JP6408827B2 - エアバッグを有する車両 - Google Patents
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Description
そこで、突出部位を有するエアバッグが安定して展開することができる車両が求められていた。
なお、図1(A)及び図1(B)は、図面左方がフロント側であり、図面右方がリヤ側である。また、図1(A)及び図1(B)に示す車両1は、進行方向に向かって左側に運転席及びステアリングホイールが設けられている。
更に、図2は、エアバッグが収容されるダッシュボードの一部を拡大した斜視図である。
また、図1(B)に示すように、車両1における助手席4には、乗員保護装置8が配設されている。なお、図1(A)及び図1(B)に示す乗員保護装置8は、第1エアバッグ9及び第2エアバッグ10が展開状態であり、ダッシュボード6内の展開過程については、図3(A)〜図3(C)を参照しつつ後述する。
なお、ダッシュボード6は、乗員室の前方の内装を形成する部材の一つであり、本発明における内装部材の一例である、
なお、第1エアバッグ9は本発明における第1エアバッグの一例であり、第2エアバッグ10は本発明における第2エアバッグの一例である。
本実施形態において、内装部材が開く形態としては、例えば第1エアバッグ及び第2エアバッグから受ける力によって破断して開く形態、及び、内装部材の配置箇所から押し退けられて開く形態等を挙げることができる。本実施形態においては、蓋部13の周囲が破断することによって蓋部13が開き、結果としてダッシュボード6の一部が開いたことになる。
図2に示す破線部分には蓋部13の裏面に破断し易いように溝部131が形成されている。乗員保護装置8の展開時に蓋部13が破線で示す溝部131に沿って破断することになる。
特に図1(A)に示すように、運転席3の前側から車両前後方向に対して斜め方向への衝突、つまり白抜き矢印で示す方向からの衝突が生じた場合、助手席4側の乗員Mは、ダッシュボード6の中央部及びセンターコンソール62に向かって倒れ込もうとする。この場合、第1エアバッグ9及び第2エアバッグ10を有する乗員保護装置8は、乗員Mが特に硬質部材が多く使用されるセンターコンソール62に直接当接することを防止可能である。
このように、従来用いられていたエアバッグの一部から特定の方向に突出する部位を有する乗員保護装置8は、フルラップ衝突及びオフセット衝突等だけでなく、斜めからの衝突にも乗員Mを保護することができる。
なお、仕切部材15は、本発明における展開規制部材の一例であると共に、閉鎖部材の一例でもある。
該展開軌道に関する不具合として、具体的には例えば蓋部13は従来通り破断して開くが、蓋部13において力が大きく作用していた部位が優先的に開くので、第1エアバッグ9及び第2エアバッグ10の部位毎に比較すると、乗員室内での展開完了までに従来では生じ得なかった時間差が生じる不具合が考えられる。
仮に、乗員保護装置8が図4(A)に示す展開軌道を描くと、乗員Mが前方に倒れ込むときには展開が遅れて完了していない可能性がある。更に、展開途中で乗員Mが前方に倒れ込んで第1エアバッグ9に当接したとすると、遅れて展開している第1エアバッグ9の右側部分によって、乗員Mが右側に流されつつ倒れ込むことも考えられる。これでは、本来意図していた正常な乗員Mの保護が実現することができない。
よって、蓋部13の開きが不均一になると、最終的には意図した形状に展開可能であるとしても、遅れて展開している途中において乗員Mが倒れ込んでくる場合は、正常な乗員Mの保護が達成されないことがある。
つまり、第1エアバッグ9及び第2エアバッグ10が完全に展開しないので、図1に白抜き矢印で示すような斜め前方からの衝突だけでなく、フルラップ衝突等の従来から想定されることの多い衝突形態に対しても、乗員Mの保護性能を十分に発揮することができない可能性がある。
続いて図3(B)に示すように、ガスが第1エアバッグ9内に圧入され始めることにより、第1エアバッグ9が膨張し始める。このとき、仕切部材15はまだ破断していないので、第2エアバッグ10にはガスが流入しない。よって、ガスの圧入開始から仕切部材15の破断前までは、第1エアバッグ9のみが膨張するので、第1エアバッグ9が蓋部13の裏面に近付く。
