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JP6211991B2 - 加速度発生装置 - Google Patents

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JP6211991B2 JP2014110284A JP2014110284A JP6211991B2 JP 6211991 B2 JP6211991 B2 JP 6211991B2 JP 2014110284 A JP2014110284 A JP 2014110284A JP 2014110284 A JP2014110284 A JP 2014110284A JP 6211991 B2 JP6211991 B2 JP 6211991B2
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Description

本発明は、擬似的な力覚を利用者に知覚させる技術に関し、特に多自由度の力覚を知覚させる技術に関する。
非特許文献1には、擬似的な並進方向の力覚を知覚させる2個のアクチュエーターを振動方向が互いに直交するように配置することで、2自由度の擬似的な並進力覚を知覚させることができることが記載されている。
暦本純一,"Traxion:仮想力覚提示デバイス",WISS2013.
しかし、この方法では、X自由度(Xは1以上の整数)の擬似的な力覚を知覚させるためにはX個のアクチュエーターを接合しなければならず、装置が大きくなってしまう。
本発明の課題は、小型の装置で多自由度の擬似的な力覚を知覚させることである。
上記課題を解決するために、支持部と、永久磁石を含み、支持部に対して周期的な運動を行う一体部材と、支持部に対する相対位置が固定され、流された電流に応じた加速度を一体部材に与えるN個の第1コイルと、を有し、Nは2以上の整数であり、第1コイルのそれぞれは、少なくとも、支持部に対して定まる第1層に位置し、一体部材は、第1層に沿った第2層に位置し、第1層に沿った周期的な運動を行う、加速度発生装置が提供される。
以上の構成により、小型の装置で多自由度の擬似的な力覚を知覚させることができる。
図1は第1実施形態の加速度発生装置を例示した斜視図である。 図2は第1実施形態の加速度発生装置を例示した分解斜視図である。 図3は第1実施形態の加速度発生装置を例示した平面図である。 図4Aは第1実施形態の支持部を例示した平面図であり、図4Bは支持部を除いた加速度発生装置を例示した平面図である。 図5Aは図3の5A−5A断面図であり、図5Bは図3の5B−5B断面図である。 図6は第1実施形態の加速度発生装置を制御するための機能構成を例示したブロック図である。 図7Aは第1実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための図3の5A−5A断面図である。図7Bは第1実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための平面図である。 図8Aは第1実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための図3の5B−5B断面図である。図8Bは第1実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための平面図である。 図9Aは第1実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための図3の5A−5A断面図である。図9Bは第1実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための図3の5B−5B断面図である。図9Cは第1実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための平面図である。 図10Aは第1実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための図3の5A−5A断面図である。図10Bは第1実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための平面図である。 図11Aおよび図11Bは第1実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための平面図である。 図12は第2実施形態の加速度発生装置を例示した平面図である。 図13は第2実施形態の支持部を例示した平面図である。 図14Aは図12の14A−14A断面図であり、図14Bは図12の14B−14B断面図である。 図15Aは第2実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための図12の14A−14A断面図である。図15Bは第2実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための平面図である。 図16Aは第2実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための図12の14B−14B断面図である。図16Bは第2実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための平面図である。 図17Aは第2実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための図12の14A−14A断面図である。図17Bは第2実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための図12の14B−14B断面図である。図17Cは第2実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための平面図である。 図18Aは第2実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための図12の14A−14A断面図である。図18Bは第2実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための平面図である。 図19は第3実施形態の加速度発生装置を例示した平面図である。 図20Aは図19の20A−20A断面図であり、図20Bは図19の20B−20B断面図であり、図20Cは図19の20C−20C断面図である。 図21Aおよび図21Bは、第3実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための平面図である。 図22は、第3実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための平面図である。 図23Aおよび図23Bは、第3実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための平面図である。 図24Aは第4実施形態の加速度発生装置を例示した平面図であり、図24Bは図24Aの24B−24B断面図である。 図25Aおよび図25Bは、第4実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための平面図である。 図26Aは第4実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための平面図である。 図27Aは第5実施形態の加速度発生装置を例示した平面図であり、図27Aは第5実施形態の加速度発生装置を例示した正面図である。 図28Aは図27Aの28A−28A断面図であり、図28Bは図27Aの28B−28B断面図である。 図29Aは図27Bの29A−29A断面図であり、図29Bは図27Bの29B−29B断面図である。 図30Aは第5実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための図27Aの28A−28A断面図である。図30Bは第5実施形態の加速度発生装置の動作を説明するための図27Bの29B−29B断面図である。 図31は第6実施形態の加速度発生装置を例示した平面図である。 図32Aは図31の32A−32A断面図であり、図32Bは図31の32B−32B断面図である。 図33Aから図33Eは加速度発生装置の変形例を説明するための概念図である。 図34Aから図34Gは加速度発生装置の変形例を説明するための概念図である。ただし、図34Aおよび34Bは平面図であり、図34Cおよび図34Dは、それぞれ図34Aおよび34Bの透過正面図である。また、図34Eは平面図であり、図34Fは図34Eの透過正面図であり、図34Gは透過正面図である。 図35Aから図35Fは加速度発生装置の変形例を説明するための概念図である。ただし、図35Aは平面図であり、図35Bは図35Aの透過正面図である。図35Cは平面図であり、図35Dは図35Cの透過正面図である。 図36Aは加速度発生装置の変形例を示した平面図である。図36Bは図36Aの36B−36B断面図である。 図37Aは加速度発生装置の変形例を示した平面図である。図37Bは図37Aの37B−37B断面図である。 図38Aは加速度発生装置の変形例を示した平面図である。図38Bは図38Aの38B−38B断面図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。
[概要]
各実施形態で説明する加速度発生装置の概要を説明する。
各実施形態で説明する加速度発生装置は、(1)支持部と、(2)永久磁石を含み、支持部に対して周期的な運動を行う一体部材と、(3)支持部に対する相対位置が固定され、流された電流に応じた加速度を一体部材に与えるN個の第1コイルと、を有する。ただし、Nは2以上の整数であり、第1コイルのそれぞれは、少なくとも、支持部に対して定まる第1層に位置し、一体部材は、第1層に沿った第2層に位置し、第1層に沿った周期的な運動を行う。なお、第1層は、支持部に対して相対位置が定まる仮想的な層であり、例えば、支持部に対して相対位置が定まる仮想的な第1平面を含む。第2層は、支持部に対して相対位置が定まる仮想的な層であり、例えば、支持部に対して相対位置が定まる仮想的な第2平面を含む。例えば、第1層と第2層とは互いに隣接する層であり、第1平面と第2平面は互いに略平行(平行または実質的に平行)である。第1コイルのそれぞれは、少なくとも、第1層に位置していればよい。すなわち、第1コイルのそれぞれは、第1層のみに配置されていてもよいし、第1層とそれ以外の領域とに配置されていてもよい。また、一体部材は、1個または複数個の永久磁石を含む。一体部材内での永久磁石の相対位置は固定されている。ただし、永久磁石の形状や配置に制限はない。例えば、永久磁石が板状の磁石であり、その一方の板面が一方の磁極(例えば、N極)であり、その裏面が他方の磁極(例えば、S極)であってもよいし(表裏面で磁極が異なる)、永久磁石が板状または棒状の磁石であり、その一端(例えば板面の右側)が一方の磁極(例えば、N極)であり、他端(例えば板面の左側)が他方の磁極(例えば、S極)であってもよい(表裏面では磁極が同じ)。また、一体部材内での永久磁石の配置に制限はない。例えば、一体部材内で永久磁石の一方の磁極が第1層側を向き、他方の磁極がその反対側を向くように配置されていてもよいし、両方の磁極が第2層に沿った方向を向くように配置されてもよい。
このような構成の場合、N個の第1コイルに供給する電流を制御することで、一体部材に第1層(および第2層)に沿った多自由度の加速度を与えることができ、一体部材に多自由度の周期的な運動を行わせることができる。これにより、複数個のアクチュエーターを組み合わせることなく、多自由度の擬似的な力覚を提示できる。また上述の構成では、永久磁石側が支持部に対して運動を行い、第1コイル側は支持部に対して運動しない。そのため、使用劣化による第1コイルの断線が生じにくく、コイル側が可動する構成に比べて耐久性が高い。さらに、擬似的な力覚を明確に知覚させるためには運動を行う部材にある程度の重量を持たせることが必要である。上述の構成では、質量が大きな永久磁石を含む一体部材が周期的な運動を行うため、コイル側が周期的な運動を行う構成に比べ、簡易な構成で擬似的な力覚を明確に知覚させることができる。また、Nを3以上の整数とした場合、並進2自由度、回転1自由度の擬似的な力覚を提示することができる。また、第1コイルのそれぞれに流す電流の「大きさ」および「周波数」の少なくとも一方を制御可能としてもよい。これにより、複数の第1コイルが一体部材に与える力の合成ベクトルの向き、および、一体部材の加速度運動の各方角の周波数成分、の少なくとも一方が制御可能となる。その結果、擬似的な力覚を任意の方角(例えば、360°の方角から選択した任意の方角)に提示することが可能となる。
また、第1コイルのそれぞれは、第1層(第1層内)の互いに異なる領域に偏って配置されることが望ましい。これにより、多自由度の擬似的な力覚を明確に区別して提示できる。さらに、第1コイルのそれぞれは、第1層の基準位置(例えば、加速度発生装置の重心を通る直線が第1層と直交する位置)に対して、第1層に沿ったN個の方角(互いに異なる方角)のそれぞれに位置することがより望ましい。言い換えると、第1コイルのそれぞれは、これらのN個の方角のそれぞれに偏った配置となることが望ましい。これにより、第1層に沿った並進方向の加速度だけではなく、第1層に沿った回転方向の加速度をも一体部材に与えることができる。すなわち、一体部材は、少なくとも、第1層に沿った並進2自由度または回転1自由度の運動(並進運動または回転運動)を行うことができる。この場合、並進力覚の提示だけではなく、並進力覚の提示方向を回転させたり、回転力覚を提示したりできる。なお、「並進力覚」とは、並進運動する物体の進行方向の力覚(すなわち、直線方向の力覚)を意味し、「回転力覚」とは、回転運動する物体の回転方向の力覚を意味する。また、「疑似的な力覚」とは、実際には物体(擬似力覚発生装置)が並進運動や回転運動をする力が外界から働いていないにも関わらず、あたかも並進や回転方向へ動きそうな力が働いているような知覚が生成されることをいう。
さらに、加速度発生装置が、流された電流に応じ、第1層から第2層に向かう第1方向成分を持つ加速度および第2層から第1層に向かう第2方向成分を持つ加速度の少なくとも一方を一体部材に与える第2コイルをさらに有してもよい。この場合、一体部材は、第1方向成分の加速度を持つ運動および第2方向成分の加速度を持つ運動を繰り返す周期的な運動を行う。これにより、より自由度の高い擬似的な力覚を提示できる。
また、加速度発生装置が、支持部に対する相対位置が固定され、流された電流に応じた加速度を一体部材に与えるM個の第3コイルをさらに有してもよい。ただし、Mは1以上の整数であり、第3コイルのそれぞれは、少なくとも、第2層に沿った第3層に位置し、第2層は第1層と第3層との間に位置する。すなわち、第3コイルのそれぞれは、第3層のみに位置していてもよいし、第3層とその他の領域とに位置していてもよい。第3層は、支持部に対して相対位置が定まる仮想的な層であり、例えば、支持部に対して相対位置が定まる仮想的な第3平面を含む。例えば、第3層と第2層とは互いに隣接する層であり、第3平面と前述の第2平面は互いに略平行(平行または実質的に平行)である。すなわち、一体部材が位置する第2層が、第1コイルが位置する第1層と第3コイルが位置する第3層との間に位置していてもよい。これにより、より大きな加速度を一体部材に与えることができ、より明確な力覚を提示することが可能となる。
特に、第1コイルのそれぞれと第3コイルのそれぞれとを位置合わせしておくことが望ましい。すなわち、N=Mであり、n=1,・・・,Nであり、第1コイルC(1),・・・,C(N)のそれぞれC(n)は、第3コイルC(1),・・・,C(N)のそれぞれC(n)に位置合わせされていることが望ましい。例えば、コイルC(n)の第2層側の領域の中心と前記コイルC(n)の第2層側の領域の中心とを結ぶ直線が、それぞれ、前述の第2層の第2平面と略垂直に交差する配置とすることが望ましい。そして、第1コイルC(1),・・・,C(N)のC(n)が第1層から第2層に向かう成分(第1加速度成分)を持つ加速度を一体部材に与えるときに、第3コイルC(1),・・・,C(N)のC(n)が第3層から第2層に向かう成分(第2加速度成分)を持つ加速度を一体部材に与えるように制御する。これにより、一体部材を所定の姿勢(例えば、第2平面と略平行)に保ったまま、一体部材を第1層(および第3層)に沿って運動させることができる。このような効果を十分に得るためには、第1加速度成分の大きさと第2加速度成分の大きさとをほぼ等しく(例えば、等しく)しておくことが望ましい。例えば、第1コイルC(1),・・・,C(N)のC(n)と、第3コイルC(1),・・・,C(N)のC(n)とを電気的に直列接続しておけば、第1加速度成分の大きさと第2加速度成分の大きさとをほぼ等しくできる。なお、一体部材内で永久磁石の一方の磁極(例えば、N極)が第1層側を向き、他方の磁極(例えば、S極)が第3層側を向くように配置されている場合、第1コイルC(n)の一体部材側の位置(例えば、一体部材に対向する位置)での電流の向きと、第3コイルC(n)の一体部材側の位置(例えば、一体部材に対向する位置)での電流の向きとを、互いに逆向きにすることで、このような構成を実現できる。
