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JP6329418B2 - 容積型ポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、容積型ポンプに関する。
本技術分野の背景技術として、特開2004−316537号公報(特許文献1)がある。この公報には、「底部に潤滑油を貯留する油溜りを有した密閉容器と、前記密閉容器内に収納された圧縮機構部および電動機部と、前記圧縮機構部と前記電動機部とを上下に連結する回転軸と、前記電動機部の上下両側で前記回転軸を支持する主軸受および副軸受と、前記副軸受を支持する副軸受支持部材と、前記副軸受支持部材に取付けられ且つ前記回転軸により駆動される給油ポンプとを備え、
前記回転軸は前記給油ポンプから供給される潤滑油を前記副軸受に供給する給油経路を有し、
前記副軸受支持部材および前記給油ポンプは、前記回転軸の周囲に前記副軸受に連通する内部空間を形成すると共に、この内部空間と前記油溜りを連通する通路を有する圧縮機。」と記載されている(請求項1参照)。
特開2004−316537号公報
特許文献1は副軸受への給油量を確保し高信頼性とするために、圧縮機下部に給油ポンプを設けたものであるが、給油ポンプの給油効率や信頼性については特に考慮されていなかった。一般的に給油ポンプを構成するインナロータ及びアウタロータとポンプカバーとの間は、各部品の寸法公差を考慮して隙間を持って設計されている。この隙間が大きいと、油の漏れが発生し、給油効率が低下する。
一方、運転条件によっては回転軸の振れ周り(傾斜)が発生し、給油ポンプの機構部を構成するインナロータとアウタロータが傾斜することで、インナロータ及びアウタロータとポンプカバーの間の隙間が減少する。給油効率向上のためこの隙間を小さくしすぎると、インナロータ及びアウタロータとポンプカバーが接触し、ポンプカバーが摩耗することによる信頼性低下を招く。
そこで、本発明はインナロータおよびアウタロータと、ポンプカバーの間の隙間をなくし、給油効率を向上した上で、接触の際の摩耗量を低減し信頼性を向上した給油ポンプを有するスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、「電動機により回転軸を介して駆動されるインナロータと、
前記インナロータと噛み合いインナロータの回転に伴い回転するアウタロータと、
前記インナロータおよびアウタロータを回転自在に支持するポンプケースと、
前記インナロータと前記アウタロータと前記ポンプケースにより区切られる吸込室および吐出室の気密を保つポンプカバーと、
により構成され、
前記電動機によりインナロータが駆動されることで、流体を前記吸込室から前記吐出室に移送し、供給する容積型ポンプにおいて、
前記ポンプカバーを、回転軸の軸方向に移動自在とし、前記ポンプカバーを支持する弾性体と、
前記弾性体を支持するカバー押さえを有すること」を特徴とする。
本発明によれば、インナロータおよびアウタロータと、ポンプカバーの間の隙間をなくし、漏れを低減することで、給油効率の高い容積型ポンプを提供できる。 また、運転条件によっては回転軸の傾斜に伴い両ロータが傾斜してポンプカバーに接触する可能性があるが、その際にはポンプカバーが押し上げられ、摩耗を回避できるため、圧縮機の信頼性を向上することができる。
本実施例のスクロール圧縮機の縦断面図。 本願の給油ポンプの構成を示す図。 波ワッシャを用いた際の本実施例の構成を示す図。 本願の構成を用いない給油ポンプの構成を示す図。 カバー押さえに回り止め、ハウジングにガイド部を設けた際の本実施例の構成を示す図。 ハウジングとカバー押さえを一体とした際の本実施例の構成を示す図。 本実施例において用いる波ワッシャの図。
以下、実施例を図面を用いて説明する。
本実施例は、冷凍用や空調用などの冷凍サイクルに使用される冷媒圧縮機、或いは空気やその他のガスを圧縮するガス圧縮機に適用される、容積型ポンプに関するものである。以下においては、適用製品として、スクロール圧縮機を一例として説明する。まず、スクロール圧縮機の基本的な構造について説明する。
図1は本実施例のスクロール圧縮機の縦断面図である。図に示すように、固定スクロール(固定スクロール部材)7は、円板状の固定側平板部7a(台板)と、この固定側平板部7aの上に渦巻き状に立設された第1ラップ7bと、固定側平板部7aの外周側に位置し、第1ラップ7bの先端面と連続する鏡板面を有して第1ラップ7bを囲む支持部7dとを有する。
