいサイズのものを用いることが望ましく、さらに、テーパ部4aの先端部の内径が、スリーブ31(31')のテーパ部31a(31a')の先端部の外径より僅かに大きいサイズのものを用いることがより望ましい。ナット4(4')の素材としては、例えば高強度鋼が用いられる。
尚、アルミ等を素材とする管1(1')と、鉄等を素材とするかしめ継手(インサート部材2(2')、ジョイント部材3、ナット4(4'))とを接続する場合、異種金属同士の接触によるガルバニ腐食を防止するため、予め各部材同士の接触箇所の表面に絶縁皮膜を形成する塗装を行ってから接続作業を行うことが望ましい。
上記インサート部材2,2'、ジョイント部材3、ナット4,4'を備えてなるかしめ継手は、インサート部材2,2'の挿入された管1,1'の端部をナット4,4'に通してからそれぞれジョイント部材3の管接続部34,34'に挿入し、さらに専用のかしめ継手工具5でナット4,4'をそれぞれジョイント部材3に対し軸線方向に押し付けることにより、ナット4,4'の内周面で管接続部34,34'、およびここに挿入された管1,1'端部とインサート部材2,2'を外側から締め付け、かしめ力により管1,1'同士を接続する。より詳細な手順については、後に詳述する。
かしめ継手工具5は、図8(a)に示す如く、ハンドル部50に電動油圧式の万力部51を備え、該万力部51には第一台座52と第二台座53を備える。接続作業にあたっては、図8(b)に示す如く、第一台座52に第一治具54を、第二台座53に第二治具55を装着して使用する。万力部51は、第一台座52と第二台座53に対し、互いが近づく向きに力を加えるようになっている。
第一治具54は、図9(a)に示す如く、第一台座52に接続する脚部56と、ジョイント部材3を支持しながら該ジョイント部材3に対し力を加えるクランプ部57を備えてなり、該クランプ部57は、ジョイント部材3を載置する略半円筒状の第一支持溝58と、該第一支持溝58の内周に突出し、ジョイント部材3の支点部32,32'を係止するための係止鍔59を備えてなる。脚部56は、クランプ部57の第一支持溝58とは反対の面に備えられた二本の突出部であり、図8(b)に示す如く、第一台座52に備えた溝を挟みこむように嵌合するようになっている。
第二治具55は、図9(b)に示す如く、第二台座53(図8(b)参照)に接続する脚部60と、管1,1'を支持しながらナット4,4'に対し力を加えるクランプ部61を備えてなる。該クランプ部61は、管1,1'を載置する略半円筒状の第二支持溝62を備え、クランプ部61の第一台座52に対向する側の端面(図8(b)参照)は、管1,1'とかしめ継手の接続作業時にナット4,4'を係止する係止面63を形成する。脚部60は、クランプ部61の第二支持溝62とは反対の面に備えられた二本の突出部であり、図8(b)に示す如く、第二台座53に備えた溝を挟みこむように嵌合するようになっている。
第一治具54、第二治具55には、それぞれジョイント部材3のサイズや形状に応じた各種のサイズのものがあり、適したものを選んで用いることができる。第一治具54としては、第一支持溝58の内径がジョイント部材3の支点部32,32'の外径以上且つナット4,4'の外径以上の大きさであり、係止鍔59の内径がジョイント部材3の支点部32,32'の外径未満且つ管体部30の外径以上の大きさのものを用いる。第二治具55としては、第二支持溝62の内径がナット4,4'の外径未満且つ管1,1'の外径以上の大きさのものを用いる。
上記したかしめ継手工具5および第一治具54、第二治具55によるかしめ継手の接続の手順を、図10〜図15を参照しながら説明する。
まず、図10に示す如く、管1の端部にインサート部材2の本体部21を挿入する。上記したように、本体部21の外径は管1の内径に略一致し、且つ本体部21の外周の一端側には鍔部22が張り出しているため、この鍔部22が位置決めとなって、インサート部材2は本体部21を鍔部22の位置まで挿入したところで止まる。尚、管1の端部には、該管1を切断した際にバリが形成されていることが多く、インサート部材2を挿入する前にリーマ等によりバリ取りを行うと良い。