また、上記の周期的な運動は、所望の方向の加速度の時間変化と当該所望の方向の逆方向の加速度の時間変化とが異なる周期的な運動、および、所望の回転方向の角加速度の時間変化と当該所望の回転方向の逆回転方向の角加速度の時間変化とが異なる周期的な運動、の少なくとも一方を含む。このような運動を行うことで、加速度発生装置は擬似的な力覚を提示する。
また、加速度発生装置がさらに弾性体を有し、弾性体のある部位の相対位置が支持部に対して保持されており、弾性体の他の部位が一体部材を支持していてもよい。これにより、一体部材の制御や姿勢を安定させることができ、明確な力覚を提示できる。
以下では、図面を用いて各実施形態を詳細に説明する。
[第1実施形態]
<構成>
図1から図5に例示するように、本実施形態の加速度発生装置1は、容器11と支持部12(上蓋)とコイル13−1〜13−4(第1コイル)と一体部材14と弾性体15とを有する。
容器11は、1つの開放口113を持つ中空の収納部材である。容器11の形状に限定はないが、本実施形態では円筒の一方の開放端を閉じ、他方の開放端を開放口113とした中空形状の部材を容器11とする。なお、容器11の材質は、加速度発生装置1で発生した加速度を外部に伝達可能なものであれば、どのようなものであってもよい。このような材質の例は、ABS樹脂等の合成樹脂、銅等の金属、ガラス、木材、ゴムなどである。
支持部12は、中心付近に貫通孔121を持つ部材である。容器11の開放口113に取り付け可能であり、容器11に対する相対位置を固定できるのであれば、支持部12の形状に限定はない。本実施形態では、中心付近に貫通孔121を持つ円盤状(すなわち、ドーナツ形状)であって、その外周の辺縁部122が容器11の開放口113の内周にはめ込まれる形状の部材を支持部12とする。図4A等に例示するように、本実施形態の支持部12の一方の板面には、貫通孔121から放射状に当該板面に沿った4本の溝123−1〜123−4が形成されている。言い換えると、溝123−2および123−4は貫通孔121を横切る軸α上に配置され、溝123−1および123−3は貫通孔121を横切る軸α上に配置されている。ただし、軸αと軸αとは貫通孔121上で互いに略直交している。すなわち、略直交する2つの軸αおよびα方向にそれぞれ2本ずつの溝123−2,123−4および123−1,123−3が形成されている。なお、支持部12は、容器11に取り付けられた際に当該容器11に対する相対位置を固定可能な材質で構成される。このような材質の例は、ABS樹脂等の合成樹脂、ガラス、木材、ゴムなどである。また後述のように、溝123−1〜123−4付近は電磁石の磁心として機能するため、4本の溝123−1〜123−4付近に飽和磁束密度の大きな軟鉄等の金属が配置されていてもよい。ただし、4本の溝123−1〜123−4付近に配置される金属は互いに独立していることが望ましい。
コイル13−1〜13−4は、表面に絶縁層を持つ導電部材からなる導線であり、例えば、エナメル線等である。本実施形態のコイル13−1〜13−4は、それぞれ、支持部12の貫通孔121および辺縁部122を通り、溝123−1〜123−4およびそれらの裏面側に位置する内側領域124−1〜124−4に沿って、支持部12に巻き付けられている(図5Aおよび図5B)。すなわち、コイル13−β(ただし、β=1,・・・,4)は、貫通孔121および辺縁部122を通り、溝123−βおよび内側領域124−βの周りに巻き付けられている。つまり、略直交する2つの軸αおよびα方向にそれぞれ2本ずつのコイル13−2,13−4およびコイル13−1,13−3が支持部12に巻き付けられている。このような4個のコイル13−1〜13−4の巻き付け方向を「縦巻き方向」と呼ぶことにする。言い換えると、4個のコイル13−1〜13−4の巻き付け方向は、それぞれ、支持部12の板面に沿った軸(板面と略平行な支持部12内の仮想的な軸)の軸周りの方向である。以上により、コイル13−1〜13−4は支持部12に支持され、支持部12に対する相対位置が固定されている。
4個のコイル13−1〜13−4が巻き付けられた支持部12は、容器11の開放口113に取り付けられている(図5Aおよび図5B)。具体的には、支持部12の内側領域124−1〜124−4が容器11の内側に向けられ、支持部12が容器11の内側の底面112と略平行に配置され、支持部12の外周の辺縁部122が容器11の内周壁面111に固定されている。これにより、コイル13−1〜13−4のそれぞれが、少なくとも、支持部12に対して定まる第1層L11に配置されている。言い換えると、コイル13−β(ただし、β=1,・・・,4)のそれぞれの内側領域124−β側の部分が第1層L11に位置している。以上のような配置構成により、コイル13−1〜13−4のそれぞれは、第1層L11の互いに異なる領域に偏って配置されており、より具体的には、第1層L11の基準位置(貫通孔121)に対して、第1層L11に沿った4個の方角のそれぞれに位置している(図3,5A,5B)。
容器11の内部には一体部材14と一体部材14を支持する弾性体15とが配置されている。弾性体15は、一体部材14を所定の復帰位置に戻す弾性力(反発力)を生じる機構や部材である。このようなものであれば弾性体15の構成に限定はない。本実施形態では、ゴム等の弾性材料から構成されたドーナツ形状の弾性体15(例えば、ゴムチューブ)を例示する。一体部材14は永久磁石を有する実質的な剛体(剛体とみなせる物体)である。一体部材14の構成に限定はない。複数の永久磁石の組み合わせで構成されていてもよいし、1個の永久磁石で構成してもよい。本実施形態では、円盤状の1個の永久磁石を一体部材14とする。この一体部材14の一方の板面はN極142とされ、他方の板面はS極143とされている。本実施形態の一体部材14および弾性体15は支持部12と容器11の内側の底面112との間に配置され、弾性体15の外周の辺縁部152は容器11の内周壁面111に支持され、弾性体15の内周の辺縁部151は一体部材14の外周の辺縁部141を支持している。弾性体15は、一体部材14の板面(N極142およびS極143の面)が底面112および支持部12と略平行に配置され、かつ、これらの板面が底面112および支持部12と接触しないように一体部材14を保持する。ただし、一体部材14と底面112との間の摩擦力が小さく、一体部材14が底面112の上を滑るように移動可能なのであれば、一体部材14と底面112とが接していてもよい。また本実施形態では、一体部材14のN極142が支持部12側に配置され、S極143が容器11の底面112側に配置されている。しかしながら、一体部材14のN極142が容器11の底面112側に配置され、S極143が支持部12側に配置されてもよい。また、弾性体15の外周の辺縁部152は容器11の内周壁面111に固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。弾性体15の内周の辺縁部151は一体部材14の外周の辺縁部141に固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。要は、弾性体15の辺縁部151(ある部位)の相対位置が支持部12に対して保持されており、弾性体15の辺縁部151(他の部位)が一体部材14を支持していればよい。
以上により、コイル13−1〜13−4の相対位置が容器11に対して固定され、コイル13−1〜13−4それぞれの少なくとも一部が第1層L11に配置され、一体部材14が容器11の内周壁面111に支持された弾性体15に支持される。これにより、一体部材14が第1層L11に沿った第2層L12に配置され、容器11内を底面112に沿って移動可能とされる。本実施形態の一体部材14は、少なくとも、第1層L11に沿った2自由度の並進運動または1自由度の回転運動を行うことが可能である。弾性体15は一体部材14を容器11内の所定の復帰位置に復帰させるための弾性力を一体部材14に与える。少なくとも一体部材14が復帰位置に存在する場合、コイル13−1〜13−4の内側領域124−1〜124−4に位置する部分のそれぞれが一体部材14に対向している。コイル13−1〜13−4は、フレミングの左手の法則で説明されるローレンツ力の反作用により、流された電流に応じた力(加速度)を一体部材14に与える。すなわち、コイル13−1〜13−4のそれぞれに流れる電流の向き・大きさおよび一体部材14の磁場に応じ、一体部材14に様々な方向・大きさの力が与えられ、それらの合成ベクトルに相当する力が一体部材14に与えられる。これらの力により、一体部材14は第1層L11に沿った(例えば、容器11の底面112および支持部12と略平行な)周期的な運動(支持部12に対する運動)を行う。この周期的な運動は、コイル13−1〜13−4のそれぞれに流れる電流の向きおよび大きさによって制御できる。ここで、加速度または角加速度の向きによって加速度または各速度の大きさの時間変化が異なるように制御した場合、一体部材14に与えられた力(加速度)の反作用として、コイル13−1〜13−4を支持する容器11に逆方向の力(加速度)が加わり、加速度発生装置1を把持しているユーザは容器11に与えられた運動に応じた擬似的な力覚を知覚する。例えば、一体部材14がある特定方向へ加速する期間とその逆方向へ加速する期間と繰り返す周期的な運動を行う場合、ある方向へ加速する期間での加速度の時間変化とその逆方向へ加速する期間での加速度の時間変化とを非対称とすることで、加速度発生装置1の容器11を握るユーザに、その特定方向と逆方向に引っ張られるような力覚(並進力覚)を呈示できる。また、一体部材14が特定の回転方向の角加速度の期間とその逆回転方向の角加速度の期間と繰り返す周期的な運動を行う場合、特定の回転方向の角加速度の期間での角加速度の時間変化とその逆回転方向の角加速度の期間での角加速度の時間変化とを非対称とすることで、特定の回転方向と逆回転方向に回転するような力覚(回転力覚)を呈示できる。これらの動作の詳細は後述する。
<機能構成>
図6に例示するように、本実施形態の加速度発生装置1は、コイル13−1〜13−4に供給する電流または印加する電圧を制御する制御部18に接続され、制御部18は提示する力覚を指定する力覚指定部19に接続される。制御部18および力覚指定部19は、例えば、CPU(central processing unit)等のプロセッサ(ハードウェア・プロセッサ)やRAM(random-access memory)等のメモリ等を備える汎用または専用のコンピュータに、所定のプログラムが読み込まれて構成される装置である。制御部18および力覚指定部19を構成する一部またはすべての処理部が電子回路(circuitry)によって構成されていてもよい。
力覚指定部19には、どのような力覚を提示するのかを指定するための情報(指定情報)が入力される。指定情報の例は、力覚の提示方向を特定する情報、力覚の強さを特定する情報などである。力覚指定部19は、入力された指定情報が特定する力覚を提示させるための制御信号を制御部18に送る。制御部18は、入力された制御信号に応じ、コイル13−1〜13−4に供給する電流またはコイル13−1〜13−4に加える電圧を制御する。加速度発生装置1は、コイル13−1〜13−4に流された電流に応じた動作を行い、これにより、指定情報によって特定された力覚を提示する。
<動作>
次に、加速度発生装置1の動作を詳細に説明する。
一体部材14が支持部12に対して所望の方向と逆方向に加速する期間と所望の方向に加速する期間とを交互に繰り返す周期的な並進運動を「並進周期運動」と呼ぶことにする。また、一体部材14が支持部12に対して所望の回転方向と逆回転方向の角加速度となる期間と、所望の回転方向の角加速度となる期間と、を交互に繰り返す周期的な回転運動を「回転周期運動」と呼ぶことにする。加速度発生装置1は、所望の方向の加速度の時間変化とその逆方向の加速度の時間変化とが異なる並進周期運動(「偏並進周期運動」と呼ぶ)を行うことによって擬似的な並進力覚を提示でき、所望の回転方向の角加速度の時間変化とその逆回転方向の角加速度の時間変化とが異なる回転周期運動(「偏回転周期運動」と呼ぶ)を行うことによって擬似的な回転力覚を提示できる。加速度発生装置1は、支持部12に対して一体部材14を回転させながら並進力覚を提示するか、または、支持部12に対して一体部材14を回転させた後に並進力覚を提示することで、並進力覚の提示方向を回転させることもできる。なお、このような擬似的な力覚が知覚される現象は、人間の知覚特性に基づくものであり、把持動作に関わる固有感覚と触覚によって発生するものである(例えば、参考文献1「特許第4551448号公報」参照)。特に、80Hzまたは80Hz付近の周波数成分は、動物(人を含む)の皮膚・筋・腱の受容器の中で、方向や加速度の知覚に寄与する受容器の神経活動を最も活発化させる周波数である。そのため、80Hzまたはその付近の周波数成分を持つ加速度が与えられた人(動物)は強い力覚や動きを知覚する。そのため、一体部材14の周期的な運動が80Hzまたはその付近の周波数成分を持つものである場合、より明確な力覚を提示できる。また、加速度発生装置1の共振周波数(固有周波数)を80Hzまたは80Hz近傍にすると、少ない電力で、加速度発生装置1に80Hzまたは80Hz付近の周波数成分を持つ加速度運動を行わせることができる。以降、本実施形態の制御処理を具体的に説明する。
≪C1方向とその逆方向の並進運動からなる偏並進周期運動(図7Aおよび図7B)≫
支持部12に沿ったコイル13−3からコイル13−1に向かうC1方向に一体部材14を並進運動させる場合には、内側領域124−2に位置するコイル13−2の部分(一体部材14のN極142側)に支持部12の内側から外周側に向かうA2方向の電流が流れるように制御し、内側領域124−4に位置するコイル13−4の部分(一体部材14のN極142側)に支持部12の外周側から内側に向かうA4方向の電流が流れるように制御する。これにより、コイル13−2は一体部材14のN極142側にB2方向(コイル13−3からコイル13−1に向かう方向)の力を与え、コイル13−4は一体部材14のN極142側にB4方向(コイル13−3からコイル13−1に向かう方向)の力を与える。これらの一体部材14に与えられる力は、前述のようにローレンツ力の反作用によるものである。結果として、一体部材14には、容器11を基準としたB2方向の力とB4方向の力との合力であるC1方向の力が与えられ、一体部材14がC1方向に加速する。その反作用としてC1方向の逆方向の力が、コイル13−2,13−4を支持する容器11に伝わり、容器11がC1方向と逆方向に加速される。次に、一体部材14が弾性体15を押すため、弾性体15が弾性変形する。ここで、コイル13−2,13−4に電流を流すのを止めると、弾性体15の弾性力により、一体部材14はC1方向と逆方向に押し戻される。ここで、コイル13−2,13−4に電流を流す期間と電流を流さない期間を適切にとると、一体部材14のC1方向の加速度の時間変化とC1方向の逆方向の加速度の時間変化とを非対称にでき、その反作用として容器11に非対称の力(加速度)を発生させることができる。例えば、一体部材14のC1方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)がC1方向の逆方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)よりも大きくなるように制御すると、加速度発生装置1を把持しているユーザは、C1方向と逆方向の擬似的な力覚を知覚する。逆に、例えば、C1方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)がC1方向の逆方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)よりも小さくなるように制御すると、加速度発生装置1を把持しているユーザは、C1方向の力覚を知覚する。
