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JP6277719B2 - 非水系分散剤、および非水系分散体組成物 - Google Patents

非水系分散剤、および非水系分散体組成物 Download PDF

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Description

本発明は、有機粉体あるいは無機粉体などの分散体を非水系溶媒中に分散させることができる非水系分散剤、およびこの非水系分散剤を含有する非水系分散体組成物に関する。更に詳しくは、分散体を高濃度で非水系溶媒中に分散させることができるとともに、優れた再分散性を付与することができる非水系分散剤、およびこの非水系分散剤を含有する非水系分散体組成物に関する。
有機粉体あるいは無機粉体などの分散体を非水系溶媒中に分散させた非水系分散体組成物は、種々の産業分野に利用されている。有機粉体としては例えば有機顔料が挙げられ、有機顔料を含有する非水系分散体組成物は、塗料、印刷インキ、インクジェット用インキ、カラーフィルター用レジスト、および筆記具インキなどに利用されている。また無機粉体としては例えばセラミックス粉体や金属粉体が挙げられ、セラミックス粉体を含有する非水系分散体組成物は、積層セラミックコンデンサの誘電体層、半導体基板、センサー、および液晶表示素子などの電子部品の他に、研磨材や耐火材などに利用されている。また、金属粉体を含有する非水系分散体組成物は、塗料として、また電極を形成する電子材料として、例えば導電ペーストや導電性インクとして、幅広く利用されている。
非水系分散体組成物を調製する際、有機粉体あるいは無機粉体は単独では分散性が不十分な場合が多いので、非水系分散体組成物の流動性や貯蔵安定性の向上を目的として、一般的に分散剤が使用されている。分散剤としては、脂肪酸や脂肪族アミンなどの低分子量分散剤、窒素原子を1〜3個有するアミノ化合物にプロピレンオキシドとエチレンオキシドを付加させた高分子量分散剤(例えば特許文献1を参照)などが提案されている。
近年、電子部品用途においては、小型化、低消費電力化、高効率化、および高容量化などの製品特性の向上が望まれており、これら要求を満たすために、原料であるセラミックスや金属粉体などの分散体の粒径を微細化したり、非水系分散体組成物中の分散体を高濃度化したりすることが求められている。
しかしながら、分散体の微細化や高濃度化に対する要求に伴って、従来の分散剤では分散が不十分な場合が発生し、分散体が凝集することによって、非水系分散体組成物の増粘や分散体の沈降などの問題が生じている。これら問題が生じた非水系分散体組成物では、生産性、加工特性、およびハンドリング性の低下を招くだけでなく、最終製品の品質低下にもつながるという問題が生じる。そのため、分散剤には、分散体を高濃度に含有し、かつ低粘度の非水系分散体組成物を得ることができるとともに、分散体が沈降しても容易に再分散させることができる性能が要求されている。
分散体が微細化することによって、分散体の初期分散性および再分散性が低下するのを解決するために、特許文献2では、ポリアミン化合物にエチレンオキシドとブチレンオキシドを付加させた高分子量分散剤が提案されている。しかし、この分散剤は、高濃度に分散体を含有する非水系分散体組成物に対する効果が十分に満足できるものではなかった。
特開昭55−152785号公報 特開平2−68126号公報
本発明の目的は、上記課題を解決することであり、詳しくは、有機粉体あるいは無機粉体などの分散体を高濃度で非水系溶媒中に分散させることができるとともに、優れた再分散性を付与することができる非水系分散剤、およびこの非水系分散剤を含有する非水系分散体組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、所定の分子量およびHLB値を有する特定構造のポリエーテル系化合物が上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、式(1) で示され、分子量が1,000〜10,000であり、かつ、Griffin法により求められるHLB値が1.0〜5.0であるポリエーテル系化合物からなる非水系分散剤、およびこの非水系分散剤を含有する非水系分散体組成物である。
Figure 0006277719
(ただしAOはオキシエチレン基であり、aはAOで示されるオキシエチレン基の平均付加モル数であり、1〜10である。AOはオキシプロピレン基であり、bはAOで示されるオキシプロピレン基の平均付加モル数であり、1〜30である。aとbは0.05≦a/b≦0.75、かつ、5≦a+b≦30の関係を満たす。Rは水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基である。nは1〜4である。)
