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JP6280531B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、固体高分子電解質膜の一方の面にカソード電極が、他方の面にアノード電極が、それぞれ設けられる電解質膜・電極構造体を有し、前記固体高分子電解質膜の外周を周回して樹脂枠部材が設けられる長方形状の樹脂枠付きMEAと、セパレータとが積層される燃料電池に関する。
一般的に、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜を採用している。燃料電池は、固体高分子電解質膜の一方の面にアノード電極が、前記固体高分子電解質膜の他方の面にカソード電極が、それぞれ配設された電解質膜・電極構造体(MEA)を備えている。アノード電極及びカソード電極は、それぞれ触媒層(電極触媒層)とガス拡散層(多孔質カーボン)とを有している。
電解質膜・電極構造体は、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持されることにより、発電セル(単位燃料電池)を構成している。この発電セルは、所定の数だけ積層されることにより、例えば、車載用燃料電池スタックとして使用されている。
燃料電池では、アノード電極やカソード電極を作製する際に、触媒インクの塗工の向きや、固体高分子電解質膜や多孔質カーボンの製造時の長さ方向(MD)や製造時の幅方向(TD)における異方性や電極の大きさ、形状等の要因から、クラックが発生し易い。
そこで、触媒層におけるクラックの発生を抑制するために、例えば、特許文献1に開示されている膜接電極接合体の製造方法が提案されている。この製造方法では、触媒インクに用いられる混合溶液は、電解質膜に吸収される量が比較的低くなるように、水比率が調整されている。このため、電解質膜が、溶媒の吸収による膨張と乾燥による収縮とをする際に、不均一な膨張及び収縮を抑制し、前記電解質膜上に形成される触媒層のクラックの発生を抑制することができる、としている。
特開2013−089407号公報
しかしながら、実際上、どのような製造方式によっても、少なからず触媒層にはクラックが存在してしまう。このため、触媒層に発生したクラックを良好に管理することが望まれている。
本発明は、この種の要請に対応してなされたものであり、電極触媒層のクラックを良好に管理することができ、耐久性の向上を容易に図ることが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池は、固体高分子電解質膜の一方の面にカソード電極が、他方の面にアノード電極が、それぞれ設けられる長方形状の電解質膜・電極構造体と、セパレータとが積層されている。
アノード電極の電極面に沿って燃料ガスを流通させる燃料ガス流路と、カソード電極の電極面に沿って酸化剤ガスを流通させる酸化剤ガス流路とは、それぞれ長手方向のみに延在すると共に互いに対向流をなして形成されている。長方形状の長手方向一端側には、燃料ガスを電解質膜・電極構造体とセパレータとの積層方向に排出する燃料ガス出口連通孔と、酸化剤ガスを前記積層方向に供給する酸化剤ガス入口連通孔とが形成されている。長方形状の長手方向他端側には、燃料ガスを積層方向に供給する燃料ガス入口連通孔と、酸化剤ガスを前記積層方向に排出する酸化剤ガス出口連通孔とが形成されている。
そして、電解質膜・電極構造体は、前記固体高分子電解質膜の外周を周回して樹脂枠部材が設けられた樹脂枠付きMEAを構成している。前記電解質膜・電極構造体は、前記樹脂枠部材に配置される長手方向一端側の角部の形状と長手方向他端側の角部の形状とが異なると共に、前記樹脂枠部材に設けられた開口の形状は、前記電解質膜・電極構造体の前記長手方向一端側の角部の形状と前記長手方向他端側の角部の形状と同じである。カソード電極又はアノード電極の少なくとも一方は、前記長手方向一端側の電極触媒層のクラック量であるクラックの長さ又は幅が、前記長手方向一端側を除く前記電極触媒層のクラック量であるクラックの長さ又は幅よりも少なく設定されている。
