実施の形態
《構成》
以下、本発明に係る紙葉類管理システム及び紙葉類管理方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図14は本発明の実施の形態を説明するための図である。
本実施の形態の紙葉類管理システムは、紙幣、小切手、商品券、帳票、バーコードチケット等の紙葉類を管理するためのものである。なお、本実施の形態の紙葉類管理システムは、特に「紙幣」を管理するために用いられる。
図1に示すように、本実施の形態の管理側システム1は、様々な情報を記憶するサーバー記憶部30(特許請求の範囲の「記憶部」に対応する。)と、このサーバー記憶部30に記憶した情報を加工して出力するサーバー制御部20(特許請求の範囲の「制御部」に対応する。)と、を備えた管理サーバー10となっている。また、管理側システム1は、銀行等の金融機関において紙幣等の紙葉類を管理する複数の金融側システム100,200,300(特許請求の範囲の「外部システム」に対応する。)と、インターネット等のネットワーク90を介して接続されてもよい。なお、特許請求の範囲に記載された紙葉類管理システムは、管理側システム1のみから構成されてもよいし、管理側システム1と、一つ以上の金融側システム100,200,300と、を備えてもよい。
金融側システム100,200,300の構成には様々な形態がある。金融側システムの一例としては、図1の左側で示されたシステムを挙げることができる。なお、本実施の形態では、この金融側システムを第一金融側システム100と呼んで説明する。図1に示すように、第一金融側システム100は、貨幣を処理する複数の貨幣処理機140,150と、貨幣処理機140,150に接続されてパソコン等からなる個別管理装置120と、各貨幣処理機140,150に直接又は個別管理装置120を介して接続されてパソコン等からなる総合管理装置110と、を備えている。また、貨幣処理機140,150及び個別管理装置120の各々は総合管理装置110を介して、インターネット等のネットワーク90に接続されている。なお、図1では、貨幣処理機140,150のみを具体的に示しているが、これ以外の貨幣処理機が設けられていても当然よい。ところで、本実施の形態において「貨幣」とは、硬貨、紙幣又は硬貨及び紙幣の両方のことを意味する。
第一金融側システム100で用いられる貨幣処理機140,150は紙幣を処理する紙幣処理機400,500を備えている。この貨幣処理機140,150は、紙幣処理機400,500の他に硬貨を処理する硬貨処理機(図示せず)を備えていてもよい。本実施の形態で用いられる紙幣処理機400,500の種類は様々なものがあり、小型の紙幣処理機もあれば中型の紙幣処理機もあれば大型の紙幣処理機もある。
中型の紙幣処理機の一例として第一紙幣処理機400を挙げる。この第一紙幣処理機400は、図2に示すように、筐体401と、筐体401に設けられて複数の紙幣を受け入れる受入部411と、受入部411で受け入れられた積層状態の紙幣のうち最下層にある紙幣を1枚ずつ取り込む取込部410と、取込部410から筐体401内に取り込まれた各紙幣を搬送する搬送部470と、搬送部470で搬送された紙幣を識別して計数する識別部450と、を備えている。また、第一紙幣処理機400は、識別部450で識別された紙幣を集積する複数のスタッカ460a−460dと、スタッカ460a−460dに集積されない紙幣をリジェクトする複数のリジェクト部461a,461bと、を備えている。なお、本実施の形態の識別部450は、例えば紙幣の金種、正損、表裏、新旧、方向、真偽等を識別する。なお、上述したスタッカ460a−460dは前面(図2の紙面の表側)が開口しており、当該開口を介してオペレータはスタッカ460a−460d内の紙幣を自由に取り出すことができる。ちなみに、本実施の形態では4つのスタッカを有するスタッカユニットを用いて説明しているが、これに限られることはない。スタッカユニットは自由に増設することができ、例えば4つのスタッカを有するスタッカユニットを1つ増設すれば8つのスタッカを備えた第一紙幣処理機400を提供できるし、2つ増設すれば12個のスタッカを備えた第一紙幣処理機400を提供できる。
なお、搬送部470には、搬送部470内で搬送される紙幣を検知するための複数のセンサ480が設けられている。また、搬送部470には、搬送部470内で搬送される紙幣を分岐するための複数の分岐部471が設けられている。また、受入部411には、受入部411に紙幣が載置されているか否かを検知するための検知センサ481が設けられ、スタッカ460a−460dの各々には、スタッカ460a−460d内の紙幣の有無を検知するための検知センサ485が設けられている。
図示していないが、第一紙幣処理機400は、紙幣を結束するための1つ又は複数の紙幣結束ユニットを備えていてもよい。この紙幣結束ユニットは、搬送部470で搬送された結束用の複数の紙幣を集積するための複数の結束用紙幣集積部と、結束用紙幣集積部に集積された紙幣を結束帯で結束して紙幣束を生成するための結束部と、を有している。
また、図示していないが、第一紙幣処理機400は、紙幣を反転させる紙幣反転部を含んだ紙幣反転ユニットを備えていてもよい。この紙幣反転部は、搬送部470で紙幣を短手方向に搬送した場合、搬送されている紙幣をその短手方向の向きが逆向きになるように表裏反転させる短手反転部と、搬送部470で搬送されている紙幣をその長手方向の向きが逆向きになるように表裏反転させる長手反転部とを有している。
図5に示すように、上述した識別部450は、搬送部470によって搬送される紙幣に関する情報を取得する識別センサ420と、識別センサ420で取得された情報に基づいて紙幣の金種、正損、表裏、新旧、方向、真偽等を識別する識別制御部451と、を有している。また、第一紙幣処理機400は、様々な情報を記憶するための記憶部456も備えている。全体制御部455には、識別部450及び記憶部456の他に、上述した、取込部410、搬送部470、分岐部471、各種センサ480,481,485等も通信接続されている。
図1に示すように、第一紙幣処理機400に接続された個別管理装置120は、オペレータが所定の情報を入力するための入力部121を有している。そして、この入力部121から入力された情報は、第一紙幣処理機400で収集された情報とともに、個別管理装置120で管理されるが、第一紙幣処理機400自身を制御する全体制御部455(図5参照)を介して、記憶部456で記憶するようにしてもよい。ところで、図示していないが、紙幣処理機400はそれ自身が入力部を有し、当該入力部からオペレータが所定の情報を入力することができるようになっていてもよい。
図3は、本実施の形態で用いられる第一紙幣処理機400の識別センサ420を示した概略縦断面図であり、図4は当該識別センサ420を示した概略上方平面図である。これら図3及び図4に示すように、上述した識別センサ420は、赤外光を用いて紙幣に関する情報を取得する赤外光センサ422と、紙幣の厚みを検出する厚み検出センサ424と、磁気を用いて紙幣に関する情報を取得する磁気センサ426と、赤色光を用いて紙幣に関する情報を取得する赤色光センサ428と、を有している。また、赤外光センサ422の上流側には紙幣が到来したことを検出するタイミングセンサ421が設けられ、赤色光センサ428の下流側には紙幣が到来したことを検出するタイミングセンサ429が設けられている。なお、図3及び図4で、参照符号Bで示されるものは、識別センサ420において搬送される紙幣であり、二点鎖線の矢印は、紙幣Bの搬送方向を示している。識別センサ420の構成は、取得すべき情報に応じて適宜変更することができる。例えば、赤外光センサ422に加えて又は代えて、赤外光と緑色光により紙面両面の反射光と透過光を検出するラインセンサを設けてもよい。また、赤外光センサ422に加えて又は代えて紫外光センサを設けてもよい。また、赤色光センサ428に加えて又は代えて、青色光を用いて紙幣に関する情報を取得する青色光センサを設けてもよい。また、厚み検出センサ424や磁気センサ426に加えて又は代えて、紙幣の搬送方向と直交する方向の幅全体を検出できる長さセンサを設けてもよい。また、上述した各種センサに加えて超音波センサを設けてもよい。
