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JP6204316B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

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JP6204316B2 JP2014186110A JP2014186110A JP6204316B2 JP 6204316 B2 JP6204316 B2 JP 6204316B2 JP 2014186110 A JP2014186110 A JP 2014186110A JP 2014186110 A JP2014186110 A JP 2014186110A JP 6204316 B2 JP6204316 B2 JP 6204316B2
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Description

本発明は、インクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録装置は、小型かつ安価であるとともに、比較的静かに画像を形成できることから、画像形成装置として、プリンター、複写機、複合機等に広く用いられている。インクジェット記録装置では、記録ヘッドに設けられた多数のノズルから、色材を含有するインクを吐出し、シート等の被記録媒体上に画像を形成する。
一般に、インクジェット記録装置では、トナーを用いて画像を形成する電子写真式画像形成装置と比べて、シートにインクが浸透していまい、色材の着色効率が低くなることがある。そこで、インクを吐出する前または吐出した後に、カチオン性高分子化合物を含んだ処理液を中間転写体に塗布するインクジェット記録装置が提案されている(特許文献1)。
特許文献1のインクジェット記録装置では、マイナスの電荷を有する色材は、インクヘッド内において静電気的な反発力によって分散している。このインクジェット記録装置において、中間転写体に対してインクおよび処理液が付与されると、色材は処理液内の高分子のカチオンとイオン的に結合・凝集し、色材は樹脂とともにシートに転写される。特許文献1のインクジェット記録装置では、樹脂に結合・凝集した色材がシートに転写されるため、シート上にある程度の割合で色材を存在させることができ、色材の着色効率を改善させている。
特開2003−246135号公報
しかしながら、特許文献1のインクジェット記録装置では、静電気的に樹脂および色材を結合・凝集させていることから、色材は樹脂に対して等方的に結合・凝集することになる。このため、色材は、シートの厚さ方向にある程度の厚さを有してシートに転写されることになり、インク内の色材を充分には利用できなかった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シート上のインクの着色効率を向上させたインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明によるインクジェット記録装置は、中間転写体と、記録ヘッドと、成膜助剤付与部材とを備える。前記記録ヘッドは、前記中間転写体にインクを吐出する。前記成膜助剤付与部材は、前記記録ヘッドが前記中間転写体にインクを吐出する前に、前記中間転写体に成膜助剤を付与する。
本発明によれば、インクの着色効率を向上させることができる。
本発明の実施形態によるインクジェット記録装置の模式図である。 本実施形態のインクジェット記録装置の模式図である。 (a)は中間転写体および成膜助剤を用いることなくシートに直接吐出されたインクを示す図であり、(b)は中間転写体に成膜助剤およびインクを付与した後にシートに転写されたインクを示す図である。 本発明の実施形態によるインクジェット記録装置全体の模式図である。
以下、図面を参照して本発明によるインクジェット記録装置の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されない。
図1に、本実施形態のインクジェット記録装置100の模式図を示す。インクジェット記録装置100は、中間転写体110と、記録ヘッド120と、成膜助剤付与部材130とを備える。ここでは、中間転写体110は無端状のベルトである。
インクジェット記録装置100は、ベルトローラー112a、ベルトローラー112bおよびベルトローラー112cを有しており、中間転写体110は、ベルトローラー112a、ベルトローラー112bおよびベルトローラー112cに張設されている。ベルトローラー112a〜112cのうちのいずれかが駆動ローラーであり、他のローラーは従動ローラーである。駆動ローラーの回転に伴って従動ローラーは従動して回転する。ここでは、中間転写体110は、時計回りに回転する。
記録ヘッド120は、中間転写体110に対向するように配置される。記録ヘッド120は、中間転写体110のうちのベルトローラー112aとベルトローラー112bとの間の領域と対向する位置に配置されている。
記録ヘッド120は、中間転写体110にインクを吐出する。インクは、液体と、樹脂と、色材とを含有する。典型的には、樹脂は粒子形状である。色材は、顔料であってもよく、あるいは、染料であってもよい。例えば、色材は、樹脂粒子内に混合されているか、または、樹脂粒子とともに液体内で懸濁している。また、インクは好適には水性インクであり、液体は水を含有している。
ここでは、記録ヘッド120は、複数の色のインクを吐出する複数の記録ヘッド120a、記録ヘッド120b、記録ヘッド120cおよび記録ヘッド120dを有している。記録ヘッド120aはシアン色のインクを吐出し、記録ヘッド120bはマゼンタ色のインクを吐出し、記録ヘッド120cは黄色のインクを吐出し、記録ヘッド120dは黒色のインクを吐出する。典型的には、記録ヘッド120a〜120dから吐出されるインクは、色材が異なる点を除いて同様の組成を有している。
