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JP6451442B2 - ハードコートポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ハードコートポリエステルフィルムに関し、より詳細には、ディスプレイ等に主として用いられる、反射防止フィルム、防眩フィルム、光拡散シート、レンズシート、近赤外線遮断フィルム、透明導電性フィルム等の機能性フィルムの基材として有用なハードコートポリエステルフィルムに関する。
一般に、光学用部材として用いられる機能性フィルムの基材には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、ポリカーボネート(PC)、ポリオレフィン等からなる透明な熱可塑性樹脂フィルムが用いられている。
熱可塑性樹脂フィルムを機能性フィルムの基材として用いる場合には、各種の用途に応じた機能層が積層される。例えば、液晶ディスプレイ(LCD)では、表面の傷つきを防止する保護層(ハードコート層)、外光の映り込みを防止する反射防止層(AR層)、光の集光や拡散に用いられるレンズ層、輝度を向上する光拡散層等の機能層が挙げられる。このような基材の中でも、特に、ポリエステルフィルムは、優れた透明性、寸法安定性、耐薬品性に優れ、比較的安価であるため各種機能性フィルムの基材として広く使用されている。
しかし、ポリエステルフィルムの表面は一般的に脆弱であり、光学用部材の製造時におけるフィルム基材の搬送等の際、表面に容易に傷が付いてしまうという欠点があった。また、各種の光学用部材を組み合わせる工程においても、部材同士の擦れや搬送の際に、機能層の反対面に傷が発生することが問題となっていた。これらの傷はディスプレイ全体の品位に影響するため、ディスプレイ製造における歩留まり低下の要因となる。このためフィルム基材の表面を保護する目的で、機能層を積層するフィルム基材の反対面に、耐傷つき性を有する保護層を設ける方法が提案されてきた。
上記保護層としては、UV硬化型の樹脂組成物が汎用されている。しかし、UV硬化型の樹脂組成物から得られる塗膜は硬化収縮が大きいため、カールが発生しやすいという問題があった。このため、例えば、特許文献1には、ポリエステルポリオールデンドリマー化合物をアクリル変性したエチレン性不飽和基含有ポリエステルデンドリマーと光重合開始剤と、多官能(メタ)アクリレート等の反応性希釈剤からなる感光性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、多官能(メタ)アクリレートの架橋体から形成される塗膜はポリエステルとの親和性に乏しい。このため、ハードコート層形成の前に易接着層を形成する必要が生じ、コストが上昇する。また、上記技術では、ハードコート層の硬度を確保するために反応性希釈剤の量を増やすと、特に基材フィルムの厚みが50μm程度と薄く剛性が小さい場合は、やはりカールが生じてしまう。
一方、特許文献2には、2官能ウレタンオリゴマーのUV硬化塗膜の上に、さらにUV硬化塗膜を積層した光学用ハードコートフィルムが開示されている。しかし、ポリエステルフィルムを基材とした実施例6では、易接着層が予め形成されているポリエステルフィルムを用いており、ポリエステルフィルムそのままでは、2官能ウレタンオリゴマーのUV硬化塗膜の密着性が確保できないことがうかがえる。また、薄いフィルムの場合のカールの問題は、この技術でも解決できない。
また、特許文献3には、硬度を確保するための反応性(重合性)無機微粒子を、2種類の硬化性樹脂と組み合わせた技術が記載されているが、ポリエステルフィルムを基材とした実施例はない。
特許文献4と5には、ポリエステルフィルム表面に5〜6官能の多官能アクリレートを主体とする塗剤をインライン法で塗布し、熱硬化させたハードコートフィルムが開示されているが、カールの問題には触れられていない。
特許文献6には、6官能以上のウレタンアクリレートを主体とする活性エネルギー線硬化性組成物からハードコート層を形成しているが、ポリエステルフィルムを用いたものは比較例となっており、また、カールの問題や基材フィルムとの密着性について触れられていない。
特許文献7には、アクリル化ウレタンオリゴマー、ジオールアクリレート等のモノマー希釈剤、過酸化物を含む塗布液からインライン法で熱硬化された塗布層を有するポリエステル系フィルム基材の耐傷つき性フィルムが開示されている。しかしながら、モノマー希釈剤は、熱硬化の際の加熱によって、蒸発したり分解したりするという問題がある。また、この蒸発や分解によって、フィルム製膜装置の内部にモノマー希釈剤や分解物が付着したり、大気中に有害なアクリレート系モノマーの揮発成分やガスが放出される等の問題もあり、環境や安全性を考慮すると工業的な実施は極めて困難である。
特開2005−76005号公報 特許第4444632号公報 特開2009−84328号公報 特許第4475016号公報 特許第5266827号公報 特開2014−106275号公報 特許第5096924号公報
近年、フラットパネルディスプレイの著しい高精細化に伴い、ディスプレイを構成する光学用部材の高品位化に対する要求が高まっている。特に光学部材の製造時やディスプレイ組み立て時に発生する傷の有無は、ディスプレイパネル全体の品位を左右する大きな問題となっており、耐傷つき性を有する保護膜の積層が必要であると考えられてきた。しかしながら、上記の従来技術には、ポリエステルフィルム基材に易接着処理を行うことなく良好な密着性を発揮し、基材フィルムが薄くてもカールの発生が抑制され、しかも硬度にも優れたハードコートフィルムは、認められなかった。
そこで、本発明では、基材のポリエステルフィルムの厚みが薄くてもカールの発生を抑制でき、硬度に優れ、かつ基材フィルムに対する密着性が良好なハードコート層(塗布層)を有するハードコートポリエステルフィルムの提供を課題として掲げた。
上記課題を解決した本発明は、少なくとも片面に塗布層を有するハードコートポリエステルフィルムであって、この塗布層が、親水性の6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートと、ウレタン(メタ)アクリレートでない親水性樹脂とを含むことを特徴とする。上記ウレタン(メタ)アクリレートは分子中にポリアルキレングリコール鎖を有することが好ましく、この場合において、ポリアルキレングリコール鎖の分子量が300〜1000であることが好ましい。
上記塗布層には、ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対し、親水性樹脂が5〜30質量部含まれていることが好ましい。この場合において、上記親水性樹脂が、親水性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
本発明によれば、薄いフィルムでありながらカールの発生や密着性不足といった問題がなく、塗布層の硬度にも優れたハードコートポリエステルフィルムを提供することができた。
本発明のハードコートポリエステルフィルムに用いるポリエステルは、エチレンテレフタレートユニットを主たる構成成分とするものである。エチレンテレフタレートユニットは、ポリエステルの構成ユニット100モル%中、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、ホモポリエチレンテレフタレートが最も好ましい。
本発明のポリエステルを構成する他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等を挙げることができる。
ポリエステルを構成するジオール成分としては、エチレングリコールの他、1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、ビスフェノールA等の芳香族系ジオール等を挙げることができる。
