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JP6275825B2 - タッピンねじ及びその締結構造 - Google Patents

タッピンねじ及びその締結構造 Download PDF

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JP6275825B2 JP2016508843A JP2016508843A JP6275825B2 JP 6275825 B2 JP6275825 B2 JP 6275825B2 JP 2016508843 A JP2016508843 A JP 2016508843A JP 2016508843 A JP2016508843 A JP 2016508843A JP 6275825 B2 JP6275825 B2 JP 6275825B2
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Description

相手材に自らめねじを塑性変形により成形しながら締結を行うタッピンねじに関し、特に相手材の板厚が薄板の場合に適したタッピンねじ及びその締結構造に関する。
従来からこの種のタッピンねじは、空転トルクとねじ込みトルクの差が大きくなるように設定し、締め付けトルクがばらついても、確実に締め付けられるようになっている。
しかし、近年の部材の省スペース化の要請で、頭部寸法に制約があり、座面の面積を大きくできない場合もある。座面積が小さいと、締め付け時に、座面接触が小さくなってしまうため、空転トルクが低くなってしまう。
一方、タッピンねじが係合するねじ山数が多ければ空転トルクを高く維持できるが、近年のめねじ材の薄板化により、締め付け時に引っ掛かるねじ山数が少なくなり、空転トルクの低下を招くことになる。ねじ山形状を変更して接触面積を増大させることも考えられるが、ねじ形状の変更のみでは対応の限界がある。
ねじ山の引っ掛かり数を多くする点では、首下にアンダーカットを設け、頭部付近までおねじを延長することが有効であるが、アンダーカットを設けた分だけ座面積が小さくなってしまい、それだけでは空転トルクを高くすることができない。
特許第3017331号公報
本発明者等は鋭意研究した結果、頭部座面の摩擦係数を調整することで、空転トルクを高くすることができるという着想を得た。
頭部座面に凹凸を設ける技術としては、たとえば、特許文献1に記載のようなものが知られているが、この特許文献は弛み止めのために設けられたもので、空転トルクに着眼したものではない。
本発明の目的は、座面積、ねじ山のひっかかり数を十分にとれなくても、空転トルクを向上させる得るタッピンねじを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、頭部とねじ軸部とを有するタッピンねじにおいて、前記頭部の座面を微細な凹凸を有する粗面とすることにより、摩擦係数を高めて空転トルクを高める構成としたもので、
前記頭部の首下付け根部にはアンダーカット部が設けられており、前記座面はアンダーカット部を取り囲むように円環状に設けられ、座面の表面粗さはアンダーカット部よりも粗く設定されていることを特徴とする。
また、他の発明は、頭部とねじ軸部とを有するタッピンねじにおいて、
前記頭部の座面を微細な凹凸を有する粗面とすることにより、摩擦係数を高めて空転トルクを高める構成としたもので、
前記座面の微細な凹凸は座面平面度を維持して設けられることを特徴とする。
さらに、他の発明は、頭部と、ねじ山を備えたねじ軸部とを有し、前記ねじ軸部のねじ山によって相手材の下孔にめねじを成形しながら締結されるタッピンねじのねじ締結構造であって、
前記頭部の座面を微細な凹凸を有する粗面とすることにより、摩擦係数を高めて空転トルクを高める構成としたもので、
前記頭部の首下付け根部にはアンダーカット部が設けられており、前記座面はアンダーカット部を取り囲むように円環状に設けられ、座面の表面粗さはアンダーカット部よりも粗く設定されていることを特徴とする。
さらに、他の発明は、頭部と、ねじ山を備えたねじ軸部とを有し、前記ねじ軸部のねじ山によって相手材の下孔にめねじを成形しながら締結されるタッピンねじのねじ締結構造であって、
前記頭部の座面を微細な凹凸を有する粗面とすることにより、摩擦係数を高めて空転トルクを高める構成としたもので、
前記座面の微細な凹凸は座面平面度を維持して設けられることを特徴とする。
前記座面の外径は、頭部外周の最大径よりも小さい。
頭部の外周には、工具寿命を向上させる為に頭部成形ダレが発生し、頭部外周の最大径より座面の外径が小さく、頭部座面積は小さくなってしまうが、座面を粗面とすることで、工具寿命を損なうことなく、空転トルクを向上させることができる。
座面の微細な凹凸は座面平面度を維持して設けておけば、座面を全周にわたって均等に接触させることができる。
座面の表面粗さは、最大高さ粗さRzで、15μm〜50μmが好適である。
本発明によれば、頭部座面を粗面として摩擦係数を高めることにより、座面積、ねじ山のひっかかり数を十分にとれなくても、空転トルクを向上させることができ、確実な締め付けが可能となる。
(A)は本発明の実施の形態に係るタッピンねじを示す全体図、(B)は(A)のB−B線断面図、(C)は(A)の部分拡大図である。 図1の頭部座面の表面粗さを従来品と比較して示すグラフである。 座面粗さと空転トルクの関係を示すグラフである。 図1のタッピンねじの締め付けた状態を示す概略図。
