JP6481362B2 - 歯車成型用金型装置 - Google Patents
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Description
このようにプレス成型された歯車の場合、歯出し成型を前工程とすると、前工程で形成された歯部に逆傾斜面を成型する後工程をする場合がある。後工程を行う場合、歯車成型の金型装置で成型された歯車形状のワークをパレットなどに積み込み、逆傾斜面を成型する型がセットされた後工程用の金型装置に作業者によって移動してセットし、後工程用の金型装置で逆傾斜面を成型している。歯車をプレス成型する歯車成型金型装置としては例えば特許文献1が挙げられる。
本発明は、作業工数の低減を図りつつも打痕発生を防止する歯車成型用金型装置を提供することを、その目的とする。
図1に示す本発明に係る歯車成型金型装置1は、図2に示す歯車40を成型するものである。図2を用いて歯車成型金型装置1で成型される歯車40の成型工程と歯車40の構成について説明する。歯車40は、図2(a)に示すように円柱状の鋼材を所定の長さに切断する材料切断工程と、図2(b)に示すように切断された円柱状の鋼材から環状に成型するブランク成型工程と、ブランク成型されたワーク4に、図2(c)に示すようにチャンファ部42と互い対向する平行な面43、43を有する歯部41を成型する歯出し成型工程と、歯出し成型工程を終えたワーク4Aの平行な面43、43に対し、図2(d)に示すようにチャンファ部42と反対側から逆傾斜面44を成型する逆傾斜成型工程を経て成型される。本実施形態において、歯車40は、車両のトランスミッションに用いられるクラッチ歯車である。
図1に示す歯車成型金型装置1は、固定側金型2と、固定側金型2に対向配置され、固定側金型2に対して往復動作可能な可動側金型3と、ワーク4を載せる歯出し成型部5と歯出し成型部5に対して進退可能な第一パンチ部6を有する前工程成型部となる第一成型部10と、第一成型部10と矢印Yで示す可動側金型3の往復動作方向と交差する矢印Xで示す交差方向にずらして配置された後工程成型部となる第二成型部30とを備えている。可動側金型3は、固定側金型2の上方に配置されている。
第一成型部10は、ワーク4をプレス成型して歯車成型工程を行って歯出し成型されたワーク4Aを成型し、第二成型部30は、ワーク4Aをプレス成型して逆傾斜成型工程を行い、歯車40を成型する。歯車成型金型装置1は、歯出し成型と逆傾斜成型という異なるプレス成型を一つの装置で行う鍛造プレス装置である。
第一成型部10を構成する、歯出し成型部5は固定側金型2に設けられ、第一パンチ部6は可動側金型3に設けられている。第一成型部10では、可動側金型3を図示しない駆動部によって往復動作して第一パンチ部6を歯出し成型部5に対して進退移動させることで、図2(c)に示すようにワーク4にチャンファ部42と互いに平行な面43、43を有する歯部41を形成する歯出し成型工程を行う。
第二成型部30は、第一成型部10に対して交差方向Xにずらして可動側金型3に設けられた第二パンチ部7と、第二パンチ部7を往復動作させることで、第一成型部10で歯出し成型されたワーク4Aの歯部41の面43、43に対してチャンファ部42と反対側から逆傾斜面44を成型する逆傾斜成型部8を有している。逆傾斜成型部8は、上型である可動側金型3に配置した第二パンチ部7に設けられている。
歯出し成型部5を備えたダイ24は、ダイ孔24aと同一軸線上に垂直に形成された中心穴部22aを備えた基部22に、ダイ孔24aと中心穴部22aとの中心位置を合わせて載せられている。中心穴部22aには、ダイピン25と押さえ部26とが往復移動方向Yに摺動自在に挿入されている。ダイピン25と押さえ部26の間には複数のピン29が介装されていて、ノックアウトスリーブ26を下方から支持している。ボルスタ21には、往復移動方向Yに移動可能なダイピン27が設けられている。ダイピン27は、油圧又はエア圧によって作動するシリンダによって中心穴部22aに対して進退可能に設けられていて、第一成型部10での成型を終えたワーク4Aをダイ24から排出する際に可動される。このダイピン27が上方に移動することによって、図1中、ダイピン25とノックアウトスリーブ26とが連動して上方に向かって移動し、ノックアウトスリーブ26よってワーク4Aがダイ24から押し出される。ホルダ23とダイ24の上部には歯車ガイド28が固定されている。歯車ガイド28は、図4(a)に示すように、環状及び1対のブロック形状であって、その内周面28aにワーク4Aに成形される歯部41よりも幾分大きく、ワーク4Aの位相を維持したまま通過可能とする歯部28bが形成されている。歯車ガイド28は、ダイ24に形成された刃部24bとその位相を合わせてホルダ23とダイ24の上部にノックピン28cとボルト28dで位置出しされて固定されている。
