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JP6285245B2 - 積層シートおよび積層シートの製造方法 - Google Patents

積層シートおよび積層シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ナノファイバー不織布の柔らかい風合いを有し、丈夫で使用時における取り扱い性に優れた積層シート、および積層シートの製造方法に関する。
従来から、顔などの皮膚をケアするための、例えばフェイスマスクシートや目元用シートと呼ばれるような化粧用シートが用いられている。このような化粧用シートは、皮膚に直接触れるものであり、しかも長時間に渡って皮膚に貼付して用いられる場合もあるため、化粧用シートの表層には、皮膚に貼付した際の肌触りが良く、化粧水などの水分の保持力が高い不織布などが用いられている。
また近年、一般的な不織布を形成する繊維よりもさらに繊維径が小さい、「ナノファイバー」と呼ばれる繊維径がナノレベルの極細繊維を用いた不織布をシート状に形成する技術が発展してきている。ナノファイバー不織布をシート状に形成したもの(以下、単に「ナノファイバーシート」ともいう。)は、シートを構成する繊維がナノファイバーによって形成されているので、一般的な太さの繊維で形成された不織布に比べて表面がより滑らかとなり、柔らかい風合いを有する。また、ナノファイバーシート内部にナノレベルの空隙が多数形成されているので、強い毛細管力が生じて水分を長時間保持することができる。
したがって、上記ナノファイバーシートを化粧用シートとして用いた場合には、柔らかい風合いが得られ、一般的な不織布よりもさらに滑らかな肌触りとなる。また、化粧水などを含浸させた場合には、化粧水などを長時間に渡って保持できるという利点がある。さらに、繊維径が非常に小さいので、貼付部位の皮膚の凹凸に沿って密着するように貼付することができ、化粧水などの有効成分を、皮膚表面に万遍なく行き渡らせることが可能である。
近年、前記のような機能を有するナノファイバーシートを利用した様々な化粧用シートが、提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
特開2010−168722号公報 特開2007−70347号公報 特開2011−89226号公報
特許文献1には、基材層とナノファイバーシート層の積層構造を有する化粧用シートが開示されている。この化粧用シートでは、基材層とナノファイバーシート層との間には、シリコーンなどの剥離部材によって剥離面が形成されている。このため、使用時には、化粧用シートのナノファイバーシート層側を皮膚に貼付した後、基材層を剥がして取り除き、ナノファイバーシート層のみを皮膚表面に残すことができるものである。
しかし、このナノファイバーシート層は非常に薄く破れ易いので、皮膚に貼付したナノファイバーシート層を皮膚から取り除く際に、破損してボロボロになってしまうなど、使用後の取扱い性が良いものではなかった。
また、特許文献2には、太く丈夫な繊維によって構成された基材層とナノファイバーシート層の積層構造を有する化粧用シートが開示されており、ニードルパンチ法などを用いて両層の繊維を絡合 させ一体化した化粧用シートが開示されている。かかる化粧用シートは、基材層とナノファイバーシート層が剥離し難いので、使用後に皮膚表面にナノファイバー層のみが残ることはない。
しかしながら、かかる特許文献2の化粧用シートでは、基材層とナノファイバーシート層を、これら両層を構成する繊維を絡合させて一体化しているので、基材層を構成する太い繊維が、ナノファイバー層の表面上まで突き出してしまう場合がある。このため、ナノファイバーシート層に特有の柔らかい風合いや滑らかな肌触りが損なわれてしまうという問題がある。
また、特許文献3には、繊維径が大きく丈夫な繊維によって構成された不織布層(下層)に、2層(中間層および上層)のナノファイバー不織布層が形成された、多層構造を有するフィルターやセパレータに好適な繊維シートが開示されている。
しかし、特許文献3の多層構造体は、繊維径が極めて小さく破損し易いナノファイバー不織布からなる中間層を、繊維径がやや大きく比較的丈夫なナノファイバー不織布からなる上層によって保護するように構成されている。そのため、上層のナノファイバー不織布は、柔らかい風合いや肌触りの滑らかさが不十分なものであり、皮膚に貼付して使用する化粧用シートなどの用途には不向きである。
本発明は上記事情に鑑み、柔らかい風合いと滑らかな肌触りを有し、丈夫で層間が剥離し難く取扱い性に優れた積層シートと、かかる積層シートの製造方法を提供することを目的とする。
第1発明の積層シートは、ナノファイバー不織布からなり対象物に接触させる接触層と、繊維性多孔質からなる支持層と、該支持層と前記接触層の間に設けられ両層と連結するナノファイバー不織布からなる連結層とを備えてなり、前記連結層は熱可塑性樹脂によって形成されており、前記接触層および前記支持層は、熱不溶融性の材質または前記連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂を主要材質として形成されていることを特徴とする。
なお、本発明において「主要材質」とは、前記接触層を形成する材質のうち約90質量%以上を占める材質、および前記支持層を形成する材質のうち約90質量%以上を占める材質である。
また、第2発明の積層シートは、前記第1発明において、前記接触層は熱可塑性樹脂によって形成されており、該熱可塑性樹脂は、前記連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い軟化点を有するものであることを特徴とする。
さらに、第3発明の積層シートは、前記第1または第2発明において、前記連結層を構成するナノファイバー不織布の目付けは0.1〜1g/mであることを特徴とする。
また、第4発明の積層シートは、前記第1、第2または第3発明において、前記接触層を構成するナノファイバー不織布の平均繊維径は50〜280nmであり、該接触層を接触させる対象物は皮膚であることを特徴とする。