本発明によれば、有機粉体あるいは無機粉体などの分散体を高濃度で非水系溶媒中に分散させることができるとともに、優れた再分散性を付与することができる。
以下、本発明の非水系分散剤および非水系分散体組成物の実施形態について順次説明する。
〔非水系分散剤〕
本発明の非水系分散剤は、下記の式(1)で示されるポリエーテル系化合物を含有する。なお、式(1)で示されるポリエーテル系化合物を以下では単に「ポリエーテル系化合物」とも言う。
Figure 0006277719
上記式(1)において、nは1〜4である。
ポリエーテル系化合物中の窒素原子は、分散体に対して吸着部位として作用する。nが4を越えると、分散剤が分散体間にまたがって吸着する橋架け凝集が生じることにより、分散体の凝集が促進され、初期分散性および再分散性が低下するおそれがある。
OおよびAOは、ポリオキシアルキレン基であり、分散体に吸着した際、立体反発部位として作用することで粉体を良好に分散させるとともに、非水系溶媒への溶解性を高めることができる。
Oは炭素数2のオキシエチレン基であり、AOは炭素数3のオキシプロピレン基である。aはオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、bはオキシプロピレン基の平均付加モル数を表し、aは1〜10、bは1〜30である。aおよびbは、初期分散性および再分散性の観点から、好ましくはaが1〜7、bが5〜30であり、さらに好ましくはaが1〜5、bが5〜25である。
Oで示されるオキシエチレン基の平均付加モル数aと、AOで示されるオキシプロピレン基の平均付加モル数bとは、0.05≦a/b≦0.75、かつ、5≦a+b≦30の関係を有する。
a/bは、ポリエーテル系化合物におけるポリエーテル鎖の疎油性が強いAOと親油性が強いAOとのバランスを意味する。a/bが0.05未満では親油性が高すぎるので、非水系溶媒中にてポリエーテル鎖が拡張し、ポリエーテル鎖が絡み合い易くなることによって、初期分散性が低下するおそれがある。また、a/bが0.75を越えると疎油性が高すぎるので、非水系溶媒への溶解性が低下することによって、ポリエーテル鎖が収縮し、立体反発効果が低下することによって、初期分散性が低下するおそれがある。a/bは、初期分散性の観点から、好ましくは0.1≦a/b≦0.6であり、さらに好ましくは0.1≦a/b≦0.5である。
a+bは、窒素原子に結合した活性水素1当量あたりのポリエーテル鎖長を意味しており、5≦a+b≦30を満たす。a+bが5未満では十分な立体反発効果が得られ難くなり、また30を超えるとポリエーテル鎖が絡み合い易くなるので、初期分散性が低下するおそれがある。a+bは、初期分散性の観点から、好ましくは5≦a+b≦25であり、更に好ましくは10≦a+b≦25である。
Rは水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基である。炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、およびブチル基などの飽和炭化水素基、アリル基、およびメタリル基などの不飽和炭化水素基が挙げられる。好ましくは水素原子または炭素数1〜4の飽和炭化水素基であり、更に好ましくは水素原子またはメチル基である。Rで示される炭化水素基の炭素数が4を超えると製造が困難となるおそれがある。
ポリエーテル系化合物中の複数のRは、全てが同じ炭化水素基であっても良く、あるいは2種以上の異なる炭化水素基であっても良い。
ポリエーテル系化合物の分子量は1,000〜10,000である。分子量が1,000未満では、初期分散性が低下するおそれがあるだけでなく、十分な再分散性が得られないおそれもある。また分子量が10,000を超えると、初期分散性が低下するおそれがある。分子量は、初期分散性および再分散性の観点から、好ましくは2,000〜9,000であり、更に好ましくは4,000〜8,000である。
なお、本発明において分子量とは、アミン価より算出した分子量である。
ポリエーテル系化合物のGriffin法により求められるHLB値は、1.0〜5.0である。HLB値が1.0未満では、ポリエーテル系化合物の親油性が高すぎるので、非水系溶媒中における分子の拡張によって、分子同士が絡み合い易くなり、初期分散性および再分散性が低下するおそれがある。またHLB値が5.0を超えると、ポリエーテル系化合物の親水性が高すぎるので、非水系溶媒への溶解性が低下することによって、分子が収縮し、初期分散性および再分散性が低下するおそれがある。HLB値は、初期分散性および再分散性の観点から、好ましくは2.0〜5.0であり、更に好ましくは2.5〜5.0である。
