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JP6310605B1 - レーザ溶接形鋼およびその製造方法 - Google Patents

レーザ溶接形鋼およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶接部の強度、特に疲労強度に優れるレーザ溶接形鋼を提供する。【解決手段】鋼板からなるウェブ材(4)およびフランジ材(3)により形成されたレーザ溶接形鋼(1)であって、鋼板の組成、およびウェブ材(4)とフランジ材(3)との接合部分である溶接部(2)の硬さが所定の条件を満たすとともに、溶接部(2)におけるレーザ光源側の表面(2a)は全て、ウェブ材(4)の表面(4a)を含む平面よりもレーザ光源側に位置している。Ceql=C+(Si/50)+(Mn/25)+(P/2)+(Cr/25)+Ti・・・(1)【選択図】図2

Description

本発明は、レーザ溶接形鋼およびその製造方法に関する。
従来、建築物の構造材等の様々な用途に、T字形鋼やH形鋼等の形鋼が用いられている。このような形鋼を製造する方法の一つとして、レーザ溶接法が挙げられる。レーザ溶接法では、フランジ材にウェブ材の端部を垂直に突き合わせて形成されるT字継手部にレーザ光を照射して、フランジ材とウェブ材とが互いに溶接される。
レーザ溶接法によって、所望の性質を満たす形鋼を効率的に形成する技術が各種提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
また、特許文献4には、ウェブ材の幅方向の端部に、座屈変形させることなく肉厚増大部を形成するウェブエッジプリアプセット方法が記載されている。この方法により、高周波電流を流してフランジ材とウェブ材との接触部を溶着する高周波溶接を行うに際して、当該接触部の面積を大きくすることができる。
特開2009−119485号公報(2009年6月4日公開) 特開2011−83781号公報(2011年4月28日公開) 特開2012−152820号公報(2012年8月16日公開) 特開2003−285136号公報(2003年10月7日公開)
近年、レーザ溶接法により製造されたレーザ溶接形鋼の強度をさらに向上させることが求められている。レーザ溶接形鋼の強度を向上させるためには、(i)フランジ材およびウェブ材の素材自体の強度を向上させること、並びに、(ii)当該素材は、レーザ溶接により形成される溶接部の強度および加工性を満足するものであること、の両方が求められる。
ここで、一般に、レーザ溶接法では、溶接部(溶接ビード)に窪みが形成されることがある。これは、スパッタによる溶融金属の飛散、およびレーザを照射する側とは反対側の溶接ビードの垂れ下がり等に起因する。このような窪みは応力集中部となり得る。
それゆえ、溶接部の疲労強度を向上させるためには、上記窪みが形成されないようにフランジ材およびウェブ材を溶接することが好ましい。
本発明はこのような現状に鑑み、溶接部の強度、特に疲労強度に優れるレーザ溶接形鋼を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討したところ、以下の(A)および(B)の知見を得て、本発明を完成させるに至った。すなわち、(A)素材としての鋼板自体の強度を向上させることと、レーザ溶接部の強度を向上させることとの両方を実現することができる、上記鋼板の組成条件およびレーザ溶接部の条件を見出した。一般に、レーザ溶接法では、溶接部に形成される突出部がアーク溶接法等に比べて小さくなる。そのような突出部が小さい(断面積が少ない)溶接部を有するレーザ溶接形鋼であっても、本発明者らが見出した条件を満たすことにより、レーザ溶接部の強度を向上させることができる。そして、本発明者らはさらに検討を重ね、(B)上記窪みが形成することを、フィラーワイヤ(溶加材)等を用いたり、溶接1パスに対して複数のレーザ発振器を設置したりすることなく、防止し得る方法を見出した。
すなわち、本発明は、以下の発明を含むものである。
〔1〕鋼板からなるウェブ材およびフランジ材により形成されたレーザ溶接形鋼であって、前記鋼板は、式(1)で与えられる炭素当量Ceqlが0.07以上0.12以下、かつTi含有量が0.01質量%以上0.1質量%以下であり、前記ウェブ材と前記フランジ材との接合部分である溶接部の硬さは、前記鋼板の硬さの1.2倍以上2.8倍以下であり、前記ウェブ材におけるレーザが照射された面を第1面とし、前記ウェブ材を基準として前記第1面が位置する側を第1の側とし、前記第1の側における前記溶接部の表面は全て、前記ウェブ材の前記第1面を含む平面よりも前記第1の側に位置していることを特徴とするレーザ溶接形鋼。
〔2〕前記第1の側における前記フランジ材から突出している溶接部の長さをα、前記第1面から前記第1の側に突出している溶接部の長さをγ、前記ウェブ材を基準として前記第1の側の反対側である第2の側における前記フランジ材から突出している溶接部の長さをβ、前記ウェブ材の前記第1面と反対側の第2面から前記第2の側に突出している溶接部の長さをδとすると、α、β、γ、およびδで示される、突出している溶接部の長さが何れも1mm以下であることを特徴とする〔1〕に記載のレーザ溶接形鋼。