次に、第5発明の積層シートの製造方法は、前記第1発明の積層シートを製造する方法であって、前記支持層の少なくとも片面に、前記連結層と前記接触層とを順次積層した後、前記連結層を形成する熱可塑性樹脂を溶融させるが前記支持層および前記接触層を形成する主要材質を溶融させない温度で加熱して各層を連結させることを特徴とする。
ここで、「前記連結層を形成する熱可塑性樹脂を溶融させるが前記支持層および前記接触層を形成する主要材質を溶融させない温度で加熱する」とは、より詳しくは、次の(1)から(3)に例示するとおりである。
(1)前記接触層および前記支持層のいずれもが、熱不溶融性の材質を主要材質として形成されている場合は、前記連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度で加熱する。
(2)前記接触層または前記支持層のいずれか一方が、前記連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂を主要材質として形成され、他方が、熱不溶融性の材質を主要材質として形成されている場合は、前記連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度であって、かつ、前記接触層または前記支持層のいずれか一方を形成する主要材質の熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度で加熱する。
(3)前記接触層および前記支持層のいずれもが、前記連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂を主要材質として形成されている場合は、前記連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度であって、かつ、前記接触層を形成する主要材質の熱可塑性樹脂と前記支持層を形成する主要材質の熱可塑性樹脂のうち低い融点を有するもののその融点よりも低い温度で加熱する。
また、第6発明の積層シートの製造方法は、前記第2発明の積層シートを製造する方法であって、前記支持層の少なくとも片面に、前記連結層と前記接触層とを順次積層した後、前記連結層を形成する熱可塑性樹脂を溶融させるが前記支持層を形成する主要材質を溶融させない温度であって、かつ、前記接触層を形成する熱可塑性樹脂の軟化点よりも低い温度で加熱して各層を連結させることを特徴とする。
ここで、「前記連結層を形成する熱可塑性樹脂を溶融させるが前記支持層を形成する主要材質を溶融させない温度であって、かつ、前記接触層を形成する熱可塑性樹脂の軟化点よりも低い温度で加熱する」とは、より詳しくは、次の(1)および(2)に例示するとおりである。
(1)前記接触層が、前記連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い軟化点を有する熱可塑性樹脂を主要材質として形成され、前記支持層が、熱不溶融性の材質を主要材質として形成されている場合は、前記連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度であって、かつ、前記接触層を形成する主要材質の熱可塑性樹脂の軟化点よりも低い温度で加熱する。
(2)前記接触層が、前記連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い軟化点を有する熱可塑性樹脂によって形成され、前記支持層が、前記連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂を主要材質として形成されている場合は、前記連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度であって、かつ、前記接触層を形成する熱可塑性樹脂の軟化点よりも低い温度であって、さらに、前記支持層を形成する主要材質の熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度で加熱する。
前記第1発明の積層シートによれば、柔らかい風合いを有するが引張強度が低いナノファイバー不織布からなる前記接触層と、少し硬さがあるものの引張強度の高い繊維性多孔質からなる前記支持層を、前記連結層を介して連結してあるため、積層シート全体として柔軟性が高く丈夫であり、また、その接触層の表面は柔らかい風合いと滑らかな肌触りを有する積層シートとすることができる。そのため、例えば化粧用シートや創傷被覆シートとして用いる場合には、肌触りが滑らかに感じられるとともに密着性が高く、破損し難く取扱い性に優れたものとすることができる。
また、前記第1発明の積層シートによれば、その連結層が、繊維径が極めて小さく柔らかい風合いを有するナノファイバー不織布によって形成されているので、同じくナノファイバー不織布によって形成されている前記接触層の柔らかい風合いを損ねることがない。さらに、前記連結層を形成するナノファイバー不織布は、繊維間隙が狭いため、支持層を形成する繊維性多孔質表面の凹凸を覆い隠し、繊維性多孔質を構成する繊維が前記接触層の表面上まで突出することを防ぐことができる。そのため、前記接触層の表面を柔らかく滑らかな肌触りにすることができる。
さらに、前記第1発明の積層シートによれば、その連結層がナノファイバー不織布によって形成されているため、例えば、化粧用シートや創傷被覆シートとして化粧水や消毒液などを含浸させて皮膚に貼付して使用する場合には、前記接触層のみならず前記連結層にも強い毛管力が生ずることで化粧水や消毒液などを長時間保持することができる。したがって、化粧水や消毒液などの有効成分を、皮膚表面の必要箇所に対して十分に行き渡らせることができる。
また、前記連結層のナノファイバー不織布は、それを構成するナノファイバーの繊維径が極めて小さいため表面積が大きく、積層した場合に他層の不織布との接触面積を大きくすることができる。そのため前記連結層は、前記支持層および前記接触層と非常に強く連結している。したがって、前記接触層および前記支持層が、一般に強く熱溶着することが難しいとされる熱不溶融性の材質などで形成されている場合でも、熱可塑性樹脂で形成される前記連結層が溶融する温度で加熱することで、各層を強く連結させることができる。
