JP6290682B2 - 車両の速度検出装置 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、取付位置精度に影響することのない車両の速度検出装置を提供することにある。
また、上記構成において、前記鋳込み部(17j)は、前記ハブ部(17f)の車幅方向一端側に位置する円筒形の部分であり、前記鋳込み部(17j)に鋳込み成形される前記ロータ(21)は、内側方に曲げられた外周部(21b)を備える円板であり、その円形の内周面(21d)が、円筒形の前記鋳込み部(17j)の外周面(17u)に鋳込まれるようにしても良い。
また、上記構成において、前記鋳込み部(17j)は、前記ベアリング支持部(17e)の半径方向外側に環状空間(55)を介して配置され、前記環状空間(55)の底部に、前記ハブ部(17f)の中空部(58)と前記鋳造ホイール(17)の外部とを連通させる通孔(17k)が開けられていても良い。
また、鋳造ホイールは、車軸にベアリングを介して支持される円筒形のベアリング支持部と、このベアリング支持部のベアリング圧入位置に繋がってベアリング支持部の外周を覆う中空のハブ部とを備え、ロータが鋳込み成形される鋳込み部は、ハブ部に設けられるので、ロータをベアリング支持部の外周を覆うハブ部に設けることで、ロータは、ベアリングからの熱影響を受けにくい。
また、鋳込み部は、ハブ部の車幅方向一端側に位置する円筒形の部分であり、鋳込み部に鋳込み成形されるロータは、内側方に曲げられた外周部を備える円板であり、その円形の内周面が、円筒形の鋳込み部の外周面に鋳込まれるので、鋳造ホイールの鋳込み部及びロータの内周面は、応力集中しない形状なので、鋳込み成形時の熱に対して歪みが生じにくい。
また、鋳込み部は、ベアリング支持部の半径方向外側に環状空間を介して配置され、環状空間の底部に、ハブ部の中空部と鋳造ホイールの外部とを連通させる通孔が開けられているので、ベアリングで発生した熱がロータに伝わるのを抑制することができ、ロータは、ベアリングからの熱影響をより一層受けにくい。
図1は、本発明の一実施形態の速度検出装置16を備える自動二輪車10の要部右側面図である。
自動二輪車10は、車体フレーム11の前端部に操舵可能に支持されたフロントフォーク12と、フロントフォーク12の下端部に車軸13を介して支持された前輪14と、前輪14の回転速度から車速を検出する速度検出装置16とを備える鞍乗り型車両である。
速度検出装置16は、ホイール17に固定された車輪速度検出用のロータ21と、ロータ21の回転速度から車速を検出するためにフロントフォーク12の下部にブラケット22を介して取付けられた車輪速センサ23とから構成されている。車輪速センサ23は、ケーブル24を介して図示せぬECU(Electronic Control Unit)に接続されている。
ホイール17には複数のボルト26によりブレーキディスク27が固定されている。また、フロントフォーク12の下部には、上記したブラケット22を介してブレーキキャリパ28が取付けられている。ブレーキディスク27及びブレーキキャリパ28は、ディスクブレーキ31を構成する。ブレーキキャリパ28に設けられた一対のパッドによりブレーキディスク27が挟まれ、ブレーキディスク27を介して前輪14が制動される。なお、符号33は前輪14を上方から覆うフロントフェンダである。
メインフレーム41、センタフレーム42及びダウンフレーム43にはエンジン45が支持されている。エンジン45は、クランクケース46と、クランクケース46の前部上部に起立するように設けられたシリンダ部47とを備える。なお、符号48はシリンダ部47を構成するシリンダヘッド51の前部から屈曲して後方へ延びる排気管である。
ロータ21は、その外側面21aが、ブレーキディスク27の外側面31aよりも車幅方向外側に配置され、ロータ21の更に車幅方向外側に車輪速センサ23が近接配置されている。従って、車輪速センサ23に対して、ブレーキディスク27はロータ21よりも離れているため、車輪速センサ23に影響を及ぼしにくい。
車輪速センサ23は、フロントフォーク12にブレーキキャリパ28を取付けるためのブラケット22に取付けられているため、特別に車輪速センサ23をフロントフォーク12に取付ける取付部材が不要になる。従って、部品数を減らすことができ、コストを抑えることができる。また、車輪速センサ23は、ブラケット22の先端部に取付けられているため、車輪速センサ23が他の部品の影響を受けにくくなり、車速検出精度を高めることができる。
