以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
[実施の形態1]
最初に本実施の形態の半導体装置の構成の概略について説明する。
図1(a)〜(c)は、本発明の実施の形態1における半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。図2は、本発明の実施の形態1における半導体装置の構成を概略的に示す上面図である。図1(a)〜(c)を参照して、本実施の形態のIGBTチップは電力用の半導体装置であり、トレンチゲート型の半導体素子であるIGBT素子ELと、抵抗素子であるトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tとを有している。
図1(a)および(b)を参照して、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは半導体基板101に設けられた第1の溝部T1の中に絶縁膜14bを介して形成されている。これによりトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは第1の溝部T1が深くされることにより電流経路の断面積が大きくなる構成を有している。
図1(a)および(c)を参照して、IGBT素子ELは上記の半導体基板101の一部をチャネル領域として有している。またIGBT素子ELはこのチャネル領域を制御するための多数のゲート電極13を有している。ゲート電極13の個数は、たとえば数百〜数万個である。
図1(a)〜(c)および図2を参照して、IGBT素子ELの各セルのゲート電極13は、ゲート主配線5により互いに電気的に接続されている。このゲート主配線5は、ゲートパッド1周辺においてトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tを介してゲートパッド1と電気的に接続されている。
これによりIGBTチップは、ゲートパッド1に対する入力がトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tを介してIGBT素子ELの各ゲート電極13に伝達される構成を有している。すなわちゲート電極13を流れる電流に対する抵抗(ゲート抵抗)となるようにトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tがゲート電極13と電気的に接続されている。このゲート抵抗は、主にゲート電極13に伝達される電位を遅延させたり、IGBT素子ELのスイッチング時の電流/電圧の立ち上がりなどを調整したりする機能を有している。
なおゲート主配線5は、たとえば高濃度に不純物がドープされたゲート材料であるn型多結晶シリコンからなる多結晶シリコン層12bを有する。またゲート主配線5は、配線としての抵抗が低減されるように主配線金属層10bを有している。主配線側コンタクトホール9bにおいて多結晶シリコン層12bと主配線金属層10bとは接触しており、互いに電気的に接続されている。
次に本実施の形態の半導体装置の構成の詳細について説明する。図3は、図2のIII部の概略的な部分上面図である。図4は、図3のゲートパッド、ゲート主配線およびエミッタパッド(エミッタ電極)が省略された図である。図5は、図4の層間絶縁膜が省略された図である。図6は、図5のゲートパッド側および主配線側の多結晶シリコン層が省略された図である。図7は、図6のゲート酸化膜の一部および絶縁膜の一部が省略された図である。なお、図3〜図7のIa−Ia線、Ib−Ib線およびIc−Ic線のそれぞれは、図1(a)〜(c)の各々の断面位置を示す。
再び図1(a)を参照して、IGBTチップは、基材として半導体基板101を有している。またIGBTチップは、この半導体基板101の一部を含むIGBT素子ELを有している。またIGBTチップは、絶縁膜14bと、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tと、フィールド酸化膜7と、多結晶シリコン層12a,12bと、層間絶縁膜11と、ゲートパッド金属層10aと、主配線金属層10bとを有している。
なおフィールド酸化膜7は、半導体基板101と多結晶シリコン層12a,12bとを絶縁している膜であり、たとえばLOCOS(Local Oxidation of Silicon)法などにより形成されている。またゲートパッド金属層10aおよび主配線金属層10bは、たとえばアルミニウム合金などの低抵抗の導電体材料からなる。
主に図1(a)、(b)および図7を参照して、半導体基板101は絶縁膜14bにより内面が被覆された第1の溝部T1を有している。すなわち、第1の溝部T1の底面と側面とが絶縁膜14bにより被覆されている。この絶縁膜14bにより、第1の溝部T1の中に設けられたトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tと半導体基板101とが電気的に絶縁されている。
第1の溝部T1の寸法は、たとえば深さ寸法(図1(a)の縦方向の寸法)約10μm、幅寸法(図1(b)の横方向の寸法)1.2μmであり、図7に示すように複数の第1の溝部T1が2.5μmピッチで並走するように形成されている。絶縁膜14bは第1の溝部T1の寸法に比して小さい膜厚寸法を有している。絶縁膜14bの膜厚は、たとえば数十から200nmである。
なお隣り合うトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの間には複雑な構造がないため、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tのためのトレンチ(第1の溝部T1)のピッチは、ゲート電極13のためのトレンチ(第2の溝部T2)のピッチよりも小さくすることが可能である。すなわち第1の溝部T1のピッチは、たとえば2.5μm程度の狭いピッチとすることもできる。
トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは電気抵抗体として用いられる材料からなり、たとえば1×1019/cm3以上の高濃度にドープされたn型多結晶シリコンからなる。トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは、たとえばゲート電極13の幅寸法W1(図6)と同一の幅寸法を有し、長さ方向(図6の横方向)に沿って流れる電流に抵抗を与える機能を有している。トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの深さ寸法(図1(a)および(b)の縦方向の寸法)は、たとえば5〜20μmである。
トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの抵抗値は、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tが埋め込まれるトレンチの寸法や、埋込まれるn型多結晶シリコンのドーピング濃度に依存する値である。この抵抗値はトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの長さ1mmに対し、たとえば数百Ωから数kΩである。
また1本のトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは数十から数百mAの電流を流すことができる信頼性を有している。1本のトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは、たとえば長さ1mm当たり1kΩの抵抗値を有し、最大200mAの電流を流すことが可能な信頼性を有している。最大5Aの電流が流される8Ωの抵抗を得るためには、長さ200μmのトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tが25本並列接続されればよい。
図1(a)および(b)を参照して、第1の溝部T1に埋め込まれるように形成されたトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは、第1の溝部T1の開口側においては層間絶縁膜11により被覆されている。層間絶縁膜11には、ゲートパッド側コンタクトホール9aおよび主配線側コンタクトホール9bが形成されている。
ゲートパッド側コンタクトホール9aにおいては、ゲートパッド金属層10aが多結晶シリコン層12aを介してトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tと接続されている。主配線側コンタクトホール9bにおいては、主配線金属層10bが多結晶シリコン層12bを介してトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tと接続されている。
図1(a)および図3を参照して、ゲートパッド金属層10aの上面側はゲートパッド1としての機能を有している。すなわちゲートパッド金属層10aの上面側は、ワイヤボンディングなどにより外部からの配線を接続することができるように構成されている。主配線金属層10bは多結晶シリコン層12bと共にゲート主配線5を構成している。
図1(a)を参照して、IGBT素子ELが形成された領域においてIGBTチップは、半導体基板101と、ゲート絶縁膜14aと、ゲート電極13と、多結晶シリコン層12bと、層間絶縁膜11と、エミッタパッド18とを有している。
図2を参照して、IGBT素子ELは、エミッタパッド18が形成された領域において、たとえば数百から数万個のセルからなる構造を有している。IGBT素子ELは各セルにゲート電極13を有している。
図1(a)、(c)および図7を参照して、半導体基板101は、n型エミッタ領域15と、高濃度p型領域16と、p型チャネル領域17と、低濃度n型ドリフト領域8と、n型バッファ領域20と、p型コレクタ領域19とを有している。
また半導体基板101はゲート絶縁膜14aにより内面が被覆された第2の溝部T2を有している。すなわち、第2の溝部T2の底面と側面とがゲート絶縁膜14aにより被覆されている。このゲート絶縁膜14aにより、第2の溝部T2の中に設けられたゲート電極13と半導体基板101とが電気的に絶縁されている。
T2の寸法は、たとえば深さ寸法(図1(a)の縦方向の寸法)約10μm、幅寸法(図1(c)の横方向の寸法)1.2μmであり、図7に示すように複数の第2の溝部T2が5.0μmピッチで並走するように形成されている。ゲート絶縁膜14aは第2の溝部T2の寸法に比して小さい膜厚寸法を有している。ゲート絶縁膜14aの膜厚は、たとえば数十から200nmである。ゲート電極13は、たとえば1×1019/cm3以上の高濃度にドープされたn型多結晶シリコンから形成されている。
図1(a)、(c)および図5を参照して、ゲート電極13には多結晶シリコン層12bが接触している。これによりゲート電極13はゲート主配線5と接続されている。
図1(a)、(c)を参照して、第2の溝部T2に埋め込まれるように形成されたゲート電極13は、第2の溝部T2の開口側においては層間絶縁膜11により被覆されている。
図3および図4を参照して、層間絶縁膜11には、エミッタ用コンタクトホール9dが形成されている。エミッタ用コンタクトホール9dを介して、エミッタパッド(エミッタ電極)18が、n型エミッタ領域15と、高濃度p型領域16と、p型チャネル領域17とに接続されている。
上記の構成において好ましくは、図1(a)に示すように、ゲートパッド側コンタクトホール9aはトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの第1の溝部T1の開口側の面と重複領域を有するように形成されている。すなわち、層間絶縁膜11は、ゲートパッド側コンタクトホール9aの一部として、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの第1の溝部T1の開口側におけるゲートパッド側コンタクトホール9aDを有している。