第1ラップ7bが立設された固定側平板部7aの表面は、第1ラップ7bの間にあるため歯底7cと呼ばれる。また、支持部7dが、旋回スクロール(旋回スクロール部材)8の旋回側平板部8a(鏡板)と接する面は、固定スクロール7の鏡板面7eとなっている。固定スクロール7は、その支持部7dがボルト等によりフレーム17に固定され、固定スクロール7と一体となったフレーム17は溶接等の固定手段により密閉容器9に固定されている。
旋回スクロール8は、固定スクロール7に対向して配置され、固定スクロール7の第1ラップ7bと旋回スクロール8の第2ラップ8bとが噛み合わされて、フレーム17内に旋回可能に設けられている。旋回スクロール8は、円板状の旋回側平板部8a、この旋回側平板部8aの表面である歯底8cから渦巻き形状を保持して立設される第2ラップ8b、及び旋回側平板部8aの背面中央に設けられたボス部8dとを有する。また、旋回側平板部8aの外周部の、固定スクロール7と接する表面が、旋回スクロール8の鏡板面8eとなっている。第2ラップ8bと第1ラップ7bとが噛み合いながら、固定スクロール7に対して旋回することにより圧縮室13の容積が縮小し、圧縮室13内の冷媒が圧縮される。
密閉容器9は、固定スクロール7と旋回スクロール8からなるスクロール部、電動機部16(16a:回転子、16b:固定子)及び潤滑油53などを内部に収納した構造となっている。電動機部16の回転子16aと一体に固定された回転軸10は、フレーム17に主軸受5を介して回転自在に支持され、固定スクロール7の中心軸線と同軸となっている。
回転軸10の先端にはクランク部10aが設けられており、このクランク部10aは旋回スクロール8のボス部8dに設けられた旋回軸受11に挿入され、旋回スクロール8は回転軸10の回転に伴い旋回可能に構成されている。旋回スクロール8の中心軸線は固定スクロール7の中心軸線に対して所定距離だけ偏心した状態となる。また、旋回スクロール8の第2ラップ8bは、固定スクロール7の第1ラップ7bに周方向に所定角度だけずらして重ね合わせられている。12は、旋回スクロール8を固定スクロール7に対して、自転しないように拘束しながら相対的に旋回運動させるためのオルダムリングである。
電動機部16により回転軸10を回転駆動すると、回転軸10のクランク部10aから旋回軸受11を介して旋回スクロール8に伝えられ、旋回スクロール8は固定スクロール7の中心軸線を中心に、所定距離の旋回半径をもって旋回運動する。
旋回スクロール8の旋回運動によって、各第1ラップ7b、第2ラップ8bの間にできる圧縮室13は中央に連続的に移動し、その移動に従って圧縮室13の容積が連続的に縮小する。これにより、吸込ポート14から吸込まれた流体(例えば、冷凍サイクルを循環する冷媒ガス)を各圧縮室13内で順次圧縮し、圧縮された流体は吐出ポート15から密閉容器上部の吐出空間54に吐出される。吐出された流体は、吐出空間54から密閉容器9内の電動機室52に入り、吐出パイプ6から圧縮機外、例えば冷凍サイクルに供給される。
潤滑油53は密閉容器9の底に貯留されており、回転軸10の下端には容積型の給油ポンプ21を設けている。回転軸10の回転とともに給油ポンプ21も回転させ、潤滑油53をポンプケース22に設けた潤滑油吸込口25から吸入して、給油ポンプ21の吐出口28から吐出する。吐出された潤滑油53は回転軸10に設けた油通路3を通って上部へ供給される。潤滑油53の一部は、回転軸10に設けた横穴24を通って副軸受23を潤滑し、密閉容器底部に戻る。その他大部分の潤滑油53は、油通路3を通って回転軸10のクランク部10a上部に達し、クランク部10aに設けた油溝57を通って旋回軸受11を潤滑する。そして旋回軸受11の下部に設けた主軸受5を潤滑した後、排油穴26a及び排油パイプ26bを通って密閉容器底部へ戻る。
以下、本実施例の容積型ポンプの詳細を説明する。まず、図4を用いて本発明を適用していない場合の容積型ポンプの課題について説明する。図4において給油ポンプ21は、電動機16により回転軸10を介して駆動されるインナロータ92と、インナロータ92と噛み合いインナロータ92の回転に伴い回転するアウタロータ93と、インナロータ92およびアウタロータ93を回転自在に支持するポンプケース22とを備える。給油ポンプ21の吸込室95と吐出室96は、インナロータ92とアウタロータ93と、ポンプケース22と、ポンプカバー94により形成される。
給油ポンプ21は、下フレーム58に固定されるハウジング97と結合具91により固定される。そして、電動機部16によりインナロータ92が駆動されることで、潤滑油53を吸込室95から吐出室96に移送し、回転軸の中央に連通した油通路3を介し主軸受5、旋回軸受11、副軸受23などの摺動部に供給する。
