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JP6397680B2 - プラズマ処理装置およびプラズマ処理装置の運転方法 - Google Patents

プラズマ処理装置およびプラズマ処理装置の運転方法 Download PDF

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Description

本発明は、容器内部の処理室に配置された半導体ウエハ等の基板状の試料を当該処理室内に形成したプラズマを用いて処理するプラズマ処理装置またはその運転方法に係り、前記試料上に予め配置された処理対象の膜を複数のステップで処理するプラズマ処理装置またはその運転方法に関する。
半導体デバイスやフラットパネルディスプレイなどの半導体装置の製造工程では、所望の回路のパターンを形成するために、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)やプラズマエッチング等の技術を用いて処理対象の試料の上面に予め配置された膜構造が処理される。このような処理を実施する装置では、ウエハ等の基板上の試料を処理室内に配置されたステージ上面の載置面に載せて保持し、例えば、Ar,O2,N2,CHF3,CH4,C58,C48,CF4,SF6,NF3,HBr,Cl2,BCl3等から構成された処理用のガスを処理室に供給し、当該処理室内に供給された電界又は磁界を用いて処理用ガスの粒子を励起してプラズマ化し、プラズマ中の荷電粒子や反応性の高い活性粒子を用いて試料の表面に成膜やエッチングが行われる。
近年、上記半導体装置の回路の寸法がさらに微細化していくに伴って、半導体装置の性能の劣化や歩留まりの低下の原因となるアルカリ金属や重金属による汚染や試料上に付着する異物の寸法の許容範囲がより小さく厳しくなっている。一般的にプラズマを用いて上記試料を処理するプラズマ処理装置は、ステンレス合金やアルミニウム合金等の金属、石英やアルミナ等のセラミックの材料から構成された部材によって構成される。このような部材の表面への処理用のガスやプラズマによるエッチングや腐食を抑制するため、これらの処理用ガスやプラズマに曝される部材の表面にはプラズマに対して耐性の大きな材料から構成された保護膜が形成されている。
従来からこのような保護膜の材料としては、アルマイトあるいはAl23が用いられていたが、皮膜を構成する材料であるAlとプラズマ中のフッ素(F)とが反応して蒸気圧が非常に低いAlF(133.32Paの時のAlF3の沸点=1238℃)が生成されてしまい、これが処理室内に堆積することによって異物の原因となってしまうという問題が生じていた。このような問題点を解決するため、プラズマに曝される処理室内面には、アルマイト皮膜よりもプラズマによるエッチングレートが小さいセラミクス材料から構成された皮膜が保護膜として用いられている。
試料上面に成膜されて配置された種類の異なる膜が積層された膜構造を処理するため、一般的なプラズマを用いたエッチング処理では膜種に応じた異なる条件でエッチングが実施される。このような異なる処理の条件(レシピ)での処理を連続して実施する場合には、当該処理のシーケンスは複数の異なる条件で実施される処理ステップから構成される。
上記の膜構造では、エッチングする回路の寸法に合わせて予め処理対象の膜の上方にマスクのパターンが配置されており、処理対象の膜の処理では当該マスクのパターンに沿って膜をエッチングが実施されていく。この処理の進行に伴って、処理室の内壁面には処理中に処理室内に生成された反応生成物が付着する。
このような反応生成物が内壁面上に堆積して形成された膜厚さがある程度以上の厚さになると、処理室内面から剥離してしまい、異物となって試料の表面に付着してしまう。また、処理室の内壁面に反応生成物が付着してこれが増大することにより、処理室の内壁表面の状態やこの表面とプラズマとの間の相互作用が変化してしまいエッチング中のプラズマの特性を変動させてしまうことになる。
このような変動が生じると、処理の結果としての加工の形状が所期のものから変動してしまい、延いては歩留まりを損ってしまうことになる。この問題を回避するため、半導体装置の製造者やプラズマ処理装置の使用者は、エッチングレートや異物数、Defect数などの項目とそれぞれの項目についての異常の有無や洗浄の要否を判定する基準とを設けて、プラズマ処理装置を用いた半導体装置の製造中にこれらの値を定期的に検査してこれらの発生の有無を確認している。
そして、上記の項目がその管理基準を超えた場合には、使用者はプラズマ処理装置の処理室内を大気開放して処理室内の表面を構成する部品を処理室から取り外して薬液等の液体を用いて洗浄(ウエット洗浄)を実施することによって、処理室の内壁面の状態を反応生成物の付着前の状態に近い状態に戻し(リセットし)ている。しかしながら、このようなウエット洗浄後の処理室の内壁面の状態は、実際に複数の試料を連続的に処理する、所謂量産時の運転でのものと異なっている。
そこで、試料の処理の再開の前に慣らし(所謂シーズニング)処理といわれる処理室内での放電を行い内壁面の状態を量産での状態に近付けて後、製品の製造としての試料の処理を再開している。このような放電では、実際の試料は用いられず、所謂ダミーウエハを用いて放電して上記の管理項目の基準が満足されれば、量産のための処理が開始されることになるが、異物やDefectに関してはウエット洗浄後でも基準を超えてしまう場合がある。
発明者らが基準を超えたときの異物やDefectを分析した結果、このような現象は処理室内壁面の保護膜として用いられている皮膜に起因する異物が主な原因であることが判明した。すなわち、当該皮膜はプラズマにより加熱されて半溶融状態にされたセラミクスの粒子を対象の表面に吹き付けて形成する所謂溶射により形成されたものであり、溶射ではフレーム中で加熱された粒子が対象の部材表面に到達して層として形成された後に冷却される際に皮膜の表面に複数のクラックが生じることになる。
このようなクラックによって形成された微粒子は皮膜の表面やクラックの内部に付着する。また、溶射用の粒子がこれが皮膜として覆うべき部材の表面に衝突した際に生じる飛沫も当該皮膜の表面に付着する。発明者らは、皮膜の表面に形成される5〜30μmの凹凸部の特に凹部に付着した微粒子や飛沫、クラック内部に付着している微粒子は、上記のウエット洗浄でも除去され難いため、これらの皮膜に起因する異物が原因となってウエット洗浄後でも異物が検出されたものと推定した。
このような処理室内面の部材の表面から生じる微粒子を除去する技術としては、例えば、特開2005−101539号公報(特許文献1)に開示のものが従来より知られていた。本従来技術では、処理室の内側表面を構成する部材に電圧を印加して部材に付着している微粒子を飛散させる技術が開示されている。
さらに、特開2008−172038号公報(特許文献2)に記載のように、処理室内表面を構成する部材にプラズマ生成用のソース高周波電力を印加して、処理室内表面に付着している微粒子を当該表面から遊離させ、微粒子をガスと共に処理室内から排気して低減する技術が知られている。さらには、特開2010−147238号公報(特許文献3)に記載のように、ウエハの静電吸着用電極からウエハに正の電圧を印加してプラズマの生成と消失を繰り返し、シース上に浮遊する負に帯電した異物をウエハに吸着させて低減するものが知られている。一方、特開2001−176958号公報(特許文献4)には、処理ステップの最後のプラズマが消失する前に、正の電圧を印加していた静電吸着装置の吸着用電極に負の電圧を印加することによりウエハを負に帯電させて、シース上に浮遊する負に帯電した異物がウエハに付着することを抑制するものが開示されている。
特開2005−101539号公報 特開2008−172038号公報 特開2010−147238号公報 特開2001−176958号公報
上記の従来技術では次の点についての考慮が不十分であったため問題が生じていた。
すなわち、特許文献1に記載の、処理室内面に付着した微粒子を飛散させるため、プラズマを生成しない状態で静電吸着電源を正または負の高電圧を繰り返し印加する従来の技術では、対象としている微粒子の粒径が160nm以上と大きく、微細化によって問題となっている粒径60nmレベルの微粒子については考慮されていない。粒径が小さくなるほど異物数は増加する傾向にあり、発明者が行った実験によれば、例えば160nm以上の異物が1個だけ検出された場合でも、60nmから160nmまでの異物は100個程度検出された。
つまり、発明者らの検討によれば、特許文献1の従来技術では粒径160nm以下の微粒子を除去することは困難である。また、この従来技術では、飛散した微粒子を除去する手段については考慮されていない。
飛散した微粒子は排気されるものもあれば、処理室内面に再付着するものもある。また、例えばターボ分子ポンプの回転翼で反射され、所謂反跳して処理室内面に再付着するものも存在する。このような一旦処理室の内壁の表面から遊離した後内壁面へ再度付着する粒子は、異物やDefectの原因となるため好ましくない。
また、特許文献2に記載の処理室内面に付着した微粒子を飛散させる従来技術は、プラズマを生成しない状態でプラズマ生成用のソース高周波電力を印加するため、入力したパワーが反射して高周波電源やインピーダンス整合機に悪影響を及ぼす虞が有る点について、当該従来技術では考慮されていなかった。
また、特許文献3に開示の、ウエハを正に帯電させてシース上に浮遊する負に帯電した異物をウエハに吸着させる技術は、プラズマが消失している間に処理室内壁面から放出される異物については何ら考慮されていない。発明者らが行った検討によれば、プラズマの消失中であっても異物は放出されており、かつ放出された異物は正に帯電していることが判明した。このことから、当該従来技術が開示するように異物の捕集材を正の電位にした場合には、異物は捕集材に対して反発して処理室の内壁面に再度付着してしまい捕集を奏効できない虞が有る。
さらには、ウエハを静電吸着するための電極に常に正の電圧が印加された場合、例えばクーロン電極においてはウエハの電位は0Vのままであり、負に帯電した異物をウエハに吸着させる効果は小さくなってしまう。このような問題点について、本従来技術では考慮されていなかった。
