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JP6252744B2 - 背面部材の取付構造 - Google Patents

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JP6252744B2
JP6252744B2 JP2013210194A JP2013210194A JP6252744B2 JP 6252744 B2 JP6252744 B2 JP 6252744B2 JP 2013210194 A JP2013210194 A JP 2013210194A JP 2013210194 A JP2013210194 A JP 2013210194A JP 6252744 B2 JP6252744 B2 JP 6252744B2
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Description

本発明は、車両用シートのシートバックにおける背面部材の取付構造に関する。
従来、車両用シートは、乗客が座るための座面部と乗客の上体を支えるためのシートバックとを備えている。シートバックは、金属製のパイプ材で構成されたシートバックフレームと、シートバックフレームに取り付けられるクッション材としてのシートバックパッドと、シートバックパッドを覆うシートバックカバーと、シートバックの背面に組み付けられるシートバックボードとを有する。
特許文献1及び2のシートバックは、シートバックフレーム側の凹状の被係合部と、シートバックボード側の凸状の係合部とを係合させることにより、シートバックボードがシートバックフレームに取り付けられる構成を有している。また、特許文献3のバックボードの取付構造は、フレーム側に設けられた係止孔にバックボード側に設けられたクリップの係止脚を撓ませた状態で差し込み、孔を通過した係止脚の撓みが復元することにより、クリップが係止孔に固定される構成を有している。
特開2000−4980号公報 特開2002−142915号公報 特開2011−37396号公報
車両が急に加速したり、他の車両や建造物等と衝突すると、シートに着座している乗員の身体がシートバックに沈み込む場合がある。そのような場合、乗員の身体に押されてシートバックのシートバックフレームやシートバックパッドが車両の後方に変位し、シートバックの背面側に設けられたシートバックボードに荷重が加わり、シートバックボードが外れる虞がある。特許文献1ないし3に記載のシートバックボードは、シートバックボードに荷重が加わるとシートバックフレームとシートバックボードの係合状態あるいは係止状態が簡単に解除され、シートバックボードが予期しない方向に外れる虞がある。
シートバックフレームとシートバックボードの取付を強固なものとするためには、取付箇所を増やしたり、取付構造自体をスクリューで締結する構成とすることが考えられる。しかしながら、取付箇所の増加やスクリューによる締結は、組み付け工数の増加による作業効率の低下や、部品点数の増加によるコスト高を招くこととなる。また、シートバックボードの組み付けを強固なものとすると、上述の荷重が加わった場合に、取付箇所の係合状態は維持されたとしても、係合状態の解除により吸収されていた荷重がシートバックボード本体に加わることにより、シートバックボードの変形が大きくなり、破損する虞がある。その結果、シートバックボードの破損した箇所が後方の乗員スペースに露出する虞がある。
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートバックの安全性を向上させることである。
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、シートバックにおける背面部材をシートバックフレームに取り付ける構造であって、前記背面部材の上部に設けられた第1の係止部と前記シートバックフレームの上部に設けられた第1の被係止部とが係止し、前記背面部材の下部に設けられた第2の係止部と前記シートバックフレームの下部に設けられた第2の被係止部とが係止しており、前記背面部材に車両の前方から後方ヘ向かう方向に荷重がかかると、前記第2の係止部と前記第2の被係止部の係止状態が解除され、前記第1の係止部と前記第1の被係止部の係止箇所を支点として前記背面部材が車両の後方へ回動することにより、前記背面部材の下縁部が前記シートバックから離れる方向へ変位するよう構成され、前記第2の係止部は、外力に対して脆弱な脆弱部を有していることを特徴とする。