なお、本発明におけるGriffin法により求められるHLB値は、「界面活性剤入門」(藤本武彦著、三洋化成工業株式会社、2007年発行)に詳細が記載されており、この記載に基づいて求めることができる。
式(1)中のRが水素原子であるポリエーテル系化合物は、窒素数が2〜5のポリエチレンポリアミンに、アルキレンオキサイドを付加させることによって製造することができる。
アルキレンオキサイドの付加反応は、触媒を使用しても良く、場合によっては触媒を使用しなくても良い。アルキレンオキサイドの付加反応に使用する触媒としては、アルカリ触媒が挙げられ、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、アルコラート、トリエチルアミンなどのアルキルアミン類、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類を用いることができる。また、上記のアルカリ触媒の他に、三ふっ化ほう素や四塩化錫などのルイス酸触媒を用いることができる。触媒の使用量は、付加反応終了後の質量に対して、0.01〜5.0質量%が一般的である。
アルキレンオキサイドの付加反応は、例えばアルゴンや窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下、50〜200℃、0.02〜1.0MPaにて、原料の窒素原子を有する化合物に対し、必要に応じて触媒の存在下、アルキレンオキサイドを連続して加圧しながら添加することによって行なうことができる。
式(1)中のRが炭素数1〜4の炭化水素基であるポリエーテル系化合物は、アルキレンオキサイドの付加反応後、必要に応じてアルカリ触媒存在下、炭素数1〜4のアルキルハライドやアルケニルハライドなどを反応させ、アルキルエーテル化またはアルケニルエーテル化することによって製造することができる。
アルキルハライドの例としては、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、ヨウ化メチル、およびヨウ化エチルなどが挙げられ、アルケニルハライドの例としては、塩化アリルや塩化メタリルなどが挙げられる。このときのアルカリ触媒としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、アルコラートなどを使用することができる。
アルキルハライドまたはアルケニルハライドの仕込量は、反応する水酸基に対して、100〜400モル%であり、アルカリ触媒量は、反応する水酸基に対して、100〜500モル%である。また、反応温度は60〜180℃で行うのが一般的である。
ポリエーテル系化合物を含有する本発明の非水系分散剤は、有機酸や無機酸にて中和されていても良い。有機酸としては、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、クエン酸、乳酸、およびリンゴ酸などが挙げられ、無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などが挙げられ、これら有機酸や無機酸から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。本発明の非水系分散剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、これら有機酸や無機酸を含有していても良い。
〔非水系分散体組成物〕
本発明の非水系分散体組成物は、非水系分散剤、分散体、および非水系溶媒を含有する。
非水系分散剤の含有量は、非水系分散体組成物中、0.05〜20質量%である。含有量が0.05質量%未満だと十分な初期分散性および再分散性が得られないおそれがあり、含有量が20重量%を超えても含有量に見合う効果が得られないおそれがある。非水系分散剤の含有量は、初期分散性または再分散性の観点から、好ましくは0.1〜15質量%であり、更に好ましくは0.5〜10質量%である。
本発明の非水系分散体組成物に含まれる分散体としては、有機粉体あるいは無機粉体が挙げられる。
有機粉体としては、例えば、アゾ系、ジアゾ系、縮合アゾ系、チオインジゴ系、インダンスロン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ベンゾイミダゾロン系、ペニレン系、フタロシアニン系、アントラピリジン系、およびジオキサジン系などの有機顔料が挙げられる。