以下に、本発明を、図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るタッピンねじを示している。図において、1はタッピンねじを示すもので、このタッピンねじ1は、頭部10と、頭部10から延びるねじ軸20とを備え、ねじ軸20には、完全ねじ山形状のねじ山21が形成された平行ねじ部22と、平行ねじ部22の先端側に先端に向けて徐々に小径となるテーパねじ部24とを備えている。
頭部10は鍋形形状で、頂部にビット穴18が設けられ、頭部10の裏面側に、締め付け時に被締結材に着座する座面16が設けられている。この実施の形態では、頭部裏面には、ねじ軸20の首下が頭部と接続される付け根部の周囲にアンダーカット部12が設けられ、座面16は、アンダーカット部12を取り囲むように全周に亘って円環状に形成されている。
また、頭部10の外周側面は高さ方向中央部から頭部裏面に向かって徐々に小径となるように縮径された頭部成形ダレ14となっている。この頭部成形ダレ14の縮径分だけ、頭部10外周の最大径よりも座面16の外径は小さくなっている。
本発明は、座面16を微細な凹凸を有する粗面とすることにより摩擦係数を高め、空転トルクを高めたものである。座面16の表面粗さは、アンダーカット部12よりも粗く設定される。アンダーカット部12の表面粗さは頭部10の表面粗さとほぼ同じであり、座面16の表面粗さは頭部10の表面粗さよりも粗い。
図2は、本発明の実施品と従来品とを比較して示す粗さ線図である。(A)は本発明の実施品の拡大斜視、(B)はその粗さ線図、(C)は従来品の拡大写真、(D)はその粗さ線図である。
本発明の実施品の場合、図2(B)に示すように、0.25mm間における最大山高さ及び最大谷高さのピークが5本未満となっている。5本以上の細かいピークとなると、摩擦力に与える影響はあまり大きくなく、0.25mm間における最大山高さ及び最大谷高さのピークを5本未満とすることが好ましい。
従来品の場合、図2(D)に示すように、座面の表面粗さは、Rz(最大高さ粗さ、日本工業規格JIS B0601,2001改正)で10μmより小さいレベルである(基準長さは0.25mm)。
図4は、本実施の形態のタッピンねじを、薄板の被締結材110とめねじ材120を重ねて締結した締結構造を示している。特に図示していないが、被締結材110及びめねじ材には下孔が設けられており、締結初期には、ねじ軸部20のねじ山21によって下孔にめねじが成形され、さらに締め付けることにより、頭部の座面16が被締結材110に着座し、さらに、空転トルク以下の所定のトルクに達するまで締め付けることにより、締め付け作業が終了する。
着座した後の締め付けによって、締め付けられていくが、本実施の形態では座面16に微細な凹凸が設けられているので、摩擦係数が高く、座面16と被締結材110間の摩擦トルクが高くなり、その分、空転トルクも高くなっている。すなわち、座面16を粗面にするだけで、ねじ込みトルクと空転トルクの差を大きくでき、適正な締め付けトルクを設定することで、ねじが破損することなく、確実に締め付けることができる。
特に、この実施の形態では、アンダーカット部12を設けて、可及的にねじ軸20のねじ山21を頭部に近づけて形成し、係合するねじ山数を多くしており、空転トルクをより大きくできる。図示例では、アンダーカット部12によって、2山のひっかかり数が一山多くなって3山程度となっている。
また、アンダーカット部12を設けることで座面積が狭くなっているものの、実際にアンダーカット部12を設けないで座面16を粗面にしない従来例と比較したところ、本願発明のように座面積が狭くても、粗面とした方が、空転トルクが高くなった。
また、頭部成形ダレ14を残しても空転トルクを高くできるので、工具命数を長くできるという利点もある。
図3は、座面粗さと空転トルクの関係を示している。
座面粗さは、最大高さ粗さRz(日本工業規格JIS B0601,2001改正、基準長さ0.25mm)で、5μm〜50μmの範囲のデータを示している。グラフに示される通り、当初、5μmで2.7[N・m]程度であったところ、10μmで3.0[N・m]、15μmで3.2[N・m]、30μmで3.7[N/m]、40μm〜50μmで3.8〜3.9[N/m]となっている。
この結果から、最大高さ粗さRzが、10μmを越えていれば効果が出始めるので、10μm〜50μmの範囲であれば、空転トルクを十分高くでき、15μm以上がより効果的である。また、30μmを超えると50μほぼ横ばいとなるので、15μm〜30μmの範囲が好適である。座面16は基本的に平面であり、微細な凹凸は座面平面度を維持して設けられる。
特に、図4に示した3山程度、たとえば2山乃至5山程度しかねじ山ひっかかり数が確保できない場合でも、最大高さ粗さRzの範囲を上記範囲10μm〜50μm、より好ましくは15μm〜30μmに設定することにより、空転トルクを大きくでき、適正な締結トルクで締結することができる。もちろん、ねじ山の引っ掛かり数は2山乃至5山程度に限定されるものではなく、5山以上であってもよいし、場合によっては2山以下でもよい。
なお、上記実施の形態ではアンダーカット部を設けているが、アンダーカット部を設けない構成でもよいし、頭部成形ダレが無い構成でもよい。
頭部形状としては、鍋形に限られず種々の頭部形状に適用することができる。
1 タッピンねじ
10 頭部
12 アンダーカット部
14 頭部成形ダレ
16 座面
20 ねじ軸、21 ねじ山、22 平行ねじ部、24 テーパねじ部
110 被締結材、120 めねじ材

