実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る衛星通信システムの構成を示す図である。本発明の実施の形態1に関わる衛星通信システムは、通信衛星である衛星1を経由する衛星通信回線2により相互に通信する、地球局とも言われる複数の通信局4、通信局4と衛星制御回線3により通信する複数の地上局5、および地上ネットワーク6により複数の地上局5と通信する回線制御装置7を備えている。また、図1には図示されていないが、回線制御装置7と同じ機能を有する計算機が、回線制御装置7のバックアップとして地上ネットワークに接続されている。なお、図1には、通信局4は2つ、地上局5は3つの例が描かれているが、図1に描かれている数に限らず、それぞれ任意の個数有って良い。なお、衛星通信回線2は衛星1を経由して通信局4どうしが通信を行うための通信回線である。衛星通信回線2の割当、開放などの制御は、衛星通信回線2とは別に設けられた、衛星1を経由する衛星制御回線3により送受される制御信号により行われる。衛星制御回線3は、通信局4および地上局5から常時使用可能である。
通信局4は、衛星通信回線2を介した通信を開始する際には、衛星制御回線3により衛星通信回線の割当要求を送信する。以下の説明中で用いる#1、#2は、同じ構成を有する装置を表す。例えば、通信局4(#1)と通信局4(#2)は、同じ構成の2つの通信局4を表す。地上局5についても同様である。衛星通信回線2、衛星制御回線3の場合は、後述のように、#1、#2は、更に細分化された異なる周波数の帯域を占める回線を意味する。通信局4は、割当要求に対する応答である回線指定通知を衛星制御回線3により受信し、回線指定通知で指定された衛星通信回線2により他の通信局4との通信を行う。例えば、通信局4(#1)と通信局4(#2)との間で衛星通信回線2を介した通信を開始する際には、一方の通信局4(#1)が、他方の通信局4(#2)と通信するための衛星通信回線2の割当要求を、衛星制御回線3により送信する。その後、通信局4(#1)および通信局4(#2)はそれぞれ衛星制御回線3により回線指定通知を受信し、回線指定通知で指定された衛星通信回線2により相互に通信を行う。
地上局5は複数有り、それぞれの地上局5は、地上ネットワーク6を通じて回線制御装置7と接続している。それぞれの通信局4は、衛星制御回線3により地上局5のいずれかと通信することができる。特に、衛星通信システムに、接続する地上局5が災害などにより使用不能となってもサービスを継続することが要求される場合は、複数の地上局5がそれぞれの通信局4と通信するように構成する。この様に構成された衛星通信システムでは、ある通信局4と通信できる1つの地上局5が使用不可能となっても、その通信局4と通信できる他の地上局5が通信局4と通信することにより、通信を継続することができる。
また、複数の地上局5のそれぞれは、衛星制御回線3により、決められた複数の通信局4と通信することができる。このため、任意の異なる2つの通信局4については、同じ1つの地上局5と通信可能な場合もあり、また、それぞれ異なる地上局5とのみ通信可能な場合もある。地上局5は、衛星制御回線3と、地上ネットワーク6との間の中継を行う。地上局5は、通信局4が衛星制御回線3により送信した、識別情報を含む割当要求を受信し、受信した割当要求を受信した時刻を付けて地上ネットワーク6により回線制御装置7に送信する。また、地上局5は、回線制御装置7から回線指定通知を地上ネットワーク6により受信し、受信した回線指定通知を、衛星制御回線3により通信局4に送信する。
回線制御装置7は、汎用の計算機などにより構成される。回線制御装置7は、地上局5のそれぞれと地上ネットワークにより接続している。また、回線制御装置7は、汎用の計算機で構成されるため、同様の計算機を同じ地上ネットワーク6に接続することで、回線制御装置7に障害が発生した際のバックアップとすることができる。通信局4が衛星制御回線3により複数の地上局5に送信した回線割当要求は、回線割当要求を受信した複数の地上局5から地上ネットワーク6により回線制御装置7に送信される。このため、回線制御装置7は、通信局4が送信した同じ回線割当要求を、送信した通信局4と衛星制御回線3により接続されるそれぞれの地上局5から重複して受信する。
回線制御装置7は、受信した回線割当要求の内、回線割当要求を発した通信局4が同じであり、かつ地上局が受信した時間の差が一定の範囲内である回線割当要求については、同一の回線割当要求と判断する。回線制御装置7は、同一の回線割当要求と判断した回線割当要求の組に一つの衛星通信回線2を割り当てる。回線制御装置7は、割当てた衛星通信回線2を通知する回線指定通知を生成する。回線指定通知の通知先は、回線割当要求が、通信局4(#1)が、通信局4(#2)との間の衛星通信回線2を要求するものであれば、回線指定通知が通知されるのは、通信局4(#1)と通信局4(#2)となる。通信局4(#1)および通信局4(#2)は、回線指定通知を衛星制御回線3により受信するため、回線制御装置7は、通信局4(#1)および通信局4(#2)のそれぞれと通信する地上局5を1つずつ選択し、選択した地上局5経由で回線指定通知を通信局4に送る。
航法衛星8は、GPS(Global Positioning System)衛星などの、航法信号9を送信する衛星である。航法衛星8からの航法信号9は、通信局4と地上局5により受信される。受信された航法信号9は、通信局4から地上局5への通信や通信局5から地上局4への通信に使用される衛星制御回線3に、それぞれの衛星通信回線3を使用する通信局4と地上局5の間で共通の、時間スロットを定義するために使用される。
必要時に割り当てられる衛星通信回線2とは異なり、常に使用可能な衛星制御回線3では、複数の通信局4または複数の地上局5が同じ衛星制御回線3により送信する場合がある。この様な場合、異なる通信局4どうしまたは異なる地上局5どうしで送信信号が干渉しないよう、時間を一定の間隔で区切った時間スロットを設け、この時間スロットによりSlotted ALOHA通信方式により、制御信号の送信、受信を行う。
通信局4と地上局5は、航法衛星8から受信する航法信号9から得られる時刻情報に同期した、時間スロットの期間の開始となるタイミングを生成する。通信局4から地上局5へは、このタイミングで始まる時間スロットの範囲内で、衛星制御回線3により制御信号を送信する。また、地上局5から通信局4へは、このタイミングで始まる時間スロットの範囲内で、衛星制御回線3により制御信号を送信する。尚、衛星制御回線3を介した通信方式については、制御信号送受信の頻度や、通信局4の数、通信の遅延を考慮するとSlotted ALOHA通信方式が最適であるが、制御信号送受信の頻度や、通信局の数、通信の遅延に関する要求が異なれば、同様の時間スロットを使用する通信方式である、TDMA(Time Division Multiple Access;時分割多元接続)方式等を選択する事もありうる。
衛星通信システムにおいて、上記の機能を果たす通信局4、地上局5、回線制御装置7それぞれの構成を図1により説明する。通信局4は、制御通信部41と、割当要求生成部42と、衛星回線通信部43と、航法信号受信部44と、スロットタイミング生成部45とを有する。航法信号受信部44は、航法衛星8からの航法信号9を受信し、スロットタイミング生成部45は、航法信号受信部44が受信した航法信号9から得られる時刻情報をもとに、制御通信部41が衛星制御回線3により地上局5と通信するための時間スロットを開始するタイミングを生成する。制御通信部41は、衛星制御回線3によりスロットタイミング生成部45が生成したタイミング信号で開始されるスロットで地上局5と通信する。割当要求生成部42は、制御通信部41により送信される、相手の通信局4(通信局4(#1)に対する相手通信局4(#2))との間の衛星通信回線2の割当を要求する回線割当要求を生成する。衛星回線通信部43は、衛星通信回線2により通信するが、その際、衛星通信回線2に含まれるどの通信回線を使用するかは、制御通信部41により受信された回線指定通知に含まれる回線情報より特定される。
地上局5は、地上系通信部51と、衛星系通信部52と、中継部53と、航法信号受信部56と、スロットタイミング生成部57とを有する。航法信号受信部56は、航法衛星8からの航法信号9を受信し、スロットタイミング生成部57は、航法信号受信部56が受信した航法信号9から得られる時刻情報をもとに、衛星系通信部52が衛星制御回線3により通信局4と通信するための時間スロットを開始するタイミングを生成する。地上系通信部51は、地上ネットワーク6により回線制御装置7と通信する。衛星系通信部52は、衛星制御回線3により通信局4と通信する。中継部53は、地上系通信部51と衛星系通信部52との間で制御信号を相互に中継する。なお、通信局4は、回線制御装置7との間で制御信号の送受信を行うため、少なくとも1つの地上局5と接続する。特に、衛星通信システムに、接続する地上局5が災害などにより使用不能となってもサービスの継続が必要である場合は、通信局4が複数の地上局5と接続するように構成される。
回線制御装置7は、回線制御通信部71と、衛星通信回線割当部72と、回線指定通知生成部73と、地上局管理部74と、地上局選択部75とを有する。回線制御通信部71は、地上ネットワーク6により複数の地上局5と通信する。衛星通信回線割当部72は、回線制御通信部71が複数の地上局5から受信した回線割当要求の内、回線割当要求を発した通信局4が同じであり、受信した時間の差が一定の範囲内である回線割当要求については、同一の回線割当要求と判断する。衛星通信回線割当部72は、同一の回線割当要求と判断した回線割当要求毎に衛星通信回線2の割り当てを行う。回線指定通知生成部73は、衛星通信回線割当部72が割当てた衛星通信回線の回線情報を、通信局4に通知する回線指定通知を生成する。