無機粉体としては、例えば、鉄、アルミニウム、クロム、ニッケル、コバルト、亜鉛、タングステン、インジウム、錫、パラジウム、ジルコニウム、チタン、銅、銀、金、白金などの金属粉体、2種類以上の金属または金属と非金属とからなる合金粉体、金属粉体または合金粉体を複合化した複合粉体、2種類以上の無機粉体または無機粉体と他の粉体とを混合した混合粉体が挙げられる。
その他、無機粉体として、ケイ酸塩鉱物、その他のケイ酸化合物、炭酸化合物、硫酸化合物、水酸化化合物、酸化化合物、炭化化合物、窒化化合物、チタン酸化合物などの各粉体が挙げられる。例えば、カオリン、クレー、タルク、マイカ、ベントナイト、ドロマイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、ケイ酸アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、炭化ケイ素、炭化タングステン、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、チタン酸バリウム、カーボンブラック、黒鉛、ロックウール、グラスウール、ガラス繊維、炭素繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ(シングルウォールナノチューブ、ダブルウォールナノチューブ、マルチウォールナノチューブ)などの各粉体が挙げられる。
分散体として好ましくは、無機粉体では、鉄、アルミニウム、クロム、ニッケル、コバルト、亜鉛、タングステン、インジウム、錫、パラジウム、ジルコニウム、チタン、銅、銀、金、白金などの金属粉体、およびそれらの合金粉体、複合粉体、混合粉体が挙げられる。またケイ酸塩鉱物、その他のケイ酸化合物、炭酸化合物、硫酸化合物、水酸化化合物、酸化化合物、炭化化合物、窒化化合物、チタン酸化合物の各粉体が挙げられる。例えば、カオリン、クレー、タルク、マイカ、ベントナイト、ドロマイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、ケイ酸アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、炭化ケイ素、炭化タングステン、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、チタン酸バリウムの粉体が挙げられる。より好ましくは、金属粉体、酸化化合物の粉体、炭化化合物の粉体、窒化化合物の粉体、チタン酸化合物の粉体が挙げられる。例えば、アルミニウム、ニッケル、コバルト、インジウム、錫、パラジウム、ジルコニウム、チタン、銅、銀、金、白金などの金属粉体、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズなどの酸化化合物の粉体、炭化ケイ素、炭化タングステンなどの炭化化合物の粉体、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化化合物の粉体、チタン酸バリウムなどのチタン酸化合物の各粉体が挙げられる。さらに好ましくは、ニッケル、コバルト、パラジウム、銅、銀、金、白金などの金属粉体、炭化ケイ素、炭化タングステンなどの炭化化合物の粉体、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化化合物の粉体が挙げられる。
分散体の平均粒子径は、有用性の観点から、0.01〜10μmが好ましく、0.01〜5μmがより好ましく、0.01〜1μmが更に好ましい。なお、分散体の平均粒子径はマイクロトラック法によって測定することができる。
分散体の含有量は、非水系分散体組成物中、通常10〜90質量%であり、好ましくは30〜85質量%、更に好ましくは55〜80質量%である。
本発明の非水系分散体組成物において分散体を分散させる分散媒となる非水系溶媒(有機溶媒)としては、例えば、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、およびγ−ブチロラクトンなどのエステル系溶媒、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、およびジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶媒、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテルアセテート、およびジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルエステル系溶媒、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ターピニルアセテート、およびジヒドロターピニルアセテートなどのテルペン系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、およびt−ブタノールなどのアルコール系溶媒が挙げられ、これら非水系溶媒から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
