以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置を示す構成図である。本実施の形態による電動パワーステアリング装置は、例えば自動車等の車両に搭載される車両用の電動パワーステアリング装置である。一対のタイロッド1間には、ハウジング2内に収容されたラック軸(図示せず)が連結されている。各タイロッド1とラック軸とのそれぞれの連結部は、電動パワーステアリング装置内への異物の侵入を防止するラックブーツ3内に収容されている。ラック軸には、シャフト4が連結されている。運転者がステアリングホイール(図示せず)を操舵すると、操舵によるトルクがステアリングシャフト(図示せず)及びシャフト4を介してラック軸に伝達される。シャフト4には、ステアリングホイールの操舵によるトルクを検出するトルクセンサ5が設けられている。また、ラック軸には、ギヤボックス6を介して電動駆動装置7が設けられている。電動パワーステアリング装置には、電動駆動装置7が含まれている。
電動駆動装置7は、回転電機であるモータ8と、モータ8に取り付けられている制御ユニットであるECU(Electric Control Unit)9とを有している。即ち、電動駆動装置7は、ECU9をモータ8と一体にした一体型電動駆動装置である。この例では、モータ8及びECU9がラック軸の軸線に沿った方向へ重ねて配置されている。なお、ラック軸の径方向へモータ8及びECU9を重ねて配置してもよいし、モータ8とECU9とを互いに分離して配置してもよい。
ECU9には、第1のコネクタ10と、第2のコネクタ11と、電源コネクタ12とが設けられている。トルクセンサ5が検出したトルクの情報は、トルクセンサ5から第1のコネクタ10を介してECU9へ電気信号として送られる。自動車の車速等の情報である車両情報は、車両に設置された車両センサ(例えば速度センサ)から第2のコネクタ11を介してECU9へ電気信号として送られる。電源コネクタ12には、ECU9に給電を行う電源(例えばバッテリ又はオルタネータ)が接続されている。ECU9は、トルクセンサ5からのトルクの情報及び車両センサからの車両情報に基づいて、必要なアシストトルクを演算し、アシストトルクに応じた電流をモータ8に供給する。
モータ8は、ECU9からの給電によりトルクを発生する。ギヤボックス6は、ベルト及びボールねじ(いずれも図示せず)を内蔵している。モータ8で発生したトルクは、ギヤボックス6を介して減速され、ラック軸を図1の矢印Aの方向に動かす。これにより、運転者の操舵力は、モータ8のトルクによってアシストされる。
ラック軸が矢印Aの方向に動くと、一対のタイロッド1が動き、タイヤが転舵して車両が旋回する。モータ8のトルクによる操舵力のアシストの結果、運転者は少ない操舵力で車両を旋回させることができる。
図2は、図1の電動駆動装置7を示す断面図である。ECU9は、モータ8に取り付けられているアルミニウム製のヒートシンク21と、ヒートシンク21に設けられ、モータ8を駆動するためのインバータ回路22と、インバータ回路22を制御する制御基板23と、インバータ回路22及び制御基板23を覆うケース24とを有している。
インバータ回路22は、複数のスイッチング素子25を有している。各スイッチング素子25は、接着剤及び絶縁シートを介してヒートシンク21に取り付けられている。なお、図2には示されていないが、インバータ回路22には、スイッチング素子25の他に、平滑コンデンサ、ノイズ除去用コイル、電源リレー、それらを電気的に接続するバスバー等が含まれている。
制御基板23は、第1のコネクタ10及び第2のコネクタ11から受け取った情報に基づき、各スイッチング素子25の動作を個別に制御する制御信号をインバータ回路22へ送る。インバータ回路22は、制御基板23からの制御信号に基づいて各スイッチング素子25の動作を個別に制御することにより、インバータ回路22からモータ8へ供給する電流を制御する。
ケース24は、インバータ回路22及び制御基板23を覆った状態でヒートシンク21に固定されている。ケース24は、樹脂で構成してもよいし、アルミニウム等の金属で構成してもよいし、樹脂とアルミニウム等の金属とを組み合わせてケース24を構成してもよい。
モータ8は、筒状のフレーム31と、フレーム31内に固定されている電機子である筒状の固定子32と、固定子32の内側に回転可能に設けられている回転子33と、回転子33を貫通し回転子33と一体になっているシャフト34と、フレーム31の軸線方向両端部に複数のボルト40でそれぞれ固定され、回転子33及びシャフト34を回転可能に支持している一対の支持部材である第1のフランジ35及び第2のフランジ36と、第1のフランジ35と固定子32との間に設けられている接続部材37とを有している。モータ8は、第1のフランジ35をECU9に向けた状態で配置されている。第1のフランジ35には、ECU9のヒートシンク21が取り付けられている。
第1のフランジ35及び第2のフランジ36は、固定子32及び回転子33の軸線方向外側に配置されている。これにより、固定子32及び回転子33は、第1のフランジ35と第2のフランジ36との間に配置されている。また、第1のフランジ35及び第2のフランジ36は、軸線方向について固定子32及び回転子33から離れた位置に配置されている。さらに、第1のフランジ35及び第2のフランジ36のそれぞれには、シャフト34が通された貫通孔が設けられている。第1のフランジ35及び第2のフランジ36のそれぞれの貫通孔には、軸受38が嵌められている。シャフト34は、各軸受38を介して第1のフランジ35及び第2のフランジ36に回転可能に支持されている。
シャフト34は、第1の端部34a及び第2の端部34bを有している。シャフト34の第1の端部34aは第1のフランジ35の貫通孔に通され、シャフト34の第2の端部34bは第2のフランジ36の貫通孔に通されている。
固定子32は、シャフト34の軸線と同軸にフレーム31の内周面に固定されている。この例では、固定子32が焼嵌めによってフレーム31の内周面に固定されている。これにより、固定子32は、フレーム31、第1のフランジ35及び第2のフランジ36で構成されたハウジング内に収容されている。また、固定子32は、フレーム31の内周面に固定されている筒状の固定子鉄心41と、固定子鉄心41に設けられている電機子巻線42とを有している。固定子鉄心41は、磁性体である複数のコアシート(例えば、電磁鋼板)が固定子32の軸線方向に積層された積層体である。
回転子33は、固定子鉄心41の内周面に対して隙間を介してシャフト34の軸線と同軸に配置されている。また、回転子33は、シャフト34に固定されている回転子鉄心43と、回転子鉄心43に設けられている複数の永久磁石44とを有している。回転子33は、シャフト34を回転子鉄心43に圧入させることによりシャフト34に固定されている。これにより、回転子33は、シャフト34と一体に回転する。複数の永久磁石44は、回転子鉄心43の周方向へ互いに間隔を置いて配置されている。この例では、14個の永久磁石44が回転子鉄心43に周方向へ等間隔に埋め込まれている。
接続部材37は、固定子鉄心41の内周面に沿って配置されている。また、接続部材37は、第1のフランジ35によって固定子鉄心41の軸線方向端面に押し付けられた状態で第1のフランジ35と固定子鉄心41との間に配置されている。これにより、第1のフランジ35と固定子鉄心41とは、接続部材37を介して互いに接続されている。固定子鉄心41の剛性は、第1のフランジ35と固定子鉄心41とが接続部材37を介して接続されていることにより、接続部材37がない場合よりも高くなっている。
シャフト34の第2の端部34b、即ちシャフト34のECU9側と反対側の端部には、プーリ45が固定されている。プーリ45には、図1のギヤボックス6のベルトが掛けられている。これにより、モータ8のトルクはギヤボックス6を介してラック軸に伝達される。
シャフト34の第1の端部34a、即ちシャフト34のECU9側の端部には、永久磁石であるセンサ用マグネット46が設けられている。ヒートシンク21には、センサ用マグネット46の磁界を検出するセンサ装置47が支持されている。
センサ装置47は、シャフト34の軸線方向についてセンサ用マグネット46に対向する磁気センサである回転センサ48と、回転センサ48が実装されたセンサ基板49とを有している。センサ基板49は、図示しない信号線及び電源線を介して制御基板23に接続されている。
シャフト34及び回転子33が回転すると、回転センサ48は、センサ用マグネット46の発生する磁界を検出し、その磁界の向きを検出する。センサ装置47は、センサ用マグネット46の磁界及びその向きを検出することにより、回転子33の回転角度を検出する。センサ装置47で検出した回転子33の回転角度の情報は、センサ基板49から制御基板23へ送られる。制御基板23は、センサ装置47からの情報を受けると、回転子33の回転角度に応じた制御信号をインバータ回路22へ送る。これにより、ECU9は、センサ装置47で検出された回転角度に応じた駆動電流を、図示しない給電線を通してモータ8へ供給する。
図3は、図2の固定子32を示す正面図である。固定子鉄心41は、フレーム31の内周面に沿った筒状のコアバック51と、コアバック51から径方向内側へそれぞれ突出し、固定子鉄心41の周方向へ互いに間隔を置いて配置されている複数のティース52とを有している。この例では、18個のティース52が固定子鉄心41の周方向へ等間隔に配置されている。これにより、固定子鉄心41には、各ティース52の間にそれぞれ形成された18個のスロット53が設けられている。各ティース52の径方向内側端面と回転子33の外周面との間には、一定の隙間が存在している。
電機子巻線42は、各ティース52にインシュレータ55を介して個別に設けられた複数のコイル部54を有している。この例では、各コイル部54が各ティース52に集中巻きで個別に設けられている。これにより、互いに隣り合う2つのコイル部54が共通のスロット53内に収容されている。また、この例では、電機子巻線42が18個のコイル部54を有している。各コイル部54と固定子鉄心41との間の絶縁状態は、各インシュレータ55によって確保されている。
図4は、図2のフレーム31、固定子32及び接続部材37を示す斜視図である。また、図5は、図4の固定子32に取り付けられている接続部材37の要部を示す拡大斜視図である。さらに、図6は、図4の接続部材37を示す斜視図である。なお、図6では、固定子32から外れている状態の接続部材37を示している。接続部材37は、筒状の本体部61と、本体部61の固定子鉄心41側の端部からそれぞれ突出している複数の接触部62とを有している。
本体部61は、本体部61の第1のフランジ35側の端部を第1のフランジ35に接触させた状態で第1のフランジ35に設けられている。本体部61の内径は、固定子鉄心41の内径よりも大きくなっている。
各接触部62は、共通の本体部61からそれぞれ突出する弾性変形可能な板状部である。また、各接触部62は、固定子鉄心41の周方向へ互いに間隔を置いて配置されている。この例では、接触部62の数がティース52の数と同じになっており、各接触部62が、各ティース52の周方向位置に合わせて固定子鉄心41の周方向へ等間隔に配置されている。これにより、この例では、各接触部62が各ティース52の軸線方向端面に個別に接触している。
さらに、各接触部62は、本体部61の軸線方向外側へ本体部61から突出しながら、本体部61の径方向外側へ広がる方向へ本体部61から突出している。各接触部62は、各ティース52の径方向内側の端部(即ち、固定子鉄心41の内周部)の軸線方向端面に個別に押し付けられた状態で弾性変形されている。これにより、各接触部62は、ティース52に接触する方向へ弾性復元力を発生している。接続部材37は、各接触部62の弾性復元力によって突っ張った状態で固定子鉄心41と第1のフランジ35との間に保持されている。
ティース52の軸線方向端面とインシュレータ55との間には、隙間が存在している。各接触部62は、ティース52とインシュレータ55との間の隙間に配置されている。これにより、各接触部62は、各ティース52に個別に保持された状態で固定子鉄心41の軸線方向端面にそれぞれ接触している。
本体部61に対する各接触部62のそれぞれの連結部63は、図6に示すように、接触部62の先端部を本体部61の径方向外側へ向ける方向へ曲がっている曲がり部になっている。また、連結部63は、接触部62が本体部61に対して固定子鉄心41の径方向へ変位されるように弾性変形可能になっている。各接触部62は、接続部材37の径方向内側へ力を受けると、連結部63の弾性変形により接触部62の先端部が径方向内側へ変位される。これにより、接触部62は、固定子鉄心41の径方向内側から、ティース52とインシュレータ55との間の隙間に挿入可能になっている。
接続部材37が固定子鉄心41と第1のフランジ35との間に保持されている状態では、各接触部62の弾性変形により各接触部62が各ティース52に個別に押し付けられている。各接触部62が各ティース52に押し付けられている状態では、各接触部62の弾性変形によって、各接触部62が、固定子鉄心41の軸線方向端面に対して平行に近くなって本体部61に対して90度に近い状態になっている。固定子鉄心41と第1のフランジ35との間から接続部材37を外すと、図6に示すように、各接触部62の弾性変形がなくなり、本体部61に対する各接触部62の角度が鈍角になる。
図7は、図3のコイル部54を示す拡大図である。各ティース52の径方向内側の端面は、インシュレータ55の径方向内側の端面よりも、回転子33の外周面に近い内周側に位置している。また、インシュレータ55の径方向内側の端面は、コイル部54の径方向内側の端面よりも、回転子33の外周面に近い内周側に位置している。
本体部61の径方向の厚さは、ティース52の径方向内側の端面からインシュレータ55の径方向内側の端面までの距離Xよりも小さい厚さになっている。また、本体部61の径方向内側及び径方向外側のそれぞれの端面(即ち、筒状の本体部61の内周面及び外周面)は、固定子32の軸線方向に沿って見たとき、ティース52の径方向内側の端面とインシュレータ55の径方向内側の端面との間に配置されている。これにより、本体部61は、インシュレータ55及びコイル部54との干渉を避けながら、ティース52の径方向内側の端面から内周側へ突出しない状態で、ティース52の径方向内側の端部に配置されている。
接続部材37を構成する材料は、厚さが薄い場合に剛性が保たれ、かつ弾性変形により曲げやすく、固定子鉄心41の漏れ磁束が生じにくい非磁性材料(例えば、ステンレス)であることが望ましい。また、接続部材37を構成する材料を樹脂としてもよい。接続部材37を構成する材料を樹脂にすれば、接続部材37の剛性が保たれて弾性変形しやすいとともに接続部材37の重量の増大が抑制される。接続部材37の材料は非磁性材料及び樹脂に限定されず、固定子鉄心41の漏れ磁束が生じにくく剛性が保たれ弾性変形可能な材料であれば、接続部材37の材料として用いることができる。
次に、モータ8の製造方法について説明する。まず、固定子32をフレーム31の内周面に固定する。この後、シャフト34が固定された回転子33を固定子32の内側に配置するとともに、軸受38を介してシャフト34を取り付けた第2のフランジ36をフレーム31の一端部に固定する。
この後、フレーム31の他端部側で、ティース52とインシュレータ55との間の隙間に各接触部62を挿入し、接続部材37を固定子鉄心41の軸線方向端面に取り付ける。
図8は、図5の接続部材37の接触部62をティース52とインシュレータ55との間の隙間に挿入するときの状態を示す構成図である。ティース52とインシュレータ55との間の隙間に接触部62を挿入するときには、各接触部62の連結部63を弾性変形させてインシュレータ55の径方向内側まで接触部62を変位させておき、ティース52とインシュレータ55との間の隙間に接触部62をインシュレータ55の径方向内側から挿入した後、連結部63の弾性変形を復元させる。これにより、各接触部62が、ティース52とインシュレータ55との間の隙間に挿入される。
この後、第1のフランジ35の貫通孔にシャフト34を通しながら、図2に示すように第1のフランジ35をフレーム31の他端部に固定する。このとき、各接触部62を各ティース52に接触させた状態で接続部材37の本体部61を第1のフランジ35で押すことにより各接触部62を弾性変形させ、各接触部62を弾性変形させた状態で第1のフランジ35をフレーム31にボルト40で固定する。このようにして、モータ8を製造する。
このようなモータ8及びパワーステアリング装置では、固定子鉄心41と第1のフランジ35との間に設けられている接続部材37が、固定子鉄心41の周方向へ互いに間隔を置いて配置されている複数の接触部62を有し、各接触部62が、固定子鉄心41の軸線方向端面に接触しているので、固定子鉄心41の軸線方向についての寸法公差を接触部62ごとに個別に吸収することができ、固定子鉄心41に各接触部62をより確実に接触させることができる。これにより、固定子鉄心41の剛性を接続部材37によって高めることができるとともに、固定子鉄心41の剛性の周方向についての偏りをより確実に小さくすることができる。従って、固定子鉄心41の固有振動数が高くなり固定子鉄心41の共振が生じにくくすることができ、固定子鉄心41の振動及び騒音をより確実に抑制することができる。また、固定子鉄心41が変形しにくくなるので、固定子鉄心41の変形に起因するコギングトルクの発生をより確実に抑制することができる。さらに、空気よりも高い熱伝導率を持つ材料を接続部材37の材料に用いることにより、固定子鉄心41から第1のフランジ35へ熱を伝導しやすくすることができ、固定子32の放熱性の向上を図ることができる。
また、各接触部62は、各ティース52の軸線方向端面に個別に接触しているので、各ティース52のすべての剛性をより確実に高めることができ、固定子鉄心41の振動及び騒音をさらに確実に抑制することができる。また、固定子鉄心41の変形に起因するコギングトルクの発生もさらに確実に抑制することができる。
また、各接触部62は、ティース52とインシュレータ55との間の隙間に挿入されているので、ティース52とインシュレータ55との間で接触部62を保持することができ、接触部62がティース52から外れることを防止することができる。
また、本体部61に対する各接触部62のそれぞれの連結部63は、固定子鉄心41の径方向内側へ接触部62が変位するように弾性変形可能になっているので、固定子32を完成させた後に、インシュレータ55の径方向内側から、ティース52とインシュレータ55との間の隙間に、接触部62を挿入することができる。これにより、モータ8の製造を容易にすることができる。
また、接続部材37の本体部61の径方向内側及び径方向外側のそれぞれの端面は、固定子32の軸線方向に沿って見たとき、ティース52の径方向内側の端面と、インシュレータ55の径方向内側の端面との間に位置しているので、コイル部54及びインシュレータ55の設置スペースを確保しながら、回転子33、コイル部54及びインシュレータ55のそれぞれに対する接続部材37の干渉を防止することができる。
また、各接触部62は、ティース52に接触する方向へ弾性復元力を発生しているので、固定子鉄心41に各接触部62をさらに確実に接触させることができる。
実施の形態2.
図9は、この発明の実施の形態2による回転電機であるモータの固定子鉄心の要部を示す斜視図である。各ティース52は、コアバック51に対して着脱可能な別部材になっている。また、互いに隣り合う2つのティース52の径方向内側の端部同士は、ティース間繋ぎ部71を介して繋がっている。これにより、各ティース52の径方向内側の端部同士がティース間繋ぎ部71を介して筒状に繋がったティース連結体が構成されている。
図10は、図9のティース連結体がコアバック51から外れている状態を示す分解斜視図である。ティース連結体の径方向外側では各ティース52間の空間が開放されており、ティース連結体の径方向内側では各ティース52間の空間がティース間繋ぎ部71によって閉じている。ティース連結体は、各ティース52の径方向外側の端部のそれぞれをコアバック51の内周面に取り付けた状態でコアバック51に固定されている。他の構成は実施の形態1と同様である。
次に、固定子32の製造方法について説明する。図11は、図10のティース連結体の各ティース52に、コイル部54が設けられたインシュレータ55を取り付けるときの状態を示す断面図である。固定子32を製造するときには、まず、コイル部54が設けられたインシュレータ55を、ティース連結体の各ティース52にティース連結体の径方向外側から個別に取り付ける。
コイル部54が設けられたインシュレータ55をティース連結体の各ティース52に取り付けるときには、接続部材37の各接触部62を各ティース52の軸線方向端面に接触させた状態で、インシュレータ55をティース連結体の径方向外側から各ティース52に嵌める。このとき、インシュレータ55をティース52に対してスライドさせながら、インシュレータ55とティース52との間の隙間に接触部62を挿入させる。これにより、接触部62がティース52とインシュレータ55との間に保持される。
この後、コイル部54及びインシュレータ55を取り付けたティース連結体をコアバック51の内周面に固定する。このとき、ティース連結体をコアバック51の軸線方向へ移動させながらティース連結体をコアバック51に圧入する。これにより、各ティース52の径方向外側の端部がコアバック51の内周面に固定される。このようにして固定子32を製造する。他の手順は実施の形態1と同様である。
このように、コアバック51と各ティース52とを別部材にしたので、各ティース52にインシュレータ55及びコイル部54を取り付けた後に、コアバック51に各ティース52を固定することができる。これにより、接続部材37、インシュレータ55及びコイル部54を各ティース52に取り付ける作業の手間を軽減することができ、固定子32の製造作業、及び固定子鉄心41に対する接続部材37の取り付け作業を容易にすることができる。
なお、上記の例では、各ティース52の径方向内側の端部同士がティース間繋ぎ部71を介して筒状に連結されているが、各ティース52が互いに連結されずにそれぞれ独立の部材になっていてもよい。
また、上記の例では、ティース52とインシュレータ55との間の隙間に接触部62を挿入するときに接触部62を弾性変形させる必要がないので、本体部61に対する各接触部62の連結部63が、弾性変形可能な曲がり部でなくてもよい。
実施の形態3.
図12は、この発明の実施の形態3による回転電機であるモータのフレーム31、固定子32及び接続部材37を示す斜視図である。固定子鉄心41と第1のフランジ35との間には、互いに分離して独立している複数の接続部材37が設けられている。各接続部材37は、固定子鉄心41の周方向へ互いに間隔を置いて配置されている。この例では、接続部材37の数が各ティース52の数と同数であり、各接続部材37が各ティース52の周方向位置に合わせて固定子鉄心41の周方向へ等間隔に配置されている。また、各接続部材37は、板状の本体部61と、本体部61の固定子鉄心41側の端部から突出する板状の接触部62とを有している。
各接続部材37のそれぞれの本体部61は、固定子鉄心41の軸線方向端面に対して立てて配置されている。また、各本体部61は、本体部61の第1のフランジ35側の端部を第1のフランジ35に接触させた状態で第1のフランジ35に設けられている。各接触部62は、各ティース52の径方向内側の端部(即ち、固定子鉄心41の内周部)の軸線方向端面に個別に押し付けられている。本体部61は、固定子鉄心41と第1のフランジ35との間の圧縮力により弾性変形している。各接続部材37は、本体部61の弾性復元力によって突っ張った状態で固定子鉄心41と第1のフランジ35との間に個別に保持されている。
ここで、図13は、図12の接続部材37を示す斜視図である。なお、図13では、固定子32から外されているときの接続部材37を示している。この例では、本体部61に対する接触部62の連結部63が、折り目が形成された折り曲げ部になっている。各接続部材37が固定子32から外されている状態では、接触部62が、本体部61に対して直交しており、固定子鉄心41の軸線方向端面に沿って固定子鉄心41の径方向外側へ本体部61から突出している。
各接触部62は、図12に示すように、ティース52とインシュレータ55との間の隙間に配置されている。これにより、各接続部材37は、固定子鉄心41の各ティース52に個別に保持されている。
本体部61の径方向の厚さは、ティース52の径方向内側の端面からインシュレータ55の径方向内側の端面までの距離Xよりも小さい厚さになっている。また、板状の本体部61の径方向内側及び径方向外側のそれぞれの端面は、固定子32の軸線方向に沿って見たとき、ティース52の径方向内側の端面とインシュレータ55の径方向内側の端面との間に配置されている。これにより、各接続部材37のそれぞれの本体部61は、インシュレータ55及びコイル部54との干渉を避けながら、ティース52の径方向内側の端面から内周側へ突出しない状態で、ティース52の径方向内側の端部に配置されている。他の構成は実施の形態1と同様である。
モータ8の製造時に各接続部材37を固定子32に取り付けるときには、各接続部材37のそれぞれの接触部62をティース52とインシュレータ55との間の隙間に個別に挿入する。この後、第1のフランジ35の貫通孔にシャフト34を通しながら、第1のフランジ35をフレーム31の他端部に固定する。このとき、各接触部62を各ティース52に接触させた状態で各本体部61を第1のフランジ35で押すことにより各本体部61を弾性変形させ、各本体部61を弾性変形させた状態で第1のフランジ35をフレーム31にボルト40で固定する。他の手順は実施の形態1と同様である。
このようなモータ8及び電動パワーステアリング装置では、複数の接続部材37が固定子鉄心41の周方向へ互いに間隔を置いて配置され、各接続部材37が、本体部61と、本体部61から突出している接触部62とを有し、接触部62が固定子鉄心41の軸線方向端面に接触しているので、固定子鉄心41の剛性を各接続部材37によって高めることができるとともに、固定子鉄心41の剛性の周方向についての偏りをより確実に小さくすることができる。これにより、固定子鉄心41の振動及び騒音をより確実に抑制することができる。また、固定子鉄心41の変形に起因するコギングトルクの発生をより確実に抑制することができる。さらに、各接続部材37を個別に取り扱うことができるので、固定子32に各接続部材37を個別に取り付けやすくすることができ、モータ8の製造を容易にすることができる。特に、ティース52とインシュレータ55との間の隙間への各接触部62の挿入を容易にすることができる。
また、本体部61に対する接触部62の連結部63は、折り目が形成された折り曲げ部になっているので、各接続部材37の構成を、板を折り曲げるだけの簡単な構成にすることができ、各接続部材37の製造を容易にすることができる。
なお、上記の例では、本体部61の弾性復元力によって各接続部材37が固定子鉄心41と第1のフランジ35との間に個別に保持されているが、接触部62を弾性変形させるようにして、接触部62の弾性復元力によって各接続部材37が固定子鉄心41と第1のフランジ35との間に個別に保持されるようにしてもよいし、本体部61及び接触部62のそれぞれを弾性変形させるようにして、本体部61及び接触部62のそれぞれの弾性復元力によって各接続部材37が固定子鉄心41と第1のフランジ35との間に個別に保持されるようにしてもよい。接触部62を弾性変形させる場合、各接続部材37を固定子32から外した状態で、本体部61に対して鈍角に傾斜するように接触部62が本体部61に設けられる。
実施の形態4.
図14は、この発明の実施の形態4による回転電機であるモータを示す断面図である。また、図15は、図14のフレーム31、固定子32及び接続部材37を示す斜視図である。各接続部材37は、固定子鉄心41の周方向へ互いに間隔を置いて配置されている。また、各接続部材37は、板状の本体部61と、本体部61の固定子鉄心41側の端部から突出する板状の接触部62と、本体部61の第1のフランジ35側の端部から突出する板状の受け部75とを有している。
各接続部材37のそれぞれの本体部61は、固定子鉄心41の軸線方向端面に対して立てて配置されている。また、各本体部61は、第1のフランジ35の固定子鉄心41側の面に受け部75を接触させた状態で第1のフランジ35に設けられている。各受け部75は、弾性変形された状態で第1のフランジ35に個別に押し付けられている。これにより、各受け部75は、第1のフランジ35に接触する方向へ弾性復元力を発生している。各接続部材37は、本体部61及び受け部75のそれぞれの弾性復元力によって突っ張った状態で固定子鉄心41と第1のフランジ35との間に個別に保持されている。
ここで、図16は、図15の接続部材37を示す斜視図である。なお、図16では、固定子32から外されているときの接続部材37を示している。各接続部材37では、本体部61に対する接触部62の連結部63と、本体部61に対する受け部75の連結部64とが、折り目が形成された折り曲げ部になっている。また、接触部62及び受け部75は、本体部61に対して同じ方向へ折り曲げられている。さらに、接触部62は固定子鉄心41の軸線方向端面に沿った方向へ本体部61から突出し、受け部75は第1のフランジ35の固定子鉄心41側の面に沿って本体部61から突出している。各接続部材37が固定子32から外されている状態では、接触部62が本体部61に対して直交し、本体部61と受け部75とがなす角度が鈍角になっている。他の構成は実施の形態3と同様である。
モータ8の製造時に各接続部材37を固定子32に取り付けるときには、実施の形態3と同様に、各接続部材37のそれぞれの接触部62をティース52とインシュレータ55との間の隙間に個別に挿入する。この後、第1のフランジ35の貫通孔にシャフト34を通しながら、第1のフランジ35をフレーム31の他端部に固定する。このとき、各接触部62を各ティース52に接触させた状態で各受け部75を第1のフランジ35で押すことにより本体部61及び受け部75を弾性変形させ、本体部61及び受け部75を弾性変形させた状態で第1のフランジ35をフレーム31にボルト40で固定する。他の手順は実施の形態3と同様である。
このようなモータ8及び電動パワーステアリング装置では、本体部61の第1のフランジ35側の端部から受け部75が突出しているので、第1のフランジ35で接続部材37を固定子鉄心41に押し付けるときに、第1のフランジ35を受け部75で受けることができる。これにより、固定子鉄心41と第1のフランジ35との間に接続部材37をより確実に保持させることができる。
また、各受け部75は、第1のフランジ35に接触する方向へ弾性復元力を発生しているので、固定子鉄心41とフレーム31との軸線方向についての公差を各受け部75で吸収することができ、固定子鉄心41の軸線方向端面に各接触部62をさらに確実に接触させることができる。これにより、固定子32の振動及び騒音をより確実に抑制することができる。また、各受け部75の弾性復元力を調整することにより、固定子32の固有振動数を調整することができ、固定子32の振動及び騒音をさらに確実に抑制することができる。
なお、上記の例では、本体部61及び受け部75のそれぞれの弾性復元力によって各接続部材37が固定子鉄心41と第1のフランジ35との間に個別に保持されているが、本体部61、接触部62及び受け部75の少なくともいずれかを弾性変形させるようにして、本体部61、接触部62及び受け部75の少なくともいずれかの弾性復元力によって各接続部材37が固定子鉄心41と第1のフランジ35との間に個別に保持されるようにすればよい。接触部62を弾性変形させる場合、各接続部材37を固定子32から外した状態において本体部61の外面に対して鈍角に傾斜するように接触部62が本体部61に設けられる。また、本体部61のみを弾性変形させる場合、各接続部材37を固定子32から外した状態において、接触部62及び受け部75のそれぞれが、互いに平行でかつ本体部61の外面に対して直交して本体部61に設けられる。
また、上記の例では、接触部62及び受け部75が本体部61に対して同じ方向へ折り曲げられているが、接触部62及び受け部75が本体部61に対して互いに異なる方向へ折り曲げられていてもよい。即ち、接続部材37を横から見たとき、接続部材37の形状が接触部62、本体部6及び受け部75によってZ字状になっていてもよい。
実施の形態5.
図17は、この発明の実施の形態5による回転電機であるモータを示す断面図である。各接続部材37は、板状の本体部61と、本体部61の固定子鉄心41側の端部から突出する板状の接触部62と、本体部61の第1のフランジ35側の端部から突出する板状の差込部76とを有している。本体部61及び接触部62の構成は、実施の形態3と同様である。
第1のフランジ35には、各差込部76が個別に通されている複数の貫通穴77が設けられている。各貫通穴77は、第1のフランジ35の周方向へ互いに間隔を置いて配置されている。各貫通穴の周方向位置は、各接続部材37の周方向位置と一致している。従って、この例では、貫通穴77の数が接続部材37の数と同数であり、各貫通穴77が第1のフランジ35の周方向へ等間隔に配置されている。
差込部76は、第1のフランジ35よりも軸線方向外側で、第1のフランジ35に固定されている。この例では、差込部76が、第1のフランジ35の軸線方向外側の面に沿った固定部76aを有している。また、この例では、差込部76の固定部76aが溶接部78によって第1のフランジ35に固定されている。他の構成は実施の形態3と同様である。
次に、モータ8の製造時に各接続部材37を固定子32に取り付けるときの手順について説明する。図18は、図17の各接続部材37の差込部76が第1のフランジ35の各貫通穴77に個別に差し込まれている状態を示す構成図である。また、図19は、図18の第1のフランジ35がフレーム31から外れている状態を示す斜視図である。各接続部材37を固定子32に取り付けるときには、実施の形態3と同様に、各接続部材37のそれぞれの接触部62をティース52とインシュレータ55との間の隙間に個別に挿入する。このときの各接続部材37の差込部76は、本体部61の軸線方向へ延びた状態になっている。この後、第1のフランジ35の貫通孔にシャフト34を通しながら、第1のフランジ35をフレーム31の他端部に固定する。このとき、第1のフランジ35の各貫通穴77に各差込部76を個別に差し込む。これにより、各差込部76が第1のフランジ35から軸線方向外側へ突出した状態になる。この後、各接続部材37の接触部62を固定子鉄心41の軸線方向端面に個別に接触させたまま、第1のフランジ35から突出している各差込部76を曲げて、第1のフランジ35の軸線方向外側の面に沿った固定部76aを差込部76ごとに形成する。この後、固定部76aを第1のフランジ35に溶接によって固定する。なお、第1のフランジ35に固定部76aをねじで固定してもよい。他の手順は実施の形態3と同様である。
このようなモータ8及び電動パワーステアリング装置では、接続部材37の差込部76が、第1のフランジ35の貫通穴77に通された状態で第1のフランジ35に固定されているので、第1のフランジ35に対する差込部76の軸線方向の位置の調整によって、接続部材37の接触部62を固定子鉄心41の軸線方向端面に接触させた状態で、第1のフランジ35の軸線方向外側で差込部76を第1のフランジ35に固定することができる。これにより、固定子鉄心41の軸線方向端面に接続部材37の接触部62をさらに確実に接触させることができるとともに、第1のフランジ35に対する接続部材37の固定作業も容易にすることができる。
また、差込部76は、第1のフランジ35の軸線方向外側の面に沿った固定部76aを有しているので、差込部76を第1のフランジ35から大きく突出させないようにすることができ、モータ8の大型化を防止することができる。また、第1のフランジ35に対する固定部76aの固定作業もさらに容易にすることができる。
なお、上記の例では、接続部材37の数がティース52の数と同じになっているが、接続部材37の数をティース52の数よりも多くしてもよいし、接続部材37の数をティース52の数よりも少なくしてもよい。この場合、第1のフランジ35に設けられる貫通穴77の数が接続部材37の数と同数、又は同数よりも少ない数にされ、各貫通穴77が接続部材37の周方向位置に合わせて第1のフランジ35に設けられる。
また、上記の例では、接触部62を弾性変形させて接触部62に弾性復元力を発生させるようにしてもよいし、本体部61及び接触部62のそれぞれを弾性変形させて本体部61及び接触部62のそれぞれに弾性復元力を発生させるようにしてもよい。接触部62を弾性変形させる場合、各接続部材37を固定子32から外した状態で、本体部61に対して鈍角に傾斜するように接触部62が本体部61に設けられる。
また、実施の形態3〜5において、本体部61に対する接触部62の連結部を、実施の形態1と同様の弾性変形可能な曲がり部にしてもよい。
実施の形態6.
図20は、この発明の実施の形態6による回転電機であるモータを示す断面図である。各接続部材37は、各インシュレータ55と個別に一体になっている。この例では、接続部材37及びインシュレータ55が一体成形によってまとめて形成された単一材になっている。従って、この例では、電気絶縁性を持つインシュレータ55と同じ材料で接続部材37が構成されている。
各接続部材37の接触部62は、各インシュレータ55の径方向内側の端部に固定されている。各接触部62は、各インシュレータ55に固定されている状態で、固定子鉄心41の軸線方向端面に接触している。また、この例では、各差込部76の固定部76aが第1のフランジ35にねじ79で固定されている。他の構成及び製造方法は実施の形態5と同様である。
このようなモータ8及び電動パワーステアリング装置では、接続部材37がインシュレータ55と一体になっているので、接続部材37をインシュレータ55とは別に製造する必要がなくなり、モータ8の部品点数を減らすことができる。これにより、モータ8の製造を容易にすることができ、コストの低減化を図ることができる。
なお、上記の例では、各接続部材37に差込部76が含まれているが、差込部76はなくてもよい。この場合、各接続部材37の本体部61は、実施の形態3と同様に、本体部61の第1のフランジ35側の端部を第1のフランジ35に接触させた状態で第1のフランジ35に設けられる。また、この場合、貫通穴77は、第1のフランジ35に設けられない。
実施の形態7.
図21は、この発明の実施の形態7によるモータの接続部材を示す斜視図である。また、図22は、図21の接続部材の接触部を示す拡大断面図である。なお、図21では、固定子32から外されているときの接続部材の状態を示している。接続部材37は、筒状の本体部61と、本体部61の固定子鉄心41側の端部からそれぞれ突出している複数の接触部62とを有している。本体部61の構成は、実施の形態1の本体部61の構成と同様である。
各接触部62は、本体部61の径方向外側へ共通の本体部61から突出する板状部である。また、各接触部62のそれぞれと本体部61とがなす角度θは、接続部材37が固定子32から外れている状態で鈍角になっている。本体部61に対する各接触部62のそれぞれの連結部63は、折り目が形成された折り曲げ部になっている。各接触部62は、固定子鉄心41の軸線方向端面に個別に押し付けられた状態で、角度θが小さくなる方向へ弾性変形されている。接続部材37は、各接触部62の弾性復元力によって突っ張った状態で固定子鉄心41と第1のフランジ35との間に保持されている。他の構成及び製造方法は実施の形態1と同様である。
このようなモータ8及び電動パワーステアリング装置では、本体部61に対する各接触部62のそれぞれの連結部63が折り曲げ部になっており、接続部材37が固定子32から外れているときの本体部61の外面と各接触部62とがなす角度θが、鈍角になっているので、筒状部材の端部を曲げるだけで各接触部62を形成することができ、接続部材37の製造を容易にすることができる。また、接続部材37を固定子鉄心41に押し付けることにより固定子鉄心41の形状に応じて各接触部62を個別に弾性変形させることができ、固定子鉄心41の軸線方向端面に各接触部62をより確実に接触させることができる。さらに、固定子鉄心41とインシュレータ55との間の隙間に接触部62が配置される場合には、固定子鉄心41とインシュレータ55との間の隙間に接触部62を挿入しやすくすることができ、モータ8の製造を容易にすることができる。
実施の形態8.
本体部61に対する接触部62の連結部63が折り曲げ部になっている構成が実施の形態1の接続部材37に適用されているが、本体部61に対する接触部62の連結部63が折り曲げ部になっている構成を、実施の形態3の互いに独立した複数の接続部材37のそれぞれに適用してもよい。
即ち、図23は、この発明の実施の形態8によるモータの接続部材を示す斜視図である。互いに独立した複数の接続部材37のそれぞれは、板状の本体部61と、本体部61の固定子鉄心41側の端部から突出している板状の接触部62とを有している。本体部61に対する接触部62の連結部63は、実施の形態7と同様の折り曲げ部になっている。従って、本体部61と接触部62とがなす角度は、接続部材37が固定子32から外れている状態で鈍角になっている。他の構成は実施の形態3と同様である。
このように、互いに独立した複数の接続部材37のそれぞれに実施の形態7と同様の折り曲げ部を適用しているので、各接続部材37の形状をさらに単純化することができ、各接続部材37の製造をさらに容易にすることができる。
実施の形態9.
図24は、この発明の実施の形態9によるモータの接続部材を示す斜視図である。また、図25は、図24の接続部材の接触部を示す拡大断面図である。なお、図24では、固定子32から外されているときの接続部材の状態を示している。接続部材37は、筒状の本体部61と、本体部61の固定子鉄心41側の端部からそれぞれ突出している複数の接触部62とを有している。本体部61の構成は、実施の形態1の本体部61の構成と同様である。
本体部61に対する接触部62の連結部63には、折り目が形成された複数の折り曲げ部が設けられている。この例では、第1の折り曲げ部81及び第2の折り曲げ部82、即ち2つの折り曲げ部が接触部62の長手方向について互いに間隔を置いて設けられており、第1の折り曲げ部81が第2の折り曲げ部82よりも本体部61に近い位置に設けられている。また、第1の折り曲げ部81及び第2の折り曲げ部82は、互いに同じ方向に折り曲げられている。第1の折り曲げ部81の折り目を境界として互いに隣り合う部分がなす角度、及び第2の折り曲げ部82の折り目を境界として互いに隣り合う部分がなす角度は、それぞれ鈍角になっている。
各接触部62は、固定子鉄心41の軸線方向端面に個別に押し付けられた状態で弾性変形されている。接続部材37は、各接触部62の弾性復元力によって突っ張った状態で固定子鉄心41と第1のフランジ35との間に保持されている。他の構成及び製造方法は実施の形態1と同様である。
このようなモータ8及び電動パワーステアリング装置では、本体部61に対する各接触部62のそれぞれの連結部63に複数の折り曲げ部81,82が設けられているので、接続部材37を固定子鉄心41に押し付けることにより固定子鉄心41の形状に応じて各接触部62を個別に弾性変形させることができ、固定子鉄心41の軸線方向端面に各接触部62をより確実に接触させることができる。また、連結部63に設けられている折り曲げ部の数及び角度を調整することにより、連結部63の弾性係数を接続部材37の軸線方向について調整することができる。これにより、モータ8の固有振動数を調整することができ、モータ8の振動及び騒音をさらに確実に抑制することができる。さらに、固定子鉄心41とインシュレータ55との間の隙間に接触部62が配置される場合には、固定子鉄心41とインシュレータ55との間の隙間に接触部62を挿入しやすくすることができ、モータ8の製造を容易にすることができる。
実施の形態10.
本体部61に対する接触部62の連結部63に複数の折り曲げ部が設けられている構成が実施の形態1の接続部材37に適用されているが、本体部61に対する接触部62の連結部63に複数の折り曲げ部が設けられている構成を、実施の形態3の互いに独立した複数の接続部材37のそれぞれに適用してもよい。
即ち、図26は、この発明の実施の形態10によるモータの接続部材を示す斜視図である。互いに独立した複数の接続部材37のそれぞれは、板状の本体部61と、本体部61の固定子鉄心41側の端部から突出している板状の接触部62とを有している。本体部61に対する接触部62の連結部63には、実施の形態9と同様の複数の折り曲げ部が設けられている。他の構成は実施の形態3と同様である。
このように、互いに独立した複数の接続部材37のそれぞれに実施の形態9と同様の複数の折り曲げ部を適用しているので、各接続部材37の形状を単純化することができ、各接続部材37の製造を容易にすることができる。また、連結部63の弾性係数を接続部材37の軸線方向について調整することもできる。
なお、実施の形態9及び10では、本体部61に対する各接触部62の連結部63に設けられている折り曲げ部の数が、第1の折り曲げ部81及び第2の折り曲げ部82の2つになっているが、本体部61に対する各接触部62の連結部63に設けられている折り曲げ部の数を3つ以上にしてもよい。この場合、本体部61に対する各接触部62の連結部63には、各折り曲げ部の折り目が接触部62の長手方向について互いに間隔を置いて設けられる。
実施の形態11.
図27は、この発明の実施の形態11によるモータの接続部材を示す斜視図である。また、図28は、図27の接続部材の接触部を示す拡大断面図である。なお、図27では、固定子32から外されているときの接続部材の状態を示している。接続部材37は、筒状の本体部61と、本体部61の固定子鉄心41側の端部からそれぞれ突出している複数の接触部62とを有している。本体部61の構成は、実施の形態1の本体部61の構成と同様である。
本体部61に対する接触部62の連結部63の形状は、本体部61と滑らかに繋がる円弧状になっている。接触部62は、本体部61から連結部63で滑らかに曲がりながら本体部61の径方向外側へ突出している。
各接触部62は、固定子鉄心41の軸線方向端面に個別に押し付けられた状態で弾性変形されている。接続部材37は、各接触部62の弾性復元力によって突っ張った状態で固定子鉄心41と第1のフランジ35との間に保持されている。他の構成及び製造方法は実施の形態1と同様である。
このようなモータ8及び電動パワーステアリング装置では、本体部61に対する各接触部62のそれぞれの連結部63の形状が円弧状であるので、接続部材37を固定子鉄心41に押し付けることにより固定子鉄心41の形状に応じて各接触部62を個別に弾性変形させることができ、固定子鉄心41の軸線方向端面に各接触部62をより確実に接触させることができる。また、連結部63の円弧状の径を調整することにより、連結部63の弾性係数を接続部材37の軸線方向について調整することができる。これにより、モータ8の固有振動数を調整することができ、モータ8の振動及び騒音をさらに確実に抑制することができる。さらに、固定子鉄心41とインシュレータ55との間の隙間に接触部62が配置される場合には、固定子鉄心41とインシュレータ55との間の隙間に接触部62を挿入しやすくすることができ、モータ8の製造を容易にすることができる。
実施の形態12.
本体部61に対する接触部62の連結部63の形状が円弧状になっている構成が実施の形態1の接続部材37に適用されているが、本体部61に対する接触部62の連結部63の形状が円弧状になっている構成を、実施の形態3の互いに独立した複数の接続部材37のそれぞれに適用してもよい。
即ち、図29は、この発明の実施の形態12によるモータの接続部材を示す斜視図である。互いに独立した複数の接続部材37のそれぞれは、板状の本体部61と、本体部61の固定子鉄心41側の端部から突出している板状の接触部62とを有している。本体部61に対する接触部62の連結部63の形状は、実施の形態11と同様に、本体部61と滑らかに繋がる円弧状になっている。接触部62は、本体部61から連結部63で滑らかに曲がりながら固定子鉄心41の径方向外側へ突出している。他の構成は実施の形態3と同様である。
このように、互いに独立した複数の接続部材37のそれぞれに、実施の形態11と同様の弧状の連結部63を適用しているので、各接続部材37の形状をさらに単純化することができ、各接続部材37の製造を容易にすることができる。また、連結部63の弾性係数を接続部材37の軸線方向について調整することもできる。
なお、実施の形態3〜6,8,10及び12では、接続部材37の数がティース52の数と同じになっているが、接続部材37の数をティース52の数よりも多くしてもよいし、接続部材37の数をティース52の数よりも少なくしてもよい。接続部材37の数をティース52の数よりも多くした場合、共通のティース52に複数の接触部62が接触する。また、接続部材37の数をティース52の数よりも少なくした場合、接触部62が接触しないティース52が存在し、各接触部62が、固定子鉄心41の周方向へ可能な限り等間隔に配置される。
また、実施の形態1,2,7,9及び11では、共通の本体部61から突出した接触部62の数がティース52の数と同じになっているが、接触部62の数をティース52の数よりも多くしてもよいし、接触部62の数をティース52の数よりも少なくしてもよい。接触部62の数をティース52の数よりも多くした場合、共通のティース52に複数の接触部62が接触する。また、接触部62の数をティース52の数よりも少なくした場合、接触部62が接触しないティース52が存在し、各接触部62が、固定子鉄心41の周方向へ可能な限り等間隔に配置される。
また、実施の形態4では、実施の形態3の複数の接続部材37のそれぞれに受け部75が適用されているが、実施の形態1,2,7,9及び11の接続部材37、即ち共通の本体部61から複数の接触部62が突出している接続部材37に複数の受け部75を適用してもよい。この場合、各受け部75は、本体部61の第1のフランジ35側の端部から突出する。また、この場合、共通の本体部61から突出している受け部75の数は、共通の本体部61から突出している接触部62の数と同数であってもよいし異なる数であってもよい。さらに、この場合、本体部61から突出する受け部75を、本体部61の周方向へ連続する環状板としてもよい。
また、実施の形態5では、実施の形態3の複数の接続部材37のそれぞれに差込部76が適用されているが、実施の形態1,2,7,9及び11の接続部材37、即ち共通の本体部61から複数の接触部62が突出している接続部材37に複数の差込部76を適用してもよい。この場合、各差込部76は、本体部61の第1のフランジ35側の端部から突出する。また、この場合、共通の本体部61から突出している差込部76の数は、共通の本体部61から突出している接触部62の数と同数であってもよいし異なる数であってもよい。さらに、この場合、第1のフランジ35に設けられる貫通穴77の数が差込部76の数と同数、又は同数よりも少ない数にされ、各貫通穴77が各差込部75の周方向位置に合わせて第1のフランジ35に設けられる。
また、各上記実施の形態では、接続部材37の全体が同じ材料で構成されているが、本体部61を構成する材料と、接触部62を構成する材料とを、互いに異なる材料としてもよい。例えば、本体部61を樹脂で構成し、接触部62を金属で構成してもよい。また、本体部61と接触部62とを互いに異なる部品とし、本体部61としての部品と、接触部62としての部品とを組み合わせることにより接続部材37を構成してもよい。
また、各上記実施の形態では、固定子鉄心41と第1のフランジ35との間にのみ接続部材37が設けられているが、これに限定されず、固定子鉄心41と第2のフランジ36との間にのみ接続部材37を設けてもよいし、固定子鉄心41と第1のフランジ35との間、及び固定子鉄心41と第2のフランジ36との間の両方に接続部材37を設けてもよい。
また、各上記実施の形態では、固定子鉄心41のティース52の数が18個になっているが、これに限定されず、ティース52の数を18個と異なる数にしてもよい。さらに、各上記実施の形態では、回転子33に設けられている永久磁石44の数が14個になっているが、これに限定されず、永久磁石44の数を14個と異なる数にしてもよい。また、永久磁石を有さない回転電機にこの発明を適用してもよい。永久磁石を有さない回転電機としては、例えば、誘導機、SynRM(Synchronous Reluctance Motor)、SRM(Switched Reluctance Motor)等が挙げられる。