ポリエステルの製造方法としては公知の方法が採用でき、上記のジカルボン酸とジオールとを直接エステル化反応させるか、あるいは、エステル交換反応させる第一段階と、この第一段階の反応生成物を重縮合反応させる第二段階とによって製造する方法等により製造することができる。この際、反応触媒として、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物等を用いることができる。
本発明のハードコートポリエステルフィルムを形成するポリエステル樹脂の中には、必要に応じて各種の添加剤、例えば、ワックス類、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、減粘剤、熱安定剤、着色用顔料、着色防止剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。
本発明のハードコートポリエステルフィルムを形成する樹脂の中には、フィルムの作業性(滑り性)を良好にする滑剤としての微粒子を添加してもよい。微粒子としては、任意のものを選択することができるが、例えば、無機系微粒子としては、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム等、有機系微粒子としては、例えば、アクリル系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等を挙げることができる。微粒子の平均粒径は、0.05〜3.0μmの範囲内(コールターカウンタにて測定した場合)で、必要に応じて適宜選択することができる。
なお、本発明のハードコートポリエステルフィルムには、ポリエステル樹脂層を少なくとも1層有する積層型のポリエステルフィルムも含まれる。ポリエステル樹脂層が2層以上積層されるときは、そのポリエステル樹脂層は同じ組成のポリエステルであっても、異なる組成のポリエステルであってもよい。また、他の層として積層可能な層は、熱可塑性樹脂層であれば、特に限定されない。
次に、本発明のハードコートポリエステルフィルムのハードコート層について説明する。
本発明のハードコート層は、親水性の6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートと、親水性樹脂を必須成分として含有する塗布液から形成される。ウレタン(メタ)アクリレートが6官能以上でないと、耐傷つき性が不充分となる。6官能より少ない官能基のウレタン(メタ)アクリレートを一部に用いてもよいが、4官能または5官能のウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。このとき、全部(100質量%)のウレタン(メタ)アクリレート中、6官能より少ない官能基のウレタン(メタ)アクリレートは50質量%以下とすることが好ましい。塗膜の硬度を確保するためである。なお、ウレタン(メタ)アクリレートを用いるのは、他のエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリル系オリゴマーよりも応力を緩和する作用が優れており、塗膜が脆くならないからである。
本発明で用いる6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートは、分子中にポリアルキレングリコール鎖を有していることが好ましい。このポリアルキレングリコール鎖を導入することにより、得られるウレタン(メタ)アクリレートが親水性となり、水性塗布液の形態でポリエステルフィルムに塗布することができる。また、ポリアルキレングリコール鎖は柔軟なため、カール抑制に効果的である。さらに、有機溶媒系の塗布液に比べ、環境へ与える負荷が小さくなるというメリットもある。
ポリアルキレングリコール鎖の分子量は300〜1000とすることが好ましい。分子量が300より小さいと、得られるウレタン(メタ)アクリレートの親水性が不充分となるおそれがあり、1000を超えると塗膜の硬度が低下するおそれがある。ポリアルキレングリコール鎖としては、ポリエチレングリコール鎖、ポリプロピレングリコール鎖、ポリエチレン−プロピレングリコール鎖(ランダムでもブロックでもよい)が挙げられ、いずれでもよい。ポリアルキレングリコール鎖の分子量が上記範囲であれば、得られるウレタン(メタ)アクリレートは、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールあるいは水とこれらのアルコールとの混合溶媒に溶解する程度に親水性となる。すなわち、後述する親水性樹脂の水分散体と混合して、これらの低級アルコールと水との混合溶媒で希釈しても析出しないので、これらの低級アルコールと水との混合溶媒に溶解することが確認できている。
6官能以上で、ポリアルキレングリコール鎖が導入されたウレタン(メタ)アクリレートを合成するには、ポリイソシアネートと、グリシジル基含有(メタ)アクリレートと、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルと、多価アルコールを反応させる。ポリイソシアネートとしては、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の各種ジイソシアネートから得られる3量体;これらのジイソシアネート類をトリメチロールプロパン等の多価アルコールと反応させたプレポリマー;ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられ、特に、イソシアヌレート環構造を有するヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の3量体が好ましい。
グリシジル基含有(メタ)アクリレートは、多価アルコールのヒドロキシル基と反応して、(メタ)アクリロイル基をウレタン(メタ)アクリレートに導入する。具体例としては、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートが挙げられる。
ポリアルキレングリコールアルキルエーテルは、末端がヒドロキシ基とアルキルエーテルとなっているが、塗膜を熱硬化させる際の加熱時(ポリエステルフィルムの最終熱処理時)に、アルキル部分が外れ、両末端がヒドロキシ基となって、イソシアネート基と反応する。これにより、2つのHDIの3量体をポリアルキレングリコール鎖でつないだ構造のウレタン(メタ)アクリレートが得られる。すなわち、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルは、鎖延長剤ということもできる。
ポリアルキレングリコールアルキルエーテルとしては、ポリエチレングリコールメチルエーテル(メトキシポリエチレングリコールともいう)、ポリプロピレングリコールメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)メチルエーテル等が挙げられ、ポリエチレングリコールメチルエーテルが好ましい。これらのポリアルキレングリコールアルキルエーテルは各種の分子量のものが市販されているので、ウレタン(メタ)アクリレートに導入したいポリアルキレングリコール鎖の分子量に応じた分子量のものを選択するとよい。
上記したように、2つのHDIの3量体の6つのイソシアネート基のうちの2つは、ポリアルキレングリコール鎖の導入のために使われるので、確実に6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートを得るために、多価アルコールを加える。この多価アルコールのヒドロキシ基の一部(通常1個)とHDIの3量体に残存しているイソシアネート基が反応し、多価アルコールの残りのヒドロキシ基が導入されるため、グリシジル基含有(メタ)アクリレートとの反応点が増大するのである。