例えば、回線制御通信部71が、通信局4(#1)が相手通信局である通信局4(#2)と間の衛星通信回線2を要求する回線割当要求を受信し、それに対して衛星通信回線割当部72が衛星通信回線2の割当を行なった場合、割り当てた結果を通知する回線指定通知の通知先は、通信局4(#1)と通信局4(#2)である。地上局管理部74は、衛星制御回線3によりそれぞれの通信局4と通信する地上局5を記憶する。地上局選択部75は、回線指定通知を回線制御通信部71が送信する地上局5を選択する。
図2は、本発明の実施の形態1に係る衛星通信システムにおける衛星通信回線および衛星制御回線の構成を示す図である。図2に示すように、衛星通信回線2は、#1〜#mのようにさらに細分化された回線により構成される。細分化された回線は、それぞれが異なる周波数帯域を占める。回線割当要求および回線指定通知により割り当てられ、指定される衛星通信回線2は、この#1〜#mの回線のいずれかである。
衛星制御回線3は、#1〜#nのようにさらに細分化された回線により構成される。細分化された回線は、それぞれが異なる周波数帯域を占める。それぞれの通信局4は、制御信号の送信用、受信用にそれぞれ衛星制御回線3の#1〜#nのいずれかの周波数帯域の回線により制御信号の送受信を行う。また、衛星制御回線3の#1〜#nのそれぞれの周波数帯域については、2つ以上の地上局5が制御信号の送受信を行う。地上局5のそれぞれは、衛星制御回線3の#1〜#nのそれぞれの1つ以上の制御回線により制御信号の送受信を行う。回線制御装置7と地上ネットワーク6で接続している複数の地上局5それぞれで制御信号を送受信する衛星制御回線3をあわせると、衛星制御回線#1〜#nの全て周波数帯域の回線について、制御信号の送受信が可能である。
このように衛星制御回線3を使用することにより、前述の通り、通信局4は、それぞれ、衛星制御回線3により複数の通信局5のいずれか1つ以上と接続し、地上局5のそれぞれは、複数の通信局4と接続するように衛星通信システムを構成することができる。また、異なる2つの通信局4については、同じ1つの地上局5と衛星制御回線により通信することができる場合と、それぞれが異なる地上局5とのみ衛星制御回線により通信することができる場合とがある。それぞれの通信局4が同じ1つの地上局5と衛星制御回線により通信することができる場合としては、2つの通信局4がともに衛星制御回線3の同じ#1の周波数帯域を使用するなど、同じ衛星制御回線3を使用する場合と、2つの通信局4のそれぞれが衛星制御回線3の#1と#2などのように衛星制御回線3の異なる周波数帯域を使用し、同じ地上局5がそれぞれの通信局4が使用する衛星制御回線3の周波数帯域(#1と#2)により制御信号の送受信を行うなどの場合がある。それぞれの通信局4がそれぞれ異なる地上局5とのみ衛星制御回線により通信することができる場合は、2つの通信局4のそれぞれが衛星制御回線3の#1と#2などのように衛星制御回線3の異なる周波数帯域を使用し、1つの地上局5(#1)が衛星通信回線3の#1の周波数帯域のみを介して制御信号の送受信を行い、他の地上局5(#2)が衛星通信回線3の#2の周波数帯域のみを介して制御信号の送受信を行う場合などである。
次に、動作について説明する。図3は、本発明の実施の形態1に係る衛星通信システムにおける衛星通信回線接続に関するシーケンス図である。図3は、図1の構成における通信局4(#1)と、通信を行う相手通信局である通信局4(#2)とが通信を行うための衛星通信回線2を接続する手順の例を示している。通信局4(#1)、通信局4(#2)はいずれも衛星制御回線3により地上局5(#1)および地上局5(#2)と通信し、回線要求等の回線制御に必要な信号を送信し、衛星制御回線3から回線制御に必要な制御信号を受信する。これは、図2では、例えば、通信局4(#1)および通信局4(#2)がともに衛星制御回線3の#1を使用するか、通信局4(#1)および通信局4(#2)がそれぞれが衛星制御回線3の#1と#2などのように異なる衛星制御回線3を使用し、地上局5(#1)と地上局5(#2)が共に、衛星制御回線3の(#1)と(#2)を介して制御信号の送受信を行うなどの場合に該当する。
通信局4(#1)と通信局4(#2)との間で、衛星通信回線2を介した通信を行うため、通信局4(#1)は、通信局4(#2)との間の衛星通信回線2を要求する回線割当要求を、地上局5(#1)および地上局5(#2)と通信する衛星制御回線3により送信する(ST−1)。ところで、回線割当要求は、後述するように、複数の地上局5を経由して回線制御装置7に届くため、通信局4から回線割当要求を一つ送信すると、回線制御装置7には、複数の回線割当要求が受信される。回線制御装置7に複数受信される回線割当要求のどれが同一であるかを示すため、回線割当要求には、通信局4で生成される回線割当要求に固有の識別情報が含められる。識別情報は、それぞれの通信局4が生成するそれぞれの回線割当要求の間で互いに重複が発生しない情報であり、通信局4の端末のアドレスや、乱数、時刻等の情報を組み合せたものなどである。
地上局5(#1)および地上局5(#2)のそれぞれは、回線割当要求を衛星制御回線3により受信し、受信した回線割当要求をそれぞれ地上ネットワーク6により回線制御装置7に送信する(ST−2A、ST−2B)。回線制御装置7は、地上局5(#1)、地上局5(#2)それぞれにより受信される、同じ通信局4(#1)からの複数の回線割当要求を同一の回線割当要求と判定する。回線制御装置7は、同一と判定した回線割当要求を集めた回線割当要求の組に対して一度、衛星通信回線2の割当を行う。回線制御装置7は、割当てた衛星通信回線2を、通信局4(#1)と相手の通信局4(#2)に通知するため、通信局4(#1)と相手の通信局4(#2)のそれぞれに接続する地上局5(図3は、共に地上局5(#1)が選択された例である)に、地上ネットワーク6により回線指定通知を送信する(ST−3A、ST−3B)。
地上局5(#1)は、通信局4(#1)宛と相手通信局4(#2)宛の回線指定通知をそれぞれ受信し、それぞれの回線指定通知を通信局4(#1)と通信局4(#2)に衛星制御回線により送信する(ST−4A,ST−4B)。回線指定通知を受信した通信局4(#1)と通信局4(#2)は、回線指定通知により指定された衛星通信回線2を介した通信回線を確立する(ST−5)。
図4は、本発明の実施の形態1に係る衛星通信システムにおける通信局4の衛星通信回線接続に関するシーケンス図である。図4(a)は図3の回線割当要求を送信する処理(ST−1)を行う際の通信局4内部の動作を示し、図4(b)は図3で回線指定通知を受信した(ST−4A、ST−4B)際の通信局4の内部の動作を示す。図4(a)において、通信局4では、割当要求生成部42が相手通信局(通信局4(#1)に対する通信局4(#2))との間の衛星通信回線2の割り当てを要求する回線割当要求を生成する(ST−101)。制御通信部41は、割当要求生成部42が生成した回線割当要求を、衛星制御回線3により地上局5(#1)および地上局5(#2)に送信する(ST−1)。
図4(b)において、通信局4(#1)では、制御通信部41が、地上局5から送信された回線指定通知を受信し(ST−4A)、回線指定通知で指定された、衛星通信回線2を衛星回線通信部43に指示する(ST−103)。他方、通信局4(#2)に対しても、地上局5から回線指定通知が送信され(ST−4B)、回線指定通知により、割り当てられた衛星通信回線2が指定される。衛星回線通信部43は、制御通信部41から指示された衛星通信回線2により通信局4(#2)と通信を行う。このようにして、衛星回線通信部43は、図3における通信回線の確立(ST−5)を行う。
図5は、本発明の実施の形態1に係る衛星通信システムにおける地上局5の衛星通信回線接続に関するシーケンス図である。図5(a)は、地上局5が、図3において回線割当要求を回線制御装置7へ送信する(ST−2A)際の、地上局5内部の動作を示す。地上局5が、図3のST−2Bにより回線割当要求を回線制御装置7へ送信する際の地上局5内部の動作も、図5(a)と全く同様である。図5(b)は地上局5が、図3において回線指定通知を通信局4に送信する(ST−4A)際の地上局5の内部の動作を示す。図3のST−4Aにより回線室通知を通信局4へ送信する際の地上局5内部の動作も、図5(b)と全く同様である。
図5(a)において、地上局5では、衛星系通信部52が、通信局4が衛星制御回線により送信した制御信号による回線割当要求を受信し(ST−1)、中継部に送信する(ST−111)。中継部53は、衛星系通信部52が受信した制御信号による回線割当要求を地上ネットワーク上のメッセージに変換し、送信先を回線制御装置7として地上系通信部51に送信する(ST−112)。地上系通信部51は、中継部53より取得した回線割当要求に、衛星系通信部52がこの回線割当要求を受信した時刻(地上局受信時刻)を追加し、地上ネットワーク6により回線制御装置7に送信する(ST−2A)。このようにして地上系通信部51が送信する回線割当要求が、図3のST−2Aにおける地上局5が送信する回線割当要求である。尚、地上局受信時刻は、複数の地上局5から回線割当要求を受信する回線制御装置7が、受信したどの回線割当要求が同一であるかを判断するためのものであり、衛星系通信部52、中継部53、地上系通信部51のいずれで回線割当要求に追加しても良い。
図5(b)において、地上局5では、地上系通信部51が、回線制御装置7から送信された回線指定通知を地上ネットワーク6により受信し(ST−3A)、中継部53に送信する(ST−114)。中継部53は、地上系通信部51が受信した回線指定通知を衛星制御回線3上の制御信号に変換し、衛星系通信部52に送信する(ST−115)。衛星系通信部52は、中継部53から取得した回線指定通知を、衛星制御回線3により通信局4に送信する(ST−4A)。
