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JP6295469B2 - パワーステアリング装置およびパワーステアリング装置の製造方法 - Google Patents

パワーステアリング装置およびパワーステアリング装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、パワーステアリング装置およびパワーステアリング装置の製造方法に関する。
この種の技術としては、下記の特許文献1に記載の技術が開示されている。特許文献1には、ボール螺子装置のボールを循環させる還流路が形成されたものが開示されている。
特開2011-256901号公報
特許文献1に記載の技術では、還流路の角部の内周側がほぼ直角に形成されているため、還流路の角部でボールが引っ掛かり、ボールがスムーズに移動しないおそれがあった。
本発明は、上記問題に着目されたもので、その目的とするところは、ボールを循環させる接続部材内でのボールの移動をスムーズにすることができるパワーステアリング装置およびパワーステアリング装置の製造方法を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明のパワーステアリング装置では、接続部材の第一湾曲部と対向するナットの第一接続通路の第一曲面部を、第一湾曲部との間の隙間が所定値以下となるように曲面状に形成するようにした。また、接続部材の第二湾曲部と対向するナットの第二接続通路の第二曲面部を、第二湾曲部との間の隙間が所定値以下となるように曲面状に形成するようにした。
よって、接続部材内のボールの移動をスムーズにすることができる。
実施例1のパワーステアリング装置の正面図である。 実施例1のパワーステアリング装置を軸方向から見た図である。 実施例1のパワーステアリング装置の断面図である。 実施例1のパワーステアリング装置の断面図である。 実施例1の転舵軸とナットの正面図である。 実施例1の転舵軸とナットの断面図である。 実施例1のパワーステアリング装置のアシスト機構付近の拡大断面図である。 実施例1のナットの斜視図である。 実施例1のナットを径方向外側から見た図である。 実施例1のナットの断面図である。 実施例1のナットの断面図である。 実施例1の接続部材を構成する部品の単体図である。 実施例1の第一接続通路のナット外周側開口部付近の図である。 実施例1の第一接続通路付近の断面図である。 実施例1の第一接続通路付近の断面図である。 実施例1のナットの断面図である。 実施例1のナットの第一接続通路の一端側開口部付近の拡大図である。 実施例1のナットの第一接続通路の他端側開口部付近の断面図である。 比較例のナットを断面図である。 比較例のナットを断面図である。 比較例のナットの第二接続通路の一端側開口部付近の図である。 実施例1と比較例の第一接続通路の拡大断面図である。 第一接続通路の第一曲面部の断面を矩形形状に形成した例を示す図である。 第一接続通路の第一曲面部の断面形状の模式図である。
[実施例1]
実施例1のパワーステアリング装置1について説明する。実施例1のパワーステアリング装置1は、電動モータ40の駆動力をねじ機構26を介して転舵軸10に伝達することで運転者の操舵力に対するアシスト力を付与するものである。
〔パワーステアリング装置の構成〕
図1はパワーステアリング装置1の正面図である。図2はパワーステアリング装置1を軸方向から見た図である。図3は図1のA-A断面図である。図4は図2のB-B断面図である。図5は転舵軸10とナット20の正面図である。図6は図5のC-C断面図である。
パワーステアリング装置1は、運転者が操舵したステアリングホイールの回転を、転舵輪を転舵させる転舵軸10に伝達する操舵機構2と、転舵軸10にアシスト力を付与するアシスト機構3とを有している。
パワーステアリング装置1の各構成要素は、転舵軸10を軸方向に移動可能に収容する転舵軸収容部31と、転舵軸収容部31の軸方向中間部に配置され転舵軸10を包囲するように形成された減速機収容部32とから構成されるハウジング30内に収容されている。減速機収容部32には、後述する減速機33が収容されている。
操舵機構2は、ステアリングホイールに連結する操舵入力軸80と、操舵入力軸80と一体に回転するピニオン81を有している。ピニオン81は、転舵軸10の外周に形成されたラック13と噛み合っている。
アシスト機構3は、電動モータ40と、電動モータ40の出力を転舵軸10に伝達するねじ機構26とを有している。電動モータ40は、運転者によりステアリングホイールに入力された操舵トルクおよび操舵量に応じてモータコントローラにより出力が制御されている。
ねじ機構26は、ナット20と出力プーリ27とを有している。出力プーリ27の外見は円筒状の部材であって、ナット20に一体回転可能に固定されている。電動モータ40の駆動軸には円筒状の入力プーリ35が一体に回転するように固定されている。出力プーリ27と入力プーリ35との間にはベルト28が巻回されている。入力プーリ35、出力プーリ27およびベルト28によって減速機33が構成されている。
ナット20は、転舵軸10を包囲するように環状に形成され、転舵軸10に対し回転自在に設けられている。ナット20の内周には、螺旋状に溝が形成されており、この溝がナット側ボールねじ溝21を構成している。転舵軸10の外周には前述のラック13が形成されている部分とは軸方向に離れた位置に螺旋状の溝が形成されており、この溝が転舵軸側ボールねじ溝11を構成している。転舵軸10にナット20を挿入した状態で、ナット側ボールねじ溝21と転舵軸側ボールねじ溝11とによってボール循環溝12を形成している。ボール循環溝12内には金属製の複数のボール22が充填されており、ナット20が回転するとボール循環溝12内をボール22が移動することにより、ナット20に対して転舵軸10が長手方向に移動する。
〔ナットの構成〕
図7はパワーステアリング装置1のアシスト機構3付近の拡大断面図である。図8はナット20の斜視図である。図9はナット20を径方向外側から見た図である。図10は図9のD-D断面図である。図11は接続部材23を装着した状態のナット20の断面図である。
ナット20の軸方向一端側には、軸受24のインナレース24cが一体に形成されている。軸受24は、アウタレース24aを有し、アウタレース24aとインナレース24cとの間にボール24dと、アウタレース24aとインナレース24cとの間をシールするシール部材24eが設けられたシール付きボールベアリングである。軸受24はナット20を減速機収容部32に対して回転自在に軸支する。
