JP6405543B2 - 積層体、伸縮性不織布及び積層体の製造方法 - Google Patents
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例えば、乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、ステッチボンド法、スチームジェット法等が知られている。
例えば、特定の物性値を持つ熱可塑性エラストマー成分とポリプロピレン樹脂を特定の比率で混合し、メルトブロー法により作られた伸縮性不織布が知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、後加工を行う場合、伸縮性不織布の繰り出し時に伸縮性不織布同士がくっ付いて剥がれ難くなるという問題がある。
また、基材層が不織布層から剥離可能となっているので、用途に応じて、伸縮性不織布を基材から剥がして用いることができる。このとき、基材層が所定の通気性を有するので、伸縮性不織布を、容易に剥がすことができる。
このとき、JIS−L1913に準じて測定した全体の通気性が5〜500cc/cm2・秒であると、積層体を巻き取った場合に、シワになりにくいという利点がある。
また、接着剤等を用いずに、不織布層が基材層に直接融着されているので、伸縮性不織布が不作為に剥がれることなく、一方で、作為的には剥がし易くなる。
なお、基材が熱可塑性樹脂からなるので、基材層を剥がした後、加熱することにより、基材層を再度不織布層に融着することも可能である。
ここで、剥離強度は、基材層及び不織布層の端部を剥離させて、基材層及び不織布層をそれぞれ別方向へ引張り、JIS−L1913に準じて測定される。
また、同様に、原料のタック性も抑えることができるので、取り扱い易くなる。なお、風合いの良さを維持する観点から、ホモポリプロピレン樹脂の含有割合は4.0質量%以下であることが好ましい。
また、プロピレン−エチレンランダム共重合体の冷却効果を高めるため、製造過程上で発生しやすい溶融樹脂塊(ショット)の発生を防止することができる。
図1に示すように、本実施形態に係る積層体Sは、基材層1と、該基材層1の表面に積層された不織布層2と、を備える。すなわち、積層体Sは、接着剤等を用いずに、不織布層2の全面が基材層1に直接融着された2層構造となっている。
積層体Sは、不織布層2が基材層1に直接融着されているので、伸縮性不織布が不作為に剥がれることなく、一方で、作為的には剥がし易くなる。
かかる伸縮性不織布は、後述するように、オレフィン系であるプロピレン−エチレンランダム共重合体を含むので、風合い及び伸縮性に優れるものとなる。
引張強度が10N/5cm未満であると、破れ易いので、取り扱い難くなる欠点があり、引張強度が2000N/5cmを超えると、必然的に厚みが増加して、重くなる欠点がある。
また、全体の通気性が5cc/cm2・秒未満であると、全体の通気性が上記範囲内にある場合と比較して、巻き取り時に空気が抜けづらく、シワの原因となったり、伸縮性が低下するという欠点があり、全体の通気性が500cc/cm2・秒を超えると、全体の通気性が上記範囲内にある場合と比較して、積層体の強度が低下し、巻き取り難くなる欠点がある。
また、剥離強度が0.1N/5cm未満であると、剥離強度が上記範囲内にある場合と比較して、不織布層2が剥がれ易いので、巻き取り等が困難となる傾向にあり、剥離強度が20N/5cmを超えると、剥離強度が上記範囲内にある場合と比較して、剥がす際に伸縮性不織布が伸びてしまい、残留ひずみが発生し易くなる。
当該基材の形態としては、特に限定されず、不織布、紙、織物、編物等の通気性のあるものが挙げられる。これらの中でも、通気性、強度及び後工程での取り扱い易さの観点から、不織布、特にスパンボンド製不織布であることが好ましい。
また、基材が熱可塑性樹脂からなるので、基材層1を剥がした後、加熱することにより、基材層1を再度不織布層2に融着することも可能である。
また、基材層1の厚みが0.05mm未満であると、基材層1の厚みが上記範囲内にある場合と比較して、不織布層2を基材層1から剥がし難くなる欠点があり、基材層1の厚みが5.0mmを超えると、基材層1の厚みが上記範囲内にある場合と比較して、重量が大きくなるので、取り扱い難くなる欠点がある。
基材層1の表面粗さが0.01未満であると、基材層1の表面粗さが上記範囲内にある場合と比較して、不織布層2が基材層1に十分に融着されない場合があり、基材層1の表面粗さが200を超えると、基材層1の表面粗さが上記範囲内にある場合と比較して、基材層1の凹凸に不織布層2が入り込んで、剥がれ難くなる欠点がある。
