Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JP6334182B2 - 車両 - Google Patents

車両 Download PDF

Info

Publication number
JP6334182B2
JP6334182B2 JP2014016134A JP2014016134A JP6334182B2 JP 6334182 B2 JP6334182 B2 JP 6334182B2 JP 2014016134 A JP2014016134 A JP 2014016134A JP 2014016134 A JP2014016134 A JP 2014016134A JP 6334182 B2 JP6334182 B2 JP 6334182B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
power
target
drive device
vehicle
wheel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014016134A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015140172A (ja
JP2015140172A5 (ja
Inventor
真利 野口
真利 野口
雄亮 阪口
雄亮 阪口
義紀 安藤
義紀 安藤
宗紀 塚本
宗紀 塚本
孔人 寺山
孔人 寺山
智一 本多
智一 本多
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2014016134A priority Critical patent/JP6334182B2/ja
Publication of JP2015140172A publication Critical patent/JP2015140172A/ja
Publication of JP2015140172A5 publication Critical patent/JP2015140172A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6334182B2 publication Critical patent/JP6334182B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/62Hybrid vehicles
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/72Electric energy management in electromobility

Landscapes

  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)
  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Description

この発明は、前輪(左前輪と右後輪)及び後輪(左後輪と右後輪)の一方が電動機により駆動されると共に、前記前輪及び前記後輪の他方が内燃機関及び/又は電動機等の動力源により駆動される車両に関する。
特許文献1の図1には、後輪(左後輪と右後輪)を駆動する左右の電動機と、前輪(左前輪と右前輪)を駆動する内燃機関に機械的に接続され発電機としても機能する電動機と、前記左右の電動機及び前記発電機としても機能する電動機に電気的に接続される蓄電器と、3つの前記電動機を制御する電動機制御装置と、を備える全輪駆動(AWD)可能な車両が開示されている。
特許文献1に記載された車両において、前記左右の電動機により車両を旋回させる際、例えば、左旋回させる場合を例として説明すると、旋回時に内輪となる左後輪を駆動する左電動機には回生トルクを発生させる一方、旋回時に外輪となる右後輪を駆動する右電動機には力行トルクを発生させる{特許文献1の図19の(a)、図19の(b)}。
このとき、特許文献1には、右電動機側の消費電力(力行電力+損失電力)と、左電動機側の回生電力(発電電力)とが等しくなる電力優先制御(旋回時ゼロ電力制御という。)を行うことで、蓄電器からの左右電動機の駆動に係わる放電電力(流出電力)をゼロ値とし、蓄電器を保護する技術が開示されている{特許文献1の[0124]、図19の(b)}。
さらに、特許文献1には、電力優先制御時に、右電動機の電力と左電動機の電力との和がゼロ値ではない、所定目標電力であってもよいことが記載されている(特許文献1の[0141])。
特許文献2にも、特許文献1と同様な構成の全輪駆動可能な車両が開示されている(特許文献2の図1)。
特許文献2には、例えば、後輪トルク差のない力行状態で後輪左右電動機による走行中に、左後輪に超過スリップが発生したとき、スリップが発生した左後輪を駆動する電動機(左電動機)の力行トルクを低下させる一方で、低下させた分、右後輪を駆動する電動機(右電動機)の力行トルクを増加させ、その後すぐに、右電動機の力行トルクを左電動機の力行トルクと同一となるように減少させ、さらに、後輪左右和トルクの減少分を前輪駆動装置である内燃機関を介して左右前輪に配分することで、スリップ前後の車両総トルクを維持するように制御する車両用駆動装置が開示されている{特許文献2の図20(a)、図20(b)、図20(c)、[0083]−[0089]}。
特許文献3には、内燃機関と電動機との間にダブルクラッチにより切り替えられる変速機を備え、且つ前記内燃機関が前記電動機に直列に接続されたハイブリッド車両用の駆動装置が開示されている(図1、図14)。
国際公開2013/005783号パンフレット 特開2013−215017号公報 特開2011−79379号公報
上述したように、特許文献2には、左右の電動機による後輪の駆動走行中に、一方の後輪に超過スリップが発生したとき、超過スリップが発生した後輪の駆動トルクを低減すると共に、ヨーモーメントが発生しないように、他方の後輪の駆動トルクもその分低減し、且つ車両の駆動力が低下しないように、低減した駆動トルクを前輪(左前輪と右前輪)に配分するように構成した車両用駆動装置が開示されている。
特許文献2には、このように制御することで、スプリットμ路上等においても、ドライバ要求に応じた十分なトルクを路面に伝達できるので、走行性能を維持することが可能となると開示されている([要約])。
しかしながら、車両の全輪駆動時に、前輪(左前輪と右前輪)及び後輪(左後輪と右後輪)の一方の動力源で発生できる動力が制限される条件下において、当該一方の動力源に配分される予定の動力の一部を他方の動力源に配分するように調整したとき、当該車両の前後動力配分が適正にならずに、当該車両に挙動の乱れが発生する可能性があるという知見を得た。
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、車両の全輪駆動時に、前輪(左前輪と右前輪)及び後輪(左後輪と右後輪)の一方が電動機により駆動されている場合に、前記電動機で発生できる動力が制限される条件下においては、当該電動機に配分される予定の動力の一部を他方の動力源に配分するように調整しようとする際、当該車両における挙動の乱れを抑制することを可能とする車両を提供することを目的とする。
この発明に係る車両は、前輪及び後輪のいずれか一方である第1駆動輪に機械的に接続される電動機を有し、前記第1駆動輪を駆動する第1駆動装置と、前記前輪及び前記後輪のいずれか他方である第2駆動輪を駆動する第2駆動装置と、前記電動機に電気的に接続される蓄電器と、乗員による操作及び/又は走行状態に基づいて、前記車両の発生する目標動力である目標車両動力を設定する目標動力設定手段と、設定された前記目標車両動力に基づいて前記第1駆動装置が発生する目標動力である目標第1動力及び前記第2駆動装置の発生する目標動力である目標第2動力をそれぞれ設定する目標動力調整手段と、を備える車両であって、前記目標動力調整手段は、前記目標第1動力が前記第1駆動装置の発生可能な動力である発生可能動力を上回ることを取得又は予測した場合、前記蓄電器の温度、前記蓄電器の出力可能電力、又は前記電動機の消費電力が所定の閾値以上のときに前記目標第1動力のうち前記発生可能動力を上回る動力である超過動力を前記第2駆動装置で補うよう調整し、前記蓄電器の温度、前記蓄電器の出力可能電力、又は前記電動機の消費電力が前記所定の閾値未満のときに前記超過動力を前記第2駆動装置で補うよう調整することを禁止するよう構成される。
この発明によれば、蓄電器の温度が低いときや第1駆動装置で使える電力が小さいときには、既に前後駆動力配分は第2駆動装置で駆動される車輪寄りになっていて、その状態からさらに前記第2駆動装置で駆動される車輪の駆動力を増加するよう調整すると、前後駆動力配分が不適当になり車両の挙動を乱す虞があるので、上記閾値未満のときに調整を禁止して挙動の乱れを未然に回避することができる。
なお、前記目標動力調整手段は、前記蓄電器の温度、前記蓄電器の出力可能電力、又は前記電動機の消費電力に基づいて前記第1駆動装置の発生可能な動力である発生可能動力を求め、前記目標第1動力が前記発生可能動力を上回ることを取得又は予測した場合、前記発生可能動力が所定の閾値以上のときに前記目標第1動力のうち前記発生可能動力を上回る動力である超過動力を前記第2駆動装置で補うよう調整し、前記発生可能動力が前記所定の閾値未満のときに前記超過動力を前記第2駆動装置で補うよう調整することを禁止するよう構成してもよい。
第1駆動装置を構成する電動機の発生可能動力が低いときには、既に前後駆動力配分は第2駆動装置により駆動される車輪寄りになっていて、その状態からさらに前記第2駆動装置により駆動される前記車輪の駆動力を増加するよう調整すると、前後駆動力配分が不適当になり車両の挙動を乱す虞があるので、上記所定の閾値未満のときに調整を禁止して挙動の乱れを未然に回避することができる。
