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JP6463324B2 - 磁気テープ、磁気テープカートリッジおよび磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気テープ、磁気テープカートリッジおよび磁気記録再生装置 Download PDF

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JP6463324B2 JP2016241073A JP2016241073A JP6463324B2 JP 6463324 B2 JP6463324 B2 JP 6463324B2 JP 2016241073 A JP2016241073 A JP 2016241073A JP 2016241073 A JP2016241073 A JP 2016241073A JP 6463324 B2 JP6463324 B2 JP 6463324B2
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Description

本発明は、磁気テープ、磁気テープカートリッジおよび磁気信号再生装置に関する。
磁気記録媒体にはテープ状のものとディスク状のものがあり、データバックアップ等のストレージ用途には、テープ状の磁気記録媒体、即ち磁気テープが主に用いられている。
磁気テープへの信号の記録再生は、通常、磁気テープが収容された磁気テープカートリッジをドライブに装着し、磁気テープをドライブ内で走行させ磁気テープ表面(磁性層表面)と磁気ヘッドとを接触(摺動)させることにより行われる。以下において、磁気テープを単に「テープ」ともいい、磁気ヘッドを単に「ヘッド」ともいう。
上記記録再生では、磁性層表面とヘッドとが摺動しながら走行が繰り返されるため、磁性層表面の一部が削れること等により、異物が発生し、ヘッドに付着することがある。このようにヘッドに対して異物が付着した状態で磁気テープの走行を繰り返すと、磁気テープとヘッドとの間の距離が異物による影響を受け、出力が変動してしまうことがある(所謂スペーシングロス)。このようなスペーシングロスは、走行を繰り返すうちに電磁変換特性が低下する原因となる。この点に対する対策として、従来より、ヘッドに付着した異物を除去する機能を磁性層表面に持たせるために、磁性層に研磨剤を含有させることが行われてきた(例えば特許文献1、2参照)。以下において、磁性層表面におけるヘッドに付着した異物を除去する機能を、「磁性層表面の磨耗性」または単に「磨耗性」と記載する。
特開2014−179149号公報 特開2005−243162号公報
ところで、磁気テープについては、磁気テープカートリッジ1巻あたりの記録容量を高めるためには、磁気テープの総厚を薄くして(即ち、磁気テープを薄型化して)磁気テープカートリッジ1巻に収められるテープ全長を長くすることが望ましい。通常、非磁性支持体上に非磁性層と磁性層とをこの順に有する重層構成の磁気テープでは、非磁性層が各種層の中で厚みにおいて大きな割合を占めるため、磁気テープの薄型化の手段として、非磁性層を薄くすることは有効である。
一方、データストレージ用途に用いられる磁気テープは、温度湿度管理されたデータセンター等の低温低湿下(例えば温度10〜15℃、相対湿度10〜20%程度の環境下)で使用されることが多い。したがって、磁気テープは、低温低湿下で磨耗性を維持できることが望ましい。
以上を鑑み本発明者は、非磁性層を薄くした磁気テープを低温低湿下で走行させること検討した。その結果、従来行われてきたように磁性層に研磨剤を含有させる手法では、特に、非磁性層を厚み0.50μm以下に薄くした磁気テープでは、磁性層表面の磨耗性が、低温低湿下で走行を繰り返すうちに低下してしまうという、新たな課題が発生することが明らかとなった。
そこで本発明の目的は、非磁性層の厚みが0.50μm以下の磁気テープであって、低温低湿下で走行を繰り返しても磁性層表面の磨耗性を維持することが可能な磁気テープを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下の磁気テープ:
非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、非磁性層上に強磁性粉末、研磨剤および結合剤を含む磁性層を有する磁気テープであって、
非磁性層の厚みは0.50μm以下であり、
磁性層表面の素地部分において測定される摩擦係数が0.35以下であり、かつ
磁気テープ長手方向における下記式1により算出されるΔSFDが、0.50以上である磁気テープ;
ΔSFD=SFD25℃−SFD−190℃ …式1
(式1中、SFD25℃は、温度25℃の環境下で磁気テープ長手方向において測定される反転磁界分布SFD(Switching field distribution)であり、SFD−190℃は、温度−190℃の環境下で磁気テープ長手方向において測定される反転磁界分布SFDである。)
を見出すに至った。即ち、かかる磁気テープは、非磁性層の厚みが0.50μm以下であるにもかかわらず、低温低湿下で走行を繰り返しても磁性層表面の磨耗性を維持できることが明らかとなった。
本発明における素地部分とは、磁性層表面において、以下の方法により特定される部分をいうものとする。
原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)によって測定された、視野中の凸成分と凹成分の体積が等しくなる面を基準面として定め、その基準面から15nm以上の高さの突起を、突起と定義する。そして、かかる突起の数がゼロ個である部分、即ち磁性層表面において基準面から15nm以上の高さの突起が検出されない部分を、素地部分と特定する。
また、素地部分において測定される摩擦係数とは、以下の方法により測定される値とする。
素地部分において(測定箇所:磁気テープ長手方向10μm長)、半径1μmのダイヤモンド製球状圧子を荷重100μNおよび速度1μm/sec.で1回往復させて摩擦力(水平力)および垂直抗力を測定する。ここで測定される摩擦力および垂直抗力は、上記1回の往復中に摩擦力および垂直抗力を常時測定して得られる算術平均である。以上の測定は、例えばHysitron社TI−950型トライボインデンターにて行うことができる。そして、測定された摩擦力の算術平均および垂直抗力の算術平均から、摩擦係数μ値を算出する。なお摩擦係数は、摩擦力(水平力)F(単位:ニュートン(N))と垂直抗力N(単位:ニュートン(N))から、次式:F=μN、により求められる値である。上記の測定および摩擦係数μ値の算出を、磁性層表面で無作為に決定した素地部分の3箇所において行い得られた3つの測定値の算術平均を、素地部分において測定される摩擦係数とする。以下において、素地部分において測定される摩擦係数を、「素地摩擦」ともいう。
以下は本発明を何ら限定するものではないが、上記磁気テープについて、本発明者は次のように考えている。
(1)磁性層表面の磨耗性の低下は、低温低湿下で走行を繰り返すうちに、磁性層の表面側近傍に存在する研磨剤がヘッドとの接触により削れて摩滅してしまうことに起因していると考えられる。このような研磨剤の摩滅は、研磨剤とヘッドとが接触する際に、ヘッドから圧力を受けた研磨剤が磁性層側に適度に沈むこむことにより防ぐことができると考えられる。しかるに、厚みが0.50μm以下の非磁性層を有する磁気テープは、これより厚い非磁性層を有する磁気テープに比べて、磁性層表面近傍に存在する研磨剤が磁性層側に沈み込み難いと考えられる。推察に過ぎないが、磁性層の下層に位置する非磁性層によりもたらされる所謂クッション効果が、非磁性層が薄くなることにより低下するからではないかと、本発明者は考えている。
更に本発明者は、検討を重ねる中で、磁性層において、磁性層表面近傍に存在する研磨剤を強磁性粉末が下支えしていることが、磁性層の表面近傍に存在する研磨剤がヘッドとの接触によりヘッドから圧力を受けて沈み込むことを抑制しているのではないかと考えた。そして更に検討を重ねる中で、強磁性粉末による研磨剤の下支え効果は、磁性層において強磁性粉末を構成する強磁性粒子同士が相互作用し合いながら長手方向に整列して存在しているほど強くなるのではないかと考えるに至った。かかる知見に基づけば、磁性層において強磁性粉末が長手方向に適度にランダムな状態で存在していれば、強磁性粉末による研磨剤の下支え効果が緩和され、磁性層表面近傍に存在する研磨剤は、磁性層側へ沈み込み易くなると考えられる。