成膜助剤付与部材130は、所定の方向に回転する中間転写体110に対して、記録ヘッド120の上流側に配置されている。成膜助剤付与部材130は、記録ヘッド120が中間転写体110にインクを吐出する前に、中間転写体110に成膜助剤を付与する。成膜助剤は造膜助剤とも呼ばれる。成膜助剤付与部材130によって中間転写体110に付与される成膜助剤の厚さは、例えば、1μm以上10μm以下である。成膜助剤は、一般に樹脂のエマルションに対して最低造膜温度を下げる作用を有する。
インクジェット記録装置100では、まず、成膜助剤付与部材130が中間転写体110に成膜助剤を付与し、その後、記録ヘッド120が中間転写体110の成膜助剤上にインクを吐出する。インクが成膜助剤上に吐出されると、インクは成膜助剤上で成膜する。具体的には、成膜助剤上にインクが吐出されると、インク内の樹脂はインクと成膜助剤との界面で膨潤し、樹脂同士が結着して膜を形成する。
インクジェット記録装置100は、搬送部140をさらに備える。搬送部140はシートを搬送する。搬送部140は、搬送ベルト142と、転写ローラー144とを有する。転写ローラー144は、搬送ベルト142と接触する。転写ローラー144は、搬送ベルト142および中間転写体110を介してベルトローラー112cと対向している。中間転写体110は成膜助剤とともにインクを搬送ベルト142上のシートに転写し、成膜助剤およびインクの転写されたシートは外部に搬送される。
本実施形態のインクジェット記録装置100では、成膜助剤付与部材130が中間転写体110に成膜助剤を付与した後、記録ヘッド120は成膜助剤の上にインクを吐出する。インクが成膜助剤の上に到達すると、インクは成膜助剤上で面状に広がり、成膜助剤がインク内の樹脂と反応して、インクの成膜が進行する。このようにインクの樹脂が成膜助剤と反応することにより、樹脂のガラス転移温度が低下し、樹脂が成膜助剤を介して分子間力で結合すると考えられる。この現象は不可逆的な物理現象であり、形成された膜は濡れや擦り等のストレスに強くなり、シート(例えば、用紙)に転写された後のシートとも良好に結合する。インクの膜化は成膜助剤とインクとの接触によって進行するので、インクは、静電気的な結合・凝集に起因する等方的な集合体ではなく、膜状に形成される。
なお、形成される膜は、成膜助剤の分子サイズからすると、後から吐出される別のインクの浸透を阻めるほど緻密ではない。例えば、図1に示したインクジェット記録装置100のように、記録ヘッド120が異なる色のインクを吐出する複数の記録ヘッド120a〜120dを有する場合、色の異なるインクが中間転写体110上に積層する。この場合でも、2番目以降に吐出されるインク(典型的には、記録ヘッド120b〜120dから吐出されるインク)も、1番目に吐出されたインク(典型的には、記録ヘッド120aから吐出されるインク)ほどではないものの、成膜助剤と接触して成膜する。この場合の成膜も等方的な結合・凝集とは異なるように進行して、積層膜が形成される。したがって、成膜助剤は、記録ヘッド120a〜120dから吐出されたインクに含まれる樹脂と反応して、インクは、成膜助剤とインクとの界面において広がるようにほぼ均一に色材に応じて着色された膜を形成する。このため、着色効率の良好なインク膜を形成でき、より少量の色材で彩度の高い画像を形成できる。
膜状のインクをシートに転写する際に、シートに対するインクの液体成分および成膜助剤の吸収性が高ければ、インクの液体成分および成膜助剤はシートに浸透するため、シートに形成される画像には影響しない。一方、シートに対するインクの液体成分および成膜助剤の吸収性が低い場合、転写前に、インクの液体成分および成膜助剤を予め除去してもよい。なぜなら、イオン的な結合・凝集とは異なり、インクが一旦膜状に形成されると、インクに対して液を除去するストレスを付与しても、インクが液内に再分散せず、また、細分化しないためである。インクと成膜助剤との反応によって、色材および樹脂を含む膜はガラス転移点が低下しているため、転写によってシートに密着し、成膜助剤の浸透・乾燥に伴ってシートと強固に結合し、定着性も良好となる。
また、成膜助剤はインクよりも先に中間転写体110に付与されており、インクが中間転写体110と直接接触しないため、シートへのインクの転写効率を向上させることができる。
[中間転写体110]
本実施形態のインクジェット記録装置100において、中間転写体110は、記録ヘッド120からインクが吐出される前に、成膜助剤付与部材130から成膜助剤を付与される。中間転写体110のうちの少なくとも成膜助剤と接触する表面は、成膜助剤に溶解しにくい材料から形成されることが好ましい。例えば、中間転写体110が、ベース部と、ベース部を覆う有機膜(樹脂膜)とを有するように構成される場合、有機膜は成膜助剤に溶解しにくい材料から形成されることが好ましい。あるいは、中間転写体110は金属から構成されてもよい。例えば、中間転写体110はベルト状のアルミニウムから形成されていてもよい。
[記録ヘッド120]
特に図示しないが、記録ヘッド120a〜120dには多数のノズルが設けられており、ノズルの各々は記録ヘッド120a〜120d内に形成された加圧室を介してインク液室に連通している。インク液室はチューブを介してインク供給ポンプに連通接続されている。そして、インク供給ポンプはチューブを介してインクタンクに連通接続されている。インクは、インクタンクから記録ヘッド120a〜120dに供給される。
[インク]
上述したように、インクは、液体と、色材と、樹脂とを含有する。
(液体)
