JP6223895B2 - ポリアミド樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
近年、これらの各種部品に関しては、一体化・軽量化などを目的として、金属材料からポリアミド樹脂への代替要求が非常に高まっている。また、靭性、衝撃性、及び耐久性をさらに高める要求が高まっている。その結果、ポリアミド樹脂に要求される性能レベルは一層高くなってきている。
前記固相重合法により所望の高分子量のポリアミド樹脂を得るためには、多大な固相重合時間や熱エネルギーが必要である。また、色調などのポリアミド樹脂の品質を確保するためには、窒素気流下や減圧下での固相重合工程が必要となる。
このように、固相重合法は工程が煩雑であると共に長時間を要するため、より簡便かつ短時間でポリアミド樹脂の高分子量化を行う方法が求められている。
しかしながら、特許文献1に開示されている技術においては、ポリアミド樹脂が高分子量化はするものの、さらなる高分子量化が望まれている。
また、引用文献2に開示されている技術においては、高い高分子量化効果は得られているものの、溶融状態における熱滞留条件下では、ゲル化してしまうという問題を有している。
ポリアミド樹脂1kg当たり、(B)リン酸化合物0.5〜1000mmol、(C)金属化合物0.5〜1000mmol含有し、かつポリアミド樹脂100質量部に対して、(D)強化材10〜250質量部を含有するポリアミド樹脂組成物の製造方法において、
(A)ポリアミド樹脂、(B)リン酸化合物、(C)金属化合物、及び(D)強化材を、所定の順序で添加することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は下記の通りである。
ポリアミド樹脂1kg当たり、(B)リン酸化合物0.5〜1000mmol、(C)
金属化合物0.5〜1000mmol含有し、かつポリアミド樹脂100質量部に対して
、(D)強化材10〜250質量部を含有するポリアミド樹脂組成物の製造方法であって
、
(A)ポリアミド樹脂と(B)リン酸化合物とを混練し、
少なくとも一回の脱揮工程を行った後に、(C)金属化合物と(D)強化材とを、同時
に添加する、ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
〔2〕
一以上の脱揮領域を具備する押出機を用い、
前記(A)ポリアミド樹脂と前記(B)リン酸化合物とを混練して混練物を得、
前記混練物が、前記押出機の少なくとも一の脱揮領域を経た後に、(C)金属化合物と
、(D)強化材とを、同時に添加する、前記〔1〕に記載のポリアミド樹脂組成物の製造
方法。
〔3〕
ポリアミド樹脂組成物中におけるポリアミド樹脂の粘度数が、VN≧160である、前
記〔1〕又は〔2〕に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
〔4〕
前記(B)リン酸化合物が、
オルトリン酸、ピロリン酸、及びメタリン酸からなる群より選ばれる、少なくとも1種
である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
〔5〕
前記(C)金属化合物が、
リチウム化合物、ナトリウム化合物、マグネシウム化合物、カリウム化合物、カルシウ
ム化合物、鉄化合物、銅化合物、及び亜鉛化合物からなる群より選ばれる、少なくとも1
種である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法
。
〔6〕
前記(C)金属化合物が、
金属ハロゲン化物、金属酸化物、金属水酸化物、及び金属炭酸塩からなる群より選ばれ
る、少なくとも1種である、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂
組成物の製造方法。
以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物の製造方法においては、
ポリアミド樹脂1kg当たり、(B)リン酸化合物0.5〜1000mmol、(C)金属化合物0.5〜1000mmol含有し、かつポリアミド樹脂100質量部に対して、(D)強化材10〜250質量部を含有するポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、
(A)ポリアミド樹脂と(B)リン酸化合物とを混練し、
少なくとも一回の脱揮工程を行った後に、(C)金属化合物と(D)強化材とを、同時に添加する。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物の製造方法においては、原料として(A)ポリアミド樹脂(以下、(A)成分、(A)と記載する場合がある。)を用いる。
「ポリアミド樹脂」とは、主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を有する重合体であるポリアミド樹脂を意味する。
なお、本明細書において、ポリアミド樹脂組成物の製造方法に用いる、原料段階の(A)ポリアミド樹脂と、ポリアミド樹脂組成物中に含有されている状態のポリアミド樹脂は、分子量によって明確に区別できる。分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による分子量測定や溶液粘度等により評価することができる。
なお、原料段階の(A)ポリアミド樹脂と、ポリアミド樹脂組成物中に含有されている状態のポリアミド樹脂は、分子量以外の特性、例えば融点、高温結晶化温度のピーク温度等は同様である。原料段階の(A)ポリアミド樹脂とポリアミド樹脂組成物中に含有されている状態のポリアミド樹脂が、分子量が異なることは前記GPCや溶液粘度により分析することができ、その他の特性において同様であることも特性に応じた検証方法を選択することにより確認できる。
(A)ポリアミド樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジアミン及びジカルボン酸の縮合重合で得られるポリアミド樹脂、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド樹脂、アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド樹脂、及びこれらのポリアミド樹脂を構成する2種類以上の単位(単量体)の共重合で得られる共重合物が挙げられる。
(A)ポリアミド樹脂としては、上記ポリアミドの1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ジアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、芳香族ジアミン等が挙げられる。
脂環族カルボン酸の脂環構造の炭素数は、特に限定されないが、得られるポリアミド樹脂の吸水性と結晶化度のバランスの観点から、好ましくは炭素数:3〜10であり、より好ましくは5〜10である。前記脂環族ジカルボン酸の中でも、機械特性の観点から、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましい。
置換基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基、クロロ基及びブロモ基等のハロゲン基、炭素数3〜10のアルキルシリル基、スルホン酸基、及びナトリウム塩などのその塩である基等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。
これらの中でも、靭性の観点から、ε−カプロラクタム、ラウロラクタム等が好ましく、ε−カプロラクタムがより好ましい。
これらの中でも、低吸水性の観点から、12−アミノドデカン酸が好ましい。
これらの中でも、(A)ポリアミド樹脂の熱安定性の観点から、モノカルボン酸及びモノアミンが好ましい。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)ポリアミド樹脂の融点を、200℃以上とすることにより、ポリアミド樹脂組成物の耐熱性が向上する傾向にある。
(A)ポリアミド樹脂の融点を、340℃以下とすることにより、ポリアミド樹脂組成物の溶融加工中の熱分解や劣化をより効果的に抑制できる傾向にある。
(A)ポリアミド樹脂の降温結晶化温度のピーク温度を、220℃以上とすることにより、成形性が一層向上する傾向にある。
なお、示差走査熱量測定(DSC)は、JIS−K7121に準じて、昇温速度20℃/分の条件で行うことができる。
例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量測定や溶液粘度などが挙げられる。具体的に、溶液粘度としては、ISO307(JIS−K6933)に準拠して測定される粘度数[VN]やASTM−D789に準拠して測定されるギ酸相対粘度[RV]がある。ISO307(JIS−K6933)による測定としては、一例として、25℃において96%濃度の硫酸中、ポリアミド樹脂濃度0.5質量%溶液で測定することができる。
VN160mL/g以上にすることで、引張伸びを一層向上することができ、靭性を大きく発揮させることができる。VN350mL/g以下にすることで、押出機の吐出量を適当な範囲にすることができる。
さらに好ましくは、VN175mL/g以上310mL/g以下(RV(PA66):69以上306以下)であり、さらにより好ましくはVN180mL/g以上290mL/g以下(RV(PA66):72以上245以下)であり、よりさらに好ましくは、VN190mL/g以上270mL/g以下(RV(PA66):81以上197以下)であり、さらにより一層好ましくは、200mL/g以上250mL/g以下(RV(PA66):90以上157以下)である。
原料としての(A)ポリアミド樹脂の製造方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、以下の種々の方法が挙げられる
2)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーと取り出す方法(「プレポリマー法」);
3)熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(「熱溶融重合・固相重合法」);
4)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーをさらにニーダーなどの押出機で再び溶融して、その重合度を上昇させる方法(「プレポリマー・押出重合法」);
5)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーをさらにポリアミドの融点以下の温度で固体状態を維持して、その重合度を上昇させる方法(「プレポリマー・固相重合法」);
6)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物を、固体状態を維持したまま重合させる方法(「モノマー・固相重合法」);
7)「ジカルボン酸及びジアミンの塩」又はその混合物を、固体状態を維持したまま重合させる方法(「塩・固相重合法」);
8)ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド及びジアミンを用いて重合させる方法(「溶液法」)。
重合装置としては、特に限定されず、公知の装置(例えば、オートクレーブ型反応器、タンブラー型反応器、ニーダー等の押出機型反応器等)を用いることもできる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物の製造方法においては、(B)リン酸化合物(以下、(B)成分、(B)と記載する場合がある。)を用いる。
(B)リン酸化合物としては、(A)ポリアミド樹脂の高分子化能力を持つものであればよく、例えば、リンのオキソ酸でH3PO4で示されるオルトリン酸、H4P2O7で示されるピロリン酸(二リン酸)、(HPO3)nで示されるメタリン酸(ポリリン酸)や、それらのリン酸誘導体で高分子量化能力を持つものが挙げられる。
前記リン酸誘導体とは、H3PO4などの1つ以上のHが有機置換基(特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ラウリル基、トリデシル基、ステアリル基、及びオレイル基などの脂肪族基、フェニル基及びビフェニル基などの芳香族基が挙げられる。)によって置換されたリン酸エステルや、塩基との塩であるリン酸アミン塩(リン酸アンモニウム塩、リン酸ジアミン塩等含む)が挙げられる。上記(B)リン酸化合物は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
最終的に得られるポリアミド樹脂組成物において、(B)リン酸化合物が上記の範囲で含有されていると、本実施形態の製造方法において得られるポリアミド樹脂組成物において、ポリアミド樹脂の高分子量化が十分に達成でき、実用上十分な引張強度を保持しつつ、引張伸びを向上させることができる。
なお、ポリアミド樹脂組成物中の(B)リン酸化合物の含有量が、ポリアミド樹脂1kg当り、0.5mmol以上である場合、ポリアミド樹脂の高分子量化が十分に得られ、引張伸びの向上効果が得られる。
一方で、ポリアミド樹脂組成物中の(B)リン酸化合物の含有量が、ポリアミド樹脂1kg当り1000mmol以下であると、ポリアミド樹脂組成物の製造工程において、原料として用いた(A)ポリアミド樹脂の過度な高分子量化を抑制でき、押出機の負荷を軽減でき、ゲル化や物性の低下を防止できる。
ポリアミド樹脂組成物中の(B)リン酸化合物の含有量は、ポリアミド樹脂1kg当り1〜500mmolであることが好ましく、より好ましくは2〜300mmolであり、さらに好ましくは3〜100mmolであり、さらにより好ましくは4〜50mmolであり、よりさらに好ましくは5〜20mmolである。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物の製造方法においては、(C)金属化合物(以下、(C)成分、(C)と記載する場合がある。)を用いる。
(C)金属化合物としては、前記(B)成分を失活する機能を有するものであればよく、リチウム化合物、ナトリウム化合物、マグネシウム化合物、カリウム化合物、カルシウム化合物、鉄化合物、銅化合物、亜鉛化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
(C)金属化合物としては、金属ハロゲン化物、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、以下に限定されるものではないが、例えば、リチウムハロゲン化物(ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウム、フッ化リチウム)、酸化リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、ナトリウムハロゲン化物(ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、フッ化ナトリウム)、酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、マグネシウムハロゲン化物(ヨウ化マグネシウム、臭化マグネシウム、塩化マグネシウム、フッ化マグネシウム)、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、カリウムハロゲン化物(ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、フッ化カリウム)、酸化カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、カルシウムハロゲン化物(ヨウ化カルシウム、臭化カルシウム、塩化カルシウム、フッ化カルシウム)、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、鉄ハロゲン化物(ヨウ化鉄、臭化鉄、塩化鉄、フッ化鉄)、酸化鉄、水酸化鉄、炭酸鉄、銅ハロゲン化物(ヨウ化銅、臭化銅、塩化銅、フッ化銅)、酸化銅、水酸化銅、炭酸銅、亜鉛ハロゲン化物(ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、フッ化亜鉛)、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛等が挙げられる。
上記(C)金属化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアミド樹脂組成物中の(C)金属化合物の含有量を上記の範囲とすることにより、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の製造方法において、熱滞留時のゲル化を抑制することができる。
なお、ポリアミド樹脂組成物中の(C)金属化合物の含有量が0.5mmol以上である場合、熱滞留時のゲル化を十分に抑制できる。一方で、上記含有量が1000mmol以下であることにより、添加量が適切で、強度の低下などを防止できる。
好ましくは、1〜500mmolであり、より好ましくは2〜300mmolであり、さらに好ましくは、3〜100mmolであり、さらにより好ましくは4〜50mmolであり、よりさらに好ましくは5〜20mmolである。
また、(B)成分を失活させるという観点においては、(C)成分の添加量は、(B)成分の当量以上の添加量とすることが好ましい。
本実施形態においては、(C)成分は、少なくとも一の脱揮領域後に添加する。
但し、厳密には、(A)成分中に金属化合物が混在している場合があり得るため、(B)成分の当量に対して、少量である場合は、ポリアミド樹脂の高分子量化への影響が阻害されないため、該脱揮領域の前に混在されていてもよい。
該脱揮領域の前に混在しうる(C)成分の量としては、本発明の効果を阻害しなければよいが、好ましくは(C)成分の当量として、(B)成分の20%当量以下であり、より好ましくは10%当量以下であり、さらに好ましくは5%当量以下であり、さらにより好ましくは1%以下である。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物の製造方法においては、(D)強化材(以下、(D)成分、(D)と記載する場合がある。)を用いる。
(D)強化材とは、材料の強度及び/又は剛性を向上させるものであれば、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、フレーク状ガラス、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、ゼオライト、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、黄銅、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、雲母、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母及びアパタイトが挙げられる。
これらの中でも、強度及び剛性を増大させる観点から、ガラス繊維、炭素繊維、フレーク状ガラス、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、カーボンナノチューブ、グラファイト、フッ化カルシウム、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母及びアパタイトが好ましい。
また、より好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン及び窒化珪素が挙げられる。上記した(D)強化材は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランやN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランやγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類が挙げられる。
中でも、アミノシラン類が好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、ポリアミド樹脂組成物の機械的強度の観点から、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物、ポリカルボジイミド化合物及びポリウレタン樹脂、並びにこれらの組み合わせが好ましく、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、ポリカルボジイミド化合物及びポリウレタン樹脂、並びにこれらの組み合わせがより好ましい。
一方、前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とは、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体とは異なる不飽和ビニル単量体をいう。前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジクロロブタジエン、1,3−ペンタジエン、シクロオクタジエン、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレートが挙げられる。特にスチレンやブタジエンが好ましい。
ポリオールセグメントを持つことにより、ポリカルボジイミド化合物が水溶化し易くなり、ガラス繊維や炭素繊維の集束剤として一層好適に使用可能となる。
ジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネート、並びにそれらの混合物を用いることが可能である。以下に限定されるものではないが、例えば、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート及び1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート等が挙げられる。そして、これらのジイソシアネート系化合物をカルボジイミド化することによって、末端に2つのイソシアネート基を有するポリカルボジイミド化合物が得られる。これらのうち、反応性向上の観点からジシクロヘキシルメタンカルボジイミドが好適に使用可能である。
前記モノイソシアネート化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネートやシクロヘキシルイソシアネート等が挙げられる。
前記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルやポリエチレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。
アクリル酸のポリマーの塩としては、以下に限定されるものではないが、第一級、第二級又は第三級のアミン塩が挙げられる。以下に限定されるものではないが、例えば、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩やグリシン塩が挙げられる。
中和度は、他の併用薬剤(シランカップリング剤など)との混合溶液の安定性向上や、アミン臭低減の観点から、20〜90%とすることが好ましく、40〜60%とすることがより好ましい。
前記繊維ストランドをロービングとしてそのまま使用してもよく、さらに切断工程を得て、チョップドガラスストランドとして使用してもよい。
かかる集束剤は、ガラス繊維又は炭素繊維100質量%に対し、固形分率として0.2〜3質量%相当を付与(添加)することが好ましく、より好ましくは0.3〜2質量%付与(添加)する。ガラス繊維や炭素繊維の集束を維持する観点から、集束剤の添加量が、ガラス繊維または炭素繊維100質量%に対し、固形分率として0.2質量%以上であることが好ましい。一方、ポリアミド樹脂組成物の熱安定性向上の観点から、3質量%以下であることが好ましい。また、ストランドの乾燥は切断工程後に行ってもよく、またはストランドを乾燥した後に切断してもよい。
(D)強化材の含有量を10質量部以上とすることにより、強度の向上効果が十分に得られる。また、250質量部以下とすることにより、押出工程で良好な製造性が得られる。
好ましくは20〜150質量部であり、より好ましくは25〜100質量部であり、さらに好ましくは30〜60質量部である。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物の製造方法においては、必要に応じ、本実施形態の目的を損なわない範囲で、上述した(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分以外のその他の成分を用いることができる。
当該その他の成分としては、他のポリマーや(A)ポリアミド樹脂に用いられる通常の添加剤、例えば、成形性改良剤、着色剤、難燃剤、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤等が挙げられる。
金属塩を構成する金属元素としては、元素周期律表の第1、第2、第3族元素、亜鉛、及びアルミニウム等が好ましく、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等がより好ましい。
前記高級脂肪酸金属塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウム、パルミチン酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、溶融加工時のガス発生抑制や成形加工時の金型へのモールドデポジット抑制の観点から、モンタン酸の金属塩及びステアリン酸の金属塩が好ましい。
これらの中でも、溶融加工時のガス発生抑制や成形加工時の金型へのモールドデポジット抑制の観点から、炭素数8〜40の脂肪族カルボン酸と、炭素数8〜40の脂肪族アルコールとのエステルが好ましい。
ここで、高級脂肪酸としては、上述したものを使用できる。
脂肪族アルコールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール等が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル等が挙げられる。
高級脂肪酸アミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイルアミド、N−ステアリルステアリルアミド、N−ステアリルエルカ酸アミド等が挙げられる。
これらの中でも、溶融加工時のガス発生抑制や成形加工時の金型へのモールドデポジット抑制の観点から、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、N−ステアリルエルカ酸アミドが好ましく、エチレンビスステアリルアミド、N−ステアリルエルカ酸アミドがより好ましい。
なお、成形性改良剤として、高級脂肪酸金属塩を選択する場合、当該高級脂肪酸金属塩の添加量は、上述した(C)成分としての金属化合物の量には含めないものとする。
着色剤として酸化鉄等を選択する場合、当該酸化鉄の添加量は、上述した(C)成分としての金属化合物の量には含めないものとする。
前記劣化抑制剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、酢酸銅やヨウ化銅等の銅化合物や、ヒンダードフェノール化合物等のフェノール系安定剤;ホスファイト系安定剤:ヒンダードアミン系安定剤;トリアジン系安定剤;イオウ系安定剤等が挙げられる。
安定剤として酸化銅やヨウ化銅等の銅酸化物を選択する場合、当該銅酸化物の添加量は、上述した(C)成分としての金属化合物の量には含めないものとする。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物の製造方法においては、(A)ポリアミド樹脂と(B)リン酸化合物とを混練し、少なくとも一回の脱揮工程を行った後に、(C)金属化合物と(D)強化材とを同時に添加する。
詳細には、少なくとも一の脱揮領域を具備する押出機を用い、(A)ポリアミド樹脂と(B)リン酸化合物を混練して混練物を得、当該混練物が、少なくとも一の脱揮領域を経た後に、(C)金属化合物と(D)強化材とを同時に添加する。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物の製造方法においては、例えば、(A)成分を溶融させた後に(B)成分を添加して、少なくとも一の脱揮領域を経た後に、(D)強化材及び(C)金属化合物を同時に添加してもよく、(A)成分と(B)成分を同時に添加して、少なくとも一の脱揮領域を経た後に、(D)強化材及び(C)金属化合物を同時添加してもよい。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物の製造方法によれば、実用上十分な引張強度を維持しつつ、効率よく(A)ポリアミド樹脂を高分子量化させることができるので、引張伸びを向上させることができ、かつ、熱滞留時のゲル化を抑制でき、さらには量産性も良好なものとすることができる。
例えば、減圧度0.02MPaとは、大気圧が0.1013MPaのとき、0.1013−0.02=0.0813MPaの絶対圧を示す。
長期間安定した減圧度を維持することを優先する場合には、減圧度を0.1MPa以下とすることが好ましく、より好ましくは、0.02MPa以上0.1MPa以下であり、さらに好ましくは0.04MPa以上0.097MPa以下であり、さらにより好ましくは0.05MPa以上0.095MPa以下であり、よりさらに好ましくは0.06MPa以上0.093MPa以下である。
例えば、単軸又は二軸押出機、バンバリーミキサー、ミキシングロールなどの溶融混練機などが好ましく用いられる。
この中でも脱揮機構(ベント)装置及びサイドフィーダー設備を装備した多軸押出機が好ましく、より好ましくは二軸押出機が用いられる。
上記した観点から、より好ましくは、((A)ポリアミド樹脂の融点+5)℃以上370℃以下であり、さらに好ましくは((A)ポリアミド樹脂の融点+10)℃以上360℃以下であり、さらにより好ましくは((A)ポリアミド樹脂の融点+15)℃以上355℃以下であり、よりさらに好ましくは((A)ポリアミド樹脂の融点+20)℃以上350℃以下である。
例えば、融点260℃のポリアミド66を(A)ポリアミド樹脂として用いた場合は、260℃以上380℃以下とすることが好ましい。260℃以上にすることで、ポリアミド66の溶融が十分になり押出機モーターへの負荷を低減できる傾向にある。また、380℃以下にすることでポリアミド66自体の分解を抑制できる傾向にある。
上記した観点から、より好ましくは265℃以上370℃以下であり、さらに好ましくは270℃以上360℃以下であり、さらにより好ましくは275℃以上355℃以下であり、よりさらに好ましくは280℃以上350℃以下である。
ポリアミド66以外のポリアミド樹脂を(A)ポリアミド樹脂として使用する場合でも、その融点に応じて適宜調整することができる。
溶融混練中の着色剤マスターバッチなど(A)ポリアミド樹脂とは色の異なる樹脂など、(A)ポリアミド樹脂とは区別できる樹脂など(以下、Xと略記する)を溶融混練装置に添加し、Xの最も濃い状態での排出開始時間と排出終了時間を計測し、排出開始時間と排出終了時間を平均することにより、平均滞留時間を測定することができる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂1kg当り、(B)リン酸化合物0.5〜1000mmol、(C)金属化合物0.5〜1000mmol含有し、かつポリアミド樹脂100質量部に対して(D)強化材10〜250質量部含有し、上述した本実施形態のポリアミド樹脂組成物の製造方法により得られる。
上述した本実施形態のポリアミド樹脂組成物の製造方法によれば、実用上十分な引張強度を維持しつつ、効率よくポリアミド樹脂を高分子量化させることができるので引張伸びを向上させて、かつ、熱滞留時のゲル化を抑制できる。そのため、本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、公知の成形方法、例えば、プレス成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形、発泡成形、溶融紡糸など、一般に知られているプラスチック成形方法を用いて良好に成形加工することができる傾向にある。
前記本実施形態のポリアミド樹脂組成物の成形体は、上述した本実施形態により得られるポリアミド樹脂組成物を含む。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物の成形体は、前記一般に知られているプラスチック成形方法を用いることにより製造できる。このような成形体は、高分子量化かつゲル化による物性低下の可能性が低いため、色調、表面外観、耐熱変色、耐候性、耐熱エージング性、耐光性、耐薬品性などに優れる。そのため、自動車部品、電子電気部品、工業機械部品、各種ギア、押出用途などの各種部品への応用が期待される。
なお、実施例及び比較例に適用した原材料及び評価方法は、以下のとおりである。
(A)ポリアミド
PA66 下記製造例にて製造したVN141mL/g、水分率0.08質量%のPA66
(B)リン酸化合物
リン酸 和光純薬工業(株)製 商品名 リン酸(85%水溶液)
(C)金属化合物
KI 東京化成工業(株)製 商品名 ヨウ化カリウム
(D)強化材
GF(ガラス繊維) 日本電気硝子製 商品名 ECS03T275H 平均繊維径(平均粒径)10μm(真円状)、カット長3mm
(1)粘度数
<1−1>粘度数:VN(mL/g)
後述する実施例及び比較例で製造したポリアミド樹脂組成物のペレットを用い、ISO307(JIS−K6933)に準じて、粘度数を測定した。
<1−2>ギ酸相対粘度(RV)
後述する実施例及び比較例で製造したポリアミド樹脂組成物のペレットを用い、ギ酸相対粘度(RV)は、重合体をギ酸に加えた溶液の粘度とギ酸自身の粘度とを比較することによって得た。具体的な測定方法については、ASTM−D789に準拠して実施するものとした。より詳細には、90%ギ酸(10%水)にポリアミドを8.4%になるように溶解させた溶液を用いて、25℃で測定したRV値を採用した。
後述する実施例及び比較例で製造したポリアミド樹脂組成物のペレットを用い、ISO 15512に準拠した方法でカールフィッシャー水分計(三菱化学アナリテック社製 電量滴定方式微量水分測定装置CA−200型)を用いて、水分率(質量%)を測定した。
後述する実施例及び比較例で製造したポリアミド樹脂組成物のペレットを用い、射出成形機を用いて、JIS−K7139に準拠し、小型引張試験片(タイプCP13)(3mm厚)を製造した。射出成形機として日精樹脂工業(株)社製PS40Eを用い、上記小型引張試験片2個取りの金型を取り付けた。なお、シリンダー温度は融点+約15℃でPA66では280℃、金型温度80℃に設定した。さらに、射出10秒、冷却7秒、可塑化量30mm(クッション量約10mm)の射出成形条件で、ポリアミド樹脂組成物ペレットからダンベル状の成形体を得た。
前記(3)で製造したダンベル状の成形体の引張強度及び引張伸度を測定した。
ここで、チャック間距離30mm、引張速度5mm/分の条件で、引張強度(MPa)と引張伸度(%)を測定した。なお、引張伸度については、チャック間の距離に対しての破断時の伸度(変位)の割合(%)を算出した。
前記(3)に記載した方法と同様の方法で成形体の製造を行った。なお、シリンダー温度を融点+約35℃とし、PA66を用いた場合は、300℃に設定を変更し、可塑化量90mmの射出成形条件とし、可塑化後に30分間熱滞留させた後に、2ショット成形し、2ショット目の試験片を3〜5mm片程度に切り、試験片を得た。
前記試験片を、25℃において96%濃度の硫酸中、ポリアミド樹脂濃度0.5質量%溶液になるように溶解させた。
硫酸に溶けない部分や膨潤した部位があり、完全に溶解しない場合はゲル化していると判断した。
<ゲル化の評価基準>
○:硫酸に溶解した。
×:硫酸に溶解しない、または膨潤した部位が存在する。(ゲル化)
40Lのオートクレーブ内で、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との当量塩の50%水溶液を用いて、公知の方法でポリアミド樹脂を溶融重合した。
また、溶融ポリアミド樹脂をオートクレーブ下部ノズルからストランド状に取り出し、水で冷却固化して、ストランドカッターでペレット化した。
このポリアミド樹脂ペレットの粘度数(VN)は141(mL/g)であり、水分率は0.08質量%であった。
図1にポリアミド樹脂組成物の製造に用いた押出機の概略構成図を示す。
押出機としては、上流側から1番目のバレル上面(トップの位置)に1ヶ所トップ供給口(以下top−Fと略記)を有し、6番目のバレル側面に下流第一供給口(以下side1と略記)と、9番目のバレル側面に下流第二供給口(以下side2と略記)の2カ所の下流供給口、さらに5番目のバレル上面に第一減圧口(以下vent1と略記)、8番目のバレル上面に第二減圧口(以下vent2と略記)、11番目のバレル上面に第三減圧口(以下vent3と略記)の3か所の減圧口を備えた二軸押出機(COPERION社製ZSK25)を用いた。
vent1はプラグで栓をし、使用しなかった。
vent2に対応する7番目と8番目のバレルで最初の脱揮領域、vent3に対応する10番目、11番目、12番目のバレルで二回目の脱揮領域とするように、逆回転ニーディングディスクなどを組み込んだスクリューで各脱揮領域の前後を樹脂シールできるようにした。
PA66:100質量部に対して、リン酸85%水溶液0.115質量部、即ちリン酸:0.098質量部(10mmol/kg)をあらかじめPA66ペレットに添着したブレンド物を用意し、top−FからPA66とリン酸とのブレンド物を供給し、side1からは何も添加せず、side2からGFをPA66:100質量部に対して、33質量部、さらに同じside2からKIをPA66:100質量部に対して、0.287質量部(17.3mmol/kg)になるように供給して、スクリュー回転数300rpm、シリンダー温度300℃、押出レートは20kg/hr、vent2、vent3の減圧度を0.085MPaで溶融混練を行った。