なお、前記第2駆動装置が、内燃機関と、該内燃機関と機械的に接続されると共に前記蓄電器と電気的に接続される発電機を有する場合、前記目標動力調整手段は、前記車両の走行中に、前記発電機の発電ができない期間の発生を予測又は検出したとき、前記発電ができない期間においては、前記超過動力を前記第2駆動装置で補う調整を禁止するよう構成してもよい。
この構成によれば、発電機が発電できない期間に、超過動力を第2駆動装置で補う調整を禁止することで、定常的に第2駆動装置で使えている状況から過渡的に第2駆動装置が制限された場合に、制限された第2駆動装置の動力を第1駆動装置の動力で補填させないことで、車両の走行挙動へ影響を確実に防止することができる。
上記の各発明において、前輪及び後輪のいずれか一方である第1駆動輪に機械的に接続される電動機は、差動装置等の動力分配機構を用いる1つの電動機であってもよく、左右輪をそれぞれ駆動する2つの電動機であってもよい。
この発明によれば、車両の全輪駆動時に、前輪(左前輪と右後輪)及び後輪(左後輪と右後輪)の一方が電動機により駆動されている場合において、蓄電器の低温状態等を原因として前記電動機で発生できる動力が制限される条件下で、前記電動機により駆動される車輪で未達分の駆動力を他方の車輪で補完しないようにすることで、当該車両における挙動の乱れを抑制することができる。
この発明の実施形態に係る車両の概略構成を示すブロック図である。 図1の車両中の前輪駆動装置の概略構成図である。 車両の電力分配例を説明する模式的ブロック図である。 SOCとバッテリ流入・流出電力の対応関係を示す特性図である。 第1実施例の動作説明に供されるフローチャートである。 第1実施例の動作説明に供されるバッテリ温度とリヤ左右合計発生可能動力との対応関係を示す特性図である。 第1実施例の動作説明に供される動力配分説明図である。 第2実施例の動作説明に供されるフローチャートである。 第2実施例の動作説明に供されるバッテリ温度とリヤ左右合計発生可能動力との対応関係を示す特性図である。 第2実施例の動作説明に供される動力配分説明図である。 この発明の変形例に係る車両の概略構成を示すブロック図である。 図12Aは、動力配分処理説明に供されるタイムチャートであり、図12Bは、走行中に発電できない期間が発生することの説明に供されるタイムチャートである。 内燃機関により第4速変速段で車輪を駆動し、第5速用駆動ギヤで発電している状態を示す前輪駆動装置の概略構成図である。 図13の第4速変速段で車輪を駆動している状態において、第5速用駆動ギヤを第3速用駆動ギヤに架け替えた後の状態を示す前輪駆動装置の概略構成図である。 図14に示した第4速変速段から第3速変速段に変速して車輪を駆動し、第3速用駆動ギヤで発電している状態を示す前輪駆動装置の概略構成図である。
図1は、この発明の一実施形態に係る車両10の概略構成を示すブロック図である。
車両10は、内燃機関12に変速機(T/M)18を介して電動機(M)14が直列に接続された駆動装置16(第2駆動装置、以下、前輪駆動装置という。)を車両前部に有するハイブリッド車両であり、内燃機関12と電動機14の動力が変速機18を介して前輪Wfに伝達される一方で、この前輪駆動装置16とは別に車両後部に設けられた左右の電動機(M)22A、22B(左右電動機22A、22B、左電動機22A、右電動機22B)からなる駆動装置20(第1駆動装置、以下、後輪駆動装置という。)の動力が後輪Wr(RWr、LWr)に伝達されるようになっている。
前輪駆動装置16の電動機14と後輪駆動装置20の左右の電動機22A、22B(第1及び第2電動機)とは、スイッチング素子を3相フルブリッジ型に接続した直流交流変換器としてのインバータ(INV)15、23A、23Bを介してそれぞれバッテリ(BAT)24に電気的に接続され、バッテリ24からの電力供給と、バッテリ24へのエネルギ回生が可能となっている。バッテリ24は、蓄電器(エネルギストレージ)であり、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の2次電池の他、キャパシタに代替することもできる。この実施形態では、リチウムイオン2次電池を採用している。
車両10は、図示しないアクセルペダルの操作量(アクセル開度、アクセル操作量)APや図示しないクルーズコントロールユニットのアクセル操作量(アクセル開度、アクセル操作量)APを検出するアクセル操作量センサ46、図示しないブレーキペダルの操作量BPを検出するブレーキ操作量センサ47及び車速Vを検出する車速センサ48等を備えている。
車両10の各構成要素は、制御装置であるECU(電子制御ユニット)26によって制御される。ECU26は、周知のように、マイクロコンピュータ{CPU、記憶装置(ROM及びRAM等のメモリ、記憶部、記憶手段)26M、計時装置(タイマ、計時部、計時手段)及び入出力インタフェース等}を含み、各種センサ(各種検出器)からの情報を元にCPUがプログラムを実行して種々の動作を実行する各種機能手段(各種機能部)として動作する。ECU26は、1個でも複数個使用してもよく、煩雑さの回避と理解の便宜のために、この実施形態では、1個のECU26で説明する。
車両10は、ECU26の制御下に、後輪駆動装置20による後輪Wrの駆動のみの後輪駆動走行、前輪駆動装置16による前輪Wfの駆動のみの前輪駆動走行、及び後輪駆動装置20による後輪Wrの駆動と前輪駆動装置16による前輪Wfの駆動とを併用した全輪駆動{AWD、4輪駆動(4WD)}走行が可能である。
後輪駆動走行では左及び/又は右電動機22A、22Bによって後輪Wrを駆動し、前輪駆動走行では内燃機関12及び/又は電動機14によって前輪Wfを駆動する。
[後輪駆動装置20の説明]
後輪駆動装置20は、車軸28A、28Bを有し、車軸28A、28Bは、車両10の後輪Wr側の左右の車軸であり、車幅方向に同軸上に配置されている。なお、左右電動機22A、22Bを有する後輪駆動装置20の詳細な構成は、例えば、特許文献1に開示されているので、ここでは、煩雑さの回避と理解の便宜のために、この発明を理解できる程度に説明する。
後輪駆動装置20は、車軸駆動用の左右の電動機22A、22Bと、この左右の電動機22A、22Bの駆動回転を減速する左右の減速機30A、30Bと、が車軸28A、28Bと同軸上に配置されている。減速機30A、30Bには、電動オイルポンプ40により駆動される油圧ブレーキと、左右の電動機22A、22Bの順方向の動力(前進駆動力)を車軸28A、28Bに伝達する一方向クラッチが組み込まれている。
左電動機22Aは左後輪LWrを駆動し、右電動機22Bは右後輪RWrを駆動する。
後輪Wrには、左後輪LWr、右後輪RWrの回転数を検出する車輪速センサ32A、32Bが設けられていると共に、左後輪LWr、右後輪RWrに所定以上の加速スリップ又は減速スリップ(以後、単に「スリップ」ということもある。)が発生したことを取得可能なスリップ取得装置34が設けられている。
左右の電動機22A、22Bには、左右の電動機22A、22Bの回転数等を検出する回転数検出器であるレゾルバ36A、36Bが設けられている。
前記したECU26には、車輪速センサ32A、32Bから取得される左右後輪LWr、RWrの回転数、レゾルバ36A、36Bから取得される左右電動機22A、22Bの回転数、車速センサ48から取得される車速V、アクセル操作量センサ46から得られるアクセル操作量(アクセル開度)AP、ブレーキ操作量センサ47から得られるブレーキ操作量(ブレーキ踏込量)BPの他、操舵角、シフトポジション、バッテリ24の充電状態であるSOC(蓄電量又は残容量ともいい、通常、満充電容量を100%とした%表示で表される。)、各種油温等が入力される一方、ECU26からは、内燃機関12及び電動機14を含む前輪駆動装置16を制御する信号、左右の電動機22A、22Bを含む後輪駆動装置20を制御する信号等が出力される。
[前輪駆動装置16の説明]
図2は、前輪駆動装置16の概略構成図を示している。前輪駆動装置16の詳細な構成は、例えば、特許文献3の図1、図14等に開示されているので、ここでは、煩雑さの回避と理解の便宜のために、この発明を理解できる程度に説明する。
前輪駆動装置16は、駆動源である内燃機関12と、駆動源、駆動補助源又は発電機として機能する電動機14と、駆動源、駆動補助源の動力を前輪Wfに伝達するための変速機18と、変速機18の一部を構成する差動式減速機としての遊星歯車機構52と、を備えている。
電動機14は、3相ブラシレス同期モータでありステータコアにコイルが巻回されたステータ56と、このステータ56に対向するように配置された永久磁石が組み込まれたロータ58とを有している。
遊星歯車機構52は、リングギヤ52aと、プラネタリギヤ52cと、プラネタリキャリヤ52dと、ロータ58に連結されたサンギヤ52bと、を有している。
変速機18は、内燃機関12のクランク軸54に設けられた第1クラッチ61(第1断接手段)及び第2クラッチ62(第2断接手段)と、遊星歯車機構52を含む複数の変速ギヤ群と、これら変速ギヤ群を切り替える(変速段を切り替える)第1変速アクチュエータ(第1変速手段、第1変速シフタ・シンクロナイザ)41及び第2変速アクチュエータ(第2変速手段、第2変速シフタ・シンクロナイザ)42を備えた、いわゆるダブルクラッチ式の変速機である。
変速機18は、内燃機関12のクランク軸54と同軸上に配置され内燃機関12からの動力が第1クラッチ61を介して直接的に伝達される第1主軸(第1の第1主軸ともいう。)101、及び内燃機関12からの動力が前記第1主軸101、サンギヤ52b、プラネタリギヤ52c、及びプラネタリキャリヤ52dを介して伝達される中空状の連結軸103(第2の第1主軸103ともいう。)を備えると共に、内燃機関12からの動力が第2クラッチ62を介して伝達される中空状の第2主軸(第1の第2主軸ともいう。)102と、この第2主軸102に連結されるアイドルギヤ列84(アイドル駆動ギヤ81、第1アイドル従動ギヤ82、及び第2アイドル従動ギヤ83からなる。)と、第2アイドル従動ギヤ83の回転軸としての第2主軸(第2の第2主軸、中間軸ともいう。)105と、を備え、さらに、第1主軸101、103及び第2主軸102、105に対して平行に配置され、差動ギヤ機構95を通じ車軸50A(50B)を介して前輪Wfを駆動するカウンタ軸(出力軸ともいう。)104と、を備えている。