次に、前記第2発明の積層シートは、その接触層が、前記連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い軟化点を有する熱可塑性樹脂によって形成されている。したがって、かかる積層シートの製造時には、各層を積層した後に、前記連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度であって、かつ、前記接触層を形成する熱可塑性樹脂の軟化点よりも低い温度で加熱することで、前記連結層のナノファイバー不織布を溶融させて、前記接触層のナノファイバー不織布を軟化させることなく、各層間を熱溶着することができる。そのため、かかる第2発明の積層シートによれば、繊維径が極めて小さいため熱変形し易い前記接触層のナノファイバー不織布を熱変形させずに、その表面の柔らかい風合いや滑らかな肌触りを損なうことなく、各層を強く連結させることができる。
次に、前記第3発明の積層シートによれば、その連結層を構成するナノファイバー不織布の目付けを0.1〜1g/mにすることによって、前記支持層と前記接触層を強く連結できるとともに、積層シート全体の柔軟性を高めることができる。
次に、前記第4発明の積層シートによれば、その接触層を構成するナノファイバー不織布の平均繊維径を50〜280nmにすることにより、接触層の表面が特に柔らかい風合いと滑らかな肌触りを有する。したがって、例えばフェイスマスクシートや目元用シートとして、化粧水などを含浸させ皮膚に貼付して使用する際には、皮膚への密着性が良好で、使用中に皮膚から脱落するといった不都合が生じ難く、さらに、皮膚に対する刺激が少なく肌荒れなどを引き起こし難い積層シートとすることができる。したがって、かかる積層シートは、皮膚に接触させて使用する化粧用シートや創傷被覆シートなどとして好適に用いることができる。
次に、前記第5発明の積層シートの製造方法によれば、前記第1発明の積層シートを製造する際に、前記連結層を形成する熱可塑性樹脂を溶融させるが前記支持層および前記接触層を形成する主要材質を溶融させない温度で加熱するので、前記連結層のみを溶融させて接着材として機能させ、各層を連結させることができる。
ここで、前記連結層は、繊維径が極めて小さいナノファイバー不織布によって形成されているので表面積が大きく、積層した場合に他層の不織布との接触面積を大きくすることができる。したがって、前記連結層を前記支持層および前記接触層と非常に強く連結させることができる。
次に、前記第6発明の積層シートの製造方法によれば、前記第2発明の積層シートを製造する際に、前記連結層を形成する熱可塑性樹脂を溶融させるが前記支持層を形成する主要材質を溶融させない温度であって、かつ、前記接触層を形成する熱可塑性樹脂の軟化点よりも低い温度で加熱するので、前記連結層のみを溶融させて接着材として機能させ、各層間を連結させることができる。
また、前記接触層のナノファイバー不織布は、それを構成するナノファイバーの繊維径が極めて小さいために熱変形し易く、熱変形してしまった場合には、柔らかい風合いや滑らかな肌触りが損なわれる恐れがある。しかし、前記第6発明によれば、各層間の連結を、前記接触層のナノファイバー不織布を形成する熱可塑性樹脂の軟化点よりも低い温度において行うので、かかる接触層のナノファイバー不織布の熱変形を確実に防ぐことができ、その表面の柔らかい風合いや滑らかな肌触りを良好な状態のまま維持することができる。
本発明の積層シートは、フェイスマスクシートや目元用シートなどの化粧用シート、傷口を覆うために用いられる創傷被覆シートなど、皮膚などの対象物に接触させて使用される積層シートであって、表面に配設された接触層のナノファイバー不織布に由来する柔らかい風合いと滑らかな肌触りを有し、丈夫で層間が剥離し難く取扱い性に優れたものである。
なお、本発明の積層シートを使用する際に接触させる対象物としては、人や動物の皮膚が好適であるが、これらに限られるものではなく、さらに皮膚の場合、その部位は限定されず、顔、手足など様々な部位に対して使用することができる。
本発明の積層シートの接触層と連結層に用いられるナノファイバー不織布は、ナノファイバーを絡合または相互接着などさせたものである。このナノファイバーは、例えば、繊維径が1〜500nm程度の極めて細い繊維である。このようなナノファイバーによって形成されたナノファイバー不織布は、その表面が柔らかい風合いを有するとともに、ナノレベルの極小空隙を多数有するので強い毛細管力を生じ、水などの液体を長時間保持できるといった特有の性質を有する。また、ナノファイバー不織布は表面積が極めて大きいため、積層させた場合に他層の不織布との接触面積を大きくできるので、一般的には熱溶着の相性が良くない樹脂同士であっても強く溶着できるという性質を有する。
次に、本発明の積層シートを構成する、支持層、連結層および接触層について順次説明する。
(A)支持層
本発明の積層シートの支持層は、繊維性多孔質からなり、「熱不溶融性の材質」または「連結層のナノファイバー不織布を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂」のうちいずれか一方、あるいは両方を合わせたものを主要材質として形成されている。なお、主要材質とは、材質全体の約90質量%以上を占める材質である。
かかる支持層は、「熱不溶融性の材質」または「連結層のナノファイバー不織布を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂」のうちいずれか一方、あるいは両方を合わせたものだけから形成されていることが最も好ましいが、このような要件を満たさない材質が含まれていても、その割合が約10質量%よりも少なければ、すなわち、前記要件を満たす材質の割合が約90質量%以上であれば、支持層として十分に機能し、本発明特有の効果が損なわれることはない。