さらに、この燃料電池では、長手方向一端側は、電極触媒層の長手方向の全長Lに対して一端から0.02×L〜0.1×Lの範囲内である。
さらにまた、この燃料電池では、第1セパレータ、第1樹脂枠付きMEA、第2セパレータ、第2樹脂枠付きMEA及び第3セパレータが積層される発電セルを備えることが好ましい。その際、互いに隣接する発電セル間に冷却媒体流路が形成されるとともに、電極触媒層は、前記冷却媒体流路に最も近接するアノード電極に固体高分子電解質膜を挟んで対向するカソード電極の電極触媒層であることが好ましい。
本発明によれば、燃料ガス出口連通孔及び酸化剤ガス入口連通孔側の電極触媒層のクラック量が、燃料ガス入口連通孔及び酸化剤ガス出口連通孔側の電極触媒層のクラック量よりも少なく設定されている。このため、燃料ガス出口連通孔及び酸化剤ガス入口連通孔側の電極触媒層のクラック品質の管理が、厳しい基準に基づいて行われている。従って、発電において最も条件が厳しい領域の電極触媒層の損傷を抑制することができ、前記電極触媒層のクラックを良好に管理することが可能になるとともに、電解質膜・電極構造体の耐久性の向上を容易に図ることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池を構成する発電セルの要部分解斜視説明図である。 前記発電セルの、図1中、II−II線断面説明図である。 前記発電セルを構成する第1金属セパレータの一方の面の説明図である。 前記発電セルを構成する第2金属セパレータの正面説明図である。 前記発電セルを構成する第1樹脂枠付きMEAの分解斜視説明図である。 前記第1樹脂枠付きMEAの一方の面からの説明図である。 前記第1樹脂枠付きMEAの他方の面からの説明図である。 前記発電セルを構成する第2樹脂枠付きMEAの一方の面からの説明図である。 前記第2樹脂枠付きMEAの他方の面からの説明図である。
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係る燃料電池10は、発電セル12を備え、複数の前記発電セル12が水平方向(矢印A方向)又は鉛直方向(矢印C方向)に沿って積層される。燃料電池10は、例えば、図示しないが燃料電池電気自動車に搭載される車載用燃料電池スタックとして使用される。
発電セル12は、第1金属セパレータ14、第1樹脂枠付きMEA(樹脂枠付き電解質膜・電極構造体)16a、第2金属セパレータ18、第2樹脂枠付きMEA(樹脂枠付き電解質膜・電極構造体)16b及び第3金属セパレータ20を設ける。
第1金属セパレータ14、第2金属セパレータ18及び第3金属セパレータ20は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板等により構成される。第1金属セパレータ14、第2金属セパレータ18及び第3金属セパレータ20は、平面が矩形状を有するとともに、金属製薄板を波形状にプレス加工することにより、断面凹凸形状に成形される。なお、第1金属セパレータ14、第2金属セパレータ18及び第3金属セパレータ20に代えて、カーボンセパレータを使用してもよい。
図1に示すように、発電セル12の長辺方向(矢印B方向)の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス入口連通孔22a及び燃料ガス出口連通孔24bが設けられる。酸化剤ガス入口連通孔22aは、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給する。燃料ガス出口連通孔24bは、燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出する。
発電セル12の長辺方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給する燃料ガス入口連通孔24a及び酸化剤ガスを排出する酸化剤ガス出口連通孔22bが設けられる。