さらに、変速機18には、2つの変速軸の一方の変速軸(奇数段変速軸)である第1及び第2の第1主軸101、103(第1入力軸)上に第5速用駆動ギヤ75と第7速用駆動ギヤ77と第3速用駆動ギヤ73とからなる奇数段ギヤ群(第1ギヤ群)が設けられ、他方の変速軸(偶数段変速軸)である第1及び第2の第2主軸102、105(第2入力軸)上に第2速用駆動ギヤ72と第4速用駆動ギヤ74と第6速用駆動ギヤ76からなる偶数段ギヤ群(第2ギヤ群)が設けられる。
ここで、第1変速アクチュエータ41は、第1主軸101、103に固定されていない(図2では便宜的に固定されているように図示している。)第5速用駆動ギヤ75と第7速用駆動ギヤ77と第3速用駆動ギヤ73とを選択的に第1主軸101、103に連結乃至解放する。
第2変速アクチュエータ42は、第2主軸105に固定されていない(図2では便宜的に固定されているように図示している。)第4速用駆動ギヤ74と第6速用駆動ギヤ76と第2速用駆動ギヤ72を選択的に第2主軸105に連結乃至解放する。
カウンタ軸104に設けられた第1共用従動ギヤ91は、第3速用駆動ギヤ73と噛合し第3速用駆動ギヤ73と共に第3速用ギヤ対73pを構成する一方、第2速用駆動ギヤ72と噛合し第2速用駆動ギヤ72と共に第2速用ギヤ対72pを構成する。
カウンタ軸104に設けられた第2共用従動ギヤ92は、第5速用駆動ギヤ75と噛合し第5速用駆動ギヤ75と共に第5速用ギヤ対75pを構成する一方、第4速用駆動ギヤ74と噛合し第4速用駆動ギヤ74と共に第4速用ギヤ対74pを構成する。
カウンタ軸104に設けられた第3共用従動ギヤ93は、第7速用駆動ギヤ77と噛合し第7速用駆動ギヤ77と共に第7速用ギヤ対77pを構成する一方、第6速用駆動ギヤ76と噛合して第6速用駆動ギヤ76と共に第6速用ギヤ対76pを構成する。
内燃機関12は、ECU26が第1クラッチ61を締結したときに変速機18の奇数段変速軸である第1主軸101に接続されると共に、第1主軸101を通じて電動機14のロータ58に接続され、電動機14を発電機として駆動することができるようになっている。
内燃機関12は、また、電動機14を発電機として駆動しているときに、3、5、7速ギヤ(第3速用駆動ギヤ73、第5速用駆動ギヤ75、第7速用駆動ギヤ77)のいずれかを用いて、カウンタ軸104を通じて前輪Wfに対するトルク伝達を行う。
内燃機関12は、さらに、ECU26が第2クラッチ62を締結したときに変速機18の偶数段変速軸である第1及び第2の第2主軸102、105に接続され、2、4、6速ギヤ(第2速用駆動ギヤ72、第4速用駆動ギヤ74、第6速用駆動ギヤ76)のいずれかを用いて、カウンタ軸104を通じて前輪Wfに対するトルク伝達を行う。
一方、ECU26が第1及び第2クラッチ61、62を解放したときに電動機14を電動機として動作させると、ロータ58の回転駆動力が、遊星歯車機構52を通じて、変速機18の奇数段変速軸である第1の第1主軸101に接続され、3、5、7速ギヤ(第3速用駆動ギヤ73、第5速用駆動ギヤ75、第7速用駆動ギヤ77)のいずれかを用いて、カウンタ軸104を通じて前輪Wfに対するトルク伝達を行うことが可能になっている。なお、電動機14が、前輪Wfにトルク伝達を行うときと、前輪Wfから電力回生を行うときには、第1及び第2クラッチ61、62を両方とも解放して内燃機関12との機械的な接続を遮断すると効率がよい。
カウンタ軸104に設けられたファイナルギヤ94は、奇数段の第3速用、第5速用、第7速用駆動ギヤ73、75、77と偶数段の第2速用、第4速用、第6速用駆動ギヤ72、74、76とで共用している。
この実施形態では、煩雑さの回避のために、遊星歯車機構52を操作する第1速段の変速制御を含めて第1変速アクチュエータ41により奇数段の変速が制御されるものとしている。
電動機14のロータ58は、1速のサンギヤ52bに直結されており、内燃機関12の動力に対するアシストは、奇数段側から行われる。つまり、偶数段使用時(第2クラッチ62の締結時)は、奇数段側の第1クラッチ61は解放されているから第1速用駆動ギヤ(遊星歯車機構52と第3速用駆動ギヤ73)、第5速用駆動ギヤ75、及び第7速用駆動ギヤ77を使用したアシスト(動力伝達)が可能になる。
回生発電や電動機走行(EV走行)の際には、第1及び第2クラッチ61、62は切断され、内燃機関12は完全に切り離されるが、電動機14の動力伝達は、奇数段ギヤからしか行えないので、回生発電と電動機走行は、奇数段速でのみ行われる。なお、発進は、原則として奇数段速(通常、発進は第1速用駆動ギヤ)でのみ可能になっている。
このように構成されるダブルクラッチの変速機18では、第1及び第2変速アクチュエータ41、42により次の低速段側の又は高速段側の変速ギヤを予め待機(セット)しておいて、いわゆるプレシフト状態にしておいて、第1及び第2クラッチ61、62を交互につなぐ(断接する、締結乃至解放する)ことで高速な変速を実現している。
[モータトラクション制御]
ECU26は、各車両状態に合わせて前輪駆動装置16及び後輪駆動装置20を制御している。特に後輪駆動装置20に対しては、後輪Wrの車輪回転数又は左右の電動機22A、22Bのモータ回転数に基づいて後輪Wrのスリップを抑制するモータトラクション制御を行うモータトラクション制御システム(M−TCS)を有する電動機制御装置としても機能し、モータトラクション制御を実行する際に、左右の電動機22A、22Bが発生するトルクを制御し、左右後輪LWr、RWrの回転状態等を制御する。
[トルク優先制御と電力優先制御の説明]
左右の電動機22A、22Bに対するトルク優先制御と電力優先制御については、特許文献1に詳細に記載されているので、ここでは、その内容を、この発明を理解できる程度に説明する。
車両10が旋回走行中である場合には、左電動機(第1電動機)22A及び右電動機(第2電動機)22Bに回転差があり、左電動機22Aに連結される左後輪LWrが旋回時内輪、右電動機22Bに連結される右後輪RWrが旋回時外輪となる。いずれの制御であっても、反時計回りのヨーモーメントを発生させている。
左後輪LWrの目標トルクをTT1(左後輪LWrに連結される左電動機22Aの目標トルクをTM1という。)、右後輪RWrの目標トルクをTT2(右後輪RWrに連結される右電動機22Bの目標トルクをTM2という。)とし、合計目標トルク(目標和トルクあるいは単に和トルクともいう。)をTRT、目標差トルク(単に差トルクともいう。)をΔTTとすると、次の(1)式及び(2)式で表される。
TT1+TT2=TRT …(1)
TT1−TT2=ΔTT …(2)
目標差トルクΔTTは、公知のように、目標ヨーモーメント(時計回りを正)をYm、車輪半径をr、トレッド幅(左右後輪LWr、RWr間距離)をDtとすると、次の(3)式で導かれる。
ΔTT=2・r・Ym/Dt …(3)
ここで、合計目標トルクTRTはアクセル操作量AP、ブレーキ操作量BP及び車速V等に基づく設定値であり、(3)式のΔTTを代入した(2)式と、(1)式とから、左後輪LWrの目標トルクTT1と右後輪RWrの目標トルクTT2を決定(算出)することができる。
なお、左右電動機22A、22Bの目標トルクTM1、TM2は、次の(4)式及び(5)式から導かれる。Ratioは図示しないギヤの比である。
TM1=(1/Ratio)・TT1 …(4)
TM2=(1/Ratio)・TT2 …(5)
トルク優先制御では、和トルクTRTと差トルクΔTTから前後方向におけるトルク要求と旋回方向におけるトルク要求を満たすことができ、車両10の走行性能が重視される。
一方、電力優先制御は、左電動機22Aで発生する電力と、右電動機22Bで消費する電力との和を優先し、この和電力に基づいて左右の電動機22A、22Bを制御するものである。
この電力優先制御は、例えば、バッテリ24の温度が所定温度以下、例えば氷点温度以下のいわゆる低温時である場合、バッテリ24のSOCが低い場合、前輪駆動装置16の電動機14の発電量(発電電力)が足りない場合、又は力行状態の場合、バッテリ24又は電動機14の失陥が検知されたとき等の、通常の電力の授受に支障がある場合等に行われる。
電力優先制御では、上記(1)、(2)式に加えて、次の(6)式が参照される。
P1は、左電動機22Aの電力(駆動力)、P2は、右電動機22Bの電力(駆動力)である。
P1+P2=0 …(6)
なお、左右電動機22A、22Bの電力(消費電力)P1、P2は、電力と動力とに正相関があるので、動力(駆動力)と称した方が、技術内容が分かり易いと考えられる場合には、動力F1、F2(左動力F1、右動力F2)と称する。単位は、電力も動力もいずれも[kW]である。
電力の授受には、損失が発生するために、回生電力と力行電力はそれぞれ次の(7)、(8)式で表すことができる。
回生電力=機械入力(1−回生損失率) …(7)
力行電力=機械入力(1+力行損失率) …(8)
左電動機22Aのロータの角速度をω1、右電動機22Bのロータの角速度をω2、前記回生損失率をLr1、前記力行損失率をLr2とし、左電動機22Aを回生駆動、右電動機22Bを力行駆動とすると、左右の電動機22A、22Bの電力(駆動力)P1、P2は、上記の(7)、(8)式に基づいて次の(9)、(10)式で表される。
P1=ω1・TM1(1−Lr1) …(9)
P2=ω2・TM2(1+Lr2) …(10)
ω=2・π・n/60(nは、各電動機の回転数)である。
上記(4)〜(6)、(9)、(10)式から目標トルクTM1、TM2を削除すると、次の(11)式が導かれる。
TT2=−(ω1/ω2)・{(1−Lr1)/(1+Lr2)}・TT1
…(11)
(11)式について検討すると、内輪側である左電動機22Aの角速度ω1は、外輪側である右電動機22Bの角速度ω2より小さく(ω1<ω2)、また、(1−Lr1)<(1+Lr2)であるので、必ず、|TT2|<|TT1|となり、TT1+TT2<0となる。