ここで繊維性多孔質としては、あらかじめ紡糸した長繊維又は短繊維を絡合させて形成するニードルパンチ不織布やスパンレース不織布、長繊維を紡糸しつつ相互接着させて形成するスパンボンド不織布やメルトブロー不織布、短繊維を漉いて形成する湿式不織布など、任意の方法で製造した不織布や、織物やガーゼなどの織布、さらに紙などを用いることができるが、本発明の積層シートに適度な柔軟性を付与するためには、ニードルパンチ不織布またはスパンレース不織布を用いることが好ましい。
本発明において支持層は、本発明の積層シートに強度を付与して破損し難くすることを主目的として設けられるが、そのためには、支持層の繊維性多孔質の平均繊維径は、連結層や接触層のナノファイバー不織布の平均繊維径よりも大きく、1〜50μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
ここで、本発明において平均繊維径とは、繊維の断面形状が円形の場合はその直径の平均値であり、繊維の断面形状が円形以外の場合は、断面形状を仮想的に同面積の円形に変換した場合に得られる直径の平均値である。
また、支持層の繊維性多孔質は、その目付けが10〜100g/mであることが好ましく、より好ましくは40〜80g/mである。目付が10g/m未満の場合は、本発明の積層シートの破断強度が低下する傾向があり、他方、100g/mを超えると、積層シート全体の柔軟性が低下する傾向がある。
本発明において支持層の繊維性多孔質は、熱不溶融性の材質を主要材質として形成することができるが、ここで熱不溶融性の材質とは、加熱しても溶融せず、過度の高温で加熱した場合には炭素化が進む材質である。
このような熱不溶融性の材質としては、例えばレーヨン、綿、麻、芳香族ポリアミド樹脂(アラミド樹脂)、フェノール樹脂、キチン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、シルクなどを挙げることができ、これらを単独でまたは混合して用いることができる。
また、支持層の繊維性多孔質は、熱可塑性樹脂を主要材質として形成することもでき、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系樹脂、ポリカーボネート(PC)などのポリカーボネート樹脂、ポリスチレン(PS)などのポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)などの塩化ビニル樹脂、ナイロン6、ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルサルホン(PES)などを挙げることができ、これらを単独でまたは混合して用いることができる。
なお、支持層の主要材質を熱可塑性樹脂によって形成する場合には、連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂を選択する必要がある。
(B)連結層
本発明の積層シートの連結層は、ナノファイバー不織布からなり、熱可塑性樹脂によって形成されている。
ここで、ナノファイバー不織布としては、エレクトロスピニング法によって製造されるナノファイバー不織布や、海島構造を有するポリマーアロイ繊維で構成される不織布から、海部を溶解除去して得られるナノファイバー不織布などを用いることができるが、エレクトロスピニング法によるナノファイバー不織布であれば、連結層と接触層とを同一製造ラインによって積層形成できるため、効率的な製造が可能であり好ましい。
本発明において連結層のナノファイバー不織布は、その平均繊維径が50〜300nmであることが好ましく、より好ましくは80〜200nmである。平均繊維径が50nm未満であると繊維径が過度に小さく、連結層として必要な目付け分のナノファイバー不織布を形成するために長時間を要し、製造効率が低下する傾向がある。他方、平均繊維径が300nmを超えると、この連結層の表面上に積層される接触層のナノファイバー不織布の、風合いの柔らかさが低下する傾向があり、さらに、本発明の積層シート全体の柔軟性が低下する傾向がある。
また、連結層のナノファイバー不織布は、その目付けが0.1〜1g/mであることが好ましく、より好ましくは0.2〜0.8g/mである。目付けが0.1g/m未満であると、連結層と支持層の間の剥離強度が低下し剥がれ易くなる傾向があり、他方、目付が1g/mを超えると、本発明の積層シート全体の柔軟性が低下する傾向がある。
また、連結層のナノファイバー不織布は、熱可塑性樹脂によって形成されており、このナノファイバー不織布を加熱溶融させることにより接着材として機能させ、連結層と支持層、および連結層と接触層を各々連結させて一体化し、本発明の積層シートが形成される。
このような連結層のナノファイバー不織布を形成する熱可塑性樹脂としては、例えば、低融点ナイロン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンオキサイド(PEO)などを挙げることができ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
なお、本発明の積層シートにおいて、支持層あるいは接触層を熱可塑性樹脂によって形成する場合には、連結層を形成する熱可塑性樹脂として、その融点が、支持層あるいは接触層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂を選択する必要がある。
(C)接触層
本発明の積層シートの接触層は、ナノファイバー不織布からなり、「熱不溶融性の材質」または「連結層のナノファイバー不織布を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂」のうちいずれか一方、あるいは両方を合わせたものを主要材質として形成されている。なお、主要材質とは、材質全体の約90質量%以上を占める材質である。
かかる接触層は、「熱不溶融性の材質」または「連結層のナノファイバー不織布を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂」のうちいずれか一方、あるいは両方を合わせたものだけから形成されていることが最も好ましいが、このような要件を満たさない材質が含まれていても、その割合が約10質量%よりも少なければ、すなわち、前記要件を満たす材質の割合が約90質量%以上であれば、接触層として十分に機能し、本発明特有の効果が損なわれることはない。