また、コイル13−2および13−4に上記の逆方向の電流を流してもよい。すなわち、内側領域124−2に位置するコイル13−2の部分にA2方向の逆方向の電流が流れるように制御し、内側領域124−4に位置するコイル13−4の部分にA4方向の逆方向の電流が流れるように制御する。この場合、一体部材14にはC1方向の逆方向の力が与えられ、一体部材14がC1方向の逆方向に加速する。その反作用としてC1方向の力が、コイル13−2および13−4を支持する容器11に伝わり、容器11がC1方向に加速される。次に、一体部材14が弾性体15を押すため、弾性体15が弾性変形する。ここで、コイル13−2,13−4に電流を流すのを止めると、弾性体15の弾性力により、一体部材14はC1方向に押し戻される。ここで、コイル13−2および13−4に電流を流す期間と電流を流さない期間を適切にとると、一体部材14のC1方向の加速度の時間変化とC1方向の逆方向の加速度の時間変化とを非対称にでき、その反作用として容器11に非対称の力(加速度)を発生させることができる。例えば、一体部材14のC1方向の逆方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)がC1方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)よりも大きくなるように制御すると、加速度発生装置1を把持しているユーザは、C1方向の擬似的な力覚を知覚する。逆に、例えば、C1方向の逆方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)がC1方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)よりも小さくなるように制御すると、加速度発生装置1を把持しているユーザは、C1方向の逆方向の力覚を知覚する。
その他、内側領域124−2に位置するコイル13−2の部分にA2方向の電流が流れるように制御し、内側領域124−4に位置するコイル13−4の部分にA4方向の電流が流れるように制御する期間と、それらの逆方向の電流が流れるように制御する期間とを繰り返してもよい。前者の期間では、一体部材14には、容器11を基準としたB2方向の力とB4方向の力との合力であるC1方向の力が与えられ、一体部材14がC1方向に加速する。後者の期間に切り替わると、一体部材14には、容器11を基準としたC1方向の逆方向の力が与えられ、一体部材14がC1方向の逆方向に加速する。その反作用としてC1方向の力が、コイル13−2,13−4を支持する容器11に伝わり、容器11がC1方向に加速される。さらに前者の期間に切り替わると、一体部材14がC1方向に加速し、その反作用としてC1方向の逆方向の力が容器11に伝わり、容器11がC1方向の逆方向に加速される。ここで、前者の期間と後者の期間とを適切にすると、一体部材14のC1方向の加速度の時間変化とC1方向の逆方向の加速度の時間変化とを非対称にでき、その反作用として容器11に非対称の力(加速度)を発生させることができる。
≪C2方向とその逆方向の並進運動からなる偏並進周期運動(図8Aおよび図8B)≫
支持部12に沿ったコイル13−2からコイル13−4に向かうC2方向に一体部材14を並進運動させる場合には、内側領域124−1に位置するコイル13−1の部分(一体部材14のN極142側)に支持部12の内側から外周側に向かうA1方向の電流が流れるように制御し、内側領域124−3に位置するコイル13−3の部分(一体部材14のN極142側)に支持部12の外周側から内側に向かうA3方向の電流が流れるように制御する。これにより、コイル13−1は一体部材14のN極142側にB1方向(コイル13−2からコイル13−4に向かう方向)の力を与え、コイル13−3は一体部材14のN極142側にB3方向(コイル13−2からコイル13−4に向かう方向)の力を与える。結果として、一体部材14には、容器11を基準としたB1方向の力とB3方向の力との合力であるC2方向の力が与えられ、一体部材14がC2方向に加速する。その反作用としてC2方向の逆方向の力が、コイル13−1,13−3を支持する容器11に伝わり、容器11がC2方向と逆方向に加速される。次に、一体部材14が弾性体15を押すため、弾性体15が弾性変形する。ここで、コイル13−1,13−3に電流を流すのを止めると、弾性体15の弾性力により、一体部材14はC2方向と逆方向に押し戻される。ここで、コイル13−1,13−3に電流を流す期間と電流を流さない期間を適切にとると、一体部材14のC2方向の加速度の時間変化とC2方向の逆方向の加速度の時間変化とを非対称にでき、その反作用として容器11に非対称の力(加速度)を発生させることができる。例えば、一体部材14のC2方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)がC2方向の逆方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)よりも大きくなるように制御すると、加速度発生装置1を把持しているユーザは、C2方向と逆方向の擬似的な力覚を知覚する。逆に、例えば、C2方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)がC2方向の逆方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)よりも小さくなるように制御すると、加速度発生装置1を把持しているユーザは、C2方向の力覚を知覚する。
また、コイル13−1および13−3に上記の逆方向の電流を流し、上記と逆向きの制御を行ってもよい。
≪C3方向とその逆方向の並進運動からなる偏並進周期運動(図9A〜図9C)≫
支持部12に沿ったコイル13−3からコイル13−1に向かう方向とコイル13−4からコイル13−2に向かう方向との間のC3方向に一体部材14を並進運動させる場合には、内側領域124−2に位置するコイル13−2の部分に支持部12の内側から外周側に向かうA2方向の電流が流れるように制御し、内側領域124−1に位置するコイル13−1の部分に支持部12の外周側から内側に向かうRA1方向の電流が流れるように制御する。これにより、コイル13−2は一体部材14のN極142側にB2方向の力を与え、コイル13−1は一体部材14のN極142側にRB1方向(コイル13−4からコイル13−2に向かう方向)の力を与える。結果として、一体部材14には、容器11を基準としたRB1方向の力とB2方向の力との合力であるC3方向の力が与えられ、一体部材14がC3方向に移動する。このとき一体部材14にはC3方向の加速度が生じる。その反作用としてC3方向と逆方向の力がコイル13−1,13−2を支持する容器11に伝わり、容器11がC3方向と逆方向に加速される。次に、一体部材14が弾性体15を押すため、弾性体15が弾性変形する。ここで、コイル13−1,13−2に電流を流すのを止めると、弾性体15の弾性力により一体部材14はC3方向と逆方向に押し戻される。ここで、コイル13−1および13−2に電流を流す期間と電流を流さない期間を適切に調整すると、一体部材14のC3方向の加速度の時間変化とC3方向の逆方向の加速度の時間変化とを非対称にできる。例えば、一体部材14のC3方向の加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)がC3方向の逆方向の加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)よりも大きくなるように制御すると、加速度発生装置1を把持しているユーザは、C3方向と逆方向の擬似的な力覚を知覚する。逆に、例えば、C3方向の加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)がC3方向の逆方向の加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)よりも小さく、かつ、C3方向の加速度となる期間がC3方向の逆方向の加速度となる期間よりも長くなるように制御すると、加速度発生装置1を把持しているユーザは、C3方向の力覚を知覚する。
コイル13−1および13−2に上記の逆方向(RA1方向の逆方向およびA2方向の逆方向)の電流を流し、上記と逆向きの制御を行ってもよい。この場合、一体部材14にはC3方向の逆方向の力が与えられ、一体部材14がC3方向の逆方向に加速する。その反作用として逆方向の力がコイル13−1,13−2を支持する容器11に伝わり、容器11がC3方向に加速される。次に、一体部材14が弾性体15を押すため、弾性体15が弾性変形する。ここで、コイル13−1,13−2に電流を流すのを止めると、弾性体15の弾性力により一体部材14はC3方向に押し戻される。ここで、コイル13−1,13−2に電流を流す期間と電流を流さない期間を適切に調整すると、一体部材14のC3方向の加速度の時間変化とC3方向の逆方向の加速度の時間変化とを非対称にできる。これにより、同様に、加速度発生装置1はC3方向またはその逆方向の力覚を提示できる。
その他、内側領域124−2に位置するコイル13−2の部分にA2方向の電流が流れるように制御し、内側領域124−1に位置するコイル13−1の部分にRA1方向の電流が流れるように制御する期間と、それらの逆方向の電流が流れるように制御する期間とを不均等にしてもよい。
また、コイル13−1および13−2の組に代えてコイル13−2および13−3の組に対して同様な制御を行うことで、支持部12に沿ったコイル13−1からコイル13−3に向かう方向とコイル13−4からコイル13−2に向かう方向との間の方向またはその逆方向の力覚を提示できる。コイル13−1および13−2の組に代えてコイル13−3および13−4の組に対して同様な制御を行うことで、支持部12に沿ったコイル13−1からコイル13−3に向かう方向とコイル13−2からコイル13−4に向かう方向との間の方向またはその逆方向の力覚を提示できる。コイル13−1および13−2の組に代えてコイル13−1および13−4の組に対して同様な制御を行うことで、支持部12に沿ったコイル13−3からコイル13−1に向かう方向とコイル13−2からコイル13−4に向かう方向との間の方向またはその逆方向の力覚を提示できる。
≪C4回転方向とその逆回転方向の回転運動からなる偏回転周期運動(図10Aおよび図10B)≫
支持部12の溝123−1〜123−4側(外方側)からみた右回転方向(時計回り方向)であるC4回転方向に一体部材14を回転運動させる場合には、内側領域124−2に位置するコイル13−2の部分に支持部12の外周側から内側に向かう方向RA2の電流が流れるように制御し、内側領域124−4に位置するコイル13−4の部分に支持部12の外周側から内側に向かうA4方向の電流が流れるように制御する。これにより、コイル13−2は一体部材14のN極142側にRB2方向(コイル13−1からコイル13−3に向かう方向)の力を与え、コイル13−4は一体部材14のN極142側にB4方向(コイル13−3からコイル13−1に向かう方向)の力を与える。これらが合成されることで、一体部材14にはC4回転方向の回転力が加えられ、一体部材14がC4回転方向に回転する。このとき一体部材14にはC4回転方向の角加速度が生じる。ここで、電流を流さない期間では摩擦等によって一体部材14の回転速度が低下する。そのため、コイル13−2および13−4に電流を流す期間と電流を流さない期間とを適切に設定することにより、一体部材14のC4回転方向の角加速度の時間変化とC4回転方向に対して逆の角加速度の時間変化とを非対称にできる。例えば、C4回転方向の角加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)がC4回転方向の逆方向の角加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)よりも大きい場合には、加速度発生装置1を把持しているユーザは、C4回転方向と逆方向の擬似的な回転力覚を知覚する。逆に、例えば、C4回転方向の加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)がC4回転方向の逆回転方向の加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)よりも小さくなるように制御すると、加速度発生装置1を把持しているユーザは、C4回転方向の回転力覚を知覚する。
コイル13−2および13−4に上記の逆方向(RA2方向の逆方向およびA4方向の逆方向)の電流を流し、上記と逆向きの制御を行うことにより、C4回転方向と逆方向の回転力覚を提示してもよい。
その他、C4回転方向とその逆回転方向の回転運動を周期的に繰り返すように制御してもよいし、内側領域124−2に位置するコイル13−2の部分に支持部12の外周側から内側に向かう方向RA2の電流が流れるように制御し、内側領域124−4に位置するコイル13−4の部分に支持部12の外周側から内側に向かうA4方向の電流が流れるように制御する期間と、それらの逆方向の電流が流れるように制御する期間とを不均等にしてもよい。
≪明確な力覚を提示するための制御(図11Aおよび図11B)≫
明確な力覚を提示するための一つの方法は、コイル13−1〜13−4に電流を流す際の電流量(振幅)を大きくすることである。明確な力覚を提示するための他の方法は、電流を流すコイルを増やすことである。
例えば、図9CのC3方向に図9Cの場合よりも明確な力覚を提示するためには、以下のように制御する(図11A)。まず、一体部材14をC3方向に並進運動させるときに、内側領域124−2に位置するコイル13−2の部分に支持部12の内側から外周側に向かうA2方向の電流が流れるように制御し、内側領域124−1に位置するコイル13−1の部分に支持部12の外周側から内側に向かう方向RA1の電流が流れるように制御し、内側領域124−3に位置するコイル13−3の部分に支持部12の内側から外周側に向かう方向RA3の電流が流れるように制御し、内側領域124−4に位置するコイル13−4の部分に支持部12の外周側から内側に向かうA4方向の電流が流れるように制御する。これにより、コイル13−2は一体部材14のN極142側にB2方向の力を与え、コイル13−1は一体部材14のN極142側にRB1方向の力を与え、コイル13−3は一体部材14のN極142側にRB1方向と同じRB3方向の力を与え、コイル13−4は一体部材14のN極142側にB2方向と同じB4方向の力を与える。結果として、一体部材14には、容器11を基準としたRB1方向の力とB2方向の力とRB3方向の力とB4方向の力との合力であるC3方向の力が与えられ、一体部材14がC3方向に移動する。このとき一体部材14にはC3方向のより大きな加速度が生じる。その反作用としてC3方向と逆方向の力がコイル13−1〜13−4を支持する容器11に伝わり、容器11がC3方向と逆方向に加速される。次に、一体部材14が弾性体15を押すため、弾性体15が弾性変形する。ここで、コイル13−1〜13−4に電流を流すのを止めると、弾性体15の弾性力により一体部材14はC3方向と逆方向に押し戻される。ここで、コイル13−1〜13−4に電流を流す期間と電流を流さない期間を適切に調整すると、一体部材14のC3方向の加速度の時間変化とC3方向の逆方向の加速度の時間変化とを非対称にできる。これにより、加速度発生装置1は、より大きな並進力覚を提示できる。
例えば、図10BのC4回転方向に図10Bの場合よりも明確な力覚を提示するためには、以下のように制御する(図11B)。まず、一体部材14をC4回転方向に回転させるときに、内側領域124−1に位置するコイル13−1の部分に支持部12の外周側から内側に向かう方向RA1の電流が流れるように制御し、内側領域124−2に位置するコイル13−2の部分に支持部12の外周側から内側に向かう方向RA2の電流が流れるように制御し、内側領域124−3に位置するコイル13−3の部分に支持部12の内側から外周側に向かう方向RA3の電流が流れるように制御し、内側領域124−4に位置するコイル13−4の部分に支持部12の外周側から内側に向かうA4方向の電流が流れるように制御する。これにより、コイル13−1は一体部材14のN極142側にRB1方向の力を与え、コイル13−2は一体部材14のN極142側にRB2方向の力を与え、コイル13−3は一体部材14のN極142側にB3方向の力を与え、コイル13−4は一体部材14のN極142側にB4方向の力を与える。これらが合成されることで、一体部材14にはC4回転方向の回転力が加えられ、一体部材14がC4回転方向に回転する。このとき一体部材14にはC4回転方向のより大きな角加速度が生じる。ここで、コイル13−1〜13−4に電流を流す期間と電流を流さない期間との比を適切に設定することにより、一体部材14のC4回転方向の角加速度の時間変化とC4回転方向に対して逆の角加速度の時間変化とを非対称にできる。これにより、加速度発生装置1は、より大きな回転力覚を提示できる。