〔3〕前記ウェブ材は、板厚が6mm以下であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載のレーザ溶接形鋼。
〔4〕鋼板からなるウェブ材およびフランジ材により形成されたレーザ溶接形鋼の製造方法であって、前記ウェブ材の端部を、該端部の板厚が前記ウェブ材の板幅方向における中央部の板厚に対して100%を超えるように増肉加工する増肉工程と、前記増肉工程の後、前記ウェブ材と前記フランジ材とをレーザ溶接により接合する接合工程とを含み、前記鋼板は、式(1)で与えられる炭素当量Ceqlが0.07以上0.12以下、かつTi含有量が0.01質量%以上0.1質量%以下であり、前記ウェブ材と前記フランジ材との接合部分である溶接部の硬さは、前記鋼板の硬さの1.2倍以上2.8倍以下であり、前記接合工程において、前記ウェブ材にレーザが照射される面を第1面とし、前記ウェブ材を基準として前記第1面が位置する側を第1の側とし、前記第1の側における前記溶接部の表面が全て、前記ウェブ材の前記第1面を含む平面よりも前記第1の側に位置するようにレーザ溶接することを特徴とするレーザ溶接形鋼の製造方法。
本発明の一態様によれば、溶接部の強度、特に疲労強度に優れるレーザ溶接形鋼を提供することができるという効果を奏する。
一般的なレーザ溶接法にて製造したレーザ溶接形鋼の溶接部を、長手方向に垂直な平面にて切断した断面を示す写真の一例である。 (a)は、本発明の実施の形態におけるレーザ溶接形鋼の長手方向に垂直な断面を示す図である。(b)は、(a)に示すレーザ溶接形鋼における溶接部を示す断面写真の一例である。 炭素当量Ceqlと溶接部の硬さとの関係を示す図である。 図2に示したレーザ溶接形鋼の長手方向に垂直な断面における溶接部の部分拡大図である。 形鋼が建築物等の構造部材として使用される場合の一例を示す図であり、(a)は、比較例としての軽量溶接形鋼を、(b)は、本発明の実施の形態におけるレーザ溶接形鋼を示している。 マッシャーロールの押し当てによってウェブ材の端面を平滑化および増肉化する方法を説明する模式図である。 レーザ溶接方法を示す模式図である。 溶接部の表面における窪み量を測定する方法の一例を示す図である。 実施例における疲労試験の模式図である。 (a)および(b)は、実施例における斜め割れ試験の模式図である。
以下、本発明の実地の形態について、図面を参照し詳細に説明する。なお、以下の記載は発明の趣旨をより良く理解させるためのものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」とは、A以上B以下であることを示している。
(レーザ溶接形鋼の比較例)
本発明の実施の形態におけるレーザ溶接形鋼についての理解を容易にするため、先ず、比較例としての一般的なレーザ溶接形鋼について、図1に基づいて説明する。
図1は、一般的なレーザ溶接法にて製造したレーザ溶接形鋼100の溶接部を、長手方向に垂直な平面にて切断した断面写真の一例である。通常、レーザ溶接形鋼100は以下のように製造される。先ず、フランジ材110を、その短手方向が重力方向に沿った方向となるように配置し、フランジ材110の板面にウェブ材120の端面を押し当てる。フランジ材110とウェブ材120との当接部に、図1における上側から斜めにレーザ光を照射する。これにより、レーザ溶接部130が形成される。
図1に示すように、レーザ溶接形鋼100は、レーザ溶接部130に、深さ0.2mm程度の窪み140が生じている。この窪み140が発生する原因は、(i)ウェブ材120のスリットエッジ(切断端面)の形状が平滑でないことにより押し当て部(当接部)に空隙が生じること、(ii)レーザ光によって溶融した溶融金属が重力によって垂下すること、が挙げられる。また、他にも、(iii)フランジ材110にウェブ材120を押し当てる力(アプセット)の不足、(iv)スパッタによる溶融金属の飛散、および(v)シールドガスの噴きつけによる溶融部へのガス圧の影響、等も原因として挙げられる。
レーザ溶接部130に窪み140が生じることは、好ましいことではないため公言されることは少ない。しかしながら、実際上、上記(i)〜(v)等の理由により、一般的なレーザ溶接法にて製造したレーザ溶接形鋼100には、窪み140が必然的に生じ得る。
<レーザ溶接形鋼1>
以下に、本発明の実施の形態におけるレーザ溶接形鋼1について説明する。図2の(a)は、本実施の形態におけるレーザ溶接形鋼1の長手方向に垂直な断面を示す図である。図2の(b)は、(a)に示すレーザ溶接形鋼1における溶接部2を示す断面写真の一例である。
図2の(a)に示すように、レーザ溶接形鋼1は、鋼板からなる2つのフランジ材3と、フランジ材3同士を繋ぐ、鋼板からなるウェブ材4とがレーザ溶接により接合されたH形鋼である。なお、本実施形態では、レーザ溶接形鋼1が、長手方向に垂直な断面がH形であるH形鋼である場合について述べるが、これに限られるものでは無い。すなわち、レーザ溶接形鋼1は、レーザ溶接により製造されたT字状の継手部を有している形鋼であればよく、I形鋼、T形鋼等の各種形鋼であってもよい。なお、以下では、フランジ材3およびウェブ材4を母材と称することがある。また、レーザ溶接形鋼1の溶接部2について、レーザ溶接部と称することがある。