ここで、ナノファイバー不織布としては、前述の連結層のナノファイバー不織布と同様に、エレクトロスピニング法によって製造されるナノファイバー不織布や、海島構造を有するポリマーアロイ繊維で構成される不織布から、海部を溶解除去して得られるナノファイバー不織布などを用いることができるが、エレクトロスピニング法によるナノファイバー不織布であれば、連結層と接触層とを同一製造ラインにおいて積層形成できるため、効率的な製造が可能であり好ましい。
本発明において接触層のナノファイバー不織布は、その平均繊維径が50〜280nmであることが好ましく、より好ましくは100〜200nmである。平均繊維径が50nm未満であると、繊維径が過度に小さく、接触層として必要な目付け分のナノファイバー不織布を形成するために長時間を要し、製造効率が低下する傾向がある。他方、平均繊維径が280nmを超えると、接触層表面の風合いの柔らかさや肌触りの滑らかさが低下する傾向がある。
また、接触層のナノファイバー不織布は、その目付が0.1〜2g/mであることが好ましく、より好ましくは0.3〜1g/mである。目付けが0.1g/mで未満であると、接触層が薄くなって肌触りの滑らかさや皮膚への密着性が低下する傾向がある。他方、目付が2g/mを超えると、本発明の積層シート全体の柔軟性が低下する傾向がある。
本発明において接触層のナノファイバー不織布は、熱不溶融性の材質を主要材質として形成することができ、例えばレーヨン、芳香族ポリアミド樹脂(アラミド樹脂)、フェノール樹脂、キチン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、シルクなどを挙げることができ、これらを単独でまたは混合して用いることができる。
また、接触層のナノファイバー不織布は、熱可塑性樹脂を主要材質として形成することもでき、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂、ポリカーボネート(PC)などのポリカーボネート樹脂、ポリスチレン(PS)などのポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)などの塩化ビニル樹脂、ナイロン6、ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエチレンオキサイド(PEO)などを挙げることができ、これらを単独でまたは混合して用いることができる。
なお、接触層を、熱可塑性樹脂を主要材質として形成する場合は、連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂を選択する必要がある。さらには、連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い軟化点を有する熱可塑性樹脂を選択することが好ましい。
ここで、本発明において熱可塑性樹脂の「軟化点」とは、「荷重たわみ温度」(JIS K7191 B法)を意味し、加熱によって熱可塑性樹脂が軟化して変形し始める温度である。
本発明において接触層を、連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い軟化点を有する熱可塑性樹脂によって形成すると、本発明の積層シートの各層を加熱処理によって連結する際に、連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度であって、かつ、接触層を形成する熱可塑性樹脂の軟化点よりも低い温度で加熱することにより、連結層のナノファイバー不織布を溶融させて接着材として機能させつつも、接触層のナノファイバー不織布の熱変形を確実に防ぐことができる。したがって、積層シートの各層間を強く連結できるとともに、接触層の表面の柔らかい風合いと滑らかな肌触りを確実に維持することができる。
本発明の積層シートは、前記の(A)支持層、(B)連結層、(C)接触層の少なくとも3層を備えてなり、これらの各層を、加熱溶着により連結して一体化することによって形成されたものである。
次に、本発明の積層シートの製造方法を説明する。
本発明の積層シートは、繊維性多孔質からなる支持層の表面に、ナノファイバー不織布からなる連結層と接触層とを順次積層した後、連結層を形成する熱可塑性樹脂を溶融させるが支持層および接触層を形成する主要材質を溶融させない温度で加熱して各層を連結させることにより製造することができる。
ここで繊維性多孔質は、不織布、織布あるいは紙によって構成されるが、不織布である場合には、あらかじめ紡糸した長繊維または短繊維をニードルパンチ法やスパンレース法によって絡合させて形成する方法、または、スパンボンド法やメルトブロー法によって長繊維を紡糸しつつ相互接着させて形成する方法、さらに、湿式法によって短繊維を漉いて形成する方法などによって製造できる。とりわけ、本発明の積層シートに適度な柔軟性を付与するためには、ニードルパンチ法またはスパンレース法によって製造することが好ましい。
次に、前記繊維性多孔質の表面に、ナノファイバー不織布からなる連結層と接触層とを順次積層するが、ナノファイバー不織布は、エレクトロスピニング法によって形成することができ、または、海島構造を有するポリマーアロイ繊維で構成される不織布を形成した後、その海部を溶解除去する方法によって形成することもできる。しかし、エレクトロスピニング法によれば、連結層と接触層とを同一製造ラインにおいて積層形成できるため、製造効率が高く低コスト化に資するため好ましい。
また、エレクトロスピニング法によってナノファイバー不織布を形成する装置としては、例えば、高電圧を印加したノズルからポリマー溶液を極細の糸状に放出してナノファイバーを紡糸する機構を有するものや、多数の突起が形成された回転電極にポリマー溶液を付着させ、高電圧を印加することによって回転電極の突起から極細の糸状に放出してナノファイバーを紡糸する機構を有するものなどが知られており、本発明においては、いずれのタイプの装置であっても使用することができる。しかし、回転電極を使用するタイプの装置であれば、ナノファイバー不織布を大量に製造できるため、製造効率が高く低コスト化に資するため好ましい。