次に、図11に示す如く、インサート部材2を挿入した管1の端部をナット4に通してから、ジョイント部材3のスリーブ31の開口に挿入する。このとき、上記したように、スリーブ31の内径は管1の外径に略一致し、且つスリーブ31の内面の基部側には内周に張り出すように段差部33が備えられているため、この段差部33が位置決めとなって、インサート部材2を挿入した管1の端部は、該管1の端部に装着したインサート部材2の鍔部22が段差部33の端面に当接する位置で止まる。
尚、管1の端部をジョイント部材3のスリーブ31に挿入する際、ナット4は、テーパ部4a側がジョイント部材3側に向くようにして管1に通される。上記したように、テーパ部4aの先端部における内径は、ジョイント部材3のスリーブ31に形成されたテーパ部31a先端部の外径より大きいため、ナット4のテーパ部4aは、スリーブ31のテーパ部31aに外嵌する。しかし、ナット4のテーパ部4a以外の部分の内径は、スリーブ31のテーパ部31a以外の部分の外径より小さいので、ナット4は図11に示す如く、テーパ部4aでスリーブ31のテーパ部31aに係合したところで止まる。
このように、管1にかしめ継手(インサート部材2、ジョイント部材3、ナット4)を取り付けたら、次に管1とかしめ継手をかしめ継手工具5にセットする。
かしめ継手工具5には、まず第一台座52に第一治具54の脚部56を、第二台座53に第二治具55の脚部60を装着する(図8(b)参照)。第一治具54および第二治具55としては、上記した通り、かしめ継手に適したサイズのものを選択する。
次に、図12に示す如く、かしめ継手工具5に装着した第一治具54および第二治具55上に、かしめ継手を取り付けた管1を配置する。管1を第二治具55の第二支持溝62に載置し、ナット4は第二治具55の係止面63と第一治具54の係止鍔59の間に位置するように配置し、ジョイント部材3は、管体部30が第一治具54の係止鍔59上に位置し、支点部32が係止鍔59の直近に位置するように配置する。
この状態で、かしめ継手工具5の万力部51を作動させる。第一治具54を装着した第一台座52と、第二治具55を装着した第二台座53が互いに接近するように動作する。第一治具54は、第一支持溝58にジョイント部材3を支持しつつ係止鍔59が管1側の支点部32と当接し、第二治具55は、第二支持溝62に管1を支持しつつ係止面63がナット4の端部と当接する。さらに、第一治具54と第二治具55の動作に伴い、ナット4の第一治具54側(一端側)端部が、ジョイント部材3のスリーブ31に押し付けられる。
ここで、上記した通り、ナット4はテーパ部4aがスリーブ31のテーパ部31aに外嵌した状態であるが、ナット4とジョイント部材3とが互いに元の形状を保っている限り、スリーブ31がそれ以上ナット4の内側に嵌り込むことはない。しかし、万力部51の動作により、展性のある素材で構成されたジョイント部材3のスリーブ31は、高い強度を有するナット4に対して軸線方向に強い力で押し付けられ、その結果、ナット4の内周面から径方向内側に向かう力を受けて圧縮されるように変形し(かしめられ)ながら、ナット4の内側に潜り込んで行く。スリーブ31がナット4に深く潜り込むに従い、スリーブ31の変形が大きくなり、変形に対する反発力としてのかしめ力が増大し、この反発力は万力部51にトルクとなって伝わる。図13に示す如く、ナット4の第一治具54側端部がジョイント部材3の支点部32近傍に達し、増大した反発力によるトルクが所定値に達すると、万力部51において、図示しないトルクリリース機構が働いて万力部51による軸線方向の圧縮動作が停止する。停止後、さらに図示しない前記トルクリリース機構により第一台座52と第二台座53が離間するように動作し、元の位置まで戻る。以上の工程により、管1に対するかしめ継手の接続は完了する。
次に、ジョイント部材3のもう一方の管接続部34'に対し、別の管1'を接続する。図10、図11に示す如く、インサート部材2'を装着した管1'の端部をナット4'に通してから、ジョイント部材3の管接続部34'に挿入する。図14に示す如く、第二治具55の第二支持溝62に管1'を載置し、第一治具54の係止鍔59と、第二治具55の係止面63との間にナット4'が位置し、管体部30が第一治具54の係止鍔59上に位置するよう、管1'とかしめ継手を配置する。万力部51を動作させ、スリーブ31'をナット4'に対して軸線方向に押し付けてスリーブ31'をナット4'の内側に潜り込ませ、ナット4'を介してスリーブ31'を径方向内側に圧縮するようにして管1'に接続する。第一台座52と第二台座53が離間するように動作して再度元の位置まで戻り、管1'とかしめ継手の接続工程が完了する。