ホイール17は、車軸13(図1参照)で支持されるホイールハブ17Aと、ホイールハブ17Aから放射状に複数のスポーク17Bが延びるスポーク部17Cと、スポーク部17Cの半径方向外側に設けられたリム部17Dとが一体成形された、例えば、アルミニウム合金ダイカスト製のものである。
ホイールハブ17Aには、例えば、鋼板製のロータ21が固定されている。各スポーク17Bには、ブレーキディスク27を固定するボルト26(図1参照)がねじ込まれるディスク取付ボス部53と、ディスク取付ボス部53のホイールハブ17A側に開けられた貫通穴部54とを備える。貫通穴部54を設けることで、制動時にブレーキディスク27で発生した熱のホイールハブ17A側への伝達経路断面積を小さくするとともに、貫通穴部54からの放熱を促進させて、ロータ21への熱影響を抑制する。
ロータ21は、リング状の部品であり、半径方向に放射状に延びる複数のスリットが周方向に等間隔に形成されている。車輪速センサ23に接続されたECUは、車輪速センサ23(図1参照)によって単位時間当たりに検出されたスリットの数をカウントすることでロータ21の回転速度(車輪速度)を算出し、この回転速度と前輪14(図1参照)の外径とから車両の速度を算出する。
ロータ21は、ホイールハブ17Aに鋳込まれている。即ち、ダイカスト用の金型のキャビティ内にロータ21が位置決めされ、キャビティ内に溶融金属が注入されてロータ21が鋳込み成形される。従って、ロータ21をボルト等の締結部材でホイール17に取付けなくても済み、ロータ21の形状の簡素化と組立工数の削減を図ることができる。また、特許文献1のように、ブレーキディスク27の交換毎にロータ21をホイール17から取外す必要がなく、ロータ21の取付位置がずれることがないため、速度検出精度を維持することができる。更に、ホイール17とロータ21との一体感が増し、商品魅力を向上させることができる。
図5に示すように、ホイールハブ17Aは、車軸13に一対のベアリング56,56を介して支持される円筒部17eと、円筒部17eの半径方向外側に一体に繋がって円筒部17eの外側を覆うハブ部17fとを備える。
円筒部17eは、中空部17gと、中空部17gの両側に形成されたベアリング嵌合穴部17h,17hとを備える。ベアリング嵌合穴部17hには、ベアリング56と、ベアリング56の外側方に隣接するように配置されたシール部材57とが嵌合されている。中空部17g、ベアリング56,56及びシール部材57,57には、車軸13が貫通している。なお、符号17p,17qは円筒部17eの端面である。
側部円筒部17jは、その端面17rが、円筒部17eの右側の端面17pよりもホイール17の中央側に配置されるとともに、リム部17Dの端面17s,17tの内の右側の端面17sよりもホイール17の外側方に突出している。ロータ21は、端面17rと端面17sとの間に配置されている。
ロータ21は、円形に形成された内周面21dと、内側方に曲げられた外周部21bとを備える。円形の内周面21dは、側部円筒部17jに鋳込まれているため、ホイール17の鋳造時に、内周面21d及びその周辺の側部円筒部17jには応力が集中しにくくなり、残留応力の発生を抑制することができる。従って、歪みを生じにくくすることができる。なお、符号21cは半径方向に放射状に延びるスリットである。
車輪速センサ23は、その先端面であるセンシング面23aがロータ21に車幅方向外側から対向するように且つロータ21に対して隙間を開けて配置され、車輪速センサ23によって、回転する複数のスリット21cからロータ21の回転速度が検出される。
この構成によれば、ロータ21が、ホイール17に鋳込み成形されているので、ホイール17にブレーキディスク27が取付けられている場合に、ブレーキディスク27の交換時にロータ21が同時に取外されることがなくなる。従って、ロータ21の取付位置精度に影響を及ぼすことがなく、速度検出精度を維持することができる。