以上の知見に基づき本発明者は、非磁性層が厚み0.50μm以下に薄くなったことによって低下した非磁性層のクッション効果を、磁性層の強磁性粉末による下支え効果を緩和することにより補うことを考え鋭意検討を重ねた結果、磁気テープ長手方向における式1により算出されるΔSFDを0.50以上とすることを見出した。この点に関連し、本発明者は、上記ΔSFDは、磁性層における強磁性粉末の存在状態を示す指標となり得るものではないかと考えている。そして、上記ΔSFDが0.50以上である状態とは、磁性層において長手方向に適度にランダムな状態で強磁性粉末が存在している状態であって、そのような状態であることによって、強磁性粉末による研磨剤の下支え効果が緩和されると推察している。これにより、非磁性層が厚み0.50μm以下に薄くなったことによって低下した非磁性層のクッション効果の低下を補うことができ、低温低湿下で走行を繰り返すうちに磁性層表面近傍に存在する研磨剤がヘッドとの接触により削れて摩滅することを抑制できるのではないかと推察している。
(2)更に、素地摩擦については、本発明者は次のように考えている。非磁性層が厚み0.50μm以下に薄くなると、磁気テープの強度が低下し磁気テープが柔軟になる傾向があるためか、低温低湿下での繰り返し走行において磁気ヘッドと素地部分とが接触し易くなるのではないかと、本発明者は考えている。その結果、素地部分の摩擦係数が磁性層表面とヘッドとの摺動性に与える影響は大きくなり、素地部分の摩擦係数が大きくなるほど摺動性が低下する(円滑に摺動し難くなる)傾向があるのではないかと、本発明者は推察している。摺動性が低下するほど、ヘッドとの接触時に研磨剤に強い力が加わると考えられ、このことも研磨剤が削れて摩滅する一因と本発明者は考えている。これに対し、磁性層表面の素地部分において測定される摩擦係数を0.35以下とすることにより、上記摺動性を向上することができ、その結果、厚み0.50μm以下の非磁性層を有する磁気テープにおいて、低温低湿下で走行を繰り返すうちに、磁性層の表面側近傍に存在する研磨剤がヘッドとの接触により削れて摩滅することを抑制することができると、本発明者は推察している。
以上の通り、本発明者は、磁性層表面の素地部分において測定される摩擦係数が0.35以下であり、かつ磁気テープ長手方向における上記ΔSFDが、0.50以上であることが、厚み0.50μm以下の非磁性層を有する磁気テープを低温低湿下で繰り返し走行させるうちに磁性層表面近傍に存在する研磨剤がヘッドとの接触により削れて摩滅することを抑制することに寄与すると推察している。そして、その結果、低温低湿下で走行を繰り返しても磁性層表面の磨耗性を維持することが可能になると、本発明者は考えている。ただし以上は推察に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
なお本発明および本明細書において、粉末とは、複数の粒子の集合を意味する。例えば、強磁性粉末とは、複数の強磁性粒子の集合を意味する。また、複数の粒子の集合とは、集合を構成する粒子が直接接触している態様に限定されず、後述する結合剤や添加剤等が、粒子同士の間に介在している態様も包含される。粒子との語を、粉末を表すために用いることもある。
一態様では、研磨剤は、アルミナを含む。
一態様では、上記磁気テープの磁性層表面の素地部分において測定される摩擦係数は、0.10以上0.35以下である。
一態様では、上記ΔSFDは、0.50以上1.50以下である。
一態様では、磁性層と非磁性層との合計厚みは、0.60μm以下である。
一態様では、上記磁気テープは、非磁性支持体の非磁性層および磁性層を有する側とは反対側に、非磁性粉末および結合剤を含むバックコート層を有する。
一態様では、上記磁気テープの総厚は、6.00μm以下である。
一態様では、上記強磁性粉末は、強磁性六方晶フェライト粉末および強磁性金属粉末からなる群から選択される。
本発明の更なる態様は、上記磁気テープが収容された磁気テープカートリッジに関する。
一態様では、上記磁気テープカートリッジに収容されている磁気テープのテープ全長は、10m以上である。
本発明の更なる態様は、上記磁気テープカートリッジと、磁気ヘッドと、を含む磁気記録再生装置に関する。
本発明の一態様によれば、厚み0.50μm以下の非磁性層を有する磁気テープであって、低温低湿下で走行を繰り返しても磁性層表面の磨耗性を維持することが可能な磁気テープを提供することができる。
更に本発明の一態様によれば、かかる磁気テープが収容された磁気テープカートリッジ、およびこの磁気テープカートリッジを備えた磁気記録再生装置を提供することもできる。
[磁気テープ]
本発明の一態様は、非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、非磁性層上に強磁性粉末、研磨剤および結合剤を含む磁性層を有する磁気テープであって、非磁性層の厚みは0.50μm以下であり、磁性層表面の素地部分において測定される摩擦係数(素地摩擦)が0.35以下であり、かつ磁気テープ長手方向における下記式1により算出されるΔSFDが、0.50以上である磁気テープに関する。
ΔSFD=SFD25℃−SFD−190℃ …式1
式1中、SFD25℃は、温度25℃の環境下で磁気テープ長手方向において測定される反転磁界分布SFDであり、SFD−190℃は、温度−190℃の環境下で磁気テープ長手方向において測定される反転磁界分布SFDである。なお本発明および本明細書において、特記しない限り、測定温度の明記のない磁気特性は、温度25℃の環境下で測定される値をいうものとする。
以下、上記磁気テープについて、更に詳細に説明する。
<素地摩擦>
上記磁気テープの磁性層表面の素地部分において測定される摩擦係数(素地摩擦)は、0.35以下である。素地摩擦の測定方法は、先に記載した通りである。走行を繰り返した際の電磁変換特性の低下をより抑制する観点から、素地摩擦は0.33以下であることが好ましく、0.30以下であることがより好ましい。また、素地摩擦は、例えば0.10以上または0.20以上であるが、低温低湿下で走行を繰り返した際の磨耗性の低下を抑制する観点からは、低いほど好ましいため、下限値は特に限定されるものではない。
先に素地摩擦の測定方法に関して、基準面から15nm以上の高さの突起を、突起と定義した理由は、通常、磁性層表面に存在する突起と認識される突起が、主に基準面から15nm以上の高さの突起だからである。かかる突起は、例えば研磨剤等の非磁性粉末により磁性層表面に形成されている。これに対し、本発明者は、磁性層表面には、かかる突起により形成される凹凸よりも微視的な凹凸が存在すると考えている。そして、この微視的な凹凸の形状制御によって素地摩擦を調整することができると、本発明者は推察している。この推察に基づき、本発明者が、素地部分の凹凸の形状を制御すべく平均粒子サイズの異なる二種以上の強磁性粉末を用いて磁性層を形成したところ、素地摩擦を様々な値に制御することが可能であった。したがって、素地摩擦を調整するための手段の1つとしては、強磁性粉末として平均粒子サイズの異なる二種以上の強磁性粉末を用いることが挙げられる。より詳しくは、平均粒子サイズがより大きな強磁性粉末が凸部となることで素地部分に上記の微視的な凹凸を形成することができ、平均粒子サイズがより大きな強磁性粉末の混合比を高めることにより素地部分における凸部の存在率を高めることができる(または逆に混合比を下げることにより素地部分における凸部の存在率を低下させることができる)と、本発明者は考えている。詳細は更には後述する。
また他の手段として、本発明者は、素地部分の凹凸の形状を制御すべく、磁性層表面に基準面から15nm以上の高さの突起を形成可能な研磨剤等の非磁性粉末に加えて、強磁性粉末より平均粒子サイズの大きな他の非磁性粉末を用いて磁性層を形成したところ、素地摩擦を様々な値に制御することが可能であった。したがって、素地摩擦を調整するための手段の1つとしては、磁性層形成時に上記の他の非磁性粉末を用いることが挙げられる。より詳しくは、上記の他の非磁性粉末が凸部となることで素地部分に上記の微視的な凹凸を形成することができ、かかる非磁性粉末の混合比を高めることにより素地部分における凸部の存在率を高めることができる(または逆に混合比を下げることにより素地部分における凸部の存在率を低下させることができる)と、本発明者は考えている。詳細は更には後述する。
加えて、上記二種の手段を組み合わせることにより、素地摩擦を調整することも可能である。
ただし上記の調整手段は例示であって、素地摩擦を調整可能な任意の手段によって、0.35以下の素地摩擦を実現することができ、そのような態様も本発明に包含される。
<式1により算出されるΔSFD>