従って、電力優先制御では、左右後輪LWr、RWrの合計目標トルク(左後輪トルクと右後輪トルクとの和)TRTは必ずマイナス、即ち回生トルクの方が力行トルクより大きくなる。
なお、一般に、車輪トルクT[Nm]と車輪駆動力F[N]との関係は、公知のように、車輪の半径をrとすると、次の(12)式で導かれる比例関係にある。
F=T/r …(12)
電力優先制御において、次の(6)´式に示すよう、和電力(和駆動力)P1+P2を、0値ではない、所定目標電力α(α≠0)に設定してもよい。但し、電力優先制御は、電力の発生を抑制しようとする制御であるので、所定目標電力αは、所定の制限目標電力αLmt未満(α<αLmt)の値に設定される。
P1+P2=α …(6)´
トルク優先制御では、(2)式の差トルクΔTT、(1)式の和トルクTRT、及び(6)式又は(6)´式の和電力(和駆動力)P1+P2の順に優先順序{ΔTT→TRT→(P1+P2)}が割り当てられ、電力優先制御では、(6)式又は(6)´式の和電力(和駆動力)P1+P2、(2)式の差トルクΔTT、(1)式の和トルクTRTの順に優先順序{(P1+P2)→ΔTT→TRT}が割り当てられて制御が実行される。
[電力分配の説明]
次に、モータトラクション制御システムが動作状態となっている車両10の後輪Wrが左右の電動機22A、22Bにより駆動されると共に、前輪Wfが内燃機関12の動力により変速機18を通じて駆動されている状態における車両10の電力分配について、図3の電力分配の模式的ブロック図を参照して説明する。
図3において、車両10の内燃機関12(ENGと説明)に対して電動機14{前輪Wf側の電動機であるので、図3中、Fr−MOT(前輪駆動電動機)と説明}が上述したダブルクラッチ式の変速機18を通じて接続され、発電機として動作している電動機14の発電電力PgenがPgen=X[kW]であるものとする。
定常状態において、図4のSOCに対するバッテリ電力Pbatの特性に示すように、バッテリ24のバッテリ電力Pbat[kW]は、Pbat=0[kW]で動作しているものとする。図4において、バッテリ24の動作点210は、SOCが例えば50[%]のSOCnの点にあるものとしている。
左後輪LWrを駆動する左電動機22A{後輪Wr側の電動機であるので、図3中、Rr−MOT(後輪駆動電動機)と説明)}の消費電力Pmot1[kW]と右後輪RWrを駆動する右電動機22B(Rr−MOT)の消費電力Pmot2との左右合計消費電力PmotaがPmota=Y[kW](Rr−MOT消費電力ともいう。)であるものとする。
バッテリ24に接続されている空気調和装置等の高圧補機202及びステップダウンコンバータ204を通じて接続されている12Vバッテリ206と低圧補機208からなる補機209の補機負荷電力Pl[kW]の値は、補機負荷電力Pl=L[kW](電動補機の消費電力)であるものとする。
バッテリ24は、SOC[%]に応じた流入・流出電力の限界を有しており、特に低温時には、図4に示すように、縦軸の放電電力Pd側のバッテリ放電電力最大値Pdmax[kW]がバッテリ放電電力最大値Pdmax´に低下すると共に、充電電力Pc側のバッテリ充電電力最大値Pcmax[kW]がバッテリ充電電力最大値Pcmax´に低下するといった、横軸のSOC[%]に応じた定格制限値を持っている。
定常状態(定常走行状態)において、バッテリ放電電力をPdとして、次の(13)式が成立しているものとする。
Y+L=X+Pd(Pd=0) …(13)
[前輪Wfが内燃機関12の動力により駆動され、後輪Wrが左右の電動機22A、22Bの動力により駆動されている車両10の全輪駆動時において、左右の電動機22A、22Bで発生できる動力が制限されるときに、車両10の挙動の乱れを抑制する動作の説明]
上述したように、電力と動力には正相関があり、また、トルクは動力に換算可能である。実際上、複数の物理量の間で換算可能、又は正相関があれば、どの単位に揃えて演算しても解が得られる。そこで、ここでは、車両10の挙動の乱れを抑制する動作の説明に際し、動力に揃えて演算する場合を示す。
[第1実施例]
図5のフローチャートを参照して第1実施例について説明する。なお、フローチャートに係るプログラムの実行主体は、ECU26を構成するCPUである。
ステップS1にて、ECU26は、運転者の加減速操作、速度維持操作等の操作と車両10の走行状態等を検出する。この場合、運転者の加減速操作、速度維持操作等として、アクセル操作量AP、ブレーキ操作量BP、操舵角操作量等を検出し、走行状態として、車速V、車輪速、スリップ量、及びヨーレート等を検出すると共に、発進時、旋回状態、低μ路走行状態、直進状態、力行定速状態、力行加速状態、及び回生状態(回生制動状態)等を検出する。
次に、ステップS2にて、検出した前記操作量及び前記走行状態(基本的にはアクセル操作量APと車速V)に応じて、予め設定されている特性(マップ)を参照し、車両10の前輪駆動装置16と後輪駆動装置20が発生すべき目標車両動力Pvtar[kW]を決定する。
次いでステップS3にて、決定された目標車両動力Pvtar[kW]に基づき、後輪駆動装置20(左右電動機22A、22B)の目標動力(リヤ目標動力、リヤ左右合計目標動力)Prtar[kW]と前輪駆動装置16(内燃機関12)の目標動力(フロント目標動力)Pftar[kW]の配分を仮決定(仮配分決定)する。
この場合、仮配分決定の仕方は、例えば、前輪駆動装置16及び後輪駆動装置20の効率(燃費、電費)を参照して決める、一方の動力(例えば、前輪駆動装置16)を一定値に決めて他方(この場合、後輪駆動装置20)の動力を決める、又は所定の比率で配分する等の仕方により実行される。
目標車両動力Pvtar[kW]に対して、リヤ左右合計目標動力Prtar[kW]とフロント目標動力Pftar[kW]とは、次の(14)式を満たす関係にある。つまり、目標車両動力Pvtar[kW]は、フロント目標動力Pftar[kW]とリヤ左右合計目標動力Prtar[kW]の合計動力(和動力)である。
Pvtar=Pftar+Prtar …(14)
次いで、ステップS4にて、仮配分されたリヤ左右合計目標動力Prtarとフロント目標動力Pftarの的確性を検証し、検証結果に応じて、修正が必要と判定された場合に、調整(再配分)する。
この場合、まず、ステップS4aにて、バッテリ温度Tbatを検出する。
次いで、ステップS4bにて、リヤ左右合計目標動力Prtar[kW]がリヤ左右合計発生可能動力(リヤ左右合計発生可能電力、リヤ左右合計制限電力)Prlmt[kW]を上回るか否かを判定する。
図6は、バッテリ温度Tbatとリヤ左右合計発生可能動力Prlmt[kW]との対応関係を示す特性212を示している。なお、図6は、リヤ左右合計発生可能動力マップということもある。
ここで、リヤ左右合計発生可能電力Prlmt[kW]は、バッテリ24の充電状態(残容量)であるSOCが、例えばSOC=SOCnであるときに、バッテリ24からの放電可能電力Pda(図4に示したバッテリ放電電力最大値Pdmax、Pdmax´に対応する。)により決定される。
なお、ステップS4bの判定にて、リヤ左右合計目標動力Prtar[kW]がリヤ左右合計発生可能動力(リヤ左右合計制限電力)Prlmt[kW]以下である(Prtar≦Prlmt、ステップS4b:NO)場合、ステップS3にて仮配分された、リヤ左右合計目標動力Prtar[kW]とフロント目標動力Pftar[kW]とを、本配分であるとして、後輪駆動装置20及び前輪駆動装置16を駆動する。
一方、ステップS4bの判定において、バッテリ温度Tbatが仮にTbat=−15[℃]であった場合に、ステップS3で仮配分されているリヤ左右合計目標動力PrtarがPrtar=Pra(図6参照)であるとしたとき、座標点213(−15,Pra)を参照する。この場合、リヤ左右合計目標動力Praがリヤ左右合計発生可能動力Prlmt(−15℃)を超過動力(所定動力)Prs分だけ上回っていることが分かるので、ステップS4bの判定が肯定的(ステップS4b:YES)とされる。座標点213(−15,Pra)及び次に参照する座標点214(−25,Pra)は、リヤ左右合計発生可能動力マップに、バッテリ温度Tbatに対応するリヤ左右合計目標動力Prtarをプロットした点である。
また、ステップS4bの判定において、バッテリ温度Tbatが仮にTbat=−25[℃]であった場合には、座標点214(−25,Pra)を参照する。この場合にも、リヤ左右合計目標動力Praがリヤ左右合計発生可能動力Prlmtを超過動力(所定動力)Prs´分だけ上回っていることが分かるので、ステップS4bの判定は肯定的(ステップS4b:YES)とされる。
次いで、ステップS4cにて、バッテリ温度Tbatが閾値温度Tth(Tbat≧Tth:図6例では、例としてTth=−20[℃]に設定している。)以上か否かを判定(第1の判定)する。
このステップS4cの判定は、左右電動機22A、22Bのリヤ左右合計消費電力Pmota[kW]が、リヤ左右合計閾値消費電力Pmotath以上か否かの判定(第2の判定)に代替することもできる。この場合、図6に示す特性212の横軸は、バッテリ温度Tbatを示しているが、バッテリ温度Tbatとバッテリ電力Pbatを利用するリヤ左右合計消費電力Pmotaとは正相関があるので、横軸を、リヤ左右合計消費電力Pmotaに置換し、横軸上の閾値温度Tthを、リヤ左右合計閾値消費電力Pmotath(閾値の設定は、上述した−20[℃]を基準として決める。)に置換して図6の特性212を用いればよい。
さらに、ステップS4cの判定は、バッテリ24の放電可能電力Pdaが閾値放電可能電力Pdath[kW]以上か否かの判定(第3の判定)に代替することもできる。この場合においても、図6に示す特性212の横軸は、バッテリ温度Tbatを示しているが、バッテリ温度Tbatとバッテリ放電可能電力Pda[kW]とは正相関があるので、横軸を、バッテリ放電可能電力Pdaに置換し、横軸上の閾値温度Tthを、閾値放電可能電力Pdathに置換して図6の特性212を用いればよい。
