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JP6237562B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は,着用者の股下に配置され,尿などの液体を吸収し保持するための吸収性物品に関する。
従来から,使い捨ておむつ,尿取りパッド,吸収パッド,又は生理用ナプキンなどのように,排泄された体液を吸収保持することを目的として,着用者の股下に装着される吸収性物品が知られている。一般的な吸収性物品は,液透過性のトップシートと液不透過性のバックシートとの間に吸収体を配置して構成された吸収性本体を有している。また,一般的な吸収性物品は,吸収性本体の左右両側に,着用者の肌に当接する方向に向かって立ち上がる一対の立体ギャザーが形成されている(特許文献1〜3等)。
一対の立体ギャザーは,吸収体の左右両側において起立するものであり,尿漏れを防ぐための防漏壁として機能する。立体ギャザーは,一般的に,トップシート上にサイドシートを重ねて接合し,このサイドシートの内側端部に弾性伸縮部材(糸ゴムなど)を伸長状態で固定することにより形成される。弾性伸縮部材が収縮すると,サイドシートの内側端部が弾性伸縮部材の収縮力によって立ち上がるとともに,弾性伸縮部材が収縮した部位に皺(ギャザー)が形成される。これにより,サイドシートが立体ギャザーとなる。
また,従来の吸収性物品は,一般的に,弾性伸縮部材がサイドシートの長手方向のほぼ全域に亘って固定されている。このため,サイドシートのほぼ全域に亘って皺が形成されることとなる。このように,従来の吸収性物品は,サイドシートの広い範囲に皺を形成することによって,立体ギャザーの肌触りを良くしようとしていた。
特開平10−243960号公報 特開2007−000339号公報 特開2013−123447号公報
しかしながら,立体ギャザーを形成するサイドシートは,不織布などの柔らかいシート部材で構成されているのに対し,立体ギャザー用の弾性伸縮部材は,糸ゴムなどのような比較的肌触りの硬い伸縮部材で構成されている。このため,立体ギャザーを形成すると,比較的肌触りの硬い弾性伸縮部材が,ほぼ直接的に着用者の肌に触れることとなる。また,立体ギャザー用の弾性伸縮部材は,着用者が吸収性物品を装着している間,着用者の肌に常に触れ続ける。さらに,着用者が歩行や寝返りなどの動作を行うと,立体ギャザー用の弾性伸縮部材が着用者の肌に擦れることもある。このため,従来の吸収性物品のように,弾性伸縮部材がサイドシートの長手方向のほぼ全域に亘って固定されたものであると,長時間吸収性物品を使用する着用者に対して,弾性伸縮部材の硬さに起因した不快感を与えるおそれがあった。
また,左右一対の立体ギャザーは,サイドシートの先端に固定された弾性伸縮部材の収縮力を利用して起立するものである。このため,一般的な立体ギャザーは,サイドシートが弾性伸縮部材によって引っ張られるようにして,幅方向内側に傾倒するように起立する。しかしながら,弾性伸縮部材によって引っ張られている状態において,この左右のサイドシートは,柔軟に幅方向外側に向かって開いたり,自由に伸び縮みすることができない。このため,従来の吸収性物品は,例えば,左右のサイドシートの間に便などの固形物が排泄された場合であっても,固形物をサイドシートの間に収容し続けておくことが難しいとされていた。
このため,現在では,肌触りが良く,便などの固形物を収容しやすい立体ギャザーを備えた吸収性物品が求められている。
そこで,本発明の発明者は,従来発明の問題の解決手段について鋭意検討した結果,立体ギャザーのうち,少なくとも股下部の中央に,弾性伸縮部材による伸縮性が付与されていない中央非伸縮部を形成することとした。このように,立体ギャザーに中央非伸縮部を形成することにより,この中央非伸縮部の肌触りが良くなるため,吸収性物品の装着感を向上させることができる。また,中央非伸縮部においては,サイドシートが弾性伸縮部材によって引っ張られないため,自由に展開したり伸び縮みするようになる。これにより,中央非伸縮部に,便などの固形物を収容可能な空間(ポケット)が形成されるようになり,このような固形物を長時間安定的に留めておくことができる。そして,本発明者は,上記知見に基づけば,従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。具体的に説明すると,本発明は以下の構成を有する。
本発明は,使い捨ておむつなどの吸収性物品に関する。
本発明の吸収性物品は,吸収性本体10と,左右一対のサイドシート20と,を備える。吸収性本体10は,着用者の腹部に接する前身頃1,着用者の背部に接する後身頃2,及びこれらの間に位置する股下部3に,長手方向に区分されている。また,一対のサイドシート20は,吸収性本体10の肌対向面側において,吸収性本体10の幅方向の左右両側に配設されるシート部材である。
一対のサイドシート20は,接合線21と,接合領域22と,起立領域23と,を有する。接合線21は,吸収性本体10の長手方向に沿って延びる線であり,接合領域22と起立領域23との境界線に相当する。接合領域22は,接合線21よりも幅方向の外側において,吸収性本体10の肌対向面に接合された領域である。起立領域23は,接合線21よりも幅方向の内側の領域である。
起立領域23は,接合部分23a,23bと,自由部分23cと,を有している。接合部分23a,23bは,長手方向の前後両端側において,吸収性本体10の肌対向面に接合された部分である。自由部分23cは,接合部分23a,23bの長手方向の間に位置し,吸収性本体10の肌対向面に接合されていない部分である。
この自由部分23cが吸収性本体10から離れて起立することにより,立体ギャザーが形成される。