なお、識別センサ420では紙幣の表面及び裏面の全体のイメージ又は部分的なイメージ(例えば「シリアル番号」を含んだ部分のイメージ)も取得することができるようになっている。また、識別制御部451は、識別センサ420で取得されたイメージから文字を認識するOCR機能を有しており、例えば紙幣のシリアル番号を認識することができるようになっている。
小型の紙幣処理機の一例として第二紙幣処理機(いわゆる「紙幣計数機」)500を挙げる。図6に示すように、この第二紙幣処理機500は、筐体501と、筐体501に設けられて複数の紙幣を受け入れる受入部511と、受入部511で受け入れられた積層状態の紙幣のうち最下層にある紙幣を1枚ずつ取り込む取込部510と、取込部510から筐体501内に取り込まれた各紙幣を搬送する搬送部570と、搬送部570で搬送された紙幣を識別して計数する識別部550と、を備えている。
識別部550よりも下流側の箇所において搬送部570は2つの搬送路に分岐しており、一方の搬送路には集積部560が接続されており、他方の搬送路にはリジェクト部561が接続されている。ここで、集積部560には、識別部550により正常な紙幣であると識別された紙幣が搬送部570から送られるようになっている。この集積部560は前面(図6の右側)が開口しており、当該開口を介してオペレータは集積部560内の紙幣を自由に取り出すことができる。なお、この開口には、開閉自在のシャッター562が設けられており、このシャッター562は、図示しない駆動機構により、開口を閉鎖または開放するようスライドすることができるようになっている。
なお、搬送部570には、搬送部570内で搬送される紙幣を検知するための複数のセンサ580が設けられている。また、搬送部570には、搬送部570内で搬送される紙幣を集積部560に搬送するかリジェクト部561に搬送するかで分岐するための分岐部571が設けられている。また、受入部511には、受入部511に紙幣が載置されているか否かを検知するための検知センサ581が設けられ、リジェクト部561には、リジェクト部561内の紙幣の有無を検知するための検知センサ585が設けられている。
図7に示すように、第二紙幣処理機500の識別部550も、搬送部570によって搬送される紙幣に関する情報を取得する識別センサ520と、識別センサ520で取得された情報に基づいて紙幣の金種、正損、表裏、新旧、方向、真偽等を識別する識別制御部551と、を有している。また、第二紙幣処理機500は、第二紙幣処理機500自身を制御する全体制御部555と、様々な情報を記憶するための記憶部556と、オペレータが所定の情報を入力するための入力部590も備えている。なお、詳細には説明しないが、第二紙幣処理機500の識別センサ520も、第一紙幣処理機400の識別センサ420と同様の構成とすることができ、本実施の形態では、第二紙幣処理機500の識別センサ520と第一紙幣処理機400の識別センサ420とは同一の構成となっているものとして説明する。第二紙幣処理機500の全体制御部555には、識別部550、記憶部556及び入力部590の他に、上述した、取込部510、搬送部570、分岐部571、各種センサ580,581,585等も通信接続されている。
図1に戻り、第一金融側システム100の構成を説明する。第一金融側システム100では、上述した第一紙幣処理機400を備えた第一貨幣処理機140にパソコン等からなる個別管理装置120が接続されており、第一紙幣処理機400は、個別管理装置120を介して、総合管理装置110、その他の貨幣処理装置150に通信接続されている。他方、上述した第二紙幣処理機500を備えた第二貨幣処理機150は、直接、総合管理装置110及び個別管理装置120に通信接続されている。
上述した第一金融側システム100とは異なる金融側システムの例としては、図1の真ん中で示されたシステムを挙げることができる。本実施の形態では、この金融側システムを第二金融側システム200と呼んで説明する。図1に示すように、第二金融側システム200は、貨幣を処理する貨幣処理機260と、貨幣処理機260に接続されてパソコン等からなる管理装置210と、を備えている。そして、この管理装置210は、図示しないインターフェースを介して、インターネット等のネットワーク90に接続されている。
第二金融側システム200で用いられる貨幣処理機260も紙幣を処理する紙幣処理機600を備えている。この貨幣処理機260は、紙幣処理機600の他に硬貨を処理する硬貨処理機(図示せず)を備えていてもよい。本実施の形態で用いられる紙幣処理機600の種類は様々なものがあり、小型の紙幣処理機もあれば中型の紙幣処理機もあれば大型の紙幣処理機もある。中型の紙幣処理機の一例としては上述した第一紙幣処理機400を挙げることができ、小型の紙幣処理機の一例としては上述した第二紙幣処理機500を挙げることができる。つまり、紙幣処理機600として、一例としては第一紙幣処理機400と同じ構成からなる紙幣処理機を用いることができ、別の例としては第二紙幣処理機500と同じ構成からなる紙幣処理機を用いることができる。
上述した第一金融側システム100及び第二金融側システム200とは異なる金融側システムの例としては、図1の右側で示されたシステムを挙げることができる。本実施の形態では、この金融側システムを第三金融側システム300と呼んで説明する。図1に示すように、第三金融側システム300はパソコン等からなる管理装置310を備えている。そして、この管理装置310は、図示しないインターフェースを介して、インターネット等のネットワーク90に接続されている。なお、第三金融側システム300は、貨幣を処理する貨幣処理機を備えていない。この第三金融側システム300は、例えば銀行等の金融機関の本部等で採用されるシステムである。
ところで、各銀行等の金融機関で用いられている紙幣処理機400,500,600を含む貨幣処理機140,150,260を製造したメーカーが同じメーカーであるとは限らず、様々なメーカーの貨幣処理機140,150,260が混在している可能性がある(一般には、その可能性の方が高い。)。一例を挙げると、第一金融側システム100で用いられる紙幣処理機400,500がメーカーAの製品である場合、第二金融側システム200で用いられる紙幣処理機600はメーカーAの製品であることもあるが、メーカーAとは異なるメーカーBの製品である可能性があることには留意が必要である。
本実施の形態の管理側システム1は、図1で明確に示された第一金融側システム100、第二金融側システム200及び第三金融側システム300の他に、複数の金融側システムに通信接続されることが想定されている。より具体的には、本実施の形態の管理側システム1は管理サーバー10を備え、第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システム(特許請求の範囲の「外部システム」に対応する。)の各々に、インターネット等のネットワーク90を介して通信接続されている。なお、この管理サーバー10は、様々な情報を記憶するサーバー記憶部30と、このサーバー記憶部30に接続され、管理サーバー10自身を制御するサーバー制御部20と、を備えている。
