JP6264566B2 - 白金族元素を含む浸出生成液の製造方法 - Google Patents
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Description
このような白金族元素含有物から白金族元素を相互分離する方法として、特許文献2が知られている。この特許文献2に開示される方法は、白金族元素含有物を塩酸に懸濁後、酸化剤を添加して溶解し、白金族元素を含む浸出生成液とし、この浸出生成液から、溶媒抽出工程や沈殿分離工程などによって個々の白金族元素を精製するものである。
焙焼工程の目的は、白金族元素含有物から油分を除去し、白金族元素含有物に含まれる錫を酸化し、焼却灰を得ることである。
500℃未満では、油分や酸化錫(II)が多く残ることがあるが、500℃以上では、油分を十分に揮発除去または燃焼除去でき、錫を十分に酸化できるので、溶解工程で問題を生じない。一方、800℃を超える高温になると、溶解工程において白金族の溶解が不十分となってしまうが、800℃以下では、溶解工程で白金族元素の溶解率が高い。焙焼温度が800℃を超えた場合に、溶解工程において白金族元素の溶解が不十分となる理由として、発明者らは、焙焼工程において白金族元素が焼結され閉じ込められるためと考えている。
特に望ましい焙焼温度は、600℃〜700℃である。この温度範囲では白金族元素の溶解率を高く、しかも、錫の溶解率を低く抑えることができるためである。
溶解工程の目的は、焙焼工程で得られた焼却灰から白金族元素を溶解し、白金族元素を含む浸出生成液を得ることである。焼却灰を塩酸および酸化剤とよく接触させることで、白金族元素は酸化されて塩化物錯イオンを形成する。その際、塩酸は、酸化された白金族元素によって消費され、徐々に濃度が低下する。
80℃未満では、塩酸または酸化剤との反応が速やかに進まないが、80℃以上では短時間で反応を進めることができる。一方、95℃を超えると、塩素の溶解度が低いので、酸化剤から生じる塩素が塩酸中から失われやすいが、95℃以下では多くの溶存塩素を反応に使うことができる。
図2に示すように、焙焼工程に先立って還元工程を行ってもよい。
この還元工程の目的は、白金族と油分を含む液または白金族と錫を含む液を還元処理し、還元澱物を得ることである。この還元澱物は、油分または錫を含む白金族元素含有物であるので、焙焼工程で処理が可能である。
さらに、他の金属元素よりも白金族元素を優先的に沈殿でき、白金族元素が濃縮した還元澱物を得ることができる。このような還元澱物を焙焼して得られる焼却灰は、白金族元素の純度が高い点で優れている。
ヒドラジンは十分な還元力を有する点や、焙焼工程によって分解生成物などの除去が容易な点で優れている。
次に、その還元澱物を黒鉛坩堝に入れ、その黒鉛坩堝を電気炉に装入し、電気炉内の雰囲気温度を500℃まで昇温後、その温度に3時間保持した後、雰囲気温度が30℃になるまで自然冷却した。
その後、そのビーカーに25%亜塩素酸ソーダ水溶液を3ml/分の流量で滴下した。滴下開始15分程度で泡が発生したが、泡は直ぐに収まったので滴下を継続した。亜塩素酸ソーダが50ml滴下された時点で滴下を終了し、ビーカーを30℃まで自然冷却して実施例1に係る浸出生成液(この浸出生成液の量をBとし、実施例1ではB=0.350[L])を作製した後、ビーカーの内容物を濾過して、溶解残渣と赤色の溶解液とに分離した。溶解残渣と溶解液について、各元素の含有量を分析した。その結果を用いて、(1)式に基づいて各元素の溶解率を算出した、算出した各元素の溶解率を表1に示す。
その後、実施例1と同様の条件で、亜塩素酸ソーダ水溶液を滴下したとき、溶液の色が直ぐに赤色に変化した点と、滴下終了まで泡の発生がなかった点が実施例1とは異なった。
その後、実施例1と同様の条件で、亜塩素酸ソーダ水溶液を滴下したとき、溶液の色が直ぐに赤色に変化した点と、滴下終了まで泡の発生がなかった点が実施例1とは異なった。
その後、実施例1と同様の条件で、亜塩素酸ソーダ水溶液を滴下したとき、溶液の色が直ぐに赤色に変化した点と、滴下終了まで泡の発生がなかった点が実施例1とは異なった。
その後、実施例1と同様の条件で、亜塩素酸ソーダ水溶液を滴下したとき、溶液の色及び滴下後の泡の発生状況は、実施例2と同様の結果を得た。
その後、実施例1と同様の条件で、亜塩素酸ソーダ水溶液を滴下したとき、溶液の色及び滴下後の泡の発生状況は、実施例2と同様の結果を得た。
電気炉から黒鉛坩堝を取り出したときに、黒鉛坩堝内には乾燥した焼却灰のみが残っていた。
黒鉛坩堝から取り出した焼却灰に、亜塩素酸ソーダ水溶液を滴下したとき、溶液の色が直ぐに赤色に変化し、滴下終了まで泡の発生は見られなかった。