ここで、ステップS4cの上述した第1〜第3判定のうち、いずれか1つの判定が肯定的(ステップS4c:YES)とされたとき、ここでは、座標点213に関し、第1の判定であるTbat(=−15℃)≧Tth(=−20℃)が肯定的とされたものとする。
次いで、ステップS4dにて、リヤ左右合計目標動力Prtarとフロント目標動力Pftarを次の(15)〜(17)式のように調整(再配分)する(図6も参照)。
下式において、「←」の左側のPrtar、Pftarは、調整(再配分)後のPrtar、Pftarである。
Prtar←Prlmt(−15℃) …(15)
Pftar←Pftar(ステップS3でのPftar)+Prs
…(16)
Pvtar←Prtar(調整後のPrtar)+Pftar(調整後のPftar) …(17)
但し、(16)式におけるPrsは超過動力であり、次の(18)式で導かれる。
Prs=Pra−Prlmt(−15℃) …(18)
このようにして、ステップS5にて、調整後(再配分後、本配分後)のリヤ左右合計目標動力Prtarとフロント目標動力Pftarとで、後輪駆動装置20と前輪駆動装置16とがそれぞれ駆動され、超過動力Prsは、前輪駆動装置16のフロント目標動力Pftarで補われるように調整(再配分)される。
一方、ステップS4cの判定にて、いずれか1つの判定が否定的(ステップS4c:NO)とされたとき、ここでは、例えば、座標点214(図6参照)に関し、Tbat(=−25℃)<Tth(=−20℃)になっていたとする。
このときは、ステップS4eにて、リヤ左右合計目標動力Prtarとフロント目標動力Pftarを次の(19)〜(21)式のように調整(再配分、本配分)する。
下式において、「←」の左側のPrtar、Pftarは、調整後(再配分後)のPrtar、Pftarである。
Prtar←Prlmt(−25℃) …(19)
Pftar←Pftar(ステップS3でのPftar) …(20)
Pvtar←Prtar(調整後のPrtar)+Pftar(ステップS3でのPftar) …(21)
このようにして、ステップS5にて、調整後(再配分後、本配分後)のリヤ左右合計目標動力Prtarとフロント目標動力Pftarとで、後輪駆動装置20と前輪駆動装置16とがそれぞれ駆動されるが、ステップS4cの判定が否定的であるときのステップS4eの処理後のステップS5の処理では、超過動力Prs´をフロント目標動力Pftarで補うよう調整することが禁止されていることに留意する。
[第1実施例のまとめ]
図7に示す動力配分説明図も参照して説明する。
上述した実施形態の第1実施例が適用された車両10は、第1駆動輪としての後輪Wrに機械的に接続される左右の電動機22A、22Bを有し、前記第1駆動輪としての後輪Wrを駆動する第1駆動装置としての後輪駆動装置20と、第2駆動輪としての前輪Wfを駆動する第2駆動装置としての前輪駆動装置16と、左右の電動機22A、22Bに電気的に接続される蓄電器としてのバッテリ24と、乗員による操作(例えば、加減速操作、速度維持操作等)及び/又は走行状態(例えば、車速V、車輪速、スリップ量及びヨーレート等)に基づいて、車両10の発生する目標動力である目標車両動力Pvtarを設定する目標動力設定手段としてのECU26と、設定された目標車両動力Pvtarに基づいて後輪駆動装置20が発生する目標動力である目標第1動力としてのリヤ左右合計目標動力Prtar及び前輪駆動装置16の発生する目標動力である目標第2動力としてのフロント目標動力Pftarをそれぞれ設定する目標動力調整手段としてのECU26と、を備える。
目標動力調整手段としてのECU26は、リヤ左右合計目標動力Prtarが後輪駆動装置20の発生可能な動力であるリヤ左右合計発生可能動力Prlmtを上回る{Prtar>Prlmt(−15℃)、Prtar>Prlmt(−25℃)}ことを取得又は予測した(ステップS4b:YES)場合、バッテリ24のバッテリ温度Tbat、左右の電動機22A、22Bのリヤ左右合計消費電力Pmota、又はバッテリ24のバッテリ放電可能電力Pdaが所定の閾値(Tbatth、Pmotath、Pdath)以上のとき(ステップS4c:YES、上例では、Tbat≧Tth)に前記目標第1動力としてのリヤ左右合計目標動力Prtarのうちリヤ左右合計発生可能動力Prlmtを上回る動力である超過動力Prsを前輪駆動装置16で補うよう調整する一方、バッテリ24のバッテリ温度Tbat、左右の電動機22A、22Bのリヤ左右合計消費電力Pmota、又はバッテリ24のバッテリ放電可能電力Pdaが所定の閾値(Tth、Pmotath、Pdath)未満のとき(ステップS4c:NO、上例では、Tbat<Tth)に超過動力Prsを前輪駆動装置16で補うよう調整することを禁止するように構成している。
この第1実施例によれば、バッテリ24のバッテリ温度Tbatが低いときや左右の電動機22A、22Bで使えるリヤ左右合計消費電力Pmotaが小さいときには、既に前後駆動力配分が、前輪Wf寄りになっていて、その状態からさらに前輪Wfの駆動力を増加するよう調整すると、前後駆動力配分が非適正となり車両10の挙動を乱す虞があるので、上記閾値(Tbatth、Pmotath、Pdath)未満のときに調整を禁止することで、挙動の乱れを抑制することができる。
この第1実施例は、例えば、最低限のリヤ左右合計発生可能動力Prlmtが確保されていれば、全輪駆動での低μ路旋回走行時に前輪Wfの駆動力を増加させたときのアンダーステア発生回避の場面、又は全輪駆動での坂道発進時に前輪Wfの駆動力を増加させたときの前輪Wfの空転発生回避の場面で適用され、この場面では、リヤ駆動力を前輪Wfに配分する。一方で、最低限のリヤ左右合計発生可能動力Prlmtが確保できない場合、車両10は、略前輪駆動の挙動を呈するので、この場合に、リヤ駆動力を前輪Wfに配分すると、車両挙動が“急にアンダーステア”になったり、坂道発進時においては“急に前輪Wfの空転が発生”したりするため、車両性能を低下させてしまうので、リヤ駆動力の前輪Wfへの調整(再配分)を禁止する。
[第2実施例]
次に、図8のフローチャートを参照して第2実施例について説明する。
ステップS1〜S3までの処理及びステップS5の処理は、図5のフローチャートを参照して説明した第1実施例と同じであるので、その説明を省略するが、参照される座標点は、図9に示すように、座標点213(−15,Pra)と座標点215(−25,Prd)であるものとする。
ステップS4´の調整(再配分)処理においては、まず、ステップS4gにて、バッテリ温度Tbatを検出する。
次いで、ステップS4hにて、図9に示した特性212を参照して、検出したバッテリ温度Tbatに対応するリヤ左右合計発生可能電力Prlmtを決定する。
なお、特性212は、バッテリ温度Tbatとリヤ左右合計発生可能電力Prlmtとの対応関係を示しているが、上述したように、バッテリ温度Tbatとバッテリ放電可能電力Pda[kW]とは正相関があるので、バッテリ温度Tbatをバッテリ放電可能電力Pdaに置換して、バッテリ放電可能電力Pdaとリヤ左右合計発生可能電力Prlmtとの対応関係に置換してもよい。
同様に、バッテリ放電可能電力Pdaと左右電動機22A、22Bのリヤ左右合計消費電力Pmota[kW]とは正相関があるので、バッテリ放電可能電力Pdaに代替し、左右電動機22A、22Bのリヤ左右合計消費電力Pmotaとリヤ左右合計発生可能電力Prlmtとの対応関係に置換してもよい。
次に、ステップS4iにて、リヤ左右合計目標動力Prtar[kW]がリヤ左右合計発生可能動力Prlmt[kW]を上回るか否かを判定する。
なお、ステップS4iの判定にて、リヤ左右合計目標動力Prtar[kW]がリヤ左右合計発生可能動力(リヤ左右合計制限電力)Prlmt[kW]以下である(Prtar≦Prlmt、ステップS4i:NO)場合、ステップS3で仮配分された、リヤ左右合計目標動力Prtar[kW]とフロント目標動力Pftar[kW]とを、本配分として、後輪駆動装置20及び前輪駆動装置16を駆動する(ステップS5)。
一方、ステップS4iの判定において、バッテリ温度Tbatが仮にTbat=−15[℃]であった場合に、図9の座標点213(−15,Pra)を参照してリヤ左右合計目標動力Prtar=Praがリヤ左右合計発生可能動力Prlmtを超過動力(所定動力)Prsだけ上回っていることが分かるので、ステップS4iの判定を肯定的(ステップS4i:YES)とする。
また、ステップS4iの判定において、Tbatが仮にTbat=−25[℃]であった場合に、座標点215(−25,Prd)を参照してリヤ左右合計目標動力Prtar=Prdがリヤ左右合計発生可能動力Prlmtを超過動力(所定動力)Prs´´だけ上回っていることが分かるので、ステップS4iの判定を肯定的(ステップS4i:YES)とする。
次いで、ステップS4jにてリヤ左右合計発生可能電力Prlmtが、閾値動力Pth以上であるか否かを判定する。
閾値動力Pthは、例えば全輪駆動での低μ路旋回走行時に、前輪Wfの駆動力を増加させたときのアンダーステア発生回避の観点、又は全輪駆動での坂道発進時に、前輪Wfの駆動力を増加させたときの前輪Wfの空転発生回避の観点から予め決定され、低μ路旋回走行では、路面のμ値、旋回半径、及び車速等がパラメータとされて決定され、坂道発進走行では、路面のμ値、及び勾配等がパラメータとされて決定される。
図9に示すように、閾値動力Pthが、例えば座標点(Tth,Pth)=(−20,Pth)を通る閾値動力Pthに決定されている場合、座標点213(−15,Pra)では、ステップS4jの判定が肯定的(Prlmt≧Pth)となるので、ステップS4kにて、リヤ左右合計目標動力Prtarとフロント目標動力Pftarを次の(22)〜(24)式のように調整(再配分)する(図8も参照)。
“←”の左側のPrtar、Pftarは、調整(再配分)後のPrtar、Pftarである。
Prtar←Prlmt(−15℃) …(22)
Pftar←Pftar(ステップS3でのPftar)+Prs …(23)