また、主配線側コンタクトホール9bはトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの第1の溝部T1の開口側の面と重複領域を有するように形成されている。すなわち、層間絶縁膜11は、主配線側コンタクトホール9bの一部として、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの第1の溝部T1の開口側における主配線側コンタクトホール9bDを有している。
また、図1(a)および図2に示すように、ゲートパッド1とゲート主配線5とは層間絶縁膜11により分離されており、ゲートパッド1とゲート電極13との間の電流経路は実質的にトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tを経由する電流経路のみである。ここで実質的な電流経路とは、寄生容量や寄生インダクタンスに起因する電流経路や、絶縁体中を流れる微小な電流の経路を含まない電流経路である。
また、図1(a)〜(c)および図7に示すように、半導体基板101は、絶縁膜14bと接し、かつIGBT素子ELの低濃度n型ドリフト領域8と反対の導電型を有するp型領域21を含んでいる。さらに好ましくは、p型領域21を低濃度n型ドリフト領域8と反対の導電型とするための不純物濃度が、IGBT素子ELのp型チャネル領域17を低濃度n型ドリフト領域8と反対の導電型とするための不純物濃度よりも高くされている。
またp型領域21に反転層が形成されないようにp型領域21の電位が制御されている。この制御が行なわれるために、たとえばp型領域21がIGBT素子ELのn型エミッタ領域15と電気的に接続されている。
次に本実施の形態のIGBTチップの使用方法について説明する。図8は、本発明の実施の形態1における半導体装置がプリント基板に実装された状態の概略的な等価回路を示す図である。図9は、本発明の実施の形態1における半導体装置のゲートパッドと、プリント基板のパッドとの接続の様子を概略的に示す説明図である。
図8および図9を参照して、IGBTチップの回路100は、たとえばプリント基板の回路200に組み込まれて使用される。プリント基板は、外部エミッタパッド3eと、外部ゲートパッド3gと、外部コレクタパッド3cとを有している。外部エミッタパッド3eと、外部ゲートパッド3gと、外部コレクタパッド3cとは、たとえばアルミニウム合金などの、低抵抗の導電体材料からなる。
IGBTチップのゲートパッド1と、プリント基板の外部ゲートパッド3gとは、アルミニウムや金などからなるワイヤ2aにより接続される。またIGBTチップのn型エミッタ領域15(図1(c))およびp型コレクタ領域19(図1(a))のそれぞれが、外部エミッタパッド3eおよび外部コレクタパッド3cの各々と電気的に接続されている。外部ゲートパッド3gには、外部から電位Vgが印加される。
なお、図8におけるコンデンサの記号およびコイルの記号のそれぞれは、IGBTチップにおける寄生容量および寄生インダクタンスの各々を表わしている。また図中の矢印は、IGBT素子ELのコレクタおよびエミッタからの出力が寄生容量および寄生インダクタンスを介してゲート電極に帰還する経路を表わしている。
なお本実施の形態の半導体装置は、後述する実施の形態2における半導体装置の製造方法の一部が簡略化された方法により製造することができる。
次に、本実施の形態におけるトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの構成の変形例について説明する。
図10は、本発明の実施の形態1の半導体装置の変形例における抵抗素子の構成を概略的に示す平面図である。図10を参照して、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは、ゲートパッド側コンタクトホール9aと面する部分において、層間絶縁膜11に面する部分における最小幅と等しい幅寸法W1よりも広い幅寸法WE1を有する部分を含んでいる。またトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは、主配線側コンタクトホール9bと面する部分において、層間絶縁膜11に面する部分における最小幅である幅寸法W1よりも広い幅寸法WE1を有する部分を含んでいる。
本変形例におけるトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの形状は図10に示す形状に限定されるものではなく、たとえば図11〜図15に示す形状とすることができる。なお、図11〜図15においては、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tのゲートパッド側コンタクトホール9aと面する部分の近傍について示すが、主配線側コンタクトホール9bと面する部分についても同様の構成とすることができる。
次に第1の比較例について説明する。
最初に本比較例における半導体装置の構成について説明する。図16は、第1の比較例における半導体装置の構成を概略的に示す上面図である。図16を参照して、本比較例の半導体装置としてのIGBTチップは、互いに一体となって形成されているゲートパッド1Cおよびゲート主配線5を有している。ゲートパッド1Cとゲート主配線5とは一体であるため、両者の間にはゲート抵抗としての抵抗素子が存在しない。
次に本比較例におけるIGBTチップの使用方法について説明する。図17は、第1の比較例における半導体装置のゲートパッドと、プリント基板のパッドとの接続の様子を概略的に示す説明図である。図18は、第1の比較例における半導体装置がプリント基板に実装された状態の概略的な等価回路である。
図17を参照して、IGBTチップとは別部品として外付ゲート抵抗4eが準備され、外部ゲートパッド3gに接続される。ゲート電極の電位を制御するためには外付ゲート抵抗4eを介して外部から電位Vgが印加される。
図18を参照して、コンデンサの記号およびコイルの記号のそれぞれは、IGBTチップの回路100Cにおける寄生容量および寄生インダクタンスの各々を表わしている。また図中の矢印は、IGBT素子ELのコレクタおよびエミッタからの出力が寄生容量および寄生インダクタンスを介してゲート電極に帰還する経路を表わしている。
外付ゲート抵抗4eはIGBT素子ELのゲート電極と外部ゲートパッド3gとの間に設けられていない。すなわちIGBT素子ELのコレクタおよびエミッタからの出力がゲート電極に帰還する経路上に外付ゲート抵抗4eが存在しない。
このため、外部ゲートパッド3gの電位が外部からのノイズにより変動すると、その電位変動が寄生インダクタンスを介してIGBT素子ELのゲート電極に直接伝達される。この結果、ゲート電極がノイズの影響を受けやすい。
また、上記変動がIGBT素子ELをアンプとして、図中矢印の示された経路によりIGBT素子ELのゲート電極に戻る際に、以下の式で表わされるQ値が大きくなる。
このため、ゲート・エミッタ間電圧Vge、コレクタ・エミッタ間電圧Vce、コレクタ電流Icなどに発振が発生しやすい。なお上記の式においてLは寄生インダクタンス、Cは寄生容量、Rはゲート抵抗を表わす。
次に第2の比較例について説明する。図19は、第2の比較例における半導体装置の概略的な部分平面図である。図20は、図19のXX−XX線に沿った概略的な断面図である。なお、図19が示す位置は、図5が示す位置と対応しており、図5と同様にゲートパッド、ゲート主配線、エミッタパッドおよび層間絶縁膜が省略されている。
図19および図20を参照して、本比較例の半導体装置としてのIGBTチップは、ゲートパッド1とゲート主配線5との間に、ゲート抵抗として平面型内蔵ゲート抵抗4pを有している。平面型内蔵ゲート抵抗4pは、フィールド酸化膜7上に設けられ、半導体基板101の基板面と平行な面を有する平面型の抵抗素子である。平面型内蔵ゲート抵抗4pは、たとえば膜厚数百nm程度の多結晶シリコン膜がパターニングされて形成されている。
たとえば数百から数万のIGBT素子ELのゲート電極13に電流が供給される場合、平面型内蔵ゲート抵抗4pは大電流に耐える信頼性を有する必要がある。このため電流密度が過度に高くならないように電流経路に対する断面積が大きくされる。断面積を大きくするためには、平面型内蔵ゲート抵抗4pの膜厚寸法(図20における縦方向の寸法)を大きくするか、または幅寸法(図19における縦方向の寸法)を大きくする必要がある。
膜厚寸法が大きくされるためには、膜形成に要するプロセス時間が長くなる。たとえば通常用いられる平面型内蔵ゲート抵抗4pの厚みである数百nmの厚さの多結晶シリコンが堆積されるには数時間を要する。この膜厚が数μmまで大きくされる場合、堆積時間が数十時間となり、製造コストが増大する。また、多結晶シリコン膜が厚くなることにより、パターニングにおける写真製版時の焦点深度の確保や、エッチング時の段差部分での残渣の除去などが困難となる。
平面型内蔵ゲート抵抗4pの幅寸法が大きくされると、半導体基板101の基板面において平面型内蔵ゲート抵抗4pが占める面積が大きくなり、半導体装置の小型化の要請に適合しなくなる。
図20を参照して、平面型内蔵ゲート抵抗4pの下に設けられたフィールド酸化膜7は、通常、約1μmまたはそれ以上の厚さを有する。またフィールド酸化膜7は酸化膜であることから熱伝導度が小さい。すなわち平面型内蔵ゲート抵抗4pの下には熱伝導度の小さい膜が厚く形成されている。このため平面型内蔵ゲート抵抗4pの放熱が妨げられ、平面型内蔵ゲート抵抗4pの温度上昇が生じ、温度依存性に起因する抵抗値の変化が生じやすい。
本実施の形態によれば、IGBT素子ELのゲート電極13がトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tに電気的に接続されている。これによりトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tがゲート電極13のゲート抵抗として機能することができる。
また、図1(a)および(b)に示すように、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは第1の溝部T1の中に設けられている。このため第1の溝部T1の深さ寸法を大きくすることによりトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの深さ方向の寸法も大きくすることができる。よって、半導体基板101の基板面におけるトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの平面積(図6における面積)が小さく保たれたまま、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの電流密度を低減し、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの信頼性を高めることができる。
また、図8に示すように、ゲートパッド1はトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tを介してゲート電極13と接続されている。このため、ゲートパッド1やゲートパッド1に接続された外部ゲートパッド3gに加わったノイズによる電位変化は、ゲート電極13に伝達される際にトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tにより抑制される。
また好ましくは、ゲートパッド1とゲート電極13との間の電流経路は実質的にトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tを経由する電流経路のみである。このためトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tをバイパスする電流経路がなく、このバイパスする電流経路に起因して実質的なゲート抵抗が低下したり、IGBTチップに故障が発生したりすることを防止することができる。