第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムの各々は、対応する金融機関によって管理されている。この点、第一金融側システム100に関して言えば、紙幣処理機400,500のユーザが対応する金融機関に該当し、第二金融側システム200に関して言えば、紙幣処理機600のユーザが対応する金融機関に該当している。他方、管理側システム1は、金融機関とは異なる管理者(例えば情報処理サービス会社)によって管理されている。
サーバー記憶部30は、少なくとも、紙幣処理機400,500,600で紙幣を処理することに伴い取得された特定情報と、複数の出力フォーマットを記憶する。また、サーバー制御部20は、特定情報を出力フォーマットのいずれか1つに従って加工して出力する。なお、この特定情報は、少なくともシリアル番号(記号や番号からなり、紙幣を一意に特定できる情報)を含む識別情報を有している(図8参照)。
図1に示すように、管理サーバー10のサーバー制御部20は、図示しないインターフェースを介して、インターネット等のネットワーク90に通信接続されている。そして、このネットワーク90には、第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムの各々が通信接続されている。このため、第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムの各々で取得された情報又は管理されている情報は、これら第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムから、ネットワーク90及びサーバー制御部20を介して、サーバー記憶部30に送られ、当該情報を当該サーバー記憶部30で記憶させることができる。他方、サーバー記憶部30で記憶されている情報は、サーバー制御部20及びネットワーク90を介して、第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムの各々に送ることができる。
第一金融側システム100の第一貨幣処理機140に関して言えば、第一紙幣処理機400で紙幣を処理することに伴い取得された特定情報が個別管理装置120及び総合管理装置110を介して、第一金融側システム100からネットワーク90に送られ、このネットワーク90から管理サーバー10のサーバー制御部20を介してサーバー記憶部30に送られ、このサーバー記憶部30で記憶されることとなる。また、第一金融側システム100の第二貨幣処理機150に関して言えば、第二紙幣処理機500で紙幣を処理することに伴い取得された特定情報が総合管理装置110を介して、第一金融側システム100からネットワーク90に送られ、このネットワーク90から管理サーバー10のサーバー制御部20を介してサーバー記憶部30に送られ、このサーバー記憶部30で記憶されることとなる。第二金融側システム200の貨幣処理機260に関して言えば、第二金融側システム200の紙幣処理機600で紙幣を処理することに伴い取得された特定情報が管理装置210を介して、第二金融側システム200からネットワーク90に送られ、このネットワーク90から管理サーバー10のサーバー制御部20を介してサーバー記憶部30に送られ、このサーバー記憶部30で記憶されることとなる。
なお、本実施の形態では、金融側システム100,200,300の貨幣処理機140,150,260で貨幣を処理することに伴い取得された情報、とりわけ紙幣処理機400,500,600で紙幣を処理することに伴い取得された特定情報を、随時送ることもできるし、一定期間ごとに管理サーバー10に送ることもできる。
この点、紙幣処理機400,500,600を有する第一金融側システム100、第二金融側システム200、・・・、第N金融側システムといった複数の金融側システムで情報が取得され、また、第一金融側システム100、・・・、第N金融側システムの各々にも複数の紙幣処理機が存在しうることから、管理側システム1に送られる特定情報は大量のものとなる。このため、第一金融側システム100、第二金融側システム200、・・・、第N金融側システムで紙幣を処理することに伴い取得された特定情報は、管理サーバー10に一定期間ごとに送られるのではなく、管理サーバー10に随時送られることが好ましい。
より具体的には、紙幣処理機を有する第一金融側システム100、第二金融側システム200、・・・、第N金融側システムでは、紙幣処理機400,500,600で紙幣を処理する度に特定情報が作成されるが、この特定情報は、対応する第一金融側システム100、第二金融側システム200、・・・、第N金融側システムから、随時、ネットワーク90に送られることが好ましい。また、このような態様に限らず、紙幣処理機400,500,600で処理された紙幣の確定処理が行われるタイミングに合わせて、随時、特定情報をネットワーク90に送るようにしてもよい。そして、このようにして送られた特定情報は、随時、ネットワーク90から管理サーバー10のサーバー制御部20を介してサーバー記憶部30に送られ、このサーバー記憶部30に随時入力されて記憶されることとなる。
特定情報には、識別部450,550で紙幣を識別した結果得られた識別情報の他に、紙幣処理機400,500,600のユーザに関するユーザ情報及び/又は紙幣処理機400,500,600で行われた取引に関する取引情報が含まれてもよい。本実施の形態では、特定情報に、識別情報の他にユーザ情報及び取引情報が含まれた態様を用いて説明する(図8参照)。なお、このユーザ情報及び取引情報は、紙幣処理機400,500,600の入力部590(図示していない紙幣処理機400の入力部を含む。)等から記憶部456,556に入力されてもよいが、紙幣処理機400に接続された個別管理装置120、紙幣処理機600に接続された管理装置210等から記憶部456,556に入力されてもよい。また、個別管理装置120や管理装置210等からユーザ情報及び取引情報を入力する場合には、個別管理装置120や管理装置210等で当該ユーザ情報及び取引情報を管理してもよい。なお、図面には示されていないが、紙幣処理機500にパソコン等が接続されている場合には、当該パソコン等から記憶部456,556にユーザ情報及び取引情報が入力されてもよい。
特定情報に含まれる識別情報、ユーザ情報及び取引情報について、以下、説明する。
〈識別情報〉
まず、識別情報について説明する。図8に示すように、本実施の形態の識別情報には、シリアル番号、1つの取引内における紙幣の処理された順番である紙幣通し番号、紙幣のイメージ(紙幣の表面及び紙幣の裏面)、通貨の種類、金種、版数又は新旧、真偽、正損、搬送エラー要因、正損要因(正損要因1〜正損要因N)、センサ値(センサ値1〜センサ値N)等が含まれる。
基本的には、紙幣処理機400,500,600で取り込まれた紙幣の全てについての特定情報が、紙幣処理機400,500,600から管理サーバー10にネットワーク90を介して送信される。このため、識別部450,550で正常に識別することができなかった紙幣(識別エラーの生じた紙幣)についての特定情報も紙幣処理機400,500,600から管理サーバー10に送信されるし、搬送エラーが生じたときには、搬送エラー要因を含んだ特定情報が紙幣処理機400,500,600から管理サーバー10に送信されることとなる。