また、上記略直交するコイルのペアに流す電流量(振幅、電流の大きさ)および周波数の少なくとも一方を調整することで、力ベクトルの合成方向が変化し、様々な方向へ疑似的な力覚を提示できる。例えば、図9Cの例において、コイル13−1に流す電流量をコイル13−2に流す電流量よりも大きくすることで、C3方向よりもコイル13−1側に寄った方向(コイル13−1側に回転させた方向)へ力覚を提示できる。逆に、コイル13−2に流す電流量をコイル13−1に流す電流量よりも大きくすることで、C3方向よりもコイル13−2側に寄った方向(コイル13−2側に回転させた方向)へ力覚を提示できる。また、コイル13−1ではR1方向に電流を流す期間とその逆向きに流す期間とを繰り返すが、コイル13−2ではA2方向に電流を流す期間と流さない期間とを繰り返すことにより、C3方向よりもコイル13−1側に寄った方向(コイル13−1側に回転させた方向)へ力覚を提示できる。逆に、コイル13−1ではR1方向に電流を流す期間と流さない期間とを繰り返すが、コイル13−2ではA2方向に電流を流す期間とその逆向きに流す期間とを繰り返すことにより、C3方向よりもコイル13−2側に寄った方向(コイル13−2側に回転させた方向)へ力覚を提示できる。あるいは、コイル13−1に流す電流が80Hzまたは80Hz近傍の周波数成分を含み、コイル13−2に流す電流が80Hzまたは80Hz近傍の周波数成分を含まないあるいはその周波数成分のパワーが弱くなるように制御すれば、C3方向よりもコイル13−1側に寄った方向へ力覚を提示できる。逆に、逆に、13−2に流す電流が80Hzまたは80Hz近傍の周波数成分を含み、コイル13−1に流す電流が80Hzまたは80Hz近傍の周波数成分を含まないあるいはその周波数成分のパワーが弱くなるように制御すれば、C3方向よりもコイル13−2側に寄った方向へ力覚を提示できる。すべてのコイル13−1〜13−4の電流量および周波数の少なくとも一方が任意に調整可能であれば、貫通孔121を中心とした360°の放射方向から選択された任意の方向へ擬似的な並進力覚を提示できる。
[第2実施形態]
第2実施形態は第1実施形態の変形例である。第1実施形態の加速度発生装置1では、一体部材14の片側(N極142側)にコイル13−1〜13−4が配置されていた。第2実施形態では、一体部材の外周を囲むようにコイルが配置される。
<構成>
図12から図14に例示するように、本実施形態の加速度発生装置2は、容器21と支持部22とコイル23−1〜23−4(第1コイル)と一体部材24と弾性体25とを有する。
容器21は、1つの開放口213を持つ中空の収納部材である。容器21の形状に限定はないが、本実施形態では円筒の一方の開放端を閉じ、他方の開放端を開放口213とした中空形状の部材を容器21とする。なお、容器21の材質は、加速度発生装置2で発生した加速度を外部に伝達可能なものであれば、どのようなものであってもよい。このような材質の例は、ABS樹脂等の合成樹脂、銅等の金属、ガラス、木材、ゴムなどである。
支持部22は、中心付近に貫通孔221を持つ中空の容器部材である。容器21の内部に取り付け可能であり、容器21に対する相対位置を固定できるのであれば、支持部22の形状に限定はない。本実施形態では、中心付近に貫通孔221を持つ略ドーナツ形状であって、その外周の辺縁部222が容器21の内周にはめ込まれる形状の部材を支持部22とする。図13および図14等に例示するように、本実施形態の支持部22の表面には、貫通孔221側から放射状にこの表面の一方の側(図14Aおよび図14Bの上側)を通って辺縁部222側まで伸び、さらに辺縁部222側からこの表面の他方の側(図14Aおよび図14Bの下側)を通って貫通孔221側にまで伸びる環状の4つの溝223−1〜223−4が形成されている。すなわち、溝223−1〜223−4は、支持部22をトーラス形状とみなしたときのメリディアン(経線)に沿った溝である。言い換えると、溝223−2および223−4は貫通孔221を横切る平面α21上に配置され、溝223−1および223−3は貫通孔221を横切る平面α22上に配置されている。ただし、平面α21と平面α22とは貫通孔221上で互いに略直交している。なお、支持部22は、容器21に取り付けられた際に当該容器21に対する相対位置を固定可能な材質で構成される。このような材質の例は、ABS樹脂等の合成樹脂、ガラス、木材、ゴムなどである。溝223−1〜223−4付近は電磁石の磁心として機能するため、4本の溝223−1〜223−4付近に飽和磁束密度の大きな軟鉄等の金属が配置されていてもよい。ただし、4本の溝223−1〜223−4付近に配置される金属は互いに独立していることが望ましい。
コイル23−1〜23−4は、表面に絶縁層を持つ導電部材からなる導線であり、例えば、エナメル線等である。本実施形態のコイル23−1〜23−4は、それぞれ、支持部22の貫通孔221側および辺縁部222側を通り、溝223−1〜223−4に沿って、支持部22に巻き付けられている(図14Aおよび図14B)。すなわち、コイル23−β(ただし、β=1,・・・,4)は、貫通孔221側および辺縁部222側を通り、溝223−βの周りに巻き付けられている。つまり、略直交する2つの平面α21および平面α22にそれぞれ2本ずつのコイル23−2,23−4およびコイル23−1,23−3が支持部22に巻き付けられている。これら4個のコイル23−1〜23−4の巻き付け方向は、それぞれ、支持部22をトーラス形状とみなしたときのメリディアン(経線)に沿った軸周りの方向(縦巻き方向)である。以上により、コイル23−1〜23−4は支持部22に支持され、支持部22に対する相対位置が固定されている。
4個のコイル23−1〜23−4が巻き付けられた支持部22は、容器21の内部に収容されて固定されている(図14Aおよび図14B)。具体的には、支持部22の外周の辺縁部222が容器21の内周にはめ込まれて固定されている。これにより、コイル23−1〜213−4のそれぞれが、少なくとも、支持部22に対して定まる第1層L21に配置されている。言い換えると、コイル23−β(ただし、β=1,・・・,4)のそれぞれの容器21の開放口213側の部分が第1層L21に位置している。以上のような配置構成により、コイル23−1〜23−4のそれぞれは、第1層L21の互いに異なる領域に偏って配置されており、より具体的には、第1層L21の基準位置(貫通孔221)に対して、第1層L21に沿った4個の方角のそれぞれに位置している(図12,14A,14B)。
支持部22の内部には一体部材24と一体部材24を支持する弾性体25とが配置されている。弾性体25は、一体部材24を所定の復帰位置に戻す弾性力を生じる機構や部材である。このようなものであれば弾性体25の構成に限定はない。本実施形態では、ゴム等の弾性材料から構成されたドーナツ形状の弾性体25(例えば、ゴムチューブ)を例示する。一体部材24は永久磁石を有する実質的な剛体である。本実施形態では、中心付近に貫通孔を持つ円盤状(ドーナツ形状)の1個の永久磁石を一体部材24とする。この一体部材24の一方の板面はN極242とされ、他方の板面はS極243とされている。本実施形態の弾性体25の外周の辺縁部252は支持部22の内部の外周側内壁面225に支持され、弾性体25の内周の辺縁部251は一体部材24の外周の辺縁部241を支持している。支持部22の貫通孔221は一体部材24の中心付近の貫通孔の内側に配置される。弾性体25は、一体部材24の板面(N極242およびS極243の面)が支持部22の内部の底面224と略平行に配置され、かつ、一体部材24が支持部22の内部の壁面と接触しないように一体部材24を保持する。ただし、一体部材24と底面224との間の摩擦力が小さく、一体部材24が底面224の上を滑るように移動可能なのであれば、一体部材24と底面224とが接していてもよい。また本実施形態では、一体部材24のN極242が容器21の開放口213側に配置され、S極243が支持部22の内部の底面224側に配置されている。しかしながら、一体部材24のS極241が容器21の開放口213側に配置され、N極242が支持部22の内部の底面224側に配置されてもよい。要は、弾性体25の辺縁部251(ある部位)の相対位置が支持部12に対して保持されており、弾性体25の辺縁部251(他の部位)が一体部材24を支持していればよい。
以上により、コイル23−1〜23−4の相対位置が支持部22および容器21に対して固定され、コイル23−1〜23−4それぞれの少なくとも一部が第1層L21に配置され、一体部材24が支持部22の外周側内壁面225に支持された弾性体25に支持される。これにより、一体部材24が第1層L21に沿った第2層L22に配置され、支持部22内を底面224に沿って移動可能とされる。本実施形態の一体部材24は、少なくとも、第1層L21に沿った2自由度の並進運動または1自由度の回転運動を行う。弾性体25は一体部材24を支持部22内の所定の復帰位置に復帰させるための弾性力を一体部材24に与える。コイル23−1〜23−4は、フレミングの左手の法則で説明されるローレンツ力の反作用により、流された電流に応じた力(加速度)を一体部材24に与える。すなわち、コイル23−1〜23−4のそれぞれに流れる電流の向き・大きさおよび一体部材24の磁場に応じ、一体部材24に様々な方向・大きさの力が与えられ、それらの合成ベクトルに相当する力が一体部材24に与えられる。これらの力により、一体部材24は第1層L21に沿った(例えば、支持部22の内部の底面224と略平行な)周期的な運動(支持部22に対する運動)を行う。この周期的な運動は、コイル23−1〜23−4のそれぞれに流れる電流の向きおよび大きさによって制御できる。第1実施形態と同様、加速度または角加速度の向きによって加速度または各速度の大きさの時間変化が異なるように制御した場合、加速度発生装置2を把持しているユーザはこの運動に応じた擬似的な力覚を知覚する。これらの動作の詳細は後述する。
<機能構成>
加速度発生装置1が加速度発生装置2に置換される以外、図6に例示した構成と同じである。
<動作>
次に、加速度発生装置2の動作を詳細に説明する。加速度発生装置2は、偏並進周期運動を行うことによって擬似的な並進力覚を提示し、偏回転周期運動を行うことによって擬似的な回転力覚を提示する。加速度発生装置2は、支持部22に対して一体部材24を回転させながら並進力覚を提示するか、または、支持部22に対して一体部材24を回転させた後に並進力覚を提示することで、並進力覚の提示方向を回転させることもできる。
≪F1方向とその逆方向の並進運動からなる偏並進周期運動(図15Aおよび図15B)≫
支持部22に沿ったコイル23−3からコイル23−1に向かうF1方向に一体部材24を並進運動させる場合には、開放口213側に位置するコイル23−2の部分に支持部22の内側から外周側に向かうD2方向の電流が流れるように制御し、開放口213側に位置するコイル23−4の部分に支持部22の外周側から内側に向かうD4方向の電流が流れるように制御する。これにより、コイル23−2は一体部材24のN極242側にE2方向(コイル23−3からコイル23−1に向かう方向)の力を与え、コイル23−4は一体部材24のN極242側にE4方向(コイル23−3からコイル23−1に向かう方向)の力を与える。それぞれのコイル23−1〜23−4に流れる電流によって一体部材24に働く力は、コイル23−1〜23−4に働くローレンツ力の反作用によるものである。結果として、一体部材24には、容器21を基準としたE2方向の力とE4方向の力との合力であるF1方向の力が与えられ、一体部材24がF1方向に加速する。その反作用としてF1方向と逆方向の力がコイル23−2,23−4を支持する容器21に伝わり、容器21がF1と逆方向に加速される。次に、一体部材24が弾性体25を押すため、弾性体25が弾性変形する。ここで、コイル23−2および23−4に電流を流すのを止めると、弾性力により一体部材24はF1方向と逆方向に押し戻される。ここで、コイル23−2および23−4に電流を流す期間と電流を流さない期間を適切に設定すると、一体部材24のF1方向の加速度の時間変化とF1方向の逆方向の加速度の時間変化とを非対称にでき、その反作用として、第1実施形態と同様に、加速度発生装置2は、F1方向と逆方向またはF1方向の擬似的な力覚を提示できる。例えば、F1方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)がF1方向の逆方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)よりも大きくなるように制御すると、加速度発生装置2を把持しているユーザは、F1方向と逆方向の擬似的な力覚を知覚する。逆に、例えば、F1方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)がF1方向の逆方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)よりも小さくなるように制御すると、加速度発生装置2を把持しているユーザは、F1方向の力覚を知覚する。
その他、開放口213側に位置するコイル23−2の部分にD2方向の電流が流れるように制御し、開放口213側に位置するコイル23−4の部分にD4方向の電流が流れるように制御する期間と、それらの逆方向の電流が流れるように制御する期間とを繰り返してもよい。第1実施形態と同様に、この場合にも前者の期間と後者の期間とを適切にすることで、加速度発生装置2は、F1方向と逆方向またはF1方向の擬似的な力覚を提示できる。
≪F2方向とその逆方向の並進運動からなる偏並進周期運動(図16Aおよび図16B)≫
支持部22に沿ったコイル23−4からコイル23−2に向かうF2方向に一体部材24を並進運動させる場合には、開放口213側に位置するコイル23−1の部分に支持部22の外周側から内側に向かうD1方向の電流が流れるように制御し、開放口213側に位置するコイル23−3の部分に支持部22の内側から外周側に向かうD3方向の電流が流れるように制御する。これにより、コイル23−1は一体部材24のN極242側にE1方向(コイル23−4からコイル23−2に向かう方向)の力を与え、コイル23−3は一体部材24のN極242側にE3方向(コイル23−4からコイル23−2に向かう方向)の力を与える。結果として、一体部材24には、容器21を基準としたE1方向の力とE3方向の力との合力であるF2方向の力が与えられ、一体部材24がF2方向に加速する。その反作用としてF2方向と逆方向の力がコイル23−1,23−3を支持する容器21に伝わり、容器21がF2と逆方向に加速される。次に、一体部材24が弾性体25を押すため、弾性体25が弾性変形する。ここで、コイル23−1および23−3に電流を流すのを止めると、弾性力により一体部材24はF2方向と逆方向に押し戻される。ここで、コイル23−2および23−4に電流を流す期間と電流を流さない期間を適切に設定すると、一体部材24のF2方向の加速度の時間変化とF2方向の逆方向の加速度の時間変化とを非対称にでき、その反作用として、第1実施形態と同様に、加速度発生装置2は、F2方向と逆方向またはF2方向の擬似的な力覚を提示できる。
その他、開放口213側に位置するコイル23−1の部分にD1方向の電流が流れるように制御し、開放口213側に位置するコイル23−3の部分にD3方向の電流が流れるように制御する期間と、それらの逆方向の電流が流れるように制御する期間とを繰り返してもよい。第1実施形態と同様に、この場合にも前者の期間と後者の期間とを適切にすることで、加速度発生装置2は、F2方向と逆方向またはF2方向の擬似的な力覚を提示できる。
≪F3方向とその逆方向の並進運動からなる偏並進周期運動(図17A〜図17C)≫
F1方向とF2方向との間のF3方向に一体部材24を並進運動させる場合には、開放口213側に位置するコイル23−1の部分にD1方向の電流が流れるように制御し、開放口213側に位置するコイル23−2の部分にD2方向の電流が流れるように制御する。これにより、コイル23−1は一体部材24のN極242側にE1方向の力を与え、コイル23−2は一体部材24のN極242側にE2方向の力を与える。結果として、一体部材24には、容器21を基準としたE1方向の力とE2方向の力との合力であるF3方向の力が与えられ、一体部材24がF3方向に加速する。その反作用としてF3方向と逆方向の力がコイル23−1,23−2を支持する容器21に伝わり、容器21がF3と逆方向に加速される。次に、一体部材24が弾性体25を押すため、弾性体25が弾性変形する。ここで、コイル23−1および23−2に電流を流すのを止めると、弾性力により一体部材24はF3方向と逆方向に押し戻される。ここで、コイル23−1および23−2に電流を流す期間と電流を流さない期間を適切に設定すると、一体部材24のF3方向の加速度の時間変化とF3方向の逆方向の加速度の時間変化とを非対称にでき、その反作用として、第1実施形態と同様に、加速度発生装置2は、F3方向と逆方向またはF3方向の擬似的な力覚を提示できる。また,上記略直交するコイルのペアに流す電流量を調整することで,E1,E2の力ベクトルの合成方向が変化し,様々な方向への疑似的な力覚提示ができる.