また、図1(a)に示すように、層間絶縁膜11は、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの第1の溝部T1の開口側において、ゲートパッド側コンタクトホール9aDを有している。このためゲートパッド1とトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tとの間の電気的経路が広く確保され、電流集中による信頼性劣化を防止することができる。
また、図1(a)に示すように、層間絶縁膜11は、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの第1の溝部T1の開口側において、第1の溝部T1の開口側における主配線側コンタクトホール9bDを有している。このためゲート主配線5とトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tとの間の電気的経路が広く確保され、電流集中による信頼性劣化を防止することができる。
また、図1(a)および(c)に示すようにゲート電極13が第2の溝部T2内に設けられているため、ゲート電極13の構造をトレンチゲート構造とすることができる。この第2の溝部T2は第1の溝部T1と同時に形成することができるため、トレンチゲート形成のためのプロセスコストを抑制することができる。
また、図1(a)および(b)に示すように、半導体基板101は、絶縁膜14bと接し、かつIGBT素子ELの低濃度n型ドリフト領域8と反対の導電型を有するp型領域21を含んでいる。これにより、IGBT素子ELのコレクタとエミッタとの間の耐圧劣化を防止することができる。
またより好ましくは、p型領域21を低濃度n型ドリフト領域8と反対の導電型とするための不純物濃度が、IGBT素子ELのp型チャネル領域17を低濃度n型ドリフト領域8と反対の導電型とするための不純物濃度よりも高くされている。これにより、p型領域21をn型に反転させずにp型チャネル領域17をn型に反転させることができる。なお上記第2の比較例のようにゲート抵抗とp型領域21との間に約1μmから2μmの比較的厚いフィールド酸化膜7がある場合に比して、本実施の形態のように数十から200μm程度の薄い絶縁膜14bしかない場合は、比較的容易にp型領域21の導電型の反転が起こる。よって上述した不純物濃度の設定により大きな効果を得ることができる。
またp型領域21に反転層が形成されないようにp型領域21の電位が制御されている。この制御が行なわれるために、たとえばp型領域21がIGBT素子ELのn型エミッタ領域15と電気的に接続されている。これによりIGBT素子ELのコレクタとエミッタとの間の耐圧劣化を防止することができる。
[実施の形態2]
最初に本実施の形態の半導体装置としてのIGBTチップの構成について説明する。
図21は、本発明の実施の形態2における半導体装置の構成を概略的に示す部分平面図である。図22〜図24のそれぞれは、図21のXXII−XXII線、XXIII−XXIII線およびXXIV−XXIV線の各々に沿った概略的な断面図である。
なお、図21が示す位置は、図6が示す位置と対応している。また図21においては、図6と同様に、ゲートパッド、ゲート主配線、エミッタパッド、層間絶縁膜、およびゲートパッド側と主配線側との多結晶シリコン層が省略されている。
図21〜図24を参照して、本実施の形態のIGBTチップは金属部22を有している。金属部22は、第1の溝部T1に埋込まれた金属部22b1,22b2と、第2の溝部T2に埋め込まれた金属部22aとを含んでいる。金属部22の材料は、高濃度n型多結晶シリコンなどの半導体材料よりも低い比抵抗を有している。金属部22の材料としては、たとえばタングステン、チタン、白金、銅などの高融点金属を用いることができる。
図24を参照して、ゲート電極13は、多結晶シリコン層12gと、この多結晶シリコン層12gの中に埋め込まれた金属部22aとを有している。
図22および図23を参照して、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは、ゲートパッド側コンタクトホール9aDに面する部分において、埋込まれた金属部22b1を有している。またトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは、主配線側コンタクトホール9bDに面する部分において、埋込まれた金属部22b2を有している。
トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの埋込まれた金属部22b1,22b2以外の部分は、多結晶シリコン層12rから形成されている。埋め込まれた金属部22b1,22b2は互いに多結晶シリコン層12rを介して電気的に接続されている。
主に図21を参照して、図中破線で示すゲートパッド側コンタクトホール9aと主配線側コンタクトホール9bとの間においてトレンチ型内蔵ゲート抵抗4t上には層間絶縁膜11(図23および図24)が設けられている。トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tがこの層間絶縁膜11に面する部分におけるトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの最小幅は幅寸法W2である。なお図21は、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tが層間絶縁膜11に面する部分におけるトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの幅が幅寸法W2で一定の場合を例示している。
またトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tはゲートパッド側コンタクトホール9aに面する部分において、幅寸法W2よりも広い幅寸法WE1を有する部分を含んでいる。この広い幅寸法WE1を有する部分は幅寸法W2よりも大きい長さ寸法WE2を有している。
図22を参照して、上記の幅寸法W2を有する部分は層間絶縁膜11の下に位置しており、多結晶シリコン層12rにより形成されている。また上記幅寸法WE1を有する部分は、多結晶シリコン層12rよりも低い比抵抗を有する金属部22b1を含んでいる。
トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは主配線側コンタクトホール9bに面する部分において、幅寸法W2よりも広い幅寸法WE1を有する部分を含んでいる。この広い幅寸法WE1を有する部分は幅寸法W2よりも大きい長さ寸法WE2を有している。
図23を参照して、上記幅寸法WE1を有する部分は、多結晶シリコン層12rよりも低い比抵抗を有する金属部22b2を含んでいる。
図21を参照して、ゲート電極13は、最大幅(図中縦方向の寸法)として幅寸法W1を有している。この幅寸法W1は上記幅寸法W2よりも大きい。なお図21は、ゲート電極13の幅が幅寸法W1で一定の場合を例示している。
図24を参照して、ゲート電極13が上記の幅寸法W1を有する部分は、多結晶シリコン層12gよりも低い比抵抗を有する金属部22aを含んでいる。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を省略する。
次に、本実施の形態におけるトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの構成の変形例について説明する。
図25および図26のそれぞれは、本発明の実施の形態2の半導体装置の第1および第2の変形例の各々における、金属部が埋め込まれた抵抗素子の構成を概略的に示す部分平面図である。なお図中破線にて、フィールド酸化膜、ゲートパッド側コンタクトホールおよび層間絶縁膜に対する抵抗素子のおおよその位置関係を示す。
図25を参照して、第1の変形例においては、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは、ゲートパッド側コンタクトホール9aと面する部分において、幅寸法W2よりも大きい幅寸法WE1の部分を有している。また幅寸法WE1の部分は幅寸法W2よりも大きい長さ寸法WE2の部分を有している。トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの幅寸法WE1の部分は、埋込まれた金属部22b1を有している。
図26を参照して、第2の変形例においては、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは、ゲートパッド側コンタクトホール9aと面する部分において、幅寸法W2よりも広い幅寸法WE1の部分を複数有している。また幅寸法WE1の部分のそれぞれは、幅寸法W2よりも大きい長さ寸法WE2の部分を有している。トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの幅寸法WE1の部分のそれぞれは、埋込まれた金属部22b1を有している。
なお上記第1および第2の変形例においてはゲートパッド側コンタクトホール9aと面する部分に金属部22の一部が埋め込まれた構成について説明したが、主配線側コンタクトホール9bと面する部分についても同様の構成とすることができる。
次に本実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。図27〜図32は、本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。なお、図27(a)〜図32(a)および図27(b)〜図32(b)のそれぞれは、図21のXXXIIa−XXXIIa線およびXXXIIb−XXXIIb線の各々に対応する断面を示している。
図27(a)および(b)を参照して、半導体基板101上に、シリコン酸化膜などからなる層間絶縁膜11aが堆積される。なお層間絶縁膜11aは層間絶縁膜11の一部となる膜である。
次に写真製版法により層間絶縁膜11aのパターニングが行なわれる。このパターニングされた層間絶縁膜11aがマスクとされて、半導体基板101のエッチングが行なわれる。これにより、第1の溝部T1と、第2の溝部T2とが形成される。この第1の溝部T1および第2の溝部T2のそれぞれの内面に、酸化や堆積などにより絶縁膜14bおよびゲート絶縁膜14aの各々が形成される。
これにより、幅寸法W2を有する、絶縁膜14bに被覆された第1の溝部T1が形成される。また幅寸法W1を有する、ゲート絶縁膜14aに被覆された第2の溝部T2が形成される。
主に図28(a)および(b)を参照して、半導体基板101上に高濃度の不純物がドープされた多結晶シリコン層12が堆積される。この堆積により、図28(a)に示すように、第1の溝部T1の幅寸法W2(図27(a))の部分が完全に埋められる。また第1の溝部T1の幅寸法がWE1の部分(図22のゲートパッド側コンタクトホール9aDに面する部分)は一部のみが埋められる。また、図28(b)に示すように、第2の溝部T2は一部のみが埋められる。
図29(a)および(b)を参照して、半導体基板101上に高融点金属などからなる金属部22が多結晶シリコン層12上に堆積される。これにより第1の溝部T1の幅寸法がWE1の部分(図22のゲートパッド側コンタクトホール9aDに面する部分)において一部残存していた溝が完全に埋められる。また、図29(b)に示すように、第2の溝部T2が完全に埋められる。
次に金属部22と、多結晶シリコン層12とが順次エッチバックされる。
図30(a)および(b)を参照して、上記エッチバックにより、層間絶縁膜11aが露出される。
図31(a)および(b)を参照して、半導体基板101上に層間絶縁膜11bが形成される。形成方法としては、たとえばBPSG(Boro-Phospho Silicate Glass)膜が堆積
され、熱処理が加えられることで絶縁膜の表面が平坦化される方法が用いられる。なお層間絶縁膜11bは層間絶縁膜11の一部となる膜である。