多価アルコールとしては、3官能以上の多価アルコールが好ましく、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられ、4官能のペンタエリスリトールが好ましい。
なお、HDIの3量体のイソシアネート基は、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルと、多価アルコールとの反応によっては、完全に消費されないことがある。しかし、ウレタン(メタ)アクリレートにイソシアネート基が残存していると、溶媒中もしくは空気中の水分とイソシアネート基が反応して、ゲル化したり凝集物が生じたりするため好ましくない。また、経時で自発的にウレタン結合が生成するため、粘度が上がる等して、保存安定性や取り扱い性が悪くなる等の問題が発生するため好ましくない。このため、反応後期に、さらに、グリシジル基(メタ)アクリレートを加えることが好ましい。また、残存するイソシアネート基を消失させるため、ひまし油脂肪酸、硬化ひまし油脂肪酸;6−ヒドロキシカプロン酸;エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;トリエチルアミン、ヘキサメチレンジアミン、アミノエタノール等のアミン化合物等を添加することが好ましい。
反応の際は、4−メトキシフェノール等の重合禁止剤を適宜添加することが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートの合成は以下のように行うことが好ましい。まず、反応容器に、ポリイソシアネート、多価アルコール、グリシジル基含有(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルおよび重合禁止剤を仕込み、撹拌しながら、エステル化触媒としてのオクチル酸第1錫を加え、ある程度反応させる。次いで、追加のグリシジル基含有(メタ)アクリレートを加え、ウレタン(メタ)アクリレート中にさらに(メタ)アクリロイル基を導入する。その後、ひまし油脂肪酸等の上記化合物を添加し、残存するイソシアネート基を消失させる。残存イソシアネート基がなくなったことを、例えば、FTIR等で確認すれば、合成反応は完了である。得られたウレタン(メタ)アクリレートが6官能のウレタン(メタ)アクリレートを含んでいるか否かはNMR等で確認できる。この合成反応により6官能未満(4官能と5官能)のウレタン(メタ)アクリレートも生成するが、NMRの結果から、本発明のウレタン(メタ)アクリレートは85質量%以上の6官能ウレタン(メタ)アクリレートを含んでいることが確認できている。
上記合成反応において、グリシジル基含有(メタ)アクリレートの使用量を100質量部とした場合、ポリイソシアネートは250〜500質量部、多価アルコールは100〜200質量部、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルは5〜50質量部の範囲で使用することが好ましい。特にポリアルキレングリコールアルキルエーテルが5質量部未満の場合、ウレタン(メタ)アクリレート中の親水性部位が不足して、アルコール水溶液等への溶解性が不充分となるおそれがある。また、50質量部を超えると、親水性は良好となるが、分子鎖が長くなって、硬度が低下するおそれがある。
また、反応時には、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、フェノチアジン等の重合禁止剤を、反応系に対して好ましくは10〜5000ppm、より好ましくは50〜2000ppm使用するか、窒素パージ等によるエアーシールを行うのがよい。
さらに、オクチル酸第1錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジエチルヘキサノエート、ジブチル錫サルファイト、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトアセテート、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)等の公知のウレタン化触媒を使用することが好ましい。
反応温度は60〜80℃、反応時間は1〜5時間とすることが好ましい。この温度範囲であれば、反応が進行しやすく、アクリレート基同士の重合反応が進行することがないためである。また、80℃を超えると、急激に反応が進行して、低分子量体の生成量が増える傾向にあるため好ましくない。
また、未反応のグリシジル(メタ)アクリレートが残存していると、グリシジル基の皮膚刺激性が問題となるため、メチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、アミノエタノール、ピリジン等のアミノ化合物で中和して、低刺激性材料へと変えておくことが好ましい。
反応に使用することのできる溶媒としては、水(なお、水のみを用いる場合は、溶液ではなく、エマルジョンとなる)、エタノール、n−ブタノール、イソプロピルアルコール、ジアセトンアルコール、プロピレングリコール、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、N−メチルピロリドン等の水溶性溶媒が挙げられる。水溶性溶媒以外は、親水性ポリエステルへの添加の際に、凝集等が発生するため好ましくない。また、エマルジョン形成の際は、凝集や沈降等を防止する観点から、固形分濃度は45質量%以下とすることが好ましい。
次に親水性樹脂について説明する。本発明では、親水性樹脂とは水分散可能な樹脂を指す(ウレタン(メタ)アクリレートの「親水性」とは意味が異なる)。親水性樹脂には、ポリウレタン系、ポリアクリル系等種々あるが、本発明では、基材のポリエステルフィルムとの密着性向上効果が優れている親水性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
親水性ポリエステル樹脂は、上記のポリエステルフィルムの原料として例示したジカルボン酸成分とジオール成分とを適宜選択すると共に、親水性にするために、カルボン酸(塩)基を含む化合物、スルホン酸(塩)基を含む化合物、ホスホン酸(塩)基を含む化合物等を共重合することが好ましい。
カルボン酸(塩)基を含む化合物としては、例えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸等、あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等を挙げることができる。
スルホン酸(塩)基を含む化合物としては、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、スルホ−p−キシリレングリコール、2−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等、あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることができる。
ホスホン酸(塩)基を含む化合物としては、例えば、ホスホテレフタル酸、5−ホスホイソフタル酸、4−ホスホイソフタル酸、4−ホスホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ホスホ−p−キシリレングリコール、2−ホスホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等、あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることができる。