非水系溶媒は、分散体の分散性向上、および本発明におけるポリエーテル系化合物との相溶性の観点から、溶解度パラメーター(SP値)が8.5〜10.5(cal/cm1/2であるものが好ましい。なお、非水系溶媒の溶解度パラメーター(SP値)はFedorsの方法により算出することができる。
溶解度パラメーター(SP値)が上記範囲である非水系溶媒を具体的に例示すると、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ターピニルアセテート、ジヒドロターピニルアセテートが挙げられる。これらの非水系溶媒から選ばれる1種を単独で用いても良く、あるいは2種以上の混合物で用いても良い。
また、溶解度パラメーター(SP値)が8.5〜10.5(cal/cm1/2の範囲外の非水系溶媒であっても、2種以上の非水系溶媒を組み合わせることによって、上記範囲にSP値を調整することもできる。
混合溶媒のSP値は、実験的に求めることができ、また、簡便な方法として、各非水系溶媒のモル分率とSP値との積の総和により算出することもできる。本発明の非水系分散体組成物においては、これらの方法によりSP値が調整された混合溶媒を用いることができる。
非水系溶剤の含有量は、非水系分散体組成物中、通常5〜50質量%であり、好ましくは10〜40質量%、更に好ましくは15〜30質量%である。
本発明の非水系分散体組成物には、その目的が損なわれない範囲で、他の界面活性剤、バインダ、可塑剤、および消泡剤などの各種添加剤を配合させることができる。
本発明の非水系分散体組成物は、公知の非水系分散体組成物の製造方法に準じて製造することができる。例えば、分散剤を溶解した非水系溶媒中に分散体を添加した後、室温下にて攪拌し、混合する方法、分散体に非水系溶媒および分散剤を添加した後、室温下にて攪拌し、混合する方法などが挙げられる。
攪拌、混合、あるいは分散するための分散機としては、公知の分散機を使用することができる。例えば、ロールミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、ジェットミル、ホモジナイザー、自転公転型ミキサーなどが挙げられる。また、超音波発生浴中において分散処理を行うこともできる。
次に、実施例および比較例によって、本発明をさらに詳細に説明する。
合成例1[ポリエーテル系化合物1の合成]
攪拌機、圧力計、温度計、安全弁、ガス吹き込み管、排気管、冷却用コイル、および蒸気ジャケットを装備したステンレス製の5リットル容の耐圧容器に、ジエチレントリアミン(関東化学株式会社製、1モルあたり窒素原子に結合した活性水素:5当量)103gを仕込み、系内を窒素ガスで置換した。攪拌下、80℃まで昇温した後、80〜100℃、0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)の条件で、別に用意した耐圧容器からエチレンオキサイド220g(窒素原子に結合した活性水素1当量あたり1モルに相当)を、ガス吹き込み管を通して、窒素ガスにより加圧しながら添加した。
添加が終了した後、同条件で内圧が一定となるまで反応させた。40℃まで冷却した後、水酸化カリウムを3.9g添加し、系内を窒素ガスで置換した。攪拌下、100℃まで昇温した後、100〜120℃、0.05〜0.5MPaの条件でエチレンオキサイド440g(窒素原子に結合した活性水素1当量あたり2モルに相当)を、ガス吹き込み管を通して、窒素ガスにより加圧しながら添加した。
添加を終了した後、同条件で内圧が一定となるまで反応させた。次に、攪拌下、100〜120℃、0.05〜0.5MPaの条件で、プロピレンオキサイド3,490g(窒素原子に結合した活性水素1当量あたり12モルに相当)を、ガス吹き込み管を通して、窒素ガスにより加圧しながら添加した。
添加を終了した後、同条件で内圧が一定となるまで反応させた。30℃まで冷却した後、耐圧容器から反応物を5リットル容ナスフラスコに取り出した。これに吸着剤(商品名:キョーワード700、協和化学工業株式会社製)43gを加え、窒素ガス雰囲気下、90〜100℃、0.05MPa以下で処理し、生じた塩と吸着剤をろ別し、ポリエーテル系化合物1を得た。得られたポリエーテル系化合物1のアミン価は39.6であり、アミン価から求められる分子量は4,250であった。
なお、ポリエーテル系化合物1のアミン価の測定方法は下記のとおりである。