さらに、特許文献4に記載されたウエハを負に帯電させることでシース上に浮遊する負に帯電した異物がウエハに付着することを抑制する技術は、静電吸着用の電極に印加する電圧を正から負に移行させる際に、印加電圧が小さくなりウエハの吸着力が弱まってしまう。一般的な装置では、ウエハ裏面と当該ウエハを載置する試料台の載置面との間にはウエハからの熱伝達を促進するためにHeガス等の伝熱ガスが所定の圧力あるいは流量で供給されているため、ウエハの吸着力が弱まると伝熱ガスの圧力によりウエハが載置面から浮き上がったり正常の位置からズレたりする虞が有った。
このようなウエハの位置ずれが生じると、試料台やロボットアーム等の搬送用の装置上でウエハが正常な位置に保持されず、場合によってはウエハが試料台やウエハの搬送中のロボットアームから落下したり、周囲の部材と衝突して破損したりする虞があった。さらには、負に帯電したウエハによって反発されたシース上に浮遊していた異物は処理室内面に再付着する可能性があり、この異物が再びウエハに付着する虞が有った点について上記従来技術では考慮されていなかった。
さらにまた、特許文献1および2に記載の処理室の内壁面に付着した微粒子を飛散させる従来技術は、内壁面をウエット洗浄した後に当該内壁面を量産の処理中の状態に近づけるための慣らし(シーズニング)処理によるコンディション調整とは別の工程として実施せざるを得ない。このため、当該微粒子飛散のための工程の時間だけ量産のための処理の開始が遅れスループットが低下して処理の効率が損われてしまうという点について、これらの従来技術では考慮されていなかった。
本発明の目的は、処理の歩留まりを向上させたプラズマ処理装置またはその運転方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、処理の効率を向上させたプラズマ処理装置またはその運転方法を提供することにある。
上記目的は、真空容器の内部に配置され減圧される処理室と、この処理室内にプラズマを形成する電界を供給する電力を供給する高周波電源と、前記処理室内に配置され処理対象のウエハが載せられるステージと、このステージの上部に配置され静電気力を形成して前記ウエハを吸着するための電極と、この電極に接続された直流電源とを備え、前記処理室の内壁面を構成する内側部材の表面が誘電体により構成されたものであって、前記内側部材の表面を洗浄した後に前記ステージ上に載せられた板状の部材を吸着し保持した状態で実施され前記処理室内にプラズマを形成する複数の工程の間において、前記処理室内にプラズマが形成されない状態で前記電源から前記電極に電力を供給して前記板状の部材の電位が負に維持される工程を実施するプラズマ処理装置またはその運転方法により達成される。
本発明では、処理室内の微粒子の残留を抑制でき、製品ウエハへの異物付着を抑制することが可能となり、デバイス性能や歩留まりを向上させることができる。さらには、これら一連の操作をエージング処理で行うことにより、スループットの低下を抑制することができる。
本発明の実施の形態に係るプラズマ処理装置の構成の概略を説明する縦断面図である。 図1に示す実施例に係るプラズマ処理装置のウエット洗浄後に実施される動作の流れの概略を示すフローチャートである。 図1に示す実施例に係るプラズマ処理装置のウエット洗浄後の動作の流れを示すタイムチャートである。 従来のプラズマ処理装置においてプラズマが消失してからの時間の経過に伴うステージ上のウエハに付着する異物の個数の変化を示すグラフである。 図3に示す本実施例の処理及び図11に示す従来技術の処理の後にウエハに付着した異物の除去数を示すグラフである。 図1に示す実施例の変形例に係るプラズマ処理装置の構成の概略を模式的に示す縦断面図である。 図6の変形例のウエット洗浄後の動作の流れを示すタイムチャートである。 図1に示す実施例に係るプラズマ処理装置の別の変形例における慣らし放電処理の工程の動作の流れを示すタイムチャートである。 図1に示す実施例に係るプラズマ処理装置のさらに別の変形例における慣らし放電処理の工程の動作の流れを示すタイムチャートである。 図1に示す実施例に係るプラズマ処理装置のさらに別の変形例における慣らし放電処理の工程の動作の流れを示すタイムチャートである。 従来の技術の処理シーケンスを示すタイムチャートである。
本発明の実施の形態を以下図面を用いて説明する。
本発明は、半導体デバイスの製造や検査の分野に限定されるものではなく、フラットパネルディスプレイの製造の他プラズマを用いた処理装置等の様々な分野に適用可能である。本実施の形態では、半導体デバイスを製造するためのプラズマエッチング装置について以下に説明する。
発明者らは、プラズマの消失後にウエハに付着する異物の時間依存性、形状、成分、溶射部材の温度を調べた。その結果、複数の処理ステップから構成される処理シーケンスにおいて、各処理ステップにおけるプラズマが生成された後にこれが消火されることによって、当該消火後に処理室の内壁面を構成する部材の表面に配置された誘電体製の皮膜の表面またはその内部や部材の母材の表面との接合面に発生した熱応力により、当該皮膜の表面に付着した微粒子や飛沫、クラック内部に付着した微粒子が当該表面から離脱し処理室内に飛散、浮遊することを見出した。さらにこの際に浮遊している微粒子は正に帯電しているものが大多数であるという知見を得た。
本実施の形態は、上記の知見を利用して想到されたものであり、処理室内でのプラズマを消火した後にウエハが載せられるステージの内部の双極型の電極を構成する電極それぞれに印加する静電吸着用の直流電圧をその平均値が負となるように調節し、その状態を保持することによってステージ上のウエハの電位を負にすることで、皮膜から放出される微粒子を処理室内面に再付着させずにウエハに吸着させる。また、このような操作を製品ウエハ以外のウエハ(以下、ダミーウエハと称す)をステージ上に載せて吸着し保持した状態で実施してダミーウエハに微粒子を吸着させて保持する。そのような微粒子を吸着させる処理を終了させた後に当該ダミーウエハを処理室外へ搬出することによって、処理室内の微粒子を低減してウエハへの異物の吸着を低減する。
本発明の実施例を図1乃至5を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るプラズマ処理装置の構成の概略を説明する縦断面図である。特に、本実施例のプラズマ処理装置は、真空容器内部の処理室にプラズマを形成するためマイクロ波の電界とともにこれと相互作用を奏する磁界を供給してエレクトロンサイクロトロン共鳴(Electron Cyclotron Resonance:ECR)を用い、半導体ウエハ等の基板状の試料の上面に予め配置された処理対象の膜構造をエッチングして回路構造を形成する装置を示している。
本実施例のプラズマ処理装置100は、大きく分けて内部にプラズマが形成される処理室7を有する真空容器61と、その上方に配置され処理室7内にプラズマを形成するための電界または磁界を形成するプラズマ形成部と、真空容器61の下方に配置され処理室7と連通され内側の空間を排気して減圧するターボ分子ポンプ等の真空ポンプを有する排気部とを備えている。処理室7は円筒形を有する空間であってこれを外周で囲んで配置される真空容器61は少なくともその上部に金属製の円筒形部分を有している。
真空容器61の円筒形を有する側壁の上方には当該側壁の上端に載せられ円板形状を有して上記マイクロ波の電界が内部を透過できる石英等の誘電体材料によって構成された窓部材3が配置されている。側壁の上端と窓部材3の外周縁の下面との間には処理室7の内部と大気圧にされる外部の空間との間を気密に封止する図示しないOリング等のシール部材が挟まれ保持されており、窓部材3は真空容器61を構成している。また、処理室7内部の下方には円筒形を有したステージ6が設けられ、この上面の上には円板形状を有した半導体ウエハ等の基板状の試料(以下、ウエハ)4が載置される円形の載置面が備えられている。
真空容器61の円筒形を有した上部部分の側壁の上部にはガス導入管18が連結されている。ガス導入管18は内部を流れる処理用ガスが窓部材3の下方に配置されたシャワープレート2の中央部に配置されこれを貫通する複数のガス導入孔9を通り処理室7に導入される。処理室7内に導入された処理用ガスは、処理室7内に供給された電界及び磁界の相互作用により励起されてプラズマ15が形成される。
ステージ6の下方の処理室7の下部には排気口17が配置され排気部と処理室7内部とを連通している。処理室7に導入された処理ガスやプラズマ、ウエハ4の処理中に生じた反応生成物等の処理室7内の粒子が排気部の動作により排気口17を通り排気される。
排気口17の下方に真空ポンプの一種であるターボ分子ポンプ等から構成された排気ポンプ12がバタフライバルブ16を挟んで連結されて配置されている。本実施例では、バタフライバルブ17は、水平方向に延在して排気口17またはこれと排気ポンプ12の入り口との間を連結する流路を横切る軸周りに回転して流路の断面積を増減する。
このようなバタフライバルブ17は、処理室7内の空間に連通されて圧力を検知する圧力センサ11からの出力に基いて、上記の回転の動作によって流路の開度を増減することで排気口17からの排気の量とガス導入孔9からの処理ガスの流入量とのバランスを調節する。このような動作は、図示しない制御装置からの指令信号に基いて調節されるものであり、制御装置からの指令に応じて処理室7の圧力が処理に適した圧力(本例では数Pa程度)に調節される。
真空容器61の処理室7の上方のプラズマ形成部は、内部をマイクロ波の電界が伝播する導波管21とこの導波管21の端部に配置され発振してマイクロ波の電界を導波管21内に形成するマグネトロン発振機20を備えている。また、導波管21の他端部は窓部材3の上方に配置された円筒形の空間の上部と連結されている。
マグネトロン発振機20により生成されたマイクロ波の電界は、導波管21を通り処理室7上方に配置されて実質的に処理室7または窓部材3と同径の円筒形の空間に上方から導入され、マイクロ波の電界は当該空間の内部でその特定のモードが共振されて増大される。マイクロ波の電界は、このような状態で窓部材3及びその下方に配置された誘電体製で円形を有したシャワープレート2を通して処理室7内に上方から導入される。