このようにして、図15に示す如く、管1と別の管1'が、2個のインサート部材2,2'と、2個のナット4,4'と、2つの管接続部34,34'を備えた1個のジョイント部材3とからなるかしめ継手を介して連結される。
上記のようなかしめ継手と管1(1')の接続の工程においては、展性を有する素材で構成されたジョイント部材3のスリーブ31がナット4(4')の内周面から力を受けて圧縮変形し、管1,1'の外周に食い込んでかしめ力を生じるが、それに伴い、スリーブ31(31')の内側に位置する管1(1')もスリーブ31(31')の内周面から力を受け、径方向内側に圧縮変形する。変形した管1(1')の内周は、さらに内側に位置するインサート部材2(2')の外周面に強く押し付けられて径方向にかしめ力を生じる。インサート部材2(2')は、上記したように均等な円断面を有する高強度鋼であり、管1(1')から付加されるかしめ力に耐えうる十分な強度を有する。インサート部材2(2')は外周面に押し付けられた管1(1')を高い剛性で支持し、その結果、ジョイント部材3のスリーブ31(31')と、管1(1')、インサート部材2(2')の間で、径方向に強い密着が生じる。
このようなかしめ継手を用いた接続構造には漏れがなく、また全体が金属で形成されているため、熱や温度変化、圧力に強い。したがって、空調設備の冷媒配管に用いる上で好適である。しかも、専用のかしめ継手工具を用いることで熟練を要することなく誰でも簡単に接続を行うことができ、作業の省力化、人件費の低減も見込める。
尚、こうしたかしめ継手に関する一般的技術水準を示す文献としては、例えば、下記特許文献1がある。
ところで、上記したような接続工程を実施する場合、図12〜図13に示す工程で管1とかしめ継手を接続した後、同じかしめ継手に別の管1'を接続するためには、管1,1'、またはかしめ継手工具5のいずれかを反転させる必要がある。既に建物に取り付けられている管1,1'に対して作業を行う場合など、管1,1'の向きを変えられないときには、図14に示す如く、かしめ継手工具5を反転させることになるが、このかしめ継手工具5は、万力部51を駆動する油圧機構を備え、ハンドル部50には万力部51を駆動するためのバッテリを備え、さらに万力部51に金属製の第一治具54、第二治具55を装着するため、非常に重い。空調設備の配管は、例えば建物の天井付近に配置されており、高い位置までかしめ継手工具5を持ち上げて行う配管作業は大変な重労働である。その上、かしめ継手工具5は片手で持ち上げて作業をしなければならない場合が多く、一回の接続工程が終了するたびにかしめ継手工具5を反転させるのにはかなりの労力を要する。そのため、接続工程ごとに反転させずに済む構造のかしめ継手工具ないし治具が望まれていた。
本発明は、上述の実情に鑑み、接続工程ごとのかしめ継手工具の反転を不要にし、接続作業を好適かつ容易にし得るかしめ継手工具の治具構造を提供しようとするものである。
本発明は、複数の管と連通する管体部の各端部に、前記管の端部が各々挿入されるスリーブと、該スリーブの基部側の外周に張り出した支点部を備えたジョイント部材に対し、内周面のうち少なくとも一部が、前記スリーブの外周面のうち少なくとも一部の外径よりも小さい内径を有するナットを軸線方向に押し付けて、該ナットを介し前記スリーブを径方向内側に圧縮変形させることで前記管に前記ジョイント部材を接続するかしめ継手工具の治具構造であって、前記かしめ継手工具の、ジョイント部材またはナットに対して軸線方向に圧力を加える万力部は、互いが近づく向きに力を加えるよう先端側に第一台座と基部側に第二台座を有し、治具としては、前記第一台座に装着される第一治具と、前記第二台座に装着される第二治具とを備え、前記第一治具は、第一台座に接続する脚部と、ジョイント部材またはナットを支持しながらジョイント部材またはナットに対し力を加えるクランプ部を備え、該クランプ部はジョイント部材またはナットを載置する略半円筒状の第一支持溝と、自身の一端面がクランプ部の一端面と連続するよう前記第一支持溝の内周に突出し、ジョイント部材の支点部またはナットの端面を係止するための第一係止鍔を備え、前記第二治具は、第二台座に接続する脚部と、ナットまたはジョイント部材を支持しながらナットまたはジョイント部材に対し力を加えるクランプ部を備え、該クランプ部はナットまたはジョイント部材を載置する略半円筒状の第二支持溝と、自身の一端面がクランプ部の一端面と連続するよう前記第二支持溝の内周に突出し、ナットの端面またはジョイント部材の支点部を係止するための第二係止鍔を備え、前記第一係止鍔の内径と、前記第二係止鍔の内径は、共に前記ジョイント部材の前記支点部の外径未満の大きさ且つ前記ナットの外径未満の大きさであること、および、共に前記ジョイント部材の前記管体部の外径以上且つ前記管の外径以上の大きさであることにより、前記第一治具は前記ナットを支持してまたは前記ジョイント部材の前記管体部を支持して軸線方向に圧力を加え得るよう構成され、前記第二治具は前記ジョイント部材の前記管体部を支持してまたは前記ナットの端部を押圧して軸線方向に圧力を加え得るよう構成されていることを特徴とするかしめ継手工具の治具構造にかかるものである。
而して、このようにすれば、前記第一治具の前記第一係止鍔と、前記第二治具の前記第二係止鍔の両方が、前記ジョイント部材の前記支点部、および前記ナットのいずれにも適合し、管とかしめ継手の接続作業と、その後の別の管とかしめ継手の接続作業とで、前記かしめ継手工具を反転させる必要がない。また、このようにすれば、前記第一治具の前記第一支持溝、前記第二治具の前記第二支持溝のいずれにも、前記ジョイント部材や前記ナットを載置することができ、前記ジョイント部材に2つの前記管接続部が近接して備えられている場合であっても、かしめ継手工具を反転させる必要がない。
本発明のかしめ継手工具の治具構造において、前記第一治具または前記第二治具の少なくとも一方が、前記かしめ継手工具に対して反転可能に備えられていることが好ましく、このようにすれば、軸線方向の寸法が異なる複数の種類のかしめ継手に対しても同一の治具により作業を行うことができる。
本発明は、複数の管と連通する管体部の各端部に、前記管の端部が各々挿入されるスリーブと、該スリーブの基部側の外周に張り出した支点部を備えたジョイント部材に対し、内周面のうち少なくとも一部が、前記スリーブの外周面のうち少なくとも一部の外径よりも小さい内径を有するナットを軸線方向に押し付けて、該ナットを介し前記スリーブを径方向内側に圧縮変形させることで前記管に前記ジョイント部材を接続するかしめ継手工具の治具構造であって、前記支点部を支持して軸線方向に圧力を加える第一係止鍔を備えた第一治具と、前記ナットを支持して軸線方向に圧力を加える第二係止鍔を備えた第二治具とを備え、前記第一係止鍔は、前記第一治具のクランプ部に備えた第一支持溝の内周に張り出すように形成され、前記第二係止鍔は、前記第二治具のクランプ部に備えた第二支持溝の内周に張り出すように形成され、前記第一係止鍔の内径と、前記第二係止鍔の内径は、共に前記ジョイント部材の前記支点部の外径未満の大きさ且つ前記ナットの外径未満の大きさであり、前記第一支持溝の内径と、前記第二支持溝の内径は、共に前記ジョイント部材の前記支点部の外径以上の大きさ且つ前記ナットの外径以上の大きさであることにより、前記第一治具は前記ナットを支持して軸線方向に圧力を加え得るよう構成され、前記第二治具は前記支点部を支持して軸線方向に圧力を加え得るよう構成され、前記第一係止鍔または前記第二係止鍔の少なくとも一方が、前記第一支持溝または前記第二支持溝の一端側に備えられ、前記第一治具または前記第二治具の少なくとも一方が、前記かしめ継手工具に対して反転可能に備えられていることを特徴とするかしめ継手工具の治具構造にかかるものである。このようにすれば、軸線方向の寸法が異なる複数の種類のかしめ継手に対しても同一の治具により作業を行うことができる。
本発明のかしめ継手工具の治具構造によれば、接続工程ごとのかしめ継手工具の反転を不要にし、接続作業を好適かつ容易にし得るという優れた効果を奏し得る。