その他、開放口213側に位置するコイル23−1の部分にD1方向の電流が流れるように制御し、開放口213側に位置するコイル23−2の部分にD2方向の電流が流れるように制御する期間と、それらの逆方向の電流が流れるように制御する期間とを繰り返してもよい。第1実施形態と同様に、この場合にも前者の期間と後者の期間とを適切にすることで、加速度発生装置2は、F3方向と逆方向またはF3方向の擬似的な力覚を提示できる。
また、コイル23−1および23−2の組に代えてコイル23−2および23−3の組に対して同様な制御を行うことで、支持部22に沿ったコイル23−1からコイル23−3に向かう方向とコイル23−4からコイル23−2に向かう方向との間の方向またはその逆方向(すなわち、F3と略垂直な何れかの方向)の力覚を提示できる。コイル23−1および23−2の組に代えてコイル23−3および23−4の組に対して同様な制御を行うことで、F3方向の逆方向またはF3方向の力覚を提示できる。コイル23−1および23−2の組に代えてコイル23−1および23−4の組に対して同様な制御を行うことで、支持部22に沿ったコイル23−3からコイル23−1に向かう方向とコイル23−2からコイル23−4に向かう方向との間の方向またはその逆方向(すなわち、F3と略垂直な何れかの方向)の力覚を提示できる。また、上記略直交するコイルのペアに流す電流量および周波数の少なくとも一方を調整することで、力ベクトルの合成方向が変化し、様々な方向へ疑似的な力覚を提示できる。
≪F4回転方向とその逆回転方向の回転運動からなる偏回転周期運動(図18Aおよび図18B)≫
支持部22の開放口213側からみた右回転方向(時計回り方向)であるF4回転方向に一体部材24を回転運動させる場合には、開放口213側に位置するコイル23−2の部分に支持部22の外周側から内側に向かうRD2方向の電流が流れるように制御し、開放口213側に位置するコイル23−4の部分に支持部22の外周側から内側に向かうD4方向の電流が流れるように制御する。これにより、コイル23−2は一体部材24のN極242側にRE2方向(コイル23−1からコイル23−3に向かう方向)の力を与え、コイル23−4は一体部材24のN極242側にE4方向(コイル23−3からコイル23−1に向かう方向)の力を与える。これらが合成されることで、一体部材24にはF4回転方向の回転力が加えられ、一体部材24がC4回転方向に回転する。このとき一体部材24にはF4回転方向の角加速度が生じる。ここで、コイル23−2および23−4に電流を流す期間と電流を流さない期間とを適切に設定することにより、一体部材24のF4回転方向の角加速度の時間変化とF4回転方向に対して逆の角加速度の時間変化とを非対称にできる。例えば、F回転方向の角加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)がF4回転方向の逆方向の角加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)よりも大きい場合には、加速度発生装置2を把持しているユーザは、F4回転方向と逆方向の擬似的な回転力覚を知覚する。逆に、例えば、F4回転方向の加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)がF4回転方向の逆回転方向の加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)よりも小さくなるように制御すると、加速度発生装置2を把持しているユーザは、F4回転方向の回転力覚を知覚する。
その他、開放口213側に位置するコイル23−2の部分にRD2方向の電流が流れるように制御し、開放口213側に位置するコイル23−4の部分にD4方向の電流が流れるように制御する期間と、それらの逆方向の電流が流れるように制御する期間とを繰り返してもよい。第1実施形態と同様に、この場合にも前者の期間と後者の期間とを適切にすることで、加速度発生装置2は、F4方向と逆方向またはF4方向の擬似的な力覚を提示できる。
また、F4回転方向とその逆回転方向の回転運動を周期的に繰り返すのではなく、このような回転運動を行いながら、または、このような回転運動を行ってから、前述の並進力覚を提示するための制御(図15〜図17等)を行ってもよい。これにより、並進力覚の提示方向を回転させることができる。
[第3実施形態]
第1および2実施形態の加速度発生装置1,2は4本のコイル13−1〜13−4,23−1〜23−4を有していた。しかしながら、少なくとも第1層に位置する3本以上のコイルを有する加速度発生装置であれば、第1層に沿った並進2自由度の擬似的な並進力覚と回転1自由度の回転力覚とを提示できる。以下では、第1実施形態の加速度発生装置1を3本のコイルを持つ構成に変形した例を示す。以下では第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と共通する部分については第1実施形態で用いた参照番号を用いて説明を簡略化する。
<構成>
図19および図20に例示するように、本実施形態の加速度発生装置3は、容器11と支持部32(上蓋)とコイル33−1〜33−3(第1コイル)と一体部材14と弾性体15とを有する。容器11と一体部材14と弾性体15は第1実施形態と同じである。
支持部32は、中心付近に貫通孔321を持つ部材である。容器11の開放口113に取り付け可能であり、容器11に対する相対位置を固定できるのであれば、支持部32の形状に限定はない。本実施形態では、中心付近に貫通孔321を持つ円盤状(すなわち、ドーナツ形状)であって、その外周の辺縁部322が容器11の開放口113の内周にはめ込まれる形状の部材を支持部32とする。本実施形態の支持部32の一方の板面には、貫通孔321から放射状に当該板面に沿った3本の溝323−1〜323−3が形成されている。支持部32に設けられた溝323−1〜323−3と第1実施形態の溝との相違点はそれらの本数および配置である。3本の溝323−1〜323−3のうちの2本の溝がそれぞれなす角度に限定はないが、並進力覚の提示方向に偏りが生じないように、それらの角度ができるだけ近いほうが望ましい。本形態では3本の溝323−1〜323−3のうちの2本の溝がそれぞれなす角度が全て略120°となるようにする。なお、支持部32の材質は第1実施形態の支持部122と同じでよい。
コイル33−1〜33−3は、表面に絶縁層を持つ導電部材からなる導線であり、例えば、エナメル線等である。本実施形態のコイル33−1〜33−3は、それぞれ、支持部32の貫通孔321および辺縁部322を通り、溝323−1〜323−3およびそれらの裏面側に沿って、支持部32に巻き付けられている(図20A〜図20C)。すなわち、コイル33−β’(ただし、β’=1,2,3)は、貫通孔321および辺縁部322を通り、溝223−β’およびその裏側の領域の周りに巻き付けられている。これら3個のコイル33−1〜33−3の巻き付け方向は、それぞれ、支持部32の板面に沿った軸に対する軸周りの方向(縦巻き方向)である。以上により、コイル33−1〜33−3は支持部32に支持され、支持部32に対する相対位置が固定されている。
3個のコイル33−1〜33−3が巻き付けられた支持部32は、容器11の開放口113に取り付けられている。具体的には、支持部32の溝323−1〜323−3の裏面側が容器11の内側に向けられ、支持部32が容器11の内側の底面112と略平行に配置され、支持部32の外周の辺縁部322が容器11の内周壁面111に固定されている。これにより、コイル33−1〜33−3のそれぞれが、少なくとも、支持部32に対して定まる第1層L31に配置されている。言い換えると、コイル33−β’(ただし、β’=1,2,3)のそれぞれの一体部材14側に配置された部分が第1層L31に位置している。以上のような配置構成により、コイル33−1〜33−3のそれぞれは、第1層L31の互いに異なる領域に偏って配置されており、より具体的には、第1層L31の基準位置(貫通孔321)に対して、第1層L31に沿った3個の方角のそれぞれに位置している(図19,20A〜20C)。
<機能構成>
加速度発生装置1が加速度発生装置3に置換される以外、図6に例示した構成と同じである。
<動作>
次に、加速度発生装置3の動作を説明する。加速度発生装置3は、偏並進周期運動を行うことによって擬似的な並進力覚を提示し、偏回転周期運動を行うことによって擬似的な回転力覚を提示する。加速度発生装置3は、支持部32に対して一体部材34を回転させながら並進力覚を提示するか、または、支持部32に対して一体部材34を回転させた後に並進力覚を提示することで、並進力覚の提示方向を回転させることもできる。
≪J1方向とその逆方向の並進運動からなる偏並進周期運動(図21Aおよび図22)≫
支持部32に沿った貫通孔321からコイル33−1に向かうJ1方向に一体部材14を並進運動させる場合には、一体部材14側に位置するコイル33−2の部分に貫通孔321から支持部32の外周側に向かうG2方向の電流が流れるように制御し、一体部材14側に位置するコイル33−3の部分に貫通孔321から支持部32の外周側に向かうG3方向の電流が流れるように制御する。これにより、コイル33−2は一体部材14のN極142側にH2方向の力を与え、コイル33−3は一体部材14のN極142側にH3方向の力を与える。それぞれのコイル33−1〜33−3に流れる電流によって一体部材14に働く力は、ローレンツ力の反作用で生ずる。結果として、一体部材14には、容器11を基準としたH2方向の力とH3方向の力との合力であるJ1方向の力が与えられ、一体部材14がJ1方向に移動する。このとき一体部材14にはJ1方向の加速度が生じる。その反作用として逆方向の力がコイル33−2,33−3を支持する容器11に伝わり、容器11がJ1方向と逆方向に加速される。次に、一体部材14が弾性体15を押すため、弾性体15が弾性変形する。ここで、コイル33−2および33−3に電流を流すのを止めると、弾性力により一体部材14はJ1方向と逆方向に押し戻される。ここで、コイル33−2および23−3に電流を流す期間と電流を流さない期間とを適切に設定すると、一体部材14のJ1方向の加速度の時間変化とJ1方向の逆方向の加速度の時間変化とを非対称にできる。これにより、第1実施形態と同様に、加速度発生装置3は、J1方向と逆方向またはJ1方向の擬似的な力覚を提示できる。
また、コイル33−2および33−3に上記の逆方向(G2方向の逆方向RG2およびG3方向の逆方向RG3)の電流を流してもよい(図22)。これにより、コイル33−2は一体部材14のN極142側にRH2方向の力を与え、コイル33−3は一体部材14のN極142側にRH3方向の力を与える。結果として、一体部材14には、容器11を基準としたRH2方向の力とRH3方向の力との合力であるJ4方向の力が与えられ、一体部材14がJ4方向に加速する。この場合にも、コイル33−2および33−3に電流を流す期間と電流を流さない期間とを適切にとると、一体部材14のJ1方向の加速度の時間変化とJ4方向の加速度の時間変化とを非対称にできる。これにより、同様に、加速度発生装置3はJ1方向またはJ4方向の力覚を提示できる。
その他、一体部材14側に位置するコイル33−2の部分にG2方向の電流が流れるように制御し、一体部材14側に位置するコイル33−3の部分にG3方向の電流が流れるように制御する期間と、それらの逆方向の電流が流れるように制御する期間とを繰り返してもよい。第1実施形態と同様に、この場合にも前者の期間と後者の期間とを適切にすることで、加速度発生装置3は、J1方向と逆方向またはJ4方向の擬似的な力覚を提示できる。
≪J2方向とその逆方向の並進運動からなる偏並進周期運動(図21B)≫
支持部32に沿った貫通孔321からコイル33−1に向かう方向と貫通孔321からコイル33−2に向かう方向との間の方向J2に一体部材14を並進運動させる場合には、一体部材14側に位置するコイル33−1の部分に支持部32の外周側から貫通孔321側(支持部32の内側)へ向かうG1方向の電流が流れるように制御し、一体部材14側に位置するコイル33−2の部分に貫通孔321から支持部32の外周側に向かうG2方向の電流が流れるように制御する。これにより、コイル33−1は一体部材14のN極142側にH1方向の力を与え、コイル33−2は一体部材14のN極142側にH2方向の力を与える。結果として、一体部材14には、容器11を基準としたH1方向の力とH2方向の力との合力であるJ2方向の力が与えられ、一体部材14がJ2方向に加速する。その反作用として逆方向の力がコイル33−1,33−2を支持する容器11に伝わり、容器11がJ2方向と逆方向に加速される。次に、一体部材14が弾性体15を押すため、弾性体15が弾性変形する。ここで、コイル33−1および33−2に電流を流すのを止めると、弾性力により一体部材14はJ2方向と逆方向に押し戻される。ここで、コイル33−1および23−2に電流を流す期間と電流を流さない期間とを適切に設定すると、一体部材14のJ2方向の加速度の時間変化とJ2方向の逆方向の加速度の時間変化とを非対称にできる。これにより、第1実施形態と同様に、加速度発生装置3は、J2方向と逆方向またはJ2方向の擬似的な力覚を提示できる。
また、コイル33−1および33−2に上記の逆方向(G1方向の逆方向およびG2方向の逆方向)の電流を流してもよい。この場合にも、コイル33−1および33−2に電流を流す期間と電流を流さない期間とを適切にとると、一体部材14のJ2方向の加速度の時間変化とJ2方向の逆方向の加速度の時間変化とを非対称にできる。これにより、同様に、加速度発生装置3はJ2方向またはその逆方向の力覚を提示できる。
その他、一体部材14側に位置するコイル33−1の部分にG1方向の電流が流れるように制御し、一体部材14側に位置するコイル33−2の部分にG2方向の電流が流れるように制御する期間と、それらの逆方向の電流が流れるように制御する期間とを繰り返してもよい。第1実施形態と同様に、この場合にも前者の期間と後者の期間とを適切にすることで、加速度発生装置3は、J2方向と逆方向またはその逆方向の擬似的な力覚を提示できる。
また、上記コイルのペアに流す電流量および周波数の少なくとも一方を調整することで、力ベクトルの合成方向が変化し、様々な方向へ疑似的な力覚を提示できる。
≪J5回転方向とその逆回転方向J6の回転運動からなる偏回転周期運動(図23Aおよび図23B)≫
支持部32の溝323−1〜323−3側(外方側)からみた右回転方向(時計回り方向)であるJ5回転方向に一体部材14を回転運動させる場合には、一体部材14側に位置するコイル33−1の部分に支持部32の外周側から内側に向かうG1方向の電流が流れるように制御し、一体部材14側に位置するコイル33−2の部分に支持部32の外周側から内側に向かうRG2方向の電流が流れるように制御し、一体部材14側に位置するコイル33−3の部分に支持部32の外周側から内側に向かうG3方向の電流が流れるように制御する。これにより、コイル33−1は一体部材14のN極142側にH1方向の力を与え、コイル33−2は一体部材14のN極142側にRH2方向の力を与え、コイル33−3は一体部材14のN極142側にH3方向の力を与える。これらが合成されることで、一体部材14にはH5回転方向の回転力が加えられ、一体部材14がJ5回転方向に回転する。このとき一体部材14にはJ5回転方向の角加速度が生じる。ここで、コイル33−1〜33−3に電流を流す期間と電流を流さない期間とを適切に設定することにより、一体部材14のJ5回転方向の角加速度の時間変化とJ5回転方向に対して逆の角加速度の時間変化とを非対称にできる。例えば、J5回転方向の角加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)がJ5回転方向の逆方向の角加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)よりも大きい場合には、加速度発生装置3を把持しているユーザは、J5回転方向と逆方向の擬似的な回転力覚を知覚する。逆に、例えば、J5回転方向の加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)がJ5回転方向の逆回転方向の加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)よりも小さくなるように制御すると、加速度発生装置3を把持しているユーザは、J5回転方向の回転力覚を知覚する。