また、真空容器61内部の処理室7の上方及びこの処理室7及び導波管21の水平方向の周囲には、処理室7を囲んで複数個のソレノイドコイル22,23が配置されて、これに直流電力が印加されて形成された磁界が処理室7内に供給される。磁界は、ECRを形成するようにマイクロ波の電界の周波数に適合した密度あるいは強度に調節されている。
なお、本実施例では、図示していないが、半導体ウエハであるウエハ4の温度を制御するために、ステージ6の内部に配置された冷媒流路に冷媒を通流させ、冷媒とステージ延いてはウエハ4との間で熱交換させている。ステージ6内に配置された冷媒流路には冷媒が内部を流れる管路を介して温調ユニットが連結されており、チラー等の温調ユニットにおいてその温度が所定の値の範囲内に調節された冷媒が管路を通り冷媒流路に流入して通過しつつ熱交換した後に排出され管路を通して温調ユニットに戻って循環する冷媒の経路が構成されている。
また、ステージ6内部には図示しない金属製の円筒形または円板形状の基材が配置され、当該基材はその内部に上記冷媒流路を有するとともに、高周波電力を供給する高周波電源14に整合機13を介して電気的に接続されている。また、ステージ6は、その上面は上方にウエハ4が載置される円形を有した平面を構成するとともに、当該円形の上面の外周を囲んでステージ6をプラズマ15から覆って保護するカバーが配置される凹部を備えている。
ステージ6には、その基材の上面にウエハ4の載置面を構成しY23やAl23等のセラミクスから構成された誘電体膜が配置され、その内部に膜状の複数の電極であってウエハ4を誘電体膜に吸着して保持する双極型の電極30が配置されている。電極30には直流電源55が電気的に接続され、ウエハ4を誘電体膜に吸着するために1つ以上の電極から構成されて各々が概略等面積を有した複数の電極の集合に各々別の極性が付与される。
正負の各々の極性が付与される複数の電極の集合各々の面積の合計は、等しいかこれと見做せる程度に近似した値となっている。このような電極30によってウエハ4を保持するための吸着力は、当該電極30の各々に印加される直流電源55からの電圧が図示しない制御装置により調節される。
ステージ6上面の誘電体膜の上面には、ウエハ4が誘電体膜上に載せられた状態でウエハ4裏面と誘電体膜との間の隙間に、He等の熱伝導性を有したガスを供給するためのガス供給機構51に連結された開口が配置されている。ウエハ4がステージ6の載置面上に載せられた状態で、電極30に印加された直流電力によって誘電体膜上に形成された電荷による静電気力を用いてウエハ4が誘電体膜に吸着され、ウエハ4と誘電体膜との隙間に熱伝達ガスが供給されることによってウエハ4とステージ6(及び内部の冷媒流路を通流する冷媒)との間の熱伝達が促進され、ステージ6延いてはウエハ4がその処理に適した温度の範囲内の値に調節される。
さらに、ステージ6内の金属製の基材には、これにウエハ4の処理中にバイアス電位を形成するための高周波電力を供給する高周波電源ための高周波電源14が整合機13を介して電気的に接続されている。処理室7内にプラズマ15が形成された状態で高周波電源14から供給された高周波電力によりウエハ4の上面には、プラズマ15の電位に応じた値のバイアス電位が形成される。
真空容器61の上部は、ステージ6の上方の空間であってプラズマ15が形成される円筒形状を有した放電用の空間囲む金属製の部材により構成されている。この真空容器61の上部の部材は円筒形を有し、その下端部が真空容器61の下部の部材の上部に載せられて接続された放電室容器41を構成する。本実施例では、放電室容器41はステンレス合金やアルミニウム合金等の金属から構成れている。また、これら上部の部材と下部の部材との間には、円筒形またはリング形状を有した金属製の部材が挟まれて、放電室容器41の内壁面の下部を処理室7またはプラズマ15に対して覆って配置されており、その内壁面は放電室容器41の上部の内壁面と共に処理室7の内壁面を構成する。
処理中に形成されるプラズマ15に面する金属製のリング状の部材は、ステンレス合金やアルミニウム合金等の材料から構成され接地された真空容器61の下部の部材と接して電気的に導通されることで、処理中はプラズマ15に対してアース電極40として動作する。アース電極40、放電室容器41のプラズマに面する内壁面には耐プラズマ性の高い保護膜45が配置されてこれに覆われている。
本実施例では、保護膜45の材料としてプラズマによるエッチングレートが小さいY23を用いているが他の種類のセラミクス等の耐プラズマ性が高い材料を用いても良い。さらに、本実施例では、上記セラミクスをリング状または円筒形を有した金属製の母材のプラズマ15に面する部位の表面に溶射することによって皮膜が形成されている。
このような皮膜を有することにより、処理室7の内壁面を構成する部材であるアース電極40や放電室容器41の金属製の基材が腐食することが抑制され、また、皮膜自体も溶射により形成されたことで温度の変化による収縮に起因した外力が印加された場合でも損傷することが抑制される。このため処理室7内でのプラズマ15の電位が安定に維持される。
放電室容器41のプラズマ15に面する内壁表面には、耐プラズマ性の高い材料による保護膜46を溶射または陽極酸化により形成しても良い。放電室容器41の表面に陽極酸化によりアルマイトの皮膜を形成した場合は、プラズマ15との相互作用による当該皮膜の消耗を抑制するため、例えばアルマイト皮膜とプラズマの間に石英ガラス(不図示)やイットリア焼結体(不図示)等のセラミックス部材を設置することがより好ましい。
上記のように構成されたプラズマ処理装置の真空容器61の側壁には図示していない別の真空容器が連結され、この別の真空容器内部に配置された搬送用の空間であって内部に搬送用のロボットが配置された真空搬送室との間はウエハが搬送されて通過する通路であるゲートにより連通されている。処理前のウエハ4は、真空搬送室内のロボットの伸縮するアーム上に保持された状態で真空容器61と真空搬送室との間のゲートの連通を開放または気密に封止する図示しないゲートバルブが開放された状態で、真空搬送室から処理室7内に搬入されてステージ6に受け渡されて載置面の上面に載せられる。
載置面と接してその上に載せられたウエハ4は、図示しない静電チャックに電力が供給されて載置面を構成する誘電体の部材に形成された電荷の静電気力により載置面上に静電吸着される。この状態で、ウエハ4の裏面と載置面との間に熱He等の伝達用のガスが供給されて、ウエハ4と載置面の誘電体材料延いてはステージ6との間の熱伝達が促進される。
図示しないガス源から供給されガス流量調節器10により流量または速度が調節された処理用ガスがガス導入管18を通り、間隙8に導入されてその内部で分散した後ガス導入孔から処理室7の上部からその内部に供給されるとともに、排気ポンプ12及びバタフライバルブ16の動作によって排気口17からの処理室7内のガスまたは粒子が処理室7外に排出される。処理ガスの導入量と排気口17からの粒子の排気量(速度)とのバランスにより、処理室7内部の圧力が所期の範囲内の値に調節される。
この状態で、処理室7内に導波管21と窓部材3とを通してマイクロ波の電界とソレノイドコイル22,23により生成された磁場とが供給され、マイクロ波の電界とソレノイドコイル22,23からの磁界との相互作用により形成されたECRを用いて処理ガスの粒子が励起されて処理室7内にプラズマ15が生成される。ステージ6の載置面に保持されたウエハ4の上面に配置された処理対象の膜は、プラズマ15中の荷電粒子と励起された活性粒子との相互作用によりエッチングが施される。本実施例では、処理中に温度調節された冷媒が循環してステージ6内部に供給される循環路を備えたことにより、ステージ6ひいてはウエハ4の温度が処理に適した値の範囲内になるように調節される。
図示しない処理の終点を判定する検出器により処理の終了が検出されると、電界及び磁界の供給が停止されてプラズマ15が消火され、ゲートバルブが開放されて搬送用のロボットのアームが伸長されて処理室7内に進入し、ウエハ4をステージ6上の位置からアーム上に受け取った後アームが収縮されてウエハ4が処理室7外に搬出された後、別の処理前のウエハ4が別のアーム上に保持されている場合には処理室7内に搬入される。
プラズマ処理装置100の処理室7内で複数のウエハ4の処理が実施され、処理の累積時間あるいは処理したウエハ4の枚数が所定の値に到達したと図示しない制御装置が検出すると、制御装置はプラズマ処理装置100の処理室7での次のウエハ4の処理を一旦停止して、プラズマ処理装置100の保守または点検をすべきことを使用者に報知し、使用者からの指令また選択、或いは制御装置内のソフトウエアに記載されたアルゴリズムに基づいて制御装置が自動的にプラズマ処理装置100の運転をウエハ4の処理による半導体デバイスの量産のための運転から保守、点検のための運転に切り替える。
保守または点検の運転において、プラズマ処理装置100は真空容器61内部が雰囲気または大気の圧力と同等にされて窓部材3が真空容器61の本体から取り外されて処理室7の内側が開放(大気開放)される。保守または点検の作業者、或いは使用者は、開放された処理室7内壁面を構成する部材の少なくとも一部を取り外して処理室7外に取り出して、当該部材の表面を薬液や無水アルコール、蒸留水等の液体で洗浄(ウエット洗浄)する、或いは既に洗浄済の部材と交換する。
処理室7の内壁面を構成する部材を処理室7または真空容器61から取り外すことが困難か多くの作業の量や時間を要する場合には、直接内壁面を液を用いて洗浄する。このようなウエット洗浄後に、これが存在する場合には部材を処理室7内に取り付けて真空容器61内部を密封後に真空容器61または処理室7内を高い真空度まで減圧して、洗浄の際に内壁面に付着あるいは進入した粒子を内壁面とその内部から遊離させて外部に排気する。
