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JP6202293B2 - 電線収容プロテクタ - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等に配索される多数の電線を挿通保持する電線収容プロテクタに関するものである。
従来から、自動車等の電装系においては、配索される多数の電線を、電線収容プロテクタに挿通保持して適所に固定することにより、電線を外部の干渉部材から保護したり、電線の経路を規制することが行われている。
ところで、このような電線収容プロテクタは、実開平6−70415号公報(特許文献1)等に記載されているとおり、樋状のプロテクタ本体と、プロテクタ本体の上方開口部を覆蓋する蓋体とを含んで構成されている。そして、多数の電線をプロテクタ本体に挿通した後、プロテクタ本体の側壁外方に突出して設けられたロック機構を介して、蓋体をプロテクタ本体に固定的に保持することにより、多数の電線を収容状態に保持できるようになっている。
具体的には、蓋体の外周縁部に、プロテクタ本体に向かって突出する弾性突片が突設されている一方、プロテクタ本体の側壁には、枠体状の弾性突片挿通部が突設されている。弾性突片の先端部の外面には爪状の係合突起が突設されており、弾性突片を弾性突片挿通部に挿通する際には、係合突起が弾性突片挿通部の側面に当接して弾性突片の先端部が内面側に押圧されるように弾性変形される。これにより弾性突片の弾性突片挿通部への挿通が許容される。さらに弾性突片を挿通して弾性突片が挿入端位置まで挿入されると、係合突部の弾性突片挿通部の側面に対する当接が解除されて弾性復帰する。これにより、係合突部が弾性突片挿通部の下方に設けられた係合部の直下に配設されて、係合突起と係合部が係合可能となる。そして、蓋体に対してプロテクタ本体から離脱する方向に力が加わると、係合突起と係合部が係合されることにより、蓋体の離脱が阻止されて、蓋体がプロテクタ本体に対して保持されるようになっている。
ところが、このような従来構造のロック機構では、蓋体に対してプロテクタ本体から離脱する上向きの方向に非常に強い力が加わると、弾性突片が上方に移動するに伴って係合突起が斜め上方に傾斜しつつ引っ張られることとなり、係合部から離脱してしまうおそれがあった。
そこで、本出願人は、特開2014−183690号公報(特許文献2)において、係合突起の突出先端部に垂直に立ち上がる突部を設け、かかる突部を弾性突片挿通部の外面に係合させることにより、係合突起の係合部からの離脱を阻止する構造を提案した。しかしながら、近年の車両の高密度化・省スペース化の要求に伴い、大型化を伴うことなく強固な保持力が発揮できるロック機構のさらなる改良が求められていた。
実開平6−70415号公報 特開2014−183690号公報
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、蓋体をプロテクタ本体に保持するロック機構の保持力の向上を、大型化を伴うことなく実現することができる、新規な構造の電線収容プロテクタを提供することにある。
本発明の第一の態様は、樋状に延びるプロテクタ本体と、該プロテクタ本体の上方開口部を覆蓋する蓋体と、前記プロテクタ本体と前記蓋体を固定的に保持するロック機構を備え、前記ロック機構が、前記蓋体に突設されて先端部の外面に係合突起が設けられた弾性突片と、前記プロテクタ本体の側壁に設けられて前記係合突起と係合する係合部を有する弾性突片挿通部とを含んでおり、前記弾性突片の前記先端部が内面側に押圧されつつ前記弾性突片が前記弾性突片挿通部に挿通されると共に、前記弾性突片が弾性復帰することにより前記係合突起と前記係合部が係合して前記蓋体が前記プロテクタ本体に対して保持されるようになっている電線収容プロテクタにおいて、前記係合突起と前記係合部の各当接面が、前記プロテクタ本体の前記側壁側から前記係合突起の突出側に向かって延出する第1係合面と、前記第1係合面の延出端部から前記蓋体側に向かって延出する第2係合面と、前記第2係合面の延出端部から前記係合突起の突出側に向かって延出する第3係合面を含んでいることを特徴とする。