本発明のかしめ継手工具の治具構造を示す斜視図であり、(a)は第一治具、(b)は第二治具である。
本発明の治具をかしめ継手工具に取り付けた様子を示す正面図である。
本発明のかしめ継手工具の治具構造による管とかしめ継手の接続手順を示す平面図である。
本発明のかしめ継手工具の治具構造による管とかしめ継手の接続手順を示す説明図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
本発明のかしめ継手工具の治具構造による管とかしめ継手の接続手順を示す平面図である。
管および該管に接続するかしめ継手の部品を示す斜視図であり、(a)は管、(b)はインサート部材、(c)はジョイント部材、(d)はナットである。
管および該管に接続するかしめ継手の部品を示す断面図であり、(a)は管、(b)はインサート部材、(c)はジョイント部材、(d)はナットである。
かしめ継手工具を示す正面図であり、(a)は治具を外した状態、(b)は従来の治具を取り付けた状態である。
従来のかしめ継手工具の治具構造を示す斜視図であり、(a)は第一治具、(b)は第二治具である。
管とかしめ継手の接続手順を示す説明図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
管とかしめ継手の接続手順を示す説明図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
管とかしめ継手をかしめ継手工具により接続する手順を示す説明図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
管とかしめ継手をかしめ継手工具により接続する手順を示す平面図である。
管とかしめ継手をかしめ継手工具により接続する従来の手順を示す説明図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
かしめ継手により管同士が連結された状態を示す完成図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1、図2は本発明の実施によるかしめ継手工具の治具構造の形態の一例を示すものである。管同士の連結に用いるかしめ継手(インサート部材2,2'、ジョイント部材3、ナット4,4')およびかしめ継手工具5の構成は上記従来例(図6、図7、図8(a)参照)と同様であるが、本実施例の場合、第一治具71と第二治具72の構成に特徴がある。
第一治具71は、第一台座52に接続する脚部73と、ジョイント部材3を支持しながら該ジョイント部材3に対し力を加えるクランプ部74を備え、該クランプ部74は、ジョイント部材3を載置する略半円筒状の第一支持溝75と、該第一支持溝75の内周に突出し、ジョイント部材3の支点部32を係止するための第一係止鍔76を備える構成は上記従来例の第一治具54と同様である。本実施例の第一治具71の場合、図1(a)に示す如く、第一係止鍔76が第一支持溝75の一端側に備えられ、第一係止鍔76の一端面がクランプ部74の一端面と連続するように形成されている。脚部73は上記従来例の第一治具54の脚部56と同様、クランプ部74の第一支持溝75とは反対の面に備えられた二本の突出部であり、第一台座52に備えた溝を挟みこむように嵌合するようになっている(図2参照)。
第二治具72は、第二台座53に接続する脚部77と、管1を支持しながらナット4に対し力を加えるクランプ部78を備える構成は上記従来例の第二治具55と同様である。本実施例の第二治具72の場合、クランプ部78は、管1を載置する略半円筒状の第二支持溝79を備え、該第二支持溝79の一端には、該第二支持溝79の内周に突出し、ナット4を係止するための第二係止鍔80が形成されている。該第二係止鍔80の一端面は、クランプ部78の一端面と連続するように形成されている。脚部77は上記従来例の第二治具55の脚部60と同様、クランプ部78の第二支持溝79とは反対の面に備えられた二本の突出部であり、第二台座53に備えた溝を挟みこむように嵌合するようになっている(図2参照)。