このような構成の第一成型部10では、可動側金型3が固定側金型2に向かって移動すると、第一パンチ部6のスリーブ60がダイ24に進入して、ダイ24上に載置されたワーク4をプレスすることで、チャンファ部42とチャンファ部42の間の軸方向(往復移動方向)に平行な面43,43を有する歯部41が成形されたワーク4Aが成型される。
基部22Aに形成された中心穴部22Aaには、ダイピン25Aが往復移動方向Yに摺動自在に挿入されている。ダイピン25Aとノックアウトスリーブ36の間には複数のピン29Aが介装されている。ボルスタ21上には往復移動方向Yに移動可能なダイピン27Aが設けられている。ダイピン27Aは、油圧又はエア圧、メカによって作動するシリンダによって中心穴部22Aaに対して進退可能に設けられていて、第二成型部30での成型を終えたワーク4Aをダイ34から排出する際に可動される。このダイピン27Aが上方に移動することによってダイピン25Aとノックアウトスリーブ36とが連動して図3中上方に向かって移動し、ノックアウトスリーブ36の上面36aによってワーク4Aが歯車ガイド32を通過して押し出される。
第二パンチ部7は、図3に示すように、固定側金型2のダイ34と対向するように可動側金型3に設けられている。第二パンチ部7は、可動側金型3の下面3aからダイ34に向かって突出している。第二パンチ部7は、可動側金型3に垂直に設けられ、下面3aから突出したパンチピン3Aの先端3B側に、ダイ34に進退可能な筒状のスリーブ71と、環状の逆傾斜成型部8とを有している。環状の逆傾斜成型部8は、可動側金型3に垂直に形成された収納空間73内に台座部9とともに往復動作方向Yに摺動可能に支持されている。
スリーブ71の一部には鍔部71aが形成されている。台座部9には、この鍔部71aに引っかかる内側フランジ部9aが形成されている。スリーブ71と逆傾斜成型部8とは、台座部9と往復移動方向Yにおいて重さなって配置されている。逆傾斜成型部8は、リング状の固定部材74の中央の孔74aから固定側金型2に向かって突出していて、固定部材74を可動側金型3にボルト77で固定することで、突出量が定められている。逆傾斜成型部8は、スリーブ71の外側に、スリーブ71と同一中心となるように設けられている。逆傾斜成型部8の内周面には、ワーク4Aの互いに対向する面43,43に逆傾斜面44,44を形成するための刃部8aが形成されている。
このような構成の第二成型部30では、可動側金型3が固定側金型2に向かって移動すると、第二パンチ部7のスリーブ71と逆傾斜成型部8がダイ34に進入し、スリーブ31上に載置されたワーク4Aをプレスすることで、ワーク4Aの面43,43に、それぞれに逆傾斜面44、44が成型された歯車40が成型される。
シリンダ87は、第一成型部10のプレス動作と連動して作動するように設けられている。搬送部80は、第一成型部10による歯出し成型が終わると、シリンダ87を作動してスライダ81を第一成型部10に向かって移動させ、歯車ガイド28上のワーク4Aの歯部41の間に爪部83,84を進入させて保持するようにホルタ85,86を移動する。搬送部80は、ワーク4Aが爪部83,84で保持されると、スライダ81を図5に破線で示す第二成型部30へ向かって移動し、第二成型部30の歯車ガイド32上にワーク4Aを移動する。
図3は、第一成型部10から搬送されたワーク4Aがスリーブ31にセットされた状態を示とともに、第二成型部30のプレス前の初期状態を示している。この状態において第二パンチ部7は、プレス前の初期位置にある。可動側金型3が図中下降移動すると、第二パンチ部7もダイ34に向かって下降し、図7(a)に示すように、第二パンチ部7の逆傾斜成型部8が歯車ガイド32の上面32aと接触する。可動側金型3の下降とともに第二パンチ部7がさらに下降すると、コイルばね35の付勢力に抗して歯車ガイド32が図中下方へと押し込まれる。そして、歯車ガイド32の上面32aと逆傾斜成型部8が接した状態でさらに下降すると、図7(b)に示すように、第二パンチ部7のスリーブ71がダイ34側、マンドレル26Aの上面に接触し、第二パンチ部7のスリーブ71とスリーブ31との間でワーク4Aの保持が開始される。