ΔSFDは、磁気テープ長手方向において測定される反転磁界分布SFDの温度依存性を示す値であり、値が小さいほど温度によるSFDの変化が小さく、値が大きいほど温度によるSFDの変化が大きいことを意味する。そして本発明者は、SFD25℃とSFD−190℃との差を示す式1により算出されるΔSFDが0.50以上であることが、低温低湿下での繰り返し走行による磨耗性の低下を抑制することに寄与すると考えている。この点に関する本発明者による推察は、先に記載した通りである。低温低湿下での繰り返し走行による磨耗性の低下をより一層抑制する観点からは、上記ΔSFDは0.55以上であることが好ましく、0.60以上であることがより好ましく、0.70以上であることが更に好ましく、0.80以上であることが一層好ましく、0.90以上であることがより一層好ましく、1.00以上であることが更に一層好ましく、1.10以上、1.20以上、1.30以上、1.40以上の順に更により一層好ましい。一方、式1により算出されるΔSFDは、上記の通り値が小さいほど温度によるSFDの変化が小さいことを意味する。温度によるSFDの変化が小さいことは、磁気テープに記録された信号を安定に保持する(記録保持性)の観点から好ましい。この点から、式1により算出されるΔSFDは、1.60以下であることが好ましく、1.50以下であることがより好ましい。
磁気テープの長手方向SFDは、振動試料型磁束計等の公知の磁気特性測定装置により求めることができる。強磁性粉末のSFDの測定についても同様である。また、SFD測定時の温度は、測定装置の設定により調整することができる。
本発明者による検討によれば、式1により算出されるΔSFDは、磁気テープの調製方法により制御することができ、主に、以下の傾向が見られた:
(A)磁性層における強磁性粉末の分散性を高めるほど値が小さくなる;
(B)強磁性粉末としてSFDの温度依存性の小さいものを使用するほど値が小さくなる;
(C)強磁性粉末を磁性層の長手方向に整列させるほど(長手方向における配向性を高めるほど)値が小さくなり、長手方向における配向性が低下するほど値が大きくなる。
例えば、(A)に関しては、分散条件の強化(分散時間の長時間化、分散に用いる分散ビーズの小径化、高充填化等)、分散剤の使用等が挙げられる。分散剤としては、公知の分散剤、市販の分散剤等を何ら制限なく用いることができる。
一方、(B)に関しては、例えば一例として、強磁性粉末の、下記式2により算出される、温度100℃の環境下で測定されるSFDと温度25℃の環境下で測定されるSFDとの差ΔSFDpowderが、0.05〜1.50の範囲の強磁性粉末を用いることができる。ただし、上記範囲外であっても、他の制御により、磁気テープの式1により算出されるΔSFDを0.50以上の範囲に制御することができる。
ΔSFDpowder=SFDpowder100℃−SFDpowder25℃ …式2
(式2中、SFDpowder100℃は、温度100℃の環境下で測定される強磁性粉末の反転磁界分布SFDであり、SFDpowder25℃は、温度25℃の環境下で測定される強磁性粉末の反転磁界分布SFDである。)
上記(C)に関しては、磁性層の配向処理を垂直配向とする方法、または配向処理を行わず無配向とする方法を採用することができる。
したがって、例えば、上記手段(A)〜(C)を1つ、または任意に2つ以上組み合わせてそれぞれ制御することにより、式1により算出されるΔSFDが0.50以上の磁気テープを得ることができる。
以下、上記磁気テープについて、更により詳細に説明する。
<磁性層>
(強磁性粉末)
上記の通り、素地摩擦の調整手段の1つとしては、強磁性粉末による制御が挙げられる。上記磁気テープの磁性層に含有される強磁性粉末としては、磁気テープの磁性層において強磁性粉末として通常用いられる各種粉末を使用することができる。
例えば、磁性層に含まれる強磁性粉末として、最も多くの割合で用いる強磁性粉末としては、平均粒子サイズの小さいものを使用することが、磁気テープの記録密度向上の観点から好ましい。この点から、平均粒子サイズの異なる二種以上の強磁性粉末を磁性層の強磁性粉末として用いる場合には、最も多くの割合で用いる強磁性粉末として、平均粒子サイズが50nm以下の強磁性粉末を用いることが好ましい。一方、磁化の安定性の観点からは、最も多くの割合で用いる強磁性粉末の平均粒子サイズは10nm以上であることが好ましい。なお平均粒子サイズが異なる二種以上の強磁性粉末を用いずに一種の強磁性粉末を用いる場合には、用いる強磁性粉末の平均粒子サイズは、上記の理由から、50nm以下であることが好ましく、10nm以上であることが好ましい。
これに対し、最も多くの割合で用いる強磁性粉末とともに用いる強磁性粉末は、最も多くの割合で用いる強磁性粉末より平均粒子サイズが大きなものであることが好ましい。平均粒子サイズが大きな強磁性粉末により素地部分に形成される凸部によって、素地摩擦を低減することができると考えられるからである。この点から、最も多くの割合で用いる強磁性粉末の平均粒子サイズと、これとともに用いる強磁性粉末の平均粒子サイズは、「(後者の平均粒子サイズ)−(前者の平均粒子サイズ)」として求められる差が、10〜80nmの範囲であることが好ましく、10〜50nmの範囲であることがより好ましく、10〜40nmの範囲であることが更に好ましく、12〜35nmの範囲であることが一層好ましい。なお最も多くの割合で用いる強磁性粉末とともに用いる強磁性粉末として、平均粒子サイズの異なる二種以上の強磁性粉末を用いることも、もちろん可能である。この場合には、最も多くの割合で用いる強磁性粉末の平均粒子サイズに対して、上記二種以上の強磁性粉末の少なくとも一種の平均粒子サイズが上記の差を満たすことが好ましく、より多くの種類の強磁性粉末の平均粒子サイズが上記の差を満たすことが好ましく、すべての強磁性粉末の平均粒子サイズが上記の差を満たすことが更に好ましい。
また、平均粒子サイズの異なる二種以上の強磁性粉末については、素地摩擦の制御の観点から、最も多くの割合で用いる強磁性粉末と、他の強磁性粉末(他の強磁性粉末として平均粒子サイズの異なる二種以上を用いる場合にはそれらの合計)との混合比は、質量基準で、前者:後者=90.0:10.0〜99.9:0.1の範囲とすることが好ましく、95.0:5.0〜99.5:0.5の範囲とすることがより好ましい。
ここで平均粒子サイズの異なる強磁性粉末とは、平均粒子サイズが異なる強磁性粉末ロット全体またはその一部をいう。このように平均粒子サイズの異なる強磁性粉末を用いて形成された磁気テープの磁性層に含まれる強磁性粉末の個数基準または体積基準の粒度分布を、動的光散乱法、レーザー回折法等の公知の測定方法により測定すると、測定により得られる粒度分布曲線に、通常、最も多くの割合で用いた強磁性粉末の平均粒子サイズまたはその近傍に極大ピークを確認することができる。また、各強磁性粉末の平均粒子サイズまたはその近傍にピークを確認することができる場合もある。したがって、例えば平均粒子サイズが10〜50nmの強磁性粉末を最も多くの割合で用いて形成された磁気テープの磁性層に含まれる強磁性粉末の粒度分布を測定すると、通常、粒度分布曲線において、粒子サイズ10〜50nmの範囲に極大ピークを確認することができる。
なお上記の他の強磁性粉末の一部を、後述する非磁性粉末に置き換えてもよい。
本発明および本明細書における強磁性粉末の平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡を用いて、以下の方法により測定する値とする。
強磁性粉末を、透過型電子顕微鏡を用いて撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして強磁性粉末を構成する粒子の写真を得る。得られた粒子の写真から目的の粒子を選びデジタイザーで粒子の輪郭をトレースし粒子(一次粒子)のサイズを測定する。一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
以上の測定を、無作為に抽出した500個の粒子について行う。こうして得られた500個の粒子の粒子サイズの算術平均を、強磁性粉末の平均粒子サイズとする。上記透過型電子顕微鏡としては、例えば日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いることができる。また、粒子サイズの測定は、公知の画像解析ソフト、例えばカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行うことができる。
本発明および本明細書において、強磁性粉末、およびその他の粉末についての平均粒子サイズとは、特記しない限り、上記方法により求められる平均粒子サイズをいうものとする。後述の実施例に示す平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡として日立製透過型電子顕微鏡H−9000型、画像解析ソフトとしてカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて測定された値である。
なお、粒子サイズ測定のために磁性層から強磁性粉末等の試料粉末を採取する方法としては、例えば特開2011−048878号公報の段落0015に記載の方法を採用することができる。
本発明および本明細書において、強磁性粉末等の粉末を構成する粒子のサイズ(以下、「粒子サイズ」と言う)は、上記の粒子写真において観察される粒子の形状が、