したがって、以下では回転電極を使用するタイプの装置によってナノファイバー不織布を形成する方法を説明する。
まず、ナノファイバーの原材料となる樹脂などを、所定の溶媒に溶解してポリマー溶液を調製し、このポリマー溶液を多数の突起が形成された回転電極を備えたタブの中に入れる。そして、この回転電極に所定の高電圧を印加することによって、所定の集積距離に配設した繊維性多孔質からなる支持層の表面に、ナノファイバーを紡糸しつつ積層させる。その際、印加電圧、溶液濃度または集積距離などの条件を適宜変更することによって、得られるナノファイバーの繊維径や目付けを調整することができる。
ここで、ナノファイバーの原材料を溶解させる溶媒は、原材料に合わせて適宜選択すればよく、例えば、ナノファイバーの原材料として低融点ナイロンを用いる場合には、酢酸溶液とギ酸溶液を所定の混合割合で混合した溶媒に、低融点ナイロンの濃度が5〜15質量%程度になるように溶解してポリマー溶液を調製する。
そして、印加電圧を60〜80kV程度とし、集積距離を10〜20cm程度として紡糸することにより、風合いが柔らかい低融点ナイロンのナノファイバー不織布からなる連結層を形成することができる。
また、同様の装置を用い、原材料と溶媒を変更して紡糸条件を適宜調整することによって、前記連結層の表面に、ナノファイバー不織布からなる接触層を形成することができる。
次に、前述の方法によって得られた、支持層、連結層および接触層を積層させたシート(以下、「連結前積層シート」ともいう。)を、定温連続式接着装置などの加熱装置を用いて加熱し、各層を連結させて一体化する。
かかる加熱処理においては、「連結層を形成する熱可塑性樹脂を溶融させるが支持層および接触層を形成する主要材質を溶融させない温度で加熱する」必要がある。具体的には、次の(1)から(3)に例示するように加熱すればよい。
(1)接触層および支持層のいずれもが、熱不溶融性の材質を主要材質として形成されている場合は、連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度で加熱すればよい。
(2)接触層または支持層のいずれか一方が、連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂を主要材質として形成され、他方が、熱不溶融性の材質を主要材質として形成されている場合は、連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度であって、かつ、接触層または支持層のいずれか一方を形成する主要材質の熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度で加熱すればよい。
(3)接触層および支持層のいずれもが、連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂を主要材質として形成されている場合は、連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度であって、かつ、接触層を形成する主要材質の熱可塑性樹脂と支持層を形成する主要材質の熱可塑性樹脂のうち低い融点を有するもののその融点よりも低い温度で加熱すればよい。
また、かかる加熱処理においては、「連結層を形成する熱可塑性樹脂を溶融させるが支持層を形成する主要材質を溶融させない温度であって、かつ、接触層を形成する熱可塑性樹脂の軟化点よりも低い温度で加熱する」ことが好ましい。具体的には、次の(1)および(2)に例示するように加熱すればよい。
(1)接触層が、連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い軟化点を有する熱可塑性樹脂によって形成され、支持層が、熱不溶融性の材質を主要材質として形成されている場合は、連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度であって、かつ、接触層を形成する熱可塑性樹脂の軟化点よりも低い温度で加熱すればよい。
(2)接触層が、連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い軟化点を有する熱可塑性樹脂によって形成され、支持層が、連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂を主要材質として形成されている場合は、連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度であって、かつ、接触層を形成する熱可塑性樹脂の軟化点よりも低い温度であって、さらに、支持層を形成する主要材質の熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度で加熱すればよい。
このように連結前積層シートに対して加熱処理を行う時間は、連結層を構成するナノファイバー不織布を完全に溶融させてしまわない程度の時間が好ましく、通常は10〜30秒程度である。
また、連結前積層シートに対しては、加熱処理中または加熱処理の直後に、カレンダーロールなどを用いて押圧することが好ましい。押圧することにより、各層の連結状態をより強く均一にすることができる。
この押圧処理の際に積層シートに加える押圧力の強さは、積層シートの各層を形成する材質や、前記加熱処理の条件などに合わせて適宜調整すればよいが、通常は0.1〜1MPa程度である。
以上の方法によって製造された本発明の積層シートは、以下のような特徴を有する。
本発明の積層シートは、柔らかい風合いを有するが引張強度が低いナノファイバー不織布からなる接触層と、少し硬さがあるものの引張強度の高い繊維性多孔質からなる支持層を、連結層を介して連結してあるため、積層シート全体として柔軟性が高く丈夫なものであり、その接着層の表面は柔らかい風合いと滑らかな肌触りを有する。そのため、例えば化粧用シートや創傷被覆シートとして用いる場合には、肌触りが滑らかに感じられるとともに密着性が高く、破損し難く取扱い性が優れたものとなる。
