JP6333217B2 - 中空フィルムケーブルの製造方法 - Google Patents
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Description
また最近のスマートフォンやタブレットPCなどのモバイル機器においても、機器の軽量化と小型化、さらに同時に大容量のデーターの送受信を可能にするために、薄型で高速に信号伝送が可能なケーブルが必要とされている。
この同軸ケーブルは特性インピーダンスが一定で安定しており、外部からのノイズの影響を受けることもなく、ケーブル本体から外部に電磁放射することもないため、高周波信号の伝送の分野では好適に利用されている。
そこで、ケーブル内の絶縁性樹脂を発泡樹脂に代えたり、中空の多い構造に改良することも検討されている。
しかし現実には、前記した発砲樹脂や中空樹脂を用いた丸型ケーブルは、そのケーブルの機械的特性や曲げ耐久性、加工難度と製造コストの課題から、実用化されていない。
このLCPは1GHzにおける比誘電率が約2.5で、誘電正接が約0.003と共に小さいため、アンテナモジュールや高速信号の伝送ケーブル、また最近では高速信号系の多層基板への用途で注目されている。
これによると、信号線とシールド導体(グランド層)の間の電磁界は、その大部分が空気中(中空部)を伝播していく伝送構造にされるので、高周波伝送における電気信号のインサーションロスが少なく、信号線の全長にわたり一定の特性インピーダンスを得ることができる薄型化した送受信ケーブルを提供することができる。
すなわち、信号線11を中央にして、信号線11の両面に絶縁樹脂層12a,12bが備えられ、前記各絶縁樹脂層12a,12bの両外側にさらにシールド導体(グランド層)13a,13bが備えられている。
そして、この例においては絶縁樹脂層12a,12bとしてポリイミドが用いられており、前記信号線11およびシールド導体13a,13bに銅箔が用いられると共に、シールド導体13a,13bは、絶縁樹脂層12a,12bの面に沿ってベタ電極を構成している。
エッチングにより形成された破線状の開口部14は、後の製造方法の説明で記述するとおり、信号線11の延設方向に沿って、ポリイミドによる絶縁樹脂層の一部をエッチングにより削除するために利用される。
すなわち、両面のシールド導体13a,13bをマスクとして利用することで、エッチング液は、開口部14から絶縁樹脂層12a,12bに入り、絶縁樹脂層の一部をエッチングにより除去して、前記信号線11に達する中空部15を形成させるものとなる。
前記した開口部14の配列パターンにより、信号線11とシールド導体13a,13bとの間の前記信号線の線幅の領域における絶縁樹脂層の空隙率は、50%以上に設定されており、この実施の形態においては、前記中空部15は前記信号線11の延設方向に沿って連続して(連通して)形成されている。
そして前記中空部15は、図2に示すように信号線11の両面に対称となるように形成されている。
この図3に示す例は、シールド導体13a,13bに形成された開口部14の配列形態が、図2に示した例と異なるものであり、したがって開口部14の配列形態が異なることによるエッチングにより成形される中空部15の形態も異なることになる。そして図3に示す例は、前記した点を除いて図2に示した第1の実施の形態と同様となる。
この円形状の開口部14は、信号線11の延設方向に沿って、左右一対に(2つ)形成されると共に、その隣は中央部に1つ形成され、この2つおよび1つの形成パターンが繰り返されている。
前記した円形状の開口部14の配列パターンにより、信号線11とシールド導体13a,13bとの間の前記信号線の線幅の領域における絶縁樹脂層の空隙率は、50%以上に設定されている。
製造の前工程においては、図4A(a)に示すように、第1基材Aとしてポリイミドによる絶縁樹脂層12bの両面に、それぞれ10μmの銅箔を有する積層板(両面銅張積層板)が用意される。
第1基材Aの一方の面の銅箔は、エッチングにより幅150μmの信号線11と、この信号線11に続くパッド接続領域11aが形成される。また他方の面の銅箔はベタ銅箔として利用され、前記したシールド導体13bになされる。
また第2基材Bとして、ポリイミドによる絶縁樹脂層12aの片面に10μmの銅箔を有する積層板(片面銅張積層板)が用いられ、銅箔はベタ銅箔として利用され、前記したシールド導体13aになされる。
そして、破線状の開口部14が形成されたシールド導体13a,13bをマスクにして、内層のポリイミド(絶縁樹脂層12a,12b)のエッチングが行われる。この場合のエッチングは信号線11上のポリイミドのみを銅膜(シールド導体13a,13b)に対してオーバーエッチすることにより、ポリイミドの壁を残しながら信号線11上のポリイミドの70%以上をエッチングにより削除する。