(1)針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粒子を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、
(2)板状または柱状(ただし、厚さまたは高さが板面または底面の最大長径より小さい)場合は、その板面または底面の最大長径で表され、
(3)球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粒子を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
また、粉末の平均針状比は、上記測定において粒子の短軸の長さ、即ち短軸長を測定し、各粒子の(長軸長/短軸長)の値を求め、上記500個の粒子について得た値の算術平均を指す。ここで、短軸長とは、上記粒子サイズの定義で(1)の場合は、粒子を構成する短軸の長さを、同じく(2)の場合は、厚さまたは高さを各々指し、(3)の場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸長)は、便宜上1とみなす。
そして、粒子の形状が特定の場合、例えば、上記粒子サイズの定義(1)の場合、平均粒子サイズは平均長軸長であり、同定義(2)の場合、平均粒子サイズは平均板径であり、平均板状比とは、(最大長径/厚さまたは高さ)の算術平均である。同定義(3)の場合、平均粒子サイズは、平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)である。
強磁性粉末の好ましい具体例としては、強磁性六方晶フェライト粉末を挙げることができる。最も多くの割合で用いる強磁性粉末が強磁性六方晶フェライト粉末である場合、その平均粒子サイズ(平均板径)は、高密度記録化と磁化の安定性の観点から、10nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましい。強磁性六方晶フェライト粉末の詳細については、例えば、特開2011−225417号公報の段落0012〜0030、特開2011−216149号公報の段落0134〜0136、特開2012−204726号公報の段落0013〜0030を参照できる。
強磁性粉末の好ましい具体例としては、強磁性金属粉末を挙げることもできる。最も多くの割合で用いる強磁性粉末が強磁性金属粉末である場合、その平均粒子サイズ(平均長軸長)は、高密度記録化と磁化の安定性の観点から、10nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましい。強磁性金属粉末の詳細については、例えば特開2011−216149号公報の段落0137〜0141、特開2005−251351号公報の段落0009〜0023を参照できる。
なお上記磁気テープは、強磁性粉末として、強磁性六方晶フェライト粉末、強磁性金属粉末の一方のみを含んでもよく、両方を含んでもよく、これらの一方または両方とともに他の種類の強磁性粉末を含んでもよい。
一態様では、上記式2により算出される、温度100℃の環境下で測定されるSFDと温度25℃の環境下で測定されるSFDとの差ΔSFDpowderが先に記載した範囲にある強磁性粉末を使用することが好ましい。
磁性層における強磁性粉末の含有量(充填率)は、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。上記充填率が高いことは、記録密度向上の観点から好ましい。
(研磨剤)
上記磁気テープは、磁性層に研磨剤を含む。研磨剤とは、好ましくはモース硬度8超の非磁性粉末であり、モース硬度9以上の非磁性粉末であることがより好ましい。なおモース硬度の最大値は、ダイヤモンドの10である。具体的には、アルミナ(Al)、炭化珪素、ボロンカーバイド(BC)、TiC、酸化セリウム、酸化ジルコニウム(ZrO)、ダイヤモンド粉末を挙げることができ、中でもアルミナが好ましい。アルミナは、特開2013−131285号公報の段落0012〜0022に記載の分散剤(フェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物)との組み合わせにおいて、特に良好な分散性向上を達成することができる点でも好ましい研磨剤である。アルミナについては、特開2013−229090号公報の段落0021も参照できる。また、研磨剤の粒子のサイズの指標としては、比表面積を用いることができる。比表面積が大きいほど粒子サイズが小さいことを意味する。比表面積とは、窒素吸着法(BET(Brunauer-Emmett-Teller)1点法とも呼ばれる。)により求められる値であって、一次粒子について測定する値とする。以下において、かかる方法により求められる比表面積を、BET比表面積とも記載する。磁性層表面の平滑性向上の観点からは、BET比表面積が14m/g以上の研磨剤を使用することが好ましい。また、分散性の観点からは、BET比表面積が40m/g以下の研磨剤を用いることが好ましい。磁性層における研磨剤の含有量は、強磁性粉末100.0質量部に対して1.0〜20.0質量部であることが好ましい。
(結合剤、硬化剤)
上記磁気テープは、塗布型磁気テープであって、磁性層に、強磁性粉末および研磨剤とともに結合剤を含む。結合剤としては、塗布型磁気記録媒体の結合剤として通常使用される各種樹脂を用いることができる。例えば、結合剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などから単独または複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものはポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、塩化ビニル樹脂である。これらの樹脂は、後述する非磁性層やバックコート層においても結合剤として使用することができる。以上の結合剤については、特開2010−24113号公報の段落0028〜0031を参照できる。結合剤として使用される樹脂の平均分子量は、重量平均分子量として、例えば10,000以上200,000以下であることができる。なお本発明および本明細書における重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン換算による値である。測定条件としては、下記条件を挙げることができる。後述の実施例に示す重量平均分子量は、下記測定条件によって測定された値をポリスチレン換算して求めた値である。
GPC装置:HLC−8120(東ソー製):
カラム:TSK gel Multipore HXL−M(東ソー製、7.8mmID(内径)×30.0cm)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
また、上記結合剤として使用可能な樹脂とともに、硬化剤を使用することもできる。硬化剤は、一態様では加熱により硬化反応(架橋反応)が進行する化合物である熱硬化性化合物であることができ、他の一態様では光照射により硬化反応(架橋反応)が進行する光硬化性化合物であることができる。好ましい硬化剤は、熱硬化性化合物であり、ポリイソシアネートが好適である。ポリイソシアネートの詳細については、特開2011−216149号公報の段落0124〜0125を参照できる。磁性層形成用組成物の硬化剤含有量は、結合剤100.0質量部に対して、例えば0〜80.0質量部であることができ、塗膜強度向上の観点からは、50.0〜80.0質量部の範囲であることが好ましい。
(添加剤)
磁性層には、強磁性粉末、研磨剤および結合剤が含まれ、必要に応じて一種以上の添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、一例として、上記の硬化剤が挙げられる。なお硬化剤は、磁性層形成工程の中で硬化反応が進行することにより、少なくとも一部は、結合剤等の他の成分と反応(架橋)した状態で磁性層に含まれ得る。また、磁性層に含まれ得る添加剤としては、研磨剤以外の非磁性粉末(非磁性粒子)、潤滑剤、分散剤、分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、カーボンブラックなどを挙げることができる。添加剤は、所望の性質に応じて市販品を適宜選択して使用することができる。