インクに対する液体の含有量は、後述の他の成分の含有量に応じて適宜変更される。液体の含有量は、インクの全質量に対して20質量%以上70質量%以下であることが好ましく、25質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。液体は好適には水である。水の純度は、必要に応じて適宜選択される。
また、水に、水溶性有機溶剤を添加してもよい。水溶性有機溶剤として、グリコール類、グリセリン、多価アルコールのエーテル類、アセテート類、チオジグリコール、含窒素化合物類、または、ジメチルスルホキシドが好適に用いられる。
グリコール類は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ―ルまたはテトラエチレングルコールである。多価アルコールのエーテル類は、例えば、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジエチルカルビトール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、または、プロピレングリコールモノメチルエーテルである。含窒素化合物類は、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、または、ホルムアミド、ジメチルホルムアミドである。なお、水溶性有機溶媒は、水に添加することなく、単独で用いてもよく、または、2種以上を混合して用いてもよい。
(樹脂)
樹脂として、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、または、ポリエステル−アクリル共重合体樹脂が好適に用いられる。
樹脂の質量平均分子量(Mw)は、10,000以上40,000以下であることが好ましい。樹脂の質量平均分子量がこのような範囲であることで、長期間にわたり、記録ヘッドからインクを良好に吐出でき、所望する濃度の画像を形成できる。
樹脂の分子量は、樹脂を重合反応で得る際の重合開始剤の使用量、重合温度、または重合時間を調整する公知の方法にしたがって調整できる。重合温度は、50℃以上70℃以下の範囲で調整するのが好ましく、重合時間は、10時間以上24時間以内の範囲で調整するのが好ましい。樹脂の質量平均分子量(Mw)はゲルろ過クロマトグラフィーを用いて測定できる。
(色材)
色材は、顔料または染料である。例えば、顔料は、樹脂粒子内に混合された状態で液体内に分散されている。または、顔料は、樹脂粒子とともに液体内で懸濁している。あるいは、染料として、直接染料、食用染料、酸性染料、反応染料、分散染料、建染染料等が好適に用いられる。
(顔料)
顔料として、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、金属錯体系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ベリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系の各顔料の他、ローダミンBレーキ顔料またはカーボンブラック等が好適に用いられる。
色材として顔料を用いる場合、顔料分散剤として、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、または、ポリエステル樹脂が好適に用いられる。例えば、アクリル樹脂として、アルカリ可溶性樹脂であるスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸―(メタ)アクリル酸エステル(C1〜C4程度の低級アルキルエステル、以下同様)共重合体、メタクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メチルスチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−メタクリルスルホン酸共重合体、または、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−アリルスルホン酸共重合体が用いられる。特に、酸価が50〜350で且つ平均分子量が2,000〜20,000であるアルカリ可溶性樹脂が好適に使用される。
(染料)
あるいは、色材として染料を用いてもよい。具体的には、例えば、色に応じて以下に示す染料が好適に用いられる。色材として染料を用いる場合も成膜助剤により膜化して表面に留めるため、上記顔料に用いた樹脂を用い、染料を含んだ樹脂粒子として配合する。
例えば、黒色の染料として、直接染料、食用染料、酸性染料または反応染料が好適に用いられる。具体的には、黒色の染料として、C.I.ダイレクトブラック−4,−9,−11,−17,−19,−22,−32,−80,−151,−154,−168,−171,−194、−195、C.I.フードブラック−1,−2、C.I.アシッドブラック−1,−2,−7,−16,−24,−26,−28,−31,−48,−52,−63,−107,−112,−118,−119,−121,−172,−194,−208、C.I.リアクティブブラック−1、−3、−4、−5、−6、−8、−9、−10、−12、−13、−14、−18、または、プロジェットファストブラック2(Zeneca株式会社製)が用いられる。
また、青色の染料として、直接染料、酸性染料または反応染料が好適に用いられる。具体的には、青色の染料として、C.I.ダイレクトブルー−1,−2,−6,−8,−22,−34,−70,−71,−76,−78,−86,−142,−199,−200,−201,−202,−203,−207,−218,−236,−287、C.I.アシッドブルー−1,−7,−9,−15,−22,−23,−27,−29,−40,−43,−55,−59,−62,−78,−80,−81,−90,−102,−104,−111,−185,−254、または、C.I.リアクティブブルー−1、−2、−3、−4、−5、−7、−8、−9、−13、−14、−15、−17、−18、−19、−20、−21、−25、−26、−27、−28、−29、−31、−32、−33、−34、−37、−38、−39、−40、−41、−43、−44、−46が用いられる。