ナット20のインナレース24cよりも軸方向他端側は、本体部20aを構成している。本体部20aの外周には、ボール循環溝12の一端と連通する第一接続通路20eが形成されている。また本体部20aの外周には、ボール循環溝12の他端と連通する第二接続通路20fが形成されている。第一接続通路20eと第二接続通路20fとの間には、管状部材である接続部材23が係合される係合溝20gが形成されている。第一接続通路20eには接続部材23の一端側が挿入され、第二接続通路20fには接続部材23の他端側が挿入されている。
本体部20aの外周には、一対の雌ねじ部20b,20cが形成されている。一対の雌ねじ部20b,20cを結ぶ線は、第一接続通路20eと第二接続通路20fとを結ぶ線と交差するように形成されている。雌ねじ部20b,20cには、接続部材23をナット20に固定する固定金属83がねじにより締結されている(図5参照)。
ボール循環溝12内のボール22は、接続部材23内を通過することにより、第一接続通路20eと第二接続通路20fとの間を往来可能とされている。ボール22はボール循環溝12を端から端まで移動するのではなく、第一接続通路20eが形成された位置から第二接続通路20f位置まで移動している。
本体部20aの接続部材23が設けられる側であって、インナレース24c側(一端側)には、ナット20の外周側と内周側とを連通する連通孔41が形成されている。この連通孔41の内周側の開口部は、ナット側ボールねじ溝21上であって、ボール22が循環する部分を避けて形成されている。この連通孔41によって、軸受24とねじ機構26よりも一方側(図4の左側)の一方室30aと、他方側(図4の右側)の他方室30bとが連通することとなる。
ナット20は、軸受24のアウタレース24aを、減速機収容部32の一方側側面である側面31aとロックリング25とによって挟持することで、ハウジング30に対してナット20の軸方向移動を規制している。
〔接続部材の詳細〕
図12は接続部材23を構成する部品の単体図である。
接続部材23は、中間部23a、第一湾曲部23b、第二湾曲部23c、接続部材側第一直線部23d、接続部材側第二直線部23e、舌部23fから構成されている。
中間部23aは、接続部材23の軸方向の中央付近に直線状に形成されている。第一湾曲部23bは、中間部23aと接続部材23の一端側との間に設けられている。第一湾曲部23bは、内部を通過するボール22の進行方向が曲線的に変化するように形成されている。第一湾曲部23bは、接続部材23の一端部を第一接続通路20eに挿入した状態で、ナット20の外周側に向かって凸となるように湾曲して形成されている。
第二湾曲部23cは、中間部23aと接続部材23の他端側との間に設けられている。第一湾曲部23bは、内部を通過するボール22の進行方向が曲線的に変化するように形成されている。第二湾曲部23cは、接続部材23の他端部を第二接続通路20fに挿入した状態で、ナット20の外周側に向かって凸となるように湾曲して形成されている。
接続部材側第一直線部23dは、第一湾曲部23bと接続部材23の一端側との間に設けられている。接続部材側第一直線部23dは、第一湾曲部23bの一端部の接線方向に延びて、直線状に形成されている。接続部材側第二直線部23eは、第二湾曲部23cと接続部材23の他端側との間に設けられている。接続部材側第二直線部23eは、第二湾曲部23cの他端部の接線方向に延びて、直線状に形成されている。舌部23fは、接続部材23の両端開口部から舌状に突出して形成されている。
接続部材23は、図12に示すような半割状部材を二つ合わせることにより構成されている。この二つの半割状部材は同一形状に形成されており、片方の端部に舌部23fが形成されている。半割部材が組み合わされた状態で、舌部23fが接続部材23の両端開口部に設けられることとなる。二つの半割部材は、特に接着などはされず、組み合わせた状態で第一接続通路20eおよび第二接続通路20fに挿入され、固定金属83によりナット20に固定されることで、一体に保持される。半割部材に隙間が生じたとしても、ボール22が通過しない程度であれば良い。
〔接続通路の詳細〕
図13は第一接続通路20eの一端側(ナット20の外周側)開口部付近の図である。図14は第一接続通路20e付近の断面図である。図15は第一接続通路20eに接続部材23を挿入した状態の第一接続通路20e付近の断面図である。図16は接続部材23を装着した状態のナット20の断面図である。図17は第一接続通路20eの一端側(ナット20の外周側)開口部付近の拡大図である。図18は第一接続通路20eの他端側(ナット側ボールねじ溝21側)の開口部付近の断面図である。
第一接続通路20eは、第一曲面部20e1、周方向内側第一直線部20e2、周方向外側第一直線部20e3から構成されている。
ここで、接続部材23を第一接続通路20eおよび第二接続通路20fに挿入した状態で、第一湾曲部23bの湾曲方向に沿った線を第一周方向D1と定義する。第一曲面部20e1は、第一接続通路20eのうち第一周方向D1内側において第一湾曲部23bと対向する位置に設けられている(図15)。そして、第一曲面部20e1と第一湾曲部23bとの間の隙間は所定値以下となるように曲面状に形成されている。
また、第一曲面部20e1の断面の曲率半径r1は、接続部材23の第一湾曲部23bの断面の曲率半径R1よりも小さくなるように形成されている(図15)。換言すると、第一曲面部20e1は、第一湾曲部23bの断面の曲率半径R1が、第一曲面部20e1の断面の曲率半径r1より大きくなるように形成されている(図15)。このとき、第一曲面部20e1の曲率半径r1の中心は、ナット側ボールねじ溝21よりもナット20の回転軸に近づくように形成されている(図16)。また、第一曲面部20e1は、第一周方向D1と直交する断面形状が円弧形状に形成されている(図17)。
周方向内側第一直線部20e2は、第一接続通路20eの第一曲面部20e1よりも他端側(ナット側ボールねじ溝21側)に設けられている。周方向内側第一直線部20e2は、第一曲面部20e1とナット側ボールねじ溝21(ボール循環溝12)の一端部に接続している。周方向内側第一直線部20e2は、ナット側ボールねじ溝21の接線方向に延びて直線状に形成されている。