基材層1の通気性が10cc/cm2・秒未満であると、不織布層2と基材層1とが融着され難く剥がれ易くなるという欠点があり、基材層1の通気性が1000cc/cm2・秒を超えると、強度が不十分となり、伸縮性不織布の融着の際には、プロピレン−エチレンランダム共重合体を含む原料が基材層1を通過して、ネットコンベア等に付着する恐れがある。
基材層1の破断伸度が10%未満であると、破れ易いという欠点があり、基材層1の破断伸度が200%を超えると、伸び過ぎて取り扱い難いという欠点がある。
当該伸縮性不織布は、オレフィン系熱可塑性樹脂のプロピレン−エチレンランダム共重合体からなる。
ここで、ランダム共重合体とは、モノマーの配列に秩序のない共重合をいう。すなわち、プロピレン−エチレンランダム共重合体は、プロピレンモノマーとエチレンモノマーとを、配列に秩序なく共重合したものである。
なお、伸縮性不織布には、これらの他にも、着色剤、可塑剤、滑剤、相溶化剤、強化剤、充填剤、難燃剤、発泡剤、紫外線吸収剤等の添加剤が含まれていてもよい。
このとき、上述したように、基材層1が所定の通気性を有するので、伸縮性不織布を、容易に剥がすことができる。
伸縮性不織布は、伸縮性を要する分野に幅広く用いることができる。例えば、手袋、フェイスマスク、オムツウェットギャザー、救急絆創膏用基布、経皮吸収薬基布、貼布用基材、創傷保護材等に好適である。
図2は、本実施形態に係る積層体の製造方法に用いられる不織布製造装置を示す概略側面図であり、図3は、本実施形態に係る積層体の製造方法に用いられる製造装置の一部を示す概略斜視図である。
図2又は図3に示すように、本実施形態に係る積層体Sの製造方法は、不織布製造装置100を用いて行われる。
本実施形態に係る積層体Sの製造方法は、上述した不織布製造装置100を用いる、いわゆる紡糸直結型の不織布の製造方法である。
原料には、プロピレン−エチレンランダム共重合体が主成分として含まれており、必要に応じて、上述した配合割合でホモポリプロピレン樹脂が更に含まれている。
MI値が2g/10minを以下であると流動性が悪くなり、細い繊維を形成しにくくなる。また、100g/10minを超えると、ショット(樹脂塊)が発生しやすくなったり、充分な伸縮性が発元しにくくなる欠点がある。
このように、積層体Sの製造方法においては、ネットコンベア15の上面に、敢えて、平板状の基材を敷設し、当該基材上で原料の溶融紡糸が行われる。このため、プロピレン−エチレンランダム共重合体を含む、高タック性の原料がネットコンベア15に直接付着することを防止できる。その結果、原料がネットコンベア15に付着して剥がれ難くなる問題を解決できるので、安定した生産が連続して可能となる。
さらに、基材は、取り扱い性の観点から、上述したように、目付が10〜100g/m2であることが好ましく、厚みが0.05〜5.0mmであることが好ましく、破断伸度が10〜200%であることが好ましい。
糸条群Pを形成するフィラメントの太さが1μm未満であると、太さが上記範囲内にある場合と比較して、強度が不十分となる傾向にあり、糸条群Pを形成するフィラメントの太さが50μmを超えると、太さが上記範囲内にある場合と比較して、伸縮性が不十分であったり、風合いが悪化する傾向にある。
なお、フィラメントの太さは、SEM写真でランダムに選択したフィラメント100本の太さの平均値とした。
吸引装置18は、ネットコンベア15の下側から矢印の方向に負圧で吸引している。すなわち、吸引装置18は、ネットコンベア15を介して、基材の裏側から、基材の表側の糸条群Pを下方に吸引していることになる。これにより、プロピレン−エチレンランダム共重合体の延伸が助長され、細い繊維径の伸縮性不織布を製造することが可能となり、伸縮性不織布の風合いが向上する。なお、吸引の度合いを調整することにより、基材と伸縮性不織布との融着度合いの調整することができる。
また、プロピレン−エチレンランダム共重合体の冷却効果を高めるため、製造過程上で発生しやすい溶融樹脂塊(ショット)の発生を防止することができる。
そして、基材からなる基材層1上に伸縮性不織布からなる不織布層2が融着された積層体Sが得られる。
また、積層体Sをワインダー17に巻きつけることで、搬送が容易であり、直ぐに後加工を行うことも可能となる。
なお、かかる後加工としては、例えば、染色やラミネート等が挙げられる。
原料としてプロピレン−エチレンランダム共重合体97質量%(MFR:20g/10min)とホモポリプロピレン樹脂3質量%(MFR:24g/10min)との混合物を用い、基材(基材層1)としてポリエチレンテレフタレートからなる目付40g/m2のスパンボンド不織布を用いて、図2及び図3に示す不織布製造装置100により、積層体を得た。
基材としてポリエチレンテレフタレートからなる湿式不織布(目付25g/m2、つぶし加工あり)を用いたこと以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
基材としてポリエチレンテレフタレートからなる目付10g/m2のスパンボンド不織布を用いたこと以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
実施例1〜3で得られた積層体に対し、以下の評価を行った。
1.風合い試験
風合い試験は、得られた積層体から伸縮性不織布を剥離させ、該伸縮性不織布の初期弾性率を測定することにより評価した。すなわち、伸縮性不織布を破断するまで引っ張った際の50%伸長時の強度を測定した。なお、値が小さい程、柔らかいことを意味する。
2.伸縮性試験
伸縮性試験は、得られた積層体から伸縮性不織布を剥離させ、該伸縮性不織布の100%伸長後の残留ひずみを測定することにより評価した。すなわち、伸縮性不織布を100%まで引っ張ったのち、0%まで戻し、再度引っ張った時の応力がかかり始める伸長率を測定した。
3.工程通過性試験
工程通過性試験は、製造した積層体に対し、シワ、外観不良のものを除外した歩留り率により評価した。
4.剥離試験
剥離試験は、積層体を500m製造し、その中に生じた皺の数を測定することにより評価した。
5.印刷試験
積層体の伸縮性不織布側の面に対し、赤色顔料を用いてグラビア印刷を行った。そして、付与された赤色顔料の均一性を目視にて評価した。なお、評価は、均一なものを「◎」、一部に印刷抜けが確認できるものを「△」、印刷抜けが多いものを「×」とした。
また、積層体は、工程通過性に優れるので、該伸縮性不織布に後加工を付与することができる。
2・・・不織布層
11・・・押出器
11a・・・口金
15・・・ネットコンベア
17・・・ワインダー
18・・・吸引装置
100・・・不織布製造装置
P・・・糸条群
S・・・積層体
Claims (8)
- 通気性のある平板状の基材からなる基材層と、
該基材層の表面に直接融着された伸縮性不織布からなる不織布層と、
を備え、
前記基材が非オレフィン系の熱可塑性樹脂からなる不織布又は紙であり、
前記伸縮性不織布がプロピレン−エチレンランダム共重合体を含み、
JIS−L1096に準じて測定した前記基材層の通気性が10〜1000cc/cm2・秒であり、
JIS−L1913に準じて測定した前記基材層の破断伸度が10〜200%であり、
JIS−L1913に準じて測定した前記不織布層の破断伸度が100〜600%であり、
JIS−L1913に準じて測定した全体の引張強度が10〜2000N/5cmであり、
JIS−B0601に準じて測定した前記基材層の前記不織布層側の表面における算術平均粗さ(Ra)が0.01〜200であり、
前記基材層が前記不織布層から剥離可能となっている積層体。 - JIS−L1913に準じて測定した全体の通気性が5〜500cc/cm2・秒であり、
前記基材層に対する前記不織布層の剥離強度が0.1〜20N/5cmであり、
前記基材層の厚みが0.05〜5.0mmである請求項1記載の積層体。 - 前記伸縮性不織布がホモポリプロピレン樹脂を更に含み、該ホモポリプロピレン樹脂の含有割合が4.0質量%以下である請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記非オレフィン系の熱可塑性樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、シリコーン、フッ素樹脂(PTFE)、アラミド、ポリカーボネート又はポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)である請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記非オレフィン系の熱可塑性樹脂が、ポリエチレンテレフタレートである請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体の前記基材層から剥がした伸縮性不織布。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体の製造方法であって、
ネットコンベアの上面に平板状の前記基材を敷設し、
該基材上でプロピレン−エチレンランダム共重合体を含む原料の溶融紡糸を行う積層体の製造方法。 - 前記ネットコンベアの下側から吸引しながら、前記溶融紡糸を行う請求項7記載の積層体の製造方法。
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