レーザ溶接形鋼1は、フランジ材3とウェブ材4との接合部分に、フランジ材3とウェブ材4とが溶融して形成された溶接部2を有する。
図2の(b)に示すように、本実施形態におけるレーザ溶接形鋼1は、溶接部2のうち最も窪んだ部位であっても、当該部位の窪みの頂点の位置が、ウェブ材4の非溶接部である表面の延長線よりウェブ材4の内部側に位置しないように溶接部2が形成されている。なお、このような溶接部2を形成する方法については、本実施形態のレーザ溶接形鋼1の製造方法の説明にて後述する。
レーザ溶接形鋼1における溶接部2の形状について、より詳しく説明すれば以下のとおりである。
フランジ材3とウェブ材4とをレーザ溶接する前において、フランジ材3の板面にウェブ材4の端面を当接させて当接部(図示せず)が形成される。この当接部に、図2の(a)および(b)における上側から斜めにレーザが照射されて溶接部2が形成される。
ここで、上記当接部にレーザが照射される際に、当該レーザを出射するレーザ発振器(図示せず)が配置される側をレーザ光源側(第1の側)とする。換言すれば、レーザ光源側とは、ウェブ材4におけるレーザが照射された面を第1面とし、ウェブ材4を基準として当該第1面が位置する側のことある。また、ウェブ材4における上記第1面を表面4aとし、溶接部2における上記レーザ光源側に位置する表面を表面2aとする。
本実施形態のレーザ溶接形鋼1において、溶接部2の表面2aは全て、ウェブ材4の表面4aを含む平面よりも上記レーザ光源側に位置している。
また、溶接部2の形状について、図2の(b)に示す断面に基づいて、以下のように表現することもできる。
ここで、レーザ溶接する前において、フランジ材3にウェブ材4の端面を当接させることにより、フランジ材3の板面とウェブ材4の表面4aとによって隅部が形成される。レーザ溶接後のレーザ溶接形鋼1を、上記隅部の線の延びる方向に垂直な平面で切断したときの溶接部2の断面が、図2の(b)に示す断面である。レーザ溶接形鋼1は、上記隅部の線に沿った任意の位置において切断した場合であっても、上記断面において、溶接部2の表面2aは全て、ウェブ材4の表面4aを含む平面よりも上記レーザ光源側に位置している。
また、より詳しくは、本実施形態のレーザ溶接形鋼1における溶接部2は、仮に表面2aに窪みが形成されていた場合であっても、最も深い窪みの底がウェブ材4の表面4aを含む平面よりも深くなることがない、換言すれば最も深い窪みの頂点が表面4aを含む平面よりもウェブ材4の内部側に位置することがない。
以上のように、レーザ溶接形鋼1の溶接部2は、前述した一般的なレーザ溶接形鋼100における窪み140を有していない。そのため、応力集中が抑制され、溶接部2の疲労強度を向上させることができる。
また、本実施形態におけるレーザ溶接形鋼1は、ウェブ材4を基準として上記レーザ光源側の反対側(第2の側)においても、以上に説明したことと同様に、応力集中部となり得る窪みが形成されていない。具体的には、ウェブ材4を基準として上記レーザ光源側の反対側を非レーザ照射側(第2の側)とし、ウェブ材4における非レーザ照射側に位置する面を表面4b(第2面)とし、溶接部2における非レーザ照射側に位置する表面を表面2bとする。
上記非レーザ照射側において、溶接部2の表面2bは全て、ウェブ材4の表面4bを含む平面よりも、上記非レーザ照射側に位置している。レーザ溶接形鋼1は、長手方向のいずれの位置で切断した場合であっても、その断面において、溶接部2の表面2bは全て、ウェブ材4の表面4bを含む平面よりも上記非レーザ照射側に形成されている。
また、本実施形態におけるレーザ溶接形鋼1は、表面4aから上記レーザ光源側に突出している溶接部2の長さ(図4を参照して後述する長さγ)が、表面4bから上記非レーザ照射側に突出している溶接部2の長さ(図4を参照して後述する長さδ)よりも大きくなっている。換言すれば、溶接部2は、上記レーザ光源側の突出量が、上記非レーザ照射側の突出量よりも大きくなっている。
次に、本実施形態におけるレーザ溶接形鋼1を形成する母材である鋼板の組成について、以下に説明する。
一般にレーザ溶接法に使用される鋼板として、例えば、400MPa級の引張強度を示すC−Mn系の鋼板が知られている。母材の強度をさらに向上させるには、母材の組成におけるC(炭素)の含有量を増やすことが一つの方策として考えられる。
しかしながら、レーザ溶接部は急熱急冷組織であるため、その部分の硬度は母材に含有されるC量の影響を大きく受ける。そのため、母材中のC含有量が多くなると、それに伴ってレーザ溶接部が硬くなる。その結果、レーザ溶接部が脆くなり得る。つまり、母材の組成におけるC含有量を高くすると、母材強度は向上するが、その一方で、溶接部の割れが生じやすくなる。それゆえ、母材中のC含有量を高くしてレーザ溶接形鋼の強度を向上させることには限界がある。
そこで、本発明者らは、鋭意検討を行い、その結果、下記の条件を満たすことにより母材強度およびレーザ溶接部の強度を向上させることができることを見出した。