主に図32(a)および(b)を参照して、層間絶縁膜11a,11bが選択的に除去されることにより、エミッタ用コンタクトホール9d、ゲートパッド側コンタクトホール9a(図21)および主配線側コンタクトホール9b(図21)が形成される。
次にアルミニウムやその化合物のような電極材料からなる金属膜が堆積され、この堆積された金属膜がパターニングされる。これにより、エミッタパッド18、ゲートパッド金属層10a(図22)および主配線金属層10b(図23および図24)が形成される。
以上により、本実施の形態の半導体装置としてのIGBTチップが形成される。
なお半導体基板101にn型エミッタ領域15、高濃度p型領域16、p型チャネル領域17などを形成する工程は、第1の溝部T1および第2の溝部T2の形成工程の前後のいずれにおいても形成することができる。
次に第3の比較例における半導体装置の製造方法について説明する。なお本比較例は、第2の比較例の構成に対して金属部22が付された構成である。
図33〜図38は、第3の比較例における半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。なお、図33(a)〜図38(a)は、第2の比較例における図19のXX−XX線に対応する断面位置のうち平面型内蔵ゲート抵抗4pの近傍を示す概略的な部分断面図である。また、図33(b)〜図38(b)は、実施の形態2における図21のXXXIIb−XXXIIb線に対応する断面位置を示す。
主に図33(a)および(b)を参照して、本実施の形態の図29(a)および(b)までの工程と類似の工程が行なわれるが、本実施の形態との相違点として第1の溝部T1の形成は行なわれない。その結果、図33(a)に示すように、本実施の形態のトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの代わりに、半導体基板101の平坦な基板面に沿って平面型内蔵ゲート抵抗4pが形成される。
図34(a)および(b)を参照して、半導体基板101上にフォトレジスト31aが塗布される。次に、図34(a)に示すように、フォトレジスト31aが写真製版法によりパターニングされる。これにより、平面型内蔵ゲート抵抗4p上において金属部22の一部が露出される。
図35(a)および(b)を参照して、金属部22のうちフォトレジスト31aに被覆されていない部分がエッチングされる。これにより、図35(a)に示すように、金属部22が複数の領域に分離される。その後、フォトレジスト31aが除去される。
主に図36(a)および(b)を参照して、半導体基板101上にフォトレジスト31bが塗布される。次に、フォトレジスト31bが平面型内蔵ゲート抵抗4pが形成された領域を覆い、かつゲート電極13近傍を露出するように、フォトレジスト31bが写真製版法によりパターニングされる。フォトレジスト31bに覆われていない領域において、層間絶縁膜11aが露出するように、金属部22と、多結晶シリコン層12(図35(b))とが順次エッチバックされる。その後、フォトレジスト31bが除去される。
図37(a)および(b)を参照して、半導体基板101上に層間絶縁膜11bが形成される。形成方法としては、たとえばBPSG(Boro-Phospho Silicate Glass)膜が堆積され、熱処理が加えられることで絶縁膜の表面が平坦化される方法が用いられる。
図38(a)および(b)を参照して、層間絶縁膜11a,11bが選択的にエッチングされる。これによりエミッタ用コンタクトホール9dなどのコンタクトホールが形成される。次に、エミッタパッド18、ゲートパッド金属層10aおよび主配線金属層10bが形成される。
以上により、本比較例の半導体装置が形成される。本比較例の半導体装置の製造方法においては、図34(a)および(b)から図35(a)および(b)にかけての、フォトレジスト31aによるマスクが用いられて金属部22が一部エッチングされる工程が必要となり、製造工程が複雑になる。
またこの金属部22の除去のためのエッチングの際に、オーバーエッチのバラツキにより平面型内蔵ゲート抵抗4pの膜厚バラツキが生じる。その結果、平面型内蔵ゲート抵抗4pのゲート抵抗としての抵抗値にバラツキが生じる。
本実施の形態によれば、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの幅寸法WE1(図21)を有する部分は、図22に示すように、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tがゲートパッド側コンタクトホール9aDに面する部分において多結晶シリコン層12rの他に金属部22b1を含む。この金属部22b1は、多結晶シリコン層12rの比抵抗よりも低い比抵抗を有する部分である。よってゲートパッド1とトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tとの間での電流の局所集中が緩和され、IGBTチップの信頼性が高くなる。
またトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの幅寸法WE1(図21)を有する部分は、図23に示すように、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tが主配線側コンタクトホール9bDに面する部分において多結晶シリコン層12rの他に金属部22b2を含む。この金属部22b2は、多結晶シリコン層12rの比抵抗よりも低い比抵抗を有する。よってゲート主配線5とトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tとの間での電流の局所集中が緩和され、IGBTチップの信頼性が高くなる。
また、図21に示すように、ゲート電極13の幅寸法W1がトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの幅寸法W2よりも大きい。すなわち、図27(a)および(b)に示すように、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4t形成のための幅寸法W2の溝よりも、ゲート電極13形成のための幅寸法W1の溝の方が幅が大きい。よって、この幅寸法W2の溝全体が多結晶シリコン層12により埋められると同時に、幅寸法W1が完全には埋められていない状態とすることができる。よって、図30に示すように、この埋められていない部分に金属部22aを埋め込むことができる。
上記のように幅寸法W2の溝全体が比抵抗の比較的高い多結晶シリコン層12により埋められることにより、十分に抵抗値の高いトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tが得られる。
同時に、ゲート電極13が多結晶シリコン層12よりも比抵抗の低い金属部22aを含むことにより、ゲート電極13の電気抵抗を抑制することができる。よってゲート電極13内におけるゲート電位の伝搬遅延のばらつきが抑制される。よってIGBT素子ELのスイッチング動作におけるオン領域とオフ領域とが混在する時間が抑制される。よってIGBT素子ELのコレクタとエミッタとの間を流れる電流が一部のオン領域に集中する時間を短くすることができる。よって一部のオン領域における局所的発熱が抑制されるので、IGBTチップの信頼性を高めることができる。
[実施の形態3]
最初に本実施の形態の半導体装置としてのIGBTチップの構成について説明する。図39は、本発明の実施の形態3における半導体装置の抵抗素子近傍の構成を概略的に示す部分断面図である。
図39を参照して、本実施の形態の半導体装置の抵抗素子であるトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは、主要部として、半導体領域であるn型低濃度多結晶シリコン層23aを有している。またトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは、ゲートパッド側コンタクトホール9aおよび主配線側コンタクトホール9bと接触する部分に設けられたn型高濃度多結晶シリコン層24aを有している。
本実施の形態と、実施の形態1および2で示した半導体装置との相違点は、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tに埋込まれた物質の主要部が実施の形態1および2に比べて濃度の低い多結晶シリコン層であり、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tとそれに接するp型領域21との電位差が調整されることにより、n型低濃度多結晶シリコン層23aが蓄積状態、空乏状態および反転状態のうち、少なくとも2つの状態を取り得ることである。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を省略する。
次に本実施の形態の半導体装置における抵抗素子の動作について説明する。図43〜45は、本発明の実施の形態3における半導体装置の抵抗素子の動作を説明するための説明図である。なお、図中、V23H,V23Lのそれぞれはn型低濃度多結晶シリコン層23aの電流経路の両端の電位の各々を示す。またV21は半導体基板101の絶縁膜14b側の電位であり、半導体基板101がp型領域21を有する場合はp型領域21の電位を示す。
図43を参照して、V21がV21>V23L>>V23Hを満たすように印加された場合、n型低濃度多結晶シリコン層23aは蓄積状態となる。すなわちn型低濃度多結晶シリコン層23aの絶縁膜14b側の面に電子の蓄積層32aが形成される。この場合、n型低濃度多結晶シリコン層23a全体にわたってキャリアである電子が分布するため、n型低濃度多結晶シリコン層23a全体がトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tにおける電流経路となり得る。
図44を参照して、V21が0>(V21−V23L)>(V23LでのVth)を満たすように印加された場合、n型低濃度多結晶シリコン層23aは空乏状態となる。すなわちn型低濃度多結晶シリコン層23aの絶縁膜14b側の面に空乏層32dが形成される。この場合、空乏層32dの部分はトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tにおける電流経路とならないため、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの抵抗値が増大する。なお上式においてVthは、n型低濃度多結晶シリコン層23aが電流を流すことができるか否かの閾値に達する電位である。
図45を参照して、V21が0>(V23HでのVth)>(V21−V23H)を満たすように印加された場合、n型低濃度多結晶シリコン層23aは反転状態となる。すなわちn型低濃度多結晶シリコン層23aの絶縁膜14b側の面に空乏層32dと、反転層32iとが形成される。この場合、空乏層32dの部分はトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tにおける電流経路とならない。また反転層32iの部分は空乏層32dによりトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの電流経路から分離される。よってトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの抵抗値がさらに増大する。
図40〜図42のそれぞれは、本発明の実施の形態3の第1〜第3の変形例の各々における半導体装置の抵抗素子近傍の構成を概略的に示す部分断面図である。
図40を参照して、本実施の形態の第1の変形例の半導体装置の抵抗素子であるトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは、本実施の形態との相違点として、ゲートパッド側コンタクトホール9aおよび主配線側コンタクトホール9bと接触する部分に設けられたp型高濃度多結晶シリコン層24bをさらに有している。
