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JP6496373B2 - 飲料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、飲料組成物に関する。
非重合体カテキン類は、Camellia属の茶葉に含まれるポリフェノール化合物の1種であり、様々な生理活性を有することから、飲食品への応用が注目されている。中でも、生活習慣として手軽に摂取できることから、非重合体カテキン類を高濃度で含有させた飲料が多数上市されている。
一方、アストラガリンは、柿の葉や桑の葉に含まれるポリフェノール化合物の1種であり、抗アレルギー作用を有することが報告されている。このようなアストラガリンの生理作用に着目し、飲食品への応用が検討されており、例えば、アストラガリンに、果糖、ガラクトース、乳糖及びブドウ糖からなる群から選ばれる糖の1種又は2種以上を配合することで、アストラガリンの吸収性が向上することが報告されている(特許文献1)。また、桑葉抽出エキス、玄米エキス及び緑茶エキスを混合したブレンド茶飲料も提案されているが(特許文献2)、非重合体カテキン類を強化した飲料ではない。
特開2002−291441号公報 特開2007−282632号公報
非重合体カテキン類の生理効果を期待して多量に飲料に含有させると、飲用時に強い苦味を伴うことがある。本発明の課題は、非重合体カテキン類を強化しながらも、苦味の抑制された飲料組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、非重合体カテキン類を高含有する飲料に、渋味物質として知られるアストラガリンを含有させ、非重合体カテキン類とアストラガリンとの質量比を特定範囲内に制御し、渋味の質に変化を与えることで、意外なことに、非重合体カテキン類を強化しながらも、苦味を抑制できることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B);
(A)非重合体カテキン類 0.05〜0.6質量%、及び
(B)アストラガリン
を含有し、
成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が2.3×10-3〜20×10-3である、飲料組成物を提供するものである。
本発明によれば、非重合体カテキン類を強化しながらも、苦味の抑制された飲料組成物を提供することができる。
本発明の飲料組成物は、成分(A)として非重合体カテキン類を含有する。ここで、本明細書において「(A)非重合体カテキン類」とは、カテキン、ガロカテキン、エピカテキン及びエピガロカテキン等の非ガレート体と、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のガレート体を併せての総称である。本発明においては、上記8種の非重合体カテキン類のうち少なくとも1種を含有すればよい。
成分(A)は、飲食品の分野において通常使用されているものであれば由来は特に限定されず、例えば、化学合成品でも、非重合体カテキン類を含有する植物から抽出したものでもよい。
本発明の飲料組成物中の成分(A)の含有量は0.05〜0.6質量%であるが、非重合体カテキン類の強化、生理効果の観点から、0.06質量%以上が好ましく、0.08質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、0.12質量%以上が殊更に好ましく、また苦味抑制の観点から、0.5質量%以下が好ましく、0.4質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下が更に好ましく、0.25質量%以下が殊更に好ましい。成分(A)の含有量の範囲としては、本発明の飲料組成物中に、好ましくは0.06〜0.5質量%であり、より好ましくは0.08〜0.4質量%であり、更に好ましくは0.1〜0.3質量%であり、殊更に好ましくは0.12〜0.25質量%である。なお、成分(A)の含有量は、上記8種の非重合体カテキン類の合計量に基づいて定義される。また、成分(A)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、液体クロマトグラフィーで分析することが可能である。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
本発明の飲料組成物は、成分(B)としてアストラガリンを含有する。ここで、本明細書において「アストラガリン」とは、ケンフェロールの3位にグルコースが結合した化合物である。成分(B)は、原料に由来するものでも、新たに加えられたものでもよい。また、成分(B)は、飲食品の分野において通常使用されているものであれば由来は特に限定されず、例えば、化学合成品でも、アストラガリンを含有する植物から抽出したものでもよい。