なお、識別部450,550で金種等を識別できず識別エラーとなったときは、その項目(すなわち金種等)は「空欄」とされるか又は「識別不能」とされる。また、シリアル番号に関して、OCRの信頼度が低い等して読み取ることができなかった文字は「?」として、特定情報に含まれる。また、シリアル番号の全てを読み取ることができなかった場合には「空欄」とされるか又は「識別不能」とされて、特定情報に含まれる。
ところで、搬送エラーとなった紙幣及び/又は識別エラーとなった紙幣に関する特定情報は削除されてもよい。多くの紙幣処理機では、搬送エラーや識別エラーの紙幣はリジェクトされ、その紙幣の再識別処理又はオペレータによる手入力が要求されることから、このような識別情報が不要となることが多いためである。このような特定情報の削除は、管理側システム1のサーバー制御部20で行われてもよいが、金融側システム100,200,300の総合管理装置110、個別管理装置120、管理装置210,310又は紙幣処理機400,500,600自身で行われてもよい。なお、このような情報を削除するタイミングは任意であるが、例えば対象となっている取引を確定するタイミングとすることができる。また、通貨の種類、金種等を識別部450,550で識別することができずこれら通貨の種類、金種等をオペレータが入力部121,590から手入力した場合にはフラグが立てられることとなるが、このフラグに関する情報も特定情報に含まれ、識別部450,550で識別された結果得られた情報と区別することができるようになっている。
紙幣のイメージには、紙幣の表面の全体のイメージ及び紙幣の裏面の全体のイメージが含まれてもよいが、このような全体のイメージの代わりに、紙幣の表面の部分的なイメージ及び紙幣の裏面の部分的なイメージが含まれてもよい。部分的なイメージは、紙幣のイメージを取得する際に部分的なイメージを取得するようにしてもよいが、紙幣のイメージを取得する際には全体のイメージを取得しておき、その全体のイメージから部分的なイメージを加工して作成してもよい。
上述した正損に関する情報は、銀行等の金融機関の窓口での出金紙幣として利用できない紙幣(いわゆる「UNFIT」)、銀行等の金融機関に設けられたATMでは出金紙幣として利用できないが、銀行等の金融機関の窓口では出金紙幣として利用できる紙幣(いわゆる「Teller-FIT」)、全ての正損要因について、厳しい閾値と比較しても正券と判断された紙幣であって、銀行等の金融機関に設けられたATMでも出金紙幣として利用できる紙幣(いわゆる「ATM-FIT」)の3段階で分けた情報となっていてもよいし、この3段階以上で分けた情報となっていてもよい。
上述した搬送エラー要因には、斜めに紙幣が搬送されたことを示す「斜行」、紙幣が重なり合って搬送されたことを示す「重送」、複数の紙幣が所定の間隔を隔てないで搬送されたことを示す「連鎖」に関する情報が含まれる。
図8に示すように、正損要因には複数の正損要因1〜正損要因Nが含まれており、これらの正損要因1〜正損要因Nには、形状、サイズ、欠け、穴、汚れ、透かし異常、折れ、しわ、落書き、テープ貼り等の有無に関する情報(「OK」又は「NG」であるかの情報)が含まれる。また、これらの正損要因1〜正損要因Nのうち、例えば、欠け、汚れ、しわ等については、その程度を複数段階(例えば256段階)にクラス分けして表示してもよい。
図8に示すように、センサ値には複数のセンサ値1〜センサ値Nが含まれている。このセンサ値には、各センサで取得された数値、より具体的には、識別センサ420,520が赤外光センサ422を有する場合には赤外光センサ422で取得された数値、識別センサ420,520が厚み検出センサ424を有する場合には厚み検出センサ424で取得された数値、識別センサ420,520が磁気センサ426を有する場合には磁気センサ426で取得された数値、識別センサ420,520が赤色光センサ428を有する場合には赤色光センサ428で取得された数値、識別センサ420,520が可視光を用いたラインセンサを有し可視光の透過及び/又は反射を用いる場合にはラインセンサで取得された数値、識別センサ420,520が紫外光センサを有する場合には紫外光センサで取得された数値、識別センサ420,520が青色光センサを有する場合には青色光センサで取得された数値、識別センサ420,520が長さセンサを有する場合には長さセンサで取得された数値、識別センサ420,520が超音波センサを有する場合には超音波センサで取得された数値が含まれてもよい。
また、このような各センサで取得された数値の代わりに又は当該数値に加えて、センサ値1〜センサ値Nには、欠け、汚れ、厚み、折れ、しわ等の各項目に関する例えば256段階(0〜255)で分けた数値(度合い)が含まれていてもよい。なお、この数値は、赤外、紫外、可視光(赤、緑、青)の透過や反射、磁気、厚み、超音波等を用いた計測結果によって得られる。より具体的には、識別センサ420,520が赤外光センサ422を有する場合には赤外光センサ422で取得されたデータ、識別センサ420,520が厚み検出センサ424を有する場合には厚み検出センサ424で取得されたデータ、識別センサ420,520が磁気センサ426を有する場合には磁気センサ426で取得されたデータ、識別センサ420,520が赤色光センサ428を有する場合には赤色光センサ428で取得されたデータ、識別センサ420,520が可視光を用いたラインセンサを有し可視光の透過及び/又は反射を用いる場合にはラインセンサで取得されたデータ、識別センサ420,520が紫外光センサを有する場合には紫外光センサで取得されたデータ、識別センサ420,520が青色光センサを有する場合には青色光センサで取得されたデータ、識別センサ420,520が長さセンサを有する場合には長さセンサで取得されたデータ、及び、識別センサ420,520が超音波センサを有する場合には超音波センサで取得されたデータの一つ以上に基づいて、欠け、汚れ、厚み、折れ、しわ等の各項目に関する数値が全体制御部455,555で計算され、その計算結果を256段階(0〜255)で分けた数値が記憶部456,556で記憶され、特定情報のセンサ値1〜センサ値Nに含まれることとなる。なお、記憶部456,556は所定の閾値を記憶しており、全体制御部455,555が、記憶部456,556で記憶された各項目に関する閾値と256段階で分けられた数値とを比較することで、「UNFIT」の紙幣であるのか、「Teller-FIT」の紙幣であるのか、「ATM-FIT」の紙幣であるのかを判断することとなる。
〈ユーザ情報〉
次に、ユーザ情報について説明する。ユーザ情報には、銀行ID等の金融機関ID、IPアドレス又はFTPアカウント、紙幣処理機400,500,600の機種、紙幣処理機400,500,600の号機、オペレータID等が含まれる(図8参照)。
金融機関IDとりわけ銀行IDには、例えば銀行番号及び支店番号が含まれる。また、このような銀行番号及び支店番号の他に、日本の都道府県、中国の省等に対応した地域を示す情報が含まれてもよい。なお、上述したIPアドレス及びFTPアカウントは、図1の総合管理装置110や管理装置210、310と1対1で対応しており、各金融機関とも1対1で対応していることが好ましい。
紙幣処理機400,500,600の機種には、例えば当該紙幣処理機のメーカーIDと当該紙幣処理機の型式が含まれる。紙幣処理機400,500,600の号機とは、当該紙幣処理機のメーカーが、生産した紙幣処理機を一意に特定できるように設定した数字、記号等である。オペレータIDは、例えば、紙幣処理機400,500,600で処理を行ったオペレータのIDである。なお、このオペレータIDは、例えば紙幣処理機400の入力部(図示せず)、個別管理装置120の入力部121、紙幣処理機500の入力部590等から入力されることとなる。