前記第1の被係止部は、前記シートバックフレームにおいて車両の左右方向に延びる線状部材であって、その横断面形状は円形であり、前記背面部材に車両の前方から後方ヘ向かう方向に荷重がかかる場合に回動する前記背面部材の前記支点は前記線状部材の軸心であってもよい。
前記第1の係止部は、前記第1の被係止部が挿通し、車両の下方向に向かって開口している挿通部を有し、前記挿通部の内壁面は、車両の左右方向に延び前記第1の被係止部を挟持する一対の挟持面と、前記挿通部が開口する側の反対側に位置する上面とを有する構成であってもよい。
前記第1の係止部は、前記一対の挟持面の間隔が開くのを防止するための補強リブを備えていてもよい。
前記第1の係止部の上側に位置する前記背面部材の上縁部と前記シートバックフレームとの間に、前記背面部材の上縁部が当接する可撓性部材を設けてもよい。
前記背面部材に、前記第2の係止部に並設され、車両前方向に向かって突出する差込部を設け、前記差込部は、前記シートバックフレームの下部に設けられた差込穴を挿通する構成としてもよい。
上述のように、本発明に係る背面部材をシートバックフレームに取り付ける構造は、背面部材に車両の前方から後方ヘ向かう方向に荷重がかかると、背面部材の下部側に設けられた第2の係止部とシートバックフレームの下部側に設けられた第2の被係止部の係止状態が解除され、背面部材の上部側に設けられた第1の係止部とシートバックフレームの上部側に設けられた第1の被係止部の係止箇所を支点として背面部材が車両の後方へ回動し、背面部材の下縁部が前記シートバックから離れる方向へ変位する構成を有している。すなわち、車両前方から後方へ向かう方向へ荷重がかかった場合、背面部材の上部側における背面部材とシートバックフレームとの係止箇所の係止状態は維持されると共に、背面部材の下部側の係止箇所の係止状態は解除され、背面部材の下方側が車両後方側へ開くことになる。従って、背面部材の上縁部が後方の乗員スペースへ露出することが防止されると共に、上述の荷重は吸収され背面部材の本体に直接作用することがないため、背面部材の破損が防止される。
第1の被係止部を、線状部材であってその断面形状が円形である部材とし、車両の前方から後方ヘ向かう方向に荷重がかかった場合に背面部材が回動するとき、その回動の支点を線状部材の軸心とする構成とすれば、背面部材の回動運動がよりスムーズとなるため、効率的に当該荷重を逃がすことができる。また、この背面部材の回動により背面部材の上端部がシートバックの背面側に押し付けられることとなるため、車両の前方から後方ヘ向かう方向に荷重がかかっても、背面部材の上端部のエッジ等がシートバックの上側に露出することが防止される。
さらに、第1の被係止部が挿通する挿通部を第1の係止部が有し、この挿通部の内壁面が、車両の左右方向に延び第1の被係止部を挟持する一対の挟持面と、挿通部が開口する側と反対側の上面とを有する構成とすれば、当該上面により背面部材の下方向への移動が規制され、一対の挟持面のうち車両の後側に位置する挟持面により、背面部材の後方向への移動が規制される。従って、背面部材の下方への脱落、及び車両後方側の乗員スペース側への背面部材の倒れこみ、露出を防止することができる。
また、第1の係止部に一対の挟持面の間隔が開くのを防止するための補強リブを設けることにより、背面部材に車両の前方から後方ヘ向かう方向に荷重がかかった場合でも、第1の係止部の変形や破損が防止され、第1の係止部と第1の被係止部との係止状態は維持される。従って、背面部材が後方の乗員スペースへ露出することが防止される。
また、第1の係止部の上側に位置する背面部材の上縁部とシートバックフレームとの間に、背面部材の上縁部が当接する可撓性部材が設けることにより、車両の前方から後方ヘ向かう方向に荷重がかかり、背面部材が上述のように回動するとき、背面部材の上縁部が可撓性部材に押し付けられ包まれることになる。従って、背面部材の上縁部が後方の乗員スペースへ露出することがより確実に防止される。また、背面部材の上縁部が可撓性部材に押し付けられるとき、可撓性部材は撓むため、背面部材の回動運動を阻害することがない。従って、背面部材への荷重の入力が抑えられるため、背面部材の変形、破損を防止することができる。
第2の係止部が外力に対して脆弱な脆弱部を有し、脆弱部が破損することにより、第2の係止部と第2の被係止部の係止状態が解除される構成とすることにより、通常は第2の係止部と第2の被係止部の係止状態を維持し、他の車両、建造物等との衝突時、当該係止状態を速やかに解除することができる。