第二パンチ部7側には図示しない成型量計測部が設けられていて、この成型量計測部が所定のプレス成型量を検出すると、可動側金型3が図中上方に移動し、図8(b)に示すように、パンチ側スリーブ71でワーク4Aを押さえながら第二パンチ部7が上昇し、再度、ワーク4Aが歯車ガイド32内に入る。第二のパンチ部7がさらに上昇すると、図9(a)に示すように歯車ガイド32とパンチ側の逆傾斜成型部8とスリーブ71が上昇し、図9(b)に示すように、歯車ガイド32とパンチ側の逆傾斜成型部8がダイ34(固定側金型2)から離間する。そして、可動側金型3が下降した分だけ上昇し終えて停止することで、第二成型部30によるプレス工程が終了する。
また、搬送部80は、第一程成型部10で成型されたワーク4Aの歯部41の形状に沿い、第一程成型部10でワーク4Aの位相を保持する爪部83a,84aを有するので、第一程成型部10で成型されたワーク4Aの位相を保持したまま、第二成型部30へと搬送することができ、第二成型部30でのワーク4Aのセットが容易になり、より作業工数を削減することができて生産効率の向上につながる。
逆傾斜形成部8を固定側金型2側に設けた場合、逆傾斜形成部8にワーク4Aをセットする際にワーク4Aを上下反転させることから、図10(a)に示すように、逆傾斜形成部8にワーク4Aが入る際に、第一成型部10による成型時に発生した縦バリ45が下方(固定側金型2側)に位置する。このため、逆傾斜形成部8の内部に引っ掛かり、ワーク4Aが傾いてしまうことがある。この場合、逆傾斜面の成型動作により傾斜して設置されたワーク4Aの傾斜は基に戻るが、縦バリ倒れが発生する可能性がある。
しかし、本実施形態では、第二成型部30にワーク4Aをセットする際に反転させる必要がないので、図10(b)に示すように、歯車ガイド32にワーク4Aが入る際に、第一成型部10による成型時に発生した縦バリ45が上方(可動側金型3側)に位置するため、逆傾斜形成部8の内部に引っかかることがない。このため、第二成型部30による逆傾斜成型動作時に、ワーク4Aの下部を支えた状態で逆傾斜形成部8内にワーク4Aが入っていくため、傾斜が発生することがなく、縦バリ倒れの発生を防止できる。
このように収納空間73内の上面74aと台座部9の上面9aの間にシム91を配置するように構成すると、シム91の往復動作方向Yへの厚さT分だけ、第二パンチ部7の位置を固定側金型2に対して下げることができる。すなわち、シム91の厚さTや積層する枚数を調整することで、可動側金型3の下面3aからの第二パンチ部7の先端となる逆傾斜形成部8の先端8bまでの突出量tを任意に増減調整することができる。このため、必要に応じて第二成型部30によるワーク4Aに対する成型量を最適に調整することができ、複数の異なる成型工程を一つの歯車成型金型装置1で実現することができる。
図11で説明したスライド調整部90は、台座部9を収納する収納空間73にシム91を設けることで、可動側金型3の下面3aからの第二パンチ部7の先端となる逆傾斜形成部8の先端8bまでの突出量tを任意に増減調整としたが、図12に示すスライド調整部190は、ネジ式として可動側金型3の下面3aからの第二パンチ部7の先端となる逆傾斜形成部8の先端8bまでの突出量tを任意に増減調整可能にしたものである。スライド調整部190は可動側金型3に設けられている。スライド調整部190は、往復動作方向Yに移動可能な可動体191を有し、この可動体191に台座部9、スリーブ71及び逆傾斜成型部8を設けている。この場合、逆傾斜成型部8は可動体191にボルト99によって固定している。
可動体191は、筒状であって、その外周面191aにネジ山192が形成されている。可動体191は可動側金型3に垂直に形成された円柱状の空間194内に配置されている。空間194の内周面194aには、ネジ溝193が形成されている。可動体191は、そのネジ山192を空間194のネジ溝193に螺合させることで、可動側金型3に対して往復移動方向(進退する方向)Yに往復移動可能に保持される。可動側金型3には、空間194内に達するネジ孔195が水平に形成されている。図12では一つのネジ孔195だけを示している。これらネジ孔195には、位置決め固定用のボルト196がそれぞれねじ込まれている。可動体191のネジ山192が形成された外周面191aよりも図中下方は、外周面191aよりも大径の拡径部191bが形成されている。ボルト196の全長は、ネジ孔195より長く、拡径部191bの外周面191cに形成された位置決め孔197内に、その先端が挿入可能な長さとされている。