また、赤色の染料として、直接染料、酸性染料または反応染料が好適に用いられる。具体的には、赤色の染料として、C.I.ダイレクトレッド−1,−2,−4,−8,−9,−11,−13,−15,−20,−28,−31,−33,−37,−39,−51,−59,−62,−63,−73,−75,−80,−81,−83,−87,−90,−94,−95,−99,−101,−110,−189,−225,−227、C.I.アシッドレッド−1,−4,−8,−13,−14,−15,−18,−21,−26,−35,−37,−52,−249,−257、−289、または、C.I.リアクティブレッド−1、−2、−3、−4、−5、−6、−7、−8、−11、−12、−13、−15、−16、−17、19、−20、−21、−22、−23、−24、−28、−29、−31、−32、−33、−34、−35、−36、−37、−38、−39、−40、−41、−42、−43、−45、−46、−49、−50、−58、−59、−63、−64、−180が用いられる。
また、黄色の染料として、直接染料、酸性染料または反応染料が好適に用いられる。具体的には、黄色の染料として、C.I.ダイレクトイエロー−1,−2,−4,−8,−11,−12,−26,−27,−28,−33,−34,−41,−44,−48,−86,−87,−88,−132,−135,−142,−144、C.I.アシッドイエロー−1,−3,−4,−7,−11,−12,−13,−14,−19,−23,−25,−34,−38,−41,−42,−44,−53,−55,−61,−71,−76,−79、または、C.I.リアクティブイエロー−1、−2、−3、−4、−6、−7、−11、−12、−13、−14、−15、−16、−17、−18、−22、−23、−24、−25、−26、−27、−37、−42が用いられる。
また、シアンの染料として、プロジェットファストシアン2(Zeneca株式会社製)が好適に用いられ、マゼンタの染料として、プロジェットファストマゼンタ2(Zeneca株式会社製)が好適に用いられる。ただし、染料は上述した染料に限定されるものではない。
なお、インクは、さらに、溶解安定剤、保湿剤、界面活性剤および浸透剤のいずれかを含有してもよい。溶解安定剤は、インクに含まれる成分を相溶化してインクの溶解状態を安定化させる成分である。保湿剤は、インクからの液体成分の揮発を抑制してインクの粘性を安定化させる成分である。界面活性剤は、シートに対する濡れ性を向上させる成分である。浸透剤は、シートへのインクの浸透性を高める成分である。
(溶解安定剤)
溶解安定剤は、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、または、γ−ブチロラクトンである。これらの溶解安定剤は2種以上を組み合わせて用いることができる。インクが溶解安定剤を含有する場合、溶解安定剤の含有量は、インクの全質量に対して1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、3質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
(保湿剤)
保湿剤としては、例えば、ポリアルキレングリコール類、アルキレングリコール類またはグリセリンが好適に用いられる。ポリアルキレングリコール類は、例えば、ポリエチレングリコール、または、ポリプロピレングリコールである。アルキレングリコール類は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、1,3−ブタンジオール、または、1,5−ペンタンジオールである。
なお、上述した保湿剤のうち、液体成分の揮発の抑制効果に優れることからグリセリンがより好ましい。保湿剤は2種以上を組み合わせて用いることができる。インクが保湿剤を含有する場合、保湿剤の含有量は、インクの全質量に対して2質量%以上30質量%以下であることが好ましく、10質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、または、両性界面活性剤が好適に用いられる。非イオン界面活性剤は、例えば、特殊フェノール型非イオン界面活性剤、エステル型非イオン界面活性剤、アマイド型非イオン界面活性剤、アセチレングリコール、または、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物である。
例えば、特殊フェノール型非イオン界面活性剤として、多環フェノールエトキシレートが用いられる。エステル型非イオン界面活性剤として、ソルビタンラウリルエステル、ソルビタンオレイルエステル、または、ポリオキシエチレンソルビタンオレイルエステルが用いられる。
マイド型非イオン界面活性剤として、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアマイド、または、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアマイドが用いられる。陰イオン界面活性剤として、アルコールサルフェートナトリウム塩、高級アルコールサルフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム塩が用いられる。陽イオン界面活性剤として、ノ長鎖アルキルカチオン、ジ長鎖アルキルカチオン、アルキルアミンオキサイドが用いられる。両性界面活性剤として、ラウリルアミドプロピル酢酸ベタイン、ラウリルアミノ酢酸ベタインが用いられる。なお、両性界面活性剤として、上記界面活性剤を単独或いは混合したものを用いることができる。