すなわち、本実施形態におけるレーザ溶接形鋼1の溶接部2は、下記式(1)で示される炭素当量Ceqlが0.07以上0.12以下、かつTi含有量が0.01質量%以上0.1質量%以下である。なお、下記式(1)において、それぞれの元素記号は、溶接部2における各元素の質量%濃度を表している。
ここで、溶接部2における炭素当量Ceqlは、溶接部2における各元素の濃度を直接測定することで求めてもよいが、ウェブ材4およびフランジ材3における各元素の質量%濃度を用いてもよい。これは、レーザ溶接は、アーク溶接とは異なり、フィラーワイヤを用いないため、ウェブ材4およびフランジ材3と同じ組成の溶接部2が形成されるためである。なお、ウェブ材4とフランジ材3とで組成の異なる鋼板を使用する場合には、その平均値を溶接部2の組成とすればよい。
図3は、式(1)で示される炭素当量Ceqlと溶接部2の硬さとの関係を示す図である。式(1)で示される炭素当量Ceqlは、本願発明者が鋭意検討の結果見出したものであり、図3に示すように、炭素当量Ceqlと溶接部2の硬さとの間には、相関が見られることが分かる。
母材の組成が0.01質量%以上0.1質量%以下のTiを含むことにより、C含有量を低く抑えつつ、母材および溶接部2の両方の強度を向上させることができる。具体的には、母材が590MPa級の引張強度を有するようにすることができる。そのことに加えて、溶接部2の引張強度が母材よりも大きいようにすることができるとともに、溶接部2が過度に硬くなって脆くなることを防止することができる。
ここで、レーザ溶接法は、めっき鋼板を素材とした形鋼の製造に好適に用いられる。これは、高周波溶接やアーク溶接等に比べて、溶接する際のめっき層への影響を小さくし得るためである。母材の組成がTiを含むことによって、溶融金属脆化割れ(Liquid Metal Embrittlement Cracking:LMEC)を防止する作用(LMEC防止効果)も奏することができる。そのため、母材としてめっき鋼板を用いる場合において、レーザ溶接形鋼1をより一層好適に製造することができる。さらに、母材の組成が、Tiとの共添加によってLMEC防止効果を促進し得る他の元素(例えばB)を含んでいてもよい。
図3に示すように、式(1)で示される炭素当量Ceqlが0.07以下の場合、溶接部2の強度は充分でない。このことは、引張試験において溶接部2が破断し得ることから確認された。また、式(1)で示される炭素当量Ceqlが0.12以上の場合、溶接部2が過度に硬くなって脆くなる。このことは、斜め割れ試験において、溶接部2に割れが発生し得ることから確認された。
なお、母材の組成が0.1質量%以上のTiを含むと、母材の引張強さが過剰に上昇すると共に伸び値が低下し、母材の加工性、靭性が低下する。そのため、母材中のTi含有量は、0.1質量%以下であることが好ましい。
また、本実施形態に係るレーザ溶接形鋼1は、溶接部2の硬さが、ウェブ材4およびフランジ材3からなる母材の硬さの1.2倍以上2.8倍以下である。また、溶接部2の硬さは、母材の硬さの1.6倍以上2.5倍以下であることが好ましい。なお、本実施形態でいう硬さとは、ビッカース硬度(Hv0.2)である。溶接部2の硬さとは、溶接部2におけるウェブ材4とフランジ材3との突き当て部(当接部)であって、ウェブ材4の厚み方向の中心である位置における硬さである。例えば、溶接部2における硬さとは、後述する図4に示す、位置2cにおける硬さである。また、ウェブ材4の硬さとフランジ材3の硬さとが異なる場合には、その平均値を母材の硬さとする。
レーザ溶接形鋼1において、(溶接部2の硬さ)/(母材の硬さ)で示される硬さ比は、母材の組成およびレーザ溶接の条件等により制御することができる。
上記硬さ比が2.8よりも大きい場合、溶接部2が過度に硬くなり、斜め割れ試験において、溶接部2に割れが発生し得る。また、硬さ比が1.2未満である場合、引張強度および疲労強度が低くなり、引張試験および疲労試験にて溶接部2が破断し得る。
なお、本実施形態におけるレーザ溶接形鋼1に用いられる鋼板(フランジ材3およびウェブ材4)は、焼き入れや焼き戻し等の調質処理を施した鋼板であってもよく、また、調質処理を施していない非調質の鋼板であってもよい。
(レーザ溶接形鋼1の利点)
以上のように、本実施形態のレーザ溶接形鋼1における母材の組成は、式(1)で与えられる炭素当量Ceqlが0.07以上0.12以下であり、かつTi含有量が0.01質量%以上0.1質量%以下である。また、溶接部2の硬さは、母材の硬さの1.2倍以上2.8倍以下である。そして、溶接部2は、応力集中部となるような窪みを有していない。
これにより、レーザ溶接形鋼1の強度を向上させることができる。そのため、レーザ溶接形鋼1は、高い負荷応力が掛かった場合でも破壊し難い。そして、母材よりも先に溶接部2が破断すること、および溶接部2に割れが生じることが抑制される。したがって、レーザ溶接形鋼1は、設計強度と同等の強度を有しており、強度の信頼性を高くすることができる。