好ましいポリエステルとしては、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を選択し、ジオール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールから選ばれるものを用いた共重合体等が挙げられる。5−ナトリウムスルホイソフタル酸の量は、ジカルボン酸成分100モル%中、1〜30モル%であることが好ましい。この範囲であれば、分散体にしたときの分散安定性が良好となる。
上記ポリエステルは、以下の製造法によって製造することができる。例えば、ジカルボン酸成分が、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、あるいはこれらのエステルからなり、グリコール成分が、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールからなるポリエステルについて説明すると、これらの成分を直接エステル化反応させるか、あるいは、エステル交換反応させる第一段階と、この第一段階の反応生成物を重縮合反応させる第二段階とによって製造する方法等により製造することができる。この際、反応触媒として、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物等を用いることができる。
ポリエステルの還元粘度は、0.02〜1.80dl/gが好ましい。より好ましい下限は0.05dl/g、さらに好ましい下限は0.10dl/gである。また、より好ましい上限は1.0dl/g、さらに好ましい上限は0.60dl/gである。還元粘度が0.02dl/g未満であると、分子鎖中に存在する親水性基が不足して、経時的に凝集や沈降が生じるおそれがある.一方、還元粘度が1.80dl/gを超える場合、樹脂中の分子鎖間の凝集力が強くなる傾向にあり、親水基が水と接触するのを妨げるため、水分散が充分達成されないおそれがある。
得られたポリエステルは、一旦溶媒に加熱溶解させて、撹拌しながらその溶液中に水を徐々に加えればよい。溶媒の量はポリエステル100質量部に対し30〜100質量部が好ましく、水は100〜300質量部が好ましい。溶媒の量が30質量部未満の場合、ポリエステル中の分子鎖間の凝集力が低下せず、後工程で水を加えた際に、ポリエステルが分散不良となるおそれがある。また100質量部を超える場合、ポリエステル中に多くの溶媒が残存して、他の混合物の溶解性不良や、塗膜とした際に乾燥不良を引き起こす可能性がある。さらに、水の質量部数が100質量部未満であると、固形分濃度が上昇することで、長期保存時にポリエステルの凝集や沈降が生じやすい。一方、300質量部を超えると固形分濃度が薄くなりすぎて、生産性の低下や、他の混合物との配合時に支障をきたす等の問題が生じるおそれがある。上記溶液に水を加えた後、減圧して、溶媒を留去させて、水のみを媒体とする分散体としてもよい。また分散安定性を高めるために、アルカリで中和しても構わない。用い得る溶媒の具体例としては、n−ブタノール、イソプロピルアルコール、ジアセトンアルコール、2−エチルヘキサノール、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、n−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−オキソラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。分散安定性が良好なのは、イソプロピルアルコール、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ブチルカルビトール等であり、これらの使用が特に好ましい。またこれらの有機溶剤は、溶媒に水以外のものを用いない、完全水系のポリエステル樹脂水分散体を製造するときは、水分散体を有機溶剤の沸点以上に加熱し、有機溶剤を揮発、脱有機溶剤する必要がある。そうでない場合はこれらの有機溶剤はポリエステル樹脂水分散体中に含まれていてもよい。
また、水分散ポリエステル樹脂として、例えば市販されている「バイロナール(登録商標)」シリーズ(東洋紡社製)を用いることもできる。
次に、本発明で用いるハードコート層形成用水性塗布液(以下、単に「水性塗布液」ということがある)について説明する。この水性塗布液には、ウレタン(メタ)アクリレートと、親水性ポリエステル樹脂と、溶媒が含まれる。ウレタン(メタ)アクリレートと親水性ポリエステル樹脂との配合比率は、ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対し、親水性ポリエステル樹脂を5〜30質量部とすることが好ましい。すなわち、本発明のハードコート層(塗布層)には、ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対し、親水性ポリエステル樹脂を5〜30質量部が含まれることとなる。ハードコート層のポリエステル樹脂が5質量部未満の場合、ポリエステルフィルムとの密着性が向上しないおそれがあり、30質量部を超えて添加すると、ハードコート層の硬度が低下するおそれがある。
溶媒は、塗布液を塗工しやすくするためのものであり、レベリング性の向上を目的に、水と、水に可溶な有機溶媒を混合したものを用いるのが好ましい。水溶性の有機溶媒としては、エチレングリコールn−ブチルエーテル、イソプロパノール、エタノール、n−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−オキソラン、メチルソロソルブ、エチルソロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。水性塗布液の不揮発分濃度は特に限定されないが、30〜50質量%程度が好ましい。
水性塗布液には、ウレタン(メタ)アクリレートの硬化を速めるために、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤、光重合開始剤をいずれも用いることができる。
次に本発明のハードコートポリエステルフィルムの製造方法を説明する。ハードコートポリエステルフィルムは、上記したポリエステル原料を押出機により溶融押し出しして未延伸フィルムを形成し、(1)未延伸フィルムの片面または両面に水性塗布液を塗布し、次いで少なくとも一方向に延伸する方法(インライン法)、(2)未延伸フィルムを縦延伸し、縦延伸後のフィルムの片面または両面に水性塗布液を塗布し、次いで、横延伸する方法(インライン法、縦と横は逆でもよい)、(3)二軸延伸フィルムを製造しておいて、オフラインでフィルムの片面または両面に水性塗布液を塗布する方法が挙げられる。
本発明のハードコートポリエステルフィルムは、塗布層が、親水性の6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートと、ウレタン(メタ)アクリレート以外の親水性樹脂とを含むことから、水性塗布液で塗工でき、テンターで塗布層の乾燥や熱硬化が容易であるので、上記(1)や(2)のインライン法を容易かつ好適に採用することができる。
原料樹脂を溶融押し出しする際には、ポリエステル原料をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥するのが好ましい。そのようにポリエステル原料を乾燥させた後に、押出機を利用して、200〜300℃の温度で溶融しフィルム状に押し出す。押し出しに際しては、Tダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用することができる。
そして、押し出し後のシート状の溶融樹脂を急冷することによって未延伸フィルムを得ることができる。なお、溶融樹脂を急冷する方法としては、溶融樹脂を口金から回転ドラム上にキャストして急冷固化することにより実質的に未配向の樹脂シートを得る方法を好適に採用することができる。
得られた未延伸フィルムは、必要により50〜120℃、好ましくは60〜110℃で予熱した後、ロール方式の縦延伸機に導き、80〜125℃に加熱した後、ロールの周速差により縦方向に2.5〜5.0倍程度延伸して、一軸延伸フィルムを得る。その後、水性塗布液を、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレーコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式、バーコート方式等で、塗布する。塗布量は、硬化後の塗膜の厚みが0.5〜10μmの範囲となるように調整することが好ましい。塗膜厚みが0.5μm未満の場合、塗膜の強度が十分に得られず、目的の硬度が達成できない。また、10μmを超えた場合、表面硬度やカールに問題はないが、必要以上に厚く塗布することで、コスト的な問題が生じる可能性がある。
塗布後、80〜120℃で数十秒程度乾燥させ、テンター等で2.5〜5.0倍に横延伸する。延伸温度は、80℃以上150℃以下である。横延伸後は、180℃〜250℃で、フィルムの幅の長さを固定した状態で0.3〜数秒程度、熱処理し、続いて、180℃〜250℃で、フィルムの幅方向に1〜5%程度の緩和熱処理をすることが好ましい。緩和熱処理は、5〜15秒とすることが好ましい。この横延伸後の熱処理で、ウレタン(メタ)アクリレートが重合し、硬化塗膜(ハードコート層)が得られる。これにより、本発明のハードコートポリエステルフィルムが得られる。なお、ポリエステルフィルム(塗膜を除く)の厚みは、50〜200μmが好ましい。
本発明のハードコートポリエステルフィルムは、鉛筆硬度がHB以上であることが好ましい。また、後述する方法で測定されるカールの高さは3mm未満であることが好ましい。さらに、後述する方法で測定される碁盤目密着性試験での残存マス目は、81%以上であることが好ましい。
次に、実施例および比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。なお、フィルムの評価方法を以下に示す。
[FTIR測定]
ウレタン(メタ)アクリレート中の残存イソシアネート基は、FTIR(FTIR−8900;島津製作所製)を用いて確認した。測定は全反射測定法(ATR)で行い、ウレタン(メタ)アクリレートをGe結晶の表面に塗布して、IRスペクトルを得た。得られたIRスペクトルから、イソシアネート基に帰属される2270cm-1のピークを同定し、前記ピークの有無で残存イソシアネート基の消失を判断した。
[(メタ)アクリロイル基の数の測定]
ウレタン(メタ)アクリレート中に導入されたメタクリロイル基の官能基数は、核磁気共鳴分光法(1H−NMR:Varian Unity 400、Agilent社製)を用いて確認した。測定は、合成したウレタン(メタ)アクリレートを重クロロフォルムに溶解させて行った。得られたNMRスペクトルから、(メタ)アクリロイル基中の二重結合部位に帰属される化学シフトδ(ppm)=5.96、6.14、6.52のピークを同定した。得られた各ピークの積分強度を求め、二重結合部位の水素数と積分強度から、ウレタン(メタ)アクリレートに導入された(メタ)アクリロイル基の官能基数を確認した。
[カールの高さ測定]
ハードコートポリエステルフィルムを10cm角に切り取って平滑な面に置き、4隅の浮き上がり高さの平均値をカールの高さとして、下記の基準でランク分けをした。
○:4隅のカール平均高さ3mm未満
△:4隅のカール平均高さ3〜5mm
×:4隅のカール平均高さ5mm超
[密着性]
ハードコートポリエステルフィルムの表面に、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて、ハードコート層を貫通して基材フィルムに達する100個のマス目状の切り傷をつける。次いで、セロハンテープ(登録商標;ニチバン社製;405番;24mm幅)をマス目状の切り傷面に貼り付け、消しゴムでこすって完全に密着させた。その後、垂直にセロハンテープをハードコート層から引き剥がし、基材フィルムから剥がれたハードコート層のマス目の数を目視で数え、下記の式から密着性を求めた。なお、マス目の中で部分的に剥離しているものも剥がれたマス目として数え、下記の基準でランク分けをした。
密着性(%)=(1−剥がれたマス目の数/100)×100
◎:100〜91%、または、ポリエステルフィルム基材の材破
○:90〜81%
△:80〜31%
×:30〜0%
[鉛筆硬度]
JIS K 5600−5−4に準拠し、鉛筆引っかき試験機を用いて鉛筆硬度を測定した。試料とするハードコートポリエステルフィルム上に、鉛筆を45°の角度で1kgfの荷重を掛けた状態で5mm程度引っかき、傷の付き具合を確認した。測定は5回行い、5回とも傷がなかったときの鉛筆の硬さを、鉛筆硬度とした。
[スチールウール試験]
スチールウール#0000に100g/cm2の荷重を掛けて10往復したときの傷の状況を下記基準で判定した。
◎:傷なし
○:1〜5本程度の傷が発生した
△:6〜10本程度の傷が発生した
×:全面に傷が発生した
製造例1
[ポリエステル樹脂の重合]
撹拌機、温度計、および還流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート188質量部、ジメチルイソフタレート184質量部、ジメチル−5−ナトリウムスルホイソフタレート40質量部、エチレングリコール200質量部、ネオペンチルグリコール200質量部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.2質量部を仕込み、160℃から220℃まで4時間かけてエステル交換反応を行った。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、30Paの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステル樹脂(A−1)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(A−1)は、淡黄色透明であった。同様の方法で、ジメチルー5−ナトリウムスルホイソフタレートの仕込み部数を表1に示したように変更した共重合ポリエステル樹脂(A−2)〜(A−3)を得た。
[親水性ポリエステル樹脂の調製]
撹拌機、温度計と還流装置を備えた反応器に、ポリエステル樹脂(A−1)を30質量部、エチレングリコールn−ブチルエーテル15質量部を入れ、110℃で加熱しながら攪拌して樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、水55質量部をポリエステル溶液に攪拌しつつ徐々に添加した。添加後、液を攪拌しつつ室温まで冷却して、不揮発分濃度が30質量%の乳白色の分散体である親水性ポリエステル樹脂(B−1)を作製した。同様に共重合ポリエステル樹脂(A−1)の代わりに共重合ポリエステル樹脂(A−2)〜(A−3)を使用して、親水性ポリエステル樹脂を作製し、それぞれ親水性ポリエステル樹脂(B−2)〜(B−3)とした。
製造例2
[ウレタンメタクリレートNo.1の合成]
撹拌機、温度計と還流冷却器を備えた反応器に、HDIの3量体(コロネートHX、日本ポリウレタン社(現東ソー)製)365.4質量部、ペンタエリスリトール(ノイライザー(登録商標)P、日本合成化学工業社製)130質量部、グリシジルメタクリレート100.3質量部、ポリエチレングリコールメチルエーテル(分子量350、シグマアルドリッチ社製)25.1質量部および4−メトキシフェノール0.8質量部を仕込み、次いで撹拌下にオクチル酸第1錫0.16質量部を加え、系内を昇温した。70℃で1.5時間保温した後、グリシジルメタクリレート31.4質量部を加えさらに1時間保温した。その後、ひまし油脂肪酸(豊国製油社製、商品名CO−FA)105.0質量部を加え、HDIの3量体中の残存イソシアネート基と、ひまし油脂肪酸の水酸基とを反応させた。得られたウレタンメタクリレート中に、残存イソシアネート基が存在しないことをFTIR測定にて確認した。またNMR測定から、ウレタンメタクリレートに、6個のメタクリロイル基が導入されていることを確認した。次いで、ウレタンメタクリレート200質量部を60〜70℃に保温し、撹拌下にトリエチルアミン6.1質量部を加えて中和し、さらにイソプロパノール40.5質量部を加え、不揮発分濃度が80質量%のウレタンメタクリレートNo.1の溶液を得た。
製造例3
[ウレタンメタクリレートNo.2の合成]
撹拌機、温度計と還流冷却器を備えた反応器に、HDIの3量体(コロネートHX、日本ポリウレタン社(現東ソー)製)334質量部、ペンタエリスリトール(ノイライザー(登録商標)P、日本合成化学工業社製)130質量部、グリシジルメタクリレート100.3質量部、ポリエチレングリコールメチルエーテル(分子量550、シグマアルドリッチ社製)19.3質量部および4−メトキシフェノール0.8質量部を仕込み、次いで撹拌下にオクチル酸第1錫0.16質量部を加え、系内を昇温した。70℃で1.5時間保温した後、グリシジルメタクリレート31.4質量部を加えさらに1時間保温した。その後、ひまし油脂肪酸(豊国製油社製、商品名CO−FA)105質量部を加え、HDIの3量体中の残存イソシアネート基と、ひまし油脂肪酸の水酸基とを反応させた。得られたウレタンメタクリレート中に、残存イソシアネート基が存在しないことをFTIR測定にて確認した。またNMR測定から、ウレタンメタクリレートに、6個のメタクリロイル基が導入されていることを確認した。次いで、ウレタンメタクリレート200質量部を60〜70℃に保温し、撹拌下にトリエチルアミン6.1質量部を加えて中和し、さらにイソプロパノール40.5質量部を加え、不揮発分濃度が80質量%のウレタンメタクリレートNo.2の溶液を得た。
製造例4
[ウレタンメタクリレートNo.3の合成]
撹拌機、温度計と還流冷却器を備えた反応器に、HDIの3量体(コロネートHX、日本ポリウレタン社(現東ソー)製)310質量部、ペンタエリスリトール(ノイライザー(登録商標)P、日本合成化学工業社製)130質量部、グリシジルメタクリレート100.3質量部、ポリエチレングリコールメチルエーテル(分子量2000、シグマアルドリッチ社製)15質量部および4−メトキシフェノール0.8質量部を仕込み、次いで撹拌下にオクチル酸第1錫0.16質量部を加え、系内を昇温した。70℃で1.5時間保温した後、グリシジルメタクリレート31.4質量部を加えさらに1時間保温した。その後、ひまし油脂肪酸(豊国製油社製、商品名CO−FA)105質量部を加え、HDIの3量体中の残存イソシアネート基と、ひまし油脂肪酸の水酸基とを反応させた。得られたウレタンメタクリレート中に、残存イソシアネート基が存在しないことをFTIR測定にて確認した。またNMR測定から、ウレタンメタクリレートに、6個のメタクリロイル基が導入されていることを確認した。次いで、ウレタンメタクリレート200質量部を60〜70℃に保温し、撹拌下にトリエチルアミン6.1質量部を加えて中和し、さらにイソプロパノール40.5質量部を加え、不揮発分濃度が80質量%のウレタンメタクリレートNo.3の溶液を得た。
製造例5
[ウレタンメタクリレートNo.4の合成]
撹拌機、温度計と還流冷却器を備えた反応器に、HDIの3量体(コロネートHX、日本ポリウレタン社(現東ソー)製)310質量部、グリシジルメタクリレート100.3質量部、ポリエチレングリコールメチルエーテル(分子量350、シグマアルドリッチ社製)25.1質量部および4−メトキシフェノール0.8質量部を仕込み、次いで撹拌下にオクチル酸第1錫0.16質量部を加え、系内を昇温した。70℃で1.5時間保温した後、グリシジルメタクリレート31.4質量部を加えさらに1時間保温した。その後、ひまし油脂肪酸(豊国製油社製、商品名CO−FA)105.0質量部を加え、HDIの3量体中の残存イソシアネート基と、ひまし油脂肪酸の水酸基とを反応させた。得られたウレタンメタクリレート中に、残存イソシアネート基が存在しないことをFTIR測定にて確認した。またNMR測定から、ウレタンメタクリレートに、4個のメタクリロイル基が導入されていることを確認した。次いで、ウレタンメタクリレート200質量部を60〜70℃に保温し、撹拌下にトリエチルアミン6.1質量部を加えて中和し、さらにイソプロパノール40.5質量部を加え、不揮発分濃度が80質量%のウレタンメタクリレートNo.4の溶液を得た。
製造例6
[塗布液の調製例1]
イソプロパノール水溶液(水含量70質量%)、ウレタンメタクリレートNo.1の溶液および親水性ポリエステル樹脂(B−1)を混合して、ウレタンメタクリレートNo.1と親水性ポリエステル樹脂(B−1)の不揮発分の質量比が10:0.5で、不揮発分濃度が40質量%となるように塗布液(1)を調製した。同様の手順で、ウレタンメタクリレートNo.1と親水性ポリエステル樹脂(B−1)の不揮発分の質量比を表2に示したように変えて、不揮発分濃度が40質量%の塗布液(2)〜(3)を調製した。
[塗布液の調製例2]
イソプロパノール水溶液(水含量70質量%)、ウレタンメタクリレートNo.1の溶液および親水性ポリエステル樹脂(B−2)を混合して、ウレタンメタクリレートNo.1と親水性ポリエステル樹脂(B−2)の不揮発分の質量比が10:0.5で、不揮発分濃度が40質量%となるように塗布液(4)を調製した。同様の手順で、ウレタンメタクリレートNo.1と親水性ポリエステル樹脂(B−2)の不揮発分の質量比を変えて、不揮発分濃度が40質量%の塗布液(5)〜(6)を調製した。
[塗布液の調製例3]
イソプロパノール水溶液(水含量70質量%)、ウレタンメタクリレートNo.1の溶液および親水性ポリエステル樹脂(B−3)を混合して、ウレタンメタクリレートNo.1と親水性ポリエステル樹脂(B−3)の不揮発分の質量比が10:0.5で、不揮発分濃度が40質量%となるように塗布液(7)を調製した。同様の手順で、ウレタンメタクリレートNo.1と親水性ポリエステル樹脂(B−3)の不揮発分の質量比を変えて、不揮発分濃度が40質量%の塗布液(8)〜(9)を調製した。
[塗布液の調製例4]
イソプロパノール水溶液(水含量70質量%)、ウレタンメタクリレートNo.2の溶液および親水性ポリエステル樹脂(B−1)を混合して、ウレタンメタクリレートNo.2と親水性ポリエステル樹脂(B−1)の不揮発分の質量比が10:0.5で、不揮発分濃度が40質量%となるように塗布液(10)を調製した。同様の手順で、ウレタンメタクリレートNo.2と親水性ポリエステル樹脂(B−1)の不揮発分の質量比を変えて、不揮発分濃度が40質量%の塗布液(11)〜(12)を調製した。
[塗布液の調製例5]
イソプロパノール水溶液(水含量70質量%)、ウレタンメタクリレートNo.2の溶液および親水性ポリエステル樹脂(B−2)を混合して、ウレタンメタクリレートNo.2と親水性ポリエステル樹脂(B−2)の不揮発分の質量比が10:0.5で、不揮発分濃度が40質量%となるように塗布液(13)を調製した。同様の手順で、ウレタンメタクリレートNo.2と親水性ポリエステル樹脂(B−2)の不揮発分の質量比を変えて、不揮発分濃度が40質量%となるように塗布液(14)〜(15)を調製した。
[塗布液の調製例6]