また、図2及び図3に示したように、車輪速センサ23は、ロータ21の外側面21aの車幅方向外側に近接配置され、そのセンシング面23aがロータ21の被検出部21cに対して車幅方向に隙間を開けて対向し、ロータ21は、その外径が、ブレーキディスク27の最小内径よりも小さく、車幅方向の位置が、ブレーキディスク27よりも車輪速センサ23側に近いので、ロータ21の外径をブレーキディスク27の最小内径よりも小さくしたことで、ブレーキディスク27の着脱にロータ21が邪魔にならない。また、ロータ21をブレーキディスク27よりも車幅方向外側に配置したことで、車速検出にブレーキディスク27が影響を与えないようにすることができる。
本発明は、自動二輪車10に適用する場合に限らず、自動二輪車以外も含む鞍乗り型車両にも適用可能である。なお、鞍乗り型車両とは、車体に跨って乗車する車両全般を含み、自動二輪車(原動機付き自転車も含む)のみならず、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両を含む車両である。
13 車軸
14 前輪(車輪)
16 速度検出装置
17 ホイール(鋳造ホイール)
17C スポーク部
17e 円筒部(ベアリング支持部)
17f ハブ部
17j 側部円筒部(鋳込み部)
17u 外周面
21 車速検出用ロータ(ロータ)
21a 外側面
21b 外周部
21cスリット(被検出部)
21d 内周面
23 車輪速センサ
23a センシング面
27 ブレーキディスク
31 ディスクブレーキ
53 ディスク取付ボス部
55 環状凹部(環状空間)
56 ベアリング
58 内空間(ハブ部の中空部)
Claims (6)
- 車体の車軸(13)を中心に回転する車輪(14)を構成する鋳造ホイール(17)と、周方向に間隔をおいて複数の被検出部(21c)が形成されて前記鋳造ホイール(17)に固定されたロータ(21)と、このロータ(21)の前記被検出部(21c)に対して車幅方向に隙間を開けて車体側に対向配置される車輪速センサ(23)とを備え、前記ロータ(21)の回転速度から車両速度を検出する車両の速度検出装置において、
前記ロータ(21)は、前記鋳造ホイール(17)に鋳込み成形されていることを特徴とする車両の速度検出装置。 - 前記鋳造ホイール(17)は、前記車軸(13)にベアリング(56)を介して支持される円筒形のベアリング支持部(17e)と、このベアリング支持部(17e)のベアリング圧入位置に繋がって前記ベアリング支持部(17e)の外周を覆う中空のハブ部(17f)とを備え、前記ロータ(21)が鋳込み成形される鋳込み部(17j)は、前記ハブ部(17f)に設けられることを特徴とする請求項1に記載の車両の速度検出装置。
- 前記鋳造ホイール(17)にディスクブレーキ(31)を構成するブレーキディスク(27)が取付けられ、このブレーキディスク(27)が取付けられるディスク取付ボス部(53)は、前記ハブ部(17f)から半径方向外側に延びるスポーク部(17C)に設けられることを特徴とする請求項2に記載の車両の速度検出装置。
- 前記鋳込み部(17j)は、前記ハブ部(17f)の車幅方向一端側に位置する円筒形の部分であり、前記鋳込み部(17j)に鋳込み成形される前記ロータ(21)は、内側方に曲げられた外周部(21b)を備える円板であり、その円形の内周面(21d)が、円筒形の前記鋳込み部(17j)の外周面(17u)に鋳込まれることを特徴とする請求項2又は3に記載の車両の速度検出装置。
- 前記車輪速センサ(23)は、前記ロータ(21)の外側面(21a)の車幅方向外側に近接配置され、そのセンシング面(23a)が前記ロータ(21)の被検出部(21c)に対して車幅方向に隙間を開けて対向し、
前記鋳造ホイール(17)にディスクブレーキ(31)を構成するブレーキディスク(27)が取付けられ、
前記ロータ(21)は、その外径が、前記ブレーキディスク(27)の最小内径よりも小さく、車幅方向の位置が、前記ブレーキディスク(31)よりも前記車輪速センサ(23)側に近いことを特徴とする請求項3又は4に記載の車両の速度検出装置。 - 前記鋳込み部(17j)は、前記ベアリング支持部(17e)の半径方向外側に環状空間(55)を介して配置され、前記環状空間(55)の底部に、前記ハブ部(17f)の中空部(58)と前記鋳造ホイール(17)の外部とを連通させる通孔(17k)が開けられていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の車両の速度検出装置。
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