〈取引情報〉
次に、取引情報について説明する。取引情報には、取引ID、取引開始日時、取引終了日時等が含まれる(図8参照)。取引IDとは各取引に付けられるIDである。取引開始日時とは、例えば紙幣処理機400,500の受入部411,511で受け入れられた積層状態の紙幣のうち最下層にある紙幣を取込部410,510で取り込み始めた日時である。取引終了日時とは、例えば紙幣処理機400,500の受入部411,511で受け入れられた積層状態の紙幣の全てが機内に取り込まれ、入力部121,590からオペレータが取引を確定する旨の指令を入力した日時である。
上述したように、本実施の形態では、特定情報が、識別情報の他に、ユーザ情報及び取引情報を有している。この特定情報は、上述したように、紙幣処理機400,500,600で紙幣の処理が行われる度に作成され、各紙幣処理機400,500,600からネットワーク90に随時送られることとなる。そして、このようにして送られる特定情報は、ネットワーク90から管理サーバー10のサーバー制御部20を介してサーバー記憶部30に送られ、このサーバー記憶部30に随時入力されて記憶されることとなる。
このように各紙幣処理機400,500,600から出力され最終的にはサーバー記憶部30に記憶される特定情報は、各紙幣処理機400,500,600に固有の入力フォーマットで作成されてもよいし、各紙幣処理機400,500,600から同じ所定の入力フォーマットで作成されてもよい。一般には、紙幣処理機400,500,600の出力する情報は紙幣処理機400,500,600の種類によって異なるものとなっている。つまり、紙幣処理機400,500,600の出力する情報は、当該紙幣処理機400,500,600のメーカー、型式等によって異なるものとなっている。したがって、現状において各紙幣処理機400,500,600から出力される特定情報をサーバー記憶部30で記憶させると、各紙幣処理機400,500,600に固有の入力フォーマットで記憶されることとなる。しかしながら、将来的に各紙幣処理機400,500,600から出力される特定情報のフォーマットが統一される等の状況の変化が生じることは否定できず、状況が変わって例えば各紙幣処理機400,500,600から出力される特定情報のフォーマットが統一された場合等では、各紙幣処理機400,500,600から出力される特定情報は、同じ所定の入力フォーマットでサーバー記憶部30に記憶されることとなる。
ところで、金融側システムに設置されたパソコン等に紙幣処理機から出力されるシリアル番号が入力されるようになっていてもよい。なお、金融側システムに設置されたパソコン等に紙幣処理機から入力される情報はシリアル番号には限られず、上述した特定情報のうち当該金融側システムで保持しておきたい情報(特定情報の一部)が含まれてもよい。この点について図1に明示された態様で説明すると、第一金融側システム100の総合管理装置110に、当該総合管理装置110に通信接続された第一紙幣処理機400及び第二紙幣処理機500の各々からシリアル番号が入力されるようになっていてもよい。また、第一紙幣処理機400及び第二紙幣処理機500の各々から入力される情報はシリアル番号には限られず、上述した特定情報のうち、第一金融側システム100を管理する金融機関で保持しておきたい情報が含まれてもよい。また、第二金融側システム200の管理装置210に、当該管理装置210に通信接続された紙幣処理機600からシリアル番号が入力されるようになっていてもよい。なお、ここでも、紙幣処理機600から入力される情報はシリアル番号には限られず、上述した特定情報のうち、第二金融側システム200を管理する金融機関で保持しておきたい情報が含まれてもよい。このような態様によれば、各金融機関で保持しておきたい情報を自己の管理下におくことができる点で有益である。ちなみに、第一金融側システム100では、総合管理装置110が特許請求の範囲に記載された「管理装置」に対応している。
上述したように、サーバー記憶部30は複数の出力フォーマットを記憶している。一般に、銀行等の金融機関等のユーザは、ユーザ固有又は地域固有のフォーマットで紙幣処理機400,500,600から出力される情報を管理することを希望することが多い。このため、本実施の形態における各出力フォーマットは、ユーザ固有又は地域固有のフォーマットとなっている。
出力フォーマットの一例としては、図9に示すように、ユーザ情報として銀行ID等の金融機関IDを出力し、取引情報として取引IDを出力し、識別情報としてシリアル番号、通貨の種類及び金種を出力するようになっている。この出力フォーマットによれば、金融機関は、取引毎の紙幣枚数及び金額の情報を入手することができる。
出力フォーマットの別の例としては、図10に示すように、ユーザ情報として銀行ID等の金融機関IDを出力し、取引情報として取引IDを出力し、識別情報としてシリアル番号、紙幣の表面の全体のイメージ又は部分的なイメージ、通貨の種類、金種、版数、正損及び正損要因1〜正損要因Nを出力するようになっている。この出力フォーマットによれば、金融機関は、紙幣の正損に関する情報を入手することができる。
出力フォーマットのさらに別の例としては、図11に示すように、ユーザ情報として銀行ID等の金融機関ID、紙幣処理機400,500,600の機種及び紙幣処理機400,500,600の号機を出力し、識別情報としてシリアル番号、紙幣のシリアル番号を示した部分のイメージ、紙幣の表面及び裏面の全体のイメージ又は部分的なイメージ、通貨の種類、金種、版数及び正損を出力するようになっている。この出力フォーマットによれば、金融機関は、紙幣処理機を特定する情報と、シリアル番号の認識に関する情報を取得することができる。
本実施の形態では、サーバー記憶部30で記憶されている情報を、サーバー制御部20及びネットワーク90を介して、第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムの各々に送ることができる。このため、サーバー記憶部30に記憶されている特定情報を、複数の出力フォーマットのうちのいずれかの出力フォーマットで、第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムの各々に送ることができる。
このように、サーバー記憶部30に記憶されている特定情報を所定の出力フォーマットに沿って加工した情報を、第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムに送るタイミングとしては、第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムから要求があった際を想定することができる。ただし、このように要求があった際に限らず、サーバー記憶部30に記憶されている特定情報を所定の出力フォーマットに沿って加工した情報を、一定期間ごとに、第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムに送るようにしてもよい。例えば、各金融機関が予め要望した一定期間ごとに、特定情報を所定の出力フォーマットに沿って加工して金融機関に提供すればよい。このような態様によれば、各金融機関で定期的に行われている確認作業、検査作業等に合わせて、各金融機関は何ら要求を出すことなく、特定情報を自己の希望に沿った出力フォーマットで入手することができるので、当該確認作業、検査作業等の効率を高めることができる。