図41を参照して、本実施の形態の第2の変形例の半導体装置の抵抗素子であるトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは、主要部として、半導体領域であるp型低濃度多結晶シリコン層23bを有している。またトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは、ゲートパッド側コンタクトホール9aおよび主配線側コンタクトホール9bと接触する部分に設けられたp型高濃度多結晶シリコン層24bを有している。
図42を参照して、本実施の形態の第3の変形例の半導体装置の抵抗素子であるトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tは、本実施の形態の第2の変形例との相違点として、ゲートパッド側コンタクトホール9aおよび主配線側コンタクトホール9bと接触する部分に設けられたn型高濃度多結晶シリコン層24aをさらに有している。
なお所望のゲート遅延を得る目的で空乏状態のゲート抵抗が非常に高い場合は、実施の形態1におけるトレンチ型内蔵ゲート抵抗4t(図1(a))や実施の形態2におけるトレンチ型内蔵ゲート抵抗4t(図22および図23)と併用されてもよい。
また、ゲート電極13とトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tとが別々の工程で形成される場合、各工程において異なる濃度で多結晶シリコンがドーピングされることが可能である。これによりゲート電極13やゲート主配線5のドーピング濃度が高くされることにより抵抗が低くされれば、IGBTチップの遅延や損失を抑制することができる。
本実施の形態によれば、p型領域21とトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tとの間の電位差によりトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tのn型低濃度多結晶シリコン層23aに空乏層が生じることによりトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの抵抗値を調整することができる。
またn型高濃度多結晶シリコン層24aがトレンチ型内蔵ゲート抵抗4tのコンタクト部に形成されているため、IGBT素子ELがオフ動作する際に、時間とともにゲート抵抗が大きくなる。これによりIGBT素子ELのサージを小さくすることができる。
また本実施の形態の第1および第3の変形例のそれぞれによれば、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの電気的コンタクト部にn型高濃度多結晶シリコン層24aとp型高濃度多結晶シリコン層24bとが形成されている。これにより、蓄積状態でのゲート抵抗が小さくされ、特にVg<0Vの電位が印加される場合に遅延時間が安定化される。
[実施の形態4]
最初に本実施の形態の半導体装置が有する抵抗素子の構成について説明する。図46は、本発明の実施の形態4における半導体装置の抵抗素子近傍の構成を概略的に示す部分断面図である。
図46を参照して、本実施の形態のIGBTチップは、抵抗素子としてダイオード型内蔵ゲート抵抗4dを有している。ダイオード型内蔵ゲート抵抗4dは、p型高濃度多結晶シリコン層24bと、n型低濃度多結晶シリコン層23aと、n型高濃度多結晶シリコン層24aとを有している。n型低濃度多結晶シリコン層23aは、p型高濃度多結晶シリコン層24bおよびn型高濃度多結晶シリコン層24aのそれぞれを介して、ゲートパッド1およびゲート主配線5の各々に電気的に接続されている。
上記構成により、本実施の形態のダイオード型内蔵ゲート抵抗4dは、p型高濃度多結晶シリコン層24bとn型低濃度多結晶シリコン層23aとの界面にpn接合面を有するダイオード(図中ダイオード記号)を含んでいる。
なお、本実施の形態におけるn型低濃度多結晶シリコン層23aの不純物濃度の選択範囲は実施の形態3に比して広い。すなわち実施の形態3におけるn型低濃度多結晶シリコン層23aの不純物濃度は前述したように、反転状態、蓄積状態および空乏状態のうち少なくとも2つの状態を取り得るように調整されるが、本実施の形態はそのような制約は受けない。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態3の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を省略する。
次に本実施の形態の半導体装置における抵抗素子の動作について説明する。IGBT素子EL(図46において図示せず)のスイッチング動作の初期および終期においては、ゲート電極13(図46において図示せず)のゲート抵抗であるダイオード型内蔵ゲート抵抗4dの両端の電位差は小さい。またダイオードはアノード−カソード間の電位差が小さい場合に高抵抗となり、逆に両端の電位差が大きい場合に低抵抗となる。このため、ダイオード型内蔵ゲート抵抗4dは、スイッチング動作の中期に比して、初期および終期において高い抵抗値を有する。
次に本実施の形態の半導体装置の変形例について説明する。図47〜図49のそれぞれは、本発明の実施の形態4の半導体装置の第1〜第3の変形例の各々における抵抗素子の構成を概略的に示す部分断面図である。
図47を参照して、本実施の形態の第1の変形例においては、ダイオード型内蔵ゲート抵抗4dは、p型低濃度多結晶シリコン層23bとn型高濃度多結晶シリコン層24aとの界面にpn接合面を有するダイオード(図中ダイオード記号)を含んでいる。
図48を参照して、本実施の形態の第2の変形例においては、本実施の形態と異なり、ダイオード型内蔵ゲート抵抗4dは半導体基板101の溝内に埋め込まれず、フィールド酸化膜7上に形成されている。
図49を参照して、本実施の形態の第3の変形例においては、上記第2の変形例におけるダイオードの導電型が入れ替えられている。
本実施の形態によれば、ダイオード型内蔵ゲート抵抗4dは、IGBT素子ELのスイッチング動作の中期に比して、初期および終期において高い抵抗値を有する。よってサージの発生が抑制される。これにより損失の小さなIGBTチップが得られる。
また、パルス幅の小さな急激に変化するノイズ信号がゲートパッド1に加わった場合に、このノイズ信号に対するゲート電極13の電位の応答を鈍化させ、IGBT素子ELの誤動作を抑制することができる。
なお、図46におけるn型低濃度多結晶シリコン層23aの濃度が実施の形態3の場合と同様の場合は、実施の形態3と同様の効果も期待される。
また、本実施の形態のダイオード型内蔵ゲート抵抗4dは、実施の形態1で示したオーミックなゲート抵抗である抵抗素子や、実施の形態3で示したp型領域21との電位差により抵抗値が変化する抵抗素子、あるいは従来の抵抗素子と組み合わされてもよい。この組み合わせは、たとえば並列接続などにより行なうことができる。
この場合、ゲート電位やゲート両端の電位差によってゲート抵抗値が細かく制御されることにより、スイッチング波形を所望のものに近づけることが可能である。
[実施の形態5]
本実施の形態の半導体装置における半導体素子は、実施の形態4(図46)と同様にダイオードを有している。ただし本実施の形態の抵抗素子が含んでいるダイオードは、n型低濃度多結晶シリコン層23aの不純物濃度が高く、逆方向耐圧が低いツェナーダイオードである。すなわち本実施の形態の抵抗素子はツェナーダイオード型ゲート抵抗となっている。このツェナーダイオードは、逆方向特性が利用されて一定の耐圧を有するように設定される。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態4の構成とほぼ同じであるため、その説明を省略する。
本実施の形態によれば、耐圧以下のノイズがゲートに印加された場合にゲート電極13への充放電がなされない。これによりIGBTチップの誤動作を抑制することができる。
[実施の形態6]
最初に本実施の形態の半導体装置が有する抵抗素子の構成について説明する。図50および図51のそれぞれは、本発明の実施の形態6およびその変形例の各々における半導体装置の抵抗素子の構成を概略的に示す平面図である。なお図中破線にて、ゲートパッド側コンタクトホール9a、主配線側コンタクトホール9bおよび層間絶縁膜11に対する抵抗素子のおおよその位置関係を示す。
図50を参照して、本実施の形態の半導体装置は、ゲートパッド側コンタクトホール9aと主配線側コンタクトホール9bとの間に、抵抗素子として複数のダイオードを有している。すなわち、ゲートパッド1(図50において図示せず)とゲート主配線5(図50において図示せず)とが、互いに電気的に並列に接続された複数の抵抗素子を有している。
この複数のダイオードは、少なくとも1つの順方向のダイオード型内蔵ゲート抵抗4fと、少なくとも1つの逆方向のダイオード型内蔵ゲート抵抗4rとを含んでいる。ここで順方向および逆方向とは、ゲートパッド1からゲート主配線5への方向が基準とされたダイオードの極性のことである。
好ましくは、トレンチ型内蔵ゲート抵抗4tの個数と、逆方向のダイオード型内蔵ゲート抵抗4rの個数とは、異なる個数とされる。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態4または5の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態によれば、IGBT素子ELのスイッチングのオン時およびオフ時において、実施の形態4または5と同様の効果が得られる。
また順方向のダイオード型内蔵ゲート抵抗4fの個数と逆方向のダイオード型内蔵ゲート抵抗4rの個数とが異なる個数とされることにより、上記複数の抵抗素子は、ゲートパッド1とゲート主配線5との間で、電流方向によって相違する抵抗値を有する抵抗素子として機能する。よって、IGBT素子ELのオン時とオフ時とで異なる電気抵抗を有する抵抗素子を形成することができる。
なお、図51の変形例に示すように、本実施の形態の抵抗素子は、実施の形態1で示したオーミックなゲート抵抗である抵抗素子や、実施の形態3で示したp型領域21との電位差により抵抗値が変化する抵抗素子、あるいは従来の抵抗素子である内蔵ゲート抵抗4iを含んでもよい。
[実施の形態7]
最初に本実施の形態の半導体装置が有する抵抗素子の構成について説明する。図52は、本発明の実施の形態7における半導体装置の抵抗素子近傍の構成を概略的に示す部分断面図である。
図52を参照して、本実施の形態のIGBTチップは、接合型電界効果トランジスタ(JFET(Junction Field Effect Transistor))を含む抵抗素子であるJFET型内蔵ゲート抵抗4jを有している。JFET型内蔵ゲート抵抗4jは、チャネル領域となるp型低濃度多結晶シリコン層23bと、ソース/ドレイン領域となる1組のp型高濃度多結晶シリコン層24b,24bと、ゲートとなるn型高濃度多結晶シリコン層25とを有している。
n型高濃度多結晶シリコン層25上には、n型高濃度多結晶シリコン層25と電気的に接続された電極26が形成されている。電極26はn型高濃度多結晶シリコン層25の電位を制御する機能を有している。
次に本実施の形態の抵抗素子の動作について説明する。電極26によりn型高濃度多結晶シリコン層25の電位が制御される。これにより空乏層27が広がる深さ寸法(図中縦方向の寸法)が制御されるので、JFET型内蔵ゲート抵抗4jの抵抗値が制御される。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態によれば、抵抗素子の外部から電極26に電位信号が印加されることにより、抵抗素子の抵抗値を変えることができる。
なお上記においては抵抗素子としてpチャネル型JFETを含むJFET型内蔵ゲート抵抗4jについて説明したが、nチャネル型JFETを含むJFET型内蔵ゲート抵抗を用いることもできる。