本態様によれば、蓋体の弾性突片に設けられた係合突起と、プロテクタ本体の弾性突片挿通部に設けられた係合部のそれぞれの当接面が、3つの係合面を有している。具体的には、第1係合面はプロテクタ本体の側壁側から係合突起の突出側に向かう方向、すなわち、弾性突片の弾性突片挿通部からの離脱方向に略直交する方向に広がっていることから、蓋体のプロテクタ本体からの離脱を阻止する阻止力を発揮することができる。さらに、第1係合面に連接する第2係合面が、蓋体側に向かって立ち上がる面となっていることから、弾性突片を弾性突片挿通部から離脱させる上向きの力が加わった際に、第2係合面同士が当接されて弾性突片のプロテクタ本体内方への変位を阻止する阻止力を発揮して、弾性突片の弾性突片挿通部からの離脱を有利に阻止することができる。加えて、本態様では、第2係合面に連接する第3係合面が、第1係合面と同様の弾性突片の弾性突片挿通部からの離脱方向に略直交する方向に広がっていることから、第2係合面を間に挟んだ内外両側において安定して蓋体のプロテクタ本体からの離脱を阻止する阻止力を発揮することができる。特に、従来構造では、第2係合面よりも外側において、係合突起と係合部が係合される構造は採用されていなかったことから、それら係合突起と係合部の当接面積を増大させることにより、係合突起と係合部の係合安定性を一層確実に向上させることができるのである。また、特許文献2の構造において既に採用されていた第2係合面を画成する突部の上方のデッドスペースを利用して係合部の第3係合面を設けていることから、全体の大型化を伴うことなく、ロック機構の保持力の向上を実現でき、省スペース化の要求にも有利に対応することが可能となるのである。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記係合突起と前記係合部の各前記第1係合面と前記第3係合面がいずれも、前記プロテクタ本体の内方斜め下方に向かって傾斜する傾斜面とされているものである。
本態様によれば、係合突起と係合部の各第1係合面と第3係合面はいずれも、プロテクタ本体の内方斜め下方に向かって傾斜する傾斜面とされている。これにより、弾性突片を弾性突片挿通部から離脱させる上向きの力が加わった際に、各傾斜面の分力により各第2係合面を間に挟んだ内外両側において、各第2係合面を相互に接近させる力が発生する。その結果、一層確実に第2係合面同士が当接されて弾性突片のプロテクタ本体内方への変位を阻止する阻止力を発揮して、弾性突片の弾性突片挿通部からの離脱を一層確実に阻止することができ、ロック機構の保持力のさらなる向上を有利に図ることができる。
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記係合突起と前記係合部の前記第1係合面同士、前記第2係合面同士および前記第3係合面同士のうちの少なくとも1つの係合面同士が、波形断面形状とされているものである。
本態様によれば、係合時に対向する係合突起と係合部の第1係合面同士、第2係合面同士、第3係合面同士のうちの少なくとも1つの係合面同士が、波形断面形状とされている。これにより、係合突起と係合部が係合する際に、波形断面形状とされた少なくともいずれかの係合面同士が互いに嵌め合わされることから、係合突起と係合部の接触面積をプロテクタの大型化を伴うことなく増大し、係合突起と係合部の係合保持力の更なる向上を図ることができる。それゆえ、少ない配設スペースでも保持力の増大されたロック機構を有利に設けることが可能となる。
本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れか一つの態様に記載のものにおいて、前記プロテクタ本体の前記側壁に、該側壁の内部を高さ方向に延出して該側壁の上面に開口する孔によって前記弾性突片挿通部が構成されている一方、前記孔を画成する外壁の内面に前記係合部が突設されているものである。
本態様によれば、プロテクタ本体の側壁内部を貫通する孔によって弾性突片挿通部が構成されていることから、弾性突片挿通部を枠体状にプロテクタ本体の側壁の外方に突出して設ける場合に比して、プロテクタ本体の側壁を、電線収容プロテクタの配設許容スペースの最大範囲にまで広げて形成することができる。それゆえ、側壁の外方に突出する枠体状の弾性突片挿通部によって生じていたプロテクタ本体周辺のデッドスペースを削減して、プロテクタ本体内の電線収容スペースを大きく確保することができる。
さらに、このようにプロテクタ本体の側壁内部に弾性突片挿通部を設けた場合、係合突起と係合部の大きさが制限されるが、本態様では、上記第一乃至第三の何れか一つの態様に記載の構成を採用することにより、狭いスペースに比較的小さな係合突起と係合部を設ける場合であっても、第1〜第3係合面を組み合わせて採用することにより、係合突起と係合部の係合安定性を充分に向上させることができ、狭スペースに強固な保持力を備えた係合突起および係合部によるロック機構を配設することが可能となるのである。