Pvtar←Prtar(調整後のPrtar)+Pftar(調整後のPftar) …(24)
但し、Prsは超過動力であり、次の(25)式で導かれる。
Prs=Pra−Prlmt(−15℃) …(25)
一方、座標点215(−25,Prd)では、ステップS4jの判定が否定的(Prlmt<Pth)となるので、ステップS4lにて、リヤ左右合計目標動力Prtarとフロント目標動力Pftarを次の(26)〜(28)式のように調整(再配分)する(図9も参照)。
“←”の左側のPrtar、Pftarは、調整(再配分後)のPrtar、Pftarである。但し、この場合、調整(再配分)を禁止している。
Prtar←Prlmt(−25℃) …(26)
Pftar←Pftar(ステップS3でのPftar) …(27)
Pvtar←Prtar+Pftar …(28)
このようにして、ステップS5にて、調整後(再配分後、本配分後)のリヤ左右合計目標動力Prtarとフロント目標動力Pftarとで、後輪駆動装置20と前輪駆動装置16とがそれぞれ駆動されるが、ステップS4jの判定が否定的であるときのステップS4lの処理後の処理では、超過動力Prsをフロント目標動力Pftarで補うよう調整することが禁止されていることに留意する。
[第2実施例のまとめ]
図10に示す動力配分説明図も参照して説明する。
上述した実施形態の第2実施例が適用された車両10の前記目標動力調整手段としてのECU26は、バッテリ24のバッテリ温度Tbat、バッテリ24の出力可能電力であるバッテリ放電可能電力Pda、又は左右の電動機22A、22Bのリヤ左右合計消費電力Pmotaに基づいて後輪駆動装置20の発生可能な動力であるリヤ左右合計発生可能動力Prlmtを求め、目標第1動力としてのリヤ左右合計目標動力Prtarがリヤ左右合計発生可能動力Prlmtを上回る(ステップS4i:YES)ことを取得又は予測した場合、リヤ左右合計発生可能動力Prlmtが所定の閾値動力Pth以上のとき(ステップS4j:YES)にリヤ左右合計目標動力Prtarのうちリヤ左右合計発生可能動力Prlmtを上回る動力である超過動力Prsを前輪駆動装置16で補うよう調整(再配分、本配分)し(ステップS4k)、リヤ左右合計発生可能動力Prlmtが閾値動力Pth未満(ステップS4j:NO)のときに超過動力Prsを前輪駆動装置16で補うよう調整することを禁止する(ステップS4l)ように構成している。
この第2実施例によれば、左右の電動機22A、22Bのリヤ左右合計発生可能動力Prlmtが低いときには、 既に前後駆動力配分は前輪Wf寄りになっていて、その状態からさらに前輪Wfの駆動力を増加するよう調整すると、前後駆動力配分が過度となり車両10の挙動を乱す虞があるので、閾値動力Pth未満のときに調整を禁止して挙動の乱れを抑制することができる。この第2実施例においても、全輪駆動での低μ路旋回走行時に前輪Wfの駆動力を増加させたときのアンダーステア発生が回避でき、又は全輪駆動での坂道発進時に前輪Wfの駆動力を増加させたときの前輪Wfの空転発生が回避できる。
上述した第1実施例及び第2実施例によれば、車両10の全輪駆動時に、前輪Wf(左前輪と右前輪)及び後輪Wr(左後輪と右後輪)の一方(上記例では、後輪Wr)が左右の電動機22A、22Bにより駆動されている場合において、バッテリ24の低温状態等を原因として左右の電動機22A、22Bで発生できる動力が制限される条件下で、左右の電動機22A、22Bにより駆動される車輪である後輪Wrで未達分の駆動力を他方の車輪である前輪Wfで補完しないようにしたので、当該車両10における挙動の乱れが抑制される。
[変形例]
図11は、この発明の変形例に係る車両10Aの概略構成を示すブロック図である。図11に示す車両10Aでは、上記実施形態に係る車両10の前輪駆動装置16及び後輪駆動装置20の構成が前後逆になっている。即ち、車両10Aの前輪駆動装置16aは、車両10Aの前側に配置された左右の前輪Wf(LWf、RWr)を駆動する左右電動機22A、22Bを備える。また、車両10Aの後輪駆動装置20aは、車両10Aの後ろ側に配置され後輪Wrを駆動する内燃機関12に変速機18を介して直列に接続される電動機14を備える。
この車両10Aに対しても、上述した第1実施例及び第2実施例の処理を同様に適用することができる。
[他の変形例]
図12A、図12Bのタイムチャートを参照して説明する。
(前提条件の説明)
図13に示すように、図2に示した前輪駆動装置16において、例えば、時点t1以前の第4速変速段での走行状態(以下、第4速走行状態ともいう。)においては、第2クラッチ62が締結され、内燃機関12から第1の第2主軸102を介し第4速用駆動ギヤ74を通じて前輪Wfが駆動される一方、第5速用駆動ギヤ75を介して第1の第1主軸101と一体に形成されたロータ58が回転され、電動機14が発電電力Pgen=X(図12B参照)を発電している。
図13において、ハッチングを施した矢印は、エンジン駆動経路(内燃機関12による前輪Wfの駆動経路)を示し、白抜きの矢印は、モータ発電経路(内燃機関12によりロータ58を回転して電動機14を発電させる経路)を示している。
時点t1にて、例えば、上り坂にさしかかり運転者によるアクセルペダルの踏み込みが開始され、あるいはクルーズコントロール(定速走行制御)中に上り坂にさしかかりECU26によるスロットル開度(アクセル開度APと同意)の増加が開始され、第4変速段での走行から第5変速段での走行ではなく第3変速段での走行への変更がECU26により予測されたとき、ECU26により、現時点では、発電に寄与している第5速用駆動ギヤ75を第3速用駆動ギヤ73に架け替える奇数段ギヤ架け替え処理が発生する。
このとき、ECU26は、第4変速段から第3変速段にギヤを円滑に切り替えるために、5速シンクロ(不図示)が第5速用駆動ギヤ75に締結されている状態から3速シンクロ(不図示)が第3速用駆動ギヤ73に締結されている状態にプレシフトを切り替える操作を行う。
このプレシフトを切り替える操作を行う際に、時点t1において、ECU26による第1変速アクチュエータ41の操作により変速用駆動ギヤ(ここでは、第5速用駆動ギヤ75)の第1の第1主軸101との連結を、5速シンクロ(不図示)を解放することで解放する。この操作により、カウンタ軸104に設けられた第2共用従動ギヤ92からの駆動力が第5速用駆動ギヤ75を介して第1の第1主軸101に伝達しないようになる。
次いで、時点t1〜t2間の発電のできない期間では、時点t1まで発電機として動作していた電動機14を電動機として回転動作させ、第1の第1主軸101の回転数を増加させる。
このようにして、第1の第1主軸101の回転数が、架け替え予定の奇数段ギヤである第3速用駆動ギヤ73の所定回転数近傍になるまで増加させる回転数合わせ制御を行う。
第1の第1主軸101の回転数が第3速用駆動ギヤ73の回転数に増加した時点t2にて、インバータ15を回生方向に切り替えると共に、第3速用駆動ギヤ73を第1の第1主軸101と一体回転状態とすべく、両者を3速シンクロ(不図示)にて締結する。
この操作により図14に示すように、第3速用駆動ギヤ73及び第1の第1主軸101は、第1共用従動ギヤ91を通じてカウンタ軸104の回転駆動力により回転されてプレシフトの完了状態となる一方で、電動機14が発電機として発電を再開する。
時点t2にて、第3速用駆動ギヤ73は、第1共用従動ギヤ91を通じてカウンタ軸104の回転駆動力により回転され、電動機14が発電機として発電を再開することで、図14に示す、第4速走行状態(第3速用駆動ギヤ73で発電)にする。
図14に示した第4速走行状態(第3速用駆動ギヤ73による電動機14の発電状態)にて、例えば、上り坂走行中でアクセルペダルが踏み込まれたことがECU26により検出されると、ECU26は、第2クラッチ62を解放(切断)し、第1クラッチ61を締結する操作(第1及び第2クラッチ61、62の繋ぎ替え操作)を行うと共に、第2変速アクチュエータ42を通じて第4速用駆動ギヤ74を第2の第2主軸105から解放する。
これにより、図15に示すように、変速機18を第4速走行状態から第3速走行状態に瞬時に切り替えることができ、内燃機関12から第1の第1主軸101を介し第3速用駆動ギヤ73を通じての前輪Wfの駆動(ハッチングを施した矢印参照)、並びに第1の第1主軸101の回転(第3速用駆動ギヤ73も回転)駆動による電動機14の発電状態(白抜きの矢印)に遷移させることができる。
上述した他の変形例では、図12A、図12Bに示したように、時点t1〜時点t2の間の発電ができない期間におけるリヤ左右合計目標動力Prtarの減少分をフロント目標動力Pftarに回さないように制御することで、車両10、10Aの挙動への影響を回避することができる。
なお、この発明は、上述した実施形態のように、後輪Wr(又は前輪Wf)を左右の電動機22A、22Bで駆動しながら、内燃機関12により変速機18を通じて電動機14を発電機として動作させ、同時に内燃機関12により変速機18を通じて前輪Wf(又は後輪Wr)を駆動可能な車両10、10A(全輪駆動車両)に限ることがない。
例えば、この明細書の記載内容に基づき、後輪Wr(又は前輪Wf)を左右の電動機22A、22Bで駆動しながら、内燃機関12により発電機を発電させる(内燃機関12により変速機18を通じて前輪Wf及び後輪Wrを駆動しない。)後輪駆動走行(もしくは前輪駆動走行)又は全輪駆動走行のいわゆる(純粋な)シリーズハイブリッド車両あるいはレンジエクステンダ車両に適用する等、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
なお、上記の実施形態において、左右の電動機22A、22Bは、差動装置等の動力分配機構を用いる1つの電動機としてもよい。
10、10A…車両 12…内燃機関(エンジン)
14…電動機(電動・発電機) 16、16a…前輪駆動装置
20、20a…後輪駆動装置 15、23A、23B…インバータ
22A、22B…左右の電動機 24…バッテリ(蓄電器)
26…ECU(制御装置)