発電セル12の短辺方向(矢印C方向)の両端縁部一方(酸化剤ガス入口連通孔22a側)には、矢印A方向に互いに連通して一対の冷却媒体入口連通孔25aが上下に設けられる。発電セル12の短辺方向の両端縁部他方(燃料ガス入口連通孔24a側)には、冷却媒体を排出する一対の冷却媒体出口連通孔25bが上下に設けられる。
図3に示すように、第1金属セパレータ14の第1樹脂枠付きMEA16aに向かう面14aには、酸化剤ガス入口連通孔22aと酸化剤ガス出口連通孔22bとに連通する第1酸化剤ガス流路26が形成される。第1酸化剤ガス流路26の裏面形状は、冷却媒体流路27の一部を構成する。
第1酸化剤ガス流路26は、矢印B方向に延在する複数の波状流路溝部(直線状流路溝部でもよい)26aを有する。第1酸化剤ガス流路26の入口近傍と出口近傍とには、第1酸化剤ガス入口バッファ部28aと第1酸化剤ガス出口バッファ部28bとが設けられる。
第1酸化剤ガス入口バッファ部28aは、三角形状を有するとともに、複数個のエンボス部28aeを設ける。第1酸化剤ガス出口バッファ部28bは、三角形状を有するとともに、複数個のエンボス部28beを設ける。なお、エンボス部28ae、28beは、楕円や四角形でもよい。
第1酸化剤ガス入口バッファ部28aと酸化剤ガス入口連通孔22aとの間には、複数本の入口連結溝30aが形成される。第1酸化剤ガス出口バッファ部28bと酸化剤ガス出口連通孔22bとの間には、複数本の出口連結溝30bが形成される。
図1に示すように、第2金属セパレータ18の第1樹脂枠付きMEA16aに向かう面18aには、燃料ガス入口連通孔24aと燃料ガス出口連通孔24bとを連通する第1燃料ガス流路34が形成される。第1燃料ガス流路34は、矢印B方向に延在する複数の波状流路溝部(直線状流路溝部でもよい)34aを有する。第1酸化剤ガス流路26と第1燃料ガス流路34とは、酸化剤ガスの流れ方向と燃料ガスの流れ方向とが対向流であるとともに、前記酸化剤ガス及び前記燃料ガスの流れは、一方向のみである。
第1燃料ガス流路34の入口近傍と出口近傍とには、第1燃料ガス入口バッファ部36aと第1燃料ガス出口バッファ部36bとが設けられる。第1燃料ガス入口バッファ部36a及び第1燃料ガス出口バッファ部36bは、三角形状を有する。
第1燃料ガス入口バッファ部36aと燃料ガス入口連通孔24aとの間には、複数本の入口連結溝35aが形成され、前記入口連結溝35aが蓋体37aにより覆われる。第1燃料ガス出口バッファ部36bと燃料ガス出口連通孔24bとの間には、複数本の出口連結溝35bが形成され、前記出口連結溝35bが蓋体37bに覆われる。
図4に示すように、第2金属セパレータ18の第2樹脂枠付きMEA16bに向かう面18bには、酸化剤ガス入口連通孔22aと酸化剤ガス出口連通孔22bとを連通する第2酸化剤ガス流路38が形成される。第2酸化剤ガス流路38は、矢印B方向に延在する複数の波状流路溝部(直線状流路溝部でもよい)38aを有する。第2金属セパレータ18に形成される第2酸化剤ガス流路38の裏面形状が、第1燃料ガス流路34の形状である。
第2酸化剤ガス流路38の入口近傍と出口近傍とには、第2酸化剤ガス入口バッファ部42aと第2酸化剤ガス出口バッファ部42bとが設けられる。第2酸化剤ガス入口バッファ部42a及び第2酸化剤ガス出口バッファ部42bは、三角形状を有する。
第2酸化剤ガス入口バッファ部42aと酸化剤ガス入口連通孔22aとの間には、複数本の入口連結溝46aが形成される。第2酸化剤ガス出口バッファ部42bと酸化剤ガス出口連通孔22bとの間には、複数本の出口連結溝46bが形成される。
図1に示すように、第3金属セパレータ20の第2樹脂枠付きMEA16bに向かう面20aには、燃料ガス入口連通孔24aと燃料ガス出口連通孔24bに連通する第2燃料ガス流路48が形成される。第2燃料ガス流路48は、矢印B方向に延在する複数の波状流路溝部(直線状流路溝部でもよい)48aを有する。第2酸化剤ガス流路38と第2燃料ガス流路48とは、酸化剤ガスの流れ方向と燃料ガスの流れ方向とが対向流であるとともに、前記酸化剤ガス及び前記燃料ガスの流れは、一方向のみである。