また上記においては抵抗素子として第1の溝部T1に埋め込まれたJFET型内蔵ゲート抵抗4jについて説明したが、抵抗素子は平面型であってもよい。
また、実施の形態6と同様の効果を得るために、たとえばオン時とオフ時とでn型高濃度多結晶シリコン層25に接続される電極26の数が変えられて接続されてもよい。
[実施の形態8]
図53は、本発明の実施の形態8における半導体装置の抵抗素子近傍の構成を概略的に示す部分断面図である。図53を参照して、本実施の形態のIGBTチップは、抵抗素子として接合制御ダイオード型内蔵ゲート抵抗4kを有している。
接合制御ダイオード型内蔵ゲート抵抗4kは、p型低濃度多結晶シリコン層23bとn型高濃度多結晶シリコン層24aとの界面にpn接合面を有している。これにより接合制御ダイオード型内蔵ゲート抵抗4kはダイオードを含む構成を有している。
なお、これ以外の構成については、上述した実施の形態7(図52)とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態によれば、抵抗素子の外部から電極26に電位信号が印加されることにより、抵抗素子の抵抗値を変えることができる。また実施の形態4および5と同様の効果も得ることができる。
なお抵抗素子として、上記の接合制御ダイオード型内蔵ゲート抵抗4kの導電型が逆にされた抵抗素子を用いることもできる。
また、図53には第1の溝部T1に埋め込まれた接合制御ダイオード型内蔵ゲート抵抗4kについて示したが、抵抗素子は平面型であってもよい。
また、実施の形態6と同様の効果を得るために、たとえばオン時とオフ時とでn型高濃度多結晶シリコン層25に接続される電極26の数が変えられて接続されてもよい。
[実施の形態9]
図54は、本発明の実施の形態9における半導体装置の抵抗素子近傍の構成を概略的に示す部分断面図である。図54を参照して、本実施の形態の半導体装置としてのIGBTチップは、MIS(Metal Insulator Semiconductor)型電界効果トランジスタを含む抵抗素子であるMOS(Metal Oxide Semiconductor)型ゲート抵抗4mを有している。またIGBTチップは、MOS型ゲート抵抗4m自体のゲート電位を制御するための電極26を有している。
MOS型ゲート抵抗4mは、p型低濃度多結晶シリコン層23bと、1組のn型高濃度多結晶シリコン層24a,24aと、内蔵ゲート抵抗制御ゲート電極28と、内蔵ゲート抵抗制御ゲート絶縁膜29とを有している。
p型低濃度多結晶シリコン層23bはMOS型ゲート抵抗4mのチャネル領域を形成している。1組のn型高濃度多結晶シリコン層24a,24aは、上記チャネル領域に対するソース/ドレイン領域としての機能を有している。内蔵ゲート抵抗制御ゲート電極28は、内蔵ゲート抵抗制御ゲート電極28の電位に応じて上記チャネル領域のキャリア濃度を制御する機能を有している。内蔵ゲート抵抗制御ゲート絶縁膜29は、内蔵ゲート抵抗制御ゲート電極28とp型低濃度多結晶シリコン層23bとを絶縁している。電極26は内蔵ゲート抵抗制御ゲート電極28の電位を制御する機能を有している。
なお、これ以外の構成については、上述した実施の形態4の第3の変形例(図49)とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態によれば、抵抗素子の外部から電極26に電位信号が印加されることにより、抵抗素子の抵抗値を変えることができる。また実施の形態4および5と同様の効果も得ることができる。
なお、本実施の形態の説明はnチャネル型のMOS型ゲート抵抗4mを用いて行ったが、MOS型ゲート抵抗4mはpチャネル型であってもよい。
また、図54には平面型のMOS型ゲート抵抗4mについて示したが、抵抗素子は第1の溝部T1に埋め込まれたトレンチ型であってもよい。
また、MOS型ゲート抵抗4mが含むMOSトランジスタは、エンハンスメント型、デプレッション型のいずれであってもよい。
また、実施の形態6と同様の効果を得るために、たとえばオン時とオフ時とで内蔵ゲート抵抗制御ゲート電極28に接続される電極26の数が変えられて接続されてもよい。
[実施の形態10]
図55は、本発明の実施の形態10における半導体装置の抵抗素子近傍の構成を概略的に示す部分断面図である。図55を参照して、本実施の形態の半導体装置としてのIGBTチップは、抵抗素子としてゲート制御ダイオード型ゲート抵抗4gを有している。またIGBTチップは、ゲート制御ダイオード型ゲート抵抗4g自体のゲート電位を制御するための電極26を有している。
ゲート制御ダイオード型ゲート抵抗4gは、p型低濃度多結晶シリコン層23bと、p型高濃度多結晶シリコン層24bと、n型高濃度多結晶シリコン層24aと、内蔵ゲート抵抗制御ゲート電極28と、内蔵ゲート抵抗制御ゲート絶縁膜29とを有している。
なお、これ以外の構成については、上述した実施の形態9(図54)とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態によれば、抵抗素子の外部から電極26に電位信号が印加されることにより、抵抗素子の抵抗値を変えることができる。また実施の形態4および5と同様の効果も得ることができる。また実施の形態4および5と同様の効果も得ることができる。
なお、本実施の形態の説明はnチャネル型のゲート制御ダイオード型ゲート抵抗4gを用いて行ったが、ゲート制御ダイオード型ゲート抵抗4gはpチャネル型であってもよい。
また、図55には平面型のゲート制御ダイオード型ゲート抵抗4gについて示したが、抵抗素子は第1の溝部T1に埋め込まれたトレンチ型であってもよい。
また、実施の形態6と同様の効果を得るために、たとえばオン時とオフ時とで内蔵ゲート抵抗制御ゲート電極28に接続される電極26の数が変えられて接続されてもよい。
[実施の形態11]
最初に本実施の形態の半導体装置が有する抵抗素子の構成について説明する。図56(a)および(b)は、本発明の実施の形態11およびその変形例のそれぞれにおける半導体装置の抵抗素子近傍の構成を概略的に示す部分断面図である。
図56(a)を参照して、本実施の形態における半導体装置は、抵抗素子として、n型低濃度多結晶シリコン層23aと、1組のn型高濃度多結晶シリコン層24a,24aと、p型高濃度多結晶シリコン層24bとを有している。この抵抗素子は、絶縁膜IL上に形成されている。絶縁膜ILは、フィールド酸化膜7または絶縁膜14bである。また半導体装置は抵抗素子の上に1組の金属層10,10を有している。
1組のn型高濃度多結晶シリコン層24a,24aは互いにn型低濃度多結晶シリコン層23aを介して電気的に接続されている。n型高濃度多結晶シリコン層24aとn型低濃度多結晶シリコン層23aとは同一の導電型であるため、1組のn型低濃度多結晶シリコン層23a,23aの間はオーミック抵抗である内蔵ゲート抵抗4iとしての機能を有している。
p型高濃度多結晶シリコン層24bは1組のn型高濃度多結晶シリコン層24a,24aの間に設けられている。1組のn型高濃度多結晶シリコン層24aのうち一方(図中左方)のn型高濃度多結晶シリコン層24aと、p型高濃度多結晶シリコン層24bとの間はn型低濃度多結晶シリコン層23aを介して電気的に接続されている。
p型高濃度多結晶シリコン層24bとn型低濃度多結晶シリコン層23aとの導電型が相違するため、両者の界面にpn接合が形成されている。すなわちp型高濃度多結晶シリコン層24bとn型高濃度多結晶シリコン層24aとの間に、p型高濃度多結晶シリコン層24bからn型高濃度多結晶シリコン層24aに向かって順方向となるダイオードを含むダイオード型内蔵ゲート抵抗4dが形成されている。
上記の構成により、本実施の形態の抵抗素子は、モノリシック(monolithic)に形成されたダイオードとオーミック抵抗とを並列に有する領域を含んでいる。
1組の金属層10,10のうち一方(図中左方)の金属層10は、一方(図中左方)のn型高濃度多結晶シリコン層24a上に、互いに接するように形成されている。
また1組の金属層10,10のうち他方(図中右方)の金属層10は、他方(図中右方)のn型高濃度多結晶シリコン層24a上からp型高濃度多結晶シリコン層24b上にかけて形成されている。他方の金属層10は、他方のn型高濃度多結晶シリコン層24aおよびp型高濃度多結晶シリコン層24bのそれぞれと接するように形成されている。また他方の金属層10とn型低濃度多結晶シリコン層23aとは層間絶縁膜11により電気的に絶縁されている。
上記の他方の金属層10の構成により、他方の金属層10の一部が他方のn型高濃度多結晶シリコン層24aとp型高濃度多結晶シリコン層24bとの間に並列接続されたオーミックな抵抗30としての機能を有している。
なお、これ以外の構成については、上述した実施の形態1〜10とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を省略する。
次に、本実施の形態の半導体装置が有する抵抗素子の動作の概略について説明する。
p型高濃度多結晶シリコン層24b側が低電位の場合、抵抗素子は、n型低濃度多結晶シリコン層23aを抵抗とした通常の内蔵ゲート抵抗4iとして機能する。
p型高濃度多結晶シリコン層24b側が高電位の場合、並列接続された抵抗30の抵抗値と、n型低濃度多結晶シリコン層23aの不純物濃度との関係が適度に調整されることにより、ダイオードと抵抗との並列動作が実現される。
図56(b)を参照して、本実施の形態の変形例においては、p型高濃度多結晶シリコン層24bは、1組のn型高濃度多結晶シリコン層24a,24aのうち一方(図中左側)のn型高濃度多結晶シリコン層24aと共に、他方(図中右側)のn型高濃度多結晶シリコン層24aを挟む位置に設けられている。1組のn型高濃度多結晶シリコン層24a,24aのうち一方(図中左側)のn型高濃度多結晶シリコン層24aと、p型高濃度多結晶シリコン層24bとの間はn型低濃度多結晶シリコン層23aを介して電気的に接続されている。
次に本実施の形態の半導体装置が有する抵抗素子の動作の詳細について説明する。
図57(a)および(b)は、本発明の実施の形態11およびその変形例のそれぞれにおける半導体装置の抵抗素子の等価回路を示す図である。
図56(a)および図57(a)を参照して、本実施の形態においては、電位V0は一方(図中左方)の金属層10の電位である。電位V1は、他方(図中右方)の金属層10の他方(図中右方)のn型高濃度多結晶シリコン層24aと接する部分における電位である。電位Vxは、他方(図中右方)の金属層10のp型高濃度多結晶シリコン層24bと接する部分における電位である。
抵抗R0は、内蔵ゲート抵抗4iにおける一方(図中左方)のn型高濃度多結晶シリコン層24aとp型高濃度多結晶シリコン層24bとの間の部分の抵抗である。抵抗R1は、内蔵ゲート抵抗4iにおける他方(図中右方)のn型高濃度多結晶シリコン層24aとp型高濃度多結晶シリコン層24bとの間の部分の抵抗である。抵抗R2は抵抗30である。
電流i0,i1およびi2のそれぞれは、抵抗R0,R1およびR2の各々を流れる電流である。
図56(b)および図57(b)を参照して、本実施の形態の変形例においては、電位V1は他方(図中右方)の金属層10におけるp型高濃度多結晶シリコン層24bと接する部分における電位である。電位Vxは、他方(図中右方)のn型高濃度多結晶シリコン層24aと接する部分における電位である。
抵抗R0は、内蔵ゲート抵抗4iにおける1組のn型高濃度多結晶シリコン層24a,24a間の部分の抵抗である。抵抗R1は抵抗30である。抵抗R2は、内蔵ゲート抵抗4iにおける他方(図中右方)のn型高濃度多結晶シリコン層24aとp型高濃度多結晶シリコン層24bとの間の部分の抵抗である。
図58(a)は、本発明の実施の形態11およびその変形例における半導体装置の抵抗素子のR2<R1<<R0の場合の電圧−電流特性の説明図である。図58(b)は、本発明の実施の形態11およびその変形例における半導体装置の抵抗素子のR1>R2>>R0の場合の電圧−電流特性の説明図である。