真空排気を実施して粒子の数が十分に低下した(と予め実験等で設定された期間だけ実施した、または排気に含まれる上記粒子を計数した値が所定値より低いことが検出された)後、処理室7内壁面をウエハ4の処理に適した状態にするための慣らし処理(シーズニング)運転を実施する。当該シーズニング処理の後、未処理のウエハ4がプラズマ処理装置100の処理室7に搬送されて量産の処理が開始される。
図2を用いて保守の作業後のプラズマ処理装置の動作の流れを説明する。図2は、図1に示す実施例に係るプラズマ処理装置のウエット洗浄後に実施される動作の流れの概略を示すフローチャートである。
図2において、本実施例のプラズマ処理装置100では、まず、ステップ201において真空容器7の内壁表面またはこれを構成する部材の表面のウエット洗浄が実施される。その後に、当該ウエット洗浄のために処理室7内から取り外された部材を元の位置に取り付けし(ステップ202)て真空容器61内部の処理室7の内外が気密に封止された後、処理室7内の真空引きが開始される(ステップ203)。
本実施例での真空引きのステップでは、処理室7は、ウエハ4の処理の際に処理室7内で実現される圧力よりも更に低い圧力(高い真空度)にされる。所定の時間が経過して目標の真空度(圧力値)に到達したことが図示しない処理室用圧力センサの出力から検出された後に、処理室7内の真空リークチェックが行われる(ステップ204)。
当該リークチェックの結果、処理室7が目標の真空度まで減圧することができず洩れ(リーク)があったと判定された場合には、再度ステップ201に戻って部材の取付けや処理室7の真空を維持するためのOリング等のシール用部材の状態の確認が行われる。
処理室7が所定の真空度を維持できることが確認できた場合は、ステップ205において処理室7内壁面の状態を量産時の状態に復帰するためのコンディション調整が行われる。コンディション調整のステップ205は少なくとも1つの工程から構成され、本実施例ではヒーティング処理(ステップ206)、クリーニング処理(ステップ207)、慣らし放電(シーズニング)処理(ステップ208)の3つの工程を、ダミーウエハを処理室7内のステージ6上部の載置面上に載置して行う。
このようなプラズマ処理装置100をウエット洗浄後に量産に適した状態に戻す、所謂立ち上げの手順は、当該プラズマ処理装置100が設置される量産ライン毎に決められているため、ステップ204のコンディション調整はこれら全ての工程を行う場合や一部の工程の組み合わせ、一工程のみを実施する場合等、使用者が選択して設定、実施することができる。また、慣らし放電処理のみを単独で行う場合等、使用者の選択に応じて種々のコンディション調整の工程が実施される。さらには、ダミーウエハをステージ6に載置しないコンディション調整が実施されても良い。
ステップ205のヒーティング処理は、処理室7の内壁面を構成する部材を加熱するためのものである。半導体デバイスを量産する処理では、プラズマ15の生成が処理室7内で繰り返されるため、処理室7の内壁面を構成する部材はプラズマ15から受ける熱によって加熱される。そのため、本ステップのヒーティング処理では、これの量産の工程での条件に近い温度にするために、ダミーウエハをステージ6に載置して静電吸着して保持した状態で希ガス、例えばArガス等を用いたプラズマ15を処理室7内に生成することで、ダミーウエハとプラズマ15との相互作用が抑制された状態で処理室7の内壁面を構成する部材の表面を加熱する。
ステップ206のクリーニング処理は、処理室7の内壁面の付着物を取り除き(クリーニングして)量産の工程の開始時の表面の状態に近似させる工程である。このステップにおいても、処理室7内に所定のガス、例えば複数のウエハ6を連続的にプラズマ処理装置100に搬送して処理し半導体デバイスを製造し量産する運転において、複数のウエハ6を処理する工程同士の間、或いは1つのウエハ6を複数のステップで処理する場合のステップ同士の間において実施されるクリーニング処理と同じ組成及び流量の単一または複数種類のものが混合されたたガス或いはこれに相当するガスが用いられる。
ステップ207の慣らし放電(シーズニング)処理は、処理室7内壁面の粗さや材料の構成、物性等の状態の特性を量産の運転の際のものに近似したものにするための工程である。このために、量産の運転の際に実施される処理と同等の運転の条件やダミーウエハの表面に形成されるバイアス電気を製品の半導体デバイスを製造する際の運転の条件より高くして当該運転で生じる処理室7の内壁表面の変化を加速させる条件で処理室7内にプラズマを生成する。ステップ208においてこのような慣らし放電処理を所定の回数繰り返して実施した後に、ステップ209において内壁面の状態が所期のものになっているかを判定する装置性能チェックが行われる。
ステップ209の装置性能チェックは、例えば、表面に酸化膜(二酸化シリコンにより構成された膜層)を備えた膜構造や樹脂により構成されたレジストによるマスク層を処理対象の膜の上方に備えた膜構造において、処理対象の膜をエッチング処理した際のエッチングレートや異物、汚染、エッチング処理後の加工形状の寸法とその分布等、処理の特性を示す項目についての検出と予め定められたこれらの基準値に対する比較が制御装置によって行われる。制御装置は、上記の項目の検出値全てと予め定められた各々基準値との比較の結果、検出値が基準値を含む許容範囲内であると判定した場合に、プラズマ処理装置100のコンディション調整を終了させ、製品を製造するための処理、つまり量産の運転を開始するようにプラズマ処理装置100に指令を発信する(ステップ210)。
ステップ208において何れかの項目の検出値が許容範囲内に無いと判定された場合は、ステップ205に戻り再度ステップ204のコンディション調整が実施される。本実施例のステップ204のコンディション調整は、量産の運転のためプラズマ処理装置100の処理室7内壁面を構成する部材の表面に付着した生成物であって異物を生起する付着物を除去することが目的である。
図3を用いて、本実施例のプラズマ処理装置100において、ウエット洗浄後の慣らし放電処理中に皮膜に付着した異物を離脱させてこれをダミーウエハに付着させる動作を説明する。図3は、図1に示す実施例に係るプラズマ処理装置100のウエット洗浄後の動作の流れを示すタイムチャートである。
特に図3では、図2においてステップ208として示した、ウエット洗浄後に処理室7内壁面を構成する部材の表面を、量産の運転の際のものに近い状態にするためのコンディション調整ステップの1つの工程である慣らし放電処理において、Y23が母材の表面に溶射されて形成された皮膜の表面に付着した微粒子(異物)を当該表面から離脱または飛遊させて、ステージ6の載置面上に保持されたダミーウエハの表面に吸着させた後当該ダミーウエハを処理室7から搬出することで処理室7内から異物を除去する工程のシーケンスを示している。ステップ207の慣らし放電処理は、量産の運転中における処理の際のものと同等のエッチング条件の下でプラズマ15が処理室7内に形成されて実施されるため、複数の処理の条件が複数ステップから構成されるが、ここではその一例として3つの処理ステップで構成された場合を示している。
量産の運転におけるウエハ4の場合と同様に、搬送用ロボットのアームによりダミーウエハが処理室7内に搬入され、ステージ6の載置面を構成する誘電体膜上に載置される。その後、直流電源55から誘電体膜内に配置された双極型の複数の電極30各々に正の電圧と負の電圧が印加されて形成された静電気力によってダミーウエハが載置面上に吸着され保持される。
電極30がジョンソン・ラーベックタイプのものであれば、例えば+500Vと−500Vの電圧が印加される。また、電極30がクーロンタイプのものであれば、例えば、+1500Vと−1500Vの電圧が印加される。この時の正の電圧と負の電圧の平均値は0Vである(時刻a)。
次に、処理室7内に処理ステップ1に用いられる予め定められた組成及び流量を有する処理ガスが供給されると共に処理室7内の圧力が処理ステップ1の処理に適した所定の値となるように調節される。当該圧力の調節は、制御装置によりプラズマ処理装置100の量産の運転における処理の際と同様に排気ポンプ12、バタフライバルブ16の動作が調節されて実現される。制御装置によって、この処理ステップ1のエッチング条件の各パラメータが所期の値に到達したことが検出された後に導波管21からのマイクロ波の電界とソレノイドコイル22,23からの磁界とが処理室7内に供給され処理室7内にプラズマ15が生成される(時刻b)。
処理ステップ1が開始されて所定の時間が経過した後にマイクロ波の電界と磁界の印加が停止されプラズマ15が消火され処理用ガスの供給が停止されて処理ステップ1が終了される(時刻c)。さらに、処理ステップ1用の処理用ガスの供給が停止され処理室7内が排気される。この間において、ダミーウエハを保持するための双極型の電極30それぞれに印加する静電吸着用の直流電圧はその平均値が負になるように調節されてその状態が維持される(時刻c〜d)。
処理ステップ1とステップ2との間の時刻c〜dの間で、電極30がジョンソン・ラーベックタイプのものであれば、例えば双極型の各々の極性を付与される電極30に供給された+500Vと−500Vの電圧は+300Vと−700Vとの値に変更される。一方、クーロンタイプの場合の印加タイミングを調べた結果、電圧を移行するタイミングが重要であることが判った。
すなわち、電極30がクーロンタイプのものであれば、完全にプラズマ15が処理室7内から消滅した後、より具体的にはマイクロ波の電界の出力値が0Wにされた後に、双極型の各々の極性が付与される電極30に供給された+1500Vと−1500Vの直流電圧は、+1300Vと−1700Vの値に変更される。このような電圧の値に変更してその値が維持されることにより、ステージ6上においてダミーウエハの全体的な電位は負となる。
このようにダミーウエハの表面の電位が負にされている時刻c〜dの期間では、プラズマ15が消滅しており、溶射皮膜及びその基材であるアース電極40および放電室容器41の内壁面の温度が処理中及び処理後に変化したことによって離脱して処理室7内に浮遊している微粒子がダミーウエハ4の表面に吸着する。また、本実施例の上記した電圧の変更では、電圧の値が正から負にされることがないため、瞬間的に電圧値が小さくなることが抑制される。このため、ダミーウエハの吸着力を維持したまま静電吸着のための電圧の平均値を負にすることが可能となり、電圧を変更する際にウエハずれが生じてしまうことが抑制される。