背面部材に、第2の係止部に並設され、車両前方向に向かって突出する差込部を設け、この差込部をシートバックフレームの下部に設けられた差込穴に挿通させることにより、通常時は、シートバックの背面と平行な方向への背面部材の動きが規制される。例えば、
後部座席に着座している乗員の足が背面部座に当る等して、背面部材の下方から上方へ向けて力が加わっても、差込部と差込穴が嵌合しているので、背面部材が上方向へ動くことが防止される。一方、車両の前方から後方へ荷重が入力されるときは、上述の背面部材の回動に伴い、差込部はシートバックフレームの差込穴から離脱するので、第2の係止部と第2の被係止部の係止状態が解除されることによる背面部材の変位が差込部により妨げられることはない。
本発明の実施形態に係るシートバックの分解斜視図である。 シートバックを車両前方側から示す正面図である。 バックボードの下縁部の拡大斜視図である。 図2の線A−A矢視断面図である。 図2の線B−B矢視断面図である。 回動支持部を拡大して示す斜視図である。 図2の線C−C矢視断面図である。 車体前方向から荷重を受けた場合の下部取り付け用ツメと下側フレーム部の状態を示す断面図である。 下部取り付け用ツメの変形例を示す断面図である。
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかるシートバック1の分解斜視図であり、図2はシートバック1を車両前方側から示す図である。シートバック1は構造材であるシートフレーム10と、シートフレーム10に取り付けられているウレタンパッド20と、ウレタンパッド20の反対側でシートフレーム10に取り付けられているシートボード30とを備える。シートフレーム10は左右方向に延びる上側フレーム部11及び下側フレーム部12と、上下方向に延びる右側フレーム部13及び左側フレーム部14とを有し、全体として略矩形の枠組みを構成している。右側フレーム部13と左側フレーム部14との間には2本のSバネ15、16が設けられている。また、シートフレーム10の上側フレーム部11側には、左右方向に延びる線状部材の支持バー17(第1の被係止部)が右側フレーム部13、左側フレーム部14に取り付けられている。ウレタンパッド20は可撓性を有するクッション材であり、その周縁部においてシートフレーム10の上側フレーム部11、下側フレーム部12、右側フレーム部13、左側フレーム部14に対応する部分を、それぞれ上側フレーム部11、下側フレーム部12、右側フレーム部13、左側フレーム部14に係止させることにより、シートフレーム10に取り付けられている。ウレタンパッド20の表面はシートカバー21でカバーリングされている。シートバックボード30は、例えば、シートバック1を車両前方に前倒ししたときに隣りのシートの乗員や後方のシートの乗員がテーブルとして利用できるよう、樹脂ボードを部分的に凹形状に形成した構成を有する。
図3はシートバックボード30の前面側(シートフレーム10に対面する側)の下縁部近傍を拡大して示す斜視図である。シートバックボード30の前面側の下縁部の右端部には、下部取り付け用ツメ31(第2の係止部)が設けられ、左端部には下部取り付け用ツメ32(第2の係止部)が設けられている。また、下縁部の中央部には、差し込み用ツメ33、34がそれぞれ下部取り付け用ツメ31、32と並設されている。
図4は図2の線A−A矢視断面図であり、右端部の下部取り付け用ツメ31とシートフレーム10の下側フレーム部12との係止関係が示されている。尚、下部取り付け用ツメ31と下側フレーム部12の係止関係を明示するため、図4では一部の部材が省略されている。図3及び図4を参照しながら、下部取り付け用ツメ31と下側フレーム部12との係止関係について説明する。シートバックボード30の前面側(ウレタンパッド20側)の表面には、車両前方向に向かって突出する台座35が立設されている。下部取り付け用ツメ31は、上側係止片311と下側係止片312を有する。上側係止片311は、台座35に設けられた基部311Bと、基部311Bにおいて台座35と反対側の端部に設けられた頭部311Hとを有する。基部311Bと頭部311Hの境界部分には、シートバックボード30の表面に沿う方向に延びる凹部311Cが形成されている。同様に、下側係止片312は、台座35に設けられた基部312Bと、基部312Bにおいて台座35と反対側の端部に設けられた頭部312Hとを有し、基部312Bと頭部312Hの境界部分にはシートバックボード30の表面に沿う方向に延びる凹部312Cが形成されている。凹部311C、312Cは基部311B、312B及び頭部311H、312Hよりも薄いため、外力に対してこれらの部分よりも脆弱である。図1に示すように、シートフレーム12の下側フレーム部12には、下部取り付け用ツメ31と対応する位置に、取付穴121(第2の被係止部)が穿設されている。下部取り付け用ツメ31は取付穴121を挿通しており、上側係止片311及び下側係止片312の各頭部311H、312Hのみがウレタンパッド20側に位置している。