接続部材23の第一湾曲部23bと接続部材側第一直線部23dとの境界点を境界点P1と定義する。周方向内側第一直線部20e2と第一曲面部20e1との境界点を境界点Q1と定義する。境界点Q1は、境界点P1よりも他端側(ナット側ボールねじ溝21側)に位置するように形成されている(図15)。
ボール22とナット側ボールねじ溝21との接触点を接触点Sと定義する。周方向内側第一直線部20e2は、接触点Sが境界点Q1よりも他端側(ナット側ボールねじ溝21側)に位置するように形成されている(図18)。
周方向外側第一直線部20e3は、第一周方向D1外側において第一湾曲部23bと対向する位置に設けられている。周方向外側第一直線部20e3は、接続部材23の一端側が第一接続通路20e内に挿入される際の挿入方向に沿って直線状に形成されている。
第二接続通路20fは、第二曲面部20f1、周方向内側第二直線部20f2、周方向外側第二直線部20f3から構成されている。
ここで、接続部材23を第一接続通路20eおよび第二接続通路20fに挿入した状態で、第二湾曲部23cの湾曲方向に沿った線を第二周方向D2と定義する。第二曲面部20f1は、第二接続通路20fのうち第二周方向D2内側において第二湾曲部23cと対向する位置に設けられている。そして、第二曲面部20f1と第二湾曲部23cとの間の隙間は所定値以下となるように曲面状に形成されている。
また、第二曲面部20f1の断面の曲率半径r2は、接続部材23の第二湾曲部23cの断面の曲率半径r2よりも小さくなるように形成されている。換言すると、第二曲面部20f1は、第二湾曲部23cの断面の曲率半径r2が、第二曲面部20f1の断面の曲率半径r2より大きくなるように形成されている。このとき、第二曲面部20f1の曲率半径r2の中心は、ナット側ボールねじ溝21よりもナット20の回転軸に近づくように形成されている。また、第二曲面部20f1は、第二周方向D2と直交する断面形状が円弧形状に形成されている。
周方向内側第二直線部20f2は、第二接続通路20fの第二曲面部20f1よりも他端側(ナット側ボールねじ溝21側)に設けられている。周方向内側第二直線部20f2は、第二曲面部20f1とナット側ボールねじ溝21(ボールねじボール循環溝12)の他端側に接続している。周方向内側第二直線部20f2は、ナット側ボールねじ溝21の接線方向に延びて直線状に形成されている。
接続部材23の第二湾曲部23cと接続部材側第二直線部23eとの境界点を境界点P2と定義する。周方向内側第二直線部20f2と第二曲面部20f1との境界点を境界点Q2と定義する。境界点Q2は境界点P2よりも他端側(ナット側ボールねじ溝21側)に位置するように形成されている。
前述のように、ボール22とナット側ボールねじ溝21との接触点を接触点Sと定義する。周方向内側第二直線部20f2は、接触点Sが境界点Q2よりも他端側(ナット側ボールねじ溝21側)に位置するように形成されている。
周方向外側第二直線部20f3は、第二周方向D2外側において第二湾曲部23cと対向する位置に設けられている。周方向外側第二直線部20f3は、接続部材23の他端側が第二接続通路20f内に挿入される際の挿入方向に沿って直線状に形成されている。
〔接続通路の形成方法〕
第一接続通路20eは、一種類のエンドミルの機械加工によって、第一曲面部20e1、周方向内側第一直線部20e2および周方向外側第一直線部20e3が形成されている。エンドミルは、周方向内側第一直線部20e2および周方向外側第一直線部20e3の方向に向かって取り付けられて加工を行う。このとき、ナット20の外周部からナット側ボールねじ溝21側(内周側)に向かって切削が行われて、周方向内側第一直線部20e2および周方向外側第一直線部20e3が形成される。そして、エンドミルの先端を第一曲面部20e1の曲面状に沿って移動させることで第一曲面部20e1が形成される。
第二接続通路20fは、一種類のエンドミルの機械加工によって、第二曲面部20f1、周方向内側第二直線部20f2および周方向外側第二直線部20f3が形成されている。エンドミルは、周方向内側第二直線部20f2および周方向外側第二直線部20f3の方向に向かって取り付けられて加工を行う。このとき、ナット20の外周部からナット側ボールねじ溝21側(内周側)に向かって切削が行われて、周方向内側第二直線部20f2および周方向外側第二直線部20f3が形成される。そして、エンドミルの先端を第二曲面部20f1の曲面状に沿って移動させることで第二曲面部20f1が形成される。
〔作用〕
接続部材23内でボール22をスムーズに移動させるために、接続部材23の第一湾曲部23bおよび第二湾曲部23cはできるだけ大きな曲率半径を有することが好ましい。しかし、単に第一湾曲部23bおよび第二湾曲部23cの曲率半径を大きくすると、接続部材23がナット20の外周面に対して大幅にはみ出すため、接続部材23を取り付けた状態のナット20は大型化してしまう。
そこで接続部材23の一部をナット20の内部に埋め込むことが考えられる。そのためには第一接続通路20e、第二接続通路20fの開口部に、第一接続通路20e、第二接続通路20fと第一湾曲部23b、第二湾曲部23cとの干渉を避ける加工を施さなければならない。第一接続通路20e、第二接続通路20fと第一湾曲部23b、第二湾曲部23cとの干渉を避ける加工の例として比較例を説明する。
図19は比較例のナット20の断面図である。図20は比較例の接続部材23を装着した状態のナット20の断面図である。図21は比較例の第二接続通路20fナット20の外周側開口部付近の図である。図22は実施例1の第一接続通路20e付近の拡大断面図(図22(A))と比較例の第一接続通路20e付近の拡大断面図(図22(B))である。
比較例では、エンドミルを第一接続通路20e、第二接続通路20fに対して斜めに挿入して加工することにより、第一接続通路20e、第二接続通路20fに第一傾斜部20e4、第二傾斜部20f4を形成している。
比較例のように、第一接続通路20e、第二接続通路20fに第一傾斜部20e4、第二傾斜部20f4を形成すると、第一傾斜部20e4、第二傾斜部20f4とナット側ボールねじ溝21との間の肉厚が薄くなり、強度を確保することができないおそれがあった(図22)。
そこで実施例1では、第一接続通路20eの第一曲面部20e1を、接続部材23の第一湾曲部23bとの間の隙間が所定値以下となるように曲面状に形成するようにした。また、第二接続通路20fの第二曲面部20f1を、接続部材23の第二湾曲部23cとの間の隙間が所定値以下となるように曲面状に形成するようにした。