そして、貫通孔19に形成された前記ビアメッキを介して、絶縁樹脂層12a,12bの間に配置された前記した信号線11と信号線パッド21とが接続される。
なお、この信号線パッド21は、必要に応じて積層シートの反対面にも同様の形態で形成される。
なお図3に示した第2の実施の形態に係る中空フィルムケーブルは、前記したとおりシールド導体に形成される開口部14の形状が異なるのみであり、その製造に際しては、前記と同様の工程を採用することができる。
このリブ部材34は、例えばドライフィルムレジスト(DFR)を利用することで、これを部分的に露光させた後に現像することで形成することができる。
すなわち、絶縁樹脂層31に形成された前記溝33内には、ドライフィルムレジスト(DFR)が埋め込まれ、このドライフィルムレジスト上には、図示せぬマスクフィルムが載置される。
このリブ部材34は、図に示す例においては六角柱壁面を構成しているが、前記したマスクフィルムの形成パターンに応じて、リブ部材34は任意の立体壁面構造とすることができる。
この第1基材Aと第2基材Bとの間には、中央部に信号線36が形成された薄いポリイミド系シート37が配置され、このシート37の上下に接着シート38,39が介在されて、第1基材Aと第2基材Bは熱圧着により積層される。
図5C(b)に示されているように、第1基材Aと第2基材Bが積層された状態において、前記信号線36が形成されたシート37の幅の狭い端部37aが、積層シートから露出されている。この端部37aには前記信号線36に電気的に接続された信号線パッド36aが形成されている。
そして、リブ部材34を備えたこの実施の形態によると、信号線36と両外側のシールド導体32との間の前記信号線の線幅の領域における絶縁樹脂層の空隙率は90%に達するものとなる。
すなわち図6における横軸は伝送信号の周波数を示しており、縦軸は信号の減衰量(dB)を示している。
また図6に示す特性bは、図5A〜図5Cに示した製造方法にしたがった中空フィルムケーブル(厚み0.2mm、幅0.8mm)の実測値である。この中空フィルムケーブルの特性インピーダンスZoは47Ωであり、その周波数特性は特性dとして示した既存のφ0.75mmの同軸ケーブルと同等の特性であった。
11a パッド接続領域
12a,12b 絶縁樹脂層
13a,13b シールド導体
14 開口部
15 中空部
17 接着シート
18 貫通孔
19 貫通孔
21 信号線パッド
22 エッチング領域
31 絶縁樹脂層
32 シールド導体
33 溝(中空部)
34 リブ部材
36 信号線
36a 信号線パッド
37 シート
37a シート端部
38,39 接着シート
41 貫通穴
A 第1基材
B 第2基材
Claims (3)
- 信号線に対し絶縁樹脂層を挟んでシールド導体を備えたフィルムケーブル、もしくは信号線の両面に絶縁樹脂層を有し、前記各絶縁樹脂層の両外側にシールド導体を備えたフィルムケーブルを用意し、
前記シールド導体に対して、前記信号線の延設方向に沿って、エッチングにより間欠的に開口部を形成する工程と、
前記開口部を形成したシールド導体をマスクとして利用し、前記絶縁樹脂層をエッチングにより部分的に削除して、絶縁樹脂層に前記シールド導体から前記信号線に達する中空部を形成する工程と、
を有し、前記中空部を前記信号線の延設方向に沿って形成したフィルムケーブルを得ることを特徴とする中空フィルムケーブルの製造方法。 - 片面にシールド導体を備えた絶縁樹脂層の一部を、レーザ光もしくはエッチングにより溝状に削除することにより中空部を形成する工程と、
前記絶縁樹脂層に形成された中空部内に、感光性樹脂の露光現象によりリブ部材を形成する工程と、
溝状の中空部内にリブ部材を形成した一対の絶縁樹脂層を対向させて、その間に信号線を備えたシートを介在させる工程と、
対向する前記リブ部材に沿って前記信号線を対峙させた状態で積層する工程と、
を有し、前記信号線を前記リブ部材の端面により支持したフィルムケーブルを得ることを特徴とする中空フィルムケーブルの製造方法。 - 片面にシールド導体を備えた絶縁樹脂層の一部を、レーザ光もしくはエッチングにより溝状に削除することにより中空部を形成する工程と、
前記絶縁樹脂層に形成された中空部内に、感光性樹脂の露光現象によりリブ部材を形成する工程と、
前記リブ部材が形成された絶縁樹脂層に対向させて、信号線を備えたシートを配置する工程と、
前記リブ部材に沿って前記信号線を対峙させた状態で積層する工程と、
を有し、前記信号線を前記リブ部材の端面により支持したフィルムケーブルを得ることを特徴とする中空フィルムケーブルの製造方法。
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