特に、溶接部2の疲労特性が良好であるため、繰返し荷重を受ける場合であっても、設計荷重以内の荷重であれば破壊しない。この設計荷重(設計のための基本荷重)は、例えば母材の引張強さ規格の70%以内とすることができる。
また、レーザ溶接形鋼1は、LMEC防止効果を有しているので、他の部材との溶接性にも優れている。つまり、レーザ溶接形鋼1の母材、またはレーザ溶接形鋼1と溶接される他の部材がめっき層を有している場合であっても、めっき金属によるLMECが生じ難い。
(その他の構成)
さらに、本実施形態におけるレーザ溶接形鋼1は、以下のような構成を有していることが好ましい。
図4は、レーザ溶接形鋼1における溶接部2の部分拡大図である。
レーザ溶接形鋼1は、溶接部2の突出量が1mm以下であり、0.75mm以下であることが好ましい。溶接部2の突出量とは、レーザ溶接形鋼1の長手方向に垂直な任意の断面において、フランジ材3から突出している溶接部2の長さ、およびウェブ材4から突出している溶接部2の長さのうち、最大のものの長さである。
すなわち、図4に示すように、溶接部2の突出量とは、上記レーザ光源側におけるフランジ材3から突出している溶接部2の長さα、上記非レーザ照射側におけるフランジ材3から突出している溶接部2の長さβ、ウェブ材4の表面4aから上記レーザ光源側に突出している溶接部2の長さγ、およびウェブ材4の反対側の表面4bから上記非レーザ照射側に突出している溶接部2の長さδのうち、最大の長さのものである。本実施形態におけるレーザ溶接形鋼1は、任意の箇所の断面において、α、β、γ、およびδで示される、突出している溶接部の長さが何れも1mm以下であることが好ましい。
ここで、ウェブ材4の板厚は、6mm以下であることが好ましい。これは、以下の理由による。すなわち、ウェブ材4の板厚が6mmを超えると、レーザ溶接を用いてフランジ材3とウェブ材4とを溶接する際に、入熱量を多くする必要がある。その結果、溶接部2の突出量、特に図4において、βおよびδで示される裏ビードの長さが、1mmを越えてしまうことがあるからである。なお、フランジ材3の板厚は、特に限定されるものでは無い。
このようなレーザ溶接形鋼1の利点について、図5を用いて以下に説明する。図5は、形鋼が建築物等の構造部材として使用される場合の一例を示す図であり、(a)は、比較例としての軽量溶接形鋼を、(b)は、本発明例としてのレーザ溶接形鋼1を示している。
従来用いられている軽量溶接形鋼等の形鋼は、高周波溶接法やアーク溶接法によって製造される。図5の(a)に示すように、このような軽量溶接形鋼では、ウェブ材とフランジ材との接合部分に突出部が形成される。ところで、このような形鋼は、建築物等の構造部材として使用される場合には、ウェブ材とフランジ材とで囲まれる部分に、補強部材を配置して使用されることがある。そのような場合に、従来用いられている軽量溶接形鋼等の形鋼では、ウェブ材とフランジ材との接合部分に突出部が形成されており、補強部材の配置や形状が制限されてしまう。また、切り欠きのような応力集中部が形成され得る。そして、突出部を切削等により除去すると、強度が低下してしまうという問題がある。
一方、図5の(b)に示すように、本実施形態におけるレーザ溶接形鋼1では、溶接部2の突出量が1mm以下であるため、補強部材の配置や形状の自由度が高い。また、このような形鋼は、他の部材と接合して使用される場合もある。そのような場合においても、溶接部2の突出量が1mm以下であるため、溶接部2が他の部材との接合を阻害することはない。このように、本実施形態におけるレーザ溶接形鋼1は、従来の形鋼に比べて、構造部材として使用する場合において、設計・施工面で有利である。
本実施形態におけるレーザ溶接形鋼1は、溶接部2の突出量が1mm以下であっても、上述のように溶接部の強度、特に疲労強度に優れるレーザ溶接形鋼を提供することができる。
<レーザ溶接形鋼の製造方法>
本実施形態のレーザ溶接形鋼1の製造方法について、図6および図7を用いて以下に説明する。図6は、マッシャーロールの押し当てによってウェブ材4の端面を平滑化および増肉化する方法を説明する模式図である。図7は、レーザ溶接方法を示す模式図である。
ここで、例えば、特許文献1に記載のレーザ溶接形鋼の製造方法では、溶接部2に窪みが生じることを抑制するために、ウェブ材の端部をフランジ材に押圧し、ウェブ材自身を多く溶融させ、継手部における接合金属の不足を補うようになっている。しかし、この場合、以下のような問題を有する。
すなわち、ウェブ材のスリットエッジは必ずしも平坦ではなく、また、ウェブ材の端部をフランジ材に押圧することにより、重力方向の下方への溶接部の垂下が促進され得る。そのため、継手部における接合金属の不足を補うためにウェブ材の端部をフランジ材に押圧してウェブ材を多く溶融させようとしても、ウェブ材のスリットエッジが必ずしも平坦でないため、ウェブ材の溶融量や、下方への突出量をコントロールすることが難しい。
そこで、本発明者らは、溶接部2の強度を低下させることおよび突出量が増大することを抑制しつつ、かつ溶接部2に応力集中部となり得る窪みが生じることを防止することができる手法を種々検討した。その結果、ウェブ材4の端面をマッシャーロールにて適度に平滑化および増肉化することにより、上記の目的を達成することができるという知見を得た。