試料をビーカーに秤量し、これに中性エタノール(エチルアルコール(99.5V/V%)を、使用直前にブロムクレゾールグリーン指示薬を用いて、N/2塩酸標準液で中和したもの)を加えて溶解させる。次にブロムクレゾールグリーン指示薬を数滴加え、N/2塩酸標準液で滴定し、液の緑色が黄色に変わったときを終点とした。アミン価は下記の式より算出した。
アミン価=(28.05×F×A)/W
ただし、A:N/2塩酸標準液使用量、F:N/2塩酸標準液のファクター、W:試料採取量(g)
また、合成例1におけるジエチレントリアミン、エチレンオキサイド、およびプロピレンオキサイドを他の化合物に適宜変更し、合成例1に準じて操作を行なうことによって、表1のポリエーテル系化合物3〜5および表2のポリエーテル系化合物6〜8を合成した。
合成例2[ポリエーテル系化合物2の合成]
合成例1で用いたものと同様の装置に、テトラエチレンペンタミン(東ソー株式会社製、1モルあたり窒素原子に結合した活性水素:7当量)95g、水酸化カリウム7.8gを仕込み、系内を窒素ガスで置換した。攪拌下、100℃まで昇温した後、100〜120℃、0.05〜0.5MPaの条件でエチレンオキサイド870g(窒素原子に結合した活性水素1当量あたり5モルに相当)を、ガス吹き込み管を通して、窒素ガスにより加圧しながら添加した。
添加を終了した後、同条件で内圧が一定になるまで反応させた。次に、攪拌下、100〜120℃、0.05〜0.5MPaの条件で、プロピレンオキサイド3,050g(窒素原子に結合した活性水素1当量あたり15モルに相当)を、ガス吹き込み管を通して、窒素ガスにより加圧しながら添加した。
添加を終了した後、同条件で内圧が一定になるまで反応させた。30℃以下まで冷却した後、水酸化カリウム290gを仕込み、系内を窒素ガスで置換した。80℃まで昇温した後、80〜100℃で塩化メチル34gを、ガス吹き込み管を通して、窒素ガスにより加圧しながら添加した。
添加を終了した後、同条件で内圧が一定となるまで反応させた。窒素ガスを吹き込みながら、70〜80℃、0.05MPa以下で1時間処理を行い、未反応の塩化メチルを系内から排除した。窒素ガスで内圧を0.05MPaとし60℃まで冷却した後、攪拌下、60℃のイオン交換水0.5リットルを徐々に加えた。イオン交換水を添加し、充分に攪拌した後、密封状態で60〜70℃、約2時間静置した。静置後、上部のポリエーテル層と水層を分離し、ポリエーテル層を5リットル容ナスフラスコに取り、窒素ガス雰囲気下、90〜100℃、0.05MPa以下で脱水した。脱水後、吸着剤(商品名:キョーワード700、協和化学工業株式会社製)40gを加え、窒素ガス雰囲気下、90〜100℃、0.05MPa以下で処理し、生じた塩と吸着剤をろ別し、ポリエーテル系化合物2を得た。得られたポリエーテル系化合物2のアミン価は35.4であり、アミン価から求められる分子量は7,930であった。なお、ポリエーテル系化合物2のアミン価は、合成例1と同様にして測定した。
合成したポリエーテル系化合物1〜8の分子量およびHLB値を表1および表2に示す。なお、分子量は測定したアミン価から算出し、HLB値はGriffin法により求めた。
Figure 0006277719
Figure 0006277719
Figure 0006277719
Figure 0006277719
Figure 0006277719
[実施例1〜4、比較例1〜4]
ポリエーテル系化合物1〜8を分散剤として用いて、下記のとおり、非水系分散体組成物を調製した。
50mLスクリュー管に、銀粉体(平均粒径:0.7μm、マイクロトラック法により測定)2.0g、ターピネオール0.67g、および分散剤0.02gを秤量し、自転公転型ミキサーで5分間攪拌して、無機粉体を含有するスラリー状の非水系分散体組成物を得た。なお、ターピネオールのSP値は9.7(cal/cm1/2である。
ポリエーテル系化合物1〜4を用いて得られた非水系分散体組成物を順次、実施例1〜4とし、ポリエーテル系化合物5〜8を用いて得られた非水系分散体組成物を順次、比較例1〜4とした。
[分散試験]
実施例1〜4および比較例1〜4の非水系分散体組成物を用いて、分散試験を行なった。
各非水系分散体組成物について、動的粘弾性装置(Paar Physica MCR−300、Anton Paar社製)を用いて、温度20℃、せん断速度が0.1〜100(1/s)に対するせん断粘度を測定した。せん断速度が1(1/s)の時のせん断粘度を表3に示した。
また、室温で1週間静置した各非水系分散体組成物を自転公転型ミキサーで5分間再攪拌し、各非水系分散体組成物のせん断粘度を同一の条件で測定した。せん断速度が1(1/s)の時のせん断粘度を併せて表3に示した。