左端部の下部取り付け用ツメ32も右端部の下部取り付け用ツメ31と同様の構成を有している。すなわち、下部取り付け用ツメ32は上側係止片321と下側係止片322を有し、各係止片は、シートバックボード30の表面において車両前方向に向かって突出する台座36に設けられた基部と、基部において台座と反対側の端部に設けられた頭部とを有し、各係止片の基部と頭部の境界部分には、シートバックボード30の表面に沿う方向に延び、外力に対して他の部分より脆弱な凹部が形成されている。また、シートフレーム12の下側フレーム部12には、下部取り付け用ツメ32と対応する位置に取付穴122(第2の被係止部)が穿設されている。下部取り付け用ツメ32は取付穴122を挿通しており、上側係止片321及び下側係止片322の各頭部のみがウレタンパッド20側に位置している。
図5は図2の線B−B矢視断面図であり、差し込み用ツメ33とシートフレーム10の下側フレーム部12との係止関係が示されている。尚、差し込み用ツメ33と下側フレーム部12との係止関係を明示するため、図5では一部の部材が省略されている。図3及び図5を参照しながら、差し込み用ツメ33と下側フレーム部12との係止関係について説明する。差し込み用ツメ33は、一対の薄板状の差込片331、332を有する。一対の差込片331、332は、シートバックボード30の前面側の表面において車両前方向に向かって突出するよう立設された略矩形の基部331A、332Aと、基部331A、3311Aの自由端の下部において更に車両前方向に突出する凸部331B、332Bとを有する。図1に示すように、下側フレーム部12には、差し込み用ツメ33と対応する位置に差込穴123が穿設されており、差込穴123に差し込み用ツメ33の凸部331B、332Bが挿通している。
差し込み用ツメ34も差し込み用ツメ33と同様の構成を有している。すなわち、差し込み用ツメ34は一対の薄板状の差込片341、342を有し、各差込片341、342は、シートバックボード30の前面側の表面に立設された略矩形の基部341A、342Aと、基部341A、342Aの自由端の下部においてウレタンパッド20側に突出する凸部341B、342Bとを備えている。下側フレーム部12において差し込み用ツメ34と対応する位置に差込穴124が穿設されており(図1参照)、差込穴124に差し込み用34ツメの凸部341A、342Bが挿通している。
差し込み用ツメ33の凸部331B、332Bは対応する差込穴123を挿通するのみであり、差し込み用ツメ34の凸部341B、342Bは対応する差込穴124を挿通するのみであり、挿通穴123、124から外れる方向への変位は規制されない。一方、凸部331B、332Bと差込穴123とが嵌合し、凸部341B、342Bと差込穴124とが嵌合していることにより、シートバック1の表面と平行な方向へのシートバックボード30の変位は規制される。
図1に示すように、シートバックボード30の前面側の上部には、シートフレーム10の支持バー17と対応する位置に、回動支持部37、38(第1の係止部)が固定されている。図6は回動支持部37を拡大して示す斜視図である。回動支持部37は支持バー17が挿通する挿通部37Aを有する。挿通部37Aは下方向に向かって開口しており、内壁面は、車両の左右方向に延び、支持バー17を挟持する一対の挟持面37B、37Cと、上下方向において開口する側の反対側に位置し、挟持面37B、37Cと連続している上面37Dとを有する。回動支持部37のウレタンバッド20と対向する面には、上下方向に延びる2つの薄板状のリブ371、372と左右方向に延びる3つの薄板状のリブ373,374,375が設けられている。上下方向に延びるリブ371、372と左右方向に延びるリブ373,374,375とは互いに格子状に交差している。リブ371〜375が形成された面と反対側の面はシートバックボード30に固定されている。従って、リブ371〜375により、一対の挟持面37B、37Cの間隔が開く回動支持部37の変形が防止される。回動支持部38も回動支持部37と同様の構成を備えており、支持バー17が挿通する挿通部、格子状に形成された複数のリブを有する。