本発明によれば、蓋体の弾性突片に設けられた係合突起と、プロテクタ本体の弾性突片挿通部に設けられた係合部のそれぞれの当接面が、3つの係合面を有している。具体的には、第1係合面は弾性突片の弾性突片挿通部からの離脱方向に略直交する方向に広がっていることから、蓋体のプロテクタ本体からの離脱を阻止する阻止力を発揮できる。また、第2係合面が蓋体側に向かって立ち上がる面となっていることから、弾性突片を弾性突片挿通部から離脱させる上向きの力が加わった際に、第2係合面同士が当接されて弾性突片のプロテクタ本体内方への変位を阻止する阻止力を発揮して、弾性突片の弾性突片挿通部からの離脱を有利に阻止できる。さらに、第3係合面が第1係合面と同様に弾性突片の弾性突片挿通部からの離脱方向に略直交する方向に広がっていることから、第2係合面を間に挟んだ内外両側において安定して蓋体のプロテクタ本体からの離脱を阻止する阻止力を発揮できる。しかも、従来の如き第2係合面よりも外側に係合突起と係合部が係合される構造が採用されていなかった場合に比して、係合突起と係合部の当接面積を増大させ、係合突起と係合部の係合安定性を一層確実に向上できる。また、特許文献2の構造に既に採用されていた第2係合面を画成する突部の上方のデッドスペースを利用して第3係合面を設けていることから、全体の大型化を伴うことなくロック機構の保持力を向上できる。
本発明の第一の実施形態としての電線収容プロテクタの全体斜視図。 本実施形態の電線収容プロテクタの分解斜視図。 本実施形態の電線収容プロテクタの平面図。 図3のIV−IV断面拡大図。 本実施形態の電線収容プロテクタの蓋体に上向きの力が加わった状態を示す断面図であって、図4に相当する図。 本発明の第二の実施形態としての電線収容プロテクタを示す断面図であって、図4に相当する図。 本発明の第三の実施形態としての電線収容プロテクタを示す断面図であって、図4に相当する図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1〜5には、本発明の第一の実施形態としての電線収容プロテクタ10が、示されている。この電線収容プロテクタ10は、樋状に延びるプロテクタ本体12と、プロテクタ本体12の上方開口部14を覆蓋する蓋体16を備えて構成されている。かかる電線収容プロテクタ10は、プロテクタ本体12内に図示しないワイヤーハーネスを挿通状態で収容して用いられる。以下の説明において、上方とは、図1中の上方、下方とは、図1中の下方、また前方とは、図1中の左方、後方とは、図1中の右方を言うものとする。
図2に示されているように、プロテクタ本体12は、底壁18と底壁18の両側から立ち上がる一対の側壁20,20を含んで樋状に延びる構成とされており、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の合成樹脂により射出成形等によって一体形成されている。また、プロテクタ本体12の側壁20には、側壁20の内部を高さ方向に延出して側壁20の上面に開口する孔によって弾性突片挿通部22が形成されている。本実施形態では、弾性突片挿通部22は、奥側と手前側の側壁20それぞれに2箇所形成されているが、長手方向(図2中、左右方向)に離隔して、必要に応じて任意の数を設けてもよい。ここで、弾性突片挿通部22の形成部位における側壁20の内面24が、僅かにプロテクタ本体12の内側に突出されて形成されている。さらに、図4に示されているように、孔を画成する外壁の内面、すなわち弾性突片挿通部22の内面26には係合部28が突設されている。加えて、係合部28の下端部の突出端部側には、下方に向かって突出する突部29が設けられている。
一方、図2に示されているように、蓋体16は、その外周縁部において、プロテクタ本体12側に向かって突出する略矩形状の複数の弾性突片30が板厚方向に撓み変形可能に突設されている。また、弾性突片30の先端部の外面には、板厚方向外方に突出する係合突起32が設けられている。さらに、図4に示されているように、係合突起32の下端部には、プロテクタ本体12と蓋体16の組付方向において、下端側から上端側に向かうに従って次第に外方に突出するテーパ面34が形成されている。加えて、係合突起32の上端部の突出端部側には、上方に向かって突出する突部35が設けられている。なお、本実施形態では、弾性突片30は、上述の弾性突片挿通部22に対応して、4箇所に形成されている。また、蓋体16はプロテクタ本体12と同じく、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の合成樹脂により射出成形等によって一体形成されている一方、プロテクタ本体12とは別体成形とされている。