(増肉工程)
本実施形態のレーザ溶接形鋼1の製造方法では、レーザ溶接を行う前に、ウェブ材4の端部を増肉する加工を行う増肉工程を含む。
図6に示すように、本実施形態のレーザ溶接形鋼1の製造方法における増肉工程では、スリットにより所定の板幅に裁断されたウェブ材4について、そのスリットエッジ(切断端面)10にマッシャーロール9を押し当てる。これにより、スリットエッジ10の平滑化および増肉化を行う。上記マッシャーロールの直径は、例えば100mmである。
スリットにより所定の板幅に裁断されたままのウェブ材4は、スリットエッジ10の形状が平滑ではないことがある。上記増肉工程により、ウェブ材4の端面が平滑化されるとともに、増肉化される。具体的には、増肉工程において、ウェブ材4の端部を、該端部の板厚がウェブ材4の板幅方向における中央部の板厚に対して100%を超えるように増肉する。
レーザ溶接形鋼1の製造方法において、ウェブ材4の端部の増肉率を、「(増肉工程後のウェブ材4の端部の板厚)/(ウェブ材4の板幅方向における中央部の板厚)」にて規定する。当該増肉率は、マッシャーロールの押圧力および増肉工程前後のウェブ材4の板幅の減少率によって調節することができる。増肉率が100%を超えることにより、増肉工程の後のレーザ溶接の際に、溶接部2に窪みが生じることを抑制することができる。
また、増肉率は、以下のように設定することが好ましい。
一般に、母材の強度が向上するように材質を選択した場合、溶接部2の疲労強度も材料強度に伴って向上することが期待されるが、実際上、溶接部2の形状の影響が大きく、疲労強度は理論どおりには向上し難い。そのため、母材の材質の材料強度が高いほど、増肉率を高くする。これにより、溶接部2の接合幅を確保して、溶接部2の疲労強度を適切に向上させることができる。
なお、溶接部2の接合幅とは、ウェブ材4の端面がフランジ材3の表面と溶接により接合されている部分の長さであり、図4を用いて説明すると、ウェブ材4の表面4aからレーザ光源側に突出している溶接部の長さγと、ウェブ材4の板厚と、ウェブ材4の表面4bから非レーザ照射側に突出している溶接部の長さδの和である。
具体的には、
(i)母材の引張強度が400N/mmの場合、接合幅はウェブ材4の板厚以上とするとよい。例えば、ウェブ材4の板厚が2.3mmであれば、接合幅を2.3mm以上とする。そのためには、ウェブ材4の増肉率は100%より大きくするのがよい。
(ii)母材の引張強度が490N/mmの場合、例えば、ウェブ材4の板厚が2.3mmであれば、接合幅を2.4mm以上とする。そのためには、ウェブ材4の増肉率は104.5%以上とするのがよい。
(iii)母材の引張強度が590N/mmの場合、例えば、ウェブ材4の板厚が2.3mmであれば、接合幅を2.52mm以上とする。そのためには、ウェブ材4の増肉率は109.5%以上とするのがよい。
なお、増肉工程は、マッシャーロール以外の装置を用いて行ってもよい。また、レーザ溶接を行う溶接ラインにおいて、増肉工程が行われる箇所および時点は、上記接合工程の前の箇所および時点であればよく、溶接ラインの設計者によって任意に設定されてよい。或いは、スリットエッジの増肉加工が行われた後のウェブ材4としての鋼板を一旦保管した後、該鋼板がレーザ溶接ラインに投入されてもよい。
(接合工程)
そして、本実施形態のレーザ溶接形鋼1の製造方法は、上記増肉工程の後、ウェブ材4とフランジ材3とをレーザ溶接により接合する接合工程を含む。
図7に示すように、接合工程では、フランジ材3の板面とウェブ材4の端面とを突き合わせて、レーザ溶接する。例えば、図示しないファイバーレーザ溶接機を用い、レーザトーチ6からレーザ光5を照射することにより、レーザ溶接を行う。一般に、レーザは、安全性の観点から、重力方向における上側から下側へ向かって照射される。この点は、本実施形態のレーザ溶接形鋼1の製造方法においても同じである。つまり、図7における上下方向は重力方向である。それゆえ、溶接部2は非レーザ照射側に垂下し易く、窪みが生じ易い。
本実施形態のレーザ溶接形鋼1の製造方法では、接合工程において、レーザ光源側における溶接部2の表面2aが全て、ウェブ材4の表面4aを含む平面よりもレーザ光源側に突出するように、溶接部2を形成する。これにより、溶接部2に応力集中部となる窪みを有さないレーザ溶接形鋼1を製造することができる。なお、非レーザ照射側においても同様に、溶接部2に窪みが形成されないようにする。
上記接合工程において、フランジ材3とウェブ材4との突合せ状態には、スクイズロールにより多少のアプセット力が付与されていることが好ましい。また、レーザの狙い位置はデフォーカスすることが好ましい。これにより、溶接部2に窪みが生じることをより一層確実に防止することができる。
つまり、本実施形態のレーザ溶接形鋼1の製造方法では、ウェブ材4をフランジ材3に押付けるだけでなく、ウェブ材4のスリットエッジを平滑にする、増肉させる、という技術も組み合わせることにより、窪みのない、きれいな形状の溶接部2を安定して形成させることができる。