図7は、図2の線C−C矢視端面図である。図7では、構成を明示するため、一部の部材は省略されている。線状部材である支持バー17の横断面形状は円形である。回動支持部37の挿通部37Aの上面37Dと支持バー17との間には所定の隙間が形成されており、挟持面37B、37Cは、支持バー17の軸心を中心として回動可能に支持バー17を挟持している。上述のように、回動支持部38も回動支持部37と同様の構成を有している。回動支持部38の挿通部の上面と支持バー17との間には所定の隙間が形成されており、挿通部の一対の挟持面は支持バー17の軸心を中心として回動可能に支持バー17を挟持している。以上のように、支持バー17は回動支持部37、38により挟持されており、シートバックボード30は、回動支持部37、38を介して、支持バー17の軸心を中心として回動可能に支持されている。
上述のように、ウレタンパッド20は、その周縁部においてシートフレーム10の上下左右の各フレーム部に対応する部分を、それぞれ各フレーム部に係止させることにより、シートフレーム10に取り付けられている。図7には、シートフレーム10の上側フレーム部11に対応する部分におけるウレタンパッド20の取り付けの態様が示されている。ウレタンパッド20の上側の端部は、上側フレーム部11の背面側(シートバックボード30側)にまで回り込んでおり、この回り込んだ部分は、シートカバー21と同様のシートカバー22でカバーリングされている。回動支持部37及び38の上方に位置するシートバックボード30の上縁部30Uは、シートカバー22を介してウレタンパッド20に当接している。
ここで、他の車両、建造物等との衝突時、シートバックボード30に荷重が加わる場合の本実施形態の作用について説明する。上述のように、下部取り付け用ツメ31の上側係止片311と下側係止片312は、基部311B、312Bと頭部311H、312Hの境界部分に凹部311C、312Cが形成されており、同様に下部取付けツメ32の上側係止片321と下側係止片322も、基部と頭部の境界部分に凹部が形成されている。下部取り付け用ツメ31の凹部311C、312C、及び下部取り付け用ツメ32の凹部は、シートバックボード30の他の部位に比べ外力に対して脆弱である。従って、シートバックボード30に荷重が加わると、図8に示すように各凹部が破損し、下部取り付け用ツメ31、32と下側フレーム部12の係止関係が解除される。このとき、下部差込部33、34の、差込穴123、124から離脱する方向への変位は、上述のように規制されていない。その結果、支持バー17の中心軸を回動支点として、回動支持部37、38を介してシートバックボード30が自動車の前方向から後方向へ向かって(図7中の反時計回り)回動する。この回動動作により、シートバックボード30の上縁部30Uは前方向に変位し、ウレタンパッド20に更に押し付けられ、下縁部30B(図4参照)は後方向に変位し、ウレタンパッド20との間に隙間が生じる。
以上のように、本実施形態によれば、シートバック1に車両の前方向から後方向への荷重が加わると、下部取り付け用ツメ31の上側係止片311と下側係止片312の凹部311C、312C、及び下部取り付け用ツメ32の上側係止片321と下側係止片322の各凹部が破損し、シートバックボード30は、支持バー17の軸心を回動中心として、回動支持部37、38を介して車両後方側へ回動する。その結果、シートバック1に加わった荷重のシートバックボード30への入力が抑えられ、シートバックボード30の変形や破損が防止される。従って、シートバック1に車両の前方向から後方向への荷重が加わっても、後方の乗員スペースへシートバックボード30の各部が露出することが回避され、安全性が向上する。
本実施形態によれば、回動支持部37及び38の上方に位置するシートバックボード30の上縁部30Uは、上側フレーム部11のシートバックボード30側に回り込んだ、可撓性を有するウレタンパッド20の端部に当接している。従って、シートバックボード30が上述のように回動するとき、上縁部30Uはウレタンパッド20に押し付けられ、包み込まれるため、上縁部30Uが後方の乗員スペースへ露出することが防止される。また、ウレタンパッド20の可撓性によりシートバックボード30の回動運動は妨げられない。従って、シートバックボード30への荷重の入力が抑えられ、シートバックボード30の変形や破損が防止される。