還元澱物を電気炉で加熱せず、即ち焙焼処理せずにビーカーに入れた点のみが実施例1と異なる方法で、廃液を処理した。
亜塩素酸ソーダ水溶液を滴下したとき、滴下開始の約15分後に泡が多量に発生し突沸が生じたため、それ以降の操作を中止した。
電気炉内の雰囲気温度を400℃にした点のみが実施例1と異なる方法で、廃液を処理した。電気炉から黒鉛坩堝を取り出したとき、黒鉛坩堝内にはスラリーが残っていた。このスラリーを、5C濾紙で固液分離して得た固形物を、焼却灰のかわりに処理した。
亜塩素酸ソーダ水溶液を滴下したとき、滴下開始の約15分後に泡が多く発生した点が実施例1とは異なった。
焙焼時における電気炉内の雰囲気温度を900℃にした点と、その温度を2時間維持した点のみが実施例1と異なる方法で、廃液を処理した。
亜塩素酸ソーダ水溶液を滴下したとき、溶液の色が直ぐに赤色に変化した点と、滴下終了まで泡の発生がなかった点が実施例1とは異なった。
ビーカーに入れた塩酸の量が300mlである点と、塩酸とともに水を入れなかった点のみが実施例2と異なる方法で、廃液を処理した。スリーワンモーターで攪拌し温度を調整したとき、泡が多く発生した点が実施例2とは異なった。
スリーワンモーターで攪拌したときの混合物の温度のみが実施例2と異なる方法で、廃液を処理した。スリーワンモーターで攪拌し温度を調整したとき、98℃まで昇温したところ泡が多く発生したため、昇温を一時中断したところ、95℃まで温度が低下した時点で泡の発生が止んだ点が実施例2とは異なった。
廃液に還元剤のヒドラジンを添加しなかった点と、黒鉛坩堝に還元澱物でなく廃液を入れた点と、黒鉛坩堝として大型のものを使用した点と、電気炉内の雰囲気温度を800℃にした点と、その温度を6時間維持した点のみが実施例1と異なる方法で、廃液を処理した。
電気炉から黒鉛坩堝を取り出したとき、黒鉛坩堝内には湿り気のある固形物が残っていた。この固形物を、焼却灰のかわりに処理した。
亜塩素酸ソーダ水溶液を滴下したとき、滴下開始の約15分後に泡が多く発生した点が実施例1とは異なった。
実施例1の条件で作製した乾燥した還元澱物を軽く粉砕後、容量500mlのビーカーに入れ、続いて、そのビーカーに12.0mol/Lの塩酸160mlと水140mlとを加えて混合物を作製し、その混合物をスリーワンモーターで激しく攪拌しながら混合物の温度を85℃に調整、保持した以外は、実施例1と同様にして比較例7に係る供試材を作製した。
その後、実施例1と同様の条件で、亜塩素酸ソーダ水溶液を滴下したとき、溶液の色の変化に時間を要した点と、溶液の色が薄紅色になった点が実施例1とは異なった。
また、溶解率は実施例1と同様に測定し、その結果を表1に示した。
表1に、処理条件と、上記(1)式に基づいて算出した各元素の溶解率を示す。
また、実施例1〜4によれば、高温になるほど、白金族元素の溶解率が低下した。この白金族元素の溶解率が低下した原因として、還元澱物が焼結され比表面積が減少したのではないかと考えている。
比較例6でみられた泡が、実施例7にはないことから、焙焼によって乾燥状態にすることが、油分を除去し、泡の発生を最小化するために役立つことが分かる。
Claims (4)
- 白金族元素と油分を含む液、又は白金族元素と錫を含む液を、還元処理して得られる還元澱物である白金族元素含有物から白金族元素の分離に適した白金族元素を含む浸出生成液の製造方法であって、
前記白金族元素と油分を含む液、又は白金族元素と錫を含む液を、還元処理して得られる還元澱物である白金族元素含有物を、500℃〜800℃の温度で焙焼して焼却灰を形成し、前記焼却灰と塩酸の混合物を80〜95℃の温度に調整、保持した状態で酸化剤を混合、冷却して、白金族元素の分離に適した白金族元素を含む浸出生成液を作製することを特徴とする白金族元素を含む浸出生成液の製造方法。 - 1Lの前記浸出生成液を作製するのに必要な前記塩酸に含まれる塩化水素の量が、6〜10molであることを特徴とする請求項1に記載の白金族元素を含む浸出生成液の製造方法。
- 前記酸化剤が、塩素ガス、塩素酸ソーダ、亜塩素酸ソーダ、次亜塩素酸ソーダからなる群より選ばれた1種以上を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の白金族元素を含む浸出生成液の製造方法。
- 前記還元処理が、還元剤にヒドラジンを用いて行うことを特徴とする請求項1記載の白金族元素を含む浸出生成液の製造方法。
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