なお、界面活性剤の含有量は、インクの全体量に対して、0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上1質量%以下内であることがより好ましく、0.05質量%以上0.5質量%以上であることがさらに好ましい。インクの全質量に対して界面活性剤の含有量が所定量以上あると、インクはシートに対して適度な濡れ性を示すことになり、オフセットを抑制し、所望の濃度の画像を形成することができる。また、インクの全質量に対して界面活性剤の含有量が所定量以下であると、インクはシートに対して適度な濡れ性を示すことになる。この場合、インクに含まれる水や有機溶媒とともに、インクに含まれる顔料がシート内部に浸透してしまうことが抑制され、所望する濃度の画像を形成できる。
(浸透剤)
浸透剤としては、例えば、ジオール類またはグリコールエーテル類が好適に用いられる。ジオール類は、1,2−へキシレングリコール、1,2−オクタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、または、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールである。グリコールエーテル類は、例えば、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、または、ジエチレングリコールモノブチルエーテルである。浸透剤として、2種以上の浸透剤を組み合わせて用いてもよい。
浸透剤の含有量は、浸透剤の種類に応じて適宜調整される。典型的には、浸透剤の含有量は、インクの全質量に対して0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
[成膜助剤付与部材130]
成膜助剤付与部材130は、中間転写体110と直接接触して中間転写体110に成膜助剤を付与してもよい。あるいは、成膜助剤付与部材130は、中間転写体110と接触することなく中間転写体110とは離れた場所から中間転写体110に成膜助剤を付与してもよい。
また、成膜助剤付与部材130は、中間転写体110のうちの記録ヘッド120からインクの吐出される可能性のある全面に成膜助剤を付与してもよい。あるいは、成膜助剤付与部材130は、記録ヘッド120からインクの吐出される選択された領域に成膜助剤を付与してもよい。
例えば、成膜助剤付与部材130はローラー形状であり、成膜助剤付与部材130は中間転写体110と直接接触するように配置されてもよい。この場合、成膜助剤付与部材130は、中間転写体110のうちの記録ヘッド120からインクの吐出される可能性のある全面に成膜助剤を塗布する。
あるいは、成膜助剤付与部材130は、記録ヘッド120と同様のヘッド形状であり、成膜助剤付与部材130は、中間転写体110と接触することなく中間転写体110とは離れた場所から中間転写体110に成膜助剤を付与してもよい。この場合、成膜助剤付与部材130は、記録ヘッドからインクの吐出されるべき領域に成膜助剤を吐出する。
[成膜助剤]
成膜助剤は有機溶剤である。成膜助剤として、窒素原子または硫黄原子を有する化合物が用いることが好ましい。具体的には、成膜助剤として、環状溶剤、環状エステル溶剤、ジメチルスルフォキシド、グリコールエーテル、エステル類またはアミド類が好適に用いられる。
成膜助剤として、例えば以下のものを挙げることができる。窒素原子を含有する環状化合物としては、環状アミド化合物、特には5〜7員環が好ましく、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン1,3−ジメチルイミダゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミドゾリジノン、ε−カプロラクタム、メチルカプロラクタム、2−アザシクロオクタノン等が挙げられる。環状アミド以外の窒素原子を含有する環状化合物としてはホルミルモルホリンが挙げられる。
また、イオウ原子を含有する環状化合物としては、環状スルホン化合物が好ましく、5−7員環が好ましく、例えば、スルホラン等が挙げられる。環状エステル化合物としてはγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンが挙げられ、乳酸エステルとしては、乳酸ブチル、乳酸エチルなどが挙げられる。
グリコールエーテルとしては、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、または、ジエチレングリコールモノエチルモノアセテートが好ましい例として挙げられる。なお、成膜助剤は、単独もしくは複数種を併用して用いてもよく、総量として、樹脂の1倍以上10倍未満の量を用いることができる。
成膜助剤の溶解パラメーター(SP値)は、樹脂の溶解パラメーターとの差が±0.5以下となるように選択されることが好ましい。なお、成膜助剤の溶解パラメーターおよび樹脂の溶解パラメーターのいずれが大きくてもよいが、両者の差が比較的小さいことが好ましい。樹脂の溶解パラメーターと成膜助剤の溶解パラメーターとの差が0.5以下であることにより、成膜助剤が充分に機能し、色材のシートへの浸透を抑制できるため、画像濃度の低下を抑制できる。なお、成膜助剤付与部材130によって付与される成膜助剤は、蒸気圧差に起因する濃度変化によって生じる特性の変動を抑制するために、1種類の化合物から構成されることが好ましい。