これに対して、従来の方法(例えば特許文献1に記載の方法)にて製造したレーザ溶接形鋼では、以下のような問題があった。例えば、ウェブ材をフランジ材に強力に押付けることによる方法を用いて、レーザ溶接形鋼を複数個製造した場合、窪みを有さないレーザ溶接形鋼が得られることは有り得る。しかしながら、そのようなレーザ溶接形鋼が安定して得られるわけではなく、実際上、ウェブ材をフランジ材に押付けることによって溶接金属を補うことだけでは、きれいな形状の溶接部を安定して形成させることは困難であった。この理由については、前述したとおりである。また、ウェブ材をフランジ材に強力に押付けることによって、溶接部が重力下方に垂下すると、溶接部の突出長が大きくなってしまい、補強部材の配置や形状の自由度が低下するという問題も生じ得る。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例および比較例により、本発明のレーザ溶接形鋼についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
表1に示すような炭素当量Ceqlを有するウェブ材およびフランジ材を用いて、レーザ溶接により幅100mm、高さ100mmのH字状の形鋼を作成した(実施例1〜15および比較例1〜20)。
ここで、フランジ材としては、幅100mm、長さ4mの鋼板を用いた。ウェブ材としては、長さが4mの鋼板を使用した。また、ウェブ材の幅については、マッシャーロールによる増肉工程の有無に関わらず、接合工程の直前における幅が、〔100−(2枚のフランジ材の板厚の合計)/2〕mmであるとした。使用したフランジ材およびウェブ材の板厚および母材強度は、表1に示す通りである。
接合工程の前に、実施例1〜15、比較例9〜11、および比較例13〜20については、増肉工程としてマッシャーロールを用いた増肉加工を行った。
レーザ溶接は、図7に示すように、ウェブ材4をフランジ材3に対して突き当て、ファイバーレーザ溶接機を用い、レーザトーチ6から4.0kW〜5.2kWの出力で、ビームスポット径0.6mmのレーザ光5を照射することにより行った。また、溶接速度を4m/minとし、フランジ材3に対するレーザ光5の照射角度θを10°とした。
そして、実施例1〜15および比較例1〜20について、T字状の形鋼の長手方向に垂直な任意の断面における溶接部の表側の表面(表ビード)の窪み量を測定した。
ここで、表ビードの窪み量の測定方法の一例について、図8を用いて説明する。図8に示す断面は、レーザ溶接形鋼1の溶接部2を、長手方向に垂直な平面にて切断した断面である。図8に示すように、ウェブ材4の表面4aの垂直上方から、レーザ距離計7を用いて、溶接部2の表面2aの位置を測定する。図8に示す断面において、ウェブ材4の表面4aに平行な方向をx軸とし、表面4aに垂直な方向をy軸とする。また、ウェブ材4の表面4a(増肉部ではないところ)の位置を基準位置(y=0)とする。
レーザ距離計7またはレーザ溶接形鋼1をx軸方向に動かして、レーザ距離計7を用いて溶接部2の表面2aの各点の高さ(位置)を測定する。そして、表面2aにおける最も窪んでいた箇所の高さ(位置)を、窪み量として記録する。最も窪んでいた箇所とは、yの値が負の場合は、絶対値が最も大きかった位置であり、yの値が正の場合は、x−y平面において表面2aが形作る曲線における下に凸の変曲点(極小となる点)の位置である。
なお、レーザ距離計7ではなく、ゲージの片面を研削して尖らせたダイヤルゲージを用いて、窪み量を測定してもよい。窪み量を測定するための方法は、特に限定されるものではない。
増肉工程の有無および溶接部の表ビードの窪み量の測定結果を表2に示す。
次に、実施例1〜15および比較例1〜20について、溶接部の硬さと、フランジ材およびウェブ材(母材)の硬さとを測定し、溶接部硬さ/母材硬さで示される硬さ比を算出した。
また、実施例1〜15および比較例1〜20の形鋼に対して、疲労試験、引張試験、および斜め割れ破壊試験を行った。それぞれの試験の内容は、以下のとおりである。
〔疲労試験〕
図9は、疲労試験の模式図である。図9に示すように、フランジ材3と試験機基部13とが平行となるように、フランジ材3を固定ボルト12で試験機基部13に固定する。そして、ウェブ材4をチャック11で把持し、ウェブ材4に対して4回/秒で、母材強度の10〜80%の引張荷重を加え、完全片振りで試験を行った。疲労試験において、形鋼が破断した位置を表3に示す。
〔引張試験〕
引張試験は、JIS G 3353に準拠して行い、破断位置を測定した。測定結果を表3に示す。
〔斜め割れ試験〕
図10は、斜め割れ試験の模式図である。図10の(a)に示すように、まず、下材15と上材16との間に、T字状の形鋼を、フランジ材3およびウェブ材4がともに下材15に接するように斜めに載置した。そして、上材16に対して下材15に向けた方向の荷重を加え、フランジ材3が上材16と密着し、ウェブ材4が下材15と密着するまで圧縮した(図10の(b)参照)。そして、試験後の溶接部の割れの有無を測定した。測定結果を表3に示す。
なお、レーザ溶接形鋼では、レーザが照射された側が上方となるように載置する場合と、レーザが照射された側を下方となるように載置する場合との2通りの載置方法が考えられる。しかしながら、何れの方法で載置して試験を行ったとしても、溶接部の割れの有無は変化しないため、載置方法は特に限定されるものではない。