添加剤の一例として、磁性層には、摩擦特性制御(摩擦係数低減)のための非磁性粉末(以下、「突起形成剤」と呼ぶ。)を挙げることができる。突起形成剤は、無機物質であっても有機物質であってもよい。一態様では、摩擦特性の均一化の観点からは、突起形成剤の粒度分布は、分布中に複数のピークを有する多分散ではなく、単一ピークを示す単分散であることが好ましい。単分散粒子の入手容易性の点からは、非磁性粉末は無機物質の粉末であることが好ましい。無機物質の粉末としては、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物の各粉末を挙げることができ、無機酸化物の粉末であることが好ましい。突起形成剤は、より好ましくはコロイド粒子であり、更に好ましくは無機酸化物コロイド粒子である。また、単分散粒子の入手容易性の観点からは、無機酸化物コロイド粒子を構成する無機酸化物は二酸化ケイ素(シリカ)であることが好ましく、無機酸化物コロイド粒子は、コロイダルシリカ(シリカコロイド粒子)であることがより好ましい。なお本発明および本明細書において、「コロイド粒子」とは、少なくとも、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエンもしくは酢酸エチル、または上記溶媒の二種以上を任意の混合比で含む混合溶媒の少なくとも1つの有機溶媒100mLあたり1g添加した際に、沈降せず分散しコロイド分散体をもたらすことのできる粒子をいうものとする。また、コロイド粒子については、平均粒子サイズは、特開2011−048878号公報の段落0015に平均粒径の測定方法として記載されている方法により求められる値とする。他の一態様では、突起形成剤は、カーボンブラックであることも好ましい。
突起形成剤の平均粒子サイズは、例えば30〜300nmであり、好ましくは40〜200nmである。磁性層における突起形成剤の含有量は、好ましくは強磁性粉末100.0質量部に対して、1.0〜4.0質量部であり、より好ましくは1.5〜3.5質量部である。
更に先に記載したように、素地摩擦を0.35以下に制御するために、以上説明した非磁性粉末に加えて、他の非磁性粉末を用いることもできる。そのような非磁性粉末は、モース硬度8以下であることが好ましく、非磁性層に通常使用される各種の非磁性粉末を用いることができる。詳細については、非磁性層について後述する通りである。より好ましい非磁性粉末としては、ベンガラを挙げることができる。なおベンガラのモース硬度は、約6である。
上記の他の非磁性粉末は、先に記載した、最も多くの割合で用いる強磁性粉末とともに用いる強磁性粉末と同様に、強磁性粉末より平均粒子サイズが大きなものであることが好ましい。上記の他の非磁性粉末により素地部分に形成される凸部によって、素地摩擦を低減することができると考えられるからである。この点から、強磁性粉末の平均粒子サイズと、これとともに用いる上記の他の非磁性粉末の平均粒子サイズは、「(後者の平均粒子サイズ)−(前者の平均粒子サイズ)」として求められる差が、10〜80nmの範囲であることが好ましく、10〜50nmの範囲であることがより好ましい。なお強磁性粉末として平均粒子サイズの異なる二種以上の強磁性粉末を用いる場合には、上記の他の非磁性粉末の平均粒子サイズとの差を算出する強磁性粉末は、二種以上の強磁性粉末の中で、最も多くの割合で用いる強磁性粉末とする。また、上記の他の非磁性粉末として、平均粒子サイズの異なる二種以上の非磁性粉末を用いることも、もちろん可能である。この場合には、強磁性粉末の平均粒子サイズに対して、上記の他の非磁性粉末の二種以上の少なくとも一種の平均粒子サイズが上記の差を満たすことが好ましく、より多くの種類の非磁性粉末の平均粒子サイズが上記の差を満たすことが好ましく、上記の他の非磁性粉末のすべての平均粒子サイズが上記の差を満たすことが更に好ましい。
また、素地摩擦の制御の観点から、強磁性粉末と、上記の他の非磁性粉末(上記の他の非磁性粉末として平均粒子サイズの異なる二種以上を用いる場合にはそれらの合計)との混合比は、質量基準で、前者:後者=90.0:10.0〜99.9:0.1の範囲とすることが好ましく、95.0:5.0〜99.5:0.5の範囲とすることがより好ましい。
<非磁性層>
次に非磁性層について説明する。上記磁気テープは、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層を有する。非磁性層に使用される非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。その詳細については、特開2011−216149号公報の段落0146〜0150を参照できる。非磁性層に使用可能なカーボンブラックについては、特開2010−24113号公報の段落0040〜0041も参照できる。非磁性層における非磁性粉末の含有量(充填率)は、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。
非磁性層の結合剤、添加剤等のその他詳細は、非磁性層に関する公知技術が適用できる。また、例えば、結合剤量および種類、添加剤量および種類に関しては、磁性層に関する公知技術も適用できる。
なお、上記磁気テープの非磁性層には、非磁性粉末とともに、例えば不純物として、または意図的に、少量の強磁性粉末を含む実質的に非磁性な層も包含されるものとする。ここで実質的に非磁性な層とは、この層の残留磁束密度が10mT以下であるか、保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であるか、または、残留磁束密度が10mT以下であり、かつ保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下である層をいうものとする。非磁性層は、残留磁束密度および保磁力を持たないことが好ましい
<非磁性支持体>
次に、非磁性支持体について説明する。非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。これらの支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。
<各種厚み>
上記磁気テープは、非磁性層の厚みが、0.50μm以下である。また、非磁性層の厚みは、例えば0.10μm以上である。磁気テープの薄型化の観点からは、0.40μm以下であることが好ましく、0.30μm以下であることが好ましい。
非磁性支持体の厚みは、好ましくは3.00〜4.50μmである。
磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、一般には0.01μm〜0.15μmであり、高密度記録化の観点から、好ましくは0.02μm〜0.12μmであり、更に好ましくは0.03μm〜0.10μmである。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
磁性層と非磁性層との合計厚みは、磁気テープの薄型化の観点からは、0.60μm以下であることが好ましく、0.50μm以下であることがより好ましい。また、磁性層と非磁性層との合計厚みは、例えば0.10μm以上、または0.20μm以上であることができる。
また、磁気テープの総厚は、磁気テープカートリッジ1巻あたりの記録容量向上の観点から、6.00μm以下であることが好ましく、5.70μm以下であることがより好ましく、5.50μm以下であることが更に好ましい。一方、磁気テープの取り扱いの容易性(ハンドリング性)等の観点からは、磁気テープの総厚は1.00μm以上であることが好ましい。
<バックコート層>
上記磁気テープは、非磁性支持体の磁性層を有する面とは反対の面にバックコート層を有することもできる。バックコート層は、非磁性粉末および結合剤を含む層であり、非磁性粉末として、カーボンブラックと無機粉末の少なくとも一方、好ましくは両方を含むことができる。バックコート層形成のための結合剤、各種添加剤は、磁性層や非磁性層の処方を適用することができる。バックコート層の厚みは、0.90μm以下が好ましく、0.10〜0.70μmが更に好ましい。
なお磁気テープの各層および非磁性支持体の厚みは、公知の膜厚測定法により求めることができる。一例として、例えば、磁気テープの厚み方向の断面を、イオンビーム、ミクロトーム等の公知の手法により露出させた後、露出した断面において走査型電子顕微鏡による断面観察を行う。断面観察において厚み方向の1箇所において求められた厚み、または無作為に抽出した2箇所以上の複数箇所、例えば2箇所、において求められた厚みの算術平均として、各種厚みを求めることができる。または、各層の厚みは、製造条件から算出される設計厚みとして求めてもよい。
<磁性層表面粗さ>