図6は、本発明の実施の形態1に係る衛星通信システムにおける回線制御装置7の衛星通信回線接続に関するシーケンス図である。図6は、図3に示した手順の、地上局5へ回線指定通知を送信する(ST−3A、ST−3B)際の、回線制御装置7の内部の動作を示す。図6において、回線制御装置7では、衛星制御回線3により受信した回線割当要求を、地上局5(#1)および地上局5(#2)が、地上ネットワーク6を通じて送信し、回線制御通信部71が受信する(ST−2A,ST−2B)。回線制御通信部71は、受信した回線割当要求を、衛星通信回線割当部72に送信する(ST−121A,ST−121B)。衛星通信回線割当部72は、ST−121AおよびST−121Bにより回線制御通信部71から複数送信される同じ回線割当要求を回線制御通信部71から受信すると、同じ通信局4(#1)からの回線割当要求を、回線割当要求に含まれる、通信局4が付与した識別情報が同一であること、および、回線割当要求に含まれる、地上局5が付与した地上局受信時刻の違いがそれぞれ予め決められた一定の時間の範囲内であることをもとに、同一の回線割当要求と判断する。衛星通信回線割当部72は、同一と判断した回線割当要求の組に図2の#1〜#mで示される周波数帯域の内の一つの衛星通信回線2の割り当てを行う。衛星通信回線割当部72は、割当てた衛星通信回線2と、回線割当要求を送信した通信局4(#1)および相手通信局である通信局4(#2)の情報を、回線指定通知生成部73に送信する(ST−122)。
なお、衛星通信回線割当部72は、上記のように、複数受信した同一の通信局からの回線割当要求を同一の回線割当要求と判断する手段を有する。その1つの手段は、地上局5が地上ネットワーク6により回線制御割当要求を回線制御装置7に送信する際に追加した、衛星制御回線3により回線割当要求を受信した時刻を比較する方法である。通信局4が衛星制御回線3により送信する一つの回線割当要求は、複数の地上局5に同時に受信されることを利用するものである。衛星通信回線割当部72は、受信した回線割当要求を予め定めた所定の時間記憶しておき、その所定の時間内に受信した、同一の通信局4からの、通信相手となる相手側通信局4が同一であり、地上局5で付加された時刻情報が一定の範囲内である回線割り当て要求を、同一の回線割当要求と判断する。もう一つの手段は、通信局4が回線割当要求等の制御信号を送信する際に、制御信号に重複が発生しない識別情報を付加し、衛星通信回線割当部72は、付加された識別情報を確認し、同一の識別情報が格納された制御信号を同一の制御信号であると判断するものである。これらの手段は、組み合せて適用しても良いし、いずれか一つのみ適用しても良い。
回線指定通知生成部73は、衛星通信回線割当部72から割当てられた衛星通信回線2と、割当てられた衛星通信回線2の通知先である通信局4(通信局4(#1)および通信局4(#2))の情報を取得すると、通信局4(#1)宛および通信局4(#2)宛の回線指定通知を生成する(ST−123A,ST−123B)。回線指定通知には、割り当てた衛星通信回線2、通信局4(#1)及び、相手通信局である通信局4(#2)のそれぞれの情報が含まれている。
地上局選択部75は、回線指定通知が通知されるそれぞれの通信局4について、当該の通信局4と衛星制御回線3により接続する地上局5を地上局管理部74に問い合わせ(ST−124A、ST−124B)、該当する地上局5を取得する(ST−125A、ST−125B)。地上局選択部75は、取得した地上局5が1つであれば、その取得した地上局5を回線指定通知の送信先とし、取得した地上局5が複数であれば、その中から1つを選択して送信先とし、回線制御通信部71に対して、選択した送信先の地上局5に回線制御通信部71から回線指定通知を送信するよう指示する(ST−126A、ST−126B)。回線制御通信部71は、それぞれの回線指定通知を、地上ネットワーク6により、地上局選択部75が選択した、それぞれの地上局5に送信する(ST−3A、ST−3B)。この様にして回線制御通信部71が送信する回線指定通知が、図3のST−3A、ST−3Bにおける回線制御装置7が送信する回線指定通知である
図7は、本発明の実施の形態1に係る衛星通信システムにおける衛星通信回線接続に関するシーケンス図である。図7は、図1の構成における通信局4(#1)と通信局4(#2)が通信を行うための衛星通信回線2を接続する手順の他の例を示している。これは、通信局4(#1)と通信局4(#2)が、衛星制御回線3の#1から#nの内の、それぞれ異なる周波数帯域を使用する場合に該当する。この周波数帯域の違いにより、通信局4(#1)と衛星制御回線3を介した通信が可能であるのは地上局5(#1)と地上局5(#2)のみであり、通信局4(#2)と衛星制御回線3を介した通信が可能であるのは地上局5(#3)のみである場合が該当する。
通信局4(#1)は衛星制御回線3(#1)を用いて、地上局5(#1)および地上局5(#2)と通信し、回線要求等の回線制御に必要な信号を送信し、衛星制御回線3から回線制御に必要な信号を受信する。通信局4(#2)は衛星制御回線3(#2)を用いて、地上局5(#3)と通信し、回線要求等の回線制御に必要な信号を送信し、衛星制御回線3から回線制御に必要な信号を受信する。
図7における通信局4からの回線割当要求の送信(ST−1)、地上局5による回線割当要求の回線制御装置7への転送(ST−2A、ST−2B)は、図3と同じである。回線制御装置7は、地上局5(#1)、地上局5(#2)それぞれから送信される、複数の同じ通信局4(#1)からの回線割当要求を同一の回線割当要求と判定し、この回線要求に対して衛星通信回線2の割当を行う。回線制御装置7は、割当てた衛星通信回線2を通信局4(#1)と通信局4(#2)に通知するため、通信局4(#1)と通信局4(#2)のそれぞれに接続する地上局5(図7は、地上局5(#1)と地上局5(#3)がそれぞれが選択された例である)に、地上ネットワーク6により回線指定通知を送信する(ST−13、ST−13B)。
地上局5(#1)および地上局5(#3)は、それぞれ通信局4(#1)宛と通信局4(#2)宛の回線指定通知を受信し、受信した回線指定通知を通信局4(#1)と通信局4(#2)にそれぞれ衛星制御回線3により送信する(ST−14A、ST−14B)。通信局4(#1)と通信局4(#2)は、衛星制御回線3により受信した回線指定通知により指定された衛星通信回線2を介した通信回線を確立する(ST−15)。なお、通信局4からの回線割当要求の送信(ST−1)および、通信回線の確立(ST−15)に係る通信局4の内部の動作は、それぞれ図4(a)および図4(b)と同様である。回線制御装置7への回線割当要求の転送(ST−2A(ST−2B))および回線指定通知の通信局4への転送(ST−14A(ST−14B))に係る地上局5の内部の動作は、それぞれ図5(a)および図5(b)と同様である。回線指定通知の送信(ST−13A(ST−13B))に係る回線制御装置7の内部の動作は、図6と同様である。
以上のように、この発明の実施の形態1によると、通信局4との間で、衛星制御回線3により制御信号の送受信を行う地上局5は、1つの通信局4に対して、1以上の地上局により接続するため、衛星制御回線3を介した制御信号のやり取りに冗長性を持たせることが可能である。この冗長性のため、局地的な災害等が発生しても、通信局4に接続する地上局5の全てが使用不可能にならない限り、通信を継続することができる。
また、それぞれの地上局5においては、衛星制御回線3の1つ以上の回線で制御信号の送受信を行えれば良く、衛星制御回線3の全ての回線で制御信号の送受信を行える必要が無いため、大規模な送受信設備を構築する必要が無く、予備の地上局5を設けて地上局5に冗長性をもたせること、一部の地上局5に問題が発生した場合などに代替の地上局5を設置することが容易になる。また、回線制御装置7についても、汎用計算機などで地上ネットワーク6上に構築することが可能であるため、地上ネットワーク6上に予備の回線制御装置7を設ける、または、地上ネットワーク6上の複数の計算機で回線制御装置7を構成するなどの冗長化が容易であり、災害が発生してもサービスを継続することができる衛星通信システム、回線制御装置7を得ることができる。
さらに、複数の地上局5を備えることにより、回線制御装置7には、通信局4からの回線割当要求が重複して受信されるが、通信局4において、回線割当要求に識別情報を含ませ、地上局5において、回線割当要求に地上局受信時刻を追加し、受信する回線制御装置7において、回線割当要求に含まれる識別情報や地上局受信時刻を確認することにより、重複して受信される回線割当要求の同一性を判断することができる。
なお、上記の例では、回線制御装置7は、回線指定通知を通信局4に送信する際に、通信局毎に1つの地上局5を経由させたが、一つの通信局4に通知する回線指定通知を、複数の地上局5を経由させて送信しても良い。図8は、本発明の実施の形態1に係る衛星通信システムにおける衛星通信回線接続に関するシーケンス図である。図8は、図1の構成における通信局4(#1)と通信局4(#2)が通信を行うための衛星通信回線2を接続する手順において、回線指定通知を、回線制御装置7から1つの通信局4へ、複数の地上局5を経由させる例を示している。通信局4(#1)は衛星制御回線3(#1)を用いて、地上局5(#1)および地上局5(#2)と通信し、回線要求等の回線制御に必要な信号を送信し、衛星制御回線3から回線制御に必要な信号を受信する。通信局4(#2)は衛星制御回線3(#2)を用いて、地上局5(#1)および地上局5(#2)と通信し、回線要求等の回線制御に必要な信号を送信し、衛星制御回線3から回線制御に必要な信号を受信する。
図8において、通信局4からの回線割当要求の送信(ST−1)、地上局5による回線割当要求の回線制御装置7への転送(ST−2A、ST−2B)は、図3と同様である。回線制御装置7は、地上局5(#1)、地上局5(#2)それぞれから送信される、複数の同じ回線割当要求を同一の回線割当要求と判定し、この回線要求に対して衛星通信回線2の割当を行う。回線制御装置7は、割当てた衛星通信回線2を通信局4(#1)と通信局4(#2)に通知するため、通信局4(#1)に接続する複数の地上局5(図8では、地上局5(#1)と地上局5(#2))と、通信局4(#2)に接続する複数の地上局5(図8では、地上局5(#1)と地上局5(#2))に、地上ネットワーク6により回線指定通知を送信する(ST−16A、ST−16B、ST−16C、ST−16D)。