これにより、第一湾曲部23bおよび第二湾曲部23cの曲率半径を大型化するとともに、ナット20の肉厚を確保することができる。したがって、接続部材23内のボール22の移動をスムーズにし、またナット20の強度を確保することができる。
また実施例1では、接続部材23の第一湾曲部23bの曲率半径が、ナット20の第一曲面部20e1の曲率半径以上となるように第一曲面部20e1を形成した。同じく、接続部材23の第二湾曲部23cの曲率半径が、ナット20の第二曲面部20f1の曲率半径以上となるように第二曲面部20f1を形成した。
これにより、接続部材23の第一湾曲部23b、第二湾曲部23cが、ナット20の第一曲面部20e1、第二曲面部20f1と干渉することを抑制することができる。したがって、接続部材23をナット20に取り付けた状態でナット20全体を小型化することができる。
また実施例1では、第一曲面部20e1よりも第一接続通路20eの他端側に、第一曲面部20e1とボール循環溝12の一端側とを直線的に接続する周方向内側第一直線部20e2を形成した。同様に、第二曲面部20f1よりも第二接続通路20fの他端側に、第二曲面部20f1とボール循環溝12の他端側とを直線的に接続する周方向内側第二直線部20f2を形成した。
これにより、ボール循環溝12と接続部材23の第一曲面部20e1との間、ボール循環溝12と接続部材23の第二曲面部20f1との間をスムーズに接続することができる。なお、周方向内側第一直線部20e2と周方向内側第二直線部20f2をボール循環溝12の接線方向と略一致させることにより、更にボール循環溝12と接続部材23との間の移動をスムーズに行うことができる。
また実施例1では、接続部材23の第一湾曲部23bと接続部材側第一直線部23dとの境界点Q1が、第一接続通路20eの第一曲面部20e1と周方向内側第一直線部20e2との境界点P1よりも、第一接続通路20eの他端側(ナット側ボールねじ溝21側)に位置するようにした。同様に、第二接続通路20fの第二曲面部20f1と周方向内側第二直線部20f2との境界点P2が、接続部材23の第二湾曲部23cと接続部材側第二直線部23eとの境界点Q2よりも、第二接続通路20fの他端側(ナット側ボールねじ溝21側)に位置するようにした。
これにより、接続部材23の第一湾曲部23b、第二湾曲部23cが、ナット20の第一曲面部20e1、第二曲面部20f1と干渉することを抑制し、接続部材23をナット20に取り付けた状態でナット20全体を小型化することができる。
また実施例1では、ナット側ボールねじ溝21とボール22との接触点Sを、第一曲面部20e1と周方向内側第一直線部20e2の境界点Q1よりも第一接続通路20eの他端側(ナット側ボールねじ溝21側)に位置するように形成した。同様に、ナット側ボールねじ溝21とボール22との接触点Sを、第二曲面部20f1と周方向内側第二直線部20f2の境界点Q2よりも第二接続通路20fの他端側(ナット側ボールねじ溝21側)に位置するように形成した。
ナット側ボールねじ溝21とボール22との接触点Sには、ボール22からナット20に対して負荷がかかる。接触点Sと第一曲面部20e1および第二曲面部20f1との距離を確保することができるため、肉厚の減少を抑制することができる。
また実施例1では、第一接続通路20eの第一曲面部20e1の曲率半径の中心を、ナット側ボールねじ溝21よりもナット20の回転軸に近づくように形成した。同様に、第二接続通路20fの第二曲面部20f1の曲率半径の中心を、ナット側ボールねじ溝21よりもナット20の回転軸に近づくように形成した。
これにより、第一接続通路20eの第一曲面部20e1および第二接続通路20fの第二曲面部20f1の曲率半径を十分に確保することができ、それに応じて接続部材23の第一湾曲部23bおよび第二湾曲部23cの曲率半径を大きくすることができる。したがって、接続部材23内のボール22の移動をスムーズにすることができる。
また実施例1では、第一接続通路20eのうち第一周方向D1外側において、接続部材23の第一湾曲部23bと対向する位置に設けられ、接続部材23の一端側が第一接続通路20e内に挿入される際の挿入方向に沿った直線形状を有する周方向外側第一直線部20e3を形成した。同様に、第二接続通路20fのうち第二周方向D2外側において、接続部材23の第二湾曲部23cと対向する位置に設けられ、接続部材23の他端側が第二接続通路20f内に挿入される際の挿入方向に沿った直線形状を有する周方向外側第二直線部20f3を形成した。
これにより、第一接続通路20eおよび第二接続通路20fへの接続部材23の組み付けを容易に行うことができる。
また実施例1では、第一接続通路20eの第一曲面部20e1と周方向外側第一直線部20e3を同一ツールで機械加工により形成するようにした。同様に、第二接続通路20fの第二曲面部20f1と周方向外側第二直線部20f3を同一ツールで機械加工により形成するようにした。
これにより、第一曲面部20e1の加工と周方向外側第一直線部20e3の加工とでツールを付け替える必要がなく、第一接続通路20eを機械加工する際の作用効率を向上させることができる。同様に、第二曲面部20f1の加工と周方向外側第二直線部20f3の加工とでツールを付け替える必要がなく、第二接続通路20fを機械加工する際の作用効率を向上させることができる。
また実施例1では、第一接続通路20eの第一曲面部20e1を、第一周方向D1と直交する断面形状を円弧形状に形成するようにした。同じく、第二接続通路20fの第二曲面部20f1を、第二周方向D2と直交する断面形状を円弧形状に形成した。
図23は、第一接続通路20eの第一曲面部20e1を、第一周方向D1と直交する断面形状を矩形形状に形成した例を示す図である。図24は、第一接続通路20eの第一曲面部20e1の断面形状の模式図である。
第一曲面部20e1や第二曲面部20f1の断面形状を矩形形状に形成すると、円弧形状に形成した場合に比べて、第一曲面部20e1、第二曲面部20e2の面積が大きくなる。したがって、第一曲面部20e1、第二曲面部20f1の断面形状を円弧形状に形成することにより、ナット20の肉厚を確保することができる。