ところで、データバックアップテープ等の高密度記録用磁気テープには、磁性層表面の平滑性を高めることが望まれている。磁性層表面の平滑性を高めることによりスペーシングロスを低減することができ、その結果、高密度記録された信号の再生時に良好な電磁変換特性を得ることができるからである。以上の観点から、上記磁気テープも、磁性層の表面平滑性が高いことが好ましい。磁性層の表面平滑性の指標としては、磁性層表面において原子間力顕微鏡(AFM(Atomic Force Microscope))により測定される中心線平均表面粗さRaを用いることができる。原子間力顕微鏡により測定される中心線平均表面粗さRaは、磁性層表面の面積40μm×40μmの領域において測定される中心線平均表面粗さRaをいうものとする。原子間力顕微鏡としては、例えば一例として、DIGITAL INSTRUMENT社製のNANO SCOPE(登録商標) IIIをコンタクトモードで用いることができる。上記磁気テープの磁性層表面において原子間力顕微鏡により測定される中心線平均表面粗さRaは、スペーシングロス低減の観点からは、2.8nm以下であることが好ましく、2.5nm以下であることがより好ましく、2.2nm以下であることが更に好ましい。また、走行安定性の観点からは、0.5nm以上であることが好ましく、1.0nm以上であることがより好ましく、1.5nm以上であることが更に好ましい。
磁性層表面平滑性は、磁性層を形成するための組成物における各種粉末の分散性を高めることにより向上(即ち上記Raを小さく)することができる。この点からは、磁性層を形成するための組成物を調製する際、研磨剤を、強磁性粉末と別分散することが好ましく、強磁性粉末をはじめとする各種の粉末と別分散することがより好ましい。
<製造工程>
磁性層、非磁性層またはバックコート層を形成するための組成物(塗布液)は、先に説明した各種成分とともに、通常、溶媒を含む。溶媒としては、塗布型磁気テープを製造するために一般に使用される各種有機溶媒を用いることができる。各層を形成するための組成物を調製する工程は、通常、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程を含む。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる強磁性粉末、非磁性粉末、研磨剤、結合剤、および任意に添加される各種添加剤、溶媒などすべての原料は、どの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。一態様では、磁性層形成用組成物の調製において、研磨剤と強磁性粉末とを別分散することが好ましい。上記磁気テープを製造するためには、公知の製造技術を用いることができる。混練工程では、オープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、各層形成用組成物を分散させるには、ガラスビーズやその他の分散ビーズを用いることができる。このような分散ビーズとしては、高比重の分散ビーズであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散ビーズの粒径と充填率は最適化して用いることができる。分散機は公知のものを使用することができる。また、先に記載した通り、式1により算出されるΔSFDが0.50以上の磁気テープを得るための手段の1つとして、分散条件を強化(分散時間の長時間化、分散に用いる分散ビーズの小径化・高充填化、等)、することも好ましい。磁気テープの製造方法の詳細については、例えば特開2010−24113号公報の段落0051〜0057も参照できる。なお配向処理については、特開2010−24113号公報の段落0052を参照することができるが、先に記載した通り、式1により算出されるΔSFDが0.50以上の磁気テープを得るための手段の1つとして、垂直配向を行うことが好ましい。また、配向処理を行わない(無配向とする)ことも好ましい。
素地摩擦の制御に関しては、先に説明した通り、一態様では、平均粒子サイズが異なる二種以上の強磁性粉末を用いて磁気テープを製造することができる。即ち、磁性層を、強磁性粉末として、第一の強磁性粉末と、第一の強磁性粉末より平均粒子サイズの大きい強磁性粉末の一種以上と、を用いて形成することができる。かかる磁性層の形成方法の好ましい態様としては、以下の態様を挙げることができる。下記態様の2つ以上の組み合わせは、上記磁性層の形成方法のより好ましい態様である。なお第一の強磁性粉末とは、二種以上用いられる強磁性粉末の中の一種の強磁性粉末をいい、先に記載した、最も多くの割合で用いる強磁性粉末であることが好ましい。その他の上記磁性層の形成方法の詳細は、先に記載した通りである。
・第一の強磁性粉末の平均粒子サイズは、10〜80nmの範囲である。
・第一の強磁性粉末より平均粒子サイズの大きい強磁性粉末の平均粒子サイズと第一の強磁性粉末の平均粒子サイズとの差は、10〜50nmの範囲である。
・第一の強磁性粉末と第一の強磁性粉末より平均粒子サイズの大きい強磁性粉末との混合比は、質量基準で、前者:後者=90.0:10.0〜99.9:0.1の範囲である。
また他の一態様では、磁性層の非磁性粉末として、研磨剤および突起形成剤とともに他の非磁性粉末を用いて磁気テープを製造することもできる。即ち、磁性層を、上記非磁性粉末として、研磨剤および突起形成剤とともに他の非磁性粉末を用いて形成することができる。かかる磁性層の形成方法の好ましい態様としては、以下の態様を挙げることができる。下記態様の2つ以上の組み合わせは、上記磁性層の形成方法のより好ましい態様である。その他の上記磁性層の形成方法の詳細は、先に記載した通りである。
・上記の他の非磁性粉末の平均粒子サイズは、強磁性粉末の平均粒子サイズより大きい。
・強磁性粉末の平均粒子サイズと上記の他の非磁性粉末の平均粒子サイズとの差は、10〜80nmの範囲である。
・強磁性粉末と上記の他の非磁性粉末との混合比は、質量基準で、前者:後者=90.0:10.0〜99.9:0.1の範囲である。
[磁気テープカートリッジ、磁気記録再生装置]
本発明の一態様は、上記磁気テープが収容された磁気テープカートリッジが収容された磁気テープカートリッジに関する。
本発明の他の一態様は、上記磁気テープカートリッジと、磁気ヘッドと、を含む磁気記録再生装置に関する。
磁気テープカートリッジでは、一般に、カートリッジ本体内部に磁気テープがリールに巻き取られた状態で収容されている。リールは、カートリッジ本体内部に回転可能に備えられている。磁気テープカートリッジとしては、カートリッジ本体内部にリールを1つ具備する単リール型の磁気テープカートリッジ、カートリッジ本体内部にリールを2つ具備する双リール型の磁気テープカートリッジが広く用いられている。単リール型の磁気テープカートリッジは、磁気テープへの磁気信号の記録および/または再生のために磁気記録再生装置(ドライブ)に装着されると、磁気テープカートリッジから磁気テープが引き出されてドライブ側のリールに巻き取られる。磁気テープカートリッジから巻き取りリールまでのテープ搬送経路には、磁気ヘッドが配置されている。磁気テープカートリッジ側のリール(供給リール)とドライブ側のリール(巻き取りリール)との間で、磁気テープの送り出しと巻き取りが行われる。この間、磁気ヘッドと磁気テープの磁性層表面とが接触(摺動)することにより、磁気信号の記録・再生が行われる。これに対し、双リール型の磁気テープカートリッジは、供給リールと巻き取りリールの両リールが、磁気テープカートリッジ内部に具備されている。本発明の一態様にかかる磁気テープカートリッジは、単リール型、双リール型のいずれの磁気テープカートリッジであってもよい。磁気テープカートリッジの構成は公知であり、本発明の一態様にかかる磁気テープカートリッジについては、公知の構成を何ら制限なく適用することができる。例えば、本発明の一態様にかかる磁気テープカートリッジは、LTO(Linear-Tape-Open)フォーマットの磁気テープカートリッジであることができる。または本発明の一態様にかかる磁気テープカートリッジは、LTOフォーマット以外の磁気テープカートリッジであることもできる。
磁気テープカートリッジ1巻あたりに収容される磁気テープの全長を長くするほど1巻あたりの記録容量を向上することができる。この点から、上記磁気テープカートリッジに収容された磁気テープ全長は、10m以上であることが好ましく、例えば10〜1500m程度であることが好適である。ただし、テープ全長が長くなるほど、磁気テープへの磁気信号の記録および/または再生時の走行速度(以下、「搬送速度」ともいう)が変わらなければ記録・再生に要する時間は長くなるため、搬送速度を高速化することは、記録容量向上のためにテープ全長を長くした場合の記録・再生時間の短縮のために好ましい。また、テープ全長を問わず搬送速度を高速化することは、記録・再生時間の短縮のために好ましい。一方、非磁性層の厚みが0.50μm以下と薄い磁気テープは、低温低湿下で走行を繰り返すと磨耗性が低下する現象が見られた。この現象は、搬送速度を高速にする(高速搬送する)ほど顕著になる傾向も見られた。これに対し、本発明の一態様にかかる磁気テープは、非磁性層の厚みが0.50μm以下であるが、素地摩擦および式1により算出されるΔSFDを上記範囲とすることにより、低温低湿下で走行を繰り返しても磨耗性の低下を抑制することができ、更には低温低湿下で高速搬送を繰り返しても磨耗性の低下を抑制することができる。したがって、本発明の一態様にかかる磁気テープは、記録・再生時間の短縮のために搬送速度を高速化した磁気記録再生装置や、記録容量向上のためにテープ全長を長くした磁気テープカートリッジのための磁気テープとして好適である。高速搬送とは、例えば搬送速度が、磁気信号の記録・再生時の磁気テープと磁気ヘッドとの相対速度として、7m/sec.以上または8m/sec.以上であることを言う。高速搬送における搬送速度は、例えば8〜15m/sec.程度であることができる。
本発明の一態様にかかる磁気記録再生装置の磁気ヘッドとしては、磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MR(magnetoresistive)ヘッド)等の記録ヘッド、再生ヘッドとして公知の磁気ヘッドを用いることができる。磁気記録再生装置の構成は公知であり、本発明の一態様にかかる磁気記録再生装置の構成については、公知の構成を何ら制限なく適用することができる。
以下に、本発明を実施例に基づき説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。なお、以下に記載の「部」、「%」の表示は、特に断らない限り、「質量部」、「質量%」を示す。
[実施例1]
1.アルミナ分散物の調製
アルファ化率約65%、BET比表面積30m/gのアルミナ粉末(住友化学社製HIT−70)100.0部に対し、3.0部の2,3−ジヒドロキシナフタレン(東京化成製)、極性基としてSONa基を有するポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡(登録商標)製UR−4800(極性基量:80meq/kg))の32%溶液(溶媒はメチルエチルケトンとトルエンの混合溶媒)を31.3部、溶媒としてメチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1(質量比)の混合溶液570.0部を混合し、ジルコニアビーズ存在下で、ペイントシェーカーにより5時間分散させた。分散後、メッシュにより分散液とビーズとを分け、アルミナ分散物を得た。
2.磁性層形成用組成物処方
(磁性液)
強磁性粉末(1)(表1参照) 表1参照
強磁性粉末(2)(表1参照) 表1参照
SONa基含有ポリウレタン樹脂 14.0部
(重量平均分子量:70,000、SONa基:0.2meq/g)
シクロヘキサノン 150.0部
メチルエチルケトン 150.0部
(研磨剤液)
上記1.で調製したアルミナ分散物 6.0部
(シリカゾル)
コロイダルシリカ(平均粒子サイズ100nm) 2.0部
メチルエチルケトン 1.4部
(その他成分)
ステアリン酸 2.0部
ブチルステアレート 6.0部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製コロネート(登録商標))2.5部
(仕上げ添加溶媒)
シクロヘキサノン 200.0部
メチルエチルケトン 200.0部
3.非磁性層形成用組成物処方
非磁性無機粉末:α−酸化鉄 100.0部
平均粒子サイズ(平均長軸長):10nm
平均針状比:1.9
BET比表面積:75m/g
カーボンブラック 20.0部
平均粒子サイズ 20nm
SONa基含有ポリウレタン樹脂 18.0部
(重量平均分子量:70,000、SONa基:0.2meq/g)
ステアリン酸 1.0部
シクロヘキサノン 300.0部
メチルエチルケトン 300.0部
4.バックコート層形成用組成物処方
非磁性無機粉末:α−酸化鉄 80.0部
平均粒子サイズ(平均長軸長):0.15μm
平均針状比:7
BET比表面積:52m/g
カーボンブラック 20.0部
平均粒子サイズ20nm
塩化ビニル共重合体 13.0部
スルホン酸塩基含有ポリウレタン樹脂 6.0部
フェニルホスホン酸 3.0部
シクロヘキサノン 155.0部
メチルエチルケトン 155.0部
ステアリン酸 3.0部
ブチルステアレート 3.0部
ポリイソシアネート 5.0部
シクロヘキサノン 200.0部
5.各層形成用組成物の調製
磁性層形成用組成物を、以下の方法により作製した。上記磁性液を、各成分をバッチ式縦型サンドミルを用いて表1に示す時間で分散(ビーズ分散)することにより調製した。分散ビーズとしては、ビーズ径0.5mmΦのジルコニアビーズを使用した。上記サンドミルを用いて、調製した磁性液および上記研磨剤液を他の成分(シリカゾル、その他成分および仕上げ添加溶媒)と混合し5分間ビーズ分散した後、バッチ型超音波装置(20kHz、300W)で0.5分間処理(超音波分散)を行った。その後、0.5μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過を行い磁性層形成用組成物を作製した。作製した磁性層形成用組成物を一部採取し、後述の方法で強磁性粉末の分散性の指標である分散粒子径を測定した。測定された値を表1に示す。
非磁性層形成用組成物を、以下の方法により作製した。ステアリン酸、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンを除いた各成分を、バッチ式縦型サンドミルを用いて24時間分散して分散液を得た。分散ビーズとしては、ビーズ径0.1mmΦのジルコニアビーズを使用した。その後、得られた分散液に残りの成分を添加し、ディゾルバーで攪拌した。こうして得られた分散液を0.5μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過し非磁性層形成用組成物を作製した。
バックコート層形成用組成物を、以下の方法により作製した。潤滑剤(ステアリン酸およびブチルステアレート)とポリイソシアネート、シクロヘキサノンを除いた各成分をオープンニーダにより混練・希釈した後、横型ビーズミル分散機により、1mmΦのジルコニアビーズを用い、ビーズ充填率80体積%、ローター先端周速10m/秒で、1パス滞留時間を2分とし、12パスの分散処理を行った。その後、得られた分散液に残りの成分を添加し、ディゾルバーで攪拌した。こうして得られた分散液を1μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過しバックコート層形成用組成物を作製した。
6.磁気テープの作製
表1に示す厚みのポリエチレンナフタレート製支持体の表面上に、乾燥後の厚みが表1に示す厚みになるように上記5.で調製した非磁性層形成用組成物を塗布、乾燥した後、その上に乾燥後の厚みが表1に示す厚みになるように上記5.で調製した磁性層形成用組成物を塗布し、配向処理を行わずに乾燥させた。その後、上記ポリエチレンナフタレート製支持体の非磁性層および磁性層を形成した面とは反対の面に乾燥後の厚みが表1に示す厚みになるように上記5.で調製したバックコート層形成用組成物を塗布、乾燥させた。
その後金属ロールのみから構成されるカレンダロールで、速度100m/分、線圧300kg/cm、カレンダ温度(カレンダロールの表面温度)100℃で表面平滑化処理(カレンダ処理)を行い、その後、温度70℃の環境で36時間熱処理を行った。熱処理後1/2インチ(0.0127メートル)幅にスリットし、磁気テープを得た。
[実施例2〜7、比較例1〜10]
実施例2〜7、比較例1〜10の磁気テープ調製のために使用した強磁性粉末、磁性層形成用組成物調製時のビーズ分散時間、配向処理の有無、各層および非磁性支持体の厚みを、表1に示す。表1に示す点、および強磁性粉末として強磁性金属粉末を使用したものについてはビーズ分散前に磁性液の各成分をオープンニーダにより混練・希釈した点以外は、実施例1と同様の方法で、各実施例、比較例の磁気テープを作製した。
なお表1中、強磁性粉末として強磁性六方晶バリウムフェライト粉末を用いたものはBF、強磁性金属粉末を用いたものはMPと表記する。表1に記載の処方率とは、強磁性粉末全量100.0質量部に対する各強磁性粉末の質量基準の含有率である。表1中、強磁性粉末の平均粒子サイズは、強磁性六方晶バリウムフェライト粉末については平均板径、強磁性金属粉末については平均長軸長である。強磁性粉末の平均粒子サイズは、磁気テープの作製に用いる強磁性粉末ロットから必要量を採取し、先に記載した方法によって平均粒子サイズを測定した値である。測定後の強磁性粉末を、磁気テープの作製のための磁性液の調製に用いた。
また、配向の欄に「無」と表記したものは配向処理を行わずに無配向としたものであり、「垂直」と表記したものは、塗布した磁性層形成用組成物が未乾状態にあるうちに磁場強度0.3Tの磁場を、塗布面に対し垂直方向に印加し垂直配向処理を行った後乾燥させたものである。
作製した磁気テープの各層および非磁性支持体の厚み、ならびに総厚を、以下の方法により求めた。形成した各層および非磁性支持体の厚みが表1に示す厚みであることが確認された。