第2燃料ガス流路48の入口近傍と出口近傍とには、第2燃料ガス入口バッファ部50aと第2燃料ガス出口バッファ部50bとが設けられる。第2燃料ガス入口バッファ部50a及び第2燃料ガス出口バッファ部50bは、略三角形状を有する。
第2燃料ガス入口バッファ部50aと燃料ガス入口連通孔24aとの間には、複数本の入口連結溝54aが形成され、前記入口連結溝54aが蓋体56aにより覆われる。第2燃料ガス出口バッファ部50bと燃料ガス出口連通孔24bとの間には、複数本の出口連結溝54bが形成され、前記出口連結溝54bが蓋体56bに覆われる。
第3金属セパレータ20の面20bには、第2燃料ガス流路48の裏面形状である冷却媒体流路27の一部が形成される。第3金属セパレータ20の面20bには、前記第3金属セパレータ20に隣接する第1金属セパレータ14の面14bが積層されることにより、冷却媒体流路27が一体に設けられる。
図1に示すように、第1金属セパレータ14の面14a、14bには、この第1金属セパレータ14の外周端縁部を周回して第1シール部材58aが一体成形される。第2金属セパレータ18の面18a、18bには、この第2金属セパレータ18の外周端縁部を周回して第2シール部材58bが一体成形される。第3金属セパレータ20の面20a、20bには、この第3金属セパレータ20の外周端縁部を周回して第3シール部材58cが一体成形される。
第1シール部材58a、第2シール部材58b及び第3シール部材58cには、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材等の弾性を有するゴムシール部材が用いられる。
第1樹脂枠付きMEA16aは、横長形状(長方形状)を有するとともに、第1電解質膜・電極構造体60を備える。第2樹脂枠付きMEA16bは、横長形状(長方形状)を有するとともに、第2電解質膜・電極構造体62を備える。図2に示すように、第1電解質膜・電極構造体60及び第2電解質膜・電極構造体62は、例えば、水分を含んだパーフルオロスルホン酸の薄膜である固体高分子電解質膜64を備える。固体高分子電解質膜64は、カソード電極66及びアノード電極68により挟持される。
カソード電極66は、アノード電極68及び固体高分子電解質膜64の平面寸法よりも小さな平面寸法を有する段差型MEAを構成している。なお、カソード電極66、アノード電極68及び固体高分子電解質膜64は、段差型MEAに限定されるものではなく、同一の平面寸法に設定してもよい。また、アノード電極68は、カソード電極66及び固体高分子電解質膜64よりも小さな平面寸法を有してもよい。
図5及び図6に示すように、カソード電極66の酸化剤ガス出口連通孔22b側(長手方向一端側)の両角部には、所定の曲率を有する曲率半径R1が設定される。カソード電極66の燃料ガス出口連通孔24b側(長手方向他端側)の両角部には、所定の曲率を有する曲率半径R2が設定される。曲率半径R1と曲率半径R2とは、異なる寸法に設定される。例えば、R1<R2の関係を有する。なお、R形状に代えて、それぞれ異なるC面を形成してもよい。また、R1とR2との大小関係は、逆でもよく、長手方向一端側と長手方向他端側との角部形状が異なっていればよく、R形状やC面に限定されるものではない。
アノード電極68の酸化剤ガス出口連通孔22b側の両角部には、所定の曲率を有する曲率半径R3が設定される。アノード電極68の燃料ガス出口連通孔24b側の両角部には、所定の曲率を有する曲率半径R4が設定される。曲率半径R3と曲率半径R4とは、好ましくは、異なる寸法に設定される。例えば、R3<R4の関係を有する。また、R3とR4との大小関係は、逆でもよく、長手方向一端側と長手方向他端側との角部形状が異なっていればよく、R形状やC面に限定されるものではない。