また実施例1では、第一接続通路20eの第一曲面部20e1と周方向外側第一直線部20e3を形成するツールは、略同一方向の回転軸周りに回転しながら第一曲面部20e1および周方向外側第一直線部20e3を機械加工するようにした。同じく、第二接続通路20fの第二曲面部20f1と周方向外側第二直線部20f3を形成するツールは、略同一方向の回転軸周りに回転しながら第二曲面部20f1および周方向外側第二直線部20f3を機械加工するようにした。
これにより、第一曲面部20e1の加工と周方向外側第一直線部20e3の加工とで、工作機械へのナット20の取付角度を変える必要がなく、第一接続通路20eを機械加工する際の作用効率を向上させることができる。同様に、第二曲面部20f1の加工と周方向外側第二直線部20f3の加工とで、工作機械へのナット20の取付角度を変える必要がなく、第二接続通路20fを機械加工する際の作用効率を向上させることができる。
〔効果〕
(1) ステアリングホイールの回転に伴い軸方向移動することにより転舵輪を転舵させる転舵軸10と、転舵軸10の外周側に設けられ、螺旋状の溝形状を有する転舵軸側ボールねじ溝11と、金属材料で形成され、転舵軸10を包囲するように環状に形成された本体部20aを備え、転舵軸10に対し回転自在に設けられたナット20と、ナット20の内周側に設けられ、螺旋状の溝形状を有し、転舵軸側ボールねじ溝11と共に螺旋状のボール循環溝12を構成するナット側ボールねじ溝21と、ボール循環溝12内おいて移動可能に設けられた複数のボール22と、ナット20に設けられ、一端側がナット20の外周面に開口し、他端側がナット20の内周面であってボール循環溝12の一端側に開口するように形成された第一接続通路20eと、ナット20に設けられ、一端側がナット20の外周面に開口し、他端側がナット20の内周面であってボール循環溝12の他端側に開口するように形成された第二接続通路20fと、一端側が第一接続通路20e内に挿入され、他端側が第二接続通路20f内に挿入され、複数のボール22が第一接続通路20e側と第二接続通路20f側との間で往来可能となるように第一接続通路20eと第二接続通路20fとを接続する管状部材であって、管状部材の一端側と略中間部23aの間に設けられ複数のボール22の進行方向が曲線的に変化するように形成された第一湾曲部23bおよび他端側と前記略中間部の間に設けられ複数のボール22の進行方向が曲線的に変化するように形成された第二湾曲部23cと、を有する接続部材23と、第一湾曲部23bの湾曲方向に沿った線を第一周方向D1としたとき、第一接続通路20eのうち第一周方向D1内側において第一湾曲部23bと対向する位置に設けられ、第一湾曲部23bとの間の隙間が所定値以下となるように曲面状に形成された第一曲面部20e1と、第二湾曲部23cの湾曲方向に沿った線を第二周方向D2としたとき、第二接続通路20fのうち第二周方向D2内側において第二湾曲部23cと対向する位置に設けられ、第二湾曲部23cとの間の隙間が所定値以下となるように曲面状に形成された第二曲面部20f1と、ナット20を回転駆動し、ナット20の回転が転舵軸10の軸方向運動に変換されることにより転舵軸10に操舵力を付与する電動モータ40と、を有することとした。
よって、接続部材23内のボール22の移動をスムーズにし、またナット20の強度を確保することができる。
(2) 第一曲面部20e1および第二曲面部20f1を、第一湾曲部23bの曲率半径が第一曲面部20e1の曲率半径以上であり、かつ第二湾曲部23cの曲率半径が第二曲面部20f1の曲率半径以上となるように形成した。
よって、接続部材23をナット20に取り付けた状態でナット20全体を小型化することができる。
(3) 第一接続通路20eは、第一曲面部20e1よりも第一接続通路20eの他端側に設けられ、第一曲面部20e1とボール循環溝12の一端側とを直線的に接続する周方向内側第一直線部20e2を有し、第二接続通路20fは、第二曲面部20f1よりも第二接続通路20fの他端側に設けられ、第二曲面部20f1とボール循環溝12の他端側とを直線的に接続する周方向内側第二直線部20f2を有するようにした。
よって、ボール循環溝12と接続部材23の第一曲面部20e1との間、ボール循環溝12と接続部材23の第二曲面部20f1との間をスムーズに接続することができる。
(4) 接続部材23は、第一湾曲部23bと接続部材23の一端側との間が直線的に形成された接続部材側第一直線部23dと、第二湾曲部23cと接続部材23の他端側との間が直線的に形成された接続部材側第二直線部23eと、を備え、第一接続通路20eは、第一曲面部20e1と周方向内側第一直線部20e2の境界が接続部材23の第一湾曲部23bと接続部材側第一直線部23dの境界よりも第一接続通路20eの他端側よりに位置するように形成され、第二接続通路20fは、第二曲面部20f1と周方向内側第二直線部20f3の境界が接続部材23の第二湾曲部23cと接続部材側第二直線部23eの境界よりも第二接続通路20fの他端側よりに位置するように形成されるようにした。
よって、接続部材23をナット20に取り付けた状態でナット20全体を小型化することができる。
(5) 第一接続通路20eを、ナット側ボールねじ溝21と複数のボール22との接触点Sが第一曲面部20e1と周方向内側第一直線部20e2の境界点Q1よりも第一接続通路20eの他端側に位置するように形成し、第二接続通路20fを、ナット側ボールねじ溝21と複数のボール22との接触点Sが第二曲面部20f1と周方向内側第二直線部20f2の境界点Q2よりも第二接続通路20fの他端側に位置するように形成した。
よって、接触点Sと第一曲面部20e1および第二曲面部20f1との距離を確保することができ、肉厚の減少を抑制することができる。
(6) 第一曲面部20e1を、第一曲面部20e1の曲率半径の中心が、ナット側ボールねじ溝21よりもナット20の回転軸に近づくように形成し、第二曲面部20f1を、第二曲面部20f1の曲率半径の中心が、ナット側ボールねじ溝21よりもナット20の回転軸に近づくように形成した。
よって、接続部材23の第一湾曲部23bおよび第二湾曲部23cの曲率半径を大きく形成することができ、接続部材23内のボール22の移動をスムーズにすることができる。
(7) 第一接続通路20eは、第一接続通路20eのうち第一周方向D1外側において第一湾曲部23bと対向する位置に設けられ、接続部材23の一端側が第一接続通路20e内に挿入される際の挿入方向に沿った直線形状を有する周方向外側第一直線部20e3を有し、