ここで、図2を参照して本実施形態のインクジェット記録装置100の好適な構成を説明する。図2に、本実施形態のインクジェット記録装置100の模式図を示す。図2に示したインクジェット記録装置100は、成膜助剤付与部材および中間転写体の構成が異なる点を除いて図1を参照して上述したインクジェット記録装置100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
図2に示したインクジェット記録装置100は、成膜助剤付与部材として塗布ローラー130aを備えている。塗布ローラー130aは中間転写体110と直接接触し、塗布ローラー130aが成膜助剤を中間転写体110に塗布する。塗布ローラー130aにより、成膜助剤の付与を簡便に実現できる。
中間転写体110は、ベース部110aと、ベース部110aを覆う有機膜110bとを有している。有機膜110bは樹脂から構成されることが好ましい。この場合、中間転写体110の径を比較的に自由に設計することができる。
ただし、有機膜110bが成膜助剤に溶解しない材料から構成されていることが好ましい。有機膜110bの溶解パラメーターと成膜助剤の溶解パラメーターとの差は1.0以上であることが好ましく、上記差は2.0以上であることがさらに好ましい。
なお、成膜助剤の溶解パラメーターおよび有機膜110bの溶解パラメーターのいずれが大きくてもよいが、両者の差が比較的大きいことが好ましい。例えば、有機膜110bは、ポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephthalate:PET)、ナイロン、または、ポリプリピレン(Polypropylene:PP)から形成される。有機膜110bの溶解パラメーターと成膜助剤の溶解パラメーターとの差が大きいことにより、成膜助剤が付与されても有機膜110bの膨潤を抑制でき、中間転写体110の耐久性を向上できる。
ここで、図3を参照して、中間転写体110および塗布ローラー130aの有無に応じたシートS上のインクGについて説明する。図3(a)は中間転写体および成膜助剤を用いることなくシートに直接吐出されたインクを示す図であり、図3(b)は中間転写体110に成膜助剤およびインクを付与した後にシートに転写されたインクを示す図である。
図3(a)から理解されるように、記録ヘッドがシートSにインクを直接吐出した場合、微視的にみるとシートSの表面が部分的に破損してしまう。また、この場合、インクG内にはシートSからの微細な破片が混在してしまい、シートSに対するインクGの接着が不十分となる。
一方、図3(b)から理解されるように、中間転写体110に成膜助剤およびインクを付与した後にインクGをシートSに転写した場合、シートSの表面はほとんど破損しない。また、この場合、インクG内にもシートSの微細な破片はほとんど存在せず、インクGはシートSに適切に接着している。
なお、本実施形態のインクジェット記録装置100は給紙カセットからピックアップされたシートに対して適切にインクを転写可能である。
以下、図4を参照してインクジェット記録装置100の構成を説明する。インクジェット記録装置100は、例えば複合機(MFP:Multi Function Peripheral)である。インクジェット記録装置100は、スキャナー、複写機、プリンター、およびファクシミリ(FAX)の各機能を有する。
図4に示すように、インクジェット記録装置100は、給紙カセット150と、給紙ローラー152とを備える。また、図4に示したインクジェット記録装置100では、搬送部140が、図1および図2を参照して上述した搬送ベルト142および転写ローラー144に加えて、レジストローラー141a、141b、吸着ローラー143、ベルトローラー145a、145b、145c、145d、搬送ローラー146a、146b、排出ローラー147a、147b、および、吸引部148a、148bを備えていることを示している。
搬送ベルト142は、ベルトローラー145a、145b、145cおよび145dに張設されている。吸着ローラー143は、吸引部148aに対して搬送ベルト142の上流端部に配置される。吸着ローラー143は、シートSを搬送ベルト142に押し付けつつ、シートSを上流から下流に搬送する。吸着ローラー143は、吸引部148aによってシートSが均等に吸引されるように、シートSのカールを軽減する。その結果、シートSの搬送ベルト142への密着性を高めることができる。
吸引部148a、148bは、搬送ベルト142を介してシートSを吸引する。具体的には、吸引部148aは、ベルトローラー145aと転写ローラー144との間に配置されており、搬送ベルト142のうちベルトローラー145aと転写ローラー144との間の領域を吸引する。また、吸引部148bは、転写ローラー144とベルトローラー145bとの間に配置されており、搬送ベルト142のうち転写ローラー144とベルトローラー145bとの間の領域を吸引する。
インクジェット記録装置100は以下のようにしてシートに画像を形成する。まず、塗布ローラー130aが中間転写体110に成膜助剤を塗布した後、記録ヘッド120は画像データに基づいてインクを中間転写体110に吐出する。画像データとしては、例えば、画像読取装置が原稿を読み取って生成した画像データまたは通信ネットワークを介して外部のコンピューターから受信した画像データが用いられる。
給紙ローラー152は、給紙カセット150に積載されたシートSからシートSを1枚ずつピックアップする。給紙ローラー152によってピックアップされたシートSは、レジストローラー141a、141bまで搬送される。
シートSは、吸引部148aに吸引された状態でベルトローラー112cと転写ローラー144との間まで搬送される。転写ローラー144は給紙カセット150から搬送されてきたシートSに中間転写体110上のインクを転写する。その後、シートSは、吸引部148bに吸引された状態でベルトローラー112cと転写ローラー144との間からベルトローラー145bまで搬送される。その後、シートSは、搬送ローラー146a、146bを介して排出ローラー147a、147bまで搬送され、排出ローラー147a、147bによって外部に排出される。