Claims (2)

  1. 前輪及び後輪のいずれか一方である第1駆動輪に機械的に接続される電動機を有し、前記第1駆動輪を駆動する第1駆動装置と、
    前記前輪及び前記後輪のいずれか他方である第2駆動輪を駆動する第2駆動装置と、
    前記電動機に電気的に接続される蓄電器と、
    乗員による操作及び/又は走行状態に基づいて、車両の発生する目標動力である目標車両動力を設定する目標動力設定手段と、
    設定された前記目標車両動力に基づいて前記第1駆動装置が発生する目標動力である目標第1動力及び前記第2駆動装置の発生する目標動力である目標第2動力をそれぞれ設定する目標動力調整手段と、を備える車両であって、
    前記目標動力調整手段は、
    前記目標第1動力が前記第1駆動装置の発生可能な動力である発生可能動力を上回ることを取得又は予測した場合
    記蓄電器の出力可能電力、又は前記電動機の消費電力のうちいずれかの電力が所定の閾値以上のときに前記目標第1動力のうち前記発生可能動力を上回る動力である超過動力を前記第2駆動装置で補うよう調整し、
    前記電力が前記所定の閾値未満のときに前記超過動力を前記第2駆動装置で補うよう調整することを禁止する
    ことを特徴とする車両。
  2. 前輪及び後輪のいずれか一方である第1駆動輪に機械的に接続される電動機を有し、前記第1駆動輪を駆動する第1駆動装置と、
    前記前輪及び前記後輪のいずれか他方である第2駆動輪を駆動する第2駆動装置と、
    前記電動機に電気的に接続される蓄電器と、
    乗員による操作及び/又は走行状態に基づいて、車両の発生する目標動力である目標車両動力を設定する目標動力設定手段と、
    設定された前記目標車両動力に基づいて前記第1駆動装置が発生する目標動力である目標第1動力及び前記第2駆動装置の発生する目標動力である目標第2動力をそれぞれ設定する目標動力調整手段と、を備える車両であって、
    前記目標動力調整手段は
    記蓄電器の出力可能電力、又は前記電動機の消費電力に基づいて前記第1駆動装置の発生可能な動力である発生可能動力を求め、前記目標第1動力が前記発生可能動力を上回ることを取得又は予測した場合、前記発生可能動力が所定の閾値以上のときに前記目標第1動力のうち前記発生可能動力を上回る動力である超過動力を前記第2駆動装置で補うよう調整し、前記発生可能動力が前記所定の閾値未満のときに前記超過動力を前記第2駆動装置で補うよう調整することを禁止する
    ことを特徴とする車両。
JP2014016134A 2014-01-30 2014-01-30 車両 Expired - Fee Related JP6334182B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014016134A JP6334182B2 (ja) 2014-01-30 2014-01-30 車両