地上局5(#1)は、通信局4(#1)宛と相手通信局4(#2)宛の回線指定通知をそれぞれ受信し、それぞれの回線指定通知を通信局4(#1)と通信局4(#2)に衛星制御回線により送信する(ST−17A,ST−17C)。地上局5(#2)は、通信局4(#1)宛と相手通信局4(#2)宛の回線指定通知をそれぞれ受信し、それぞれの回線指定通知を通信局4(#1)と通信局4(#2)に衛星制御回線により送信する(ST−17B,ST−17D)。回線指定通知を受信した通信局4(#1)と通信局4(#2)は、回線指定通知により指定された衛星通信回線2を介した通信回線を確立する(ST−18)。
図9は、本発明の実施の形態1に係る衛星通信システムにおける回線制御装置7での衛星通信回線接続に関するシーケンス図である。図9は、回線指定通知を、回線制御装置7から1つの通信局4へ、複数の地上局5を経由させる例における回線制御装置7の動作を示している。地上局4からの回線割当要求をもとに、衛星通信回線割当部72が衛星通信回線2を割り当て、回線指定通知生成部73が回線指定通知を生成するまでの手順(ST−2A、ST−2B、ST−121A、ST−121B、ST−122A、ST−122B、ST−123A、ST−123B)は、図5(b)で、衛星系通信部52が通信局4に回線指定通知を送信する動作をST−17Aとする以外は、既に説明した、回線指定通知を通信局4に送信する際に、通信局毎に1つの地上局5を経由させる場合と全く同様であるので、説明を省略する。
地上局選択部75は、回線指定通知が通知されるそれぞれの通信局4について、当該の通信局4と衛星制御回線3により接続する地上局5を地上局管理部74に問い合わせ(ST−124A、ST−124B)、該当する一つまたは複数の地上局5を取得する(ST−125A、ST−125B)。地上局選択部75は、その取得した地上局5を回線指定通知の送信先とし、回線制御通信部71に対し、送信先の地上局5に、回線指定通知を送信するよう指示する(ST−127A〜D)。図9は、それぞれの通信局4に対し、回線指定通知の送信先として、地上局5(#1)および地上局5(#2)の両方が回線指定通知の送信先として選択された場合を示す。回線制御通信部71は、それぞれの回線指定通知を、地上ネットワーク6により、地上局選択部75が選択した、それぞれの地上局5(#1および#2)に送信する(ST−16A〜ST−16D)。回線制御装置7から回線指定通知を受信(ST−16A〜ST−16D)した地上局5の動作は、図5(b)において、ST−3AをST−16A〜ST−16Dに、ST−4AをST−17A〜ST−17Dにそれぞれ置き換えたものと全く同様であるため、説明を省略する。
図10は、本発明の実施の形態1に係る衛星通信システムにおける通信局4の衛星通信回線接続に関するシーケンス図である。図10において、回線指定通知を受信(ST−17A〜ST−17D)し、回線を確立(ST−18)させるための通信局4の内部の動作を示す。図10において、通信局4(#1)では、制御通信部41が、ST−17A、ST−17Bにより地上局5(#1)および地上局5(#2)から送信された回線指定通知を受信し、受信したそれぞれの回線指定通知に含まれる相手通信局である通信局4(#2)局の情報を確認し、同一の通信局4(#2)局の情報が含まれている回線指定通知を同一と判断する。制御通信部41は、同一と判断した回線指定通知を集めた回線割当要求の組で指定された、衛星通信回線2を衛星回線通信部43に指示する(ST−117)。
衛星回線通信部43は、制御通信部41から指示された衛星通信回線2により通信局4(#2)と通信を行う(ST−18)。同様に、通信局4(#2)では、ST−17C、ST−17Dにより地上局5(#1)および地上局5(#2)から送信された回線指定通知を受信し、回線指定通知により指定された衛星通信回線2により通信局4(#1)との間で通信を行なう。
この様に、回線制御装置7が回線指定通知を通信局4に送信する際に、複数の地上局5を経由させて送信しても衛星通信回線を正しく接続することができる。また、通信局4においては、同一の回線指定通知が、複数の地上局5を経由して複数受信されるが、上記のように、回線指定通知に含まれる相手通信局の情報を確認することにより、重複して受信される回線指定通知の同一性を判断することができる。尚、通信局4において、回線指定通知の同一性を更に確実に判断するため、回線制御装置7の回線指定通知生成部73が回線指定通知を生成する(図9のST−123A、ST−123B)際に、生成する回線指定通知どうし互いに重複しない識別情報を付加し、通信局4の制御通信部41が衛星通信回線2を衛星回線通信部43に指示する(図10のST−117)際において、通信局4の制御通信部41が、回線指定通知に付加された識別情報を確認し同一性を判断するようにしても良い。また、地上局5の衛星系通信部52が回線指定通知を通信局4に送信する(図8のST−17A〜ST−17D)際に、回線制御装置7から地上系通信部51が回線指定通知を受信した時刻である地上局通信部受信時刻を回線指定通知に追加し、通信局4の制御通信部41が、衛星通信回線2を衛星回線通信部43に指示する(図10のST−117)際に、回線指定通知に付加された地上局通信部受信時刻の違いが予め定められた一定の時間の範囲内であることをもとに、同一性を判断するようにしても良い。
実施の形態2.
図11は、本発明の実施の形態2に係る衛星通信システムの構成を示す図である。図11において、図1と同一の構成要素には、同一の符号を付し、説明を省略する。本発明の実施の形態2に関わる衛星通信システムでは、地上局として、実施の形態1の地上局5の機能に加え、回線制御装置7との間で、地上ネットワーク6を介して通信局4または他の地上局5Aとの間の衛星通信回線2の割り当てに関する制御信号やり取りを行い、通信局4と、衛星通信回線2により通信する機能を備えた地上局5Aを備える。また、回線制御装置7Aは、回線制御装置7が回線指定通知を通信局4と相手通信局4とに送信することに加え、地上局5Aが通信局4または他の地上局5Aと衛星通信回線により通信を行う場合は、回線指定通知を、地上局5Aと通信局4または、地上局5Aと他の地上局5Aとに送信する。
地上局5Aは、実施の形態1における地上局5と同様に、地上ネットワーク6を介して通信する地上系通信部51Aと、衛星制御回線3により通信する衛星系通信部52と、地上系通信部51と衛星系通信部52Aとの間で制御信号を相互に中継する中継部53とを備えている。また、地上局5Aは、上記に加えて、地上系通信部51Aにより送信される、衛星通信回線2の割当を要求する回線割当要求を生成する通信回線割当要求生成部54と、地上系通信部51Aにより受信される回線指定通知により指定された衛星通信回線2により通信する地上局衛星通信部55とを備えている。地上系通信部51Aは、通信局4と回線制御装置7Aとの間の制御信号を中継するために送受信することに加え、地上局5A自らと回線制御装置7Aとの間の制御信号を、地上ネットワーク6により送受信する機能を有することが地上系通信部51とは異なる。
回線制御装置7Aは、回線制御装置7と同様に、地上ネットワークを介して通信する回線制御通信部71と、回線制御通信部71が受信した回線割当要求に対して衛星通信回線の割当を行う衛星通信回線割当部72と、衛星通信回線割当部72の割当結果を通信局4または地上局5Aに通知する前記回線指定通知を生成する回線指定通知生成部73とを備えている。また、回線制御装置7Aの地上局管理部74Aは、衛星制御回線3によりそれぞれの通信局4と通信する地上局5Aに加えて、衛星通信回線2により通信する通信局4または地上局5Aを記憶する。さらに、回線制御装置7Aの地上局選択部75Aは、衛星制御回線3によりそれぞれの通信局4と通信する地上局5Aを選択することに加え、地上局5Aが通信を行うための衛星通信回線2を割り当てた場合は、回線指定通知を送信する地上局として、地上局5Aを選択する。
図11に示される、本発明の実施の形態2に係る衛星通信システムは、衛星通信回線2により通信する、地球局とも言われる通信局4、通信局4と衛星制御回線3により接続する複数の地上局5A、および複数の地上局5Aと地上ネットワーク6で接続する回線制御装置7Aを備えている。地上局5Aは、地上系通信部51A、衛星系通信部52、および中継部53により、地上局5と同様に、図2で示された衛星制御回線3により制御信号の送受信を行い、地上ネットワーク6を通じて回線制御装置7Aと接続し、複数の通信局4と接続することができる。尚、図11には、通信局4が1つ、地上局5Aが2つ描かれているが、通信局4、地上局5Aは、それぞれ、図11に描かれている数に限らず、それぞれ任意の個数有って良い。
地上ネットワーク6に接続された地上局5Aのそれぞれが、図2に示される衛星制御回線3の#1〜#nにより、それぞれ1つ以上の通信局4と制御信号の送受信を行うこと、地上局5Aのそれぞれは、図2に示される衛星制御回線3の#1〜#nのそれぞれ1つ以上の制御回線により制御信号の送受信を行うことは、地上局5と同様である。また、回線制御装置7Aと地上ネットワーク6で接続している複数の地上局5Aのそれぞれで制御信号を送受信する衛星制御回線3をあわせると、衛星制御回線#1〜#nの全ての回線について、制御信号の送受信が可能である。
図12は、本発明の実施の形態2に係る衛星通信システムにおける衛星通信回線接続に関するシーケンス図である。図12は、地上局5Aと通信局4との間で、衛星通信回線2により通信を行う場合に、衛星通信回線2を割り当てる手順の例を示す。図11のように、地上局5Aは、通信局4との間で衛星制御回線3により制御信号の通信を行う一方、地上ネットワーク6を介して回線制御装置7と通信する。通信局4は衛星制御回線3を用いて、地上局5A(#1)および地上局5A(#2)と通信し、回線要求等の回線制御に必要な信号を送信し、衛星制御回線3により地上局5A(#2)から回線制御に必要な信号を受信する。これは、図2では、例えば、通信局4が衛星制御回線3の#1を使用し、地上局5A(#1)と地上局5A(#2)が共に、衛星制御回線3の(#1)を介して制御信号の送受信を行う場合に該当する。
通信局4と地上局5A(#1)との間で、衛星通信回線2を介した通信を行うため、通信局4は、地上局5A(#1)との間の衛星通信回線2を要求する回線割当要求を、地上局5A(#1)および地上局5A(#2)と通信する衛星制御回線3により送信する(ST−21)。回線割当要求には、通信局4と相手通信局5Aの情報、複数の地上局5を経由して、回線制御装置7Aに複数受信される回線割当要求のどれが同一であるかを示す識別情報が含まれる。識別情報は、通信局4が生成する回線割当要求毎に固有の情報である。地上局5A(#1)および地上局5A(#2)のそれぞれは、回線割当要求を衛星制御回線3により受信し、受信した回線割当要求をそれぞれ地上ネットワーク6により回線制御装置7Aに送信する(ST−22A、ST−22B)。回線制御装置7Aは、地上局5A(#1)、地上局5A(#2)それぞれから送信される、通信局4からの複数の回線割当要求を同一の回線割当要求と判定し、この回線要求に対して衛星通信回線2の割当を行い、割当てた衛星通信回線2を、通信局4と地上局5A(#1)に通知するため、通信局4(#1)に接続する地上局5A(図12は、通信局4に通知するために地上局5A(#2)が選択された例である)と、地上局5A(#1)に、地上ネットワーク6により回線指定通知を送信する(ST−23A、ST−23B)。
地上局5A(#2)は、通信局4宛の回線指定通知を受信し、受信した回線指定通知を通信局4に中継する。また、地上局5A(#1)は、地上局5A(#1)宛の回線指定通知を受信する(ST−24)。通信局4と地上局5A(#1)は、回線指定通知により指定された衛星通信回線2を介した通信回線を確立する(ST−25)。
図12の通信局4から地上局へ回線割当要求を送信する(ST−21)際の通信局4の内部の動作、および通信局4と地上局5A(#1)との間で通信回線を確立する(ST−25)際の通信局4の内部の動作は、それぞれ、図4(a)および図4(b)と同様である。図13は、本発明の実施の形態2に係る衛星通信システムにおける地上局の衛星通信回線接続に関するシーケンス図である。図13は、図12に示した手順の、回線制御装置7Aへ回線割当要求を送信(ST−22A)する際の地上局5Aの内部の動作を示す。図13は、ST−22Aについて示すが、ST−22Bの場合も、図13と全く同様である。図13において、地上局5Aでは、衛星系通信部52が、通信局4が衛星制御回線により送信した制御信号による回線割当要求を受信し(ST−21)、中継部53に送信する(ST−201)。中継部53は、衛星系通信部52が受信した制御信号による回線割当要求を地上ネットワーク上のメッセージに変換し、送信先を回線制御装置7Aとして地上系通信部51Aに送信する(ST−202)。地上系通信部51Aは、中継部53より取得した回線割当要求に、衛星系通信部52がこの回線割当要求を受信した時刻(地上局受信時刻)を追加し、地上ネットワーク6により回線制御装置7Aに送信する(ST−22A)。
図14は、本発明の実施の形態2に係る衛星通信システムにおける地上局5Aの衛星通信回線接続に関するシーケンス図である。図14(a)は、地上局5Aが、通信局4宛の回線指定通知を受信した場合の動作(図12における地上局5A(#2)の動作)である。地上系通信部51Aは、回線制御装置7Aから回線指定通知を受信した(ST−23A)際に、受信した回線指定通知が通信局4宛であれば、回線指定通知を中継部53に送信する(ST−211)。中継部53は、地上系通信部51Aが受信した回線指定通知を衛星制御回線3上の制御信号に変換し、衛星系通信部52に送信する(ST−212)。衛星系通信部52は、中継部53から取得した回線指定通知を、衛星制御回線3により通信局4に送信する(ST−24)。
図14(b)は、地上局5Aが、自局宛の回線指定通知を受信した場合の動作(図12における地上局5A(#1)の動作)である。地上系通信部51Aは、回線制御装置7Aから回線指定通知を受信した(ST−23B)際に、受信した回線指定通知が自局宛であれば、回線指定通知を地上局衛星通信部55に送信する(ST−214)。地上局衛星通信部55は、回線指定通知により指定された衛星通信回線2を介した通信回線を確立する(ST−25)。
図15は、本発明の実施の形態2に係る衛星通信システムにおける回線制御装置7Aの衛星通信回線接続に関するシーケンス図である。図15は、図12に示した手順における、回線制御装置7Aの動作を示し、回線指定通知を地上局5A(#1)、地上局5A(#2)に送信する(ST−23A、ST−23B)際の回線制御装置7の内部の動作を示す。図15において、回線制御装置7Aでは、回線制御通信部71が、それぞれ回線割当要求を受信した地上局5A(#1)および地上局5A(#2)が地上ネットワーク6により送信した回線割当要求を受信し(ST−22A、ST−22B)、衛星通信回線割当部72に送信する(ST−221A、ST−221B)。衛星通信回線割当部72は、同じ回線割当要求を回線制御通信部71から複数受信すると、同じ通信局4(#1)からの回線割当要求を、回線割当要求に含まれる、通信局4(#1)が付与した識別情報が同一であること、および、回線割当要求に含まれる、地上局5A(#1)、5A(#2)が付与した地上局受信時刻の違いがそれぞれ予め決められた一定の時間の範囲内であることをもとに、同一の回線割当要求と判断する。衛星通信回線割当部72は、同一と判断した回線割当要求を集めた組に対して一度、衛星通信回線2の割当を行い、割当てた衛星通信回線2と、回線割当要求を送信した通信局4および相手通信局である地上局5A(#1)を回線指定通知生成部73に通知する(ST−222)。なお、衛星通信回線割当部72は、受信した回線割当要求を予め定めた所定の時間記憶しておき、その所定の時間内に受信した、同一の通信局からの、通信相手となる相手側通信局が同一の回線割り当て要求を、同一の回線割当要求と判断する。
回線指定通知生成部73は、衛星通信回線割当部72から割当てられた衛星通信回線2を取得すると、通信局4および相手通信局である地上局5A(#1)のそれぞれに割当てられた衛星通信回線2を通知する、通信局4宛および地上局5A(#1)宛の回線指定通知を生成する(ST−223A、ST−223B)。
地上局選択部75Aは、回線指定通知を送る通信局4について、当該の通信局4と衛星制御回線3により接続する地上局5Aを地上局管理部74Aに問い合わせ(ST−224A)、該当する地上局5Aを取得する(ST−225A)。地上局選択部75Aは、取得した地上局5Aが1つであれば、その取得した地上局5Aを回線指定通知の送信先とし、取得した地上局5Aが複数であれば、その中から1つを選択して送信先とする(ST−226A)。また、地上局選択部75Aは、回線指定通知を送る地上局5A(#1)を地上局管理部74Aに問い合わせ(ST−224B)、地上局管理部74Aから、地上局5A(#1)は、衛星通信回線2により通信する地上局5Aであるとの回答を取得する(ST−225B)。地上局選択部75Aは、衛星通信回線2により通信する地上局5A(#1)に対しては、当該の地上局5A(#1)を、送信先とする(ST−226B)。地上局選択部75Aは、回線制御通信部71に対し、選択した送信先の地上局5に、回線指定通知を送信するよう指示する。回線制御通信部71は、それぞれの回線指定通知を、地上ネットワーク6により、地上局選択部75Aが選択した、それぞれの地上局5Aに送信する(ST−23A、ST−23B)。
なお、図12〜図15の例では、通信局4と地上局5A(#1)との間で通信を行うための回線割当要求を、通信局4が生成する場合を説明したが、回線割当要求を地上局5A(#1)が生成する場合について示す。図16は、本発明の実施の形態2に係る衛星通信システムにおける衛星通信回線接続に関するシーケンス図である。図12では、通信局4から地上局5Aに回線割当要求を送信し(ST−21)、地上局5Aは、受信した回線割当要求を回線制御装置7Aに転送する(ST−22A、ST−22B)が、図16では、地上局5A(#1)から、通信回線割当要求生成部54が生成した回線割当要求を、地上系通信部51Aが直接地上ネットワーク6により回線制御装置7Aに送信する(ST−31)。
図16において、回線制御装置7Aは、割当てた衛星通信回線2を、通信局4と地上局5A(#1)に通知するため、通信局4(#1)に接続する地上局5A(図12は、通信局4に通知するために地上局5A(#2)が選択された例である)と、地上局5A(#1)に、地上ネットワーク6により回線指定通知を送信する(ST−32A、ST−32B)。地上局5A(#2)は、通信局4宛の回線指定通知を受信し、受信した回線指定通知を通信局4に中継する。また、地上局5A(#1)は、地上局5A(#1)宛の回線指定通知を受信する(ST−33)。通信局4と地上局5A(#1)は、回線指定通知により指定された衛星通信回線2を介した通信回線を確立する(ST−34)。
図17は、本発明の実施の形態2に係る衛星通信システムにおける地上局の衛星通信回線接続に関するシーケンス図である。図17は、図16に示した手順の、地上局5Aが生成した回線割当要求を回線制御装置7Aに送信する(ST−31)際の地上局5Aの内部の動作を示す。地上局5Aでは、通信回線割当要求生成部54が、通信局4との間の衛生通信回線2を要求する回線割当要求を生成し(ST−231)、地上系通信部51Aは、生成した回線割当要求を、地上ネットワーク6により直接、回線制御装置7Aに送信する(ST−31)。回線割当要求を受信した回線制御装置7Aの動作、回線制御装置7Aが回線制御通知を地上局5A(#1)および地上局5A(#2)送信する動作、地上局5A(#2)が回線指定通知を通信局4に送信する動作、通信局4と地上局5A(#1)との間で回線指定通知により指定された衛星通信回線2を介した通信回線を確立する動作は、図12の場合と全く同様である。
以上のように、この発明の実施の形態2によると、地上局5Aは、通信局4と回線制御装置7Aとの間の制御信号を中継する機能に加え、通信局4との間で衛星通信回線2を介した通信を行えるため、この通信機能を使用して地上局5Aの設定等を行うことができる。このため、地上局5Aのように、実施の形態1の効果に加え、衛星通信システムの維持や再構築を容易にし、災害等が発生しても、サービスを継続することを容易にすることができる。
実施の形態3.