第一治具71の脚部73は、図2中に二点鎖線で示す如く、第一台座52、第二台座53に対して軸線方向に180°反転可能に接続することができる。すなわち、第一治具71、第二治具72は、かしめ継手工具5に対し反転可能に取り付けられるよう構成されている。尚、本実施例においては、第一治具71、第二治具72の両方がかしめ継手工具5に対し反転可能に構成されているが、いずれか一方のみを反転可能に構成しても良い。
第一治具71、第二治具72には、上記従来例の第一治具54、第二治具55同様、それぞれジョイント部材3のサイズや形状に応じた各種のサイズのものがあり、適したものを選んで用いることができる。本実施例の場合、管1,1'とかしめ継手との接続にあたり、第一治具71としては、第一支持溝75の内径がジョイント部材3の支点部32,32'の外径以上且つナット4,4'の外径以上の大きさであり、さらに第一係止鍔76の内径がジョイント部材3の支点部32,32'の外径未満且つ管体部30の外径以上の大きさのものを用いる。第二治具72としては、第二支持溝79の内径がジョイント部材3の支点部32,32'の外径以上且つナット4,4'の外径以上の大きさであり、さらに第二係止鍔80の内径がナット4,4'の外径未満且つ管1,1'の外径以上の大きさのものを用いる。
そして、本実施例の場合、第一治具71の第一係止鍔76と、第二治具72の第二係止鍔80は、内径が等しく形成されている。
すなわち、ジョイント部材3の支点部32,32'は、スリーブ31、31'の基部側の外周に張り出しており、また、ナット4,4'としては、その内径がジョイント部材3のスリーブ31,31'の外径より僅かに小さい大きさのものが用いられるので、結果として、ジョイント部材3の支点部32,32'の外径と、ナット4,4'の外径とは近い大きさとなる。また、ジョイント部材3は管1,1'同士の接続に用いる部材であるので、通常、管体部30の外径が管1,1'の外径と近い大きさのものを用いる。このため、第一治具71の第一係止鍔76の「ジョイント部材3の支点部32,32'の外径未満且つ管体部30の外径以上の」内径と、第二治具72の第二係止鍔80の「ナット4,4'の外径未満且つ管1,1'の外径以上の」内径とは、等しくすることができる。
尚、第一係止鍔76の内径と、第二係止鍔80の内径とは、厳密に等しい大きさである必要はない。第一係止鍔76の内径と、第二係止鍔80の内径が、ともに「ジョイント部材3の支点部32,32'の外径未満」且つ「ナット4,4'の外径未満」の大きさであり、「管体部30の外径以上」且つ「管1,1'の外径以上」の大きさであればよい。
同様に、第一支持溝75と第二支持溝76の内径は等しくすることができるが、等しい大きさである必要はなく、第一支持溝75と、第二支持溝76の内径が、ともに「ジョイント部材3の支点部32,32'の外径以上且つナット4,4'の外径以上」の大きさであればよい。
上記した本実施例のかしめ継手工具5および第一治具71、第二治具72によるかしめ継手の接続の手順を、図2〜図5、図10、図11、図15を参照しながら説明する。
まず、上記従来例と同様、インサート部材2を装着した管1の端部をナット4に通してから、ジョイント部材3の管接続部34に挿入する(図10、図11参照)。
かしめ継手工具5には、第一台座52に第一治具71の脚部73を、第二台座53に第二治具72の脚部77を装着する(図2参照)。第一治具71および第二治具72としては、上記した通り、かしめ継手に適したサイズのものを選択する。
次に、図3に示す如く、管1を第二治具72の第二支持溝79に載置し、ナット4は第二治具72の第二係止鍔80と第一治具71の第一係止鍔76の間に位置し、ジョイント部材3は、管体部30が第一係止鍔76の上に位置し、管接続部34の支点部32が第一係止鍔76の直近に位置するように配置する。万力部51を動作させ、スリーブ31をナット4に対して軸線方向に押し付けてスリーブ31をナット4の内側に潜り込ませ、ナット4を介してスリーブ31を径方向内側に圧縮するようにして接続する。接続完了後、第一台座52と第二台座53が離間するように動作し、元の位置まで戻る。ここまでの手順は、上記従来例(図12、図13参照)と同様である。
次に、ジョイント部材3のもう一方の管接続部34'に対し、別の管1'を接続する。インサート部材2'を装着した管1'の端部をナット4'に通してから、ジョイント部材3の管接続部34'に挿入し(図10、図11参照)、図4に示す如くかしめ継手工具5上にセットする。