第二接続通路20fは、第二接続通路20fのうち第二周方向D2外側において第二湾曲部23cと対向する位置に設けられ、接続部材23の他端側が第二接続通路20f内に挿入される際の挿入方向に沿った直線形状を有する周方向外側第二直線部20f3を有するようにした。
よって、第一接続通路20eおよび第二接続通路20fへの接続部材23の組み付けを容易に行うことができる。
(8) 第一曲面部20e1と周方向外側第一直線部20e3を同一ツールで機械加工により形成し、第二曲面部20f1と周方向外側第二直線部20f3を同一ツールで機械加工により形成した。
よって、第一接続通路20eと第二接続通路20fを機械加工する際の作用効率を向上させることができる。
(9) 第一曲面部20e1を、第一周方向D1と直交する断面形状を円弧形状に形成し、
第二曲面部20f1を、第二周方向D2と直交する断面形状を円弧形状に形成した。
よって、ナット20の肉厚を確保することができる。
(10) パワーステアリング装置1の製造方法であって、パワーステアリング装置1は、ステアリングホイールの回転に伴い軸方向移動することにより転舵輪を転舵させる転舵軸10と、転舵軸10の外周側に設けられ、螺旋状の溝形状を有する転舵軸側ボールねじ溝11と、金属材料で形成され、転舵軸10を包囲するように環状に形成された本体部20aを備え、転舵軸10に対し回転自在に設けられたナット20と、ナット20の内周側に設けられ、螺旋状の溝形状を有し、転舵軸側ボールねじ溝11と共に螺旋状のボール循環溝12を構成するナット側ボールねじ溝21と、ボール循環溝12内おいて移動可能に設けられた複数のボール22と、ナット20に設けられ、一端側がナット20の外周面に開口し、他端側がナット20の内周面であってボール循環溝12の一端側に開口するように形成された第一接続通路20eと、ナット20に設けられ、一端側がナット20の外周面に開口し、他端側がナット20の内周面であってボール循環溝12の他端側に開口するように形成された第二接続通路20fと、一端側が第一接続通路20e内に挿入され、他端側が第二接続通路20f内に挿入され、複数のボール22が第一接続通路20e側と第二接続通路20f側との間で往来可能となるように第一接続通路20eと第二接続通路20fとを接続する管状部材であって、管状部材の一端側と略中間部23aの間に設けられ複数のボール22の進行方向が曲線的に変化するように形成された第一湾曲部23bおよび他端側と略中間部23aの間に設けられ複数のボール22の進行方向が曲線的に変化するように形成された第二湾曲部23cと、を有する接続部材23と、ナット20を回転駆動し、ナット20の回転が転舵軸10の軸方向運動に変換されることにより転舵軸10に操舵力を付与する電動モータ40と、を備え、第一湾曲部23bの湾曲方向に沿った線を第一周方向D1としたとき、第一接続通路20eのうち第一周方向D1内側において第一湾曲部23bと対向する位置に第一湾曲部23bとの間の隙間が所定値以下となる曲面状の第一曲面部20e1を機械加工により形成する工程と、第二湾曲部23cの湾曲方向に沿った線を第二周方向D2としたとき、第二接続通路20fのうち第二周方向D2内側において第二湾曲部23cと対向する位置に第二湾曲部23cとの間の隙間が所定値以下となる曲面状の第二曲面部20f1を機械加工により形成する工程と、からなるようにした。
よって、接続部材23内のボール22の移動をスムーズにし、またナット20の強度を確保することができる。
(11) 第一曲面部20e1と周方向外側第一直線部20e3を形成するツールは、略同一方向の回転軸周りに回転しながら第一曲面部20e1および周方向外側第一直線部20e3を機械加工し、第二曲面部20f1と周方向外側第二直線部20f3を形成するツールは、略同一方向の回転軸周りに回転しながら第二曲面部20f1および周方向外側第二直線部20f3を機械加工するようにした。
よって、第一接続通路20eと第二接続通路20fを機械加工する際の作用効率を向上させることができる。
〔他の実施例〕
以上、本発明を実施例1に基づいて説明してきたが、各発明の具体的な構成は実施例1に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、実施例1では、ナット20に連通孔41を形成している例を示したが、ナット20に連通孔41を形成しなくとも良い。
また実施例1では、入力プーリ35の回転を出力プーリ27に伝達する伝達部材としてベルト28を用いた例を示したが、ベルト28に関わらずチェーンなどものであっても良い。
〔請求項以外の技術的思想〕
更に、上記実施例から把握しうる請求項以外の技術的思想について、以下に記載する。
(A) 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記第一接続通路は、前記第一接続通路のうち前記第一周方向外側において前記第一湾曲部と対向する位置に設けられ、前記接続部材の一端側が前記第一接続通路内に挿入される際の挿入方向に沿った直線形状を有する周方向外側第一直線部を有し、
前記第二接続通路は、前記第二接続通路のうち前記第二周方向外側において前記第二湾曲部と対向する位置に設けられ、前記接続部材の他端側が前記第二接続通路内に挿入される際の挿入方向に沿った直線形状を有する周方向外側第二直線部を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
(B) 上記(A)に記載のパワーステアリング装置において、
前記第一曲面部と前記周方向外側第一直線部は同一ツールで機械加工により形成され、
前記第二曲面部と前記周方向外側第二直線部は同一ツールで機械加工により形成されることを特徴とするパワーステアリング装置。
(C) 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記第一曲面部は、前記第一周方向と直交する断面形状が円弧形状に形成され、
前記第二曲面部は、前記第二周方向と直交する断面形状が円弧形状に形成されることを特徴とするパワーステアリング装置。
(D) 請求項7に記載のパワーステアリング装置の製造方法において、前記第一曲面部および前記第二曲面部は、前記第一湾曲部の曲率半径が前記第一曲面部の曲率半径以上であり、かつ前記第二湾曲部の曲率半径が前記第二曲面部の曲率半径以上となるように形成されることを特徴とするパワーステアリング装置の製造方法。
(E) 上記(D)に記載のパワーステアリング装置の製造方法において、
前記第一曲面部よりも前記第一接続通路の他端側に設けられ、前記第一曲面部と前記ボール循環溝の前記一端側とを直線的に接続する周方向内側第一直線部を形成する工程と、