表3に示すように、マッシャーロールによる加工処理を行っていない比較例1〜8および比較例12は、表ビードに応力集中部となる窪みが生じ、疲労試験において溶接部が破断し易いことが分かる。また、マッシャーロールによる加工処理を行った比較例9および比較例10において、表ビードに応力集中部となる窪みが生じ、疲労試験において溶接部が破断した。これは、マッシャーロールによる増肉工程の条件の設定が不十分であったため、表ビードに窪みが生じたためである。表ビードに窪みが生じないように、増肉工程および接合工程を適切に行うことが重要であることがわかる。
また、炭素当量Ceqlが0.07未満である比較例11〜13は、マッシャーロールによる加工処理の有無に関わらず、引張試験において溶接部で破断しやすいことが分かる。
さらに、炭素当量Ceqlが0.12より大きい比較例15〜20は、マッシャーロールによる加工処理を行っていても、斜め割れ試験において割れが発生しやすいことが分かる。このように、炭素当量Ceqlは、0.07以上0.12以下とする必要があることが確認できた。
また、硬さ比が2.8を超える比較例15〜17は、斜め割れ試験において割れが発生している。このことから、硬さ比は2.8以下とする必要が有ることが確認できた。
また、硬さ比が1.2未満である比較例14は、疲労試験において溶接部が破断し、また、引張試験においても溶接部で破断していることが分かる。このことから、硬さ比は1.2以上とする必要が有ることが確認できた。
表3に示すように、母材の炭素当量Ceqlを0.07以上0.12以下かつTi含有量が0.01質量%以上0.1質量%以下とし、溶接部の硬さを、母材の硬さの1.2倍以上2.8倍以下とし、表ビードが応力集中部となる窪みを有さないことで、引張試験において溶接部が破断することなく、斜め割れ試験において溶接部に割れが発生することなく、また疲労寿命に優れたレーザ溶接形鋼とすることができることが確認できた。
また、ウェブ材の板厚が6mmを超える実施例4は、ウェブ材の板厚が6mm以下である実施例1〜3、5〜15に比べて溶接部の突出量が多く、このことから、ウェブ材の板厚は6mm以下が好ましいことが確認できた。
1 レーザ溶接形鋼
2 溶接部
3 フランジ材
4 ウェブ材
9 マッシャーロール
10 スリットエッジ(切断端面)

Claims (4)

  1. 鋼板からなるウェブ材およびフランジ材により形成されたレーザ溶接形鋼であって、
    前記鋼板は、式(1)で与えられる炭素当量Ceqlが0.07以上0.12以下、かつTi含有量が0.01質量%以上0.1質量%以下であり、
    前記ウェブ材と前記フランジ材との接合部分である溶接部の硬さは、前記鋼板の硬さの1.2倍以上2.8倍以下であり、
    前記ウェブ材におけるレーザが照射された面を第1面とし、前記ウェブ材を基準として前記第1面が位置する側を第1の側とし、
    前記第1の側における前記溶接部の表面は全て、前記ウェブ材の前記第1面を含む平面よりも前記第1の側に位置していることを特徴とするレーザ溶接形鋼。
  2. 前記第1の側における前記フランジ材から突出している溶接部の長さをα、前記第1面から前記第1の側に突出している溶接部の長さをγ、前記ウェブ材を基準として前記第1の側の反対側である第2の側における前記フランジ材から突出している溶接部の長さをβ、前記ウェブ材の前記第1面と反対側の第2面から前記第2の側に突出している溶接部の長さをδとすると、α、β、γ、およびδで示される、突出している溶接部の長さが何れも1mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接形鋼。
  3. 前記ウェブ材は、板厚が6mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ溶接形鋼。
  4. 鋼板からなるウェブ材およびフランジ材により形成されたレーザ溶接形鋼の製造方法であって、
    前記ウェブ材の端部を、該端部の板厚が前記ウェブ材の板幅方向における中央部の板厚に対して100%を超えるように増肉加工する増肉工程と、
    前記増肉工程の後、前記ウェブ材と前記フランジ材とをレーザ溶接により接合する接合工程とを含み、
    前記鋼板は、式(1)で与えられる炭素当量Ceqlが0.07以上0.12以下、かつTi含有量が0.01質量%以上0.1質量%以下であり、
    前記ウェブ材と前記フランジ材との接合部分である溶接部の硬さは、前記鋼板の硬さの1.2倍以上2.8倍以下であり、
    前記接合工程において、前記ウェブ材にレーザが照射される面を第1面とし、前記ウェブ材を基準として前記第1面が位置する側を第1の側とし、前記第1の側における前記溶接部の表面が全て、前記ウェブ材の前記第1面を含む平面よりも前記第1の側に位置するようにレーザ溶接することを特徴とするレーザ溶接形鋼の製造方法。
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