ここで,自由部分23cは,前側伸縮部30と,後側伸縮部40と,中央非伸縮部50と,を有する。前側伸縮部30は,長手方向に沿った伸長状態で前側立体ギャザー伸縮部材31が固定されていることにより伸縮性が付与された領域であって,前身頃1寄りに位置する。また,後側伸縮部40は,長手方向に沿った伸長状態で後側立体ギャザー伸縮部材41が固定されていることにより伸縮性が付与された領域であって,後身頃2寄りに位置する。つまり,相対的にみて,前側伸縮部30は,後側伸縮部40よりも前身頃1寄りに位置し,後側伸縮部40は,前側伸縮部30よりも後身頃2寄りに位置している。そして,前側伸縮部30と後側伸縮部40との間には,伸縮性が付与されていない中央非伸縮部50が形成されている。
上記構成のように,前側立体ギャザー伸縮部材31と後側立体ギャザー伸縮部材41によって,前側伸縮部30と後側伸縮部40を形成することで,これら伸縮部材31,41の収縮力を利用してサイドシート20の自由部分23cを起立させることができる。これにより,立体ギャザーが形成される。他方,本発明では,前側伸縮部30と後側伸縮部40の間に伸縮性のない中央非伸縮部50を形成する。中央非伸縮部50は,吸収性物品の股下部3に形成される。この中央非伸縮部50には,例えば糸ゴムなどの弾性伸縮部材が存在しないため,不織布などで形成されたサイドシート20の柔らかさが,着用者に伝わる。このため,中央非伸縮部50は肌触りが良く,長時間着用者の肌に触れていても不快感を与えにくい。よって,吸収性物品の着用感が向上する。さらに,中央非伸縮部50には弾性伸縮部材による張力が付加されていないため,この中央非伸縮部50において,サイドシート20は,自由に幅方向の外側に向かって膨らんだり広がったりすることができる。これにより,中央非伸縮部50に,便などの固形物を収容可能な空間(ポケット)が形成され,このような固形物を長時間安定的に留めておくことができる。さらに,中央非伸縮部50の前後に前側伸縮部30と後側伸縮部40を設けることで,便などの固形物が漏出しやすい箇所にギャザーを集中させることができるため,効率的に横漏れを防止することができる。また,前側伸縮部30と後側伸縮部40を設けておくことで,中央非伸縮部50に相当するサイドシート20が伸縮可能(拡張可能)な面積が大きくなる。さらに,前側伸縮部30と後側伸縮部40の間に中央非伸縮部50が位置することで,この長手方向の中央に相当する中央非伸縮部50において,吸収性物品が真っ直ぐに伸びやすくなる。このため,吸収性物品の立体形状を整えることができ,吸収性物品の外観が良くなり,また,吸収性物品を着用しやすくなる。
本発明の吸収性物品において,自由部分23cは,さらに,前側非伸縮部60と後側非伸縮部70を有することが好ましい。前側非伸縮部60は,長手方向の前端側の接合部分23aと前側伸縮部30との間に位置する,伸縮性が付与されていない領域である。また,後側非伸縮部70は,長手方向の後端側の接合部分23bと後側伸縮部40との間に位置する,伸縮性が付与されていない領域である。
上記構成のように,前側非伸縮部60と後側非伸縮部70をさらに形成することで,弾性伸縮部材などの存在しない領域がさらに広くなる。このため,立体ギャザーの全体が長時間着用者の肌に触れていても,この着用者に対しても不快感を与えにくくなる。これにより,吸収性物品の着用感がさらに向上する。また,前側非伸縮部60と後側非伸縮部70をさらに形成することで,上述した横漏れ防止効果や,立体形状の整形効果がさらに高まる。
本発明の吸収性物品において,中央非伸縮部50,前側非伸縮部60,及び後側非伸縮部70の長さの合計値(NL)は,前側伸縮部30及び後側伸縮部40の長さの合計値(EL)よりも長いことが好ましい。
非伸縮部50,60,70の合計長さ(NL)が短いと,上述した本発明の効果が効率よく発揮されないおそれがある。この点,少なくとも,非伸縮部50,60,70の合計長さ(NL)を,伸縮部30,40の合計長さ(EL)よりも長くすることで,本発明の効果が十分に発揮される。
本発明の吸収性物品は,さらに,一又は複数のレッグギャザー伸縮部材81を有することが好ましい。レッグギャザー伸縮部材81は,サイドシート20の接合領域22に対し,長手方向に沿った伸長状態で固定された伸縮部材である。レッグギャザー伸縮部材81は,少なくとも,前側非伸縮部60に相当する位置から後側非伸縮部70に相当する位置まで配置されていることが好ましい。
上記構成のように,レッグギャザー伸縮部材81を設けることで,着用者の脚周りにもギャザーが形成されるようになり,着用者の脚周りに対する吸収性物品のフィット性が向上する。また,本発明では,中央非伸縮部50,前側非伸縮部60,及び後側非伸縮部70といった弾性伸縮部材が配置されていない部位が存在するため,これらの部位において吸収性物品のフィット性が,一般的な従来の吸収性物品のフィット性と比べて低下することも懸念される。この点,本発明では,レッグギャザー伸縮部材81を設けることにより,吸収性物品のフィット性を維持することができる。
本発明の吸収性物品は,さらに,一又は複数の中央補強用伸縮部材82を有することが好ましい。中央補強用伸縮部材82は,レッグギャザー伸縮部材81と接合線21との間において,長手方向に沿った伸長状態で固定されている。さらに,この中央補強用伸縮部材82は,中央非伸縮部50に相当する長さ範囲内に配置されている。
上記構成のように,中央非伸縮部50に相当する長さ範囲内にのみ,中央補強用伸縮部材82を設けることで,中央非伸縮部50におけるフィット性を高めることができる。さらに,中央補強用伸縮部材82を設けることで,サイドシート20の中央非伸縮部50の底部付近が伸縮力の作用によってつぼめられるため,便などの固形物を収容するための空間(ポケット)が形成されやすくなる。これにより,効率的に固形物を留めておくことができる。また,中央補強用伸縮部材82を,弾性伸縮部材が存在する前側伸縮部30や後側伸縮部40に相当する範囲にまで設けると,弾性伸縮部材による圧迫力が強くなり過ぎてしまい,却って吸収性物品の着用感が低下するおそれがある。このため,中央補強用伸縮部材82は,中央非伸縮部50に相当する長さ範囲内にのみ存在することが好ましい。