図2に示すように、カソード電極66及びアノード電極68は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布された電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、例えば、固体高分子電解質膜64の両面に形成される。
第1電解質膜・電極構造体60には、カソード電極66の終端部外方に位置して、固体高分子電解質膜64の外周縁部に第1樹脂枠部材70が、例えば、接着及び溶着により一体化される。第2電解質膜・電極構造体62には、カソード電極66の終端部外方に位置して、固体高分子電解質膜64の外周縁部に第2樹脂枠部材72が、例えば、接着及び溶着により一体化される。
第1樹脂枠部材70及び第2樹脂枠部材72を構成する樹脂材としては、例えば、電気的絶縁性を有する汎用プラスチックの他、エンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチック等が採用される。樹脂材は、例えば、フィルム等により構成してもよい。第1樹脂枠部材70及び第2樹脂枠部材72の外形形状は、酸化剤ガス入口連通孔22aを含む各連通孔の内側に配置される寸法に設定される。
図2及び図5に示すように、第1樹脂枠部材70には、カソード電極66が収容される内側開口部73aとアノード電極68が収容される外側開口部73bとが形成される。内側開口部73aは、カソード電極66の外形形状と同一形状を有する開口形状を有する。図5に示すように、内側開口部73aの長手方向一端側(酸化剤ガス出口連通孔22b側)の両角部には、曲率半径R1が設定されるとともに、長手方向他端側(燃料ガス出口連通孔24b側)の両角部には、曲率半径R2が設定される。R1、R2は、カソード電極66の外周形状と同一に設定される。
外側開口部73bは、アノード電極68の外形形状と同一形状を有する開口形状を有する。外側開口部73bの長手方向一端側(酸化剤ガス出口連通孔22b側)の両角部には、曲率半径R3が設定されるとともに、長手方向他端側(燃料ガス出口連通孔24b側)の両角部には、曲率半径R4が設定される。R3、R4は、アノード電極68の外周形状と同一に設定される。
図8に示すように、第2電解質膜・電極構造体62では、カソード電極66を構成する電極触媒層に複数個のクラックCrが形成されている。カソード電極66では、長手方向一端側(燃料ガス出口連通孔24b側)の電極触媒層のクラック量が、長手方向他端側(酸化剤ガス出口連通孔22b側)の電極触媒層のクラック量よりも少なく設定される。
具体的には、カソード電極66の長手方向一端側、すななわち、電極触媒層の長手方向の全長Lに対して一端から0.02×L〜0.1×Lの範囲内の第1領域66a(Lrの範囲)と、その他の第2領域66bとが設定される。0.02×L〜0.1×Lの範囲内は、最も損傷を受け易い領域である。
本実施形態では、第1領域66aのクラックCrの長さ又は幅(単独クラックの最大値又は複数クラックの平均値)が、第2領域66bのクラックCrの長さ又は幅(単独クラックの最大値又は複数クラックの平均値)よりも小さく設定される。なお、第1電解質膜・電極構造体60では、上記の第2電解質膜・電極構造体62と同様に構成される。
図1及び図6に示すように、第1樹脂枠部材70のカソード電極66側の面には、酸化剤ガス入口連通孔22aと第1酸化剤ガス流路26の入口側との間に位置して、入口バッファ部74aが設けられる。第1樹脂枠部材70のカソード電極66側の面には、酸化剤ガス出口連通孔22bと第1酸化剤ガス流路26の出口側との間に位置して、出口バッファ部74bが設けられる。
入口バッファ部74aは、酸化剤ガス入口連通孔22aに近接して設けられる複数個のエンボス部(又は平坦面でもよい)76aと、第1酸化剤ガス流路26に近接して設けられる複数本の直線状入口ガイド流路(又はエンボス部でもよい)78aとを有する。出口バッファ部74bは、酸化剤ガス出口連通孔22bに近接して設けられる複数個のエンボス部(又は平坦面でもよい)76bと、第1酸化剤ガス流路26に近接して設けられる複数本の直線状出口ガイド流路(又はエンボス部でもよい)78bとを有する。