前記第二曲面部よりも前記第二接続通路の他端側に設けられ、前記第二曲面部と前記ボール循環溝の前記他端側とを直線的に接続する周方向内側第二直線部を形成する工程と、を有することを特徴とするパワーステアリング装置の製造方法。
(F) 上記(E)に記載のパワーステアリング装置の製造方法において、
前記接続部材は、前記第一湾曲部と前記接続部材の前記一端側との間が直線的に形成された接続部材側第一直線部と、前記第二湾曲部と前記接続部材の前記他端側との間が直線的に形成された接続部材側第二直線部と、を有するように形成され、
前記第一接続通路は、前記第一曲面部と前記周方向内側第一直線部の境界が前記接続部材の前記第一湾曲部と前記接続部材側直線部の境界よりも前記第一接続通路の他端側よりに位置するように形成され、
前記第二接続通路は、前記第二曲面部と前記周方向内側第二直線部の境界が前記接続部材の前記第二湾曲部と前記接続部材側直線部の境界よりも前記第二接続通路の他端側よりに位置するように形成されることを特徴とするパワーステアリング装置の製造方法。
(G) 上記(E)に記載のパワーステアリング装置の製造方法において、
前記第一接続通路は、前記ナット側ボールねじ溝と前記複数のボールとの接触点との距離が最短となる前記第一曲面部上の点が前記第一曲面部と前記周方向内側第一直線部の境界よりも前記第一接続通路の他端側に位置するように形成され、
前記第二接続通路は、前記ナット側ボールねじ溝と前記複数のボールとの接触点との距離が最短となる前記第二曲面部上の点が前記第二曲面部と前記周方向内側第二直線部の境界よりも前記第二接続通路の他端側に位置するように形成されることを特徴とするパワーステアリング装置の製造方法。
(H) 上記(D)に記載のパワーステアリング装置の製造方法において、
前記第一曲面部は、前記第一曲面部の曲率半径の中心が、前記ナット側ボールねじ溝よりも前記ナットの回転軸に近づくように形成され、
前記第二曲面部は、前記第二曲面部の曲率半径の中心が、前記ナット側ボールねじ溝よりも前記ナットの回転軸に近づくように形成されることを特徴とするパワーステアリング装置の製造方法。
(I) 請求項7に記載のパワーステアリング装置の製造方法において、
前記第一曲面部は、前記第一周方向と直交する断面形状が円弧形状に形成され、
前記第二曲面部は、前記第二周方向と直交する断面形状が円弧形状に形成されることを特徴とするパワーステアリング装置の製造方法。
10 転舵軸
11 転舵軸側ボールねじ溝
12 ボール循環溝
20 ナット
20a 本体部
20e 第一接続通路
20e1 第一曲面部
20e2 周方向内側第一直線部
20e3 周方向外側第一直線部
20f 第二接続通路
20f1 第二曲面部
20f2 周方向内側第二直線部
20f3 周方向外側第一直線部
22 ボール
23 接続部材
23a 中間部
23b 第一湾曲部
23c 第二湾曲部
23d 接続部材側第一直線部
23e 接続部材側第一直線部

Claims (8)

  1. ステアリングホイールの回転に伴い軸方向移動することにより転舵輪を転舵させる転舵軸と、
    前記転舵軸の外周側に設けられ、螺旋状の溝形状を有する転舵軸側ボールねじ溝と、
    金属材料で形成され、前記転舵軸を包囲するように環状に形成された本体部を備え、前記転舵軸に対し回転自在に設けられたナットと、
    前記ナットの内周側に設けられ、螺旋状の溝形状を有し、前記転舵軸側ボールねじ溝と共に螺旋状のボール循環溝を構成するナット側ボールねじ溝と、
    前記ボール循環溝内おいて移動可能に設けられた複数のボールと、
    前記ナットに設けられ、一端側が前記ナットの外周面に開口し、他端側が前記ナットの内周面であって前記ボール循環溝の一端側に開口するように形成された第一接続通路と、
    前記ナットに設けられ、一端側が前記ナットの外周面に開口し、他端側が前記ナットの内周面であって前記ボール循環溝の他端側に開口するように形成された第二接続通路と、
    一端側が前記第一接続通路内に挿入され、他端側が前記第二接続通路内に挿入され、前記複数のボールが前記第一接続通路側と前記第二接続通路側との間で往来可能となるように前記第一接続通路と前記第二接続通路とを接続する管状部材であって、前記管状部材の前記一端側と略中間部の間に設けられ前記複数のボールの進行方向が曲線的に変化するように形成された第一湾曲部および前記他端側と前記略中間部の間に設けられ前記複数のボールの進行方向が曲線的に変化するように形成された第二湾曲部と、を有する接続部材と、
    前記第一湾曲部の湾曲方向に沿った線を第一周方向としたとき、前記第一接続通路のうち前記第一周方向内側において前記第一湾曲部と対向する位置に設けられ、前記第一湾曲部との間の隙間が所定値以下となるように曲面状に形成された第一曲面部と、
    前記第二湾曲部の湾曲方向に沿った線を第二周方向としたとき、前記第二接続通路のうち前記第二周方向内側において前記第二湾曲部と対向する位置に設けられ、前記第二湾曲部との間の隙間が前記所定値以下となるように曲面状に形成された第二曲面部と、
    前記ナットを回転駆動し、前記ナットの回転が前記転舵軸の軸方向運動に変換されることにより前記転舵軸に操舵力を付与する電動モータと、
    を有し、
    前記第一接続通路は、前記第一曲面部よりも前記第一接続通路の他端側に設けられ、前記第一曲面部と前記ボール循環溝の前記一端側とを直線的に接続する周方向内側第一直線部を有し、
    前記第二接続通路は、前記第二曲面部よりも前記第二接続通路の他端側に設けられ、前記第二曲面部と前記ボール循環溝の前記他端側とを直線的に接続する周方向内側第二直線部を有し、
    前記第一曲面部は、前記第一曲面部の曲率半径の中心が、前記ナット側ボールねじ溝よりも前記ナットの回転軸に近づくように形成され、
    前記第二曲面部は、前記第二曲面部の曲率半径の中心が、前記ナット側ボールねじ溝よりも前記ナットの回転軸に近づくように形成され、
    前記接続部材の前記中間部は、直線状に形成されていることを特徴とするパワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
    前記第一曲面部および前記第二曲面部は、前記第一湾曲部の曲率半径が前記第一曲面部の曲率半径以上であり、かつ前記第二湾曲部の曲率半径が前記第二曲面部の曲率半径以上となるように形成されることを特徴とするパワーステアリング装置。