そして、プロテクタ本体12の複数の弾性突片挿通部22に対してそれぞれ対応する蓋体16の複数の弾性突片30を挿入して、弾性突片挿通部22の係合部28と弾性突片30の係合突起32を係合させることにより、図1および図4に示されているように、本実施形態では、プロテクタ本体12に対して蓋体16が固定的に保持されるようになっている。このように、弾性突片挿通部22の係合部28と弾性突片30の係合突起32により、ロック機構が構成されているのである。
次に、図4を用いて、ロック機構の詳細について説明する。先ず、蓋体16の弾性突片30の先端部を弾性突片挿通部22に挿入する。弾性突片30の係合突起32の下端部にはテーパ面34が形成されていることから、蓋体16の弾性突片30の先端部を弾性突片挿通部22の奥方に押し込むことで、テーパ面34の作用により、弾性突片30の先端部がプロテクタ本体12の内面24側に押圧されつつ、弾性突片挿通部22に挿入されるようになっている。また、弾性突片挿通部22の上方には、弾性突片挿通部22を画成する外周側内面36から内周側内面38に向かって突出するように係合部28が設けられている。それゆえ、弾性突片30が弾性突片挿通部22の奥方へとさらに押し入れられて弾性突片30の先端部に形成された係合突起32が係合部28を越えると、弾性突片30が弾性復帰して係合突起32が弾性突片挿通部22の外周側内面36に当接する。これにより、弾性突片30の係合突起32が弾性突片挿通部22の係合部28と係合され、蓋体16がプロテクタ本体12に対して固定的に保持されるようになっているのである。
かかる係合状態において、弾性突片30の係合突起32の上面と弾性突片挿通部22の係合部28の下面が、プロテクタ本体12と蓋体16の組付方向において、対向する位置に配設されており、かかる係合突起32の上面と係合部28の下面によって、当接面40,42が構成されている。より詳細には、かかる当接面40,42は、プロテクタ本体12の側壁20側から係合突起32の突出側斜め上方に向かって延出する第1係合面40a,42aと、第1係合面40a,42aの延出端部から蓋体16側鉛直方向上方に向かって延出する第2係合面40b,42bと、第2係合面40b,42bの延出端部から係合突起32の突出側斜め上方に向かって延出する第3係合面40c,42cを含んで構成されている。すなわち、係合突起32と係合部28の各第1係合面40a,42aと第3係合面40c,42cはいずれも、プロテクタ本体12の内方斜め下方に向かって傾斜する傾斜面とされているのである。
このような構造とされた本実施形態の電線収容プロテクタ10によれば、蓋体16の弾性突片30をプロテクタ本体12の弾性突片挿通部22から離脱させる上向きの力が加わった際には、図5に示されているように、弾性突片30の係合突起32と弾性突片挿通部22の係合部28の各当接面40,42が互いに当接された状態となる。かかる当接状態において、各当接面40,42のうち、第1係合面40a,42aは、弾性突片30を弾性突片挿通部22から離脱させる上向きの方向に略直交する方向に延出していることから、蓋体16のプロテクタ本体12からの離脱を阻止する阻止力を発揮することができるようになっている。また、第1係合面40a,42aに連接する第2係合面40b,42bは、蓋体16側鉛直方向上方に向かって立ち上がる面となっていることから、弾性突片30のプロテクタ本体12内方への変位を阻止する阻止力を発揮して、弾性突片30の弾性突片挿通部22から離脱を有利に阻止することができるようになっている。さらに、第2係合面40b,42bに連接する第3係合面40c,42cが、第1係合面40a,42aと同様に弾性突片30を弾性突片挿通部22から離脱させる上向きの方向に略直交する方向に延出していることから、第2係合面40b,42bを間に挟んだ内外両側において安定して蓋体16のプロテクタ本体12からの離脱を阻止する阻止力を発揮することができる。しかも、従来の如き第2係合面40b,42bよりも外側において係合突起32と係合部28が係合される構造が採用されていなかった場合に比して、係合突起32と係合部28間の当接面積を増大させることができることから、係合突起32と係合部28の係合安定性を一層確実に向上させることができるのである。また、特許文献2の構造において既に採用されていた第2係合面40b,42bを画成する突部35の上方のデッドスペースを利用して係合突起32と係合部28の第3係合面40c,42cを設けていることから、全体の大型化を伴うことなく、ロック機構の保持力の向上を実現でき、省スペース化の要求にも有利に対応することが可能となっている。