ここで、図4ではインナロータ92及びアウタロータ93とポンプカバー94との間は、各部品の寸法公差を考慮して隙間98を持って設計されている。この隙間98により油の漏れが発生することで給油効率の低下を招く。しかし、給油効率向上のためこの隙間を小さくしすぎると、運転条件によっては回転軸10の傾斜に伴いインナロータ92およびアウタロータ93が傾斜してポンプカバー94に接触する可能性があり、この際にポンプカバー94が摩耗することによる信頼性低下を招く。そこで、以下においてはインナロータ92およびアウタロータ93と、ポンプカバー94の間の隙間をなくし、給油効率を向上した上で、接触の際の摩耗を低減し信頼性を向上した給油ポンプ21の構造について説明する。
図2は本実施例の容積型ポンプの構造を示す図である。図4に示した構成と同様の役割を果たす構成については、同様の符号を付しておりすでに説明しているので詳細な説明は省略する。本実施例の給油ポンプ21はポンプカバー94とインナロータ92およびアウタロータ93の隙間を一定の間隔に保つため、ポンプカバー94を支持する弾性体101と、弾性体101を支持し、ポンプケース22に固定されるカバー押さえ102を有することを特徴とするものである。また、図4においてはカシメなどの手段によりポンプケース22にポンプカバー94を固定する構造となっていたが、本実施例のポンプケース22はポンプカバー94が上下に自在に動けるように支持するのみでポンプカバー94を完全に固定する構造とはなっていない。
本実施例の構成によれば図4の構成により生じていた隙間98をなくし、油の漏れを低減することで給油効率を向上できる。また、回転軸10の振れ周り(傾斜)によりインナロータ92とアウタロータ93が傾斜し、ポンプカバー94と接触すると、ポンプカバー94を押し上げる向きに力が発生し、弾性体101は上方向に縮み、ポンプカバー94はインナロータ92とアウタロータ93の傾斜に追従する。これによりポンプカバー94を固定する場合と比べポンプカバー94に局所的にかかる面圧を低減し、摩耗を抑制する。
従って、本実施例によれば、インナロータ92およびアウタロータ93とポンプカバー94との油の漏れ、摩耗を低減した給油ポンプ21を有するスクロール圧縮機を提供することができる。
ここで、回転軸10が振れ回る際、回転軸10は軸と直行する平面の全周にわたるすべての方向に傾斜しうる。傾斜に対し、インナロータ92およびインナロータ92と噛み合うアウタロータ93は回転軸10に追従して傾斜するため、インナロータ92およびアウタロータ93も回転軸10と同様にすべての方向に傾斜する可能性がある。例えば、弾性体101としてポンプカバー94に回転軸10を中心として対極にある2箇所のばね部材を用いたとすると、2箇所のばね部材間の方向に対しての傾斜には弾性力が働くが、その他の方向の傾斜に対してはばね部材間の方向の傾斜と比較し弾性力が弱まる。すると、インナロータ92およびアウタロータ93の傾斜への追従性が弱まり、隙間98が増大することにより、高圧の吐出室96から低圧の吸込室95への油の漏れが増大し、給油ポンプ21の給油効率が低下する。
そこで、上記した弾性体101はポンプカバー94を全周にわたって支持する構造であることが望ましい。例えば、図3のような構成で、図7に示すような環状の波ワッシャが用いられる。この波ワッシャは、バネ鋼により形成されており、その厚み方向において上方および下方のそれぞれに交互に湾曲している。
弾性体101はポンプカバー94を全周にわたって支持する構造であるため、すべての方向の傾斜を抑制するように弾性力を発揮する。従って、上記構成によれば、すべての方向の傾斜に対し弾性力を発揮することで、隙間98の増大を抑制し、高圧の吐出室96から低圧の吸込室95への油の漏れを低減し、給油ポンプ21の給油効率を向上することができる。波ワッシャであれば単一の部品で弾性体101を構成できるため、生産性を向上することができる。
なお、弾性体101として上記した波ワッシャの代わりに、3つ以上の弾性部材、例えばバネ部材で構成したものを用いてもよい。あるいは、回転軸10より直径の大きい一つのバネ部材で弾性体101を構成してもよい。
また、ポンプカバー94はカバー押さえ102に回転自由に支持されているが、本実施例の構成でポンプカバー94が回転すると、弾性体101、カバー押さえ102との間に摩擦が発生し、ポンプカバー94、弾性体101、カバー押さえ102が摩耗する。