ウレタンメタクリレートNo.1の溶液とウレタンメタクリレートNo.4の溶液を、同じ質量部数にて混合して、ウレタンメタクリレートの混合物を調製した。次いで、イソプロパノール水溶液(水含量70質量%)中に、このウレタンメタクリレートの混合物と、および親水性ポリエステル樹脂(B−1)を加えて混合し、ウレタンメタクリレートの混合物と親水性ポリエステル樹脂(B−1)の不揮発分の質量比が10:0.5で、不揮発分濃度が40質量%となるように塗布液(16)を調製した。同様の手順で、ウレタンメタクリレートNo.1とNo.4の混合物と親水性ポリエステル樹脂(B−1)の不揮発分の質量比を変えて、不揮発分濃度が40質量%となるように塗布液(17)〜(18)を調製した。
[塗布液の調製例7]
イソプロパノール水溶液(水含量70質量%)、ウレタンメタクリレートNo.3の溶液および親水性ポリエステル樹脂(B−1)を混合して、ウレタンメタクリレートNo.3と親水性ポリエステル樹脂(B−1)の不揮発分の質量比が10:1で、不揮発分濃度が40質量%となるように塗布液(19)を調製した。
[塗布液の調製例8]
イソプロパノール水溶液(水含量70質量%)、ウレタンメタクリレートNo.1の溶液、および水分散型ポリイソシアネート(デュラネート(登録商標)WB40−100、旭化成ケミカルズ社製)を混合して、ウレタンメタクリレートNo.1と水分散型ポリイソシアネートの不揮発分の質量比が10:0.5で、不揮発分濃度が40質量%となるように塗布液(20)を調製した。
[塗布液の調製例9]
イソプロパノール水溶液(水含量70質量%)とウレタンメタクリレートNo.1の溶液を混合して、不揮発分濃度が40質量%となるように塗布液(21)を調製した。
[塗布液の調製例10]
イソプロパノール水溶液(水含量70質量%)、ウレタンメタクリレートNo.4の溶液および親水性ポリエステル樹脂(B−1)を混合して、ウレタンメタクリレートNo.4と親水性ポリエステル樹脂(B−1)の不揮発分の質量比が10:1で、不揮発分濃度が40質量%となるように塗布液(22)を調製した。
[塗布液の調製例11]
イソプロパノール水溶液(水含量70質量%)、ポリエステルアクリレート(EBECRYL(登録商標)1830、ダイセルオルネクス社製、6官能)および親水性ポリエステル樹脂(B−1)を混合させて、ポリエステルアクリレートと親水性ポリエステル樹脂(B−1)の不揮発分の質量比が10:1で、不揮発分濃度が40質量%となるように塗布液(23)を調製した。
[塗布液の調製例12]
イソプロパノール水溶液(水含量70質量%)、水溶性エポキシアクリレート(Miramer(登録商標)WS2100、MIWON社製、2官能)および親水性ポリエステル樹脂(B−1)を混合して、水溶性エポキシアクリレートと親水性ポリエステル樹脂(B−1)の不揮発分の質量比が10:1で、不揮発分濃度が40質量%となるように塗布液(24)を調製した。
実施例1
フィルム原料ポリマーとして、固有粘度が0.62dl/gで、かつ粒子を実質上含有していないポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂ペレットを、133Paの減圧下、135℃で6時間乾燥した。その後、押し出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出しして、表面温度20℃に保った回転冷却金属ロール上で急冷密着固化させ、未延伸PETシートを得た。
この未延伸PETシートを加熱されたロール群および赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して、一軸延伸PETフィルムを得た。
次いで、塗布液(1)をメタリングバーコート法で、塗布量が14g/m2になるように、一軸延伸PETフィルムの片面に塗布した後、80℃で20秒間乾燥させた。引続いてテンターで、120℃で幅方向に4.0倍に延伸し、フィルムの幅方向の長さを固定した状態で、230℃で0.5秒間加熱し、さらに230℃で10秒間3%の幅方向の弛緩処理を行い、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
実施例2
塗布液(2)を一軸延伸PETフィルムの片面に塗布する以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
実施例3
塗布液(3)を一軸延伸PETフィルムの片面に塗布する以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
実施例4
塗布液(4)を一軸延伸PETフィルムの片面に塗布する以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
実施例5
塗布液(5)を一軸延伸PETフィルムの片面に塗布する以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
実施例6
塗布液(6)を一軸延伸PETフィルムの片面に塗布する以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
実施例7
塗布液(7)を一軸延伸PETフィルムの片面に塗布する以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
実施例8
塗布液(8)を一軸延伸PETフィルムの片面に塗布する以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
実施例9
塗布液(9)を一軸延伸PETフィルムの片面に塗布する以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
実施例10
塗布液(10)を一軸延伸PETフィルムの片面に塗布する以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
実施例11
塗布液(11)を一軸延伸PETフィルムの片面に塗布する以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
実施例12
塗布液(12)を一軸延伸PETフィルムの片面に塗布する以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
実施例13
塗布液(13)を一軸延伸PETフィルムの片面に塗布する以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
実施例14
塗布液(14)を一軸延伸PETフィルムの片面に塗布する以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
実施例15
塗布液(15)を一軸延伸PETフィルムの片面に塗布する以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
実施例16
塗布液(16)を一軸延伸PETフィルムの片面に塗布する以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
実施例17
塗布液(17)を一軸延伸PETフィルムの片面に塗布する以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
実施例18
塗布液(18)を一軸延伸PETフィルムの片面に塗布する以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
比較例1
特開2005−76005号公報(特許文献1)の記載に準じて、乾留冷却器、撹拌機、温度計、温度調節装置および水分離器を備えた反応器に、ポリエステルポリオールデンドリマー化合物として、ペルストルプ アー・ベー社製の「BOLTORN(登録商標)H20」(OH化:504mg・KOH/g)5.7gとアクリル酸39.6g(0.55モル)、反応溶媒としてトルエン63.4g、重合禁止剤としてハイドロキノン0.143g、酸触媒としてメタンスルホン酸0.9gを仕込み、反応温度100〜115℃で生成水を溶媒と共沸留去しながら反応させ、生成水が9.0mlに達したところで反応の終点とした。反応混合物をトルエン40gに溶解し、25% 苛性ソーダ水溶液で中和した後、15%食塩水20gで3回洗浄した。溶媒を減圧留去してポリエステルアクリレートデンドリマーを80.5g得た。