なお、金融機関が所定の出力フォーマットに沿って加工した情報を出力するよう管理側システム1に要求するタイミングの一例としては、金融機関が当該金融機関から提供された紙幣に偽札があったと報告を受けた際に、偽札であると指摘された紙幣に関するユーザ情報、取引情報及び/又は識別情報を金融機関が取得するときを挙げることができる。また、別の例としては、金融機関が、所定の期間でどれだけの取引が行われたかに関するデータや所定の期間でどのような金種の紙幣が取引に用いられたかに関するデータ等の統計的なデータを取得するときを挙げることができる。
図13で示すように、管理側システム1は、サーバー制御部20及びサーバー記憶部30の他に、サーバー制御部20に通信接続され、出力フォーマットを作成するサーバー側フォーマット作成部70(特許請求の範囲の「第一フォーマット作成部」に対応する。)を備えてもよい。そして、サーバー記憶部30が、サーバー側フォーマット作成部70で作成された出力フォーマットを記憶するようにしてもよい。
また、上述のサーバー側フォーマット作成部70に代えて又サーバー側フォーマット作成部70に加えて、図14に示すように、金融側システム100,200,300が、出力フォーマットを作成する金融側フォーマット作成部170,270,370(特許請求の範囲の「第二フォーマット作成部」に対応する。)を有してもよい。なお、図14で示した態様では、総合管理装置110が金融側フォーマット作成部170を有し、管理装置210が金融側フォーマット作成部270を有し、管理装置310が金融側フォーマット作成部370を有している。そして、総合管理装置110の金融側フォーマット作成部170で作成された出力フォーマットは、第一金融側システム100からネットワーク90に送られ、このネットワーク90から管理サーバー10のサーバー制御部20を介してサーバー記憶部30に送られ、このサーバー記憶部30に入力されて記憶されることとなる。また、管理装置210の金融側フォーマット作成部270で作成された出力フォーマットは、この管理装置210からネットワーク90に送られ、このネットワーク90から管理サーバー10のサーバー制御部20を介してサーバー記憶部30に送られ、このサーバー記憶部30に入力されて記憶されることとなる。また、管理装置310の金融側フォーマット作成部370で作成された出力フォーマットは、この管理装置310からネットワーク90に送られ、このネットワーク90から管理サーバー10のサーバー制御部20を介してサーバー記憶部30に送られ、このサーバー記憶部30に入力されて記憶されることとなる。
上述したように、管理側システム1の管理サーバー10から出力される出力フォーマットはユーザ固有又は地域固有のフォーマットとなっている。このため、管理サーバー10のサーバー制御部20では、銀行等の金融機関の希望にかなった適切なフォーマットで出力するよう、サーバー記憶部30に記憶された複数の出力フォーマットから最も適切な出力フォーマットを選択しなければならない。
このようにサーバー記憶部30に記憶された複数の出力フォーマットから最も適切な出力フォーマットを選択するための一つの態様としては、第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムから出力フォーマットが指定される態様が考えられる。この態様について具体的に説明する。まず、第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムからネットワーク90を介して管理側システム1のサーバー制御部20に、特定情報に関する情報を出力するよう要求がなされるとともに、特定情報を加工するための出力フォーマットが指定される。このように金融側システムからの要求と出力フォーマットをサーバー制御部20が受け取ると、当該サーバー制御部20は、当該出力フォーマットに対応する、より具体的には当該出力フォーマットに合致する又は最も類似する出力フォーマットをサーバー記憶部30から読み出す。そして、サーバー制御部20は、サーバー記憶部30から読み出された出力フォーマットに従って特定情報を加工して出力する。サーバー制御部20から出力された情報は、ネットワーク90を介して、出力するよう要求した金融側システムに送られることとなる。その結果、当該金融側システムは、自己の要求した出力フォーマットに沿った情報を入手することができる。
別の態様としては、サーバー記憶部30が、金融側システムの各々に関連付けて出力フォーマットを記憶しており、第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムから管理側システム1にネットワーク90を介して特定情報に関する情報を出力するよう要求された際、当該金融側システムに関連付けられた出力フォーマットに従って、特定情報を加工して出力する態様が考えられる。この態様について具体的に説明する。まず、第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムからネットワーク90を介して管理側システム1のサーバー制御部20に、特定情報に関する情報を出力するよう要求がなされる。このように第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムからの要求をサーバー制御部20が受け取ると、当該サーバー制御部20は、当該金融側システムに関連付けられた出力フォーマットをサーバー記憶部30から読み出す。そして、サーバー制御部20は、サーバー記憶部30から読み出された出力フォーマットに従って特定情報を加工して出力する。サーバー制御部20から出力された情報は、ネットワーク90を介して、出力するよう要求した金融側システムに送られることとなる。その結果、当該金融側システムは、自己の要求した出力フォーマットに沿った情報を入手することができる。
ところで、本実施の形態では、管理側システム1から第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムに情報を出力するのに先立ち、第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムから出力される情報の対象つまり範囲が指定されることとなる。その態様の一例としては、第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムから管理側システム1にネットワーク90を介して特定情報に関する情報を出力するよう要求された際に、希望の出力フォーマットで出力される特定情報の対象、つまり希望の出力フォーマットで出力される特定情報の範囲も、第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムから指定されることとなる。
対象(範囲)を指定する際の具体的な例としては、図12に示すように、ユーザ情報の銀行IDとして「自行」を指定し、ユーザ情報の機種として「紙幣処理機A」を指定し、ユーザ情報の号機として「1234号機」を指定し、取引情報の期間として開始日を「2013年7月1日」と指定し、終了日を「2013年7月31日」と指定した態様を挙げることができる。このような対象(範囲)を指定したうえで、第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムから管理側システム1に特定情報に関する情報を出力するよう要求がなされると、サーバー制御部20が、サーバー記憶部30から、情報の出力を要求した銀行の「紙幣処理機A」の「1234号機」に関する特定情報であって、「2013年7月1日」から「2013年7月31日」までの特定情報を、当該銀行の希望する出力フォーマットに従って加工して出力する。そして、サーバー制御部20から出力された情報は、ネットワーク90を介して、出力するよう要求した銀行に送られ、当該銀行は、「自行」の「紙幣処理機A」の「1234号機」に関する情報であって、「2013年7月1日」から「2013年7月31日」までの情報を、当該銀行の希望する出力フォーマットで入手することができる。