更に、図3(C)に示すように、第1エアバッグ9が適宜の内圧となるまで圧力上昇した場合に、仕切部材15が第1エアバッグ9の内圧と第2エアバッグ10の内圧との圧力差によって破断する。仕切部材15の破断後から第2エアバッグ10の完全な展開までは、第1エアバッグ9だけでなく第2エアバッグ10も膨張するので、第1エアバッグ9と第2エアバッグ10とが蓋部13の裏面に近付く。
換言すると、図3(A)〜(C)に示す実施形態において、仕切部材15を配設することにより、蓋部13が受ける破断して開くための力が、蓋部13のどの部位においても均一に作用するようになる。
仕切部材15としては、所定の圧力で破断することによって本実施形態の目的を達成することができる限り、その形状、材料、及び取付位置等は特に制限はされず、例えば合成樹脂製又は繊維製の膜体、及び、所定の圧力で開状態となる弁体等を採用することができる。
なお、本実施形態において展開規制部材としては、仕切部材15に代えて、例えば長尺状部材又は押さえ部材であっても良い。
しかしながら、長尺状部材においては所定の引張応力、押さえ部材においては所定の圧力を超えない限り、長尺状部材又は押さえ部材による第2エアバッグ10の展開の規制状態は解除されない。よって、長尺状部材又は押さえ部材のように第2エアバッグ10の内部領域にガスが侵入を許容する部材であっても、展開規制部材が破断しない限り、第2エアバッグ10が大きく膨張することはない。換言すると、第2エアバッグ10が展開することはない。
第1エアバッグ9及び第2エアバッグ10が蓋部13をそれぞれ開く時機を揃えるには、例えば図3(A)に示した仕切部材15等の展開規制部材が好適である。
具体的には、仕切部材15を設けないこととすると、例えば第2エアバッグ10が先行して展開してしまい、蓋部13の裏面に第2エアバッグ10のみが当接する可能性がある。これに対して、仕切部材15が、ガスの圧入が開始されてから、第1エアバッグ9がある程度の状態に展開するまで、第2エアバッグ10の展開を遅らせるように規制することによって、第1エアバッグ9が蓋部13の裏面に当接する時機と、第2エアバッグ10が蓋部13の裏面に当接する時機との時間差を減らすことができるからである。
これにより、蓋部13は部位によって偏り無く、従来通り破断して開くことができる。よって、図3に示す実施形態においては、従来のように第1エアバッグ9のみを設けた場合と同様の蓋部13の破断形態を実現することができ、エアバッグの安定した展開が可能となる。
まず図3に示す実施形態において仕切部材15を設けないこととした場合に、第2エアバッグ10にガスが圧入され易いと想定すると、ガスの圧入時に先行当接部81は最も早い時機に蓋部13に当接する部位であり、後行当接部82は先行当接部81より遅れて蓋部13に当接する部位となると考えられる。
なお、第1エアバッグ9及び第2エアバッグ10に対するガスの流入の難易は、折り畳み形態、ガスの圧入形態等によって変わることがあるので、上記想定状況が変わると先行当接部及び後行当接部が第1エアバッグ9及び第2エアバッグ10の様々な部位に変位し得る。
本実施形態を既存のエアバッグに適用する場合、蓋部13に向かって膨張する際の第1エアバッグ9と第2エアバッグ10との速度差は、第1エアバッグ及び第2エアバッグの形状及び容量、折り畳んだ状態での第1エアバッグ及び第2エアバッグの配置等に応じて変化する。よって、各袋体の性状に鑑みて、仕切部材15、長尺状部材、又は押さえ部材等の展開規制部材の破断に要する圧力又は引張応力等が決定されるのが良い。
これらの場合であっても、従来のように単に第1エアバッグ9のみを設けた場合と比べると、第2エアバッグ10を設けたことに起因して、膨張形態に変化が生じる。例えば、従来は第1エアバッグ9のみが膨張していたのに対して、第2エアバッグ10の膨張も同時に進むようになり、場合によっては第2エアバッグ10が先行して展開するようになるので、乗員保護装置8の展開方向及び展開姿勢等が第2エアバッグ10の展開方向等に偏ることが考えられる。