  3. 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
    前記接続部材は、前記第一湾曲部と前記接続部材の前記一端側との間が直線的に形成された接続部材側第一直線部と、前記第二湾曲部と前記接続部材の前記他端側との間が直線的に形成された接続部材側第二直線部と、を備え、
    前記第一接続通路は、前記第一曲面部と前記周方向内側第一直線部の境界が前記接続部材の前記第一湾曲部と前記接続部材側第一直線部の境界よりも前記第一接続通路の他端側よりに位置するように形成され、
    前記第二接続通路は、前記第二曲面部と前記周方向内側第二直線部の境界が前記接続部材の前記第二湾曲部と前記接続部材側第二直線部の境界よりも前記第二接続通路の他端側よりに位置するように形成されることを特徴とするパワーステアリング装置。
  4. 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
    前記第一接続通路は、前記ナット側ボールねじ溝と前記複数のボールとの接触点が前記第一曲面部と前記周方向内側第一直線部の境界よりも前記第一接続通路の他端側に位置するように形成され、
    前記第二接続通路は、前記ナット側ボールねじ溝と前記複数のボールとの接触点が前記第二曲面部と前記周方向内側第二直線部の境界よりも前記第二接続通路の他端側に位置するように形成されることを特徴とするパワーステアリング装置。
  5. パワーステアリング装置の製造方法であって、
    前記パワーステアリング装置は、
    ステアリングホイールの回転に伴い軸方向移動することにより転舵輪を転舵させる転舵軸と、
    前記転舵軸の外周側に設けられ、螺旋状の溝形状を有する転舵軸側ボールねじ溝と、
    金属材料で形成され、前記転舵軸を包囲するように環状に形成された本体部を備え、前記転舵軸に対し回転自在に設けられたナットと、
    前記ナットの内周側に設けられ、螺旋状の溝形状を有し、前記転舵軸側ボールねじ溝と共に螺旋状のボール循環溝を構成するナット側ボールねじ溝と、
    前記ボール循環溝内おいて移動可能に設けられた複数のボールと、
    前記ナットに設けられ、一端側が前記ナットの外周面に開口し、他端側が前記ナットの内周面であって前記ボール循環溝の一端側に開口するように形成された第一接続通路と、
    前記ナットに設けられ、一端側が前記ナットの外周面に開口し、他端側が前記ナットの内周面であって前記ボール循環溝の他端側に開口するように形成された第二接続通路と、
    一端側が前記第一接続通路内に挿入され、他端側が前記第二接続通路内に挿入され、前記複数のボールが前記第一接続通路側と前記第二接続通路側との間で往来可能となるように前記第一接続通路と前記第二接続通路とを接続する管状部材であって、前記管状部材の前記一端側と略中間部の間に設けられ前記複数のボールの進行方向が曲線的に変化するように形成された第一湾曲部および前記他端側と前記略中間部の間に設けられ前記複数のボールの進行方向が曲線的に変化するように形成された第二湾曲部と、を有する接続部材と、
    前記ナットを回転駆動し、前記ナットの回転が前記転舵軸の軸方向運動に変換されることにより前記転舵軸に操舵力を付与する電動モータと、を備え、
    前記第一接続通路は、前記第一曲面部よりも前記第一接続通路の他端側に設けられ、前記第一曲面部と前記ボール循環溝の前記一端側とを直線的に接続する周方向内側第一直線部を有し、
    前記第二接続通路は、前記第二曲面部よりも前記第二接続通路の他端側に設けられ、前記第二曲面部と前記ボール循環溝の前記他端側とを直線的に接続する周方向内側第二直線部を有し、
    前記第一曲面部は、前記第一曲面部の曲率半径の中心が、前記ナット側ボールねじ溝よりも前記ナットの回転軸に近づくように形成され、
    前記第二曲面部は、前記第二曲面部の曲率半径の中心が、前記ナット側ボールねじ溝よりも前記ナットの回転軸に近づくように形成され、
    前記接続部材の前記中間部は、直線状に形成されており、
    前記第一湾曲部の湾曲方向に沿った線を第一周方向としたとき、前記第一接続通路のうち前記第一周方向内側において前記第一湾曲部と対向する位置に前記第一湾曲部との間の隙間が所定値以下となる曲面状の第一曲面部を機械加工により形成する工程と、
    前記第二湾曲部の湾曲方向に沿った線を第二周方向としたとき、前記第二接続通路のうち前記第二周方向内側において前記第二湾曲部と対向する位置に前記第二湾曲部との間の隙間が前記所定値以下となる曲面状の第二曲面部を機械加工により形成する工程と、
    を有することを特徴とするパワーステアリング装置の製造方法。
  6. 請求項5に記載のパワーステアリング装置の製造方法において、
    前記第一接続通路は、前記第一接続通路のうち前記第一周方向外側において前記第一湾曲部と対向する位置に設けられ、前記接続部材の一端側が前記第一接続通路内に挿入される際の挿入方向に沿った直線形状を有する周方向外側第一直線部が機械加工によって形成され、
    前記第二接続通路は、前記第二接続通路のうち前記第二周方向外側において前記第二湾曲部と対向する位置に設けられ、前記接続部材の他端側が前記第二接続通路内に挿入される際の挿入方向に沿った直線形状を有する周方向外側第二直線部が機械加工によって形成されることを特徴とするパワーステアリング装置の製造方法。
  7. 請求項6に記載のパワーステアリング装置の製造方法において、
    前記第一曲面部と前記周方向外側第一直線部は同一ツールで機械加工により形成され、
    前記第二曲面部と前記周方向外側第二直線部は同一ツールで機械加工により形成されることを特徴とするパワーステアリング装置の製造方法。
  8. 請求項7に記載のパワーステアリング装置の製造方法において、
    前記第一曲面部と前記周方向外側第一直線部を形成するツールは、略同一方向の回転軸周りに回転しながら前記第一曲面部および前記周方向外側第一直線部を機械加工し、
    前記第二曲面部と前記周方向外側第二直線部を形成するツールは、略同一方向の回転軸周りに回転しながら前記第二曲面部および前記周方向外側第二直線部を機械加工することを特徴とするパワーステアリング装置の製造方法。
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