なお、図1および図2に示したインクジェット記録装置100では、記録ヘッド120として異なる色のインクを吐出する記録ヘッド120a〜120dが設けられていたが、本発明はこれに限定されない。インクジェット記録装置100では、記録ヘッド120として1種類のインクを吐出する記録ヘッドが設けられていてもよい。この場合、比較的ローラー径を小さくできるため、中間転写体110として金属ベルトを好適に用いることができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
[インクジェット記録装置A-1]
記録ヘッド、成膜助剤付与部材および中間転写体を備えたインクジェット記録装置A−1を用意した。記録ヘッドはドット密度600DPIのラインヘッドを使用し、中間転写体としてアルミニウム(表1に記載)から構成された中間転写ベルトを使用し、成膜助剤付与部材として塗布ローラーを使用し、成膜助剤としてジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルを用いた。
[顔料分散体Aの製造]
(顔料分散体A)
25質量%のカーボンブラックと、15質量%の分散樹脂(SP値10.3)と、10質量%のグリセリンと、55質量%のイオン交換水とを混合した。その後、ダイノーミル(株式会社シンマルエンタープライズ製)中でガラスビーズ(直径1.0mm、混合物の1.5倍量(重量))とともに2時間分散させて顔料分散体Aを得た。
[インクAの製造]
25質量%の顔料分散体Aと、界面活性剤としての0.5質量%のオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)と、5質量%のへキシレングリコールと、0.5質量%の2−ブチル−2−エチル−1,3−ブタンジオールと、10質量%のグリセリンと、残量の水とを混合して十分に攪拌した。その後、孔径5μmのフィルーターにて加圧濾過をし、インクAを得た。インクAを記録ヘッドに充填した。
以上のように作製したインクジェット記録装置A−1において紙にインクを印刷した。具体的には、インクジェット記録装置A−1において、塗布ローラーは中間転写体に厚さ約3μmの成膜助剤を塗布し、記録ヘッドは成膜助剤の上に評価用画像パターンのインクを吐出した。その後、インクジェット記録装置A−1において印刷したインクを紙に転写させた。
(画像濃度評価)
紙に形成した評価用画像の画像濃度を、スペクトロアイ(サカタインクスエンジニアリング株式会社製)を用いて測定した。
[インクジェット記録装置A−2]
成膜助剤としてジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルの代わりにジエチレングリコールを用いた点を除いて、インクジェット記録装置A−1の製造と同様に、インクジェット記録装置A−2を製造した。その後、インクジェット記録装置A−2によって紙に形成した評価用画像の画像濃度を測定した。
[インクジェット記録装置A−3]
成膜助剤としてジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルの代わりに2−メチル−1,3−プロパンジオールを用いた点を除いて、インクジェット記録装置A−1の製造と同様に、インクジェット記録装置A−3を製造した。その後、インクジェット記録装置A−3によって紙に形成した評価用画像の画像濃度を測定した。
[インクジェット記録装置A−4]
成膜助剤としてジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルの代わりにトリエチレングリコールを用いた点を除いて、インクジェット記録装置A−1の製造と同様に、インクジェット記録装置A−4を製造した。その後、インクジェット記録装置A−4によって紙に形成した評価用画像の画像濃度を測定した。
[インクジェット記録装置A−5]
インクとしてインクAの代わりに、インクAのうちの分散樹脂をSP値9.3の分散樹脂に代えたインクBを用いるとともに、成膜助剤としてジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルの代わりにジエチレングリコールを用いた点を除いて、インクジェット記録装置A−1の製造と同様に、インクジェット記録装置A−5を製造した。その後、インクジェット記録装置A−5によって紙に形成した評価用画像の画像濃度を測定した。
[インクジェット記録装置A−6]
インクとしてインクAの代わりにインクBを用いるとともに、成膜助剤としてジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルの代わりにジエチレングリコールを用いた点を除いて、インクジェット記録装置A−1の製造と同様に、インクジェット記録装置A−6を製造した。その後、インクジェット記録装置A−6によって紙に形成した評価用画像の画像濃度を測定した。
[インクジェット記録装置A−7]
中間転写体をアルミニウムから、表面の有機膜としてポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephthalate:PET)を用いたものに代えるとともに、成膜助剤としてジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルの代わりに2−メチル−1,3−プロパンジオールを用いた点を除いて、インクジェット記録装置A−1の製造と同様に、インクジェット記録装置A−7を製造した。その後、インクジェット記録装置A−7によって紙に形成した評価用画像の画像濃度を測定した。