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014016134A JP6334182B2 (ja) 2014-01-30 2014-01-30 車両

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2015140172A JP2015140172A (ja) 2015-08-03
JP2015140172A5 JP2015140172A5 (ja) 2016-07-28
JP6334182B2 true JP6334182B2 (ja) 2018-05-30

Family

ID=53770800

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014016134A Expired - Fee Related JP6334182B2 (ja) 2014-01-30 2014-01-30 車両

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6334182B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7170966B2 (ja) * 2018-10-10 2022-11-15 マツダ株式会社 車両駆動装置
JP2023093777A (ja) * 2020-05-18 2023-07-05 三菱自動車工業株式会社 ハイブリッド車両の制御装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3807232B2 (ja) * 2001-02-02 2006-08-09 日産自動車株式会社 ハイブリッド式車両制御装置
JP4062666B2 (ja) * 2002-03-25 2008-03-19 本田技研工業株式会社 トルク変動制御装置及びトルク変動制御プログラム
JP4089608B2 (ja) * 2003-12-08 2008-05-28 トヨタ自動車株式会社 自動車
JP4582031B2 (ja) * 2006-03-15 2010-11-17 日産自動車株式会社 四輪駆動車の駆動力制御装置
JP2013071551A (ja) * 2011-09-27 2013-04-22 Aisin Seiki Co Ltd ハイブリッド車両の制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015140172A (ja) 2015-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6042566B2 (ja) 車両
JP5789069B1 (ja) 車両
US9126583B2 (en) Control device for hybrid vehicle
US8540604B1 (en) Transmission control during regenerative braking
JP2005016559A (ja) ハイブリッド車のモード遷移制御装置
JP7035781B2 (ja) 車両の変速制御装置
JP5789997B2 (ja) ハイブリッド車輌の制御装置
JP6972905B2 (ja) 車両用制御装置
EP3085595B1 (en) Vehicle slip determination device
US9988041B2 (en) System and method for controlling a vehicle powertrain
CN105365813B (zh) 电动车辆
JP6358207B2 (ja) ハイブリッド車両
CN115891665A (zh) 用于再循环功率的系统和方法
JP6334182B2 (ja) 車両
JP2010143512A (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP4094591B2 (ja) ハイブリッド車両の駆動装置
US20170166184A1 (en) Control system for power transmission system
JP5761327B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP2010188775A (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP6356419B2 (ja) 車両
WO2014097401A1 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP2005269772A (ja) ハイブリッド車両の動力伝達装置
JP6071954B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP2006050748A (ja) ハイブリッド車のバッテリ電力補償制御装置
JP2015106963A (ja) 四輪車両のスリップ制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160609

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161213

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20170208

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170411

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170926

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180424

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180426

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6334182

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees