JP6239948B2 - 多面体構造ポリシロキサンを添加した硬化性組成物、硬化物および半導体発光装置、半導体発光装置の製造方法 - Google Patents
多面体構造ポリシロキサンを添加した硬化性組成物、硬化物および半導体発光装置、半導体発光装置の製造方法 Download PDFInfo
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Description
半導体発光装置は、通常、半導体からなる発光素子(以下、適宣、LED)上に蛍光体を含有する硬化性組成物を塗布し、これを硬化することによりLEDを封止して製造される。この際、蛍光体を硬化性組成物中に均一に分散させる目的や、蛍光体が沈降してLEDへのディスペンスの吐出量がばらついたり液詰まりを防止する目的や、硬化物に散乱効果を付与する目的等により、蛍光体とともにフィラーを硬化性組成物に含有させることがある(特許文献1、2参照)。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、蛍光体を含有する硬化性組成物をLEDにディスペンスする際の液詰まりが少なく、生産性に優れる半導体発光装置の製造方法に関する。
多面体構造ポリシロキサンを含有しないLED封止剤(100重量部)と、多面体構造ポリシロキサン(0.1〜25重量部)からなる硬化性組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の構成を有するものである。
(B)成分の多面体構造ポリシロキサンが、アルケニル基またはヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン単位から構成されることを特徴とする硬化性組成物。
ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する化合物(b1)をヒドロシリル化反応することにより得られる多面体構造ポリシロキサンであることを特徴とする1)〜4)の何れか1項に記載の硬化性組成物。
[AR2 2SiO−SiO3/2]a[R3 3SiO−SiO3/2]b
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Aは、アルケニル基;R2は、アルキル基またはアリール基;R3は、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン化合物であることを特徴とする7)、9)のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[HR2 2SiO−SiO3/2]a[R3 3SiO−SiO3/2]b
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Hは、ヒドロシリル基;R2は、アルキル基またはアリール基;R3は、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)で表されるシロキサン単位から構成されるヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン化合物であることを特徴とする8)に記載の硬化性組成物。
{a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;R4は、アルキル基またはアリール基;R5は、アルケニル基、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基、Xは、下記一般式(1)あるいは一般式(2)のいずれかの構造を有し、Xが複数ある場合は一般式(1)あるいは一般式(2)の構造が異なっていても良くまた一般式(1)あるいは一般式(2)の構造が混在していても良い。
−[CH2]l−R6 (3)
(lは2以上の整数;R6は有機ケイ素化合物を含有する基);R6は、アルキル基またはアリール基}を構成単位とする多面体構造ポリシロキサンであることを特徴とする1)に記載の硬化性組成物。
本発明の半導体発光装置は、半導体からなる発光素子を後述の蛍光体と、(A)多面体構造ポリシロキサンを含有しないLED封止剤(100重量部)と、(B)多面体構造ポリシロキサン(0.1〜25重量部)を含有する硬化性組成物からなる蛍光体層で封止して得られる。発光素子を硬化性組成物で封止する方法としては、特に限定されないが、例えば、LED用パッケージに発光素子を実装し、硬化性組成物を注入・硬化して封止してもよいし、LED用パッケージを用いずに、プレス成形・トランスファー成形などの手法により、LED用基盤に実装したLEDを硬化性組成物で直接封止してもよい。ここで、LED用パッケージやLED用基盤としては、特に限定されず、汎用されているもの等を用いることができる。
本発明の半導体発光装置に用いられる半導体からなる発光素子としては、特に限定されず、半導体発光装置のLEDとして汎用されているもの等を用いることができる。例えば、放射した光により蛍光体を励起して可視光を発光させるものであり、青色発光タイプのLEDや紫外発光タイプのLEDなどが挙げられる。本発明の半導体発光装置においては、1つの半導体発光装置あたりに複数個の同一または異なる種類のLEDを実装してもよい。
本発明の半導体発光装置に用いられる硬化性組成物は蛍光体を含有し、蛍光体層を形成する。蛍光体は上記発光素子の発する光を吸収して異なる波長の光を発生するものであり、本発明の半導体発光装置に用いられる蛍光体としては、特に限定されず、一般的に公知の無機蛍光体や有機蛍光体を用いることができ、本発明の半導体発光装置が必要とする発光色を得るために任意のものを選択することができる。具体的に、例えば、YAG系蛍光体、LuAG系蛍光体、TAG系蛍光体、BOS系蛍光体、オルトシリケートアルカリ土類系蛍光体、α−サイアロン系蛍光体、β−サイアロン系蛍光体、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体、ニトリドおよびオキシニトリド系蛍光体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら蛍光体は1種または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。
本発明の半導体発光装置に用いられる硬化性組成物の主成分は多面体構造ポリシロキサンを含有しないLED封止剤であり、公知の多面体構造ポリシロキサンを含有しないLED封止剤を使用できる。LED封止剤としては、特に限定されないが、例えば、メチルシリコーン樹脂、フェニルシリコーン樹脂、ハイブリット樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
(A)成分の硬化反応としては、炭素−炭素二重結合基を有する化合物とヒドロシリル基を有する化合物のヒドロシリル化反応、エポキシ基を有する化合物と酸無水物基を有する化合物の硬化反応などが挙げられる。
(A)成分の硬化反応としては、得られる硬化物の耐熱性、耐光性が優れる観点から炭素−炭素二重結合基を有する化合物とヒドロシリル基を有する化合物のヒドロシリル化反応が好ましい。
メチルシリコーン樹脂の具体例としては、例えば、東レダウコーニング製のOE−6351、OE−6336、EG−6301、JCR−6140、JCR−6126、JCR−6122、JCR−6101、JCR−6115、JCR−6250、JCR−6109、JCR−6110、信越化学製のKER−2500、KER−2600、KER−2700などが挙げられる。
フェニルシリコーン樹脂の具体例としては、例えば、東レダウコーニング製のOE−6450、OE−6550、OE−6520、OE−6665、OE−6650、OE−6636、OE−6635、OE−6630、OE−6662、OE−6652、OE−7620、OE−7630、OE07640、JCR−6175、信越化学製のLPS−3600シリーズ、ASP−1111、ASP−1031、ASP−1120、KER−6000、KER−6100、KER−6110、KER−6150、KER−6200、KER−6075−F、KER−6020−Fなどが挙げられる。
ハイブリット樹脂の具体例としては、例えば、信越化学製のSCR−1011、SCR−1012、SCR−1016などが挙げられる。
(A)成分としては、耐熱性、耐光性、ガスバリア性をバランス良く備えているという観点からフェニルシリコーン樹脂が好ましい。
メチルシリコーン樹脂とは、アルケニル基および/またはヒドロシリル基を1分子中に2個以上有するポリシロキサン化合物を主成分とする硬化性組成物である。
主成分は2種以上であり、アルケニル基を1分子中に2個以上有するポリシロキサン化合物と、ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有するポリシロキサン化合物から構成されるメチルシリコーン樹脂が、2液型硬化性組成物の保管安定性が良い点で好ましい。
メチルシリコーン樹脂のポリシロキサン単位としては[SiO4/2] 、[(CH3)SiO3/2] 、[(CH3)2SiO2/2] 、[(CH3)3SiO1/2]のメチルシロキサン単位により構成される。
メチルシリコーン樹脂のアルケニル基としてはビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が例示されるが、耐熱性・耐光性の観点から、ビニル基が好ましい。
フェニルシリコーン樹脂とは、アルケニル基および/またはヒドロシリル基を1分子中に2個以上有するポリシロキサン化合物を主成分とする硬化性組成物である。
主成分は2種以上であり、アルケニル基を1分子中に2個以上有するポリシロキサン化合物と、ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有するポリシロキサン化合物から構成されるフェニルシリコーン樹脂が、2液型硬化性組成物の保管安定性が良い点で好ましい。
フェニルシリコーン樹脂のアルケニル基としてはビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が例示されるが、耐熱性・耐光性の観点から、ビニル基が好ましい。
また、(A)成分100重量部に対して、(B)成分0.1〜25重量部含有させることにより、蛍光体を含有する硬化性組成物をLEDにディスペンスする際の液詰まりを防止できる。
(B)成分の含有量は、(A)成分100重量部に対して、0.1重量部以上が好ましく、0.5重量部以上がより好ましく、1.0重量部以上がさらにより好ましい。0.1重量部未満の場合、LEDにディスペンスする際の液詰まりを抑制する効果が得られない。一方、25重量部以下が好ましく、15重量部以下がより好ましく、5重量部以下がさらにより好ましい。25重量部を超えると硬化物にタックが生じたり、耐熱性、耐光性、ガスバリア性が低下する。
<多面体構造ポリシロキサン(B)>
本発明の半導体発光装置に用いられる硬化性組成物は多面体構造ポリシロキサンを含有する。多面体構造ポリシロキサンとは多面体構造ポリシロキサン骨格を有するポリシロキサンである。
本発明に用いられる多面体構造ポリシロキサンとしては、公知の多面体構造ポリシロキサンを広く使用することができ、一般式[RSiO3/2]aや一般式[R3SiO−SiO3/2]a(Rは任意の有機基、アルケニル基、水素原子であり、同一であっても異なっていてもよい。;aは6〜24の整数)で表されるシロキサン骨格から構成される多面体構造ポリシロキサンが例示されるが、その構造中に[R2SiO2/2]単位や[R3SiO1/2]単位を含む部分開裂型の多面体構造ポリシロキサンであってもよい。
本発明に用いられる多面体構造ポリシロキサン骨格を有するポリシロキサンは、アルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a)と、必要に応じて(a)成分および/または(c)成分とヒドロシリル化反応可能なヒドロシリル基またはアルケニル基を1分子中に2個以上有する化合物(b)と、必要に応じて(a)成分および/または(b)成分とヒドロシリル化反応可能なアルケニル基またはヒドロシリル基を1分子中に1個有する化合物(c)をヒドロシリル化反応することにより得られる多面体構造ポリシロキサンであることが、得られる硬化物の耐熱性、耐光性、ガスバリア性が良く、しかもLEDへディスペンスする際の液詰まりが抑制される点から好ましい。
多面体構造ポリシロキサン(B)は、前述の(A)成分に混ぜて硬化させた場合に、得られる硬化物の強度や耐熱性、耐光性、ガスバリア性、タックの観点から、1分子中にヒドロシリル基および/またはアルケニル基を平均して1つ以上含有することが好ましい。
多面体構造ポリシロキサン(B)は、LED封止剤(A)がフェニルシリコーン樹脂などの有機基を有するLED封止剤の場合は、有機基を有する多面体構造ポリシロキサンが好ましい。有機基を有する多面体構造ポリシロキサンの場合、蛍光体との吸着性が向上し、蛍光体の凝集が抑制されるためにLEDへディスペンスする際の液詰まりが抑制される。
好ましい有機基としては脂環式の脂肪族炭化水素基、アリール基が挙げられる。これらの好ましい有機基は、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数の低い直鎖状の脂肪族炭化水素基と比べて、LEDへディスペンスする際の液詰まりが抑制される効果が高い。
好ましい脂環式の脂肪族炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシル基、イソボルニル基、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基、1−アダマンチル基、トリシクロペンタニル基、トリシクロペンテニル基、2,2-ジメチル−3−メチレン−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ノルボルニル基などが挙げられる。好ましいアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、3−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、3−イソブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、3−tブチルフェニル基、4−tブチルフェニル基、3−ペンチルフェニル基、4−ペンチルフェニル基、3−ヘキシルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,3−ジエチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,5−ジエチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、3,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、ビフェニル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,4,5−トリメチルフェニル基等が挙げられる。中でも、耐熱・耐光性の観点から、フェニル基が好ましい例として挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
(A)成分がメチルシリコーン樹脂の場合は、上記、好ましい有機基を有する多面体構造ポリシロキサンの相溶性が悪い場合があるため、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数の低い直鎖状の脂肪族炭化水素基を有する多面体構造ポリシロキサンが好ましい場合がある。
(A)成分がフェニルシリコーン樹脂の場合は、上記、好ましい有機基を有する立体構造ポリシロキサンの方が、蛍光体との吸着性が向上し、蛍光体の凝集が抑制されるためにLEDへディスペンスする際の液詰まりが抑制される場合がある。
本発明の半導体発光装置に用いられるアルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a)は、分子中にアルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物であれば、特に限定はない。
アルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物としては、具体的に例えば、以下の式
[R7SiO3/2]x[R8SiO3/2]y
(x+yは6〜24の整数;xは1以上の整数、yは0または1以上の整数;R7はアルケニル基、水素原子;R8は、任意の有機基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物を好適に用いることができ、さらには、以下の式
[AR2 2SiO−SiO3/2]a[R3 3SiO−SiO3/2]b
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Aは、アルケニル基、水素原子;R2は、アルキル基またはアリール基;R3は、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物が好ましいものとして例示される。
aは1以上の整数であれば、特に制限はないが、得られる多面体構造ポリシロキサンによる蛍光体の凝集抑制効果の観点から、3以上が好ましく、6以上がさらに好ましい。また、bは、0または1以上の整数であれば、特に制限はない。
本発明の半導体発光装置に用いられる、ヒドロシリル基またはアルケニル基を1分子中に2個以上有する化合物(b)は、分子中に2個以上のヒドロシリル基またはアルケニル基を有していれば特に制限はないが、得られる多面体構造ポリシロキサンの透明性、耐熱性、耐光性の観点から、ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する化合物であることが好ましく、さらには、ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する環状シロキサンあるいは直鎖状ポリシロキサンであることが好ましい。特に耐熱性、耐光性、ガスバリア性の観点からは、環状シロキサンであることが好ましい。
また、ヒドロシリル基またはアルケニル基を1分子中に2個以上有する化合物(b)のうち、アルケニル基を有さずヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する化合物を「ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する化合物(b1)」と記載する場合がある。
本発明の半導体発光装置に用いられるアルケニル基またはヒドロシリル基を1分子中に1個有する化合物(c)は、アルケニル基またはヒドロシリル基を1分子中に1個有する化合物であれば特に限定はされず、前述のヒドロシリル基またはアルケニル基を1分子中に2個以上有する化合物(b)、または、アルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する多面体構造または多分岐構造ポリシロキサン化合物(a)とヒドロシリル化反応する。
好ましい有機基としては前述の脂環式の脂肪族炭化水素基、アリール基が挙げられる。これらの好ましい有機基は、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数の低い直鎖状の脂肪族炭化水素基と比べて、LEDへディスペンスする際の液詰まりが抑制される効果が高い。
(c)成分は、耐熱性、耐光性の観点から、シラン、またはポリシロキサンを有するケイ素化合物を含有する基が好ましい。このような(c)成分が、アルケニル基を1分子中に1個有するシランである場合、例えば、トリメチルビニルシラン、トリエチルビニルシラン、アリルトリメチルシラン、アリルトリエチルシラン、ジメチルフェニルビニルシラン、メチルジフェニルビニルシラン、トリフェニルビニルシラン、ジエチルフェニルビニルシラン、エチルジフェニルビニルシラン、アリルジメチルフェニルシラン、アリルメチルジフェニルシラン、アリルトリフェニルシラン、アリルジエチルフェニルシラン、アリルエチルジフェニルシラン、トリメトキシビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、エトキシジメチルビニルシラン、トリメトキシアリルシラン、ジメトキシメチルアリルシラン、メトキシジメチルアリルシラン、トリエトキシアリルシラン、ジエトキシメチルアリルシラン、エトキシジメチルアリルシラン等が例示される。中でも、LEDへディスペンスする際の液詰まりが抑制され、耐熱性、耐光性の観点から、ジメチルフェニルビニルシラン、メチルジフェニルビニルシラン、トリフェニルビニルシランが好ましい例として挙げられる。
(c)成分が、ヒドロシリル基を1分子中に1個有するシランである場合、例えば、トリメチルヒドロシラン、ジメチルフェニルヒドロシラン、メチルジフェニルヒドロシラン、トリフェニルヒドロシラン、トリエチルヒドロシラン、ジエチルフェニルヒドロシラン、エチルジフェニルヒドロシラン等が例示される。
ヒドロシリル基を1分子中に1個有するポリシロキサン化合物としては、例えば、ジメチルヒドロシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルヒドロシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリメチルフェニルシロキサン、ジメチルヒドロシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルヒドロシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたジメチルシロキサン単位とメチルフェニルシロキサン単位との共重合体、ジメチルヒドロシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたジメチルシロキサン単位とジフェニルシロキサン単位との共重合体、ジメチルヒドロシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたメチルフェニルシロキサン単位とジフェニルシロキサン単位との共重合体等が例示される。
(c)成分が、ヒドロシリル基を1分子中に1個有する環状シロキサンである場合、具体的に例えば、1−ハイドロジェン−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1−ハイドロジェン−3−フェニル−1,3,5,5,7,7−ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1−ハイドロジェン−3,5−ジフェニル−1,3,5,7,7−ペンタメチルシクロテトラシロキサン、1−ハイドロジェン−3,5,7−トリフェニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等が例示される。
これら(c)成分は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、アルケニル基またはヒドロシリル基を1分子中に1個有する化合物(c)のうち、ヒドロシリル基を有さずアルケニル基を1分子中に1個有する化合物を「アルケニル基を1分子中に1個有する化合物(c1)」と記載することもある。
本発明の半導体発光装置に用いられる多面体構造ポリシロキサン(B)は、後述のヒドロシリル化触媒の存在下、アルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a)と、必要に応じて(a)成分および/または(c)成分とヒドロシリル化反応可能なヒドロシリル基またはアルケニル基を1分子中に2個以上有する化合物(b)と、必要に応じて(a)成分および/または(b)成分とヒドロシリル化反応可能なアルケニル基またはヒドロシリル基を1分子中に1個有する化合物(c)をヒドロシリル化反応することにより得られる。
本発明の半導体発光装置に用いられる多面体構造ポリシロキサン(B)は、式
[XR4 2SiO−SiO3/2]a[R5 3SiO−SiO3/2]b
[a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;R4は、アルキル基またはアリール基;R5は、アルケニル基、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基、Xは、下記一般式(1)あるいは一般式(2)のいずれかの構造を有し、Xが複数ある場合は一般式(1)あるいは一般式(2)の構造が異なっていても良くまた一般式(1)あるいは一般式(2)の構造が混在していても良い。
−[CH2]l−R6 (3)
(lは2以上の整数;R6は有機ケイ素化合物を含有する基);R6はアルキル基またはアリール基}]
で表されるシロキサン単位から構成される多面体構造ポリシロキサンであってもよい。
ここで、R6はケイ素化合物を含有する基であれば特に限定はされないが、1分子中に少なくともアリール基を1個以上含有していることが、ガスバリア性や屈折率の観点から好ましく、さらには、該アリール基が直接ケイ素原子に結合していることが、耐熱性、耐光性の観点から、好ましい。
また、多面体構造ポリシロキサン(B)としては、(A)成分との相溶性が良く、耐熱性が良く、(B)成分の合成が容易である点から、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a2)と、ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する化合物(b1)と、アルケニル基を1分子中に1個有する化合物(c1)とをヒドロシリル化反応することにより得られる多面体構造ポリシロキサン、ヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a3)と、アルケニル基を1分子中に1個有する化合物(c1)をヒドロシリル化反応することにより得られる多面体構造ポリシロキサン、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a2)と、ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する化合物(b1)をヒドロシリル化反応することにより得られる多面体構造ポリシロキサンがさらに好ましい。
本発明における(D)成分は、具体的に例えば、(A)成分との反応性を有し、耐熱性、耐光性、ガスバリア性を有する硬化物を与えることが可能となる。
本発明における有機化合物(D)は、下記一般式(1)で表される有機化合物あるいは、(D)成分の具体的な例として下記に示している有機化合物であれば特に限定はされない。
本発明における(D)成分は、得られる硬化物の強度やガスバリア性、耐熱性、耐光性等の観点から、1分子中にアルケニル基を平均して2個以上含有していることが好ましく、より好ましくは2個含有することが好ましい。また、ガスバリア性の観点から、数平均分子量900未満であることが好ましい。
本発明で用いることができるヒドロシリル化触媒としては、通常ヒドロシリル化触媒として公知のものを選択でき、特に制限はない。
硬化遅延剤は、本発明で用いられる硬化性組成物の保存安定性の改良あるいは、硬化過程でのヒドロシリル化反応性を調整するために用いることができる成分である。本発明においては、硬化遅延剤としては、ヒドロシリル化触媒による付加型硬化性組成物で用いられている公知のものが使用でき、具体的には脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもよい。
本発明の半導体発光装置に用いられる有機変性された多面体構造ポリシロキサンを含有する硬化性組成物は、蛍光体、必要に応じて、ヒドロシリル化触媒、硬化遅延剤等を混合することにより得ることができる。
蛍光体を硬化性組成物に混合・分散する方法としては、蛍光体の結晶構造に損傷を与えず蛍光体を均一に分散することが可能な方法であれば特に制限はなく、例えばミキサー、高速ディスパー、ホモジナイザー、3本ロール、2本ロール、ニーダー、ビーズミル等、従来公知の方法を用いることが出来る。上記の中でも特に、遊星攪拌ミキサー、3本ロール、2本ロール、など分散にあたり発熱の少ないものや混合機由来の金属磨耗粒子の混入が少ないものが好ましく、なかでも遊星攪拌ミキサーが蛍光体の損傷少なく脱泡しながら混合・分散できるので好ましい。これらの混合・分散方法は、一種のみ行ってもよく、また二種以上を組み合わせて行ってもよい。
本発明に用いられる硬化性組成物の粘度は、特に制限はないが、温度23℃において0.2Pa・s〜300Pa・sであることが好ましく、さらに好ましくは0.5Pa・s〜200Pa・sである。硬化性組成物の粘度が低いと、蛍光体が凝集してしまう恐れがあり、粘度が高いと、硬化性組成物のハンドリング性が悪化する恐れがある。
硬化性組成物を硬化させる際に温度を加える場合は、好ましくは、30〜400℃、さらに好ましくは50〜250℃である。硬化温度が高いと、得られる硬化物に外観不良が生じる傾向があり、低いと硬化が不十分となる。また、2段階以上の温度条件を組み合わせて硬化させてもよい。具体的には例えば、70℃、120℃、150℃の様に段階的に硬化温度を引き上げていくことで、良好な硬化物を得ることができ好ましい。
硬化時間は硬化温度、用いるヒドロシリル化触媒の量及び反応性基の量、その他、硬化性組成物の配合物の組み合わせにより適宜選択することができるが、あえて例示すれば、1分〜12時間、好ましくは10分〜8時間行うことにより、良好な硬化物を得ることができる。
本発明の半導体発光装置に用いられる硬化性組成物には、必要に応じて分散剤として、無機フィラーを添加することができる。無機フィラーを用いることにより、硬化性組成物の流動性を改善することができる。また得られる成形体の強度、硬度、弾性率、熱膨張率、熱伝導率、放熱性、電気的特性、光の反射率、難燃性、耐火性、およびガスバリア性等の諸物性を改善することができる。
本発明の光半導体装置は従来公知の各種の用途に用いることができる。具体的に、例えば、受発光デバイス液晶表示装置等のバックライト、照明、センサー光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等を挙げることができる。
合成した反応物の重量平均分子量は、東ソー製 HLC−8220GPC(カラム:TSKgel SuperHZM−N(4本)+同HZ1000(1本) 内径4.6mm×15cm、溶媒:トルエン、流速:0.35ml/min)を用い、標準ポリスチレン換算法により測定した。
(A)成分の多面体構造ポリシロキサン単位の分析は、VARIAN社製INOVA AS600を使用し、29Si−NMRにより測定した。多面体構造ポリシロキサン単位を含有する場合はシャープなピークが見られる。
ジェネライツ社製12mil×13mil角の青色LEDチップ(品番:B1213AAA0 S46B/C−19/20)を実装したイーチュン社製リフレクター(品番:Top view SMD6721)を準備し、硬化性組成物を、シリンジに8g流し込み、武蔵エンジニアリング社製容積計量式デジタル制御ディスペンサー(MPP−1)を備えた卓上型ロボット(SHOTMASTER DS SERIES SM200DSS−3A)、武蔵エンジニアリング社製10mlシリンジ(品番:PSY−10E)、武蔵エンジニアリング社製10mlシリンジ用プランジャー(品番:FLP−10E)、武蔵エンジニアリング社製精密ソリッドノズル(品番:SHN−0.4N)を用いてLEDにディスペンスした。ディスペンスのトータル時間が2時間になるまでディスペンスを繰り返した。そして、ノズル内の液詰まりが発生した時間を液詰まり発生時間とした。2時間という記載は、2時間ディスペンスを繰り返しても液詰まりが発生しなかったことを表す。
48%コリン水溶液(トリメチル−2ヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)1803gにテトラエトキシシラン1459gを加え、室温で2時間激しく撹拌した。反応系内が発熱し、均一溶液になった段階で、撹拌を緩め、さらに12時間反応させた。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール1400mLを加え、均一溶液とした。
ジメチルビニルクロロシラン1932gとヘキサン1400mLの溶液を激しく攪拌しながら、メタノール溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間反応させた後、有機層を抽出、濃縮することにより、固形物を得た。次に、生成した固形物をメタノール中で激しく攪拌することにより洗浄し、ろ別することにより、Si原子16個と、ビニル基を8個有するアルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサンであるオクタキス(ビニルジメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン(Fw=1226.3)を白色固体として842g得た。
48%コリン水溶液(トリメチル−2ヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)1803gにテトラエトキシシラン1459gを加え、室温で2時間激しく撹拌した。反応系内が発熱し、均一溶液になった段階で、撹拌を緩め、さらに12時間反応させた。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール1400mLを加え、均一溶液とした。
ジメチルビニルクロロシラン1149g、トリメチルシリクロリド830gおよびヘキサン1400mLの溶液を激しく攪拌しながら、メタノール溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間反応させた後、有機層を抽出、濃縮することにより、固形物を得た。次に、生成した固形物をメタノール中で激しく攪拌することにより洗浄し、ろ別することにより、Si原子16個と、ビニル基を4個有するアルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサンであるテトラキス(ビニルジメチルシロキシ)テトラキス(トリメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン(Fw=1175.8)を白色固体として760g得た。
製造例1で得られたアルケニル基含有多面体構造ポリシロキサン化合物であるオクタキス(ビニルジメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン30.0gをトルエン60.0gに溶解させ、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)7.34μLを加えた。このようにして得られた溶液を、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン117.7g、トルエン39.2gの溶液にゆっくりと滴下し、105℃で2時間反応させた。反応終了後、エチニルシクロヘキサノール14.0μl、マレイン酸ジメチル3.3μlを加え、トルエンと未反応成分を留去することにより、液状の多面体構造ポリシロキサンを69.3g得た。
ビニルジフェニルメチルシラン2.85gをトルエン2.85gに溶解させた。得られた溶液に対し、製造例3で得られた液状の多面体構造ポリシロキサン10.0gとトルエン10.0gの溶液をゆっくりと滴下し、105℃で2時間反応させた。反応終了後、トルエンと未反応成分を留去し、液状の有機基を有する多面体構造ポリシロキサン(反応物1)を12.6g得た。GPC測定より反応物1は複数ピークを有し、最も高分子量側のピークの重量平均分子量は10,300であった。
製造例2で得られたアルケニル基含有多面体構造ポリシロキサン化合物であるテトラキス(ビニルジメチルシロキシ)テトラキス(トリメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン30.0gをトルエン123.0gに溶解させ、ビニルジフェニルメチルシラン31.5g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)1.46μLを加えた。このようにして得られた溶液を、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン24.6g、トルエン24.6gの溶液にゆっくりと滴下し、105℃で2時間反応させた。反応終了後、エチニルシクロヘキサノール2.8μl、マレイン酸ジメチル0.65μlを加え、トルエンと未反応成分を留去することにより、液状の有機基を有する多面体構造ポリシロキサン(反応物2)を80.8g得た。GPC測定より反応物2は複数ピークを有し、最も高分子量側のピークの重量平均分子量は12,200であった。
48%コリン水溶液(トリメチル−2ヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)1803gにテトラエトキシシラン1459gを加え、室温で2時間激しく撹拌した。反応系内が発熱し、均一溶液になった段階で、撹拌を緩め、さらに12時間反応させた。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール1400mLを加え、均一溶液とした。
ジメチルクロロシラン1490gとヘキサン1400mLの溶液を激しく攪拌しながら、メタノール溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間反応させた後、有機層を抽出、濃縮することにより、固形物を得た。次に、生成した固形物をアセトニトリル中で激しく攪拌することにより洗浄し、ろ別することにより、Si原子16個と、ヒドロシリル基を8個有する多面体構造ポリシロキサンであるオクタキス(ジメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン(Fw=1226.3)を白色固体として705g得た。
製造例6で得られたヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサンであるオクタキス(ジメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン5.00gをトルエン5.00gで溶解させ、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)1.01μLを加えた。このようにして得られた溶液をビニルジフェニルメチルシラン5.51g、トルエン5.51gの溶液にゆっくりと滴下し、105℃で2時間反応させた。反応終了後、エチニルシクロヘキサノール1.94μl、マレイン酸ジメチル0.45μlを加え、トルエンと未反応成分を留去し、液状の有機基を有する多面体構造ポリシロキサン(反応物3)を10.2g得た。GPC測定より反応物3は一つのピークを有し、重量平均分子量は1700であった。
製造例2で得られたアルケニル基含有多面体構造ポリシロキサン化合物であるテトラキス(ビニルジメチルシロキシ)テトラキス(トリメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン30.0gをトルエン60.0gに溶解させ、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)3.67μLを加えた。このようにして得られた溶液を、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン58.9g、トルエン19.6gの溶液にゆっくりと滴下し、105℃で2時間反応させた。反応終了後、エチニルシクロヘキサノール7.0μl、マレイン酸ジメチル1.7μlを加え、トルエンと未反応成分を留去することにより、液状の多面体構造ポリシロキサン(反応物4)を83.0g得た。GPC測定より反応物4は複数ピークを有し、最も高分子量側のピークの重量平均分子量は8,100であった。
LED封止剤(東レダウコーニング製、フェニルシリコーン樹脂、OE6630A/B:GPC測定より複数ピークを有し、最も高分子量側のピークの重量平均分子量が3,300、29Si−NMR測定より多面体構造ポリシロキサン単位を含有しない、または、信越化学製、メチルシリコーン樹脂、KER2600A/B:GPC測定より複数ピークを有し、最も高分子量側のピークの重量平均分子量が84,800、重量平均分子量60,000を超える成分が20重量%以上であり、29Si−NMR測定より多面体構造ポリシロキサン単位を含有しない)と、上記製造例の反応物1〜4の何れか一種を均一に混合し、この液に蛍光体を加えて撹拌した後、Thinky社製あわとり練太郎ARE−310を用いて撹拌3分、脱泡3分、撹拌3分し、さらにThinky社製あわとり練太郎ARV−310を用いて真空撹拌3分を順に行うことで、多面体構造ポリシロキサンと蛍光体を含有する硬化性組成物を作製した。
上記実施例および比較例の蛍光体として、電気化学工業製の緑色蛍光体GR240、三菱化学製の赤色蛍光体BR240、インテマティクス製の黄色蛍光体EY4750を使用した。
a(x)およびa(y)の値は所望の値であることが好ましく、蛍光体の種類と使用量などによりこれらの値を制御する。同種同量の蛍光体を使用する場合、a(x)およびa(y)の値が高いほど蛍光体の光変換効率が高くて好ましい。蛍光体の光変換効率が高いと、少量の蛍光体でa(x)およびa(y)を所望の値に制御できるので製造コストの削減になる。
また反応物1の添加量1部(実施例1)で液詰まりの防止効果が見られた。また反応物1の添加量が10部(実施例3)では硬化物のタックは無かったが、20部(実施例4)では硬化物にタックが見られた。
Claims (22)
- (A)多面体構造ポリシロキサンを含有しないLED封止剤(100重量部)と、(B)多面体構造ポリシロキサン(0.1〜25重量部)からなる硬化性組成物であって、
(A)成分が、アルケニル基を1分子中に2個以上有するポリシロキサン化合物と、ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有するポリシロキサン化合物から構成されるメチルシリコーン樹脂、または、アルケニル基を1分子中に2個以上有するポリシロキサン化合物と、ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有するポリシロキサン化合物から構成されるフェニルシリコーン樹脂であり、
(B)成分の多面体構造ポリシロキサンが、アルケニル基またはヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン単位から構成されることを特徴とする硬化性組成物。 - (B)成分が、温度20℃において、液状であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
- (B)成分が、アルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a)と、必要に応じて(a)成分および/または(c)成分とヒドロシリル化反応可能なヒドロシリル基またはアルケニル基を1分子中に2個以上有する化合物(b)と、必要に応じて(a)成分および/または(b)成分とヒドロシリル化反応可能なアルケニル基またはヒドロシリル基を1分子中に1個有する化合物(c)をヒドロシリル化反応することにより得られる多面体構造ポリシロキサンであることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
- (B)成分が、アルケニル基およびヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a1)と、必要に応じて(a1)成分および/または(c)成分とヒドロシリル化反応可能なヒドロシリル基またはアルケニル基を1分子中に2個以上有する化合物(b)と、必要に応じて(a)成分および/または(b)成分とヒドロシリル化反応可能なアルケニル基またはヒドロシリル基を1分子中に1個有する化合物(c)をヒドロシリル化反応することにより得られる多面体構造ポリシロキサンであることを特徴とする請求項3に記載の硬化性組成物。
- (B)成分が、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a2)と、ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する化合物(b1)と、アルケニル基を1分子中に1個有する化合物(c1)とをヒドロシリル化反応することにより得られる多面体構造ポリシロキサンであることを特徴とする請求項3に記載の硬化性組成物。
- (B)成分が、ヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a3)と、アルケニル基を1分子中に1個有する化合物(c1)をヒドロシリル化反応することにより得られる多面体構造ポリシロキサンであることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
- (B)成分が、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a2)と、
ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する化合物(b1)をヒドロシリル化反応することにより得られる多面体構造ポリシロキサンであることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。 - アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a2)が、式:
[AR2 2SiO−SiO3/2]a[R3 3SiO−SiO3/2]b
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Aは、アルケニル基;R2は、アルキル基またはアリール基;R3は、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン化合物であることを特徴とする請求項5または7に記載の硬化性組成物。 - ヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a3)が、式:
[HR2 2SiO−SiO3/2]a[R3 3SiO−SiO3/2]b
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Hは、ヒドロシリル基;R2は、アルキル基またはアリール基;R3は、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)で表されるシロキサン単位から構成されるヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン化合物であることを特徴とする請求項6に記載の硬化性組成物。 - ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する化合物(b1)が、ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する環状シロキサンまたは直鎖状ポリシロキサンであることを特徴とする請求項5または7に記載の硬化性組成物。
- ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する化合物(b1)が、ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する環状シロキサンであることを特徴とする請求項10に記載の硬化性組成物。
- ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する化合物(b1)が、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることを特徴とする請求項10に記載の硬化性組成物。
- (c)成分が、アルケニル基を1分子中に1個とアリール基を1個以上有する有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- (B)成分が、式:[XR4 2SiO−SiO3/2]a[R5 3SiO−SiO3/2]b
{a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;R4は、アルキル基またはアリール基;R5は、アルケニル基、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基、Xは、下記一般式(1)あるいは一般式(2)のいずれかの構造を有し、Xが複数ある場合は一般式(1)あるいは一般式(2)の構造が異なっていても良くまた一般式(1)あるいは一般式(2)の構造が混在していても良い。
−[CH2]l−R6 (3)
(lは2以上の整数;R6は有機ケイ素化合物を含有する基);R6は、アルキル基またはアリール基}を構成単位とする多面体構造ポリシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。 - R6がアリール基を1個以上有することを特徴とする請求項14に記載の硬化性組成物。
- ヒドロシリル化触媒を含有することを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 硬化遅延剤を含有することを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 分散剤を含有することを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 蛍光体を含有することを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 請求項20の硬化性組成物より得られた硬化物。
- 請求項20の硬化性組成物より得られた半導体発光装置。
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