ここで、本実施例の場合、ナット4によりジョイント部材3と接続された管1の端部を第二治具72の第二支持溝79に載置し、ジョイント部材3は、管体部30が第二係止鍔80上に位置し且つ支点部32'が第二係止鍔80の直近に位置するように配置する。さらに、管1'を第一治具71の第一支持溝75ないし第一係止鍔76の位置で支持されるように配置し、ナット4'が第一係止鍔76と第二係止鍔80の間に位置するように配置する。すなわち、図14に示す従来例とは逆向きになるよう、管1,1'とかしめ継手をかしめ継手工具5上に配置する。
この状態で、かしめ継手工具5の万力部51を作動させると、第一治具71を装着した第一台座52と、第二治具72を装着した第二台座53が互いに接近するように動作し、第一治具71の第一係止鍔76の第二治具72に対向する側の面が、ナット4'の端部と当接し、第二治具72の第二係止鍔80が、ジョイント部材3の支点部32'と当接する。さらに、第一治具71と第二治具72の動作に伴い、ナット4'の第二治具72側端部が、ジョイント部材3のスリーブ31'の先端部を内嵌しつつ支点部32'側に押し付けられる。スリーブ31'はナット4'の内側に潜り込んでいき、ナット4'を介してスリーブ31'を径方向内側に圧縮するようにして、図5に示す如く管1'とジョイント部材3は接続される。接続完了後、第一台座52と第二台座53が離間するように動作し、再度元の位置まで戻る。このようにして、管1と管1'がジョイント部材3を介して連結される(図15参照)。
すなわち、本実施例においては、上記したように、第一治具71の第一係止鍔76と、第二治具72の第二係止鍔80は、内径が等しく形成されているため、第一治具71の第一係止鍔76と、第二治具72の第二係止鍔80の両方が、ジョイント部材3の支点部32,32'、およびナット4,4'のいずれにも適合し、管1,1'の軸線方向に対してかしめ継手工具5がいずれの向きにあっても、管1,1'とかしめ継手に対し適切に圧力をかけることができる。
しかも、第一治具の第一支持溝75、第二治具の第二支持溝79ともに、内径がジョイント部材3の支点部32,32'の外径以上且つナット4,4'の外径以上の大きさであるため、第一治具の第一支持溝75、第二治具の第二支持溝79のいずれにも、ジョイント部材3やナット4,4'を載置することができる。ここで例に挙げたジョイント部材3のように、短い管体部30の両端に2つの管接続部34,34'が近接して備えられている場合、例えば上記従来例の第二治具55のように(図9(b)、図12〜図14参照)第二支持溝62の径がジョイント部材3の支点部32,32'やナット4,4'の外径より小さいと、支点部32やナット4を第二支持溝62に載置することができず、かしめ継手と管1との接続後、やはり管1'の接続にあたってかしめ継手工具5を反転させる必要がある(図14参照)。しかし、本実施例のように第一支持溝75および第二支持溝79が構成されていれば、管1,1'の軸線方向に対してかしめ継手工具5がいずれの向きにあっても、管1,1'をかしめ継手工具5上に適切に配置できるので、かしめ継手工具5の反転が不要である。
言い換えると、上記「ジョイント部材3を支持しながら該ジョイント部材3に対し力を加えるクランプ部74」を備えた本実施例の第一治具71と、上記「管1を支持しながらナット4に対し力を加えるクランプ部78」を備えた本実施例の第二治具72は、第一係止鍔76と第二係止鍔80がともにジョイント部材3の支点部32,32'およびナット4,4'と適合するよう構成され、且つ第一支持溝75と第二支持溝79がともにジョイント部材3、ナット4,4'および管1,1'を支持し得るよう構成されている。このため、いずれも「ジョイント部材3を支持しながら該ジョイント部材3に対し力を加える」機能と、「管1,1'を支持しながらナット4,4'に対し力を加える」機能の両方を具えており、これにより反転不要の接続工程を実現しているのである。
尚、本実施例では、短管状の管体部の両端に2組の管接続部を反対向きに備えた直管ニップル形状のジョイント部材を例にとって説明したが、例えば、T字型やY字型をした管体部の各端部に3組の管接続部を備えた形状のジョイント部材に対しても、かしめ継手工具5の向きを気にせず使用することができる。