コイル33−1から33−3に上記の逆方向(G1方向の逆方向RG1、RG2方向の逆方向G2、およびG3方向の逆方向RG3)の電流を流してもよい。これにより、コイル33−1は一体部材14のN極142側にRH1方向の力を与え、コイル33−2は一体部材14のN極142側にH2方向の力を与え、コイル33−3は一体部材14のN極142側にRH3方向の力を与える。これらが合成されることで一体部材14にはJ6回転方向の力が与えられ、一体部材14がJ6回転方向に回転する。このとき一体部材14にはJ6回転方向の角加速度が生じる。ここで、コイル33−1〜33−3に電流を流す期間と電流を流さない期間とを適切に設定することにより、一体部材14のJ6回転方向の角加速度の時間変化とJ6回転方向に対して逆の角加速度の時間変化とを非対称にできる。例えば、J6回転方向の角加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)がJ6回転方向の逆方向の角加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)よりも大きい場合には、加速度発生装置3を把持しているユーザは、J6回転方向と逆方向の擬似的な回転力覚を知覚する。逆に、例えば、J6回転方向の加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)がJ6回転方向の逆回転方向の加速度の大きさの最大値(または一定時間の平均値)よりも小さくなるように制御すると、加速度発生装置3を把持しているユーザは、J6回転方向の回転力覚を知覚する。
[第4実施形態]
第1から3実施形態の加速度発生装置1〜3では、支持部にコイルが「縦巻き方向」に巻かれていた。しかしながら、コイルが支持部に沿った横巻き方向に巻かれていてもよい。本実施形態では、コイルが支持部に横巻き方向に巻かれた形態を例示する。以下では第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と共通する部分については第1実施形態で用いた参照番号を用いて説明を簡略化する。
<構成>
図24Aおよび図24Bに例示するように、本実施形態の加速度発生装置4は、容器11と支持部42(上蓋)とコイル43−1〜43−3(第1コイル)と一体部材14と弾性体15とを有する。容器11と一体部材14と弾性体15は第1実施形態と同じである。
支持部42は、容器11の開放口113に取り付け可能であり、容器11に対する相対位置を固定できるのであれば、支持部32の形状に限定はない。本実施形態では、円盤状であって、その外周の辺縁部423が容器11の開放口113の内周にはめ込まれる形状の部材を支持部42とする。本実施形態の支持部42の一方の板面422には、その板面に沿って3つのコイル43−1〜43−3が巻かれている(横巻き方向)。3つのコイル43−1〜43−3は支持部42の中心部421から当該板面422に沿った3方に配置され、それぞれ支持部42に固定されている。これにより、コイル43−1〜43−3は支持部42に支持され、支持部42に対する相対位置が固定されている。なお、コイル43−1〜43−3は、表面に絶縁層を持つ導電部材からなる導線であり、例えば、エナメル線等である。
3個のコイル43−1〜43−3が巻き付けられた支持部42は、容器11の開放口113に取り付けられている。具体的には、3個のコイル43−1〜43−3を外方に向けられ、支持部42が容器11の内側の底面112と略平行に配置され、支持部42の外周の辺縁部423が容器11の内周壁面111に固定されている。これにより、コイル43−1〜43−3のそれぞれが、少なくとも、支持部42に対して定まる第1層L41に配置されている。言い換えると、コイル43−β’(ただし、β’=1,2,3)のそれぞれの一体部材14側に配置された部分が第1層L41に位置している。また、一体部材14が復帰位置に存在する際、板面422上に位置するコイル43−1〜43−3それぞれの支持部42の外周側に位置する領域(以下「外周領域」と呼ぶ)が弾性体15上に位置し、板面422上に位置するコイル43−1〜43−3それぞれのその他の領域(以下「内側領域」と呼ぶ)が一体部材14上に位置する(図24B)。言い換えると、一体部材14が復帰位置に存在する際、コイル43−1〜43−3それぞれの内側領域のみが一体部材14のN極142側の板面と略垂直な方向に位置し、外周領域は一体部材14のN極142側の板面と略垂直な方向に位置しない。以上のような配置構成により、コイル43−1〜43−3のそれぞれは、第1層L41の互いに異なる領域に偏って配置されており、より具体的には、第1層L41の基準位置(中心部421)に対して、第1層L41に沿った3個の方角のそれぞれに位置している(図24A,24B)。
<機能構成>
加速度発生装置1が加速度発生装置4に置換される以外、図6に例示した構成と同じである。
<動作>
次に、加速度発生装置4の動作を説明する。加速度発生装置4は、偏並進周期運動を行うことによって擬似的な並進力覚を提示する。
≪N1方向とその逆方向の並進運動からなる偏並進周期運動(図25A、図25B、および図26)≫
支持部42に沿った中心部421からコイル43−2に向かうN1方向に一体部材14を並進運動させる場合には、コイル43−2に支持部42の板面422側からみた反時計回り方向K2の電流が流れるように制御する(図25A)。これにより、コイル43−2の内側領域は一体部材14のN極142側にM21方向の力とM22方向の力を与える。結果として、一体部材14には、これらの合力である容器11を基準としたN1方向の力が与えられ、一体部材14がN1方向に移動する。このとき一体部材14にはN1方向の加速度が生じる。コイル43−2に電流を流すのを止めると、コイル43−2によって一体部材14に与えられていたN1方向の力が解除され、弾性体15の弾性力によって一体部材14がN1方向の逆方向に移動する。一体部材14に掛かる合力と、その反作用で生ずる容器11に掛かる力との関係は、第1実施形態と同様である。これにより、第1実施形態と同様に、加速度発生装置4は、N1方向またはその逆方向の擬似的な力覚を提示できる。
また、N1方向またはその逆方向により明確な擬似的な力覚を提示するためには、コイル43−2に反時計回り方向K2の電流が流れるように制御し、コイル43−1に支持部42の板面422側からみた時計回り方向K1の電流が流れるように制御し、コイル43−3の部分に支持部42の板面422側からみた時計回り方向K3の電流が流れるように制御する(図25B)。これにより、コイル43−1の内側領域は一体部材14のN極142側にM11方向の力とM12方向の力を与え、コイル43−2の内側領域は一体部材14のN極142側にM21方向の力とM22方向の力を与え、コイル43−3の内側領域は一体部材14のN極142側にM31方向の力とM32方向の力を与える。結果として、一体部材14には、これらの合力である容器11を基準としたN1方向の強い力が与えられ、一体部材14がN1方向に移動する。このとき一体部材14にはN1方向の大きな加速度が生じる。コイル43−1〜43−3に電流を流すのを止めると、コイル43−1〜43−3によって一体部材14に与えられていたN1方向の力が解除され、弾性体15の弾性力によって一体部材14がN1方向の逆方向に移動する。一体部材14に掛かる合力と、その反作用で生ずる容器11に掛かる力との関係は、第1実施形態と同様である。これにより、第1実施形態と同様に、加速度発生装置4は、N1方向またはその逆方向の擬似的な力覚を明確に提示できる。
また、これらの逆方向の電流を流してもよい。例えば、コイル43−1に反時計回りRK1方向の電流が流れるように制御し、コイル43−2に時計回りK2方向の電流が流れるように制御し、コイル43−3に反時計回りK3方向の電流が流れるように制御してもよい。これにより、コイル43−1の内側領域は一体部材14のN極142側にRM11方向の力とRM12方向の力を与え、コイル43−2の内側領域は一体部材14のN極142側にRM21方向の力とRM22方向の力を与え、コイル43−3の内側領域は一体部材14のN極142側にRM31方向の力とRM32方向の力を与える。結果として、一体部材14には、これらの合力である容器11を基準としたN1方向の逆方向N2の強い力が与えられ、一体部材14がN1方向の逆方向N2に移動する(図26)。このとき一体部材14にはN1方向の逆方向N2の加速度が生じる。コイル43−1〜43−3に電流を流すのを止めると、コイル43−1〜43−3によって一体部材14に与えられていたN2方向の力が解除され、弾性体15の弾性力によって一体部材14がN1方向に移動する。一体部材14に掛かる合力と、その反作用で生ずる容器11に掛かる力との関係は、第1実施形態と同様である。
また、上記コイルのペアに流す電流量および周波数の少なくとも一方を調整することで、力ベクトルの合成方向が変化し、様々な方向へ疑似的な力覚を提示できる。
[第5実施形態]
第1から4実施形態の加速度発生装置1〜4では第1層に沿った擬似的な力覚を提示可能な構成であった。本実施形態では、さらに第1層から第2層に向かう方向またはその逆方向に擬似的な力覚を提示可能な構成である。以下では第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と共通する部分については第1実施形態で用いた参照番号を用いて説明を簡略化する。
図27から図29に例示するように、本実施形態の加速度発生装置5は、容器51と支持部52(上蓋)とコイル13−1〜13−4(第1コイル)とコイル53(第2コイル)と一体部材54と弾性体15,57−1〜57−4と緩衝材58−1〜58−4と可動部56とを有する。
容器51は、一方に開放口513を持ち他方に貫通孔514を持つ中空の収納部材である。容器51の形状に限定はないが、本実施形態では円筒の一方の開放端を閉じた形状に貫通孔514が形成され、他方の開放端を開放口513とした中空形状の部材を容器51とする。容器51の材質は、第1実施形態の容器11の材質と同じでよい。
支持部52は、中心付近に貫通孔121を持つ部材である。容器51の開放口513に取り付け可能であり、容器51に対する相対位置を固定できるのであれば、支持部52の形状に限定はない。本実施形態では、中心付近に貫通孔521を持つ円盤状(すなわち、ドーナツ形状)であって、その外周の辺縁部522が容器51の開放口513の内周にはめ込まれる形状の部材を支持部52とする。図27A等に例示するように、本実施形態の支持部52の一方の板面には、貫通孔121から放射状に当該板面に沿った4本の溝123−1〜123−4が形成されている(第1実施形態参照)。支持部52の材質は、第1実施形態の支持部12の材質と同じでよい。支持部52には第1実施形態で説明したように4本の溝123−1〜123−4に沿ってコイル13−1〜13−4が縦巻き方向に巻き付けられている。これにより、コイル13−1〜13−4は支持部52に支持され、支持部52に対する相対位置が固定されている。
4個のコイル13−1〜13−4が巻き付けられた支持部52は、容器51の開放口513に取り付けられている(図28Aおよび図28B)。具体的には、支持部52の内側領域525が容器51の内側に向けられ、支持部52が容器51の内側の底面512と略平行に配置され、支持部52の外周の辺縁部522が容器51の内周壁面511に固定されている。これにより、コイル13−1〜13−4のそれぞれが、少なくとも、支持部52に対して定まる第1層L51に配置されている。言い換えると、コイル13−β(ただし、β=1,・・・,4)のそれぞれの内側領域524側の部分が第1層L51に位置している。以上のような配置構成により、コイル13−1〜13−4のそれぞれは、第1層L51の互いに異なる領域に偏って配置されており、より具体的には、第1層L51の基準位置(貫通孔121)に対して、第1層L51に沿った4個の方角のそれぞれに位置している(図27A,28A,28B)。
容器51の内部には、一体部材54と、一体部材54を支持する弾性体15,57−1〜57−4と、緩衝材58−1〜58−4と、弾性体57−1〜57−4を支持する可動部56と、可動部56に支持されたコイル53とが配置されている。可動部56は、器(うつわ)状の容器部565と、その底の外方に伸びた柱部563と、柱部563の先端に設けられたストッパ564を有する。本実施例の容器部565は、円筒形状の一方の開放端を閉じた形状であり、その開放端側には底面512と略平行に外側に伸びた止め部565aが設けられている。ここで、柱部563の径は容器51の貫通孔514の径よりも小さく、ストッパ564の径は容器51の貫通孔514の径よりも大きく、柱部563の長手方向の長さは、容器51の底面512側の厚み(貫通孔514の長さ)よりもわずかに長い。図28Aおよび図28Bに例示するように、容器部565は容器51の内部に配置され、ストッパ564は貫通孔514近傍の容器51の外部に配置され、柱部563は貫通孔514に配置される。これにより、可動部56は、容器51の底面512側に「遊び」を持った状態で支持される。つまり、可動部56は、底面512に沿ってスライド可能である。ただし、可動部56は底面512と略垂直方向へ移動しない。また、容器部565の外周側面561にはコイル53が巻き付けられている。すなわち、コイル53は支持部52側からみて時計回りまたは反時計回りに外周側面561周りに巻き付けられている。コイル53は支持部52に沿った向きの巻き方となる。これにより、コイル53が容器部565に対して固定されている。
可動部56の容器部565の内側の底面562には、4個の弾性体57−1〜57−4の一端が固定されている。弾性体57−1〜57−4は、一体部材54を所定の復帰位置に戻す弾性力を生じる機構や部材である。このようなものであれば弾性体57−1〜57−4の構成に限定はない。本実施形態では、ゴム等の弾性材料から構成された弾性体57−1〜57−4を例示する。4個の弾性体57−1〜57−4の配置に特に限定はないが、底面562上で何れかの領域に偏らないように配置されることが望ましい。これらの4個の弾性体57−1〜57−4の他端は一体部材54を支持している。一体部材54は永久磁石を有する実質的な剛体である。一体部材54の構成に限定はない。本実施形態では、円盤状の1個の永久磁石を一体部材54とする。この一体部材54の一方の板面はN極542とされ、他方の板面はS極543とされている。4個の弾性体57−1〜57−4の他端はこの一体部材54のS極543側の板面を支持している。一体部材54および弾性体15は支持部52と容器部565の底面562との間に配置され、弾性体15の外周の辺縁部152は容器51の内周壁面511に支持され、弾性体15の内周の辺縁部151は一体部材54の外周の辺縁部541を支持している。一体部材54のN極542側の板面と支持部52の内側領域525との間には4個の緩衝材58−1〜58−4が配置されている。緩衝材58−1〜58−4は、支持部52または一体部材54に固定されている。緩衝材58−1〜58−4は一体部材54が容器51内で支持部52側へ移動したときに、一体部材54がコイル13−1〜13−4に接触しないように、比較的固い部材、もしくは、一体部材54に対して支持部52方向に掛かる力(コイル53に電流が流れることで一体部材54に生じる力)よりも強い応力を発生させる部材とする。緩衝材58−1〜58−4の配置にその他の限定はないが、一体部材54のN極542側の板面上で何れかの領域に偏らないように配置されることが望ましい。これらにより、弾性体15,57−1〜57−4が一体部材54を支持し、一体部材54の板面(N極542およびS極543の面)が底面512および支持部52と略平行に配置される。また本実施形態では、一体部材54のN極542が支持部52側に配置され、S極543が容器部565の底面562側に配置されている。しかしながら、一体部材54のS極543が支持部52側に配置され、N極542が容器部565の底面562側に配置されていてもよい。