なお、第1エアバッグ9のみを設けた場合の膨張形態に比べて展開の偏りが特に大きく生じると考えられるのは、例えば折り畳まれた状態で第2エアバッグ10の少なくとも一部が第1エアバッグ9と蓋部13との間に配置され、更に蓋部13側から収容部11内を見たときに第2エアバッグ10が第1エアバッグ9の一部に重複するように配置されている場合である。この場合は、仕切部材15等の展開規制部材を設けない場合は、第1エアバッグ9と第2エアバッグ10とがそれぞれ独立して展開しようとするので、蓋部13に当接する時機に時間差が生じる可能性が大きい。
更に例えば、第2エアバッグ10が第1エアバッグ9により包まれた状態で折り畳まれる場合も考えられる。この場合、各エアバッグの展開の際に、蓋部13の裏面に対して第2エアバッグ10が直接当接することはない。よって、第2エアバッグ10の膨張分が付加されて大きく膨張する第1エアバッグ9の一部が先行当接部となり、第1エアバッグ9のみの膨張で内装部材に当接する部位が後行当接部となる。この場合であっても、上記仕切部材15等の展開規制部材を第1エアバッグ9の先行当接部近傍にガスが流入しないように取付ければ良い。これにより、第1エアバッグ9の先行当接部近傍の膨張を規制し、第2エアバッグ10に起因する第1エアバッグ9の先行展開を遅らせることができる。
Claims (7)
- 乗員室の内装を形成し、裏側から開くことのできる内装部材と、
内装部材の裏側に配置され、乗員室内に展開可能な第1エアバッグと、
第1エアバッグに設けられ、第1エアバッグから展開して突出可能な第2エアバッグと、
第1エアバッグ及び第2エアバッグのうちで、内装部材の裏面に向かって先行して展開しようとするエアバッグの展開を遅らせて第1エアバッグ及び第2エアバッグが共に内装部材の裏面に当接するように規制する展開規制部材と、を備える、
エアバッグを有する車両。 - 展開規制部材は第1エアバッグ及び第2エアバッグの一方の展開を規制し、内装部材が開く前に規制を解除し、
規制が解除された第1エアバッグ及び第2エアバッグが展開して内装部材を開く、
請求項1に記載のエアバッグを有する車両。 - 展開規制部材は、
第1エアバッグ及び第2エアバッグの内側において第1エアバッグと第2エアバッグとの接続部に配設され、所定の圧力により破断可能な閉鎖部材、
第2エアバッグの展開の際に第2エアバッグから離れる部材に一端が接続され、第2エアバッグに他端が接続され、第2エアバッグの展開の際に引張応力により破断可能な長尺状部材、又は、
第2エアバッグの外側において第2エアバッグを押さえ、所定の圧力により破断可能な押さえ部材である、
請求項2に記載のエアバッグを有する車両。 - 展開規制部材は、第2エアバッグの展開の際に第2エアバッグから離れる部材に取付けられる一端取付部と、第2エアバッグに取付けられる他端取付部とを有する長尺状部材であり、
一端取付部から他端取付部までの長さが、一端取付部から内装部材までの距離よりも短い、
請求項3に記載のエアバッグを有する車両。 - 車両幅方向において、第2エアバッグは第1エアバッグの一部に設けられ、
展開規制部材は、内装部材が第1エアバッグ及び第2エアバッグから受ける力において車両幅方向に沿った力のバラつきを均一化する、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のエアバッグを有する車両。 - 第1エアバッグ及び第2エアバッグの展開の際に、展開規制部材は、第1エアバッグのみが内装部材を開く時機と、第2エアバッグが内装部材を開く時機との時間差を減らす、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のエアバッグを有する車両。 - 第1エアバッグ及び第2エアバッグの展開の際に、内装部材は、第1エアバッグ及び第2エアバッグから受ける力によって破断して開く、又は、押し退けられて開く、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のエアバッグを有する車両。
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