また、上記したように、本実施例の第一治具71は、第一係止鍔76が第一支持溝75の一端側に備えられている。このため、第一治具71を軸線方向に180°反転させてかしめ継手工具5の第一台座52に接続すると(図2参照、二点鎖線で図示)、第一治具71の第一係止鍔76と第二治具72の第二係止鍔80を近接させることができ、軸線方向の寸法が小さいジョイント部材3やナット4,4'であっても適切に使用することができる。
同様に、第二治具72も、第二係止鍔80が第二支持溝79の一端側に備えられている。このため、第二治具72を軸線方向に180°反転させてかしめ継手工具5の第二台座53に接続すると(図2参照、二点鎖線で図示)、第一治具71の第一係止鍔76と第二治具72の第二係止鍔80を離間させることができ、軸線方向の寸法が大きいジョイント部材3やナット4,4'であっても適切に使用することができる。
尚、本実施例においては、第一治具71、第二治具72の両方がかしめ継手工具5に対して反転可能に構成され、且つ第一係止鍔76、第二係止鍔80の両方が、第一支持溝75、第二支持溝79のそれぞれ一端側に備えられているが、第一治具71または第二治具72のいずれか一方がかしめ継手工具5に対して反転可能に構成され、且つ第一係止鍔76または第二係止鍔80のいずれか一方が第一支持溝75または第二支持溝79の一端側に備えられていれば、軸線方向の寸法が異なる複数の種類のジョイント部材3やナット4,4'に対応し得る。
このように、上記本実施例によれば、ジョイント部材3の支点部32,32'を支持して軸線方向に圧力を加える第一係止鍔76を備えた第一治具71と、ナット4,4'を支持して軸線方向に圧力を加える第二係止鍔80を備えた第二治具72とを備え、第一係止鍔76の内径と、第二係止鍔80の内径は、共にジョイント部材3の支点部32,32'の外径未満の大きさ且つナット4,4'の外径未満の大きさであることにより、第一治具71は前記ナット4,4'を支持して軸線方向に圧力を加え得るよう構成され、第二治具は支点部32,32'を支持して軸線方向に圧力を加え得るよう構成されているので、第一治具71の第一係止鍔76と、第二治具72の第二係止鍔80の両方が、ジョイント部材3の支点部32,32'、およびナット4,4'のいずれにも適合し、管1とかしめ継手の接続作業と、その後の別の管1'とかしめ継手の接続作業とで、かしめ継手工具5を反転させる必要がない。
また、上記本実施例において、第一係止鍔76は、第一治具71のクランプ部74に備えた第一支持溝75の内周に張り出すように形成され、第二係止鍔80は、第二治具72のクランプ部78に備えた第二支持溝79の内周に張り出すように形成され、第一支持溝75の内径と、第二支持溝79の内径は、共にジョイント部材3の支点部32,32'の外径以上の大きさ且つナット4,4'の外径以上の大きさであるので、第一治具の第一支持溝75、第二治具の第二支持溝79のいずれにも、ジョイント部材3やナット4,4'を載置することができ、ジョイント部材3に2つの管接続部34,34'が近接して備えられている場合であっても、かしめ継手工具5を反転させる必要がない。
また、上記本実施例において、第一係止鍔76または第二係止鍔80の少なくとも一方が、第一支持溝75または第二支持溝79の一端側に備えられ、第一治具71または第二治具72の少なくとも一方が、かしめ継手工具5に対して反転可能に備えられているので、軸線方向の寸法が異なる複数の種類のかしめ継手に対しても同一の治具(第一治具71、第二治具72)により作業を行うことができる。
したがって、上記本実施例によれば、接続工程ごとのかしめ継手工具の反転を不要にし、接続作業を好適かつ容易にし得る。
尚、本発明のかしめ継手工具の治具構造は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
3 ジョイント部材
4 ナット
4' ナット
5 かしめ継手工具
31 スリーブ
31' スリーブ
32 支点部
32' 支点部
71 第一治具
72 第二治具
74 クランプ部
75 第二支持溝
76 第一係止鍔
78 クランプ部
79 第二支持溝
80 第二係止鍔