磁気テープの厚み方向の断面を、イオンビームにより露出させた後、露出した断面において走査型電子顕微鏡による断面観察を行う。断面観察において厚み方向の2箇所において求められた厚みの算術平均として、各種厚みを求めた。
7.評価方法
(1)磁性層形成用組成物の分散粒子径の測定
上記5.で作製した磁性層形成用組成物を一部採取し、この組成物の調製に使用した有機溶媒により質量基準で1/50に希釈した試料溶液を調製した。調製した試料溶液について、光散乱型粒度分布計(HORIBA製LB500)を用いて測定した算術平均粒子径を分散粒子径とした。
(2)強磁性粉末の平均粒子サイズの測定
先に記載した方法により、強磁性粉末の平均粒子サイズを求めた。
(3)強磁性粉末のΔSFDpowderおよび保磁力Hcの測定
強磁性粉末について、温度100℃、25℃の環境下で振動試料型磁束計(東英工業社製)を用い、印加磁界796kA/m(10kOe)でSFDおよび保磁力Hcを測定した。SFDの測定結果から、上記式2によりΔSFDpowder(表1中、ΔSFD(100℃)−(25℃))を算出した。
(4)素地摩擦
まず、測定面に予めレーザーマーカーで罫書きをいれ、そこから一定距離(約100μm)離れた部分の原子間力顕微鏡(AFM(Atomic Force Microscope))像を測定した。視野面積は7μm×7μmで測定を行った。このとき、後述するように同一箇所の走査型電子顕微鏡(SEM(Scanning Electron Microscope))画像を撮りやすいように、カンチレバーを硬いもの(単結晶シリコン)に変えて、AFM上で罫書きを入れた。こうして測定したAFM画像から、基準面から15nm以上の高さにある突起を全て抽出した。そして突起が存在しないと判定された箇所を素地部分と特定し、Hysitron社TI−950型トライボインデンターを用いて先に記載した方法により素地摩擦を測定した。
さらに、AFMを測定したところと同一箇所のSEM画像を測定して成分マップを取得し、抽出した基準面から15nm以上の高さの突起がアルミナまたはコロイダルシリカにより形成された突起であることを確認した。また、実施例1〜7では、上記SEMによる成分マップにおいて、素地部分にアルミナおよびコロイダルシリカは確認されなかった。なおここではSEMにより成分分析を行ったが、成分分析は、SEMに限らず、エネルギー分散型X線分光法(EDS:Energy Dispersive X-ray Spectrometry)、オージェ電子分光法(AES:Auger Electron Spectroscopy)等の公知の方法により行うことができる。
(5)磁気テープ長手方向におけるΔSFDの測定
温度25℃、−190℃の環境下で振動試料型磁束計(東英工業社製)を用い、印加磁界796kA/m(10kOe)で磁気テープの長手方向においてSFDを測定した。測定結果から、上記式1により磁気テープ長手方向におけるΔSFD(表1中、長手ΔSFD(25℃)−(−190℃))を算出した。
(6)磁性層表面の中心線平均表面粗さRa
原子間力顕微鏡としてDIGITAL INSTRUMENT社製のNANOSCOPE IIIをコンタクトモードで用いて、先に記載した方法により磁性層表面の中心線平均表面粗さRaを測定した。測定の結果、実施例の磁気テープの磁性層表面の中心線平均表面粗さRaが2.0〜2.2nmの範囲であることが確認された。
(7)低温低湿下での繰り返し走行前後の磁性層の磨耗性変化
(磨耗性試験)
各実施例、比較例について、下記磨耗幅Aを測定するための磁気テープ、下記磨耗幅Bを測定するための磁気テープをそれぞれ準備した。
温度13℃±1℃相対湿度15%に温度および湿度を制御した雰囲気下、各実施例、比較例の磁気テープの磁性層表面を、AlFeSil角柱(ECMA(European Computer Manufacturers Association)−288/Annex H/H2 に規定されている角柱) の長手方向と直交するように、AlFeSil角柱の一稜辺(エッジ)にラップ角12度で接触させ、その状態で全長20mの磁気テープを1.0Nの張力下において3m/sec.の速さで50往復させた。なおAlFeSil角柱とは、センダスト系の合金であるAlFeSil製の角柱である。
上記角柱のエッジを光学顕微鏡を用いて上方から観察し、特開2007−026564号公報の段落0015に同公報図1に基づき説明されている磨耗幅(AlFeSil磨耗幅)を求めた。
未走行の状態の磁気テープについて求めた磨耗幅を磨耗幅A、下記の繰り返し走行後の磁気テープについて求めた磨耗幅を磨耗幅Bとし、未走行状態に対する繰り返し走行後の磨耗幅の差分(磨耗幅変化量)を、下記式により算出した。
(磨耗幅変化量)=A―B
算出された結果を、表1に示す。こうして求められる磨耗幅変化量が5μm以下であれば、磁性層表面の磨耗性が低温低湿下での繰り返し走行後も維持されていると判断することができる。
(繰り返し走行条件)
各実施例、比較例の磁気テープを、温度13℃±1℃相対湿度15%に温度および湿度を制御した雰囲気下、下記条件でテープ走行系において磁性層表面と磁気ヘッドとを接触(摺動)させながら繰り返し走行させた。
IBM社製LTO−G6(Linear Tape−Open Generation 6)ドライブから取り外した磁気ヘッドを取り付けたテープ走行系において、全長20mの磁気テープを、テープ走行系の送り出しロールと巻き取りロールとの間で送り出しと巻き取りを繰り返して、0.6Nの張力下、搬送速度12m/sec.で10000サイクル走行させた。
以上の結果を、表1に示す。
表1に示す結果から、以下の点が確認できる。
(1)非磁性層の厚みが0.50μmを超える比較例1〜3の磁気テープでは、素地摩擦が0.35超かつ式1により算出されるΔSFDが0.50未満でも、低温低湿下での繰り返し走行による磁性層の磨耗性低下は少なかった。即ち、非磁性層の厚みが0.50μmを超える磁気テープは、低温低湿下での繰り返し走行による磁性層の磨耗性低下と素地摩擦および式1により算出されるΔSFDとの間には、相関は見られなかった。
(2)これに対し、実施例1〜7と比較例4〜10との対比から、非磁性層の厚みが0.50μm以下の磁気テープは、素地摩擦が0.35以下かつ式1により算出されるΔSFDが0.50以上であることにより、低温低湿下で走行を繰り返しても磁性層の磨耗性が維持されていることが確認できる。
本発明は、バックアップテープ等の磁気テープの技術分野において有用である。

Claims (11)

  1. 非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、前記非磁性層上に強磁性粉末、研磨剤および結合剤を含む磁性層を有する磁気テープであって、
    前記非磁性層の厚みは0.50μm以下であり、
    前記磁性層表面の素地部分において測定される摩擦係数が0.35以下であり、かつ
    磁気テープ長手方向における下記式1により算出されるΔSFDが、0.50以上である磁気テープ;
    ΔSFD=SFD25℃−SFD−190℃ …式1
    式1中、SFD25℃は、温度25℃の環境下で磁気テープ長手方向において測定される反転磁界分布SFDであり、SFD−190℃は、温度−190℃の環境下で磁気テープ長手方向において測定される反転磁界分布SFDである。
  2. 前記研磨剤は、アルミナを含む請求項1に記載の磁気テープ。
  3. 前記磁性層表面の素地部分において測定される摩擦係数は、0.10以上0.35以下である請求項1または2に記載の磁気テープ。
  4. 前記ΔSFDは、0.50以上1.50以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  5. 前記磁性層と非磁性層との合計厚みが、0.60μm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  6. 前記非磁性支持体の前記非磁性層および磁性層を有する側とは反対側に、非磁性粉末および結合剤を含むバックコート層を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  7. 磁気テープ総厚が6.00μm以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  8. 前記強磁性粉末は、強磁性六方晶フェライト粉末および強磁性金属粉末からなる群から選択される請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気テープが収容された磁気テープカートリッジ。
  10. 収容されている磁気テープのテープ全長が、10m以上である請求項9に記載の磁気テープカートリッジ。
  11. 請求項9または10に記載の磁気テープカートリッジと、磁気ヘッドと、を含む磁気記録再生装置。
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