本発明の飲料組成物中の成分(B)の含有量は、苦味抑制の観点から、1質量ppm以上が好ましく、2質量ppm以上がより好ましく、3質量ppm以上が更に好ましく、5質量ppm以上がより更に好ましく、7質量ppm以上が殊更に好ましく、また風味の観点から、50質量ppm以下が好ましく、30質量ppm以下がより好ましく、25質量ppm以下が更に好ましく、22質量ppm以下がより更に好ましく、18質量ppm以下が殊更に好ましい。成分(B)の含有量の範囲としては、本発明の飲料組成物中に、好ましくは1〜50質量ppmであり、より好ましくは2〜30質量ppmであり、更に好ましくは3〜25質量ppmであり、より更に好ましくは5〜22質量ppmであり、殊更に好ましくは7〜18質量ppmである。なお、成分(B)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、液体クロマトグラフィーで分析することが可能である。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
本発明の飲料組成物は、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が2.3×10-3〜20×10-3であるが、苦味抑制の観点から、2.5×10-3以上が好ましく、3×10-3以上がより好ましく、3.5×10-3以上が更に好ましく、5×10-3以上が殊更に好ましく、また風味の観点から、18×10-3以下が好ましく、15×10-3以下がより好ましく、12×10-3以下が更に好ましく、10×10-3以下がより更に好ましく、9×10-3以下が殊更に好ましい。かかる質量比[(B)/(A)]の範囲としては、好ましくは2.5×10-3〜18×10-3であり、より好ましくは3×10-3〜15×10-3であり、更に好ましくは3.5×10-3〜12×10-3であり、より更に好ましくは5×10-3〜10×10-3であり、殊更に好ましくは5×10-3〜9×10-3である。
本発明の飲料組成物は、成分(C)としてバニリンを含有することができる。ここで、本明細書において「バニリン」とは、バニラの香りの主要成分であり、飲食品の分野においてフレーバーとして一般に使用されている。成分(C)は、原料に由来するものでも、新たに加えられたものでもよい。また、成分(C)は、飲食品の分野において通常使用されているものであれば由来は特に限定されず、例えば、化学合成品でも、バニラ豆より抽出したものでもよい。
本発明の飲料組成物中の成分(C)の含有量は、苦味抑制の観点から、10質量ppb以上が好ましく、20質量ppb以上がより好ましく、30質量ppb以上が更に好ましく、55質量ppb以上が殊更に好ましく、そして300質量ppb以下が好ましく、200質量ppb以下がより好ましく、150質量ppb以下が更に好ましい。かかる成分(C)の含有量の範囲としては、本発明の飲料組成物中に、好ましくは10〜300質量ppbであり、より好ましくは20〜200質量ppbであり、更に好ましくは20〜200質量ppbであり、より更に好ましくは30〜150質量ppbであり、殊更に好ましくは55〜150質量ppbである。なお、成分(C)の含有量は、通常知られている分析法のうち測定試料の状況に適した分析法、例えば、GC/MS法により測定することができる。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
本発明の飲料組成物は、所望により、甘味料、酸味料、炭酸ガス、香料、ビタミン、ミネラル、酸化防止剤、エステル、乳化剤、保存料、調味料、果汁エキス、野菜エキス、花蜜エキス、品質安定剤等の添加剤を1種又は2種以上を含有することができる。添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
本発明の飲料組成物のpH(20℃)は、風味バランスの観点から、3以上が好ましく、3.5以上がより好ましく、4以上が更に好ましく、5以上が殊更に好ましく、そして7以下が好ましく、6.8以下がより好ましく、6.6以下が更に好ましく、6.4以下が殊更に好ましい。かかるpHの範囲としては、好ましくは3〜7であり、より好ましくは3.5〜6.8であり、更に好ましくは4〜6.6であり、殊更に好ましくは5〜6.4である。なお、pHは、液状飲料100mLを300mLのビーカーに量り取り、20℃に温度調整をしてpHメータにより測定するものとする。