この際、先端ノズル付近の樹脂温度は337℃、平均滞留時間は55秒であった。
以上の条件下、先端ノズルからストランド状にポリアミド樹脂組成物を排出し、水冷・カッティングを行って、ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
その後、乾燥し水分を調整した。
この実施例1は、top−Fから供給されたPA66とリン酸とをまず混練し、vent2での最初の脱揮領域を経た後に、side2からGFとKIとを同時に添加した製造方法である。
得られたポリアミド樹脂組成物の粘度数、水分率、JIS引張強度、JIS引張伸度、成形機滞留ゲル化を評価した。
評価結果を下記表1に示す。
vent2はプラグで栓をし、使用しなかった。
vent1に対応する4番目と5番目のバレルで最初の脱揮領域、vent3に対応する10番目、11番目、12番目のバレルで二回目の脱揮領域とするように、逆回転ニーディングディスクなどを組み込んだスクリューで各脱揮領域の前後を樹脂シールできるようにして、vent1、vent3の減圧度を0.085MPaにした。
その他の押出機の条件は、実施例1と同様の方法でポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。その後、乾燥し水分を調整した。
この参考例1においては、top−Fから供給されたPA66とリン酸をまず混練し、vent1での最初の脱揮領域を経たのちに、side1からGFを混練し、side2からKIが添加した。
得られたポリアミド樹脂組成物の粘度数、水分率、JIS引張強度、JIS引張伸度、成形機滞留ゲル化を評価した。
評価結果を下記表1に示す。
side1からはGFを添加し、side2からKIを添加するように変更した。その他の条件は、実施例1と同様の方法でポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。その後、乾燥し水分を調整した。
この参考例2においては、top−Fから供給されたPA66とリン酸をまず混練し、その後side1からGFを添加し、vent2での最初の脱揮領域を経た後に、side2からKIが添加した。
得られたポリアミド樹脂組成物の粘度数、水分率、JIS引張強度、JIS引張伸度、成形機滞留ゲル化を評価した。
評価結果を下記表1に示す。
side2からのKIの添加をしなかった。その他の条件は、参考例2と同様の方法でポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
得られたポリアミド樹脂組成物の粘度数、水分率、JIS引張強度、JIS引張伸度、成形機滞留ゲル化を評価した。
評価結果を下記表1に示す。
top−FからKIを添加し、side2からは何も添加しなかった。その他の条件は、参考例2と同様の方法でポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
得られたポリアミド樹脂組成物の粘度数、水分率、JIS引張強度、JIS引張伸度、成形機滞留ゲル化を評価した。
評価結果を下記表1に示す。
Claims (6)
- ポリアミド樹脂1kg当たり、(B)リン酸化合物0.5〜1000mmol、(C)
金属化合物0.5〜1000mmol含有し、かつポリアミド樹脂100質量部に対して
、(D)強化材10〜250質量部を含有するポリアミド樹脂組成物の製造方法であって
、
(A)ポリアミド樹脂と(B)リン酸化合物とを混練し、
少なくとも一回の脱揮工程を行った後に、(C)金属化合物と(D)強化材とを、同時
に添加する、ポリアミド樹脂組成物の製造方法。 - 一以上の脱揮領域を具備する押出機を用い、
前記(A)ポリアミド樹脂と前記(B)リン酸化合物とを混練して混練物を得、
前記混練物が、前記押出機の少なくとも一の脱揮領域を経た後に、(C)金属化合物と
、(D)強化材とを、同時に添加する、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方
法。 - ポリアミド樹脂組成物中におけるポリアミド樹脂の粘度数が、VN≧160である、請
求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。 - 前記(B)リン酸化合物が、
オルトリン酸、ピロリン酸、及びメタリン酸からなる群より選ばれる、少なくとも1種
である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。 - 前記(C)金属化合物が、
リチウム化合物、ナトリウム化合物、マグネシウム化合物、カリウム化合物、カルシウ
ム化合物、鉄化合物、銅化合物、及び亜鉛化合物からなる群より選ばれる、少なくとも1
種である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。 - 前記(C)金属化合物が、
金属ハロゲン化物、金属酸化物、金属水酸化物、及び金属炭酸塩からなる群より選ばれ
る、少なくとも1種である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成
物の製造方法。
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