図4に、ステージ6上のウエハの電位を負にした際に、プラズマ消失中にダミーウエハ4上に付着する異物の増加率を示す。図4は、プラズマ15が消失してからの時間の経過に伴うステージ6上のウエハ4に付着する異物の個数の変化を示すグラフである。
発明者らは、プラズマを消滅した後の経過した時間毎にダミーウエハの表面の異物の個数を計数して検討した結果、本図に示す通り、プラズマ15が消失してからの時間が長いほどウエハ4に付着する異物が増加するという関係が有ることを知見として得た。発明者らの検討によれば、この異物の成分を分析したところイットリアが検出された。つまり、プラズマ15が消失している期間に処理室7の内壁面を構成する部材の皮膜から異物が放出され処理室7内に浮遊して滞在していることが判った。本実施例はこのような知見に基づいて想起されたものである。
処理ステップ1が終了し、処理ステップ2の処理が開始されるまでの時刻c〜dの期間は、処理ステップ1用の処理ガスの排気および処理ステップ2用の処理ガスの供給と処理室7内の圧力の調節が実施されている期間である。本実施例では、時刻c〜dのプラズマ15が消失している時間は3秒から10秒程度となる。一方、処理ステップ1用の処理ガスを処理室7内から排気して高い真空度まで減圧した状態を維持する時間が長い場合は、プラズマが消失している時間はさらに長くなる。
また、エッチング条件の項目の一つであるウエハの温度が処理ステップ1と処理ステップ2で異なる場合はウエハの温度調整の時間が必要であることからこの場合もプラズマ15が消失している時間はさらに長くなる。このように、プラズマ15が消失している時間は使用者が選択するウエハ4のエッチングの条件に依存する。そのため、10秒よりもさらに長い、例えば20秒程度になることもある。
次に、処理ステップ2用の処理ガスを処理室7内に供給して、処理室7内の圧力が処理ステップ2における処理に適した値に到達したことが検出され、電極30に印加する電圧以外の処理ステップ2のエッチング条件が所期の値に到達したことが検出された後に、ダミーウエハを保持するための双極型の電極30各々に印加する静電吸着用の直流電圧の平均値が0Vになるように変更されてその状態が維持される。このように、処理ステップ2の処理が開始される直前まで静電吸着電圧の平均値を負にすることで、プラズマ消失中に生じる異物を効率よくダミーウエハに吸着させることができる。
電極30がジョンソン・ラーベックタイプのものであれば、当該電極30に供給される+300Vと−700Vの電圧から+500Vと−500Vの電圧に変更される。また、電極30がクーロンタイプのものであれば、+1300Vと−1700Vの印加電圧から+1500Vと−1500Vの電圧に変更される。その後に、マイクロ波の電界とソレノイドコイル22,23からの磁界が供給され処理ガスが励起されて処理室7内にプラズマ15が生成されて、処理ステップ2が開始される(時刻d)。
予め定められた時間が経過して処理ステップ2が終了した時刻(時刻e)から処理ステップ3が開始される時刻(時刻f)までの間においても、上記の時刻c〜dの期間と同様に処理ステップ2におけるプラズマ15が消失する際に双極型の電極30各々に印加する静電吸着用の直流電圧の平均値を負に変化させて、その後その状態を維持する。次に、時刻fにおいて、処理ステップ3を開始するためにプラズマ15を生成する際にはその平均値を0Vに変更されて処理ステップ3が開始され当該処理ステップ3の期間中はその状態が維持される。電極30のタイプによって印加する電圧および印加するタイミングは上記と同様である。
時刻fに処理ステップ3が開始されて所定の時間が経過した後に、制御装置によりマイクロ波の電界及び磁界の供給が停止されプラズマ15が消失する(時刻g)。その後、処理ステップ3用の処理ガスの供給が停止されて処理室7内が排気されて減圧される。この際に、ダミーウエハを保持するための双極型の電極30それぞれに印加する静電吸着電圧の平均値が負になるように変更され、その状態が時刻hまで維持される。その後、直流電源55から印加される静電吸着用の直流電圧がOFFにされる(時刻h)。このような複数の工程によってダミーウエハを吸着する静電気力が解除され、ダミーウエハが載置面から持ち上げられて搬送用のロボットアームに受け渡され処理室7外へ搬出される。
本図に示すように、ステップ207の慣らし放電処理において、プラズマ15の生成と消失とが繰り返されることにより、処理室7の内壁面を構成するアース電極40および放電室容器41の表面に形成されたセラミクス(本例ではY23)により構成された皮膜には、加熱と冷却が繰り返され引っ張りおよび圧縮の熱応力が繰り返し生起する。
本実施例においては、慣らし放電処理の際のマイクロ波の電界の強度は処理室7において製品製造のための処理の際にウエハを複数の処理ステップで処理した場合のマイクロ波の時間平均値よりも大きくされている。これにより、慣らし放電効果と上記誘電体の皮膜とその基材であるアース電極40及び放電室容器41の温度の上昇が大きくなる。
上記の熱応力が繰り返し生起することで、溶射により形成されたアース電極40及び放電室容器41の皮膜の表面に付着した微粒子や飛沫、クラック内部に付着した微粒子が処理室7内に効果的に離脱させ、これらを処理室7内に浮遊させることができる。さらに、プラズマ15が消失した際に双極型の電極30各々に印加される静電吸着用の直流電圧の平均値を負に変化させ、プラズマ15が消失している期間その状態が保持されることによって、表面が負の電位にされたダミーウエハ上に処理室7内に飛散した微粒子を吸着させることができ、処理室7内への微粒子の残留を抑制することが可能となる。特に、慣らし放電処理において上記の工程を実施することによりスループット低下と処理の歩留まりの低下を抑制することができる。
発明者らによれば、上記皮膜から遊離した微粒子が正の電位に帯電する理由は以下のように考えられる。すなわち、プラズマ15が消失した後の処理室7の内壁面を構成する部材の温度が低下することによる熱収縮により、溶射して形成された皮膜の表面の凹部及びクラックの隙間が狭まり、当該皮膜表面の凹部及びクラックの内部に進入していた微粒子や破片が割れたり剥離したりすることが生起されると考えられる。
上記に加え、プラズマ15に晒されている最中の上記皮膜の表面では、巨視的に見ると絶縁物の壁に入射するプラズマ15中の負電荷と正電荷は釣り合って、アース電極40の電位等との関係で決まるある電位(Vf)になる。しかし、より詳細に見た場合には、皮膜の表面の平坦部に比べ凸部では大きく負の電位の値に偏り、凹部やクラック内では平坦部に比べ大きく正の電位の値に偏っていることが推定される。
何故なら、プラズマ15が処理室7の内壁表面に接している際には当該壁の表面にはプラズマ15によるシースが形成される。当該シースは原理的には電子の壁表面への入射方向の運動エネルギーがほぼなくなる電位差(Vpプラズマ電位−Vf浮遊電位(処理室7の内壁の電位))を持つように形成される。このことから、シースに入射した電子の壁面に向う向きの運動エネルギーは壁面に到達した時点でほとんどなくなっている。
一方で、シースに入射した電子のシース内の壁面の方向への運動によっては電子の壁面に対して平行な方向の運動のエネルギーにはなんら影響はない。このことから、プラズマ15からシースに入射する電子は壁面に向かう方向に比べ壁に平行な方向について速度が非常に大きなものばかりとなる。
これに対して、正電荷を有するイオンはシースに入射した後壁面に垂直に入射する向きに加速される一方で、壁面に対して平行方向の速度には影響がない。このことから、イオンは壁面に垂直に向かう方向の速度が大きなものが多くなる。
上記の定性的な議論を定量的に以下で説明する。プラズマに接する表面では、シース電位差(Vp(プラズマ電位)−Vf(浮遊電位))は以下の式に表せることが知られている。

Vp−Vf={kTe/(2e)}ln(mi/(2.3me))

ここで、k=ボルツマン定数(1.38×10−23J/K)、Te=電子温度、e=電気素量(1.60×10−19C)、mi=正イオンの質量、me=電子質量である。ここで、Te=2.32×104K(kTe=2eV),正イオンを一価のアルゴンイオンとして、mi/(2.3me)=31930を用いて(Vp−Vf)を計算すると、以下の値となる。

(Vp−Vf)=10.4V

電子はシースを壁に向かって横切ることにより、e(Vp−Vf)の運動エネルギーを失う。一方、正イオンは、e(Vp−Vf)の運動エネルギーを得る。
運動エネルギーE=(3/2)kTeより、電子は壁におよそ到達した時点で、概算だが、以下のような運動状態になる。

(処理室内壁面に対して垂直方向の電子の運動エネルギー)
/(処理室内壁面に対して平行方向の電子の運動エネルギー)
=(3eV−10.4eV)/3eV=〜0eV/3eV

また、正イオンは、プラスマ中で室温レベルの運動エネルギー(0.05eV)をもつとして、以下のような運動状態となる。

(処理室内壁面に対して垂直方向の正イオンの運動エネルギー)
/(処理室内壁面に対して平行方向の正イオンの運動エネルギー)
=(0.05eV+10.4eV)/0.05eV≒209

運動エネルギーE=1/2mv2より、速度の比率はこの平方根となる。この概算から、電子は、少数の初期高エネルギーをもつ電子のみしか到達できないとわかる。
また、内壁表面に到達した電子も、この内壁表面に対して平行方向に速い運動を行っているものが多いと推定され、アスペクトの高いくぼみに入射できる電子は壁に入射する電子のごく一部となる。一方、正電荷を有するイオンは、内壁表面に垂直な方向に入射する向きの速度成分は平行な方向の速度成分に対して概してアスペクト14.5(209の平方根)となることから、多くの正に帯電したイオンは狭いクラック内にも到達する。
その結果、凹部やクラックという垂直方向に凹んだ場所に到達した粒子は正電荷を有するイオンが多くなり、このような凹み部分内に存在する粒子は正に帯電し易くなる。このような凹んだ部は平面或いは凸部と比べてウエット洗浄によっても粒子を取り除くことが困難となる。一方で、凸部は内壁面の上面に沿って移動する多数の電子に曝されて負に偏って帯電すると推定される。