図7に示すように、第1樹脂枠部材70のアノード電極68側の面には、燃料ガス入口連通孔24aと第1燃料ガス流路34との間に位置して、入口バッファ部82aが設けられる。第1樹脂枠部材70のアノード電極68側の面には、燃料ガス出口連通孔24bと第1燃料ガス流路34との間に位置して、出口バッファ部82bが設けられる。
入口バッファ部82aは、燃料ガス入口連通孔24aに近接して設けられる複数個のエンボス部(又は平坦面でもよい)84aと、第1燃料ガス流路34に近接して設けられる複数本の直線状入口ガイド流路(又はエンボス部でもよい)86aとを有する。出口バッファ部82bは、燃料ガス出口連通孔24bに近接して設けられる複数個のエンボス部(又は平坦面でもよい)84bと、第1燃料ガス流路34に近接して設けられる複数本の直線状出口ガイド流路(又はエンボス部でもよい)86bとを有する。
図1及び図8に示すように、第2樹脂枠部材72のカソード電極66側の面には、酸化剤ガス入口連通孔22aと第2酸化剤ガス流路38の入口側との間に位置して入口バッファ部90aが設けられる。第2樹脂枠部材72のカソード電極66側の面には、酸化剤ガス出口連通孔22bと第2酸化剤ガス流路38の出口側との間に位置して、出口バッファ部90bが設けられる。
入口バッファ部90aは、酸化剤ガス入口連通孔22aに近接して設けられる複数個のエンボス部(又は平坦面でもよい)92aと、第2酸化剤ガス流路38に近接して設けられる複数本の直線状入口ガイド流路(又はエンボス部でもよい)94aとを有する。出口バッファ部90bは、酸化剤ガス出口連通孔22bに近接して設けられる複数個のエンボス部(又は平坦面でもよい)92bと、第2酸化剤ガス流路38に近接して設けられる複数本の直線状出口ガイド流路(又はエンボス部でもよい)94bとを有する。
図9に示すように、第2樹脂枠部材72のアノード電極68側の面には、燃料ガス入口連通孔24aと第2燃料ガス流路48との間に位置して、入口バッファ部98aが設けられる。第2樹脂枠部材72のアノード電極68側の面には、燃料ガス出口連通孔24bと第2燃料ガス流路48との間に位置して、出口バッファ部98bが設けられる。
入口バッファ部98aは、燃料ガス入口連通孔24aに近接して設けられる複数個のエンボス部(又は平坦面でもよい)100aと、第2燃料ガス流路48に近接して設けられる複数本の直線状入口ガイド流路(又はエンボス部でもよい)102aとを有する。出口バッファ部98bは、燃料ガス出口連通孔24bに近接して設けられる複数個のエンボス部(又は平坦面でもよい)100bと、第2燃料ガス流路48に近接して設けられる複数本の直線状出口ガイド流路(又はエンボス部でもよい)102bとを有する。
発電セル12同士が互いに積層されることにより、一方の発電セル12を構成する第1金属セパレータ14と、他方の発電セル12を構成する第3金属セパレータ20との間には、冷却媒体流路27が形成される(図1及び図2参照)。
このように構成される燃料電池10の動作について、以下に説明する。
先ず、図1に示すように、酸化剤ガス入口連通孔22aには、酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔24aには、水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、一対の冷却媒体入口連通孔25aには、純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔22aから入口バッファ部74a及び第1酸化剤ガス入口バッファ部28aを通って第1金属セパレータ14の第1酸化剤ガス流路26に供給される(図1及び図3参照)。残余の酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔22aから入口バッファ部90a及び第2酸化剤ガス入口バッファ部42aを通って第2金属セパレータ18の第2酸化剤ガス流路38に導入される(図1及び図4参照)。
酸化剤ガスは、図1、図3及び図4に示すように、第1酸化剤ガス流路26に沿って矢印B方向(水平方向)に移動し、第1電解質膜・電極構造体60のカソード電極66に供給される。同様に、酸化剤ガスは、第2酸化剤ガス流路38に沿って矢印B方向に移動し、第2電解質膜・電極構造体62のカソード電極66に供給される。
一方、燃料ガスは、図1及び図8に示すように、燃料ガス入口連通孔24aから第2金属セパレータ18の入口連結溝35aを通って入口バッファ部82a及び第1燃料ガス入口バッファ部36aに供給される。同様に、燃料ガスは、図1及び図9に示すように、第3金属セパレータ20の入口連結溝54aを通って入口バッファ部98a及び第2燃料ガス入口バッファ部50aに供給される。このため、燃料ガスは、第2金属セパレータ18の第1燃料ガス流路34及び第3金属セパレータ20の第2燃料ガス流路48に供給される。
燃料ガスは、第1燃料ガス流路34に沿って矢印B方向に移動し、第1電解質膜・電極構造体60のアノード電極68に供給される。同様に、燃料ガスは、第2燃料ガス流路48に沿って矢印B方向に移動し、第2電解質膜・電極構造体62のアノード電極68に供給される。
従って、第1電解質膜・電極構造体60及び第2電解質膜・電極構造体62では、各カソード電極66に供給される酸化剤ガスと、各アノード電極68に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて発電が行われる。
次いで、第1電解質膜・電極構造体60及び第2電解質膜・電極構造体62の各カソード電極66に供給されて一部が消費された酸化剤ガスは、出口バッファ部74b、90bに排出される。酸化剤ガスは、第1酸化剤ガス出口バッファ部28b及び第2酸化剤ガス出口バッファ部42bから酸化剤ガス出口連通孔22bに排出される。
第1電解質膜・電極構造体60及び第2電解質膜・電極構造体62のアノード電極68に供給されて一部が消費された燃料ガスは、出口バッファ部82b、98bに排出される。燃料ガスは、第1燃料ガス出口バッファ部36b及び第2燃料ガス出口バッファ部50bから出口連結溝35b、54bを通って燃料ガス出口連通孔24bに排出される。
一方、上下一対の冷却媒体入口連通孔25aに供給された冷却媒体は、図1に示すように、冷却媒体流路27に導入される。冷却媒体は、各冷却媒体入口連通孔25aから冷却媒体流路27に供給され、一旦矢印C方向内方に沿って流動した後、矢印B方向に移動して第1電解質膜・電極構造体60及び第2電解質膜・電極構造体62を冷却する。この冷却媒体は、矢印C方向外方に移動した後、一対の冷却媒体出口連通孔25bに排出される。
この場合、カソード電極66では、燃料ガス出口連通孔24b及び酸化剤ガス入口連通孔22a側の電極触媒層のクラック量が、燃料ガス入口連通孔24a及び酸化剤ガス出口連通孔22b側の電極触媒層のクラック量よりも少なく設定されている。具体的には、図8に示すように、カソード電極66の第1領域66aのクラックCrの長さ又は幅は、前記カソード電極66の第2領域66bのクラックCrの長さ又は幅よりも小さく設定されている。
このため、燃料ガス出口連通孔24b及び酸化剤ガス入口連通孔22a側のカソード電極66を構成する電極触媒層のクラック品質の管理が、厳しい基準に基づいて行われている。従って、発電において最も条件が厳しい領域であるカソード電極66の電極触媒層の損傷を抑制することができ、前記電極触媒層のクラックCrを良好に管理することが可能になる。
しかも、上記のクラック管理は、特に冷却媒体流路27にアノード電極68が最も近接する第2電解質膜・電極構造体62のカソード電極66に行われている。これにより、第2電解質膜・電極構造体62の耐久性の向上を容易に図ることができるという効果が得られる。一方、第1電解質膜・電極構造体60においても、クラックCrにより発電時の損傷の程度が影響を受けるため、クラック管理を行うことが好ましい。