図18は、本発明の実施の形態3に係る衛星通信システムの構成を示す図である。図18において、衛星制御回線3は、その回線を送受信される制御信号の方向により通信局から地上局への上り衛星制御回線3A、地上局から通信局への下り衛星制御回線3Bに分けて記載している。上り衛星制御回線3Aは、複数の通信局から送信されるため、通信局と地上局との間で共通の時間スロットを使ったSlotted ALOHA通信方式により、制御信号の送信、受信を行う必要がある。これに対し、下り衛星制御回線3Bは、地上局のみ送信を行うため、回線毎に常に同じ地上局が送信を行う様にすることで、地上局5は、時間スロットを使用せずに送信することができる。通信局および、地上局は、常時信号を送信する地上局5から時間スロットの基準となるタイミング信号を送信し、そのタイミング信号に同期した時間スロットにより上り衛星制御回線3Aによる送受信を行なう。
衛星通信回線2の割当、開放などの制御は、上り衛星制御回線3Aおよび下り衛星制御回線3Bにより送受される制御信号により行われる。本発明の実施の形態3に関わる衛星通信システムは、衛星通信回線2により通信する、地球局と言われる通信局4A、通信局4Aが送信する制御信号を、上り衛星制御回線3Aにより受信し回線制御装置7Bに送信する複数の上り回線用地上局5B、下り衛星制御回線3Bにより通信局4Aに回線制御装置7Bからの制御信号を送信する下り回線用地上局5C、および地上ネットワーク6により上り回線用地上局5B、下り回線用地上局5Cと通信する回線制御装置7Bとを備えている。なお、図18には、通信局4Aは2つ、上り回線用地上局5Bは2つ、下り回線用地上局5Cは1つ描かれているが、それぞれ図中に描かれた数に限らず、それぞれ任意の個数有って良い。また、回線制御装置7Bのバックアップとなる計算機を地上ネットワーク6に接続しても良い。
通信局4Aは、前述の通り、上り衛星制御回線3Aによる制御信号の送信を行うため、航法信号受信機が無いこと、下り回線用地上局5Cの送信電波を常時受信することが通信局4とは異なる。また、上り回線用地上局5Bは、下り回線用地上装置5Cから下り衛星制御回線により送信される時間スロットの基準となるタイミング信号を受信し、上り衛星制御回線3Aにより通信局4Aからの制御信号を受信する。回線制御装置7Bは、上り回線用地上局5Bと下り回線用地上局5Cとを区別して記憶し、通信局4Aに対する回線指定通知を、下り回線用地上局5Cに送信することが、回線制御装置7および回線制御装置7Aとは異なる。
実施の形態1、2と同様に、衛星通信回線2は、図3のように、異なる周波数帯域を占める、#1〜#mのようにさらに細分化された回線により構成される。また、衛星制御回線3についても、図3のように、異なる周波数帯域を占める、#1〜#nのようにさらに細分化された回線により構成される。回線制御装置7に向けた制御信号を通信局4Aから上り回線用地上局5Bに送信するための上り衛星制御回線3Aや、回線制御装置7からの制御信号を下り回線用地上局5Cから通信局4Aに送信するための下り衛星制御回線3Bは、それぞれ#1〜#nのように細分化された回線のいずれかに割り当てられる。
それぞれの周波数帯域を占める回線には、時間を一定の間隔で区切った時間スロットが設けられ、この時間スロットを使用したSlotted ALOHA通信方式が採用されている。同じ周波数帯域の上り衛星制御回線3Aを使用する複数の通信局4Aと上り回線用地上局5Bは、同じ時間スロットを共有している。この時間スロットを使用することにより、複数の通信局4Aは、同じ周波数帯域を占める上り衛星制御回線3Aにより上り回線用地上局5Bに向けて制御信号を送信することができる。
これに対し、下り衛星制御回線3Bには、時間スロットは定められておらず、下り衛星制御回線3Bに割り当てられる、図2の#1〜#nのいずれかの、周波数帯域により細分化された回線毎に決められた一つの下り回線用地上局5Cが制御信号の送信を行っている。下り回線用地上局5Cは、下り衛星制御回線3Bの特定の周波数帯域で、常時キャリアを送信する。通信局4A及び、上り回線用地上局5Bは、下り回線用地上局5Cが常時送信しているキャリアを受信し、受信したキャリアに含まれる同期信号(スロット開始タイミング)をもとに上り衛星制御回線3Aの時間スロットを生成する。これは、時間スロットを航法衛星8からの航法信号9をもとに生成している実施の形態1、2とは異なる。
通信局4Aは、衛星通信回線2を介する通信を開始する際には、上り衛星制御回線3により衛星通信回線2の割当要求を送信する。通信局4Aは、割当要求に対する応答である回線指定通知を、下り衛星制御回線3により受信し、回線指定通知で指定された衛星通信回線2により他の通信局4Aとの通信を行う。また、通信局4Aは、下り回線用地上局5Cが送信しているスロット開始タイミングを受信し、衛星通信回線2の割当要求を送信する際には、スロット開始タイミングで始まるスロットによりSlotted ALOHA通信方式により、上り衛星制御回線3Aにより送信する。
上り回線用地上局5Bは複数有り、それぞれの上り回線用地上局5Bは、地上ネットワーク6を通じて回線制御装置7と接続している。通信局4Aは、上り衛星制御回線3Aにより、制御信号を上り回線用地上局5Bに送信する。通信局4Aが上り衛星制御回線3Aにより送信する制御信号を、複数の上り回線用地上局5Bが受信する。
複数の上り回線用地上局5Bが同じ周波数帯域の上り衛星制御回線3Aにより制御信号を受信するため、特定の上り回線用地上局5Bが使用不能となっても、同じ回線により制御信号を受信する別の上り回線用地上局5Bが、通信局4Aから送信する制御信号を受信する。この仕組みにより、災害等により特定の上り回線用地上局5Bが使用不能になっても、衛星通信サービスが継続できる。上り回線用地上局5Bは、上り衛星制御回線3Aと、地上ネットワーク6との間の中継を行う。地上局5Bは、通信局4Aが上り衛星制御回線3Aにより送信した割当要求を受信し、地上ネットワーク6により回線制御装置7Bに送信する。
下り回線用地上局5Cは、下り衛星制御回線3Bの、図2の#1〜#nのいずれかの、周波数帯域により細分化された回線毎に一つずつ設けられ、地上ネットワーク6を通じて回線制御装置7Bと接続している。下り回線用地上局5Cは、下り衛星制御回線3Bにより複数の通信局4Aに制御信号を送信する。また、下り回線用地上局5Cは、通信局4Aと上り回線用地上局5Bが上り衛星制御回線3AによりSlotted ALOHA通信方式により通信する際の、時間スロットのスロット開始タイミングを送信する。下り回線用地上局5Cは、回線制御装置7Bから回線指定通知を地上ネットワーク6により受信し、下り衛星制御回線3Bにより通信局4Aに送信する。
回線制御装置7Bは、汎用の計算機などにより構成され、上り回線用地上局5B、下り回線用地上局5Cのそれぞれと地上ネットワーク6により接続されている。
回線制御装置7Bは、通信局4Aが送信した同じ回線割当要求を、送信した通信局4Aに上り衛星制御回線3Aにより接続されるそれぞれの上り回線用地上局5Bから重複して受信する。回線制御装置7Bは、受信した回線割当要求の内、回線割当要求を発した通信局4Aが同じである回線割当要求については、同一の回線割当要求と判断する。回線制御装置7Bは、同一の回線割当要求と判断した回線割当要求毎に衛星通信回線2の割り当てを行う。回線制御装置7Bは、割り当てた衛星通信回線2を通信局4に通知する回線指定通知を生成する。
回線割当要求が、複数ある通信局4Aの内の通信局4A(#1)と通信局4A(#2)間の通信に使用する衛星通信回線2の割当を要求するものである場合、その回線割当要求に対する回線指定通知の通知先は、通信局4A(#1)と通信局4A(#2)である。回線制御装置7Bは、通信局4A(#1)および通信局4A(#2)のそれぞれが制御信号を受信する下り衛星制御回線3Bの同じ周波数帯域の回線により、制御信号を送信する下り回線用地上局5Cを選択し、選択した下り回線用地上局5C経由で回線指定通知を通信局4A(4A(#1)、4A(#2))に送る。通信局4A(#1)と通信局4A(#2)が同一の回線で制御信号を受信する場合は、同一の下り回線用地上局5Cが中継先として選択される。
図18に示される衛星通信システムにおいて、上記の機能を果たす通信局4A、上り回線用地上局5B、下り回線用地上局5C、および回線制御装置7Bの構成を説明する。通信局4Aは、制御通信部41Aと、割当要求生成部42と、衛星回線通信部43と、スロットタイミング生成部45Aとを有する。制御通信部41Aとスロットタイミング生成部45A以外は、通信局4が有する構成と同じである。制御通信部41Aは、上り衛星制御回線3Aにより、スロットタイミング生成部45Aが生成したタイミング信号で開始される時間スロットで上り回線用地上局5Bに制御信号を送信する。スロットタイミング生成部45Aは、制御通信部41Aが下り衛星制御回線3Bにより下り回線用地上局5Cから受信した同期信号であるスロット開始タイミングをもとに、制御通信部41Aが上り衛星制御回線3Aにより上り回線用地上局5に制御信号を送信するための時間スロットを開始するタイミングを生成する。