Claims (12)

  1. 頭部とねじ軸部とを有するタッピンねじにおいて、
    前記頭部の座面を微細な凹凸を有する粗面とすることにより、摩擦係数を高めて空転トルクを高める構成としたもので、
    前記頭部の首下付け根部にはアンダーカット部が設けられており、前記座面はアンダーカット部を取り囲むように円環状に設けられ、座面の表面粗さはアンダーカット部よりも粗く設定されていることを特徴とするタッピンねじ。
  2. 前記座面の外径は、頭部外周の最大径よりも小さい請求項1に記載のタッピンねじ。
  3. 前記座面の微細な凹凸は座面平面度を維持して設けられる請求項1又は2に記載のタッピンねじ。
  4. 前記座面の表面粗さは、最大高さ粗さRzで、10μm〜50μmとする請求項1乃至のいずれかの項に記載のタッピンねじ。
  5. 前記座面の表面粗さは頭部外周の表面粗さよりも粗い請求項1乃至4のいずれかの項に記載のタッピンねじ。
  6. 頭部とねじ軸部とを有するタッピンねじにおいて、
    前記頭部の座面を微細な凹凸を有する粗面とすることにより、摩擦係数を高めて空転トルクを高める構成としたもので、
    前記座面の微細な凹凸は座面平面度を維持して設けられることを特徴とするタッピンねじ。
  7. 頭部と、ねじ山を備えたねじ軸部とを有し、前記ねじ軸部のねじ山によって相手材の下孔にめねじを成形しながら締結されるタッピンねじのねじ締結構造であって、
    前記頭部の座面を微細な凹凸を有する粗面とすることにより、摩擦係数を高めて空転トルクを高める構成としたもので、
    前記頭部の首下付け根部にはアンダーカット部が設けられており、前記座面はアンダーカット部を取り囲むように円環状に設けられ、座面の表面粗さはアンダーカット部よりも粗く設定されていることを特徴とするタッピンねじのねじ締結構造。
  8. めねじとの引っ掛かり山数が2山乃至5山であり、前記座面の表面粗さは、最大高さ粗さRzで、10μm〜50μmである請求項7に記載のタッピンねじのねじ締結構造。
  9. 前記座面の外径は、頭部外周の最大径よりも小さい請求項7又は8に記載のタッピンねじのねじ締結構造。
  10. 前記座面の微細な凹凸は座面平面度を維持して設けられる請求項7乃至のいずれかの項に記載のタッピンねじのねじ締結構造。
  11. 前記座面の表面粗さは頭部外周の表面粗さよりも粗い請求項7乃至10のいずれかの項に記載のタッピンねじのねじ締結構造。
  12. 頭部と、ねじ山を備えたねじ軸部とを有し、前記ねじ軸部のねじ山によって相手材の下孔にめねじを成形しながら締結されるタッピンねじのねじ締結構造であって、
    前記頭部の座面を微細な凹凸を有する粗面とすることにより、摩擦係数を高めて空転トルクを高める構成としたもので、
    前記座面の微細な凹凸は座面平面度を維持して設けられることを特徴とするタッピンねじのねじ締結構造。
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