《方法》
本実施の形態の紙葉類管理システムにおいて、紙葉類を管理するためには、以下の工程を経る必要がある。
まず、サーバー記憶部30に複数の出力フォーマットを記憶させる必要がある(図9乃至図11参照)。より具体的には、サーバー側フォーマット作成部70(図13参照)で各金融機関の希望する出力フォーマットを作成したり、金融側フォーマット作成部170,270,370(図14参照)で各金融機関の希望する出力フォーマットを作成したりすることで、各金融機関に対応した複数の出力フォーマットを準備し、当該複数の出力フォーマットをサーバー記憶部30に記憶させることができる。
また、サーバー記憶部30に、紙幣処理機400,500,600で紙幣を処理することに伴い取得された特定情報(図8参照)を記憶させる必要がある。より具体的には、紙幣処理機400,500,600で紙幣を処理することに伴い取得された特定情報を、金融側システム100,200,300から管理サーバー10にネットワーク90を介して、随時送るか一定期間ごとに送ることで、紙幣処理機400,500,600で紙幣を処理することに伴い取得された特定情報が管理サーバー10のサーバー記憶部30に記憶されることとなる。ところで、各紙幣処理機400,500,600から出力されて最終的にはサーバー記憶部30に記憶される特定情報は、各紙幣処理機400,500,600に固有の入力フォーマットで作成されてもよいし、各紙幣処理機400,500,600から同じ所定の入力フォーマットで作成されてもよい。
そして、複数の出力フォーマットのうちのいずれか1つの出力フォーマットに従って、特定情報を加工して出力する必要がある。より具体的には、金融側システム100,200,300から指定された出力フォーマット又は金融側システム100,200,300に関連付けられた出力フォーマットに従って、サーバー記憶部30に記憶された特定情報を加工して、情報の出力を要求した金融側システム100,200,300にネットワーク90を介して送ればよい。なお、このように管理側システム1から金融側システム100,200,300に情報を出力するに際しては、出力される情報の対象つまり範囲が金融側システム100,200,300から指定されることとなる(図12参照)。そして、管理側システム1は、金融機関の指定した対象(範囲)に属する情報を、当該金融機関の希望する出力フォーマットに従って加工したうえで、当該金融機関が管理する金融側システム100,200,300にネットワーク90を介して送ることとなる。
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態によって達成される効果であって、まだ述べていない効果又はとりわけ重要な効果について説明する。
本実施の形態によれば、サーバー記憶部30で、特定情報(図8参照)及び複数の出力フォーマット(図9乃至図11参照)が記憶されている。そして、サーバー制御部20が、特定情報を出力フォーマットのいずれか1つに従って加工して出力する。このため、紙幣処理機400,500,600で取得された特定情報をユーザの希望に沿った出力フォーマットに従って加工したうえで、ユーザに提供することができる。
また、特定情報は加工されることなくそのままの状態でサーバー記憶部30に記憶されることから、当該特定情報を長期間にわたり管理し続けることができる。この点について説明する。仮に各金融機関で特定情報を所定のフォーマットに沿って加工して記憶する態様を採用した場合には、特定情報が加工された状態で記憶されることから、紙幣処理機から出力された(生の)特定情報(図8参照)を後々に利用することができないものとなってしまう。この点、本実施の形態では、紙幣処理機400,500,600で取得された特定情報は何ら加工されることなくサーバー記憶部30で記憶される。このため、紙幣処理機400,500,600で取得された特定情報を長期間にわたり管理し続けることができ、紙幣処理機400,500,600から出力された(生の)特定情報を後々に利用することができる。
また、本実施の形態では、上述のように紙幣処理機400,500,600で取得された特定情報が加工されないので、異なる出力フォーマットで紙幣を管理するユーザ間でも相互に当該特定情報(図8参照)を利用することができる。仮に各金融機関で特定情報を所定のフォーマットに沿って加工して記憶する態様を採用した場合には、特定情報が加工された状態で記憶されることから、例えば異なる系列の金融機関に属するユーザや異なる地域にいるユーザの間では、紙幣処理機から出力された情報を相互に利用することが難しいという問題がある。例えばこれらのユーザの間において各ユーザの用いている紙幣処理機から出力されたシリアル番号に基づいて偽札を検索する場合には、他のユーザの用いているフォーマットを解析し、シリアル番号を抽出する処理が必要となり手間がかかるという問題がある。また、ユーザ又は地域でフォーマットの要求項目が異なることから、あるユーザで必須となっている項目が他のユーザのフォーマットに含まれていない場合には、当該フォーマットで記憶された情報は当該ユーザにとって全く利用できないものとなってしまうという弊害も生じる。この点、本実施の形態では、紙幣処理機400,500,600から出力された特定情報が実質的に加工されることなくサーバー記憶部30で記憶されているので、当該特定情報を用いることで、異なる出力フォーマットで紙幣を管理するユーザ間でも相互に当該特定情報を利用することができ、例えば各ユーザの用いている紙幣処理機400,500,600から出力されたシリアル番号に基づいて偽札を検索することも容易に行うことができる。
また、各出力フォーマットがサーバー記憶部30で記憶されることから、出力フォーマットの設定及び変更を容易に行うことができる。各所定のフォーマットに合わせたソフトウエアが必要となるが、仮に各金融機関で特定情報を所定のフォーマットに沿って加工して記憶する態様を採用した場合には、当該ソフトウエアを紙幣処理機に接続されてパソコン等の外部装置又は紙幣処理機にインストールする際に、各ユーザのもとに作業者が出向いてインストール作業を行う必要がある。さらに、所定のフォーマットの内容が変更された際にも、各ユーザのもとに作業者が出向いて、紙幣処理機に接続されてパソコン等の外部装置又は紙幣処理機にインストールされたソフトウエアをアップデートしなければならず、その労力が大きなものとなってしまう。この点、本実施の形態では、サーバー記憶部30内に各出力フォーマットを記憶させる態様となっている。このため、ユーザのもとに作業者が出向くことなく、管理側システム1のサーバー記憶部30に出力フォーマットを記憶させるだけでインストールが完了し、出力フォーマットの内容が変更された際にも当該サーバー記憶部30に記憶されている出力フォーマットをアップデートするだけでよく、出力フォーマットの設定及び変更を容易に行うことができる。ちなみに、管理側システム1が、一管理者によって管理されている場合には、当該管理者のみで全ての出力フォーマットの設定及び変更を行うことができるので、これらの設定及び変更が非常に容易になる。