本発明の吸収性物品は,さらに,一又は複数の前側補強用伸縮部材83と,一又は複数の後側補強用伸縮部材84と,を有することが好ましい。前側補強用伸縮部材83と後側補強用伸縮部材84は,レッグギャザー伸縮部材81と接合線21との間において,長手方向に沿った伸長状態で固定された伸縮部材である。前側補強用伸縮部材83は,前側非伸縮部60に相当する長さ範囲内に配置されていることが好ましく,後側補強用伸縮部材84は,後側非伸縮部70に相当する長さ範囲内に配置されていることが好ましい。
上記構成のように,前側非伸縮部60及び後側非伸縮部70に相当する長さ範囲内にのみ,それぞれ前側補強用伸縮部材83及び後側補強用伸縮部材84を設けることで,これらの前側非伸縮部60及び後側非伸縮部70におけるフィット性を高めることができる。なお,前側補強用伸縮部材83及び後側補強用伸縮部材84は,中央補強用伸縮部材82と併用することも可能である。
本発明の吸収性物品において,前側伸縮部30は,長手方向の前端側の接合部分23aに達するように形成されており,且つ,後側伸縮部40は,長手方向の後端側の接合部分23bに達するように形成されていることとしてもよい。つまり,本発明の吸収性物品は,上述した前側非伸縮部60と後側非伸縮部70とを省略することもできる。
上記構成のように,中央非伸縮部50を残しつつ,前側非伸縮部60と後側非伸縮部70とを省略することで,前身頃1及び後身頃2側のフィット性を高めることができる。
本発明によれば,肌触りが良く,便などの固形物を収容しやすい立体ギャザーを備えた吸収性物品を提供することができる。
図1は,本発明に係る吸収性物品の第1の実施形態を示した斜視図である。 図2は,本発明に係る吸収性物品の第1の実施形態を示した平面図である。 図3は,吸収性物品の断面図である。図3(a)は,図2のA−A線における断面図を示しており,図3(b)は,図2のB−B線における断面図を示している。 図4は,本発明に係る吸収性物品の第2の実施形態を示した平面図である。 図5は,本発明に係る吸収性物品の第3の実施形態を示した平面図である。 図6は,本発明に係る吸収性物品の第4の実施形態を示した平面図である。
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
本願明細書において,「長手方向」とは,吸収性物品の前身頃と後身頃とを結ぶ方向を意味する。また,「幅方向」とは,長手方向に平面的に直交する方向を意味する。本願の図において,「長手方向」はY軸で示され,「幅方向」はX軸で示されている。
本願明細書において,「肌対向面」とは,吸収性物品の着用時において,着用者の肌に向かい合う面を意味する。また,「肌非対向面」とは,吸収性物品の着用時において,着用者の肌に向かい合わない面,すなわち肌対向面の反対側の面を意味する。
本願明細書において,「A〜B」とは,「A以上B以下」であることを意味する。
図1は,本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品を示している。図1に示された例において,吸収性物品は,テープ型の使い捨ておむつである。図1に示されるように,テープ型の使い捨ておむつは,後身頃の両側部に取り付けられたファスニングテープを前身頃に止め付けることにより装着されるタイプの使い捨ておむつである。以下では,テープ型の使い捨ておむつを例に挙げて,本発明の吸収性物品について詳しく説明する。ただし,本発明は,テープ型の使い捨ておむつに限定されるものではない。例えば,本発明は,パンツ型の使い捨ておむつや,尿取りパッド,吸収パッド,又は生理用ナプキンなどのように,排泄された体液を吸収保持することを目的として,着用者の股下に装着される吸収性物品に広く適用することができる。
[1.第1の実施形態]
まず,図1から図3を参照して,本発明の吸収性物品100の第1の実施形態について説明する。図1は,第1の実施形態の係る吸収性物品100を示した斜視図であり,図2は,第1の実施形態に係る吸収性物品100を示した展開図である。また,図3(a)は,図2のA−A線における断面図を示しており,図3(b)は,図2のB−B線における断面図を示している。
図1及び図2に示されるように,吸収性物品100は,長手方向において,着用者の腹部に接する前身頃1と,着用者の背部に接する後身頃2と,前身頃1と後身頃2の間に位置し着用者の股下に接する股下部3とに区分される。また,図3の断面図に示されるように,吸収性物品100は,吸収性本体10と,左右一対のサイドシート20と,を備えている。吸収性本体10は,トップシート11と,バックシート12と,これらのシート11,12の間に介在する吸収体13とを含む。また,一対のサイドシート20により,吸収性本体10の幅方向左右両側に,一対の立体ギャザーが形成される。なお,図3では,吸収性物品の構造を分り易くするために各シート部材に厚みを持たせているが,実際の各シート部材は極めて薄いシート状の部材である。
まず,吸収性本体10の基本構成について説明する。吸収性本体10を構成するトップシート11は,着用者の股下部の肌に直接接し,尿などの液体を吸収体13へ透過させるための部材である。このため,トップシート11は,柔軟性が高い液透過性材料で構成される。また,トップシート11は,吸収体13の肌対向面を被覆するように配置される。トップシート11を構成する液透過性材料の例は,織布,不織布,又は多孔性フィルムである。また,トップシート11としては,例えばポリプロピレンやポリエチレン,ポリエステル,ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。
バックシート12は,トップシート11を透過して吸収体13に吸収された液体が,おむつの外側へ漏出することを防止するための部材である。このため,バックシート12は,液不透過性材料によって構成される。また,バックシート12は,吸収体13の底面からの液漏れを防止するため,吸収体13の肌非対向面を被覆している。また,図3に示されるように,バックシート12は,トップシート11よりも幅広に形成されており,バックシート12の左右両端部は,トップシート11の左右両側縁よりも外側に延出していることが好ましい。バックシート12を構成する不透過材料の例は,ポリエチレン樹脂からなる液不透過性のフィルムである。特に,バックシート12としては,液不透過性を維持しつつ通気性を確保するために,0.1〜4μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。
吸収体13は,尿などの液体を吸収し,吸収した液体を保持するための部材である。吸収体13は,液透過性のトップシート11と,液不透過性のバックシート12の間に配置される。吸収体13は,公知の吸収性材料により構成することができる。吸収性材料としては,例えば,フラッフパルプ,高吸水性ポリマー,又は親水性シートを用いることとしてもよい。また,吸収性材料には,フラッフパルプ,高吸水性ポリマー,又は親水性シートのうち1種類を単独で用いてもよいし,2種類以上を併用することとしてもよい。吸収性材料は,通常,単層又は複数層のマット状に形成して用いられる。図1〜図3に示されるように,吸収体13の周囲においては,トップシート11とバックシート12が互いに接合されている。これにより,吸収体13は,トップシート11とバックシート12の接合部によって周囲を囲われたものとなる。
続いて,立体ギャザーを形成するための構造について詳しく説明する。図1〜図3に示されるように,吸収性本体10の肌対向面側の幅方向左右両側には,長手方向の全体に亘って,一対のサイドシート20が重ね合わされている。一対のサイドシート20は,吸収体13の両側縁に沿って起立して,尿の横漏れを防止する立体ギャザーを形成するためのシート部材である。例えば,サイドシート20を構成するシート部材としては,撥水性と通気性を有するシート部材を採用することが好ましい。サイドシート20としては,例えば,カードエンボスやスパンボンド等の製法により得られた不織布シートを使用することができ,特に防水性及び通気性が高いSMSやSMMS等の不織布シートを用いることが好ましい。
図2及び図3に示されるように,一対のサイドシート20は,それぞれ,接合線21と,接合領域22と,起立領域23とからなる。サイドシート20の接合線21は,長手方向に沿って真っ直ぐに延びた直線状に形成されており,接合領域22と起立領域23の間の境界線となっている。また,図3に示されるように,サイドシート20の接合線21は,トップシート11の肌対向面上に形成されていることが好ましい。
サイドシート20の接合領域22は,接合線21よりも幅方向の外側に位置する領域である。この接合領域22において,サイドシート20は,吸収性本体10の肌対向面上に全面的に接合されている。図3に示されるように,接合領域22において,サイドシート20は,トップシート11の肌対向面上に接合されていることが好ましい。また,図3に示されるように,バックシート12の左右両端部がトップシート11から延出している場合,サイドシート20は,接合領域22において,バックシート12の肌対向面上にも接合されていることが好ましい。このように,サイドシート20を,トップシート11とバックシート12の両方に対して接合することで,サイドシート20が吸収性本体10から剥がれにくくなる。
サイドシート20の起立領域23は,接合線21よりも幅方向の内側に位置する領域である。この起立領域23は,長手方向に見て,長手方向の前後両端側に位置する接合部分23a,23bと,これらの接合部分23a,23bの間に位置する自由部分23cとに区分されている。前後両端の接合部分23a,23bにおいて,サイドシート20は,吸収性本体10(トップシート11)の肌対向面上に接合されている。なお,図2においては,接合部分23a,23bを分かりやすく示すために,概念的に,この接合部分23a,23bに網掛けを施して示している。他方,接合部分23a,23bの間に位置する自由部分23cにおいて,サイドシート20は,吸収性本体10の肌対向面上に接合されていない。このため,サイドシート20は,起立領域23の自由部分23cにおいて,吸収性本体10から離れており,自由に立ち上がることができるようになっている。起立領域23の自由部分23cは,立体ギャザーを形成する部分となる。このため,起立領域23の自由部分23cは,長手方向に見て,少なくとも股下部3の全体に亘っており,前身頃1及び後身頃2に到達する長さで形成されていることが好ましい。
なお,上述したサイドシート20の接合領域22や,起立領域23の接合部分23a,23bにおけるシートの接合には,例えば,公知のホットメルト接着剤などを利用することができる。
また,図3に示されるように,サイドシート20の起立領域23は,幅方向内側の端縁が折り返されて,シート部材が2重に重なった折返部24を有することが好ましい。サイドシート20の折返部24は,サイドシート20の長手方向全体に亘って形成されている。折返部24は,図3に示されるように,サイドシート20の内側端縁を,幅方向の内側に向かって折り返すようにして形成されたものであってもよい。また,図示は省略するが,折返部24は,サイドシート20の内側端縁を,幅方向の外側に向かって折り返すようにして形成されたものであってもよい。図1,図2,及び図3(a)に示されるように,このサイドシート20の折返部24には,一又は複数の立体ギャザー伸縮部材31,41を挟み込んで固定することができる。
図1及び図2に示されるように,本発明において,一対のサイドシート20の起立領域23の自由部分23cには,それぞれ,一又は複数の前側立体ギャザー伸縮部材31と,一又は複数の後側立体ギャザー伸縮部材41とが取り付けられている。前側立体ギャザー伸縮部材31は,後側立体ギャザー伸縮部材41と比べて,前身頃1側寄りに設けられており,後側立体ギャザー伸縮部材41は,前側立体ギャザー伸縮部材31と比べて,後身頃2側寄りに設けられている。前側立体ギャザー伸縮部材31と後側立体ギャザー伸縮部材41は,それぞれ,1本,2本,又は3本以上設けることが可能である。
また,前側立体ギャザー伸縮部材31と後側立体ギャザー伸縮部材41は,それぞれ,長手方向に沿った伸長状態で,サイドシート20の自由部分23cに固定されている。具体的には,前側立体ギャザー伸縮部材31と後側立体ギャザー伸縮部材41は,サイドシート20の自由部分23cに形成された折返部24に挟み込んで固定されていることが好ましい。このようにして,各立体ギャザー伸縮部材31,41が伸長状態で固定されていることで,これらの立体ギャザー伸縮部材31,41が収縮したときに,サイドシート20の自由部分23cが長手方向に縮まる。これにより,サイドシート20の自由部分23cが,各立体ギャザー伸縮部材31,41の収縮力を利用して,吸収性本体10の肌対向面から離れるように起立する。従って,サイドシート20の自由部分23cによって,着用者の肌の方向に向かって起立する立体ギャザーが形成されることとなる。なお,各立体ギャザー伸縮部材31,41をサイドシート20に固定するときには,各立体ギャザー伸縮部材31,41に直接接着剤を塗布して,引き伸ばされた状態のままで,サイドシート20に固定すればよい。また,サイドシート20に接着剤を塗布した後,引き伸ばされた状態の各立体ギャザー伸縮部材31,41をサイドシート20に取り付けることとしてもよい。
このように,前側立体ギャザー伸縮部材31と後側立体ギャザー伸縮部材41を伸長状態でサイドシート20の自由部分23cに固定することで,この自由部分23cには,それぞれ,前側伸縮部30と後側伸縮部40とが形成される。つまり,前側伸縮部30は,前側立体ギャザー伸縮部材31によって伸縮性が付与された部分であり,後側伸縮部40は,後側立体ギャザー伸縮部材41によって伸縮性が付与された部分である。前側伸縮部30と後側伸縮部40においては,サイドシート20が縮まることで,サイドシート20に皺(ギャザー)が形成される。
ここで,本発明において,前側伸縮部30(前側立体ギャザー伸縮部材31)と後側伸縮部40(後側立体ギャザー伸縮部材41)の間には,長手方向に沿って,間隔が設けられている。この間隔は,サイドシート20の自由部分23cに,伸縮性が付与されていない中央非伸縮部50を形成する。このように,本発明の吸収性物品100では,前側伸縮部30と後側伸縮部40との間に,伸縮性が付与されていない中央非伸縮部50が形成されている。中央非伸縮部50は,少なくとも,サイドシート20の長手方向の中央(吸収性物品100を長手方向に二分する中心線B−B)を含む領域であることが好ましい。
本発明において,中央非伸縮部50を形成する方法は特に限定されない。以下に,中央非伸縮部50を形成する方法の例を説明する。まず,単純に,前側立体ギャザー伸縮部材31と後側立体ギャザー伸縮部材41とを,長手方向に間隔を空けて,別々に取り付ける方法が考えられる。これにより,各立体ギャザー伸縮部材31,41の間に,中央非伸縮部50が形成される。
また,他の方法として,前側立体ギャザー伸縮部材31と後側立体ギャザー伸縮部材41は,もともと繋がっていた同じ伸縮部材から形成することもできる。すなわち,伸縮部材をサイドシート20の自由部分23cに対して,長手方向に延びた伸縮部材を,接着部と非接着部とが交互に連続するように間欠的に固定する。例えば,伸縮部材に対して接着剤を間欠的に塗布してもよいし,サイドシート20に対して接着剤を間欠的に塗布してもよい。このようにして,サイドシート20の自由部分23cに伸縮部材を間欠的に接着した後,非接着部において,伸縮部材のみを切断する。すると,この伸縮部材が部分的に収縮して,非接着部には存在しなくなり,接着部にのみ存在するようになる。この接着部に残った伸縮部材が,前側立体ギャザー伸縮部材31と後側立体ギャザー伸縮部材41に相当する。また,接着部の間に位置する非接着部が,中央非伸縮部50に相当する。このようにして,前側伸縮部30と後側伸縮部40の間に,伸縮性が付与されていない中央非伸縮部50を形成することができる。
さらに別の方法も考えられる。まず,伸縮部材をサイドシート20の自由部分23cに対して,長手方向に延びた伸縮部材を連続的(全体的)に接着する。このようにして,サイドシート20の自由部分23cに伸縮部材を連続的に接着した後,ある区間において,伸縮部材のみを細かく切断する。すると,伸縮部材が細かく切断された区間において,伸縮部材による伸縮性が解除される。この伸縮性が解除された領域が,中央非伸縮部50に相当する。また,中央非伸縮部50の前後に残った伸縮部材が,前側立体ギャザー伸縮部材31と後側立体ギャザー伸縮部材41に相当する。このようにして,前側伸縮部30と後側伸縮部40の間に,伸縮部材による伸縮性が付与されていない中央非伸縮部50を形成することもできる。
また,前側立体ギャザー伸縮部材31と後側立体ギャザー伸縮部材41をサイドシート20に固定するときの伸長率は,例えば,260%〜410%,280%〜370%,又は310%〜340%程度であることが好ましい。ここにいう「伸長率」とは,収縮状態(自然状態)の弾性伸縮部材の長さを100%として,伸長状態の弾性伸縮部材の長さの増加分を示した割合であり,例えば,長さ10cmのものを20cmに伸長すると,その伸長率は200%とされる。
図3(a)は,図2におけるA−A線の断面図であり,図3(b)は,図2におけるB−B線の断面図である。すなわち,図3(a)は,前側伸縮部30(又は後側伸縮部40)に相当する部位における吸収性物品100の断面図を示しており,図3(b)は,中央非伸縮部50に相当する部位における吸収性物品100の断面図を示している。図1に示されるように,前側伸縮部30には前側立体ギャザー伸縮部材31が存在しているため,前側立体ギャザー伸縮部材31によって引っ張られるようにして,サイドシート20の自由部分23cが起立している。このため,この前側伸縮部30において,サイドシート20は,内側に傾倒するように起立することが多い。このようにして,前側伸縮部30及び後側伸縮部40が存在することにより,サイドシート20が立体ギャザーとして機能する。
他方で,中央非伸縮部50には伸縮性が付与されていないため,サイドシート20の自由部分23cは起立しているものの,伸縮部材等によっては引っ張られていない。このため,図3(b)に示されるように,中央非伸縮部50においては,サイドシート20の自由部分23cが,幅方向外側に向かって展開することも可能となっている。このように,中央非伸縮部50において,サイドシート20は,伸縮部材の状態に依存せず,自由に幅方向の外側に向かって膨らんだり広がったりすることができる。これにより,中央非伸縮部50において,サイドシート20は,例えば,便などの固形物を収容可能な空間(ポケット)を形成することができる。従って,便などが排泄されやすい股下部3の中央付近に,中央非伸縮部50を形成して,サイドシート20によってポケットを形成することで,排泄された便を長時間安定的に留めておくことができる。特に,図3に示されるように,サイドシート20の根元付近(接合線21付近)が,幅方向外側に膨らみやすいため,この根元付近に便などの固形物を安定的に収容することが可能となる。
また,図2に示されるように,サイドシート20の自由部分23cには,前側伸縮部30よりも前端部側と後側伸縮部40よりも後端部側に,さらに,伸縮性が付与されていない領域が存在する。すなわち,まず,前端側の接合部分23aと前側伸縮部30との間に,伸縮性が付与されていない前側非伸縮部60が存在する。また,後端側の接合部分23bと後側伸縮部40との間に,伸縮性が付与されていない後側非伸縮部70が存在する。前側非伸縮部60と後側非伸縮部70は,それぞれ,上述した中央非伸縮部50を形成する方法と同様の方法にて形成すればよい。
ここで,前側伸縮部30の長さをELとし,後側伸縮部40の長さをELとする。また,中央非伸縮部50の長さをNLとし,前側非伸縮部60の長さをNLとし,後側非伸縮部70の長さをNLとする。この場合に,中央非伸縮部50の長さNLと前側非伸縮部60の長さNLと後側非伸縮部70の長さNLの合計値NLは,前側伸縮部30の長さELと後側伸縮部40の長さELの合計値ELよりも,長いことが好ましい(NL>EL)。例えば,長さNLは,長さELに対して,110%〜400%,120%〜380%,又は150%〜350%であることが好ましい。さらに具体的には,中央非伸縮部50の長さが符号NLは,前側伸縮部30の長さELと後側伸縮部40の長さELの合計値ELよりも,長いことが好ましい(NL>EL)。例えば,長さNLは,長さELに対して,101%〜200%,102%〜180%,又は105%〜150%であることが好ましい。また,中央非伸縮部50の長さNLは,少なくとも,5mm以上であることが好ましく,5〜100mm,又は10〜60mmとすることができる。
このように,本発明では,弾性伸縮部材によって伸縮性が付与された前側伸縮部30と後側伸縮部40の長さを比較的短くし,弾性伸縮部材が存在せず伸縮性が付与されていない中央非伸縮部50,前側非伸縮部60,及び後側非伸縮部70の長さを長くする。接着剤によって固定される弾性伸縮部材は,不織布などのシート部材と比較して肌触りが硬いものである。従って,本発明のように,弾性伸縮部材が存在する領域を,立体ギャザーを形成可能な程度に限定し,その他の領域から弾性伸縮部材を省略することで,立体ギャザーの肌触りを良化している。つまり,中央非伸縮部50,前側非伸縮部60,及び後側非伸縮部70は,弾性伸縮部材が存在しないため,肌触りが良好である。そこで,これらの非伸縮部50,60,70を比較的広く確保することで,立体ギャザー全体の肌触りが良くなり,その結果,吸収性物品100の着用感が向上する。
図1〜図3に示されるように,吸収性物品100は,さらに,レッグギャザー伸縮部材81を備えることが好ましい。レッグギャザー伸縮部材81は,吸収性本体10の幅方向左右両側に,それぞれ一又は複数本設けられる。図2に示されるように,レッグギャザー伸縮部材81は,長手方向に沿った伸長状態で,直線状,湾曲線状,又は屈曲線状に配置される。レッグギャザー伸縮部材81は,股下部3を中心として,前身頃1及び後身頃2にかけて配置されていることが好ましい。このように,レッグギャザー伸縮部材81を設けることで,吸収性物品100が装着された際,着用者の脚周りに相当する部分にレッグギャザーが形成される。レッグギャザーを形成することで,着用者の脚周りと吸収性物品100とのフィット性が向上するため,尿などの液体が脚周りの開口部から漏れ出すことを防止できる。
図2及び図3に示されるように,左右のレッグギャザー伸縮部材81は,それぞれ,サイドシート20の接合領域22において,このサイドシート20と吸収性本体10の間に挟んで固定されていることが好ましい。例えば,図3に示されるように,本実施形態では,トップシート11よりも外側に延出したバックシート12の一部分とサイドシート20との間に,レッグギャザー伸縮部材81が固定されている。このように,接合領域22において,サイドシート20とバックシート12の間に,一又は複数のレッグギャザー伸縮部材81を固定することとしてもよい。また,図示は省略するが,レッグギャザー伸縮部材81は,接合領域22において,サイドシート20とトップシート11の間に固定されていてもよい。
ここで,図2に示されるように,レッグギャザー伸縮部材81は,少なくとも,起立領域23の前側非伸縮部60に相当する位置から後側非伸縮部70に相当する位置まで達するような長さで配置されている。つまり,レッグギャザー伸縮部材81は,接合領域22に固定されるものである。ただし,幅方向に見たときに,レッグギャザー伸縮部材81の前端は,起立領域23の前側非伸縮部60に達しており,レッグギャザー伸縮部材81の後端は,起立領域23の後側非伸縮部70に達している。また,レッグギャザー伸縮部材81は,前端から後端に至るまで連続的に繋がっており,不連続となっている部分(切断された部分)は存在していない。このため,幅方向に見たときに,中央非伸縮部50の側方にも,レッグギャザー伸縮部材81が存在している。
本発明では,上述したように,起立領域23の自由部分23cに,中央非伸縮部50や,前側非伸縮部60,及び後側非伸縮部70を設けることで,立体ギャザーの肌触りを良化し,さらに,立体ギャザー内に固形物を収容しやすくしている。ただし,これらの非伸縮部50,60,70が存在することで,吸収性物品100全体のフィット性が多少低下することが懸念される。そこで,本発明では,上述したように,レッグギャザー伸縮部材81を,前側非伸縮部60に相当する位置から,中央非伸縮部50に相当する位置を通り,後側非伸縮部70に相当する位置まで配置することで,吸収性物品100のフィット性の低下を抑制している。これにより,非伸縮部50,60,70を設けた場合であっても,一般的な吸収性物品と変わらないフィット性を提供することができる。
上記した前側立体ギャザー伸縮部材31や,後側立体ギャザー伸縮部材41,レッグギャザー伸縮部材81には,それぞれ,公知の弾性伸縮部材を用いることができる。例えば,各弾性伸縮部材には,糸状弾性ゴム又は平状弾性ゴムを適用することができる。このようなゴム部材としては,スチレン系ゴム,オレフィン系ゴム,ウレタン系ゴム,エステル系ゴム,ポリウレタン,ポリエチレン,ポリスチレン,スチレンブタジエン,シリコーン,又はポリエステル等の素材を用いることができる。また,各伸縮部材には,例えば熱可塑性エラストマー,プラスチックシート,又はゴムシート等の伸縮性を有する公知の部材を用いることもできる。
[2.第2の実施形態]
続いて,図4を参照して,本発明に係る吸収性物品100の第2の実施形態について説明する。図4は,第2の実施形態に係る吸収性物品100の平面図を示している。図4に示されるように,第2の実施形態に係る吸収性物品100は,左右両側のそれぞれに,一又は複数の中央補強用伸縮部材82をさらに備えている。その他の構成要素について,第2の実施形態に係る吸収性物品100は,図1〜図3に示した第1の実施形態と同様である。
図4に示されるように,中央補強用伸縮部材82は,サイドシート20の接合領域22に配設されている。具体的には,中央補強用伸縮部材82は,接合領域22において,サイドシート20と吸収性本体10の間に固定されることが好ましい。また,中央補強用伸縮部材82は,レッグギャザー伸縮部材81と接合線21との間に位置する。中央補強用伸縮部材82は,レッグギャザー伸縮部材81と接合線21との間において,長手方向に沿った伸長状態で固定されている。
さらに,図4に示されるように,中央補強用伸縮部材82は,中央非伸縮部50に相当する長さ範囲内にのみ配置されている。すなわち,幅方向に見て,中央補強用伸縮部材82の前端と後端は,いずれも,中央非伸縮部50の範囲内に収まっており,この中央非伸縮部50から突出していない。このため,幅方向に見て,中央補強用伸縮部材82の前端と後端は,前側伸縮部30と後側伸縮部40とに重ならないようになっている。
第2の実施形態では,このような中央補強用伸縮部材82を設けることで,中央非伸縮部50における吸収性物品100のフィット性を高めることができる。つまり,本発明では,起立領域23の自由部分23cに,中央非伸縮部50を設けることで,立体ギャザーの肌触りを良化し,さらに,立体ギャザー内に固形物を収容しやすくしている。ただし,これらの中央非伸縮部50が存在することで,吸収性物品100のフィット性が多少低下することが懸念される。そこで,上述したレッグギャザー伸縮部材81に加えて,さらに,中央非伸縮部50に相当する長さ範囲内に中央補強用伸縮部材82を設けることで,吸収性物品100のフィット性を補強することができる。なお,中央補強用伸縮部材82を,前側伸縮部30や後側伸縮部40に相当する範囲に設けると,圧迫力が強くなり過ぎてしまい,却って吸収性物品100の着用感が低下するおそれがある。このため,中央補強用伸縮部材82は,中央非伸縮部50に相当する長さ範囲内にのみ存在することが好ましい。
[3.第3の実施形態]
続いて,図5を参照して,本発明に係る吸収性物品100の第3の実施形態について説明する。図5は,第3の実施形態に係る吸収性物品100の平面図を示している。図5に示されるように,第2の実施形態に係る吸収性物品100は,左右両側のそれぞれに,一又は複数の前側補強用伸縮部材83と,一又は複数の後側補強用伸縮部材84とを有している。その他の構成要素について,第3の実施形態に係る吸収性物品100は,図1〜図3に示した第1の実施形態と同様である。
図5に示されるように,前側補強用伸縮部材83と後側補強用伸縮部材84は,サイドシート20の接合領域22に配設されている。具体的には,前側補強用伸縮部材83と後側補強用伸縮部材84は,接合領域22において,サイドシート20と吸収性本体10の間に固定されることが好ましい。また,前側補強用伸縮部材83と後側補強用伸縮部材84は,レッグギャザー伸縮部材81と接合線21との間に位置し,長手方向に沿った伸長状態で固定されている。
さらに,図5に示されるように,前側補強用伸縮部材83は,前側非伸縮部60に相当する長さ範囲内にのみ配置されている。すなわち,幅方向に見て,前側補強用伸縮部材83の前端と後端は,いずれも,前側非伸縮部60の範囲内に収まっており,この前側非伸縮部60から突出していない。このため,幅方向に見て,前側補強用伸縮部材83の前端と後端は,前端側の接合部分23aや前側伸縮部30に重ならないようになっている。同様に,後側補強用伸縮部材84は,後側非伸縮部70に相当する長さ範囲内にのみ配置されている。すなわち,幅方向に見て,後側補強用伸縮部材84の前端と後端は,いずれも,後側非伸縮部70の範囲内に収まっており,この後側非伸縮部70から突出していない。このため,幅方向に見て,後側補強用伸縮部材84の前端と後端は,後端側の接合部分23bや後側伸縮部40に重ならないようになっている。
第3の実施形態では,レッグギャザー伸縮部材81に加えて,このような前側補強用伸縮部材83と後側補強用伸縮部材84を設けることで,前側非伸縮部60及び後側非伸縮部70における吸収性物品100のフィット性を補強することができる。
なお,第2の実施形態では,中央補強用伸縮部材82が設けられた形態を説明し,第3の実施形態では,前側補強用伸縮部材83と後側補強用伸縮部材84が設けられた形態を説明した。ただし,図示は省略するが,本発明の吸収性物品100は,中央補強用伸縮部材82,前側補強用伸縮部材83,及び後側補強用伸縮部材84を同時に備えることも可能である。