[インクジェット記録装置A−8]
中間転写体をアルミニウムから、表面の有機膜としてナイロンを用いたものに代えるとともに、成膜助剤としてジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルの代わりに2−メチル−1,3−プロパンジオールを用いた点を除いて、インクジェット記録装置A−1の製造と同様に、インクジェット記録装置A−8を製造した。その後、インクジェット記録装置A−8によって紙に形成した評価用画像の画像濃度を測定した。
[インクジェット記録装置A−9]
中間転写体をアルミニウムから、表面の有機膜としてポリプリピレン(Polypropylene:PP)を用いたものに代えるとともに、成膜助剤としてジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルの代わりに2−メチル−1,3−プロパンジオールを用いた点を除いて、インクジェット記録装置A−1の製造と同様に、インクジェット記録装置A−9を製造した。その後、インクジェット記録装置A−9によって紙に形成した評価用画像の画像濃度を測定した。
[インクジェット記録装置B−1]
成膜助剤を用いなかった点を除いて、インクジェット記録装置A−1の製造と同様に、インクジェット記録装置B−1を製造した。その後、インクジェット記録装置B−1によって紙に形成した評価用画像の画像濃度を測定した。
[インクジェット記録装置B−2]
成膜助剤を用いなかった点を除いて、インクジェット記録装置A−5の製造と同様に、インクジェット記録装置B−2を製造した。その後、インクジェット記録装置B−2によって紙に形成した評価用画像の画像濃度を測定した。
[インクジェット記録装置B−3]
成膜助剤を用いなかった点を除いて、インクジェット記録装置A−7の製造と同様に、インクジェット記録装置B−3を製造した。その後、インクジェット記録装置B−3によって紙に形成した評価用画像の画像濃度を測定した。
また、インクジェット記録装置A−1〜A−9およびインクジェット記録装置B−1〜B−3のそれぞれについて、中間転写ベルトの重量を測定した後、成膜助剤に60℃で一週間浸漬させて中間転写ベルトの重量を測定した。浸漬前および浸漬後の重量の差からベルトの重量変化率を測定した。
表1に、インクジェット記録装置A−1〜A−9およびインクジェット記録装置B−1〜B−3の各々について、中間転写体表面の材質、成膜助剤の材料および特性、ならびに、インク樹脂の材料および特性とともに、各種評価の結果を示す。なお、表1において、成膜助剤の材料aは、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルであり、材料bは、ジエチレングリコールであり、材料cは、2−メチル−1,3−プロパンジオールであり、材料dはトリエチレングリコールである。
表1の評価では、画像濃度が1.2以上かつ中転重量変化率が1.005未満の場合、評価を◎とした。画像濃度が1.0以上1.2未満かつ中転重量変化率が1.005未満の場合、または画像濃度が1.2以上かつ中転重量変化率が1.005以上の場合、評価を○とした。さらに、上記以外の場合、評価を×とした。
インクジェット記録装置A−1〜A−4とインクジェット記録装置B−1との比較から理解されるように、成膜助剤を用いることにより、画像濃度の低下を抑制できることが確認できた。
また、インクジェット記録装置A−5〜A−6とインクジェット記録装置B−2との比較から理解されるように、成膜助剤を用いることにより、画像濃度の低下を抑制できることが確認できた。
また、インクジェット記録装置A−7とインクジェット記録装置B−3との比較から理解されるように、成膜助剤を用いることにより、画像濃度の低下を抑制できることが確認できた。
本発明によるインクジェット記録装置は印刷の分野で好適に用いられる。
100 インクジェット記録装置
110 中間転写体
120 記録ヘッド
130 成膜助剤付与部材

Claims (5)

  1. 中間転写体と、
    前記中間転写体にインクを吐出する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドが前記中間転写体にインクを吐出する前に、前記中間転写体に成膜助剤を付与する成膜助剤付与部材と
    を備え
    前記インクは、色材、樹脂および液体を含有し、
    前記樹脂の溶解パラメーターと前記成膜助剤の溶解パラメーターとの差は0.5以下である、インクジェット記録装置。
  2. 前記成膜助剤付与部材は塗布ローラーを含む、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記中間転写体は、有機膜を有し、
    前記有機膜の溶解パラメーターと前記成膜助剤の溶解パラメーターとの差は1.0以上である、請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記中間転写体は金属から構成される、請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  5. 中間転写体と、
    前記中間転写体にインクを吐出する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドが前記中間転写体にインクを吐出する前に、前記中間転写体に成膜助剤を付与する成膜助剤付与部材と
    を備え、
    前記中間転写体は、有機膜を有し、
    前記有機膜の溶解パラメーターと前記成膜助剤の溶解パラメーターとの差は1.0以上である、インクジェット記録装置。
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