プラズマ15が形成されている期間は、内壁表面から遊離してプラズマ15中で浮遊している粒子は、内壁表面から離脱した瞬間にはどちらの極性に帯電していたとしても、プラズマ15に入った後にプラズマ15中で飛び交っている電子と衝突してこれによって負に帯電する。しかし、プラズマ15が消火された後には内壁面を構成する部材の熱変形によって凹部やクラックの隙間から遊離してくる粒子は、内壁を構成する部材の表面の皮膜が絶縁物の場合は、プラズマ15が無い処理室7内でもプラズマ15が形成されていた期間中の電荷と極性とを維持するものとなる。このような離脱した粒子が皮膜の凹部やクラック内に保持されていた場合には、これらの箇所では正電荷が過剰に存在するためその正電荷の一部をもって飛び出ることが多くなり、その結果、プラズマ消火後に処理室7内に離脱して浮遊している粒子は正に帯電しているものと考えられる。
図11は、ウエット洗浄後に慣らし放電処理を実施する際にプラズマ15を断続的に形成と消火とを繰り返している間でも静電吸着用の直流電圧の平均値は0Vに維持されている従来の技術の処理シーケンスを示している。
図5を用いて、図11で示した従来技術の処理シーケンスに対する本実施例の効果について説明する。図5は、図3に示す本実施例の処理及び図11に示す従来技術の処理の後にウエハに付着した異物の除去数を示すグラフである。
この図に示すように、本実施例では、従来技術では除去できないかその数が相対的に著しく小さい160nm以下の微粒子についても除去できていることが分かる。つまり、プラズマ15が消失する際に双極型の電極30に印加するダミーウエハを静電吸着するための電圧の平均値を負に変化させて当該電圧値を所定の期間維持することによって、Y23で構成された皮膜の表面から離脱して処理室7内に飛散した微粒子をダミーウエハに捕集する効果を高くすることができたといえる。
このように、本実施例によれば、処理室7の内壁面を構成する部材の表面をウエット洗浄後、慣らし放電処理の工程を実施しつつ異物の原因となる微粒子を捕集して処理室7から取り除いて製品製造用のウエハ4への異物の付着を抑制することができる。さらに、ウエット洗浄後に製品を製造する量産の運転を早期に開始することができ歩留まりやスループットの向上を図ることができる。
変形例
上記実施例では、ウエハ4をステージ6の載置面に静電吸着させる直流電力が印加される電極30として、双極型のものを用いた例を示した。電極30として単極型ものを用いても同様の作用・効果を奏することができる。
図6を用いて、単極型の電極30を適用した変形例について説明する。図6は、図1に示す実施例の変形例に係るプラズマ処理装置の構成の概略を模式的に示す縦断面図である。
本図において、本変形例の図1の実施例との構成の差異は、ステージ6上に配置された双極型の電極30に換えて単極型の電極36を適用した点である。本例の単極型の電極36に関わる部分以外の構成は、図1で示した実施例と同等であるので必要の無い限り説明を省くものとする。
また、図7を用いて、本変形例においてウエット洗浄後に実施する慣らし放電処理の工程の処理シーケンスを説明する。図7は、図6の変形例のウエット洗浄後の動作の流れを示すタイムチャートである。特に、Y23の皮膜に付着した微粒子(異物)を飛散させてダミーウエハに吸着させ除去する処理シーケンスを示している。ここでは、実施例で示した場合と同様に、3つの処理ステップで構成された場合を示している。
図6に示す通り、本例では単極型の電極36がステージ6の上面である載置面を構成する誘電体膜内部においてウエハ4またはシャワープレート2に平行に対向して配置されている。電極36は、電極30と同様に、誘電体膜内に配置された金属製の膜状の電極であって、電圧を調整する手段である直流電源56と電気的に接続されている。電極36に印加されて形成される静電吸着力は直流電源56からの電力を図示しない制御装置が増減することによって調節される。
ダミーウエハが処理室7に搬入されてステージ6上に載置されると、電極36には直流電源56から負の電圧が印加され、誘電体膜内に形成された電荷によりダミーウエハが誘電体膜に吸着されて保持される。電極36がジョンソン・ラーベックタイプのものであれば、例えば−500Vの電圧が供給される。また、電極36がクーロンタイプのものであれば、例えば、−1500Vの電圧が印加される(時刻a)。
次に、図3の処理ステップ1と同様に、処理ステップ1用の処理ガスが供給され処理室7内の圧力が処理ステップ1に適した所定の値に調整される。処理ステップ1のエッチング条件が得られたことが検出された後、制御装置からの指令に基づいてプラズマ15が生成され、処理ステップ1が開始される(時刻b)。
処理ステップ1が開始されて予め定められた時間が経過した後マイクロ波の電界及び磁界の供給が停止されプラズマ15が消火され処理ステップ1の処理ガスの供給が停止されて処理ステップ1が終了される(時刻c)排気する。さらに、処理ステップ1用の処理用ガスの供給が停止され処理室7内が排気される。この間において、ダミーウエハを保持するための電極36に印加する静電吸着用の直流電圧は処理中に印加した電圧値よりも負になるように調節されてその状態が維持される(時刻c〜d)。
電極36がジョンソン・ラーベックタイプのものであれば、例えば−500Vの電圧から−700Vの電圧に変更される。電極36がクーロンタイプのものであれば、電圧が変更されるタイミングは上述した通りである。つまり、クーロンタイプの電極36の場合は、完全にプラズマ15が消火された後に、具体的にはマイクロ波の電界の出力値が0Wになった後に、例えば、−1500Vの電圧値から−1700Vの電圧値に変更される。
このような構成により、ステージ6上のダミーウエハの表面の電位は負となる。処理ステップ1が開始された際に電極36には負の電圧が印加され、プラズマ15が消火され電圧値を変更する際にその値が正から負になることがないため、瞬間的に電圧値が小さくなることはない。そのため、ダミーウエハの吸着力を維持したまま当該電圧を変化させて電圧の変更時のウエハの位置ずれが発生することが抑制される。
このプラズマが消失している間に溶射皮膜とその基材である処理室内壁40および処理室内壁41の温度変化により発生した微粒子をダミーウエハ4に吸着する。
処理ステップ1が終了し、処理ステップ2の処理が開始されるまでの間は、処理ステップ1の処理ガスの排気、および処理ステップ2の処理ガスの供給と処理室内の圧力調整が行われる。プラズマが消失している時間や装置動作の状態は上述した通りである。
次に、処理ステップ2用の処理ガスを供給し、処理室7内の圧力を含め電極36に印加する電圧以外の処理ステップ2のエッチング条件が予め定められた処理ステップ2に適した値に到達したことが検出された後、ダミーウエハを保持するための単極型の電極36に印加される電圧が処理ステップ1を開始時の電圧値になるように変更され、その状態が維持される。このように、処理ステップ2の処理が開始される直前まで変更した静電吸着用の電圧を維持することで、プラズマ15が形成されていない期間に生じる異物を効率よくダミーウエハに吸着させることができる。
電極36がジョンソン・ラーベックタイプのものであれば、−700Vから−500Vの電圧値に変更する。また、電極36がクーロンタイプのものであれば、−1700Vから−1500Vの電圧値に変更する。その後に、マイクロ波の電界と磁界とが処理室7内に供給されプラズマ15が生成されて処理ステップ2が開始される(時刻d)。
時刻dから予め定められた時間が経過して処理ステップ2が終了した時刻(時刻e)から処理ステップ3が開始される時刻(時刻f)までの間においても、プラズマ15が消失する際に単極型の電極36に印加する電圧の値が処理ステップ2の期間において印加された電圧値よりも負になるように変更されその状態が維持される。次に、時刻fにおいてプラズマ15を生成する際には電極36の電圧値が処理ステップ1または2開始時の電圧値に変更されて処理ステップ3が開始され、当該処理ステップ3の期間中はその状態が維持される。電極36のタイプによって印加する電圧および印加するタイミングは上述した通りである。
時刻fにおいて処理ステップ3が開始され予め定められた時間が経過後にマイクロ波の電界と磁界との供給が停止されプラズマ15が消火される(時刻g)。さらに、処理ステップ3用の処理ガスの供給が停止され、処理室7内が排気されて減圧される。この際に、ダミーウエハを載置面上に保持するための単極型の電極36に印加される静電吸着用の電圧値を処理中に印加される値よりも負になるように変更され、その状態が維持されて時刻hにおいて直流電源56から印加される静電吸着用の電圧がOFFにされる。
本変形例のようにウエハ4またはダミーウエハを静電吸着する電極として単極型の電極36を用いる場合には、処理が終了した後にも電荷が誘電体膜内に残留するため、電極36に印加される電圧がOFFにされてもウエハを吸着する静電気力が残留している。このため、処理ステップ3が終了した後に除電ステップ(時刻h〜i)が必要となる。この除電ステップでは、処理室7内に除電用のガスとしてArガス等の希ガスを供給しこれを用いてプラズマ15を生成する。
本例では、Arガスを供給して処理室7内が所定の圧力に到達した後にマイクロ波の電界と磁界とが供給されてプラズマ15が生成される(時刻h)。直流電源56はOFFにされているため、これから電極36へ電圧は印加されず、プラズマ15によって残留していた電荷を誘電体膜内から逃がすことができ、これによってダミーウエハの静電吸着力も低減され、ダミーウエハを誘電体膜から離脱させ処理室7外へ搬出することが可能となる。
以上のように、単極型の電極36を用いた場合でも、双極型の電極30を用いた場合と同様に、プラズマ15が消火された際に電極36に負の電圧を供給し、ステージ6上に保持されたダミーウエハの電位を負にすることで、処理室7の内壁面を構成する皮膜から放出される微粒子を処理室7内壁面に再度付着することを抑制しダミーウエハに吸着させることができる。このようなダミーウエハが処理室7外に搬出されることで処理室7内の異物が除去される。