このようなスライド調整部190を第二パンチ部7が備えていると、ボルト196を緩めて可動体191を作業者が手動で回転させることで、その回転方向によって往復移動方向Yに対する位置、すなわち、可動側金型3の下面3aから第二パンチ部7の先端となる逆傾斜形成部8の先端8bまでの往復移動方向Yへの突出量tを任意に増減調整することができる。このため、必要に応じて第二成型部30によるワーク4Aに対する成型量を最適に調整することができ、複数の異なる成型工程を一つの歯車成型金型装置1で実現することができる。
可動体291は、筒状であって、その外周面291aにネジ山192が形成されている。可動体291は可動側金型3に垂直に形成された円柱状の空間194内に配置されている。空間194の内周面194aには、ネジ溝193が形成されている。可動体291は、そのネジ山192を空間194のネジ溝193に螺合させることで、可動側金型3に対して往復移動方向(進退する方向)Yに往復移動可能に保持される。可動体291のネジ山192が形成された外周面291aよりも図中下方は、外周面291aよりも大径の拡径部292が形成されている。拡径部292の外周面292aは、円周方向に歯部が形成されて歯車293とされている。
スライド調整部290は、正転と逆転が可能な電動駆動源となる駆動モータ294を備えている。駆動モータ294の出力軸294aには、駆動歯車295が装着されていて、拡径部292の歯車293と噛み合っている。
このようなスライド調整部290を第二成型部30が備えていると、駆動モータ294を駆動すると、出力軸294aが回転し、駆動歯車295の回転が歯車293に伝達され、出力軸294aの回転方向によって可動体292の往復移動方向Yに対する位置、すなわち、可動側金型3の下面3aから第二パンチ部7の先端となる逆傾斜形成部8の先端8bまでの往復移動方向Yへの突出量tを任意に増減調整することができる。このため、必要に応じて第二成型部30によるワーク4Aに対する成型量を最適に調整することができ、複数の異なる成型工程を一つの歯車成型金型装置1で実現することができる。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
Claims (4)
- 固定側金型と、
前記固定側金型に対向配置され、同固定側金型に対して往復動作可能な可動側金型と、
前記固定側金型に設けられたワークを載せる歯出し成型部と、前記可動側金型に設けられ、前記歯出し成型部に対して進退可能な第一パンチ部とを有し、前記可動側金型を往復動作させることで前記第一パンチ部を前記歯出し成型部に対して進退させて前記ワークにチャンファ部を有する歯部を成型する歯出し成型を行う前工程成型部と、
前記前工程成型部と前記可動側金型の往復動作方向と交差する方向にずらして前記可動側金型に配置された第二パンチ部と、前記可動側金型を往復動作させることで、前記前工程成型部で歯出し成型されたワークの歯部に対して前記チャンファ部と反対側から逆傾斜面を成型する逆傾斜成型部を有する後工程成型部と、
前記前工程成型部で成型されたワークを前記後工程成型部へと搬送する搬送部と、を備え、
前記逆傾斜成型部は、前記第二パンチ部に設けられ、
前記後工程成型部は、前記可動側金型に形成されると共に前記可動側金型の固定側金型側における面から前記第二パンチ部の先端となる前記逆傾斜成型部の先端までの突出量を調整するスライド調整部を有することを特徴とする歯車成型金型装置。 - 請求項1に記載の歯車成型金型装置において、
前記可動側金型は、前記固定側金型の上方に配置されていることを特徴とする歯車成型金型装置。 - 請求項1または2に記載の歯車成型金型装置において、
前記搬送部は、前記前工程成型部で成型されたワークの歯部の形に沿い、前記前工程成型部で成型されたワークの位相を保持する爪部を有することを特徴とする歯車成型金型装置。 - 請求項1、2または3に記載の歯車成型金型装置において、
前記スライド調整部は、シム、ネジ式機構、電動式駆動モータのいずれかにより構成されることを特徴とする歯車成型金型装置。
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