上り回線用地上局5Bは、地上系通信部51Bと、衛星系通信部52Aと、中継部53Aと、スロットタイミング生成部57Aを有する。衛星系通信部52Aは、上り衛星制御回線3Aにより通信局4Aから回線割当要求などの制御信号を受信するとともに、下り衛星制御回線3Bにより、下り回線用地上局5Cが送信する同期信号である、スロット開始タイミングを受信する。衛星系通信部52Aは、下り回線用地上局5Cから下り衛星制御回線3Bにより受信したスロット開始タイミングをもとに生成されたタイミング信号で開始される時間スロットで、上り衛星制御回線3Aにより通信局4Aから回線割当要求などの制御信号を受信する。スロットタイミング生成部57Aは、衛星系通信部52Aが受信したスロット開始タイミングをもとに、衛星系通信部52Aが上り衛星制御回線3Aにより通信局4Aと通信するための時間スロットを開始するタイミングを生成する。地上系通信部51Aは、地上ネットワーク6により回線制御装置7と通信する。中継部53Aは、衛星系通信部52Aで受信した回線制御装置7への制御信号を、地上系通信部51Bにより送信する。
なお、通信局4Aは、回線制御装置7Bとの間で制御信号の送受信を行うため、少なくとも1つの上り回線用地上局5Bと接続する。特に、衛星通信システムに、接続する上り回線用地上局5Bが災害などにより使用不能となってもサービスを継続することが要求される場合は、複数の上り回線用地上局5Bが、上り衛星制御回線3Aにより通信局4Aから制御信号を受信できるように構成される。
下り回線用地上局5Cは、地上ネットワーク6により回線制御装置7Bと通信する地上系通信部51C、下り衛星制御回線3Bにより通信局4Bに制御信号を送信する衛星系通信部52B、および地上系通信部51Cが受信した制御信号を衛星系通信部2Bに中継する中継部53Bとを有する。また、衛星系通信部52Bは、通信局4A、上り回線用地上局5Bが、Slotted ALOHA通信方式により上り衛星制御回線3Aにより通信する際の時間スロットの同期信号である、スロット開始タイミングを常時送信している。
回線制御装置7Bは、回線制御通信部71と、衛星通信回線割当部72と、回線指定通知生成部73と、地上局管理部74Bと、地上局選択部75とを有する。回線制御装置7Bの構成は、地上局管理部74Bが、それぞれの通信局4Aと通信する上り回線用地上局5Bと下り回線用地上局5Cを記憶すること以外は、回線制御装置7と同じ構成である。
次に、動作について説明する。図19は、本発明の実施の形態3に係る衛星通信システムにおける衛星通信回線接続に関するシーケンス図である。図19は、図18の構成における通信局4A(#1)と、相手通信局である通信局4A(#2)とが通信を行うための衛星通信回線2を接続する手順の例を示している。通信局4A(#1)、通信局4A(#2)はいずれも上り衛星制御回線3Aにより、上り回線用地上局5B(#1)および上り回線用地上局5B(#2)に、回線要求等の回線制御に必要な信号を送信する。
通信局4A(#1)と通信局4A(#2)との間で、衛星通信回線2による通信を行うため、通信局4A(#1)は、相手通信局(通信局4A(#2))との間の衛星通信回線2を要求する回線割当要求を、上り回線用地上局5B(#1)および上り回線用地上局5B(#2)に上り衛星制御回線3Aにより送信する(ST−41)。上り回線用地上局5B(#1)および上り回線用地上局5B(#2)は、それぞれ受信した回線割当要求を地上ネットワーク6により回線制御装置7Bに送信する(ST−42A、ST−42B)。
回線制御装置7Bは、上り回線用地上局5B(#1)、上り回線用地上局5B(#2)それぞれから送信される、同じ通信局4A(#1)からの複数の回線割当要求を同一の回線割当要求と判断し、同一と判断された回線割当要求を集めた組に対して、図2の#1〜#nで示される、一つの衛星通信回線2の割当を行う。回線制御装置7Bは、割当てた衛星通信回線2を、通信局4A(#1)と通信局4A(#2)に通知するため、通信局4A(#1)と通信局4A(#2)のそれぞれに接続する下り回線用地上局5Cに、地上ネットワーク6により回線指定通知を送信する(ST−43A、ST−43B)。
下り回線用地上局5Cは、通信局4A(#1)宛と通信局4A(#2)宛の回線指定通知をそれぞれ受信し、それぞれの回線指定通知を通信局4A(#1)と通信局4A(#2)に下り衛星制御回線3Bにより送信する(ST−44A、ST−44B)。通信局4A(#1)と通信局4A(#2)は、下り衛星制御回線3Bにより受信した回線指定通知により指定された衛星通信回線2を介した通信回線を確立する(ST−45)。
図20は、本発明の実施の形態3に係る衛星通信システムにおける通信局4Aでの衛星通信回線接続に関するシーケンス図である。図20(a)は図19において通信局4Aから上り回線用地上局4Bに回線割当要求を送信する(ST−41)際の通信局4A内部の動作を示す。図20(b)は図19において、回線指定通知を受信し(ST−44A、ST−44B)、回線を確立する(ST−45)際の通信局4Aの内部の動作を示す。図20(a)において、通信局4Aでは、割当要求生成部42が相手通信局(通信局4A(#1)に対する通信局4A(#2))との間の衛星通信回線2の割り当てを要求する回線割当要求を生成する(ST−301)。回線割当要求には、通信局4A(#1)と相手通信局である通信局4A(#2)の情報、複数の地上局5を経由して回線制御装置7Bに複数受信される回線割当要求のどれが同一であるかを示す識別情報が含まれる。が含められる。識別情報は、通信局4Aで回線割当要求が発生される毎に固有の識別情報であり、通信局4Aの端末のアドレスや、乱数、時刻等の情報を組み合せたものなどである。制御通信部41Aは、割当要求生成部42が生成した回線割当要求を、上り衛星制御回線3Aにより地上局5B(#1)および地上局5B(#2)に送信する(ST−41)。
図20(b)において、通信局4A(#1)では、制御通信部41Aが、地上局5Cから送信された回線指定通知を受信する(ST−44A)。制御通信部41Aは、受信した回線指定通知で指定された衛星通信回線2の回線情報を衛星回線通信部43に送信する(ST−303)。同様に、通信局4A(#2)では、ST−44Bにより地上局5Cから送信された回線指定通知により、割り当てられた衛星通信回線2を指定される。衛星回線通信部43は、通信局4A(#2)と、指定された衛星通信回線2により通信を行う(ST−45)。
図21は、本発明の実施の形態3に係る衛星通信システムにおける上り回線用地上局5Bおよび下り回線用地上局5Cの衛星通信回線接続に関するシーケンス図である。図21(a)は図19において通信局4Aから受信した回線割当要求を回線制御装置7Bに送信する(ST−42A)際の、上り回線用地上局5Bの内部の動作を示す。図21(b)は図19において、回線制御装置7Bから受信した回線指定通知を通信局4Aに送信する(ST−44A)際の下り回線用地上局5Cの内部の動作を示す。
図21(a)において、上り回線用地上局5Bでは、衛星系通信部52Aが、上り衛星制御回線3Aにより通信局4Aからの回線割当要求を受信する(ST−41A)。衛星系通信部52Aは、受信した回線割当要求を、中継部に送信する(ST−311)。中継部53Aは、衛星系通信部52Aが受信した制御信号による回線割当要求を地上ネットワーク上のメッセージに変換し、送信先を回線制御装置7Bとして地上系通信部51Bに送信する(ST−312)。地上系通信部51Bは、中継部53Aより取得した回線割当要求に、衛星系通信部52Aがこの回線割当要求を受信した時刻(地上局受信時刻)を追加し、地上ネットワーク6により回線制御装置7Bに送信する(ST−42A)。
図21(b)において、下り回線用地上局5Cでは、地上系通信部51Cが、回線制御装置7Bから送信された回線指定通知を地上ネットワーク6により受信する(ST−43A)。地上系通信部51Cは、受信した回線指定通知を、中継部53Bに送信する(ST−314)。中継部53Bは、地上系通信部51Cが受信した回線指定通知を下り衛星制御回線3B上の制御信号に変換し、衛星系通信部52Bに送信する(ST−315)。衛星系通信部52Bは、中継部53Bから取得した回線指定通知を、下り衛星制御回線3Bにより通信局4Aに送信する(ST−44A)。
図22は、本発明の実施の形態3に係る衛星通信システムにおける回線制御装置7Bの衛星通信回線接続に関するシーケンス図である。図22は、図19に示した手順における、下り回線用地上局5Cに回線指定通知を送信する(ST−43A、ST−43B)際の、回線制御装置7Bの内部の動作を示す。図22において、回線制御装置7Bは、回線制御通信部71が、上り回線用地上局5B(#1)および上り回線用地上局5B(#2)のそれぞれから、地上ネットワーク6により回線割当要求を受信する(ST−42A、ST−42B)。回線制御通信部71は、受信した回線割当要求を、衛星通信回線割当部72に送信する(ST−321A、ST−321B)。衛星通信回線割当部72は、回線制御通信部71から複数送信される同じ回線割当要求を受信する(ST−321A、ST−321B)と、同じ通信局4A(#1)からの回線割当要求を、回線割当要求に含まれる、通信局4A(#1)が付与した識別情報が同一であること、および、回線割当要求に含まれる、上り回線用地上局5B(#1)や上り回線用地上局5B(#2)が付与した地上局受信時刻の違いがそれぞれ予め決められた一定の時間の範囲内であることを基に、同一の回線割当要求と判断し、それらを同一の回線割当要求と判断し、衛星通信回線2の割り当てを行う。衛星通信回線割当部72は、割当てた衛星通信回線2と、回線割当要求を送信した通信局4A(#1)および相手通信局である通信局4A(#2)を、回線指定通知生成部73に送信する(ST−322)。