図58(a)および(b)を参照して、グラフにおける縦軸は、電流i0,i1,i2のそれぞれを示す。横軸は、破線で示した電流i1,i2に対してはV1−Vxを示し、電流i0に対してはV1−V0を示す。Φはダイオードの電圧−電流特性の関数である。
抵抗成分の一部である抵抗R1に生じる電圧降下(V1−Vx)によってダイオードが順バイアスされてダイオード電流が流れ始めるには、所定の電流ifおよび電圧Vfを要する。そのとき抵抗素子全体には、V1-Vx=Vfとなるように電圧V1-V0が印加される。ダイオードを流れる電流が電流if以上の場合、抵抗成分の一部である抵抗R1とダイオード側の抵抗R2との比に依存した電流が流れる。ただしダイオードに電流が流れているときは抵抗R0および図57(b)における抵抗R2はバイポーラ動作をするため抵抗が低くなる。
R2<R1<<R0の場合、大きな電流Ifを要する。このため、(V1−V0)の大きなところまでi0=(V1−V0)/(R1+R0)の電流が流れ、その後ダイオードがオンして抵抗R2が低くなる。すなわち負性抵抗を示すスナップバックSBが起こる。
R1>R2>>R0の場合、Ifが小さくてもダイオードがオンするため、スナップバックSBは起こらない。また、(V1−V0)<0のときはダイオードに電流が流れないため、i0=(V1−V0)/(R1+R0)の電流が流れる。
本実施の形態によれば、抵抗素子はダイオードとオーミック抵抗とをモノリシックに並列に有している。このため実施の形態6の変形例(図51)に示す半導体装置と同様の効果を小さな面積で達成できる。
また図58(a)に示すようにスナップバックSBによる抵抗特性をも実現することができる。したがって、抵抗素子の両端が一定電位差になった場合に、IGBT素子ELのゲート電極13への充放電をスナップバックにより加速することが可能である。なお本実施の形態に比してその変形例の方が、抵抗30が大きくされない限り、スナップバックSBを起こしやすい。
なお、n型低濃度多結晶シリコン層23aの少なくとも一部の抵抗値を変えるためには、他方のn型高濃度多結晶シリコン層24aとp型高濃度多結晶シリコン層24bとの間の距離やn型低濃度多結晶シリコン層23aの濃度を少なくとも一部で変えることが有効である。
また、中間に位置する高濃度層が電流経路を遮らない限り、抵抗素子はトレンチ型であっても平面型であってもよい。
また、本実施の形態の構成における導電型が反転された構成は、本発明と実質的に同等の構成である。
[実施の形態12]
最初に本実施の形態の半導体装置が有する抵抗素子の構成について説明する。図59は、本発明の実施の形態12における半導体装置の抵抗素子近傍の構成を概略的に示す部分断面図である。
図59を参照して、本実施の形態における半導体装置は、抵抗素子として、n型低濃度多結晶シリコン層23aと、1組のn型高濃度多結晶シリコン層24a,24aと、1組のp型高濃度多結晶シリコン層24b,24bとを有している。この抵抗素子は、絶縁膜IL上に形成されている。絶縁膜ILは、フィールド酸化膜7または絶縁膜14bである。また半導体装置は抵抗素子の上に1組の金属層10,10を有している。
1組のn型高濃度多結晶シリコン層24a,24aおよび1組のp型高濃度多結晶シリコン層24b,24bの各層はn型低濃度多結晶シリコン層23a上に形成されている。
一方(図中左方)のp型高濃度多結晶シリコン層24bと、他方(図中右方)のn型高濃度多結晶シリコン層24aとは、n型低濃度多結晶シリコン層23aの長さ寸法L1の部分を介して電気的に接続されている。一方(図中左方)のn型高濃度多結晶シリコン層24aと、他方(図中右方)のp型高濃度多結晶シリコン層24bとは、n型低濃度多結晶シリコン層23aの長さ寸法L2の部分を介して電気的に接続されている。
1組のn型高濃度多結晶シリコン層24a,24aは、n型低濃度多結晶シリコン層23aの長さ寸法L3の部分を介して電気的に接続されている。n型高濃度多結晶シリコン層24aとn型低濃度多結晶シリコン層23aとは同一の導電型であるため、1組のn型低濃度多結晶シリコン層23a,23aの間はオーミック抵抗である内蔵ゲート抵抗4iとしての機能を有している。
一方(図中左方)のn型高濃度多結晶シリコン層24aと一方のp型高濃度多結晶シリコン層24bとは、一方の金属層10により抵抗30を伴って電気的に接続されている。また他方(図中右方)のn型高濃度多結晶シリコン層24aと他方のp型高濃度多結晶シリコン層24bとは、他方の金属層10により抵抗30を伴って電気的に接続されている。
一方(図中左方)のp型高濃度多結晶シリコン層24bとn型低濃度多結晶シリコン層23aとの界面および他方(図中右方)のp型高濃度多結晶シリコン層24bとn型低濃度多結晶シリコン層23aとの界面のそれぞれにはpn接合が形成されている。すなわち1対のpn接合ダイオードが形成されている。
一方(図中左方)の金属層10から、一方のp型高濃度多結晶シリコン層24b、n型低濃度多結晶シリコン層23aおよび他方(図中右方)のp型高濃度多結晶シリコン層24bを経由して他方の金属層10へ向かう電流方向に対して、上記1対のダイオードのうち一方のダイオードは順方向の極性を有し、他方のダイオードは逆方向の極性を有している。
上記の構成により、本実施の形態の抵抗素子は、ダイオードとオーミック抵抗とを並列に有する領域を1対含んでおり、この1対の領域のそれぞれが有するダイオードの極性は互いに異なっている。
なお、これ以外の構成については、上述した実施の形態11とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を省略する。
次に本実施の形態の半導体装置が有する抵抗素子の動作について説明する。
一方(図中左方)の金属層10の側(図中E1側)が他方(図中右方)の金属層10の側(図中E2側)に対して高電位とされると、n型低濃度多結晶シリコン層23aの長さ寸法L1の領域のダイオードは順方向の電圧が印加されて活性状態となる。一方、n型低濃度多結晶シリコン層23aの長さ寸法L2の領域のダイオードは逆方向の電圧が印加されて不活性状態となる。
逆に、E1側がE2側に対して低電位とされると、n型低濃度多結晶シリコン層23aの長さ寸法L1の領域のダイオードは逆方向の電圧が印加されて不活性状態となる。一方、n型低濃度多結晶シリコン層23aの長さ寸法L2の領域のダイオードは順方向の電圧が印加されて活性状態となる。
なお、n型低濃度多結晶シリコン層23aの長さ寸法L3の抵抗は、E1側とE2側との間の電位関係に関わらず、活性状態となる。
本実施の形態によれば、長さ寸法L1,L2を変えることにより、E1側とE2側との間の電圧方向ごとに、抵抗素子の抵抗値を独立して調整することができる。よって、IGBT素子ELのスイッチングのオン時とオフ時とのゲート抵抗を独立して調整することができる。
また、図56(a)に示した実施の形態11の構造と同様、抵抗素子の両端の電位差が一定の値に達したときにスナップバックによる負性抵抗特性を実現することができる。こためには、並列接続された金属層10の抵抗30の値が大きくされたり、n型低濃度多結晶シリコン層23aの少なくとも一部の抵抗が低くされたり、金属層10で互いに接続されたn型高濃度多結晶シリコン層24aとp型高濃度多結晶シリコン層24bとの間の距離が小さくされたりすればよい。
なお、実施の形態11での図56(a)の構造と図56(b)の構造との関係と同様に、図59のn型高濃度多結晶シリコン層24aとp型高濃度多結晶シリコン層24bとの配置が入れ替えられてもよい。
また、中間に位置する高濃度層が電流経路を遮らない限り、抵抗素子はトレンチ型であっても平面型であってもよい。
また、本実施の形態の構成における導電型が反転された構成は、本発明と実質的に同等の構成である。
[実施の形態13]
最初に本実施の形態の半導体装置が有する抵抗素子の構成について説明する。図60は、本発明の実施の形態13における半導体装置の抵抗素子近傍の構成を概略的に示す部分断面図である。
図60を参照して、本実施の形態における半導体装置は、抵抗素子として、p型低濃度多結晶シリコン層23bと、1組のn型高濃度多結晶シリコン層24a,24aと、1組のp型高濃度多結晶シリコン層24b,24bと、内蔵ゲート抵抗制御ゲート絶縁膜29と、内蔵ゲート抵抗制御ゲート電極28とを有している。また半導体装置は、抵抗素子上に電極26と、1組の金属層10,10とを有している。
1組のp型高濃度多結晶シリコン層24b,24bはp型低濃度多結晶シリコン層23b上に設けられており、互いにp型低濃度多結晶シリコン層23bを介して電気的に接続されている。p型高濃度多結晶シリコン層24bとp型低濃度多結晶シリコン層23bとの導電型は同一であるため、1組のp型高濃度多結晶シリコン層24b,24b間は通常の内蔵ゲート抵抗4iとしての機能を有している。
1組のn型高濃度多結晶シリコン層24a,24aはp型低濃度多結晶シリコン層23b上に設けられている。1組のn型高濃度多結晶シリコン層24a,24aの間に位置するp型低濃度多結晶シリコン層23bの上には、内蔵ゲート抵抗制御ゲート絶縁膜29と、内蔵ゲート抵抗制御ゲート電極28とが、この順に設けられている。この構成により本実施の形態の抵抗素子はMIS型構造を有しており、実施の形態9のMOS型ゲート抵抗4m(図54)と同様の構造を含んでいる。
なお上記のMIS型構造におけるp型低濃度多結晶シリコン層23bなどの半導体層は絶縁膜ILの上に設けられている。すなわち抵抗素子はSOI型の構造を有している。
またIGBTチップは、MOS型ゲート抵抗4m自体のゲート電位を制御するための電極26を有している。
本実施の形態における内蔵ゲート抵抗4i相当部の一方(図中左方)端部と、MOS型ゲート抵抗4m相当部の一方端部とは、一方の金属層10により電気的に接続されている。また、内蔵ゲート抵抗4i相当部の他方(図中右方)端部と、MOS型ゲート抵抗4m相当部の他方端部とは、他方の金属層10により電気的に接続されている。すなわち抵抗素子は、MOS型ゲート抵抗4mと内蔵ゲート抵抗4iとが並列接続された構成を有している。
なお、これ以外の構成については、上述した実施の形態11とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を省略する。
次に本実施の形態の半導体装置が有する抵抗素子の動作について説明する。
電極26に信号が入力されると、内蔵ゲート抵抗制御ゲート電極28の電位が変化し、p型低濃度多結晶シリコン層23bの内蔵ゲート抵抗制御ゲート絶縁膜29側におけるチャネルの制御が行なわれる。これによりMOS型ゲート抵抗4m相当部の抵抗値が外部から制御される。
チャネルがなくなるように電極26に信号が入力されることにより、抵抗素子の抵抗値は最大化されて内蔵ゲート抵抗4iの抵抗値となる。
逆に反転層によるチャネルが形成されるように電極26に信号が入力されることにより、抵抗素子にはMOS型ゲート抵抗4m相当部を経由する電流経路が付加されて抵抗値が減少する。
本実施の形態によれば、抵抗素子は内蔵ゲート抵抗4i相当部とMOS型ゲート抵抗4m相当部とが並列接続されている。これにより、抵抗素子の抵抗値を外部から容易に変えることができる。また実施の形態9(図54)と異なり、抵抗値の最大値を内蔵ゲート抵抗4i相当部の抵抗値とすることができる。また内蔵ゲート抵抗4i相当部とMOS型ゲート抵抗4m相当部とが半導体基板101の厚み方向に重ねられて形成されているため、半導体基板101上の小さな面積で抵抗素子を形成することができる。
なお、本実施の形態の説明は、nチャネル型のMOS型ゲート抵抗4mとp型半導体層よりなる通常の内蔵ゲート抵抗4iとの並列構造について行なわれたが、MOS型ゲート抵抗4mおよび通常の内蔵ゲート抵抗4iの導電型の組合せは任意である。
また、MOS型ゲート抵抗4mは、エンハンスメント型およびデプレッション型のいずれであってもよい。
また、抵抗素子は平面型およびトレンチ型のいずれであってもよい。
上記実施の形態11〜13において、実施の形態1および実施の形態3〜10に述べた構造の組合せがモノリシックに形成される場合について説明したが、この組合せは上記説明で述べた構造に限定されるものではない。