Figure 0006277719
本発明に係るポリエーテル系化合物1〜4を添加した実施例1〜4の非水系分散体組成物は、いずれも製造直後において良好な分散性を示しており、1週後においても経時的な粘度変化はほとんど見られなかった。
一方、HLB値が本発明の規定範囲外であるポリエーテル系化合物5を添加した比較例1の非水系分散体組成物は、経時的な粘度変化は小さいが、製造直後からせん断粘度が高く、分散性は劣っていた。
本発明に係る式(1) で示されるポリエーテル系化合物におけるアルキレンオキサイドの付加形態が逆になった構造を有するポリエーテル系化合物6、および7を添加した比較例2、および3の非水系分散体組成物は、経時的な粘度変化は小さいが、製造直後からせん断粘度が極めて高く、分散性がはるかに劣っていた。
また、エチレンオキサイド鎖を構造中に含まないポリエーテル系化合物8を添加した比較例4の非水系分散体組成物は、製造直後のせん断粘度が高いだけでなく、経時的な粘度変化も大きいことから、製造直後の分散性のみならず、再分散性にも劣ることが分かる。
[実施例5〜7、比較例5〜7]
ポリエーテル系化合物1、3〜6、および8を分散剤として用いて、下記のとおり、非水系分散体組成物を調製した。なお、ポリエーテル系化合物1、3、および4を用いて得られた非水系分散体組成物を順次、実施例5〜7とし、ポリエーテル系化合物5、6、および8を用いて得られた非水系分散体組成物を順次、比較例5〜7とした。
50mLスクリュー管に、窒化ケイ素粉体(平均粒径:1.0μm、マイクロトラック法により測定)2.0g、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート1.08g、および分散剤0.06gを秤量し、自転公転型ミキサーで5分間攪拌して、無機粉体を含有するスラリー状の非水系分散体組成物を得た。なお、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートのSP値は8.8(cal/cm1/2である。
[分散試験]
実施例5〜7および比較例5〜7の非水系分散体組成物を用いて、分散試験を行なった。
各非水系分散体組成物について、動的粘弾性装置(Paar Physica MCR−300、Anton Paar社製)を用いて、温度20℃、せん断速度が0.1〜100(1/s)に対するせん断粘度を測定した。せん断速度が1(1/s)の時のせん断粘度を表4に示した。
また、室温で1週間静置した各非水系分散体組成物を自転公転型ミキサーで5分間、再攪拌し、各非水系分散体組成物のせん断粘度を同一の条件で測定した。せん断速度が1(1/s)の時のせん断粘度を併せて表4に示した。
Figure 0006277719
本発明に係るポリエーテル系化合物を添加した実施例5〜7の非水系分散体組成物は、いずれも製造直後において良好な分散性を示しており、1週後においても経時的な粘度変化はほとんど見られなかった。
一方、HLB値が本発明の規定範囲外であるポリエーテル系化合物5を添加した比較例5の非水系分散体組成物、および本発明に係る式(1) で示されるポリエーテル系化合物におけるアルキレンオキサイドの付加形態が逆になった構造を有するポリエーテル系化合物6を添加した比較例6の非水系分散体組成物は、経時的な粘度変化は小さいが、製造直後からせん断粘度が極めて高く、分散性がはるかに劣っていた。
また、エチレンオキサイド鎖を構造中に含まないポリエーテル系化合物8を添加した比較例7の非水系分散体組成物は、製造直後のせん断粘度が高いだけでなく、経時的な粘度変化も大きいことから、製造直後の分散性のみならず、再分散性にも劣ることが分かる。

Claims (2)

  1. 式(1) で示され、分子量が1,000〜10,000であり、かつ、Griffin法により求められるHLB値が1.0〜5.0であるポリエーテル系化合物を含有することを特徴とする非水系分散剤。
    Figure 0006277719
    (ただしAOはオキシエチレン基であり、aはAOで示されるオキシエチレン基の平均付加モル数であり、1〜10である。AOはオキシプロピレン基であり、bはAOで示されるオキシプロピレン基の平均付加モル数であり、1〜30である。aとbは0.05≦a/b≦0.75、かつ、5≦a+b≦30の関係を満たす。Rは水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基である。nは1〜4である。)
  2. 請求項1記載の非水系分散剤を含有することを特徴とする非水系分散体組成物。
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