回線指定通知生成部73は、衛星通信回線割当部72から割当てられた衛星通信回線2と、割当てられた衛星通信回線2の通知先である通信局4A(通信局4A(#1)および通信局4A(#2))を取得すると、通信局4A(#1)宛および通信局4A(#2)宛の回線指定通知を生成する(ST−323A、ST−323B)。
地上局選択部75は、回線指定通知を通知するそれぞれの通信局4Aについて、当該の通信局4Aと下り衛星制御回線3Bにより接続する下り回線用地上局5Cを地上局管理部74Aに問い合わせ(ST−324A、ST−324B)、該当する下り回線用地上局5Cを取得する(ST−325A、ST−325B)。地上局選択部75は、その取得した地上局5Cを回線指定通知の送信先とし、選択した送信先の地上局5Cに、回線制御通信部71から回線指定通知を送信するよう指示する(ST−326A、ST−326B)。回線制御通信部71は、それぞれの回線指定通知を、地上ネットワーク6により、地上局選択部75が選択した、それぞれの下り回線用地上局5Cに送信する(ST−43A、ST−43B)。
図23は、本発明の実施の形態3に係る衛星通信システムにおける衛星通信回線接続に関するシーケンス図である。図23は、図18の構成における通信局4A(#1)と通信局4A(#2)が通信を行うための衛星通信回線2を接続する手順の他の例を示している。図23では、通信局4A(#1)と通信局4A(#2)が、下り衛星制御回線3Bによりそれぞれ異なる下り回線用地上局(例えば、下り回線用地上局5C(#1)と下り回線用地上局5C(#2))に接続する場合を示す。この様な状況は、例えば、通信局4A(#1)と通信局4A(#2)が受信可能な下り衛星制御回線3Bが互いに異なり、さらに、通信局4A(#1)が受信可能な下り衛星制御回線3Bと通信局4A(#2)が受信可能な下り衛星制御回線3Bの両方で制御信号を送信することが可能な下り回線用地上局5Cが存在しない場合等が該当する。
図23において、通信局4Aから上り回線用地上局5Bに回線割当要求を送信し(ST−41)、上り回線用地上局5Bが受信した回線割当要求を回線制御装置7Bに送信する(ST−42A、ST−42B)動作は、図19と同様である。回線制御装置7Bは、上り回線用地上局5B(#1)、上り回線用地上局5B(#2)それぞれから送信される回線割当要求を、地上ネットワーク6により受信する。回線制御装置7Bは、複数の回線割当要求を同一の回線割当要求と判定し、この回線要求に対して衛星通信回線2の割当を行う。回線制御装置7Bは、割当てた衛星通信回線2を通信局4B(#1)と通信局4B(#2)に通知するため、通信局4B(#1)と通信局4B(#2)のそれぞれに接続する地上局5D(図23は、地上局5D(#1)と地上局5D(#2)がそれぞれが選択された例である)に、地上ネットワーク6により回線指定通知を送信する(ST−53A、ST−53B)。
地上局5C(#1)および地上局5C(#2)は、それぞれ通信局4A(#1)宛と通信局4A(#2)宛の回線指定通知を受信し、受信した回線指定通知を通信局4A(#1)と通信局4A(#2)にそれぞれ中継する(ST−54A、ST−54B)。これにより、通信局4A(#1)と通信局4A(#2)は、回線指定通知により指定された衛星通信回線2を介した通信回線を確立する(ST−55)。なお、上り回線用地上局5Bに回線割当要求を送信する(ST−41)際の通信局4Aの内部の動作および、回線指定通知を下り回線用地上局5Cから受信し(ST−54A)、回線を確立させる(ST−55)際の通信局4Aの内部の動作は、それぞれ図20(a)および図20(b)と同様である。回線制御装置7Bに、通信局4Aから受信した回線割当要求を送信する(ST−42A)際の上り回線用地上局5Bの動作は、図21(a)と同様である。また、回線制御装置7Bから受信した回線指定通知を通信局4Aに送信する(ST−54A)際の地上局5Cの内部の動作は、図22Bと同様である。回線指定通知を下り回線用地上局5Cに送信する(ST−53)際の回線制御装置7Bの内部の動作は、図22と同様である。
以上のように、この発明の実施の形態3によると、上り衛星制御回線3Aにより通信局4Aから制御信号の受信を行う上り回線用地上局5Bは、1つの通信局4Aに対して、1以上の上り回線用地上局5Bにより接続するため、上り衛星制御回線3Aを介した制御信号のやり取りに冗長性を持たせることが可能である。この冗長性のため、局地的な災害等が発生しても、通信局4Aに接続する上り回線用地上局5Bの全てが使用不可能にならない限り、通信を継続することができる。
また、下り回線用地上局5Cにおいては、下り衛星制御回線3Bの1つ以上の回線で制御信号の送信を行えれば良く、下り衛星制御回線3Bの全ての回線で制御信号の送信を行える必要が無いため、大規模な送受信設備を構築する必要が無く、予備の下り回線用地上局5Cを設けて冗長性をもたせること、一部の下り回線用地上局5Cに問題が発生した場合などに代替の下り回線用地上局5Cを設置することが容易になる。また、回線制御装置7Bについても、汎用計算機などで地上ネットワーク6上に構築することが可能であるため、地上ネットワーク6上に予備の回線制御装置7Bを設ける、または、地上ネットワーク6上の複数の計算機で回線制御装置7Bを構成するなどの冗長化が容易であり、災害が発生しても通信を継続することができる衛星通信システムを得ることができる。
実施の形態4.
実施の形態3では、通信局4Aと上り回線用地上局5Bは、下り回線用地上局5Cが送信する制御信号から開始タイミングを作成した、上り衛星制御回線3Aの時間スロットにより制御信号の送信、受信を行なう。これに対し、実施の形態4では、通信局4Bと上り回線用地上局5Dは、航法衛星8が送信する航法信号9を受信し、受信した航法信号9をもとに生成したタイミングで開始される時間スロットにより制御信号の送信、受信を行なう。この様に構成すると、通信局4Bと上り回線用地上局5Dは、下り回線用地上局5Cに関わらず上り衛星制御回線3Aにより制御信号の送信、受信を行うことができるため、一部の下り回線用地上局5Cに問題が発生した場合などでも、継続してサービスを継続することができる。
図24は、本発明の実施の形態4に係る衛星通信システムの構成を示す図である。図24に示す衛星通信システムの構成は、航法信号9をもとにした時間スロットにより上り衛星制御回線3Aにより通信する通信局4B、上り回線用地上局5Dをそれぞれ通信局4A、上り回線用地上局5Bの替わりに有する以外は、図18に示す衛星通信システムの構成と同じである。
通信局4Bは、制御通信部41Aと、割当要求生成部42と、衛星回線通信部43と、航法信号受信部44と、スロットタイミング生成部45とを有する。航法信号受信部44と、スロットタイミング生成部45以外は、通信局4Aが有する構成と同じである。また、航法信号受信部44と、スロットタイミング生成部45は、実施の形態1、2における通信局4が有するものと同じである。通信局制御通信部41は、スロットタイミング生成部45が生成したタイミング信号で開始されるスロットで上り衛星制御回線3Aにより上り回線用地上局5Bに制御信号を送信する。
上り回線用地上局5Dは、地上系通信部51Bと、衛星系通信部52と、中継部53Aと、航法信号受信部56と、スロットタイミング生成部57を有する。上り回線用地上局5Dは、航法信号受信部56と、スロットタイミング生成部57以外は、上り回線用地上局5Bが有する構成と同じである。また、航法信号受信部56と、スロットタイミング生成部57は、実施の形態1、2における地上局5が有するものと同じである。衛星系通信部52Aは、スロットタイミング生成部57が生成したタイミング信号で開始されるスロットで上り衛星制御回線3Aにより通信局4Bから制御信号を受信する。
図24の構成における通信局4B(#1)と、通信局4B(#1)が通信を行う相手通信局である通信局4B(#2)が通信を行うための衛星通信回線2を接続する手順は、図19において、通信局4A(#1)、通信局4A(#2)を通信局4B(#1)、通信局4B(#2)に置き換えたものと全く同じである。
また、図24の構成における通信局4Bの動作は、図20(a)において、通信局4Aを通信局4Bに、上り回線用地上局5Bを上り回線用地上局5Dに置き換えたものと全く同じである。さらに、図24の構成における上り回線用地上局5Dの動作は、図21(a)において、通信局4Aを通信局4Bに、上り回線用地上局5Bを上り回線用地上局5Dに置き換えたものと全く同じである。
以上のように、この発明の実施の形態4によると、通信局4Bとの間で、上り衛星制御回線3Aにより制御信号の受信を行う上り回線用地上局5Dは、1つの通信局4B対して、1以上の上り回線用地上局5Dにより接続するため、上り衛星制御回線3Aを介した制御信号のやり取りに冗長性を持たせることが可能である。この冗長性のため、局地的な災害等が発生しても、通信局4Bに接続する上り回線用地上局5Dの全てが使用不可能にならない限り、通信を継続することができる。
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の変形、省略が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲により示される。そして、特許請求の範囲及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
本出願は、2014年2月13日に出願された、明細書、特許請求の範囲、図および要約書を含む、日本国出願2014−025583号に基づく優先権を主張するものである。日本国出願2014−025583号の開示内容は参照により全体として本出願に含まれる。