そこで、ポンプカバー94は上下移動自由かつ回転が拘束されるように支持されることが望ましい。例えば、図5のようにポンプカバー100に回り止め104を、ポンプケース22に回り止め部となるガイド105を設ける。つまり、ポンプカバー100に回り止め部となる1つまたは複数の突起(回り止め104)を設けるとともに、ポンプケース22に回り止め104に対向する位置に上下方向に回り止め104をガイドする1つまたは複数のガイド部を有することで、ポンプカバー100はポンプケース22に対して回転方向に拘束されつつ、上下方向には自由に移動できる。従って、上記構成によれば、ポンプカバー100、弾性体101、カバー押さえ102の間の摩耗を抑えることができる。
さらに、図6に示すようにカバー押さえ102をハウジング97と一体に形成することにより、生産性を向上することができる。このハウジング97は副軸受23を支持する固定部材であり、下フレーム58に固定される。
また、ポンプカバー94にリン酸マンガン処理やDLC処理などの表面処理を施すことにより、摩耗に対する耐力が向上し、信頼性の高い給油ポンプを提供できる。
3 油通路
5 主軸受
6 吐出パイプ
7 固定スクロール(7a:固定側平板部、7b:第1ラップ、7c:歯底、7d:支持部、7e:鏡板面)
8 旋回スクロール(8a:旋回側平板部、8b:第2ラップ、8c:歯底、8d:ボス部、8e:鏡板面)
9 密閉容器
10 回転軸(10a:クランク部)
11 旋回軸受
12 オルダムリング
13 圧縮室
14 吸込ポート
15 吐出ポート
16 電動機部(16a:回転子、16b:固定子)
17 フレーム
18 背圧室
20 吸込室
21 給油ポンプ
23 副軸受
30 穴
52 電動機室
53 潤滑油
92 インナロータ
93 アウタロータ
94 ポンプカバー
101 弾性体
102 カバー押さえ

Claims (8)

  1. 電動機により回転軸を介して駆動されるインナロータと、
    前記インナロータと噛み合い前記インナロータの回転に伴い回転するアウタロータと、
    前記インナロータおよび前記アウタロータを回転自在に支持するポンプケースと、
    前記インナロータと前記アウタロータと前記ポンプケースにより区切られる吸込室および吐出室の気密を保つポンプカバーと、
    により構成され、
    前記回転軸は、前記電動機の主軸受及び副軸受により支持され、
    前記電動機により前記インナロータが駆動されることで、流体を前記吸込室から前記吐出室に移送し、供給する容積型ポンプにおいて、
    前記ポンプカバーを、前記回転軸の軸方向に移動自在とし、前記ポンプカバーを支持する弾性体と、
    前記弾性体を支持するカバー押さえと、を有し、
    前記カバー押さえは、前記副軸受を支持する固定部材と一体に形成されることを特徴とする容積型ポンプ。
  2. 請求項1に記載の容積型ポンプにおいて、
    前記弾性体は前記ポンプカバーを全周にわたって支持する構造であることを特徴とする容積型ポンプ。
  3. 請求項2に記載の容積型ポンプにおいて、
    前記弾性体として波ワッシャを用いることを特徴とする容積型ポンプ。
  4. 請求項1に記載の容積型ポンプにおいて、
    前記弾性体は3つ以上の弾性部材から構成され、
    これらの弾性部材は前記ポンプカバーの外周側の異なる位置に取り付けられることで、前記ポンプカバーを支持する構造であることを特徴とする容積型ポンプ。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の容積型ポンプにおいて、
    前記ポンプカバーに回り止め部を有することを特徴とする容積型ポンプ。
  6. 請求項5に記載の容積型ポンプにおいて、
    前記ポンプカバーに回り止め部となる1つまたは複数の突起を設け、前記ポンプケースに回り止め部に対向する位置に上下方向に回り止め部をガイドする1つまたは複数のガイド部を有することを特徴とする容積型ポンプ。
  7. 請求項1〜4の何れか一項に記載の容積型ポンプにおいて、
    前記ポンプカバーにリン酸マンガン処理やDLC処理などの表面処理を施したことを特徴とする容積型ポンプ。
  8. 流体を密閉する密閉容器と
    前記密閉容器内に配置され、流体を圧縮する圧縮機構部と、
    前記密閉容器内に配置され、前記圧縮機構部を駆動する固定子および回転子からなる電動機と、
    前記圧縮機構部と前記電動機とを連結し、回転力を伝達する回転軸と、
    前記回転軸を支持する軸受と、
    前記密閉容器の底部に位置する油貯留部と、
    前記軸受に供給する給油ポンプと、
    を備えた圧縮機において
    前記給油ポンプは請求項14の何れか一項に記載の容積型ポンプであることを特徴とする圧縮機。
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