本発明の飲料組成物は、本発明の効果を享受しやすい点から、茶飲料組成物であることが好ましい。ここで、本明細書において「茶飲料組成物」とは、Camellia属の茶葉を原料茶葉として含むものをいう。Camellia属の茶葉としては、例えば、C.sinensis.var.sinensis(やぶきた種を含む)、C.sinensis.var.assamica及びそれらの雑種から選択される茶葉(Camellia sinensis)が挙げられ、その加工方法により、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶に分類することができる。Camellia属の茶葉は、1種又は2種以上を使用することができる。なお、茶葉の茶品種及び採取時期は特に限定されず、また茶葉は火入れ加工が施されていてもよい。
不発酵茶としては、例えば、煎茶、深蒸し煎茶、焙じ茶、番茶、玉露、かぶせ茶、碾茶、釜入り茶、茎茶、棒茶、芽茶等の緑茶が挙げられる。また、半発酵茶としては、例えば、鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の烏龍茶が挙げられる。更に、発酵茶としては、ダージリン、アッサム、スリランカ等の紅茶が挙げられる。
また、Camellia属の茶葉以外の原料茶葉として、穀物やCamellia属以外の茶葉を使用してもよい。穀物としては、例えば、大麦、小麦、ハト麦、ライ麦、燕麦、裸麦等の麦;玄米等の米;大豆、黒大豆、ソラマメ、インゲン豆、小豆、エビスクサ、ササゲ、ラッカセイ、エンドウ、リョクトウ等の豆;ソバ、トウモロコシ、白ゴマ、黒ゴマ、粟、稗、黍、キヌワ等の雑穀を挙げることができる。また、Camellia属以外の茶葉としては、例えば、イチョウの葉、柿の葉、ビワの葉、桑の葉、クコの葉、杜仲の葉、小松菜、ルイボス、クマザサ、ドクダミ、アマチャヅル、スイカズラ、ツキミソウ、カキドオシ、カワラケツメイ、ギムネマ・シルベスタ、黄杞茶(クルミ科)、甜茶(バラ科)、キダチアロエ等が挙げられる。更に、カモミール、ハイビスカス、ペパーミント、レモングラス、レモンピール、レモンバーム、ローズヒップ、ローズマリー等のハーブも用いることができる。Camellia属の茶葉以外の原料茶葉は、1種又は2種以上を使用することができる。ここで、本明細書でいう「原料茶葉」は、Camellia属の茶葉、Camellia属以外の茶葉に加え、穀物やハーブを包含するものとする。
なお、本明細書では、原料茶葉の総量に対して、「不発酵茶葉」を50質量%以上使用する茶飲料組成物を「緑茶飲料組成物」とし、「半発酵茶葉」を50質量%以上使用する茶飲料組成物を「紅茶飲料組成物」とし、「発酵茶葉」を50質量%以上使用する茶飲料組成物を「烏龍茶飲料組成物」とする。また、原料茶葉としてCamellia属の茶葉以外の茶原料を含み、「半発酵茶葉」、「紅茶飲料組成物」及び「発酵茶葉」の使用量がいずれも50質量%に満たない茶飲料組成物を、ブレンド茶飲料組成物とする。
中でも、本発明の効果を享受しやすい点から、原料茶葉がCamellia属の茶葉を含む茶飲料組成物が好ましく、不発酵茶葉を原料茶葉の総量に対して70質量%以上含む緑茶飲料組成物がより好ましく、不発酵茶葉を原料茶葉の総量に対して90質量%以上含む緑茶飲料組成物が更に好ましく、不発酵茶葉を原料茶葉の総量に対して99質量%以上含む緑茶飲料組成物がより更に好ましく、原料茶葉が不発酵茶葉である緑茶飲料組成物が殊更に好ましい。なお、抽出方法としては、例えば、ニーダー抽出、攪拌抽出(バッチ抽出)、向流抽出(ドリップ抽出)、カラム抽出等の公知の方法を採用することができる。また、抽出条件は特に限定されず、抽出方法により適宜選択することができる。
本発明の飲料組成物は、例えば、液状でも、固形状でもよく、適宜の形態を採り得る。
例えば、本発明の飲料組成物が液状である場合、飲料の形態は、ストレート飲料でも、濃縮還元飲料でもよい。中でも、利便性の観点から、ストレート飲料が好ましい。ここで、本明細書において「ストレート飲料」とは、希釈せずにそのまま飲用できるものをいう。
また、本発明の飲料組成物が固形状である場合、常温(20℃±15℃)において固体であればその形状は特に限定されず、粉末状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状等の種々の形状とすることができる。本発明の固形状飲料組成物中の固形分量は通常95質量%以上、好ましくは97質量%以上である。なお、かかる固形分量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。ここで、本明細書において「固形分量」とは、試料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分の質量をいう。
なお、本発明の飲料組成物が濃縮物又は固形物の形態である場合、前述の成分(B)及び(C)の各含有量、及びpHは、成分(A)の含有量及び質量比[(B)/(A)]が上記範囲内となるように水で希釈してストレート飲料としたときに、上記要件を満たせばよい。
また、本発明の飲料組成物がストレート飲料である場合、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の包装容器に充填して容器詰飲料として提供することができる。
更に、本発明の飲料組成物ストレート飲料又は濃縮飲料組成物である場合、加熱殺菌済でもよい。加熱殺菌方法としては、適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件に適合するものであれば特に限定されるものではない。例えば、レトルト殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)等を挙げることができる。また、飲料組成物の容器の種類に応じて加熱殺菌法を適宜選択することも可能であり、例えば、金属缶のように、飲料を容器に充填後、容器ごと加熱殺菌できる場合にあってはレトルト殺菌を採用することができる。また、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、飲料をあらかじめ上記と同等の殺菌条件で加熱殺菌し、無菌環境下で殺菌処理した容器に充填するアセプティック充填や、ホットパック充填等を採用することができる。
本発明の飲料組成物は適宜の方法で製造することができるが、例えば、成分(A)及び(B)、必要により他の成分を配合し、成分(A)の含有量とともに、質量比[(B)/(A)]を調整して製造するができる。
1.非重合体カテキン類の分析
試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラムL−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度40℃にてグラジエント法により分析した。非重合体カテキン類の標準品として、栗田工業製のものを使用し、検量線法で定量した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。なお、グラジエントの条件は、以下のとおりである。
濃度勾配条件
時間(分) A液濃度(体積%) B液濃度(体積%)
0 97% 3%
5 97% 3%
37 80% 20%
43 80% 20%
43.5 0% 100%
48.5 0% 100%
49 97% 3%
60 97% 3%
2.アストラガリンの分析
試料2gを採取し、メタノール20mLを加えて5分間超音波抽出した後、25mLに定容する。次いで、1mLを分取し、25mLに定容した後、高速液体クロマトグラフ−タンデム型質量分析計を用いて分析する。
分析条件は次のとおりである。
・カラム :InertSustain C18、φ2.1mm×150mm、粒径3μm
・移動相 :水、アセトニトリル及び酢酸の混液
・流量 :0.2mL/min
・カラム温度 :40℃
・イオン化法 :エレクトロスプレー(負イオン検出モード)
・設定イオン数:m/z 446.8→254.9
また、アストラガリンの標準品を用いて濃度既知の溶液を調製し、高速液体クロマトグラフ分析に供することにより検量線を作成し、アストラガリンを指標として、前記試料溶液中のアストラガリンの定量を行う。
3.バニリンの分析
試料10mLをGC用ヘッドスペースバイアル(20mL)に採取し、塩化ナトリウム4gを添加する。バイアルに攪拌子を入れて密栓し、スターラーで30分間撹拌しながら、SPMEファイバー(シグマアルドリッチ社製,50/30μm、DVB/CAR/PDMS)に含有成分を吸着させる。吸着後、SPMEファイバーを注入口で加熱脱着し、GC/MS測定を行う。分析機器は、Agilent 7890A/5975Cinert(アジレント・テクノロジー社製)を使用する。
分析条件は次のとおりである。
・カラム :TC―WAX(30m(長さ)、0.25mm(内径)、0.25μmm(膜厚))
・カラム温度 :40℃ (3min)→ 20℃ /min→ 250℃
・カラム圧力 :定流量モード(31kPa)
・カラム流量 :lmL/min(He)
・注入口温度 :260℃
・注入方式 :スプリットレス
・検出器 :MS
・イオン源温度:230℃
・イオン化方法:EI(70eV)
・スキャン範囲:SCAN
・ゲイン :1729V
購入試薬をエタノールで溶解させて、段階希釈し、標品を調製した。所定濃度の標品を試料に添加し、試料単体と同様にSPMEファイバーに吸着させ、GC/MS測定を行う。なお、定量にはm/z151のイオンのピーク面積を用いる。
4.pH測定
検体100mLを300mLのビーカーに量り取り、pHメータ(HORIBA コンパクトpHメータ、堀場製作所製)を用いて、20℃に温度調整をして測定した。
5.官能評価
各容器詰飲料の「苦味」について専門パネル4名が官能試験を行った。官能試験では、各容器詰飲料について下記の評価基準にて評価し、その後専門パネルの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数第2位を四捨五入するものとする。
苦味の評価基準
苦味は、飲用したときの苦味の強さを評価した。
1:苦味が非常に強いか、又は非常に弱い
2:苦味が強いか、又は弱い
3:苦味がやや強いか、又はやや弱い
4:概ね良好な苦味が感じられる
5:程良い苦味が感じられる
製造例1
緑茶抽出物の製造
2番煎茶葉(宮崎県産(2016年度産))10gを90℃の熱水430gに投入し、1分間抽出を行った。その後、液温5℃まで冷却し、緑茶抽出物とした。得られた緑茶抽出物は、非重合体カテキン類の含有量が0.139質量%であった。
実施例1
カテキン試薬と、アストラガリン試薬と、イオン交換水とを配合し、次いで重曹でpHが5.8となるように調整し、次いでイオン交換水にて全量を100質量%に調整して飲料組成物を調製した。次いで、得られた飲料組成物を容量200mLのPETボトルに充填し加熱殺菌した(ポストミックス方式)。殺菌条件は、65℃、20分で行った。得られた容器詰飲料について分析及び官能評価を行った。なお、官能評価は、実施例6の容器詰飲料の「苦味」の評点を「5」とし、比較例1の容器詰飲料の「苦味」の評点を「1」として、上記評価基準にしたがって行った。その結果を表1に示す。
実施例2〜4及び比較例2
アストラガリン試薬の配合量を変化させたこと以外は、実施例1と同様の操作により飲料組成物を調製し、加熱殺菌を行って容器詰飲料を得た。得られた各容器詰飲料について実施例1と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例5、6
バニリン試薬を更に配合したこと以外は、実施例2と同様の操作により飲料組成物を調製し、加熱殺菌を行って容器詰飲料を得た。得られた各容器詰飲料について実施例1と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
比較例1
アストラガリン試薬を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作により飲料組成物を調製し、加熱殺菌を行って容器詰飲料を得た。得られた容器詰飲料について実施例1と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例7
カテキン試薬の配合量を変化させたこと以外は、実施例2と同様の操作により飲料組成物を調製し、加熱殺菌を行って容器詰飲料を得た。得られた容器詰飲料について実施例1と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
比較例3
アストラガリン試薬を配合しなかったこと以外は、実施例7と同様の操作により飲料組成物を調製し、加熱殺菌を行って容器詰飲料を得た。得られた容器詰飲料について実施例1と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例8
カテキン試薬の配合量を変化させたこと以外は、実施例2と同様の操作により飲料組成物を調製し、加熱殺菌を行って容器詰飲料を得た。得られた容器詰飲料について実施例1と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
比較例4
アストラガリン試薬を配合しなかったこと以外は、実施例8と同様の操作により飲料組成物を調製し、加熱殺菌を行って容器詰飲料を得た。得られた容器詰飲料について実施例1と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0006496373
実施例9
カテキン試薬に加え、製造例1で得られた緑茶抽出物を配合したこと以外は、実施例1と同様の操作により緑茶飲料組成物を調製し、加熱殺菌を行って容器詰緑茶飲料を得た。得られた容器詰緑茶飲料について実施例1と同様に分析を行った。なお、官能評価は、参考例1の容器詰緑茶飲料の「苦味」の評点を「5」とし、比較例5の容器詰緑茶飲料の「苦味」の評点を「1」として、上記評価基準にしたがって行った。その結果を表2に示す。
実施例10、11
アストラガリン試薬の配合量を変化させたこと以外は、実施例9と同様の操作により緑茶飲料組成物を調製し、加熱殺菌を行って容器詰緑茶飲料を得た。得られた容器詰緑茶飲料について実施例9と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表2に示す。
参考例1
カテキン試薬及びアストラガリン試薬を配合しなかったこと以外は、実施例9と同様の操作により緑茶飲料組成物を調製し、加熱殺菌を行って容器詰緑茶飲料を得た。得られた容器詰緑茶飲料について実施例9と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表2に示す。
比較例5
アストラガリン試薬を配合しなかったこと以外は、実施例9と同様の操作により緑茶飲料組成物を調製し、加熱殺菌を行って容器詰緑茶飲料を得た。得られた容器詰緑茶飲料について実施例9と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0006496373
実施例12
カテキン試薬に加え、市販の紅茶飲料を配合したこと以外は、実施例1と同様の操作により紅茶飲料組成物を調製し、加熱殺菌を行って容器詰紅茶飲料を得た。得られた容器詰紅茶飲料について実施例1と同様に分析を行った。なお、官能評価は、比較例6の容器詰紅茶飲料の「苦味」の評点を「1」とし、参考例2の容器詰紅茶飲料の「苦味」の評点を「5」として、上記評価基準にしたがって行った。その結果を表3に示す。
参考例2
市販の紅茶飲料について、実施例12と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表3に示す。
比較例6
アストラガリン試薬を配合しなかったこと以外は、実施例12と同様の操作により紅茶飲料組成物を調製し、加熱殺菌を行って容器詰紅茶飲料を得た。得られた容器詰紅茶飲料について実施例12と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表3に示す。
実施例13
重曹に代えて、クエン酸を配合してpHが3.9となるように調整し、次いでイオン交換水にて全量を100質量%に調整したこと以外は、実施例12と同様の操作により紅茶飲料組成物を調製し、加熱殺菌を行って容器詰紅茶飲料を得た。得られた容器詰紅茶飲料について実施例12と同様に分析を行った。なお、官能評価は、比較例7の容器詰紅茶飲料の「苦味」の評点を「1」とし、参考例3の容器詰紅茶飲料の「苦味」の評点を「5」として、上記評価基準にしたがって行った。その結果を表3に示す。
参考例3
市販の紅茶飲料に、クエン酸を配合してpHが3.9となるように調整した紅茶飲料について、実施例13と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表3に示す。
比較例7
アストラガリン試薬を配合しなかったこと以外は、実施例13と同様の操作により紅茶飲料組成物を調製し、加熱殺菌を行って容器詰紅茶飲料を得た。得られた容器詰紅茶飲料について実施例13と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表3に示す。
実施例14
カテキン試薬に加え、市販のブレンド茶飲料を配合したこと以外は、実施例1と同様の操作によりブレンド茶飲料組成物を調製し、加熱殺菌を行って容器詰ブレンド茶飲料を得た。得られた容器詰ブレンド茶飲料について実施例1と同様に分析を行った。なお、官能評価は、比較例8の容器詰ブレンド茶飲料の「苦味」の評点を「1」とし、参考例4の容器詰ブレンド茶飲料の「苦味」の評点を「5」として、上記評価基準にしたがって行った。その結果を表3に示す。
参考例4
市販のブレンド茶飲料について、実施例14と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表3に示す。
比較例8
アストラガリン試薬を配合しなかったこと以外は、実施例14と同様の操作によりブレンド茶飲料を調製し、加熱殺菌を行って容器詰ブレンド茶飲料を得た。得られた容器詰ブレンド茶飲料について実施例14と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表3に示す。
Figure 0006496373
表1〜3から、非重合体カテキン類を高含有する飲料に、アストラガリンを含有させ、非重合体カテキン類とアストラガリンとの質量比を特定範囲内に制御することで、意外なことに、非重合体カテキン類を強化しながらも、苦味を抑制できることがわかる。

Claims (5)

  1. 次の成分(A)及び(B);
    (A)非重合体カテキン類 0.05〜0.6質量%、及び
    (B)アストラガリン
    を含有し、
    成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が2.3×10-3〜20×10-3である、飲料組成物。
  2. 成分(B)の含有量が1〜50質量ppmである、請求項1記載の飲料組成物。
  3. pHが3〜7である、請求項1又は2記載の飲料組成物。
  4. 茶飲料組成物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲料組成物。
  5. 緑茶飲料組成物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の飲料組成物。
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