また、本実施の形態の管理側システム1は、ユーザである金融機関とは異なる管理者(例えば情報処理サービス会社)によって管理されていることから、ユーザ側には余分な導入コスト及び維持管理コストがかからない。
また、本実施の形態の特定情報には、紙幣処理機400,500,600のユーザに関するユーザ情報が含まれていることから、各金融機関は、ユーザ情報を有する出力フォーマットに沿った情報を入手したり、ユーザ情報に基づいて特定情報の対象(範囲)を絞ったりすることができる。より具体的には、本実施の形態のユーザ情報には、銀行ID等の金融機関ID、IPアドレス又はFTPアカウント、紙幣処理機400,500,600の機種、紙幣処理機400,500,600の号機、オペレータID等が含まれているので(図8参照)、これらの項目を適宜組み合わせた出力フォーマットを作成したり、これらの項目を用いて管理側システム1から出力される特定情報の対象(範囲)を絞ったりすることができる。
また、本実施の形態の特定情報には、紙幣処理機400,500,600で行われた取引に関する取引情報も含まれていることから、各金融機関は、取引情報を有する出力フォーマットに沿った情報を入手したり、取引情報に基づいて特定情報の対象(範囲)を絞ったりすることができる。より具体的には、本実施の形態の取引情報には、取引ID、取引開始日時、取引終了日時等が含まれているので(図8参照)、これらの項目を適宜組み合わせた出力フォーマットを作成したり、これらの項目を用いて管理側システム1から出力される特定情報の対象(範囲)を絞ったりすることができる。
また、本実施の形態の特定情報には、シリアル番号を含む識別情報が含まれている。このため、各ユーザの用いている紙幣処理機400,500,600から出力されたシリアル番号に基づいて偽札を検索することも容易に行うことができる。つまり、本実施の形態によれば、同じ金融機関及び同系列の金融機関に限らず異なる系列の金融機関の間、並びに、異なる地域にある金融機関の間でもシリアル番号を簡単に抽出することができ、ユーザの所属先やユーザのいる地域に関する縛りを受けることなく、偽札の検索を容易に行うことができる。
また、上述の識別情報には、シリアル番号の他にも、1つの取引内における紙幣の順番である紙幣通し番号、紙幣のイメージ、通貨の種類、金種、版数又は新旧、真偽、正損、搬送エラー要因、正損要因、センサ値等が含まれているので(図8参照)、これらの項目を適宜組み合わせた出力フォーマットを作成したり、これらの項目を用いて管理側システム1から出力される特定情報の対象(範囲)を絞ったりすることができる。
また、本実施の形態では、管理側システム1にネットワーク90を介して複数の金融側システム、つまり第一金融側システム100、第二金融側システム200、第三金融側システム300、・・・、第N金融側システムの各々が通信接続されている。そして、複数の金融側システム(図1に示した態様では第一金融側システム100及び第二金融側システム200)の各々が紙幣処理機400,500,600を有している。このため、管理サーバー10は、管理側システム1にネットワーク90を介して接続された複数の金融側システム100,200に含まれる複数の紙幣処理機400,500,600の各々から特定情報を取得することができ、サーバー記憶部30は多数の金融機関の紙幣処理機で取得された特定情報を一元的に取得し管理することができる。なお、各金融機関で用いられている紙幣処理機400,500,600が同じメーカーであるとは限らず、様々なメーカーの紙幣処理機400,500,600が混在している可能性がある。このため、様々なメーカーの紙幣処理機400,500,600から得られた特定情報を管理側システム1で一元的に取得し管理することが想定されている点には留意が必要である。
また、本実施の形態では、紙幣処理機400,500,600から出力された(生の)特定情報をサーバー記憶部30で記憶し、必要に応じて、最適な出力フォーマットで当該特定情報を加工する態様となっている。このため、各紙幣処理機400,500,600から出力される特定情報が現状のように各紙幣処理機400,500,600に固有のフォーマットとなっていても、そのフォーマットを何ら加工することなく、各紙幣処理機400,500,600に固有の入力フォーマットでサーバー記憶部30に記憶させることができる。ところで、仮に各紙幣処理機400,500,600から出力される特定情報のフォーマットが統一され、同じ所定の入力フォーマットで各紙幣処理機400,500,600からサーバー記憶部30に入力されるようになった場合には、サーバー記憶部30での特定情報の管理や検索等がしやすくなるというメリットが存在する。
図13に示すように、管理側システム1が、サーバー制御部20及びサーバー記憶部30の他に、出力フォーマットを作成するサーバー側フォーマット作成部70を備えている場合には、管理側システム1内で出力フォーマットを適宜作成することができる。このため、管理側システム1の管理者は、金融機関等のユーザに希望に沿った出力フォーマットの作成をビジネス上のサービスとして提供することができる。
図14に示すように、金融側システム100,200,300が、出力フォーマットを作成する金融側フォーマット作成部170,270,370を備えている場合には、金融機関等のユーザが自己の希望に沿った出力フォーマットをいつでも作成することができ、また、細かな希望に沿った出力フォーマットを作成しやすくなるというメリットが存在する。
金融側システム100,200,300から出力フォーマットが指定される態様を採用した場合には、各金融機関の希望に合致した又は当該希望に最も類似した出力フォーマットで情報を出力することができるので、状況に応じて代わりうる金融側システム100,200,300の出力フォーマットに関するニーズに適宜対応することができる。
また、金融側システム100,200,300から管理側システム1に特定情報に関する情報を出力するよう要求された際、当該金融側システム100,200,300に関連付けられた出力フォーマットに従って特定情報を加工して出力する態様を採用した場合には、金融機関等のユーザは出力フォーマットを指定する必要がなくなるので、ユーザの手間を省くことができる。また、仮にユーザの担当者が当該ユーザで必要とされている出力フォーマットについて詳しく知らなくても、当該ユーザで必要とされている出力フォーマットに沿った情報をユーザが確実に入手することができる。
ちなみに、サーバー記憶部30が、金融側システム100,200,300だけでなく、その使用用途にも関連付けて出力フォーマットを記憶していてもよい。この場合には、金融側システム100,200,300が管理側システム1に特定情報に関する情報を出力するよう要求した際、その使用用途を指定することで、管理側システム1は、当該金融側システム100,200,300の使用用途にも応じた出力フォーマットに従って、特定情報を加工して出力することができる。この場合には、金融機関等のユーザは、使用用途にも沿った出力フォーマットで情報を入手することができる点で有益である。
本実施の形態では、管理側システム1から金融側システム100,200,300に情報を出力するのに先立ち、出力される情報の対象つまり範囲を指定することができる(図12参照)。このため、金融機関等のユーザは、その目的に合致した必要な対象(範囲)の情報のみを適宜取得することができる。
最後になったが、上述した実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。