[4.第4の実施形態]
続いて,図6を参照して,本発明に係る吸収性物品100の第4の実施形態について説明する。図6は,第4の実施形態に係る吸収性物品100の平面図を示している。図6に示されるように,第4の実施形態に係る吸収性物品100では,前側立体ギャザー伸縮部材31が,前端側の接合部分23aに達しており,後側立体ギャザー伸縮部材41が,後端側の接合部分23bに達している。このため,吸収性物品100は,中央非伸縮部50が形成されているものの,前側非伸縮部60及び後側非伸縮部70が形成されていない。このように,本発明の吸収性物品100は,少なくとも中央非伸縮部50が形成されていればよく,前側非伸縮部60と後側非伸縮部70を省略することも可能である。
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
本発明は,使い捨ておむつ,吸収パッド,又は生理用ナプキンのような吸収性物品に関するものである。従って,本発明は,吸収性物品の製造業において好適に利用しうる。
1…前身頃 2…後身頃
3…股下部 10…吸収性本体
11…トップシート 12…バックシート
13…吸収体 20…サイドシート
21…接合線 22…接合領域
23…起立領域 23a…前端側の接合部分
23b…後端側の接合部分 23c…自由部分
24…折返部 30…前側伸縮部
31…前側立体ギャザー伸縮部材 40…後側伸縮部
41…後側立体ギャザー伸縮部材 50…中央非伸縮部
60…前側非伸縮部 70…後側非伸縮部
81…レッグギャザー伸縮部材 82…中央補強用伸縮部材
83…前側補強用伸縮部材 84…後側補強用伸縮部材
100…吸収性物品

Claims (7)

  1. 着用者の腹部に接する前身頃(1),着用者の背部に接する後身頃(2),及び前記前身頃(1)と前記後身頃(2)の間に位置する股下部(3)に,長手方向に区分された吸収性本体(10)と,
    前記吸収性本体(10)の肌対向面側において,前記吸収性本体(10)の幅方向の左右両側に配設された一対のサイドシート(20)と,を備え
    前記一対のサイドシート(20)は,
    前記長手方向に沿って延びる接合線(21)と,
    前記接合線(21)よりも前記幅方向の外側において,前記吸収性本体(10)の肌対向面に接合された接合領域(22)と,
    前記接合線(21)よりも前記幅方向の内側の起立領域(23)と,を有し,
    前記起立領域(23)は,
    前記長手方向の前後両端側において,前記吸収性本体(10)の肌対向面に接合された接合部分(23a,23b)と,
    前記接合部分(23a,23b)の前記長手方向の間に位置し,前記吸収性本体(10)の肌対向面に接合されていない自由部分(23c)と,を含む
    吸収性物品であって,
    前記自由部分(23c)は,
    前記長手方向に沿った伸長状態で前側立体ギャザー伸縮部材(31)が固定されていることにより伸縮性が付与された,前記前身頃(1)寄りに位置する前側伸縮部(30)と,
    前記長手方向に沿った伸長状態で後側立体ギャザー伸縮部材(41)が固定されていることにより伸縮性が付与された,前記後身頃(2)寄りに位置する後側伸縮部(40)と,
    前記前側伸縮部(30)と前記後側伸縮部(40)との間に位置し,伸縮性が付与されていない中央非伸縮部(50)と,を有する
    吸収性物品。
  2. 前記自由部分(23c)は,
    前記長手方向の前端側の接合部分(23a)と前記前側伸縮部(30)との間に位置し,伸縮性が付与されていない前側非伸縮部(60)と,
    前記長手方向の後端側の接合部分(23b)と前記後側伸縮部(40)との間に位置し,伸縮性が付与されていない後側非伸縮部(70)と,をさらに有する
    請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記中央非伸縮部(50),前記前側非伸縮部(60),及び前記後側非伸縮部(70)の長さの合計値(NL)は,前記前側伸縮部(30)及び前記後側伸縮部(40)の長さの合計値(EL)よりも長い
    請求項2に記載の吸収性物品。
  4. 前記サイドシート(20)の前記接合領域(22)に対し,前記長手方向に沿った伸長状態で固定された一又は複数のレッグギャザー伸縮部材(81)を,さらに有し,
    前記レッグギャザー伸縮部材(81)は,少なくとも,前記前側非伸縮部(60)に相当する位置から前記後側非伸縮部(70)に相当する位置まで配置されている
    請求項2に記載の吸収性物品。
  5. 前記レッグギャザー伸縮部材(81)と前記接合線(21)との間において,前記長手方向に沿った伸長状態で固定された一又は複数の中央補強用伸縮部材(82)を,さらに有し,
    前記中央補強用伸縮部材(82)は,前記中央非伸縮部(50)に相当する長さ範囲内に配置されている
    請求項4に記載の吸収性物品。
  6. 前記レッグギャザー伸縮部材(81)と前記接合線(21)との間において,前記長手方向に沿った伸長状態で固定された一又は複数の前側補強用伸縮部材(83)と,一又は複数の後側補強用伸縮部材(84)とを,さらに有し,
    前記前側補強用伸縮部材(83)は,前記前側非伸縮部(60)に相当する長さ範囲内に配置されており,
    前記後側補強用伸縮部材(84)は,前記後側非伸縮部(70)に相当する長さ範囲内に配置されている
    請求項4又は請求項5に記載の吸収性物品。
  7. 前記前側伸縮部(30)は,前記長手方向の前端側の接合部分(23a)に達するように形成されており,
    前記後側伸縮部(40)は,前記長手方向の後端側の接合部分(23b)に達するように形成されている
    請求項1に記載の吸収性物品。
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