前記ポリエステルポリオールデンドリマー40質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標)DPHA、日本化薬社製、6官能)10質量部、オルガノシリカゾル(MEK−ST、日産化学工業社製)71.4質量部、光重合開始剤(イルガキュア(登録商標)184、BASF社製)2.5質量部を50質量部のメチルエチルケトンに溶解させて、塗布液を調製した。
前記塗布液をワイヤバーNo.5を用いてポリエステルフィルム(東洋紡社製:コスモシャイン(登録商標)A4100(表面コートあり)、膜厚50μm)の非易接着面側に塗布し、80℃の乾燥炉中に1分間放置後、空気雰囲気下で120W/cmの高圧水銀灯を用い、ランプ高さ10cmの距離から5m/分の搬送速度で紫外線を照射し、硬化皮膜(3μm)を有するフィルムを得た。
比較例2
特許第4444632号公報(特許文献2)の記載に準じて、ポリエステルフィルム(前記A4100、膜厚50μm)の非易接着面側に、2官能ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学工業社製、商品名「紫光(登録商標)UV−3520TL」、重量平均分子量14,000、固形分濃度70質量%)100質量部と、光重合開始剤(イルガキュア(登録商標)184、BASF製)3.5質量部と、トルエン/エチルセロソルブ質量比1/1の混合溶剤とを混合した固形分濃度30質量%の樹脂組成物からなる塗布液を、硬化後の厚さが3μmになるようにマイヤーバーNo.5で塗布した。
次いで、100℃で1分間乾燥後、紫外線(照度120mW/cm2、光量350mJ/cm2)を照射して、上記2官能ウレタンアクリレートオリゴマーの硬化樹脂層を形成した。さらに、この硬化樹脂層上に、光重合開始剤を含むウレタンアクリレート(ビームセット(登録商標)575CB、荒川化学工業社製、多官能ウレタンアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートの混合物、3〜6官能、固形分100質量%)にトルエンを加え、固形分濃度50質量%に調整したハードコート層形成用塗工液を、硬化後の厚みが3.7μmとなるように、マイヤーバーNo.6で塗布した。次に、100℃で1分間乾燥後、紫外線(照度120mW/cm2、光量250mJ/cm2)を照射してハードコート層を形成した。
比較例3
特開2009−84328号公報(特許文献3)の記載に準じて、コロイダルシリカ表面をメタクリロイル基で修飾させた反応性無機微粒子を調製した。次いで、ウレタンアクリレート化合物(KRM7804、ダイセルオルネクス社製、9官能)とウレタンアクリレートオリゴマー(UV1700B、日本合成化学工業社製、10官能)、前記の反応性無機微粒子、および光開始剤(イルガキュア(登録商標)184、BASF製)をメチルエチルケトンに溶解させて、固形分濃度30質量%の塗布液を調製した。
前記塗布液をワイヤバーNo.5を用いてポリエステルフィルム(前記A−4100、膜厚50μm)の非易接着面側に塗布し、80℃の乾燥炉中に1分間放置後、空気雰囲気下で120W/cmの高圧水銀灯を用い、ランプ高さ10cmの距離から5m/分の搬送速度で紫外線を照射し、硬化皮膜(3μm)を有するフィルムを得た。
比較例4
特許第5266827号公報(特許文献5)の記載に準じて、多官能型アクリレート化合物(KAYARAD(登録商標)DPHA、日本化薬社製、6官能)、エチレンオキサイド変性アクリレート化合物(アロニックス(登録商標)M-350、東亞合成社製、3官能)、アルキル化メラミン樹脂(サイメル(登録商標)303、ダイセルオルネクス社製)、硬化触媒(キャタリスト602、ダイセルオルネクス社製)、レベリング剤(アルフォン(登録商標)UP1000、東亞合成社製)、球状粒子(テクポリマー(登録商標)XX−02FP、積水化学工業社製)を混合して、塗布液を調製した。次いで、前記塗布液を用いる以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
比較例5
特許第5096924号公報(特許文献7)の記載に準じて、ウレタンアクリレート(Ebecryl(登録商標)8301、ダイセルオルネクス社製、6官能)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、過酸化物(Trigonox(登録商標)29B、Akzo Nobel社製)、オルガノシラン(Z6040、東レ・ダウコーニング社製)、メラミン樹脂(Cymel(登録商標)303、ダイセルオルネクス製)を混合して、塗布液を調製した。次いで、前記塗布液を用いる以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
比較例6
塗布液(19)を用いた以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
比較例7
塗布液(20)を用いた以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
比較例8
塗布液(21)を用いた以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
比較例9
塗布液(22)を用いた以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
比較例10
塗布液(23)を用いた以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
比較例11
塗布液(24)を用いた以外は、実施例1と同様にして、塗膜厚みが3μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。
比較例12
一軸延伸PETフィルム上に塗布液を塗布しないこと以外は、実施例1と同様にして、基材フィルムの厚さが50μmのポリエステルフィルムを得た。
実施例の内容と評価結果を表2に、比較例の内容と評価結果を表3に、それぞれ示した。
本発明のハードコートポリエステルフィルムは、薄いフィルムでありながらカールの発生や密着性不足といった問題がなく、硬度に優れ、インライン法で製造するのにも適している。したがって、本発明のハードコートポリエステルフィルムは、ディスプレイ等に主として用いられる、反射防止フィルム、防眩フィルム、光拡散シート、レンズシート、近赤外線遮断フィルム、透明導電性フィルム等の機能性フィルムの基材として有用である。

Claims (2)

  1. 少なくとも片面に塗布層を有するハードコートポリエステルフィルムであって、
    この塗布層が、親水性の6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートと、ウレタン(メタ)アクリレートでない親水性樹脂とを含み、
    前記ウレタン(メタ)アクリレートが分子中に分子量が300〜1000のポリアルキレングリコール鎖を有し、
    前記親水性樹脂が、親水性ポリエステル樹脂であることを特徴とするハードコートポリエステルフィルム。
  2. 上記塗布層には、ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対し、親水性樹脂が5〜30質量部含まれている請求項1記載のハードコートポリエステルフィルム。
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