さらに、本実施形態では、図5及び図6に示すように、カソード電極66の酸化剤ガス出口連通孔22b側の両角部には、曲率半径R1が設定されている。一方、カソード電極66の燃料ガス出口連通孔24b側の両角部には、曲率半径R1とは異なる曲率半径R2が設定されている。例えば、R1<R2の関係を有している。
このため、図5に示すように、第1電解質膜・電極構造体60を第1樹脂枠部材70に接合する際、カソード電極66の向きを反対にして前記第1電解質膜・電極構造体60と前記第1樹脂枠部材70とが配置されることがない。同様に、第2電解質膜・電極構造体62を第2樹脂枠部材72に接合する際、カソード電極66の向きを反対にして前記第2電解質膜・電極構造体62と前記第2樹脂枠部材72とが配置されることがない。
従って、燃料ガス出口連通孔24b及び酸化剤ガス入口連通孔22a側のカソード電極66を構成する電極触媒層のクラック品質の管理を、厳しい基準に基づいて確実に行うことが可能になる。
10…燃料電池 12…発電セル
14、18、20…金属セパレータ 16a、16b…樹脂枠付きMEA
22a…酸化剤ガス入口連通孔 22b…酸化剤ガス出口連通孔
24a…燃料ガス入口連通孔 24b…燃料ガス出口連通孔
25a…冷却媒体入口連通孔 25b…冷却媒体出口連通孔
26、38…酸化剤ガス流路 27…冷却媒体流路
34、48…燃料ガス流路 60、62…電解質膜・電極構造体
64…固体高分子電解質膜 66…カソード電極
68…アノード電極 70、72…樹脂枠部材
73a…内側開口部 73b…外側開口部

Claims (2)

  1. 固体高分子電解質膜の一方の面にカソード電極が、他方の面にアノード電極が、それぞれ設けられる長方形状の電解質膜・電極構造体と、セパレータとが積層され、前記アノード電極の電極面に沿って燃料ガスを流通させる燃料ガス流路と、前記カソード電極の電極面に沿って酸化剤ガスを流通させる酸化剤ガス流路とが、それぞれ長手方向のみに延在すると共に互いに対向流をなして形成され、前記長方形状の長手方向一端側には、前記燃料ガスを前記電解質膜・電極構造体と前記セパレータとの積層方向に排出する燃料ガス出口連通孔と、前記酸化剤ガスを前記積層方向に供給する酸化剤ガス入口連通孔とが形成され、前記長方形状の長手方向他端側には、前記燃料ガスを前記積層方向に供給する燃料ガス入口連通孔と、前記酸化剤ガスを前記積層方向に排出する酸化剤ガス出口連通孔とが形成される燃料電池であって、
    前記電解質膜・電極構造体は、前記固体高分子電解質膜の外周を周回して樹脂枠部材が設けられた樹脂枠付きMEAを構成しており、
    前記電解質膜・電極構造体は、前記樹脂枠部材に配置される前記長手方向一端側の角部の形状と前記長手方向他端側の角部の形状とが異なると共に、前記樹脂枠部材に設けられた開口の形状は、前記電解質膜・電極構造体の前記長手方向一端側の角部の形状と前記長手方向他端側の角部の形状と同じであり
    記カソード電極又は前記アノード電極の少なくとも一方は、前記長手方向一端側の電極触媒層のクラック量であるクラックの長さ又は幅が、前記長手方向一端側を除く前記電極触媒層のクラック量であるクラックの長さ又は幅よりも少なく設定されており、
    前記長手方向一端側は、前記電極触媒層の長手方向の全長Lに対して一端から0.02×L〜0.1×Lの範囲内であることを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池であって、第1セパレータ、第1樹脂枠付きMEA、第2セパレータ、第2樹脂枠付きMEA及び第3セパレータが積層される発電セルを備え、
    互いに隣接する前記発電セル間に冷却媒体流路が形成されるとともに、
    前記電極触媒層は、前記冷却媒体流路に最も近接する前記アノード電極に前記固体高分子電解質膜を挟んで対向する前記カソード電極の電極触媒層であることを特徴とする燃料電池。
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