以上により、コイル13−1〜13−4の相対位置が容器51に対して固定され、コイル13−1〜13−4それぞれの少なくとも一部が第1層L51に配置され、一体部材54が容器51の内周壁面511に支持された弾性体15に支持される。これにより、一体部材54が第1層L51に沿った第2層L52に配置され、容器51内を底面512に沿って移動可能とされる。本実施形態の一体部材54は、第1層L51に沿った2自由度の並進運動または1自由度の回転運動、ならびに、第1層L51から第2層L52に向かう方向および第2層L52から第1層L51に向かう方向の1自由度の並進運動を行うことが可能である。弾性体15,57−1〜57−4は、一体部材54を容器51内の所定の復帰位置に復帰させるための弾性力を一体部材54に与える。少なくとも一体部材54が復帰位置に存在する場合、コイル13−1〜13−4の内側領域525に位置する部分のそれぞれが一体部材54に対向している。コイル13−1〜13−4およびコイル53は、フレミングの左手の法則で説明されるローレンツ力の反作用により、流された電流に応じた力(加速度)を一体部材54に与える。また、その加速度を生じさせるためのローレンツ力がコイル13−1〜13−4を支持する容器51にかかり、一体部材54の加速方向と逆の力を生ずる。コイル13−1〜13−4は、流された電流に応じ、第1層L51(第2層L52)に沿った加速度を一体部材54に与える。コイル53は、流された電流に応じ、第1層L51から第2層L52に向かう「第1方向成分」を持つ加速度および第2層L52から第1層L51に向かう「第2方向成分」を持つ加速度の少なくとも一方を一体部材54に与える。すなわち、コイル13−1〜13−4およびコイル53のそれぞれに流れる電流の向き・大きさおよび一体部材54の磁場に応じ、一体部材54に様々な方向・大きさの力が与えられ、それらの合成ベクトルに相当する力が一体部材54に与えられる。これらの力により、一体部材54は第1層L51に沿った(例えば、容器51の底面512および支持部52と略平行な)周期的な運動(支持部52に対する運動)や、第1方向成分の加速度を持つ運動および第2方向成分の加速度を持つ運動を繰り返す周期的な運動を行う。第1層L51に沿った一体部材54の周期的な運動は、コイル13−1〜13−4のそれぞれに流れる電流の向きおよび大きさによって制御できる。第1方向成分の加速度を持つ運動および第2方向成分の加速度を持つ運動を繰り返す一体部材54の周期的な運動は、コイル53に流れる電流の向きおよび大きさによって制御できる。ここで、加速度または角加速度の向きによって加速度または各速度の大きさの時間変化が異なるように制御した場合、加速度発生装置5を把持しているユーザはこの運動に応じた擬似的な力覚を知覚する。例えば、第1実施形態と同様、一体部材54の第1層L51に沿った所望の方向の逆方向の加速度の時間変化とその所望の方向の加速度の時間変化とを非対称にすると、その反作用として容器51に非対称の力(加速度)を発生させることができる。これにより、所望の方向(またはその逆方向)の並進力覚を呈示できる。また、一体部材54が第1層L51に沿った所望の回転方向に対して逆の角加速度の時間変化とその所望の回転方向の角加速度の時間変化とを非対称にすることで、所望の回転方向(またはその逆回転方向)に回転するような力覚(回転力覚)を呈示できる。さらに、図30Aおよび図30Bに例示するように、本実施形態では、一体部材54が第1層L51から第2層L52に向かうQ方向へ加速する期間とその逆方向に加速する期間とを繰り返す周期的な運動を行う場合、Q方向へ加速する期間での加速度の時間変化とその逆方向へ加速する期間での加速度の時間変化とを非対称とすることで、Q方向(またはその逆方向)に並進力覚を呈示できる。すなわち、コイル53に支持部52側からみた反時計回りのP方向の電流を流すように制御すると、コイル53は一体部材にQ方向の力を与える。これにより一体部材54はQ方向に移動し、Q方向の加速度が生じる。その反作用としてQ方向の逆方向の力が、コイル53を支持する容器51に伝わり、容器51がQ方向と逆方向に加速される。次に、一体部材54が弾性体57−1〜57−4を押すため、弾性体57−1〜57−4が弾性変形する。ここで、コイル53に電流を流すのを止めると、弾性体57−1〜57−4の弾性力により、一体部材54はQ方向と逆方向に押し戻される。ここで、コイル53に電流を流す期間と電流を流さない期間を適切にとると、一体部材54のQ方向の加速度の時間変化とQ方向の逆方向の加速度の時間変化とを非対称にでき、その反作用として容器51に非対称の力(加速度)を発生させることができる。例えば、一体部材54のQ方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)がQ方向の逆方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)よりも大きくなるように制御すると、加速度発生装置5を把持しているユーザは、Q方向と逆方向の擬似的な力覚を知覚する。逆に、例えば、Q方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)がQ方向の逆方向の加速度の大きさの最大値(または一定短時間の平均値)よりも小さくなるように制御すると、加速度発生装置1を把持しているユーザは、Q方向の力覚を知覚する。これにより、加速度発生装置5は、Q方向またはその逆方向の擬似的な力覚も提示できる。また、上記略直交するコイルのペアに流す電流量および周波数の少なくとも一方を調整することで、力ベクトルの合成方向が変化し、様々な方向へ疑似的な力覚を提示できる。
[第6実施形態]
第1実施形態の加速度発生装置1は、一体部材14の一方の板面側のみにコイル13−1〜13−4が固定された支持部12が配置されていた。しかしながら、一体部材14の他方の板面側にもコイルが配置されていてもよい。以下では第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と共通する部分については第1実施形態で用いた参照番号を用いて説明を簡略化する。
図31および図32に例示するように、本実施形態の加速度発生装置6は、容器11と、支持部12(上蓋)と、コイル13−1〜13−4(第1コイル)と、支持部62と、コイル63−1〜63−4(第3コイル)と、一体部材14と、弾性体15とを有する。
本形態では、支持部62は支持部12と同じであり、コイル63−1〜63−4はコイル13−1〜13−4と同じであり、コイル13−1〜13−4が支持部12に巻き付けられるのと同じように、コイル63−1〜63−4が支持部62に巻き付けられる。すなわち、コイル63−1〜63−4が巻き付けられた支持部62の構成は、コイル13−1〜13−4が巻き付けられた支持部12の構成と同じである。コイル63−1〜63−4が巻き付けられた支持部62は容器11の内部の底面112側に取り付けられ、コイル13−1〜13−4が巻き付けられた支持部12は開放部113側に取り付けられている。ただし、本形態では、これらが面対称(第2層L12に含まれる第2平面に対して面対称)となるように配置されている。また、一体部材14は容器11の内周壁面111に支持された弾性体15に支持される。以上により、コイル13−1〜13−4の相対位置が支持部62に対して固定され、コイル63−1〜63−4の相対位置が支持部12に対して固定される。コイル13−1〜13−4のそれぞれの少なくとも一部が第1層L11に配置され、一体部材14は第1層L11に沿った第2層L12に配置され、コイル63−1〜63−4それぞれの少なくとも一部が第2層L12に沿った第3層L63に配置される。なお、第2層L12は第1層L11と第3層L63との間に位置する。これにより、一体部材14は第1層L11および第3層L63に沿った第2層L12に配置され、容器11内を底面112に沿って移動可能とされる。なお、一体部材14のN極142が支持部12側に配置され、S極143が支持部62側に配置されている。また、コイル13−1〜13−4のそれぞれ13−n(ただし、n=1,・・・,4)は、コイル63−1〜63−4のそれぞれ63−nに位置合わせされている。言い換えると、コイル63−nとコイル63−nとは、第2層L12に含まれる第2平面に対して面対称である(図32Aおよび図32B)。
コイル13−1〜13−4と同様、コイル63−1〜63−4に電流が流されると、ローレンツ力の反作用により、流された電流に応じた力が一体部材14に与えられる。ここで、コイル13−n(ただし、n=1,・・・,4)が第1層L11から第2層L12に向かう成分を持つ加速度を一体部材14に与えるときに、コイル63−n(ただし、n=1,・・・,4)が第3層L63から第2層L12に向かう成分を持つ加速度を一体部材14に与えるように制御することにより、第1層L11から第2層L12に向かう成分(図32Aおよび図32Bの上から下へ向かう方向成分)の力と第3層L63から第2層L12に向かう成分(図32Aおよび図32Bの下から上へ向かう方向成分)の力とが相殺され、一体部材14の第1層L11,第2層L12,第3層L63を横切る方向(図32Aおよび図32Bの上下方向)の変動が軽減され、一体部材14を第2層L12に沿って安定して移動または回転させることができる。好ましくは、コイル13−nが一体部材14に与える第1層L11から第2層L12に向かう成分の力の大きさと、コイル63−nが一体部材14に与える第3層L63から第2層L12に向かう成分の力の大きさとを等しくする。言い換えると、コイル13−nが一体部材14に与える力のベクトルと、コイル63−nが一体部材14に与える力のベクトルとを、第2層L12に対して面対称にする。例えば、コイル13−2の一体部材14側の部分に支持部12の外周側から貫通孔121側に向かうR2方向の大きさI−2の電流が流れるときに、コイル63−2の一体部材14側の部分に支持部62の内側から外周側に向かうRR2方向の大きさI−2の電流が流れるように制御する(図32A)。例えば、コイル13−4の一体部材14側の部分に支持部12の外周側から貫通孔121側に向かうR4方向の大きさI−4の電流が流れるときに、コイル63−4の一体部材14側の部分に支持部62の内側から外周側に向かうRR4方向の大きさI−4の電流が流れるように制御する(図32A)。例えば、コイル13−1の一体部材14側の部分に支持部12の外周側から貫通孔121側に向かうR1方向の大きさI−1の電流が流れるときに、コイル63−1の一体部材14側の部分に支持部62の内側から外周側に向かうRR1方向の大きさI−1の電流が流れるように制御する(図32B)。例えば、コイル13−3の一体部材14側の部分に支持部12の外周側から貫通孔121側に向かうR3方向の大きさI−3の電流が流れるときに、コイル63−3の一体部材14側の部分に支持部62の内側から外周側に向かうRR3方向の大きさI−3の電流が流れるように制御する(図32B)。これにより、一体部材14を容器11の底面112とほぼ平行な状態で回転させることができる。このような制御は、コイル13−nとコイル63−n(ただし、n=1,・・・,4)をそれぞれ直列に電気的に接続しておくと容易である。その他の擬似的な力覚を提示するための制御方法は第1実施形態で説明した通りである。
なお、本実施形態では、コイル13−1〜13−4とコイル63−1〜63−4とを面対称に配置した。これが最善であるが、コイル13−1〜13−4とコイル63−1〜63−4とが面対称に配置されていなくてもよい。また、第3層L63に1個以上のコイルが配置されていればある程度の効果(一体部材14の第1層L11,第2層L12,第3層L63を横切る方向の変動を軽減する効果)が期待できる。そのため、第3層L63に1個から3個または5個以上のコイルが配置されていてもよい。
さらに本実施形態のように構成することにより、第1実施形態よりもより大きな加速度を一体部材14に与えることができる。なお、本実施形態は第1実施形態を変形した形態を説明したが、第3実施形態や第4実施形態についても同様な変形を行うことができる。
[その他の変形例等]
なお、本発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、一体部材が2個以上の永久磁石を含んでいてもよい。例えば、図33Aに例示するように、加速度発生装置が、2個の永久磁石741,742を含む一体部材74と横巻き方向に巻かれた2本のコイル73−1,73−2とを含んでいてもよい。永久磁石741のN極と永久磁石742のS極とが同じ側を向き、2本のコイル73−1,73−2はこれらの側に配置される。2本のコイル73−1,73−2は、それぞれ2個の永久磁石741,742にわたって配置され、それぞれの一部の領域(外周領域)が永久磁石741,742の外側に配置される。このような場合、コイル73−1に時計回り方向S1,73−2に反時計回り方向S2の電流を流すことで、一体部材74に対し、時計回り方向T1の角加速度を与えることができる。例えば、図33Bに例示するように、加速度発生装置が、2個の永久磁石741,742を含む一体部材74と横巻き方向に巻かれた4本のコイル83−1〜83−4とを含んでいてもよい。永久磁石741のN極と永久磁石742のS極とが同じ側を向き、2本のコイル83−1,83−2は永久磁石741のN極側の領域で横巻き方向に巻かれ、2本のコイル83−3,83−4は永久磁石742のS極側で横巻き方向に巻かれている。それぞれのコイル83−1〜83−4の一部の領域(外周領域)が永久磁石741,742の外側に配置される。このような場合、コイル83−1,3に時計回り方向U1,S3の電流を流し、コイル83−2,4に反時計回り方向U2,S4の電流を流すことで、一体部材74に対してV2方向の加速度を与えることができる。また、図33Aのコイル73−1,73−2に重ねて図33Bのコイル83−1〜83−4が配置されてもよい。これにより、並進2自由度、回転1自由度の擬似的な力覚を提示することができる。例えば、図33Cに例示するように、加速度発生装置が、4個の永久磁石841〜844を含む一体部材84と横巻き方向に巻かれた4本のコイル83−1〜83−4とを含んでいてもよい。永久磁石841,843のS極と永久磁石842,844のN極とが同じ側を向く。コイル83−1は永久磁石841のS極側の領域で横巻き方向に巻かれ、コイル83−2は永久磁石842のN極側の領域で横巻き方向に巻かれ、コイル83−3は永久磁石843のS極側の領域で横巻き方向に巻かれ、コイル83−4は永久磁石844のN極側の領域で横巻き方向に巻かれている。4本のコイル83−1〜83−4それぞれの一部の領域(外周領域)は永久磁石841〜844の外側に配置されている。このような場合、コイル83−1に時計回り方向U1の電流を流し、コイル83−2に反時計回り方向U2の電流を流すことで、一体部材84に対してV3方向の加速度を与えることができる(図33C)。また、コイル83−1,4に時計回り方向U1,RU4の電流を流し、コイル83−2,3に反時計回り方向U2,RU3の電流を流すことで、一体部材84に対してV3方向の強い加速度を与えることができる(図33D)。コイル83−4に時計回り方向RU4の電流を流し、コイル83−3に反時計回り方向RU3の電流を流すことで、一体部材84に対してV3方向の加速度を与えることができる(図33E)。このような変形例でもコイルに電流を流す期間と流さない期間との比を不均衡にすると、一体部材を偏並進周期運動させたり、偏回転周期運動させたりすることができ、それらによって擬似的な力覚を提示することができる。
例えば、加速度発生装置5の緩衝材58−1〜58−4が1個の弾性体に置換された構成であってもよい。例えば、加速度発生装置5の弾性体57−1〜57−4が1個の弾性体に置換された構成であってもよい。その他、一体部材にその他の方法で弾性力を与えてもよい。例えば、図34A〜図34Dに例示するように、一体部材94がその外径よりも内径が大きなゴムチューブ1150内に配置され、ゴムチューブ1150の両方の開放端側1151および1152が容器11等に固定されてもよい。図34B,図34Dは一体部材94が図面左方向に移動しゴムチューブ1150を引き延ばしている状態を示す。その状態では、ゴムチューブ1150の弾性力により、一体部材94にはその復帰位置に戻すための力が与えられる。別の例では、図34E〜図34Gのように、一方の板面側に突起部1191を有する永久磁石を含んだ一体部材1190を用い、突起部1191がゴムチューブ1160の一端に挿入・固定され、ゴムチューブ1160の他端1161が容器11等に固定されてもよい。図34Gは一体部材1190が図面左方向に移動した状態を示す。その状態ではゴムチューブ1160の弾性力により、一体部材1190にはその復帰位置に戻すための力が加えられる。