また、本発明の積層シートは、連結層が、繊維径が極めて小さく柔らかい風合いを有するナノファイバー不織布によって形成されているので、同じくナノファイバー不織布によって形成されている接触層の柔らかい風合いを損ねることがない。さらに、連結層を形成するナノファイバー不織布は、繊維間隙が狭いため、支持層を形成する繊維性多孔質表面の凹凸を覆い隠し、繊維性多孔質を構成する繊維が前記接触層の表面上まで突出することを防ぐことができる。そのため、接触層の表面は、柔らかく滑らかな肌触りが感じられるものである。
さらに、本発明の積層シートは、連結層がナノファイバー不織布によって形成されているため、例えば、化粧用シートや創傷被覆シートとして化粧水や消毒液などを含浸させて皮膚に貼付して使用する場合には、接触層のみならず連結層にも強い毛管力が生ずることで化粧水や消毒液などを長時間保持することができる。したがって、化粧水や消毒液などの有効成分を、皮膚表面の必要箇所に対して十分に行き渡らせることができる。
また、連結層のナノファイバー不織布は、それを構成するナノファイバーの繊維径が極めて小さいため表面積が大きく、積層した場合に他層の不織布との接触面積を大きくすることができる。したがって、連結層は、支持層および接触層と非常に強く連結する。そのため、接触層および支持層が、一般に強く熱溶着することが難しいとされる熱不溶融性の材質などによって形成されている場合でも、熱可塑性樹脂で形成される連結層が溶融する温度で加熱することで、各層間を強く連結させることができる。
さらに、本発明の積層シートにおいて、接触層が、連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い軟化点を有する熱可塑性樹脂によって形成されている場合には、かかる積層シートの製造時には、各層を積層した後に、連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度であって、かつ、接触層を形成する熱可塑性樹脂の軟化点よりも低い温度で加熱することで、連結層のナノファイバー不織布を溶融させて、接触層のナノファイバー不織布を軟化させることなく、各層間を熱溶着することができる。そのため、繊維径が極めて小さいため熱変形し易い接触層のナノファイバー不織布を熱変形させずに、その表面の柔らかい風合いや滑らかな肌触りを損なうことなく、各層間を強く連結させることができる。
また、本発明の積層シートにおいて、連結層を構成するナノファイバー不織布の目付けを0.1〜1g/mにすることによって、支持層と接触層を強く連結できるとともに、積層シート全体の柔軟性を高めることができる。
さらに、本発明の積層シートにおいて、接触層を構成するナノファイバー不織布の平均繊維径を50〜280nmにすることにより、接着層の表面が特に柔らかい風合いと滑らかな肌触りを有するものとなる。したがって、例えばフェイスマスクシートや目元用シートとして、化粧水などを含浸させ皮膚に貼付して使用する際には、皮膚への密着性が良好で、使用中に皮膚から脱落するといった不都合が生じ難く、さらに、皮膚に対する刺激が少なく肌荒れなどを引き起こし難い積層シートとすることができる。したがって、かかる積層シートは、皮膚に接触させて使用する化粧用シートや創傷被覆シートなどとして好適に用いることができる。
次に、本発明の積層シートの製造方法は、以下のような特徴を有する。
本発明の積層シートの製造方法によれば、本発明の積層シートを製造する際に、連結層を形成する熱可塑性樹脂を溶融させるが支持層および接触層を形成する主要材質を溶融させない温度で加熱するので、連結層のみを溶融させて接着材として機能させ、各層間を連結させることができる。
ここで、連結層は、繊維径が極めて小さいナノファイバー不織布によって形成されているので表面積が大きく、積層した場合に他層の不織布との接触面積を大きくすることができるので、連結層を支持層および接触層と非常に強く連結させることができる。
また、本発明の積層シートの製造方法において、本発明の積層シートを製造する際に、連結層を形成する熱可塑性樹脂を溶解させる温度であって、かつ、接触層を形成する熱可塑性樹脂の軟化点よりも低い温度で加熱するようにすれば、連結層のみを溶融させて接着材として機能させ、各層を連結させることができるとともに、繊維径が極めて小さいために熱変形し易い接触層のナノファイバー不織布の熱変形を、確実に防ぐことができる。したがって、接触層表面の柔らかい風合いや滑らかな肌触りを良好な状態のまま維持することができる。
<実施例>
本発明の積層シートを製造し、その性能を評価した。
(1)積層シートの製造
(1−1)基材層の形成
レーヨン繊維とPET繊維とを質量比65:35で混合し、スパンレース法によって絡合させて支持層の繊維性多孔質を形成した。得られた繊維性多孔質の平均繊維径は13μmであり、目付けは50g/mであった。
(1−2)連結層および接触層の連続形成
連結層の原材料である「低融点ナイロン」(融点138℃)を、濃度99質量%の酢酸溶液と濃度99質量%のギ酸溶液とを質量比2:1で混合して得た溶媒に、低融点ナイロンの濃度が10質量%となるように溶解させて、低融点ナイロン溶液を調製した。
次に、回転電極を備えたエレクトロスピニング不織布製造装置(エルマルコ社製)の、回転電極が設置された溶液槽の中に前記の低融点ナイロン溶液を注入した。
その後、前記支持層の繊維性多孔質を、前記不織布製造装置の回転電極から18cm離れたナノファイバー集積位置に設置した後、回転電極に80kVの電圧を印加し、溶液槽内の低融点ナイロン溶液を多数の糸状に放出して、前記支持層の繊維性多孔質の表面上に、ナノファイバーを紡糸しつつ集積することにより、連結層のナノファイバー不織布を形成した。
次に、接触層の原材料である「ナイロン6」(融点220℃、軟化点190℃)を、濃度99質量%の酢酸溶液と濃度99質量%のギ酸溶液とを質量比2:1で混合して得た溶媒に、ナイロン6の濃度が10質量%となるように溶解させてナイロン6溶液を調製し、そのナイロン6溶液を、前記のエレクトロスピニング不織布製造装の回転電極が設置された溶液槽の中に注入した。