加えて、係合突起32と係合部28の各第1係合面40a,42aと第3係合面40c,42cはいずれも、プロテクタ本体12の内方斜め下方に向かって傾斜する傾斜面とされている。それゆえ、蓋体16の弾性突片30をプロテクタ本体12の弾性突片挿通部22から離脱させる上向きの力が加わった際には、各傾斜面の分力により各第2係合面40b,42bを間に挟んだ内外両側において、各第2係合面40b,42bを相互に接近させる力が発生する。これにより、一層確実に第2係合面40b,42b同士が当接されて弾性突片30のプロテクタ本体12内方への変位を阻止する阻止力を発揮して、弾性突片30の弾性突片挿通部22からの離脱を一層確実に阻止することができ、ロック機構の保持力のさらなる向上を有利に図ることができるのである。
特に、プロテクタ本体12の側壁20の内部を高さ方向に延出して側壁20の上面に開口する孔によって弾性突片挿通部22が形成されていることから、特許文献2のように弾性突片挿通部22を枠体状にプロテクタ本体12の側壁20の外方に突出して設ける場合に比して、プロテクタ本体12の側壁20を電線収容プロテクタ10の配設許容スペースの最大範囲にまで広げて形成することができる。なお、このようにプロテクタ本体12の側壁20内部に弾性突片挿通部22を設けると、係合突起32と係合部28の大きさが制限される。しかしながら、かかる狭いスペースに比較的小さな係合突起32と係合部28を設ける場合であっても、係合突起32と係合部28の各当接面40,42を第1〜第3係合面40a〜c,42a〜cによって構成することにより、係合突起32と係合部28の係合安定性を充分に向上させることができ、狭スペースに強固な保持力を備えた弾性突片挿通部22の係合部28と弾性突片30の係合突起32によるロック機構を配設することが可能となったのである。
次に、図6を用いて、本発明の第二の実施形態としての電線収容プロテクタ46について詳述するが、上記実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、上記実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。かかる電線収容プロテクタ46では、係合突起32と係合部28の各第2係合面40b,42bが、第1係合面40a,42aの延出端部から蓋体16側斜め外方に向かって延出されて構成されている点に関して、上記第一の実施形態と異なる実施形態を示すものである。
本実施形態によれば、第2係合面40b,42bが、蓋体16側斜め外方に向かって延出されて構成されていることから、上記第一の実施形態の鉛直方向上方に向かって延出されて構成されている場合に比して、係合突起32と係合部28の第2係合面40b,42b間における当接面積を増大させることができ、係合突起32と係合部28の係合安定性をより一層確実に向上させることができる。
続いて、図7に、本発明の第三の実施形態としての電線収容プロテクタ50を示す。かかる電線収容プロテクタ50は、弾性突片30の係合突起32の当接面52である第1〜3係合面52a,52b,52cおよび弾性突片挿通部22の係合部28の当接面42の第1〜3係合面42a,42b,42cが全て波形断面形状とされている点に関して、上記第一の実施形態と構成が異なるものである。
本実施形態によれば、弾性突片30の係合突起32の当接面52である第1〜3係合面52a,52b,52cおよび弾性突片挿通部22の係合部28の当接面42の第1〜3係合面42a,42b,42cが全て波形断面形状とされている。弾性突片30を弾性突片挿通部22から離脱させる上向きの力が加わった際に、第1〜3係合面52a,52b,52cと第1〜3係合面42a,42b,42cを相互に接近させる力が発生して、波形断面形状とされた第1〜3係合面52a〜c,42a〜c同士が互いに嵌め合わされる。それゆえ、係合突起32と係合部28が係合する際に、係合突起32と係合部28の接触面積の増大を有利に図ることができ、係合突起32と係合部28の係合保持力の更なる向上を図ることができる。その結果、プロテクタの大型化を伴うことなく、少ない配設スペースでも保持力の増大されたロック機構を有利に設けることが可能となるのである。