例えば、図35Aおよび図35Bに例示するように、円盤状の1個の永久磁石からなる一体部材94が一体部材94の外径よりも内径が大きなチューブ状の永久磁石95内に配置されていてもよい。永久磁石95は前述したような容器11等に支持され、一体部材94の磁極の向きと永久磁石95の磁極の向きとが一致するように配置される。これにより、一体部材94は永久磁石95からの磁力によって永久磁石95の中央に復帰する向きの力を受ける。また、図35Cおよび図35Dのように、円盤状の1個の永久磁石からなる一体部材94の外周方向の4方に容器11等に支持された4個の永久磁石951〜954が配置されてもよい。この場合も、体部材94の磁極の向きと永久磁石951〜954の磁極の向きとが一致するように配置しておけば、一体部材94は磁力によって永久磁石95の中央に復帰する向きの力を受ける。一体部材94は永久磁石951〜954からの磁力によって永久磁石951〜954の中央に復帰する向きの力を受ける。或いは、図35Eおよび図35Fのような電磁バネが用いられてもよい。この構成では、コイル1050に反時計周りの電流を掛けた状態で、一体部材94が上に動くと、コイル1050の下部に掛かる磁力が小さくなり、一体部材94に上向きに掛かる力が減る。そのためコイル1050上部からの下向きの力により、一体部材1050が下に動く。同様に、一体部材94がどちらの方向に動いても、平衡位置に戻す力が働く。
なお、永久磁石によるバネ系や電磁バネを用いる場合には、一体部材が容器の底面に接するように(容器底面の上に)配置されるものとする。一体部材が容器底面上を移動する際の摩擦力が少なくなるように、容器底面は摩擦が小さい素材とすることが望ましい。また、初期位置(コイルに電流を流さない状態)では、一体部材の板面の中心と容器底面の中心とが揃うよう(容器底面の中心を通り、容器底面と略垂直な軸状に一体部材の板面の中心が配置されるよう)に配置する。
また、2本のコイルを用いて並進2自由度の擬似的な力覚を提示する構成であってもよい。例えば、図36Aおよび図36Bの加速度発生装置7のように、第1実施形態の加速度発生装置1の4本のコイル13−1〜13−4に代えて、2本のコイル703−1,703−2が支持部12に巻き付けられてもよい。この例では、コイル703−1が、溝123−1,123−3およびそれらの裏面側に位置する内側領域に沿って支持部12に巻き付けられており、コイル703−2が、溝123−2,123−4およびそれらの裏面側に位置する内側領域124−2,124−4に沿って、支持部12に巻き付けられている。つまり、略直交する2つの軸方向にそれぞれ1本ずつのコイル703−1およびコイル703−2が支持部12に巻き付けられている。コイル703−1とコイル703−2とは、溝123−1〜4側およびその反対側の面で略直交する。
ここで、支持部12に沿った溝123−3から溝123−1に向かうY1方向に一体部材14を並進運動させる場合には、一体部材14側に位置するコイル703−2の部分に溝123−4から溝123−2に向かうY2方向の電流が流れるように制御する。これにより、コイル703−2は一体部材14のN極142側にY1方向の力を与える。結果として、一体部材14には、容器11を基準としたY1方向の力が与えられ、一体部材14がY1方向に加速する。その反作用としてY1方向と逆方向の力がコイル703−2を支持する容器11に伝わり、容器11がY1と逆方向に加速される。次に、一体部材14が弾性体15を押すため、弾性体15が弾性変形する。ここで、コイル703−2に電流を流すのを止めると、弾性力により一体部材14はY1方向と逆方向に押し戻される。ここで、コイル703−2に電流を流す期間と電流を流さない期間を適切に設定すると、一体部材14のY1方向の加速度の時間変化とY1方向の逆方向の加速度の時間変化とを非対称にでき、その反作用として、第1実施形態と同様に、加速度発生装置7は、Y1方向と逆方向またはY1方向の擬似的な力覚を提示できる(制御1−1)。
一方、Y2方向に一体部材14を並進運動させる場合には、一体部材14側に位置するコイル703−1の部分にY1方向と逆方向の電流が流れるように制御する。これにより、コイル703−1は一体部材14のN極142側にY2方向の力を与える。結果として、一体部材14には、容器11を基準としたY2方向の力が与えられ、一体部材14がY2方向に加速する。その反作用としてY2方向と逆方向の力がコイル703−1を支持する容器11に伝わり、容器11がY2と逆方向に加速される。次に、一体部材14が弾性体15を押すため、弾性体15が弾性変形する。ここで、コイル703−1に電流を流すのを止めると、弾性力により一体部材14はY2方向と逆方向に押し戻される。ここで、コイル703−1に電流を流す期間と電流を流さない期間を適切に設定すると、一体部材14のY2方向の加速度の時間変化とY2方向の逆方向の加速度の時間変化とを非対称にでき、その反作用として、第1実施形態と同様に、加速度発生装置7は、Y2方向と逆方向またはY2方向の擬似的な力覚を提示できる(制御1−2)。
また、制御1−1に代えて、一体部材14側に位置するコイル703−2の部分にY2方向の電流が流れるように制御する期間と逆方向の電流が流れるように制御する期間とを繰り返してもよい。第1実施形態と同様に、この場合にも前者の期間と後者の期間とを適切にすることで、Y1方向と逆方向またはY1方向の擬似的な力覚を提示できる(制御1−3)。同様に、制御1−2に代えて、一体部材14側に位置するコイル703−1の部分にY1方向の電流が流れるように制御する期間と逆方向の電流が流れるように制御する期間とを繰り返してもよい。第1実施形態と同様に、この場合にも前者の期間と後者の期間とを適切にすることで、Y2方向と逆方向またはY2方向の擬似的な力覚を提示できる(制御1−4)。
制御1−1と制御1−2を同時に行うことでY1方向とY2方向との間の方向へ擬似的な力覚を提示できる。同様に、制御2−3と制御2−4を同時に行うことでY1方向とY2方向との間の方向へ擬似的な力覚を提示できる。また、コイル703−1,2に流す電流量および周波数の少なくとも一方を調整することで、力ベクトルの合成方向が変化し、様々な方向へ疑似的な力覚を提示できる。
また例えば、図37Aおよび図37Bの加速度発生装置8のように、第2実施形態の加速度発生装置2の4本のコイル23−1〜23−4に代えて、2本のコイル803−1,803−2が支持部22に巻き付けられてもよい。この例では、コイル803−1が支持部22の溝223−1,223−3、それらの反対側の面、および辺縁部222を通って支持部22の外周に巻きつけられており、コイル803−2が溝223−2,223−4、それらの反対側の面、および辺縁部222を通って支持部22の外周に巻きつけられている。コイル803−1とコイル803−2とは、溝223−1〜4側およびその反対側の面で略直交する。その他の構成は第2実施形態の加速度発生装置2と同じである。
ここで、支持部22に沿った溝223−3から溝223−1に向かうX1方向に一体部材24を並進運動させる場合には、開放口213側に位置するコイル803−2の部分に溝223−4から溝223−2に向かうX2方向の電流が流れるように制御する。これにより、コイル803−2は一体部材24のN極242側にX1方向の力を与える。結果として、一体部材24には、容器21を基準としたX1方向の力が与えられ、一体部材24がX1方向に加速する。その反作用としてX1方向と逆方向の力がコイル803−2を支持する容器21に伝わり、容器21がX1と逆方向に加速される。次に、一体部材24が弾性体25を押すため、弾性体25が弾性変形する。ここで、コイル803−2に電流を流すのを止めると、弾性力により一体部材24はX1方向と逆方向に押し戻される。ここで、コイル803−2に電流を流す期間と電流を流さない期間を適切に設定すると、一体部材24のX1方向の加速度の時間変化とX1方向の逆方向の加速度の時間変化とを非対称にでき、その反作用として、第1実施形態と同様に、加速度発生装置8は、X1方向と逆方向またはX1方向の擬似的な力覚を提示できる(制御2−1)。
一方、X2方向に一体部材24を並進運動させる場合には、開放口213側に位置するコイル803−1の部分にX1方向と逆方向の電流が流れるように制御する。これにより、コイル803−1は一体部材24のN極242側にX2方向の力を与える。結果として、一体部材24には、容器21を基準としたX2方向の力が与えられ、一体部材24がX2方向に加速する。その反作用としてX2方向と逆方向の力がコイル803−1を支持する容器21に伝わり、容器21がX2と逆方向に加速される。次に、一体部材24が弾性体25を押すため、弾性体25が弾性変形する。ここで、コイル803−1に電流を流すのを止めると、弾性力により一体部材24はX2方向と逆方向に押し戻される。ここで、コイル803−1に電流を流す期間と電流を流さない期間を適切に設定すると、一体部材24のX2方向の加速度の時間変化とX2方向の逆方向の加速度の時間変化とを非対称にでき、その反作用として、第1実施形態と同様に、加速度発生装置8は、X2方向と逆方向またはX2方向の擬似的な力覚を提示できる(制御2−2)。
また、制御2−1に代えて、開放口213側に位置するコイル803−2の部分にX2方向の電流が流れるように制御する期間と逆方向の電流が流れるように制御する期間とを繰り返してもよい。第1実施形態と同様に、この場合にも前者の期間と後者の期間とを適切にすることで、X1方向と逆方向またはX1方向の擬似的な力覚を提示できる(制御2−3)。同様に、制御2−2に代えて、開放口213側に位置するコイル803−1の部分にX1方向の電流が流れるように制御する期間と逆方向の電流が流れるように制御する期間とを繰り返してもよい。第1実施形態と同様に、この場合にも前者の期間と後者の期間とを適切にすることで、X2方向と逆方向またはX2方向の擬似的な力覚を提示できる(制御2−4)。
制御2−1と制御2−2を同時に行うことでX1方向とX2方向との間の方向へ擬似的な力覚を提示できる。同様に、制御2−3と制御2−4を同時に行うことでX1方向とX2方向との間の方向へ擬似的な力覚を提示できる。また、コイル803−1,2に流す電流量および周波数の少なくとも一方を調整することで、力ベクトルの合成方向が変化し、様々な方向へ疑似的な力覚を提示できる。
さらに図38Aおよび図38Bの加速度発生装置9のように、加速度発生装置8のドーナツ型の一体部材24が第1実施形態で例示した円盤型の一体部材14に置換され、支持部22が中空の円筒型の支持部92に置換されたものであってもよい。この例では、コイル803−1および803−2が支持部92の外周に巻きつけられている。コイル803−1とコイル803−2とは、支持部92の表裏面で略直交する。弾性体25の外周の辺縁部は支持部92の内部の外周側内壁面に支持され、弾性体25の内周の辺縁部は一体部材14の外周の辺縁部を支持している。弾性体25は、一体部材14の板面(N極142およびS極143の面)が支持部92の内部の底面と略平行に配置され、かつ、一体部材14を保持する。この場合の制御方法は加速度発生装置8と同じである。一体部材14には貫通孔がなく中心部でも磁力が強いため、このような一体部材14を備えた加速度発生装置9は、中心部に貫通孔がある一体部材24を備えた加速度発生装置8よりも強い力覚を提示できる。
その他、支持部にコイルを固定する方法は上述のものに限定されず、第1層に2個以上のコイルを固定できるのであれば、その他の巻き方や配置であってもよい。
1〜9 加速度発生装置

Claims (12)

  1. 支持部と、
    永久磁石を含み、前記支持部に対して周期的な運動を行う一体部材と、
    前記支持部に対する相対位置が固定され、流された電流に応じた加速度を前記一体部材に与えるN個の第1コイルと、を有し、
    Nは2以上の整数であり、
    前記第1コイルのそれぞれは、前記永久磁石の一方の磁極側で前記支持部に巻き付けられており、前記第1コイルそれぞれの少なくとも一部分は、前記支持部に対して定まる平面を含む第1層に位置し、
    前記支持部に対する前記第1コイルの巻き付け方向は、前記平面に沿った軸の軸周りの方向であり、
    前記一体部材は、前記第1層に沿った第2層に位置し、前記第1層に沿った周期的な運動を行う、加速度発生装置。
  2. 請求項1の加速度発生装置であって、
    前記第1コイルのそれぞれは、前記第1層の互いに異なる領域に偏って配置される、加速度発生装置。
  3. 請求項1または2の加速度発生装置であって、
    前記第1コイルのそれぞれは、前記第1層の基準位置に対して、前記第1層に沿ったN個の方角のそれぞれに位置する、加速度発生装置。
  4. 請求項1から3の何れかの加速度発生装置であって、
    流された電流に応じ、前記第1層から前記第2層に向かう第1方向成分を持つ加速度および前記第2層から前記第1層に向かう第2方向成分を持つ加速度の少なくとも一方を前記一体部材に与える第2コイルをさらに有し、
    前記一体部材は、 前記第1方向成分の加速度を持つ運動および前記第2方向成分の加速度を持つ運動を繰り返す周期的な運動を行う、加速度発生装置。
  5. 請求項1からの何れかの加速度発生装置であって、
    前記支持部に対する相対位置が固定され、流された電流に応じた加速度を前記一体部材に与えるM個の第3コイルをさらに有し、
    Mは1以上の整数であり、
    前記第3コイルのそれぞれは、少なくとも、前記第2層に沿った第3層に位置し、前記第2層は前記第1層と前記第3層との間に位置する、加速度発生装置。
  6. 請求項5の加速度発生装置であって、
    N=Mであり、n=1,・・・,Nであり、
    前記第1コイルC(1),・・・,C(N)のそれぞれC(n)は、前記第3コイルC(1),・・・,C(N)のそれぞれC(n)に位置合わせされており、
    前記第1コイルC(1),・・・,C(N)のC(n)が前記第1層から前記第2層に向かう成分を持つ加速度を前記一体部材に与えるときに、前記第3コイルC(1),・・・,C(N)のC(n)は前記第3層から前記第2層に向かう成分を持つ加速度を前記一体部材に与える、加速度発生装置。
  7. 請求項6の加速度発生装置であって、
    前記第1コイルC(1),・・・,C(N)のC(n)は、前記第3コイルC(1),・・・,C(N)のC(n)と直列に接続されている、加速度発生装置。
  8. 請求項1から7の何れかの加速度発生装置であって、
    前記一体部材は、少なくとも、前記第1層に沿った並進2自由度または回転1自由度の周期的な運動を行う、加速度発生装置。
  9. 請求項1から8の何れかの加速度発生装置であって、
    前記周期的な運動は、所望の方向の加速度の時間変化と前記所望の方向の逆方向の加速度の時間変化とが異なる周期的な運動、および、所望の回転方向の角加速度の時間変化と前記所望の回転方向の逆回転方向の角加速度の時間変化とが異なる周期的な運動、の少なくとも一方を含む、加速度発生装置。
  10. 請求項1から9の何れかの加速度発生装置であって、
    弾性体を有し、前記弾性体のある部位の相対位置が前記支持部に対して保持されており、前記弾性体の他の部位が前記一体部材を支持している、加速度発生装置。
  11. 請求項1から10の何れかの加速度発生装置であって、
    Nは3以上の整数である、加速度発生装置。
  12. 請求項1から11の何れかの加速度発生装置であって、
    前記第1コイルのそれぞれに流す電流の大きさおよび周波数の少なくとも一方が制御可能である、加速度発生装置。
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