その後、前記連結層のナノファイバー不織布を積層した繊維性多孔質を、前記不織布製造装置の回転電極から18cm離れたナノファイバー集積位置に設置した後、回転電極に80kVの電圧を印加し、溶液槽内のナイロン6溶液を多数の糸状に放出して、前記連結層のナノファイバー不織布の表面上に、ナノファイバーを紡糸しつつ集積することにより、接触層のナノファイバー不織布を形成した。
得られた連結層のナノファイバー不織布の平均繊維径は100nmであり、目付けは0.3g/mであった。また、接触層のナノファイバー不織布の平均繊維径は150nmであり、目付けは0.5g/mであった。
(1−3)各層の連結
次に、前記の方法によって作製された3層からなる連結前積層シートを、定温連続式接着装置(アサヒ繊維機械株式会社製)を用いて140℃で30秒間加熱し、さらに平滑な表面のカレンダーロールを用いて、0.3MPaの押圧力で押圧することにより、各層を連結させて積層シートを製造した。
(2)積層シートの評価
前記(1)の方法によって製造された積層シートは、柔軟性が高く丈夫であり、その接触層の表面は柔らかい風合いと滑らかな肌触りを有していた。また、支持層と連結層の間の剥離強度は10gfであり、積層シートの通常の使用態様では剥離することがない程の強さで連結されていた。
さらに、この積層シートに化粧水を含浸させて、手の甲の皮膚に貼付したところ、密着性が良好であり、そのままの状態で約30分間経過しても、十分な湿潤状態を維持しており、皮膚から脱落することもなかった。
<試験例>
前記「実施例」の積層シートにおいて、連結層の目付けのみを下記の表1「連結層目付け」欄に示すとおりに変更し、その他は同じ原材料および方法によって、積層シートのサンプルa〜iを調製した。ここで、連結層の目付けの変更は、連結層のナノファイバー不織布の形成時間を調整することにより行った。なお、サンプルeは前記実施例と同等品である。
試験は、「剥離強度」、「積層シートの剛軟度」、「積層シートの柔軟性」の各項目について行い、その結果は表1に示すとおりである。
以下に各試験の方法と評価基準を説明する。
(1)剥離強度の試験
各サンプルの積層シートを親指と人差し指の間に挟み、指を左右方向に揉むように動かすことによって、支持層と連結層の層間の剥離のし難さを調べた。
評価基準は、支持層と連結層が極めて剥離し難かった場合を「A」とし、剥離し難かった場合を「B」とし、やや容易に剥離した場合を「C」とし、極めて容易に剥離した場合を「D」とした。
(2)積層シートの剛軟度の測定
各サンプルの積層シートから、20×150mmの試験片を切り出し、45度カンチレバー試験機を用いて各サンプルの剛軟度を測定した。
(3)積層シートの柔軟性の試験
各サンプルの積層シートから、20×40mmの試験片を切り出して水を含浸させ、手の甲の皮膚に貼付することにより、その密着性(皮膚への追従し易さ)を調べた。
評価基準は、サンプルが極めて柔軟で皮膚への密着性が非常に高い場合を「A」とし、柔軟で密着性が高い場合を「B」とし、密着性がやや低い場合を「C」とした。
表1より、連結層のナノファイバー不織布の目付けが0.1g/m以上の場合に、支持層と連結層の間の剥離強度が高く、さらに目付けが0.2g/m以上であれば、剥離強度が極めて高くなることが理解できる。
また、連結層のナノファイバー不織布の目付けが1.0g/m以下の場合に、積層シートは柔軟になり、その際の積層シートの剛軟度は122mm以下になることが理解できる。さらに目付けが0.8g/m以下であれば、積層シートは極めて柔軟になり、その際の積層シートの剛軟度は99mm以下になることが理解できる。
本発明にかかる積層シートおよび積層シートの製造方法は、フェイスマスクシートや目元用シートなどの化粧用シート、傷口を覆うために用いられる創傷被覆シートなどに利用できる積層シートの製造分野において利用されるものである。

Claims (6)

  1. ナノファイバー不織布からなり対象物に接触させる接触層と、繊維性多孔質からなる支持層と、該支持層と前記接触層の間に設けられ両層と連結するナノファイバー不織布からなる連結層とを備えてなり、
    前記連結層は熱可塑性樹脂によって形成されており、
    前記接触層および前記支持層は、熱不溶融性の材質または前記連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂を主要材質として形成されていることを特徴とする積層シート。
  2. 前記接触層は熱可塑性樹脂によって形成されており、該熱可塑性樹脂は、前記連結層を形成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い軟化点を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の積層シート。
  3. 前記連結層を構成するナノファイバー不織布の目付けは0.1〜1g/mであることを特徴とする請求項1または2に記載の積層シート。
  4. 前記接触層を構成するナノファイバー不織布の平均繊維径は50〜280nmであり、該接触層を接触させる対象物は皮膚であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の積層シート。
  5. 請求項1に記載の積層シートの製造方法であって、
    前記支持層の少なくとも片面に、前記連結層と前記接触層とを順次積層した後、
    前記連結層を形成する熱可塑性樹脂を溶融させるが前記支持層および前記接触層を形成する主要材質を溶融させない温度で加熱して各層を連結させることを特徴とする積層シートの製造方法。
  6. 請求項2に記載の積層シートの製造方法であって、
    前記支持層の少なくとも片面に、前記連結層と前記接触層とを順次積層した後、
    前記連結層を形成する熱可塑性樹脂を溶融させるが前記支持層を形成する主要材質を溶融させない温度であって、かつ、前記接触層を形成する熱可塑性樹脂の軟化点よりも低い温度で加熱して各層を連結させることを特徴とする積層シートの製造方法。
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