以上の例では、ウエット洗浄後の慣らし放電処理の工程が3つの処理ステップで構成され、かつ各処理ステップ同士の間で処理室7内を高真空に排気した場合の処理シーケンスを説明した。しかしながら、各処理ステップ同士の間においてガスを供給しても良い。
図8を用いてこのような例を説明する。図8は、図1に示す実施例に係るプラズマ処理装置の別の変形例における慣らし放電処理の工程の動作の流れを示すタイムチャートである。
本図では、当該慣らし放電処理の工程において、処理ステップと処理ステップの間に希ガスを供給した場合の処理シーケンスを示す。本図の時刻aからbまでの処理シーケンスは図3に示した実施例の工程と同じである。
時刻bに処理ステップ1が開始され予め定められた時間が経過した後マイクロ波の電界および磁界の供給が停止されプラズマ15が消火され処理ステップ1用の処理ガスの供給が停止されて処理ステップ1が終了する(時刻c)。この際に、処理ガスの排気と並行して、処理室7に例えばArガスのような希ガスの供給が開始されて処理室7内の圧力が所定の圧力にされる。
このようなArガスの処理室7内への供給により、処理ガスを供給するためのガス導入管18から処理室7内に残留している処理ステップ1用の処理ガスを排気口17から短時間で外部に排気することができる。また、希ガスの供給により、処理室7内には処理室7上部から排気口17へ向かう上下方向のガス流れが生じるため、このようなガス流れを用いて処理室7内に浮遊している異物をステージ6の下方の排気口17に輸送することによって、異物を処理室7内から用意に排出することが可能となる。
さらに、希ガスを供給すると共にダミーウエハを保持するために異なる極性が付与される双極型の電極30各々に供給される静電吸着用の直流電圧をその平均値が負になるように変更し、その状態を維持する(時刻c〜d)。電極30がジョンソン・ラーベックタイプのものであれば、例えば+500Vと−500Vとから+300Vと−700Vとの電圧値に変更する。
電極36がクーロンタイプのものであれば電圧を変化させるタイミングは上述した通りである。つまり、クーロンタイプの電極30の場合には、処理室7内から完全にプラズマが消火された後に、具体的にはマイクロ波の電界の出力値が0Wになった後に、+1500Vと−1500Vとの値から+1300Vと−1700Vとのの電圧値に変化させる。
電極30に印加される直流電力はこのような電圧値に変化させその状態が維持されることにより、ステージ6上のダミーウエハの表面の電位が負にされる。このため、プラズマ15が消失している間に処理室7の内表面を構成するアース電極40や放電室容器41とこれらの内側表面に配置された皮膜との温度が変化したことにより皮膜から遊離して処理室7内に浮遊している微粒子がダミーウエハ上に吸着してこれに保持される。
このように、プラズマ15の消失の際に希ガスを処理室7への供給とともにダミーウエハの電位を負にすることにより、ガス流れを用いた微粒子の輸送と静電気力による微粒子の吸着の効果によって異物の原因となる粒子を処理室7内から除去することができる。処理ステップ1が終了し、処理ステップ2の処理が開始されるまでの間(時刻c〜d)では、処理室7内において処理ステップ1用の処理ガスの排気と希ガスの供給および処理ステップ2用の処理ガスの供給と処理室7内の圧力の調節が行われる。本例では、プラズマ15が形成されておらず圧力の調節がされる時間は3秒から10秒程度であるが、上記のようにウエハの温度を変化させ調節する時間が必要な場合にはさらに長くなる。
処理ステップ2用の処理ガスの供給を開始する際には、希ガスの供給を止めて処理室7内から排気するとともに処理ガスの供給を開始する。処理室7内の圧力が処理ステップ2の処理に圧力に到達し、処理室7内の圧力を含め電極36に印加する電圧以外の処理ステップ2のエッチング条件が予め定められた処理ステップ2に適した値に到達したことが検出された後、ダミーウエハを保持するための双極型の電極30各々に供給される静電吸着用の直流電圧の平均値が0Vになるように変更され、その状態が保持される。その後、マイクロ波による電界と磁界とが供給され処理ガスが励起されてプラズマ15が処理室7内に生成され処理ステップ2が開始される(時刻d)。このように、処理ステップ2の処理が開始される直前まで静電吸着のための直流電圧の平均値を負にすることで、プラズマ15が形成れていない期間に生じる微粒子を効率よくダミーウエハに吸着させることができる。
処理ステップ2の終了(時刻e)から処理ステップ3が開始(時刻f)するまでのプラズマ15が消失している間は、上述したように処理ステップ2の処理ガスの供給停止とともに、希ガスの供給を開始し、双極型の電極30それぞれに印加する静電吸着用の直流電圧はその平均値が負となるように変更され、その状態が時刻fまで維持される。
プラズマ15を生成する際には希ガスの供給が停止され処理ステップ3用の処理ガスの処理室7内への供給が開始される。時刻fにおいてマイクロ波の電界および磁界が処理室7内に供給され処理ガスが励起されてプラズマ15が形成され、処理ステップ3が開始される。
その際に、電極30の各々に供給される直流電圧はその平均値が0Vに変更され処理ステップ3の間その状態が維持される。電極30のタイプによって印加される電圧の値および印加するタイミングの例は上述した通りである。
処理ステップ3が開始され所定の時間を経過した後に、予め定められた時間が経過後にマイクロ波の電界と磁界との供給が停止されプラズマ15が消火される(時刻g)。さらに、処理ステップ3用の処理ガスの供給が停止され、処理室7内が排気されて減圧される。プラズマが消火された後、ダミーウエハを保持するための双極型の電極30それぞれに印加される直流電圧はその平均値が負になるように変更され(時刻g)、その状態が維持される。
その後、所定の時間が経過した後に、直流電源55からの電力の供給をOFFにして希ガスの供給も停止される(時刻h)。これによってダミーウエハを保持する静電気力も解除される。さらにその後、ダミーウエハがステージ6上から搬送用のロボットアームに受け渡されて処理室7外へ搬出される。
なお、本例では、処理ステップ3の終了後に希ガスの供給を実施しない例を示したが、希ガスを供給した場合でも、ダミーウエハに異物を吸着することができることは明らかである。
図8の変形例は、ウエット洗浄後の慣らし放電処理において複数の処理ステップ同士の間でプラズマが形成されていない期間に希ガスを供給するものであるが、希ガスではなく複数の処理ステップのうちの後の処理ステップ用の処理ガスを供給しても良い。この場合の処理シーケンスを図9に示す。図9は、図1に示す実施例に係るプラズマ処理装置のさらに別の変形例における慣らし放電処理の工程の動作の流れを示すタイムチャートである。
本例のように、複数の処理ステップを含んで構成された慣らし放電処理において、前の処理ステップが終了した後に次の処理ステップ用の処理ガスを処理室7内に供給する場合には、時刻cのように処理ステップ1用の処理ガスの供給停止とともに次の処理ステップである処理ステップ2用の処理ガスの処理室7内への供給を開始する(時刻c)。これにより処理ステップ1が終了した直後に圧力を含め処理ステップ2用のエッチング条件の実現のための動作を開始することができる(時刻c〜d)。そのため、処理シーケンス全体に要する時間を短縮することができる。
このような工程は、処理ステップ2と処理ステップ3との間でも実施できる。上記のように、複数の処理ステップを含む慣らし放電処理において前の処理ステップとその次の処理ステップとの間に希ガスあるいは次の処理ステップの処理ガスを供給した場合でも、高真空排気した場合と同様に、プラズマ15が形成されていない間にウエハを静電吸着するための電極に負の電圧を印加してステージ6上のウエハの電位を負にすることで、処理室7の内壁面を構成する皮膜から放出される微粒子を処理室7内壁面に再付着させずにウエハに吸着させて、異物を除去することができる。
上記実施例では、慣らし放電処理が3つの処理ステップで構成された例を示したが、処理ステップが1つの場合にも適用可能であり図10を用いて説明する。図10は、図1に示す実施例に係るプラズマ処理装置のさらに別の変形例における慣らし放電処理の工程の動作の流れを示すタイムチャートである。
本例では、処理ステップが1つの場合の処理シーケンスを示す。処理ステップが1つの場合は、当該処理ステップ用の処理ガスを処理室7内に供給した状態で処理室7でのプラズマ15の生成と消失とが繰り返される。そして、プラズマ15の生成と消失との各々の時刻に合わせて電極30または電極36に供給される静電吸着用の直流電圧をその平均値が0Vに維持される期間(時刻b〜c、時刻d〜e、時刻f〜g)と負に維持される期間(時刻c〜d、時刻e〜f、時刻g〜h)とが相互に繰り返される。
この構成により、プラズマ15が処理室7内に形成されていない期間中に電極30または電極36に供給される静電吸着用の直流電圧をその平均値が負に維持される期間が同期するまたは前者に後者が含まれることになる。本例では、このような構成によって複数の処理ステップで構成された処理シーケンスの場合と同じ効果を得ることができる。
上記の実施例では、処理室7の内壁面を構成するアース電極40は、ステンレス合金やアルミニウム合金等の金属基材から構成された基材の表面に保護膜としてY23等の耐プラズマ性の高いセラミクスの材料を溶射して形成された皮膜を有する構成を示している。これに対して、アース電極40の材料として導電性を有したセラミクスのように金属以外の材料を用いても良い。この場合には、セラミクス材料から構成された皮膜をアース電極40の表面に備えなくても良い。
また、放電室容器41も同様に導電性を有したセラミクスから構成された部材で構成しても良い。さらに、この場合には、アース電極40と一体にこれを構成することができ、部材の数を低減してプラズマ処理装置100の製造コストの増大を抑えることができる。特に、これらの部材を、例えばY23のように耐プラズマ性の高いセラミクスから構成した場合は、プラズマによるエッチングレートが小さく消耗を抑制することができるため、これらの部材の表面にはこれを保護する皮膜は備えられていなくても良い。