以上、本発明の複数の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの具体的な記載によって限定されない。例えば、上記第三の実施形態では、弾性突片30の係合突起32の当接面52である第1〜3係合面52a,52b,52cおよび弾性突片挿通部22の係合部28の当接面42の第1〜3係合面42a,42b,42cが全て波形断面形状とされていたが、第1係合面52a,42a同士、第2係合面52b,42b同士、第3係合面52c,42c同士のうちの少なくとも1つの係合面同士(例えば、第1係合面52a,42a)が波形断面形状とされていればよい。
また、ロック機構を構成する弾性突片挿通部22と弾性突片30の形状は、上記第一の実施形態で説明の形状に限定されるものではなく、公知の任意の形状が採用可能である。すなわち、かかる形状の弾性突片挿通部の係合部と弾性突片の係合突起に対して、当接面が3つの係合面を有する本発明の構造を適用すればよいのである。例えば、第1係合面40a,42a,52aと第3係合面40c,42c,52cは、係合突起32の突出側に向かって延出していればよく、弾性突片30の弾性突片挿通部22からの離脱方向に直交する方向に延出していてもよく、例示の如くプロテクタ本体12の内方斜め下方に向かって傾斜していてもよい。さらに、第1係合面40a,42a,52aと第3係合面40c,42c,52cの傾斜角度が相互に異なっていてもよい。また、第2係合面40b,42b,52bは、蓋体16に向かって延出していればよく、第1係合面40a,42a,52aや第3係合面40c,42c,52cよりも急な角度で内方斜め下方に向かって傾斜していてもよいし、例示の如く垂直に立ち上がる面であってもよいし、あるいは外方斜め下方に向かって傾斜していてもよい。
10,46,50:電線収容プロテクタ、12:プロテクタ本体、14:上方開口部、16:蓋体、20:側壁、22:弾性突片挿通部(ロック機構)、24:内面、26:内面、28:係合部、30:弾性突片(ロック機構)、32:係合突起、40,52:当接面(係合突起)、40a,52a:第1係合面、40b,52b:第2係合面、40c,52c:第3係合面、42:当接面(係合部)、42a:第1係合面、42b:第2係合面、42c:第3係合面

Claims (4)

  1. 樋状に延びるプロテクタ本体と、該プロテクタ本体の上方開口部を覆蓋する蓋体と、前記プロテクタ本体と前記蓋体を固定的に保持するロック機構を備え、
    前記ロック機構が、前記蓋体に突設されて先端部の外面に係合突起が設けられた弾性突片と、前記プロテクタ本体の側壁に設けられて前記係合突起と係合する係合部を有する弾性突片挿通部とを含んでおり、前記弾性突片の前記先端部が内面側に押圧されつつ前記弾性突片が前記弾性突片挿通部に挿通されると共に、前記弾性突片が弾性復帰することにより前記係合突起と前記係合部が係合して前記蓋体が前記プロテクタ本体に対して保持されるようになっている電線収容プロテクタにおいて、
    前記係合突起と前記係合部の各当接面が、前記プロテクタ本体の前記側壁側から前記係合突起の突出側に向かって延出する第1係合面と、前記第1係合面の延出端部から前記蓋体側に向かって延出する第2係合面と、前記第2係合面の延出端部から前記係合突起の突出側に向かって延出する第3係合面を含んでいる
    ことを特徴とする電線収容プロテクタ。
  2. 前記係合突起と前記係合部の各前記第1係合面と前記第3係合面がいずれも、前記プロテクタ本体の内方斜め下方に向かって傾斜する傾斜面とされている請求項1に記載の電線収容プロテクタ。
  3. 前記係合突起と前記係合部の前記第1係合面同士、前記第2係合面同士および前記第3係合面同士のうちの少なくとも1つの係合面同士が、波形断面形状とされている請求項1または2に記載の電線収容プロテクタ。
  4. 前記プロテクタ本体の前記側壁に、該側壁の内部を高さ方向に延出して該側壁の上面に開口する孔によって前記弾性突片挿通部が構成されている一方、前記孔を画成する外壁の内面に前記係合部が突設されている請求項1〜3の何れか1項に記載の電線収容プロテクタ。
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