尚、本実施形態においては、シートバックボード30の上縁部30Uは、上側フレーム部11のシートバックボード30側に回り込んだウレタンパッド20の端部に当接しているが、これに限るものではない。ウレタンパッド20とは別体の可撓性を有する部材を、シートバックボード30の上縁部30Uとシートフレーム10の上側フレーム部11との間に介在させてもよい。
図9は、下部取り付け用ツメの変形例である。下部取り付け用ツメ40は、シートバックボード30に固定された台座41と、下側フレーム部12の取付穴125に差し込まれた差込部42とを有する。台座41は略円盤形状を呈しており、差込部42が連結されている部分の径方向の寸法は取付穴125の径方向の寸法よりも長い。差込部42は筒状の部材であり、軸方向の中央部分から先端部に向かって径方向の寸法が次第に小さくなっている。差込部42は、先端部とは反対側の台座41と転結されている端部で取付穴125に嵌合している。すなわち、台座41が下側フレーム部12のシートバックボード30に対向する面に当接し、かつ、差込部42が取付穴125に嵌合することにより、シートバックボード30はフレーム12に保持されている。
差込部42の内部には軸方向に沿って複数のスリットが形成されており、外力に対して撓む構造を有している。従って、車両の急な加速時や他の車両、建造物等との衝突時、シートバックボード30に荷重が加わり、差込部42に外力が加わると、取付穴125と嵌合している部分の径方向の寸法が小さくなり、差込部42と取付穴125の嵌合状態が解除される。その結果、バックボード30は車両後方向へと変位する。
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
1 シートバック
10 シートフレーム
17 支持バー
20 ウレタンパッド
30 シートバックボード
31、32 下部取り付け用ツメ
33、34 下部差込部
37、38 回動支持部
121、122 取付穴
123、124 差込穴

Claims (6)

  1. シートバックにおける背面部材をシートバックフレームに取り付ける構造であって、
    前記背面部材の上部に設けられた第1の係止部と前記シートバックフレームの上部に設けられた第1の被係止部とが係止し、前記背面部材の下部に設けられた第2の係止部と前記シートバックフレームの下部に設けられた第2の被係止部とが係止しており、
    前記背面部材に車両の前方から後方ヘ向かう方向に荷重がかかると、
    前記第2の係止部と前記第2の被係止部の係止状態が解除され、前記第1の係止部と前記第1の被係止部の係止箇所を支点として前記背面部材が車両の後方へ回動することにより、前記背面部材の下縁部が前記シートバックから離れる方向へ変位するよう構成され、前記第2の係止部は、外力に対して脆弱な脆弱部を有していることを特徴とするシートバックの背面部材の取付構造。
  2. 前記第1の被係止部は、前記シートバックフレームにおいて車両の左右方向に延びる線状部材であって、その横断面形状は円形であり、
    前記背面部材に車両の前方から後方ヘ向かう方向に荷重がかかる場合に回動する前記背面部材の前記支点は前記線状部材の軸心であることを特徴とする請求項1に記載のシートバックの背面部材の取付構造。
  3. 前記第1の係止部は、前記第1の被係止部が挿通し、車両の下方向に向かって開口している挿通部を有し、
    前記挿通部の内壁面は、車両の左右方向に延び前記第1の被係止部を挟持する一対の挟持面と、前記挿通部が開口する側の反対側に位置する上面とを有することを特徴とする請求項2に記載のシートバックの背面部材の取付構造。
  4. 前記第1の係止部は、前記一対の挟持面の間隔が開くのを防止するための補強リブを備えることを特徴とする請求項3に記載のシートバックの背面部材の取付構造。
  5. 前記第1の係止部の上側に位置する前記背面部材の上縁部と前記シートバックフレームとの間に、前記背面部材の上縁部が当接する可撓性部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシートバックの背面部材の取付構造。
  6. 前記背面部材は、前記第2の係止部に並設され、車両前方向に向かって突出する差込部を有し、
    前記差込部は、前記シートバックフレームの下部に設けられた差込穴を挿通していることを特徴とする請求項1に記載のシートバックの背面部材の取付構造。
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