また、これらの部材がセラミクス材料のバルク材から構成された場合には、上記した金属製の基材とこの表面に溶射等の製造方法で配置された皮膜とを備えた構成において部材の温度の増減に起因して皮膜内部や接合面で生じる引っ張りや圧縮の熱応力は、本質的に生じない。バルク材に生じる引っ張りおよび圧縮の熱応力は皮膜と基材とが接合されたもので生じるものよりも小さいこと、皮膜の表面のクラックや欠損、及びこれらクラック内部の微粒子の離脱が少ないことから、プラズマ15が形成されていない間にダミーウエハに吸着させることができる異物は、実施例1で示したようにアース電極40や放電室容器41が金属製の基材とその表面の皮膜とで構成された場合と比較して少なくなる。しかし、バルク材は成型に起因するボイドや研磨による研磨痕が表面に存在するためこれらに起因する異物を低減することは可能である。
一方、プラズマ15によってセラミクスの導電性の性質が変わるような場合や、導電性の機能が失われる場合は、Y23等のセラミクスの皮膜を導電性セラミックスにより構成された部材の表面に配置することによって、これを回避できる。また、導電性セラミクスの材質がプラズマによるエッチングレートが大きい、例えばAl23製のようなものである場合はY23により構成された皮膜を溶射によりその表面に配置することで、基材の導電性セラミクスの消耗を抑制することができる。
本実施例では、慣らし放電処理を対象とした処理シーケンスについて説明したが、慣らし放電処理だけではなく、コンディション調整の一つであるヒーティング処理やクリーニング処理にもダミーウエハを用いることで適用することが可能である。さらには、例えばロット間あるいは数枚製品ウエハ処理ごとにダミーウエハを搬入して行うこともできる。その際、ArガスやO2ガスといった単独ガスや複数のガスによる混合ガスを用いてプラズマ15を生成、消失する場合においても適用可能であることは言う迄もない。また、プラズマを用いて処理室7内面の反応生成物の除去を目的としたクリーニング中に本実施例を適用することも可能である。この場合、反応生成物の除去とY23により構成された皮膜上に付着した微粒子の除去を並行して行うことができる。
また、本実施例では、プラズマ消失時に移行する静電吸着電圧の平均値を−200Vとしたが、例えば−100Vであっても−300Vであっても負の電圧であれば適用することができる。
また、上記の例では処理室7内壁面を構成する部材の金属製の基材の表面に配置された保護膜45,46としてY23製の皮膜が用いられたが、例えばイットリウムを含有するYAGやYF3等の皮膜を用いてもよい。また、イットリウムの原子量(88.9)よりも大きい原子、例えばLa(原子量:138.9)やGd(原子量:157.3)やYb(原子量:173.0)等を含有する皮膜を用いても良い。また、導電性セラミックスとして、Y23を用いたが、例えばイットリウムを含有するYAGやYF3等の導電性セラミックスを用いてもよい。また、イットリウムの原子量(88.9)よりも大きい原子、例えばLa(原子量:138.9)やGd(原子量:157.3)やYb(原子量:173.0)等を含有する導電性セラミックスを用いても良い。
以上の通り、実施の形態に係るプラズマエッチング装置では、ウエット洗浄後に実施される処理室7内の表面の状態を調整する工程において、複数の処理ステップにおけるプラズマの生成と消失によって、消失後に処理室7の内壁面を構成する部材の表面に配置された皮膜に発生した熱応力により、当該皮膜の表面に付着した微粒子や飛沫やクラック内部に付着した微粒子を当該表面から離脱させ処理室7内に浮遊させる。そして、プラズマ15を消火する際に、ステージ6の誘電体膜の内部に配置された静電吸着用の電極に印加する直流電圧の平均値を負に変化させ、この状態を維持することによって、皮膜から放出される微粒子をステージ6の誘電体膜上に載せられて保持されたウエハ4に吸着させる。
その後、処理が終了した後にウエハ4を処理室7外へ搬出することによって、処理室7内に微粒子が残留することを抑制でき、ウエハ4への異物の付着を抑制することができ、デバイス性能や歩留まりを向上させることができる。さらには、これら一連の操作を慣らし放電処理で行うことにより、スループットの低下を抑制することができる。
2…セラミックプレート、3…窓部材、4…ウエハ、6…ステージ、7…処理室、8…間隙、9…ガス導入孔、10…ガス流量調節器、11…圧力センサ、12…排気ポンプ、13…整合機、14…高周波電源、15…プラズマ、16…バタフライバルブ、17…排気口、18…ガス導入管、20…マグネトロン発振器、21…導波管、22,23…ソレノイドコイル、30…電極、40…アース電極、41…放電室容器、45,46…保護膜、51…ガス供給機構、55…直流電源。

Claims (10)

  1. 真空容器の内部に配置され減圧される処理室と、この処理室内にプラズマを形成する電界を供給する電力を供給する高周波電源と、前記処理室内に配置され処理対象のウエハが載せられるステージと、このステージの上部に配置され静電気力を形成して前記ウエハを吸着するための電極と、この電極に接続された直流電源とを備え、
    前記処理室の内壁面を構成する内側部材の表面が誘電体により構成されたものであって、
    前記内側部材の表面を洗浄した後に前記ステージ上に載せられた板状の部材を吸着し保持した状態で実施され前記処理室内にプラズマを形成する複数の工程の間において、前記処理室内にプラズマが形成されない状態で前記電源から前記電極に電力を供給して前記板状の部材の電位が負に維持される工程を実施するプラズマ処理装置。
  2. 請求項1に記載のプラズマ処理装置にであって、
    前記処理室内にプラズマを形成する複数の工程の間において、前記処理室内にプラズマが形成されない状態で前記直流電源から前記ステージの上部に配置された誘電体製の膜内に配置された膜状の前記電極に電力を供給してその電位を負に維持される前記工程を実施するプラズマ処理装置。
  3. 請求項1または2に記載のプラズマ処理装置であって、
    前記処理室内にプラズマを形成する複数の工程の間において、前記処理室に供給される前記電界が0になった後に前記直流電源から前記電極に電力を供給してその電位を負に維持される前記工程を実施するプラズマ処理装置。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載のプラズマ処理装置であって、
    前記電極がクーロン力を用いて前記ウエハ及び板状の部材を吸着するものであって、
    前記直流電源から前記電極に供給された電力により前記板状の部材に形成される電位は、前記プラズマが形成される1つの工程において前記処理室に供給された前記電界が0になった後に負の値であって且つ当該プラズマが形成される1つの工程における前記板状の部材に形成される電位の値より低い所定の値に変更され、前記プラズマが形成されない状態で実施される前記工程が前記所定の値を維持されて実施されるプラズマ処理装置。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載のプラズマ処理装置であって、
    前記内側部材の表面を洗浄した後であって製品を製造するために前記ウエハを処理する運転を開始する前において、前記板状の部材の電位が負に維持されて当該板状の部材に前記処理室内の粒子を吸着させる工程を実施するプラズマ処理装置。
  6. 真空容器の内部に配置され減圧される処理室と、この処理室内にプラズマを形成する電界を供給する電力を供給する高周波電源と、前記処理室内に配置され処理対象のウエハが載せられるステージと、このステージの上部に配置され静電気力を形成して前記ウエハを吸着するための電極と、この電極に接続された直流電源とを備え、前記処理室内に供給された処理ガスを用いて形成された前記プラズマにより前記ウエハを処理するプラズマ処理装置の運転方法であって、
    前記処理室の内壁面を構成する内側部材の表面が誘電体により構成され、
    前記内側部材の表面を洗浄した後に、前記ステージ上に板状の部材を載せてこれを吸着し保持した状態で前記処理室内にプラズマを形成する複数の工程を実施するものであって、これらの工程の間において前記処理室内にプラズマが形成されない状態で前記電源から前記電極に電力を供給して前記板状の部材の電位が負に維持される工程を実施するプラズマ処理装置の運転方法。
  7. 請求項6に記載のプラズマ処理装置の運転方法にであって、
    前記処理室内にプラズマを形成する複数の工程の間において、前記処理室内にプラズマが形成されない状態で前記直流電源から前記ステージの上部に配置された誘電体製の膜内に配置された膜状の前記電極に電力を供給してその電位を負に維持される前記工程を実施するプラズマ処理装置の運転方法。
  8. 請求項6または7に記載のプラズマ処理装置の運転方法であって、
    前記処理室内にプラズマを形成する複数の工程の間において、前記処理室に供給される前記電界が0になった後に前記直流電源から前記電極に電力を供給してその電位を負に維持される前記工程を実施するプラズマ処理装置の運転方法。
  9. 請求項6乃至8の何れかに記載のプラズマ処理装置の運転方法であって、
    前記電極がクーロン力を用いて前記ウエハ及び板状の部材を吸着するものであって、
    前記プラズマが形成される1つの工程において前記処理室に供給された前記電界が0になった後に前記直流電源から前記電極に供給された電力によって前記板状の部材に形成される電位を負の値であって且つ当該プラズマが形成される1つの工程における前記板状の部材に形成される電位の値より低い所定の値に変更し、前記プラズマが形成されない状態で実施される前記工程を前記電位を当該所定の値に維持して実施するプラズマ処理装置の運転方法。
  10. 請求項6乃至9の何れかに記載のプラズマ処理装置の運転方法であって、
    前記内側部材の表面を洗浄した後であって製品を製造するために前記ウエハを処理する運転を開始する前において、前記板状の部材の電位が負に維持されて当該板状の部材に前記処理室内の粒子を吸着させる工程を実施するプラズマ処理装置の運転方法。
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