たとえばダイオード型内蔵ゲート抵抗4dは、実施の形態5で説明したツェナーダイオード型ゲート抵抗に置換えることができる。また、MOS型ゲート抵抗4mはJFET型ゲート抵抗4jに置換えることができる。また、内蔵ゲート抵抗4iは通常の内蔵ゲート抵抗4iは実施の形態3で説明したように不純物濃度が調整されてもよい。
また、n型高濃度多結晶シリコン層24aやp型高濃度多結晶シリコン層24bは、図示した各断面図の奥行方向に平面的に二次元配置されてもよい。たとえば実施の形態12(図59)および実施の形態13(図60)のそれぞれの抵抗素子は、図61(a)および(b)に示すような配置とされることができる。
また、1つの抵抗素子にはn型低濃度多結晶シリコン層23aおよびp型低濃度多結晶シリコン層23bのいずれかが形成されている例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえばn型高濃度多結晶シリコン層24aおよびp型高濃度多結晶シリコン層24bのそれぞれと金属層10との電気的接続のための共通コンタクトが用いられるなどして、n型低濃度多結晶シリコン層23aおよびp型低濃度多結晶シリコン層23bをともに有するシリコン層を用いることもできる。
[実施の形態14]
実施の形態1〜13においては、主に、IGBT素子ELに接続されたゲート抵抗である抵抗素子自体について説明した。実際のIGBTチップにおいては、ゲート主配線5やゲート電極13自体も電気抵抗を有している。よってゲート主配線5やゲート電極13が寄生ゲート抵抗として作用している。
複数のゲート電極13を有するIGBT素子ELにおいてゲートパッド1から遠いゲート電極13はゲートパッド1からの配線経路が長くなるため寄生ゲート抵抗の影響をより大きく受ける。逆にゲートパッド1近傍のゲート電極13は寄生ゲート抵抗の影響をほとんど受けない。
このため、ゲートパッド1からの配線経路の長短に起因して、各ゲート電極13が形成されたセル間においてIGBT素子ELのオン/オフ動作の時間差が生じる。この結果、一部のセルに電流が集中したり、前述したようにその電流集中した部分的なアンプに対するQ値が大きくなり発振を起こしたりする。
図62は、本発明の実施の形態14における半導体装置の構成を概略的に示す上面図である。図63は、図62のLXIII部の概略的な部分平面図である。
図62および図63を参照して、本実施の形態の半導体装置としてのIGBTチップは、複数のゲート電極13a〜13dを有している。ゲートパッド1とゲート電極13a〜13dのそれぞれとを電気的に接続する配線経路の長さは、概して、ゲート電極13a、ゲート電極13b、ゲート電極13cおよびゲート電極13dの順に長くなっている。
また、IGBTチップは、抵抗素子である内蔵ゲート抵抗4iaと、この内蔵ゲート抵抗4iaよりも抵抗値の小さい抵抗素子である内蔵ゲート抵抗4ibとを有している。ゲートパッド1とゲート主配線5の一部(図63における上部)とは一体となって形成されており、互いに電気的に接続されている。
ゲート電極13aとゲートパッド1とは、内蔵ゲート抵抗4iaを介して互いに電気的に接続されている。
ゲート電極13bのゲートパッド1に近い側とゲートパッド1とは、内蔵ゲート抵抗4iaを介して互いに電気的に接続されている。また、ゲート電極13bのゲートパッド1から遠い側とゲートパッド1とは、内蔵ゲート抵抗4ibを介して互いに電気的に接続されている。
ゲート電極13cのゲートパッド1に近い側とゲートパッド1とは、内蔵ゲート抵抗4ibを介して互いに電気的に接続されている。また、ゲート電極13cのゲートパッド1から遠い側とゲートパッド1とは、内蔵ゲート抵抗を介さずに互いに電気的に接続されている。
ゲート電極13dのゲートパッド1に近い側および遠い側のそれぞれとゲートパッド1とは、内蔵ゲート抵抗を介さずに互いに電気的に接続されている。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1〜13の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態によれば、ゲートパッド1に比較的遠いゲート電極13b,13cに接続された内蔵ゲート抵抗4ibの抵抗値に比して、ゲートパッド1に比較的近いゲート電極13aに接続された内蔵ゲート抵抗4iaの抵抗値が大きくされている。また、ゲートパッド1から概して最も遠いゲート電極13dは、内蔵ゲート抵抗4iaおよび4ibのいずれも介さずにゲートパッド1と接続されている。
これにより、上述した寄生ゲート抵抗のばらつきをある程度相殺し、ゲートパッド1からの配線経路に依存した電気信号の遅延の程度のばらつきを抑制することができる。よって、ゲートパッド1と各ゲート電極との配線に起因する各ゲート電極への電位信号の伝達の遅延差が抑制される。よってIGBT素子ELにおける局所的なオン領域への電流集中が起こりにくく、発振に対して耐性のあるIGBTチップが実現される。
[実施の形態15]
実施の形態1〜14においては、ゲート電極13と電気的に接続されてゲート抵抗として機能する抵抗素子について述べた。しかし本発明の抵抗素子が電気的に接続される電極はゲート電極13に限定されるものではなく、他の電極に接続されたり、配線層間に設置されたりしてもよい。
図64および図65は、本発明の実施の形態15およびその変形例のそれぞれにおける半導体装置の抵抗素子近傍の平面レイアウトを概略的に示す部分平面図である。なお図中の矢印は電流の流れる方向を概略的に示している。図66は、本発明の実施の形態15における半導体装置のセンス電極の構成を説明するための概略断面図である。
主に図64を参照して、本実施の形態の半導体装置としてのIGBTチップは、通常のエミッタ電極(第1のエミッタ電極)であるエミッタパッド18と、センスパッド(第2のエミッタ電極)である電極26とを有している。またIGBTチップは、抵抗素子として、シャント抵抗(第1の抵抗素子)4sと、MOS型ゲート抵抗(第2の抵抗素子)4mとを有している。またIGBTチップは、ゲートパッド1へのワイヤ2aと、エミッタパッド18へのワイヤ2bと、電気的接続のためのコンタクト9とを有している。
図66を参照して、センスパッド(電極26)はエミッタ電流がたとえば1/100に分流されたパッドである。なお、図中Sはセンス端子、Eはエミッタ端子、Cはコレクタ端子を表わしている。
再び図64を参照して、シャント抵抗4sはエミッタパッド18とセンスパッド(電極26)とを互いに電気的に接続している。これにより、シャント抵抗4sは、エミッタパッド18とセンスパッド(電極26)との間にシャント抵抗4sを流れる電流に応じて電位差を発生させる機能を有している。シャント抵抗4sの具体的な構成としては、上述した実施の形態1〜13で説明した抵抗素子の構成を用いることができる。
MOS型ゲート抵抗4mは、ゲートパッド1とエミッタパッド18とを互いに電気的に接続している。MOS型ゲート抵抗4mの内蔵ゲート抵抗制御ゲート電極28はセンスパッド(電極26)と電気的に接続されている。これにより、MOS型ゲート抵抗4mは、センスパッド(電極26)の電位に対応した電気抵抗を伴ってゲートパッド1とエミッタパッド18とを電気的に接続する機能を有している。なお内蔵ゲート抵抗制御ゲート電極28と電極26とは一体として設けられてもよい。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1〜14の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を省略する。
次に本実施の形態のIGBTチップが有する抵抗素子の動作について説明する。
シャント抵抗4sに高電流が流れると、シャント抵抗4s両端に生じた電位差が大きくなる。これによりMOS型ゲート抵抗4mがたとえばエンハンスメント型nチャネルMOSFETの場合は、ゲートパッド1とエミッタパッド18とが短絡される。またMOS型ゲート抵抗4mがたとえばデプレッション型pチャネルMOSFETの場合は、ゲートパッド1とエミッタパッド18との間が高い電気抵抗を伴って接続される。
図65を参照して、本実施の形態の変形例においては、MOS型ゲート抵抗4mがゲートパッド1と主配線金属層10bとを互いに電気的に接続している。
本実施の形態によれば、IGBTチップの外部にシャント抵抗が設けられる場合と異なり、センスパッド(電極26)にワイヤが接続される必要がない。これにより、センスパッド(電極26)の面積を小さくすることができ、IGBTチップを小型化することができる。また高速での過電流検出が可能となる。
なお、図64(a)および(b)では、センスパッド(電極26)に発生した信号が直接MOS型ゲート抵抗4mの内蔵ゲート抵抗制御ゲート電極28に伝達される例について示したが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば絶縁膜上に堆積されたアモルファスシリコン層にレーザなどのエネルギ線が照射されるなどして得られた半導体基板101から電気的に分離された半導体層に論理回路が形成され、この論理回路の結果出力が内蔵ゲート抵抗制御ゲート電極28に与えられてもよい。
また、シャント抵抗4sとして実施の形態5で示したツェナーダイオード型内蔵抵抗が用いられると、センスパッドに発生する出力電圧をほぼ一定とすることができる。
[実施の形態16]
実施の形態1〜15では、孤立する複数の導電体層間にさまざまな抵抗素子が設けられた例について述べた。実施の形態1〜3に示した電流経路としての溝状構造体は、たとえばゲート主配線の寄生抵抗値を小さくすることにも有効である。
図67は、本発明の実施の形態16における半導体装置のゲート主配線近傍の構成を概略的に示す部分断面斜視図である。図67を参照して、本実施の形態のゲート主配線は、主配線金属層10bと、金属部22と、多結晶シリコン層12とを有している。また半導体基板101は絶縁膜14により内面が被覆された溝部T3を有している。
多結晶シリコン層12および金属部22からなる配線(第1の配線)の少なくとも一部は、絶縁膜14を介して溝部T3の中に設けられている。主配線金属層10b(第2の配線)は、溝部T3の上に設けられている。主配線金属層10bと金属部22とは、ゲート主配線内のコンタクトホール9cの部分で接続されることにより、互いに電気的に並列接続されている。すなわち、第1および第2の配線が互いに電気的に並列接続されている。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1〜15の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を省略する。
図68および図69は、本発明の実施の形態16の第1および第2の変形例のそれぞれにおける半導体装置のゲート主配線近傍の構成を概略的に示す部分断面図である。
図68を参照して、第1の変形例においては、絶縁膜14により内面が被覆された溝部T3の中には金属部22のみが埋め込まれている。
図69を参照して、第2の変形例においては、多結晶シリコン層12が省略され、主配線金属層10bと金属部22とがコンタクトホール9cの部分で接続されている。
本実施の形態によれば、ゲート主配線の一部が溝部T3に埋め込まれて形成されているので、ゲート主配線5の幅方向(図中横方向)の寸法が同一である平面状の配線に比して、寄生抵抗を小さくすることもできる。これにより、ゲートパッド1と各ゲート電極13との配線に起因する各ゲート電極13への電位信号の伝達の遅延差が抑制される。よってIGBT素子ELにおける局所的なオン領域への電流集中が起こりにくく、発振に対して耐性のあるIGBTチップが実現される。
上記の各実施の形態においては、半導体素子としてIGBT素子ELを有する半導体装置について説明したが、本発明はパワーMOSFET素子など他の半導体素子を有する半導体装置へ適用することもできる。
また、金属層10の代わりに、内蔵ゲート抵抗に比べ十分抵抗の低い半導体層を用いることもできる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。